説明

複合粒子

【課題】過剰包装やマイクロカプセル化の必要がなく、湿度の影響を受けにくい安定したバルビツール酸誘導体を提供する。
【解決手段】バルビツール酸誘導体を無機または高分子粒子表面に化学的に結合させることによって、バルビツール酸誘導体が二量化しない程度の分子間距離を確保して湿度によって二量化して失活するのを回避するようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルビツール酸誘導体が粒子表面に化学的に結合している複合粒子に関する。
【背景技術】
【0002】
バルビツール酸誘導体が良好なラジカル重合開始剤として使用された歴史は古く、1963年にその学術文献をみることが出来る(非特許文献1)。その後、多くのバルビツール酸誘導体合成の研究が行われ、医科歯科分野にて応用が行われている(例えば、特許文献1,2,4)。
【0003】
ここで、一般にバルビツール酸誘導体を用いたレドックス重合系で生体硬組織への接着、例えば、骨または歯牙の修復を考えた場合、当然ながら水による湿潤下での修復作業であり、接着修復対象である骨や歯牙は親水性である。したがって、バルビツール酸誘導体は水溶性であることが好ましい。
【0004】
バルビツール酸の5位の炭素に電子供与能力の高い電子供与性基を結合させると、親水性が向上するが、このような親水性のバルビツール酸誘導体は、環境中の湿度の影響を多大に受けるために保存安定性が大きな問題となる。
【0005】
このため、バルビツール酸誘導体骨格の他の部位にベンジル基やシクロヘキシル基等の疎水性基を導入し、バルビツール酸誘導体全体の親水性を低下させる必要があった。また、これは疎水性モノマーへの溶解性を高めるためにも行われてきた。
【0006】
しかしながら、このように疎水化したバルビツール酸誘導体は、確かに湿度による影響が改善されるが、親水性である生体組織接着や充填修復に用いる場合には、その疎水性のために十分な分子解離や溶解がなされず、接着性が劣ることになる。
【0007】
このため、骨または歯牙修復用の材料は、親水性のバルビツール酸誘導体を使用しつつ、バルビツール酸誘導体を、ガスバリア性の包装容器を幾重にも重ねて包装し、湿度の影響を回避したり、あるいは、親水性のバルビツール酸誘導体をマイクロカプセル化していた(例えば、非特許文献2,特許文献3,5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−299201
【特許文献2】特開2006−299202
【特許文献3】特開2005−289961
【特許文献4】特開2006−219439
【特許文献5】特開2011−16725
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Bredereck, H.; Posselt, K.; Wagner, A.; Wurster, G. Makromol Chem 1963, 69, 154
【非特許文献2】Kiyomi.F., Yoshinari.T., Masato.T.,Journal of Applied Polymer Science, Vol.110, 2145-2152(2008)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、包装容器を幾重にも重ねる過剰包装は地球環境問題の点から好ましくなく、また、マイクロカプセル化は、煩雑な製造工程を必要とするといった課題がある。
【0011】
本発明は、上述のような点に鑑みてなされたものであって、過剰包装やマイクロカプセル化の必要がなく、湿度の影響を受けにくい安定したバルビツール酸誘導体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本件発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、バルビツール酸誘導体は湿度による潮解現象で二量体を形成し、反応活性を失うことを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明では、バルビツール酸誘導体を無機微粒子または高分子微粒子表面に化学的に結合させ、その隣り合うバルビツール酸誘導体の分子間距離を二量化しない程度に保つことで完全な失活を防ぐことを可能とするものであり、次のように構成している。
【0013】
本発明の複合粒子は、バルビツール酸誘導体が粒子表面に化学的に結合している。
【0014】
粒子は、無機粒子であってもよいし、高分子粒子であってもよい。
【0015】
無機粒子としては、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム、および、フルオロアルミノシリケートガラスのうちの少なくとも1種などであるのが好ましい。
【0016】
また、高分子粒子としては、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、および、ポリメチルメタクリレートとポリエチルメタクリレートの共重合体のうちの少なくとも1種などであるのが好ましい。
【0017】
前記ポリメチルメタクリレート、前記ポリエチルメタクリレート、ポリメチルメタクリレートとポリエチルメタクリレートの前記共重合体は、メチルメタクリレートモノマーおよびエチルメタクリレートモノマーの少なくともいずれか一方のモノマーに溶解しない程度に架橋されていてもよい。
【0018】
前記バルビツール酸誘導体は、5位の炭素にメチレン鎖を有し、該メチレン鎖を介して前記粒子表面に化学的に結合しているのが好ましい。
【0019】
前記バルビツール酸誘導体は、下記一般式(I)
【0020】
【化1】

【0021】
[式(I)中、1位の窒素に結合するR1は、水素原子またはメチル基を表し、3位の窒素に結合するR2は、水素原子、メチル基、シクロヘキシル基またはベンジル基のいずれかを表し、5位の炭素に結合するR3は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ターシャリ−ブチレン基のいずれかを表す。]
で表されると共に、前記R3を介して前記粒子表面に化学的に結合しているのが好ましい。
【0022】
窒素原子に結合する水素原子を含む原子団はバルビツール酸のラジカル重合開始剤効果には直接関与せず、該バルビツール酸誘導体自体の極性に大きく関与している。すなわち、メチル基やシクロヘキシル基またはベンジル基を導入することで親油性が増大し、親油性モノマーへの溶解・親和性が向上する。それに対して、5位の炭素に結合する原子団はバルビツール酸誘導体のラジカル重合開始剤効果に大きく関与する。すなわち、この部位にメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ターシャリ−ブチレン基等の電子供与性基を結合させることで、5位の炭素のラジカル化が容易になり、重合開始能を有する構造となる。例えば、バルビツール酸誘導体の前駆体であるバルビツール酸自体は重合開始能を有しない。これは5位に結合する原子が水素のみであり、安定化しているためである。また、バルビツール酸は水に対しての溶解性はほとんど持たないが、5位にメチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ターシャリ−ブチレン基等の電子供与性基を結合させた場合には、その電子供与性効果(インダクティブ エフェクト)により容易に6位のカルボニル基がケトエノール平衡をとる事が可能になり、水溶性を発現する。この事からも、5位の炭素に結合する原子団が電子供与性である事が非常に重要となる。
【0023】
本発明の複合粒子によると、バルビツール酸誘導体を、粒子の表面に化学的に結合させているので、隣り合うバルビツール酸誘導体の分子間距離を二量化しない程度に保つことが可能となり、これによって、バルビツール酸誘導体が、湿度による潮解現象で二量体を形成して反応活性を失うのを防止することが可能となる。したがって、湿度の影響を避けるために、従来例のように過剰包装やマイクロカプセル化などをする必要がない。
【0024】
本発明の複合粒子は、例えば、次のような製造方法によって製造してもよい。
【0025】
すなわち、バルビツール酸誘導体が粒子表面に化学的に結合している複合粒子を製造する方法であって、
前記粒子表面にアルデヒド基を導入する工程と、
前記アルデヒド基を導入した粒子とバルビツール酸またはその誘導体とを反応させて前記粒子表面にオレフィン置換体を生成する工程と、
前記オレフィン置換体を、活性炭パラジウム等の触媒を用い水素添加反応を行い水素化する工程と、
を含むものである。
【0026】
あるいは、
バルビツール酸誘導体が粒子表面に化学的に結合している複合粒子を製造する方法であって、
シリコーンアルコラート等の加水分解性基とアルデヒド基とを両末端に有する化合物とバルビツール酸またはその誘導体とを反応させて加水分解性基とオレフィン置換体とを有する化合物を生成する工程と、
前記化合物と前記粒子とを反応させて粒子表面に前記オレフィン置換体を導入する工程と、
粒子表面に導入した前記オレフィン置換体を活性炭パラジウム等の触媒を用い水素添加反応を行い水素化する工程と、
を含むものである。
【0027】
あるいは、
バルビツール酸誘導体が粒子表面に化学的に結合している複合粒子を製造する方法であって、
シリコーンアルコラート等の加水分解性基とアルデヒド基とを両末端に有する化合物とバルビツール酸またはその誘導体とを反応させて加水分解性基とオレフィン置換体とを有する化合物を生成する工程と、
前記化合物のオレフィン置換体を活性炭パラジウム等の触媒を用い水素添加反応を行い水素化する工程と、
オレフィン置換体を水素化した化合物を、前記粒子表面に導入する工程と、
を含むものである。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、環境中の湿度の影響を受けないバルビツール酸誘導体を提供することが可能となり、例えば、医科歯科分野の重合開始剤などの用途に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は粒子表面の結合状態を説明するための模式図である。
【図2】図2は分子末端にアルデヒド基を有するシランカップリング剤の製造過程を説明するための図である。
【図3】図3はエポキシ基を有するシランカップリング剤へのヒドロキシル基の導入過程を説明するための図である。
【図4】図4はヒドロキシル基をアルデヒド基に変換する過程を説明するための図である。
【図5】図5はバルビツール酸との結合状態を説明するための模式図である。
【図6】図6は水素化後の結合状態を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の複合粒子及びその製造方法について詳細に説明する。
【0031】
本発明の複合粒子は、バルビツール酸誘導体が粒子表面に化学的に結合している。
【0032】
バルビツール酸誘導体が化学的に結合される粒子は、無機粒子であってもよいし、高分子粒子であってもよい。
【0033】
粒子の形状は、不定形であってもよいが、分散性を考慮すると、球状であるのが好ましい。粒子のサイズは、1μm〜100μm程度であるのが好ましい。
【0034】
無機粒子としては、例えば、二酸化珪素、酸化アルミニウム、フルオロアルミノシリケートガラス、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化アルミニウムイットリウム、酸化アルミニウムコバルト、酸化アルミニウムマグネシウム、酸化アルミニウムランタン、酸化アルミニウムリチウム、酸化イットリウム、酸化イットリウム鉄、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ランタン、タルク、珪藻土、酸化ストロンチウムなどが挙げられる。これらの無機粒子は、単独で又は2種以上を組合せて使用してもよい。
【0035】
フルオロアルミノシリケートガラスとしては、例えば、二酸化珪素15.0〜35.0wt%,酸化アルミニウム15.0〜35.0wt%,酸化ホウ素0〜20.0wt%,五酸化燐5.0〜10.0wt%,酸化カルシウム0〜10wt%,X線造影性元素酸化物0〜50.0wt%,アルカリ金属酸化物1.0〜10.0wt%,フッ素5.0〜15wt%を含む組成からなるのが好ましい。
【0036】
高分子粒子としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリエチルスチレン、ポリクロロスチレン、ポリクロロメチルスチレン、ポリスチレンスルホン酸、ポリt−ブトキシスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリプロピル(メタ)アクリレート、ポリn−ブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリt−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ポリn−オクチル(メタ)アクリレート、ポリラウリル(メタ)アクリレート、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルアセテート、ポリプロピオン酸ビニル、ポリビニルブチレート、ポリビニルエーテル、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸、ポリアルキル(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリロニトリル、ビスグリシジル(メタ)アクリレート、ポリオレフィンおよびそれらの共重合体などが挙げられる。これらの高分子粒子は、単独で又は2種以上を組合せて使用してもよい。
【0037】
本発明の複合粒子は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0038】
先ず、第1の工程では、上述の無機粒子または高分子粒子の表面に、官能基であるアルデヒド基を分子末端にもつ化合物を導入する。
【0039】
例えば、二酸化珪素やフルオロアルミノシリケートガラスなどのシリカベースの無機粒子の場合には、その粒子表面は一般的に酸化膜やヒドロキシル基で覆われているので、フッ酸等での酸洗浄後にシランカップリング処理を施すことでアルデヒド基を導入することが可能である。
【0040】
すなわち、二酸化珪素やフルオロアルミノシリケートガラスなどの無機粒子の表面は、シラノール基で覆われており、かかる無機粒子の表面に、例えば、分子末端にアルデヒド基を有するシランカップリング剤を反応させることによって、例えば、図1に示すように、無機粒子表面1に共有結合を生成させてアルデヒド基を導入する。
【0041】
分子末端にアルデヒド基を有するシランカップリング剤は、例えば、グリニャール反応によって、次のようにして合成することができる。
【0042】
すなわち、十分に乾燥した反応フラスコにアルゴン雰囲気下にてマグネシウムを加え、ジエチルエーテルを反応溶媒して添加する。次に極少量のヨウ素をマグネシウム活性化剤として添加する。その後、例えばアルキルハライドシランカップリング剤として3−トリメトキシシリルプロピルクロリド(CAS番号2530-87-2)のジエチルエーテル溶液を少しづつ添加し、局所発熱に注意しながら加熱し反応させることで、グリニャール試薬を得る。この反応溶液にN,N―ジメチルフォルムアミドを添加した後に加水分解することで、増炭後にアルデヒド基を導入する事が出来る。また、この反応は図2に示すように、予め無機粉末にアルキルハライドシランカップリング剤を結合させた後に行っても良い。更に、図3に示すように、エポキシ基を有するシランカップリング剤として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(CAS番号2530-83-8)を無機粒子表面にカップリング処理した後に、単純にエポキシ環を加水分解すれば(A)に示した様に1級および2級のヒドキシル基が生成する。また、グリニャール試薬を作用させれば(B)に示した様に増炭して1級のヒドロキシル基のみを生成する。これらのヒドロキシル基はTEMPOにより容易に酸化され、図4に示すようにアルデヒド基に変換される。この様な反応経路にて無機粒子表面にアルデヒド基を導入する事が可能である。
【0043】
官能基を有していない無機粒子の場合には、ゾルゲル法によって無機粒子表面に、二酸化珪素の薄膜を形成し、その後、シランカップリング処理を施すことでアルデヒド基を導入すればよい。
【0044】
ゾルゲル法による二酸化珪素の薄膜の形成は、例えば、次のようにして行われる。
【0045】
反応フラスコに例えばバテライト型結晶系の球状炭酸カルシウムを加え、反応溶媒としてエタノール/イオン交換水の混合溶媒を加える。次に攪拌下にて、例えばテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し十分に攪拌する。このサスペンションに水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下することで、数十ナノメートル程度のシリカ微粒子が炭酸カルシウムに沈着し、炭酸カルシウム表面に極一層のシリカ膜が形成され、シラノール基を導入出来る。また、この反応は酸性でも進行するため、基質の耐酸性や耐アルカリ性を考慮し選択すれば良い。また酸性系でのシリコーンアルコラートは球状シリカを与えず不溶性線状ポリマーを与えるが、薄膜形成には問題はない。
【0046】
なお、かかる形成方法は、従来公知であり、例えば、"Preparation of hemispherical hollow silica microcapsules with different affinity surface by using spherical vaterite calcium carbonate as template" Kiyomi Fuchigami, Yoshinari Taguchi and Masato Tanaka, Polymers for advanced technologies, 18, 946-952(2007)等の公知文献に開示されている。
【0047】
高分子粒子の場合、例えば、分子内の側鎖にエステル基を含有する高分子の場合には、表面を加水分解してカルボキシル基を生成させ、その後還元することで容易にアルデヒド基を導入することが可能である。高分子粒子表面からより長鎖の炭素を介してアルデヒド基を導入する場合には、例えば先に示したエステル加水分解後のカルボキシル基の反応性を利用して、ジオール化合物をエステル化した後に末端のヒドロキシル基を酸化することで高分子表面から離れた位置にアルデヒド基を導入することが可能である。
【0048】
また、例えばエステル基を有さないポリオレフィンなどの高分子粒子の場合には、ガンマー線や電子線などの放射線を照射することで、高分子粒子表面にラジカルを生成させ、そのラジカルに重合性モノマーを反応させることで、ポリエチレン等の不活性な高分子表面にアルデヒド基などの官能基を導入することが可能である。
【0049】
このようにして、粒子の表面に、アルデヒド基を分子末端にもつ化合物を導入した後、それらが溶解しない溶媒に分散させ、バルビツール酸またはバルビツール酸誘導体を反応させることでオレフィン置換体を粒子表面に導入することが、第2の工程となる。
【0050】
ここで、バルビツール酸誘導体としては、例えば、1−メチルバルビツール酸、3−メチルバルビツール酸、1,3−ジメチルバルビツール酸、1,3−ジエチルバルビツール酸、1,3−ジフェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシルバルビツール酸、1−ベンジルバルビツール酸などが挙げられる。
【0051】
この第2の工程は、活性メチレン化合物であるバルビツール酸またはバルビツール酸誘導体と、粒子表面に導入されたアルデヒド基とを反応させてオレフィン(アルケン)を得るクネーフェナーゲル縮合である。
【0052】
このクネーフェナーゲル縮合によって、例えば、図5に示すように、粒子表面1に、例えば、バルビツール酸のオレフィン置換体を導入する。
【0053】
更に、第3の工程として、このオレフィン置換体に水素添加して、例えば、図6に示すように粒子表面1にバルビツール酸誘導体が化学的に結合された複合粒子を得る。
【0054】
この第3の工程では、オレフィン置換体を導入した粒子を、溶解しない溶媒に分散させ、活性炭パラジウム等の触媒を用いて水素添加することによって、粒子の表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合された複合粒子を得るものである。
【0055】
バルビツール酸誘導体は、5位の炭素にメチレン鎖が結合し、このメチレン鎖を介して粒子表面1に化学的に結合しており、図6の例では、バルビツール酸の5位の炭素にトリメチレン基が結合し、このトリメチレン基を介して粒子表面1に化学的に結合されている。
【0056】
上記第1〜第3の工程の順序は、特に限定されるものではなく、例えば無機粒子の場合には、メトキシシラン基とアルデヒド基を両末端に有する化合物を先に合成した後に、バルビツール酸またはバルビツール酸誘導体と縮合反応させることで、メトキシシラン基とバルビツール酸またはバルビツール酸誘導体を両末端に有する化合物を合成した後、最終的に無機粒子表面のシラノール基とメトキシシラン基を縮合させてもよい。
【0057】
なお、メトキシシラン基とアルデヒド基を両末端に有する化合物の合成は、上述のグリニャール反応などによって、合成することができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
先ず、無機粒子にバルビツール酸の誘導体を化学的に結合させた実施例1〜5について説明する。
【0060】
[実施例1]
マグネチックスターラー攪拌下にて二酸化珪素(富士シリシア株式会社製サイロスフェア)10gをメタノール8容積/蒸留水2容積の混合溶媒50mLに分散し、0.5gの4-(トリメトキシシリル)ブタナールを添加した。そのサスペンションに1mol/L濃度の酢酸水溶液を1mL添加し、還流温度にて24時間反応させ、アルデヒド基を表面に導入した二酸化珪素を得た。
【0061】
得られた二酸化珪素を、遠心分離により分離・洗浄し乾燥した。このアルデヒド基が表面に導入された二酸化珪素10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、0.5gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え、大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体結合二酸化珪素を、細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合された二酸化珪素を減圧乾燥し、後述するバルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0062】
[実施例2]
マグネチックスターラー攪拌下にて二酸化珪素(富士シリシア株式会社製サイロスフェア)10gをメタノール8容積/蒸留水2容積の混合溶媒50mLに分散し、2.0gの4-(トリメトキシシリル)ブタナールを添加した。そのサスペンションに1mol/L濃度の酢酸水溶液を1mL添加し、還流温度にて24時間反応させ、アルデヒド基を表面に導入した二酸化珪素を得た。
【0063】
得られた二酸化珪素を遠心分離により分離・洗浄し乾燥した。このアルデヒド基が表面に導入された二酸化珪素10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、1.5gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え、大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体結合二酸化珪素を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合された二酸化珪素を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0064】
[実施例3]
マグネチックスターラー攪拌下にて二酸化珪素(富士シリシア株式会社製サイロスフェア)10gをメタノール8容積/蒸留水2容積の混合溶媒50mLに分散し、5gの4-(トリメトキシシリル)ブタナールを添加した。そのサスペンションに1mol/L濃度の酢酸水溶液を1mL添加し、還流温度にて24時間反応させ、アルデヒド基を表面に導入した二酸化珪素を得た。
【0065】
得られた二酸化珪素を遠心分離により分離・洗浄し乾燥した。このアルデヒド基が表面に導入された二酸化珪素10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、5gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え、大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体結合二酸化珪素を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合された二酸化珪素を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0066】
[実施例4]
攪拌機付き耐圧容器に2,2-ジメチル-4-(トリメトキシシリル)ブタナール3g、メタノール50mLおよびバルビツール酸2gを充填し、大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、遠心分離によりパラジウム活性炭素を除去した。得られた5-(2-メチル-4-(トリメトキシシリル)-2-ブタニル)ピリミジン溶液はエバポレーターにて濃縮したのち、メタノール展開溶媒にてカラム分離し精製した。次に、マグネチックスターラー攪拌下にて酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製A12−C)10gをメタノール8容積/蒸留水2容積の混合溶媒50mLに分散し、1gの5-(2-メチル-4-(トリメトキシシリル)-2-ブタニル)ピリミジンを添加した。そのサスペンションに1mol/L濃度の酢酸水溶液を1mL添加し、還流温度にて24時間反応させた。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合された酸化アルミニウムを減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0067】
[実施例5]
マグネチックスターラー攪拌下にてフルオロアルミノシリケート粉末(株式会社松風製ハイボンドレジグラス粉材)10gをメタノール8容積/蒸留水2容積の混合溶媒50mLに分散し、2.0gの4-(3-(トリメトキシシリル)-プロピル)ベンズアルデヒドを添加した。そのサスペンションに1mol/L濃度の酢酸水溶液を1mL添加し、還流温度にて24時間反応させ、アルデヒド基を表面に導入したフルオロアルミノシリケートを得た。得られたフルオロアルミノシリケートを遠心分離により分離・洗浄し乾燥した。
【0068】
このアルデヒド基が表面に導入されたフルオロアルミノシリケート10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、0、.5gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え、大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体結合フルオロアルミノシリケート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたフルオロアルミノシリケート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0069】
次に、高分子粒子にバルビツール酸の誘導体を化学的に結合させた実施例について説明するが、それに先立って、使用した高分子粒子の合成方法について説明する。
【0070】
[高分子粒子1(ポリメチルメタクリレート)の合成]
直径5cmの6枚羽根ディスクタービン攪拌機、ステンレスバッフルおよび還流冷却器を備えた500mL容積三口セパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1000ppm水溶液を300mL充填した。そこにベンゾイルパーオキサイド1wt%を含むメチルメタクリレートモノマー50mLを攪拌速度300rpm下で添加し、O/Wエマルションを調整した。そのO/Wエマルションに平均粒径3μmのカルサイト型炭酸カルシウム10gを添加し該エマルションを安定化させた。その後、フラスコを80℃のウオーターバスに浸け3時間の重合反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、弱酸性になるまで希塩酸を加え炭酸カルシウムを完全に除去した。得られた粒子状ポリメチルメタクリレートの懸濁溶液は十分に濾過・洗浄した後に、真空乾燥した。収率は98%で平均粒径は約100μmであった。
【0071】
[高分子粒子2(ポリエチルメタクリレート)の合成]
直径5cmの6枚羽根ディスクタービン攪拌機、ステンレスバッフルおよび還流冷却器を備えた500mL容積三口セパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1000ppm水溶液を300mL充填した。そこにベンゾイルパーオキサイド1wt%を含むエチルメタクリレートモノマー50mLを攪拌速度300rpm下で添加し、O/Wエマルションを調整した。そのO/Wエマルションに平均粒径3μmのカルサイト型炭酸カルシウム10gを添加し該エマルションを安定化させた。その後、フラスコを80℃のウオーターバスに浸け3時間の重合反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、弱酸性になるまで希塩酸を加え炭酸カルシウムを完全に除去した。得られた粒子状ポリエチルメタクリレートの懸濁溶液は十分に濾過・洗浄した後に、真空乾燥した。収率は97%で平均粒径は約100μmであった。
【0072】
[高分子粒子3(メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー)の合成]
直径5cmの6枚羽根ディスクタービン攪拌機、ステンレスバッフルおよび還流冷却器を備えた500mL容積三口セパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1000ppm水溶液を300mL充填した。そこにベンゾイルパーオキサイド1wt%を含むメチルメタクリレート−エチルメタクリレートモノマー(1:1容積)50mLを攪拌速度300rpm下で添加し、O/Wエマルションを調整した。そのO/Wエマルションに平均粒径3μmのカルサイト型炭酸カルシウム10gを添加し該エマルションを安定化させた。その後、フラスコを80℃のウオーターバスに浸け3時間の重合反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、弱酸性になるまで希塩酸を加え炭酸カルシウムを完全に除去した。得られた粒子状ポリエチルメタクリレートの懸濁溶液は十分に濾過・洗浄した後に、真空乾燥した。収率は98%で平均粒径は約90μmであった。
【0073】
[高分子粒子4(架橋型ポリメチルメタクリレート)の合成]
直径5cmの6枚羽根ディスクタービン攪拌機、ステンレスバッフルおよび還流冷却器を備えた500mL容積三口セパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1000ppm水溶液を300mL充填した。そこにベンゾイルパーオキサイド1wt%およびトリエチレングリコールジメタクリレート5wt%を含むメチルメタクリレートモノマー50mLを攪拌速度300rpm下で添加し、O/Wエマルションを調整した。そのO/Wエマルションに平均粒径3μmのカルサイト型炭酸カルシウム10gを添加し該エマルションを安定化させた。その後、フラスコを80℃のウオーターバスに浸け3時間の重合反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、弱酸性になるまで希塩酸を加え炭酸カルシウムを完全に除去した。得られた粒子状架橋型ポリメチルメタクリレートの懸濁溶液は十分に濾過・洗浄した後に、真空乾燥した。収率は98%で平均粒径は約110μmであった。また、該架橋型ポリメチルメタクリレートはメチルメタクリレートモノマーおよびエチルメタクリレートモノマーには溶解しなかった。
【0074】
[高分子粒子5(架橋型ポリエチルメタクリレート)の合成]
直径5cmの6枚羽根ディスクタービン攪拌機、ステンレスバッフルおよび還流冷却器を備えた500mL容積三口セパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1000ppm水溶液を300mL充填した。そこにベンゾイルパーオキサイド1wt%およびトリエチレングリコールジメタクリレート5wt%を含むエチルメタクリレートモノマー50mLを攪拌速度300rpm下で添加し、O/Wエマルションを調整した。そのO/Wエマルションに平均粒径3μmのカルサイト型炭酸カルシウム10gを添加し該エマルションを安定化させた。その後、フラスコを80℃のウオーターバスに浸け3時間の重合反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、弱酸性になるまで希塩酸を加え炭酸カルシウムを完全に除去した。得られた粒子状架橋型ポリエチルメタクリレートの懸濁溶液は十分に濾過・洗浄した後に、真空乾燥した。収率は97%で平均粒径は約120μmであった。また、該架橋型ポリエチルメタクリレートはメチルメタクリレートモノマーおよびエチルメタクリレートモノマーには溶解しなかった。
【0075】
[高分子粒子6(架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー)の合成]
直径5cmの6枚羽根ディスクタービン攪拌機、ステンレスバッフルおよび還流冷却器を備えた500mL容積三口セパラブルフラスコにドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1000ppm水溶液を300mL充填した。そこにベンゾイルパーオキサイド1wt%およびトリエチレングリコールジメタクリレート5wt%を含むメチルメタクリレート−エチルメタクリレートモノマー(1:1容積)50mLを攪拌速度300rpm下で添加し、O/Wエマルションを調整した。そのO/Wエマルションに平均粒径3μmのカルサイト型炭酸カルシウム10gを添加し該エマルションを安定化させた。その後、フラスコを80℃のウオーターバスに浸け3時間の重合反応を行った。反応終了後、室温まで冷却し、弱酸性になるまで希塩酸を加え炭酸カルシウムを完全に除去した。得られた粒子状架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマーの懸濁溶液は十分に濾過・洗浄した後に、真空乾燥した。収率は95%で平均粒径は約110μmであった。また、該架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマーはメチルメタクリレートモノマーおよびエチルメタクリレートモノマーには溶解しなかった。
【0076】
以上のようにして合成した高分子粒子1〜6にバルビツール酸誘導体を化学的に結合させた実施例6〜17について説明する。
【0077】
[実施例6]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子1であるポリメチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、ポリメチルメタクリレート粉末表面のメチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gを脱水ジエチルエーテル100mL に懸濁させ、テトラヒドリドアルミン酸リチウム1gを添加した。その懸濁溶液を50℃にて24時間還元し、濾過・水洗・真空乾燥することで表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末を得た。
【0078】
この表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥し、表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末を得た。この表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、5gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え、大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合ポリメチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたポリメチルメタクリレート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0079】
[実施例7]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子2であるポリエチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、ポリエチルメタクリレート粉末表面のエチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換ポリエチルメタクリレート粉末10gを脱水ジエチルエーテル100mL に懸濁させ、テトラヒドリドアルミン酸リチウム1gを添加した。その懸濁溶液を50℃にて24時間還元し、濾過・水洗・真空乾燥することで表面ヒドロキシル基変換ポリエチルメタクリレート粉末を得た。
【0080】
この表面ヒドロキシル基変換ポリエチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥し、表面アルデヒド基変換ポリエチルメタクリレート粉末を得た。この表面アルデヒド基変換ポリエチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ5gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え、大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体結合ポリエチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたポリエチルメタクリレート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0081】
[実施例8]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子3であるメチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、メチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末表面のメチルおよびエチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換メチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末10gを脱水ジエチルエーテル100mL に懸濁させ、テトラヒドリドアルミン酸リチウム1gを添加した。その懸濁溶液を50℃にて24時間還元し、濾過・水洗・真空乾燥することで表面ヒドロキシル基変換メチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末を得た。
【0082】
この表面ヒドロキシル基変換メチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥し、表面アルデヒド基変換メチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末を得た。この表面アルデヒド基変換メチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、5gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体結合メチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたメチルメタクリレート‐エチルメタクリレートコポリマー粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0083】
[実施例9]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子1であるポリメチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、ポリメチルメタクリレート粉末表面のメチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に、該表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、パラジウム‐硫酸バリウム(Pd含有率5%)0.5gを懸濁させた脱水ジエチルエーテル50mLを加えた。その後、圧力容器内を窒素置換し、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離した。
【0084】
この表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、1gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合ポリメチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合したポリメチルメタクリレート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0085】
[実施例10]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子1であるポリメチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、ポリメチルメタクリレート粉末表面のメチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に該表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末10gをマグネチックスターラー攪拌下にてピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mLに分散し、3-アミノプロパン-1-オールを3g含む脱水ジエチルエーテル10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。
【0086】
得られた表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末は濾過した後、メタノール洗浄・水洗・濾過を繰り返し単離した。この表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗・真空乾燥し、表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末を得た。この表層アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、3gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合ポリメチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたポリメチルメタクリレート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0087】
[実施例11]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子1であるポリメチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、ポリメチルメタクリレート粉末表面のメチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に該表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末10gをマグネチックスターラー攪拌下にてピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mLに分散し、4-アミノブタン-1-オールを3g含む脱水ジエチルエーテル10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末は濾過した後、メタノール洗浄・水洗・濾過を繰り返し単離した。
【0088】
この表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗・真空乾燥し、表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末を得た。この表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、3gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合ポリメチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたポリメチルメタクリレート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0089】
[実施例12]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子1であるポリメチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、ポリメチルメタクリレート粉末表面のメチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に該表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末10gをマグネチックスターラー攪拌下にてピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mLに分散し、4-アミノ-2,2-ジメチルブタン-1-オールを3g含む脱水ジエチルエーテル10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末は濾過した後、メタノール洗浄・水洗・濾過を繰り返し単離した。
【0090】
この表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗・真空乾燥し、表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末を得た。この表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ3gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合したポリメチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたポリメチルメタクリレート粉末は減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0091】
[実施例13]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子1であるポリメチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、ポリメチルメタクリレート粉末表面のメチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に該表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末10gをマグネチックスターラー攪拌下にてピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mLに分散し、3-アミノ-2,2-ジメチルプロパン-1-オールを3g含む脱水ジエチルエーテル10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。
【0092】
得られた表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末は濾過した後、メタノール洗浄・水洗・濾過を繰り返し単離した。この表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗・真空乾燥し、表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末を得た。この表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ3gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合ポリメチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたポリメチルメタクリレート粉末は減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0093】
[実施例14]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子1であるポリメチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、ポリメチルメタクリレート粉末表面のメチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に該表面酸塩化物ポリメチルメタクリレート粉末10gをマグネチックスターラー攪拌下にてピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mLに分散し、(4-(4-アミノブチル)フェニル)メタノールを3g含む脱水ジエチルエーテル10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。
【0094】
得られた表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末は濾過した後、メタノール洗浄・水洗・濾過を繰り返し単離した。この表面ヒドロキシル基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗・真空乾燥し、表面アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末を得た。この表層アルデヒド基変換ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ3gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合ポリメチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合されたポリメチルメタクリレート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0095】
[実施例15]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子4である架橋型ポリメチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、架橋型ポリメチルメタクリレート粉末表面のメチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換架橋型ポリメチルメタクリレート粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物架橋型ポリメチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に該表面酸塩化物架橋型ポリメチルメタクリレート粉末10gをマグネチックスターラー攪拌下にてピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mLに分散し、4-アミノブタン-1-オールを3g含む脱水ジエチルエーテル10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。
【0096】
得られた表面ヒドロキシル基変換架橋型ポリメチルメタクリレート粉末は濾過した後、メタノール洗浄・水洗・濾過を繰り返し単離した。この表面ヒドロキシル基変換架橋型ポリメチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗・真空乾燥し、表面アルデヒド基変換架橋型ポリメチルメタクリレート粉末を得た。この表面アルデヒド基変換架橋型ポリメチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ3gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合架橋型ポリメチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合された架橋型ポリメチルメタクリレート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0097】
[実施例16]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子5である架橋型ポリエチルメタクリレート粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、架橋型ポリエチルメタクリレート粉末表面のエチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換架橋型ポリエチルメタクリレート粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物架橋型ポリエチルメタクリレート粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に該表面酸塩化物架橋型ポリエチルメタクリレート粉末10gをマグネチックスターラー攪拌下にてピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mLに分散し、4-アミノブタン-1-オールを3g含む脱水ジエチルエーテル10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面ヒドロキシル基変換架橋型ポリエチルメタクリレート粉末は濾過した後、メタノール洗浄・水洗・濾過を繰り返し単離した。この表面ヒドロキシル基変換架橋型ポリエチルメタクリレート粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗・真空乾燥し、表面アルデヒド基変換架橋型ポリエチルメタクリレート粉末を得た。この表面アルデヒド基変換架橋型ポリエチルメタクリレート粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ3gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合架橋型ポリエチルメタクリレート粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合した架橋型ポリエチルメタクリレート粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0098】
[実施例17]
マグネチックスターラー攪拌下にて、上記高分子粒子6である架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末10gをメタノール9容積/蒸留水1容積の混合溶媒50mLに分散し、トリフルオロ酢酸1gを添加した。その後、還流温度にて48時間の加水分解を行い、架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末表面のメチルエステル基およびエチルエステル基をカルボキシル基に変換した。その懸濁液を濾過・水洗し真空乾燥した。次に十分に乾燥を行った該表面カルボキシル基変換架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末10gにピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mL を加え、マグネチックスターラー攪拌下にて懸濁させ、塩化チオニル3gを溶解した脱水ジエチルエーテル溶液10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。得られた表面酸塩化物架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末は濾過・洗浄を繰り返し単離・乾燥した。次に該表面酸塩化物架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末10gをマグネチックスターラー攪拌下にてピリジンを含有する脱水ジエチルエーテル100mLに分散し、4-アミノブタン-1-オールを3g含む脱水ジエチルエーテル10mLを氷浴下にて1時間かけて添加した。
【0099】
得られた表面ヒドロキシル基変換架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末は濾過した後、メタノール洗浄・水洗・濾過を繰り返し単離した。この表面ヒドロキシル基変換架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末10gをジクロロメタン100mLに懸濁させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.1gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.2gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。反応終了後、懸濁液を濾過・水洗・真空乾燥し、表面アルデヒド基変換架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末を得た。この表面アルデヒド基変換架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末10gを攪拌機付き耐圧容器に入れ、3gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られた表面バルビツール酸誘導体結合架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られた複合粒子である、表面にバルビツール酸誘導体が化学的に結合された架橋型メチルメタクリレート−エチルメタクリレートコポリマー粉末を減圧乾燥し、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0100】
[実施例18]〜[実施例34]
上記実施例1〜17の各実施例において、バルビツール酸を、1,3-ジメチルピリミジン-2,4,6-トリオンに替えてそれぞれ合成を行い、得られた複合粒子を、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0101】
[実施例35]〜[実施例51]
上記実施例1〜17の各実施例において、バルビツール酸を、1-シクロヘキシルピリミジン-2,4,6-トリオンに替えてそれぞれ合成を行い、得られた複合粒子を、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0102】
[実施例52]〜[実施例68]
上記実施例1〜17の各実施例において、バルビツール酸を、1-ベンジルピリミジン-2,4,6-トリオンに替えてそれぞれ合成を行い、得られた複合粒子を、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0103】
[実施例69]〜[実施例85]
上記実施例1〜17の各実施例において、バルビツール酸を、1,3-ジエチルピリミジン-2,4,6-トリオンに替えてそれぞれ合成を行い、得られた複合粒子を、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0104】
[実施例86]〜[実施例102]
上記実施例1〜17の各実施例において、バルビツール酸を、1-メチルピリミジン-2,4,6-トリオンに替えてそれぞれ合成を行い、得られた複合粒子を、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0105】
[実施例103]〜[実施例119]
上記実施例1〜17の各実施例において、バルビツール酸を、3-メチルピリミジン-2,4,6-トリオンに替えて合成をそれぞれ行い、得られた複合粒子を、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0106】
次に、比較例1〜13として、次のようにバルビツール酸誘導体を合成した。
【0107】
[比較例1]
攪拌機付き耐圧容器に脱水メタノール溶媒50mLを充填し5.8gの4-(トリメトキシシリル)ブタナールを溶解した。そこに6gのバルビツール酸を懸濁溶解した脱水メタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/脱水メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られたバルビツール酸誘導体は脱水メタノールを展開溶媒としたカラム分離を行った。その後、溶媒をエバポレーターにて留去し、目的のバルビツール酸誘導体である、[5-(4-(トリメトキシシリル)ブチル)ピリミジン-2,4,6-トリオン]を得た。得られたバルビツール酸誘導体を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0108】
[比較例2]
攪拌機付き耐圧容器に脱水メタノール溶媒50mLを充填し7.0gの2,2-ジメチル-4-(トリメトキシシリル)ブタナールを溶解した。そこに6gのバルビツール酸を懸濁溶解した脱水メタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/脱水メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られたバルビツール酸誘導体は脱水メタノールを展開溶媒としたカラム分離を行った。その後、溶媒をエバポレーターにて留去し、目的のバルビツール酸誘導体である[5-(2,2-ジメチル-4-(トリメトキシシリル)ブチル)ピリミジン-2,4,6-トリオン]を得た。得られたバルビツール酸誘導体を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0109】
[比較例3]
攪拌機付き耐圧容器に脱水メタノール溶媒50mLを充填し8.0gの4-(3-(トリメトキシシリル)-プロピル)ベンズアルデヒドを溶解した。そこに6gのバルビツール酸を懸濁溶解した脱水メタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/脱水メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたバルビツール酸誘導体を細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。得られたバルビツール酸誘導体は脱水メタノールを展開溶媒としたカラム分離を行った。その後、溶媒をエバポレーターにて留去し、目的のバルビツール酸誘導体である[5-(4-(3-(トリメトキシシリル)-プロピル)-ベンジル)-ピリミジン-2,4,6-トリオン]を得た。得られたバルビツール酸誘導体を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0110】
[比較例4]
3-アミノプロパン-1-オール2.3gをピリジン2.5gを含有する脱水ジクロロメタン50mLに溶解させ、氷浴下にてイソブチリルクロライド3.2gを溶解させた脱水ジクロロメタン10mLを1時間かけてマグネチックスターラー攪拌下にて添加した。得られたN-(3-ヒドロキシプロピル)イソブチルアミドを含む反応溶液は濾過し、ピリジン塩酸塩を除去した。その後、メタノール/蒸留水を展開溶媒としたカラム分離で精製した。次にN-(3-ヒドロキシプロピル)イソブチルアミド4.4gををジクロロメタン50mLに溶解させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.2gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.4gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。その後、ジクロロメタンを留去し、メタノールを展開溶媒としてカラム分離した。得られたN-(3-オキソプロピル)イソブチルアミド4.3gを含むメタノール溶液50mLを攪拌機付き耐圧容器に入れ、6gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたN-(3-(2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)プロピル)イソブチルアミド溶液は細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。その後、メタノールを展開溶媒としてカラム分離し単離した。得られたバルビツール酸誘導体である[N-(3-(2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)プロピル)イソブチルアミド]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0111】
[比較例5]
3-アミノブタン-1-オール2.7gをピリジン2.5gを含有する脱水ジクロロメタン50mLに溶解させ、氷浴下にてイソブチリルクロライド3.2gを溶解させた脱水ジクロロメタン10mLを1時間かけてマグネチックスターラー攪拌下にて添加した。得られたN-(4-ヒドロキシブチル)イソブチルアミドを含む反応溶液は濾過し、ピリジン塩酸塩を除去した。その後、メタノール/蒸留水を展開溶媒としたカラム分離で精製した。次にN-(4-ヒドロキシブチル)イソブチルアミド4.8gをジクロロメタン50mLに溶解させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.2gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.4gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。その後、ジクロロメタンを留去し、メタノールを展開溶媒としてカラム分離した。得られたN-(4-オキソブチル)イソブチルアミド4.8gを含むメタノール溶液50mLを攪拌機付き耐圧容器に入れ、6gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたN-(4-(2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)ブチル)イソブチルアミド溶液は細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。その後、メタノールを展開溶媒としてカラム分離し単離した。得られたバルビツール酸誘導体である[N-(4-(2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)ブチル)イソブチルアミド]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0112】
[比較例6]
4-アミノ-2,2-ジメチルブタン-1-オール3.6gをピリジン2.5gを含有する脱水ジクロロメタン50mLに溶解させ、氷浴下にてイソブチリルクロライド3.2gを溶解させた脱水ジクロロメタン10mLを1時間かけてマグネチックスターラー攪拌下にて添加した。得られたN-(4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルブチル)イソブチルアミドを含む反応溶液は濾過し、ピリジン塩酸塩を除去した。その後、メタノール/蒸留水を展開溶媒としたカラム分離で精製した。次にN-(4-ヒドロキシ-3,3-ジメチルブチル)イソブチルアミド5.7gをジクロロメタン50mLに溶解させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.2gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.4gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。その後、ジクロロメタンを留去し、メタノールを展開溶媒としてカラム分離した。得られたN-(3,3-ジメチル-4-オキソブチル)イソブチルアミド5.6gを含むメタノール溶液50mLを攪拌機付き耐圧容器に入れ、6gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたN-(3,3-ジメチル-4-(2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)ブチル)イソブチルアミド溶液は細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。その後、メタノールを展開溶媒としてカラム分離し単離した。得られたバルビツール酸誘導体である[N-(3,3-ジメチル-4-(2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)ブチル)イソブチルアミド]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0113】
[比較例7]
3-アミノ-2,2-ジメチルプロパン-1-オール3.1gをピリジン2.5gを含有する脱水ジクロロメタン50mLに溶解させ、氷浴下にてイソブチリルクロライド3.2gを溶解させた脱水ジクロロメタン10mLを1時間かけてマグネチックスターラー攪拌下にて添加した。得られたN-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)イソブチルアミドを含む反応溶液は濾過し、ピリジン塩酸塩を除去した。その後、メタノール/蒸留水を展開溶媒としたカラム分離で精製した。次にN-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル)イソブチルアミド5.2gをジクロロメタン50mLに溶解させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.2gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.4gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。その後、ジクロロメタンを留去し、メタノールを展開溶媒としてカラム分離した。得られたN-(2,2-ジメチル-3-オキソプロピル)イソブチルアミド5.2gを含むメタノール溶液50mLを攪拌機付き耐圧容器に入れ、6gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたN-(2,2-ジメチル-3-(2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)プロピル)イソブチルアミド溶液は細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。その後、メタノールを展開溶媒としてカラム分離し単離した。得られたバルビツール酸誘導体である[N-(2,2-ジメチル-3-(2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)プロピル)イソブチルアミド]は活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0114】
[比較例8]
(4-(4-アミノブチル)フェニル)メタノール5.4gを、ピリジン2.5gを含有する脱水ジクロロメタン50mLに溶解させ、氷浴下にてイソブチリルクロライド3.2gを溶解させた脱水ジクロロメタン10mLを1時間かけてマグネチックスターラー攪拌下にて添加した。得られたN-(4-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ブチル)イソブチルアミドを含む反応溶液は濾過し、ピリジン塩酸塩を除去した。その後、メタノール/蒸留水を展開溶媒としたカラム分離で精製した。次にN-(4-(4-(ヒドロキシメチル)フェニル)ブチル)イソブチルアミド7.5gをジクロロメタン50mLに溶解させ、ジアセトキシヨードベンゼン0.2gおよび2,2,6,6,-テトラメチルピペリジン-1-オキシルラジカル0.4gを添加し、室温にて24時間酸化反応を行った。その後、ジクロロメタンを留去し、メタノールを展開溶媒としてカラム分離した。得られたN-(4-(4-フォルミルフェニル)ブチル)イソブチルアミド7.4gを含むメタノール溶液50mLを攪拌機付き耐圧容器に入れ、6gのバルビツール酸を溶解したメタノール50mLを加え大気圧下25℃にて12時間の反応を行った。その後、耐圧容器内部を窒素置換し、パラジウム活性炭素0.3g/メタノール3mLのサスペンションを窒素フロー下にてシリンジ注入した。その後、水素を0.7MPaの圧力で充填し水素添加反応を25℃にて24時間行った。反応終了後、得られたN-(4-(4-((2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)メチル)フェニル)ブチル)イソブチルアミド溶液は細孔径10μmの濾布にて減圧濾過およびメタノール洗浄を繰り返し、未反応のバルビツール酸とパラジウム活性炭素を除去した。その後、メタノールを展開溶媒としてカラム分離し単離した。得られたバルビツール酸誘導体である[N-(4-(4-((2,4,6-トリオキソ-ヘキサヒドロピリミジン-5-イル)メチル)フェニル)ブチル)イソブチルアミド]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0115】
[比較例9]
攪拌機および還流冷却器を備えた100mL容積の3口フラスコにエタノール30mL、ナトリウムエチラート20wt%エタノール溶液11g、ジエチル2-メチルマロネート5.2g、1,3-ジメチルウレア2.6gを仕込み還流温度にて6時間反応させた。反応終了後、エバポレーターにてエタノールを留去し、分液ロートに移した。その分液ロートに蒸留水100mLおよび酢酸エチル200mLを加え十分に振とうした後、有機相を分離した。有機相は更に100mLの蒸留水で3回洗浄した。その後、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥終了後、酢酸エチル/ヘキサンを展開溶媒としてカラム分離し溶媒を留去した。得られたバルビツール酸誘導体である[1,3,5-トリメチルピリミジン-2,4,6-トリオン]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0116】
[比較例10]
攪拌機および還流冷却器を備えた100mL容積の3口フラスコにエタノール30mL、ナトリウムエチラート20wt%エタノール溶液11g、ジエチル2-エチルマロネート5.7g、1-シクロヘキシルウレア4.3gを仕込み還流温度にて6時間反応させた。反応終了後、エバポレーターにてエタノールを留去し、分液ロートに移した。その分液ロートに蒸留水100mLおよび酢酸エチル200mLを加え十分に振とうした後、有機相を分離した。有機相は更に100mLの蒸留水で3回洗浄した。その後、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥終了後、酢酸エチル/ヘキサンを展開溶媒としてカラム分離し溶媒を留去した。得られたバルビツール酸誘導体である[1-シクロヘキシル-5-エチルピリミジン-2,4,6-トリオン]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0117】
[比較例11]
攪拌機および還流冷却器を備えた100mL容積の3口フラスコにベンゼン30mL、ナトリウムエチラート20wt%ベンゼン溶液11g、ジエチル2-フェニルマロネート7.1g、1-ベンジルウレア4.5gを仕込み還流温度にて6時間反応させた。反応終了後、エバポレーターにてベンゼンを留去し、分液ロートに移した。その分液ロートに蒸留水100mLおよび酢酸エチル200mLを加え十分に振とうした後、有機相を分離した。有機相は更に100mLの蒸留水で3回洗浄した。その後、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥終了後、酢酸エチル/ヘキサンを展開溶媒としてカラム分離し溶媒を留去した。得られたバルビツール酸誘導体である[1-ベンジル-5-フェニルピリミジン-2,4,6-トリオン]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0118】
[比較例12]
攪拌機および還流冷却器を備えた100mL容積の3口フラスコにエタノール30mL、ナトリウムエチラート20wt%エタノール溶液11g、ジエチル2-プロピルマロネート6.1g、1-シクロヘキシルウレア4.3gを仕込み還流温度にて6時間反応させた。反応終了後、エバポレーターにてエタノールを留去し、分液ロートに移した。その分液ロートに蒸留水100mLおよび酢酸エチル200mLを加え十分に振とうした後、有機相を分離した。有機相は更に100mLの蒸留水で3回洗浄した。その後、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥終了後、酢酸エチル/ヘキサンを展開溶媒としてカラム分離し溶媒を留去した。得られたバルビツール酸誘導体である[1-シクロヘキシル-5-プロピルピリミジン-2,4,6-トリオン]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0119】
[比較例13]
攪拌機および還流冷却器を備えた100mL容積の3口フラスコにエタノール30mL、ナトリウムエチラート20wt%エタノール溶液11g、ジエチル2-ブチルマロネート6.5g、ウレア1.8gを仕込み還流温度にて6時間反応させた。反応終了後、エバポレーターにてエタノールを留去し、分液ロートに移した。その分液ロートに蒸留水100mLおよび酢酸エチル200mLを加え十分に振とうした後、有機相を分離した。有機相は更に100mLの蒸留水で3回洗浄した。その後、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムにて乾燥した。乾燥終了後、酢酸エチル/ヘキサンを展開溶媒としてカラム分離し溶媒を留去した。得られたバルビツール酸誘導体である[2-ブチルピリミジン-2,4,6-トリオン]を活性維持率試験及び硬化試験に供した。
【0120】
[比較例14]〜[比較例26]
上記比較例1〜13でそれぞれ合成した各バルビツール酸誘導体を、次のようにして粒子にそれぞれ吸着させてバルビツール酸誘導体吸着型粒子をそれぞれ調製して比較例14〜比較例26とした。
【0121】
これら比較例14〜26では、上記比較例1〜13でそれぞれ合成したバルビツール酸誘導体10mmolとシリガゲルであるワコーシルC-300(和光純薬工業株式会社製)10gを耐圧ガラス工業株式会社製6枚ディスクタービン付超臨界反応装置(TSC-WC-0096)に充填し、攪拌下にて液化二酸化炭素により超臨界状態にした。超臨界状態を24時間維持させた後に二酸化炭素ガスを除去しシリカゲル粒子にバルビツール酸誘導体が含浸したバルビツール酸誘導体吸着型粒子を調整した。得られたバルビツール酸誘導体吸着型粒子を、活性維持率試験、硬化試験及びソックスレー抽出試験に供した。
【0122】
次に、バルビツール酸誘導体結合率、活性維持率試験及び硬化試験について説明する。
【0123】
(バルビツール酸誘導体結合率)
上記各実施例1〜119で得られた複合粒子におけるバルビツール酸誘導体の粒子に対する結合率を、バルビツール酸誘導体結合率として次のようにして評価した。
【0124】
バルビツール酸は、塩基と等モルで反応するので、各実施例で得られた複合粒子約0.5gを1mg精度にて精秤し、蒸留水10mlに分散した。この分散液を10mmol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にてブロモチモールブルーを指示薬として酸塩基滴定分析し、複合粒子1g当たりのバルビツール酸の濃度(mmol/g)を算出した。なお、高分子を粒子として用いた場合には、蒸留水に極微量のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを添加しバルビツール酸誘導体結合粒子を分散させた。
【0125】
(活性維持率試験)
上記各実施例1〜119で得られた複合粒子、上記各比較例1〜13のバルビツール酸誘導体、及び、上記各比較例14〜26のバルビツール酸誘導体吸着型粒子を、23℃-100%RTの環境下に2週間放置した後のバルビツール酸誘導体の活性度(維持率)を、強制放置後の活性維持率として、次のようにして算出した。
【0126】
すなわち、23℃-100%RTの環境下に2週間放置した後のバルビツール酸誘導体結合率を、上述のバルビツール酸誘導体結合率と同様に酸塩基滴定によって算出し、当初のバルビツール酸誘導体結合率を100%としてその割合を算出した。
【0127】
(即時重合レジン調製直後の硬化時間)
上記実施例1〜119の複合粒子および比較例1〜26にて合成したバルビツール酸誘導体およびバルビツール酸誘導体吸着型粒子を、上述の高分子粒子1であるポリメチルメタクリレート粒子に1g当たりバルビツール酸誘導体が0.1mmol含有となるように即時重合レジン粉末を調製する。
【0128】
この即重合レジン粉末と、即時重合レジン液剤としての、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド0.05wt%,銅(II)アセチルアセトナート錯体100ppmを含有するメチルメタクリレートモノマーとを混和させ、硬化試験を行った。なお、硬化試験は、調合した即時重合レジン粉末1.0gに対して、即時重合レジン液剤0.5mLを20秒混合し、混合開始から1分後に37℃−100%RTの環境下に移し、直径1.0mm-質量100gのビカー針の痕跡が付かなく時点を硬化時間とした。
【0129】
(即時重合レジン強制放置後の硬化時間)
さらに、この硬化試験を、即時重合レジン粉末を23℃-100%RTの環境下に2週間放置した試料について行い、粉末に含有されるバルビツール酸誘導体の湿度による劣化度合いの目安とした。
【0130】
以上の各試験結果を、下記表1〜8に示す。
【0131】
【表1】

【0132】
【表2】

【0133】
【表3】

【0134】
【表4】

【0135】
【表5】

【0136】
【表6】

【0137】
【表7】

【0138】
【表8】

【0139】
表1〜表7に示す実施例1〜119は、強制放置後の活性維持率が、後述の実施例3,20,37,54,71,88,105を除いて、90%以上であるのに対して、表8に示す比較例1〜26は、強制放置後の活性維持率が、約20%以下となっている。
【0140】
また、表1〜表8に示すように、即時重合レジンの調製直後の硬化時間が、実施例1〜119および比較例1〜26では、いずれも300秒前後であるのに対して、強制放置後の即時重合レジンの硬化時間は、表1〜表7に示される実施例1〜119は、調製直後に比べてあまり変化がないが、表8に示される比較例1〜26では、その半数以上で硬化が認められず、その他の比較例においても、調製直後に比べて硬化時間が、約2倍以上と大幅に延びている。
【0141】
これは、実施例1〜119の複合粒子では、バルビツール酸誘導体が結晶として存在せず、分子レベルで化学的に粒子に結合しており、その化学的構造によって、湿度の影響を受けにくく、分子間の二量化による失活が抑制されている。これに対して、比較例1〜13では、バルビツール酸誘導体がマクロな結晶として存在し、また、比較例4〜26では、シリカゲル細孔にミクロな結晶として存在しているが、分子レベルではマクロな結晶と差異はなく、いずれも湿度の影響を受けて連鎖的に二量化し失活したためである。
【0142】
実施例3,20,37,54,71,88,105は、いずれも4-(トリメトキシシリル)ブタナールの添加量を増やして粒子表面へのバルビツール酸誘導体の導入の割合を高めたものである。したがって、表1〜表7に示すように、
実施例3,20,37,54,71,88,105のバルビツール酸誘導体の結合率は、他の実施例に比べて高くなっている。
【0143】
このように粒子に対するバルビツール酸誘導体の結合率を高めた実施例3,20,37,54,71,88,105では、バルビツール酸誘導体が近接することによって、隣合うバルビツール酸誘導体同士が二量化する確率が高まることになる。このようにバルビツール酸誘導体が二量化可能な分子間距離にある実施例3,20,37,54,71,88,105では、表1〜表7に示すように、強制放置後の活性維持率が40%あるいは50%前後となっており、90%以上である他の実施例に比べて低くなっており、湿度の影響を受けて若干の失活を示した。
【0144】
次に、ソックスレー抽出試験およびガスクロマトグラフ質量分析について説明する。
【0145】
(ソックスレー抽出試験およびガスクロマトグラフ質量分析)
バルビツール酸誘導体の粒子に対する化学的結合性を評価する目的で実施例1〜119および比較例14〜26で調製した粒子を、メタノールを抽出溶媒としてソックスレー抽出を行った。すなわち、実施例1〜119および比較例14〜26で調製した粒子を約1gソックスレー抽出円筒ろ紙に計量し、有効容積100mLのソックスレー抽出器にてメタノール還流温度で24時間の抽出を行った。抽出操作終了後、ソックスレー抽出円筒ろ紙ごと真空乾燥を行った。得られたろ紙上の乾燥試料を、以下の分析装置および測定条件で質量分析を行いバルビツール酸誘導体骨格であるバルビツール酸の有無を調べた。測定結果を表9に示す。
【0146】
GC‐MS測定(測定条件)
ガスクロマトグラフ質量分析計:GCMS-QP2010Plus (島津製作所製),使用カラム:Rtx-5 (Restek U.S 社製, 5%diphenyl-95%dimethyl polysiloxane, 30m_0.25mmID, 0.25μmdf),カラムオーブン温度:80℃,気化温度(キューリーポイントパイロライザー使用):600℃,オーブン温度プログラム:80_350℃, Rate 10℃/min,MS イオン源種:EI,イオン源温度:200℃
【0147】
【表9】

【0148】
ソックスレー抽出試験では、表9に示すように実施例1〜119は抽出操作後もバルビツール酸由来のm/z=128のフラグメントが観察された。これはバルビツール酸誘導体が粒子に化学的に結合していることを示し、単なるソックスレー抽出操作では結合が切れないことを示唆している。
【0149】
これに対して比較例14〜26のバルビツール酸誘導体吸着型粒子ではソックスレー抽出操作で完全にバルビツール酸誘導体とシリカゲルに分離し、環境の影響を大きく受けることが示唆された。従って、バルビツール酸誘導体が粒子に化学的に結合した本発明の複合粒子は、歯科や整形外科用の重合開始剤(重合触媒)などとして十分な安定性を示すことが確認された。
【0150】
これによって、従来例のように、製造工程が煩雑であるマイクロカプセル化や過剰な包装をすることなく、また、バルビツール酸誘導体に疎水基を結合させることなく、湿度の影響を受けない安定なバルビツール酸誘導体を提供することができ、特に、歯科や整形外科用の重合開始剤などとして有用である。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の複合粒子は、重合開始剤、歯科や整形外科用材料などとして有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルビツール酸誘導体が粒子表面に化学的に結合していることを特徴とする複合粒子。
【請求項2】
前記粒子が、無機粒子である、
請求項1に記載の複合粒子。
【請求項3】
前記粒子が、高分子粒子である、
請求項1に記載の複合粒子。
【請求項4】
前記無機粒子が、二酸化珪素、酸化アルミニウム、および、フルオロアルミノシリケートガラスのうちの少なくとも1種である、
請求項2に記載の複合粒子。
【請求項5】
前記高分子粒子が、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、および、ポリメチルメタクリレートとポリエチルメタクリレートの共重合体のうちの少なくとも1種である、
請求項3に記載の複合粒子。
【請求項6】
前記バルビツール酸誘導体の5位の炭素にメチレン鎖が結合し、該メチレン鎖を介して前記粒子表面に化学的に結合している、
請求項1ないし5のいずれかに記載の複合粒子。
【請求項7】
前記バルビツール酸誘導体が、下記一般式(I)
【化1】

[式(I)中、1位の窒素に結合するR1は、水素原子またはメチル基を表し、3位の窒素に結合するR2は、水素原子、メチル基、シクロヘキシル基またはベンジル基のいずれかを表し、5位の炭素に結合するR3は、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ターシャリ−ブチレン基のいずれかを表す。]
で表されると共に、前記R3を介して前記粒子表面に化学的に結合している
請求項1ないし6のいずれかに記載の複合粒子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−95689(P2013−95689A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239050(P2011−239050)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(390011143)株式会社松風 (125)
【Fターム(参考)】