複合糸及びそれを備えた布地
【課題】本発明は、アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグを担持するとともに布帛を製造する際に必要となる伸縮性、熱収縮性、屈曲追従性及び耐久性を備えた複合糸を提供することを目的とするものである。
【解決手段】アンテナ素子であるアンテナ回路22が形成された可撓性を有する短冊形の基体21の片面にICチップ20が搭載された無線IDタグ2対して、メッシュ状の布地からなるテープ状布材3がICチップ20の搭載面に接着固定されている。テープ状布材3は、網目の結節部位において点接着により固定されており、多数の接着箇所が離散的に分布するようになっている。基体21は、ICチップ20を覆うように配置され、糸長方向の両端部は延設されてテープ状布材3に接着固定されている。
【解決手段】アンテナ素子であるアンテナ回路22が形成された可撓性を有する短冊形の基体21の片面にICチップ20が搭載された無線IDタグ2対して、メッシュ状の布地からなるテープ状布材3がICチップ20の搭載面に接着固定されている。テープ状布材3は、網目の結節部位において点接着により固定されており、多数の接着箇所が離散的に分布するようになっている。基体21は、ICチップ20を覆うように配置され、糸長方向の両端部は延設されてテープ状布材3に接着固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線IDタグ等の電子部品を担持する複合糸及びそれを備えた布地に関する。
【背景技術】
【0002】
近年RFID等の無線IDタグの小型化が進み、無線IDタグを様々な移動体に取り付けて識別するシステムが開発されている。無線IDタグは、アンテナ回路が形成された基体上にICチップが搭載されており、外部の読取装置との間でアンテナを介して非接触で送受信を行い、ICチップ内に記憶された識別情報等の情報を交信することができる。
【0003】
無線IDタグの小型化により移動体に対する取付位置の制約が少なくなり、例えば人間に取り付ける場合でも衣服、身の回り品、所持品といった既存の身に付ける物に無線IDタグを取り付けて人間の識別や位置認識が可能となっている。
【0004】
例えば、特許文献1では、送受信アンテナ基板と無線通信用ICチップを備えたインレットを縫合又は接着剤により織布又は紙からなる基材に固定したICタグが記載されており、こうしたICタグを衣服やタオルといった布製品に縫い付けたり、接着剤により貼り付ける点が記載されている。
【0005】
このように無線IDタグを衣服等の既存の物品に取り付けることを想定して複数の無線IDタグを担持する糸が提案されている。例えば、特許文献2では、ICタグの表裏をポリエステルフィルムで覆った箔糸や糸状フィルムにICチップを接着した芯糸にカバーリング加工を施した複合糸を用いて織物を製造する点が記載されている。また、特許文献3では、長繊維糸を組紐状に組み合わせて内部に電子部品を内蔵した複合糸が記載されている。また、特許文献4では、片面に半導体チップが接着された紙テープを撚糸した紙糸を用いて織物又は編物を製造する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−018487号公報
【特許文献2】特開2005−226165号公報
【特許文献3】国際公開第2006/123133号
【特許文献4】特開2005−154984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているように、インレットを1つ1つ布製品等の物品に取り付ける方法は、生産効率を考えた場合好ましい方法ではない。特に、布製品等の物品に対して複数のインレットを取り付ける場合には、予め複数のインレットを担持する糸を用いて物品の製造段階で取り付ける方法が生産効率上好ましい。
【0008】
特許文献2及び4に記載されているように、糸状フィルムや紙テープにICチップ等を接着した複合糸を使用して織物等の物品を製造する方法は、生産効率の面からみると実用的であるが、こうした複合糸を合成繊維等からなる地糸とともに製織・製編する場合に伸長性、熱収縮性といった糸の特性の違いによりICチップの破損が生じやすい。例えば、製織中の張力により複合糸が引き伸ばされて切断されたり、地糸の収縮に対応できずに織物の内部で複合糸が撓む現象が生じる。また、製織の際に複合糸を経糸に用いた場合筬打ち等の衝撃が接着されたICチップに加わって剥離しやすくなるといった課題がある。
【0009】
また、製造された織物を湾曲したり折り曲げたりする場合に、ICチップがフィルムに接着されているので、ICチップに応力負荷がかかりやすくなり、ICチップが破損したり剥離したりするといった問題がある。
【0010】
また、特許文献3に記載されているように電子部品を内蔵する場合、電子部品が内部で動きやすくなって一定の配置状態に固定しにくく、インレットのようにアンテナ回路を有する短冊状の部品を内蔵することは難しいといった制約がある。
【0011】
そこで、本発明は、アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグを担持するとともに布帛を製造する際に必要となる伸縮性、熱収縮性、屈曲追従性及び耐久性を備えた複合糸を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る複合糸は、アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグと、伸縮性を有する繊維材料からなるとともに少なくとも片面において複数の前記無線IDタグを糸長方向に所定間隔を空けて接着固定するテープ状布材とを備え、前記無線IDタグには、糸長方向の端部がテープ状に延設されて前記テープ状布材に接着固定されるとともに前記テープ状布材とは反対側から少なくとも前記ICチップを覆う被覆部材が設けられていることを特徴とする。さらに、前記被覆部材は、前記アンテナ素子が形成されるとともに片面に前記ICチップが搭載される可撓性を有する短冊形の基体であり、前記テープ状布材は、前記基体に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所が離散的に分布しており、前記無線IDタグの前記ICチップを搭載した面は、前記テープ状布材の前記接着箇所が形成された面に接着固定されていることを特徴とする。さらに、前記無線IDタグは、ループ状に形成された前記アンテナ素子の内側に前記ICチップが配置されており、前記被覆部材は、前記アンテナ素子の糸長方向の両端部を覆うように接着固定されていることを特徴とする。さらに、前記テープ状布材は、空隙率が3%〜80%のメッシュ状布地からなり、網目の結節部位において前記被覆部材と接着していることを特徴とする。さらに、前記テープ状布材は、表面が凹凸形状に形成されており、形成された多数の凸状部分で前記被覆部材と接着していることを特徴とする。さらに、前記テープ状布材は、織物、編物もしくは不織布のいずれか、又はこれらを組み合わせて構成されていることを特徴とする。さらに、前記テープ状布材は、糸長方向の弾性範囲の伸長性が0.1〜10%であることを特徴とする。さらに、前記無線IDタグの前記テープ状布材に対する剥離強度は300mN/mm以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る複合糸は、上記のような構成を有することで、アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグを糸長方向に所定間隔を空けて伸縮性を有するテープ状布材に接着固定しているので、複合糸が糸長方向に伸縮される場合には、テープ状布材の無線IDタグの間の部分が主に伸縮して無線IDタグへの影響を抑えることができる。
【0014】
また、無線IDタグには、糸長方向の端部がテープ状に延設されてテープ状布材に接着固定されるとともにテープ状布材とは反対側から少なくともICチップを覆う被覆部材が設けられているので、ICチップが被覆部材により保護されるとともに最も剥離しやすい糸長方向の端部において被覆部材がテープ状に延設されてテープ状布材に接着固定され、剥離しにくい構造となっている。特に、製織時の筬打ちの場合に無線IDタグに対して衝撃が加わるが、被覆部材がテープ状布材と接着固定されているので、無線IDタグが剥離することなく製織することができる。
【0015】
また、無線IDタグのICチップが被覆部材により覆われて被覆部材とテープ状布材との間に配置されて保護されるようになる。そのため、布帛を製造する際に複合糸を給糸する場合、複合糸を他の糸と同様に張力を加えながら繰り出しガイドローラ等に巻き付けても、無線IDタグに与える影響を抑えながら複合糸を伸縮及び屈曲追従させて対応することができる。
【0016】
また、製造された布帛の状態において、他の糸が収縮するのに対応して複合糸も収縮することができ、熱により布帛が収縮した場合にもそれに対応して収縮して無線IDタグに対する影響を抑えることが可能となる。
【0017】
そして、被覆部材を、アンテナ素子が形成されるとともに片面にICチップが搭載される可撓性を有する短冊形の基体とし、テープ状布材には、基体に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所を離散的に分布させることで、テープ状布材において無線IDタグと重なり合う領域に非接着部分が存在するようになり、複合糸が湾曲変形の際に無線IDタグとテープ状布材との間が互いにずれるような負荷が加わっても非接着部分が変形してその負荷を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第一実施形態に関する概略平面図である。
【図2】複合糸に関する糸長方向に沿った一部拡大断面図である。
【図3】複合糸を無線IDタグの接着面とは反対側からみた一部拡大底面図である。
【図4】複合糸を無線IDタグの接着面からみた一部拡大平面図である。
【図5】複合糸の無線IDタグの接着部分の一部拡大斜視図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】本発明に係る複合糸製造工程に関する説明図である。
【図8】本発明に係る第二実施形態に関する一部拡大斜視図である。
【図9】本発明に係る第二実施形態に関する糸長方向に沿う断面図である。
【図10】本発明に係る第二実施形態に関する分解斜視図である。
【図11】第二実施形態の変形例に関する一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明に係る第一実施形態に関する概略平面図である。複合糸1は、短冊状の無線IDタグ2が細幅のテープ状布材3の片面に複数配置されて接着固定されている。複数の無線IDタグ2は、糸長方向に所定間隔を空けてテープ状布材3の片面に配列されている。無線IDタグ2の幅はテープ状布材3の幅よりもわずかに狭く形成されており、テープ状布材3の幅方向のほぼ中央部に位置決めされて接着固定されている。
【0021】
図2は複合糸1に関する糸長方向に沿った一部拡大断面図であり、図3は複合糸1を無線IDタグ2の接着面とは反対側からみた一部拡大底面図であり、図4は複合糸1を無線IDタグの接着面からみた一部拡大平面図である。
【0022】
無線IDタグ2は、アンテナ素子であるアンテナ回路22が形成された可撓性を有する短冊形の基体21の片面の中央位置にICチップ20が搭載されており、ICチップ20の搭載面がテープ状布材3に対向して接着されている。被覆部材として機能する基体21は、テープ状布材3とは反対側からICチップ20を覆うようになり、その糸長方向の両端部は、テープ状に延設されてテープ状布材3に接着固定されている。無線IDタグとしては、例えば、RFIDインレットが挙げられる。RFIDインレットは、電波方式(UHF帯、マイクロ波帯)、電磁誘導方式(13.56MHz)のものがあり、いずれも使用可能である。
【0023】
ICチップ20は、公知の無線通信用ICであり、折り曲げや圧縮に対する強度を保つために、ICチップの大きさは、1mm×1mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5mm×0.5mm以下とするとよい。ICチップ20は、基体21の表面に形成されたアンテナ回路22に異方導電性接着剤、ハンダ等により実装されて電気的に接続されている。
【0024】
基体21は、樹脂材料、繊維材料及び紙といった可撓性を有する材料から形成される。樹脂材料としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、シリコーンゴム、及びこれらの樹脂材料のうち複数種類を混合したものが挙げられる。繊維材料については、絹、麻及び毛等の天然繊維、ポリエステル、アセテート、レーヨン、ナイロンおよびガラス等の半合成繊維又は合成繊維、これらの繊維を複数種類混合した複合繊維からなる布帛(織地、編地、不織布を含む)が挙げられる。
【0025】
基体21に用いる材料としては、特に限定されるものではないが、フィルム加工性が良好であり、フィルムの形状で柔軟性と強度を併せ持つポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂もしくは耐熱性に優れるポリイミド樹脂が好ましい。
【0026】
アンテナ回路22は、基体21の表面に、例えば、アルミニウム箔にエッチング加工を施すことによって形成することが可能であるが、こうした形成方法以外にも公知の形成方法を使用してもよい。アンテナの長さは、通信距離やタグの大きさに応じて適宜設定することが可能である。
【0027】
無線IDタグ2は、厚さが1mm以下で幅が10mm以下とすることが好ましい。厚さが1mmを超えると、複合糸として構成した場合に布地を製造する際の屈曲性追従性が悪くなる。また、幅が10mmを超えると通常の布地の生産工程では取り扱いが困難であり、また捻れ等の対策にも特殊な装置が必要となるため、生産性及び汎用性の面から好ましくない。
【0028】
テープ状布材3は、織物、編物、不織布等の伸縮性を有する繊維材料からなる布材を細幅状に形成したものであり、導電性が低く設定されている。例えば、誘電率が5.0以下であることが好ましい。テープ状布材3は、例えば、幅広に製造された布材をスリット状に切断してテープ状に作成することができる。厚さは1mm以下で幅が10mm以下とすることが好ましい。厚さが1mmを超えると、複合糸として構成した場合に布地を製造する場合の屈曲追従性が悪くなる。また、幅が10mmを超えると通常の布地の生産工程では取り扱いが困難であり、また捻れ等の対策にも特殊な装置が必要となるため、生産性及び汎用性の面から好ましくない。
【0029】
テープ状布材3に用いる繊維材料としては、具体的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)又はPBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル系繊維、ナイロン(ポリアミド繊維)、アラミド(芳香族ポリアミド繊維)、ポリプロピレン又はポリエチレン等のポリオレフィン系繊維、アクリル等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の化学繊維、綿、麻、ウール又は絹等の天然繊維、ガラス、シリカ又はセラミック等の無機繊維が挙げられる。また、これらの繊維を複数種類混合した複合繊維を用いてもよい。
【0030】
テープ状布材3は、無線IDタグ2の基体21が接着する面において点接着又は線接着可能な多数の接着箇所が離散的に分布するように形成されている。織物、編物及び不織布は、空隙率が3%〜80%のメッシュ状布地とすることで、網目の結節部位が基体21に対する接着箇所となる。また、空隙率の低い織物、編物及び不織布に打ち抜き加工等の処理によりメッシュ形状に形成したり、エンボス加工等により布材に凹凸を形成することで、基体21に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所を離散的に分布させることができる。
【0031】
このように接着箇所を離散的に分布させることで、テープ状布材の無線IDタグに重なり合う領域において非接着部分が離散的に存在するようになり、複合糸1が湾曲変形の際に無線IDタグ2とテープ状布材3との間がずれるような負荷が加わっても非接触部分が変形してその負荷を吸収することができる。
【0032】
テープ状布材3には、糸長方向に間隔を空けて無線IDタグ2が配列されており、間隔を空けることで、無線IDタグ2の間のテープ状布材3の部分が伸縮するようになり、複合糸1を布地の製造工程に用いる場合に必要な伸縮性を確保することができる。具体的には、糸長方向の弾性範囲の伸長性が0.1〜10%の範囲内であることが好ましい。これは、一般的な布地の製造工程において、異なる伸長性の糸を同時に製造することは非常に困難であるが、糸長方向の弾性範囲の伸長性が0.1〜10%の範囲内であれば張力を加えられたり湾曲したりしても十分耐えることができるからである。また、布地に仕上げられた場合に他の糸とともに縮むようになるため、布地の中で撓んだ状態となることもない。
【0033】
無線IDタグ2をテープ状布材3に接着固定する接着剤又は粘着剤としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、ゴム系及びアクリル系の接着剤、又は、ゴム系、アクリル系、シリコーン系及びビニル系の粘着剤を用いることができる。接着方法としては、ホットメルト接着剤等の熱可塑性接着剤を用いた加熱加圧による接着、熱硬化性接着剤を用いた加熱硬化による接着、感圧型粘着剤を用いた常温加圧による接着、反応型接着剤を用いた化学反応による接着といった方法がある。
【0034】
テープ状布材3に対する無線IDタグ2の剥離強度は、できるだけ高いことが好ましい。具体的には、複合糸1を用いて布地を製造する場合は、剥離強度が低いと製造工程で無線IDタグが剥離し無線IDタグが破損するため、テープ状布材3に対する無線IDタグ2の剥離強度(JIS L1066準拠)を300mN/mm以上とすることが好ましい。
【0035】
図1に示す複合糸1は、テープ状布材3として経糸及び緯糸を所定間隔を空けて織成した網地を用いており、図5はその一部拡大斜視図であり、図6は図5のA−A断面図である。テープ状布材3は、網地で形成されているため、網目の各結節部位4に接着剤が付与されて無線IDタグ2の基体21に点接着している。ICチップ20に対してもテープ状布材3が点接着により接着するようになる。
【0036】
そのため、複合糸1が無線IDタグ2側に湾曲した場合に、テープ状布材3は無線IDタグ2に対して伸長するように変形するが、接着箇所の結節部位以外の経糸及び緯糸の部分が接着されていないため、その非接着部分が伸長してICチップ20及び基体21に対する負荷を抑えることができる。また、複合糸1がテープ状布材3側に湾曲した場合に、テープ状布材3は無線IDタグ2に対して収縮するように変形するが、経糸及び緯糸に非接着部分が撓むように縮んでICチップ20及び基体21とともに無理なく湾曲変形することができる。
【0037】
また、ICチップ20を基体21及びテープ状布材3で挟持するように保護されているため、複合糸1を用いて布地を製造する場合にICチップ20が剥がれ落ちることが防止される。
【0038】
図7は、複合糸1を製造する工程に関する説明図である。この例では、網地を細幅にスリットされたテープ状布材3を巻き付けた繰出しロール10からテープ状布材3を繰り出して供給し、塗布ローラ11に対してナイフコータ12により供給された接着剤をテープ状布材3の片面に付与していく。この場合、テープ状布材3は、網地で形成されているため塗布ローラ11により結節部位に点状に接着剤が塗布されるようになる。
【0039】
一方、無線IDタグ2は、例えばRFIDインレットが幅方向に多数連接されて巻き付けられた繰出しロール13から繰り出して供給され、1個ずつ分離されていく。分離されたRFIDインレットは、ICチップを搭載した面を下側にした状態でプレス装置を兼ねた搬入アーム14の底面に吸引保持され、テープ状布材3の接着剤を塗布した上面に位置決め配置される。そして、配置されたRFIDインレットをプレス装置により加圧して接着固定する。こうして所定間隔を空けてRFIDインレットを順次配列してテープ状布材3に接着固定し、複合糸1を製造する。
【0040】
製造された複合糸1は、伸縮性及び屈曲性を有しているため、ビーム等に巻き付けて保管するようにしても問題ない。また、ICチップが露出していないため、巻き付ける際にICチップが引っ掛かって破損することはなく、通常の糸と同様に取り扱うことができる。また、複合糸1を経糸に用いて織物を製造する場合、筬打ち動作の際に筬が無線IDタグに衝突するが、基体の糸長方向の端部がテープ状布材に接着固定されているので、剥離することなく織成することができる。
【0041】
上述したように、テープ状布材に張力を与えながら製造する場合には、テープ状布材の伸縮性が高いと、製造後に無線IDタグにシワがよるといった問題が生じるため、適度の伸縮性が必要で、具体的には10cNの力で引っ張った状態で伸縮伸長率が0.5%以下であることが望ましい。また、テープ状布材に張力が付与された状態で接着する際に100〜150℃に加熱される場合には、接着後に張力が緩和されても接着時の形態安定性がテープ状布材に求められる。この場合、沸水(100℃、30分間)による熱収縮が10%以内であることが望ましい。
【0042】
なお、上述した例では、無線IDタグ2をテープ状布材3の片面に接着固定しているが、両面に無線IDタグ2を配置して固定するようにしてもよい。また、図7ではテープ状布材3の片面に接着剤を付与してRFIDインレットを加圧して接着固定しているが、RFIDインレットの片面に接着剤を付与してテープ状布材3の特定位置にRFIDインレットを加圧して接着固定してもよい。
【0043】
本発明に係る複合糸は、通常の糸と同様に使用して公知の製造方法により布地を製造することができる。複合糸を用いた布地としては、経糸、緯糸の一方もしくは両方に複合糸を用いた織物、編糸、挿入糸の一方もしくは両方に複合糸を用いた編物など、複合糸を布地の表面もしくは内部に含む形で構成してもよい。また、地組織となる布地の表面にコーティング加工又はラミネート加工等の高次加工の時に複合糸を布地表面に固定して一体化したり、地組織となる布地表面に縫製で複合糸を固定したり、複数の布地を積層して製造する際に表面もしくは層間に複合糸を配置して製造するようにしてもよく、本発明に係る複合糸にダメージを与えないように製造可能な布地であれば複合糸を使用することができる。
【0044】
以上説明した実施形態では、次の発明についても開示している。
アンテナ回路が形成された可撓性を有する短冊形の基体の片面にICチップが搭載された無線IDタグと、伸縮性を有する繊維材料からなるとともに少なくとも片面において前記基体に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所が離散的に分布するテープ状布材とを備え、前記無線IDタグは、糸長方向に所定間隔を空けて複数配列されているとともに前記ICチップを搭載した面が前記テープ状布材の前記接着箇所が形成された面に接着固定されていることを特徴とする複合糸。
【0045】
図8から図10は、本発明に係る第二実施形態に関する一部拡大斜視図、糸長方向に沿う断面図及び分解斜視図である。
【0046】
この例では、伸縮性を有する繊維材料からなるテープ状布材5に所定間隔を空けて無線IDタグ6が配置されて接着固定されている。無線IDタグ6は、金属線をループ状に巻回して形成されたアンテナ素子61及びアンテナ素子61の内側に配置されてアンテナ素子61に接続されたICチップ60を備えており、無線IDタグ6に対してテープ状布材5とは反対側からICチップ60及びアンテナ素子61を被覆するように短冊状の被覆部材7が設けられている。被覆部材7は、糸長方向の両端部がテープ状に延設されてテープ状布材5に接着固定されている。
【0047】
テープ状布材5としては、上述した第一実施形態におけるテープ状布材3と同様のものを用いればよい。また、無線IDタグ6をテープ状布材5に固定するための接着剤についても、第一実施形態における無線IDタグ2を固定するための接着剤と同様のものを用いることができる。被覆部材7は、テープ状布材5と同様の伸縮性を有する繊維材料を用いることが好ましい。
【0048】
複合糸を製造する場合には、図10に示すように、テープ状布材5の片面に接着剤を塗布して接着領域8を形成し、接着領域8にICチップ60が接続されたアンテナ素子61を配置して接着固定する。この場合、アンテナ素子61は接着固定されるが、ICチップ60は接着領域8から離間して非接着状態とされてもよい。そして、接着固定されたアンテナ素子61を覆うように短冊状の被覆部材7を載置して、糸長方向の両端部を接着領域8に密着させて接着固定する。
【0049】
製造された複合糸は、伸縮性及び屈曲性を有しているため、ビーム等に巻き付けて保管するようにしても問題ない。また、ICチップはテープ状布材及び被覆部材に挟持されるように配置されて露出していないため、巻き付ける際にICチップが引っ掛かって破損することはなく、通常の糸と同様に取り扱うことができる。また、複合糸を経糸に用いて織物を製造する場合、筬打ち動作の際に緯糸が無線IDタグに衝突するが、被覆部材の糸長方向の端部がテープ状布材に接着固定されているので、剥離及び破損することなく織成することができる。
【0050】
図11は、第二実施形態の変形例に関する一部拡大斜視図である。この例では、一対の被覆部材7’により無線IDタグ6のアンテナ素子の両端部及びICチップを覆うように配置し、被覆部材7’の糸長方向の一方の端部が延設されてテープ状布材5に接着固定されている。そして、被覆部材7’とアンテナ素子との間は接着剤により固定されている。
【0051】
このように被覆部材7’をアンテナ素子の両端部に配置して接着固定する場合でも、布帛を製造する際に必要な伸縮性、熱収縮性、屈曲追従性及び耐久性を備えることができる。
【0052】
なお、以上説明した例では、テープ状布材に接着剤を用いて無線IDタグ及び被覆部材を固定するようにしているが、テープ状布材を構成する繊維の全部もしくは一部に熱融着糸又は熱融着繊維を使用して、熱融着により固定するようにしてもよい。熱融着糸又は熱融着繊維としては、低融点ポリエステル、低融点ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の低融点の繊維素材からなるものが挙げられるが、繊維素材の表面だけが低融点の樹脂材料で構成されていてもよい。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
熱融着成分を表面に配したポリエステル芯鞘構造糸(KBセーレン株式会社製;製品名ベルカップル、25dtex/1f)を経糸及び緯糸に使用したメッシュ状織物(0.2mm×0.2mmの空隙で空隙率53%、弾性範囲の伸長性〜2%)をスリット加工した幅3mm、厚み0.11mmのテープ状布材の片面にホットメルト接着剤(東亜合成株式会社製;PES−111EE)を塗布し、2.45GHz帯のRFIDインレット(日立化成工業株式会社製;HCM102A30A(ミューチップインレット)、厚さ0.16mm、幅2.5mm、長さ54mm)を10cm間隔で配置して110℃で2回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.28mmで幅3mmの複合糸を製造した。
【0054】
製造した複合糸のRFIDインレットの剥離強度は、JIS L1066に準拠して、オートグラフ1kNG(株式会社島津製作所製)にて剥離試験を行い、剥離強度(凹凸部の平均強度,測定5回の平均)にて求めた。測定結果は571mN/mmであった。
【0055】
(実施例2)
実施例1と同様のテープ状布材、RFIDインレット及び接着剤を用い、テープ状布材に10cm間隔でRFIDインレットを配置し、130℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.28mmで幅3mmの複合糸を製造した。実施例1と同様の剥離試験を行ったところ、RFIDインレットの剥離前にRFIDインレット又はテープ状布材が破断した。この結果からみると、実施例2の複合糸は、実施例1以上の剥離強度がある。
【0056】
(実施例3)
不織布(平均空隙率5%、弾性範囲の伸長性〜2.5%、平均最大点試験力1680mN/mm)をスリット加工した幅3mm、厚み0.08mmのテープ状布材の片面にホットメルト接着剤(東亜合成株式会社製;PES−111EE)を塗布し、UHF帯のRFIDインレット(日立化成工業株式会社製;UHF−TX、厚さ0.14mm、幅2.2mm、長さ61mm)を50cm間隔で配置して、130℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.22mmで幅3mmの複合糸を製造した。
【0057】
製造した複合糸のRFIDインレットの剥離強度は、JIS L1066に準拠して、オートグラフ1kNG(株式会社島津製作所製)にて剥離試験を行った結果、RFID剥離前にテープ状布材が破断もしくはRFIDインレットに一部のテープ布材が接着したままテープ状布材が剥離して破断した。この結果より、実施例3の複合糸は、十分な剥離強度があることがわかる。
【0058】
(実施例4)
不織布(平均空隙率5%、弾性範囲の伸長性〜2.5%、平均最大点試験力1680mN/mm)をスリット加工した幅3mm、厚み0.08mmのテープ状布材の片面にホットメルト接着剤(東亜合成株式会社製;PES−111EE)を塗布し、13.56MHz帯のRFIDインレット(日立化成工業株式会社製;IL−P43652、厚さ0.47mm、幅2.2mm、長さ10.5mm)を5cm間隔で配置して、その上にテープ状布材と同様の素材からなる被覆部材を重ねた後130℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.63mmで幅3mmの複合糸を製造した。
【0059】
製造した複合糸のRFIDインレットの剥離強度は、JIS L1066に準拠して、オートグラフ1kNG(株式会社島津製作所製)にて剥離試験を行った結果、RFID剥離前にテープ状布材が破断もしくはRFIDインレットに一部のテープ布材が接着したままテープ状布材が剥離して破断した。この結果より、実施例4の複合糸は、十分な剥離強度があることがわかる。
【0060】
(比較例1)
テープ状布材の代わりにポリエステルフィルムをスリット加工した幅4mm、厚さ0.07mmの基材(弾性範囲の伸長性〜4%)を用い、基材の片面に実施例1と同様の接着剤を塗布して実施例1と同様のRFIDインレットを10cm間隔で配置し、110℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.27mmで幅4mmの複合糸を製造した。実施例1と同様の剥離試験を行ったところ、剥離強度は360mN/mmであった。
【0061】
(比較例2)
テープ状布材の代わりにポリエステル繊維からなるマルチフィラメント(1100dtex/192f)を幅2.5〜3mmに扁平に広げた基材を用い、基材の片面に実施例1と同様の接着剤を塗布して実施例1と同様のRFIDインレットを10cm間隔で配置し、110℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.29mmで幅2.5mmの複合糸を製造した。実施例1と同様の剥離試験を行ったところ、剥離強度は157mN/mmであった。
【0062】
各実施例及び各比較例の複合糸による製織試験及び製織後のRFID認識試験に関する評価結果を表1に示す。製織試験では、ポリエステル繊維からなる経糸(167dtex)の一部に複合糸を配列して使用し、ERレピア(津田駒工業株式会社製)にて、100rpmで平織りの布地を製織して行った。RFIDインレットの状態については目視で評価し、RFIDの認識性能については、実施例1、2及び比較例1,2はハンディタイプミューチップリーダー(株式会社セコニック製)を使用し、実施例3はハンディリーダライタXIT−160−BR(株式会社ウェルキャット製)を使用し、実施例4は小型RFIDR/WモジュールASI4400(株式会社アートテクノロジー製)を使用して、ID情報の読み取り有無により評価した。なお、表1中の剥離RFID率及び認識率は下記式により計算している。
剥離RFID率(%)=(一部剥離したRFID数)/(布地中のRFID数)×100
認識率(%)=(認識できたRFID数)/(布地中のRFID数)×100
【0063】
【表1】
【0064】
比較例1の複合糸は、フィルムを基材とするために布地を構成する糸との伸縮性の差異により連続製織は困難であった。また、比較例1の複合糸は、RFIDインレットの剥離強度が低いが、RFIDインレットがフィルム全面に接着しているため、剥離したRFIDインレットは観察されなかった。しかし、RFIDインレットがフィルム全面に接着している影響で織物内での複合糸の屈曲が大きく、この大きな屈曲が原因でRFIDインレットのICチップ及びアンテナ回路の間に断線が生じるため、RFID認識率が低くなる。さらに、比較例1の複合糸は、通常の織物部分と比較して織物内での屈曲が大きい分その厚みも約3〜4倍と大きくなるため、製織された布地の厚さが不均一となる。このように複合糸の部分が他の部分より厚くなって表面から突出していると、製織後の染色加工やコーティング加工で加圧ローラ等により加圧される場合に、複合糸部分に応力が集中してRFIDインレットの破損が増加するため、好ましくない。
【0065】
また、染色加工等において、比較例1の複合糸を加熱すると、基材フィルムとRFIDインレットとの間の熱収縮差によりRFIDインレットの剥離が生じ、このRFIDインレットの剥離により発生した複合糸の屈曲が原因でRFIDインレットの破損が多発するため、好ましくない。具体的には、130℃で30分間の染色加工において、加工前に認識可能であったRFIDインレットのうち約50%以上が破損した。
【0066】
比較例2は、製織中に毛羽等が多発し連続での製織が困難であり、RFIDインレットの剥離強度も低いため随所でRFIDインレットの剥離が発生した。さらに、一部製織できた部分では、複合糸の捻れ(ローリング)によりRFIDインレットも捻れた状態で布地に織り込まれていた。この捻れにより、RFIDインレットが読取装置からの電波を受信できなくなり、さらには捻れによりICチップ及びアンテナ回路の間に断線が生じる。これらの原因によりRFIDの認識率が極端に低下し、認識できるRFIDインレットがほとんど無い状態であった。従って、表中の「剥離RFID率」、「認識率」は記載していない。
【0067】
これに対して、実施例1から4では、RFIDインレットが5mm以上剥離するものはなく、すべてのRFIDインレットが布地に固定されて認識することができた。
【0068】
実施例2の複合糸を用いて上記の製織試験で製織された布地に、染色加工試験及びコーティング加工試験を行い、試験後のRFID認識試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0069】
なお、液流染色加工は、液流染色機(株式会社ニッセン製)を使用して130℃、30分間の加熱条件で行った。ビーム染色加工は、ビーム染色機(株式会社日阪製作所製)を使用して130℃、30分間の加熱条件で行った。フィルムラミネート加工は、ラミネート装置を使用して、厚さ0.3mmのポリウレタンフィルムを120℃×7気圧で加圧して行った。ナイフコーティング加工は、コーティング装置を使用して、ポリウレタン樹脂を150℃でコーティングした。
【0070】
【表2】
【0071】
実施例2の複合糸を用いた布地は、ビーム染色加工及びコーティング加工ではRFIDインレットの性能を維持したまま加工することが可能であり、従来から行われている布地に対する加工を汎用の方法で行うことができ、様々な用途に展開できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る複合糸は、通常の布地を製造する工程において搭載した無線IDタグを破損することなく布地の中に取り込むことができ、複数の無線IDタグを有する軽量でフレキシブルな布地を得ることが可能となる。衣料として作業服や介護服に応用した場合は、着用者の動きを簡単に把握することが可能となり、作業効率向上や介護現場での業務効率化に有効である。また、一般衣料に応用した場合は、製造管理や製品管理に応用可能で、業務の省力化及びセキュリティ向上の面で貢献できる。また、床・壁・天井等の構造部材に使用する場合は、その近辺を移動する移動体の位置認識に使用でき、業務の省力化、施設のセキュリティ向上、ロボット等自動化システムの低コスト化を図ることができる。
【0073】
さらに、本発明に係る複合糸を用いた布地はフレキシブルで軽量なことから、様々な場所への設置および撤去が容易で複雑な形状への適応性も高く、例えば各種イベントでの自動案内システム、スポーツ選手の動きの解析など、様々な産業分野で幅広く用いることができる汎用性を備えている。
【符号の説明】
【0074】
1 複合糸
2 無線IDタグ
20 ICチップ
21 基体
22 アンテナ回路
3 テープ状布材
4 結節部位
5 テープ状布材
6 無線IDタグ
60 ICチップ
61 アンテナ素子
7 被覆部材
8 接着領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線IDタグ等の電子部品を担持する複合糸及びそれを備えた布地に関する。
【背景技術】
【0002】
近年RFID等の無線IDタグの小型化が進み、無線IDタグを様々な移動体に取り付けて識別するシステムが開発されている。無線IDタグは、アンテナ回路が形成された基体上にICチップが搭載されており、外部の読取装置との間でアンテナを介して非接触で送受信を行い、ICチップ内に記憶された識別情報等の情報を交信することができる。
【0003】
無線IDタグの小型化により移動体に対する取付位置の制約が少なくなり、例えば人間に取り付ける場合でも衣服、身の回り品、所持品といった既存の身に付ける物に無線IDタグを取り付けて人間の識別や位置認識が可能となっている。
【0004】
例えば、特許文献1では、送受信アンテナ基板と無線通信用ICチップを備えたインレットを縫合又は接着剤により織布又は紙からなる基材に固定したICタグが記載されており、こうしたICタグを衣服やタオルといった布製品に縫い付けたり、接着剤により貼り付ける点が記載されている。
【0005】
このように無線IDタグを衣服等の既存の物品に取り付けることを想定して複数の無線IDタグを担持する糸が提案されている。例えば、特許文献2では、ICタグの表裏をポリエステルフィルムで覆った箔糸や糸状フィルムにICチップを接着した芯糸にカバーリング加工を施した複合糸を用いて織物を製造する点が記載されている。また、特許文献3では、長繊維糸を組紐状に組み合わせて内部に電子部品を内蔵した複合糸が記載されている。また、特許文献4では、片面に半導体チップが接着された紙テープを撚糸した紙糸を用いて織物又は編物を製造する点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−018487号公報
【特許文献2】特開2005−226165号公報
【特許文献3】国際公開第2006/123133号
【特許文献4】特開2005−154984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されているように、インレットを1つ1つ布製品等の物品に取り付ける方法は、生産効率を考えた場合好ましい方法ではない。特に、布製品等の物品に対して複数のインレットを取り付ける場合には、予め複数のインレットを担持する糸を用いて物品の製造段階で取り付ける方法が生産効率上好ましい。
【0008】
特許文献2及び4に記載されているように、糸状フィルムや紙テープにICチップ等を接着した複合糸を使用して織物等の物品を製造する方法は、生産効率の面からみると実用的であるが、こうした複合糸を合成繊維等からなる地糸とともに製織・製編する場合に伸長性、熱収縮性といった糸の特性の違いによりICチップの破損が生じやすい。例えば、製織中の張力により複合糸が引き伸ばされて切断されたり、地糸の収縮に対応できずに織物の内部で複合糸が撓む現象が生じる。また、製織の際に複合糸を経糸に用いた場合筬打ち等の衝撃が接着されたICチップに加わって剥離しやすくなるといった課題がある。
【0009】
また、製造された織物を湾曲したり折り曲げたりする場合に、ICチップがフィルムに接着されているので、ICチップに応力負荷がかかりやすくなり、ICチップが破損したり剥離したりするといった問題がある。
【0010】
また、特許文献3に記載されているように電子部品を内蔵する場合、電子部品が内部で動きやすくなって一定の配置状態に固定しにくく、インレットのようにアンテナ回路を有する短冊状の部品を内蔵することは難しいといった制約がある。
【0011】
そこで、本発明は、アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグを担持するとともに布帛を製造する際に必要となる伸縮性、熱収縮性、屈曲追従性及び耐久性を備えた複合糸を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る複合糸は、アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグと、伸縮性を有する繊維材料からなるとともに少なくとも片面において複数の前記無線IDタグを糸長方向に所定間隔を空けて接着固定するテープ状布材とを備え、前記無線IDタグには、糸長方向の端部がテープ状に延設されて前記テープ状布材に接着固定されるとともに前記テープ状布材とは反対側から少なくとも前記ICチップを覆う被覆部材が設けられていることを特徴とする。さらに、前記被覆部材は、前記アンテナ素子が形成されるとともに片面に前記ICチップが搭載される可撓性を有する短冊形の基体であり、前記テープ状布材は、前記基体に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所が離散的に分布しており、前記無線IDタグの前記ICチップを搭載した面は、前記テープ状布材の前記接着箇所が形成された面に接着固定されていることを特徴とする。さらに、前記無線IDタグは、ループ状に形成された前記アンテナ素子の内側に前記ICチップが配置されており、前記被覆部材は、前記アンテナ素子の糸長方向の両端部を覆うように接着固定されていることを特徴とする。さらに、前記テープ状布材は、空隙率が3%〜80%のメッシュ状布地からなり、網目の結節部位において前記被覆部材と接着していることを特徴とする。さらに、前記テープ状布材は、表面が凹凸形状に形成されており、形成された多数の凸状部分で前記被覆部材と接着していることを特徴とする。さらに、前記テープ状布材は、織物、編物もしくは不織布のいずれか、又はこれらを組み合わせて構成されていることを特徴とする。さらに、前記テープ状布材は、糸長方向の弾性範囲の伸長性が0.1〜10%であることを特徴とする。さらに、前記無線IDタグの前記テープ状布材に対する剥離強度は300mN/mm以上であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る複合糸は、上記のような構成を有することで、アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグを糸長方向に所定間隔を空けて伸縮性を有するテープ状布材に接着固定しているので、複合糸が糸長方向に伸縮される場合には、テープ状布材の無線IDタグの間の部分が主に伸縮して無線IDタグへの影響を抑えることができる。
【0014】
また、無線IDタグには、糸長方向の端部がテープ状に延設されてテープ状布材に接着固定されるとともにテープ状布材とは反対側から少なくともICチップを覆う被覆部材が設けられているので、ICチップが被覆部材により保護されるとともに最も剥離しやすい糸長方向の端部において被覆部材がテープ状に延設されてテープ状布材に接着固定され、剥離しにくい構造となっている。特に、製織時の筬打ちの場合に無線IDタグに対して衝撃が加わるが、被覆部材がテープ状布材と接着固定されているので、無線IDタグが剥離することなく製織することができる。
【0015】
また、無線IDタグのICチップが被覆部材により覆われて被覆部材とテープ状布材との間に配置されて保護されるようになる。そのため、布帛を製造する際に複合糸を給糸する場合、複合糸を他の糸と同様に張力を加えながら繰り出しガイドローラ等に巻き付けても、無線IDタグに与える影響を抑えながら複合糸を伸縮及び屈曲追従させて対応することができる。
【0016】
また、製造された布帛の状態において、他の糸が収縮するのに対応して複合糸も収縮することができ、熱により布帛が収縮した場合にもそれに対応して収縮して無線IDタグに対する影響を抑えることが可能となる。
【0017】
そして、被覆部材を、アンテナ素子が形成されるとともに片面にICチップが搭載される可撓性を有する短冊形の基体とし、テープ状布材には、基体に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所を離散的に分布させることで、テープ状布材において無線IDタグと重なり合う領域に非接着部分が存在するようになり、複合糸が湾曲変形の際に無線IDタグとテープ状布材との間が互いにずれるような負荷が加わっても非接着部分が変形してその負荷を吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る第一実施形態に関する概略平面図である。
【図2】複合糸に関する糸長方向に沿った一部拡大断面図である。
【図3】複合糸を無線IDタグの接着面とは反対側からみた一部拡大底面図である。
【図4】複合糸を無線IDタグの接着面からみた一部拡大平面図である。
【図5】複合糸の無線IDタグの接着部分の一部拡大斜視図である。
【図6】図5のA−A断面図である。
【図7】本発明に係る複合糸製造工程に関する説明図である。
【図8】本発明に係る第二実施形態に関する一部拡大斜視図である。
【図9】本発明に係る第二実施形態に関する糸長方向に沿う断面図である。
【図10】本発明に係る第二実施形態に関する分解斜視図である。
【図11】第二実施形態の変形例に関する一部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態について詳しく説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するにあたって好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に本発明を限定する旨明記されていない限り、これらの形態に限定されるものではない。
【0020】
図1は、本発明に係る第一実施形態に関する概略平面図である。複合糸1は、短冊状の無線IDタグ2が細幅のテープ状布材3の片面に複数配置されて接着固定されている。複数の無線IDタグ2は、糸長方向に所定間隔を空けてテープ状布材3の片面に配列されている。無線IDタグ2の幅はテープ状布材3の幅よりもわずかに狭く形成されており、テープ状布材3の幅方向のほぼ中央部に位置決めされて接着固定されている。
【0021】
図2は複合糸1に関する糸長方向に沿った一部拡大断面図であり、図3は複合糸1を無線IDタグ2の接着面とは反対側からみた一部拡大底面図であり、図4は複合糸1を無線IDタグの接着面からみた一部拡大平面図である。
【0022】
無線IDタグ2は、アンテナ素子であるアンテナ回路22が形成された可撓性を有する短冊形の基体21の片面の中央位置にICチップ20が搭載されており、ICチップ20の搭載面がテープ状布材3に対向して接着されている。被覆部材として機能する基体21は、テープ状布材3とは反対側からICチップ20を覆うようになり、その糸長方向の両端部は、テープ状に延設されてテープ状布材3に接着固定されている。無線IDタグとしては、例えば、RFIDインレットが挙げられる。RFIDインレットは、電波方式(UHF帯、マイクロ波帯)、電磁誘導方式(13.56MHz)のものがあり、いずれも使用可能である。
【0023】
ICチップ20は、公知の無線通信用ICであり、折り曲げや圧縮に対する強度を保つために、ICチップの大きさは、1mm×1mm以下とすることが好ましく、より好ましくは0.5mm×0.5mm以下とするとよい。ICチップ20は、基体21の表面に形成されたアンテナ回路22に異方導電性接着剤、ハンダ等により実装されて電気的に接続されている。
【0024】
基体21は、樹脂材料、繊維材料及び紙といった可撓性を有する材料から形成される。樹脂材料としては、例えば、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、シリコーンゴム、及びこれらの樹脂材料のうち複数種類を混合したものが挙げられる。繊維材料については、絹、麻及び毛等の天然繊維、ポリエステル、アセテート、レーヨン、ナイロンおよびガラス等の半合成繊維又は合成繊維、これらの繊維を複数種類混合した複合繊維からなる布帛(織地、編地、不織布を含む)が挙げられる。
【0025】
基体21に用いる材料としては、特に限定されるものではないが、フィルム加工性が良好であり、フィルムの形状で柔軟性と強度を併せ持つポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル樹脂もしくは耐熱性に優れるポリイミド樹脂が好ましい。
【0026】
アンテナ回路22は、基体21の表面に、例えば、アルミニウム箔にエッチング加工を施すことによって形成することが可能であるが、こうした形成方法以外にも公知の形成方法を使用してもよい。アンテナの長さは、通信距離やタグの大きさに応じて適宜設定することが可能である。
【0027】
無線IDタグ2は、厚さが1mm以下で幅が10mm以下とすることが好ましい。厚さが1mmを超えると、複合糸として構成した場合に布地を製造する際の屈曲性追従性が悪くなる。また、幅が10mmを超えると通常の布地の生産工程では取り扱いが困難であり、また捻れ等の対策にも特殊な装置が必要となるため、生産性及び汎用性の面から好ましくない。
【0028】
テープ状布材3は、織物、編物、不織布等の伸縮性を有する繊維材料からなる布材を細幅状に形成したものであり、導電性が低く設定されている。例えば、誘電率が5.0以下であることが好ましい。テープ状布材3は、例えば、幅広に製造された布材をスリット状に切断してテープ状に作成することができる。厚さは1mm以下で幅が10mm以下とすることが好ましい。厚さが1mmを超えると、複合糸として構成した場合に布地を製造する場合の屈曲追従性が悪くなる。また、幅が10mmを超えると通常の布地の生産工程では取り扱いが困難であり、また捻れ等の対策にも特殊な装置が必要となるため、生産性及び汎用性の面から好ましくない。
【0029】
テープ状布材3に用いる繊維材料としては、具体的には、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PTT(ポリトリメチレンテレフタレート)又はPBT(ポリブチレンテレフタレート)等のポリエステル系繊維、ナイロン(ポリアミド繊維)、アラミド(芳香族ポリアミド繊維)、ポリプロピレン又はポリエチレン等のポリオレフィン系繊維、アクリル等の合成繊維、レーヨン、アセテート等の化学繊維、綿、麻、ウール又は絹等の天然繊維、ガラス、シリカ又はセラミック等の無機繊維が挙げられる。また、これらの繊維を複数種類混合した複合繊維を用いてもよい。
【0030】
テープ状布材3は、無線IDタグ2の基体21が接着する面において点接着又は線接着可能な多数の接着箇所が離散的に分布するように形成されている。織物、編物及び不織布は、空隙率が3%〜80%のメッシュ状布地とすることで、網目の結節部位が基体21に対する接着箇所となる。また、空隙率の低い織物、編物及び不織布に打ち抜き加工等の処理によりメッシュ形状に形成したり、エンボス加工等により布材に凹凸を形成することで、基体21に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所を離散的に分布させることができる。
【0031】
このように接着箇所を離散的に分布させることで、テープ状布材の無線IDタグに重なり合う領域において非接着部分が離散的に存在するようになり、複合糸1が湾曲変形の際に無線IDタグ2とテープ状布材3との間がずれるような負荷が加わっても非接触部分が変形してその負荷を吸収することができる。
【0032】
テープ状布材3には、糸長方向に間隔を空けて無線IDタグ2が配列されており、間隔を空けることで、無線IDタグ2の間のテープ状布材3の部分が伸縮するようになり、複合糸1を布地の製造工程に用いる場合に必要な伸縮性を確保することができる。具体的には、糸長方向の弾性範囲の伸長性が0.1〜10%の範囲内であることが好ましい。これは、一般的な布地の製造工程において、異なる伸長性の糸を同時に製造することは非常に困難であるが、糸長方向の弾性範囲の伸長性が0.1〜10%の範囲内であれば張力を加えられたり湾曲したりしても十分耐えることができるからである。また、布地に仕上げられた場合に他の糸とともに縮むようになるため、布地の中で撓んだ状態となることもない。
【0033】
無線IDタグ2をテープ状布材3に接着固定する接着剤又は粘着剤としては、例えば、ポリオレフィン系、ポリアミド系、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、ゴム系及びアクリル系の接着剤、又は、ゴム系、アクリル系、シリコーン系及びビニル系の粘着剤を用いることができる。接着方法としては、ホットメルト接着剤等の熱可塑性接着剤を用いた加熱加圧による接着、熱硬化性接着剤を用いた加熱硬化による接着、感圧型粘着剤を用いた常温加圧による接着、反応型接着剤を用いた化学反応による接着といった方法がある。
【0034】
テープ状布材3に対する無線IDタグ2の剥離強度は、できるだけ高いことが好ましい。具体的には、複合糸1を用いて布地を製造する場合は、剥離強度が低いと製造工程で無線IDタグが剥離し無線IDタグが破損するため、テープ状布材3に対する無線IDタグ2の剥離強度(JIS L1066準拠)を300mN/mm以上とすることが好ましい。
【0035】
図1に示す複合糸1は、テープ状布材3として経糸及び緯糸を所定間隔を空けて織成した網地を用いており、図5はその一部拡大斜視図であり、図6は図5のA−A断面図である。テープ状布材3は、網地で形成されているため、網目の各結節部位4に接着剤が付与されて無線IDタグ2の基体21に点接着している。ICチップ20に対してもテープ状布材3が点接着により接着するようになる。
【0036】
そのため、複合糸1が無線IDタグ2側に湾曲した場合に、テープ状布材3は無線IDタグ2に対して伸長するように変形するが、接着箇所の結節部位以外の経糸及び緯糸の部分が接着されていないため、その非接着部分が伸長してICチップ20及び基体21に対する負荷を抑えることができる。また、複合糸1がテープ状布材3側に湾曲した場合に、テープ状布材3は無線IDタグ2に対して収縮するように変形するが、経糸及び緯糸に非接着部分が撓むように縮んでICチップ20及び基体21とともに無理なく湾曲変形することができる。
【0037】
また、ICチップ20を基体21及びテープ状布材3で挟持するように保護されているため、複合糸1を用いて布地を製造する場合にICチップ20が剥がれ落ちることが防止される。
【0038】
図7は、複合糸1を製造する工程に関する説明図である。この例では、網地を細幅にスリットされたテープ状布材3を巻き付けた繰出しロール10からテープ状布材3を繰り出して供給し、塗布ローラ11に対してナイフコータ12により供給された接着剤をテープ状布材3の片面に付与していく。この場合、テープ状布材3は、網地で形成されているため塗布ローラ11により結節部位に点状に接着剤が塗布されるようになる。
【0039】
一方、無線IDタグ2は、例えばRFIDインレットが幅方向に多数連接されて巻き付けられた繰出しロール13から繰り出して供給され、1個ずつ分離されていく。分離されたRFIDインレットは、ICチップを搭載した面を下側にした状態でプレス装置を兼ねた搬入アーム14の底面に吸引保持され、テープ状布材3の接着剤を塗布した上面に位置決め配置される。そして、配置されたRFIDインレットをプレス装置により加圧して接着固定する。こうして所定間隔を空けてRFIDインレットを順次配列してテープ状布材3に接着固定し、複合糸1を製造する。
【0040】
製造された複合糸1は、伸縮性及び屈曲性を有しているため、ビーム等に巻き付けて保管するようにしても問題ない。また、ICチップが露出していないため、巻き付ける際にICチップが引っ掛かって破損することはなく、通常の糸と同様に取り扱うことができる。また、複合糸1を経糸に用いて織物を製造する場合、筬打ち動作の際に筬が無線IDタグに衝突するが、基体の糸長方向の端部がテープ状布材に接着固定されているので、剥離することなく織成することができる。
【0041】
上述したように、テープ状布材に張力を与えながら製造する場合には、テープ状布材の伸縮性が高いと、製造後に無線IDタグにシワがよるといった問題が生じるため、適度の伸縮性が必要で、具体的には10cNの力で引っ張った状態で伸縮伸長率が0.5%以下であることが望ましい。また、テープ状布材に張力が付与された状態で接着する際に100〜150℃に加熱される場合には、接着後に張力が緩和されても接着時の形態安定性がテープ状布材に求められる。この場合、沸水(100℃、30分間)による熱収縮が10%以内であることが望ましい。
【0042】
なお、上述した例では、無線IDタグ2をテープ状布材3の片面に接着固定しているが、両面に無線IDタグ2を配置して固定するようにしてもよい。また、図7ではテープ状布材3の片面に接着剤を付与してRFIDインレットを加圧して接着固定しているが、RFIDインレットの片面に接着剤を付与してテープ状布材3の特定位置にRFIDインレットを加圧して接着固定してもよい。
【0043】
本発明に係る複合糸は、通常の糸と同様に使用して公知の製造方法により布地を製造することができる。複合糸を用いた布地としては、経糸、緯糸の一方もしくは両方に複合糸を用いた織物、編糸、挿入糸の一方もしくは両方に複合糸を用いた編物など、複合糸を布地の表面もしくは内部に含む形で構成してもよい。また、地組織となる布地の表面にコーティング加工又はラミネート加工等の高次加工の時に複合糸を布地表面に固定して一体化したり、地組織となる布地表面に縫製で複合糸を固定したり、複数の布地を積層して製造する際に表面もしくは層間に複合糸を配置して製造するようにしてもよく、本発明に係る複合糸にダメージを与えないように製造可能な布地であれば複合糸を使用することができる。
【0044】
以上説明した実施形態では、次の発明についても開示している。
アンテナ回路が形成された可撓性を有する短冊形の基体の片面にICチップが搭載された無線IDタグと、伸縮性を有する繊維材料からなるとともに少なくとも片面において前記基体に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所が離散的に分布するテープ状布材とを備え、前記無線IDタグは、糸長方向に所定間隔を空けて複数配列されているとともに前記ICチップを搭載した面が前記テープ状布材の前記接着箇所が形成された面に接着固定されていることを特徴とする複合糸。
【0045】
図8から図10は、本発明に係る第二実施形態に関する一部拡大斜視図、糸長方向に沿う断面図及び分解斜視図である。
【0046】
この例では、伸縮性を有する繊維材料からなるテープ状布材5に所定間隔を空けて無線IDタグ6が配置されて接着固定されている。無線IDタグ6は、金属線をループ状に巻回して形成されたアンテナ素子61及びアンテナ素子61の内側に配置されてアンテナ素子61に接続されたICチップ60を備えており、無線IDタグ6に対してテープ状布材5とは反対側からICチップ60及びアンテナ素子61を被覆するように短冊状の被覆部材7が設けられている。被覆部材7は、糸長方向の両端部がテープ状に延設されてテープ状布材5に接着固定されている。
【0047】
テープ状布材5としては、上述した第一実施形態におけるテープ状布材3と同様のものを用いればよい。また、無線IDタグ6をテープ状布材5に固定するための接着剤についても、第一実施形態における無線IDタグ2を固定するための接着剤と同様のものを用いることができる。被覆部材7は、テープ状布材5と同様の伸縮性を有する繊維材料を用いることが好ましい。
【0048】
複合糸を製造する場合には、図10に示すように、テープ状布材5の片面に接着剤を塗布して接着領域8を形成し、接着領域8にICチップ60が接続されたアンテナ素子61を配置して接着固定する。この場合、アンテナ素子61は接着固定されるが、ICチップ60は接着領域8から離間して非接着状態とされてもよい。そして、接着固定されたアンテナ素子61を覆うように短冊状の被覆部材7を載置して、糸長方向の両端部を接着領域8に密着させて接着固定する。
【0049】
製造された複合糸は、伸縮性及び屈曲性を有しているため、ビーム等に巻き付けて保管するようにしても問題ない。また、ICチップはテープ状布材及び被覆部材に挟持されるように配置されて露出していないため、巻き付ける際にICチップが引っ掛かって破損することはなく、通常の糸と同様に取り扱うことができる。また、複合糸を経糸に用いて織物を製造する場合、筬打ち動作の際に緯糸が無線IDタグに衝突するが、被覆部材の糸長方向の端部がテープ状布材に接着固定されているので、剥離及び破損することなく織成することができる。
【0050】
図11は、第二実施形態の変形例に関する一部拡大斜視図である。この例では、一対の被覆部材7’により無線IDタグ6のアンテナ素子の両端部及びICチップを覆うように配置し、被覆部材7’の糸長方向の一方の端部が延設されてテープ状布材5に接着固定されている。そして、被覆部材7’とアンテナ素子との間は接着剤により固定されている。
【0051】
このように被覆部材7’をアンテナ素子の両端部に配置して接着固定する場合でも、布帛を製造する際に必要な伸縮性、熱収縮性、屈曲追従性及び耐久性を備えることができる。
【0052】
なお、以上説明した例では、テープ状布材に接着剤を用いて無線IDタグ及び被覆部材を固定するようにしているが、テープ状布材を構成する繊維の全部もしくは一部に熱融着糸又は熱融着繊維を使用して、熱融着により固定するようにしてもよい。熱融着糸又は熱融着繊維としては、低融点ポリエステル、低融点ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の低融点の繊維素材からなるものが挙げられるが、繊維素材の表面だけが低融点の樹脂材料で構成されていてもよい。
【実施例】
【0053】
(実施例1)
熱融着成分を表面に配したポリエステル芯鞘構造糸(KBセーレン株式会社製;製品名ベルカップル、25dtex/1f)を経糸及び緯糸に使用したメッシュ状織物(0.2mm×0.2mmの空隙で空隙率53%、弾性範囲の伸長性〜2%)をスリット加工した幅3mm、厚み0.11mmのテープ状布材の片面にホットメルト接着剤(東亜合成株式会社製;PES−111EE)を塗布し、2.45GHz帯のRFIDインレット(日立化成工業株式会社製;HCM102A30A(ミューチップインレット)、厚さ0.16mm、幅2.5mm、長さ54mm)を10cm間隔で配置して110℃で2回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.28mmで幅3mmの複合糸を製造した。
【0054】
製造した複合糸のRFIDインレットの剥離強度は、JIS L1066に準拠して、オートグラフ1kNG(株式会社島津製作所製)にて剥離試験を行い、剥離強度(凹凸部の平均強度,測定5回の平均)にて求めた。測定結果は571mN/mmであった。
【0055】
(実施例2)
実施例1と同様のテープ状布材、RFIDインレット及び接着剤を用い、テープ状布材に10cm間隔でRFIDインレットを配置し、130℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.28mmで幅3mmの複合糸を製造した。実施例1と同様の剥離試験を行ったところ、RFIDインレットの剥離前にRFIDインレット又はテープ状布材が破断した。この結果からみると、実施例2の複合糸は、実施例1以上の剥離強度がある。
【0056】
(実施例3)
不織布(平均空隙率5%、弾性範囲の伸長性〜2.5%、平均最大点試験力1680mN/mm)をスリット加工した幅3mm、厚み0.08mmのテープ状布材の片面にホットメルト接着剤(東亜合成株式会社製;PES−111EE)を塗布し、UHF帯のRFIDインレット(日立化成工業株式会社製;UHF−TX、厚さ0.14mm、幅2.2mm、長さ61mm)を50cm間隔で配置して、130℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.22mmで幅3mmの複合糸を製造した。
【0057】
製造した複合糸のRFIDインレットの剥離強度は、JIS L1066に準拠して、オートグラフ1kNG(株式会社島津製作所製)にて剥離試験を行った結果、RFID剥離前にテープ状布材が破断もしくはRFIDインレットに一部のテープ布材が接着したままテープ状布材が剥離して破断した。この結果より、実施例3の複合糸は、十分な剥離強度があることがわかる。
【0058】
(実施例4)
不織布(平均空隙率5%、弾性範囲の伸長性〜2.5%、平均最大点試験力1680mN/mm)をスリット加工した幅3mm、厚み0.08mmのテープ状布材の片面にホットメルト接着剤(東亜合成株式会社製;PES−111EE)を塗布し、13.56MHz帯のRFIDインレット(日立化成工業株式会社製;IL−P43652、厚さ0.47mm、幅2.2mm、長さ10.5mm)を5cm間隔で配置して、その上にテープ状布材と同様の素材からなる被覆部材を重ねた後130℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.63mmで幅3mmの複合糸を製造した。
【0059】
製造した複合糸のRFIDインレットの剥離強度は、JIS L1066に準拠して、オートグラフ1kNG(株式会社島津製作所製)にて剥離試験を行った結果、RFID剥離前にテープ状布材が破断もしくはRFIDインレットに一部のテープ布材が接着したままテープ状布材が剥離して破断した。この結果より、実施例4の複合糸は、十分な剥離強度があることがわかる。
【0060】
(比較例1)
テープ状布材の代わりにポリエステルフィルムをスリット加工した幅4mm、厚さ0.07mmの基材(弾性範囲の伸長性〜4%)を用い、基材の片面に実施例1と同様の接着剤を塗布して実施例1と同様のRFIDインレットを10cm間隔で配置し、110℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.27mmで幅4mmの複合糸を製造した。実施例1と同様の剥離試験を行ったところ、剥離強度は360mN/mmであった。
【0061】
(比較例2)
テープ状布材の代わりにポリエステル繊維からなるマルチフィラメント(1100dtex/192f)を幅2.5〜3mmに扁平に広げた基材を用い、基材の片面に実施例1と同様の接着剤を塗布して実施例1と同様のRFIDインレットを10cm間隔で配置し、110℃で1回プレスして接着することにより、RFIDインレット搭載部分の厚さ0.29mmで幅2.5mmの複合糸を製造した。実施例1と同様の剥離試験を行ったところ、剥離強度は157mN/mmであった。
【0062】
各実施例及び各比較例の複合糸による製織試験及び製織後のRFID認識試験に関する評価結果を表1に示す。製織試験では、ポリエステル繊維からなる経糸(167dtex)の一部に複合糸を配列して使用し、ERレピア(津田駒工業株式会社製)にて、100rpmで平織りの布地を製織して行った。RFIDインレットの状態については目視で評価し、RFIDの認識性能については、実施例1、2及び比較例1,2はハンディタイプミューチップリーダー(株式会社セコニック製)を使用し、実施例3はハンディリーダライタXIT−160−BR(株式会社ウェルキャット製)を使用し、実施例4は小型RFIDR/WモジュールASI4400(株式会社アートテクノロジー製)を使用して、ID情報の読み取り有無により評価した。なお、表1中の剥離RFID率及び認識率は下記式により計算している。
剥離RFID率(%)=(一部剥離したRFID数)/(布地中のRFID数)×100
認識率(%)=(認識できたRFID数)/(布地中のRFID数)×100
【0063】
【表1】
【0064】
比較例1の複合糸は、フィルムを基材とするために布地を構成する糸との伸縮性の差異により連続製織は困難であった。また、比較例1の複合糸は、RFIDインレットの剥離強度が低いが、RFIDインレットがフィルム全面に接着しているため、剥離したRFIDインレットは観察されなかった。しかし、RFIDインレットがフィルム全面に接着している影響で織物内での複合糸の屈曲が大きく、この大きな屈曲が原因でRFIDインレットのICチップ及びアンテナ回路の間に断線が生じるため、RFID認識率が低くなる。さらに、比較例1の複合糸は、通常の織物部分と比較して織物内での屈曲が大きい分その厚みも約3〜4倍と大きくなるため、製織された布地の厚さが不均一となる。このように複合糸の部分が他の部分より厚くなって表面から突出していると、製織後の染色加工やコーティング加工で加圧ローラ等により加圧される場合に、複合糸部分に応力が集中してRFIDインレットの破損が増加するため、好ましくない。
【0065】
また、染色加工等において、比較例1の複合糸を加熱すると、基材フィルムとRFIDインレットとの間の熱収縮差によりRFIDインレットの剥離が生じ、このRFIDインレットの剥離により発生した複合糸の屈曲が原因でRFIDインレットの破損が多発するため、好ましくない。具体的には、130℃で30分間の染色加工において、加工前に認識可能であったRFIDインレットのうち約50%以上が破損した。
【0066】
比較例2は、製織中に毛羽等が多発し連続での製織が困難であり、RFIDインレットの剥離強度も低いため随所でRFIDインレットの剥離が発生した。さらに、一部製織できた部分では、複合糸の捻れ(ローリング)によりRFIDインレットも捻れた状態で布地に織り込まれていた。この捻れにより、RFIDインレットが読取装置からの電波を受信できなくなり、さらには捻れによりICチップ及びアンテナ回路の間に断線が生じる。これらの原因によりRFIDの認識率が極端に低下し、認識できるRFIDインレットがほとんど無い状態であった。従って、表中の「剥離RFID率」、「認識率」は記載していない。
【0067】
これに対して、実施例1から4では、RFIDインレットが5mm以上剥離するものはなく、すべてのRFIDインレットが布地に固定されて認識することができた。
【0068】
実施例2の複合糸を用いて上記の製織試験で製織された布地に、染色加工試験及びコーティング加工試験を行い、試験後のRFID認識試験を行った。試験結果を表2に示す。
【0069】
なお、液流染色加工は、液流染色機(株式会社ニッセン製)を使用して130℃、30分間の加熱条件で行った。ビーム染色加工は、ビーム染色機(株式会社日阪製作所製)を使用して130℃、30分間の加熱条件で行った。フィルムラミネート加工は、ラミネート装置を使用して、厚さ0.3mmのポリウレタンフィルムを120℃×7気圧で加圧して行った。ナイフコーティング加工は、コーティング装置を使用して、ポリウレタン樹脂を150℃でコーティングした。
【0070】
【表2】
【0071】
実施例2の複合糸を用いた布地は、ビーム染色加工及びコーティング加工ではRFIDインレットの性能を維持したまま加工することが可能であり、従来から行われている布地に対する加工を汎用の方法で行うことができ、様々な用途に展開できることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る複合糸は、通常の布地を製造する工程において搭載した無線IDタグを破損することなく布地の中に取り込むことができ、複数の無線IDタグを有する軽量でフレキシブルな布地を得ることが可能となる。衣料として作業服や介護服に応用した場合は、着用者の動きを簡単に把握することが可能となり、作業効率向上や介護現場での業務効率化に有効である。また、一般衣料に応用した場合は、製造管理や製品管理に応用可能で、業務の省力化及びセキュリティ向上の面で貢献できる。また、床・壁・天井等の構造部材に使用する場合は、その近辺を移動する移動体の位置認識に使用でき、業務の省力化、施設のセキュリティ向上、ロボット等自動化システムの低コスト化を図ることができる。
【0073】
さらに、本発明に係る複合糸を用いた布地はフレキシブルで軽量なことから、様々な場所への設置および撤去が容易で複雑な形状への適応性も高く、例えば各種イベントでの自動案内システム、スポーツ選手の動きの解析など、様々な産業分野で幅広く用いることができる汎用性を備えている。
【符号の説明】
【0074】
1 複合糸
2 無線IDタグ
20 ICチップ
21 基体
22 アンテナ回路
3 テープ状布材
4 結節部位
5 テープ状布材
6 無線IDタグ
60 ICチップ
61 アンテナ素子
7 被覆部材
8 接着領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグと、伸縮性を有する繊維材料からなるとともに少なくとも片面において複数の前記無線IDタグを糸長方向に所定間隔を空けて接着固定するテープ状布材とを備え、前記無線IDタグには、糸長方向の端部がテープ状に延設されて前記テープ状布材に接着固定されるとともに前記テープ状布材とは反対側から少なくとも前記ICチップを覆う被覆部材が設けられていることを特徴とする複合糸。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記アンテナ素子が形成されるとともに片面に前記ICチップが搭載される可撓性を有する短冊形の基体であり、前記テープ状布材は、前記基体に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所が離散的に分布しており、前記無線IDタグの前記ICチップを搭載した面は、前記テープ状布材の前記接着箇所が形成された面に接着固定されていることを特徴とする請求項1に記載の複合糸。
【請求項3】
前記無線IDタグは、ループ状に形成された前記アンテナ素子の内側に前記ICチップが配置されており、前記被覆部材は、前記アンテナ素子の糸長方向の両端部を覆うように接着固定されていることを特徴とする請求項1に記載の複合糸。
【請求項4】
前記テープ状布材は、空隙率が3%〜80%のメッシュ状布地からなり、網目の結節部位において前記被覆部材と接着していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複合糸。
【請求項5】
前記テープ状布材は、表面が凹凸形状に形成されており、形成された多数の凸状部分で前記被覆部材と接着していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複合糸。
【請求項6】
前記テープ状布材は、織物、編物もしくは不織布のいずれか、又はこれらを組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の複合糸。
【請求項7】
前記テープ状布材は、糸長方向の弾性範囲の伸長性が0.1〜10%であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の複合糸。
【請求項8】
前記無線IDタグの前記テープ状布材に対する剥離強度は300mN/mm以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の複合糸。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の複合糸を用いた布地。
【請求項1】
アンテナ素子にICチップが接続された無線IDタグと、伸縮性を有する繊維材料からなるとともに少なくとも片面において複数の前記無線IDタグを糸長方向に所定間隔を空けて接着固定するテープ状布材とを備え、前記無線IDタグには、糸長方向の端部がテープ状に延設されて前記テープ状布材に接着固定されるとともに前記テープ状布材とは反対側から少なくとも前記ICチップを覆う被覆部材が設けられていることを特徴とする複合糸。
【請求項2】
前記被覆部材は、前記アンテナ素子が形成されるとともに片面に前記ICチップが搭載される可撓性を有する短冊形の基体であり、前記テープ状布材は、前記基体に対して点接着又は線接着する多数の接着箇所が離散的に分布しており、前記無線IDタグの前記ICチップを搭載した面は、前記テープ状布材の前記接着箇所が形成された面に接着固定されていることを特徴とする請求項1に記載の複合糸。
【請求項3】
前記無線IDタグは、ループ状に形成された前記アンテナ素子の内側に前記ICチップが配置されており、前記被覆部材は、前記アンテナ素子の糸長方向の両端部を覆うように接着固定されていることを特徴とする請求項1に記載の複合糸。
【請求項4】
前記テープ状布材は、空隙率が3%〜80%のメッシュ状布地からなり、網目の結節部位において前記被覆部材と接着していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複合糸。
【請求項5】
前記テープ状布材は、表面が凹凸形状に形成されており、形成された多数の凸状部分で前記被覆部材と接着していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の複合糸。
【請求項6】
前記テープ状布材は、織物、編物もしくは不織布のいずれか、又はこれらを組み合わせて構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の複合糸。
【請求項7】
前記テープ状布材は、糸長方向の弾性範囲の伸長性が0.1〜10%であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の複合糸。
【請求項8】
前記無線IDタグの前記テープ状布材に対する剥離強度は300mN/mm以上であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の複合糸。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の複合糸を用いた布地。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−261145(P2010−261145A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−80948(P2010−80948)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(592029256)福井県 (122)
【出願人】(501262329)株式会社ユティック (6)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(592029256)福井県 (122)
【出願人】(501262329)株式会社ユティック (6)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
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