複合系における少なくとも一つのマイクロメートル又はナノメートル寸法の相の物理パラメータを計測する方法
本発明は、少なくとも二つの異なる相を含む複合系における少なくとも一つの材料の少なくとも一つの機械的パラメータを決定する方法に関し、a)第一相の第一部分と第二相の特性を決定する材料からなる第二部分とを含む試料中のひずみが緩和可能な充分に小さい少なくとも一つの寸法を有するすくなくとも一つの試料の作製と、b)前記第一相と前記第二相の界面から異なる距離に位置する複数のポイントと対応して前記試料の少なくとも前記第一相の少なくとも一つの変形パラメータの計測と、c)少なくとも前記変形パラメータから前記第二相の少なくとも一つの機械的パラメータの決定とを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の課題は、少なくとも二つの異なる相を含む接合系における、少なくとも一つの材料の少なくとも一つの機械的パラメータを決める方法に関する。この方法は、特性を決定する相がマイクロメートル又はナノメートルの構造体を有し、少なくとも一つの他の材料が基板又はマトリックスを構成する場合に特に適用される。例えば、この方法は、基板上に蒸着した薄膜、又は、マトリックス中の包接物、フィラメント又は繊維の化学分析に適用される。
【背景技術】
【0002】
ここで、「機械的パラメータ」の表現は、ヤング率、ポアッソン比、熱膨張率等、及びひずみ及び/又は応力の状態のような、機械的特性と熱機械的特性の両方を表すために使う。
【0003】
系又は素子の機械的特性を知ることで、その操作を最適化することが可能となる。どんな材料であっても、外部応力を受けており、該応力に対する抵抗力を決める必要がある。したがって、系の弾性、特に基板の表面に配置された一つ以上の層の弾性を完全に決めることが重要である。これは、この層(又はサブシステムとみなすとこれらの層)の特性が、個々に取り上げるフィルム特性と明らかに異なるためである。
【0004】
材料の弾性は、多くの用途分野、すなわち、機械部品の塗装、構造変形等に関係している。素子の小型化が進み、これにつれて素子のさまざまな部分の界面で発生するひずみが大きくなっているため、弾性は、電子回路の組立てにおいて、ますます重要な役割を果たしている。
【0005】
弾性係数や膨張係数を計測するために既に開発されている方法は、一般的にマクロスケールで実施されている。
【0006】
従来の方法は、以下の通りである。
【0007】
A)巨視的又はそれより小さい試料のたわみ又は変形については、例えば、「オンウェーハサブミクロンフィルムの弾性率、ポアッソン比、熱膨張率の計測」Jie-Hua Zhao, Todd Ryan, Paul S. Ho, Andrew J. McKerrow、Wei-Yan Shih, PRC/MER2.206, Journal of Applied Physics (1999), 85/(9), 6421-6424、又は、「三つの方法による二次元積層連続繊維強化セラミックマトリックス複合材料の弾性率の計測」S.T. Gonczy、M.G. Jenkins, Ceramic Transactions (2000), 103 (セラミックマトリックス複合材料進歩V), 541-547、又は、その他「立方晶窒化硼素薄膜における微小機械仕上げ片持ち梁を用いた残留応力の分析」G.F. Cardinale, D.G. Howitt, K.F. McCarty, D.L. Medlin, P.B. Mirkarimi、 N.R. Moody, Diamond and Related Materials (1996), 5(11), 1295-1302を参照。
【0008】
B)電気音響波については、例えば、「化学気相成長法により成長した高品位立方晶窒化硼素薄膜の硬度及びヤング率」X. Jiang, J. Philip, W.J. Zhang, P. Hess 、S. Matsumoto, Journal of Applied Physics (2003), 93(3), 1515-1519、又は、「レーザー超音波表面音響波分光計測法による薄膜の弾性計測」D.C. Hurley, V.K. Tewary、A.J. Richards, Thin Solid Films (2001), 398-399), 326-330を参照。
【0009】
C)ナノインテンデーションについては、例えば、「球状圧子を用いた弾性インデンテーション計測による二層系の機械的皮膜特性の測定」Chudoba, N. Schwarzer, F. Richter 、 U. Beck in Thin Solid Films (2000), 377-378, 366-372、又は、「FEM分析による連続剛性計測技術を用いたAIN及びTiNサブミクロン薄膜の硬度及弾性の計測」T.A. Rawdanowicz, J. Sankar, J. Narayan、V. Godbole, Materials Research Society Symposium 会報 (2000), 594 (薄膜の応力及び機械的特性VIII), 507-512を参照。
【0010】
小さい対象物の機械的特性を計測する最近の方法としては、例えば、「原子間力音響顕微鏡を使った超薄ダイアモンド状炭素塗膜の弾性の計測」S. Amelio, A.V. Goldade, U. Rabe, V. Scherer, B. Bhushan 、W. Arnold, Thin Solid Films (2001), 392(1), 75-84に記載の、例えば、原子間力音響顕微鏡がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、特に材料の弾性係数や熱膨張係数等の一つ以上の機械的パラメータと、この材料が他の材料と結合する際にこの材料に生じるひずみとを計測することにある。その特徴は、材料の適用状態に近い条件下で、すなわち、薄膜や厚膜、不均一層、不連続層又は沈殿物/包接物、繊維やフィラメント、及びボックス(この術語は、基板とは異なる別の材料から形成され、このボックス中に電荷が局在した半導体材料に限定される)等のようなパラメータの計測を可能にすることにある。顕微鏡で計測したパラメータがミクロスケールやナノスケールのような小さい寸法の構造体で使用できるとする本発明の主張を現行の知識は阻んでいる。
【0012】
本発明の基本的な考え方は、広く知られているが一般には欠点と考えられており、回避するか無視しようとした現象、すなわち、ミクロン又はサブミクロンスケール等の少なくとも一つの充分に小さい寸法を有する試料では、自由表面の近接により、初期の素子で蓄積されたひずみが緩和されるという現象を使うことにある(前述した文献 D. Perovic, G. Weatherly、D. Houghton, Phil. Mag. 64, (1991) を参照)。本発明によると、基板又はマトリックスの変形パラメータの計測により、特性を決定する材料(必ずしも可能又は簡単でない)を直接計測する必要はない。変形の原因は、試料中のひずみの緩和であり、マイクロスケール又はナノスケール構造を有する相のパラメータを得ることは可能である。この相についてのどんな計測値も、技術的に可能な場合、追加の情報をもたらすが、たいていは本質的なものではない。
【0013】
“変形パラメータ”の表現は、通常、記号εで表され、顕微鏡的観点から結晶パラメータの変化に相当する純粋な変形と、記号βで表される結晶軸の局部回転との両方を意味すると理解される。
【課題を解決するための手段】
【0014】
従って、本発明は、少なくとも二つの異なる相を含む複合系における、少なくとも一つの材料の少なくとも一つの機械的パラメータを決定する方法に関し、
a)第一相の第一部分と特性を決定する材料からなる第二相の第二部分とを有する試料であって、該試料中のひずみを緩和可能とする充分に小さい少なくとも一つの寸法を有するすくなくとも一つの試料の作製と、
b)前記第一相と前記第二相との界面から異なる距離に位置する複数のポイントと対応した、前記試料の少なくとも前記第一相の少なくとも一つの変形パラメータの計測と、
c)少なくとも前記変形パラメータに基づく前記第二相の少なくとも一つの機械的パラメータの決定とを含むことを特徴とする。
【0015】
特定の実施例によれば、前記方法は、
i)少なくとも一つの幾何学的特性が互いに異なる複数の試料の作製と、
ii)前記各試料上でのステップb)の実施と、
iii)前記複数の試料で作成した計測値のステップc)での使用と、を含み、
ステップb)が、前記試料の少なくとも一つについて少なくとも二つの異なる温度で繰り返され、
ステップc)は、
i)前記第二相(B)の材料の少なくとも一つの機械的特性の初期推定値を使
用することによる前記試料(L)でのひずみ緩和のモデリングと、
ii)ステップb)の計測結果と前記モデリング結果との比較と、
iii)前記第二相の材料の少なくとも一つの機械的特性の前記推定値の修正と、を備え、サブステップi)からiii)を前記計測結果と前記モデリング結果間の差が最小化するまで繰り返すことを含む。
【0016】
本文内で、用語“モデリング”は数値シミュレーションと近似分析方法の両方を含む。有限要素数値シミュレーションを使用するのが好ましい。
【0017】
前記複合系は、表面上に連続層を有する基板、表面上にメタライゼーション帯又は島を有する基板、基板中に含まれる晶帯を有する層、トランジスター、基板の内部の層、包接物を含むマトリックス、繊維又はフィラメントの中から選択される。
【0018】
前記試料は、少なくとも一つのミクロスケール又はナノスケールの寸法を有する。前記試料は、前記第一相と第二相との間の界面に略垂直に位置する二つの略平行な面を有するラメラである。この場合、ステップb)を異なる厚さの複数のラメラにつき繰り返すのが好ましい。
【0019】
別の実施例によれば、前記試料は、前記第一相と第二相との間の界面に対してある角度をなして配置されたラメラである。その場合、ステップb)を第一相と第二相間の界面に対して異なる角度で位置する複数のラメラにつき繰り返すのが好ましい。
【0020】
他の別の実施例によれば、前記試料は、二つの面を有しその面間で角度をなすくさび形状のラメラである。この場合、ステップb)を、面間の角度が異なる複数のラメラに繰り返すのが好ましい。
【0021】
ステップb)で提供される計測値は、収束電子線の回析により計測される。
【0022】
ステップb)は、前記第一相の少なくとも一つの結晶面についてのHolz線の観察と、該Holz線の幅、位置及び内部構造の少なくとも一つのパラメータの決定とを含む。
【0023】
ステップb)は、前記Holz線の少なくともいくつかの少なくとも幅の決定と、各試料について電子線の軸に沿った最大回転βmaxの計算とを含む。
【0024】
ステップc)は、前記最大回転を、前記第一相と第二相相との間の界面を基準にした距離の関数として表す少なくとも一つの曲線の作図を含む。
【0025】
好ましい実施例によれば、ステップc)は、また、シミュレーションによる、前記第二相の材料のヤング率及び/又はポアソン比の推定される値のため、最大回転βmaxを前記第一相と第二相との間の界面を基準にした距離の関数として表す曲線の作図と、前記第二相の材料のヤング率及び/又はポアソン比を決めるためのシミュレートした曲線と実験曲線と間の差の最小化とを伴う。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、図面を参照しつつ以下の記載を読むことによって、より明らかに理解されるであろう。
【0027】
以下に述べる詳細な説明は、特性を決定する相が薄膜であり、使用した試料が異なる厚さの薄いラメラであって、論点である変形パラメータが薄膜に垂直な面内での結晶軸の回転であり、適用した計測技術がCBED(収束電子線回折)である特定の場合に関する。
【0028】
この場合、本発明の方法は、a)充分に小さな厚さtと前記基板表面に略垂直である二つの略平行な面とを有するラメラLの作製と、b)前記表面から種々の深さにおける基板の少なくとも一つの変形パラメータ(基板の平均回転パラメータとも解釈される)の前記ラメラ上での計測と、c)少なくとも前記変形/回転パラメータからの前記薄膜の少なくとも一つの機械的パラメータの決定とを含んでいる。
【0029】
この方法は、異なった厚さであるいくつかのラメラの作製と、該各ラメラ上でのステップb)の実施とを含めることができる。少なくとも一つの前記ラメラについて、少なくとも二つの異なる温度で、ステップb)を繰り返すこともできる。
【0030】
異なった深さに位置する基板上のポイントについて、前記ラメラの法線に方向付けしていない軸Z0の収束電子線に対する、Holz線又はHolz帯を有するCBED回折パターンを生成して前記計測を行うことが好ましい。次に、ステップc)における決定は、基板の少なくとも一つの結晶面について、前記パターンの少なくともいくつかのHolz線幅の計測を含めることができる。これらHolz線幅から、各々のパターンについて、電子線軸に沿った最大回転βmaxを計算することができる。この回転は、基板上に配置した層(又は、複数の層)に依存し、前記角度がその特性を表す。
【0031】
次に、前記回転βmaxを、前記パターンが得られた深さの関数として表わした曲線が作図できる。また、シミュレーションにより、例えば、等方性近似の場合に解析される薄膜のヤング率及び/又はポアソン比等の抽出されたパラメータの推定値のため、前記回転βmaxを深さの関数として表した少なくとも一つの曲線の作成を可能にする。そして、これらのパラメータを決定するため、少なくとも一つのシミュレートした曲線とこれに対応する実験曲線との差の最小化を行うことが可能となる。同技術は、当業者が周知のパラメータによる等方性モデリングに使用できる。実験曲線に最も近似したシミュレートされた曲線のパラメータ値が得られる。
【0032】
本発明の上述した四つのポイントを以下に示す。
【0033】
ポイント(i): 制御された形状の薄いラメラを、素子から抽出するか又は素子内で薄くする。平行な面を有するラメラが好ましいが、必須ではなく、微小な角度はあってもよい。収束イオンビーム(FIB)を使用したが、電子顕微鏡検査法用の試料の調整において従来の別の方法を用いてもよい(機械的薄化、劈開等)。しかし、FIB技術は、迅速で、系又は素子を機械的に乱さず、操作を完全に制御できる利点がある。
【0034】
ポイント(ii): 変形を計測するため、収束電子線(CBED)を例えば走査モードで使用する。ナノスケールの電子線を、薄いラメラの変形を完全に写像するよう試料のさまざまなポイントに収束させる(図3)。その結果、CBED回折パターンが、各ポイントで得られる。このパターンは、多くのHolz線(10以上)から成り、各々が逆格子ベクトルgで指数化された結晶面に対応している。この晶帯中で適切な回折パターンを得るためには、部位Bは全般に余りにも薄く、欠陥が多過ぎるため、CBEDパターンは、基板(部位A)中で得るのが好ましい。しかし、一定の適切に結晶化された系では、晶帯a及びbのパターンを得ることも可能である。これは、例えば、層aがシリコン層であり、フィルムbが二つの薄膜、すなわち、Si1−xGexフィルム(低Ge組成x、例えば10%)とSiフィルムから構成されている場合であろう。
【0035】
所定のラメラ厚と所定の観察温度で、基板の結晶パラメータと回転とが決定できるように完全な一連のCBEDパターンを作製する。
【0036】
ポイント(iii): ラメラ厚さ(FIB技術で簡単に行うことが可能)と顕微鏡での観察温度とを変えることにより、弾性係数、部位Bの膨張係数、薄くしていない初期の素子におけるひずみの計算を可能にする(ポイントiv)完全な一連の実験データのポイントが得られる。もし部位Bを所定の同一の材料のフィルムで構成すれば、計測値に関して、異なる厚さに連続して薄くした同じラメラ上での計測は必要ない。しかし、単一のラメラ上での作業は、精度が向上し、系が単一のナノシステム(例えばトランジスター)で構成されている場合、これは極めて重要なことである。ラメラ厚さが単一だと、全ての材料の定数を正しく計算できない。単一のラメラ厚さでは、材料のひずみについてだけの情報しか得られない(これはStoney式での半導体ウェーハの曲率の研究のケースである)。ひずみは、基板の曲率により部分的に緩和される(例えば、“オンウェーハサブミクロンフィルムの弾性率、ポアソン比及び熱膨張係数の計測”Jie-Hua Zhao, Todd Ryan, Paul S. Ho., Andrew J. McKerrow 、 Wei-Yan Shih, Journal of Applied Physics (1999), 85(9), 6421-6424を参照)。
【0037】
ポイント(iv): 次に、実験結果を再現するため、弾性理論を用いたシミュレーションを行う。複合系では、有限要素計算のみが実施可能である。より簡単な系(部位B=薄膜)においては、解析式が実行される。シミュレーションは、以下の現象を再現する。
【0038】
初期の素子では、種々の部分が歪められ或いは部分的に歪められている−薄いラメラを初期の素子から抽出すると結晶パラメータの回転/変化の形でひずみが緩和し、このひずみ緩和の観察とシミュレーションで、部位Bのパラメータを決定することができる。
【0039】
本発明は、機械部品の表面処理、電子回路の最適化(金属コンタクト、酸化フィルム等)、又は二つの異なる材料の存在で必然的に機械的なひずみが生じる素子に広く適用できる。
【0040】
本発明による方法は、周知の技術や物理作用、すなわち、試料調製用FIB(収束イオンビーム)技術や電子顕微鏡検査法で使用する特定の技術である収束線技術(CBED,収束電子線回折)を使用しているにもかかわらず新規である。STREAMプロジェクト(例えば、“ひずみ計測に関するTEM/CBED法自動化のためのソフトウェア”IST-1999-10341 STREAM Consortium - Deliverable D23出版を参照)は、同様の技術(FIB、収束ビーム、シミュレーション)を使用しているが、その技術は、実質的に結晶パラメータの変化を計測している。一方、本発明による方法は、主に結晶格子の局部回転に注目している。又、STREAMプロジェクトの目的は、弾性係数の計測ではなく、集積回路の変形ひずみの計測である。
【0041】
STREAMプロジェクトは、素子の二つの部位A、Bから遠く離れた結晶パラメータの変化だけを計測し、薄いラメラのひずみ緩和を無視している。本発明によれば、結晶格子回転の検出により、その方法をより迅速で精密とし、部位A、B間の界面への接近を可能としている。
【0042】
本発明に係る方法の能力は、集積回路(図2aの試料1)中のNiSiフィルムで発生したひずみの解析により実証された。この系は、別個の電気接点や異なる材料が存在しているため、比較的複雑である。厳密な処理(それは事実上可能である)を行うためには、系の全ての構成要素を考慮しなければならない。
【0043】
第1の解析で、部位Bは大気に囲まれた無限の横の広がりを持つ薄膜と考えることができると仮定した。(NiSiフィルム上に位置する層は試験的に除去し、薄膜の厚さはt=20nm同等として計測した(図2b参照))。
【0044】
第3部の四つのポイントを実施する正確な手法を以下に説明する。
【0045】
これを行うため、種々の幾何学的座標系を定義することが必要である。
【0046】
R0=(x0,y0,z0)は、顕微鏡に係る幾何学的座標系を示す。z0軸は、顕微鏡の光軸と平行で、電子が試料まで伝搬する平均方向と定義される。像又は回折パターンは、(x0,y0)面に記録される。
【0047】
シリコン基板(部位A)の結晶構造に係る種々の座標系Rc=(xc,yc,zc)、R1=(x1,y1,z1)、R2=(x2,y2,z2)を定義する、ここで
である。
【0048】
座標系R2は、[001]軸を角度γ=11.31°回転させることにより座標系R1から導き出される(説明図2b参照)。顕微鏡座標系と結晶座標系との関係は、顕微鏡中の試料の配向に依存する。
【0049】
ポイント(i): 実質上平行な面を有する薄いラメラを、FIBにより作製した(注解1及び2を参照)。面の法線をy1方向に非常に近接するよう選択した(図2b)(しかし、ここで異なる幾何学的配置、例えば、y2も選択可能である)。第一の一連の実験における、ラメラ厚さtはt=320nmであった。この厚さを、比較的従来の収束線技術で計測した(“電子ミクロ回折”J.C.H. Spence及びJ.M. Zuo著(Plenum Publishing Corporation刊)を参照)。
【0050】
注解1)限界平行度を収束線及びエネルギーロス技術で計測した。これらの技術は、比較的従来技術である(収束線に関しては、前述の文献“電子ミクロ回折”J.C.H.Spence及びJ.M.Zuo著、エネルギーロスに関しては、“エネルギーフィルタ型透過型電子顕微鏡”、Reimer著、Springer Verlag刊を参照)。従って、ラメラの厚さは、上層から各種距離で計測した。上方のラメラが下方のラメラに対して1.15°の角度をなしていることがわかった。本実現可能性実証においては、この角度を無視し、ラメラは平行な面を有すると考えた。しかし、この角度を有限要素計算に導入することは可能である。
【0051】
注解2)FIBは、より平行なラメラを作製することも可能である。
【0052】
ポイント(ii): CBEDパターンは配向方向y2=[230]に沿って(又は非常に近接して)いた。つまり、y2はz0に平行であった。これが、STREAMプロジェクトで使用される方向である(しかし、他の視点での方向も可能である。いろいろな方向にCBEDパターンを形成すると実験データのポイント数が増えるであろう)。代表値として、電子線の大きさを0.4nm同等とし、電子線角度を約15mradとした。走査時、表面に垂直な方向(z2方向)で、表面から開始し、4nm毎に50から100個のCBEDパターンを採取する。しかし、約10個のパターンしか計算に使われない。図3は、5個の実験パターンを得たz2軸に沿った位置を示す。
【0053】
種々のタイプのCBEDパターンを定義できる。
【0054】
a)部位A、B間の界面から遠く離れると、計測精度上シリコン基板は変形しないと考えられる(例えば、図3aの−z2=300nmのパタ−ン)。これはSTREAMプロジェクトでおこなわれているように、実験パラメータを決めるための参考とすることができる。
【0055】
b)界面に近接することにより、Holz線は細いままであるが、わずかにシフトを始める(基板の結晶パラメータは非常に僅かな変形を受ける)。これがSTREAMプロジェクトで計測され、定量化される結果である。
【0056】
c)より界面に近づくと、Holz線は広がる(例えば、図3aの−z2=139nmのパターン)。これをHolz帯と呼ぶ。これが以下で計測され、定量化される結果である。
【0057】
d)さらにより界面に近づくと、Holz線は、広く弱くなりすぎる。すなわち、CBEDパターンは、もはや、定量化に充分なディテールを有していない(例えば、図3aの−z2=70nmのパターン)。
【0058】
ポイント(iii): 厚さt=320nmでの一連の計測が終わると、ラメラを更に厚さt=300nmまで薄くする。次に、第二の一連の計測を行う。第一の厚さ14個のパターンと第二の厚さ10個のパターンを選択した(図5を参照)。この数は回転の変化を再現するのに充分である。
【0059】
ポイント(iv): 界面から遠く離れたCBEDパターン(CBEDパターンタイプa)のHolz線の位置を再現するため、JEMSソフトウェア(P.Stadelmann,CIME-EPFL CH1015-LAUSANNE)を使用したが、他のソフトウェアパッケージ又は前記Spence及びZuo著の文献で示された理論を使用してもよい。シリコン基板(基準結晶)のこれらHolz線をパターンタイプ−cのCBEDパターン上に転写すると、これらの線は、Holz帯の中央に位置する(ラメラは均一で対称である)。これらHolz帯の一端の位置を、x2//[3−20]軸を角度−θmax回転させることで基準結晶を傾けて、JEMSソフトウェアでシミュレートする(図5bのHolz線)。第二端の位置を、x2//[3−20]軸を角度θma回転させることにより基準結晶を傾けて、JEMSソフトウェアでシミュレートする(図5bのHolz線)。その結果、角度Δθ=2θmaxの回転で、Holz帯の可変幅Δθgを適切な近似で再現することができる。
【0060】
FIB技術による薄化操作の前に、シリコン基板は歪みを生じるが、一般的に僅かしか変形しない。薄化後、部位A、B間の界面により発生したひずみは緩和される。これにより、各座標点(y1,z1)で、有限要素は、y1及びz1軸に沿って成分uとvを変位R(y1,z1)させる。この変位は、局部的平行移動と、純粋な変位ε(y1,z1)と、x1軸の角度β(y1,z1)
の局部回転に分解できる。
【0061】
JEMSソフトウェアのシミュレーションは、Holz線がHolz帯に広がる主な原因が、電子線(z0方向)に沿ったこの局部回転β(y1,z1)であることを表している。x1軸の角度β(y1,z1)の回転は、x2軸の角度θ(y1,z1)の回転と、y2軸の角度θ’(y1,z1)の回転と、z2軸で角度θ’’(y1,z1)の回転との三つに分解できる。
これら三つの回転の内、最初の回転のみが重要で、第一の指図によって、下記の式を与える。
θ(y1,z1)=0.98β(y1,z1)
特に、第一の指図によって、角度θmaxが0.98βmaxに等しいことを下式で表した。ここで、βmaxは、電子線に沿った、つまりy2方向に沿った角度β(y1,z1)の最大値である。又、同じことではあるが、本ラメラはx1軸において周期的であるため、y1方向に沿った角度β(y1,z1)の最大値となる。
θmax(z1)=0.98βmax(z1)=0.98Max(β(y1,z1))。
【0062】
この実現可能性実証において、この近似特性を材料の定数の最適化に使用する。その結果、深さz2で得た各CBEDパターンは、単一パラメータΔθ(z2)=2θmax(z2)で特徴付けられる(図3b)。
【0063】
図6に示す曲線は、実験で計測した Dq 値と有限要素計算から決めた0.98Δβ値(ここで、Δβ=2βmax)で作図される。
【0064】
図6a及び図6bの計算曲線は、文献から得たNiSi材料に関するパラメータを使用する。実験曲線をより適切に再現するため、NiSi材料のパラメータは、図6cと図6dに示す計算曲線の計算で変化させる。試行錯誤により、NiSi層についての定数(ヤング率Eとポアソン比ν)を得る(等方性近似を使用)。
【0065】
ここで、有限要素の使用について、少し詳細に説明する。商用ソフトウェアと平面変形近似を使用した。
【0066】
三つの特定の状態が重要である。
【0067】
状態1: シリコン基板とNiSiフィルムが合着し、ひずみがない温度T0=T1+ΔTが存在すると仮定する(この温度は必ずしも得られない−“仮想合着温度”と呼ぶことができる)。
【0068】
状態2: 温度T0で合着する厚さtの薄いラメラを実験温度T1=T0−ΔTに冷却する。ひずみを薄いラメラの表面で部分的に緩和する。
【0069】
変位R(y1,z1)を決めるため、固体力学の古典的な法則を使用した。特に、応力とひずみとの式は以下で与えられる。
【0070】
ここで、ΔT=T0―T1、Eはヤング率、νはポアソン比、αは熱膨張係数である。この式を、平面ひずみの仮定を用いて、シリコン基板(EA=156GPa,νA=0.277、αA=2.6×10−6K−1)とNiSi薄膜(EB、νB、αB及びΔTは、実験曲線と計算曲線との間の距離χを最小化することにより最適化される(図6を参照))とに適用する。ひずみは、入射電子軸の方向、y1//z0及びz1軸により確定される平面において計算した。
【0071】
状態3: ラメラの抽出前に、表面を介してひずみが緩和されないよう系をより歪めた。いったんパラメータ(例えば、弾性係数や熱膨張係数)が決まると、薄化前の集積回路におけるひずみは、現行の方法で決定できる。トランジスターにおけるひずみは、最適化した定数を使い計算する。このひずみは、非常に大きな厚さt0のラメラの中央で得たひずみ、あるいは、無限厚みの周期的なラメラのひずみである。
【0072】
注解:
R1) ポイント(iv)に関して、この実行可能性実証において、弾性係数は、自動最適化が可能だが、手作業で調製する。
【0073】
R2) ポイント(iv)に関して、また近似式θmax=0.98βmaxも使用した、すなわち、Holz帯の全幅Δθgのみを考慮した。Holz帯全体の再現に、非常に精度は良いが長い調製を必要とする。そして、各CBEDパターンは、もはや単一の値Δθのみでは特徴付けられず、図7bに示すのと同一の一連のグラフで特徴付けられる。
【0074】
このグラフは、事実上、関数1−Ag2(s)を表す。ここに、Ag(s)は,添え字gの平面により回折した波動関数の振幅であり、sは,この平面gについてブラッグ則からのずれを計測する。Spence及びZuoの前述の文献で説明されているように、sとθとは簡単な式で関連しており、Ag(s)を計算するため種々の近似を行うことができる。y2//[230]方向で得たCBEDパターンの細かいHolz線に関して、二波近似又は運動学近似が同じ物理学上の結果を与えることを示している。運動学近似において、下記式が与えられる。
【0075】
この場合、最小化するパラメータは、図7bと図7cとに示すタイプの曲線間の距離の合計である。上記式の利点は、回転だけでなく純粋な変形がR(y2,z2)項の中で考慮されている点である(たとえHolz帯の拡張における本質的な効果が、局部回転による効果であったとしてもである)。
【0076】
R3) ポイント(i)とポイント(ii)は、第三部で記載した試料についてもなされた。
【0077】
R4) 異なる温度でのひずみの計測において、方法の原理は同じであり、相対的に従来通りである。異なる温度での計測を導入すると、実験データーポイントの数と最適化するパラメータの数が結局増加する。方法は全く同じである。
【0078】
図9に示すフローチャートは、詳細に上述した本発明の方法を実施する方式の概要を示す。
【0079】
方法のステップE1は、基板の一部と該基板上に配置したフィルムの一部とを含む少なくとも一つのラメラの切断である。この切断が、ひずみを緩和し(E2)、その結果、前記ラメラが変形する。ステップE3で、少なくとも一つの変形パラメータ(好ましくは、回転β)をフィルム/基板の界面からの種々の深さで、ラメラ上の複数のポイントに対応し計測する。
【0080】
ステップE1からステップE3とは別に、典型的には有限要素解析により、いわゆる切断前の歪んだラメラのモデリングを行う。これを行うため、ヤング率E’、ポアソン比ν’及び合着温度T0’等の薄膜の機械的特性の初期推定を行う(ステップE4)。次に、ステップE5でひずみの緩和をモデリングする。これは、組み付けた(ゼロ)変位境界条件を自由境界条件に置換えることにより行うことができる。ステップE6において、ステップE3の計測値が得られたポイントに対応する一つの変形パラメータ又は複数の変形パラメータの期待値ε’及びβ’をシミュレーションに基づいて決定する。
【0081】
好ましくは、しかし必ずしも必要ではないが、ステップE1からステップE6を異なる厚さの複数のラメラ、又は、一般的には異なる形状を有するラメラ、及び/又は、異なる温度で繰り返し行う。
【0082】
計測値と期待値間での二乗平均平方根誤差を計算し(E7)、薄膜の機械的特性の推定値を変化させることにより最小化し(E9)、収束するまでステップE4からステップE7を繰り返す(E8)。
【0083】
このようにして、前記薄膜の機械的特性の最適な推定値を二乗平均平方根誤差内で得る(E10)。
【0084】
このようにして得られた情報は、任意的に、ステップE11において、薄膜及び/又は基板の、変形及び/又はひずみ状態を計算するために使用される。
【0085】
上記記載は、実質上、薄膜を蒸着した基板の場合と、基板と薄膜との間の界面に垂直な互いにほぼ平行な面を有するラメラにより形成された試料での計測とに限定した。しかしながら、この方法は、異なった形状を有する試料、例えば、くさび形状にも適用する。重要なことは、モデリングを可能にするため、試料の形状を正確に知ることと、ひずみの緩和を可能にすることである。
【0086】
同様に、薄膜の機械的特性のより適切な推定値を得るために複数の試料を計測する場合、前記試料の機械的特性を試料の厚み以外も変化させる。例えば、面間で異なる角度及び/又は薄膜/基板の界面を基準に傾いた異なる角度を有する一連のくさび形状の試料を使用できる。
【0087】
表面層の特徴付けが特に重要であるので、薄膜/基板界面から異なる深さで、種々の変形パラメータの計測を行った。より一般的には、包接物、繊維又はフィラメントの場合、“深さ”という用語はもはや適用できず、論点である二つの相間の界面からのたんなる距離となる。少なくとも幾つかのケースでは、さらにいくつかの計測ポイントは、特性を決定するナノスケール又はミクロスケールの相内に位置している。
【0088】
計測技術については、CBED以外の方法、例えば、LACBED(大角度収束電子線回折)等を使用しても良い。
【0089】
本実施例では、考慮した変形パラメータは、Holz線の拡張Δθの計測により決定した回転角度βのみであった。純粋な変形に関連するHolz線の変位もまた考慮に入れることが可能である。より一般的には、本発明の方法は、種々の直接計測した量から決定した一つ以上の変形パラメータの使用を含むことである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】図1aから図1fには、検討する素子の種々の構成を図示する。図1aは単一フィルム、図1bはメタライゼーション帯又は島、図1cは基板に含まれた晶帯を有するフィルム、図1dはトランジスター、図1eは基板内部の薄膜、そして、図1fはマトリックス中の繊維を示す。全体を通して、Aは基板又はマトリックスを表し、Bは特性を決定するミクロスケール又はナノスケールの相を表す。
【図2】図2a及び図2bは、シリコンSiから作製された基板を有するトランジスターの断面図を示す。シリコン製基板は、厚さeが20nmのNiSiフィルムとSi3N4フィルムとを有している。タングステンコンタクトは、ドレインコンタクトDを構成する。解析した晶帯(図2b)を矢印Fで示す。図2bに示す薄いラメラは厚さt(変更可能)を有する。CBEDパターン(方向z0)用の電子の平均入射線は、ラメラに対して垂直なy1軸と角度γをなすy2軸に沿っている。その方向及びそれに相当する結晶軸を図2bに示す。尚、CBEDは収束電子線回折を表す。
【図3】図3aは、ドレインコンタクトDからの距離155nmにおいて、表面に垂直な直線(−z2方向)に沿って実際に獲得した約50の像から選択した5つのCBED回折パターンを例示する写真のモンタージュである。各パターンについて、基板の表面(薄膜を有する界面)からの距離−z2(ナノメーター単位)と計測角度Δθを図3bに示す。図3bの曲線は、−z2の関数として計算した角度Δθの変化を示す。
【図4】図4aは、深さz2=300nmのひずみのないシリコンにおける[230]晶帯軸に沿ったCBED回折パターンを示す(x2//[3,−2,0],y2//[2,3,0],z2//[001])。図4bは、“JEMS”ソフトウェアにより位置決めされたHolz線があらかじめ調整された図4aである。このHolz線の位置決めは、入射線の半収束角度や加速電圧の正確な決定を可能にする(ここで用いた方法は、“STREAM”プロジェクトで使用した方法と同じである)。
【図5】図5aは、変形したシリコンにおける[230]晶帯軸に沿ったCBEDパターンである(深さz2=140nmで得たCタイプのCBEDパターン)。図5bにおいて、“JEMS”ソフトウェアによる三つのシミュレーションから得られたHolz線をこのパターンに重ねた。・Holz線の第一の系は、x2//[3−20]軸を基準として+θmax傾斜した完全なシリコン結晶の回折パターンのシミュレーションを表す。・Holz線の第二の系は、x2//[3−20]軸を基準として+θmax傾斜した完全なシリコン結晶の回折パターンのシミュレーションを表す。・Holz線の第三の系(破線)は、傾斜していない完全なシリコン結晶の回折パターンのシミュレーションを表す。角度2θmaxはΔθで表される。
【図6】図6aから図6dは、材料の弾性係数最小化の実現可能性を示す。合着温度T0(二つの材料が合着する仮想温度)、ヤング率E、ポアソン比νの三つのパラメータを手動で試行錯誤により最小化した。四角は角度Δθの実験に基づく計測値を表す。多くのからなる曲線は有限要素シミュレーションから得られ、この曲線は角度0.98Δβを表す。ここで、Δθ=2βmaxである。最小化判定基準χは、このケイ化物下の種々の深さz2と種々のラメラ厚tについて、計測角度Δθと計算角度0.98Δβとの差を決める。 図6a;ラメラ厚t=300nm、文献から得たパラメータの初期値T=410℃;E=150GPa;ν=0.1; 図6b;ラメラ厚t=300nm、文献から得たパラメータの初期値T=410℃;E=150GPa;ν=0.1; 図6c;ラメラ厚t=320nm、部分的手動最小化後の最終値T=430℃;E=115GPa;ν=0.288; 図6d;ラメラ厚t=320nm、部分的手動最小化後の最終値T=430℃;E=115GPa;ν=0.288。
【図7】図7aは、表面からの距離−z2=84nmでラメラ厚t=320nmについて得たCBED回折パターンである。図7bは、図7aの(5,−3,7)Holz帯上で得たグラフである。角度差Δθgは、二つの縦線で区分されておりHolz帯の幅を表す。図7cは、図7bのグラフのシミュレーションで、Holz線の拡張やHolz帯の強度変化1−Ag2(θ)の再現が可能であることを示している。このシミュレーションには、ポイントivの例(最適化した弾性係数及び変位R(y1z1))である有限要素計算の結果を用いた。Δθgは0.11°に等しく、x2軸の角度Δθ=0.14°の回転に相当する。事前の計算では、x2//[320]軸の幅Δθgは無視した。より正確な最小化アルゴリズムでは、単に幅Δθgを角度Δθに再現するのではなく、振幅で、7bと同じ曲線を全体で再現しようとしている。
【図8】図8aから図8dは、第二の実験例を示し、シリコン基板Aの表面にSi(1−x)Gexフィルム、次に、Siフィルムが載っている。図8aは厚さtの薄いラメラを示す。図8bから図8dは、それぞれ変形した晶帯から離れたSi基板と、変形した晶帯に近いSi基板とにおけるSi(1−x)Gexフィルム内での[230]方向のCBED回折パターンである。
【図9】図9は本発明の方法を実施する一つの方式のフローチャートを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの異なる相(A,B)を有する複合系において、少なくとも一つの材料の少なくとも一つの機械的パラメータを決定する方法であって、
a)第一相(A)の第一部分と特性を決定する材料からなる第二相(B)の第二部分とを有する試料(L)であって、該試料中のひずみを緩和可能とする充分に小さい少なくとも一つの寸法(t)を有するすくなくとも一つの前記試料(L)の作製と、
b)前記第一相(A)と前記第二相(B)との界面から異なる距離に位置する複数のポイントに対応した、前記試料(L)の少なくとも前記第一相(A)の少なくとも一つの変形パラメータ(β)の計測と、
c)少なくとも前記変形パラメータ(β)に基づく、前記第二相の少なくとも一つの機械的パラメータの決定と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
i)少なくとも一つの幾何学的特性が互いに異なる複数の試料(L)の作製と、
ii)前記各試料(L)上での前記ステップb)の実施と、
iii)前記複数の試料で計測された値の前記ステップc)での使用と、
を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
少なくとも一つの試料(L)に前記ステップb)を少なくとも二つの異なる温度で繰り返す請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ステップc)は、
i)前記第二相(B)の材料の少なくとも一つの機械的特性の初期推定値を使用することによる前記試料(L)におけるひずみ緩和のモデリングと、
ii)前記ステップb)の計測結果と前記モデリングの結果との比較と、
iii)前記第二相の材料の少なくとも一つの機械的特性の前記推定値の修正と、
前記計測結果と前記モデリング結果との間の差を最小化するまで前記サブステップi)からiii)を繰り返すこと、を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記モデリングは、有限要素数値シミュレーションである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記複合系は、表面上に連続層を有する基板、表面上にメタライゼーション帯または島を有する基板、基板中に含まれる晶帯を有する層、トランジスター、基板の内部の層、包接物を含むマトリックス、繊維またはフィラメント、の中から選択される請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料(L)は、少なくとも一つのミクロスケールまたはナノスケールの寸法(t)を有する請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記試料(L)は、前記第一相(A)と第二相(B)との間の界面に略垂直に位置する二つの略平行な面を有するラメラである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
異なる厚さの複数のラメラ(L)の作製を含む請求項2又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記試料は、前記第一相(A)と第二相(B)との間の界面に対して角度をなして配置したラメラである請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第一相(A)と第二相(B)との間の界面に対して異なる角度で配置した複数のラメラの作製を含む請求項2又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記試料は、二つの面を有し該面と面との間で角度をなすくさび形状のラメラである請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
二つの面を有し該面と面との間の角度を異なる角度とする複数のラメラの作製を含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップb)で提供される計測値は、収束電子線回析により計測される請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップb)は、前記第一相(A)の少なくとも一つの結晶面についてのHolz線の観察と、前記Holz線の幅、位置および内部構造のうちの少なくとも一つのパラメータの決定とを含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記ステップb)は、前記Holz線の少なくともいくつかの少なくとも幅の決定と、該Holz線幅の各々についての電子線軸に沿った最大回転βmaxの計算とを含む請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ステップc)は、前記第一相(A)と第二相(B)との間の界面を基準にした距離の関数として前記最大回転を表す少なくとも一つの曲線の作図を含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ステップc)は、
シミュレーションによる、前記第二相(B)の材料のヤング率及び/又はポアソン比の推定値のため、前記第一相(A)と第二(B)相との間の界面を基準にした距離の関数として前記最大回転βmaxを表す曲線の作図と、
前記第二相(B)の材料のヤング率及び/又はポアソン比を決定するための、シミュレートした曲線と実験曲線と間の差の最小化とをさらに伴う請求項17に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2007−528998(P2007−528998A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査
【出願番号】特願2006−519968(P2006−519968)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001877
【国際公開番号】WO2005/010479
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500511590)
【Fターム(参考)】
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査対象項目 | 弾性率 | 伸び弾性率(縦弾性係数)
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査対象項目 | 弾性率 | ポァソン比
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | シート状
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | シュミレーション装置を有するもの
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | コンピュータ装置を内蔵するもの
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 荷重
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | 歪み
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定された変化量の取扱い | データの電気的処理 | 演算処理
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