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複合膜、その製造方法、吸着フィルタ及び流体処理方法
説明

複合膜、その製造方法、吸着フィルタ及び流体処理方法

【課題】極低濃度イオンを除去する能力と、高い透水性と長寿命を有する液濾過用フィルタ、その製造方法及び液濾過方法を提供する。
【解決手段】イオン交換エレメント20は、芯材10と、この芯材10の外周に巻回された、流路材シート4と積層シートとを備えている。この積層シートは、イオン交換繊維の不織布4,4間にイオン交換フィルム3を介在させたものである。積層シートを加熱ロール1,2間を通すことにより不織布4をフィルム3に圧着させると共に、加熱ロール1の突起1aによりエンボス加工を施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン交換処理などに用いられる複合膜及びその製造方法と、この複合膜を用いた吸着フィルタと、この吸着フィルタを用いた流体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスなどで用いられる超純水の高純度化の要求は年々厳しくなってきている。ITRS2005によると、2008年には超純水中の金属イオン濃度を0.5ng/L以下にするロードマップが提示されているが、半導体製造各社は、金属濃度がより低濃度の超純水を求めている。水処理メーカーは前倒しで金属イオン濃度を低減しており、最新の超純水製造設備においては、ほとんどの金属を0.5ng/L以下に低減した超純水を製造することができるものもある。
【0003】
超純水中の金属濃度を低減する方法として、ユースポイント直前にイオン交換フィルタを設置する方法がある。
【0004】
従来のイオン交換フィルタとして、不織布あるいは多孔質膜といった平膜をプリーツ型にしたもの(例えば特許文献1)がある。
【0005】
イオン交換膜として、イオン交換樹脂を溶媒中に溶解または分散させてキャスト原液とし、該キャスト原液を基材フィルム上にキャストさせた後、乾燥させて、次いで該基材フィルムから剥離させたキャスト膜が公知である(例えば特許文献2,3)。この特許文献3には、相分離法を利用して製造した多孔質のイオン交換膜が記載されている。
【0006】
繊維径がナノメーターオーダーである極細のナノファイバの製造方法として電界紡糸法(静電紡糸法)が公知である(下記特許文献4,5等)。この電界紡糸法では、ノズルとターゲットとの間に電界を形成しておき、該ノズルから液状原料を細繊維状に吐出させて紡糸が行われる。細繊維は、ターゲット上に集積されて繊維体となる。なお、本発明者は、イオン交換基を有する極細の繊維(ナノファイバ)を用いたイオン交換フィルタを提案している(特許文献6)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−206509
【特許文献2】特開2000−327809
【特許文献3】特開2006−193709
【特許文献4】特開2007−92237
【特許文献5】特開2006−144138
【特許文献6】特開2009−219952
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プリーツ型イオン交換フィルタは、プリーツの折り込み部分に流れが偏りやすく、上述の超純水のような極低濃度域では十分な除去率を得ることはできない。また、膜厚が薄いために破過が早く寿命が短い。また、イオン除去率を向上させるため、膜厚を厚くしたり、膜の細孔を小さくすると、透水性が犠牲となる。
【0009】
イオン交換基を有するナノファイバーを用いたイオン交換フィルタは、イオン交換速度は大きいが、イオン交換容量が小さく、寿命が短い。寿命を長くするためにフィルタを厚くしたり積層したりすると、圧力損失が増大する。
【0010】
本発明は、半導体産業等における超純水の高純度化の要求を満たす、極低濃度イオンを除去する能力と、高い透水性と長寿命を有する複合膜と、その製造方法と、この複合膜を用いた吸着フィルタと、この吸着フィルタを用いた流体処理方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明(請求項1)の複合膜は、吸着性官能基を有するフィルムと、該フィルムの少なくとも一方の面に積層配置された吸着性官能基を有する繊維よりなる不織布とを有し、該フィルムと不織布とが一体化した複合膜であって、該複合膜の該不織布が積層配置された面に凹部及び/又は凸部が形成されていることを特徴とするものである。
【0012】
請求項2の複合膜は、請求項1において、該フィルムがイオン交換樹脂よりなるフィルムであり、該不織布がイオン交換樹脂のナノファイバーよりなる不織布であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3の複合膜は、請求項1又は2において、各凹部の平均の開口面積及び/又は凸部の平均の横断面積は0.01〜2mmであり、各凹部の最深部の深さの平均値及び/又は各凸部の高さの平均値は5〜100μmであり、複合膜1cm当たり3〜100個の凹部及び/又は凸部が設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項4の複合膜は、請求項1ないし3のいずれか1項において、該フィルムの両面に該不織布が積層配置されており、複合膜の一方の面に凹部が形成されており、複合膜の他方の面に、該凹部と対応した位置に凸部が形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項5の複合膜は、請求項1ないし4のいずれか1項において、前記凹部及び凸部の平面視形状が、円形、楕円形、三角形又は四角形以上の多角形、あるいはこれらの一部を組み合わせた幾何学形状であることを特徴とするものである。
【0016】
本発明(請求項6)の吸着フィルタは、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の複合膜を用いたフィルタであって、該フィルタの面方向に流体を流して該流体中の含有物質を該複合膜に吸着させるものである。
【0017】
請求項7の吸着フィルタは、請求項6に記載の吸着フィルタであって、該複合膜と流路材シートとを重ねてロール状に巻回されて巻回体とされていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明(請求項8)の流体処理方法は、請求項7に記載の吸着フィルタに対し、巻回体の一方の端面から他方の端面に被処理流体を流すものである。
【0019】
本発明(請求項9)の複合膜の製造方法は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の複合膜を製造する方法であって、前記フィルムと不織布とを積層した積層シートを第1の加熱ロールと第2の加熱ロールとの間で挟圧することにより、該フィルムと不織布とを圧着して一体化した複合膜を製造する方法であって、該第1の加熱ロールの外周面にエンボス加工用の突起を設けておき、該複合膜の一方の面に、該突起の押圧痕よりなる凹部を形成することを特徴とするものである。
【0020】
請求項10の複合膜の製造方法は、請求項9において、第1の加熱ロールの前記突起を前記積層シートに押し付けることにより、複合膜の他方の面に凸部を突出させることを特徴とするものである。
【0021】
請求項11の複合膜の製造方法は、請求項10において、前記第2の加熱ロールの外周面は平滑であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明の複合膜にあっては、吸着性官能基を有するフィルムの少なくとも一方の面に、吸着性官能基を有した繊維よりなる不織布が配置され、この不織布が該フィルムに対し一体化されている。このように、少なくとも一方の面に、吸着性官能基を有した繊維の不織布を備えたことにより、不織布の無い表面が平滑なフィルムの比表面積が大きくなり、また界面での水の流れが乱流化され、界面での拡散が促進されるので、吸着効率が向上する。また、この複合膜には凸部及び/又は凹部が形成されているので、比表面積が大きく、比表面積が大きくなると共に、界面での水の流れが乱流化されるので、吸着効率が向上する。
【0023】
複合膜の一方の面に凹部を形成するだけでなく、他方の面に凸部を形成することにより、この他方の面でも比表面積が増加すると共に、乱流化が促進され、イオン交換効率が向上する。
【0024】
この複合膜がイオン交換膜である場合、繊維に吸着されたイオンがフィルムに移動してフィルムに包蔵されるので、複合膜のイオン交換容量が大きいものとなる。
【0025】
この複合膜は、好ましくは流路材シートと共にロール状に巻回して巻回体とされ、その一端面から他端面に向って被処理液が通液される。このように積層シートが流路材シートを有すると共に、被処理液が吸着フィルタの一端面から他端面に向って流れるので、圧損が小さい。また、一端面から他端面までの間の複合膜の全体が吸着帯となり、吸着帯長さが大きいので、破過までの時間が長くなり、複合膜の寿命が長いものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係るイオン交換フィルタの製造方法を示す断面図である。
【図2】実施の形態に係るイオン交換フィルタの一部の拡大断面図である。
【図3】実施の形態に係るイオン交換フィルタを示す構成図である。
【図4】実施の形態に係る吸着フィルタの構成図である。
【図5】別の実施の形態に係る吸着フィルタの構成図である。
【図6】異なる実施の形態に係る吸着フィルタの構成図である。
【図7】実施例1で製作したイオン交換フィルタの顕微鏡写真である。
【図8】実施例1で製作したイオン交換フィルタの拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、以下の説明では被処理液として水が通水されるが、水以外の液体であってもよく、気体でもよい。
【0028】
第1図は実施の形態に係る複合膜としてのイオン交換フィルタ及びその製造方法を示す模式的な断面図、第2図(a)はイオン交換フィルタの一部の拡大断面図、第2図(b)は同(a)のB−B線矢視図である。
【0029】
第1図の通り、第1の加熱ロール1と第2の加熱ロール2との間に、イオン交換樹脂よりなるフィルム3とイオン交換樹脂よりなる不織布4,4との積層体5を通過させ、不織布4,4をフィルム3に圧着させてイオン交換フィルタ6とする。一方の加熱ロール1にはエンボス加工用の突起1aが設けられており、イオン交換フィルタ6には第2図(a)の通り一方の面に凹部7が形成され、他方の面に凸部8が形成される。
【0030】
なお、加熱ロール1,2はいずれも鋼などの金属製であり、突起1aは加熱ロール1にのみ設けられているが、製造実験を種々繰り返した結果、一方の面に凹部7が形成され、他方の面に凸部8が形成された。これは突起1aを積層体5に押し込んだときに圧縮応力がフィルム3に残り、積層体5が加熱ロール1,2間を通り抜けるときにこの応力によって凸部8がイオン交換フィルタ6の加熱ロール2側(他方の面)に突出形成されるものと推察される。
【0031】
フィルム3の厚さは5〜500μm、特に25〜80μm程度が好適である。不織布4の厚さは2〜100μm、特に5〜30μm程度が好適である。フィルム3と不織布4を構成するイオン交換樹脂のイオン交換特性は同じものとする。即ち、フィルム3及び不織布4をいずれもカチオン交換樹脂とするか、又はフィルム3及び不織布4をいずれもアニオン交換樹脂とする。なお、フィルム3及び不織布4の好適な材料や構成については後述する。
【0032】
この実施の形態では、フィルム3の両面に不織布4を配置しているが、不織布4を一方の面にのみ配置してもよい。
【0033】
加熱ロール1,2の直径は50〜500mm、特に100〜250mm程度が好適である。
【0034】
エンボス加工によって形成される凹部7及び凸部8の平面視形状(第2図(b)に示すようにイオン交換フィルタ6に正対して見たときの形状)は、三角形又は四角形以上の多角形、円形、楕円形あるいはこれらの一部を組み合わせた幾何学形状などのいずれでもよい。1個の凹部7及び凸部8の平均横断面積は0.01〜2mm、特に0.07〜0.5mm程度が好適である。なお、横断面積はフィルム面と平行方向の断面積を表わす。正方形の凹部7及び凸部8の場合、一辺の長さaは50〜1500μm、特に200〜800μm程度が好適である。凹部7の平均深さdは5〜100μm、特に10〜60μm程度が好適であり、凸部8の平均高さhは5〜100μm、特に10〜50μm程度が好適である。凹部7及び凸部8の配置密度は3〜100個/cm、特に5〜50個/cm程度が好適である。
【0035】
第3図の(a)図はこのようにして製造されたイオン交換フィルタ6を巻回する方法を示す断面図、(b)図は積層シートの断面図、(c)図はイオン交換フィルタ巻回体の斜視図である。
【0036】
このイオン交換フィルタ6は、流路材シート9と積層されて積層シートとされ、芯材10の外周に巻回される。芯材10は中実の棒状であってもよいが、重量軽減のために中空パイプ状であってもよい。ただし、水がパイプ内を長手方向に流れないようにパイプの端部を閉止する。また、パイプの外周面にも孔を設けない。芯材の直径は1〜50mm特に3〜20mm程度が好適である。芯材の材質はポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンのほか、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂が好適であるが、これに限定されない。
【0037】
流路材シート9は、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステル、ポリスルホンなどよりなる不織布、織布、格子状ネットなどが好適である。流路材シートの厚さは0.1mm〜5mm、特に0.5〜2mm程度が好適であり、細孔径は100μm以上(目開き:50%〜90%)程度が好適である。
【0038】
この積層シートを芯材10の外周にロール状(渦巻状)に巻回してイオン交換フィルタの巻回体よりなる吸着フィルタとしてのイオン交換エレメント20とする。この巻き付けによる層の数(芯材10を回転させる場合は、合計の回転数)は10〜200特に30〜100程度が好適である。このロール状巻回体よりなるイオン交換エレメント20の一端面から他端面に向って被処理水が通水される。
【0039】
イオン交換シートをロール状に巻回したイオン交換フィルタ(吸着フィルタ)に対し一端面から他端面に向って通水した場合、該イオン交換フィルタの巻回軸心方向の長さが吸着帯の長さとなり、吸着帯長さが大きくなる。これにより、破過時間が長くなり、フィルタの寿命が長くなる。また、ロール状巻回体の軸心線と平行に通水することにより、圧力損失が小さくなる。
【0040】
第4図は、第3図のイオン交換エレメント(吸着フィルタ)20を組み込んだ液濾過用フィルタ装置30の一例を示す平面図である。
【0041】
この液濾過用フィルタ装置30は、被処理水の流入口21と濾過水の流出口22とを有した円筒状のハウジング23内に、複数個のイオン交換エレメント20を同軸状に配置したものである。イオン交換エレメント20の上流側及び下流側には、支持体24が配置されている。この支持体24は、上流側のイオン交換エレメント20から流出してきた水を分散させて下流側のイオン交換エレメント20に流入させる機能を有するものが望ましい。支持体24は分離膜(精密濾過膜、限外濾過膜など)及び/又は多孔円板よりなるものであってもよく、後述の第6図の支持体41のように構成されたものであってもよい。
【0042】
第5図のように、この液濾過用フィルタ装置30を耐圧容器25内に配置し、供給口26からこの耐圧容器25内に被処理水を供給して液濾過用フィルタ装置30内に流入させてもよい。この場合、ハウジング23の流入口側のエンドプレートは省略されてもよい。
【0043】
第6図(a)は流入口34及び流出口35を有した円筒状ハウジング33内に複数個(この場合は2個)のイオン交換エレメント20を支持体41を介して同軸状に配設した液濾過用吸着フィルタ40の断面図、同(b)は支持体41の分解断面図、同(c)は支持体41の分解平面図である。第4図ではイオン交換エレメント20が2個設けられているが、3個以上であってもよく、通常は1〜5個程度が好適である。
【0044】
支持体41は、多数の孔42aを有し、外周面にOリング42bが装着された多孔板42と、この多孔板42に重なるメッシュ43と、このメッシュ43に重なる精密濾過膜44と、精密濾過膜44に重なるOリング45とを有している。Oリング42b、45によって支持体41の位置が固定されると共に、ハウジング33の内周面と支持体41の外周面との間からの漏水が防止される。精密濾過膜44によって微粒子を除去すると共に、支持体41よりも上流側のイオン交換エレメント20を通過する水の流量を制御し、ショートパスや偏流を防止ないし抑制する。
【0045】
ハウジング33の一端側の流入口34から他端側の流出口35へ被処理水を流した場合、該ハウジング33内に複数のイオン交換エレメント20を直列に設置しているので、1つのイオン交換エレメント20に水の流れやすい部分と流れ難い部分ができることによって、ショートパス・偏流が発生した場合でも、下流側のイオン交換フィルタに流入する前に水の合流が起こるため、ショートパス・偏流が液濾過用フィルタ装置の全長に及ばない。
【0046】
また、イオン交換エレメント20の前後に支持体41を設置することで、水を混合し整流すると共に、支持体41の通水の抵抗により水の流量を制御することができる。これにより、ショートパス、偏流をさらに軽減することができる。
【0047】
多孔板42の材質としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリテトラフルオロエチレンなどを挙げることができる。
【0048】
メッシュ43としては、ポリオレフィン(特にポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリエステルなどが好適であり、厚さは0.05mm〜3mm、特に0.1〜2mm、細孔径10μm以上(目開き:30%%〜90%)の範囲であることが望ましい。
【0049】
精密濾過膜44の材質としては、ポリビニリデンフロライド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホン、ポリアミド、セルロース系を挙げることができる。精密濾過膜24の厚さは0.05mm〜0.5mm、好ましくは0.1〜0.3mm、細孔径0.02〜1μm特に0.02〜0.45μmの範囲であることが望ましい。
【0050】
支持体41はイオン交換繊維の織布又は不織布を有していてもよい。このイオン交換繊維の材質は後述のイオン交換繊維シートと同様のものを用いることができる。この織布又は不織布としては、高分子溶液を電界紡糸、溶融紡糸することで得られる繊維径0.01〜5μm、厚さ0.01〜1mm、細孔0.02〜10μm(エアーフロー法により測定)、イオン交換容量0.05〜3meq/g、0.03〜1.5meq/cmのものが好適である。このイオン交換繊維として、イオン交換フィルタのイオン交換基と逆の符号のイオンを除去する官能基を使用してもよく、このように構成することにより、イオン除去効果が向上する場合がある。
【0051】
イオン交換繊維を担持するため、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリビニリデンフロライドなどからなる不織布、ネットを用いても良い。
【0052】
複数のイオン交換エレメント20,20のイオン交換繊維に、異なる機能、例えば符号の異なるイオンを除去する官能基を導入してもよい。このようにすれば、混床樹脂塔が使用されるケースのように、イオン除去性能が向上し、フィルタ寿命が長くなることがある。
【0053】
[イオン交換樹脂よりなる不織布4及びフィルム3の詳細な説明]
(1) 不織布4
不織布4を構成するイオン交換繊維としては以下の(a)〜(d)の材料を電界紡糸法又は溶融紡糸法、好ましくは電界紡糸法で紡糸したものが好適である。イオン交換繊維シートは、これらを単独又は複合で用いて不織布または織布としたものである。
【0054】
(a)荷電性高分子繊維としてパーフルオロカーボンスルホン酸重合体(ナフィオン(デュポン社製)、フミオン(FuMA−Tech社製))
(b)非荷電性高分子繊維からなる基材にイオン交換基が化学的に付与されたもの
(c)荷電性高分子繊維としてパーフルオロカーボンスルホン酸重合体(ナフィオン、フミオン)を骨格材に担持して骨格材と一体化したもの
(d)非荷電性高分子繊維からなる基材にイオン交換基が化学的に付与されたものを骨格材と一体化したもの
高い機械的強度を得るには上記(c)または(d)のものが好ましい。
【0055】
イオン交換基のない繊維を紡糸して繊維シートを作成した後に、グラフト重合法や他の化学反応法(求電子置換反応、付加反応など)によりイオン交換基を繊維シートに付与することもできる。
【0056】
上記の非荷電性高分子としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリビニリデンフロライドなどが例示される。
【0057】
イオン交換基としては、種々のカチオン交換基又はアニオン交換基等を用いることができる。例えば、カチオン交換基としては、スルホン基などの強酸性カチオン交換基、リン酸基などの中酸性カチオン交換基、カルボキシル基などの弱酸性カチオン交換基、アニオン交換基としては、第1級〜第3級アミノ基などの弱塩基性アニオン交換基、第4級アンモニウム基などの強塩基性アニオン交換基を用いることができ、或いは、上記カチオン交換基及びアニオン交換基の両方を併有するイオン交換体を用いることもできる。
【0058】
骨格材としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエステル、ポリビニリデンフロライドなどからなる不織布、織布などが例示される。
【0059】
イオン交換繊維としては、相当直径が1〜1000nm、特に10〜700nm程度の著しく細い繊維が好適である。ここで「相当直径」とは、1本の繊維(ファイバ)の断面積と断面積の外周長さとから、(相当直径)=4×(断面積)/(断面の外周長さ)によって算出される値である。
【0060】
イオン交換繊維の長さは、1μm以上が好適である。なお、電解紡糸で作製した場合、数cmの長さにすることができ、また連続的に紡糸することもできるため、さらに数倍以上に長くすることができる。
【0061】
なお、イオン交換繊維を紡糸する際、荷電性高分子は、単独で紡糸することが難しい場合があり、紡糸出来ても繊維同士の荷電反発により、かさ(嵩)が高くなって収まりが悪くなり(即ち、嵩密度が低くなり)、フィルタ化に適さないことがある。一方、非電解質高分子は、単独で紡糸することが容易なものを選定することが可能で、紡糸後、繊維同士の反発がないため、フィルタ化し易い。そのため、電解質ポリマーと非電解質ポリマーを混合して紡糸することにより、両者の優れた特徴を有する繊維を得ることができる。電界紡糸においては、紡糸時の紡糸性も向上する。
【0062】
(2) フィルム3
フィルム3としては以下の(e)〜(h)の1種又は2種以上を用いて相分離法などにより製造した多孔質のキャスト膜が好適である。
【0063】
(e)パーフルオロカーボンスルホン酸重合体(ナフィオン、フミオン)をガラスなどの基板上に塗布した後に基板を取り除いたフィルム状のもの
(f)非荷電性高分子からなる基材にイオン交換基が化学的に付与されたものをガラスなどの基板上に塗布した後に基板を取り除いたフィルム状のもの
(g)パーフルオロカーボンスルホン酸重合体(ナフィオン、フミオン)を骨格材に塗布して骨格材と一体化したもの
(h)非荷電性高分子からなる基材にイオン交換基が化学的に付与されたものを骨格材に塗布して骨格材と一体化したもの
高い機械的強度を得るには上記(g)または(h)の方法が好ましい。
【0064】
この多孔質キャスト膜の細孔径は1μm以下が好適であり、イオン交換容量は0.2〜4meq/g、0.1〜3.5meq/cm程度が好適である。非荷電性の高分子を成膜してキャスト膜を作成した後にグラフト重合法や、他の化学反応法(求電子置換反応、付加反応など)によりイオン交換基をキャスト膜に付与することもできる。
【0065】
非荷電性高分子、イオン交換基としては上記と同様のものを用いることができる。
【0066】
[イオン交換樹脂以外の吸着性官能基を有したフィルム又は繊維]
本発明では、吸着性官能基を有したフィルム又は繊維として、イオン交換樹脂以外の材料で構成されたものを用いてもよい。このような材料としては、カーボン、メソポーラスシリカ、キレート樹脂、カリックスアレーン、分子鋳型樹脂などが例示される。
【0067】
[本発明の好適な適用対象]
本発明の吸着フィルタ及び流体処理方法は、水中に溶解しているイオン性物質、コロイド、粒子の除去に好適に使用することができ、対象としては、市水、井水、河川水、湖水、工水を始め、生物処理、凝集処理、沈殿処理、加圧浮上処理、ろ過、活性炭処理、イオン交換樹脂処理、精密ろ過、限外ろ過、逆浸透処理、電気再生式脱イオン処理、脱炭酸処理、UV処理などのいずれかの処理を施した水が例示される。
【0068】
被処理水のイオン濃度が高いと、フィルタの寿命が短くなり、交換頻度も多くなるため、イオン交換樹脂処理や逆浸透処理、電気再生式脱イオン処理等による前処理を実施する方が効率的になる。本発明のフィルタは、イオン濃度が低い水や、ある程度イオンが除去された水に対して、さらにイオンを除去する場合に有効である。例えば、比抵抗1MΩ・cm以上の超純水からさらにイオンを除去するために使用する場合を挙げることができる。
【実施例】
【0069】
[実施例1]
実施例1では、第1図のようにしてエンボス加工イオン交換フィルタを製造し、第3図(a),(b)の如くロール状に巻回したイオン交換フィルタを製作し、芯材と平行方向に通水した。なお、第8図は、このイオン交換フィルタの拡大平面図である。また、第7図は、第8図のVII部分の顕微鏡写真であり、上側は倍率2,000倍、下側は倍率10,000倍である。
【0070】
イオン交換フィルタに使用したフィルム3は、パーフルオロカーボンスルホン酸重合体(商品名:Fumion F940 fumatech社製)イオン交換容量1.25meq/g、厚さ40μm、幅192mm、長さ8000mmである。不織布4は、パーフルオロカーボンスルホン酸重合体(ナフィオン)とポリビニリデンフロライドを重量比6:4で混合して電界紡糸したものであり、平均繊維系400nm、厚さ30μm、イオン交換容量0.7meq/gであり、幅192mm、長さ8000mmである。電界紡糸条件は、シリンジ径:28G、吐出圧:15kPa、シリンジ−コレクタ間距離:7cm、電圧:−50kVである。加熱ロール1,2の表面温度を80℃に設定し、8MPaで不織布4とフィルム3とを圧着させると共に、凹部7及び凸部8を形成し、イオン交換フィルタを製造した。凹部7の平均深さd、凸部8の平均高さh、配置密度は表1の通りである。凹部7及び凸部8の平面視形状は正方形(一辺の長さa=400μm)である。
【0071】
実施例1で用いた芯材10は、直径3mmのポリプロピレン製心棒で、使用した流路材シートは、厚さ0.63mm、目開き2.5mm、長さ8000mmのポリエチレン製格子状ネットである。
【0072】
このイオン交換フィルタと、流路材シートを第3図のように芯材にロール状に巻き回し、イオン交換エレメントとした。1個の該イオン交換エレメントをフィルタカートリッジにセットし、3ng/LのNaイオンを含む純水を20L/minで、芯材と平行方向に一端面から他端面に通水した。Na除去率及び平均の通水圧力損失の測定結果を表1に示す。
【0073】
[実施例2〜4]
エンボスの凹部深さ、凸部高さ及び密度を表1の通りとした他は実施例1と同一構成のエレメントを製造し、通水試験を行った。結果を表1に示す。
【0074】
[比較例1]
エンボスを施さなかったこと以外は実施例1と同一構成のエレメントを製造し、通水試験を行った。結果を表1に示す。
【0075】
[比較例2]
不織布4,4を省略し、エンボス付きフィルム(長さ8000mm)をスペーサと共に巻回したこと以外は実施例1と同一構成のエレメントを製造し、通水試験を行った。結果を表1に示す。
【0076】
[比較例3]
フィルム3を省略し、エンボス付きの不織布4(長さ8000mm)をスペーサと共に巻回したこと以外は実施例1と同一構成のエレメントを製造し、通水試験を行った。結果を表1に示す。
【0077】
[比較例4,5,6]
比較例2において、表1の通りエンボスを強く又は弱くしたこと以外は比較例2と同一としたエレメントを製造し、通水試験を行った。結果を表1に示す。
【0078】
[比較例7,8]
比較例2において、エンボスの密度を異ならせたこと以外は比較例2と同一としたエレメントを製造し、通水試験を行った。結果を表1に示す。
【0079】
【表1】

【0080】
4)結果・考察
表1の通り、実施例1〜4は1〜73時間にわたってNa除去率が99%と高いものとなっている。
【0081】
エンボスを施さなかったこと以外は実施例1と同一構成の比較例1ではNa除去率は1〜73時間の間、92%に止まった。
【0082】
フィルムにエンボスを施しても、不織布を用いない比較例2,4にあってはNa除去率は1〜73時間の間、93%に止まった。
【0083】
なお、比較例4,5はエンボスを強く又は多く付けたものであるが、Na除去率は比較例2と同じであり、通水圧損が増大した。フィルムを用いずエンボス付きの不織布のみを用いた比較例3では、通水初期(1時間後)では97%のNa除去率であったが、73時間後にはNa除去率は94%にまで低下した。
【0084】
イオン交換繊維は吸着速度が高いため、初期は高いイオン除去率を得られたが、イオン交換繊維のイオン交換容量は少ないため、経時的にイオン除去率が低下したものと思われる。
【符号の説明】
【0085】
1 第1の加熱ロール
2 第2の加熱ロール
3 フィルム
4 不織布
6 イオン交換フィルタ
7 凹部
8 凸部
9 流路材シート
10 芯材
20 イオン交換エレメント(吸着フィルタ)
25 耐熱容器
30 液濾過用フィルタ装置
33 ハウジング
41 支持体
42 多孔板
43 メッシュ
44 精密濾過膜
45 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着性官能基を有するフィルムと、該フィルムの少なくとも一方の面に積層配置された吸着性官能基を有する繊維よりなる不織布とを有し、該フィルムと不織布とが一体化した複合膜であって、
該複合膜の該不織布が積層配置された面に凹部及び/又は凸部が形成されていることを特徴とする複合膜。
【請求項2】
請求項1において、該フィルムがイオン交換樹脂よりなるフィルムであり、該不織布がイオン交換樹脂のナノファイバーよりなる不織布であることを特徴とする複合膜。
【請求項3】
請求項1又は2において、各凹部の平均の開口面積及び/又は凸部の平均の横断面積は0.01〜2mmであり、各凹部の最深部の深さの平均値及び/又は各凸部の高さの平均値は5〜100μmであり、複合膜1cm当たり3〜100個の凹部及び/又は凸部が設けられていることを特徴とする複合膜。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、
該フィルムの両面に該不織布が積層配置されており、複合膜の一方の面に凹部が形成されており、複合膜の他方の面に、該凹部と対応した位置に凸部が形成されていることを特徴とする複合膜。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項において、前記凹部及び凸部の平面視形状が、円形、楕円形、三角形又は四角形以上の多角形、あるいはこれらの一部を組み合わせた幾何学形状であることを特徴とする複合膜。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の複合膜を用いたフィルタであって、該フィルタの面方向に流体を流して該流体中の含有物質を該複合膜に吸着させる吸着フィルタ。
【請求項7】
請求項6に記載の吸着フィルタであって、該複合膜と流路材シートとを重ねてロール状に巻回されて巻回体とされていることを特徴とする吸着フィルタ。
【請求項8】
請求項7に記載の吸着フィルタに対し、巻回体の一方の端面から他方の端面に被処理流体を流す流体処理方法。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の複合膜を製造する方法であって、前記フィルムと不織布とを積層した積層シートを第1の加熱ロールと第2の加熱ロールとの間で挟圧することにより、該フィルムと不織布とを圧着して一体化した複合膜を製造する方法であって、
該第1の加熱ロールの外周面にエンボス加工用の突起を設けておき、該複合膜の一方の面に、該突起の押圧痕よりなる凹部を形成することを特徴とするイオン交換フィルタの製造方法。
【請求項10】
請求項9において、第1の加熱ロールの前記突起を前記積層シートに押し付けることにより、複合膜の他方の面に凸部を突出させることを特徴とする複合膜の製造方法。
【請求項11】
請求項10において、前記第2の加熱ロールの外周面は平滑であることを特徴とする複合膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−148482(P2012−148482A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8996(P2011−8996)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的部材産業創出プログラム/新産業創造高度部材基盤技術開発/先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」にかかる委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】