説明

複合計算機システムにおけるコンソール切替制御方式

【目的】複数の計算機から構成される複合計算機システムにおいて、各計算機にクラスタ識別子を付与し、操作対象となる計算機のクラスタ識別子と実際に接続されている計算機のクラスタ識別子を照合することにより誤操作を防止することを技術的目的とする。
【構成】少なくとも表示装置(ディスプレイ装置)(5a)と入力装置(キーボード)(5b)とパネル(5c)とを備えたシステムコンソール(5)と、各計算機に対応した制御装置(マイクロプロセッサ)(3a)と、主記憶装置(3b)とを有し各計算機の保守管理を行うサービスプロセッサ(3)と、前記システムコンソール(5)と前記2以上のサービスプロセッサ(3)との間に介在してシステムコンソール(5)と操作対象となるクラスタ(2)のサービスプロセッサ(3)との接続を切り替える切替装置(4)とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二つ以上の計算機(クラスタ)を共有記憶装置によって結合した複合計算機システムにおいて、前記複合計算機システムを単一のシステムコンソールにより保守・操作を行う方式に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、二つ以上の計算機(クラスタ)を共有記憶装置により結合した複合計算機システムでは、各計算機毎に該計算機の保守・操作を行うサービスプロセッサ(SVP)を設置するようにし、さらに前記サービスプロセッサ毎に該サービスプロセッサの保守・操作を行うシステムコンソールを設けたものが知られている。
【0003】また、前記複合計算機システムの単一計算機の操作を行う場合、オペレータは操作対象となる計算機に接続されたシステムコンソールにより行うようにしていた。
【0004】しかし、計算機毎にシステムコンソールを設置することはコスト上及び設置スペースの上でも問題があった。そこで、前記複合計算機システムとシステムコンソールとの間に設置し、操作すべき計算機とシステムコンソールとの接続切り替えを行う切換スイッチを設け、単一のシステムコンソールにより複数の計算機に関する保守・操作を行うようにした。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の方式では、オペレータが操作対象とするクラスタと実際に接続されているクラスタとが一致しているか否かを確認せずに行っていた。
【0006】そのため、操作対象外のクラスタを操作してしまう恐れがあり、クラスタの機能破壊という問題点があった。そこで、本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、各クラスタにクラスタ識別子を付与し、操作対象となるクラスタのクラスタ識別子と実際に接続されているクラスタのクラスタ識別子を照合することにより誤操作を防止することを技術的課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を解決するために以下の様にした。これを図1の原理図に基いて説明する。
【0008】2以上の計算機(クラスタ)2を共有記憶装置1によって結合した複合計算機システムにおいて、少なくとも表示装置(ディスプレイ装置)5aと入力装置(キーボード)5bとパネル(5c)を備えたシステムコンソール5と、各計算機(クラスタ)2に対応した制御装置3aと、主記憶装置3bとを有し各計算機2の保守管理を行うサービスプロセッサ3と、前記システムコンソール5と前記2以上のサービスプロセッサ3との間に介在し、システムコンソール5とこれに操作されるサービスプロセッサ3を切り替える切替装置4とからなり、前記システムコンソール5は、オペレータにより入力されたクラスタ識別子を切替装置4が接続しているサービスプロセッサ3に通知し、これを受信したサービスプロセッサ3では、制御装置3aの制御により前記クラスタ識別子が自身の主記憶装置3b内に保有しているクラスタ識別子と一致するか否かを判別し、一致する場合にのみ該クラスタ2に対する処理を実行し、不一致である場合には該クラスタ2に対する処理を行わずに、対象クラスタが異なる旨の通知を前記システムコンソール5に出力することを特徴とする複合計算機システムにおけるコンソール切替制御方式とした。
【0009】そして、前記切替装置4は、該切替装置4が接続しているクラスタ2のクラスタ識別子を前記システムコンソール5に通知し、該システムコンソール5はこのクラスタ識別子をオペレータの入力作業時に前記表示装置5a上に表示するようにした。
【0010】一方、前記システムコンソール5から出力されたクラスタ識別子と、対象サービスプロセッサ3の保有するクラスタ識別子とが不一致である場合には、システムコンソール5の表示装置5aに操作対象のクラスタが異なる旨の表示を行うものとする。
【0011】
【作用】本発明の動作過程を、図2のフローチャートに基いて説明する。ステップ201において、オペレータは、システムコンソールの入力装置に操作すべき対象クラスタの対象クラスタ識別子及び操作内容を入力する。
【0012】ステップ202において、前記の対象クラスタ識別子は、システムコンソールから切替装置を介して、前記切替装置の接続されているクラスのサービスプロセッサへ送信される。
【0013】ステップ203において、前記対象クラスタ識別子を受けたサービスプロセッサでは、制御装置により主記憶装置に格納されている自クラスタのクラスタ識別子を検出する。
【0014】ステップ204において、前記制御装置は、前記対象クラスタ識別子と自クラスタ識別子とが一致するか否かを判別する。ここで、前記両クラスタ識別子が一致した場合はステップ205へ進み、不一致の場合はステップ207へ進む。
【0015】前記ステップ205では、サービスプロセッサは、システムコンソールから前記対象クラスタ識別子と共に送信された操作内容の実行する。ステップ206では、サービスプロセッサの制御装置が前記操作終了を検知し、その旨をシステムコンソールへ通知して表示装置に表示する。
【0016】一方、前記ステップ207においては、サービスプロセッサの制御装置は、操作対象クラスタが当該サービスプロセッサの管理しているクラスタではないこと、即ちシステムコンソールから送信された操作内容の実行が不可能である旨をシステムコンソールへ通知し、そこで表示装置により表示する。
【0017】ステップ208では、前記サービスプロセッサからの通知内容を表示装置を介して受けた前記オペレータは、切替装置を対象クラスタのサービスプロセッサへ切り替え、ステップ209においてシステムコンソールは、再度対象クラスタ識別子及び操作内容を送信する。
【0018】そして、ステップ209の過程を終了すると、図中の■の示す様に上記したステップ203へ進み、以下上記同様の処理が行われる。また、前記切替装置は、対象クラスタ入力時において、実際に接続されているクラスタのクラスタ識別子を前記表示装置に表示させることによって、オペレータは前記表示内容から誤操作の防止を行える。
【0019】
【実施例】本発明の実施例を図に基いて説明する。図3は、本実施例における複合計算機システムのコンソール切替制御装置の構成をブロック図で示した図である。
【0020】本実施例は、4つのクラスタ(図示せず)を共有記憶装置(図示せず)によって接続された複合計算機システムにおいて行った。前記各クラスタには、当該クラスタの保守・管理・操作を行うサービスプロセッサ(a〜d)6a〜6dが設置されている。
【0021】前記各サービスプロセッサ6は、切替装置7を介してシステムコンソール8と接続されている。前記システムコンソール8は、表示装置8a及び入力装置(キーボード)8cと、プリンタ8bと、パネル8dとから構成されている。
【0022】以下に前記システムコンソール8の各構成要素の機能について説明する。前記表示装置8aは、前記サービスプロセッサ6より送信される情報及び入力装置8cより入力された情報を画像表示すると共に、入力装置8cからの操作内容を表示装置用アダプタ12を介して当該計算機システムに入力する装置である。
【0023】前記プリンタ8bは、当該システムコンソール8の操作者(以下オペレータと記す)の操作により情報をプリントアウトする装置である。前記パネル8dは、当該システムコンソール8の操作者(以下オペレータと記す)が簡単な操作、例えばシステム電源の投入・切断を行ったり、あるいはシステムの動作異常状態を表示する装置である。
【0024】次に、前記サービスプロセッサ6は、制御装置9と、主記憶装置10と、パネル用アダプタ11と、表示装置用アダプタ12と、ファイルアダプタ13と、電気チャネルアダプタ16とをシステムバス18を介して接続されている。
【0025】さらに、前記ファイルアダプタ13には、フロッピーディスク装置15及びマイクロディスク装置14を接続する。ここで、上記したサービスプロセッサ6の各構成要素の機能について説明する。
【0026】前記制御装置9は、システムコンソール8より受信した対象クラスタ識別子を当該サービスプロセッサ6の管理するクラスタ(図示せず)のクラスタ識別子との一致または不一致を検出する装置である。
【0027】前記主記憶装置10は、当該サービスプロセッサ6の算出したデータ、クラスタからのデータ、などの記憶を行う装置であり、本実施例においては当該サービスプロセッサ6の管理するクラスタのクラスタ識別子を記憶する装置である。
【0028】表示装置用アダプタ12は、システムコンソール8の表示装置8a及び表示装置8aに対する入力装置(キーボード)8cと当該サービスプロセッサ6とのインタフェースを行うものである。
【0029】パネル用アダプタ11は、システムコンソール8のパネル8dと当該サービスプロセッサ6とのインタフェースを行うものである。ファイルアダプタ13は、前記フロッピーディスク装置15又はマイクロディスク装置14とのインタフェースを行うものである。
【0030】電気チャネルアダプタ16は、本体系装置の一つであるチャネルプロセッサ(図示せず)のバイトマルチプレクサチャネルとのインタフェースを行うものである。
【0031】システムコンソールインタフェース17は、前記制御装置9により対象クラスタ識別子と自クラスタ識別子との一致を検出された場合に前記システムコンソール8と自クラスタ(図示せず)とのインタフェースを行うものである。
【0032】また、前記切替装置7は、前記システムコンソール8とそれと接続すべきクラスタ用サービスプロセッサ6を択一して切り替える装置である。この実施例を図5に示した。
【0033】以下に、本実施例における複合計算機システムのコンソール切替制御装置の動作過程について説明する。オペレータは、システムコンソール8の入力装置8cより操作対象となる対象クラスタの識別子(以下、対象クラスタ識別子と記す)と、対象クラスタのサービスプロセッサ6に対する操作指示情報を入力する。
【0034】前記入力情報は、システムコンソール8より切替装置7を経て対象クラスタのサービスプロセッサ6へ送出される。このとき、前記入力情報は、前記入力時に切替装置7の接続しているサービスプロセッサ6へ送出される。
【0035】ここで、本実施例においては切替装置7はサービスプロセッサ6aに接続されているとする。すなわち、前記入力情報は、切替装置7を経てサービスプロセッサ6aへ送出される。
【0036】前記サービスプロセッサ6aでは、前記入力情報は表示装置用アダプタ12よりシステムバス18を介して制御装置9へ送出され、制御装置9は主記憶装置10より当該サービスプロセッサ6aの管理すべきクラスタの自クラスタ識別子を検出する。
【0037】一方、システムコンソール8より入力された対象クラスタ識別子を読み込み、これと前記自クラスタ識別子とを比較する。ここで、前記両クラスタ識別子が一致した場合、前記サービスプロセッサ6aは、前記システムコンソール8より入力された操作指示情報に基いて自クラスタの操作を開始する。
【0038】また、前記両クラスタ識別子が一致しない場合は、システムバス18、表示装置用アダプタ12を介してシステムコンソール8へ識別子不一致の旨を通知する。
【0039】そして、システムコンソール8では、表示装置8aにより前記通知内容を画像表示する。この画像表示のイメージを図4に示した。前記画像表示内容に基いて前記オペレータは、切替装置7の接続を対象クラスタへ切り替え、上記した操作と同様の操作を再度行う。
【0040】
【発明の効果】したがって、本発明によれば、オペレータの誤操作を防止することができ、システムの保守性を向上させ、1台のシステムコンソールにより複数の計算機を操作可能とすることで、コストの低減及び設置スペースの縮小化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図
【図2】本発明の動作過程を示したフローチャート
【図3】本実施例における複合計算機システムのコンソール切替制御装置の構成図
【図4】表示装置の表示イメージ
【図5】切替装置の実施例
【符号の説明】
1・・共有記憶装置
2・・クラスタ
3・・サービスプロセッサ
3a・・制御装置
3b・・主記憶装置
4・・切替装置
5・・システムコンソール
5a・・表示装置
5b・・入力装置
5c・・パネル
6・・クラスタ用サービスプロセッサ
6a・・クラスタa用サービスプロセッサ
6b・・クラスタb用サービスプロセッサ
6c・・クラスタc用サービスプロセッサ
6d・・クラスタd用サービスプロセッサ
7・・切替装置
8・・システムコンソール
8a・・表示装置
8b・・プリンタ
8c・・入力装置
8d・・パネル
9・・制御装置
10・・主記憶装置
11・・パネル用アダプタ
12・・表示装置用アダプタ
13・・ファイルアダプタ
14・・マイクロディスク装置
15・・フロッピーディスク装置
16・・電気チャネルアダプタ
17・・システムコンソールインタフェース
18・・システムバス

【特許請求の範囲】
【請求項1】 2以上の計算機(クラスタ)(2)を共有記憶装置(1)によって結合した複合計算機システムにおいて、少なくとも表示装置(ディスプレイ装置)(5a)と入力装置(キーボード)(5b)とパネル(5c)とを備えたシステムコンソール(5)と、各計算機に対応した制御装置(マイクロプロセッサ)(3a)と、主記憶装置(3b)とを有し各計算機の保守管理を行うサービスプロセッサ(3)と、前記システムコンソール(5)と前記2以上のサービスプロセッサ(3)との間に介在し、システムコンソール(5)と操作対象となるクラスタ(2)のサービスプロセッサ(3)との接続を切り替える切替装置(4)とからなり、前記システムコンソール(5)は、オペレータにより入力されたクラスタ識別子を切替装置(4)が接続しているサービスプロセッサ(3)に送信し、これを受信したサービスプロセッサ(3)では、制御装置(3a)の制御により前記クラスタ識別子と自身の主記憶装置(3b)内に保有しているクラスタ識別子とが一致するか否かを判別し、一致する場合にのみ該クラスタ(2)に対する処理を実行し、不一致である場合には該クラスタ(2)に対する処理を行わずに、対象クラスタが異なる旨の通知を前記システムコンソール(5)に出力することを特徴とする複合計算機システムにおけるコンソール切替制御方式。
【請求項2】 前記切替装置(4)は、該切替装置(4)が接続しているクラスタ(2)のクラスタ識別子を前記システムコンソール(5)に通知し、該システムコンソール(5)はこのクラスタ識別子をオペレータの入力作業時に前記表示装置上に表示することを特徴とする請求項1記載の複合計算機システムにおけるコンソール切替制御方式。
【請求項3】 前記システムコンソール(5)から出力されたクラスタ識別子と、対象クラスタ対応のサービスプロセッサ(3)の保有するクラスタ識別子とが不一致である場合には、システムコンソール(5)の表示装置に操作対象のクラスタ(1)が異なる旨の表示を行うことを特徴とする請求項1記載のコンソール切替制御方式。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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