複合誘導装置及び複合誘導方法
【課題】広い周波数帯でのインターフェロメータでの測角処理を短時間で効率良く行い得る。
【解決手段】飛しょう体における略円筒筐体となるレドーム先端の円形領域の中央に配置され、レドームを通じて飛しょう体正面方向からの電波を受信する第1のパッシブアンテナ素子群と、レドームの側面に周面に沿って配置され、第1のパッシブアンテナ素子群の観測測角範囲より広角の電波を受信する第2のパッシブアンテナ素子群と、観測する周波数帯に応じて第1のパッシブアンテナ素子群のうち配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び第2のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つを粗測角演算するパッシブ信号処理部と、パッシブ信号処理部で得られる粗測角演算結果に基づいて飛しょう体を目標方向に誘導する誘導手段とを備えた複合誘導装置を提供できる。
【解決手段】飛しょう体における略円筒筐体となるレドーム先端の円形領域の中央に配置され、レドームを通じて飛しょう体正面方向からの電波を受信する第1のパッシブアンテナ素子群と、レドームの側面に周面に沿って配置され、第1のパッシブアンテナ素子群の観測測角範囲より広角の電波を受信する第2のパッシブアンテナ素子群と、観測する周波数帯に応じて第1のパッシブアンテナ素子群のうち配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び第2のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つを粗測角演算するパッシブ信号処理部と、パッシブ信号処理部で得られる粗測角演算結果に基づいて飛しょう体を目標方向に誘導する誘導手段とを備えた複合誘導装置を提供できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、飛しょう体に搭載され、アクティブ方式とパッシブ方式を用いて目標方向を検出し目標を追跡するように飛しょう体を誘導する複合誘導装置及び複合誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛しょう体に搭載され目標方向を検出して追跡する誘導装置においては、自ら電波を照射して目標から反射してくる反射波を検出して目標を追跡するアクティブ方式と、目標が放射する電波を検出して追跡するパッシブ方式がある。アクティブ方式においては、位相モノパルス方式による測角方式が多く採用され、パッシブ方式においては、広範囲にわたる周波数帯で受信可能なアンテナ素子により、振幅モノパルス、位相モノパルス、インターフェロメータ等が採用されている。近年、目標を追跡する精度を向上させるために、アクティブ方式とパッシブ方式の両方式を有する複合誘導装置が研究されつつある。こうした状況のもと、飛しょう体等の限られたスペースで、広い周波数帯にわたって、高い精度で目標方向を検出できるパッシブ方式の実現が必要となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−5734号公報
【特許文献2】特願2010−15949号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛しょう体に搭載する複合誘導装置では、飛しょう体先端の円形の領域にアンテナ素子を配置するに際し、アンテナ面中央にアクティブ用のアンテナを配置し、その周囲にパッシブアンテナを配置する。この方法では、広帯域の電波を受信するパッシブアンテナがレドーム沿いに配置される。超音速で飛しょうする飛しょう体ではレドーム形状が尖頭形状となり、レドーム通過による電波特性の歪等が大きく、特にレドームに近接して周辺に配置したパッシブアンテナはその影響を大きく受け、その結果、目標の測角精度が低下する。また、搭載スペースに制約もあり、アンテナ素子とその後段の受信機数も制約を受け、なるべく少ないアンテナ素子数での実現が必要となる。
【0005】
また、従来では、複数のアンテナ素子からの信号をパッシブアンテナ切換器を切り換えて4回に分けて受信したのち、信号処理を行っている。この方法では方位角と高低角を同時に処理しているが、目標の状況によっては方位角のみ求めればよい場合や、高い精度を必要としない場合があり、そのときは余分な処理時間をかけていることとなり、処理効率が落ちる。
【0006】
本発明の目的は、パッシブアンテナ素子のレドームによる影響を軽減することができ、さらには広い周波数帯でのインターフェロメータでの測角処理を短時間で効率良く行うことができる複合誘導装置及び複合誘導方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、パッシブ方式を採用する飛しょう体搭載の複合誘導装置において、飛しょう体における略円筒筐体となるレドーム先端の円形領域の中央に配置され、レドームを通じて飛しょう体正面方向からの電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第1のパッシブアンテナ素子群と、レドームの側面に周面に沿って配置され、第1のパッシブアンテナ素子群の観測測角範囲より広角の電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第2のパッシブアンテナ素子群と、観測する周波数帯に応じて第1のパッシブアンテナ素子群のうち配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び第2のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つを粗測角演算するパッシブ信号処理部と、パッシブ信号処理部で得られる粗測角演算結果に基づいて飛しょう体を目標方向に誘導する誘導手段とを備えた複合誘導装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の複合誘導装置が適用される飛しょう体の全体構成、及び、複合誘導装置と目標との関係を示す概略構成図である。
【図2】一実施形態の複合誘導装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態において、アクティブアンテナと、パッシブアンテナを構成するアンテナ素子の詳細配置を示す図である。
【図4】同実施形態において、正面に配置したアンテナ素子による目標の測角を示す図である。
【図5】同実施形態において、アンテナ素子の詳細配置を示す図である。
【図6】同実施形態において、観測周波数帯と素子間隔との特性を示す図である。
【図7】同実施形態において、例として方位角方向に並ぶアンテナ素子それぞれの電波到来角度に対する振幅特性と単調特性範囲及び広角判定範囲を示す図である。
【図8】同実施形態において、単調特性範囲と広角判定範囲及びゾーン判定範囲との関係において、広角判定角度が単調特性範囲より内側になる場合を説明するための図である。
【図9】同実施形態において、単調特性範囲と広角判定範囲及びゾーン判定範囲との関係において、広角判定角度が単調特性範囲より外側になる場合を説明するための図である。
【図10】同実施形態において、各アンテナ素子の配置関係と判定区分との関係を示す図である。
【図11】同実施形態において、測角処理器の制御処理手順を示すフローチャートである。
【図12】同実施形態において、処理内容と選択素子との関係を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、一実施形態として複合誘導装置が適用される飛しょう体の全体構成、及び、複合誘導装置と目標との関係を示す概略構成図である。図1において、1は移動目標、2は飛しょう体であり、飛しょう体2は、複合誘導装置3と操舵装置4を搭載している。
【0011】
複合誘導装置3は、目標1に対して電波を照射(送信波)して目標1から反射して戻ってくる電波(受信波)を検出、追跡する機能(アクティブ機能)と、目標1が放射する電波(目標放射波)を検出、追跡する機能(パッシブ機能)を有し、目標を追跡するための操舵信号を出力する。
【0012】
操舵装置4は複合誘導装置3からの操舵信号をもとに、飛しょう体1が目標方向に飛しょうするための操舵を実施する。
【0013】
図2は、複合誘導装置3の構成を示すブロック図である。複合誘導装置3の先端にはレドーム5が装着される。レドーム5は飛しょう体2が高速で飛しょうする空力的抗力を低減する形状(尖頭形状等)を有するとともに、空力的な圧力から器材を保護し、さらに、目標1からの電波を広い周波数帯域で透過することができる材質が選定される。
【0014】
図2の上段はアクティブ機能を実現する系統であり、アクティブアンテナ6、アクティブ高周波部7、アクティブ信号変換器8、アクティブ信号処理器9から成る。一方、下段は、パッシブ機能を実現する系統であり、パッシブアンテナ10、パッシブアンテナ切換器11、パッシブ高周波部12、パッシブ信号変換器13、パッシブ信号処理器14から成る。
【0015】
パッシブアンテナ10は、目標1が放射する多種の電波を受信できるよう広帯域受信特性を有する複数のパッシブアンテナ素子21〜25,31〜34から成る。パッシブ信号処理器14は、データ処理器15、測角処理器16、タイミング制御器17から成る。パッシブアンテナ素子21〜25は目標1の検出、測角を実施し、パッシブアンテナ素子31〜34は、観測対象範囲とされる角度よりも外側からの広角度で入射される電波を除去することを目的とする。
【0016】
なお、複合誘導装置3は飛しょう体1への搭載から実装スペースが限定され、同時に電波を受信する系統数は限定されるため、図2のパッシブ高周波部12、パッシブ信号変換器13は4系統を有するものとした。したがって、パッシブアンテナ素子からの受信信号はパッシブアンテナ切換器11により受信系統数に合わせて4素子分の出力が得られるように内部でスイッチ等による切換制御を実施している。
【0017】
しかし、受信系統数は4に限定されるものではなく、器材実装スペースに応じて増減は可能である。パッシブ高周波部12とパッシブ信号変換器13によりデジタル信号処理可能な形態に変換された信号は、パッシブ信号処理器14に入り、データ処理器15でAD変換等をされメモリ等に保存された後、測角処理器16で目標1を検出、測角するための処理を実施し、目標1の測角値(方向)を操舵信号生成器18に出力する。操舵信号生成器18では、アクティブ信号処理器9とパッシブ信号処理器14から得られた目標1の方向に関する情報を統合して、飛しょう体2が目標1を追跡するための操舵指令信号を生成し、操舵装置4へ出力する。
【0018】
図3にアクティブアンテナ6と、パッシブアンテナ10を構成するアンテナ素子21〜34の詳細配置を示す。これらのアンテナ6,10は、目標1の検出と測角を目的に円筒形状を有する飛しょう体2の先端に配置されるため、円形範囲の中に配置される。従来技術では、アクティブアンテナ6を優先的に中央に配置して、パッシブアンテナ10をその周囲に配置していた(特許文献1)。しかし、レドーム5を通過した電波を広帯域で受信する場合、レドーム5が空力的な配慮から尖頭形状等の特殊な形状となるため、周囲の配置ではレドーム5により電波の振幅、位相特性の歪が大きく、広帯域にわたって高い精度で目標1の測角を実現するのは困難である。
【0019】
これを解決するために、パッシブアンテナ10のうち、目標1の検出と測角を行うアンテナ素子21、アンテナ22、アンテナ素子23、アンテナ24、アンテナ25は、レドーム5の歪の影響が広帯域にわたって少ない中央付近に優先的に配置する。そして、アクティブアンテナ6はその周囲に配置する。一般に、アクティブアンテナ6は自らの送信波の周波数帯域に合わせた狭帯域での対応で済むため、レドーム5の影響があっても最適な調整は可能である。また、パッシブアンテナ10のうち、アンテナ素子31、アンテナ素子32、アンテナ素子33、アンテナ素子34は、飛しょう体2の側面に、ほぼ等間隔に4箇所に配置する。これは、正面に配置したアンテナ素子21、アンテナ素子22、アンテナ素子23、アンテナ素子24、アンテナ素子25が目標測角を実施した際に、観測対象範囲とされる角度よりも広角度で入射してくる電波を除去することを目的とする。
【0020】
図4乃至図6に正面に配置したアンテナ素子21〜25による測角方式について示す。図4に示すように、正面に配置したアンテナ素子21〜25による目標の測角はインターフェロメータ方式とする。インターフェロメータ方式では、2つのアンテナ素子で同時に受信した電波の位相を使用して、両素子間の位相差から、受信した電波の入射角度(目標の測角値θ)を算出する。
【0021】
このとき、電波の位相は±180°で周期性を有することから、インターフェロメータ方式で得られる測角値は、観測対象の電波の周波数(F)と素子間隔(d)で決まる周期性を有する。
【0022】
従来は、この周期性を回避して観測したい角度範囲の中で単調性を確保するために、観測したい最大周波数に合わせて素子間隔を設定した。しかし、この場合には観測周波数が低くなるにつれて、インターフェロメータ方式で得られる測角値(θ)の精度が低下する問題がある。
【0023】
これを解決するために、観測周波数帯毎にインターフェロメータを実施するアンテナ素子を切換えて、測角値(θ)の精度低下を防ぐ素子配置とする。アンテナ素子21、アンテナ素子22、アンテナ素子23、アンテナ素子24、アンテナ素子25の詳細配置を図5に示す。
【0024】
図5において、アンテナ素子21、アンテナ素子22、アンテナ素子23は、縦方向の軸上に配置され、飛しょう体2として見た高低角方向の測角を実施する。アンテナ素子21とアンテナ素子22の素子間隔はd2、アンテナ素子22とアンテナ素子23の素子間隔はd3とし、d2>d3とする。
【0025】
これにより、図6に示すように、観測対象とする最も低い周波数帯F1では、アンテナ素子21とアンテナ素子23による素子間隔d1(=d2+d3)でインターフェロメータ測角を実施し、次の周波数帯F2ではアンテナ素子21とアンテナ素子22の素子間隔d2、次の周波数帯F3はアンテナ素子23とアンテナ素子22の素子間隔はd3、最も高い周波数帯F4ではアンテナ素子21、アンテナ素子22、アンテナ素子23の3素子を使用して素子間隔d4(=d3−d2)(文献2参照)とする。
【0026】
一方、アンテナ素子24、アンテナ素子22、アンテナ素子25は、横方向の軸上に配置され、飛しょう体2として見た方位角方向の測角を同様に実施する。アンテナ素子25とアンテナ素子22の素子間隔はd2、アンテナ素子22とアンテナ素子24の素子間隔はd3としd2>d3として、各周波数帯でのインターフェロメータ測角における精度を確保する。
【0027】
続いて、図7乃至図10を参照して、側面に配置したアンテナ素子31〜34による広角除去について説明する。
【0028】
インターフェロメータ測角では周期性が必ず生じるため、観測対象角度範囲で単調性を確保しても、さらにその外側から入射する電波に対しては誤った角度検出をすることになる。したがって、観測対象範囲外から入射する電波を確実に除去する必要がある(広角除去)。
【0029】
図7は、例として方位角方向に並ぶアンテナ素子それぞれの電波到来角度に対する振幅特性と単調特性範囲及び広角判定範囲を示す図、図8は単調特性範囲と広角判定範囲及びゾーン判定範囲との関係において、広角判定角度が単調特性範囲より内側になる場合を説明するための図、図9は単調特性範囲と広角判定範囲及びゾーン判定範囲との関係において、広角判定角度が単調特性範囲より外側になる場合を説明するための図、図10は各アンテナ素子の配置関係と判定区分との関係を示す図である。
【0030】
広角除去においては、正面アンテナ素子22と、側面に配置したアンテナ素子31〜34との振幅を比較して、側面に配置したアンテナ素子31〜34での振幅すべてよりも、アンテナ素子22の振幅の方が大きいときにのみ観測対象範囲からの電波入射と判定(広角判定)して測角処理を実施する(図7)。広角判定を実現するためには、アンテナ素子31〜34とアンテナ素子22の振幅は、観測対象範囲内と判定する角度(±a)で振幅特性が交差するように事前調整される(図7)。事前調整では、観測対象範囲内と判定する角度(±a)を、インターフェロメータ測角で単調性を確保する範囲と重ねることで、インターフェロメータ測角での単調性を確保する(図8)。
【0031】
しかし受信する電波の特性(例えば偏波の違い)によっては点線の振幅特性となり(図7)、観測対象範囲内として調整した角度がずれる場合がある。特にこの角度が外側にずれた場合(角度b)には、観測対象内と判定されてもインターフェロメータの測角の単調性が確保されない角度範囲(+b付近)が生じ、この方向からの電波入射があった場合には誤った測角をしてしまう(図9)。
【0032】
こうした状況を回避するために、観測対象範囲内かの判定に加えて、電波入射方向(方位方向と高低方向)のゾーン判定を実施する。ゾーン判定は、アンテナ素子31〜34範囲で受信した電波の振幅のうちスレッショルドを越えているものがある場合、そのアンテナ素子の位置から、入射している電波のゾーン、すなわち、方位方向の左ゾーンまたは右ゾーン、高低方向の上ゾーンまたは下ゾーンを判定する(図10)。このときに、測角値の極性をゾーン極性と一致するように調整しておけば、インターフェロメータの周期性で測角値の極性が反転された方向からの目標検出となっても、ゾーン判定結果との違いから排除することができる。これにより、受信する電波の特性によって観測対象範囲内として調整した角度がずれても、誤って測角する状況を回避することができる(図9)。
【0033】
以下に、上記構成における動作について説明する。
【0034】
測角処理器16では、タイミング制御器17から方位角粗測角処理、方位角精測角処理、高低角粗測角処理、高低角精測角処理のいずれかの指示を受け、処理を行う。図11は、測角処理器16の制御処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
タイミング制御器17は、パッシブアンテナ切換器11に制御信号を出力して、パッシブアンテナ素子21〜34を処理内容により図12に示す4つの受信系統に割り当てる。パッシブアンテナ切換器11は制御信号をもとに内蔵するスイッチ等を切換えて、パッシブアンテナ素子を選択する。選択されたパッシブアンテナ素子が受信した高周波信号は、4つの受信系統でパッシブ高周波部12、パッシブ信号変換器13を経て、データ処理器15でAD変換されメモリに保存される。1検出期間の最後に、タイミング制御器17は周波数指定をパッシブ高周波部12に指定し、次の検出期間で観測する周波数を切換えていく。
【0036】
測角処理器16は、タイミング制御器17からの指示に応じ、広角判定とインターフェロメータによる測角演算を実施する。
【0037】
方位角粗測角処理では以下の処理を行う。図11において、データ処理器15からアンテナ素子受信データ(振幅V・位相Φ)を入力する(ステップST11a)。まず、正面ほぼ中心に位置するアンテナ素子22の振幅値(V22)が目標検出に必要なスレッショルドレベル(Th)以上であるかを判定する(ステップST11b)。
【0038】
スレッショルドレベル以下である場合には(No)、「目標検出無」として処理を終了する。一方、スレッショルドレベル以上である場合には(Yes)、「目標検出有」として測角のための次のステップに移行する。次に、アンテナ素子22での振幅値(V22)と、側面に配置されているアンテナ素子32、34との振幅値(V32、V34)を比較する(ステップST11c)。
【0039】
ステップST11dにおいて、アンテナ素子22の振幅値(V22)がいずれよりも大きい場合には(Yes)、観測対象範囲とされる正面方向からの受信であると判定して観測周波数帯に応じてアンテナ素子24、25のいずれか1つを選択し(ステップST11e)、
測角演算へ移行する。一方、側面のアンテナ素子32、34の振幅値(V32、V34)のいずれかが大きい場合には(No)、観測対象範囲よりも外側からの電波入射と判定して処理を終了する。
【0040】
次に、測角演算においては、アンテナ素子22とアンテナ素子24または25の受信データ(位相Φ)を使用して、インターフェロメータ原理に基づく測角(図4)により測角値を算出する(ステップST11f)。
【0041】
次に、側面アンテナ素子32、34の振幅値(V32、V34)がスレッショルドレベル(Th)以上かを判定し(ステップST11g)、いずれもスレッショルドレベル以下であれば観測対象範囲内であると判定し、ステップST11hからステップST11iに移行してそのまま測角演算で得られた測角値を操舵信号生成器18へ出力する。
【0042】
一方、側面アンテナ素子32、34の振幅値(V32、V34)のいずれかがスレッショルドレベルを越えている場合には、観測対象範囲内の周辺領域である可能性があるため、ステップST11hからステップST11jに移行してここでゾーン判定を行なう。
【0043】
ここでは、側面アンテナ素子32、34の振幅値の最大のアンテナ素子を選択し、そのアンテナ素子の位置からゾーン指定を実施する(図10)。次に、測角演算で得られた測角値の極性と、ゾーン指定領域で得られた極性とが一致するかを判定する(ステップST11k)。一致する場合には観測対象範囲からのデータと判定して、ステップST11lからステップST11iに移行して測角演算で得られた測角値を操舵信号生成器18へ出力する。
【0044】
一方、一致しない場合には、インターフェロメータ方式で誤って測角している範囲である可能性が高いため、無効データとして処理を終了する。
【0045】
方位角精測角処理では以下の処理を行う。図11において、データ処理器15からアンテナ素子受信データ(振幅V・位相Φ)を入力する。まず、正面ほぼ中心に位置するアンテナ素子22の振幅値(V22)が目標検出に必要なスレッショルドレベル(Th)以上であるかを判定する(ステップST11b)。スレッショルドレベル以下である場合には「目標検出無」として処理を終了する。
【0046】
一方、スレッショルドレベル以上である場合には(Yes)、「目標検出有」として測角のための次のステップに移行する。次に、アンテナ素子22での振幅値(V22)と、側面に配置されているアンテナ素子32または34の振幅値(V32またはV34)を比較する(ステップST11c)。アンテナ素子32、34の選択は、直前の方位角粗測角処理の結果から、アンテナ素子32、34のどちらの側にいるかを判定し選択する(ステップST11e)。
【0047】
ここで、アンテナ素子22の振幅値(V22)が大きい場合には、観測対象範囲とされる正面方向からの受信であると判定して測角演算へ移行する。側面のアンテナ素子32または34の振幅値(V32またはV34)が大きい場合には、観測対象範囲よりも外側からの電波入射と判定して処理を終了する。
【0048】
次に、測角演算においては、アンテナ素子22、24、25のうち2個の受信データ(位相Φ)を使用して、インターフェロメータ原理に基づく測角(図4)により測角値を算出する。アンテナ素子は観測周波数に応じ、2個のアンテナ素子間が方位各粗測角処理のときより広い素子間隔のものを選択する。
【0049】
次に、側面アンテナ素子32または34の振幅値(V32またはV34)がスレッショルドレベル(Th)以上かを判定し(ステップST11f)、スレッショルドレベル以下であれば観測対象範囲内であると判定し、ステップST11hからステップST11iに移行してそのまま測角演算で得られた測角値を操舵信号生成器18へ出力する。
【0050】
一方、側面アンテナ素子32または34の振幅値(V32またはV34)がスレッショルドレベルを越えている場合には、観測対象範囲内の周辺領域である可能性があるため、ゾーン判定のステップへ移行する。測角演算で得られた測角値の極性と、ゾーン指定領域で得られた極性とが一致するかを判定する(ステップST11k)。一致する場合には観測対象範囲からのデータと判定して、測角演算で得られた測角値を操舵信号生成器18へ出力する。
【0051】
一方、一致しない場合には、インターフェロメータ方式で誤って測角している範囲である可能性が高いため、無効データとして処理を終了する。
【0052】
高低角粗測角処理、高低角精測角処理では、方位角粗測角処理、方位角精測角処理で使用していた側面アンテナ素子32、34が図12の通りに置き換わり、方位角粗測角処理、方位角精測角処理と同様の処理を行う。
【0053】
方位角粗測角処理、方位角精測角処理、高低角粗測角処理、高低角精測角処理を順次時系列で実施すると方位角、高低角がそれぞれ求まる。これらは状況に応じて、順番を変更あるいは省略することもできる。例えば方位角のみを求めるときは方位角粗測角処理、方位角精測角処理のみを繰り返し処理する。測角に高い精度が必要ないときは、方位角粗測角処理、高低角粗測角処理のみを繰り返し処理する。
【0054】
以上のように上記実施形態によれば、方位角測角および高低角測角の処理を独立して実施できる処理としたことにより、目標の状況によって方位角のみまたは高低角のみに特化して効率的に処理を実施することができる。
【0055】
また、精度に応じても処理を独立して実施できる処理としたことにより、目標の状況によって精度を下げて処理時間を短縮することができる。
【0056】
方位角粗測角処理、方位角精測角処理、高低角粗測角処理、高低角精測角処理いずれの場合においても、測角処理と広角判定処理を同時に行う方式としたことにより、判定の正確性を向上することができる。
【0057】
その他、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…目標、2…飛しょう体、3…複合誘導装置、4…操舵装置、5…レドーム、6…アクティブアンテナ、7…アクティブ高周波部、8…アクティブ信号変換器、9…アクティブ信号処理器、10…パッシブアンテナ、11…パッシブアンテナ切換器、12…パッシブ高周波部、13…パッシブ信号変換器、14…パッシブ信号処理器、15…データ処理器、16…測角処理器、17…タイミング制御器、18…操舵信号生成器、21〜25,31〜34…パッシブアンテナ素子。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、飛しょう体に搭載され、アクティブ方式とパッシブ方式を用いて目標方向を検出し目標を追跡するように飛しょう体を誘導する複合誘導装置及び複合誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
飛しょう体に搭載され目標方向を検出して追跡する誘導装置においては、自ら電波を照射して目標から反射してくる反射波を検出して目標を追跡するアクティブ方式と、目標が放射する電波を検出して追跡するパッシブ方式がある。アクティブ方式においては、位相モノパルス方式による測角方式が多く採用され、パッシブ方式においては、広範囲にわたる周波数帯で受信可能なアンテナ素子により、振幅モノパルス、位相モノパルス、インターフェロメータ等が採用されている。近年、目標を追跡する精度を向上させるために、アクティブ方式とパッシブ方式の両方式を有する複合誘導装置が研究されつつある。こうした状況のもと、飛しょう体等の限られたスペースで、広い周波数帯にわたって、高い精度で目標方向を検出できるパッシブ方式の実現が必要となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−5734号公報
【特許文献2】特願2010−15949号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛しょう体に搭載する複合誘導装置では、飛しょう体先端の円形の領域にアンテナ素子を配置するに際し、アンテナ面中央にアクティブ用のアンテナを配置し、その周囲にパッシブアンテナを配置する。この方法では、広帯域の電波を受信するパッシブアンテナがレドーム沿いに配置される。超音速で飛しょうする飛しょう体ではレドーム形状が尖頭形状となり、レドーム通過による電波特性の歪等が大きく、特にレドームに近接して周辺に配置したパッシブアンテナはその影響を大きく受け、その結果、目標の測角精度が低下する。また、搭載スペースに制約もあり、アンテナ素子とその後段の受信機数も制約を受け、なるべく少ないアンテナ素子数での実現が必要となる。
【0005】
また、従来では、複数のアンテナ素子からの信号をパッシブアンテナ切換器を切り換えて4回に分けて受信したのち、信号処理を行っている。この方法では方位角と高低角を同時に処理しているが、目標の状況によっては方位角のみ求めればよい場合や、高い精度を必要としない場合があり、そのときは余分な処理時間をかけていることとなり、処理効率が落ちる。
【0006】
本発明の目的は、パッシブアンテナ素子のレドームによる影響を軽減することができ、さらには広い周波数帯でのインターフェロメータでの測角処理を短時間で効率良く行うことができる複合誘導装置及び複合誘導方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態によれば、パッシブ方式を採用する飛しょう体搭載の複合誘導装置において、飛しょう体における略円筒筐体となるレドーム先端の円形領域の中央に配置され、レドームを通じて飛しょう体正面方向からの電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第1のパッシブアンテナ素子群と、レドームの側面に周面に沿って配置され、第1のパッシブアンテナ素子群の観測測角範囲より広角の電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第2のパッシブアンテナ素子群と、観測する周波数帯に応じて第1のパッシブアンテナ素子群のうち配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び第2のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つを粗測角演算するパッシブ信号処理部と、パッシブ信号処理部で得られる粗測角演算結果に基づいて飛しょう体を目標方向に誘導する誘導手段とを備えた複合誘導装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施形態の複合誘導装置が適用される飛しょう体の全体構成、及び、複合誘導装置と目標との関係を示す概略構成図である。
【図2】一実施形態の複合誘導装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態において、アクティブアンテナと、パッシブアンテナを構成するアンテナ素子の詳細配置を示す図である。
【図4】同実施形態において、正面に配置したアンテナ素子による目標の測角を示す図である。
【図5】同実施形態において、アンテナ素子の詳細配置を示す図である。
【図6】同実施形態において、観測周波数帯と素子間隔との特性を示す図である。
【図7】同実施形態において、例として方位角方向に並ぶアンテナ素子それぞれの電波到来角度に対する振幅特性と単調特性範囲及び広角判定範囲を示す図である。
【図8】同実施形態において、単調特性範囲と広角判定範囲及びゾーン判定範囲との関係において、広角判定角度が単調特性範囲より内側になる場合を説明するための図である。
【図9】同実施形態において、単調特性範囲と広角判定範囲及びゾーン判定範囲との関係において、広角判定角度が単調特性範囲より外側になる場合を説明するための図である。
【図10】同実施形態において、各アンテナ素子の配置関係と判定区分との関係を示す図である。
【図11】同実施形態において、測角処理器の制御処理手順を示すフローチャートである。
【図12】同実施形態において、処理内容と選択素子との関係を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、一実施形態として複合誘導装置が適用される飛しょう体の全体構成、及び、複合誘導装置と目標との関係を示す概略構成図である。図1において、1は移動目標、2は飛しょう体であり、飛しょう体2は、複合誘導装置3と操舵装置4を搭載している。
【0011】
複合誘導装置3は、目標1に対して電波を照射(送信波)して目標1から反射して戻ってくる電波(受信波)を検出、追跡する機能(アクティブ機能)と、目標1が放射する電波(目標放射波)を検出、追跡する機能(パッシブ機能)を有し、目標を追跡するための操舵信号を出力する。
【0012】
操舵装置4は複合誘導装置3からの操舵信号をもとに、飛しょう体1が目標方向に飛しょうするための操舵を実施する。
【0013】
図2は、複合誘導装置3の構成を示すブロック図である。複合誘導装置3の先端にはレドーム5が装着される。レドーム5は飛しょう体2が高速で飛しょうする空力的抗力を低減する形状(尖頭形状等)を有するとともに、空力的な圧力から器材を保護し、さらに、目標1からの電波を広い周波数帯域で透過することができる材質が選定される。
【0014】
図2の上段はアクティブ機能を実現する系統であり、アクティブアンテナ6、アクティブ高周波部7、アクティブ信号変換器8、アクティブ信号処理器9から成る。一方、下段は、パッシブ機能を実現する系統であり、パッシブアンテナ10、パッシブアンテナ切換器11、パッシブ高周波部12、パッシブ信号変換器13、パッシブ信号処理器14から成る。
【0015】
パッシブアンテナ10は、目標1が放射する多種の電波を受信できるよう広帯域受信特性を有する複数のパッシブアンテナ素子21〜25,31〜34から成る。パッシブ信号処理器14は、データ処理器15、測角処理器16、タイミング制御器17から成る。パッシブアンテナ素子21〜25は目標1の検出、測角を実施し、パッシブアンテナ素子31〜34は、観測対象範囲とされる角度よりも外側からの広角度で入射される電波を除去することを目的とする。
【0016】
なお、複合誘導装置3は飛しょう体1への搭載から実装スペースが限定され、同時に電波を受信する系統数は限定されるため、図2のパッシブ高周波部12、パッシブ信号変換器13は4系統を有するものとした。したがって、パッシブアンテナ素子からの受信信号はパッシブアンテナ切換器11により受信系統数に合わせて4素子分の出力が得られるように内部でスイッチ等による切換制御を実施している。
【0017】
しかし、受信系統数は4に限定されるものではなく、器材実装スペースに応じて増減は可能である。パッシブ高周波部12とパッシブ信号変換器13によりデジタル信号処理可能な形態に変換された信号は、パッシブ信号処理器14に入り、データ処理器15でAD変換等をされメモリ等に保存された後、測角処理器16で目標1を検出、測角するための処理を実施し、目標1の測角値(方向)を操舵信号生成器18に出力する。操舵信号生成器18では、アクティブ信号処理器9とパッシブ信号処理器14から得られた目標1の方向に関する情報を統合して、飛しょう体2が目標1を追跡するための操舵指令信号を生成し、操舵装置4へ出力する。
【0018】
図3にアクティブアンテナ6と、パッシブアンテナ10を構成するアンテナ素子21〜34の詳細配置を示す。これらのアンテナ6,10は、目標1の検出と測角を目的に円筒形状を有する飛しょう体2の先端に配置されるため、円形範囲の中に配置される。従来技術では、アクティブアンテナ6を優先的に中央に配置して、パッシブアンテナ10をその周囲に配置していた(特許文献1)。しかし、レドーム5を通過した電波を広帯域で受信する場合、レドーム5が空力的な配慮から尖頭形状等の特殊な形状となるため、周囲の配置ではレドーム5により電波の振幅、位相特性の歪が大きく、広帯域にわたって高い精度で目標1の測角を実現するのは困難である。
【0019】
これを解決するために、パッシブアンテナ10のうち、目標1の検出と測角を行うアンテナ素子21、アンテナ22、アンテナ素子23、アンテナ24、アンテナ25は、レドーム5の歪の影響が広帯域にわたって少ない中央付近に優先的に配置する。そして、アクティブアンテナ6はその周囲に配置する。一般に、アクティブアンテナ6は自らの送信波の周波数帯域に合わせた狭帯域での対応で済むため、レドーム5の影響があっても最適な調整は可能である。また、パッシブアンテナ10のうち、アンテナ素子31、アンテナ素子32、アンテナ素子33、アンテナ素子34は、飛しょう体2の側面に、ほぼ等間隔に4箇所に配置する。これは、正面に配置したアンテナ素子21、アンテナ素子22、アンテナ素子23、アンテナ素子24、アンテナ素子25が目標測角を実施した際に、観測対象範囲とされる角度よりも広角度で入射してくる電波を除去することを目的とする。
【0020】
図4乃至図6に正面に配置したアンテナ素子21〜25による測角方式について示す。図4に示すように、正面に配置したアンテナ素子21〜25による目標の測角はインターフェロメータ方式とする。インターフェロメータ方式では、2つのアンテナ素子で同時に受信した電波の位相を使用して、両素子間の位相差から、受信した電波の入射角度(目標の測角値θ)を算出する。
【0021】
このとき、電波の位相は±180°で周期性を有することから、インターフェロメータ方式で得られる測角値は、観測対象の電波の周波数(F)と素子間隔(d)で決まる周期性を有する。
【0022】
従来は、この周期性を回避して観測したい角度範囲の中で単調性を確保するために、観測したい最大周波数に合わせて素子間隔を設定した。しかし、この場合には観測周波数が低くなるにつれて、インターフェロメータ方式で得られる測角値(θ)の精度が低下する問題がある。
【0023】
これを解決するために、観測周波数帯毎にインターフェロメータを実施するアンテナ素子を切換えて、測角値(θ)の精度低下を防ぐ素子配置とする。アンテナ素子21、アンテナ素子22、アンテナ素子23、アンテナ素子24、アンテナ素子25の詳細配置を図5に示す。
【0024】
図5において、アンテナ素子21、アンテナ素子22、アンテナ素子23は、縦方向の軸上に配置され、飛しょう体2として見た高低角方向の測角を実施する。アンテナ素子21とアンテナ素子22の素子間隔はd2、アンテナ素子22とアンテナ素子23の素子間隔はd3とし、d2>d3とする。
【0025】
これにより、図6に示すように、観測対象とする最も低い周波数帯F1では、アンテナ素子21とアンテナ素子23による素子間隔d1(=d2+d3)でインターフェロメータ測角を実施し、次の周波数帯F2ではアンテナ素子21とアンテナ素子22の素子間隔d2、次の周波数帯F3はアンテナ素子23とアンテナ素子22の素子間隔はd3、最も高い周波数帯F4ではアンテナ素子21、アンテナ素子22、アンテナ素子23の3素子を使用して素子間隔d4(=d3−d2)(文献2参照)とする。
【0026】
一方、アンテナ素子24、アンテナ素子22、アンテナ素子25は、横方向の軸上に配置され、飛しょう体2として見た方位角方向の測角を同様に実施する。アンテナ素子25とアンテナ素子22の素子間隔はd2、アンテナ素子22とアンテナ素子24の素子間隔はd3としd2>d3として、各周波数帯でのインターフェロメータ測角における精度を確保する。
【0027】
続いて、図7乃至図10を参照して、側面に配置したアンテナ素子31〜34による広角除去について説明する。
【0028】
インターフェロメータ測角では周期性が必ず生じるため、観測対象角度範囲で単調性を確保しても、さらにその外側から入射する電波に対しては誤った角度検出をすることになる。したがって、観測対象範囲外から入射する電波を確実に除去する必要がある(広角除去)。
【0029】
図7は、例として方位角方向に並ぶアンテナ素子それぞれの電波到来角度に対する振幅特性と単調特性範囲及び広角判定範囲を示す図、図8は単調特性範囲と広角判定範囲及びゾーン判定範囲との関係において、広角判定角度が単調特性範囲より内側になる場合を説明するための図、図9は単調特性範囲と広角判定範囲及びゾーン判定範囲との関係において、広角判定角度が単調特性範囲より外側になる場合を説明するための図、図10は各アンテナ素子の配置関係と判定区分との関係を示す図である。
【0030】
広角除去においては、正面アンテナ素子22と、側面に配置したアンテナ素子31〜34との振幅を比較して、側面に配置したアンテナ素子31〜34での振幅すべてよりも、アンテナ素子22の振幅の方が大きいときにのみ観測対象範囲からの電波入射と判定(広角判定)して測角処理を実施する(図7)。広角判定を実現するためには、アンテナ素子31〜34とアンテナ素子22の振幅は、観測対象範囲内と判定する角度(±a)で振幅特性が交差するように事前調整される(図7)。事前調整では、観測対象範囲内と判定する角度(±a)を、インターフェロメータ測角で単調性を確保する範囲と重ねることで、インターフェロメータ測角での単調性を確保する(図8)。
【0031】
しかし受信する電波の特性(例えば偏波の違い)によっては点線の振幅特性となり(図7)、観測対象範囲内として調整した角度がずれる場合がある。特にこの角度が外側にずれた場合(角度b)には、観測対象内と判定されてもインターフェロメータの測角の単調性が確保されない角度範囲(+b付近)が生じ、この方向からの電波入射があった場合には誤った測角をしてしまう(図9)。
【0032】
こうした状況を回避するために、観測対象範囲内かの判定に加えて、電波入射方向(方位方向と高低方向)のゾーン判定を実施する。ゾーン判定は、アンテナ素子31〜34範囲で受信した電波の振幅のうちスレッショルドを越えているものがある場合、そのアンテナ素子の位置から、入射している電波のゾーン、すなわち、方位方向の左ゾーンまたは右ゾーン、高低方向の上ゾーンまたは下ゾーンを判定する(図10)。このときに、測角値の極性をゾーン極性と一致するように調整しておけば、インターフェロメータの周期性で測角値の極性が反転された方向からの目標検出となっても、ゾーン判定結果との違いから排除することができる。これにより、受信する電波の特性によって観測対象範囲内として調整した角度がずれても、誤って測角する状況を回避することができる(図9)。
【0033】
以下に、上記構成における動作について説明する。
【0034】
測角処理器16では、タイミング制御器17から方位角粗測角処理、方位角精測角処理、高低角粗測角処理、高低角精測角処理のいずれかの指示を受け、処理を行う。図11は、測角処理器16の制御処理手順を示すフローチャートである。
【0035】
タイミング制御器17は、パッシブアンテナ切換器11に制御信号を出力して、パッシブアンテナ素子21〜34を処理内容により図12に示す4つの受信系統に割り当てる。パッシブアンテナ切換器11は制御信号をもとに内蔵するスイッチ等を切換えて、パッシブアンテナ素子を選択する。選択されたパッシブアンテナ素子が受信した高周波信号は、4つの受信系統でパッシブ高周波部12、パッシブ信号変換器13を経て、データ処理器15でAD変換されメモリに保存される。1検出期間の最後に、タイミング制御器17は周波数指定をパッシブ高周波部12に指定し、次の検出期間で観測する周波数を切換えていく。
【0036】
測角処理器16は、タイミング制御器17からの指示に応じ、広角判定とインターフェロメータによる測角演算を実施する。
【0037】
方位角粗測角処理では以下の処理を行う。図11において、データ処理器15からアンテナ素子受信データ(振幅V・位相Φ)を入力する(ステップST11a)。まず、正面ほぼ中心に位置するアンテナ素子22の振幅値(V22)が目標検出に必要なスレッショルドレベル(Th)以上であるかを判定する(ステップST11b)。
【0038】
スレッショルドレベル以下である場合には(No)、「目標検出無」として処理を終了する。一方、スレッショルドレベル以上である場合には(Yes)、「目標検出有」として測角のための次のステップに移行する。次に、アンテナ素子22での振幅値(V22)と、側面に配置されているアンテナ素子32、34との振幅値(V32、V34)を比較する(ステップST11c)。
【0039】
ステップST11dにおいて、アンテナ素子22の振幅値(V22)がいずれよりも大きい場合には(Yes)、観測対象範囲とされる正面方向からの受信であると判定して観測周波数帯に応じてアンテナ素子24、25のいずれか1つを選択し(ステップST11e)、
測角演算へ移行する。一方、側面のアンテナ素子32、34の振幅値(V32、V34)のいずれかが大きい場合には(No)、観測対象範囲よりも外側からの電波入射と判定して処理を終了する。
【0040】
次に、測角演算においては、アンテナ素子22とアンテナ素子24または25の受信データ(位相Φ)を使用して、インターフェロメータ原理に基づく測角(図4)により測角値を算出する(ステップST11f)。
【0041】
次に、側面アンテナ素子32、34の振幅値(V32、V34)がスレッショルドレベル(Th)以上かを判定し(ステップST11g)、いずれもスレッショルドレベル以下であれば観測対象範囲内であると判定し、ステップST11hからステップST11iに移行してそのまま測角演算で得られた測角値を操舵信号生成器18へ出力する。
【0042】
一方、側面アンテナ素子32、34の振幅値(V32、V34)のいずれかがスレッショルドレベルを越えている場合には、観測対象範囲内の周辺領域である可能性があるため、ステップST11hからステップST11jに移行してここでゾーン判定を行なう。
【0043】
ここでは、側面アンテナ素子32、34の振幅値の最大のアンテナ素子を選択し、そのアンテナ素子の位置からゾーン指定を実施する(図10)。次に、測角演算で得られた測角値の極性と、ゾーン指定領域で得られた極性とが一致するかを判定する(ステップST11k)。一致する場合には観測対象範囲からのデータと判定して、ステップST11lからステップST11iに移行して測角演算で得られた測角値を操舵信号生成器18へ出力する。
【0044】
一方、一致しない場合には、インターフェロメータ方式で誤って測角している範囲である可能性が高いため、無効データとして処理を終了する。
【0045】
方位角精測角処理では以下の処理を行う。図11において、データ処理器15からアンテナ素子受信データ(振幅V・位相Φ)を入力する。まず、正面ほぼ中心に位置するアンテナ素子22の振幅値(V22)が目標検出に必要なスレッショルドレベル(Th)以上であるかを判定する(ステップST11b)。スレッショルドレベル以下である場合には「目標検出無」として処理を終了する。
【0046】
一方、スレッショルドレベル以上である場合には(Yes)、「目標検出有」として測角のための次のステップに移行する。次に、アンテナ素子22での振幅値(V22)と、側面に配置されているアンテナ素子32または34の振幅値(V32またはV34)を比較する(ステップST11c)。アンテナ素子32、34の選択は、直前の方位角粗測角処理の結果から、アンテナ素子32、34のどちらの側にいるかを判定し選択する(ステップST11e)。
【0047】
ここで、アンテナ素子22の振幅値(V22)が大きい場合には、観測対象範囲とされる正面方向からの受信であると判定して測角演算へ移行する。側面のアンテナ素子32または34の振幅値(V32またはV34)が大きい場合には、観測対象範囲よりも外側からの電波入射と判定して処理を終了する。
【0048】
次に、測角演算においては、アンテナ素子22、24、25のうち2個の受信データ(位相Φ)を使用して、インターフェロメータ原理に基づく測角(図4)により測角値を算出する。アンテナ素子は観測周波数に応じ、2個のアンテナ素子間が方位各粗測角処理のときより広い素子間隔のものを選択する。
【0049】
次に、側面アンテナ素子32または34の振幅値(V32またはV34)がスレッショルドレベル(Th)以上かを判定し(ステップST11f)、スレッショルドレベル以下であれば観測対象範囲内であると判定し、ステップST11hからステップST11iに移行してそのまま測角演算で得られた測角値を操舵信号生成器18へ出力する。
【0050】
一方、側面アンテナ素子32または34の振幅値(V32またはV34)がスレッショルドレベルを越えている場合には、観測対象範囲内の周辺領域である可能性があるため、ゾーン判定のステップへ移行する。測角演算で得られた測角値の極性と、ゾーン指定領域で得られた極性とが一致するかを判定する(ステップST11k)。一致する場合には観測対象範囲からのデータと判定して、測角演算で得られた測角値を操舵信号生成器18へ出力する。
【0051】
一方、一致しない場合には、インターフェロメータ方式で誤って測角している範囲である可能性が高いため、無効データとして処理を終了する。
【0052】
高低角粗測角処理、高低角精測角処理では、方位角粗測角処理、方位角精測角処理で使用していた側面アンテナ素子32、34が図12の通りに置き換わり、方位角粗測角処理、方位角精測角処理と同様の処理を行う。
【0053】
方位角粗測角処理、方位角精測角処理、高低角粗測角処理、高低角精測角処理を順次時系列で実施すると方位角、高低角がそれぞれ求まる。これらは状況に応じて、順番を変更あるいは省略することもできる。例えば方位角のみを求めるときは方位角粗測角処理、方位角精測角処理のみを繰り返し処理する。測角に高い精度が必要ないときは、方位角粗測角処理、高低角粗測角処理のみを繰り返し処理する。
【0054】
以上のように上記実施形態によれば、方位角測角および高低角測角の処理を独立して実施できる処理としたことにより、目標の状況によって方位角のみまたは高低角のみに特化して効率的に処理を実施することができる。
【0055】
また、精度に応じても処理を独立して実施できる処理としたことにより、目標の状況によって精度を下げて処理時間を短縮することができる。
【0056】
方位角粗測角処理、方位角精測角処理、高低角粗測角処理、高低角精測角処理いずれの場合においても、測角処理と広角判定処理を同時に行う方式としたことにより、判定の正確性を向上することができる。
【0057】
その他、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…目標、2…飛しょう体、3…複合誘導装置、4…操舵装置、5…レドーム、6…アクティブアンテナ、7…アクティブ高周波部、8…アクティブ信号変換器、9…アクティブ信号処理器、10…パッシブアンテナ、11…パッシブアンテナ切換器、12…パッシブ高周波部、13…パッシブ信号変換器、14…パッシブ信号処理器、15…データ処理器、16…測角処理器、17…タイミング制御器、18…操舵信号生成器、21〜25,31〜34…パッシブアンテナ素子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッシブ方式を採用する飛しょう体搭載の複合誘導装置において、
前記飛しょう体における略円筒筐体となるレドーム先端の円形領域の中央に配置され、前記レドームを通じて前記飛しょう体正面方向からの電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第1のパッシブアンテナ素子群と、
前記レドームの側面に周面に沿って配置され、前記第1のパッシブアンテナ素子群の観測測角範囲より広角の電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第2のパッシブアンテナ素子群と、
観測する周波数帯に応じて前記第1のパッシブアンテナ素子群のうち前記配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び前記第2のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つを粗測角演算するパッシブ信号処理部と、
前記パッシブ信号処理部で得られる粗測角演算結果に基づいて前記飛しょう体を前記目標方向に誘導する誘導手段とを具備することを特徴とする複合誘導装置。
【請求項2】
前記パッシブ信号処理部は、前記粗測角演算結果に応じて前記第2のパッシブアンテナ素子群のうち前記配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び前記第1のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つについて前記粗測角演算処理に比して高精度の精測角演算処理を実行することを特徴とする請求項1記載の複合誘導装置。
【請求項3】
前記パッシブ信号処理部は、複数の素子間隔でインターフェロメータ測角を行うことを特徴とする請求項1記載の複合誘導装置。
【請求項4】
前記パッシブ信号処理部は、前記第2のパッシブアンテナ素子群の各素子における受信信号の振幅のいずれかが前記第1のパッシブアンテナ素子群の受信信号の振幅値を越えるときは、前記粗測角演算結果を廃棄することを特徴とする請求項1記載の複合誘導装置。
【請求項5】
前記パッシブ信号処理部は、前記第2のパッシブアンテナ素子群の各素子における受信信号の振幅値から入射する電波のゾーンを判定し、電波特性の変化に応じて前記第2のパッシブアンテナ素子群による廃棄範囲を調整することを特徴とする請求項4記載の複合誘導装置。
【請求項6】
パッシブ方式を採用する飛しょう体搭載の複合誘導方法において、
前記飛しょう体における略円筒筐体となるレドーム先端の円形領域の中央に沿って、前記レドームを通じて前記飛しょう体正面方向からの電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第1のパッシブアンテナ素子群を配置し、
前記レドームの側面に周面に沿って、前記第1のパッシブアンテナ素子群の観測測角範囲より広角の電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第2のパッシブアンテナ素子群を配置し、
観測する周波数帯に応じて前記第1のパッシブアンテナ素子群のうち前記配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び前記第2のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つを測角演算するパッシブ信号処理を実行し、
前記パッシブ信号処理で得られる測角演算結果に基づいて前記飛しょう体を前記目標方向に誘導することを特徴とする複合誘導方法。
【請求項1】
パッシブ方式を採用する飛しょう体搭載の複合誘導装置において、
前記飛しょう体における略円筒筐体となるレドーム先端の円形領域の中央に配置され、前記レドームを通じて前記飛しょう体正面方向からの電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第1のパッシブアンテナ素子群と、
前記レドームの側面に周面に沿って配置され、前記第1のパッシブアンテナ素子群の観測測角範囲より広角の電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第2のパッシブアンテナ素子群と、
観測する周波数帯に応じて前記第1のパッシブアンテナ素子群のうち前記配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び前記第2のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つを粗測角演算するパッシブ信号処理部と、
前記パッシブ信号処理部で得られる粗測角演算結果に基づいて前記飛しょう体を前記目標方向に誘導する誘導手段とを具備することを特徴とする複合誘導装置。
【請求項2】
前記パッシブ信号処理部は、前記粗測角演算結果に応じて前記第2のパッシブアンテナ素子群のうち前記配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び前記第1のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つについて前記粗測角演算処理に比して高精度の精測角演算処理を実行することを特徴とする請求項1記載の複合誘導装置。
【請求項3】
前記パッシブ信号処理部は、複数の素子間隔でインターフェロメータ測角を行うことを特徴とする請求項1記載の複合誘導装置。
【請求項4】
前記パッシブ信号処理部は、前記第2のパッシブアンテナ素子群の各素子における受信信号の振幅のいずれかが前記第1のパッシブアンテナ素子群の受信信号の振幅値を越えるときは、前記粗測角演算結果を廃棄することを特徴とする請求項1記載の複合誘導装置。
【請求項5】
前記パッシブ信号処理部は、前記第2のパッシブアンテナ素子群の各素子における受信信号の振幅値から入射する電波のゾーンを判定し、電波特性の変化に応じて前記第2のパッシブアンテナ素子群による廃棄範囲を調整することを特徴とする請求項4記載の複合誘導装置。
【請求項6】
パッシブ方式を採用する飛しょう体搭載の複合誘導方法において、
前記飛しょう体における略円筒筐体となるレドーム先端の円形領域の中央に沿って、前記レドームを通じて前記飛しょう体正面方向からの電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第1のパッシブアンテナ素子群を配置し、
前記レドームの側面に周面に沿って、前記第1のパッシブアンテナ素子群の観測測角範囲より広角の電波を受信し、測角方向について不均等に配置されて互いに間隔が異なる複数の素子を有する第2のパッシブアンテナ素子群を配置し、
観測する周波数帯に応じて前記第1のパッシブアンテナ素子群のうち前記配列間隔が異なる複数の素子を選択し、これら選択した複数の素子それぞれの受信信号及び前記第2のパッシブアンテナ素子群のうち任意の素子の受信信号を用いて目標方向の方位角及び高低角のうちの少なくとも1つを測角演算するパッシブ信号処理を実行し、
前記パッシブ信号処理で得られる測角演算結果に基づいて前記飛しょう体を前記目標方向に誘導することを特徴とする複合誘導方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−78163(P2012−78163A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222386(P2010−222386)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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