説明

複合部材を有する有効成分送達装置

複合アプリケーター先端を有する系および/若しくは複合微小突起アレイ系を用いて人若しくは動物の皮膚に微小突起アレイを適用することによる生物学的有効成分の経皮的経皮送達のための装置および方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚を横断して生物学的有効成分を投与することおよびその経皮送達を高めることに関する。より具体的には、本発明は生物学的有効成分の水分を含まないコーティングを有する多数の皮膚を貫通する微小突起を使用して角質層を通って生物学的有効成分を投与するための経皮送達系に関する。あるいは、該生物学的有効成分は該微小突起アレイのいずれかの表面に固着させたリザーバ若しくはマトリックス中に含有される。該剤の経皮送達は、患者の皮膚への微小突起の適用が皮膚を貫通する微小突起の数を増大させかつ微小突起の浸透の深さの一貫性を増大させる様式でなされる場合に助長される。
【背景技術】
【0002】
有効成分若しくは薬物は、最も便宜的には経口で若しくは注入によるかのいずれかで投与される。不幸なことに、多くの有効成分は吸収されないか若しくは血流に入る前に悪影響を及ぼされるかのいずれかでありかつ従って所望の活性を有しないために、それらは経口で投与される場合に完全に無効であるか若しくは激しく低下された有効性を有する。他方、血流中への剤の直接注入は、それが投与の間の該剤の改変のないこと保証する一方で、困難、不便、痛みを伴いかつ不快でありそしてときに乏しい患者コンプライアンスをもたらす処置である。
【0003】
原則として、経皮送達は、そうでなければ皮下注入若しくは静脈内注入を介して送達される必要があるとみられる有効成分の投与方法を提供する。経皮的剤送達はこれらの領域の双方で改良を提供する。経皮送達は、経口送達と比較した場合に、消化管の過酷な環境を回避し、胃腸の薬物代謝を迂回し、初回通過効果を低下させ、そして消化酵素および肝酵素による可能な非活性化を回避する。経皮送達はアスピリンのような数種の有効成分の消化管への副作用もまた回避する。注射剤と比較した場合、経皮的剤送達は関連する疼痛を排除しかつ感染の可能性を低下させる。多くの場合、しかしながら、受動的経皮経路を介する多数の剤の送達すなわち流動の速度は治療上有効であるには制限されすぎている。
【0004】
当該技術分野で公知であるとおり、「経皮」という用語は皮膚層を横断する有効成分の通過を指す包括的用語である。本明細書で使用されるところの「経皮」という用語は、従って、手術用メスで切断すること若しくは皮下針で皮膚を貫通することのような皮膚の実質的な切断若しくは浸透を伴わない局所組織若しくは全身循環系への皮膚を通る有効成分(例えば、薬物のような治療薬、若しくはワクチンのような免疫学的有効成分)の送達を指す。
【0005】
経皮的剤送達は、受動拡散を介する送達、ならびに電気(例えばイオントフォレーシス)、超音波(例えばフォノフォレーシス)および熱を包含する外的エネルギー源に基づく送達を包含する。多くの経皮的剤送達系は一般に有効成分を投与するために受動拡散に頼る。示される受動経皮輸送(すなわち送達)系は、一般に、高濃度の有効成分を含有する剤のリザーバを包含する。該リザーバは皮膚を接触するように適合されており、剤が患者の皮膚を通りかつ身体組織若しくは血流中に拡散することを可能にする。
【0006】
有効成分は角質層および表皮の双方を横断して受動的に拡散する一方、角質層を通る拡散の速度はしばしば制限段階となる。多くの化合物は、治療上有効な用量を達成するために、単純な受動的経皮拡散により達成し得るよりも高い送達速度を必要とする。従って、こうした例において、上で引用された外的エネルギー源若しくは能動輸送系の1種若しくはそれ以上が使用される。
【0007】
理論上、経皮投与経路は多くの治療的タンパク質の送達に有利であり得る。タンパク質は胃腸の分解の影響を受けやすくかつ乏しい胃腸の取り込みを表し、また、経皮装置は注入よりも患者により受容されるからである。しかしながら、薬効上有効なペプチド、タンパク質、多糖およびDNAの経皮流動は、しばしば、これらの分子の比較的大きな大きさ/分子量のために治療上有効であるには不十分である。しばしば、該送達速度若しくは流動が所望の効果を生じさせるのに不十分であるか、若しくは、剤は標的部位に達する前、例えば患者の血流中の間に分解される。
【0008】
当該技術分野で公知であるとおり、経皮的剤流動は皮膚の状態、剤分子の大きさおよび物理的/化学的特性、ならびに皮膚を横断する濃度勾配に依存する。多数の有効成分についての皮膚の低い浸透性のため、受動的経皮送達は制限された応用を有していた。この低い浸透性は、主として角質層(脂質二重層により取り囲まれたケラチン線維で満たされた平坦な死細胞(すなわちケラチノサイト)よりなる最外皮膚層)に帰される。脂質二重層のこの高度に秩序正しい構造が比較的不浸透性の特徴を角質層に賦与する。
【0009】
受動的経皮拡散による剤の流動の一般的な一増大方法は皮膚浸透増強剤で皮膚を前処理すること、若しくはそれを該剤と共送達することを必要とする。浸透増強剤は、該剤を送達する身体表面に適用される場合に、それを通る剤の流動を高める。しかしながら、経皮的なペプチドおよびタンパク質の流動を高めることにおけるこれらの方法の効力は制限されていた。
【0010】
述べられたとおり、能動的輸送系は、角質層を通る剤の流動を高めるために外的エネルギー源を使用する。経皮的剤送達のための1つのこうした増強は「電気輸送」と称される。この機構は、角質層を通る剤の輸送を高めるための身体表面への電流の適用をもたらす電位を使用する。
【0011】
経皮で送達されている剤の量を高めるために最外皮膚層を機械的に浸透若しくは破壊してそれにより皮膚中に経路を創製する多くの試みもまた存在する。乱切刀として知られる初期のワクチン接種装置は、一般に、皮膚に適用されかつ適用の領域中を引っ掻くすなわち小切創を作成する複数の尖叉若しくは針を包含した。ワクチンは、特許文献1のように皮膚上に局所的に、または特許文献2若しくは特許文献3若しくは特許文献4のように乱切刀の尖叉に塗布される水分を含む液体としてのいずれかで適用された。乱切刀は、部分的に患者の免疫において有効であるためにはワクチンの非常に少量のみが皮膚中に送達される必要があるために、皮内ワクチンの送達での使用に提案されている。
【0012】
しかしながら、有効成分を送達するための乱切刀の使用における重大な一欠点は、正確な予め決められた用量を送達することが可能な系の設計における困難である。また、穿刺を反らせかつそれに抗する皮膚の弾性、変形性かつ弾力的な性質により、小型の貫通要素はしばしば皮膚に均一に浸透せずかつ/若しくは拭われて皮膚浸透に際して剤の液体コーティングがなくなる。
【0013】
経皮的剤送達を高めるために小型の皮膚貫通要素を使用する他の装置は、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10、特許文献11、ならびに特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19、特許文献20、特許文献21、特許文献22、特許文献23、特許文献24および特許文献25(全部はそっくりそのまま引用することにより組み込まれる)に開示されている。示される装置は、皮膚の最外層(すなわち角質層)を貫通するのに多様な形状および大きさの貫通要素を使用している。
【0014】
引用された参考文献に開示される貫通要素は、一般にパッド若しくはシートのような薄
い平坦な部材から垂直に伸長する。貫通要素は、装置のいくつかにおいては極めて小型であり、いくつかはわずか約25〜400ミクロンの微小突起長さおよびわずか約5〜50ミクロンの微小突起厚さを有する。これらの小型の貫通/切断要素は、それを通る経皮的剤送達を高めるために角質層に中に相応して小さい微小細隙/微小切創を作成する。
【0015】
一般に、これらの系は、有効成分を保持するためのリザーバ、およびまた装置それ自身の中空の尖叉によるようなリザーバから角質層を通って剤を移動させるための送達系も包含する。液体の剤のリザーバを包含するこうした装置の一例が特許文献26に開示されている。該リザーバは、しかしながら、液体の剤を小型の管状要素を通りかつ皮膚中に押し込むために加圧されなければならない。こうした装置の欠点は、従って、圧で駆動される送達系の圧による付加された複雑さならびに加圧可能な液体リザーバの追加の費用および複雑さを包含する。
【0016】
物理的リザーバの代わりに、送達されるべき剤で微小突起を被覆し、そしてこのコーティングを特許文献27(引用することにより完全に本明細書に組み込まれる)に開示されるとおりリザーバとしてはたらかせることもまた可能である。これは、別個の物理的リザーバの必要性、およびリザーバに特異的に剤処方若しくは組成物を開発することを排除する。
【0017】
従って、皮膚に浸透しならびに適用される場合に微小突起の浸透深さの変動を制御する方法を提供するアレイ中の微小突起の割合を制御かつ増大する必要性が存在する。
【0018】
これらの能力を有する装置は、より少ない変動を伴いある投薬量の有効成分を送達するための手段を提供するであろう。こうした系は送達される用量の実際の変動がはるかにより小さいために患者にとってより安全である。加えて、剤の利用をより正確に推定し得かつ浪費を減少し得るために、該系は製造者にとってより少なく高価である。
【特許文献1】Rabenauに交付された米国特許第5,487,726号明細書
【特許文献2】Galyに交付された米国特許第4,453,926号明細書
【特許文献3】Chacornacに交付された米国特許第4,109,655号明細書
【特許文献4】Kravitzに交付された米国特許第3,136,314号明細書
【特許文献5】欧州特許第EP 0 407063A1号明細書
【特許文献6】Godshallらに交付された米国特許第5,879,326号明細書
【特許文献7】Gandertonらに交付された米国特許第3,814,097号明細書
【特許文献8】Grossらに交付された米国特許第5,279,544号明細書
【特許文献9】Leeらに交付された米国特許第5,250,023号明細書
【特許文献10】Gerstelらに交付された米国特許第3,964,482号明細書
【特許文献11】Kravizらに交付された再交付第25,637号明細書
【特許文献12】PCT公開第WO 96/37155号明細書
【特許文献13】PCT公開第WO 96/37256号明細書
【特許文献14】PCT公開第WO 96/17648号明細書
【特許文献15】PCT公開第WO 97/03718号明細書
【特許文献16】PCT公開第WO 98/11937号明細書
【特許文献17】PCT公開第WO 98/00193号明細書
【特許文献18】PCT公開第WO 97/48440号明細書
【特許文献19】PCT公開第WO 97/48441号明細書
【特許文献20】PCT公開第WO 97/48442号明細書
【特許文献21】PCT公開第WO 98/00193号明細書
【特許文献22】PCT公開第WO 99/64580号明細書
【特許文献23】PCT公開第WO 98/28037号明細書
【特許文献24】PCT公開第WO 98/29298号明細書
【特許文献25】PCT公開第WO 98/29365号明細書
【特許文献26】PCT公開第WO 93/17754号明細書
【特許文献27】米国特許出願第10/045,842号明細書
【発明の開示】
【0019】
[発明の要約]
本発明の装置および方法は、機械的衝撃アプリケーターを用いて皮膚に適用される微小突起アレイを使用して生物学的有効成分を経皮的に送達することによりこれらの制限を克服し、ここで、該微小突起アレイおよび/若しくは衝撃適用は、該微小突起アレイが適用される場合に皮膚に実際に浸透するアレイ中の微小突起の数を増大させるように適合されている。加えて、微小突起の浸透の深さの均一性もまた増大される。
【0020】
被覆された微小突起アレイの効果的な剤送達設計は、剤の送達を効果的に予測するために、皮膚に浸透する微小突起の数および浸透の深さが可能な限り制御されかつ均一であることを必要とする。微小突起の浸透の割合および浸透の深さの変動性は、皮膚中に導入される有効成分のコーティングの総量を有意に変化させ得、そして従ってコーティングから送達される生物学的有効成分の量を有意に変化させる。
【0021】
微小突起アレイによる皮膚の均一かつ再現可能な浸透における一補助方法は、皮膚若しくは他の身体表面に微小突起アレイを適用するために機械的衝撃アプリケーターを使用することである。こうした装置は、微小突起アレイに一貫しかつ再現可能な力を適用するように設計し得る。これは、同一の使用者による適用間の変動性を低下させ、ならびに使用者間の変動性を低下させる。こうした装置は、微小突起アレイ系の一部分を打ちそして予め決められかつ再現可能な力でそれを皮膚中に駆動するよう設計されている外表面を有するアプリケーター先端を包含する。衝撃アプリケーターの設計および方法のいくつかの変形物が、米国特許出願第09/976,798号明細書および米国特許出願第09/976,763号明細書(引用することにより完全に本明細書に組み込まれる)を包含するいくつかの係属中の米国特許出願に記述されている。
【0022】
本発明は、微小突起アレイおよび衝撃アプリケーター先端のいくつかの構成の1つを利用することにより、浸透の割合および浸透の均一性のこの増大を達成する。
【0023】
本発明は、複合微小突起アレイおよび/若しくは複合衝撃アプリケーター先端の使用を要求する。複合微小突起アレイは微小突起アレイの皮膚遠位表面に取付けられた2成分層よりなる。好ましい一態様において、該2成分層は、微小突起アレイとほぼ同一の直径である硬質マトリックス素材の円板を取り囲む圧縮可能な素材の輪状環を包含する。
【0024】
該複合衝撃アプリケーター先端は、衝撃アプリケーター先端の周縁の周りに配置された嵌込みうね中に配置される圧縮可能な素材の輪状環よりなる。嵌込みうねの寸法および圧縮可能な輪状環の厚さは、該圧縮可能な環の露出された皮膚遠位表面および衝撃アプリケーター先端の皮膚遠位表面の中心部分が本質的に同一平面であるようである。
【0025】
これらの複合要素の一方若しくは双方を包含する微小突起に基づく薬物送達系を利用することは、皮膚を浸透する微小突起の数の増大をもたらし、かつまた微小突起の浸透の深
さの均一性の増大ももたらす。
【0026】
コーティング厚は好ましくは微小突起の厚さより小さい。より好ましくは、該厚さは50ミクロン未満、およびなおより好ましくは25ミクロン未満である。一般に、コーティング厚は被覆された微小突起領域全体で測定される平均厚さである。
【0027】
最も好ましい剤は、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)およびそれらの製薬学的に許容できる塩を包含するこれらの剤の類似物よりなる群から選択される。好ましい剤は、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチン、治療的癌ワクチン、ならびにフェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニル、他のオピオイド類似物およびニコチンのような小分子量の強力な薬物をさらに包含する。
【0028】
コーティングは既知の被覆方法を使用して微小突起に塗布し得る。例えば、微小突起は、係属中の米国特許出願第10/099,604号明細書に記述されるように剤の水性塗布溶液中に浸積若しくは部分的に浸積し得る。
【0029】
あるいは、塗布溶液を微小突起に噴霧し得る。好ましくは、スプレーは約10〜200ピコリットルの液滴大きさを有する。より好ましくは、塗布溶液を微小突起上に直接堆積させかつ微小突起を有する部材の他の「非貫通」部分に堆積させないように、印刷技術を使用して液滴大きさおよび配置を正確に制御する。
【0030】
本発明の別の局面において、角質層を貫通する微小突起はシートから成形され、ここで微小突起はシートを腐蝕若しくは打抜きすることにより成形し、そしてその後微小突起をシートの面から折り畳むか若しくは曲げる。生物学的有効成分のコーティングは微小突起の成形前にシートに塗布し得る一方、好ましくは、コーティングは微小突起を切断若しくは腐蝕した後しかしシートの面から折り畳む前に塗布する。より好ましくは、コーティングは微小突起をシートの面から折り畳み若しくは曲げた後に塗布する。
本発明の実施様式
別の方法で述べられない限り、本明細書で使用される以下の用語は以下の意味するところを有する。
【0031】
「経皮」という用語は、局所若しくは全身治療のための皮膚中へのかつ/若しくはそれを通しての剤の送達を意味している。
【0032】
「経皮流動」という用語は経皮送達の速度を意味している。
【0033】
本明細書で使用されるところの「共送達すること」という用語は、補完する剤(1種若しくは複数)が、該剤が送達される前、該剤の経皮流動の前および間、該剤の経皮流動の間、該剤の経皮流動の間および後、ならびに/若しくは該剤の経皮流動の後のいずれかに経皮投与されることを意味している。加えて、2種若しくはそれ以上の生物学的有効成分を微小突起上に被覆して生物学的有効成分の共送達をもたらしてもよい。
【0034】
本明細書で使用されるところの「生物学的有効成分」という用語は、治療上有効な量で投与される場合に薬理学的に有効である薬物を含有する組成物若しくは混合物を指す。こうした有効成分の例は、限定されるものでないが黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH
)、LHRH類似物(ゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン、ゴナドレリン、ならびにナファレリン、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)およびLH)のような)、バソプレシン、デスモプレシン、コルチコトロピン(ACTH)、ACTH(1−24)のようなACTH類似物、カルシトニン、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、エリスロポエチン(EPO)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、インターロイキン−10(IL−10)ならびにグルカゴンを挙げることができる。
【0035】
本発明の剤製剤(1種若しくは複数)に1種以上の有効成分を組み込み得ること、および、「有効成分」という用語の使用が2種若しくはそれ以上のこうした剤若しくは薬物の使用をいかなる方法でも排除しないことが理解されるべきである。
【0036】
剤は、遊離塩基、酸、荷電した若しくは荷電していない分子、分子複合体の成分、または非刺激性の薬理学的に許容できる塩のような多様な形態であり得る。また、身体のpH、酵素などで容易に加水分解される剤の単純な誘導体(エーテル、エステル、アミドなどのような)を使用し得る。
【0037】
本明細書で使用されるところの「生物学的有効成分」という用語はまた、ワクチン若しくは他の免疫学的有効成分、または免疫学的有効量で投与される場合に免疫学的有効成分の産生を誘発することが可能でありかつ直接若しくは間接的に免疫学的に有効である剤を含有する組成物若しくは混合物も指す。
【0038】
「生物学的有効量」若しくは「生物学的に有効な率」という用語は、生物学的有効成分が製薬学的有効成分である場合に使用し、そして、所望の治療(しばしば有益な)結果をもたらすのに必要とされる薬理学的有効成分の量若しくは率を指す。コーティング中で使用される剤の量は、所望の治療結果を達成するために治療上有効な量の該剤を送達するのに必要な量であることができる。実務において、これは、送達されている特定の薬理学的有効成分、送達の部位、治療されている状態の重症度、所望の治療効果、ならびにコーティングから皮膚組織中への該剤の溶解および送達の放出のキネティクスに依存して広範に変動するであろう。従って、本明細書に記述される方法に従って微小突起中に組込まれかつ経皮送達される薬理学的有効成分の治療上有効な量の正確な範囲を定義することは実務的でない。
【0039】
「生物学的有効量」若しくは「生物学的に有効な率」という用語はまた、該生物学的有効成分が免疫学的有効成分である場合にも使用することができ、そして、所望の免疫学的(しばしば有益な)結果を促進若しくは開始するのに必要とされる免疫学的有効成分の量若しくは率を指す。コーティング中で使用される免疫学的有効成分の量は、所望の免疫学的結果を達成するために必要とされる該剤の量を送達するのに必要な量であることができる。実務において、これは、送達されている特定の免疫学的有効成分、送達の部位、ならびにコーティングから皮膚組織中への該剤の溶解および送達の放出のキネティクスに依存して広範に変動するであろう。
【0040】
「微小突起」という用語は、生存している動物、とりわけ哺乳動物およびより具体的にはヒトの皮膚の角質層を通って下にある表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通若しくは切断するよう適合されている貫通要素を指す。典型的には、貫通要素は500ミクロン未満、より好ましくは250ミクロン未満の突起長さを有する。微小突起は、典型的には約5ないし50ミクロンの幅および厚さを有する。微小突起は、針、中空針、刃、ピン、パンチ、他の皮膚を浸透若しくは貫通する形状およびそれらの組合せのような多様な形状
に成形し得る。
【0041】
本明細書で使用されるところの「微小突起アレイ」若しくは「微小突起部材」という用語は、角質層を貫通するためある配列に配置されている複数の微小突起を指す。微小突起アレイは、薄いシートから複数の微小突起を腐蝕若しくは打抜きすること、および該シートの面から微小突起を折り畳むか若しくは曲げて図1に示されるような形状を形成することにより成形しうる。該シートは典型的に形状が円形であるが、しかし他の形状を有するシートを使用してもよい。微小突起アレイはまた、Zuck、米国特許第6,050,988号明細書に開示されるところの細片(1個若しくは複数)のそれぞれの縁に沿って微小突起を有する1個若しくはそれ以上の細片を成形することによるような他の既知の様式で成形してもよい。微小突起アレイは、水分を含まない薬理学的有効成分を保持する中空針を包含し得る。
【0042】
シート若しくは部材の領域への言及、およびシート若しくは部材の領域による何らかの特性への言及は、シートの外周すなわち境界により領域を定められた領域を指す。
【0043】
「溶液」という用語は、完全に溶解された成分の組成物のみならず、しかしまた限定されるものでないがタンパク質ウイルス粒子、不活性ウイルスおよび分割ビリオンを挙げることができる成分の懸濁液も包含する。
【0044】
本明細書で使用されるところの「模様塗」という用語は微小突起の選択された領域上に剤を被覆することを指す。1種以上の剤を単一の微小突起アレイ上に模様塗し得る。模様塗は、マイクロピペット操作(micropipetting)およびインクジェット被覆のような既知のマイクロ流体分配技術を使用して微小突起に塗布し得る。
【0045】
本明細書で使用されるところの「微小突起アレイ系」という用語は、少なくとも、微小突起アレイ、裏地膜、多様な接着層の組合せを指す。系が圧縮可能な素材の環および硬質マトリックス円板を包含する場合には、該系は「複合微小突起アレイ系」と称される。該系が圧縮可能な環および硬質マトリックス円板を包含しない場合、それは「標準的微小突起アレイ系」と称される。
【0046】
本明細書で使用されるところの「複合アプリケーター先端」という用語は、アプリケーター先端の皮膚近位端に周縁で取付けられた圧縮可能な素材の環を有する衝撃アプリケーターの先端を指す。アプリケーター先端が圧縮可能な環を包含しない場合には、それは「標準的アプリケーター先端」を有すると称される。
【0047】
圧縮可能な素材は、好ましくは、約50μm以上の、貫通されている皮膚表面に垂直な方向の圧縮性を有する圧縮可能なフォームを含んでなる。該圧縮可能なフォームは好ましくは独立若しくは連続気泡フォームを含んでなる。
【0048】
該フォームは、好ましくは、限定されるものでないが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SBR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVA、EMA、メタロセン樹脂、PBCおよびそれらのブレンドを挙げることができる。
【0049】
本明細書で使用されるところの「微小突起に基づく薬物送達系」という用語は、衝撃アプリケーターおよび微小突起アレイ系の組合せを指す。本発明の微小突起に基づく薬物送達系は、(i)複合微小突起アレイ系若しくは(ii)複合アプリケーター先端を有するアプリケーター若しくは(iii)複合微小突起アレイ系および複合アプリケーター先端を有するアプリケーターの組合せを包含する。
[発明の詳細な記述]
本発明は、微小突起に基づく剤送達系の使用により患者に生物学的有効成分を経皮送達するための装置を提供する。該装置は、それから伸長する複数の角質層を貫通する微小突起を包含する。該微小突起は、角質層を通って下にある表皮層若しくは表皮および真皮層中に貫通するよう適合されている。
【0050】
微小突起は最低1種の生物学的有効成分を含有するその上の水分を含まないコーティングを有する。皮膚の角質層の貫通に際して、該剤を含有するコーティングが体液(細胞内液および間質液のような細胞外液)により溶解され、そして局所若しくは全身治療のため皮膚中に放出される。
【0051】
図1は本発明での使用のための角質層を貫通する微小突起部材5の一態様を具体的に説明する。図1は複数の微小突起10を有する部材5の一部分を示す。微小突起10は開口部14を有するシート12から実質的に90°の角度で伸長する。シート12は、シート12のための裏地を有する送達貼付剤中に組み込まれてよく、また、該貼付剤を皮膚に付着させるための接着剤を付加的に包含してよい。本態様において、該微小突起は、薄い金属シート12から複数の微小突起10を腐蝕若しくは打抜きすること、およびシートの面から微小突起10を曲げることにより成形する。ステンレス鋼およびチタンのような金属が好ましい。金属の微小突起部材は、Trautmanら、米国特許第6,083,196号明細書;Zuck、米国特許第6,050,988号明細書;およびDaddonaら、米国特許第6,091,975号明細書(それらの開示は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0052】
本発明とともに使用し得る他の微小突起部材は、シリコンチップ腐蝕技術を使用してシリコンを腐蝕することにより、若しくは腐蝕された微小金型を使用してプラスチックを成形することにより成形する。シリコンおよびプラスチックの微小突起部材はGodshallら、米国特許第5,879,326号明細書(その開示は引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0053】
図2は、そのいくつかが生物学的有効成分を含有するコーティング18、19若しくは20を有する複数の微小突起10を有する微小突起部材5の一部分を具体的に説明する。本発明により、これらのコーティングは微小突起10を部分的に(コーティング19)若しくは完全に(コーティング20)覆ってよい。該コーティングは、典型的には微小突起が成形された後に塗布される。
【0054】
微小突起上のコーティングは多様な既知の方法により作り得る。こうした一方法が浸積被覆である。浸積被覆は、微小突起を塗布溶液中に部分的に若しくは完全に浸積することにより微小突起を被覆する手段として記述し得る。あるいは装置全体を塗布溶液中に浸積し得る。微小突起部材(1個若しくは複数)が皮膚を貫通する部分のみを被覆することが好ましい。間質液と接触する微小突起部材の部分のみを被覆することがより好ましい。
【0055】
上述された部分的浸積技術の使用により、コーティングを微小突起の先端のみに制限することが可能である。コーティングを微小突起の先端に制限するローラー塗機構もまた存在する。この技術は米国特許出願第10/099,604号明細書(引用することにより完全に本明細書に組み込まれる)に記述されている。
【0056】
他の被覆方法は塗布溶液を微小突起に噴霧することを包含する。噴霧は被覆組成物のエアゾル懸濁液の形成を包含し得る。好ましい一態様において、約10ないし200ピコリットルの液滴大きさを有するエアゾル懸濁液を微小突起上に噴霧しかつその後乾燥させる。
【0057】
別の態様において、非常に少量の塗布溶液を、模様塗18として図2に示されるとおりに微小突起10上に堆積させ得る。模様塗18は、微小突起表面上の堆積される液体の位置決めのための分配系を使用して塗布し得る。堆積される液体の量は、好ましくは微小突起あたり0.5ないし20ナノリットルの範囲にある。適する精密計量液体分配器の例は米国特許第5,916,524号;同第5,743,960号;同第5,741,554号;および同第5,738,728号明細書(それらの開示は引用することにより完全に本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0058】
微小突起塗布溶液はまた、既知のソレノイドバルブ分配器、任意の流体推進手段、および電場の使用により一般に制御される位置決め手段を使用するインクジェット技術を使用しても塗布し得る。印刷工業からの他の液体分配技術若しくは当該技術分野で既知の類似の液体分配技術を、本発明の模様塗を塗布するために使用し得る。
【0059】
所望のコーティング厚は、シートの単位面積あたりの微小突起の密度ならびに被覆組成物の粘度および濃度、ならびに選ばれた被覆方法に依存する。一般にコーティング厚は50ミクロン未満であるべきである。より厚いコーティングは角質層の貫通に際して微小突起から剥がれ落ちる傾向を有するためである。好ましいコーティング厚は微小突起表面から測定されるところの10ミクロン未満である。一般に、コーティング厚は被覆された微小突起全体で測定された平均コーティング厚と称される。より好ましいコーティング厚は約1ないし10ミクロンである。
【0060】
本発明で使用される剤は、1微小突起アレイの微小突起の全部の上に被覆された剤の総量が1マイクログラムないし1ミリグラムの範囲にあることを必要とする。この範囲内の量を、10cmまでの面積および1cmあたり1000個の微小突起までの微小突起密度を有するシート12を伴う図1に示される型の微小突起アレイ上に被覆し得る。
【0061】
上述された特性を有する好ましい薬理学的有効成分は、限定されるものでないが、限定されるものでないが、デスモプレシン、黄体化ホルモン放出ホルモン(LHRH)およびLHRH類似物(例えばゴセレリン、リュープロリド、ブセレリン、トリプトレリン)、PTH、カルシトニン、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、メノトロピン(ウロフォリトロピン(FSH)および黄体化ホルモン(LH)、エリスロポエチン(EPO)、GM−CSF、G−CSF、IL−10、GRF、グルカゴン、慣習的ワクチンならびにDNAワクチンを挙げることができる。
【0062】
全部の場合において、コーティングが塗布された後に、塗布溶液を微小突起上で多様な手段により乾燥する。好ましい一態様において、被覆された装置を周囲室条件で乾燥させる。しかしながら、多様な温度および湿度レベルを使用して微小突起上の塗布溶液を乾燥し得る。加えて、該装置を加熱、凍結乾燥(lyophilized)、凍結乾燥(freeze dried)し得るか、若しくは類似の技術を使用してコーティングから水を除去し得る。
【0063】
他の既知の製剤補助物質が、塗布溶液の必要な溶解性および粘度の特徴ならびに乾燥されたコーティングの物理的完全性に悪影響を及ぼさない限りは、それらを塗布溶液に添加し得る。
【0064】
上で示されたとおり、本発明は複合微小突起アレイおよび/若しくは複合アプリケーター先端を有する衝撃アプリケーターの使用を要求する。今や図3Aを参照すれば、利用される場合に微小突起アレイ系13の遠位表面を打つことができる標準的衝撃アプリケータ
ー先端12よりなる標準的な微小突起に基づく薬物送達系10が示される。裏地膜14が接着層16を介して微小突起アレイ18に接着される。
【0065】
図3Bは、衝撃アプリケーター先端22が図3Aに示されるものと同一である本発明の第一の変形物である微小突起に基づく薬物送達系20を示す。該複合微小突起アレイ系23は、圧縮可能なフォーム29および硬質マトリックス25に接着されている裏地膜24より構成される。圧縮可能なフォーム29は輪状環を含んでなりかつ硬質マトリックス25を囲んで本質的に平坦な円板を形成する。微小突起アレイ28は硬質マトリックス25に接着されている。裏地膜24および微小突起アレイ28は接着層26により圧縮可能なフォーム29および硬質マトリックス25の反対面に接着されている。
【0066】
図3Cは微小突起アレイ系33が図3Aに示される微小突起系13に同一である本発明の第二の変形物である微小突起に基づく薬物送達系30を示す。しかしながら本変形物は複合衝撃アプリケーター先端35を包含する。該複合先端35は、衝撃アプリケーター先端32の周縁の周りに形成される輪状環として造形されかつ先端32の縁で形成される円形ラビット36中に配置される圧縮可能なフォーム39を包含する。ラビット36の深さおよび圧縮可能なフォーム39の厚さは本質的に同一である。従って、圧縮可能なフォーム39の皮膚近位表面および先端32は本質的に平坦である。
【0067】
示されないとは言え、本発明の別の態様は、図3Cに示されるところの複合衝撃アプリケーター先端とともに使用される図3Bに示されるところの複合微小突起アレイ系の組合せである。
【実施例】
【0068】
以下の実施例は、当業者が本発明をより明瞭に理解しかつ実施することを可能にするために示される。それらは本発明の範囲を制限するとみなされるべきでなく、しかし単にその代表として具体的に説明されているとみなされるべきである。
【0069】
試験は3種の適用系の1種を使用して実施した。表Iを参照すれば、第一のものは硬質アプリケーター先端および標準的微小突起アレイを含んだ標準的適用系(要素10、図3A)であった。第二の適用系は標準的アプリケーター先端および複合微小突起アレイ(要素20、図3B)よりなった。第三の適用系は複合アプリケーター先端および標準的微小突起アレイ(要素30、図3C)よりなった。
【0070】
【表1】

各型の系を無毛モルモット(HGP)およびヒト志願者双方で試験した。
浸透および均一性試験
上の適用系のそれぞれが生じた穿刺の程度の変動について試験するために、3種の系の構成をHGPで試験した。各型の系を、1動物あたり1系で3匹のHGPに適用した。これは各群が3つの複製物よりなる3群の9匹の動物の試験をもたらした。
【0071】
試験した実際の系は、214ミクロンの微小突起長さを有し、1.6cmの直径、2cmの面積を有し、かつ2cmあたり585個の微小突起を有する微小突起アレイよりなった。該系を、10ミリ秒未満に0.42ジュールの力を適用した衝撃アプリケーターを使用して適用した。
【0072】
系は動物の脇腹に適用した。該部位を系の適用直前に人的に両側に伸展した。伸展は2対の反対する力の適用よりなり、該対は相互に90度に向けた。系を動物上の定位置で5秒間留まらせそしてその後除去した。該部位を直ちにメチレンブルーの1%水性溶液で染色した。過剰の色素を洗い流しそして該部位の写真を撮影した。各部位は、写真の評価に基づき染色の程度を判定することにより評価した。
【0073】
実際に穿刺されている皮膚の部分のみがメチレンブルーにより染色されるため、全部の染色評価は各微小突起穿刺部位での色の強度の評価に基づく。微小突起が皮膚に深く浸透するほど、形成される穿刺細隙の幅は大きくなり、そして微小突起穿刺部位はより強く染色されることができる。
【0074】
各穿刺部位についての染色の強度を4分類、すなわち、染色なし、わずかな染色、中程度の染色、および強度の染色の1つに位置付けた。これらの分類にそれぞれ0〜3の数値を割り当てた。上の4分類のそれぞれについて、4分類のそれぞれに入る染色を有した全適用部位の割合を推定した。例えば、適用部位の染色が該4種の強度分類のそれぞれに等しく分割された場合には、その部位に強度分類0について25%、強度分類1について25%、強度分類2について25%および強度分類3について25%の等級付けを与えることができる。3名の判定者のそれぞれにより評価されたところの各強度分類について生じる割合を一緒に平均した。生データを下の表IIに提示する。
【0075】
【表2】

上の割合のそれぞれは、それぞれが異なる人による3評価の平均を表す。データを図4にグラフで示す。各系の構成の生じる平均を一緒に群にして示し、試験した3種の系の構成のそれぞれを表す3群をもたらす。各群は4本までの棒を含有し得、該棒のそれぞれは該4分類の1つ内に入る穿刺部位全体の割合を表す。
【0076】
図4に提示されるデータの精査は、群Aが強度分類0にあると判定された穿刺部位のいくつかの領域を有したことを示す。群Aはまた、群BおよびCと比較した場合に、強度分類1に評価される穿刺部位の比較的高い割合も示した。構成Aはその穿刺部位のより大きな比率を有し、群BおよびCと比較した場合にほとんど若しくは全く染色されない部位を示した。
【0077】
群Bも群Cのいずれも強度分類0であると判定されたいかなる穿刺部位も示さなかったため、これらの群については3本の棒しか存在しない。加えて、強度分類1から強度分類2および3のより大きな割合への移動が存在した。群Bは強度分類3について61.1%の最高値を示す。群Cは強度分類0で染色を示さず、また、強度分類3で群Bに比較してより高い割合を示した。これらの結果は、系Aが系B若しくは系Cよりも皮膚のより不均一な穿刺を生じたことを示す。
知覚の低下
系の適用の時点で認識された疼痛知覚に対する多様な適用系の構成の影響を決定するために、付加的な試験をヒト被験体で実施した。
【0078】
上の表Iに示される3種の構成のそれぞれを3名のヒト志願者で試験した。各志願者に3種の系のそれぞれ1種を適用させた。系は腹側前腕上の多様な皮膚部位に一方の前腕とその後他方との間を交互に適用した。系は、該系が微小突起アレイを含有しなかったことを除き上述されたものと同一であり、また、適用部位は染色しなかった。
【0079】
各志願者には、3種の系のそれぞれを適用した場合に彼らが感じた疼痛の彼らの認識を評価するよう要求した。等級付けには、認識された疼痛を知覚なし、軽度の知覚、中程度の知覚若しくは重度の疼痛であるとして表すため0ないし3の値を割り当てた。
【0080】
知覚試験の3名の志願者(V1、V2およびV3)のそれぞれからの生データを下に表IIIに示す。
【0081】
【表3】

各系の型の平均を計算し、そして結果を図5にグラフで示す。
【0082】
データの一貫性により各平均のSEMがゼロでありかつ従って誤差の棒がグラフ上に示されないことに留意されたい。該結果は、複合先端若しくは複合微小突起アレイ系のいずれかを含有する送達系が、系を適用した人により認識されるようなより低レベルの知覚をもたらしたことを示す。
【0083】
本発明はその上に被覆された生物学的有効成分を有する微小突起アレイ系で具体的に説明されたとは言え、本発明の原理は、生物学的有効成分が微小突起アレイのいずれかの表面に固着されたリザーバ若しくはマトリックス中に含有される微小突起系にも同等に適用し得る。米国特許仮出願第60/514,433号および同第60/514,387号明細書ならびにPCT公開第WO98/28037号明細書(そっくりそのまま引用することにより本明細書に組み込まれる)に開示されるリザーバおよび微小突起アセンブリが具体的に説明する。
【0084】
本発明の好ましい態様であると現在考えられるものを開示した一方、当業者は、本発明の技術思想から離れることなくそれに対し変更および改変をなしうることを認識することができ、そして、全部のこうした変更および改変が本発明の真の範囲内にあると主張することを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
本発明は今や、付随する図面および図で具体的に説明される好ましい態様に言及してより詳細に記述することができ、ここで、
【図1】微小突起アレイの一例の一部分の透視図である。
【図2】コーティングを微小突起上に堆積させた図1の微小突起アレイの透視図である。
【図3A−3C】従来技術(図3A)ならびに本発明(図3Bおよび3C)の衝撃アプリケーター先端および微小突起アレイのいくつかの変形物の図解表示である。
【図4】本発明のいくつかの態様の使用により微小突起アレイを皮膚に適用した場合の浸透の深さの変動を示すグラフである。
【図5】本発明のいくつかの変形物を試験する場合の認識される知覚の変動を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚遠位表面から突出している複数の角質層を貫通する微小突起を包含する、上面および皮膚遠位表面を有する微小突起部材;
前記微小突起部材の上面に配置された実質的に剛性のマトリックス部材;
前記微小突起部材の上面上に配置されかつ前記剛性のマトリックス部材を取り囲む圧縮可能な環;ならびに
前記剛性のマトリックス部材および圧縮可能な環上に配置された裏地膜
を含んでなる、複合微小突起系。
【請求項2】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ500ミクロン未満の長さを有する、請求項1に記載の微小突起系。
【請求項3】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ5〜50ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項1に記載の微小突起系。
【請求項4】
前記剛性のマトリックスおよび前記圧縮可能な環が実質的に平坦な円板を形成する、請求項1に記載の微小突起系。
【請求項5】
前記圧縮可能な環が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項1に記載の微小突起系。
【請求項6】
前記圧縮可能なフォームが50μmより大きい圧縮性を有する、請求項5に記載の微小突起系。
【請求項7】
前記圧縮可能なフォームが実質的に連続気泡のフォームを含んでなる、請求項5に記載の微小突起系。
【請求項8】
前記圧縮可能なフォームが実質的に独立気泡のフォームを含んでなる、請求項5に記載の微小突起系。
【請求項9】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレンドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項5に記載の微小突起系。
【請求項10】
前記微小突起部材が、最低1種の生物学的有効成分を包含する生物適合性コーティングで被覆されている、請求項1に記載の微小突起系。
【請求項11】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物よりなる群から選択される、請求項10に記載の微小突起系。
【請求項12】
前記生物学的有効成分が、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンおよび治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項10に記載の微小突起系。
【請求項13】
前記生物学的有効成分が、フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニルおよびニ
コチンよりなる群から選択される、請求項10に記載の微小突起系。
【請求項14】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれが、1マイクログラムないし1ミリグラムの範囲の前記生物学的有効成分を包含する、請求項10に記載の微小突起系。
【請求項15】
前記微小突起部材がリザーバを包含する、請求項1に記載の微小突起系。
【請求項16】
前記リザーバが最低1種の生物学的有効成分を包含する、請求項15に記載の微小突起系。
【請求項17】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物よりなる群から選択される、請求項16に記載の微小突起系。
【請求項18】
前記生物学的有効成分が、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンおよび治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項16に記載の微小突起系。
【請求項19】
前記生物学的有効成分が、フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニルおよびニコチンよりなる群から選択される、請求項16に記載の微小突起系。
【請求項20】
前記微小突起部材が剤を含有するマトリックスを包含する、請求項1に記載の微小突起系。
【請求項21】
前記マトリックスが、前記微小突起部材の前記上面近くに配置されている、請求項20に記載の微小突起系。
【請求項22】
前記マトリックスが、前記微小突起部材の前記皮膚遠位表面近くに配置されている、請求項20に記載の微小突起系。
【請求項23】
前記マトリックスが最低1種の生物学的有効成分を包含する、請求項20に記載の微小突起系。
【請求項24】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物よりなる群から選択される、請求項23に記載の微小突起系。
【請求項25】
前記生物学的有効成分が、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンおよび治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項23に記載の微小突起系。
【請求項26】
前記生物学的有効成分が、フェンタニル、スフェンタニル、レミフェンタニルおよびニコチンよりなる群から選択される、請求項23に記載の微小突起系。
【請求項27】
上面および皮膚遠位表面を有し、前記皮膚遠位表面から突出している複数の角質層を貫通する微小突起を包含し、最低1種の生物学的有効成分を包含する生物適合性コーティングで被覆されている微小突起部材;
前記微小突起部材の上面上に配置されている実質的に剛性のマトリックス部材;
前記微小突起部材の上面上に配置されかつ前記剛性のマトリックス部材を取り囲む圧縮可能な環;ならびに
前記剛性のマトリックス部材および圧縮可能な環の上に配置されている裏地膜
を含んでなる、複合微小突起系。
【請求項28】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ500ミクロン未満の長さを有する、請求項27に記載の微小突起系。
【請求項29】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ5〜50ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項27に記載の微小突起系。
【請求項30】
前記剛性のマトリックスおよび前記圧縮可能な環が実質的に平坦な円板を形成する、請求項27に記載の微小突起系。
【請求項31】
前記圧縮可能な環が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項27に記載の微小突起系。
【請求項32】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレンドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項31に記載の微小突起系。
【請求項33】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項27に記載の微小突起系。
【請求項34】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれが、1マイクログラムないし1ミリグラムの範囲の前記生物学的有効成分を包含する、請求項33に記載の微小突起系。
【請求項35】
上面および皮膚遠位表面を有し、前記皮膚遠位表面から突出している複数の角質層を貫通する微小突起を包含し、最低1種の生物学的有効成分を含有するリザーバをさらに包含する微小突起部材;
前記微小突起部材の上面上に配置されている実質的に剛性のマトリックス部材;
前記微小突起部材の上面上に配置されかつ前記剛性のマトリックス部材を取り囲む圧縮可能な環;ならびに
前記剛性のマトリックス部材および圧縮可能な環上に配置されている裏地膜
を含んでなる、複合微小突起系。
【請求項36】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ500ミクロン未満の長さを有する、請求項35に記載の微小突起系。
【請求項37】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ5〜50ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項35に記載の微小突起系。
【請求項38】
前記剛性のマトリックスおよび前記圧縮可能な環が実質的に平坦な円板を形成する、請求項35に記載の微小突起系。
【請求項39】
前記圧縮可能な環が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項35に記載の微小突起系。
【請求項40】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレンドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項39に記載の微小突起系。
【請求項41】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項35に記載の微小突起系。
【請求項42】
上面および皮膚遠位表面を有し、前記皮膚遠位表面から突出している複数の角質層を貫通する微小突起を包含し、最低1種の生物学的有効成分を包含する剤を含有するマトリックスをさらに包含する微小突起部材;
前記微小突起部材の上面上に配置されている実質的に剛性のマトリックス部材;
前記微小突起部材の上面上に配置されかつ前記剛性のマトリックス部材を取り囲む圧縮可能な環;ならびに
前記剛性のマトリックス部材および圧縮可能な環上に配置されている裏地膜
を含んでなる、複合微小突起系。
【請求項43】
前記マトリックスが前記微小突起部材の前記上面近くに配置されている、請求項42に記載の微小突起系。
【請求項44】
前記マトリックスが前記微小突起部材の前記皮膚遠位表面近くに配置されている、請求項42に記載の微小突起系。
【請求項45】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ500ミクロン未満の長さを有する、請求項42に記載の微小突起系。
【請求項46】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ5〜50ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項42に記載の微小突起系。
【請求項47】
前記剛性のマトリックスおよび前記圧縮可能な環が実質的に平坦な円板を形成する、請求項42に記載の微小突起系。
【請求項48】
前記圧縮可能な環が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項42に記載の微小突起系。
【請求項49】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレンドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項48に記載の微小突起系。
【請求項50】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項42に記載の微小突起系。
【請求項51】
皮膚遠位表面を有する、アプリケーターと共同するように適合されている先端部材;および
前記先端部材の皮膚遠位表面上に配置されている圧縮可能な部材
を含んでなる、微小突起部材を適用するように適合されているアプリケーターの複合アプリケーター先端。
【請求項52】
前記先端部材が、前記先端部材の皮膚遠位表面上の実質的に連続した嵌込み領域を包含する、請求項51に記載のアプリケーター先端。
【請求項53】
前記圧縮可能な部材が前記嵌込み領域中に配置されている、請求項52に記載のアプリケーター先端。
【請求項54】
前記圧縮可能な部材が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項51に記載のアプリケーター先端。
【請求項55】
前記圧縮可能なフォームが実質的に連続気泡のフォームを含んでなる、請求項54に記載のアプリケーター先端。
【請求項56】
前記圧縮可能なフォームが実質的に独立気泡のフォームを含んでなる、請求項54に記載のアプリケーター先端。
【請求項57】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレンドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項54に記載のアプリケーター先端。
【請求項58】
皮膚遠位表面を有し、前記皮膚炎意表面上に実質的に連続した嵌込み領域を包含する、アプリケーターと共同するように適合されている先端部材;および
前記嵌込み領域中に配置されている圧縮可能な部材
を含んでなる、微小突起部材を適用するように適合されているアプリケーターの複合アプリケーター先端。
【請求項59】
前記嵌込み領域が前記先端部材の皮膚遠位表面の外周縁近くに配置されている、請求項58に記載のアプリケーター先端。
【請求項60】
前記圧縮可能な部材が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項58に記載のアプリケーター先端。
【請求項61】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレンドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項60に記載のアプリケーター先端。
【請求項62】
上面および皮膚遠位表面を有し、前記皮膚遠位表面から突出している複数の角質層を貫通する微小突起を包含する微小突起部材、前記微小突起部材の上面上に配置されている実質的に剛性のマトリックス部材、前記微小突起部材の上面上に配置されかつ前記剛性のマトリックス部材を取り囲む圧縮可能な環、ならびに前記剛性のマトリックス部材および圧縮可能な環上に配置されている裏地膜;ならびに
前記微小突起部材を適用するために使用される場合に前記微小突起部材を接触するように適合されているアプリケーター先端を包含する、前記微小突起部材を適用するように適合されているアプリケーター
を含んでなる、経皮送達系。
【請求項63】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ500ミクロン未満の長さを有する、請求項62に記載の送達系。
【請求項64】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ5〜50ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項62に記載の送達系。
【請求項65】
前記圧縮可能な環が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項62に記載の送達系。
【請求項66】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレンドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項65に記載の送達系。
【請求項67】
前記微小突起部材が、最低1種の生物学的有効成分を包含する生物適合性のコーティングで被覆されている、請求項62に記載の送達系。
【請求項68】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項67に記載の送達系。
【請求項69】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれが、1マイクログラムないし1ミリグラムの範囲の前記生物学的有効成分を包含する、請求項67に記載の送達系。
【請求項70】
前記微小突起部材がリザーバを包含する、請求項62に記載の送達系。
【請求項71】
前記リザーバが最低1種の生物学的有効成分を包含する、請求項70に記載の送達系。
【請求項72】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項71に記載の送達系。
【請求項73】
前記微小突起部材が剤を含有するマトリックスを包含する、請求項62に記載の送達系。
【請求項74】
前記マトリックスが前記微小突起部材の前記上面近くに配置されている、請求項73に記載の送達系。
【請求項75】
前記マトリックスが前記微小突起部材の前記皮膚遠位表面近くに配置されている、請求項73に記載の送達系。
【請求項76】
前記マトリックスが最低1種の生物学的有効成分を包含する、請求項73に記載の送達系。
【請求項77】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、
慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項76に記載の送達系。
【請求項78】
上面および皮膚遠位表面を有し、前記皮膚遠位表面から突出している複数の角質層を貫通する微小突起を包含する微小突起部材;ならびに
前記微小突起部材を適用するために使用される場合に前記微小突起部材を接触するように適合されている皮膚遠位表面を有するアプリケーター先端を包含し、前記アプリケーター先端は前記アプリケーター先端の前記皮膚遠位表面上に配置されている圧縮可能な部材を包含する、前記微小突起部材を適用するように適合されているアプリケーター
を含んでなる経皮送達系。
【請求項79】
前記アプリケーター先端が、前記アプリケーター先端の前記皮膚遠位表面上に実質的に連続した嵌込み領域を包含する、請求項78に記載の送達系。
【請求項80】
前記圧縮可能な部材が前記嵌込み領域中に配置されている、請求項79に記載の送達系。
【請求項81】
前記圧縮可能な部材が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項78に記載の送達系。
【請求項82】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレン
ドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項81に記載の送達系。
【請求項83】
前記微小突起部材が、最低1種の生物学的有効成分を包含する生物適合性のコーティングで被覆されている、請求項78に記載の送達系。
【請求項84】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項83に記載の送達系。
【請求項85】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれが、1マイクログラムないし1ミリグラムの範囲の前記生物学的有効成分を包含する、請求項83に記載の送達系。
【請求項86】
前記微小突起部材がリザーバを包含する、請求項78に記載の送達系。
【請求項87】
前記リザーバが最低1種の生物学的有効成分を包含する、請求項86に記載の送達系。
【請求項88】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、
慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項87に記載の送達系。
【請求項89】
前記微小突起部材が剤を含有するマトリックスを包含する、請求項78に記載の送達系。
【請求項90】
前記マトリックスが、前記微小突起部材の前記上面近くに配置されている、請求項89に記載の送達系。
【請求項91】
前記マトリックスが、前記微小突起部材の前記皮膚遠位表面近くに配置されている、請求項89に記載の送達系。
【請求項92】
前記マトリックスが最低1種の生物学的有効成分を包含する、請求項89に記載の送達系。
【請求項93】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、
慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項92に記載の送達系。
【請求項94】
上面および皮膚遠位表面を有し、前記皮膚遠位表面から突出している複数の角質層を貫通する微小突起を包含する微小突起部材、前記微小突起部材の上面上に配置されている実質的に剛性のマトリックス部材、前記微小突起部材の上面上に配置されかつ前記剛性のマトリックス部材を取り囲む第一の圧縮可能な部材、ならびに前記剛性のマトリックス部材および第一の圧縮可能な部材上に配置されている裏地膜;ならびに
前記微小突起部材を適用するのに使用される場合に前記微小突起部材と接触するように適合されている皮膚遠位表面を有するアプリケーター先端を包含し、前記アプリケーター先端は前記アプリケーター先端の前記皮膚遠位表面上に配置されている第二の圧縮可能な部材を包含する、前記微小突起部材を適用するように適合されているアプリケーター
を含んでなる、経皮送達系。
【請求項95】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ500ミクロン未満の長さを有する、請求項94に記載の送達系。
【請求項96】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれがおよそ5〜50ミクロンの範囲の厚さを有する、請求項94に記載の送達系。
【請求項97】
前記アプリケーター先端が、前記アプリケーター先端の前記皮膚遠位表面上に実質的に連続した嵌込み領域を包含する、請求項94に記載の送達系。
【請求項98】
前記第二の圧縮可能な部材が前記嵌込み領域中に配置されている、請求項97に記載の送達系。
【請求項99】
前記第一および第二の圧縮可能な部材が圧縮可能なフォームを含んでなる、請求項94に記載の送達系。
【請求項100】
前記フォームが、ポリエチレン、ポリウレタン、ネオプレン、天然ゴム、SPR、ブチル、ブタジエン、ニトリル、EPDM、ECH、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリプロピレン、EVE、EMA、メタロセン樹脂、PVCおよびそれらのブレンドよりなる群から選択される素材を含んでなる、請求項99に記載の送達系。
【請求項101】
前記微小突起部材が、最低1種の生物学的有効成分を包含する生物適合性のコーティングで被覆されている、請求項94に記載の送達系。
【請求項102】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項101に記載の送達系。
【請求項103】
前記複数の角質層を貫通する微小突起のそれぞれが1マイクログラムないし1ミリグラムの範囲の前記生物学的有効成分を包含する、請求項101に記載の送達系。
【請求項104】
前記微小突起部材がリザーバを包含する、請求項94に記載の送達系。
【請求項105】
前記リザーバが最低1種の生物学的有効成分を包含する、請求項104に記載の送達系

【請求項106】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、
慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項105に記載の送達系。
【請求項107】
前記微小突起部材が剤を含有するマトリックスを包含する、請求項94に記載の送達系。
【請求項108】
前記マトリックスが前記微小突起部材の前記上面近くに配置されている、請求項107に記載の送達系。
【請求項109】
前記マトリックスが前記微小突起部材の前記皮膚遠位表面近くに配置されている、請求項107に記載の方法。
【請求項110】
前記マトリックスが最低1種の生物学的有効成分を包含する、請求項107に記載の送達系。
【請求項111】
前記生物学的有効成分が、ACTH(1−24)、カルシトニン、デスモプレシン、LHRH、LHRH類似物、ゴセレリン、リュープロリド、副甲状腺ホルモン(PTH)、バソプレシン、デアミノ[Val4,D−Arg8]アルギニンバソプレシン、ブセレリン、トリプトレリン、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ、FSH、EPO、GM−CSF、G−CSF、IL−10、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン(GRF)および製薬学的に許容できる塩を包含するそれらの類似物、
慣習的ワクチン、組換えタンパク質ワクチン、DNAワクチンならびに治療的癌ワクチンよりなる群から選択される、請求項110に記載の送達系。

【図1】
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【図2】
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【図3A−3C】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−512164(P2006−512164A)
【公表日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−565735(P2004−565735)
【出願日】平成15年12月24日(2003.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/041334
【国際公開番号】WO2004/060473
【国際公開日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(503073787)アルザ・コーポレーシヨン (113)
【Fターム(参考)】