複合酸化型チタニア系光触媒及びその用途

【課題】
本発明は、樹脂や塗料に配合しても樹脂等の変色や劣化を起こさず、且つ十分な光触媒性能を発揮する光触媒に関するものである。
【解決手段】
本発明のチタニアは、チタンに対しニオブ含有量が0.1〜25モル%であるチタニア系光触媒である。また、チタニア系光触媒は細孔容積が0.05〜10cm3/gであり、結晶子径が5nm〜1000nmを有するものである。チタニア系光触媒はブルッカイト型の結晶相を含むものである。チタン原子に対し3価原子を0.01〜20モル%含有するチタニア系光触媒であり、3価原子がアルミニウム、セリウム、鉄のうち少なくとも一つのものであるチタニア系光触媒である。そして、本発明のチタニア系光触媒を含有する製品である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可視光による光触媒活性をも有し、今までの光触媒に比べ樹脂劣化作用を抑制することができる光触媒に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光照射により、化学反応を呈するものとして光触媒があり、これには廃棄物の分解浄化、悪臭の原因となる気体分子の分解による無臭化、及び水の分解による水素の合成等が知られている。
このような光触媒は、その便利さから脚光を浴びており、樹脂に練りこんだり塗料に添加して使用されている。しかし、光触媒を樹脂に練りこんだり塗料に添加した場合、これらの基材を光触媒作用により分解・劣化させる為、変色や加工不良、樹脂強度低下等を起こし、用途が限定されている。特に、繊維に練り込み加工した場合には、紡糸、延伸及び編成時に糸切れ等が生じて、製品にすることが不可能であるときがある。
この為、基材を劣化させない様々な工夫が提案されている。例えば、シリカやゼオライト等の多孔質体粒子の内部や層状化合物の層間に光触媒を担持させ、樹脂との接触面積を減少させることにより被毒を少なくしたり(例えば特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)、光触媒粒子の表面に多孔質セラミックを被覆して、樹脂との接触面積を減少させる試みである(例えば特許文献4及び例えば特許文献5参照)。
しかし、これら光触媒では充分な光触媒性能(光照射時の酸化分解性)を得ることが出来ないばかりか、粒径の制御が困難であるため繊維等の加工性に影響を及ぼすことも少なくなく、さらに樹脂着色を充分抑制することも出来なかった。
【0003】
ニオブをNb25換算で二酸化チタン質量の0.1〜5wt%含有するルチル型またはアナターゼ型のチタニアが報告されている(例えば特許文献6参照)。
バナジウム等の金属成分を含有する水溶液中で熱加水分解によりアンモニアを発生する化合物の存在下でアナターゼ型酸化チタンの製造方法が報告されている(例えば特許文献7参照)。この特許文献にはニオブを含む周期律表第Vb族を用いることが記載されている。但し、この製造方法で作製されるものは触媒担体等に用いられるものである。
【0004】
酸化チタン焼結体の電気伝導度におよぼすNb25の添加効果が報告されている(例えば非特許文献1参照)。この報告では光触媒活性について言及されていない。
焼成した酸化チタン上にNb25をコーティングして光触媒活性を向上させたことが報告されている(例えば非特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−33100号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2000−355872号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開2000−354768号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開平09−225319号公報(特許請求の範囲)
【特許文献5】特開2001−286728号公報(特許請求の範囲)
【特許文献6】特開平09−267037号公報(特許請求の範囲)
【特許文献7】特開平07−267641号公報(特許請求の範囲)
【非特許文献1】高田雅介、外3名、「TiO2焼結体の電気伝導度におよぼすAl2O3およびNb2O5の添加効果」、窯業協会誌、1976年、第84巻、第5号、p237−241
【非特許文献2】J Solid State Chem.,1995年,115巻,p187-
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、樹脂や塗料等に配合してもこれらに対して変色や劣化を起こさず、且つ可視光による光触媒活性をも有する光触媒を提供することである。また、当該光触媒を樹脂等に配合又は付着させるための方法及び当該光触媒を用いた製品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の組成の多孔質複合酸化物からなるチタニアが、上記問題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、チタンに対しニオブ含有量が0.1〜25モル%である複合酸化物型ニオブ−チタニア系光触媒である。また、当該複合酸化型チタニア系光触媒は細孔容積が0.05〜10cm3/gであり、結晶子径が5〜1000nmを有するものである。当該複合酸化型チタニア系光触媒はブルッカイト型の結晶相を含むものである。当該複合酸化型チタニア系光触媒は、チタン原子に対し3価原子を0.01〜20モル%含有していてもよいものであり、当該3価原子はアルミニウム、セリウム、鉄のうち少なくとも一つのものである。
また当該複合酸化型チタニア系光触媒は、5400〜4400cm-1の近赤外に吸収ピークを少なくとも1個以上有するものであり、より好ましくは吸収ピークを少なくとも2個有するものである。
また、当該複合酸化型チタニア系光触媒にアナターゼ型結晶を含む場合、このアナターゼ型結晶のa軸の格子定数が3.775〜3.95Å及びc軸の格子定数が9.46〜10Åのものである。また、当該複合酸化型チタニア系光触媒にルチル型結晶を含む場合、このルチル型結晶のa軸の格子定数が4.598〜4.668Å及びc軸の格子定数が2.96〜3.2Åのものである。
本発明は、当該複合酸化型チタニア系光触媒と、配合剤及び/又は他の光触媒とを含有するチタニア系光触媒組成物である。
本発明は、当該複合酸化型チタニア系光触媒又は上記記載のチタニア系光触媒組成物を含有する製品である。
本発明は、当該複合酸化型チタニア系光触媒又はチタニア系光触媒組成物を含有する機能性分散液であり、当該機能性分散液を用いてなる機能性加工製品である。
本発明は、当該複合酸化型チタニア系光触媒又はチタニア系光触媒組成物を混練してなる機能性樹脂組成物であり、当該機能性樹脂組成物を含有してなる繊維、シート、フィルム又は成型品である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の複合酸化型チタニア系光触媒は、可視光、例えば市販蛍光灯下で優れた光触媒性能を発揮するものである。このようなことから、本発明の複合酸化型チタニア系光触媒は、一般的な光触媒のものと異なり紫外線照射が極めて少ない家の中等において防汚、抗菌、アルデヒドガス等の有毒ガス等や附着した物質を分解することができ、環境浄化や汚染防止等に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明について詳細に説明する。なお、「%」だけのときは質量%を示す。
○複合酸化型チタニア系光触媒
本発明のチタニア系光触媒とは、配合時に樹脂の着色が少ない複合酸化物型チタニア系光触媒である。以下これをチタニア系光触媒と称する。
チタニア系光触媒におけるニオブ含有量のモル%の算出は、チタニア系光触媒中のチタン原子のモル値とニオブ原子のモル値とから下記式で行った。
チタニア系光触媒中のニオブのモル%=
(ニオブ原子のモル値/(チタン原子のモル値+ニオブ原子のモル値))×100
チタニア系光触媒におけるニオブの含有量は、樹脂の着色低減効果を得るために0.1〜25モル%が好ましく、樹脂の着色低減効果と可視光により光触媒活性とを得るためには1モル%超から22モル%が好ましく、更に3〜20モル%が好ましく、特に4〜15モル%が好ましいものである。チタニア系光触媒におけるニオブ含有量が0.1モル%未満では樹脂の着色低減効果が得られにくく、特に3モル%未満では樹脂の着色低減効果が得られにくい。チタニア系光触媒におけるニオブ含有量を25モル%超としても、樹脂の着色低減効果と可視光による光触媒活性とが高まらすコスト的に不利になるため好ましくない。
【0010】
光触媒効果を更に向上させるため、チタニア系光触媒中にはチタン原子とニオブ原子との他に3価原子を添加することができる。この3価原子としてはアルミニウム、セリウム及び鉄が好ましいものとして挙げられ、これら3価原子のうち少なくともひとつの原子がチタニア系光触媒に含まれることが好ましい。当該3価原子として更に好ましいものは、アルミニウム及び/又はセリウムであり、特に好ましいものはアルミニウムである。3価原子を添加するときの比率は、チタニア系光触媒中のチタン原子に対し0.01〜20モル%であり、0.2〜19モル%が好ましく、更に1〜18モル%が好ましく、2〜15モル%が最も好ましい。このモル%の算出方法は、上記ニオブ原子におけるチタニア系光触媒中の含有量と同様に行った。即ち、チタニア系光触媒中における3価原子のモル値から下記式を用いて算出した。
チタニア系光触媒中の3価原子のモル%=
(3価原子のモル値/(チタン原子のモル値+3価原子のモル値))×100
【0011】
チタニア系光触媒の光触媒性能及び樹脂着色抑制効果を得るためには、ニオブや3価原子等は混合物ではなく、複合酸化物になっていることが必要である。また、チタン、ニオブ、及び3価原子以外の成分が混入していても本発明の効果に大きな影響を及ぼさない範囲であれば構わない。
【0012】
本発明のチタニア系光触媒は、多孔質複合酸化物であり、形状としては中心部が両面凸状に膨れた円盤状であることが特徴である。チタニア系光触媒の大きさは、0.01〜10μmが好ましく、樹脂への分散及び加工性を考慮すると0.3〜4μmがより好ましい。チタニア系光触媒の多孔質体であるかの確認は、ヘリウムを混合した窒素相対圧を変化させた場合の窒素吸脱着量のヒステリシスから行うことができる。
チタニア系光触媒において優れた光触媒効果を得るためには、細孔容積が、0.05〜10cm3/gが好ましく、より好ましくは0.1〜5cm3/gであり、更に好ましくは0.3〜5cm3/gである。また、チタニア系光触媒の平均細孔径としては3〜80nmが好ましく、より好ましくは5〜50nmであり、更に好ましくは6〜40nmである。
【0013】
チタニア系光触媒の結晶子径としては、粉末X線回折パターンを精密にピーク分離してリートベルト法により計算することにより、あるいは透過型電子顕微鏡により求めることができる。チタニア系光触媒の結晶子径は、5〜1000nmが好ましく、更に好ましくは7〜500nmであり、特に好ましくは10〜200nmである。チタニア系光触媒の結晶子径が大き過ぎると比表面積が低下して光触媒としての反応効率が低下するおそれがあり、結晶子径が小さすぎても結晶が乾燥時等に凝結して粒径が大きくなり塗膜や成型体として加工時に不良を生じるおそれがある。
【0014】
本発明のチタニア系光触媒の結晶形態は、粉末X線回折パターンから、アナターゼ型結晶及び/又はルチル型結晶を含むこともあるブルッカイト型結晶相である。チタニア系光触媒において樹脂着色抑制効果を得るにため、チタニア系光触媒はブルッカイト型結晶のみからなるものが好ましく、アナターゼ型結晶及び/又はルチル型結晶を含んでいても良く、僅かな比率であれば非晶質が含まれていても良い。
【0015】
本発明のチタニア系光触媒は、ピリジン吸着処理を行なっても1420〜1460cm-1及び1590〜1620cm-1に吸収ピークを認めないものである。このようなピリジン吸着処理を行なっても特定波長に吸収ピークが認められないチタニア系光触媒は、樹脂劣化を引き起こす原因と考えられるルイス酸点が少ないものである。即ち、本発明のチタニア系光触媒は、実質的にルイス酸点を有しないものである。なお、チタニア系光触媒中のルイス酸点とは、チタニア系光触媒においてルイス酸として作用する場所を示す。
【0016】
○チタニア系光触媒の製造方法
本発明のチタニア系光触媒は、チタン水溶液(例えば硫酸チタン又は硫酸チタニルを水に溶解したもの)とニオブ水溶液(例えば五酸化ニオブを蓚酸等を用いて水に溶解したもの)との混合液を加熱処理するものから製造することができる。又はチタン水溶液、ニオブ水溶液及び3価原子塩の水溶液との混合液を加熱処理することによりチタニア系光触媒が得られる。チタニア系光触媒を得るための加熱時間は、チタニア系光触媒が沈殿する時間であればよい。当該加熱時間は、例えば1〜300時間である。
ニオブ水溶液を作製するときの五酸化ニオブ等に対する蓚酸の配合量は、ニオブと等モル〜10倍モル程度添加することが好ましく、等モル超〜5倍モル添加することが更に好ましい。
3価原子塩の水溶液は、3価原子の塩を水に溶解したものであり、例えば、硝酸3価原子塩溶液あるいは硫酸3価原子塩溶液等を用いることができる。具体的には、硝酸アルミニウム、硝酸セリウム、硝酸鉄、硫酸アルミニウム、硫酸セリウム及び硫酸鉄等が例示できる。
【0017】
本発明のチタニア系光触媒を製造するとき、アルカリを用いて混合液のpH調整を行っても良い。この時、熱分解によりアルカリを発生する物を用いても良い(例えば、尿素やヘキサメチレンテトラミン等)。また、チタニア系光触媒が沈殿した後、アルカリを用いてpH調整を行っても良い。
使用するアルカリとしては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属の炭酸水素塩、アンモニア系塩(例えばアンモニア水溶液、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、尿素、及びヘキサメチレンテトラミン等)が例示でき、これらを一種又は複数組合わせても良い。
アルカリ金属の中では、リチウム、ナトリウム、及びカリウムが好ましく、特にリチウムがより好ましい。アルカリ土類金属のなかでは、カルシウム、ストロンチウム、及びバリウムが好ましく、特にカルシウムがより好ましい。アルカリ土類金属とアルカリ金属とではアルカリ金属の方が好ましい。なお、アルカリ金属等の無機アルカリとアンモニア系塩とでは、アンモニア系塩が好ましい。アンモニア系塩としては、炭酸アンモニウム、尿素及びヘキサメチレンテトラミンが好ましい。
【0018】
チタニア系光触媒を製造する時の混合液の加熱処理の温度としては、50〜150℃が好ましく、60〜120℃がより好ましく、65〜105℃が更に好ましい。当該加熱処理の温度が50℃以下である場合は、生成するチタニア系光触媒の結晶性が低下しやすくなることから、チタニア系光触媒の触媒性能が低下する恐れがある。
【0019】
このようにして得られたチタニア系光触媒を後加熱することによって、更にチタニア系光触媒の可視光応答性や光触媒活性等の性能を向上させることができる。
後加熱する温度としては、200〜1200℃が好ましく、300〜1000℃がより好ましく、600〜850℃が更に好ましい。後加熱温度が200℃以下であると、洗浄後にも残存する有機分が残存している可能性があり、樹脂への配合時の着色性を低減できないことがあり、1200℃以上で加熱すると、光触媒性能が悪くなるおそれがある。
【0020】
○配合剤について
チタニア系光触媒を用いて、大気中のホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類ガスやトルエン等の分解対象ガスを分解したり、溶液中の有機化合物等の分解対象物質を分解することができる。このようなとき、チタニア系光触媒と、活性炭やシリカゲル等の吸着性物質とを混合したり、又は他の光触媒と混合することにより、更に分解性能を発揮しやすくすることが可能である。
チタニア系光触媒と混合する配合剤としては、物理的に化合物を吸着する物質や化学的に化合物を吸収する物質が例示できる。物理的に化合物を吸着する物質としては、比表面積が大きい活性炭やゼオライト等の多孔性物質やアエロジル等の超微粒子が挙げられる。吸着性物質の比表面積が小さいと、化合物の吸着量が少なくなり、光触媒による分解反応効率が低くなるため10m2/g以上の比表面積が好ましい。化学的に吸収する物質としては、イオン交換体や吸着対象の化合物と化学反応をする物質、又は吸着対象の化合物と化学反応する物質を担持した物質が挙げられる。この対象化合物と化学反応する物質としては、例えばホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類に対してシッフ反応を生じるアミン化合物が挙げられ、この化学反応する物質を担持する物質としては、多孔質シリカや陽イオン交換性を有する粘土鉱物等が挙げられる。
【0021】
本発明のチタニア系光触媒を溶媒に分散することによって、機能性分散液を得ることができる。チタニア系光触媒を分散する方法としては、特に制限は無い。例えば、分散媒等と高濃度のチタニア系光触媒を配合(高濃度ペースト化)して機能性分散液を作製することができる。更に、この機能性分散液を分散媒や希釈液、バインダー成分を用いて希釈して機能性分散液を作製することもできる。
【0022】
生活環境における悪臭等の分解対象は、単一の成分であることは殆どなく、複数のガスや複数の溶液が共存している。よって、各種対象成分の分解や吸着等に好適な配合剤を複数併用することが好ましい。
複数のガスが分解対象となるものの一つとして、悪臭の場合を例に挙げる。汗臭の主要ガスは、アンモニア、酢酸、イソ吉草酸及び不飽和アルデヒドであるノネナール等と言われている。このことから、汗臭用の脱臭剤としては、塩基性ガスに好適な消臭剤、酸性ガスに好適な消臭剤、及びアルデヒドガスに好適な消臭剤等の配合剤を配合したものを併用することが好ましい。このものの一例としては、水に対して不溶性又は難溶性の4価金属リン酸塩、ケイ酸アルミニウムから選ばれる化合物の少なくとも1種以上のもの;分子内に第1級アミノ基を有する化合物を担持した化合物のもの;ハイドロタルサイト化合物、ハイドロタルサイト焼成物、水和酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、及び水和酸化チタンから選ばれる少なくとも1種類以上もの、から選ばれる少なくとも1種以上のものとチタニア系光触媒とを併用することが好ましい。
【0023】
汗臭及び排泄臭であれば、塩基性ガスに好適な消臭剤、酸性ガスに好適な消臭剤、アルデヒドガスに好適な消臭剤、及び硫黄系ガスに好適な消臭剤と、チタニア系光触媒とを併用した機能性分散液とすることが好ましい。また、タバコ臭に対しては、塩基性ガスに好適な消臭剤、酸性ガスに好適な消臭剤、アルデヒドガスに好適な消臭剤、及び硫黄系ガスに好適な消臭剤と、チタニア系光触媒とを併用した機能性分散液とすることが好ましい。なお、汗臭、排泄臭及びタバコ臭は、塩基性ガス、酸性ガス、アルデヒドガス及び硫黄系ガスの混合比率が異なるものである。このことから、これら汗臭、排泄臭及びタバコ臭に対する消臭剤は、各臭気成分に対し好適なものを好適な比率で混合させるものである。
【0024】
例えば、チタニア系光触媒と併用することができる消臭剤としては、分子内に第1級アミノ基を有する化合物を担持した物;水に対して不溶性または難溶性の4価金属リン酸塩;銅、亜鉛およびマンガンから選ばれる少なくとも1種以上の金属イオンを担持した水に対して不溶性または難溶性の4価金属リン酸塩;ケイ酸アルミニウム;ケイ酸亜鉛;酸化亜鉛;ハイドロタルサイト化合物;ハイドロタルサイト焼成物;水和酸化ジルコニウム;酸化ジルコニウムおよび水和酸化チタン等が挙げられる。併用する消臭剤としては、1種を用いても複数のものを用いても良い。
【0025】
チタニア系光触媒又はチタニア系光触媒と配合剤との組成物を配合した機能性分散液を用いて、基材に対し光触媒の活性を付与させることができる。
【0026】
機能性分散液中におけるチタニア系光触媒又はチタニア系光触媒と配合剤との組成物等の固形分は、0.1〜70%が好ましく、更に0.5〜60%が好ましく、特に1〜55%が好ましい。機能性分散液中の固形分が0.1%以下であると、分散液の粘度が低いため分散安定性が悪くなることがある。機能性分散液中の固形分が70%を超えると、分散液の粘度が高くなりすぎて製造が難しくことがあり、また製品のハンドリング性も悪くなることがあるため好ましくない。また、チタニア系光触媒と配合剤との組成物において、チタニア系光触媒は10〜90%含有していることが好ましく、更に20〜85%含有していることが好ましく、特に30〜80%含有していることが好ましい。
【0027】
○機能性分散液の製造方法
機能性分散液の製造は、無機粉末の分散液を作製する方法のいずれも用いることができる。例えば、機能性分散液の製造は、水等の分散媒及び高分子系分散剤にチタニア系光触媒を添加し、サンドミル、ディスパー、又はボールミル等により攪拌し分散させればよい。また例えば、本発明の機能性分散液の製造は、水等の分散媒、高分子系分散剤及びチタニア系光触媒に、更に界面活性剤、消泡剤、防腐剤、粘度調整剤、レベリング剤、バインダー成分、抗菌剤、防カビ剤、難燃剤、酸化防止剤、つや消し剤、防錆剤、カップリング剤、金属粉、ガラス粉、芳香剤、消臭剤、及び顔料等から選ばれるものを必要に応じて添加して、サンドミル、ディスパー、又はボールミル等により攪拌し分散させればよい。
【0028】
○分散媒
本発明において分散媒は制限なく用いることができ、好ましくは水溶性、親水性を有するものである。具体的にはプロトン性溶媒としては水、アルコールが例示され、非プロトン性溶媒としてはジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルフォキシド、テトラヒドロフラン、アセトン等が挙げられる。なかでも好ましい分散媒は水である。
【0029】
○高分子系分散剤
本発明で使用する高分子系分散剤は、少なくとも酸性官能基を有する共重合体(樹脂)が好ましい。高分子系分散剤の基本骨格は、エステル連鎖、ビニル連鎖、アクリル連鎖、エーテル連鎖及び/又はウレタン連鎖等で構成されているものが好ましく、分子中の水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。これらの中でもアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びアルキド樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂とポリエステル樹脂が好適である。酸性官能基は、カルボキシル基、スルホン基、及びリン酸基等が例示され、なかでもリン酸基が好ましい。酸性官能基を含む共重合体(樹脂)の酸価は5〜150mgKOH/gであることが好ましい。この酸価が5mgKOH/g未満であると分散安定性が低下することがあるので好ましくない。また酸価が150mgKOH/gを超えると充分な粒子の分散安定性が得られないことがある。酸性官能基は、樹脂の分子中に全くランダムに配置されていてもよいが、ブロック又はグラフト構造により、酸性官能基が分子中の末端部分に配置されているものが分散安定化構造をとり易いため好ましい。この分子量は好ましくは質量平均分子量で500〜100000の範囲であり、更に好ましくは750〜10000である。この分子量が500未満では分散効果が低下することがあり好ましくなく、また100000を上回ると凝集作用や粘度上昇が起こる恐れがあるため好ましくない。
本発明において用いる高分子系分散剤は、1種を用いても複数のものを用いても良い。
【0030】
本発明において高分子系分散剤の好ましい添加量は、チタニア系光触媒や配合剤等の固形分100質量部に対して、0.1〜15質量部であり、更に好ましくは1〜10質量部であり、特に好ましくは2〜8質量である。高分子系分散剤の添加量が0.1質量部より少ないと、分散が充分でなく再凝集しやすいことがある。また、高分子系分散剤の添加量が15質量部より多いと過剰な分散剤の影響で分散性が低下(デプレーション現象)する恐れなどがあるので好ましくない。
【0031】
○界面活性剤
本発明において界面活性剤は両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれのものを用いてもよい。
両性界面活性剤としては、アニオン部分としてカルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩を、カチオン部分としてはアミン塩、第4アンモニウム塩を持つものが挙げられ、具体的にはアルキルベタインとしては、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、2−ウンデシル−ヒドロキシエチルイミダゾリウムベタインの各々の塩が、アミノ酸タイプのものとしてはラウリル−β−アラニン、ステアリル−β−アラニン、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、オクチルジ(アミノエチル)グリシン、ジオクチル(アミノエチル)グリシンの各々の塩が挙げられる。
アニオン性界面活性剤の例としては、高級アルコールの硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の例としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型、アルキルエーテル型、アルキルフェニルエーテル型等が挙げられる。
本発明において用いる界面活性剤は、1種を用いても複数のものを用いても良い。
【0032】
○消泡剤
本発明において消泡剤は破泡性、抑泡性、脱泡性のものがあるがいずれのものを用いてもよい。破泡性の例としてはポリシロキサン溶液を挙げることができる。
【0033】
○防腐剤
本発明において防腐剤は公知のものはいずれも用いることができ、例えば、フェノール系、有機錫系、有機ヨード系、チアゾール系、イミダゾール系、ニトリル誘導体等である。
【0034】
○粘度調整剤
本発明において粘度調整剤は公知のものはいずれも用いることができる。例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系増粘剤;アラビアガム、トランガンガム、グアーガム等の天然多糖類;各種ポリアクリルアミド系ポリマー;ポリエチレンオキシド;ポリビニルアルコール等がある。
【0035】
○レベリング剤
本発明においてレベリング剤は公知のものはいずれも用いることができる。例えばエチレングリコールモノメチルエーテール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のセロソルブ系;ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールエーテル系;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のカルビナート系;トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のトリグリコールエーテル系;ロート油;ジシアンジアミド;尿素等がある。
【0036】
チタニア系光触媒含有の機能性分散液に繊維、不織布、シート等の表面処理に通常使用されているアクリル酸系やウレタン系等のバインダー樹脂を混合することも可能である。このとき、バインダー樹脂とチタニア系光触媒とを含んだ機能性分散液中のチタニア系光触媒等の固形分は5〜50%が好ましく、7〜45%が更に好ましく、特に10〜40%が好ましい。また、チタニア系光触媒等の固形分とバインダー樹脂との混合比は、チタニア系光触媒等の固形分100質量部に対し、樹脂固形分が10〜300質量部が好ましく、更に15〜250質量部が好ましく、特に20〜200質量が好ましい。樹脂固形分が10質量部より少ないと、機能性分散液を用いて繊維、不織布、シート等に添着させる際の固着力が充分ではない恐れがあるため、チタニア系光触媒が脱落して光触媒性能が低下することがある。また、樹脂固形分が300質量部を超えると、繊維、不織布、シート等に加工した際にチタニア系光触媒が樹脂で覆われる恐れがあるため光触媒性能が充分発現しないことがある。
【0037】
本発明のチタニア系光触媒を樹脂に混練することによって、機能性樹脂を得ることができる。チタニア系光触媒を樹脂に混練する時の樹脂溶融温度としては、特に樹脂が劣化しない成型温度であれば制限は無い。この成形温度としては100℃〜400℃が好ましく、120〜300℃がより好ましく、150〜280℃が更に好ましい。
樹脂とチタニア系光触媒とを混練する方法としては、特に制限は無い。例えば、チタニア系光触媒を高濃度で樹脂に配合(マスターバッチ化)後、更に樹脂で希釈してシートや繊維、フィルター及び成型体にすることができる。このようなマスターバッチを用いることにより、チタニア系光触媒の分散性がより向上し、機能性樹脂の性能を向上させることができる。
【0038】
○機能性樹脂への配合剤について
チタニア系光触媒含有の機能性樹脂は、大気中のホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類ガスやトルエン等の有機溶媒のガス等のガスを分解したり、溶液中の有機化合物等を分解することができる。このようなとき、当該機能性樹脂に、活性炭やシリカゲル等の吸着性物質を混練したり、又は他の光触媒を併用することができる。このようにすることで、更に分解性能を発揮しやすくすることが可能である。
【0039】
チタニア系光触媒含有の機能性樹脂に混練する配合剤としては、物理的に分解対象物質を吸着する物質や化学的に分解対象物質を吸収する物質が例示できる。
物理的に分解対象物質を吸着する物質としては、活性炭やゼオライト等の多孔性物質やアエロジル等の超微粒子が挙げられる。物理的に化合物を吸着する物質の比表面積が小さいと、化合物の吸着量が少なくなることから5m2/g以上の比表面積が好ましい。化学的に吸収する物質としては、イオン交換体、吸着対象の化合物と化学反応する物質、又は吸着対象の化合物と化学反応する物質を担持した物質等が挙げられる。この吸着対象の化合物と化学反応する物質としては、例えばホルムアルデヒドやアセトアルデヒド等のアルデヒド類に対してシッフ反応を生じるアミン化合物が挙げられる。また、この化学反応する物質を担持する物質としては、多孔質シリカや陽イオン交換性を有する粘土鉱物等が挙げられる。
【0040】
チタニア系光触媒含有の機能性樹脂に配合する配合剤としては1種類の配合剤を使用しても、あるいは複数の配合剤を用いても良い。それぞれの配合割合は特に制限はなく、使用する環境により適宜変化させることができる。
【0041】
チタニア系光触媒含有の機能性樹脂の機能である防汚性、消臭性および抗菌性に限らず、機能性の向上や複合機能性とするために様々な機能性添加剤を配合することも可能である。具体的な配合物としては、防汚剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、顔料、染料、酸化防止剤、耐光安定剤、難燃剤、発泡剤、耐衝撃強化剤、ガラス繊維、金属石鹸、防湿剤、増量剤、カップリング剤、流動改良剤、木粉、防錆剤、レベリング剤等があげられる。
【0042】
○配合量について
樹脂にチタニア系光触媒を混練する量については、光触媒性能を発揮して且つ配合により粘性等の樹脂物性が大きく損なわれない範囲であれば構わない。この好ましいチタニア系光触媒の混練量としては、樹脂に対し0.05〜60%が好ましく、更に好ましくは0.1〜20%であり、特に0.3〜10%がより好ましい。前述したように、チタニア系光触媒の混練量が多すぎると、樹脂の粘性が増加し、作業性が低下するばかりか綺麗な表面を得る事が出来ないことがある。また少なすぎる場合には、十分な光触媒性能を発揮する事が出来ないことがある。
【0043】
○樹脂成分について
チタニア系光触媒含有の機能性樹脂の樹脂成分としては、特に制限はなく、天然樹脂、半合成樹脂及び合成樹脂のいずれであっても良く、また熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであっても良い。
具体的な樹脂としては、成型用樹脂、繊維用樹脂、ゴム状樹脂のいずれであってもよく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、塩化ビニル、ABS樹脂、AS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネイト、PBT、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、四フッ化エチレン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、レーヨン、アセテート、ポリビニルアルコール、キュプラ、トリアセテート、天然ゴム、シリコーンゴム、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、フッ素ゴム、ニトリルゴム、クロルスルフォン化ポリエチレンゴム、ブタジエンゴム、合成天然ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム等が挙げられる。
【0044】
○用途について
チタニア系光触媒は、付着、担持、塗布、含浸、又は溶着等により基材表面に実用に耐えうる強度で形成できれば、いずれの方法でもよく、その方法は限定されない。
基材としては、建築物の外壁面、屋根外面、屋上面、窓ガラス外面、窓ガラス内面、部屋の壁面、床面、天井面、ブラインド、カーテン、道路の防護壁、トンネルの内壁、照明灯の外面、照明灯の反射面、乗用車やバスや電車等の車両の内装面や外面、鏡の表面、ガラス外面、ガラス内面等を挙げることができる。
チタニア系光触媒の担持方法としては、塗料やバインダーを塗布した後に光触媒を吹き付ける方法又は塗料やバインダー中に光触媒を混入させて吹き付ける方法等が挙げられるが、これらの方法に限られるわけではない。特に本発明のチタニア系光触媒は、これによる樹脂の着色や劣化がほとんどなく、且つ粒径も制御されたものとなっているため、合成樹脂への練り込み、更に繊維やフィルム等に加工して使用することも可能である。
チタニア系光触媒にバインダーを添加して使用する場合には、光触媒活性に対して耐性のあるバインダーが良く、例えばシロキサン樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、及びケイ酸ガラス等が挙げられる。また、混合されたチタニア系光触媒をより有効に利用するには、バインダーとして透光性を有するものがより好適である。また、汚れが付きにくい点を考えると、シロキサン樹脂、フッ素樹脂等の撥水性を有するものが好ましい。
チタニア系光触媒を基材表面に塗布して膜を形成させる場合には、基材の表面全面に塗布してもよいし、一部に塗布してもよい。また、チタニア系光触媒を含有する塗液は、基材に直接塗布してもよいし、プライマー層を介して塗布してもよい。特に基材が金属、ガラス質の場合には、プライマー層を介する方が接着強度向上の上で好ましい。
また、チタニア系光触媒を釉薬に添加して陶器表面やホーローに入れて用いても良い。チタニア系光触媒をシリカゲルやアルミナ等と混合又は渾融させて用いることもできる。また、樹脂によってはステアリン酸亜鉛等の滑剤を添加することも着色を更に抑制する点で好ましい。
【0045】
チタニア系光触媒が適用できる用途としては、照明器具の反射板、カバー若しくは傘部;レンジフードとしてフィルター、フード若しくはファン部;キッチン周り品としてテーブル、食器棚、壁、タイル若しくは天井部;トイレ周り品として壁、便座若しくは便器;浴室周り品として浴槽、壁、タイル部若しくは天井部;収納具として下駄箱、押入、タンス、床下収納庫、米櫃、クーラーボックス若しくはごみ箱;建材として外装材、レンガ、間仕切り、ふすま、障子若しくは床;寝具としてふとん、まくら若しくは毛布;カーテン;じゅうたん;家電製品としてテレビ、ビデオ、ステレオ、クーラー、ストーブ、掃除機、洗濯機、冷蔵庫、電気ポット、こたつ、炊飯器、シェーバー、むだ毛剃り器若しくはドライヤー;調理器具としてなべ、茶瓶若しくはフライパン;食器としてコップ、茶碗若しくはどんぶり鉢;自動車として窓ガラス若しくはハンドル;自転車;携帯品として帽子、バッグ、時計、釣竿若しくは靴;衣類として制服、背広、靴下、下着、コート、ジャンバー、セーター、トレーナー、ワイシャツ、ズボン、着物、スカート、ストッキング若しくはタイツ;浄化設備として排水処理設備、浄化槽、空気浄化器、水浄化器若しくは生ゴミ処理器;水槽としてプール、観賞魚用水槽、生けす用水槽若しくは池周り用石;又は動物用品としてペット小屋、犬小屋若しくは鳥かご等が挙げられ、これらの部品の表面又は内面に光触媒が形成されているもの等が挙げられる。
前記部品とは、例えば、シェーバー及びむだ毛剃り器についていうと、その歯等が挙げられる。
【0046】
チタニア系光触媒が適用できるものとして、光が当たる天井、壁や床等使用することにより、細菌やカビ等を殺菌することができる。また、本発明のチタニア系光触媒は可視光での活性も有することから、ブラックライト等の紫外線照射が必要なく、普通の照明器具で分解効果や殺菌効果を出すことができる。このことから、病院、食品工場、製薬工場、及び化粧品工場等に用いたり、空調施設に組み入れることもできる。
【0047】
チタニア系光触媒含有の光触媒含有の機能性分散液は消臭性等のガス分解性、抗菌性および防汚性の付与等が求められる様々な製品に利用可能である。そして、この用途として上記に記載したものが例示できる。
【0048】
具体的に、チタニア系光触媒含有の機能性分散液をフィルターに添着等で加工したものは、空気清浄器やエアーコンディショナー、加湿器等に使用して空気の浄化、シックハウス対策、貯水タンク等に応用可能となる。更に排水溝や濾過部に塗料或いはシートとして用いる事により、ヌメリを着き難く、且つ清潔に保つ事が出来る。
【0049】
繊維に当該機能性分散液を添着・加工した場合、汚れ・臭いが付きにくい、雑菌の繁殖を抑制する等の点を考えると、白衣やエプロン等を含む衣料品、テント、包帯、水着、釣り糸、魚網等様々な用途が考えられる。衣類として制服、背広、靴下、下着、コート、ジャンバー、セーター、トレーナー、ワイシャツ、ズボン、着物、スカート、ストッキング若しくはタイツ等が挙げられる。更に寝具としてふとん、まくら若しくは毛布、カーテン、カーペット、マット、じゅうたん等が挙げられる。
更にシート・フィルムに機能性分散液をコートした場合、ラップ、ゴミ袋や、ビニールハウス、合羽、ガラス・鏡の表面に貼るシール等様々な用途が挙げられる。
【0050】
チタニア系光触媒含有の機能性樹脂の用途としては、上記に記載したものが例示できる。
【0051】
<実施例>
以下、本発明の実施例を説明するが、これに限定されるものではない。
【0052】
○使用溶液の調製
硫酸チタニルを純水に溶かし、チタン濃度0.5mol/リットルの水溶液を調製した(チタン水溶液)。
五酸化ニオブと蓚酸とを純水に溶かし、ニオブ濃度0.5mol/リットルの水溶液を調製した(ニオブ水溶液)。
硝酸アルミニウムを純水に溶かし、アルミニウム濃度0.5mol/リットルの水溶液を調整した(アルミニウム水溶液)。
硝酸セリウムを純水に溶かし、セリウム濃度0.5mol/リットルの水溶液を調整した(セリウム水溶液)。
ヘキサメチレンテトラミンを純水に溶かし、1mol/リットルの水溶液を調製した(以下HMT水溶液)。
尿素を純水に溶かし、2mol/リットルの水溶液を調製した(以下尿素水溶液)。
【実施例1】
【0053】
○チタニア系光触媒サンプルAの合成
フラスコ中にチタン水溶液800ml及びニオブ水溶液200mlを入れ、混合する。この混合液を80℃に加温し、4時間撹拌する。その後、室温まで放冷、濾過し、純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに600℃で焼成してサンプルAを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例2】
【0054】
○チタニア系光触媒サンプルBの合成
フラスコ中にチタン水溶液800ml、ニオブ水溶液100ml及びアルミニウム水溶液を100ml添加し、混合する。この混合液を80℃に加温し、4時間撹拌する。その後、室温まで放冷、濾過し、純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに700℃で焼成してサンプルBを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例3】
【0055】
○チタニア系光触媒サンプルCの合成
フラスコ中にチタン水溶液500ml、ニオブ水溶液100mlを添加・混合し、80℃2時間保持後、尿素水溶液を400ml添加し、混合する。この混合液を100℃に加温し、2時間撹拌する。その後、室温まで放冷した後、濾過した。この濾過物を純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに800℃で焼成してサンプルCを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例4】
【0056】
○チタニア系光触媒サンプルDの合成
フラスコ中にチタン水溶液500ml、ニオブ水溶液100mlとセリウム水溶液100mlを添加・混合し、80℃で2時間保持後、HMT水溶液を400ml添加し、混合する。この混合液を100℃に加温し、2時間撹拌する。その後、室温まで放冷した後、濾過した。この濾過物を純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに400℃で焼成してサンプルDを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例5】
【0057】
○チタニア系光触媒サンプルEの合成
フラスコ中にチタン水溶液500ml、ニオブ水溶液100mlとアルミニウム水溶液100mlを添加・混合し、80℃2時間保持する。その後、室温まで放冷した後、濾過した。この濾過物を純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに700℃で焼成してサンプルEを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例6】
【0058】
○チタニア系光触媒サンプルFの合成
フラスコ中にチタン水溶液800ml及びニオブ水溶液200mlを入れ、混合する。この混合液を80℃に加温し、4時間撹拌する。その後、室温まで放冷、濾過し、純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに600℃で4時間加熱してサンプルFを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例7】
【0059】
○チタニア系光触媒サンプルGの合成
フラスコ中にチタン水溶液500ml、ニオブ水溶液100mlを入れ、混合し、80℃で2時間保持後、尿素水溶液を400ml混合する。この混合液を100℃に加温し、2時間撹拌する。その後、室温まで放冷した後、濾過した。この濾過物を純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに800℃で4時間加熱してサンプルGを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例8】
【0060】
○チタニア系光触媒サンプルHの合成
フラスコ中にチタン水溶液500ml、ニオブ水溶液100mlとセリウム水溶液100mlを入れ、混合し、80℃で2時間保持後、HMT水溶液を400ml混合する。この混合液を100℃に加温し、2時間撹拌する。その後、室温まで放冷した後、濾過した。この濾過物を純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに400℃で4時間加熱してサンプルHを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例9】
【0061】
○チタニア系光触媒サンプルIの合成
フラスコ中にチタン水溶液900ml、ニオブ水溶液100mlを入れて2時間室温で混合し、その後80℃で2時間保持する。その後、室温まで放冷した後、濾過した。この濾過物を純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに800℃で4時間加熱してサンプルIを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例10】
【0062】
○チタニア系光触媒サンプルJの合成
フラスコ中にチタン水溶液500ml、ニオブ水溶液100mlとアルミニウム水溶液100mlを入れて混合し、80℃で2時間保持する。その後、室温まで放冷した後、濾過した。この濾過物を純水で洗浄後、120℃で乾燥し、さらに700℃で4時間加熱してサンプルJを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例11】
【0063】
○チタニア系光触媒サンプルKの合成
フラスコ中にチタン溶液500ml、ニオブ溶液50ml、およびHMT溶液500mlを添加し、充分混合する。この混合液を80℃に加温し、2時間撹拌する。次にこの溶液を90℃に昇温し、24時間撹拌した。その後、室温まで放冷、濾過し、純水で洗浄後、120℃で乾燥し、サンプルKを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例12】
【0064】
○チタニア系光触媒サンプルLの合成
ニオブ溶液5mlとした以外は、実施例11と同様に操作し、サンプルLを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例13】
【0065】
○チタニア系光触媒サンプルMの合成
フラスコ中にチタン溶液500ml、ニオブ溶液100ml、および尿素溶液を1000ml添加し、充分混合する。この混合液を80℃に加温し、2時間撹拌する。次にこの溶液を90℃に昇温し、24時間撹拌した。その後、室温まで放冷し、濾過し、純水で洗浄後、120℃で乾燥し、サンプルMを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例14】
【0066】
○チタニア系光触媒サンプルNの合成
実施例11で調製したサンプルKを300℃で4時間加熱し、サンプルNを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【実施例15】
【0067】
○チタニア系光触媒サンプルOの合成
実施例13で調製したサンプルMを600℃で2時間加熱し、サンプルOを合成した。当該サンプルの粉末X線解析パターンを測定した。
【0068】
<比較例1>
○比較サンプルA
高純度アナターゼ型チタニアの比較例として、市販チタニア(石原産業(株),グレードST−01)を用いた。
○比較サンプルB
上記ST−01をアンモニア気流中600℃で24時間保持して窒素置換型チタニアを得た。
○比較サンプルC
シリカ被覆チタニアとしてマスクメロン型チタニア(太平化学産業(株)製)を用いた。
【実施例16】
【0069】
○結晶性分析
チタニア系光触媒サンプル並びに比較サンプルA〜Cについて粉末X線回折パターン分析を行った。この回折パターンから結晶相の同定を行った(ブルックカイト:ブルックカイト型結晶、アナターゼ:アナターゼ型結晶、ルチル:ルチル型結晶を表す)。これらの中でサンプルA〜E及び比較サンプルA〜Cの粉末X線回折パターンを図1〜8に示す。
また、サンプルA〜E中のニオブ含有量(mol%)は、ICP分析法で各原子を測定して求めた。これらの結果を表1に記載する。
【0070】
【表1】

【0071】
○結晶性、ニオブ含有量、平均粒径、結晶子径の分析
サンプルF〜J、及び比較サンプルA〜Cの粉末X線回折の測定データから結晶相を同定した結果を表2に記載した。また蛍光X線によるニオブの含有量(Nb含有量wt%)、レーザー回折式粒度分布測定による平均粒径(μm)、走査型電子顕微鏡観察による結晶子径(nm)も表2に示した。
【0072】
【表2】

【0073】
○多孔質性分析及び細孔測定
GEMINI(島津(株)製)を用いた窒素ガス多点BET測定法を用いて吸着及び脱着試験をサンプルFについて実施した。このヒステリシスの結果からサンプルFは、多孔質であることが判明した。またサンプルFの平均細孔径は、約10nmであった。
外のサンプルG〜Jについても測定した結果、ほぼ同じ結果であった。
【0074】
○光触媒中のルイス酸点の測定
0.01gのサンプルFに1mol/リットルのピリジン水溶液を5mL添加し、室温で30分間振盪した。その後、サンプルFをろ別・水洗し、暗所で乾燥させ、1400〜1700cm-1の赤外線(IR)スペクトルを測定した(pyr+)。サンプルG、サンプルH、比較サンプルA、比較サンプルB、および比較サンプルCについても同様な処理を行い、IRスペクトルを測定した。また、ピリジン吸着処理を行なわないものについても同様にIRスペクトルを測定した(pyr-)。
IRスペクトルの測定方法は、「DuraScopeTM」(SensIRテクノロジー社製)というATRアクセサリーを取り付けた赤外線吸収装置(Nicolet社製Impact400D)により測定した。
図9にサンプルFの、図10に比較サンプルBのIRスペクトルを示す。
この結果、サンプルF、G、及びHのpyr+のIRスペクトルは、約1440cm-1を中心に1420cm-1から1460cm-1の吸収ピークと約1605cm-1を中心に1590cm-1から1620cm-1の吸収ピークが比較サンプルのものに比べ認められなかった。このことから、本発明のチタニア系光触媒は、ピリジン水溶液処理を行なっても1420〜1460cm-1及び1590cm〜1620cm-1に明確な吸収ピークを持たないものである。
【実施例17】
【0075】
○光吸収性試験
サンプルK〜O並びに比較サンプルAおよびBの光吸収性を検討するために、UV−vis拡散反射法(日本分光(株):UV−VISスペクトルメーター,V−550)によって300〜500nmの吸光度を測定した。
この測定結果を図11(サンプルK〜O)および図12(比較サンプルAおよびB)に示す。
サンプルK〜Oは、可視光領域での光吸収性があり、可視光応答型材料である可能性が高いことが判る。また、比較サンプルAの可視光領域での光吸収性が低いこと、比較サンプルBの窒素置換型では可視光領域での光吸収性があることが分かった。
【実施例18】
【0076】
○結晶性分析
サンプルK〜O並びに比較サンプルAおよびBの粉末X線回折パターンから結晶相の同定を行い、回折ピークをリートベルト法で分離したピークから結晶の格子定数を求めた。また、ニオブ含有量は、ICP分析法で各元素を測定して求めた。
これらの、アナターゼ型結晶およびルチル型結晶の結晶格子定数(Å)、アナターゼ型結晶の含有量(%)およびチタンに対するニオブ含有量(mol%)の結果を表3に示した。
【0077】
【表3】

【実施例19】
【0078】
○近赤外吸収スペクトル分析
拡散反射用アクセサリを具備したフーリェ変換方式の近赤外分光分析装置(ニコレー社製MAGNA750型:光源 タングステンハロゲン白色ランプ、検出器 DTGS、ビームスプリッタ CaF2)を用いて、サンプルMの近赤外吸収スペクトル分析を行った。測定波長領域8000〜4000cm-1、分解能8cm-1、積算回数256回の条件で測定した拡散反射近赤外スペクトルをクベルカ−ムンク補正計算によって透過スペクトル相当の吸光度に変換し、近赤外吸収スペクトルを得た。また、熱処理品であるサンプルN、Oおよび、比較サンプルAについても同様の条件で分析した。
サンプルM並びに熱処理を実施したサンプルNおよびOの近赤外吸収スペクトルを図13に示す。また、比較サンプルAの結果を図14に示す。
【0079】
サンプルMにおいては4640cm-1、4920cm-1、および5160cm-1等に吸収ピークが観測された(これらの吸収ピークは、それぞれ近赤外吸収帯I、II、およびIIIとする)。これに対して、図14の比較サンプルAには、近赤外吸収帯IおよびII等に存在する吸収ピークが観測されなかった。すなわちチタニア系光触媒には、従来から光触媒として用いられる純粋な酸化チタンには存在しない官能基の存在が証された。さらには、熱処理を施したサンプルNにおいても近赤外吸収帯I、II、およびIIIに吸収ピークが存在し、熱処理したサンプルOにおいても近赤外吸収帯IおよびIIIに吸収ピークが存在することが観測された。即ち、本発明のチタニア系光触媒は5400〜4400cm-1の近赤外に吸収ピークを有するものである。
【実施例20】
【0080】
○メチレンブルー分解試験
サンプルA〜E、K〜O並びに比較サンプルA〜Cの光触媒の性能を検討するために、紫外線照射下、蛍光灯下及び暗所でのメチレンブルーの分解性を評価した。
紫外線照射による試験は、紫外線ランプ(東芝ライテック(株):FL20SBLB−A,20ワット)により紫外線強度を1.0mW・cm-2(ミノルタ(株):UVラジオメーター,UM−10により測定)に調整した条件で実施した。蛍光灯下試験は、蛍光灯(NEC(株):FL40SSEX−D/37−HG,37ワット、UVカットフィルムを取り付ける)により照度1000ルクス(東京硝子器械(株):FLX−1330により測定)に調整した条件で実施した。また、暗所試験は、光遮蔽板により囲み、暗所で実施した。
メチレンブルー溶液は、試薬(キシダ化学(株)製メチレンブルー試薬特級)を純水に溶解し、10ppmの濃度溶液を調製した。
メチレンブルー分解試験の方法は、直径4cmのガラス製シャーレにサンプルA〜E、K〜Oと比較サンプルA〜Cをそれぞれ0.1gずつ入れ、メチレンブルー溶液を5ml添加して、前述した3条件下に静置した(21±1℃)。
メチレンブルー分解活性は、メチレンブルーの青色が目視で無色になるまでの時間を分解時間として評価した。この結果を表4に記載した。
【0081】
【表4】

【実施例21】
【0082】
○樹脂劣化性試験・着色性
サンプルA〜E並びに比較サンプルA〜Cによる樹脂劣化性を調べるために、インジェクション成型を実施した。先ず各サンプルを樹脂に対して0.3%添加、混合し、適宜加熱された成型機により1mm厚みのプレートを成型した。樹脂としてはポリエチレン及びポリエステルを用いた。成型した樹脂の着色判定は目視で行なった。これらの結果を表5に記載した。
・変色ナシ:光触媒を入れないで成型した樹脂の色と変わらない
・黄変:成型した樹脂が黄色に着色した
・黄茶変:成型した樹脂が黄茶色に着色した
・茶変:成型した樹脂が茶色に着色した
【0083】
【表5】

【0084】
○樹脂劣化性試験・加工性
サンプルA〜E並びに比較サンプルA〜Cによる繊維への加工性を調べた。即ち、各光触媒を繊維用ポリエステルに1%添加し、この各光触媒添加繊維用ポリエステルを4倍延伸し(太さ約10デニール)、この延伸した糸を用いて10cm幅の筒編みに編成加工を行なった。これらの結果を表6に示した。
・樹脂着色(繊維用ポリエステルに添加したときの着色性)
ナシ:光触媒を入れていない樹脂の色と変わらない
変色:光触媒を入れていない樹脂の色と変わったもの
・延伸(糸の太さを10デニールで2倍又は4倍に延伸したとき,
糸として引けるかについて)
可:糸として引ける
不可:糸として引けない
・編成(延伸処理で得た糸を用いて布を織れるか)
糸切れ:アリナシで表示
編成:布として織れる(可)織れない(不可)で表示
【0085】
【表6】

【実施例22】
【0086】
○ガス分解試験
フッ化ビニル製バック(フッ化ビニル製フィルムを袋状に加工して使用、以下テドラーバックと称する)にサンプルA〜E、K〜O及び比較サンプルA〜Cをそれぞれ0.1g封入後、100ppmのアセトアルデヒドガスを含有する空気を3リットル注入した。これらを暗所、蛍光灯照射下、又は紫外線照射下(メチレンブルー分解試験と同じ条件)に静置した。試験開始から2時間後に、これらテドラーバッグ中のアセトアルデヒドの残存濃度をガス検知管(ガステック製No.92及びNo.92L)で測定した。また、サンプルを添加しない系でも同様に試験し、ブランクとした。アセトアルデヒドガスの検出限界は0.1ppmである。それぞれの残存ガス濃度を表7に示す。残存ガス濃度が低いほどガス分解性能(触媒)が高いことを意味する。
【0087】
【表7】

【0088】
サンプルA〜E及びK〜Oにおいては、紫外線照射下での残存ガス濃度が暗所での残存ガス濃度よりも明らかに低下し、アセトアルデヒドガス分解性能が高いことが判った。更に蛍光灯照射下においてもガス濃度が比較サンプルよりも低下しており、ガス分解性能が発現していることが明らかであった。
【実施例23】
【0089】
○光触媒含有分散液の作成
サンプルFを分散剤Disperbyk−180(ビックケミー・ジャパン株式会社製,リン酸基を含むブロック共重合体のアルキルアンモニウム塩。酸価94mgKOH/g。アミン価94mgKOH/g平均分子量1000)を用いて分散した。この分散処方としては、水100質量部に対して分散剤を2.3質量部(消臭剤固形分100質量部に対して4.6質量部)、サンプルFを50質量部、防腐剤ベストサイド#300(大日本インキ化学工業株式会社製)を0.3質量部、消泡剤Disperbyk−022(ビックケミー・ジャパン株式会社製)を0.2質量部、増粘剤メトロースSH15000(信越化学工業株式会社製)の4%水溶液を13質量部添加し、サンドミルにて3000rpm、20分間攪拌し、チタニア系光触媒含有のペースト状の分散液Fを得た。なお、この分散液中のチタニア系光触媒固形分は30質量%であった。サンプルG〜J及び比較サンプルA〜Cについても同様の操作を行い、チタニア系光触媒含有のペースト状の分散液G〜J、及び比較分散液A〜Cを得た。
【実施例24】
【0090】
○消臭剤含有分散液を用いて加工した綿生地の消臭性評価
純水100質量部に対してチタニア系光触媒含有のペースト状分散液Fを10質量部(チタニア系光触媒粉末として3質量部)、アクリル系バインダー(KB−4900 固形分45質量%、東亞合成(株)製)を6.7質量部添加した懸濁液Fを作製した。チタニア系光触媒含有のペースト状分散液G〜J、比較分散液A〜Cについても同様の操作を行い各懸濁液を作製した。
これらの懸濁液に綿100%の生地(生地質量100g/m2)をディッピングし、絞り率70%でピックアップし、150℃で乾燥し、試験布F〜J及び比較試験布A〜Cを得た。この綿生地を任意の3箇所から20cm×20cmを切り取りテドラーバッグに入れ、アセトアルデヒドガス濃度14ppm含有する空気を3L注入し、24時間紫外線照射下で静置した。そのテドラーバッグ中の残存ガス濃度をガス検知管(ガステック製No.92L)を用いて測定した。
紫外線照射下での静置条件は、UVを1mW/cmの強度で照射した。その結果を表8に示した。なお、「N.D.」とは、アセトアルデヒドが検出できなかったことを示す。
【0091】
【表8】

【実施例25】
【0092】
○消臭剤含有分散液を用いて加工した試験布の変色性評価
実施例24において消臭試験後の各試験布について、変色を目視で調べた。その結果を表9に示した。
【0093】
【表9】

【実施例26】
【0094】
○消臭剤含有分散液を用いて加工した綿生地の消臭性評価:可視光照射
実施例24で作製した試験布F〜J及び比較試験布A〜Cを任意の3箇所から30cm×30cmを切り取りテドラーバッグに入れ、アセトアルデヒドガス濃度14ppm含有する空気を3L注入し、24時間可視光照射下で静置した。そのテドラーバッグ中の残存ガス濃度をガス検知管(ガステック製No.92L)を用いて測定した。ただし、光源は蛍光灯(東芝ライフテック/照度2000LUX)を使用した。
その結果を表10に示した。なお、「N.D.」とは、アセトアルデヒドが検出できなかったことを示す。
【0095】
【表10】

【0096】
実施例24〜26の結果から、分散液F〜Jは比較分散液A〜Cに比較して光触媒を有し且つ紫外線照射による耐変色性が優れている。
【実施例27】
【0097】
○光触媒含有塗料の作製
サンプルFを市販塗料(関ペ株式会社製ハピオフレッシュ,エッグホワイト)100質量部に対して5質量部添加し、サンドミルにて3000rpm、20分間攪拌し、チタニア系光触媒含有の試験塗料Fを得た。サンプルG〜J及び比較粉末A〜Cについても同様に処理して、チタニア系光触媒含有の試験塗料G〜J、比較試験塗料A〜Cを得た。
【実施例28】
【0098】
○光触媒含有塗料を用いて加工した塗布板の防汚性能
チタニア系光触媒含有の試験塗料Fをアルミ鋼板(5cm×15cm)にバーコーター(#20)で塗布後、1晩風乾し、試験塗布板Fを得た。試験塗料G〜J及び比較試験塗料A〜Cについても同様の操作を行い、試験塗布板G〜J及び比較試験塗布板A〜Cを得た。またチタニア系光触媒を含有しない塗料を塗布した板を同様に作製し、ブランクとした。
これらの塗布板の防汚性能を評価する為に、メチレンブルー分解試験を実施した。試験方法としては、光触媒製品技術協議会の定める2003年度版(http://www.photocatalysis.com/index.html)液相フィルム密着法を用いた。ただし、光源は蛍光灯(東芝ライフテック/照度2000LUX)を使用した。試験結果を表11に示した。メチレンブルーが脱色された場合を「脱色」と、メチレンブルーの色が残っている場合を「脱色ナシ」と表示した。
【0099】
【表11】

【実施例29】
【0100】
○光触媒含有塗料を用いて加工した塗布板の変色性評価
実施例28で実施した防汚試験後の試験塗布板及び比較試験塗布板の変色を目視で調べた。その結果を表12に示した。試験塗布板及び比較試験塗布板の塗料が黄色く着色した場合を「黄変」と、黄茶色に着色した場合を「黄茶変」と表示した。
【0101】
【表12】

【0102】
実施例28、29の結果から、試験塗料A〜Eは比較試験塗料A〜Cに比較して光触媒を有し且つ紫外線照射による耐変色性が優れていると判断できる。
【実施例30】
【0103】
○チタニア系光触媒混練シート(サンプルシートF〜J,比較サンプルシートA〜C)の作製
アクリル系樹脂100部に対して1部のサンプルFを混練し、1g/m2のシートを成型してサンプルシートFとした。サンプルG〜J、比較粉末A〜Cについても同様に操作して、サンプルシートG〜J、比較サンプルシートA〜Cを作製した。また、粉末無添加で同様に操作して樹脂シートを成型し、ブランクとした。
【実施例31】
【0104】
○シート着色性試験:紫外線照射
サンプルシートF〜Jおよび比較サンプルシートA〜Cの初期着色性及び紫外線照射を96時間した後の変色性を目視で調べた。この紫外線照射は、紫外線ランプ(東芝ライテック(株):FL20SBLB−A,20ワット)を用い紫外線強度を1mW/cm2(ミノルタ(株):UVラジオメーター,UM−10により測定)に調整した条件で実施した。ブランクに対する試験結果を表13に示した。
【0105】
【表13】

【実施例32】
【0106】
○ガス分解性試験:紫外線照射
実施例30で作製した各サンプルシートを10cm×10cmに切り取り、テドラーバッグに入れ、アセトアルデヒドガスの濃度が14ppmのものを3リットル注入した。このテドラーバッグに紫外線を実施例31と同じ条件で24時間照射し、24時間後の残存アセトアルデヒドガス濃度をガス検知管(ガステック株式会社製No.92L)を用いて測定した。試験結果を表14に示した。
【0107】
【表14】

【実施例33】
【0108】
○ガス分解性試験:可視光照射
実施例30で作製した各サンプルシートを30cm×30cmに切り取り、テドラーバッグに入れ、ホルムアルデヒドガスの濃度が5ppmのものを1リットル注入した。このテドラーバッグに紫外線カットフィルムを取り付けた蛍光灯により照度3000ルクス可視光を24時間照射した。照射後、残存アセトアルデヒドガス濃度をガス検知管(ガステック株式会社製No.91L及び91LL)を用いて測定した。試験結果を表15に示した。
【0109】
【表15】

【実施例34】
【0110】
○防汚試験(メチレンブルー分解試験):可視光照射
実施例30で作製した各サンプルシートの防汚性能を評価する為に、メチレンブルー分解試験を実施した。試験方法としては、光触媒製品技術協議会の定める2003年度版(http://www.photocatalysis.com/index.html)液相フィルム密着法を用いた。ただし、光源は蛍光灯(東芝ライフテック/照度2000LUX)を使用した。結果を表16に記載した。
【0111】
【表16】

【0112】
上記消臭試験結果及び防汚試験結果からサンプルシートF〜Jは光触媒シートとして優秀であり、作製時の着色及び紫外線照射による変色が認められなかった。
【実施例35】
【0113】
○紡糸性
繊維用ポリエステル樹脂にサンプルFを3質量%濃度で添加し、溶融し糸曳きを行なった。その後、この糸を延伸倍率を2倍から糸切れがするまで上昇させていった。また、延伸後の糸の着色度合いを測定した。サンプルG、比較粉末A、及び比較粉末Cについても同様に実施した。なお、比較粉末Cについては、糸切れして溶融し糸曳き試験ができなかった。
この試験結果を表17に示した。
【0114】
【表17】

【実施例36】
【0115】
○各繊維のガス分解性:紫外線照射
実施例35で作製した繊維を10gはかり取り、実施例32と同様にアセトアルデヒドガス分解試験を実施した。この試験結果を表18に示した。
【0116】
【表18】

【実施例37】
【0117】
○各繊維のガス分解性:可視光照射
実施例35で作製した繊維を10gはかり取り、テドラーバッグに入れ、これに硫化水素ガス5ppmを含有する空気3リットルを入れ、実施例33と同様にガス分解試験を実施した。残存硫化水素ガス濃度はガス検知管(ガステック株式会社製No.4LL)を用いて測定した。この試験結果を表19に示した。
【0118】
【表19】

【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明のチタニア系光触媒は、可視光、例えば市販蛍光灯下で優れた光触媒性能を発揮する光触媒である。本発明のチタニア系光触媒は粉体のままでも使用できるが、塗料や樹脂、繊維等に添加あるいは混練し、加工することによって、可視光に応答する光触媒性能を有する塗料や樹脂、繊維等を得ることが出来る。例えば本発明のチタニア系光触媒を含有させた機能性分散液は、繊維、不織布、フィルター、フィルム、塗料、紙、成形品等に用いて機能性加工製品とすることができる。また本発明のチタニア系光触媒を含有させた機能性樹脂は、成型体、シート、糸等に加工することができ、板、フィルム、フィルタ−、繊維等として使用することが出来る。
このようなことから、本発明のチタニア系光触媒は、一般的な光触媒のものと異なり紫外線照射が極めて少ない家の中等において防汚・抗菌・アルデヒドガス等の有毒ガス等や附着した物質を分解することができ、環境浄化に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】チタニア系光触媒サンプルAの粉末X線回折パターンを測定した結果。
【図2】チタニア系光触媒サンプルBの粉末X線回折パターンを測定した結果。
【図3】チタニア系光触媒サンプルCの粉末X線回折パターンを測定した結果。
【図4】チタニア系光触媒サンプルDの粉末X線回折パターンを測定した結果。
【図5】チタニア系光触媒サンプルEの粉末X線回折パターンを測定した結果。
【図6】比較サンプルAの粉末X線回折パターンを測定した結果。
【図7】比較サンプルBの粉末X線回折パターンを測定した結果。
【図8】比較サンプルCの粉末X線回折パターンを測定した結果。
【図9】チタニア系光触媒サンプルFとチタニア系光触媒サンプルFにピリジン吸着処理を行なったもの(Pyr+)の1400〜1700cm-1のIRスペクトル
【図10】比較サンプルBと比較サンプルBにピリジン吸着処理を行なったもの(Pyr+)の1400〜1700cm-1のIRスペクトル
【図11】チタニア系光触媒サンプルK〜OのUV−vis拡散反射法によって吸光度を測定した結果。
【図12】比較サンプルAおよび比較サンプルBのUV−vis拡散反射法によって吸光度を測定した結果。
【図13】チタニア系光触媒サンプルM、チタニア系光触媒サンプルNおよびチタニア系光触媒サンプルOの近赤外吸収スペクトル。
【図14】比較サンプルAの近赤外吸収スペクトル。
【符号の説明】
【0121】
図1〜8の縦軸は、Int./cpsの値である。
図1〜8の横軸は,2θ/degの値である。
図9および図10の横軸は、赤外線の波数(cm-1)を示す。
図9および図10の縦軸は、吸収度を示す。
図9の実線は、チタニア系光触媒サンプルFについてピリジン吸着処理を行なったもの(Pyr+)のIRスペクトルを示す。
図10の実線は、比較サンプルBについてピリジン吸着処理を行なったもの(Pyr+)のIRスペクトルを示す。
図9の破線は、チタニア系光触媒サンプルFのIRスペクトルを示す。
図10の破線は、比較サンプルBのIRスペクトルを示す。
図11〜12の縦軸は、任意スケールである。
図11〜12の横軸は、波長nmである。
図13〜14の縦軸は、任意スケールである。
図13〜14の横軸は、波数cm-1である。
図11のKは、チタニア系光触媒サンプルKを示す。
図11のLは、チタニア系光触媒サンプルLを示す。
図11と図13とのMは、チタニア系光触媒サンプルMを示す。
図11と図13とのNは、チタニア系光触媒サンプルNを示す。
図11と図13とのOは、チタニア系光触媒サンプルOを示す。
図12と図14とのaは、比較サンプルAを示す。
図12のbは、比較サンプルBを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタンに対しニオブ含有量が0.1〜25モル%である複合酸化型チタニア系光触媒。
【請求項2】
細孔容積が0.05〜10cm3/gであり、結晶子径が5nm〜1000nmである請求項1に記載の複合酸化型チタニア系光触媒。
【請求項3】
ブルッカイト型の結晶相を含む請求項1〜2にそれぞれ記載の複合酸化型チタニア系光触媒。
【請求項4】
チタンに対しニオブ含有量が3〜22モル%である請求項1〜3にそれぞれ記載の複合酸化型チタニア系光触媒。
【請求項5】
チタンに対し3価原子を0.01〜20モル%含有する請求項1〜請求項4にそれぞれ記載の複合酸化型チタニア系光触媒。
【請求項6】
3価原子がアルミニウム、セリウム、鉄のうち少なくとも一つのものである請求項5記載の複合酸化型チタニア系光触媒。
【請求項7】
請求項1〜6にそれぞれ記載の複合酸化型チタニア系光触媒を含有する機能性分散液。
【請求項8】
請求項1〜6にそれぞれ記載の複合酸化型チタニア系光触媒を含有する機能性樹脂組成物
【請求項9】
請求項1〜6にそれぞれ記載の複合酸化型チタニア系光触媒を含有する製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【国際公開番号】WO2005/044447
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【発行日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515268(P2005−515268)
【国際出願番号】PCT/JP2004/015945
【国際出願日】平成16年10月27日(2004.10.27)
【出願人】(000003034)東亞合成株式会社 (542)
【Fターム(参考)】