説明

複合酸化物前駆体、複合酸化物、並びに排ガス浄化触媒

【課題】高温領域においても良好な触媒性能を発揮することが出来る排ガス浄化触媒を提供する。
【解決手段】上記課題は、アンモニウムドーソナイト中に、第1の金属元素であるAlの他に、Zr、Mg、Zn、及びCaから選ばれる第2の金属元素を含有することを特徴とする複合酸化物前駆体を焼成して得られるを担体として含んでなり、且つ、当該担体の表面上に分散された、触媒活性を有する物質を含んでなる排ガス浄化触媒によって達成される。典型的には、上記複合酸化物前駆体は、以下の化学式(1)で表される。
【化1】


上式中、0.03≦x≦0.06、0≦y≦0.03が成立する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合酸化物の前駆体に関する。また、本発明は、上記前駆体から製造される複合酸化物にも関する。更に、本発明は、上記複合酸化物を担体として含んでなる排ガス浄化触媒にも関する。
【背景技術】
【0002】
触媒活性を有する物質(以降、単に「触媒」とも称する)は、触媒を分散させ保持するための物質(以降、「担体」と称する)の表面上に分散させた状態で使用されることが多い。特に、不均一系触媒は、露出表面積をできるだけ大きくして触媒活性を増大させたり、熱伝導によって反応による発熱を消散させて触媒の半融(シンタリング)を防止したりする目的で、大きな表面積を有する微粒子状又は粉末状の担体の表面上に担持されることが多い。
【0003】
かかる担体の材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、ゼオライト、珪藻土等の種々の金属酸化物が使用され、触媒性能の向上を目的として、複数の金属酸化物を組み合わせて使用することが検討されている。例えば、Al中にZrOを添加することにより酸量(単位質量当たりの酸点の数)を増大させて触媒性能を向上させる試みも多数報告されている(例えば、特許文献1、非特許文献1を参照)。
【0004】
しかしながら、ZrO−Al(ZrとAlとの複合酸化物)は耐熱性が低く、耐久温度の上昇に伴って酸量が減少する。このため、高温領域(例えば、1000℃以上)において十分な触媒性能を発揮させることが出来ない。これは、ZrO−AlにおけるZrOの分散性が不十分であり、その結果、m−ZrOが析出して、ZrO−Alの比表面積を低下させることが原因であると考えられている。尚、かかる状況を反映し、触媒用担体として使用されるAl系金属酸化物として広く使用されているものは、LaO−Al(LaとAlとの複合酸化物。以降、「La安定化Al」とも称する)が主流となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−024274号公報
【特許文献2】特開2000−256011号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Catalysis Today 93−95(2004)595−601
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前述のような問題を解消すべくなされたものである。即ち、本発明は、高温領域においても良好な触媒性能を発揮することが出来る排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。
【0008】
より具体的には、本発明は、上記複合酸化物を担体として含んでなり、高温領域においても良好な触媒性能を発揮することが出来る排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。また、本発明は、上記排ガス浄化触媒において担体として使用される複合酸化物を提供することをも目的とする。更に、本発明は、上記複合酸化物の前駆体を提供することをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記目的は、アンモニウムドーソナイト中に、第1の金属元素であるAlの他に、Zr、Mg、Zn、及びCaから選ばれる第2の金属元素を含有することを特徴とする複合酸化物前駆体を焼成して得られる複合酸化物を担体として含んでなり、且つ、当該担体の表面上に分散された触媒(触媒活性を有する物質)を含んでなる排ガス浄化触媒によって達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高温領域においても、従来技術と比較して、より良好な触媒性能を発揮することが出来る排ガス浄化触媒が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の1つの実施態様に係る、複合酸化物の調製手順を示すフローチャートである。
【図2】各種排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率(重量%)と、耐久処理後の比表面積(m/g)との関係を示すグラフである。
【図3】各種排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率(重量%)と、耐久処理後のRh触媒の粒子サイズ(粒径:nm)との関係を示すグラフである。
【図4】耐久処理後の各種排ガス浄化触媒の担体のX線回折による走査プロファイルである。
【図5】各種排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率(重量%)と、触媒性能(T50)との関係を示すグラフである。
【図6】各種排ガス浄化触媒の担体における第3の金属元素の種類と、耐久処理後の比表面積(m/g)との関係を示すグラフである。
【図7】各種排ガス浄化触媒の担体における第3の金属元素の種類と、耐久処理後のRh触媒の粒子サイズ(粒径:nm)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
前述のように、本発明は、高温領域においても良好な触媒性能を発揮することが出来る排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。より具体的には、本発明は、例えば1000℃以上の高温領域においても、従来技術と比較して、より良好な触媒性能を発揮することが出来る排ガス浄化触媒を提供することを目的とする。
【0013】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究の結果、触媒用担体となる複合酸化物の前駆体として、第1の金属元素であるAlの他に第2の金属元素(例えば、Zr等)をアンモニウムドーソナイト中に含有させた組成物を用いることにより、当該前駆体から得られる複合酸化物における第2の金属元素の酸化物の分散性が改善され、結果として、高温領域においても良好な触媒性能を発揮することが出来る排ガス浄化触媒が得られることを見出し、本発明を想到するに至ったものである。
【0014】
即ち、本発明の第1態様は、アンモニウムドーソナイト中に、第1の金属元素であるAlの他に、Zr、Mg、Zn、及びCaから選ばれる第2の金属元素を含有することを特徴とする複合酸化物前駆体である。
【0015】
アンモニウムドーソナイトは、例えば、硝酸アルミニウム水溶液と炭酸水素アンモニウム水溶液とを混合し、所定の条件下で熟成させ、得られたアンモニウムドーソナイトから不純物(例えば、硝酸、炭酸、アンモニア)を(例えば、イオン交換水によって洗浄することによって)除去することによって得られる。この際、第1の金属元素としてのAlの塩である硝酸アルミニウム水溶液に第2の金属の塩(例えば、硝酸塩等)を共存させることにより、アンモニウムドーソナイト中に、第1の金属元素であるAlの他に、第2の金属元素を含有させることが出来る。かかる方法により調製されたアンモニウムドーソナイトにおいては、例えば、第2の金属元素の水酸化物等が均一に分散される。しかしながら、アンモニウムドーソナイト中に第2の金属元素を均一に分散させる方法は上記方法に限定されるものではなく、当該技術分野において行われる種々の方法から適宜選択することが出来る。
【0016】
結果として、上記複合酸化物前駆体から調製される(調製方法については後述する)複合酸化物における第2の金属元素の酸化物の分散性が高まる。それにより、当該複合酸化物を担体として含んでなる排ガス浄化触媒は、高温度における耐久処理後も良好な物性(例えば、小さな触媒粒子サイズ、大きな比表面積等)を維持し、十分な触媒性能を発揮する(即ち、高い耐熱性を呈する)。尚、触媒粒子サイズや比表面積、触媒性能の評価方法等については後に詳しく説明する。
【0017】
尚、第2の金属元素を共存させず、上記と同様の方法によりアンモニウムドーソナイトを調製し、これを焼成してベーマイトを得る方法が既に知られている(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、当該方法は、Al以外の不純物としての異種金属元素を排除し、高純度のベーマイトを得ることにより、ベーマイトに含まれる不純物に起因する問題(例えば、ベーマイトに担持される触媒の機能低下、ベーマイトの絶縁性の低下等)を回避しようとするものであり、本願発明とは異なる観点に立った技術的思想に基づくものである。
【0018】
前記第2の金属元素は、Al系担体において酸量を増大させ、当該担体に担持される触媒の性能を高め得る限り、何れの金属元素であっても良いが、中でもZr、Mg、Zn、及びCaから選ばれる金属元素が好ましく、これらの金属元素の中でもZrが特に好ましい。
【0019】
従って、本発明の第2態様は、本発明の前記第3態様に係る複合酸化物前駆体であって、前記第2の金属元素がZrであることを特徴とする、複合酸化物前駆体である。尚、酸量の評価方法については、当該技術分野において周知であるので説明を割愛する。
【0020】
次に、本発明の第3態様は、本発明の前記第1態様又は第2態様に係る複合酸化物前駆体であって、前記第2の金属元素に加えて、第3の金属元素としてSrを更に含有することを特徴とする、複合酸化物前駆体である。
【0021】
上記第3の金属元素としてのSrは、本発明の前記第1態様において説明した方法と同様の方法によって含有させることが出来る。具体的には、例えば、硝酸アルミニウム水溶液に、第2の金属の塩(例えば、硝酸塩等)のみならず、Srの塩(例えば、硝酸ストロンチウム等)を共存させ、当該金属塩水溶液と炭酸水素アンモニウム水溶液とを混合し、所定の条件下で熟成させることによって、本実施態様に係る複合酸化物前駆体に上記第3の金属元素としてのSrをも均一に含有させることが出来る。しかしながら、アンモニウムドーソナイト中に第2の金属元素に加えて第3の金属元素をも均一に分散させる方法は上記方法に限定されるものではなく、当該技術分野において行われる種々の方法から適宜選択することが出来る。
【0022】
上記のように、本実施態様に係る複合酸化物前駆体にSrを更に含有させることにより、当該複合酸化物前駆体から調製される複合酸化物を担体として含んでなる排ガス浄化触媒は、高温度における耐久処理後も、Srを含有させない場合と比較して、更に大きい比表面積及び更に小さい触媒粒子サイズを維持し、更に高い触媒性能を発揮する。
【0023】
次に、本発明の第4態様は、本発明の前記第3態様に係る複合酸化物前駆体であって、 当該複合酸化物前駆体が化学式(1)で表され、
【0024】
【化1】

【0025】
上式中、0.03≦x≦0.06、0≦y≦0.03が成立することを特徴とする、複合酸化物前駆体である。
【0026】
上記xは本実施態様に係る複合酸化物前駆体においてZr(OH)が占めるモル分率を表し、上記yは本実施態様に係る複合酸化物前駆体におけるZr(OH)以外の(主としてアンモニウムドーソナイトを含んでなる)構成成分においてSr(OH)が占めるモル分率を表す。
【0027】
即ち、上記化学式(1)によって表される、本実施態様に係る複合酸化物前駆体において、Zr(OH)が占めるモル分率(x)は、0.03〜0.09であることが望ましく、より好ましくは0.03〜0.06であることが望ましい。xが0.03未満であると、複合酸化物前駆体におけるZr(OH)のモル分率が低くなり、その結果、当該複合酸化物前駆体から調製される複合酸化物における酸量の増大や耐熱性の向上に対するZrの添加効果が十分に得られないので望ましくない。一方、xが0.09を超えると、複合酸化物前駆体におけるZr(OH)の分散性が低下し、その結果、当該複合酸化物前駆体から調製される複合酸化物における酸量の増大に対する寄与率が低下し、且つ耐熱性が却って低下するので望ましくない。繰り返すが、xは0.06以下であることがより好ましい。
【0028】
一方、本発明者は、上記化学式(1)によって表される複合酸化物前駆体がSr(OH)を含有する場合(y>0)、当該複合酸化物前駆体から調製される複合酸化物の耐熱性が更に向上することを見出した。この場合、上記化学式(1)によって表される、本実施態様に係る複合酸化物前駆体におけるZr(OH)以外の構成成分中でSr(OH)が占めるモル分率(y)は、各金属元素の分散性等に悪影響が及ぼさない範囲内で適宜調整することができる。
【0029】
具体的には、上記化学式(1)によって表される複合酸化物前駆体にSr(OH)を含有させる場合は、上記yは0.01〜0.03、より好ましくは0.01〜0.02であることが望ましい。当然のことながら、yが0である場合は、当該複合酸化物前駆体から調製される複合酸化物におけるSrの添加効果は得られず、Zrの添加効果のみが発現する。また、yが0.01未満である場合もSrの添加効果は得られない。
【0030】
次に、本発明の第5態様は、本発明の前記第1態様乃至第4態様の何れかに係る複合酸化物前駆体を焼成して得られる、複合酸化物である。本発明の前記第1態様乃至第4態様の何れかに係る複合酸化物前駆体は、例えば、前述のような方法によって調製され、ロート上に吸引濾過されたケーキとして得られる。このような複合酸化物前駆体を、例えば、電気炉等の加熱装置を用いて所定の条件(例えば、1000℃×5時間)下で焼成することによって、本実施態様に係る複合酸化物が得られる。しかしながら、複合酸化物前駆体を焼成して複合酸化物を得る方法は上記方法に限定されるものではなく、当該技術分野において行われる種々の方法から適宜選択することが出来る。
【0031】
上記複合酸化物を触媒を担持するための担体として使用するには、上記複合酸化物が大きな表面積を有することが望ましい。従って、本発明の第6態様は、本発明の前記第5態様に係る複合酸化物であって、前記複合酸化物前駆体を焼成して得られた複合酸化物を粉砕して粉末状としたことを特徴とする、複合酸化物である。
【0032】
本実施態様に係る粉末状の複合酸化物は、本発明の第5態様に係る複合酸化物を、例えばハンマーミル、ボールミル等の粉砕機によって粉砕することによって得られる。しかしながら、複合酸化物を粉砕して粉末状とする方法は上記方法に限定されるものではなく、当該技術分野において行われる種々の方法から適宜選択することが出来る。
【0033】
本実施態様に係る粉末状の複合酸化物の大きさは特に限定されないが、触媒用担体として使用するためには大きな表面積を有することが望ましいことから、粉末状の複合酸化物の直径は好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下であることが望ましい。この直径が250μmを超えると、触媒用担体として触媒を分散させるための表面積が不十分となり、当該複合酸化物を触媒用担体として使用した際の触媒性能が十分に発揮されないので望ましくない。
【0034】
次に、本発明の第7態様は、本発明の前記第5態様又は第6態様に係る複合酸化物であって、当該複合酸化物全体に対する前記第2の金属元素の酸化物の構成比率が5〜10重量%であることを特徴とする、複合酸化物である。
【0035】
即ち、本実施態様に係る複合酸化物において、第2の金属元素の酸化物の構成比率は、5〜15重量%であることが望ましく、より好ましくは5〜10重量%であることが望ましい。この構成比率が5重量%未満であると、第2の金属元素の添加による複合酸化物における酸量の増大や耐熱性の向上等の効果が十分に得られないので望ましくない。一方、この構成比率が15重量%を超えると、第2の金属元素の酸化物の複合酸化物での分散性が低下し、その結果、当該複合酸化物における酸量の増大に対する寄与率が低下し、且つ耐熱性が却って低下するので望ましくない。繰り返すが、本実施態様に係る複合酸化物における第2の金属元素の酸化物の構成比率は10重量%以下であることがより好ましい。
【0036】
また、本発明の第3態様等において前述したように、本発明に係る複合酸化物前駆体に第3の金属元素としてSrを更に含有させる場合、結果として得られる複合酸化物にはSrの酸化物が含まれることになる。その結果、前述のように、当該複合酸化物の耐熱性の改善において、前記第2の金属元素による寄与のみならず、第3の金属元素としてのSrによる寄与も更に加わることになる。
【0037】
即ち、本発明の第8態様は、本発明の前記第7態様に係る複合酸化物であって、当該複合酸化物全体に対する前記第3の金属元素であるSrの酸化物の構成比率が2〜6重量%であることを特徴とする、複合酸化物である。
【0038】
前述のように、本発明に係る複合酸化物にSrを含有させると、当該複合酸化物の耐熱性が更に向上する。この場合、当該複合酸化物全体に対するSrの酸化物(SrO)としての構成比率は2〜6重量%、好ましくは2〜4重量%であることが望ましい。このSrOの構成比率が2重量%未満である場合、複合酸化物の耐熱性向上におけるSrの添加効果が実質的に得られず、Zrの添加効果のみが発現する。
【0039】
本発明の前記第5態様乃至第8態様に係る複合酸化物は、触媒を分散させ保持するための担体として好適に使用され得る。従って、本発明の第9態様は、本発明の前記第5態様乃至第8態様の何れかに係る複合酸化物を担体として含んでなり、且つ、当該担体の表面上に分散された、触媒活性を有する物質を含んでなる、排ガス浄化触媒である。
【0040】
上記触媒活性を有する物質(触媒)としては、排ガス、特に自動車等の内燃機関からの排ガスを浄化するために使用される各種触媒が挙げられる。より具体的には、かかる触媒としては、例えば、Rh、Pd、及びPt等を挙げることが出来る。これらの触媒の中で特に好ましいのは、Rhである。従って、本発明の第10態様は、本発明の前記第9態様に係る排ガス浄化触媒であって、前記触媒活性を有する物質がRhであることを特徴とする、排ガス浄化触媒である。
【0041】
尚、これらの触媒を、本発明の前記第5態様乃至第8態様に係る複合酸化物(担体)の表面上に分散させる方法としては、例えば、触媒となる金属の塩(例えば、硝酸塩)の水溶液を担体の表面上に噴霧し、エバポレーターを用いて溶媒を蒸発乾固させる方法等が挙げられる。しかしながら、担体の表面上に触媒を担持させる方法は上記方法に限定されるものではなく、当該技術分野において行われる種々の方法から適宜選択することが出来る。
【0042】
上記のようにして得られる本発明に係る排ガス浄化触媒は、従来技術と比較して、より良好な耐熱性を呈する。より具体的には、上記のようにして得られる本発明に係る排ガス浄化触媒は、所定の耐久処理環境に曝した後でも、従来技術と比較して、より優れた触媒性能及び物性を有している。尚、上記耐久処理の条件は、触媒が使用される環境や排ガスに含まれる浄化対象成分に応じて適宜修正され得るが、後述する実験例においては、以下の条件において耐久処理を行った。
【0043】
排ガス浄化触媒の耐久処理は、1100℃において、リッチ雰囲気(CO:2%、HO:10%、N:残部)とリーン雰囲気(O:5%、HO:10%、N残部)とを5分間隔で繰り返す耐久処理環境に5時間に亘って曝すことによって行われる。その後、当該排ガス浄化触媒の触媒性能及び触媒粒子サイズや比表面積等の物性を測定することにより、当該排ガス浄化触媒の耐熱性を評価することが出来る。
【0044】
排ガス浄化触媒の触媒性能は、例えば、所定の条件下での昇温及び/又は降温させながら、所定の組成を有する評価ガスを排ガス浄化触媒に供給して、評価ガス中に含まれる浄化対象成分の転化率が50%及び/又は90%となる温度(それぞれ、「T50」、「T90」と称する)を求めることによって評価することが出来る。尚、上記T50及びT90の値が小さいほど、触媒性能が高いことを意味する。
【0045】
上記T50及びT90の測定条件の一例を以下に説明する。対象となる排ガス浄化触媒を、500℃の酸化雰囲気ガス(%O:10、N:残部)で10分間にわたって前処理して、触媒(例えば、Rh)の表面を少なくとも部分的に酸化状態にする。かかる前処理の後、当該排ガス浄化触媒に対し、評価ガス(T.HC:3500ppm、NO:1500ppm、O:0.45%、CO:14.6%、HO:10%、N:残部)を供給する。供給量は、排ガス浄化触媒3gに対して評価ガス流量を20リットル/分とする。この状態で、50℃/分の速度にて150℃から500℃まで昇温させ、500℃で15分間維持して触媒を還元し、次いで50℃/分の速度にて500℃から150℃まで降温させる。この昇温時及び降温時に、T.HC及びNOの転化率が50%になる温度(T50)及びT.HC及びNOの転化率が90%になる温度(T90)を求める。尚、ここで「T.HC」とは全炭化水素を意味する。T50及びT90の測定において使用される炭化水素の具体例としては、プロパン等を挙げることが出来る。
【0046】
一方、排ガス浄化触媒の物性は、例えば、所定の耐久処理環境に曝した後の当該排ガス浄化触媒について、触媒粒子サイズや触媒が担持された担体の比表面積を測定することによって評価することが出来る。尚、触媒粒子サイズについては小さいほど、比表面積については大きいほど、耐熱性が高い(シンタリング耐性が高い)ことを意味する。
【0047】
上記触媒粒子サイズは、例えば、CO(ガス)パルス法によって求めることが出来る。更に、上記比表面積は、当該技術分野において周知の方法、例えば、JIS Z 8830:2001に規定されるBET法等によって求めることが出来る。
【0048】
従って、換言すれば、本発明に係る排ガス浄化触媒は、所定の耐久処理環境に曝した後でも、従来技術と比較して、より低いT50及び/又はT90を有し、且つ、より小さな触媒粒子サイズ及びより大きな比表面積を維持することが出来る。特に、比表面積は、耐久処理後の排ガス浄化触媒の触媒活性を見極める上で重要な物性の1つである。
【0049】
即ち、本発明の第11態様は、本発明の前記第9態様又は第10態様に係る排ガス浄化触媒であって、当該排ガス浄化触媒を1100℃においてリッチ雰囲気(CO:2%、HO:10%、N:残部)とリーン雰囲気(O:5%、HO:10%、N残部)とを5分間隔で繰り返す耐久処理環境に5時間に亘って曝した後の当該排ガス浄化触媒の比表面積が70m/g以上であることを特徴とする、排ガス浄化触媒である。
【0050】
上記比表面積は70m/g以上、より好ましくは80m/g以上であることが望ましい。比表面積は70m/g未満では、従来技術に係る排ガス浄化触媒を凌駕する触媒活性が得られないので望ましくない。
【0051】
以下に記載する実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明の技術的範囲は、これらの例に限定されるものではない。
【実施例】
【0052】
実験例1.複合酸化物における第2の金属元素の最適含有量の検討
(1)各種排ガス浄化触媒の調製
図1は、本発明の1つの実施態様に係る、複合酸化物の調製手順の一例を示すフローチャートである。図1を参照しながら、本発明の実施例1に係る複合酸化物の調製手順の一例につき、以下に詳細に説明する。
【0053】
先ず、2000mLの容器にイオン交換水420gを入れ、炭酸水素アンモニウム(キシダ化学株式会社製)180gを投入する。その後、攪拌機を用いて5分間攪拌し、水溶液Aとした。
次に、1000mLのビーカーに、第1の金属元素(Al)源としての硝酸アルミニウム(関西触媒化学株式会社製)210g、第2の金属元素源としてのオキシ硝酸ジルコニウム(関東化学株式会社製)3.2g、イオン交換水380gを入れ、これらが完全に溶解するまで攪拌し、水溶液Bとした。
【0054】
次いで、12g/分の速度で、水溶液Bを水溶液A中に定量的に投入し、得られたスラリーを容器中に密封し、60℃において2時間熟成させた。熟成終了後、スラリーを吸引濾過し、ロート上に得られたケーキを300gのイオン交換水で洗浄し、不純物である硝酸、炭酸、アンモニアを除去した。このようにして得られた、本発明の実施例1に係る複合酸化物前駆体は、以下の化学式(1)によって表される。
【0055】
【化2】

【0056】
本発明の実施例1に係る複合酸化物前駆体においては、上式中、x≒0.03、y=0が成立する。即ち、本発明の実施例1に係る複合酸化物前駆体は、アンモニウムドーソナイトを主成分とし、少量のZr(OH)を含んでなる、金属化合物である。尚、本発明の実施例1に係る複合酸化物前駆体は、第3の金属元素であるSrは含有していない。
【0057】
続いて、上記複合酸化物前駆体、即ち、洗浄後のケーキを、電気炉で1000℃×5時間の条件で焼成し、粒子サイズが250μm以下になるまでハンマーミルを用いて粉砕し、ZrO/A1=5/95(重量%)の組成を有する粉末状の複合酸化物(ZrO−Al)を得た。
【0058】
尚、実施例2並びに比較例1及び比較例2に係る複合酸化物についても、各金属酸化物の組成が以下の表1に記載されている比率となるように上記溶液Bを調製したことを除き、上記実施例1に係る複合酸化物と同様に調製した。より具体的には、実施例2並びに比較例1及び比較例2については、上記溶液Bにおける硝酸アルミニウムとオキシ硝酸ジルコニウムの投入量を調整して、所望の組成比を達成した。尚、実施例2、比較例1、及び比較例2に対応する複合酸化物前駆体においては、前述の化学式(1)におけるxはそれぞれ0.06、0、0.12に相当し、yは何れも0に相当する。
【0059】
【表1】

【0060】
次に、上記各種複合酸化物の触媒化工程について説明する。本実験例では、触媒としてRhを選択した。先ず、所定の濃度の硝酸ロジウム水溶液を調製し、当該硝酸ロジウム水溶液を上記各種複合酸化物の粉末に噴霧した後、エバポレータを用いて水分を蒸発乾固させて、上記各種複合酸化物の表面上にRhを担持させ、上記各種複合酸化物に対応する排ガス浄化触媒を得た。尚、Rhの担持量は、硝酸ロジウムとして、複合酸化物に対して0.1重量%となるようにした。
【0061】
(2)各種排ガス浄化触媒の耐久処理
上記のようにして得られた各種排ガス浄化触媒を、前述のように、1100℃において、リッチ雰囲気(CO:2%、HO:10%、N:残部)とリーン雰囲気(O:5%、HO:10%、N残部)とを5分間隔で繰り返す耐久処理環境に5時間に亘って曝す耐久処理に付した。
【0062】
(3)各種排ガス浄化触媒の物性評価
上記(2)の耐久処理後の各種排ガス浄化触媒につき、比表面積及び触媒粒子サイズを評価した。前述のように、比表面積については、JIS Z 8830:2001に規定されるBET法によって、触媒粒子サイズについては、CO(ガス)パルス法によって、それぞれ評価した。各種排ガス浄化触媒の物性評価結果を以下の表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
上記表2に示されている評価結果に対応するグラフが図2及び図3に示されている。より具体的には、図2は、各種排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率(重量%)と、耐久処理後の比表面積(m/g)との関係を示すグラフである。また、図3は、各種排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率(重量%)と、耐久処理後のRh触媒の粒子サイズ(粒径:nm)との関係を示すグラフである。尚、何れのグラフにおいても、従来技術に係るLa安定化Alについての評価結果が、比較用データとして示されている。
【0065】
図2及び図3に示されているように、排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率が5〜15重量%、特に5〜10重量%である場合に、従来技術と比較して、より大きな比表面積及びより小さな触媒粒子サイズが、耐久処理後にも維持されている。逆に言うと、前述のように、排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率が5重量%未満である場合、Zrの添加効果が十分に得られず、従来技術と比較して、より大きな比表面積及びより小さな触媒粒子サイズを維持することが出来ないので望ましくない。一方、この構成比率が15重量%を超える場合もまた、従来技術と比較して、より大きな比表面積及びより小さな触媒粒子サイズを維持することが出来ない。
【0066】
上記現象は、ZrOの構成比率が15重量%を超えると、排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの分散性が低下し、その結果、ZrOが単独で結晶化したために、比表面積が低下し、Rhのシンタリングが促進された結果であると考えられる。このことは、図4に示されている各種排ガス浄化触媒の担体のX線回折による走査プロファイルによっても示唆されている。即ち、ZrOの構成比率がそれぞれ5重量%及び10重量%である実施例1及び実施例2においてはm−ZrOに起因するピークは殆ど認められないものの、ZrOの構成比率が20重量%である比較例2においてはm−ZrOに起因するピークが顕著に現れている。このことからも、ZrOの構成比率が大きすぎると、排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの分散性が低下し、その結果、ZrOが単独で結晶化して、比表面積が低下し、Rhのシンタリングが促進されることが示唆されている。
【0067】
ところで、図2及び図3に示されているように、排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率が5〜15重量%である場合、従来技術に係るLa安定化Alよりも大きな比表面積、即ち、70m/g以上の比表面積が達成されている。従って、本発明に係る排ガス浄化触媒は、前述の耐久処理後においても70m/g以上の比表面積を維持し、その結果として、前述の耐久処理後においても高い触媒活性を維持することが出来る。特に、排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率が5〜10重量%である場合、より大きな比表面積、具体的には80m/g以上の比表面積が維持されている。
【0068】
(4)各種排ガス浄化触媒の触媒性能の評価
次に、前記耐久処理後の各種排ガス浄化触媒の触媒性能についても評価した。先ず、各種排ガス浄化触媒を、500℃の酸化雰囲気ガス(%O:10、N:残部)で10分間にわたって前処理して、触媒であるRhの表面を少なくとも部分的に酸化状態にした。かかる前処理の後、各種排ガス浄化触媒に対し、評価ガス(T.HC:3500ppm、NO:1500ppm、O:0.45%、CO:14.6%、HO:10%、N:残部)を、排ガス浄化触媒3gに対して20リットル/分の流量で供給した。この状態で、50℃/分の速度にて150℃から500℃まで昇温させ、T.HC及びNOの転化率が50%になる温度(T50)を求めた。尚、本実験例においては、炭化水素としてプロパン(C)を使用した。各種排ガス浄化触媒について求められたT50の結果を以下の表3に示す。
【0069】
【表3】

【0070】
上記表3に示されている評価結果に対応するグラフが図5に示されている。即ち、図5は、各種排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率(重量%)と、触媒性能(T50)との関係を示すグラフである。表3及び図5に示されている結果は、各種排ガス浄化触媒の担体におけるZrOの構成比率が5〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%である場合に、従来技術に係るLa安定化Alを担体とする排ガス浄化触媒と比較して、より高い触媒活性が得られることを示している。
【0071】
以上の評価結果より、アンモニウムドーソナイト中に、第1の金属元素であるAlの他に、第2の金属元素を含有する複合酸化物前駆体を焼成して得られる複合酸化物を担体として含む排ガス浄化触媒において、従来技術と比較して、より良好な耐熱性が発揮されること、及び前記複合酸化物における第2の金属元素の酸化物の構成比率は5〜15重量%、より好ましくは5〜10重量%であることが望ましいことが示唆された。尚、当該構成比率を、対応する複合酸化物前駆体を表す前述の化学式(1)におけるxに換算すると、それぞれ0.03〜0.09、より好ましくは0.03〜0.06に相当し、yは何れも0に相当する。
【0072】
実験例2.複合酸化物において最適な第3の金属元素の検討
(1)各種排ガス浄化触媒の調製
本発明のもう1つの実施態様に係る実施例3に係る複合酸化物も、前述の図1に記載されているフローチャートによって表されるものと基本的に同様の調製手順によって得られた。但し、結果として得られる複合酸化物における第2の金属元素であるZrの酸化物(ZrO)の構成比率が10重量%となり、且つ第3の金属元素であるSrの酸化物(SrO)の構成比率が4重量%となるよう、前述の溶液Bの調製時に、オキシ硝酸ジルコニウムに加えて、硝酸ストロンチウムも併せて使用した。このようにして得られた、本発明の実施例3に係る複合酸化物前駆体もまた、以下の化学式(1)によって表される。
【0073】
【化3】

【0074】
尚、本発明の実施例3に係る複合酸化物前駆体においては、上式中、x≒0.06、y≒0.02が成立する。即ち、本発明の実施例3に係る複合酸化物前駆体は、アンモニウムドーソナイトを主成分とし、少量のZr(OH)及びSr(OH)を含んでなる、金属化合物である。
【0075】
続いて、上記複合酸化物前駆体、即ち、洗浄後のケーキを、電気炉で1000℃×5時間の条件で焼成し、粒子サイズが250μm以下になるまでハンマーミルを用いて粉砕し、SrO/ZrO/A1=4/10/86(重量%)の組成を有する粉末状の複合酸化物(SrO−ZrO−Al)を得た。
【0076】
尚、比較例3乃至比較例6については、結果として得られる複合酸化物におけるZrOの構成比率が10重量%で一定となり、且つそれぞれの比較例に係る複合酸化物における第3の金属元素をLa、Nd、Y、及びCeとし、これらの第3の金属元素の酸化物の構成比率が4重量%で一定となるように、上記溶液Bにおける各種金属塩の種類及び投入量を調整した。
【0077】
【表4】

【0078】
次に、上記各種複合酸化物を、前述と同様の手順によって触媒化した。即ち、所定の濃度の硝酸ロジウム水溶液を調製し、当該硝酸ロジウム水溶液を上記各種複合酸化物の粉末に噴霧した後、エバポレータを用いて水分を蒸発乾固させて、上記各種複合酸化物の表面上にRhを担持させ、上記各種複合酸化物に対応する排ガス浄化触媒を得た。尚、Rhの担持量は、硝酸ロジウムとして、複合酸化物に対して0.1重量%となるようにした。
【0079】
(2)各種排ガス浄化触媒の耐久処理
前述と同様に、上記のようにして得られた各種排ガス浄化触媒を、1100℃において、リッチ雰囲気(CO:2%、HO:10%、N:残部)とリーン雰囲気(O:5%、HO:10%、N残部)とを5分間隔で繰り返す耐久処理環境に5時間に亘って曝した。
【0080】
(3)各種排ガス浄化触媒の物性評価
上記(2)の耐久処理後の各種排ガス浄化触媒につき、比表面積及び触媒粒子サイズを評価した。前述と同様に、比表面積については、JIS Z 8830:2001に規定されるBET法によって、触媒粒子サイズについては、CO(ガス)パルス法によって、それぞれ評価した。各種排ガス浄化触媒の物性評価結果を以下の表5に示す。
【0081】
【表5】

【0082】
上記表5に示されている評価結果に対応するグラフが図6及び図7に示されている。より具体的には、図6は、各種排ガス浄化触媒の担体における第3の金属元素の種類と、耐久処理後の比表面積(m/g)との関係を示すグラフである。また、図7は、各種排ガス浄化触媒の担体における第3の金属元素の種類と、耐久処理後のRh触媒の粒子サイズ(粒径:nm)との関係を示すグラフである。尚、何れのグラフにおいても、排ガス浄化触媒の担体に第3の金属元素を含まない実施例2に係る排ガス浄化触媒についての評価結果が比較用データとして示されている。
【0083】
図6及び図7に示されているように、排ガス浄化触媒の担体に第3の金属元素を含まない実施例2と比較して、各種排ガス浄化触媒の担体における第3の金属元素としてSrを選択した場合にのみ、更に大きい比表面積及び更に小さい触媒粒子サイズが達成されており、Sr以外の金属元素については何れも比表面積がより小さく、触媒粒子サイズがより大きくなった。換言すれば、Sr、La、Nd、Y、及びCeの中では、排ガス浄化触媒の担体における第3の金属元素としてSrを含ませた場合にのみ、第3の金属元素を含まない場合と比較して、更により良好な耐熱性が実現された。
【0084】
尚、実施例3においては、排ガス浄化触媒の担体における第3の金属元素としてのSrの酸化物(SrO)の構成比率を4重量%としたが、Srの添加による耐熱性の向上効果を得るためには、排ガス浄化触媒の担体(複合酸化物)におけるSrOの構成比率は2〜6重量%、より好ましくは2〜4重量%であることが望ましい。複合酸化物におけるSrOの構成比率が2重量%未満である場合は、Srの添加による耐熱性の向上効果が得られないので望ましくない。
【0085】
以上のように、本発明のもう1つの実施態様に係る、アンモニウムドーソナイト中に、第1の金属元素であるAlの他に、第2の金属元素に加えて、第3の金属元素をも含有する複合酸化物前駆体を焼成して得られる複合酸化物を担体として含む排ガス浄化触媒において、第3の金属元素を含有しない場合と比較して、より良好な耐熱性を呈するためには、第3の金属元素がSrであることが望ましいことが示唆される。尚、排ガス浄化触媒の担体としての複合酸化物におけるSrOの構成比率は2〜6重量%、より好ましくは2〜4重量%であることが望ましい。
【0086】
以上説明してきたように、本発明によれば、高温における耐久処理後も、大きい比表面積、小さい触媒粒子サイズ、及び高い触媒活性を維持することが出来る排ガス浄化触媒が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニウムドーソナイト中に、第1の金属元素であるAlの他に、Zr、Mg、Zn、及びCaから選ばれる第2の金属元素を含有することを特徴とする、複合酸化物前駆体。
【請求項2】
請求項1に記載の複合酸化物前駆体であって、前記第2の金属元素がZrであることを特徴とする、複合酸化物前駆体。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の複合酸化物前駆体であって、前記第2の金属元素に加えて、第3の金属元素としてSrを更に含有することを特徴とする、複合酸化物前駆体。
【請求項4】
請求項3に記載の複合酸化物前駆体であって、
当該複合酸化物前駆体が化学式(1)で表され、
【化1】

上式中、0.03≦x≦0.06、0≦y≦0.03が成立することを特徴とする、複合酸化物前駆体。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の複合酸化物前駆体を焼成して得られる、複合酸化物。
【請求項6】
請求項5に記載の複合酸化物であって、前記複合酸化物前駆体を焼成して得られた複合酸化物を粉砕して粉末状としたことを特徴とする、複合酸化物。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の複合酸化物であって、当該複合酸化物全体に対する前記第2の金属元素の酸化物の構成比率が5〜10重量%であることを特徴とする、複合酸化物。
【請求項8】
請求項7に記載の複合酸化物であって、当該複合酸化物全体に対する前記第3の金属元素であるSrの酸化物の構成比率が2〜6重量%であることを特徴とする、複合酸化物。
【請求項9】
請求項5乃至請求項8の何れか1項に記載の複合酸化物を担体として含んでなり、且つ、当該担体の表面上に分散された、触媒活性を有する物質を含んでなる、排ガス浄化触媒。
【請求項10】
請求項9に記載の排ガス浄化触媒であって、前記触媒活性を有する物質がRhであることを特徴とする、排ガス浄化触媒。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の排ガス浄化触媒であって、当該排ガス浄化触媒を1100℃においてリッチ雰囲気(2%CO+10%HO+残部N)とリーン雰囲気(5%O+10%HO+残部N)とを5分間隔で繰り返す耐久処理環境に5時間に亘って曝した後の当該排ガス浄化触媒の比表面積が70m/g以上であることを特徴とする、排ガス浄化触媒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−116719(P2012−116719A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269226(P2010−269226)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】