説明

複合酸化物材料及びリチウム二次電池用正極活物質

【課題】 高安全性と長寿命を両立したリチウム二次電池を得る。
【解決手段】 Li及びNiを少なくとも含有する層状構造を有する複合酸化物材料であって、前記Li及びNiの他にMn以外の4価の元素とCo以外の3価の元素を有し、化学式LiNi(Mn1−y(CoM′1−z(0<x<1.2,0<y<1,0<z<1,a+b+c=1,9b≦5a+2.7,0<a<1,0<b<1,0<c<1、M:Mnとは異なる4価元素、M′:Coとは異なる3価元素)で表される複合酸化物材料。非水リチウム二次電池において、該複合酸化物材料をリチウム電池用正極活物質として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合酸化物材料、及びこれをリチウム二次電池用正極活物質として用いた高エネルギー密度のリチウム電池、特に車両用途を目的としたリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のリチウム二次電池においては、LiとNiを少なくとも含有する正極活物質として、LiとNiからなる複合酸化物すなわちニッケル酸リチウムにリチウム・マンガン酸化物を混合することで、安全性に優れた電池を得ようと試みた例が特開平2000−77072号公報に開示されている。しかしながら、電動車両としての安全性と寿命を十分に満たすことの出来る電池はいまだ得られていない。
【0003】
【特許文献1】特開平2000−77072号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動車両、例えば電気自動車や電動バイクなどの移動体の電源として用いられる二次電池には、民生用の電池よりもはるかに高い安全性と寿命が求められる。本発明では高安全でかつ長寿命のリチウム二次電池用正極活物質及び、これを用いたリチウム二次電池を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、Li及びNiを少なくとも含有する層状リチウム二次電池用正極材料であって、前記Li及びNiの他にMn以外の4価の元素とCo以外の3価の元素を化学式LiNi(Mn1−y)b(CoM′1−z(0<x<1.2,0<y<1,0<z<1,a+b+c=1,9b≦5a+2.7,0<a<1,0<b<1,0<c<1、M:Mnとは異なる4価元素、M′:Coとは異なる3価元素)なる正規極活物質を用いることで上記課題を解決しようとするものである。ここで、4価元素としてはSi,Ge,Snなどの典型元素や、4価をとる遷移金属Ti,V,Fe,Wなどが望ましい。上記4価元素Mは1種類に限られる必要は無く、上記の元素の複数からなっていてもかまわない。また、3価元素としてはAl,Ga,Inなどの典型元素や、3価をとる遷移金属Sc,Cr,Moや希土類のY,La,Ce,Eu,Gd,Ndなどが望ましい。上記3価元素M′は1種類に限られる必要は無く、上記の元素の複数からなっていてもかまわない。
【0006】
本発明の正極材料はLiの他にNi,Mn,Coを含有した層状構造を有する複合酸化物を母材料とし、これに、上記以外の元素を置換することによって得られるものである。上記複合酸化物は形式的にはLiNiMnCo(0<x<1.2,a+b+c=1,0<a<1,0<b<1,0<c<1)のように表すことが出来る。
【0007】
本発明による正極材料は、Mnの組成を減らして4価元素Si,Ge,Sn,Tiなどを置換し、Coの組成を減らして3価元素のAl,Ga,In,Mo,Yなどを置換することによって得られる。本発明において、置換元素の比率を上記のように定めることが本質であり、任意の割合で置換を行っても良好な材料が得られるわけではない。2価のNiイオン,4価のMnイオン,3価のCoイオンが電荷のバランスを保って結晶構造を構成する必要があるからであり、本発明の技術的思想はこの点にあることは明らかである。
【0008】
本発明の正極材料は、化学式でLiNi(Mn1−y(CoM′1−z(0<x<1.2,0<y<1,0<z<1,a+b+c=1,9b≦5a+2.7,0<a<1,0<b<1,0<c<1、M:Mnとは異なる4価元素、M′:Coとは異なる3価元素)で表すことが出来るが、発明者らは形式的にはLiNi(Mn1−y(CoM′1−zと表される本発明の正極材料が、括弧内に示す組成の範囲内においてのみ良好に作製できることを見出したものである。上記範囲を逸脱した場合、Mnなどの不純物相の混在や結晶性の低下が認められる。
【0009】
本発明の正極活物質を作製するには、以下のようにするものである。出発原料は酸化物,水酸化物,炭酸塩,硫酸塩,硝酸塩などを用いる。上記原料は粉末の形で用い、これを混合機例えば、ボールミルやバイブレーションミルなどを用いて粉砕,混合する。例えば、LiNi0.35Mn0.30Si0.05Co0.10Al0.20なる正極活物質を合成する場合は以下のようにするものである。出発原料として炭酸リチウムLiCO、二酸化マンガンMnO,一酸化珪素SiO,水酸化アルミAl(OH)の粉末を用いて、これらを金属元素のモル比が得ようとする材料と等比になるように秤量して、混合する。上記混合した原料粉末を、高純度アルミナ製の容器に入れて、空気雰囲気において800℃〜950℃の温度で、電気炉を用いて焼成する。室温まで徐冷した焼成粉末を、再び混合機で粉砕、混合し、空気雰囲気中で1000℃から1100℃の温度で第2焼成を行う。得られた粉末を粉砕し、自動ふるいで所定の粒径以下、望ましくは40ミクロン以下の粒度に分級して正極活物質を得るものである。
【0010】
本発明の正極活物質は前記のように、LiとNiを少なくとも含有する複合酸化物である。複合酸化物とは複数の金属元素からなる酸化物のことであって、粉体として生成されるものである。本発明では前記複合酸化物材料を、電動車両用リチウム二次電池を得るための正極を構成する材料、すなわち正極活物質として用いたものであるが、本発明の複合酸化物材料の用途は前記電動車両用リチウム二次電池に限られるものではない。エネルギー貯蔵デバイスに限っても、例えば携帯電話等モバイル機器などの電極添加材や、電気化学キャパシター、コンデンサー、レドックス電池、燃料電池などの電極に添加して使うこともできる。また、加圧熱処理して構造材料として用いたり、潤滑材、導電性を利用して電磁波シールド材に添加することもできる。
【0011】
本発明の前記複合酸化物を、リチウム電池用の正極活物質として用いるためには、粉体物性や結晶性を調整する必要がある。粉体物性とはタップ密度、かさ密度、平均粒径などによって規定されるものであるが、リチウム電池用正極活物質としてこれを用いるためには、平均粒径D50を25ミクロン以下、望ましくは15ミクロン以下、さらに望ましくは10ミクロン以下とすることが望ましい。なお、1ミクロン以下の微小粒の含有される頻度は5%以下ととする必要がある。また、結晶性は例えばX線回折法によって規定できるものである。材料の結晶性とは粉体を構成する元素の、ミクロな配列の規則性が、良好であるか否かの指針である。結晶性が良好な材料でなければ、電池の寿命が短くなったり、容量が低下するなどの問題点が生ずる。具体的にはCu−kα線を用いてX線回折法により材料の回折パターンを測定したときに、2θ値で20〜80度の角度に観測される回折ピークの半値幅が0.1度以下、さらに望ましくは0.05度以下である。前記のような複合酸化物を正極活物質に用いることで、所定の電池性能を得ることができる。
【0012】
本発明の複合酸化物材料をリチウム電池用正極活物質として用いるためには、上記の他に材料を構成する粉体の1個の粒子の微細構造を、最適なものとすることも重要である。一般に粉体の1個の粒子は、複数の1次粒子によって構成される。1次粒子の大きさは概ね0.1ミクロンから数ミクロン以下であり、前記1次粒子が集合することで、1から数10ミクロン程度の2次粒子を構成する。2次粒子が多数集まったものが粉体材料である。前記粉体材料を構成する粒子は、ミクロな構造を有する。前記粉体粒子は、内部構造を有するものであって内部が空洞のいわゆる中空粒子と、内部にも1次粒子が均一に充填された中実な粒子とに分けることができる。本発明では中実な粒子が、多く含まれていること、望ましくは正極材料粉末中の80%以上が中実粒子であることが望ましい。
【0013】
粒子のミクロな構造を調べるには、以下のようにするものである。正極材料の粒子をサンプリングし、あらかじめタングステンの保護皮膜を蒸着する。この後に、収束イオンビーム(FIB)を用いて1個の粒子を切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察するこことによって粒子構造を調べることができる。
【0014】
本発明を用いて電動車両用リチウム二次電池を作製するためには、以下のようにするものである。
【0015】
まず、上記の正極活物質を炭素材料粉末の導電材及び、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の結着剤とともに混合してスラリーを作製する。上記正極活物質に対する上記導電材の混合比は、5〜20重量%が好ましい。このときに、上記正極活物質の粉末粒子がスラリー中で均一に分散するように、回転翼のような撹拌手段を具備した混合機を用いて十分な混練を行う。上記十分に混合したスラリーは、例えばロール転写式の塗布機などによって厚み15〜25μmのアルミ箔上に両面塗布する。前記両面塗布した後、プレス乾燥することによって正極の電極板とする。塗布電極合材の厚さは20〜100μmにするのが望ましい。負極は黒鉛又は非晶質炭素又は、それらの混合物を活物質に用い、正極と同様に結着剤と混合して塗布プレスし、電極を形成する。電極合材厚は20〜70μmとするのが望ましい。負極の場合は、集電体として厚さ7〜20μmの銅箔を用いる。塗布の混合比は、例えば負極活物質と結着剤の重量比で90:10とするのが望ましい。
【0016】
塗布電極は所定の長さに切断し、電流引き出し用のタブ部をスポット溶接又は超音波溶接により形成する。タブ部は長方形の形状をした集電体と同じ材質の金属箔からできており、電極から電流を取り出すために設置するものである。本発明の移動体用リチウム二次電池では、大電流を流すことが要求されるため、前記タブは複数本これを設ける必要がある。タブ付けされた電極は多孔性樹脂例えば、ポリエチレン(PE)やポロプロピレン(PP)などからなるセパレータを間に挟んで重ね、これを円筒状に捲いて電極群となし、円筒状容器に収納する。あるいは、セパレータに袋状のものを用いてこの中に電極を収納しこれらを順次重ねて角形容器に収納しても良い。容器の材質はステンレス又は、アルミを用いるのが望ましい。電極群を電池容器に収納した後に、電解液を注入し密封する。電解液としてはジエチルカーボネート(DEC),エチレンカーボネート(EC),プロピレンカーボネート(PC)等の溶媒に電解質としてLiPF,LiBF,LiClOなどを溶解させたものを用いるのが望ましい。電解質濃度は、0.7Mから1.5Mの間とするのが望ましい。電解液を注液して、電池容器を密閉して電池が完成する。
【発明の効果】
【0017】
特定の組成の複合酸化物材料をリチウム二次電池用正極活物質として用いることにより、安全性に優れた長寿命、移動体用リチウム二次電池を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(実施例1)
本実施例では、原料としてLiCO,MnO,CoCO,Al(OH)、Ni(NO,SiOを用いて正極活物質を合成した。金属元素の組成を種々変えて、原料粉末を混合した後に、高純度アルミナ容器に入れて950℃−20時間の第1焼成と、1050℃で20時間の第2焼成をした。作製した正極活物質の活物質名と、活物質組成を表1に示す。上記の焼成はいずれも空気中で行った。得られた正極活物質を粉砕分級し、いずれの場合でも平均粒径D50=9〜11ミクロンとなるようにした。上記材料のX線回折装置で回折パターンを測定したところ、六方晶層状構造が得られたものと、MnO,Al,SiOの不純物層が混在したもの、スピネル相が生成したものに分かれた。図1に示す三角相図に、本実施例で目的とする六方晶層状構造が得られた組成を●で示し(図1中符号aからj)、また、本願における特許請求の範囲を斜線で示した。組成比を表すa,b,cの値がa+b+c=1,9b≦5a+2.7,0<a<1,0<b<1,0<c<1を満足する範囲で所定の結晶構造を有する正極活物質が得られていることが分かった。
【0019】
【表1】

【0020】
(比較例1)
本比較例では実施例1と同様の方法により、表2に示す組成の正極活物質を作製した。図2中符号kからmで、相図に上記の組成を示した。得られた正極活物質を、X線回折法により調べたところ活物質名(k),(l),(m)は結晶性が悪く、2θ値で60度付近,80度付近に見られるピークの半値幅が概ね0.01度増大しているのが認められた。活物質(n)は、Liの他はNi,Mn,Coのみから構成されるものであり、本発明に関るものではなく、上記活物質(n)を比較例として検討した。
【0021】
【表2】

【0022】
実施例1の材料(a)から(j)と本比較例の材料を、下記の方法により電池を作製してその特性比較を行った。
【0023】
正極活物質と、黒鉛及びアセチレンブラック粉末の混合物を、上記正極活物質に対して重量比で13%を加えた後、混合機を用いて十分に攪拌した。N−メチルピロリドン(NMP)で希釈したポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、添加してスラリーを作製した。作製したスラリーを厚さ20ミクロンのアルミ箔状に塗布して、乾燥した後にロールプレスでプレスした。電極密度を2.75g/cm3に調整した後に真空乾燥してNMP溶媒を完全に蒸発させた。
【0024】
負極として、平均粒径7ミクロンの非晶質炭素粉末を10ミクロン厚の銅箔上に同様に塗布プレスして作製したものを用いた。これら正負極を、幅145mmに切断してから30ミクロン厚のポリエチレン多孔質フィルムをセパレータとして間に挟み込むようにして、円筒状に捲回して電極を形成した。これを、内径45mm,長さ200mmのSUS製の電池缶に挿入し、電解液を注入後封止して電池を作製した。電解液には、ジメチルカーボネートとジエチルカーボネートを1:1の割合で混合した溶媒に、1Mの濃度の六フッ化燐酸リチウムを電解質として添加したものを用いた。完成した電池は充電電圧4.15Vで初期化を行い、その後に評価を行った。
【0025】
各電池に対して容量の150%相当に当たる電気量を充電する過充電試験を行ったところ、表1に示す本発明に関る実施例1の正極活物質を用いた電池は、電圧上昇に伴う電解液の分解によるガス発生で、電池缶に設置した圧力開放弁が作動したのみであった。一方で、表2に示す比較例の正極活物質(k)から(m)を用いた電池では、圧力開放弁作動時に同時に、白煙が噴出するのが認められた。正極活物質(n)を用いた電池では、上記の挙動の他さらに火花が発生した。上記の過充電試験の結果を、まとめて表3に示す。
【0026】
【表3】

【0027】
同時に作製した上記とは別の各電池に対して、60℃でのサイクル寿命試験を行った。500サイクルまでの測定結果を、図3に示す。測定電流は1C相当値として、充電終止電圧4.15V,放電終止電圧2.8Vとして試験を行った。実施例1の活物質(a)から(j)を用いた電池では、500サイクル経過後の容量はいずれも初期容量の80%を超えていたのに対して、比較例1の活物質(k)から(m)を用いた電池は初期容量の60%以下の容量まで劣化しており、また、比較例の中では良好な特性を示した活物質(n)でも、初期容量の70%程度まで容量が低下した。本発明によるならば、安全性と長寿命を両立する正極活物質及びリチウム電池を得ることが出来る。
【0028】
(実施例2)
本発明実施例1(h)の複合酸化物材料を、以下に述べる作製方法により作製した。炭酸リチウム、水酸化ニッケル、二酸化マンガン、酸化ゲルマニウム、四酸化三コバルト、水酸化アルミを原料として、金属元素が所定の組成比となるように混合し、870℃で10時間、空気中で第1焼成を行った。焼成は箱型焼成炉を用いて、原料粉末を高純度のアルミナ容器に入れて行った。第1焼成後の材料を、ボールミルで粉砕した後に1000℃で10時間の第2焼成をして複合酸化物材料を得た。この、Cu−kα線(30kV−200mA、DS=0.5、SS=0.5、 RS=0.15)を用いてX線回折パターン測定した結果を、図6に示す。回折パターンは層状構造の六方晶系を示しており、2θ値の角度で、18.7度、36.9度、48.3度、59.1度、63.2度、65.0度、67.9度、77.2度に特徴的な強い回折ピークが認められた。これらの回折ピークをkα線とkβ線の分離を行った後にカーブフィットして求められた半値幅は、いずれの角度においても0.12度から0.25度の間にあり、結晶性が良好であることを示していた。
【0029】
本酸化物複合材料を電池材料として用いるために、フルイ分級と風力分級を用いて粉体物性を調整した。まず、フルイ分級で最大粒度を40ミクロン以下となるようにし、さらに、風力分級で中空粒子と中実粒子を分離した。風力分級の風量を調整することで、これらの分離が可能である。得られた粉体は中実粒子を多く含むタップ密度が1.75g/cmの材料と、中空粒子を多く含む1.52g/cmの材料に分かれた。前記2種類のタップ密度の材料を、リチウム電池用正極活物質として用いて、実施例1に示すのと同様な手段で円筒電池を作製して、60℃のサイクル寿命試験を行った。図7に示すとおり、タップ密度1.75g/cmの材料を用いた電池の方がサイクルに対する容量の維持率は高く、タップ密度1.52g/cmの材料を用いた電池では容量劣化が大きかった。粒子が中実であることで、電子伝導やイオン伝導パスの崩壊が抑制される効果である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の複合酸化物材料を非水リチウム二次電池の正極活物質として用いることにより、高安全性と長寿命を同時に具備したリチウム二次電池を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に関る正極活物質の組成を示す相図である。
【図2】本発明の比較例に関る正極活物質の組成を示す相図である。
【図3】実施例1の活物質を用いた電池(aからe)の60℃サイクル寿命試験結果である。
【図4】実施例1の活物質を用いた電池(fからj)の60℃サイクル寿命試験結果である。
【図5】比較例1の活物質を用いた電池(kからn)の60℃サイクル寿命試験結果である。
【図6】実施例2における複合酸化物材料のX線回折パターンである。
【図7】実施例2で作製した電池の60℃サイクル寿命試験結果である。
【符号の説明】
【0032】
1…本発明の複合酸化物材料の範囲、a,b,c,d,e,f,g,h,i,j…本発明に関る実施例1の正極活物質、k,l,m…本発明に関る比較例1の正極活物質。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Li及びNiを少なくとも含有する層状構造を有する複合酸化物材料であって、前記Li及びNiの他にMn以外の4価の元素とCo以外の3価の元素を有し、化学式LiNi(Mn1−y(CoM′1−z(0<x<1.2,0<y<1,0<z<1,a+b+c=1,9b≦5a+2.7,0<a<1,0<b<1,0<c<1、M:Mnとは異なる4価元素、M′:Coとは異なる3価元素)で表されることを特徴とする複合酸化物材料。
【請求項2】
請求項1に記載の複合酸化物材料であって、化学式LiNi(Mn1−y)b(CoM′1−z(0<x<1.2,0<y<1,0<z<1,a+b+c=1,9b≦5a+2.7,0<a<1,0<b<1,0<c<1、M:Si,Ge,Snの少なくとも1種類の4価元素、M′:B,Al,Inの少なくとも1種類の3価元素)で表されることを特徴とする複合酸化物材料。
【請求項3】
請求項1に記載の複合酸化物材料であって、Cu−kα線を用いたX線回折測定において、2θ値で60以上80度以下の角度に現れる回折ピークの半値幅が、いずれも0.1度以下であることを特徴とする複合酸化物材料。
【請求項4】
請求項2に記載の複合酸化物材料であって、Cu−kα線を用いたX線回折測定において、2θ値で20以上80度以下の角度に現れる回折ピークの半値幅が、いずれも0.1度以下であることを特徴とする複合酸化物材料。
【請求項5】
Li及びNiを少なくとも含有する層状リチウム二次電池用正極材料であって、前記Li及びNiの他にMn以外の4価の元素とCo以外の3価の元素を有し、化学式LiNi(Mn1−y(CoM′1−z(0<x<1.2,0<y<1,0<z<1,a+b+c=1,9b≦5a+2.7,0<a<1,0<b<1,0<c<1、M:Mnとは異なる4価元素、M′:Coとは異なる3価元素)で表されることを特徴とするリチウム電池用正極活物質。
【請求項6】
請求項5に記載のリチウム二次電池用正極材料であって、化学式LiNi(Mn1−y)b(CoM′1−z(0<x<1.2,0<y<1,0<z<1,a+b+c=1,9b≦5a+2.7,0<a<1,0<b<1,0<c<1、、M:Si,Ge,Snの少なくとも1種類の4価元素、M′:B,Al,Inの少なくとも1種類の3価元素)で表されることを特徴とするリチウム電池用正極活物質。
【請求項7】
請求項5に記載のリチウム電池用正極活物質であって、Cu−kα線を用いたX線回折測定において、2θ値で20以上80度以下の角度に現れる回折ピークの半値幅が、いずれも0.1度以下であることを特徴とするリチウム電池用正極活物質。
【請求項8】
請求項6に記載のリチウム電池用正極活物質であって、Cu−kα線を用いたX線回折測定において、2θ値で20以上80度以下の角度に現れる回折ピークの半値幅が、いずれも0.01度以上0.5度以下であることを特徴とするリチウム電池用正極活物質。
【請求項9】
請求項5に記載のリチウム電池用正極活物質であって、タップ密度が1.6g/cm以上、2.1g/cm以下であることを特徴とするリチウム電池用正極活物質。
【請求項10】
Li複合酸化物を少なくとも含有する正極と、負極に黒鉛又は非晶質炭素材料を含有する非水リチウム二次電池であって、前記正極に含有されるLi複合酸化物は前記請求項5に記載の正極活物質であることを特徴とする非水リチウム二次電池。
【請求項11】
請求項5に記載のリチウム電池用正極活物質を製造する方法であって、所定の金属組成比に混合された原料を、空気雰囲気中において800℃から950℃の温度で第1の焼成を行い、その後に空気雰囲気中で1000℃から1100℃の温度で第2の焼成を行うことを特徴とするリチウム電池用正極活物質の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−62911(P2006−62911A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247221(P2004−247221)
【出願日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(000001203)新神戸電機株式会社 (518)
【Fターム(参考)】