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複合酸化物蛍光体及び複合酸化物蛍光体の製造方法
説明

複合酸化物蛍光体及び複合酸化物蛍光体の製造方法

【課題】 真紅系の色度を実現することができる新規な複合酸化物蛍光体及び複合酸化物蛍光体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 チタンアルコキシドと、バリウムアルコキシドと、少なくとも0.03〜0.5原子%のプラセオジムを含む希土類元素と、少なくとも0.1〜2.0原子%のマグネシウムを含む2価の金属元素を含有する溶質を、メタノール及びメトキシエタノールを含有する溶媒に溶解した金属アルコキシド前駆体溶液を加水分解してゲル化し、このゲルを乾燥した後に、1200℃以下の温度で焼成を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は複合酸化物蛍光体及び複合酸化物蛍光体の製造方法に関する。詳しくは、希土類元素及び2価の金属元素を添加し、結晶化させたチタン酸バリウムを主成分とする固溶体(以下、チタン酸バリウム系ナノ結晶と言う)によって、真紅系の色度を実現しようとした複合酸化物蛍光体及びこうした複合酸化物蛍光体の製造方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体を除く無機蛍光材料として、ZnSに代表される硫化物を中心とした物質が開発され、実用に供されてきた。例えば、特許文献1には、ZnSに賦活剤と共賦活剤を含有する電場発光体粒子の表面に二酸化チタンなどの金属酸化物微粒子と金属アルコキシドを転換させた金属酸化物マトリックス相からなる疎水性皮膜を形成した電場発光蛍光体が開示されている。
【0003】
ところが、硫化物は湿度や温度等に対する安定性に問題があり、周囲の環境に対して安定な酸化物系の蛍光材料の開発が強く望まれており、安定性の優れた酸化物系蛍光体として、例えば、特許文献2に記載されている様な、アルカリ土類金属のアルミン酸塩等を母結晶とし、これに賦活剤としてユウロピウムをドープしたものが知られている。また、最近、これに共賦活剤としてネオジム、ジスプロシウム、テレビウム等の希土類元素を添加して、長残光の蓄光材料が開発され、夜光塗料、標識、表示素子等、種々の用途に用いられている。例えば、特許文献3や特許文献4には、ユウロピウムで賦活したアルカリ土類金属のアルミン酸塩タイプの蓄光体が、また特許文献5には更に硼素が添加された2価金属のアルミン酸塩系の蓄光体が示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平9−272866号公報
【0005】
【特許文献2】米国特許第3294699号明細書
【0006】
【特許文献3】特開平8−127772号公報
【0007】
【特許文献4】特許第2543825号明細書
【0008】
【特許文献5】特開平8−73845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、近年は、赤色系の色度を有する酸化物蛍光体の開発が望まれており、特に真紅系の色度を有する酸化物蛍光体の開発が強く望まれている。
【0010】
なお、例えば、特開2004−75908号公報には、チタン酸ストロンチウム粉体をベースとした蛍光体が示されているが、チタン酸ストロンチウムをベースとした蛍光体は真紅系の色度というよりもむしろオレンジ色系の色度を有しており、また、粉体サイズが大きく均質性に問題があった。
【0011】
本発明は以上の点に鑑みて創案されたものであって、真紅系の色度を実現することができる新規な複合酸化物蛍光体及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る複合酸化物蛍光体は、希土類元素及び2価の金属元素を添加し、結晶化させたチタン酸バリウムを主成分とする固溶体からなる複合酸化物蛍光体であって、前記希土類元素は、少なくともプラセオジムを含有し、前記2価の金属元素は、少なくともマグネシウムを含有する。即ち、本発明に係る複合酸化物蛍光体は、高結晶性かつ低欠陥濃度のチタン酸バリウム系ナノ結晶をホスト材料とするものである。
【0013】
また、上記の目的を達成するために、本発明に係る複合酸化物蛍光体の製造方法は、チタンアルコキシドと、バリウムアルコキシドと、少なくともプラセオジムを含む希土類元素と、少なくともマグネシウムを含む2価の金属元素を含有する溶質を、メタノール及びメトキシエタノールを含有する溶媒に溶解した金属アルコキシド前駆体溶液を加水分解してゲル化する工程と、該ゲルを乾燥した後に、同ゲルを焼成する工程を備える。
【0014】
ここで、結晶粒径が小さいほど発光強度が向上するために、チタン酸バリウムの結晶粒径を例えば100nm以下とすることにより、充分な発光強度を得ることができる。
また、結晶粒径が大きい場合には、均質性の点でも問題が生じうると考えられるが、チタン酸バリウムの結晶粒径を例えば100nm以下とすることにより、均質性の向上を図ることができる。
【0015】
なお、本発明者は、結晶粉末の合成を行う従来法とは大きく異なり、従来のゾル−ゲル法に比べて1桁以上濃度の高い濃厚な高濃度前駆体溶液を出発原料とし、前駆体溶液を低温に保持して水蒸気で水を添加し、加水分解反応を制御することにより、微結晶からなるバルク体を低温で直接合成して100nm以下の粒径を有するチタン酸バリウム焼結体の製造方法(以下、高濃度ゾル−ゲル法と言う)を提案しており(特開平8−239216号公報)、結晶粒径が100nm以下のチタン酸バリウム及びその固溶体は例えば、かかる方法等によって製造することができる。
【0016】
また、本発明に係る高結晶性かつ低欠陥濃度チタン酸バリウム系ナノ結晶は、高濃度ゾル−ゲル法における加水分解を水蒸気ではなく、水とアルコールの混合溶液を用い、−10℃以下の温度で加水分解することによっても製造することができる。
【0017】
また、本発明に係る複合酸化物蛍光体は、発光元素のプラセオジム及び賦活剤のマグネシウムを共に金属アルコキシドとして添加し、組成の均質性及び結晶化度の向上を特に高めたものである。
【0018】
なお、高結晶化を達成するためにホスト材料であるチタン酸バリウム系ナノ結晶は金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル法により製造されるが、ごく微量の添加元素であり、それぞれの金属塩水溶液を添加したとしても十分に均質に分散させることが可能であるプラセオジムとマグネシウムについては必ずしも金属アルコキシドを用いたゾル−ゲル法ではなく、それぞれの水溶液を添加することによって製造しても良い。
【0019】
ところで、複合酸化物蛍光体の十分な発光強度は、添加するプラセオジムが0.03〜0.5原子%濃度の範囲で起こり、プラセオジムを0.5原子%を超えて添加すると、図1のプラセオジム濃度と451nmの励起光で励起した場合の600nm近傍の発光強度との関係で示す様に、欠陥の生成に起因すると考えられる発光強度の低下が生じてしまう。従って、添加するプラセオジムは0.03〜0.5原子%である方が好ましい。
【0020】
また、0.1原子%未満のマグネシウムの添加量では、充分な発光強度を得ることができず、2.0原子%を超えてマグネシウムを添加すると、図2のマグネシウム濃度と451nmの励起光で励起した場合の600nm近傍の発光強度との関係で示す様に、格子の歪や欠陥濃度の上昇による発光強度の低下が生じてしまう。従って、添加するマグネシウムは0.1〜2.0原子%である方が好ましい。
【発明の効果】
【0021】
上記した本発明を適用した複合酸化物蛍光体では、チタン酸バリウム系ナノ結晶にプラセオジム及びマグネシウムを添加することにより、600nm近傍の赤色に加えて490nm近傍の強い発光を示し、短波長発光用蛍光体としての応用が可能である。
【0022】
また、本発明を適用した複合酸化物蛍光体の製造方法では、高濃度ゾル−ゲル法により合成される高結晶性かつ均一粒径のチタン酸バリウム系ナノ結晶をホストとしており、通常の固相法による蛍光体の製作で必要な1200℃以上の温度での焼成が不要で、特性向上のための熱処理も1200℃以下の焼成で充分である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。
本発明を適用した複合酸化物蛍光体の一例であるプラセオジム及びマグネシウムを添加し、結晶化させた結晶粒径が100nm以下のチタン酸バリウムの製造では、先ず、乾燥窒素雰囲気下、室温で、メタノール67.6gと2−メトキシエタノール54.9gの混合溶媒にPr(OCを0.064g(プラセオジムの添加量はチタン酸バリウムに対して0.1原子%)添加すると共に、Mg(OCを、(1)0.0046g(マグネシウムの添加量はチタン酸バリウムに対して0.1原子%)、(2)0.0115g(マグネシウムの添加量はチタン酸バリウムに対して0.25原子%)、(3)0.023g(マグネシウムの添加量はチタン酸バリウムに対して0.5原子%)、(4)0.0345g(マグネシウムの添加量はチタン酸バリウムに対して0.75原子%)、(5)0.046g(マグネシウムの添加量はチタン酸バリウムに対して1原子%)、(6)0.092g(マグネシウムの添加量はチタン酸バリウムに対して2原子%)添加し、10日間攪拌して透明な溶液Aを調製した。この溶液Aに、ジエトキシバリウム45.9gとテトライソプロポキシチタン57.4gを添加し、1日攪拌してプラセオジム及びマグネシウム添加チタン酸バリウム前駆体溶液を調製した。
なお、比較例として、Mg(OCを添加していないプラセオジム添加チタン酸バリウム前駆体溶液も調製した。
【0024】
次に、密閉容器中に入れた前駆体溶液を−30℃に保持し、これにシリンジを用いて水−メトキシエタノール混合溶液を0.2ml/minの添加速度で注入して加水を行った。加水量はBaに対して10モル倍とした。
【0025】
加水を行いゾル溶液となった前駆体溶液を結晶化させるため、90℃で1時間エージングを行った。その後、室温、10Pa程度の減圧条件で24時間程度保持し、ナノ結晶粉体を得た。
なお、乾燥ゲル粉体のX線回折図形では、チタン酸バリウム特有の、複数のピークからなるプロファイルが見られたが、平均粒径15nm以下の微結晶であることを反映した大きな半値幅のピークであった。
【0026】
得られた乾燥粉体を1000℃で1時間熱処理し、その粉体に波長365nmの紫外光を励起光として照射し、表面からの発光を観察(室内肉眼観察)した。表1にMg添加量と粉体の色に近似の日本塗料工業会色番号及びマンセル値との関係を示す。
【0027】
なお、本実施例では乾燥粉体の熱処理温度を1000℃としているが、Pr添加チタン酸バリウムの焼成温度と451nmの励起光で励起した場合の600nm近傍の発光強度との関係を図3に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
表1からも明らかな様に、Mgの添加量が0.1〜2.0原子%の場合には、真紅系の色度を得ることができる。一方、Mgを添加していない場合には、真紅系の色度を得ることができない。
【0030】
また、本実施例で得られた粉体は、蛍光性を有すると共に強誘電性をも有するために、これら2つの性質を併せ持つが故に奏することができる従来にはない新たな機能が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】プラセオジムの濃度と451nmの励起光で励起した場合の600nm近傍の発光強度との関係を示すグラフである。
【図2】マグネシウムの濃度と451nmの励起光で励起した場合の600nm近傍の発光強度との関係を示すグラフである。
【図3】Pr添加チタン酸バリウムの焼成温度と451nmの励起光で励起した場合の600nm近傍の発光強度との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類元素及び2価の金属元素を添加し、結晶化させたチタン酸バリウムを主成分とする固溶体からなる複合酸化物蛍光体であって、
前記希土類元素は、少なくともプラセオジムを含有し、
前記2価の金属元素は、少なくともマグネシウムを含有する
ことを特徴とする複合酸化物蛍光体。
【請求項2】
前記希土類元素は、0.03〜0.5原子%のプラセオジムを含有し、
前記2価の金属元素は、0.1〜2.0原子%のマグネシウムを含有する
ことを特徴とする請求項1に記載の複合酸化物蛍光体。
【請求項3】
チタンアルコキシドと、バリウムアルコキシドと、少なくともプラセオジムを含む希土類元素と、少なくともマグネシウムを含む2価の金属元素を含有する溶質を、メタノール及びメトキシエタノールを含有する溶媒に溶解した金属アルコキシド前駆体溶液を加水分解してゲル化する工程と、
該ゲルを乾燥した後に、同ゲルを焼成する工程を備える
ことを特徴とする複合酸化物蛍光体の製造方法。
【請求項4】
前記焼成は1200℃以下で行う
ことを特徴とする請求項3に記載の複合酸化物蛍光体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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