説明

複合金属材料の接合方法及び複合金属材料の局部的な接合方法

【課題】複合金属材料の接合方法及びそれに類似する複合金属材料の局部的な接合方法を提供する。
【解決手段】まず、第1の金属材料を提供する。そして、第1の金属材料をスタンピングして、凹面を有する部材を形成する。それから、第2の金属材料320を凹面に設置する。その後、鍛造圧力で第2の金属材料を押して部材の凹面に充填させ、第2の金属材料と部材を接合して、接合部材300を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合金属材料の接合方法に関し、特に、スタンピングした上で鍛造する複合金属材料の接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属材料の接合は、現在の半導体素子や機械製品等の装置に広く用いられている。例としては、各電気製品のケースと内部部材との接合や機械軸受の接合等がある。各製品のサイズに求められる精度が益々厳しくなるにつれて、金属材料の接合も、単に複数の材料を接着するものではなくなる。2つの金属材料の接合強度、接合後の外観、サイズの精度、複雑な形の精細度等の何れも、現在、接合力の優劣を評価するための重要な指標となり、このようにして初めて、複数の金属材料の接合が、所望の効果を達成することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾特許100141491号明細書
【特許文献2】特開2002−102986号公報
【特許文献3】特開2002−361352号公報
【特許文献4】特開2003−062627号公報
【特許文献5】特開2003−170227号公報
【特許文献6】特開2004−027321号公報
【特許文献7】特開2004−074255号公報
【特許文献8】特開2004−249320号公報
【特許文献9】特開2006−142368号公報
【特許文献10】特開2007−038255号公報
【特許文献11】特開2007−098470号公報
【特許文献12】特開2007−131915号公報
【特許文献13】特開2007−538146号公報
【特許文献14】特開2008−069421号公報
【特許文献15】特開2008−126245号公報
【特許文献16】特開2008−126246号公報
【特許文献17】特開2008−163361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、溶接法又は接着剤塗布方法による金属材料の接合は、一般的なものであるが、溶接材料の選別も、接着剤の使用も必ず金属材料と合致しなければならない。また、接合サイズがより精密に、形がより複雑になった場合、溶接法又は接着剤塗布方法では、接合力を均一にすることができないため、接合された金属材料に変形や弛みが起きやすい。
【0005】
そのため、前記金属材料の接合問題を解決できる複合金属材料の接合方法が、産業上至急に望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スタンピングした上で鍛造する方法によって組立部材を形成するため、スタンピング及び鍛造の利点を兼備し、且つ両者の欠点を同時に排除可能な、複合金属材料の接合方法及び複合金属材料の局部的な接合方法を提供する。
【0007】
本発明は、下記ステップを備える複合金属材料の接合方法を提供する。まず、第1の金属材料を提供する。そして、特定の形をしたスタンピングダイキャビティ及びスタンピングダイコアを有するスタンピング成形型を提供する。次に、第1の金属材料が、凹面及び複数の第1の丸い角を有する部材となるように、それをスタンピングダイキャビティに仕込んでスタンピング工程を行う。次いで、特定の形をした鍛造ダイキャビティ及び鍛造ダイコアを有する鍛造成形型を提供する。その後、第2の金属材料を凹面に設置する。それから、第2の金属材料と部材を鍛造ダイキャビティに仕込んで鍛造工程を行い、鍛造圧力で第2の金属材料を押して部材の凹面に充填させ、第2の金属材料と部材を接合して、複数の第2の丸い角を有する接合部材を形成する。
【0008】
本発明は、下記ステップを備える複合金属材料の局部的な接合方法を提供する。まず、第1の金属材料を提供する。そして、特定の形をしたスタンピングダイキャビティ及びスタンピングダイコアを有するスタンピング成形型を提供する。次いで、第1の金属材料が、少なくとも1つの窪み領域及び複数の第1の丸い角を有する部材となるように、それをスタンピングダイキャビティに仕込んでスタンピング工程を行う。次に、特定の形をした鍛造ダイキャビティ及び鍛造ダイコアを有する鍛造成形型を提供する。その後、第2の金属材料を窪み領域に設置する。それから、第2の金属材料と部材を鍛造ダイキャビティに仕込んで鍛造工程を行い、鍛造圧力で第2の金属材料を押して部材の窪み領域に充填させ、第2の金属材料と部材を接合して、複数の第2の丸い角を有する組立部材を形成する。
【発明の効果】
【0009】
前記に基づいて、本発明は、スタンピングした上で鍛造する方法によって複数の材料を接合する複合金属材料の接合方法及び複合金属材料の局部的な接合方法を提案する。このようにして、本発明は、工程コストを低下させ、サイズの精度、パターンの精細度を向上させ、表面粗度等を改善することで表面を美観化することができる。また、材料それぞれの間の接合力を向上させ、材料の接合を安定化する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。
【図2】本発明の第1の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。
【図3】本発明の第1の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。
【図4】本発明の第2の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。
【図5】本発明の第2の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。
【図6】本発明の第3の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。
【図7】本発明の第3の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。
【図8】本発明の第4の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。
【図9】本発明の一実施例による複合金属材料の接合方法を示す断面模式図である。
【図10】本発明の一実施例による複合金属材料の接合方法を示す断面模式図である。
【図11】本発明の一実施例による複合金属材料の局部的な接合方法を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
複合金属材料の接合方法又は複合金属材料の局部的な接合方法は、多様な半導体構造、電気製品、機械素子等の装置に広く用いられているが、本発明を明確に開示するために、下記では金属ボタンの成形方法を例として説明するが、本発明の複合金属材料の接合方法又は複合金属材料の局部的な接合方法は、本例に限定されるものではない。
【0012】
図1〜図3は、本発明の第1の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。図1に示すように、まず、殻体用金属材料110'を提供する。殻体用金属材料110'の材質としては、例えば、ステンレス金属又はチタン合金等である。無論、亜鉛、銅等のような、通常ケース用材質として適用され、必要な硬度及び美しい金属光沢を持つものであってもよい。
【0013】
そして、スタンピング成形型を提供する(図示せず)。このスタンピング成形型は、特定の形をしたスタンピングダイキャビティ及びスタンピングダイコアを有する。殻体用金属材料110'をスタンピングダイキャビティに仕込む。スタンピング工程を行い、殻体用金属材料110'に対してスタンピングしてボタン殻体110を形成する。好ましい実施態様において、ボタン殻体110の外表面S2を保護するように、殻体用金属材料110'の表面S1に1枚の保護フィルムを貼り付けてよい。
【0014】
詳しくは、ボタン殻体110は、収容部112と、薄い殻体114と、を有する。本実施例において、1回のスタンピングによりボタン殻体110を形成するように、殻体用金属材料110'の形は、例えば、金属シートであってよいが、本発明はこれに限定されない。なお、殻体用金属材料110'は、スタンピングにより異なる形に形成してもよい。例えば、本実施例において、ボタン殻体110を形成するが、他の実施例においては、スタンピングにより複数のボタン殻体110を一発で形成したり、他の形のボタン殻体110を形成したりしてもよい。本発明に示されたボタン殻体110は、本発明を明確に開示するためのものだけであるが、本発明を限定するためものではない。
【0015】
その後、ボタン殻体110に穴Tを形成するように、薄い殻体114に選択的にパターンを施してよい。穴Tは、例えば、商標、指示説明等であり、ユーザーによる識別のために、薄い殻体114の外表面S2に表示される。ボタン殻体110に穴を形成しやすくするように、薄い殻体114にパターンを施す方法としては、例えば、レーザドリリング工程を行ってよいが、本発明はこれに限定されない。一実施例において、穴Tは、例えば、パターンとなるように配列されてよい。
【0016】
鍛造成形型(図示せず)を提供する。この鍛造成形型は、特定の形をした鍛造ダイキャビティ及び鍛造ダイコアを有する。図2に示すように、金属充填用ブランク120を収容部112に設置する。金属充填用ブランク120の材質は、アルミ合金又はプラスチック等を含む。そして、金属充填用ブランク120とボタン殻体110を鍛造ダイキャビティに仕込んで鍛造工程を行う。図3に示すように、鍛造工程を行い、圧力Pを金属充填用ブランク120に加え、金属充填用ブランク120を押してボタン殻体110の収容部112に充填させ、中が詰まっている金属ボタン130を形成する。金属充填用ブランク120の材質は、金属充填用ブランクに適する軟質材料であることが好ましい。好ましい実施例において、殻体用金属材料110'は、硬度が金属充填用ブランク120より大きい。このようにして、鍛造された金属充填用ブランク120は、変形のため薄い殻体114と適度に貼り合わせることができるが、ボタン殻体110を過大変形させることで、所望の中が詰まっている金属ボタン130の構造を達成できないことにはならない。
【0017】
スタンピング後の形成されたボタン殻体110は、形成しようとする完成品の最初の原形であるが、スタンピング後のボタン殻体110が、各細部及びサイズにおいて必要な精度要求を達成できないため、本発明において、ボタン殻体110をさらに鍛造して中が詰まっている金属ボタン130を形成することに本発明の精神はある。例えば、ボタン殻体110は、鍛造により局部の厚さが同一でなく、形がより複雑な精細パターンに形成されてよい。例えば、平面を含むボタン殻体110は、鍛造により全体又は局部が弧面形を有する中が詰まっている金属ボタン130となってよい。一般的に、工程において、殻体用金属材料110'に対して全面又は局部スタンピング、1回又は数回のスタンピングをしてよく、それは実際の要求により定まる。例えば、まず、ボタン殻体110を得るように、殻体用金属材料110'に対して1回限りの全面的なスタンピングをして、更に、必要な精度を有する中が詰まっている金属ボタン130を達成するように、ボタン殻体110の高精度が要求される部分に対して1回又は数回の局部的な鍛造を行う。このように、生産コストを低下させ、中が詰まっている金属ボタン130の構造品質を向上させることができる。
【0018】
具体的には、図1〜図2に示すようなボタン殻体110は、複数の第1の丸い角C1を有し、図3に示すような中が詰まっている金属ボタン130は、複数の第2の丸い角C2を有す。ただし第2の丸い角C2は、鍛造されたボタン殻体110の第1の丸い角C1から形成されるものである。本実施例において、第1の丸い角C1の半径は、鍛造により縮小することができる。つまり、第1の丸い角C1は、半径が第2の丸い角C2より大きい。現在の工程技術では、第1の丸い角C1は、半径が0.5ミリメートル(mm)より大きく、第2の丸い角C2は、半径が0.3ミリメートル(mm)より小さくてよい。
【0019】
更に言うと、ボタン殻体110のスタンピング工程は、常温で行われることが好ましい。ボタン殻体110を鍛造することは、常温で行われることが好ましい。このように、成形型コストを低下させることができる。また、ボタン殻体110が固体から中が詰まっている金属ボタン130となるため、ボタン殻体110の材質は、鍛造過程で溶融のため流動してしまうことはない。よって、材料の流動による、形成された中が詰まっている金属ボタン130の表面品質の劣化を防ぐことができる。この方法によって形成された中が詰まっている金属ボタン130の表面は、より好ましい金属光沢度を達成でき、延いてはその表面に鏡面効果を与えて美観性を向上させることができる。
【0020】
なお、金属充填用ブランク120をボタン殻体110とより堅固で緊密に接合させるように、接合強度の実際の要求に応じて、圧力Pを増加したり、金属充填用ブランク120とボタン殻体110との間に接着剤(図示せず)を塗布したりしてよい。
【0021】
また、中が詰まっている金属ボタン130が形成された後、中が詰まっている金属ボタン130の薄い殻体134(ボタン殻体110の薄い殻体114が鍛造されてなるものである)に対してさらに表面処理(図示せず)してよい。殻体134をより滑らかで美しくするように研磨工程を行ったり、薄い殻体134を保護してその耐摩耗性を高めるための、保護層(図示せず)を薄い殻体134に形成するように、物理気相成長工程を行ったりする。
【0022】
以上の通り、本発明は、スタンピングした上で鍛造する方法によって中が詰まっている金属ボタン130を形成する。(1)従来の単一の鍛造成形方法と比べて、スタンピングによって最初の原形を形成するため、工程コストを低下させることができ、また、殻体用金属材料110'が工程過程において溶融のため流動することを防ぐように、常温でスタンピング及び鍛造を行うため、表面の美観性及び工程の歩留まりを向上させることができる。(2)従来の単一のスタンピング成形方法と比べて、更に鍛造することによって、例えば、2つの表面の間の曲げ角の曲げ弧度のような、サイズの精度を向上させることができる。(3)従来の単一の金属射出成形方法と比べて、本発明には、縮小率が過大となる、穴が表面に生じるといった問題は起きない。要するに、スタンピングした上で鍛造して、中が詰まっている金属ボタン130を形成する本発明による方法は、中が詰まっている金属ボタン130のサイズの精度及びパターンの精細度を向上させ、その表面粗度等の表面品質を改善することができ、その美観性を向上させ、工程コストを低下させる効果を達成することができる。
【0023】
また、本発明は、複数の金属充填用ブランクを有する金属ボタンの成形方法に適用可能である。以下、本発明をより明確に開示するために、2つの実施例を提出するが、本発明の適用範囲は、これに限定されない。
【0024】
図4〜図5は、本発明の第2の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。図4に示すように、スタンピングされたボタン殻体110は、収容部112と、薄い殻体114と、を有する。第1の金属充填用ブランク120a及び第2の金属充填用ブランク120b等の複数の金属充填用ブランクを収容部112に設置する。第2の金属充填用ブランク120bは、鍛造工程を行う場合、ボタン殻体110の収容部112に仕込まれる。図示の通り、第1の金属充填用ブランク120a及び第2の金属充填用ブランク120bは、例えば、水平に並ぶように収容部112に置かれてよい。そのため、図5に示すように、圧力P1を第1の金属充填用ブランク120a及び第2の金属充填用ブランク120bに加えてボタン殻体110を鍛造した後、中が詰まっている金属ボタン130aを形成することができる。この場合、第1の金属充填用ブランク120a及び第2の金属充填用ブランク120bは、並列して薄い殻体134aに緊密に貼り合わせる。
【0025】
図6〜図7は、本発明の第3の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。図6に示すように、スタンピングされたボタン殻体110は、収容部112と、薄い殻体114と、を有する。第1の金属充填用ブランク120c及び第2の金属充填用ブランク120dを収容部112に設置する。図示の通り、第1の金属充填用ブランク120cは、第2の金属充填用ブランク120dと薄い殻体114との間にある。そのため、図7に示すように、圧力P2を第1の金属充填用ブランク120c及び第2の金属充填用ブランク120dに加えてボタン殻体110を鍛造した後、中が詰まっている金属ボタン130bを形成することができる。この場合、第1の金属充填用ブランク120c及び第2の金属充填用ブランク120dは、積み重ねて薄い殻体134bに緊密に貼り合わせる。一実施例において、第1の金属充填用ブランク120cとして絶縁材料を選択し、第2の金属充填用ブランク120dとして導電性材料を選択すれば、第2の金属充填用ブランク120dと薄い殻体134bとを局部的に電気的に絶縁させることができる。
【0026】
また他の実施例において、第2の金属充填用ブランク120b、120dは、鍛造工程を行う場合、薄い殻体114と鍛造ダイキャビティとの間に仕込まれることは、実際の要求により定まる。
【0027】
また、図8は、本発明の第4の実施例による金属ボタンの成形方法を示す断面模式図である。図8に示すように、本実施例による金属充填用ブランク220a、220b、220c、220dのそれぞれは、スタンピングされたボタン殻体(図示せず)の4つの丸い角(図示せず)にある。このように、ボタン殻体(図示せず)の4つの丸い角(図示せず)を局部的に鍛造することができるようになる。例えば、鍛造された中が詰まっている金属ボタン130cに、半径が0.3ミリメートル(mm)より小さい4つの丸い角d1、d2、d3、d4を持たせる。無論、本実施例は、少なくとも1つの金属充填用ブランクをボタン殻体の局部位置に仕込むものであり、図示された形は意図を示すためのものだけであり、本発明はこれに限定されない。
【0028】
上記では、本発明の精神を金属ボタンの成形方法によって開示したが、それが金属ボタンの成形にしか用いられないわけでもなく、本発明の応用を総括して言えば、以下の通りである。
【0029】
図9〜図10は、本発明の一実施例による複合金属材料の接合方法を示す断面模式図である。複合金属材料の接合方法は、下記ステップを備えてよい。まず、第1の金属材料310'を提供する(前記殻体用金属材料110'に対応する)。そして、特定の形をしたスタンピングダイキャビティ及びスタンピングダイコアを有するスタンピング成形型を提供する。(図示せず)そして、第1の金属材料310'がスタンピングされて凹面312(前記収容部112に対応する)を有する部材310(前記ボタン殻体110に対応する)となるように、それをスタンピングダイキャビティに仕込んでスタンピング工程を行う。そして、特定の形をした鍛造ダイキャビティ及び鍛造ダイコアを有する鍛造成形型を提供する。(図示せず)それから、第2の金属材料320(前記金属充填用ブランク120に対応する)を凹面312に設置する。それから、図10に示すように、第2の金属材料320と部材310を鍛造ダイキャビティに仕込んで鍛造工程を行い、鍛造圧力P3で第2の金属材料320を押して部材310の凹面312に充填させ、第2の金属材料320と部材310を接合して、接合部材300を形成する。
【0030】
本実施例の複合金属材料の接合方法については、その応用原理を前記金属ボタンの成形方法で説明したため、詳しく説明しない。
【0031】
例として言えば、第1の金属材料310'は、硬度が第2の金属材料320より大きいであることが好ましく、このようにすれば、鍛造された部材310の過大変形のため、接合部材300の構造が要求に合わないことを引き起こしてしまうことはない。一実施例において、第1の金属材料310'の材質は、ステンレス金属又はチタン合金を含むが、第2の金属材料320の材質は、アルミ合金を含む。好ましい実施例において、スタンピング工程は常温で行われ、部材310の鍛造も常温で行われる。このように、成形型コストを低下させ、接合部材300の美観性を向上させることができる。
【0032】
また、部材310は複数の第1の丸い角C3を有し、接合部材300は複数の第2の丸い角C4を有する。ただし、第2の丸い角C4は、鍛造された部材310の第1の丸い角C3から形成されるものであるため、第1の丸い角C3は、半径が第2の丸い角C4より大きい。好ましい実施例において、第1の丸い角C3は、半径が0.5ミリメートル(mm)より大きく、第2の丸い角C4は、半径が0.3ミリメートル(mm)より小さいことを達成することができる。このようにして、接合部材300は、より精確なサイズを持つようになり、高精度の機械素子又は半導体構造に組み合わせられることに適する。
【0033】
また、最低の工程コストで、必要な接合部材300の品質を達成するように、第1の金属材料310'に対して全面又は局部、1回又は数回のスタンピングを行い、部材310に対して全面又は局部、1回又は数回の鍛造を行ってよい。
【0034】
なお、部材310と第2の金属材料320との接合力を向上させる方法として、例えば、接着剤(図示せず)を凹面312と第2の金属材料320との間に設置する方法がある。又、異なる熱膨張係数を持つ第1の金属材料310'と第2の金属材料320を選別し、加熱又は冷却の工程を組み入れて、操作された温度によって、部材310と第2の金属材料320との所定の接合力を達成させる方法がある。
【0035】
図11は、本発明の一実施例による複合金属材料の局部的な接合方法を示す断面模式図である。図11に示すように、まず、第1の金属材料410'を提供する。そして、特定の形をしたスタンピングダイキャビティ及びスタンピングダイコアを有するスタンピング成形型を提供する(図示せず)。そして、第1の金属材料410'がスタンピングされて部材410となるように、それをスタンピングダイキャビティに仕込んでスタンピング工程を行う。部材410は、4つの窪み領域412a、412b、412c、412dを有する。その後、特定の形をした鍛造ダイキャビティ及び鍛造ダイコアを有する鍛造成形型を提供する(図示せず)。そして、第2の金属材料420a、420b、420c、420dを、別々に窪み領域412a、412b、412c、412dに設置する。その後、第2の金属材料420a、420b、420c、420dと部材410を鍛造ダイキャビティに仕込んで鍛造工程を行い、鍛造圧力で第2の金属材料420a、420b、420c、420dを押して部材410の窪み領域412a、412b、412c、412dに充填させ、第2の金属材料420a、420b、420c、420dと部材410を別々に局部的に接合して、組立部材400を形成する。
【0036】
第2の金属材料420a、420b、420c、420dの材質は、同じでも異なってもよいが、実際の要求により定まる。本実施例は、複数の複合金属材料の局部的な接合方法を示すが、その接合される金属材料の数、位置、形は、図に示されたものに限定されない。また、本実施例の詳細な工程原理及び持つ可能性のある機能は、前の実施例に類似するため、詳しく説明しない。
【0037】
以上の通り、本発明によって形成された接合部材300又は組立部材400は、直接的な加圧のような物理的な接合方式によって接合される。したがって、溶接又は接着剤による従来の方法と比べて、(特に、曲面等の複雑な粘着面へ応用する場合、)より均一の接合力を持ち、より堅固に接合することができる。
【0038】
以上を纏めて言えば、本発明は、スタンピングした上で鍛造する方式によって複数の材料を接合する、複合金属材料の接合方法及び複合金属材料の局部的な接合方法を提供する。このようにして、本発明は、工程コストを低下させ、サイズの精度を向上させ、パターン精度を増加し、表面粗度等を改善することで表面を美観化することができる。溶接又は接着剤による従来の方法と比べて、本発明は、材料それぞれの間の接合力を向上させ、材料の接合を安定化することができる。
【0039】
以上は、本発明の好ましい実施例にすぎなく、本発明の特許請求の範囲に基づいてなされた同等な変化や修正は、全て本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
110 ボタン殻体、110' 殻体用金属材料、112 収容部、114 薄い殻体、120、220a、220b、220c、220d 金属充填用ブランク、120a、120c 第1の金属充填用ブランク、120b、120d 第2の金属充填用ブランク、130、130a、130b、130c 中が詰まっている金属ボタン、134、134a、134b 薄い殻体、300 接合部材、310、410 部材、310'、410' 第1の金属材料、312 凹面、320、420a、420b、420c、420d 第2の金属材料、400 組立部材、412a、412b、412c、412d 窪み領域、C1、C3 第1の丸い角、C2、C4 第2の丸い角、d1、d2、d3、d4 丸い角、P、P1、P2、P3 圧力、S1 表面、S2 外表面、T 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属材料を提供するステップと、
特定の形をしたスタンピングダイキャビティ及びスタンピングダイコアを有するスタンピング成形型を提供するステップと、
凹面及び複数の第1の丸い角を有する部材になるように、前記第1の金属材料を前記スタンピングダイキャビティに仕込んでスタンピング工程を行うステップと、
特定の形をした鍛造ダイキャビティ及び鍛造ダイコアを有する鍛造成形型を提供するステップと、
第2の金属材料を前記凹面に設置するステップと、
前記凹面に前記第2の金属材料が設置された前記部材を前記鍛造ダイキャビティに仕込んで鍛造工程を行い、鍛造圧力で前記第2の金属材料を押して前記部材の前記凹面に充填させ、前記第2の金属材料と前記部材を接合して、複数の第2の丸い角を有する接合部材を形成するステップと
を備える複合金属材料の製造方法。
【請求項2】
前記第2の金属材料を前記凹面に設置するステップは、
接着剤を前記凹面と前記第2の金属材料との間に塗布するステップを更に含む請求項1に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項3】
第1の金属材料を提供するステップと、
特定の形をしたスタンピングダイキャビティ及びスタンピングダイコアを有するスタンピング成形型を提供するステップと、
少なくとも1つの窪み領域及び複数の第1の丸い角を有する部材となるように、前記第1の金属材料を前記スタンピングダイキャビティに仕込んでスタンピング工程を行うステップと、
特定の形をした鍛造ダイキャビティ及び鍛造ダイコアを有する鍛造成形型を提供するステップと、
第2の金属材料を前記窪み領域に設置するステップと、
前記窪み領域に前記第2の金属材料が設置された前記部材を前記鍛造ダイキャビティに仕込んで鍛造工程を行い、鍛造圧力で前記第2の金属材料を押して前記部材の前記窪み領域に充填させ、前記第2の金属材料と前記部材を接合して、複数の第2の丸い角を有する組立部材を形成するステップと
を備える複合金属材料の製造方法。
【請求項4】
前記第2の金属材料を前記窪み領域に設置するステップは、
接着剤を前記窪み領域と前記第2の金属材料との間に塗布するステップを更に含む請求項3に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項5】
前記第1の金属材料に対して行ったスタンピング工程は、前記第1の金属材料に対して全面的にスタンピングを行う工程であり、且つ前記部材に対して行った鍛造工程は、前記部材に対して局部的な鍛造を行う工程である請求項3または4に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項6】
前記第1の金属材料に対して行ったスタンピング工程は、前記第1の金属材料に対して局部的にスタンピングを行う工程であり、且つ前記部材に対して行った鍛造工程は、前記部材に対して局部的な鍛造を行う工程である請求項3から5の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項7】
前記第2の金属材料を前記窪み領域に設置するステップは、複数の第2の金属材料を別々に前記窪み領域の各々に設置するステップを含む請求項3から6の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項8】
前記複数の第2の金属材料は、材質が互いに同一ではない請求項7に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項9】
前記第1の金属材料は、硬度が前記第2の金属材料より大きい請求項1から8の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項10】
前記第1の金属材料の材質は、ステンレス金属又はチタン合金を含む請求項9に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項11】
前記第2の金属材料の材質は、アルミ合金を含む請求項1から10の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項12】
前記第1の丸い角は、半径が前記第2の丸い角より大きい請求項1から11の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項13】
前記第1の丸い角は、半径が0.5ミリメートルより大きく、前記第2の丸い角は、半径が0.3ミリメートルより小さい請求項12に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項14】
前記部材のスタンピング工程は、常温で行われる請求項1から13の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項15】
前記鍛造工程は、常温で行われる請求項1から14の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項16】
前記鍛造工程は、複数回行われる請求項1から15の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。
【請求項17】
前記第1の金属材料と前記第2の金属材料は、熱膨張係数が異なっている請求項1から16の何れか1項に記載の複合金属材料の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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