説明

複合陽極材料およびその製法

【課題】増大した伝導性を有する陽極のための活物質を提供することにより、電極の現実的な商業化に必要なパワー及び放電速度が確保された陽極及びアルカリに字電池を提供する。
【解決手段】電気化学電池で使用される複合陽極材料であって、該複合材料は陽極材料の粒子、および陽極材料の該粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた導電性材料を含み得る。該材料は陽極材料の粒子、およびその中に少なくとも部分的に埋め込まれた核形成粒子を含み得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、水酸化ニッケル材料のような再充電可能な電池のための陽極材料に関する。さらに詳しくは、本発明は、先行技術材料よりも増加した導電率を有する複合水酸化ニッケル粒状物に関する。
【背景技術】
【0002】
再充電可能なアルカリ電池において重量および携帯性が重要な考慮事項である。また、再充電可能なアルカリ電池では、周期的なメンテナンスの必要性なくして長い操作寿命を有するのが有利である。再充電可能なアルカリ電池は計算機、ポータブルラジオ、広域携帯電話のような多数の消費者デバイスで使用される。
【0003】
それらは、特別のデバイスの一体的部分として設計された密封電源パックにしばしば成形される。再充電可能なアルカリ電池は、例えば、産業、航空宇宙産業および電気自動車適用で使用することができるより大きな電池にも形成できる。
【0004】
ニッケルカドミウム(「NiCd」)、ニッケル金属水素化物(「Ni−MH」)、ニッケル水素、ニッケル亜鉛およびニッケル鉄電池のような多くの公知のタイプのNiベースの電池がある。NiCd再充電可能なアルカリ電池は最も広く使用されているが、それらはNi−MH電池によって置き換えられるであろうと思われる。NiCd電池と比較して、合成により作製された材料からなるNi−MH電池は優れた性能パラメータを有し、毒性元素を含有しない。
【0005】
Ni−MH電池は、水素の可逆的電気化学貯蔵が可能な陰極を利用する。Ni−MH電気は、通常、水酸化ニッケル材料の陽極を使用する。陰極および陽極はアルカリ電解質中で隔てられている。Ni−MH電池を横切る電池ポテンシャルの適用に際して、陰極のNi−MH材料は、式(1):
【化1】

【0006】
で示されるように、
水素の電気化学的吸収およびヒドロキシルイオンの電気化学的放電によって充電される。該陰極反応は可逆的である。充電に際して、貯蔵された水素は放出されて水分子が形成され、電子を放出する。Ni−MH電池の水酸化ニッケル陽極でおこる反応は式(2):
【化2】

【0007】
で示される。Ni−MH材料は、出典明示してその内容を本明細書の一部とみなすOvshinskyらに対する米国特許第5,277,999号に詳細に議論されている。
【0008】
アルカリ再充電可能電池において、ニッケルベースの陽極の放電容量は、活物質の量および充電効率によって制限される。Cd陰極およびMH陰極の電荷容量は共に過剰に供されて、最大容量を維持し、過剰充電保護を供する。このように、ニッケル陽極の作製における目標は、できる限り高いエネルギー密度を得ることにある。水酸化ニッケル陽極の容量は、時々、重量よりも重要である。容積容量密度は、通常、mAh/ccで測定され、比容量はmAh/gとして記載される。
【0009】
現在では、焼結されたまたはペースト状とされた水酸化ニッケル陽極がNiCdおよびNi−MH電池で使用される。焼結電極の作製工程は当該分野でよく知られている。慣用的な焼結電極は、通常、480−500mAh/cc程度のエネルギー密度を有する。かなり高い容量を達成するには、現在の傾向は焼結陽極から離れ、発泡およびペースト電極に向かいつつある。
【0010】
焼結ニッケル電極はほとんどの適用で、数十年間支配的なニッケル電極技術であった。これらは、化学的または電気化学的方法いずれかにより水酸化ニッケル活物質を含浸した焼結高表面積ニッケル粒子の多孔性ニッケルプラックからなる。高価ではあるが、焼結電極は高パワー、高信頼性および高サイクルライフを供する。しかし、最高のエネルギー密度を供しない。それらは、しばらくの間は、高信頼性軍事用および宇宙航空用適用で依然として重要であろう。
【0011】
ペースト状ニッケル電極は、好ましくは高い表面積を有する導電性ネットワークまたは基材と接触した水酸化ニッケル粒子からなる。ミクロコンダクターとして黒鉛を利用するいわゆるプラスチック結合ニッケル電極を含めた、および球状水酸化ニッケル粒子およびコバルト導電性増強添加材を負荷した基材として高多孔性ニッケルフォームを利用するいわゆる発泡金属電極も含めたこれらの電極のいくつかの変形があった。発泡金属タイプのペースト状電極は、現在、焼結ニッケル電極に対して、その低価格、簡易な製造、および高エネルギー密度のため消費者市場を支配している。
【0012】
従来、ニッケル電池電極反応は、後記の式2で示されるような、充電時の二価水酸化ニッケルから三価のオキシ水酸化ニッケルへの酸化および三価のオキシ水酸化ニッケルの二価の水酸化ニッケルへの引き続いての放電を含めた1つの電子プロセスであると考えられてきた。
【0013】
いくつかの最近の証拠は、四価ニッケルが水酸化ニッケルの酸化還元反応に関与していることを示唆する。これは新しい概念ではない。事実、四価ニッケルの存在は、最初、Thomas Edisonによって彼の初期の電池の特許のいくつかで提案された。しかしながら、四価ニッケルの十分な利用は決して調査されたことがなかった。
【0014】
実際的には、1電子移動理論容量を超える電極容量は通常は観察されない。この1つの理由は、酸化された材料の単離のため活物質の不完全利用である。還元された水酸化ニッケル材料は高抵抗性を有するが、集電器に隣接する水酸化ニッケルの還元は、かなり離れた酸化された活物質の引き続いての還元と干渉する導電性が低い表面を形成する。
【0015】
米国特許第5,348,822号で議論されているように、その最も基本的な形態の水酸化ニッケル陽極材料は、1つの充電/放電がβII相からβIII相に循環し、その結果、ニッケル原子当たり1つの移動電子となると、289mAh/gの最大理論比容量を有する。先行技術においては、1より大きい電子移動はβIIおよびβIII制限から逸脱し、高度に酸化されたγ相の水酸化ニッケル相およびβII相の間で循環することによって実現できると認識されていた。しかしながら、かかるガンマ相水酸化ニッケルの形成は可逆的構造安定性を破壊し、従って、サイクルライフは許容できない程低下するとも広く認識されていた。非常に多数の特許および技術文献は、γ相の使用を通じたより高い達成可能な容量が失われるにもかかわらず、γ相への転移の破壊的形成を阻害および/または防止するように設計された水酸化ニッケル材料への修飾を開示している。
【0016】
水酸化ニッケル陽極材料を改良しようとする試みは、該材料の固有の問題として認識されていたものを補償するための修飾材の添加と共に始まった。NiCoCd、NiCoZn、NiCoMgおよびその類似体のような組成物の使用は、例えば、以下の特許に記載されている。
【0017】
1994年10月4日に再発行されたOshitaniらに対する米国特許参照番号第34,752号は、ガンマNiOOHの生成を抑制するために1−10重量パーセントの亜鉛または1−3重量パーセントのマグネシウムを含有する水酸化ニッケルを含む水酸化ニッケル活物質を記載する。本発明は、陽極の利用および放電容量の増加に指向される。パーセント利用およびパーセント放電容量が、種々の添加材の存在下で議論されている。
【0018】
Oshitaniらは、先行技術における慣例主義者が、γ−NiOOHを阻害するためには進展する必要があると考えていた限度を記載する。本特許は以下のように述べている:
さらに、電流密度は比表面積の減少に従って増加するので、大量の高酸化物γ−NiOOHが生ずる可能性があり、これは段階的放電特性および/または膨潤のような致命的な現象を引き起こしかねない。ニッケル電極におけるγ−NiOOHの生成による膨潤は、高密度β−NiOOHから低密度γ−NiOOHへの密度の大きな変化によって引き起こされる。本発明者らは、γ−NiOOHの生産が、固溶体中の少量のカドミウムの水酸化ニッケルへの添加によって効果的に防止できることをすでに見出した。しかしながら、環境汚染の観点から、カドミウム以外の添加材を利用することによって実質的に同一のまたはより優れた効果を達成するのが望まれる。
【0019】
1994年11月22日に発行されたWatabeらに対する米国特許第5,366,831号は、水酸化ニッケル活物質を含む固溶体への(Zn、BaおよびCoのような)単一の第II族元素の添加を記載する。第II族元素は、ガンマ相水酸化ニッケルの形成を防止し、それにより、膨潤を低減化させるとして記載され、該コバルトは、酸素過電圧を低下させ、それにより、高温充電効率を増加させるとして記載されている。酸素過電圧および充電効率は共にコバルトを増加させると増大すると記載されている。
【0020】
1995年9月19日に発行されたOhtaらに対する米国特許第5,451,475号は、その粒子の表面に添加された以下の元素:コバルト、水酸化コバルト、酸化コバルト、炭素粉末のうちの少なくとも1つ、およびCa、Sr、Ba、Cu、AgおよびYの少なくとも1つの粉末化合物で製造された水酸化ニッケル陽極材料を記載する。コバルト、コバルト化合物および炭素は、充電効率および導電率を改良するための導電性ネットワークの構成要素として記載されている。該粉末化合物は水酸化ニッケル活物質の表面に吸着され、そこでそれは酸素の発生のための過電圧を増加させ、それにより、高温における水酸化ニッケル利用性を増加させると記載されている。Ohtaらは、開示された発明を用いるNiMH電池における増大した利用性は、高充電/放電サイクル数まで一定のままであり、利用性は、本発明を具体化しない電池におけるほど高温で降下しないと主張している。
【0021】
1995年10月3日に発行されたMatsumotoらに対する米国特許第5,455,125号は、Co、ならびにCd、Zn、Ca、Ag、Mn、Sr、V、Ba、Sb、Yおよび稀土類元素の塩の固溶体領域を持つニッケルフォーム基材上にペースト化された水酸化ニッケルを含む陽極を有する電池を記載する。固溶体領域の添加は、充電の間に酸素過電圧を制御する意図である。粉末化コバルト、酸化コバルト、ニッケル、黒鉛「など」のような「導電剤」のさらなる外部添加もまた記載されている。NiMH電池の寿命よりも優れた発明の実施態様については、エネルギー密度は20℃で72Wh/kgおよび45℃で56/Wh/kgと一定であると示されている。
【0022】
1995年11月14に発行されたIkomaらに対する米国特許第5,466,543号は、広い温度範囲にわたる改良された水酸化ニッケル利用性およびイットリウム、インジウム、アンチモン、バリウムまたはベリリウムの少なくとも1つの化合物、およびコバルトまたはカルシウムの少なくとも1つの化合物の陽極への取り込みに由来する増大した酸素過電圧を有する電池を記載する。水酸化コバルト、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、フッ化カリシウム、過酸化カリシウムおよびケイ化カルシウムは具体的に記載された化合物である。さらに記載された添加材はコバルト、粉末炭素およびニッケルである。本明細書は、特に、サイクルライフ(0℃における250サイクル、20℃における370サイクル、および40℃における360サイクル)、および放電容量(20℃における950mAh、40℃における850mAh、および50℃における780mAh)の点で優れた、3重量パーセントの酸化亜鉛、および3重量パーセントの水酸化カルシウムを含有する陽極を用いるAA電池を記載する。
【0023】
1996年2月6日に発行されたBodauchiらに対する米国特許第5,489,314号は、水酸化ニッケル陽極材料とコバルト粉末化合物とを混合すること、次に、水酸化ニッケル粉末の表面でのオキシ水酸化ベータコバルトを形成するための酸化工程を記載する。
【0024】
1996年4月9日に発行されたMoriらに対する米国特許第5,506,070号は、5−15パーセントの一酸化コバルトと混合した2−8重量パーセントの亜鉛を含有する水酸化ニッケル陽極材料を記載する。該亜鉛は膨潤を低下させ、該コバルトは利用性を増大させる。得られた電極の容量は、さらに記載なくして、「600mAh/ccまで改良される」と述べられている。
【0025】
1996年11月5日に発行されたOhtaらに対する米国特許第5,571,636号は、Ca、Sr、Ba、Cu、AgおよびYの少なくとも1つの粉末化合物の、水酸化ニッケル陽極活物質への表面への添加を記載する。本特許は、これらの化合物が水酸化ニッケル活物質の表面に吸着され、高温において酸素過電圧を増加させ、活物質の利用性を改良すると述べている。’636の発明を用いるNiMH電池における増大した利用性は、多数のサイクルまで一定であり、本発明を具体化しない電池におけるよりも高温で降下しない。
【0026】
先行技術の全てにおいて、最も一般的には、導電率を増加させるための単一元素、通常Co化合物およびγ相形成を抑制および/または防止するための1つの他の元素、通常CdまたはZnの添加によって、基本的水酸化ニッケル材料が処理される。全ての前記特許において主張された改良のメカニズムは以下の効果に帰せられている:
1.改良された活性化のスピード、毒に対する抵抗性および、増大した利用性を介するわずかな容量の改良。現時点では、最も商業的なニッケル金属水素化物電池は、5重量パーセントまでのコバルトおよび/またはコバルト−含有化合物の外部添加を介してこれらの効果を達成する。コバルトがこれらのレベルで効果的である主な理由は、それが水酸化ニッケル材料とは独立して広範な外部導電性ネットワークを生じるからであると一般には考えられている。しばしば、粉末化炭素、粉末化コバルト金属および粉末化ニッケル金属もまた添加されて別の導電性ネットワークを生じ、それにより、利用性を改良する。もちろん、かかる添加材の量を増加させる主な欠点は、水酸化ニッケル電極活物質の量がそれに対応して減少し、それにより、容量を減少させることである。さらに、Coは高価であるので、最小量のCoの添加でさえコストを上げる。
【0027】
2.ライフサイクルは、水酸化ニッケル材料の酸化状態および還元状態の間の密度変化によって開始される膨潤を減少させることによって延長される。膨潤は、今度は、βII−βIII相水酸化ニッケルおよびα−γまたはβII−γ相水酸化ニッケルの間の制御されない密度変化によって加速される。水酸化ニッケルに取り込まれたCdおよびZnは、充電されたおよび放電された材料における密度差を減少させ、水酸化ニッケル材料それ自体の機械的安定性を増加させることによって膨潤を効果的に減少させる。これは、酸素の発生を促進し、それにより、水酸化ニッケル材料が高く酸化された状態(γ相状態)を達成するのを妨げる電荷アクセプタンスを減少させることによって達成される。しかしながら、γ相形成を抑制するか、または少なくとも有意に阻害することによって、水酸化ニッケルはニッケル原子当たり1以下の電子の移動に限定される。さらに、γ相水酸化ニッケルを効果的に阻害するには、ZnまたはCdのような比較的高い重量パーセントの阻害剤元素を使用する必要があり、これは高パーセンテージの結果、存在する活物質の大幅に減少した量をもたらし、それにより、電気化学的容量がもたらされる。
【0028】
3.水酸化ニッケル材料の高く酸化された状態を現実に回避するための酸素発生の前記した「安全性放出」メカニズムは、高温での操作には障害がある。なぜならば、酸素発生の速度のかなりの増大は温度上昇に伴って起こるからである。
【0029】
かかる増加した酸素発生の効果は、これらの材料を用いるNiMH電池における高温での利用性の非常に実質的な減少でおよび結局はエネルギー貯蔵における減少である。55℃において、例えば、電池の実行回数は、その電池の室温性能と比較して35−55%だけ減少させることができる。
【0030】
上昇した操作温度条件を除き、これらの先行技術修飾のいずれも、性能の暫時の改良しかもたらさず、室温においてさえ水酸化ニッケル材料それ自体の容量の有意な増加をもたらさない。さらに、これらの修飾は、特にNiMH電池が電気自動車、ハイブリッド自動車、スクーターおよび他の高性能、高排出速度適用で使用する場合、NiMH電池の特別操作要件に対応できなかったNiMH陰極は改良され、今日、極端に高い貯蔵容量を呈するので、水酸化ニッケル陽極材料は、実質的に、全電池容量における制限的因子である。これは、全ての領域における水酸化ニッケル材料の電気化学的性能の改良を、過去におけるよりもそれを重要とする。あいにく、水酸化ニッケル材料に現在添加される元素は、競合する有害メカニズムおよび効果が起こる前に性能の不十分な改良をもたらす。例えば、その環境インパクトのためCdはいずれの商業的電池でも使用できず、CoおよびZnは、電池性能、より具体的には、電極重量あたりのエネルギーのかなりの減少をもたらすレベルにおいてのみ最も効果的になるようである。
【0031】
Ovshinskyおよび彼のチームは、ニッケル原子当たり1を超える電子の信頼できる移動を示す陽極材料を開発した。かかる材料は米国特許第5,344,728号および5,348,822号(これは安定化された秩序の乱れた陽極材料を記載する)および1994年8月23日に出願された同時係属米国特許出願第08/300,610号、および1994年9月19日に出願された米国特許出願第08/308,764号に記載されている。
【0032】
水酸化ニッケル陽極材料についての業績の従前の全ては、2つの方法でその導電性を改良することに集中してきた。まず、導電性添加物が、ペースト状電極を製造するのに用いられる水酸化ニッケル材料と外部から混合されてきた。そのような添加材はCo、CoO、Ni、CuおよびCを含む。添加材は一般に粉末、繊維等の形態である。これらの技術は、Ni−MH電池が高率放電性能で印象的な利得を達成した点で中程度の成功を収めている。しかしながら、2つの残る問題がある。まず、ハイブリッド電気自動車の出現は、Ni−MH電池が1000W/kgのパワーを達成することを要求した。慣用的な電気自動車電池は250W/kgを達成し、特別のデザインは500−600W/kgを達成する。第2に、現在のパワーレベルでさえ非常に高価かつ精巧な陽極実施態様(すなわち、高価なフォーム金属骨格およびコバルト化合物の高価な使用)によって達成される。
【0033】
技術者が水酸化ニッケルの導電性を増加させた第2の方法は、その内部導電性を増加させるための水酸化コバルトと水酸化ニッケルとの共沈殿による。NiCo共沈殿は純粋な水酸化ニッケルよりも良好な導電性および利用性を有し、該改良は増大すると考え得るが、さらなる改良の余地はない。
【0034】
前記した2つの方法は、水酸化ニッケル材料および電極のパワーおよび容量を増加させるが、その十分な潜在能力を依然として実現していない。前述したように、パワーおよび高率放電容量における十分な利得に対する要求が依然としてある。従って、当該分野においては、陽極材料の導電性において、および、特に、再充電可能な電池適用で使用される水酸化ニッケルの導電性におけるさらなる改良に対する要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
本発明の目的は、増大した導電性を有する陽極のための活物質を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0036】
この目的および他の目的は、電気化学電池で使用される複合陽極材料によって満足される。該材料は陽極材料の粒子、および陽極材料の該粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた導電性材料を含む。該導電性材料はニッケル粒子のような金属粒子であり得る。
【0037】
この目的および他の目的は、陽極材料の粒子および陽極材料の該粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた導電性材料を含む複合陽極材料の製法によって満足され、該製法は、金属イオン溶液、苛性アルカリ溶液および導電性材料を合わせ、それにより、複合陽極材料を含む沈殿溶液が形成される工程を含む。該合わせる工程は、導電性材料を金属イオン溶液と混合して懸濁液を形成し、懸濁液を苛性アルカリ溶液と混合する工程を含むことができる。
【0038】
この目的および他の目的は、陽極材料の粒子、および陽極材料の該粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた核形成粒子を含む複合陽極材料によっても満足される。
【0039】
この目的および他の目的は、その中に少なくとも部分的に埋め込まれた核形成粒子を有する陽極材料の粒子を含む複合陽極材料の製法によっても満足され、該方法は、金属イオン溶液、苛性アルカリ溶液および核形成粒子を合わせ、それにより、複合陽極材料を含む沈殿溶液が形成される工程を含む。該合わせる工程は、金属イオン溶液および核形成粒子を混合し、それにより金属イオン溶液中の核形成粒子の懸濁液を形成させ、次いで苛性アルカリ溶液を該懸濁液と混合する工程を含むことができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の複合電極材料は、電極の現実的な商業化に必要な改良されたパワーおよび放電速度を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明の複合材料の実施態様の、10,000×の倍率の顕微鏡写真を示す。
【図2】図2は複合材料の実施態様の様式化図面であり、ここに、導電性材料は導電性ネットワークの形態である。
【図3】図3は埋め込まれたニッケル粒子を含み、および含まずして形成された水酸化ニッケル材料を含む陽極のための複合インピーダンスプロットを示す。
【図4】図4は埋め込まれたニッケル粒子を含み、および含まずして形成された水酸化ニッケル材料を含む陽極についての放電曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明者らは、電気化学的電池で使用される陽極材料における改良および該改良された材料の製法を見出した。本明細書においては、電気化学的電池で使用される複合陽極材料を開示する。一般に、複合陽極材料は陽極材料の粒子、および陽極電極材料の該粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた導電性材料を含む。
【0043】
該導電性材料は、陽極材料の該粒子内に全部埋め込まれても良い。
【0044】
一般に、該導電性材料は電気伝導性であるいずれかの材料である。好ましくは、導電性材料は、複合陽極材料の導電率が陽極活物質単独の導電率よりも大きくなるように選択される。
【0045】
導電性材料は金属を含んでも良い。使用できる金属の例は限定されるものではないが、ニッケル、ニッケル合金、銅および銅合金を含む。好ましくは、金属はニッケルである。本明細書で用いるように、「ニッケル」とは実質的に純粋にニッケルをいう。また、本明細書で用いるように、「銅」とは実質的に純粋な銅をいう。
【0046】
ニッケルはd−軌道からなる原子立体配置を有することに注意されたい。理論に拘束されるつもりはないが、d−軌道はニッケル材料を囲む陽極活物質に影響し得ると考えられる。
【0047】
導電性材料は酸化物、窒化物、炭化物、ケイ化物およびホウ化物からなる群から選択される材料を含み得る。導電性材料は炭素または黒鉛を含み得る。導電性材料は酸化銅、酸化コバルトまたは酸化インジウムスズを含み得る。
【0048】
導電性材料は、陽極材料の粒子に少なくとも部分的に埋め込まれた少なくとも一つの導電性粒子の形態であり得る。好ましくは、導電性粒子は金属である。より好ましくは導電性粒子はニッケル粒子である。図1は、本発明の複合材料の実施態様の、10,000×の倍率の顕微鏡写真を示す。この実施態様において、複合材料は陽極材料1の粒子、および陽極材料1の該粒子に全部埋め込まれたニッケル粒子3を含む。
【0049】
導電性材料は、陽極材料の粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた複数の導電性粒子を含み得る。該複数の導電性粒子は相互に離すことができる。あるいは、粒子の少なくともいくつかは他のものに接触して粒子の導電性ネットワークを形成することができる。
【0050】
導電性粒子は種々の形状およびサイズを有することができる。例えば、該粒子は実質的に球形であり得る。別法として、該粒子は細長くすることができ、ここに一つの寸法はもう一つの寸法よりも長い。例えば、該粒子は楕円体または円柱であり得る。同様に、該粒子は糸様繊維の形態であり得る。これらの細長い粒子は、約10ミクロン未満であるかそれと同等である平均長さを有することができる。同様に、それらは約1.0ミクロン未満またはそれと同等の平均直径を有することができる。これらのサイズは単なる参照点であり、本発明の範囲内で変化することができる。導電性粒子の例はINCO T−210ニッケル粒子である。INCO T−210ニッケル粒子は、約0.9ミクロンの平均サブミクロンのフィッシャー直径、cm当たり約0.6gの見かけ密度、および約1.75m/gのBETを持つ粒子形態を有する。
【0051】
導電性材料は導電性ネットワークの形態を取り得る。導電性ネットワークは種々のトポロジーを有し得る。導電性ネットワークの1つの例は、導電性粒子、繊維、ストランド等の相互結合によって形成され得る格子構造である。導電性ネットワークのもう1つの例は図2に示される分岐樹−様構造である。導電性ネットワーク3Aは、活性な陽極粒子1全体から分岐する。導電性ネットワークのもう1つの例は、1以上の炭素ナノチューブおよび/またはフラーレンを含むものである。
【0052】
理論に拘束されるつもりはないが、本発明者らは、図1に示されたニッケル粒子3のような埋め込まれた導電性材料は複合材料において2つの可能な役割の一方または双方を演じると考える。まず、本発明者らは、導電性材料は陽極活物質を通じて電子伝導経路として働き、それにより、活物質の使用可能な容量を増加させると考える。内部の導電経路は活物質内のイオン輸送を改良し、活物質を通じての輸送距離を低下させおよび/または微結晶経路の配列を最適化することによって、活物質の一部が電気的に隔離されるのを妨げる。
【0053】
本発明者らは、ニッケル電極反応を1電子以下と同等の容量に限定する1つの因子は、水酸化ニッケル活物質の過小利用であると考える。過小利用は、活物質に隣接する高度に抵抗性の水酸化ニッケル(Ni(OH))材料の形成による酸化されたオキシ水酸化ニッケル(NiOOH)材料の電子的隔離、および電解質から離れた電極の内部の一部へのイオンの貧弱な輸送によって引き起こされると考えられる。本発明はかかる電子的隔離およびイオン輸送の制限を克服する。
【0054】
よって、本発明においては、活物質の電子的隔離は、水酸化ニッケル粒子の内部に電子伝導経路を設けることによって軽減され、または回避される。これは、より抵抗性の減少した水酸化ニッケル材料による活物質の隔離を低下または防止する付加的電子経路を可能とする。
【0055】
ニッケル粒子3のような伝導性材料が演じることができる第2の役割は、水酸化ニッケル微結晶の成長のための核形成部位のそれである。水酸化ニッケル材料の粒子は微結晶を含み、ニッケル粒子3は「核形成粒子」(すなわち、水酸化ニッケル微結晶の成長のための核形成部位)として挙動する。核形成部位として、ニッケル粒子3は、水酸化ニッケル微結晶を配向させ得る。というのは、それらは沈殿の間にニッケル粒子上に沈積するからである。さらに、ニッケル粒子3は水酸化ニッケル微結晶のサイズおよび/または形状にも影響し得る。各水酸化ニッケル粒子は、微結晶の境界内に改良された結晶学的配向を有し得る多くの非常に小さな微結晶からなる。
【0056】
典型的な水酸化ニッケル粒子におけるプロトン伝導性(すなわち、プロトンの伝導性)は、(1)微結晶内での伝導および(2)隣接する微結晶間の粒界を横切っての伝導によって支配される。微結晶サイズがあまりにも大きいと、十分に放電した水酸化ニッケルは、一つの空格子点からもう一つの空格子点ヘ飛び移るプロトンを供するための初期充電電流のための粒界に生じた十分な空格子点を有しない。よってこのような大きいサイズの結晶は相対的に貧弱な伝導性を供する。微結晶サイズがあまりにも小さいと、プロトンが横切って飛び移るためのあまりにも多くの粒界の空格子点の存在のため、隣接する結晶格子伝導ネットワークは整列せず、プロトン伝導性はそれにより妨げられる。適当な数の粒界空格子点が存在する最適微結晶サイズが存在する。これらの後者の材料において、適当な微結晶間伝導が起こるのに十分な空格子点が存在し、プロトンは、次いでそれが侵入する微結晶を通じての適当な伝導経路に従う十分な余裕を有する。
【0057】
水酸化ニッケル材料の適当な微結晶サイズに加えて、微結晶は高度に伝導性であるべき適当な配位を要すると考えられる。すなわち、もし一つの微結晶からもう一つの微結晶への微結晶配位に断続があると、低抵抗電流のために不適切に配向した微結晶は当該材料の抵抗性を支配するであろう。逆に、もし微結晶の全てが適切に配向すれば、水酸化ニッケル材料の導電率は増加し得る。本発明者らは、ニッケル粒子3がこの高度に伝導性の向きに水酸化ニッケルの微結晶をそれが沈積するに従って優先的に配向させることができ、従って、水酸化ニッケルはランダムに沈積した水酸化ニッケルよりも高いプロトン伝導性を有する。
【0058】
このように、核形成部位の添加は微結晶のサイズおよび/または形状を変化させる可能性がある。ランダム沈積において、微結晶は球状の形状を有するであろうと予測されるが、本発明において、微結晶はよりほそ長い形状を有し得る。理論に拘束されるつもりはないが、プロトン伝導は水酸化ニッケルの101軸に沿うのが優先する可能性がある。核形成部位の役割は、微結晶境界への101面に沿っての距離を低下させること、または伝導を増強するための一つの微結晶から他の微結晶に101面を向けることであろう。
【0059】
よって、本発明の別の実施態様は、(水酸化ニッケルのように)陽極活物質の粒子、および陽極材料の粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた「核形成粒子」を含む複合陽極材料である。核形成粒子は電気的伝導材料である必要はない。
【0060】
その代わりに、核形成粒子は陽極材料から形成される微結晶の成長のための核形成部位を供することが必要であるにすぎない。前述したように、核形成部位の添加は、材料の導電性が増加するように、陽極材料の沈積した微結晶を配向させ得る。核形成部位が、微結晶を配向させ、並びに微結晶の平均サイズおよび/または形状を決定して材料の伝導性を増加させるための適当な沈積表面を供することができる。
【0061】
核形成粒子はいずれかの特別の形状、サイズまたはトポロジーに限定されない。形状の例は限定されるものではないが、実質的に球形、実質的に平坦、細長、円柱状、楕円体、繊維−様、四角、長方形等を含む。同様に、核形成粒子の表面は、陽極材料結晶の成長を行うように変化させることができる。例えば、核形成粒子は部分的にエッチングして、粗い表面または酸化物のない表面いずれかを供することができる。
【0062】
さらに、単一核形成粒子を有し、陽極材料の結晶の成長用の表面としても作用するより複雑なトポロジーを有する「核形成構造」を供することも可能であろう。例えば、核形成構造は複数の連結した核形成粒子であり得る。核形成構造は、マトリックス、スクリーンまたはフォームのような格子の形態を有しえる。核形成構造は図2に示された伝導性ネットワークのそれと同様のトポロジーを有し得る。同様に、核形成構造は、結晶の成長を適当に配向させ、および/または結晶のサイズおよび/または結晶の形状を適当に決定することによって陽極材料の導電性を増加させるのに十分なトポロジーを有し得る。
【0063】
本発明で使用される陽極活物質は当該分野で公知のいずれのタイプの陽極材料であっても良い。その例は水酸化ニッケル材料および水酸化マンガン材料を含む。いずれの種類および全ての種類の水酸化ニッケルまたは陽極材料も一般に使用できることは本発明の精神および意図内のものである。コバルトを含まない純粋な水酸化ニッケル、商業的適用のための貧弱な導電性を持つ材料でさえ、本明細書で記載する内部に埋め込まれたニッケル粒子または繊維を介して活力のある陽極材料に変換することができる。
【0064】
水酸化ニッケル材料は秩序が乱れた材料であり得る。秩序の乱れた材料の使用は、局所的および中間範囲の秩序を作り出すことによって材料の特性の永久的な改変を可能とする。一般的な原理は、出典明示してその内容を本明細書の一部とみなす米国特許第5,348,822号に議論されている。水酸化ニッケル材料は組成的に乱れ得る。本明細書で用いる「組成的に乱れた」とは、この材料が少なくとも1つの組成修飾材および/または化学的修飾材を含有することを意味するように特別に規定する。また、水酸化ニッケル材料は構造的にも乱れ得る。本明細書で用いる「構造的に乱れた」とは、材料が導電性表面およびより高い導電性の繊維状領域を有し、さらに、材料が、アルファ、ベータおよびガンマ相領域が個々にまたは組み合わせて存在し得る複数または混合相を有することを意味するように特別に規定する。
【0065】
水酸化ニッケル材料は、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される少なくとも1つの修飾材を含む組成的および構造的に乱れた複数相水酸化ニッケルホストマトリックスを含み得る。好ましくは、水酸化ニッケル材料はAl、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される少なくとも3つの修飾材を含む組成的および構造的に乱れた複数相水酸化ニッケルホストマトリックスを含む。
【0066】
これらの実施態様は、出典明示してその内容を本明細書の一部とみなす共通に譲渡された米国特許第5,637,423号に詳細に議論されている。
【0067】
水酸化ニッケル材料は、多相構造およびガンマ相材料の存在を促進する組成修飾材または組成および化学修飾材の組合せを含有する少なくとも1つのガンマ相を有する多相多結晶材料であり得る。これらの組成修飾材はAl、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mg、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiO、Znからなる群から選択される。好ましくは、少なくとも3つの組成修飾材を持ち得る。水酸化ニッケル材料は材料のプレートの回りに少なくとも1つの化学修飾材の非置換取り込みを含むことができる。本明細書で用いるフレーズ「プレートの回りでの非置換取り込み」とは、プレートのラメラ間部位またはエッジでの取り込みを意味する。これらの化学修飾材は、好ましくは、Al、Ba、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、SrおよびZnからなる群から選択される。
【0068】
その乱れた構造および改良された導電性の結果として、水酸化ニッケル材料は2、3または4のような区別される酸化状態を有しない。むしろ、これらの材料は1.0ないし1.7およびより高い電子を通過するグレードの系を形成する。
【0069】
水酸化ニッケル材料は当該プレートの回りに取り込まれた少なくとも1つの化学修飾材を持つ、該プレートは2酸化状態および3.5以上の酸化状態に対応するある範囲の安定なシート間距離を有する空間的に配置されたプレートを含む多結晶ガンマ相単位格子を含めた少なくとも1つの多結晶ガンマ相を含む多相構造を有する固溶体水酸化ニッケル材料、および当該多相構造を促進するために固溶体水酸化ニッケル材料に取り込まれた少なくとも3つの組成修飾材を含むことができる。本実施態様は、出典明示してその内容を本明細書の一部とみなす共通に譲渡された米国特許第5,348,822号に十分に記載されている。
【0070】
好ましくは、化学修飾材のうちの1つはAl、Ba、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、SrおよびZnからなる群から選択される。組成修飾材は金属、金属酸化物、金属酸化物合金、金属水素化物および金属水素化物合金からなる群から選択することができる。好ましくは、組成修飾材はAl、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiOおよびZnからなる群から選択される。1つの実施態様において、組成修飾材はAl、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiOおよびZnからなる群から選択される。もう1つの実施態様において、組成修飾材の1つはCoである。別の実施態様において、組成修飾材の2つはCoおよびZnである。水酸化ニッケル材料は前記した組成または化学修飾材の5ないし30原子パーセント、好ましくは10ないし20原子パーセントを含有することができる。
【0071】
乱れた水酸化ニッケル電極材料は(i)アモルファス;(ii)微結晶;(iii)長い範囲の組成秩序を欠く多結晶;および(iv)これらのアモルファス、微結晶または多結晶構造のいずれかの組合せ、からなる群から選択される少なくとも1つの構造を含み得る。本発明の一般的概念は、秩序が乱れた活物質が、先行技術修飾よりも、複数電子移動、サイクリングに対する安定性、低膨潤、および広い操作温度の目的をより効果的に達成することができることである。
【0072】
また、水酸化ニッケル材料は、アルファ、ベータおよびガンマ相領域が個々にまたは組み合わされて存在することができ、および水酸化ニッケルが導電性表面とより高い導電性の線維状領域を有する複数または混合相を含む構造的に乱れた材料であり得る。
【0073】
本発明の水酸化ニッケル材料のさらなる改良は、これらの乱れた材料が、電解質が、Br、Cl、F、OHからなる群の少なくとも1つのメンバーと組み合わされた、Ba、Ca、Cs、K、Li、Na、Ra、RbおよびSrからなる群から選択される少なくとも1つの元素を含む電解質と組み合わせた場合に可能である。かかる電解質の特別の例はKOH、NaOH、LiOHおよび/またはCsF、およびKOHおよびCsOHの処方である。
【0074】
また、本明細書において、陽極材料の粒子、および陽極材料の該粒子に少なくとも部分的に埋め込まれた導電性材料を含む複合陽極材料の製法が開示される。
【0075】
該複合材料の一般的製法は、(水酸化ニッケル材料のような)陽極材料の、沈殿浴に懸濁させた導電性材料上ヘの沈殿による。特別の方法は、後で記載するように、陽極材料が導電性材料上に沈積する限り、広く変化させることができる。
【0076】
該方法は金属イオン溶液の源、導電性材料の源、および苛性アルカリの源(水酸化ナトリウム)が供されることを要する。一般に、該方法は、複合陽極材料を含む沈殿溶液が形成されるように、金属イオン溶液、苛性アルカリ溶液および導電性材料を合わせる工程を含む。
【0077】
金属イオン溶液の主要な割合は、水酸化ニッケル材料の沈積のための活性な材料の主要な金属イオン、例えばニッケルイオンを含むべきである。ニッケルイオンが典型的には使用されるが、(水酸化マンガン溶液の沈積のための)マンガンイオンを用いることもできる。また、他の金属イオンを金属イオン溶液に添加して、水酸化ニッケル材料の性能を修飾し、増強することができる。金属イオン溶液は、さらに、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1以上の金属イオンを含むことができる。金属イオン溶液は金属硫酸塩溶液、金属硝酸塩溶液、およびその混合物からなる群から選択される。
【0078】
苛性アルカリ溶液は、一般に、非常に濃縮された水酸化ナトリウム溶液であって、水酸化ニッケル沈殿の当該分野における標準である。先行技術沈殿プロセスに関しては、水酸化ナトリウムは、それが可溶性である限り他のアルカリ金属水酸化物の水酸化物によって部分的に置き換えることができる。
【0079】
1つの実施態様において、複合材料を生産する方法は、導電性材料を金属イオン溶液と混合して懸濁液を形成する工程を含む。次いで、懸濁液を反応容器中で苛性アルカリ溶液と混合する。よって、この実施態様においては、苛性アルカリと混合する前に、導電性材料を金属イオン溶液に懸濁させる。
【0080】
導電性材料は、好ましくは、(繊維であってよい)ニッケル粒子である。複合材料の残りの議論はニッケル粒子に関するものであるが、(前述した)全てのタイプの導電性材料を用いることができることに注意されたい。
【0081】
一旦金属イオン溶液に懸濁させれば、ニッケル粒子は陽極活物質(以下、水酸化ニッケル材料)の沈殿のための核形成部位として働く。懸濁液が形成されれば、次いで、苛性アルカリ溶液を懸濁液と混合して、水酸化ニッケル材料をニッケル粒子上に沈殿させ、それにより沈積を形成する。水酸化ニッケルがニッケル粒子上に沈積するにつれ、ニッケル粒子は水酸化ニッケル材料中に少なくとも部分的に埋め込まれるようになる。
【0082】
本発明者らは、特に、金属イオン溶液が圧倒的に硫酸ニッケル溶液である場合、まずニッケル粒子を金属イオン溶液に懸濁させることによってニッケル粒子を反応容器に添加する好ましい態様を記載した。このように添加する場合、核形成および沈殿は良好に進行した。(金属イオン溶液がやはり圧倒的に硫酸ニッケル溶液である)以前の実験において、ニッケル粒子が独立して反応容器に添加された。この場合は不成功であり、水酸化ニッケルの外部に凝集した金属ニッケル粒子が生じた。理論に拘束されるつもりはないが、本発明者らは、ニッケル粒子を金属イオン溶液に懸濁させることは、硫酸塩溶液の酸性の性質のため好ましくあり得ると考える。ニッケル粒子は部分的にエッチングされ、核形成のために良好な粗い表面または酸化物のない表面を供するのであろう。水酸化アンモニウムを添加してニッケルアンモニア複合体を形成する場合(以下に記載する)、沈殿の直前にまたは沈殿と同時に形成されるニッケルアンモニア複合体が望ましい核形成を助けまたは促進することも可能である。ニッケル粒子の沈殿リアクターへの直接的導入は、湿潤剤または他の手段の使用を介して働くのが依然として可能である。
【0083】
該方法のもう1つの実施態様において、水酸化アンモニウムの源もまた提供される。水酸化アンモニウムを金属イオン溶液と混合して、金属イオンとのアミン複合体を形成させる。次いで、アミン複合体を苛性アルカリ溶液と反応させて水酸化ニッケル材料を形成させる。水酸化アンモニウム溶液を金属イオン溶液と混合する工程は、金属イオン溶液およびニッケル粒子を混合する工程の前または同時に起こり得る。水酸化アンモニウム溶液と金属イオン溶液とを混合する工程は、金属イオン溶液およびニッケル粒子を混合する工程の後であるが、苛性アルカリ溶液と懸濁液とを混合する工程の前に起こり得る。最後に、水酸化アンモニウム溶液を金属イオン溶液と混合する工程は、苛性アルカリ溶液と懸濁液とを混合する工程と同時に起こり得る。
【0084】
本発明の方法は、さらに、複合陽極材料を沈殿溶液から分離する工程を含み得る。複合陽極材料を脱イオン水および/または苛性アルカリ溶液で洗浄することができる。
【0085】
溶液の濃度は変更可能であり、当該分野で一般的に知られている。ニッケル粒子は約0.1重量%ないし約35重量%の最終水酸化ニッケル粉末を形成することができる。この結果は、添加されたニッケル粒子の効果が約2重量%のニッケル粒子において開始すると見ることができることを示す。約20重量%の後、活物質の減少は、伝導性の増加または単離された活物質の減少いずれかによっても補償されない。より好ましくは、ニッケル粒子は約2重量%ないし約10重量%の水酸化ニッケル粉末を形成する。
【0086】
実施例
金属イオン溶液、硝酸カルシウム溶液、NaOHの苛性アルカリ溶液、および水酸化アンモニウム溶液を反応容器中で混合することによって、複合水酸化ニッケル材料を調製した。
【0087】
金属イオン溶液は、177グラムのCoSO、15.5gのMgSOおよび11.2グラムのZnSOを0.058ガロンの水および1.25ガロンのNiSO溶液に添加することによって調製した。約50gのINCO T−210ニッケル粉末を、金属ニッケル粒子の源として金属イオン溶液に添加し、継続的に撹拌した。
【0088】
金属イオン溶液を、1時間当たり約0.058ガロンの速度で反応容器に添加する。66%の硝酸カルシウムの溶液を、1時間当たり約0.0025ガロンの速度で反応容器に同時に添加する。水酸化アンモニウムを1時間当たり約0.016ガロンの速度で反応容器に添加する。最後に、約0.96ガロンのNaOHの6.5M溶液を含む苛性アルカリ溶液を、反応容器のpHを約11.3に維持するのに十分な速度で反応容器に添加する。
【0089】
反応容器を約60℃の温度に維持し、1分当たり約670回転の速度で撹拌する。使用した金属イオン溶液、硝酸カルシウム、苛性アルカリおよび水酸化アンモニウムの量は、24時間にわたり約1kg当たりの複合水酸化ニッケル材料を生ずるのに十分である。複合水酸化ニッケル材料が形成された後、それを脱イオン水または希薄なアルカリですすぎ、乾燥する。
【0090】
また、本明細書中において、その中に少なくとも部分的に埋め込まれた核形成粒子を有する陽極活物質の粒子を含む複合陽極材料の製法が開示される。該方法は、金属イオン溶液、苛性アルカリ溶液、および核形成粒子を合わせ、それにより複合陽極材料を含む沈殿溶液が形成される工程を含む。一般に、核形成粒子を持つ複合陽極材料の製法は、導電性材料を用いるものに関して前記した方法と同一である。(導電性である必要がない)核形成粒子が導電性材料の代わりに使用される。もちろん、核形成粒子は、ニッケル粒子のような導電性粒子であり得る。
【0091】
図3は、2つの異なる陽極材料を含む陽極についてのACインピーダンス測定を示す。一般に、陽極のACインピーダンス測定は、水平軸上の電極インピーダンスの実数部分および垂直軸上の電極インピーダンスの虚数部分を示すプロットである。インピーダンスは約10kHzの高周波数で開始し、約20uHzの低周波数までいく周波数の範囲の関数としてプロットされる。
【0092】
図3を参照し、プロットAは水酸化ニッケル活物質を含む陽極のACインピーダンス測定である。プロットBは本発明の複合陽極材料を含む陽極のACインピーダンス測定である。複合材料は、約5重量%の埋め込まれたニッケル粒子が添加された同一水酸化ニッケル活物質を含む(それからプロットAが成された)。
【0093】
電池電極の重要な電気的パラメータは「電荷移動抵抗」、RCTである。電荷移動抵抗は、ある範囲の周波数にわたって電極のACインピーダンスを記載するナイキストプロットから計算される。
【0094】
電荷移動抵抗は、ACインピーダンスプロットの「高周波数半円」の直径に陽極材料のグラム数を掛け合わせたものに対応する。図3を参照し、この直径はプロットAではDiam(A)として示され、プロットBではDiam(B)として示される。Diam(A)は約0.113オームと測定され、他方陽極材料(埋め込まれたニッケル無しの水酸化ニッケル)のグラム数は約2.85グラムであった。よって、埋め込まれたニッケル無しの水酸化ニッケル材料の電荷移動抵抗RCT(A)は約0.322オーム−グラムであった。
【0095】
プロットBの半円の直径、Diam(B)は約0.062オームであると測定され、他方陽極材料(5%の埋め込まれたNiを持つ同一水酸化ニッケル材料)のグラム数は約2.94グラムであった。よって、5%の埋め込まれたニッケル繊維を持つ水酸化ニッケル材料の電荷移動抵抗RCT(B)は約0.182オーム−グラムであった。よって、埋め込まれたニッケルを持つ水酸化ニッケル材料についての電荷移動抵抗RCT(B)は埋め込まれたニッケルを含まない水酸化ニッケル材料についての電荷移動抵抗RCT(A)よりも有意に低かった。水酸化ニッケル材料へのニッケル粒子の添加は、50%を超えて、陽極材料の電荷移動抵抗を低下させることができる。
【0096】
また、本明細書中において、約0.22オーム−グラム未満の電荷移動抵抗を特徴とする陽極材料を開示する。好ましくは、陽極材料は約0.20オーム−グラム未満の電荷移動抵抗を有する。最も好ましくは、電荷移動抵抗は約0.19オーム−グラム未満である。
【0097】
図4は陽極放電曲線AおよびBを示す。放電曲線A、BはHg/HgO参照電力に対して陽極半電池ポテンシャルを示す。該ポテンシャルは電荷の約95%状態ないし電荷の約50%状態で与えられる。放電曲線Aは、いずれの埋め込まれたニッケル粒子も含まない水酸化ニッケル材料を含む活性な電極材料を有する陽極についてのものである。放電曲線Bは約5重量%の埋め込まれたニッケル繊維(すなわち、約5%のINCO T−210ニッケル粒子)を含む同一水酸化ニッケル材料を含む活性材料を有する陽極についてのものである。放電曲線の比較は、ニッケル繊維の添加が、放電状態の全範囲(すなわち、95%ないし50%)にわたって陽極の半電池ポテンシャルを増加させることを示す。理論に拘束されるつもりはないが、増加したポテンシャルは少なくとも部分的には前記した減少した電荷移動抵抗によるものである。
【0098】
また、容量および利用性は本発明によって大いに増強される。約5重量%のCo金属、約5重量%のCoOのスラリーをPVAバインダーおよび残りの活物質でフォーム金属基材上にペースト化することによって、陽極を半電池テストのために調製した。
【0099】
各電極試料は、(バインダーおよび外部添加剤を含むがフォーム金属基材を含まない)ほぼ2グラムの活物質ペーストを含み、これを過剰電解質配置にてテストし、以下の結果が得られた。「試料A」はいずれの埋め込まれたニッケル繊維も含まない水酸化ニッケル陽極材料である。「試料B」は約5重量%の埋め込まれたニッケル繊維(5%のINCO T−210ニッケル粒子)を持つ同一水酸化ニッケル材料である。「市販品」は商業的に入手可能な材料である。陽極材料の容量は以下の表に示す。
【0100】

試料 mAh/g
市販品 230
A(埋め込まれたニッケルを含まない) 276
B(5%の埋め込まれたニッケルを含む) 292
【0101】
表からわかるように、水酸化ニッケル材料中に5%ニッケル繊維を含めると、活物質の利用性および容量を大いに増強する。
【0102】
本発明の複合陽極材料は、フォームまたは繊維骨格または基材を使用しない「十分にペースト化された陽極」を提供することができることに注意されたい。通常、この実施態様は外部導電性添加剤およびプラスチックバインダーを含む標準的な水酸化ニッケル材料から形成される。本発明の複合電極材料は、このタイプの電極の現実的な商業化に必要な改良されたパワーおよび放電速度を提供することができる。
【0103】
本明細書中で用いる用語「基材」は、陽極活物質のためのいずれの伝導性支持体にも関する。それはフォーム、グリッド、プレート、ホイル、膨張金属またはいずれかの他のタイプの支持体構造の形態もとり得る。それは、通常のニッケルホイル、プレートおよびフォームならびに炭素ネットワーク、繊維または粒状物およびオキシ水酸化コバルトネットワークの形態をとり得る。それはいずれの伝導性材料から作製することもできる。好ましくは、それはニッケルまたはニッケル合金のような金属から作製される。より好ましくは、陽極のための基材はニッケルフォームである。
【0104】
本明細書中で記載した開示は、本発明の十分かつ完全な開示を成す目的で記載された詳細な実施態様の形態で提示され、かかる詳細は添付の請求の範囲に記載され定義された本発明の真の範囲を限定するものと解釈されるべきものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極材料の粒子;および
陽極材料の該粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた導電性材料;
を含む電気化学電池で用いるための複合陽極材料。
【請求項2】
該導電性材料が陽極材料の該粒子内に全体的に埋め込まれた請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項3】
該導電性材料が金属を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項4】
該導電性材料がニッケルを含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項5】
該導電性材料がニッケル合金を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項6】
該導電性材料が銅を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項7】
該導電性材料が銅合金を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項8】
該導電性材料が酸化物、窒化物、炭化物、ケイ化物およびホウ化物からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項9】
該導電性材料が炭素および黒鉛からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項10】
該導電性材料が酸化銅、酸化コバルトおよび酸化インジウムスズからなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項11】
該導電性材料が少なくとも1つの粒子を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項12】
該少なくとも1つの粒子が細長い請求項11に記載の複合陽極材料。
【請求項13】
該少なくとも1つの粒子が実質的に球形である請求項11に記載の複合陽極材料。
【請求項14】
該少なくとも1つの粒子が繊維である請求項11に記載の複合陽極材料。
【請求項15】
該少なくとも1つの粒子が約10ミクロン未満の平均長を有する請求項11に記載の複合陽極材料。
【請求項16】
該少なくとも1つの粒子が約1.0ミクロン未満の平均直径を有する請求項11に記載の複合陽極材料。
【請求項17】
該導電性材料が導電性ネットワークを含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項18】
該陽極材料が水酸化ニッケル材料を含む請求項1に記載の複合陽極材料。
【請求項19】
該水酸化ニッケル材料が、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される少なくとも1つの修飾材を含む組成的および構造的に秩序が乱れた多相水酸化ニッケルホストマトリックスを含む請求項18に記載の複合陽極材料。
【請求項20】
該水酸化ニッケル材料ホストマトリックスが、Al、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される少なくとも3つの修飾材を含む請求項19に記載の複合陽極材料。
【請求項21】
該水酸化ニッケル材料が、
当該プレートの回りに取りこまれた少なくとも1つの化学修飾材を持つ空間的に配置されたプレートを含む多結晶ガンマ相単位格子を含む少なくとも1つの多結晶ガンマ相を含む多相構造を有する固溶体水酸化ニッケル材料、該プレートは2酸化状態および3.5、またはそれより大きな酸化状態に対応するある範囲の安定なシート間距離を有し、および
該多相構造を促進するための該固溶体水酸化ニッケル材料に取り込まれた少なくとも3つの組成修飾材:
を含む請求項18に記載の複合陽極材料。
【請求項22】
該少なくとも1つの化学修飾材の1つがAl、Ba、Ca、Co、Cr、Cu、F、Fe、K、Li、Mg、Mn、Na、SrおよびZnからなる群から選択される請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項23】
該少なくとも3つの組成修飾材が金属、金属酸化物、金属酸化物合金、金属水素化物および金属水素化物合金からなる群から選択される請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項24】
該少なくとも3つの組成修飾材がAl、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiO、Znからなる群から選択される請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項25】
該少なくとも3つの組成修飾材の1つがAl、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiO、Znからなる群から選択される請求項22に記載の複合陽極材料。
【請求項26】
該少なくとも3つの組成修飾材の1つがCoである請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項27】
該少なくとも3つの組成修飾材の2つがCoおよびZnである請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項28】
該少なくとも3つの組成修飾材がAl、Bi、Co、Cr、Cu、Fe、In、LaH、Mn、Ru、Sb、Sn、TiH、TiO、Znからなる群から選択される請求項22に記載の複合陽極材料。
【請求項29】
該水酸化ニッケル材料が秩序が乱れた材料であって、(i)アモルファス;(ii)微結晶;(iii)長い範囲の組成秩序を欠く多結晶;(iv)該アモルファス、微結晶または多結晶構造のいずれかの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの構造を有する請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項30】
該水酸化ニッケル材料が、アルファ、ベータおよびガンマ相領域が個々にまたは組み合わされて存在することができる複数または混合相を含む構造的に乱れた材料であって、該水酸化ニッケルが導電性表面およびより高い導電率の繊維状領域を有する請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項31】
該水酸化ニッケル材料が該少なくとも3つの組成修飾材または該少なくとも1つの化学修飾材の5ないし30原子パーセントを含有し、電子伝導率を供する請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項32】
該水酸化ニッケル材料が該少なくとも3つの組成修飾材または該少なくとも1つの化学修飾材の10ないし20原子パーセントを含有する請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項33】
該少なくとも3つの組成修飾材が該水酸化ニッケル材料に取り込まれて大きな微結晶の形成を破壊する請求項21に記載の複合陽極材料。
【請求項34】
陽極材料の粒子、および陽極材料の該粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた導電性材料を含む複合陽極材料の製法であって、
金属イオン溶液、苛性アルカリ溶液および該導電性材料を合わせ、それにより該複合陽極材料を含めた沈殿溶液が形成される、
工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項35】
該合わせる工程が、
該導電性材料を該金属イオン溶液と混合して懸濁液を形成させ、および
該懸濁液を該苛性アルカリ溶液と混合する、
工程を含む請求項34記載の方法。
【請求項36】
該合わせる工程がさらに、
水酸化アンモニウム溶液を該金属イオン溶液と混合して金属アミン複合体溶液を形成する、
工程を含む請求項35に記載の方法。
【請求項37】
該水酸化アンモニウムの該混合工程が、該導電性材料と該金属イオン溶液との混合工程の前に起こる請求項36に記載の方法。
【請求項38】
該水酸化アンモニウムの該混合工程が、該導電性材料と該金属イオン溶液との混合の該工程と同時に起こる請求項36に記載の方法。
【請求項39】
該水酸化アンモニウムの該混合工程が、該導電性材料および金属イオン溶液を混合する該工程の後であるが、該苛性アルカリ溶液と該懸濁液とを混合する該工程の前に起こる請求項36に記載の方法。
【請求項40】
該水酸化アンモニウムの該混合工程が該苛性アルカリ溶液と該懸濁溶液を混合する該工程と同時に起こる請求項36に記載の方法。
【請求項41】
該方法がさらに該複合陽極材料を該沈殿溶液から分離する工程を含む請求項34に記載の方法。
【請求項42】
該方法がさらに該複合陽極材料を脱イオン水で洗浄する工程を含む請求項41に記載の方法。
【請求項43】
該方法がさらに該複合陽極材料を苛性アルカリ溶液で洗浄する工程を含む請求項41に記載の方法。
【請求項44】
該金属イオン溶液がニッケルイオンおよびマンガンイオンからなる群から選択される1以上の元素の金属イオンを含む請求項34に記載の方法。
【請求項45】
該金属イオン溶液がさらにAl、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1以上の元素の金属イオンを含む請求項44に記載の方法。
【請求項46】
該金属イオン溶液が金属硫酸塩および金属硝酸塩およびその混合物からなる群から選択される請求項34に記載の方法。
【請求項47】
該金属イオン溶液がAl、Ba、Bi、Ca、Co、Cr、Cu、Fe、In、K、La、Li、Mg、Mn、Na、Nd、Pb、Pr、Ru、Sb、Sc、Se、Sn、Sr、Te、Ti、YおよびZnからなる群から選択される1以上の元素の金属イオンを含む請求項46に記載の方法。
【請求項48】
該金属イオン溶液がニッケルイオンを含む請求項34に記載の方法。
【請求項49】
該金属イオン溶液がマンガンイオンを含む請求項34に記載の方法。
【請求項50】
陽極材料の粒子、および
陽極材料の該粒子内に少なくとも部分的に埋め込まれた核形成粒子、
を含む複合陽極材料。
【請求項51】
該核形成粒子が、該材料の電導率が増加するように陽極材料の該粒子の微結晶を配向させる請求項50に記載の複合陽極材料。
【請求項52】
該核形成粒子が該材料の電導率を増加するように陽極材料の該粒子の微結晶の平均サイズを決定する請求項50に記載の複合陽極材料。
【請求項53】
該核形成粒子が、該材料の電導率を増加させるように陽極材料の該粒子の微結晶の平均形状を決定する請求項50に記載の複合陽極材料。
【請求項54】
少なくとも部分的に埋め込まれた核形成粒子をその中に有する陽極材料の粒子を含む複合陽極材料の生産方法であって、
金属イオン溶液、苛性アルカリ溶液および該核形成粒子を合わせ、それにより該複合陽極材料を含めた沈殿溶液が形成される、
工程を含むことを特徴とする該方法。
【請求項55】
該合わせる工程が、
該金属イオン溶液および該核形成粒子を混合し、それにより、該金属イオン溶液中の該核形成粒子の懸濁液を形成させ、および
該苛性アルカリ溶液を該懸濁液と混合する、
工程を含む請求項54に記載の方法。
【請求項56】
該合わせる工程がさらに、
水酸化アンモニウム溶液を該金属イオン溶液と混合して金属アミン複合体溶液を形成する、
工程を含む請求項55に記載の方法。
【請求項57】
約0.22オーム−グラム未満の電荷移動抵抗性によって特徴づけられる陽極材料。
【請求項58】
該電荷移動抵抗性が約0.20オーム−グラム未満である請求項57に記載の陽極材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−23049(P2012−23049A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201852(P2011−201852)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【分割の表示】特願2010−171955(P2010−171955)の分割
【原出願日】平成11年8月11日(1999.8.11)
【出願人】(599163621)オヴォニック バッテリー カンパニー インコーポレイテッド (21)
【Fターム(参考)】