説明

複合顔料及びその調製方法

本発明は、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも一部が覆われている多孔質基材を含み、前記UV遮蔽剤及び/又は前記着色顔料は、基材の構成材料と同一の材料からなるマトリックス中に埋め込まれている複合顔料に関する。本発明の複合顔料は、少なくとも1つの崩壊可能な表面を有する基材と、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料とをハイブリダイザー法にかけるステップを含む方法によって調製することができる。複合顔料は、化粧品組成物の成分として有利に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多孔質の球体芯粒子と、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料とを含む複合顔料、並びにその複合顔料の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品におけるニーズの多様性に応じて、様々な研究開発が行われている。特に、化粧品の粉末用に、表面処理剤又は複合粉末が多種類提案されている。
【0003】
例えば、特開昭63-110261は、堅い表面を有する多孔質の球体芯粒子と、芯粒子を覆う微粒子とを含む複合顔料を開示している。
【0004】
しかし、こうした複合顔料は、使用感が思わしくなく、また、微細な固体UV遮蔽剤粒子を使用して芯粒子を覆う場合、微細なUV遮蔽剤粒子と芯粒子の単純な混合物と比べて、UV遮蔽特性は低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭63-110261
【特許文献2】米国特許第6,225,467号
【特許文献3】WO 2004/085412
【特許文献4】WO 06/035000
【特許文献5】WO 06/034982
【特許文献6】WO 06/034991
【特許文献7】WO 06/035007
【特許文献8】WO 2006/034992
【特許文献9】WO 2006/034985
【特許文献10】EP-669,323
【特許文献11】米国特許第2,463,264号
【特許文献12】米国特許第5,237,071号
【特許文献13】米国特許第5,166,355号
【特許文献14】GB-2,303,549
【特許文献15】DE-197,26,184
【特許文献16】EP-893,119
【特許文献17】WO 93/04665
【特許文献18】DE-19855649
【特許文献19】特開2006-63062
【特許文献20】WO2006/11661
【特許文献21】特開2003-261796
【特許文献22】米国特許出願第2004/11253号
【特許文献23】欧州特許第0293795号
【特許文献24】特開平2-295912
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC、WEST HENRIETTA, NY, US (2004年9月20日)
【非特許文献2】Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の目的は、微細なUV遮蔽剤粒子を使用して芯粒子を被覆して複合顔料を生成してもUV遮蔽特性を低下させることなく、また、より良好な使用感又は感触を得ることのできる新規な複合顔料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも一部が覆われている多孔質基材を含み、前記UV遮蔽剤及び/又は前記着色顔料が前記多孔質基材の構成材料と同一の材料からなるマトリックス中に埋め込まれている複合顔料によって実現することができる。
【0009】
多孔質基材は、0.1μm〜30μmの範囲の平均直径を有するものでよい。
【0010】
上記少なくとも1つの層は、0.03μm〜10μmの厚さを有するものでよい。上記少なくとも1つの層は、多孔質であり、前記少なくとも1つの層の多孔度が、多孔質基材の多孔度より低いものでよい。特に、上記少なくとも1つの層は、固体でよい。
【0011】
多孔質基材は、少なくとも1種の無機材料及び/又は少なくとも1種の有機材料を含んでよい。無機材料は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、シリカ、ケイ酸塩、酸化亜鉛、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ塩化ビスマス、カオリン、ハイドロタルサイト、粘土鉱物(mineral clay)、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものでよい。有機材料は、(メタ)アクリレート、ポリアミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクタム、ポリ(ブチレン)スクシネート、多糖類、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、ポリビニル樹脂、及び、これらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0012】
着色顔料は、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物(chromium hydrate)、第二鉄青(ferric blue)、アルミニウム粉末、銅粉末、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、レーキ、真珠箔顔料、及び、これらの混合物から選択されるものでよい。
【0013】
UV遮蔽剤は、有機でも無機でもよい。UV遮蔽剤は、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ビス-ベンゾアゾリル誘導体、p-アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、α-アルキルスチレン由来ダイマー、4,4-ジアリールブタジエン誘導体、オクトクリレン及びその誘導体、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、ビフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基含有ペプチド、並びに、これらの混合物からなる群から選択される有機遮蔽剤を含んでよい。一方、UV遮蔽剤は、炭化ケイ素、被覆又は非被覆金属酸化物、及び、これらの混合物からなる群から選択される無機UV遮蔽剤を含んでもよい。
【0014】
本発明による複合顔料では、前記多孔質基材対UV遮蔽剤及び/又は着色顔料の重量比は、100:1〜100:500でよい。
【0015】
本発明による複合顔料は、少なくとも1つの崩壊可能な表面を有する多孔質基材と、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料とをハイブリダイザー法にかけるステップを含む方法によって調製することができる。
【0016】
本発明による複合顔料は、化粧品組成物中に含めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】崩壊可能な表面を有する粒子とUV遮蔽剤及び/又は着色顔料とを使用するハイブリッド形成を示す図である。
【図2】崩壊可能でない表面を有する粒子とUV遮蔽剤及び/又は着色顔料とを使用するハイブリッド形成を示す図である。
【図3】実施例1で使用した崩壊可能な表面を有する多孔質粒子のSEM画像である。
【図4】比較例1で使用した崩壊可能でない表面を有する多孔質粒子のSEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
鋭意検討の結果、本発明者らは、微細なUV遮蔽剤粒子を使用して芯粒子を被覆することにより複合顔料を生成しても、UV遮蔽特性を低下させることなく、むしろUV遮蔽効果を向上させながら、より良好な使用感又は感触を与える、新しい複合顔料を得ることが可能であることを発見した。
【0019】
本発明による新しい複合顔料は、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも一部が覆われている多孔質基材を含む。前記基材及び前記層は、複合顔料の、それぞれ芯及びコーティング層として機能する。本発明によれば、コーティング層は、基材を構成する材料と同一の材料からなるマトリックスを含み、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料は、マトリックス中に埋め込まれている。
【0020】
本発明による複合顔料では、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料が基材上にしっかりと固定され、したがって、皮膚上で容易に広がらないような高い摩擦係数を有するために皮膚に不快な使用感を与えるフリーのUV遮蔽剤及び/又は着色顔料を減らすことが可能であるので、より良好な使用感又は感触を得ることができる。
【0021】
さらに、本発明による少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は着色顔料の少なくとも一部がコーティング層に埋め込まれるので、埋め込まれたUV遮蔽剤及び/又は着色顔料は、皮膚と直接接触することがない。したがって、より滑らかな使用感を得ることができる。さらに、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料が、皮膚上の毛穴から皮膚に浸透することもない。加えて、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料が刺激するものであるとしても、多量のUV遮蔽剤及び/又は着色顔料が皮膚と直接接触することもない。したがって、本発明による複合顔料は、球体の芯がUV遮蔽剤及び/又は着色顔料によってただ覆われているだけの従来の複合顔料より安全である。
【0022】
以下では、本発明による複合顔料を構成する要素のそれぞれについて詳述する。
【0023】
(基材)
本発明による複合顔料の基材は、多孔質である。基材の多孔度は、BET法により、0.05m2/g〜1500m2/g、より好ましくは0.1m2/g〜1300m2/g、より好ましくは0.2m2/g〜1000m2/gの比表面積を特徴とするものでよい。
【0024】
基材は、粒子の形態であることが好ましく、以下では、芯又は芯粒子と呼ぶことがある。この基材は、0.1μm〜30μm、好ましくは0.1μm〜20μm、より好ましくは0.1μm〜10μmの範囲の平均直径を有することが好ましい。上述の寸法は、走査型電子顕微鏡で得た画像において選択した100の基材の寸法の平均を算出することにより得られる。
【0025】
基材の材料は限定されない。すなわち、多孔質基材は、少なくとも1種の無機材料及び/又は少なくとも1種の有機材料を含む。
【0026】
無機材料は、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、シリカ、ケイ酸塩、酸化亜鉛、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ塩化ビスマス、カオリン、ハイドロタルサイト、粘土鉱物、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0027】
特に、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、硫酸バリウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウムとヒドロキシアパタイトの混合物(錯体)、及び炭酸カルシウムとリン酸カルシウムの混合物(錯体)が好ましい。
【0028】
有機材料は、(メタ)アクリレート、ポリアミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクタム、ポリ(ブチレン)スクシネート、多糖類、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、ポリビニル樹脂、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0029】
特に、Nylon(登録商標)等のポリアミド、及びポリ乳酸等のポリヒドロキシアルカノエートが好ましい。
【0030】
(基材上の層)
多孔質基材は、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも部分的に覆われている。層は、コーティング層と呼ぶ場合もある。基材の表面の10%以上がコーティング層によって覆われていることが好ましい。表面の50%以上がコーティング層によって覆われていることがより好ましい。より好ましくは、基材の80%以上がコーティング層によって覆われている。基材の表面全体がコーティング層によって覆われていることが最も好ましい。
【0031】
コーティング層の厚さは、基材の大きさ等のいくつかの要素に応じて様々でよい。通常、コーティング層の厚さは、0.001μm〜20μm、好ましくは0.01μm〜15μm、より好ましくは0.03μm〜10μm、最も好ましくは0.1μm〜5μmの範囲でよい。
【0032】
基材上に2重以上のコーティング層が存在する場合、層の厚さ及び組成は、互いに同じものでもよいし、又は異なってもよい。
【0033】
コーティング層は、多孔質基材を形成する材料と同じ材料からなる、層の主成分となり得るマトリックスを含む。UV遮蔽剤及び/又は着色顔料は、層の中のマトリックスに埋め込まれる。
【0034】
コーティング層は、多孔質でもよい。この場合、コーティング層の多孔度は、多孔質基材の多孔度より低いことが好ましい。一方、コーティング層は固体でもよい。
【0035】
コーティング層は、マトリックス以外に、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料、並びに任意の追加の材料、例えば結合剤、好ましくは非液体結合剤を含んでよい。追加の材料は、追加の材料、UV遮蔽剤、及び着色顔料の合計重量に対して1〜50重量%の範囲の量で存在してよい。しかし、層は、マトリックス、UV遮蔽剤、及び/又は着色顔料から構成されることが好ましい。
【0036】
(UV遮蔽剤)
多孔質基材を覆う層は、1種又は複数のUV遮蔽剤を含有する。UV遮蔽剤は、UV-A及び/又はUV-B領域において活性を有するものでよい。UV遮蔽剤は、親水性かつ/又は親油性かつ/又は化粧品中に一般に使用される溶媒に相応に不溶性でよい。
【0037】
UV遮蔽剤は、液体、又は粒子等の固体の形態でよい。UV遮蔽剤が固体粒子の形態である場合、その一次粒径が1nm〜5μm、好ましくは10nm〜1μm、より好ましくは10nm〜100nm、より好ましくは10nm〜20nmの範囲をとることが好ましい。
【0038】
微粒子の形態のUV遮蔽剤を使用する場合、本発明による複合顔料は、微粒子が凝集せず、基材上に広がるので、複合顔料が白色の外観でなく、透明又はクリアな外観を示し得るという効果を有する。UV遮蔽剤の単体微粒子は、容易に凝集して、皮膚に白色の外観を与えることに留意すべきである。
【0039】
UV遮蔽剤の材料は限定されない。UV遮蔽剤は、有機でも無機でもよい。2種以上のUV遮蔽剤を使用する場合、UV遮蔽剤の材料は、互いに同じものでもよいし、又は異なってもよい。
【0040】
有機UV遮蔽剤は、アントラニル酸誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾリン誘導体、ビス-ベンゾアゾリル誘導体、p-アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、α-アルキルスチレン由来ダイマー、4,4-ジアリールブタジエン、オクトクリレン及びその誘導体、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、ビフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基含有ペプチド、及び、これらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0041】
有機UV遮蔽剤の例として、以下にそのINCI名で示すもの及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0042】
アントラニル酸誘導体:Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan MA」の商標で市販されているアントラニル酸メンチル。
【0043】
ジベンゾイルメタン誘導体:特にHoffmann-LaRocheにより「Parsol 1789」の商標で市販されているブチルメトキシジベンゾイルメタン;及びイソプロピルジベンゾイルメタン。
【0044】
ケイ皮酸誘導体:特にHoffmann-LaRocheにより「Parsol MCX」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸エチルヘキシル;メトキシケイ皮酸イソプロピル;メトキシケイ皮酸イソプロポキシ;Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan E 1000」の商標で市販されているメトキシケイ皮酸イソアミル;シノキサート(2-エトキシエチル-4-メトキシシンナメート);DEAメトキシシンナメート;メチルケイ皮酸ジイソプロピル;及びジメトキシケイヒ酸エチルヘキサン酸グリセリル。
【0045】
サリチル酸誘導体:Rona/EM Industriesにより「Eusolex HMS」の商標で市販されているホモサレート(サリチル酸ホモメンチル);Haarmann and Reimerにより「Neo Heliopan OS」の商標で市販されているサリチル酸エチルヘキシル;グリコールサリチレート;サリチル酸ブチルオクチル;サリチル酸フェニル;Scherにより「Dipsal」の商標で市販されているジプロピレングリコールサリチレート;及びHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan TS」の商標で市販されているTEAサリチレート。
【0046】
ショウノウ誘導体、特にベンジリデンショウノウ誘導体:Chimexにより「Mexoryl SD」の商標で製造されている3-ベンジリデンショウノウ;Merckにより「Eusolex 6300」の商標で市販されている4-メチルベンジリデンショウノウ;Chimexにより「Mexoryl SL」の商標で製造されているベンジリデンショウノウスルホン酸;Chimexにより「Mexoryl SO」の商標で製造されているメト硫酸ショウノウベンザルコニウム;Chimexにより「Mexoryl SX」の商標で製造されているテレフタリリデンジショウノウスルホン酸;及びChimexにより「Mexoryl SW」の商標で製造されているポリアクリルアミドメチルベンジリデンショウノウ。
【0047】
ベンゾフェノン誘導体:BASFにより「Uvinul 400」の商標で市販されているベンゾフェノン-1(2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン);BASFにより「Uvinul D50」の商標で市販されているベンゾフェノン-2(テトラヒドロキシベンゾフェノン);BASFにより「Uvinul M40」の商標で市販されているベンゾフェノン-3(2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン)又はオキシベンゾン;BASFにより「Uvinul MS40」の商標で市販されているベンゾフェノン-4(ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸);ベンゾフェノン-5(ナトリウムヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホネート);Norquayにより「Helisorb 11」の商標で市販されているベンゾフェノン-6(ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン);American Cyanamidにより「Spectra-Sorb UV-24」の商標で市販されているベンゾフェノン-8;BASFにより「Uvinul DS-49」の商標で市販されているベンゾフェノン-9(二ナトリウムジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホネート);ベンゾフェノン-12、及びn-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート。
【0048】
β,β-ジフェニルアクリレート誘導体:特にBASFにより「Uvinul N539」の商標で市販されているオクトクリレン;及び特にBASFにより「Uvinul N35」の商標で市販されているエトクリレン。
【0049】
トリアジン誘導体:Ciba-Geigyにより「Tinosorb S」の商標で市販されているビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;BASFにより「Uvinul T150」の商標で特に市販されているエチルヘキシルトリアゾン;Sigma 3Vにより「Uvasorb HEB」の商標で市販されているジエチルヘキシルブタミドトリアゾン;2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンンザルマロネート)-s-トリアジン;及び米国特許第6,225,467号、WO 2004/085412(化合物6及び9を参照されたい)、又は文書「Symmetrical Triazine Derivatives」、IP.COM Journal、IP.COM INC、WEST HENRIETTA, NY, US (2004年9月20日)に記載の対称トリアジン遮断剤、特に、2,4,6-トリス(ビフェニル)-1,3,5-トリアジン(特に、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン)、及びWO 06/035000、WO 06/034982、WO 06/034991、WO 06/035007、WO 2006/034992及びWO 2006/034985でも取り上げられている2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン。
【0050】
ベンゾトリアゾール誘導体、特にフェニルベンゾトリアゾール誘導体:Rhodia Chimieにより「Silatrizole」の商標で、又はL’Orealにより「Mexoryl XL」の商標で市販されているドロメトリゾールトリシロキサン;2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;2-(2-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール;2-(2-ヒドロキシフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール。
【0051】
ベンザルマロン酸誘導体:4’-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、及びベンザルマロン酸官能基を含むポリオルガノシロキサン、例えば、Hoffmann-LaRocheにより「Parsol SLX」の商標で市販されているポリシリコーン-15。
【0052】
ベンゾイミダゾール誘導体、特にフェニルベンゾイミダゾール誘導体:特にMerckにより「Eusolex 232」の商標で市販されているフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、及びHaarmann and Reimerにより「Neo Heliopan AP」の商標で市販されているフェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
【0053】
イミダゾリン誘導体:エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
【0054】
ビス-ベンゾアゾリル誘導体:EP-669,323及び米国特許第2,463,264号に記載されているような誘導体。
【0055】
パラ-アミノ安息香酸及びその誘導体:PABA(p-アミノ安息香酸)、エチルPABA、エチルジヒドロキシプロピルPABA、ペンチルジメチルPABA、特にISPにより「Escalol 507」の商標で市販されているエチルヘキシルジメチルPABA、グリセリルPABA、及びBASFにより「Uvinul P25」の商標で市販されているPEG-25 PABA。
【0056】
メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体:固体形態がFairmount Chemicalにより「Mixxim BB/100」の商標で、又は水性分散液中の微粉化形態がCiba Specialty Chemicalsにより「Tinosorb M」の商標で市販されているメチルレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、並びに米国特許第5,237,071号、同第5,166,355号、GB-2,303,549、DE-197,26,184及びEP-893,119に記載されているような誘導体。
【0057】
ベンゾオキサゾール誘導体:Sigma 3VによりUvasorb K2Aの商標で市販されている2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン。
【0058】
遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン:WO 93/04665に記載のシリコーン。
【0059】
α-アルキルスチレン由来ダイマー:DE-19855649に記載のダイマー。
【0060】
4,4-ジアリールブタジエン誘導体:1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン。
【0061】
オクトクリレン及びその誘導体:オクトクリレン。
【0062】
グアイアズレン及びその誘導体:グアイアズレン及びグアイアズレンスルホン酸ナトリウム。
【0063】
ルチン及びその誘導体:ルチン及びグルコシルルチン。
【0064】
フラボノイド:ロブスチン(イソフラボノイド)、ゲニステイン(フラボノイド)、テクトクリシン(フラボノイド)、及びヒスピドン(フラボノイド)。
【0065】
ビフラボノイド:ランセオラチンA、ランセオラチンB及びヒプナンビフラボノイドA。
【0066】
オリザノール及びその誘導体:Γ-オリザノール。
【0067】
キナ酸及びその誘導体:キナ酸。
【0068】
フェノール:フェノール。
【0069】
レチノール:レチノール。
【0070】
システイン:L-システイン。
【0071】
芳香族アミノ酸残基含有ペプチド:トリプトファン、チロシン又はフェニルアラニンを有するペプチド。
【0072】
好ましい有機UV遮断剤は、以下のものから選択される。
メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ホモサレート、サリチル酸エチルヘキシル、オクトクリレン、フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸、ベンゾフェノン-3、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、n-ヘキシル2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート、4-メチルベンジリデンショウノウ、テレフタリリデンジショウノウスルホン酸、フェニルジベンゾイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、エチルヘキシルトリアゾン、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、2,4,6-トリス(ジネオペンチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ジイソブチル4’-アミノベンザルマロネート)-s-トリアジン、2,4,6-トリス(ビフェニル-4-イル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(ターフェニル)-1,3,5-トリアジン、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、ドロメトリゾールトリシロキサン、ポリシリコーン-15、4’-メトキシベンザルマロン酸ジネオペンチル、1,1-ジカルボキシ(2,2’-ジメチルプロピル)-4,4-ジフェニルブタジエン、2,4-ビス[5-1(ジメチルプロピル)ベンゾオキサゾール-2-イル-(4-フェニル)イミノ]-6-(2-エチルヘキシル)イミノ-1,3,5-トリアジン、及び、これらの混合物。
【0073】
より好ましい有機UV遮蔽剤は、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル、ドロメトリゾールトリシロキサン、及び、これらの混合物である。
【0074】
無機UV遮蔽剤は、炭化ケイ素、被覆又は非被覆金属酸化物、及び、これらの混合物からなる群から選択されるものでよい。
【0075】
無機UV遮蔽剤は、被覆又は非被覆金属酸化物で構成された顔料(平均一次粒径:一般に5nm〜100nm、好ましくは10nm〜50nm)、例えば、すべてそれ自体がよく知られたUV光防護剤である、酸化チタン(非晶質又はルチル型及び/若しくはアナターゼ型の結晶質)、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムで構成された顔料から選択されることが好ましい。
【0076】
顔料は、被覆又は非被覆でもよい。被覆顔料とは、例えば、Cosmetics & Toiletries、1990年2月、105巻、53〜64頁に記載のもの等の化合物、例えば、アミノ酸、蜜蝋、脂肪酸、脂肪族アルコール、アニオン性界面活性剤、レシチン、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄、若しくはアルミニウム塩、金属アルコキシド(チタン若しくはアルミニウムアルコキシド)、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、酸化ケイ素、金属酸化物、又はヘキサメタリン酸ナトリウムを用いた、化学的、電子的、機械化学的、及び/又は機械的性質の1種若しくはそれ以上の表面処理にかけられている顔料である。
【0077】
知られているように、シリコーンは、分子量が変化し得る、線状又は環状で、分枝又は架橋した構造を含む有機ケイ素ポリマー又はオリゴマーであり、適切な官能性シランを重合及び/又は重縮合させて得られ、本質的に、ケイ素原子が酸素原子によって相互に結合(シロキサン結合)しており、場合により、置換炭化水素基が前記ケイ素原子に炭素原子によって直接結合している主単位の繰返しから構成される。
【0078】
用語「シリコーン」は、その調製に必要なシラン、特にアルキルシランも包含する。
【0079】
本発明に適する顔料の被覆に使用するシリコーンは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサン、及びポリアルキルヒドロシロキサンからなる群から選択されることが好ましい。シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサン、及びポリメチルヒドロシロキサンからなる群から選択されることがさらにより好ましい。
【0080】
金属酸化物で構成された顔料は、当然、シリコーンで処理される前に、他の表面剤(surfacing agent)、特に、酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、又はこれらの混合物で処理されていてもよい。
【0081】
被覆顔料は、より詳細には、以下の酸化チタンである。
池田物産からの製品「Sunveil」等、シリカで被覆されているもの、
池田物産からの製品「Sunveil F」等、シリカ及び酸化鉄で被覆されているもの、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 500 SA」及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SA」、Tioxideの製品「Tioveil」、Rhodiaの製品「Mirasun TiW 60」等、シリカ及びアルミナで被覆されているもの、
石原産業の製品「Tipaque TTO-55 (B)」及び「Tipaque TTO-55 (A)」、Kemiraの製品「UVT 14/4」等、アルミナで被覆されているもの、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z又はMT-01」、Uniqemaの製品「Solaveil CT-10 W」及び「Solaveil CT 100」、Merckの製品「Eusolex T-AVO」等、アルミナ及びステアリン酸アルミニウムで被覆されているもの、
テイカの製品「MT-100 AQ」等、シリカ、アルミナ及びアルギン酸で被覆されているもの、
テイカの製品「MT-100 TV」等、ステアリン酸アルミニウムで被覆されているもの、一次粒径は15nm、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 S」等、アルミナ及びラウリン酸アルミニウムで被覆されているもの、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 100 F」等、酸化鉄及びステアリン酸鉄で被覆されているもの、
テイカの製品「BR351」等、酸化亜鉛及びステアリン酸亜鉛で被覆されているもの、
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 600 SAS」、「Microtitanium Dioxide MT 500 SAS」、及び「Microtitanium Dioxide MT 100 SAS」等、シリカ及びアルミナで被覆され、シリコーンで処理されたもの、
チタン工業の製品「STT-30-DS」等、シリカ、アルミナ、及びステアリン酸アルミニウムで被覆され、シリコーンで処理されたもの、
Kemiraの製品「UV-Titan X 195」等、シリカで被覆され、シリコーンで処理されたもの、
石原産業の製品「Tipaque TTO-55 (S)」又はKemiraの製品「UV Titan M 262」等、アルミナで被覆され、シリコーンで処理されたもの、
チタン工業の製品「STT-65-S」等、トリエタノールアミンで被覆されているもの、
石原産業の製品「Tipaque TTO-55 (C)」等、ステアリン酸で被覆されているもの、又は
テイカの製品「Microtitanium Dioxide MT 150 W」等、ヘキサメタリン酸ナトリウムで被覆されているもの。
【0082】
シリコーンで処理された他の酸化チタン顔料は、オクチルトリメチルシランで処理され、その個々の粒子の平均サイズが25〜40nmであるTiO2、例えば、Degussa Silicesにより「T 805」の商標で市販されているもの、ポリジメチルシロキサンで処理され、その個々の粒子の平均サイズが21nmであるTiO2、例えば、Cardreにより「70250 Cardre UF TiO2SI3」の商標で市販されているもの、ポリジメチルヒドロシロキサンで処理され、その個々の粒子の平均サイズが25nmであるアナターゼ/ルチルTiO2、例えば、Color Techniquesにより「Microtitanium Dioxide USP Grade Hydrophobic」の商標で市販されているものであることが好ましい。
【0083】
非被覆酸化チタン顔料は、例えば、テイカにより「Microtitanium Dioxide MT500B」又は「Microtitanium Dioxide MT600B」の商標で、Degussaにより「P 25」の商標で、Wackerにより「Oxyde de titane transparent PW」の商標で、三好化成により「UFTR」の商標で、Tomenにより「ITS」の商標で、またTioxideにより「Tioveil AQ」の商標で市販されている。
【0084】
非被覆酸化亜鉛顔料は、例えば、
Sunsmartにより「Z-cote」の商標で市販されているもの、
Elementisにより「Nanox」の商標で市販されているもの、
Nanophase Technologiesにより「Nanogard WCD 2025」の商標で市販されているもの
である。
【0085】
被覆酸化亜鉛顔料は、例えば、
東芝により「Oxide Zinc CS-5」の商標で市販されているもの(ポリメチルヒドロシロキサンで被覆されているZnO)、
Nanophase Technologiesにより「Nanogard Zinc Oxide FN」の商標で(C12〜C15アルキルベンゾエートであるFinsolv TN中40%分散液として)市販されているもの、
大東化成により「Daitopersion Zn-30」及び「Daitopersion Zn-50」の商標で市販されているもの(シリカ及びポリメチルヒドロシロキサンで被覆されている亜鉛ナノオキシドを30%又は50%含む、オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン/シクロポリメチルシロキサン分散液)、
ダイキン工業により「NFD Ultrafine ZnO」の商標で市販されているもの(ペルフルオロアルキルのリン酸エステル及びペルフルオロアルキルエチルを主体としたコポリマーで被覆されている、シクロペンタシロキサン分散液としてのZnO)、
信越化学工業により「SPD-Z1」の商標で市販されているもの(シリコーングラフトアクリルポリマーで被覆されているZnOをシクロジメチルシロキサンに分散させたもの)、
ISPにより「Escalol Z100」の商標で市販されているもの(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル/PVP-ヘキサデセンコポリマー/メチコン混合物に分散させたアルミナ処理ZnO)、及び
冨士色素により「Fuji ZnO-SMS-10」の商標で市販されているもの(シリカ及びポリメチルシルセスキオキサンで被覆されているZnO)、
Elementisにより「Nanox Gel TN」の商標で市販されているもの(ヒドロキシステアリン酸重縮合物を含有するC12〜C15アルキルベンゾエートに55%で分散させたZnO)である。
【0086】
非被覆酸化セリウム顔料は、例えば、Rhone-Poulencにより「Colloidal Cerium Oxide」の商標で市販されている。
【0087】
被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaudにより「Nanogard WCD 2002 (FE 45B)」、「Nanogard Iron FE 45 BL AQ」、「Nanogard FE 45R AQ」、若しくは「Nanogard WCD 2006 (FE 45R)」の商標で、又はMitsubishiにより「TY-220」の商標で市販されている。
【0088】
被覆酸化鉄顔料は、例えば、Arnaudにより「Nanogard WCD 2008 (FE 45B FN)」、「Nanogard WCD 2009 (FE 45B 556)」、「Nanogard FE 45 BL 345」、若しくは「Nanogard FE 45 BL」の商標で、又はBASFにより「Oxyde de fer transparent」の商標で市販されている。
【0089】
金属酸化物の混合物、特に、池田物産により「Sunveil A」の商標で市販されている、シリカで被覆されている二酸化チタンとシリカで被覆されている二酸化セリウムの等重量混合物を含めて、二酸化チタンと二酸化セリウムの混合物、また二酸化チタンの、アルミナ、シリカ及びシリコーンで被覆されている二酸化亜鉛との混合物、例えば、Kemiraにより市販されている製品「M 261」、又は、アルミナ、シリカ及びグリセロールで被覆されている二酸化亜鉛との混合物、例えば、Kemiraにより市販されている製品「M 211」も挙げることができる。
【0090】
被覆物は、顔料を基材上又は基材中に固定する結合剤として機能することがあるので、被覆顔料が好ましい。特に、テイカの製品「MT-100 TV」等、ステアリン酸アルミニウムで被覆されている酸化チタンが好ましい。
【0091】
UV遮蔽剤は、本発明による複合顔料中に、前記多孔質基材対UV遮蔽剤の重量比が100:1〜100:500、好ましくは100:5〜100:400、より好ましくは100:10〜100:200、より好ましくは100:10〜100:100、より好ましくは100:10〜100:50、より好ましくは100:10〜100:30になるような割合で使用することができる。
【0092】
(着色顔料)
用語「着色顔料」は、不溶性であり、組成物を着色するものである、白色又は有色の任意の形状の無機又は有機の粒子を意味すると理解すべきである。
【0093】
本発明の着色顔料を含む複合顔料は、着色顔料が凝集せず、基材上に広がるので、彩度の高いよりクリアな外観をもたらし得るという効果を有する。フリーの着色顔料は、容易に凝集して、彩度の低いくすんだ外観を肌に与えることを留意すべきである。
【0094】
顔料は、白色又は有色の無機及び/又は有機顔料でよい。
【0095】
使用することのできる無機顔料の中でも、限定はしないが、場合により表面処理されている二酸化チタン、酸化ジルコニウム又は酸化セリウム、並びに亜鉛、(黒色、黄色、若しくは赤色)酸化鉄又は酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、及び第二鉄青(ferric blue)、又はアルミニウム粉末や銅粉末等の金属粉末を挙げることができる。顔料は、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、及びこれらの組合せ等の金属酸化物で構成されたナノ顔料から選択することもできる。用語「ナノ顔料」とは、1nm〜500nmの範囲の平均粒径、例えば10nm〜100nmの範囲の粒径を有する顔料を意味すると理解される。
【0096】
使用することのできる有機顔料の中でも、限定はしないが、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料及びレーキ、例えば、コチニールカルミン系及びバリウム、ストロンチウム、カルシウム、又はアルミニウム系のレーキを挙げることができる。例えば、Red 202 (カルシウムビス[2-(3-カルボキシ-2-ヒドロキシナフチルアゾ)-5-メチルベンゼンスルホネート)は、D&Cタイプの顔料として使用することができる。
【0097】
着色顔料は、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、第二鉄青、アルミニウム粉末、銅粉末、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、レーキ、真珠箔顔料、及び、これらの混合物から選択されることが好ましい。
【0098】
用語「真珠箔顔料」は、特定の貝によってその貝殻の中で産出され、又は、そうでなく合成された粒子等、任意の形状の虹色に輝く粒子を意味すると理解すべきである。
【0099】
真珠光沢剤(pearlescent agent)は、二酸化チタン又はオキシ塩化ビスマスで被覆されているマイカ等の白色真珠光沢剤;酸化チタンでコーティングされているマイカを酸化鉄で被覆したもの、酸化チタンでコーティングされているマイカを第二鉄青又は酸化クロムで被覆したもの、酸化チタンでコーティングされているマイカを上述の種類の有機顔料で被覆したもの等の有色真珠光沢剤;及びオキシ塩化ビスマスを主体とした真珠光沢剤から選択することができる。
【0100】
着色顔料は、本発明による複合顔料中に、前記多孔質基材対着色顔料の重量比が100:1〜100:500、好ましくは100:5〜100:400、より好ましくは100:10〜100:200、より好ましくは100:10〜100:100、より好ましくは100:10〜100:50、より好ましくは100:10〜100:30になるような割合で使用することができる。
【0101】
(複合顔料の調製方法)
本発明による複合顔料は、少なくとも1つの崩壊可能な表面を有する多孔質基材と、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料とをハイブリダイザー法にかけることにより調製することができる。
【0102】
用語「崩壊可能な表面」とは、表面に対する任意の機械的応力によって崩壊し得る1種又は複数の微細構造を有する表面を意味する。微細構造の例として、0.001μm〜10μm、好ましくは0.001μm〜1μm、より好ましくは0.001μm〜0.1μmの長さを有する突起又は突出部が挙げられる。そのような突起は、針、紡錘、柱、板、薄片、小葉等として例示することができる。したがって、少なくとも1つの崩壊可能な表面を有する多孔質基材の好ましい例は、花弁薄片を有する粒子とすることができる。基材の表面の50%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは100%が崩壊可能である。
【0103】
ハイブリダイザー法は、1980年代に開発された。ハイブリダイザー法は、多数の粒子に機械的な強い力をかけて、機械化学的反応を引き起こし、複合粒子を生成する機械化学的融合法の一部類である。
【0104】
ハイブリダイザー法によれば、機械的力は、10cm〜1mの直径を有することができ、かつ1,000rpm〜100,000rpmの速度で回転することができる高速ローターによって付与する。したがって、ハイブリダイザー法は、そのような高速ローターを使用する機械化学的融合法であると定義することができる。ハイブリダイザー法は、空気中又は乾燥条件下で実施する。したがって、ローターの回転が高速であるために、ローター付近に高速空気流を発生させることができる。しかし、いくつかの液体材料は、固体材料と共にハイブリダイザー法にかけることができる。用語「ハイブリダイザー法」は、技術用語として使用されている。
【0105】
ハイブリダイザー法は、例えば日本の奈良機械製作所により市販されているハイブリダイゼーションシステムを使用して実施することができ、このシステムでは、少なくとも2種の粒子、通常は芯粒子と微粒子を、乾燥条件下にある室中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーに供給し、粒子を室に分散させ、粒子に機械及び熱エネルギー(例えば、圧縮、摩擦、及び剪断応力)を、1〜10分、好ましくは1〜5分等の比較的短い時間付与する。結果として、一方の種類の粒子(例えば、微粒子)が他方の種類の粒子(例えば、芯粒子)上に包埋又は固定されて、複合粒子が形成される。粒子は、振盪等の静電処理にかけて、一方の種類の粒子が広がって他方の種類の粒子を覆っている「オーダード ミクスチャー」を生成させておくことが好ましい。ハイブリダイザー法は、日本の徳寿工作所により市販されているシータコンポーザを使用して実施することもできる。
【0106】
本発明によれば、少なくとも1つの崩壊可能な表面を有する多孔質基材、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料、並びに必要なら他の任意選択の成分を、そのようなハイブリダイザーに供給して、複合顔料を生成することができる。ハイブリダイザー法は、約8,000rpm(100m/秒)で回転するローターを約5分間使用して実施することができる。
【0107】
少なくとも1つの崩壊可能な表面を有する多孔質基材は、例えば、花弁形状の多孔質炭酸カルシウム粒子の調製について記載のある特開2006-63062又はWO 2006/11661、並びに小葉形態の突起を有する多孔質水酸化マグネシウム粒子又は多孔質炭酸マグネシウムについて記載のある特開2003-261796又はUS-A-2004-11253に記載されている既知の方法又は製法に従って調製することができる。
【0108】
少なくとも1つの崩壊可能な表面を有する市販の多孔質基材、例えば、日本の丸尾カルシウム株式会社によりポロネックスCとして販売されている、一次粒子径が10μmであり、吸湿性が1.6ml/gである炭酸カルシウムとリン酸カルシウムの花弁形状の錯体;日本の株式会社ニューライム及び東色ピグメント株式会社によりLDR CAとして市販されている花弁型多孔質CaCO3;日本の株式会社トクヤマにより市販されているフローライトRとして販売されている、一次粒子径が25μmであり、吸湿性が4.6ml/gである花弁形状の炭酸カルシウムを使用することが可能である。
【0109】
本発明によれば、図1に示すように、ハイブリダイザー法によって、多孔質基材の崩壊可能な表面が崩壊し、崩壊した部分が、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料と混合されて、基材のコーティング層を形成する。すなわち、崩壊した部分がコーティング層のマトリックスとなる。
【0110】
機械化学的融合法では、同じ材料からできた対象を、容易にかつしっかりと接着させることができる。コーティング層のマトリックスと多孔質芯基材の材料は同じものであるので、コーティング層と芯は、強力に接着させることができる。さらに、マトリックスに捕らえられたUV遮蔽剤及び/又は着色顔料は、基材から分離することがない。
【0111】
崩壊可能な表面は、ハイブリダイザー法の際に崩壊するので、基材の直径又はサイズは、ハイブリダイザー法の後にかなり縮小する。通常、崩壊可能な表面を有する多孔質基材の直径又はサイズは、平均して、20〜70%、好ましくは30〜60%縮小する。
【0112】
崩壊可能でない表面を有する多孔質基材の直径又はサイズは、ハイブリダイザー法にかけられたとき、わずかしか縮小され得ないことに留意すべきである。しかし、基材の直径又はサイズの縮小は、平均して、1〜20%、好ましくは1〜10%である。さらに、図2に示すように、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料は、ただ基材の表面上に存在するだけであり、そのため、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料のいくらかは、基材から容易に分離することがある。
【0113】
したがって、崩壊可能な表面を有する多孔質基材をハイブリダイザー法に使用することにより、サイズが比較的小さく、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料を強力に保持する複合顔料を得ることが可能である。したがって、UV遮蔽剤及び/又は着色顔料は、コーティング層に埋め込まれ、例えば、芯から容易に分離して、皮膚上の孔から身体に浸透しないので、より良好な使用感及び安全性を実現することが可能である。
【0114】
本発明による複合顔料にUV遮蔽剤と着色顔料の両方を使用する場合、これら材料は、多孔質基材対UV遮蔽剤及び着色顔料の重量比が100:1〜100:500、好ましくは100:5〜100:400、より好ましくは100:10〜100:200、より好ましくは100:10〜100:100、より好ましくは100:10〜100:50、より好ましくは100:10〜100:30になるような割合で使用することができる。
【0115】
ハイブリダイザー法では、多孔質基材上にUV遮蔽剤及び/又は着色顔料の微粒子を規則正しく並べる(例えば、一様に被覆する)ことができるだけでなく、多孔質基材の表面とUV遮蔽剤及び/又は着色顔料の微粒子を含む層との接着を強くする。
【0116】
ハイブリダイザー法は、例えばビーズミルやジェットミルを使用する他の方法とはまったく異なることに留意すべきである。実際に、ビーズミルは、芯粒子の微粉砕又は凝集を引き起こし、ジェットミルでは、芯粒子が微粉砕され、芯粒子の微粒子によるコーティングが一様でなくなる。
【0117】
必要に応じて、追加のUV遮蔽剤及び/又は着色材料によって複合顔料をさらにコーティングする追加の方法を実施してもよい。この追加の方法の結果として、本発明による複合顔料は、UV遮蔽剤及び/又は着色材料を含む、好ましくはUV遮蔽剤及び/又は着色材料からなる別の層でコーティングされていてもよい。
【0118】
(化粧品組成物)
上述のような複合顔料は、本発明による組成物中に、組成物の総重量の0.01重量%〜99重量%、好ましくは0.1重量%〜50重量%、より好ましくは1重量%〜30重量%の量で存在してよい。
【0119】
好ましくは、本発明による複合顔料は、皮膚、毛髪、爪等のケラチン物質に適用される化粧品組成物中に使用し、UVシールド効果、及び/又は着色効果を提供することができるが、それは、快適な使用感、並びに透明又はクリアな外観、及び/又はより透明又はクリアな着色等の良好な着色効果と共に伴う、良好なUV遮蔽効果を、ケラチン物質に影響を及ぼすリスクなしに示し得るからである。
【0120】
本発明による化粧品組成物は、フィラー及び油をさらに含んでもよい。
【0121】
本明細書では、用語「フィラー」とは、いかなる温度で組成物が製造されても組成物の媒質に不溶性である、任意の形状の無色の天然又は合成粒子を意味すると理解すべきである。したがって、フィラーは、上述のような着色顔料とは異なる。
【0122】
フィラーは、無機でも有機でもよく、任意の結晶学的形態(例えば、シート状晶、立方晶、六方晶、斜方晶等)のどんな形状でもよい(例えば、小板状、球状、及び長円状)。適切な追加のフィラーの例としては、その限りでないが、タルク;マイカ;シリカ;カオリン;Nylon(登録商標)等のポリアミドの粉末;ポリ-β-3-アラニン粉末;ポリエチレン粉末;ポリウレタン粉末、例えば、東色によりPlastic Powder D-400の名称で販売されている、ヘキサメチレンジイソシアネート及びトリメチロールヘキシルラクトンコポリマーで構成された粉末;テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))で構成された粉末;ラウロイルリシン;デンプン;窒化ホウ素;高分子中空微小球、例えば、ポリ(塩化ビニリデン)/アクリロニトリルの微小球、例えばExpancel(登録商標) (Nobel Industrie)、及びアクリル酸コポリマーの微小球;シリコーン樹脂粉末、例えば、シルセスキオキサン粉末(例えば、欧州特許第0293795号で開示されているシリコーン樹脂粉末、及び東芝のTospearls(登録商標));ポリ(メタクリル酸メチル)粒子;沈降炭酸カルシウム;炭酸マグネシウム;塩基性炭酸マグネシウム;ヒドロキシアパタイト;中空シリカ微小球;ガラスミクロカプセル;セラミックミクロカプセル;8〜22個の炭素原子、例えば12〜18個の炭素原子を含む有機カルボン酸から得られる金属石けん、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛、及びミリスチン酸マグネシウム;硫酸バリウム;並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0123】
フィラーは、組成物中に、組成物の総重量の0.1重量%〜80重量%、例えば、1重量%〜25重量%、又は3重量%〜15重量%の範囲の量で存在してよい。
【0124】
用語「油」は、周囲温度(25℃)で液体である脂肪物質を意味すると理解される。
【0125】
本発明の組成物中に使用することのできる油として、例えば、ペルヒドロスクアレン(又はスクアラン)等の動物由来の炭化水素油;植物由来の炭化水素油、例えば、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、例えば、Stearineries Duboisにより市販されているものやDynamit NobelによりMiglyol 810、812及び818の商標で市販されているもの、又は植物由来の油、例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、キュウリ油、ブドウ種子油、ゴマ油、ヘーゼルナッツ油、アンズ油、マカダミアナッツ油、アララ油(arara oil)、コリアンダー油、ヒマシ油、アボカド油、ホホバ油、シアバター油;合成油;シリコーン油、例えば、周囲温度で液体又はペーストである、線状又は環状シリコーン鎖を含む揮発性又は不揮発性のポリメチルシロキサン(PDMS);フッ素化油、例えば、一部が炭化水素及び/又はシリコーンであるもの、例えば、特開平02-295912に記載のもの;ジカプリリルエーテル(CTFA名)等のエーテル;C12〜C15脂肪族アルコール安息香酸エステル(FinetexのFinsolv TN)等のエステル;安息香酸2-フェニルエチル(ISPのX-Tend 226)等の安息香酸アリールアルキル誘導体;N-ラウロイルサルコシンイソプロピル(味の素のエルデュウSL-205)等のアミド化油、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0126】
油性相は、例えば、脂肪族アルコール(セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール)、脂肪酸(ステアリン酸)、又は蝋(パラフィン蝋、ポリエチレン蝋、カルナウバ蝋、蜜蝋)から選択される1種若しくはそれ以上の脂肪物質も含んでよい。油性相は、親油性ゲル化剤、界面活性剤、又はここでも有機若しくは無機粒子を含んでよい。
【0127】
油性相は、組成物の総重量の1〜70重量%の油に相当し得ることが好ましい。
【0128】
本発明による組成物は、少なくとも1種の追加の従来の化粧品成分をさらに含んでもよく、追加化粧品成分は、例えば、親水性又は親油性のゲル化剤及び/又は増粘剤、界面活性剤、抗酸化剤、香料、保存剤、中和剤、日焼け止め剤、ビタミン、保湿剤、セルフタンニング化合物、しわ抑制活性剤、緩和剤、親水性又は親油性活性剤、汚染及び/又はフリーラジカル除去剤、金属イオン封鎖剤、皮膜形成剤、皮膚収縮解消活性剤(dermo-decontracting active agent)、皮膚鎮静剤(soothing agent)、真皮又は表皮高分子の合成を刺激し、かつ/又はその分解を防止する薬剤、抗糖化剤(antiglycation agent)、刺激を除去する薬剤、鱗状化解消剤(desquamating agent)、色素沈着解消剤(depigmenting agent)、色素沈着抑制剤(antipigmenting agent)、色素沈着促進剤(propigmenting agent)、NO合成酵素阻害剤、線維芽細胞及び/若しくはケラチノサイトの増殖及び/又はケラチノサイトの分化を刺激する薬剤、微小循環に作用する薬剤、細胞のエネルギー代謝に作用する薬剤、ヒーリング剤(healing agent)、並びにこれらの混合物から選択することができる。
【0129】
本発明による組成物は、様々な形態、例えば、懸濁液、分散液、溶液、ゲル、水中油(O/W)、油中水(W/O)、及び多重(例えば、W/O/W、ポリオール/O/W、O/W/O)乳濁液等の乳濁液、クリーム、フォーム、スティック、小胞分散液、例えばイオン性及び/又は非イオン性脂質の分散液、二相及び多相ローション、スプレー、粉末、ペーストにすることができる。組成物は無水でもよく、例えば、無水のペースト又はスティックにすることができる。組成物は、洗い流さない組成物にしてもよい。
【0130】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、液体又は固体の油性組成物や粉末状組成物等の無水組成物の形態でもよい。
【0131】
別の実施形態によれば、本発明による組成物は、例えば、コンパクトパウダー、ローション、セラム、乳液、クリーム、ベースファンデーション、化粧下地(undercoat)、メーキャップベースコート、ファンデーション、粉おしろい、頬紅、リップスティック、リップクリーム、アイシャドウ、アイライナー、ルースパウダー、コンシーラー、ネイルコート、マスカラ、日焼け止め剤等の形態にすることができる。
【0132】
当業者は、使用する成分の性質、例えば、成分の媒体への溶解性、及び組成物について構想される用途を考慮に入れながら、自身の一般知識に基づき、適切な処方並びにその調製方法を選択することができる。
【0133】
(実施例)
本発明について、実施例としてより詳細に述べるつもりであるが、しかし、本発明の範囲を限定しないものと解釈すべきである。
【0134】
(実施例1〜3及び比較例1及び2)
日本の株式会社奈良機械製作所により市販されている、乾燥条件にある室中に複数の刃を有する高速ローターを備えたハイブリダイザーを使用して、表1及び2に示す成分をハイブリダイザー法にかけて、複合顔料を得た。
【0135】
詳細には、実施例1〜3並びに比較例1及び2のそれぞれについて、表1及び2に示す成分を、プラスチック製袋に入れて短時間手で振盪することにより、表1及び2に示す混合比(表1及び2の数字は重量部による)で混合した。混合物をハイブリダイザーに投入し、ローターを8,000rpm (線速度100m/s)で5分間回転させた。
【0136】
【表1】

【0137】
【表2】

CaCO3: 日本の株式会社ニューライム及び東色ピグメント株式会社によりLDR CAとして市販されている、図3に示す形状を有する花弁型多孔質CaCO3
BiOCl: 花弁型多孔質オキシ塩化ビスマス
HAP: 日本の丸尾カルシウム(株)により市販されている多孔質ヒドロキシアパタイト
SiO2: 図4に示す形状を有する多孔質球状シリカ
POMP: 宇部興産株式会社により市販されている多孔質ポリアミド
TiO2: 日本のテイカ株式会社により市販されているMT-100 TV
【0138】
[粒子径変化の測定]
実施例1〜3並びに比較例1及び2について、ハイブリダイザー法の前後の粒子径の変化をMASTERSIZER 2000(Malvern Industries Ltd.、英国)によって測定した。ハイブリダイザー法の前の粒子径は、手による振盪後にUV遮蔽剤が広がって芯粒子を覆っている「混合物」の粒子径に相当する。結果を表3に示す。表3において、[混合物]は、ハイブリダイザー法にまだかけていない、表1及び表2に示す成分の混合物を意味する。
【0139】
【表3】

【0140】
表3から、実施例1〜3で使用した崩壊可能な表面を有する芯粒子それぞれの粒子径は、ハイブリダイザー法による崩壊のために、31〜56%縮小するのに対し、比較例1及び2で使用した崩壊可能な表面をもたない芯粒子それぞれの粒子径は、9〜10%しか縮小しないことが明白である。
【0141】
TWCファンデーション
実施例1〜3並びに比較例1及び2それぞれについて、上記ハイブリダイズ法の前の「混合物」又は上記ハイブリダイズ法によって得られた複合顔料を含有する2ウェイケーキ(TWC)ファンデーションを、混合物又は複合顔料を表4に示す成分と混合することにより調製した。
【0142】
【表4】

【0143】
表4において、「混合物」は、ハイブリダイザー法にまだかけていない、表1及び表2に示す成分の混合物を意味し、「複合顔料」は、表1及び表2に示す成分でのハイブリダイザー法によって得られた複合顔料を意味する。
【0144】
[摩擦係数の決定]
トライボマスター type TL201Sa (株式会社トリニティーラボ、日本)を使用して、上記TWCファンデーションの摩擦係数(MIU)を以下のとおりに測定した。
【0145】
トライボマスターの試験台上に両面テープで固定した合成革シートに、TWCファンデーション30mg〜50mgを置いた。先端が1cm×1cmの正方形である立方体型アルミニウムプローブも合成革シートで覆い、プローブを使用して、TWCファンデーションを1cm/秒の速度でまっすぐに2.0cmの距離に広げた。戻り行程を5回繰り返し、MIUは、往路運動及び復路運動それぞれで10セットのMIUデータからの平均とした。測定を3回繰り返し、得られた結果を平均した。
【0146】
結果を表5に示す。表5において、[混合物]は、ハイブリダイザー法にまだかけていない表1及び表2に示す成分の混合物を含有するTWCファンデーションを意味し、[複合顔料]は、表1及び表2に示す成分でのハイブリダイザー法によって得られた複合顔料を含有するTWCファンデーションを意味する。
【0147】
【表5】

比率(%):(摩擦係数[複合顔料])/(摩擦係数[混合物])×100
【0148】
表5から、実施例1〜3の複合顔料を含む化粧品は、実施例1〜3の混合物を含む化粧品より摩擦係数が低いのに対し、比較例1及び2の複合顔料を含む化粧品は、比較例1及び2の混合物を含む化粧品より摩擦係数が高いことが明白である。
【0149】
したがって、本発明による複合顔料を含む化粧品では、従来の化粧品より良好な、滑らかな使用感を得ることができる。
【0150】
[UVA及びUVB吸光度の決定]
V-550紫外可視分光光度計(日本分光、日本)を使用して、TWCファンデーションのUV波吸光度を以下のとおりに測定した。
【0151】
透明なプラスチックシート上に貼り付けた両面テープの10cm2の粘着性表面範囲上に、TWCファンデーション6.0mgを指で均等に広げた。TWCファンデーションを別の透明プラスチックシートで覆って、この粉末サンプルを間に挟んだ。この試験シートをV-550シートセルホルダーにセットし、吸光度を260nm〜400nmで測定した。0.6mg/cm2の粉末サンプルによる、260nm〜320nm及び320nm〜400nmの範囲での吸光度を平均したものを、それぞれUVB及びUVAの吸光度の値に使用した。
【0152】
結果を表6及び表7に示す。表6及び表7において、[混合物]は、ハイブリダイザー法にまだかけていない表1及び表2に示す成分の混合物を含有するTWCファンデーションを意味し、[複合顔料]は、表1及び表2に示す成分でのハイブリダイザー法によって得られた複合顔料を含有するTWCファンデーションを意味する。
【0153】
【表6】

比率(%):(UV吸光度[複合顔料])/(UV吸光度[混合物])×100
【0154】
【表7】

比率(%):(UV吸光度[複合顔料])/(UV吸光度[混合物])×100
【0155】
表6及び表7から、実施例1〜3の複合顔料を含む化粧品は、実施例1〜3の混合物を含む化粧品と比べてUV遮蔽効果が向上しているのに対し、比較例1及び2の複合顔料を含む化粧品は、比較例1及び2の混合物を含む化粧品と比べてUV遮蔽効果が劣っていることが明白である。
【0156】
したがって、本発明による複合顔料を含む化粧品では、従来の化粧品より良好なUV遮蔽効果を得ることができる。これは、実施例1〜3で使用した複合顔料において、UV遮蔽剤が芯粒子上に程よく分散しているためであるといえる。
【0157】
(実施例4〜6)
実施例4〜6では表8に示す成分(表8の数字は重量部による)を使用したことを除き、実施例1を繰り返して、実施例4〜6の複合顔料を得た。
【0158】
【表8】

Ca(p): 日本の株式会社ニューライム及び東色ピグメント株式会社によりLDR CAとして市販されている、図3に示す形状を有する花弁型多孔質CaCO3
Red: レッド202
TiO2: 日本のテイカ株式会社により市販されているMT-100 TV
OMC: メトキシケイ皮酸エチルヘキシル
Mexoryl: ドロメトリゾールトリシロキサン
【0159】
リップスティック
表9にその成分を示す基剤を、三シリンダローラーによって、着色顔料(レッド202)がリップスティックの0.1重量%に相当するような、実施例4〜6による複合顔料又は実施例4〜6の複合顔料に対応する成分の混合物と90℃で混合することにより、リップスティックを調製した。
【0160】
【表9】

【0161】
[色の測定]
DATACOLOR 600 (Applied Color Systems Inc.、米国)を使用して、実施例4〜6によるリップスティックそれぞれの色(L*,a*,b*)を以下のとおりに測定した。
【0162】
アルミ皿(25mm(L)×23mm(W)×4mm(D))にリップスティック2.5gを流し込み、冷却してペーストを固めた。試験サンプルのL*、a*及びb*をペーストの上部から測定した。
【0163】
結果を表10〜12に示す。表10〜12において、[混合物]は、まだハイブリダイザー法にかけていない表8に示す成分の混合物を含有するリップスティックを意味し、[複合顔料]は、表8に示す成分でのハイブリダイザー法によって得られた複合顔料を含有するリップスティックを意味する。
【0164】
【表10】

【0165】
【表11】

【0166】
【表12】

【0167】
表10〜12から、実施例4〜6の複合顔料を含む化粧品が、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含む化粧品と比べて、より高いa*値及びb*値を有することは明白である。
【0168】
したがって、本発明による複合顔料を含む化粧品では、複合顔料に対応する成分の単純な混合物を含む従来の化粧品と比べて、彩度のより高いより良質な色を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料を含む少なくとも1つの層によって少なくとも一部が覆われている多孔質基材を含み、
前記UV遮蔽剤及び/又は前記着色顔料が前記多孔質基材の構成材料と同一の材料からなるマトリックス中に埋め込まれている複合顔料。
【請求項2】
多孔質基材が、0.1μm〜30μmの平均直径を有する、請求項1に記載の複合顔料。
【請求項3】
少なくとも1つの層が、0.03μm〜10μmの厚さを有する、請求項1又は2に記載の複合顔料。
【請求項4】
前記少なくとも1つの層が多孔質であり、前記少なくとも1つの層の多孔度は、多孔質基材の多孔度より低い、請求項1から3のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項5】
前記少なくとも1つの層が固体である、請求項1から4のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項6】
多孔質基材が少なくとも1種の無機材料及び/又は少なくとも1種の有機材料を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項7】
無機材料が、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ヒドロキシアパタイト、シリカ、ケイ酸塩、酸化亜鉛、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ塩化ビスマス、カオリン、ハイドロタルサイト、粘土鉱物、及び、これらの混合物からなる群から選択されるものである、請求項6に記載の複合顔料。
【請求項8】
有機材料が、(メタ)アクリレート、ポリアミド、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクタム、ポリ(ブチレン)スクシネート、多糖類、ポリペプチド、ポリビニルアルコール、ポリビニル樹脂、及び、これらの混合物からなる群から選択されるものである、請求項6又は7に記載の複合顔料。
【請求項9】
少なくとも1種の着色顔料が、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、マンガン紫、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム水和物、第二鉄青、アルミニウム粉末、銅粉末、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、レーキ、真珠箔顔料、及びこれらの混合物から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項10】
少なくとも1種のUV遮蔽剤が有機又は無機である、請求項1から9のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項11】
少なくとも1種のUV遮蔽剤が、アントラニル酸、ジベンゾイルメタン誘導体、ケイ皮酸誘導体、サリチル酸誘導体、ショウノウ誘導体、ベンゾフェノン誘導体、β,β-ジフェニルアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、ベンザルマロン酸誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、イミダゾリン、ビス-ベンゾアゾリル誘導体、p-アミノ安息香酸(PABA)及びその誘導体、メチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、遮蔽ポリマー及び遮蔽シリコーン、α-アルキルスチレン由来ダイマー、4,4-ジアリールブタジエン、オクトクリレン及びその誘導体、グアイアズレン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、フラボノイド、ビフラボノイド、オリザノール及びその誘導体、キナ酸及びその誘導体、フェノール、レチノール、システイン、芳香族アミノ酸、芳香族アミノ酸残基含有ペプチド、並びに、これらの混合物からなる群から選択される有機遮蔽剤を含む、請求項10に記載の複合顔料。
【請求項12】
少なくとも1種のUV遮蔽剤が、炭化ケイ素、被覆又は非被覆金属酸化物、及び、これらの混合物からなる群から選択される無機UV遮蔽剤を含む、請求項10又は11に記載の複合顔料。
【請求項13】
前記多孔質基材対UV遮蔽剤及び/又は着色顔料の重量比が100:1〜100:500である、請求項1から12のいずれか一項に記載の複合顔料。
【請求項14】
少なくとも1つの崩壊可能な表面を有する多孔質基材と、少なくとも1種のUV遮蔽剤及び/又は少なくとも1種の着色顔料とをハイブリダイザー法にかけるステップを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の複合顔料の調製方法。
【請求項15】
崩壊可能な表面が、長さ0.001μm〜10μmである複数の突起を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
多孔質基材をハイブリダイザー法にかけた後、多孔質基材の平均直径が縮小する、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
請求項1から13のいずれか一項に記載の複合顔料又は請求項14から16のいずれか一項に記載の方法によって調製した複合顔料を含む化粧品組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−501077(P2013−501077A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506021(P2012−506021)
【出願日】平成21年8月4日(2009.8.4)
【国際出願番号】PCT/JP2009/064207
【国際公開番号】WO2011/016143
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】