説明

複同調回路

【課題】 ハイバンドの同調回路の相互の結合調整を不要として同調周波数のみの調整で済むようにする。
【解決手段】 ハイバンドに同調する一次側及び二次側のハイバンドコイルとローバンドに同調する一次側及び二次側のローバンドコイルとを有してローバンド又はハイバンドに同調するように切り替えられる複同調回路において、ハイバンドコイル間をローバンドコイルによって結合することで、ハイバンドに同調する場合に同調周波数のみを調整するようにした。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、テレビジョンチューナ等に使用される複同調回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の複同調回路を図2に示す。一次側のハイバンドコイル21及びローバンドコイル22は互いに直列接続される。また、二次側のハイバンドコイル31及びローバンドコイル32も互いに直列接続される。二つのハイバンドコイル21、31間及び、二つのローバンドコイル22、32間はそれぞれ互いに結合はしていない。一次側のハイバンドコイル21は一次側バラクタダイオード23aを介して接地され、二次側のハイバンドコイル31も二次側バラクタダイオード33を介して接地される。
【0003】
また、一次側ローバンドコイル22と二次側ローバンドコイル32とは直列接続され、その接続点は結合コイル40に接続され、結合コイル40は接地コンデンサ41によって高周波的に接地される。さらに、一次側のハイバンドコイル21とローバンドコイル22との接続点と、二次側のハイバンドコイル31とローバンドコイル32との接続点との間には、アノード同士が接続された二つのスイッチダイオード24、34の各カソードがそれぞれ接続される。スイッチダイオード24、34の各カソードは接地コンデンサ42によって高周波的に接地される。
【0004】
そして、二つのバラクタダイオード23、33の各カソードには同調電圧VTuが印加され、結合コイルと接地コンデンサ41との接続点にはローバンド切替電圧VLoが印加され、二つのスイッチダイオード24、34の各カソードにはハイバンド切替電圧VHiが印加される。
【0005】
以上の構成において、ハイバンド切替電圧VHiを印加すると、二つのスイッチダイオード24、34がオンとなりそのカソードは接地されので、ハイバンドコイル21とバラクタダイオード23とによってハイバンドに同調する一次側同調回路が構成され、同様に、ハイバンドコイル31とバラクタダイオード33とによってハイバンドに同調する二次側同調回路が構成される。この状態で、二つのハイバンド用同調コイル21、31によって同調周波数と相互の結合を調整する。
【0006】
また、ローバンド切替電圧VLoを印加すると、二つのスイッチダイオード24、34はオフとなり、ハイバンドコイル21とローバンドコイル22とバラクタダイオード23とによってローバンドに同調する一次側同調回路が構成され、同様に、ハイバンドコイル31とローバンドコイル32とバラクタダイオード33とによってローバンドに同調する二次側同調回路が構成される。この状態で、二つのローバンド用同調コイル22、32によって同調周波数を調整する。結合は結合コイル40によってえられるので、そのインダクタンス値を所定の値に設定しておけば調整する必要がない。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
上記構成では、ハイバンドに同調する場合は二つのハイバンドコイルによって結合を調整するので、それらを配置する位置が制約されると共に、同調周波数と結合とを同時に調整するので調整しにくいという問題がある。特にハイバンドでは周波数が高いので、結合量の調整による同調周波数への影響が大きい。
【0008】
本考案は、ハイバンドの同調回路の相互の結合調整を不要として同調周波数ののみの調整で済むようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題に対して、本考案は、ハイバンドに同調する一次側及び二次側のハイバンドコイルとローバンドに同調する一次側及び二次側のローバンドコイルとを有してローバンド又はハイバンドに同調するように切り替えられる複同調回路において、前記ハイバンドコイル間を前記ローバンドコイルによって結合した。
【0010】
また、前記ローバンドコイルを互いに直列接続すると共にその接続点をスイッチダイオードによって接地し、前記ハイバンドに同調するように切り替えるときに前記スイッチダイオードをオフにした。
【0011】
また、前記ローバンドコイルの接続点と前記スイッチダイオードとの間に前記ローバンドコイル間を結合するための結合コイルを直列に介挿した。
【0012】
【考案の実施の形態】
本考案の複同調回路を図1に示す。一次側のハイバンドコイル1とローバンドコイル2とは各一端が一次側のバラクタダイオード3を介して接地される。ハイバンドコイル1の他端は一次側のハイバンドスイッチダイオード4のカソードに接続され、アノードは接地コンデンサ5によって高周波的に接地される。また、ローバンドコイル2の他端は結合コイル10の一端に接続される。結合コイル10の他端はローバンドスイッチダイオードのカソードに接続され、そのアノードは接地コンデンサ12によって高周波的に接地される。
【0013】
また、二次側のハイバンドコイル6とローバンドコイル7とは各一端が二次側のバラクタダイオード8を介して接地される。ハイバンドコイル6の他端は二次側のハイバンドスイッチダイオード9のカソードに接続され、アノードは接地コンデンサ5によって高周波的に接地される。また、ローバンドコイル7の他端は一次側のローバンドコイル2と結合コイル10との接続点に接続される。
【0014】
以上の構成において、一次側のハイバンドコイル1と二次側のハイバンドコイル6とは互いに結合されず、また一次側のローバンドコイル2と二次側のローバンドコイル7とは互いに結合されない。さらに、結合コイル10は二つのローバンドコイル2、7間を所定の結合量で結合するようにそのインダクタンス値が設定されている。
【0015】
また、二つのハイバンドスイッチダイオード4、9のアノードにはハイバンド切替電圧VHiが印加され。ローバンドスイッチダイオード11のアノードにはローバンド切替電圧が印加され、二つのバラクタダイオード3、8のカソードには同調電圧VTuが印加される。
【0016】
そして、ハイバンド切替電圧VHiを印加すると、二つのハイバンドスイッチダイオード4、9がオンとなり、ハイバンドコイル1とバラクタダイオード3とによって一次側同調回路が構成され、ハイバンドコイル6とバラクタダイオード8とによって二次側同調回路が構成される。このとき、ローバンド切替電圧は印加されないのでローバンドスイッチダイオード11はオフの」ままである。従って、二つのハイバンドコイル1と6とは直列接続された二つのローバンドコイル2、7によって接続され、此によって二つのハイバンドコイル1、6は相互に結合される。結合量はローバンドコイル2、7によって決まるので、予め所定の結合量が得られるようにそのインダクタンス値を互いに等しくして固定しておく。
よって、同調周波数のみを調整すればよい。
【0017】
また、ローバンド切替電圧vLoを印加するとローバンドスイッチダイオード11がオンとなり、二つのローバンドコイル2、7は結合コイル10によって接地される。よって、ローバンドコイル2とバラクタダイオード3とによって一次側の同調回路が構成され、ローバンドコイル7とバラクタダイオード8とによって二次側の同調回路が構成される。そして、二つのローバンドコイル2、7は結合コイル10によって結合する。また、同調周波数はハイバンドコイル1、6の結合として最初に設定されたローバンドコイルによって決まるが、周波数が低いローバンドでは同調周波数のばらつきはそれほど問題にはならない。
【0018】
【考案の効果】
以上説明したように、ハイバンドに同調する一次側及び二次側のハイバンドコイルとローバンドに同調する一次側及び二次側のローバンドコイルとを有してローバンド又はハイバンドに同調するように切り替えられる複同調回路において、ハイバンドコイル間をローバンドコイルによって結合したので、ハイバンドに同調する場合に同調周波数のみを調整すればよい。
【0019】
また、ローバンドコイルを互いに直列接続すると共にその接続点をスイッチダイオードによって接地し、ハイバンドに同調するように切り替えるときにスイッチダイオードをオフにしたので、ローバンドコイルが二つのハイバンドコイルの結合用として接続される。
【0020】
また、ローバンドコイルの接続点とスイッチダイオードとの間にローバンドコイル間を結合するための結合コイルを直列に介挿したので、ローバンドでの結合が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の複同調回路の構成を示す回路図である。
【図2】従来の複同調回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
1、6 ハイバンドコイル
2、7 ローバンドコイル
3、8 バラクタダイオード
4、9 ハイバンドスイッチダイオード
5、12 接地コンデンサ
10 結合コイル
11 ローバンドスイッチダイオード

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ハイバンドに同調する一次側及び二次側のハイバンドコイルとローバンドに同調する一次側及び二次側のローバンドコイルとを有してローバンド又はハイバンドに同調するように切り替えられる複同調回路において、前記ハイバンドコイル間を前記ローバンドコイルによって結合したことを特徴とする複同調回路。
【請求項2】 前記ローバンドコイルを互いに直列接続すると共にその接続点をスイッチダイオードによって接地し、前記ハイバンドに同調するように切り替えるときに前記スイッチダイオードをオフにしたことを特徴とする請求項1に記載の複同調回路。
【請求項3】 前記ローバンドコイルの接続点と前記スイッチダイオードとの間に前記ローバンドコイル間を結合するための結合コイルを直列に介挿したことを特徴とする請求項2に記載の複同調回路。

【図1】
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【図2】
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【登録番号】実用新案登録第3094658号(U3094658)
【登録日】平成15年4月2日(2003.4.2)
【発行日】平成15年7月4日(2003.7.4)
【考案の名称】複同調回路
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願2002−7924(U2002−7924)
【出願日】平成14年12月13日(2002.12.13)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)