説明

複層塗膜形成方法

【課題】3つの塗装層を塗装して、その塗装層を一度に焼き付けた場合でも、従来の2回焼き付けと同様な塗膜外観性を与えることができる複層塗膜形成方法を提供する。
【解決手段】
電着塗料が塗装された基材の上に、水性第1ベース塗料を塗装して第1ベース塗装層を形成し、ウエットオンウエット方式にて、該第1ベース塗装層の上に、水性第2ベース塗料を塗装して第2ベース塗装層を形成し、さらに、ウエットオンウエット方式にて、第2ベース塗装層の上に、クリヤー塗料を塗装してクリヤー塗装層を形成した後、3つの塗装層を同時に焼付ける複層塗膜形成方法であって、水性第1ベース塗料が、エチレンオキサイド単位及び/又はプロピレンオキサイド単位を樹脂中に4〜15質量%含有し、樹脂酸価が15mgKOH/g未満であり、水酸基価が10〜100mgKOH/gである水酸基含有ノニオン樹脂、及び架橋剤を必須成分として含有することを特徴とする複層塗膜形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複層塗膜形成方法に関する。さらに詳しく言えば、種々の分野において、特に自動車塗装分野において、3つの塗装層を塗装して、その塗装層を一度に焼き付けた場合でも、従来の2回焼き付けと同様な塗膜外観性を与えることができる複層塗膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タレ、ムラ、混層などの発生がなく仕上がり性が良好な水性3C1B(3コート1ベーク)複層塗膜形成方法として、被塗物上に、水性第1着色塗料(A)、水性第2着色塗料(B)、及びクリヤ塗料(C)を用いて、(1)水性第1着色塗料(A)を塗装する工程であって、構成成分がウレタンエマルション(a)とその他の成分(b)からなる樹脂固形分100重量部中に、ウレタンエマルション(a)が50〜90重量部、その他の成分(b)が10〜50重量部を含有し、樹脂固形分100重量部に対して、顔料成分(c)を10〜200重量部配合してなる固形分が45〜65重量%の水性第1着色塗料(A)を塗装する工程、(2)常温でセッティングを施す工程であって、水性第1着色塗料(A)を塗装によって得られた塗膜粘度を1×103
Pa・秒(20℃、シェアレート0.1秒−1)以上とする工程、(3)固形分が15〜50重量%の水性第2着色塗料(B)を塗装する工程、(4)予備加熱を施す工程、(5)クリア塗料(C)を塗装して、3層からなる塗膜を同時に焼き付け乾燥する工程から成る3コート1ベーク方式によって得られる複層塗膜形成方法が知られている(例えば特許文献1参照)。しかしながら、この方法では、2層目の塗装時や予備加熱工程において、2層目に含有する水やアミン物質によって1層目の溶解や膨潤が発生し、十分な塗膜外観性が得られないという欠点があった。
【0003】
また、3C1B塗装系で、中塗りもベースも水性塗料を用いて耐衝撃性および塗膜外観を向上させる方法として、電着塗膜が形成された基材上に、水性中塗り塗料(1)、水性ベース塗料(2)及びクリヤー塗料(3)を、順次ウエットオンウエット方式で塗布し、得られた複層塗膜を同時に焼き付け硬化させる複層塗膜の形成方法において、前記水性中塗り塗料(1)が、平均粒径0.05〜10μmのアクリルエマルション、平均粒径0.01〜1μmのウレタンエマルション、および硬化剤を含有し、アクリルエマルションの平均粒径がウレタンエマルションの平均粒径と同じかまたはそれより大きく、かつアクリルエマルション/ウレタンエマルションの粒子数比が1/0.1〜1/500であることを特徴とする複層塗膜の形成方法が知られている(例えば特許文献2参照)。しかしながら、この方法では、塗膜外観性の改善が十分でなく、ワキの問題が発生するという欠点があった。
【0004】
また、中塗り塗膜とベース塗膜との混相を有効に防止して表面平滑性に優れる複層塗膜を形成する方法として、(1)電着塗膜が形成された被塗物を提供する工程;(2)電着塗膜の上に水性中塗り塗料を塗布して中塗り塗膜を形成する工程;(3)中塗り塗膜を硬化させないで中塗り塗膜の上に水性ベース塗料、及びクリヤー塗料をウエットオンウエット方式で順次塗布してベース塗膜及びクリヤー塗膜を形成する工程;(4)中塗り塗膜、ベース塗膜及びクリヤー塗膜を同時に焼き付け硬化させる工程;を含む複層塗膜形成方法において、該水性中塗り塗料から形成される中塗り塗膜が10%以下の塗膜吸水率及び5%以下の塗膜水溶出率を有し、該水性中塗り塗料が、ガラス転移温度−50〜20℃、酸価2〜60mgKOH/g及び水酸基価10〜120mgKOH/gを有するアクリル樹脂エマルション、酸価5〜50mgKOH/gを有するウレタン樹脂エマルション、及び硬化剤を含有することを特徴とする複層塗膜の形成方法が知られている(例えば特許文献3参照)。しかしながら、この方法では、水性ベース塗料に含まれるアミンの影響で中塗塗膜を膨潤させるため、十分な塗膜外観性が得られないという欠点があった。
【0005】
また、水への分散性、水に対する安定性、活性水素含有基を有する水性樹脂との相溶性等に優れる水分散性ポリイソシアネート組成物を提供すること、及び可使時間が長く、しかも、硬化性に優れ、外観、耐水性および硬度に優れる硬化物を与える水性硬化性組成物として、ポリイソシアネート(A)と、側鎖にノニオン性基を有するポリウレタン樹脂(B)とを含んでなる水分散性ポリイソシアネート組成物が知られている(例えば特許文献4参照)。しかしながら、ここには3コート1ベークの複層塗膜形成方法についての記載がなく、この組成物を用いた塗料では、目的とする優れた塗膜外観性を得られる事はできず、さらには貯蔵安定性が十分でないという欠点があった。
【0006】
また、耐チッピング性、防食性に優れた複層塗膜として、被塗物にカチオン電着塗料(a)を塗装し加熱硬化させ、次いで水系熱可塑性耐チッピング塗料(b)を塗装し、塗膜中の固形分含有率を40重量%以上に調整した後、水系中塗り塗料(c)を塗装し、塗料(b)及び塗料(c)の両塗膜を加熱して硬化させてから、上塗り塗料(d)を塗装し硬化する複層塗膜形成方法であって、水系熱可塑性耐チッピング塗料(b)が、カルボキシル基含有ウレタンプレポリマーを水性媒体の存在下で鎖伸長して得られるポリウレタンエマルジョンを含有する塗料であって、該ポリウレタンエマルジョンが、(i)脂肪族及び/又は脂環式ジイソシアネート、(ii)数平均分子量が500〜5000のポリエーテルジオール及び/又はポリエステルジオール、(iii)低分子量ポリヒドロキシル化合物及び(vi)ジメチロールアルカン酸を、NCO/OH当量比が1.1〜1.9の範囲内となるような割合で反応させることにより得られるウレタンプレポリマーを、第3級アミンで中和後又は中和しながら、水と混合することにより、水伸長、乳化して得られる自己乳化型ポリウレタンエマルジョンである複層塗膜形成方法が知られている(例えば特許文献5参照)。しかしながら、この組成物では、水系中塗を塗装してから焼き付けを行っており、3コート1ベーク複層塗膜形成方法の本来の目的である省エネルギーや塗装作業の効率化が十分でないという欠点があった。
【0007】
【特許文献1】特開2004−097917号公報
【特許文献2】特開2004−337670号公報
【特許文献3】特開2004−358462号公報
【特許文献4】特開2003−064149号公報
【特許文献5】国際公開WO2003/039767号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、3つの塗装層を塗装して、その塗装層を一度に焼き付けた場合でも、従来の2回焼き付けと同様な塗膜外観性を与え、さらに耐水性、耐チッピング性に優れる塗膜を得ることができる複層塗膜形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の課題を解決するべき鋭意研究を重ねた結果、電着塗料が塗装された基材の上に、エチレンオキサイド単位及び/又はプロピレンオキサイド単位を特定量含有してなる特定の水酸基含有ノニオン樹脂を含有する水性第1ベース塗料を塗装して第1ベース塗装層を形成し、ウエットオンウエット方式にて水性第2ベース塗料を塗装して第2ベース塗装層を形成し、さらに、ウエットオンウエット方式にてクリヤー塗料を塗装したのち、3つの塗装層を同時に焼付ける複層塗膜形成方法により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、電着塗料が塗装された基材の上に、水性第1ベース塗料を塗装して第1ベース塗装層を形成し、ウエットオンウエット方式にて、該第1ベース塗装層の上に、水性第2ベース塗料を塗装して第2ベース塗装層を形成し、さらに、ウエットオンウエット方式にて、第2ベース塗装層の上に、クリヤー塗料を塗装してクリヤー塗装層を形成した後、3つの塗装層を同時に焼付ける複層塗膜形成方法であって、水性第1ベース塗料が、エチレンオキサイド単位及び/又はプロピレンオキサイド単位を樹脂中に4〜15質量%含有し、樹脂酸価が15mgKOH/g未満であり、水酸基価が10〜100mgKOH/gである水酸基含有ノニオン樹脂、及び架橋剤を必須成分として含有することを特徴とする複層塗膜形成方法を提供するものである。
【0011】
また、本発明は、上記複層塗膜形成方法において、水性第1ベース塗料が、前記水酸基含有ノニオン樹脂以外の水酸基含有ポリウレタン樹脂及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂を、樹脂固形分として、該水酸基含有ノニオン樹脂を含む水酸基含有樹脂の固形分の総量に対して50質量%未満の割合で含有するものである複層塗膜形成方法を提供するものである。
また、本発明は、上記複層塗膜形成方法において、水性第1ベース塗料に用いられる水酸基含有ポリウレタン樹脂が、水酸基価10〜100mgKOH/gの水分散型樹脂である複層塗膜形成方法を提供するものである。
【0012】
また、本発明は、上記複層塗膜形成方法において、水性第1ベース塗料に用いられる水酸基含有ポリエステル樹脂が、水酸基価10〜150mgKOH/g、酸価20〜50mgKOH/gの水分散型または水溶性樹脂である複層塗膜形成方法を提供するものである。
また、本発明は、上記複層塗膜形成方法において、架橋剤が、メラミン樹脂及び/又はブロック化イソシアネート化合物であって、水酸基含有樹脂と架橋剤との固形分質量比が40/60〜80/20である複層塗膜形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の複層塗膜形成方法を用いることにより、3つの塗装層を塗装して、その塗装層を一度に焼き付けて得られる塗膜に、従来の2回焼き付けと同様な塗膜外観性を与えることができる。また、耐水性、耐チッピング性に優れる塗膜を形成することができる。本発明の複層塗膜形成方法は、特に自動車塗装分野において有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の、水性第1ベース塗料に用いられる水酸基含有ノニオン樹脂は、樹脂を水溶化もしくは水分散化させるのに十分な量の親水性基と、架橋剤と反応するための水酸基を持った樹脂である。
水酸基含有ノニオン樹脂は、親水性基として、エチレンオキサイド単位及び/又はプロピレンオキサイド単位を必須として含有している。また、水酸基含有ノニオン樹脂は、その他の親水性基として、カルボキシル基、アミノ基、メチロール基などの親水性基を導入したものであってもよい。
水酸基含有ノニオン樹脂の樹脂骨格としては、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂が挙げられるが、ポリエステル樹脂またはウレタン樹脂が好ましい。
【0015】
水酸基含有ノニオン樹脂の樹脂骨格がポリエステル樹脂の場合は、その樹脂原料として、通常のポリエステル樹脂を構成する多価アルコール、多塩基酸及び必要に応じ油脂類等を用いて、公知のエステル化反応によって容易に得ることができる。
前記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット等が挙げられる。これらの多価アルコールは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
【0016】
また多塩基酸としては、例えば無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水トリメリット酸等を挙げることできる。これらの多塩基酸はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
油脂類としては、例えば大豆油、椰子油、サフラワー油、ぬか油、ひまし油、きり油、あまに油、トール油、及びこれから得られる脂肪酸を挙げることができる。
【0017】
また、水酸基含有ノニオン樹脂の樹脂骨格がウレタン樹脂の場合は、ポリオール、ポリイソシアネート、ポリアミン等を反応させることにより得られる。
ポリオールとしては、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール等が挙げられ、それぞれ単独あるいは混合物が使用される。
また、上記のポリイソシアネートとしては、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイシソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビスフェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、エチルエチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等を挙げることができる。
【0018】
上記水酸基含有ノニオン樹脂にエチレンオキサイド単位及び/又はプロピレンオキサイド単位を導入するには、例えば数平均分子量が300〜3000のポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドや、数平均分子量が300〜3000のポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドのモノアルキルエーテルなどを反応させることにより、行うことができる。
該エチレンオキサイド単位及び/又はプロピレンオキサイド単位は、水酸基含有ノニオン樹脂中に、4〜15質量%含有するものであり、5〜12%質量%含有するのが好ましい。4質量%未満の場合には、水中での溶解あるいは分散安定性が損なわれ、樹脂凝集の問題が発生する。また、15質量%を越えた場合には、塗膜の耐水性の低下が発生する。
【0019】
また、上記水酸基含有ノニオン樹脂にカルボキシル基を導入する場合は、酸価が15mgKOH/g未満であることが好ましく、12mgKOH/g未満であることがより好ましい。15mgKOH/g以上の場合には、水性第2ベース塗料が塗装された時に、第1ベース塗装層の溶解、膨潤が発生し、塗膜外観が低下する問題が発生する。
該カルボキシル基は、水酸基含有ノニオン樹脂を水中に安定に存在させるために、このカルボキシル基の一部あるいは全ては、塩基性物質で中和することが好ましい。
【0020】
この塩基性物質としては、例えば、アンモニア、モルホリン、N−アルキルモルホリン、モノイソプロパノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルイソプロパノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミンおよびトリブチルアミン等を挙げることができる。塩基性物質は、1種または2種以上併用して使用することができる。
【0021】
また、水酸基含有ノニオン樹脂の数平均分子量は、500〜20,000が好ましく、1,000〜10,000であることがより好ましい。500以下の場合には、耐チッピング性能が低下し、20,000を超える場合には焼き付け時に十分なフロー性が得られず仕上がり外観性が低下する。
水性第1ベース塗料には、前記水酸基含有ノニオン樹脂以外の水酸基含有ポリウレタン樹脂及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂を含有させることができ、その含有割合は、水酸基含有ノニオン樹脂を含む水酸基含有樹脂の固形分の総量に対して、樹脂固形分として、50質量%未満が好ましく、より好ましくは40質量%未満である。
水酸基含有ポリウレタン樹脂及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂が、水酸基含有ノニオン樹脂を含む水酸基含有樹脂の固形分の総量に対して50質量%を超える場合は、第1ベース塗装層の溶解、膨潤が発生し、塗膜外観が低下する問題が発生する。
【0022】
本発明において、水性第1ベース塗料に含有させることができる水酸基含有ポリウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートを反応させることにより得られ、水酸基含有ノニオン樹脂のウレタン樹脂骨格と同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。
水酸基含有ポリウレタン樹脂は、水酸基価10〜100mgKOH/gが好ましく、20〜80mgKOH/gであることがより好ましい。10mg/KOH未満の場合は、水性媒体中での樹脂の乳化安定性が低下することがあり、100mg/KOHを超える場合は塗膜の耐水性が低下することがある。
【0023】
また、水酸基含有ポリウレタン樹脂の酸価は、10〜50mgKOH/gが好ましく、20〜50mgKOH/gがより好ましい。酸価が20mgKOH/g以下の場合は、水性媒体中での樹脂の乳化安定性が低下することがあり、50mg/KOHを超える場合は塗膜の耐水性が低下することがある。
水酸基含有ポリウレタン樹脂を水中に安定に存在させるために、このカルボキシル基の一部あるいは全ては、塩基性物質で中和することが好ましい。塩基性物質は、水酸基含有ノニオン樹脂で用いられるものと同じものであってもよいし、又は異なるものであってもよい。また、水酸基含有ポリウレタン樹脂の数平均分子量は、500〜50,000が好ましく、1,000〜30,000であることがより好ましい。500以下の場合には、耐チッピング性能が低下することがあり、50,000を超える場合には焼き付け時に十分なフロー性が得られず仕上がり外観性が低下することがある。
【0024】
本発明において、水性第1ベース塗料に含有させることができる水分散型または水溶性ポリエステル樹脂は、その樹脂原料として、通常のポリエステル樹脂を構成する多価アルコール、多塩基酸及び必要に応じ油脂類等から、公知のエステル化反応によって容易に得ることができる。
前記多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、水素化ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、ジペンタエリトリット等が挙げられる。これらの多価アルコールは、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
【0025】
また多塩基酸としては、分子中に炭素原子炭素原子2〜30個を有する低分子ジカルボン酸またはその酸無水物であることが好ましく、4〜18個を有する低分子ジカルボン酸またはその酸無水物であることがより好ましい。例えばo−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、こはく酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、ヘキサクロルプタンジカルボン酸、テトラクロルフタル酸等を挙げることできる。これらの多塩基酸はそれぞれ単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせても良い。
油脂類としては、例えば大豆油、椰子油、サフラワー油、ぬか油、ひまし油、きり油、あまに油、トール油、及びこれから得られる脂肪酸を挙げることができる。
【0026】
該水酸基含有ポリエステル樹脂の水酸基価は10〜150mgKOH/gが好ましく、 20〜130mgKOH/gがより好ましい。水酸基価が10mg/KOH未満の場合は、水性媒体中での樹脂の乳化安定性が低下することがあり、150mg/KOHを超える場合は塗膜の耐水性が低下することがある。
また、該水酸基含有ポリエステル樹脂の酸価は、20〜50mgKOH/gが好ましく、30〜40mgKOH/gがより好ましい。20mgKOH/g以下の場合は、水性媒体中での樹脂の乳化安定性が低下することがあり、50mg/KOHを超える場合は塗膜の耐水性が低下することがある。
【0027】
この水酸基含有ポリエステル樹脂を水中に安定に存在させるために、このカルボキシル基の一部あるいは全ては、塩基性物質で中和される。塩基性物質は、水酸基含有ノニオン樹脂で用いられるものと同じか或いは異なるものであっても使用できる。また、数平均分子量は、500〜50,000が好ましく、1,000〜30,000であることが好ましい。500以下の場合には、耐チッピング性能が低下し、50,000以上の場合には焼き付け時に十分なフロー性が得られず仕上がり外観性が低下する。
【0028】
水性第1ベース塗料に使用される架橋剤としては、例えば、アミノ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
アミノ樹脂としては、例えばメラミン、尿素またはベンゾグアナミンなどのアミノ基の一部もしくは全部にホルムアルデヒドを縮合反応して得られるメチロール化アミノ樹脂、さらに該メチロール化アミノ樹脂のメチロール基の一部もしくは全部をメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のモノアルコールから選ばれた1種もしくは2種以上のアルコールでエーテル化してなるアルキルエーテル化アミノ樹脂などが挙げられる。
ブロックポリイソシアネート化合物としては、例えばイソシアネート基を有する脂肪族系、芳香族系または脂環族系のポリイソシアネート化合物のイソシアネート基をブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトオキシムなどのオキシム類、ε−カプロラクタム類などのラクタム類、アセト酢酸ジエステルなどのジケトン類、イミダゾール、2−エチルイミダゾールなどのイミダゾール類、又はm−クレゾールなどのフェノール類等でブロックしたものを挙げることができる。
【0029】
また、架橋剤は、親水性並び疎水性のいずれのものも使用することができる。
架橋剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用して用いてもよい。
本発明における架橋剤の配合量は、水酸基含有樹脂と架橋剤との固形分質量比で40/60〜80/20が好ましく、50/50〜70/30がより好ましい。架橋剤の配合量が、水酸基含有樹脂と架橋剤の合計質量に対して20質量%未満の場合は耐水性の低下が発生することあり、一方、水酸基含有樹脂と架橋剤の合計質量に対して60質量%を超える場合は耐チッピング性が低下することがある。
【0030】
本発明における水性第1ベース塗料には、上記樹脂及び架橋剤と共に、塗料工業において公知の無機顔料、有機顔料、アルミ顔料、パール顔料、体質顔料などの各種顔料、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、造膜助剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤、各種レオロジーコントロール剤、各種有機溶剤などの1種以上を含有させてもよい。
水性第1ベース塗料中の水含有量としては、塗料の粘度を適当な範囲にするために必要な量であればよく、全溶剤中の水含有量としては通常50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。
本発明における水性第2ベース塗料は、ポリウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルエマルション、アクリルウレタン樹脂等から選ばれる1種以上の基体樹脂、アミノ樹脂、ブロックポリイソシアネート化合物等から選ばれる1種以上の架橋剤と共に、塗料工業において公知の無機顔料、有機顔料、アルミ顔料、パール顔料、体質顔料などの各種顔料、表面調整剤、消泡剤、界面活性剤、造膜助剤、防腐剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤などの各種添加剤、各種レオロジーコントロール剤、各種有機溶剤などなどの1種以上を含有させてもよい。
水性第2ベース塗料中の水含有量としては、塗料の粘度を適当な範囲にするために必要な量であればよく、全溶剤中の水含有量としては通常50〜90質量%が好ましく、60〜80質量%がより好ましい。
【0031】
また、第2ベース塗装層に塗り重ねるクリヤー塗料は、水性タイプ、有機溶剤タイプ、粉体タイプ等、いずれの塗料タイプも使用可能であるが、特に有機溶剤タイプが好ましい。クリヤー塗料の硬化システムとしては、メラミン架橋タイプ、酸/エポキシ架橋タイプ、イソシアネート架橋タイプ、ブロックイソシアネート架橋タイプ、これらの組み合わせなどが挙げられる。
本発明における塗装方法は、電着塗料が塗装された基材の上に、水性第1ベース塗料を塗装して第1ベース塗装層を形成し、ウエットオンウエット方式にて、該第1ベース塗装層の上に、水性第2ベース塗料を塗装して第2ベース塗装層を形成し、さらに、ウエットオンウエット方式にて、第2ベース塗装層の上に、クリヤー塗料を塗装してクリヤー塗装層を形成した後、3つの塗装層を同時に焼付ける複層塗膜形成方法である。
電着塗料が塗装された基材において、用いられる電着塗料としては、種々の電着塗料が挙げられるが、好ましくはカチオン電着塗料である。
基材としては、金属が好ましく、金属に予め表面処理されたものがより好ましい。
基材に塗装された電着塗料層は、焼付け硬化させることが好ましい。焼付け温度は、100〜200℃が好ましく、焼付け時間は10〜50分間が好ましい。
【0032】
本発明において、ウエットオンウエット方式とは、下塗りの塗装層を焼付けない状態で上塗りの塗料を塗装することをいう。
なお、水性第1ベース塗料の塗装後や、水性第2ベース塗料の塗装後には、フラッシュオフ工程による予備乾燥工程を与えてもよい。予備乾燥温度は、通常30〜100℃が好ましい。
また、水性第1ベース塗料の塗装工程前に、チッピングプライマーやアンダーコートプライマーなど、通常の3コート2ベーク塗装工程において実施されている塗装工程も実施することができる。
上記塗料の塗装方法は、種々の塗装方法で行うことができ、例えば、エアースプレー、静電エアースプレー、エアレススプレーなどのスプレー塗装方法、ロールコーター、フローコーター、ディッピング形式による塗装機等の通常使用される塗装機を用いる塗装方法、又は刷毛、バーコーター、アプリケーターなどを用いる塗装方法が挙げられる。これらのうちスプレー塗装方法が好ましい。
上記塗料の塗装温度は、特に制限ないが、通常は10〜40℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明における焼付後の各塗膜層の膜厚は、水性第1ベース塗膜は5〜35μmが好ましく、第2ベース塗膜は5〜30μmが好ましく、クリヤー塗膜は20〜50μmが好ましい。
また、焼付け温度は、100℃〜170℃が好ましい。焼付け時間は、20〜40分間が好ましい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、部および%はそれぞれ質量部および質量%を示す。また、表1〜表4に示す各成分の配合量の単位は、質量部である。
【0034】
<ポリエステル樹脂骨格の水酸基含有ノニオン樹脂溶液A−1の製造>
反応水の分離管が付属した還流冷却管、窒素ガス導入装置、温度計、攪拌装置を装備した反応容器に、ラウリン酸10部、無水フタル酸30部、アジピン酸5部、ネオペンチルグリコール29.2部、トリメチロールプロパン10.8部、ユニオックスM1000(商品名、日本油脂(株)製、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、数平均分子量約1,000)5部を入れ混合し、得られた混合物を120℃に加熱して溶解した後、攪拌しながら温度を160℃に上昇させた。160℃で1時間保った後、徐々に昇温し、5時間かけて230℃まで温度を上げた。次いで、温度を230℃に保って2時間反応を続けた後、180℃まで温度を下げ、無水トリメリット酸10部を入れ反応を続け、酸価が13mgKOH/gになったところで反応を終了して冷却した。80℃以下まで冷却した後に、ブチルセロソルブ25部、次いでジメチルエタノールアミン1.7部を加えて樹脂の中和を行い、その後に脱イオン水を加え、不揮発分30%、水酸基価90mgKOH/g、酸価13mgKOH/g、数平均分子量2,000の水酸基含有ノニオン樹脂溶液A−1を得た。配合を表1に示した。
【0035】
<ポリエステル樹脂骨格の水酸基含有ノニオン樹脂溶液A−2〜A−5の製造>
表1に記載した原料に替え、反応の終点となる酸価を表1に替えた以外は、水酸基含有ノニオン樹脂溶液A−1と同様にして、水酸基含有ノニオン樹脂溶液A−2〜A−5を製造した。樹脂溶液の特性値は表1に示した。
【0036】
【表1】

【0037】
<ポリエステル樹脂溶液P−1の製造>
反応水の分離管が付属した還流冷却管、窒素ガス導入装置、温度計、攪拌装置を装備した反応容器に、ラウリン酸10部、無水フタル酸30部、アジピン酸18.3部、ネオペンチルグリコール34.6部、トリメチロールプロパン7.1部を入れ混合し、得られた混合物を120℃に加熱して溶解した後、攪拌しながら温度を160℃に上昇させた。160℃で1時間保った後、徐々に昇温し、5時間かけて230℃まで温度を上げた。次いで、温度を230℃に保って反応を続け、酸価2mgKOH/gになったところで反応を終了して冷却した。80℃以下まで冷却した後に、トルエン22.8部を加え、不揮発分80%、水酸基価75mgKOH/g、酸価2mgKOH/g、数平均分子量1,500のポリエステル樹脂溶液P−1を得た。
【0038】
<ポリウレタン樹脂骨格の水酸基含有ノニオン樹脂溶液A−6の製造>
窒素ガス導入装置、温度計、攪拌装置を装備した反応容器に、ポリエステル樹脂溶液P−1 79.2部、ジメチロールプロピオン酸3部、イソホロンジイソシアネート22.7部、トリメチロールプロパン0.1部、ユニオールD1000を5部(商品名、日本油脂(株)製、ポリプロピレングリコール、数平均分子量約1000)、メチルエチルケトン40部を入れ混合し、攪拌しながら80℃にて反応し、イソシアネート価が0.67meq/gになったところでジエタノールアミン5.9部を加え、さらに80℃にて反応を継続し、イソシアネート価が0.01meq/gになったところでブチルセロソルブ40部加え反応を終了する。その後、減圧下100℃でトルエン並びメチルエチルケトンを除去した後、50℃まで冷却しジメチルエタノールアミンを1.8部加えて樹脂の中和を行い、その後に脱イオン水を加え、不揮発分25%、水酸基価63mgKOH/g、酸価14mgKOH/g、数平均分子量4,000の水酸基含有ノニオン樹脂溶液A−6を得た。配合を表2に示した。
【0039】
【表2】

【0040】
表2の注記
※1 ポリエステル樹脂P−1中の溶剤は、減圧によって除去するので、合計には含まない。
※2 メチルエチルケトンも減圧により除去されるので、合計には含まない。
※3 ジエタノールアミンはイソシアネートとの反応をさせるアミンで、樹脂固形分に含まれる。
※4 ジメチルエタノールアミンは、中和剤として用いるアミンであり、樹脂固形分には含まれない。
【0041】
<ポリウレタン骨格の水酸基含有ノニオン樹脂溶液A−7〜A−10の製造>
表2に記載した原料に替えた以外は、ノニオン樹脂溶液A−6と同様にして、ノニオン樹脂溶液A−7〜A−10を製造した。樹脂溶液の特性値は表2に示した。
【0042】
<水性第1ベース塗料製造例1〜13>
表3及び表4に示す配合割合にて水性第1ベース塗料B−1〜13を作成した。
水性第1ベース塗料は、表3及び表4に示す配合割合にて、水酸基含有ノニオン樹脂溶液に、二酸化チタン「R706」(商品名、デュポン社製)、カーボンブラック「MA−100」(三菱化学社製)、体質顔料「硫酸バリウムB34」(商品名、堺化学社製)を加え分散機にて分散後、メラミン樹脂「サイメル327」(商品名、サイテック(株)製、固形分90質量%)又はブロック化ポリイソシアネート「BayhydurVPLS2310」(商品名、住化バイエルウレタン(株)製、不揮発分39.5質量部、有効NCO3.9質量%)を加えてディゾルバーで混合し、脱イオン水で40秒/フォードカップ#4(20℃)の粘度に調整した。
【0043】
【表3】

【0044】
【表4】

【0045】
<実施例1>
自動車用ダル鋼板(JIS G3142)に、リン酸亜鉛処理剤「ボンデラートNo.3004」(商品名、日本パーカライジング(株)製)にて処理を施し、ついで、電着塗料「カソガード500」(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製)を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、175℃で20分間焼付硬化させた。
この電着塗装された鋼板に、水性第1ベース塗料B−1をベル回転式静電塗装機にて硬化膜厚において15〜20μmとなるよう塗装し、ブース内に5分間放置した後、水性第2ベース塗料「アクアBC−3 ブラック」(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製、ポリウレタン/ポリエステル/メラミン樹脂系)をベル回転式静電塗装機にて硬化膜厚において12〜15μmとなるよう塗装し、ブース内で5分間放置した後、80℃で3分間加温した後、クリヤー塗料「ベルコートES−3クリヤー」(商品名、BASFコーティングスジャパン(株)製)をベル回転式静電塗装機にて硬化膜厚において35〜40μmとなるよう塗装しブース内で10分間放置した後、140℃で30分間焼付硬化させて塗膜試験用の塗装板を作製した。なお、塗装は、ブース温度25℃/ブース湿度75%の条件下で行われた。
上記工程により得られた複層塗膜は、以下の方法により塗膜性能評価を行った。評価結果を表5に記す。
【0046】
<実施例2〜7、比較例1〜5>
水性第1ベース塗料B−1を表5示した水性第1ベース塗料に替えた以外は、実施例1と同一の要領で、塗膜試験用の塗装板を作製し、評価結果を表5示した。
【0047】
<評価方法>
以下の方法で塗膜外観、耐水性、耐チッピング性を評価した。
塗膜外観評価
BYK社製、ウエーブスキャンDOIにてショートウエーブ値(SW値)並びロングウエーブ値(LW値)測定した。数値が小さいほど外観性良好で、SWは10以下、LWは3以下が合格水準である。
耐水性評価
試験塗板を40℃の温水に10日間浸漬した後、塗膜表面状態を目視にて評価した。
耐チッピング性評価
試験塗板を−20℃の雰囲気下でグラベロメータ(スガ試験機(株)製)に角度45度でセットし、7号砕石50gをエアー圧4kg/cmで噴射して塗膜表面に衝突させ、剥離した塗膜の面積を評価した。数値が小さいほど良好で、1.0以下が合格水準である。
【0048】
【表5】

【0049】
表5から明らかなように、本発明の複層塗膜形成方法によると、仕上がり外観性、耐水性、耐チッピング性に優れる塗膜が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電着塗料が塗装された基材の上に、水性第1ベース塗料を塗装して第1ベース塗装層を形成し、ウエットオンウエット方式にて、該第1ベース塗装層の上に、水性第2ベース塗料を塗装して第2ベース塗装層を形成し、さらに、ウエットオンウエット方式にて、第2ベース塗装層の上に、クリヤー塗料を塗装してクリヤー塗装層を形成した後、3つの塗装層を同時に焼付ける複層塗膜形成方法であって、水性第1ベース塗料が、エチレンオキサイド単位及び/又はプロピレンオキサイド単位を樹脂中に4〜15質量%含有し、樹脂酸価が15mgKOH/g未満であり、水酸基価が10〜100mgKOH/gである水酸基含有ノニオン樹脂、及び架橋剤を必須成分として含有することを特徴とする複層塗膜形成方法。
【請求項2】
水性第1ベース塗料が、前記水酸基含有ノニオン樹脂以外の水酸基含有ポリウレタン樹脂及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂を、樹脂固形分として、該水酸基含有ノニオン樹脂を含む水酸基含有樹脂の固形分の総量に対して50質量%未満の割合で含有するものである請求項1記載の複層塗膜形成方法。
【請求項3】
水性第1ベース塗料に用いられる水酸基含有ポリウレタン樹脂が、水酸基価10〜100mgKOH/gの水分散型樹脂である請求項1又は2記載の複層塗膜形成方法。
【請求項4】
水性第1ベース塗料に用いられる水酸基含有ポリエステル樹脂が、水酸基価10〜150mgKOH/g、酸価20〜50mgKOH/gの水分散型または水溶性樹脂である請求項1又は2記載の複層塗膜形成方法。
【請求項5】
架橋剤が、メラミン樹脂及び/又はブロック化イソシアネート化合物であって、水酸基含有樹脂と架橋剤との固形分質量比が40/60〜80/20である請求項1〜4のいずれかに記載の複層塗膜形成方法。

【公開番号】特開2009−39626(P2009−39626A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205940(P2007−205940)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(599076424)BASFコーティングスジャパン株式会社 (59)
【Fターム(参考)】