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複層塗膜形成方法
説明

複層塗膜形成方法

【課題】
各種工業製品、特に自動車の外板に適用できる、ハイライト(正反射光近傍)においては高明度且つ高彩度で、シェード(斜め方向)では高彩度であり、ハイライトとシェードとの明度差が大きく、仕上がり意匠が均一な塗膜が得られる複層塗膜形成方法を提供することである。
【解決手段】本発明は、着色顔料及び鱗片状光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗装して得られるメタリックベース塗膜上に、第1カラークリヤー塗料を塗装し、得られた第1カラークリヤー塗膜上に第2カラークリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法であって、第1カラークリヤー塗料と第2カラークリヤー塗料に含まれる着色顔料が同一であって且つ第1のカラークリヤー塗料による塗膜と第2カラークリヤー塗料による塗膜が、単位膜厚あたりの着色顔料の濃度が、前者対後者の比率として、30/70〜65/35の範囲内である複層塗膜形成方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイライト(正反射光近傍)においては高明度且つ高彩度、シェード(斜め方向)では高彩度で、深み感に優れ、仕上がり意匠が均一な塗膜が得られる複層塗膜形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の工業製品の外装色においては、観察角度によって色の見え方が変化するメタリック塗色が主流を占めている。メタリック塗色の中でも、ハイライト(正反射光近傍)で高明度であり、ハイライトからシェード(斜め方向)への色変化が大きな塗色は、適用される工業製品の造形を際立たせる効果があり、人気の塗色となっている。さらに、ハイライトからシェードまで彩度が高く、深み感に優れた塗色は、高級感があり誘目性に優れた塗色として、ユーザーからの要求が大きい塗色に一つとなっている。高彩度のメタリック塗色を得る方法として、メタリック塗膜上にカラークリヤー塗膜を積層する方法はすでに知られている。
【0003】
カラークリヤー塗膜を1層の塗膜として形成せしめた場合には、カラークリヤー塗膜の塗装膜厚の僅かな変動によって、大きく色が変動してしまう問題点が知られている。
【0004】
カラークリヤー塗膜を2層の塗膜として形成せしめる方法として、特許文献1には、深み感及び高彩度感に優れたメタリック塗膜を得ることができる塗膜形成方法に関するものであり、メタリックベース塗料、第1のカラークリヤー塗料及び第2のカラークリヤー塗料を順次塗装する塗膜形成方法が記載されている。特許文献1においては、メタリックベース塗料による塗膜の彩度を低く抑えるとしており、複層塗膜の彩度が不足する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−86057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ハイライト(正反射光近傍)においては高明度且つ高彩度で、シェード(斜め方向)では高彩度で、深み感に優れ、仕上がり意匠が均一な塗膜が得られる複層塗膜形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
1.被塗物に着色顔料及び鱗片状光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗装して得られるメタリックベース塗膜上に、第1カラークリヤー塗料を塗装し、得られた第1カラークリヤー塗膜上に第2カラークリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法であって、第1カラークリヤー塗料と第2カラークリヤー塗料に含まれる着色顔料が同一であって且つ第1カラークリヤー塗料による塗膜と第2カラークリヤー塗料による塗膜が、単位膜厚あたりの着色顔料の濃度が、前者対後者の比率として、30/70〜65/35の範囲内である複層塗膜形成方法、
2.メタリックベース塗膜に45度から照射した光を正反射光に対して45度で受光した分光反射率に基づくL*C*h表色系における彩度C*が20〜50の範囲内である1項に記載の複層塗膜形成方法、
3.メタリックベース塗料中の鱗片状光輝性顔料として、鱗片状アルミニウム顔料を用いる1項又は2項に記載の複層塗膜形成方法、
4.メタリックベース塗料中の鱗片状光輝性顔料として、半透明な鱗片状基材を金属酸化物で被覆した着色パール顔料又は干渉パール顔料を用いる1〜3項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
5.メタリックベース塗料中の鱗片状光輝性顔料として、鱗片状アルミニウム顔料の表面を酸化鉄又は有機着色顔料で被覆した着色アルミニウム顔料を用いる1〜4項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
6.第1カラークリヤー塗料及び第2カラークリヤー塗料に含まれる着色顔料が透明性顔料であり、該透明性顔料が、着色材として該透明性顔料のみを、ビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対して1質量部含む膜厚100μmの塗膜の、ヘイズ値が0.1〜10.0の範囲内となるものである1〜5項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
7.メタリックベース塗料、第1のカラークリヤー塗料及び第2のカラークリヤー塗料が赤色顔料を含み、該赤色顔料が、着色材として該赤色顔料のみを含む塗膜の色相がL*C*h表色系における色相角度hが、a*赤方向を0°とした場合に−30°〜45°の範囲内となるものである1〜6項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法、
8.第1カラークリヤー塗料が半透明な基材を酸化チタンで被覆した干渉パール顔料を含み、該干渉パール顔料が着色材として該干渉パール顔料のみを含む塗膜の、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して15度で受光したときのL*C*h表色系色度図において、色相角度hがa*赤方向を0°とした場合に−120°〜120°の範囲内となるものである1〜7項のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ハイライト(正反射光近傍)においては高明度且つ高彩度で、シェード(斜め方向)では高彩度であり、ハイライトとシェードとの明度差が大きく、深み感に優れ、仕上がり意匠が均一な塗膜が得られる複層塗膜形成方法を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の複層塗膜形成方法は、後述する被塗物にメタリックベース塗料を塗装し、塗装して得られた未硬化又は硬化した塗膜上に第1カラークリヤー塗料を塗装する。
【0010】
本発明のメタリックベース塗料は、着色顔料及び/鱗片状光輝性顔料を含有する。着色顔料は、複層塗膜の色相及び明度を決定する顔料であり、メタリックベース塗料における着色顔料としては、特に制限されるものではないが、具体的には、酸化チタン顔料、酸化鉄顔料、チタンイエロー等の複合酸化物顔料等の無機顔料やアゾ系顔料、キナクリドン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、ベンズイミダゾロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、金属キレートアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、インジゴ系顔料等の有機顔料、カーボンブラック顔料等の中から任意のものを1種もしくはそれ以上を組み合わせて使用することができる。
【0011】
本発明のメタリックベース塗料には、複層塗膜の色相や彩度の点から着色顔料として、赤色顔料を用いることが好ましく、特に着色材として該赤色顔料のみを含む塗膜の色相がL*C*h表色系における色相角度hが、a*赤方向を0°とした場合に−30°〜45°の範囲内である赤色顔料を配合することが好ましい。
【0012】
具体的には、アゾ系、アンスラキノン系、キナクリドン系、ペリレン系などの縮合多環系顔料を主体とする有機顔料を1種類又は2種類以上使用することができるが、耐候性、色相及び彩度の点からペリレン系の顔料を使用することができる。ペリレン系の顔料とは、ペリレン、又はその誘導体からなる下記に示す一般式で示すことができる顔料をいい、例えば、ペリレンマルーン、ペリレンスカーレット、ペリレンレッドなどが挙げられる。
【0013】
【化1】

【0014】
(式中、Xは、O,−N−H,−N−R,−N−Ph,−N−Ph−R,−N−Ph−R,−N−Ph−OR,−N−COR,−N−Ph−N=N−Ph,−N−Ph−HC=CH−Ph(ここで、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示し、Phはフェニル基を示す。)を表す。好ましくは、C,−N−Ph−OCH,−N−Ph−OC,−N−Ph−(CH,−N−CH,−N−H,−N−Ph−N=N−Ph,−N−COCHを示す。)
また、隠蔽性や色相の点から、ジケトピロロピロール顔料を併用してもよい。
【0015】
本発明において、メタリックベース塗料及び後述するカラークリヤー塗料に配合せしめる着色顔料としては、分散性、耐候性等を向上させることを目的として、無機及び/又は有機の表面処理を行ったものを使用することが出来る。
【0016】
本発明において、メタリックベース塗料における着色顔料の含有量は、塗膜の仕上がりや色相の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.03〜25質量部、特に好ましくは0.05〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
【0017】
本明細書において、上記着色顔料の色相角度は、着色材として該着色顔料のみを、塗料中のビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対して20質量部となるように配合せしめた塗料を、予めN−9の中塗塗膜が形成された被塗物に、エアスプレーを使用して膜厚15μmとなるように塗装し、乾燥させて得られた塗膜を、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して45度で受光した分光反射率に基づく数値として定義するものとする。
【0018】
本発明のメタリックベース塗料や後述する第1カラークリヤー塗料及び第2カラークリヤー塗料に配合される着色顔料は、粉体として塗料中に配合することができるが、着色顔料を樹脂組成物の一部と混合分散して予め顔料分散体を調製し、これを残りの樹脂成分や他の成分と共に混合することにより塗料化することもできる。顔料分散体の調製にあたっては、必要に応じて、消泡剤、分散剤、表面調整剤等の慣用の塗料添加剤を使用することができる。
【0019】
本発明のメタリックベース塗料には、複層塗膜のハイライトにおいては明度を高くせしめ、ハイライトとシェードとの明度差を大きくせしめることやハイライト及びシェードの彩度を高くすることを目的として、鱗片状光輝性顔料を配合することができる。
【0020】
鱗片状光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル合金、ステンレス等の鱗片状金属顔料、表面を金属酸化物で被覆した鱗片状金属顔料、表面に着色顔料を化学吸着させた鱗片状金属顔料、表面に酸化還元反応を起こさせることにより酸化アルミニウム層を形成した鱗片状アルミニウム顔料、アルミニウム固溶板状酸化鉄顔料、ガラスフレーク顔料、表面を金属酸化物で被覆したガラスフレーク顔料、表面に着色顔料を化学吸着させたガラスフレーク顔料、表面を金属で被覆したガラスフレーク顔料、表面を二酸化チタンで被覆した干渉マイカ顔料、干渉マイカ顔料を還元した還元マイカ顔料、表面に着色顔料を化学吸着させたり、表面を酸化鉄で被覆した着色マイカ顔料、表面を二酸化チタンで被覆したグラファイト顔料、表面を二酸化チタンで被覆したシリカフレークやアルミナフレーク顔料、板状酸化鉄顔料、ホログラム顔料、合成マイカ顔料、らせん構造を持つコレステリック液晶ポリマー顔料、オキシ塩化ビスマス顔料などが挙げられる。
【0021】
また、複層塗膜のハイライトとシェードとの明度差の点から、鱗片状光輝性顔料として鱗片状アルミニウム顔料を使用することが好ましい。
【0022】
鱗片状アルミニウム顔料は、一般にアルミニウムをボールミルやアトライターミル中で粉砕媒液の存在下、粉砕助剤を用いて粉砕、摩砕して製造される。粉砕助剤としては、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等の高級脂肪酸のほか、脂肪族アミン、脂肪族アミド、脂肪族アルコールが使用される。粉砕媒液としてはミネラルスピリットなどの脂肪族系炭化水素が使用される。
【0023】
鱗片状アルミニウム顔料は、粉砕助剤の種類によって、リーフィングタイプとノンリーフィングタイプに大別することができる。リーフィングタイプは、塗料組成物に配合すると塗装して得られた塗膜の表面に配列(リーフィング)し、金属感の強い仕上がりが得られ、熱反射作用を有し、防錆力を発揮するものであるため、タンク・ダクト・配管類および屋上ル−フィングをはじめ各種建築材料などに利用されることが多い。本発明のメタリックベース塗料においては塗装して得られる塗膜の深み感の点から、ノンリーフィングタイプの鱗片状アルミニウム顔料を使用することが好ましい。
【0024】
上記鱗片状アルミニウム顔料の大きさは、平均粒径が5〜30μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性やハイライトの明度の点から好ましく、より好ましくは平均粒子径が7〜25μmの範囲内もの、特に好ましくは8〜23μmの範囲内ものである。厚さは0.05〜5μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒径及び厚さは、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
【0025】
本発明においてメタリックベース塗料において、鱗片状光輝性顔料として鱗片状アルミニウム顔料のみを使用する場合その配合量は、塗装して得られる塗膜の隠蔽性や、ハイライトの明度の点から塗料中の樹脂固形分100質量部に対し1〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜25質量部、特に好ましくは5〜20質量部の範囲内である。
【0026】
本発明のメタリックベース塗料においては、複層塗膜のハイライトの彩度を高くする点から、半透明な鱗片状基材を酸化鉄や酸化チタンなどの金属酸化物で被覆した着色パール顔料又は干渉パール顔料を使用することが好ましい。半透明な鱗片状基材としては天然マイカ、人工マイカ、アルミナフレーク、シリカフレーク、ガラスフレーク等を挙げることができる。
【0027】
天然マイカとは、鉱石のマイカ(雲母)を粉砕した鱗片状基材であり、人工マイカとは、SiO、MgO、Al、KSiF、NaSiF等の工業原料を加熱し、約1500℃の高温で熔融し、冷却して結晶化させて合成したものであり、天然のマイカと比較した場合において、不純物が少なく、大きさや厚さが均一なものである。具体的には、フッ素金雲母(KMgAlSi10)、カリウム四ケイ素雲母(KMg25AlSi10)、ナトリウム四ケイ素雲母(NaMg25AlSi10)、Naテニオライト(NaMgLiSi10)、LiNaテニオライト(LiMgLiSi10)等が知られている。
【0028】
アルミナフレークとは、鱗片状(薄片状)酸化アルミニウムを意味し、無色透明なものである。酸化アルミニウム単一成分である必要はなく、他の金属の酸化物を含有するものであってもよい。
【0029】
シリカフレークとは、シリコンのアルコキシド、例えばメトキシド、エトキシド、プロポキシド、ブトキシドをアルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の溶媒に溶解した溶液を表面が平滑な金属板等に塗布し、乾燥剥離して得た鱗片状ゲルを熱処理して得られるものである。
【0030】
ガラスフレークとは、鱗片状のCガラスやEガラスを成形して得られた表面が平滑な基材である。
【0031】
上記着色パール顔料又は干渉パール顔料は、分散性や耐水性、耐薬品性、耐候性等を向上させるための表面処理が施されたものであってもよい。
【0032】
上記着色パール顔料又は干渉パール顔料の大きさは、平均粒径が5〜30μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性やハイライトの明度の点から好ましく、より好ましくは平均粒子径が7〜25μmの範囲内もの、特に好ましくは8〜23μmの範囲内ものである。厚さは0.05〜5μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒径及び厚さは、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
【0033】
また、メタリックベース塗料に着色パール顔料又は干渉パール顔料を含有せしめる場合、その含有量は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、合計で1〜30質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは3〜25質量部の範囲内、5〜20質量部特に好ましくはの範囲内である。全鱗片状光輝性顔料の含有量に基づく着色パール顔料又は干渉パール顔料の含有量は、全鱗片状光輝性顔料の合計量を固形分として100質量部としたときに、10〜90質量部の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、20〜80質量部の範囲内である。
【0034】
本発明のメタリックベース塗料には、ハイライトの明度及び彩度を高くせしめる点から、
メタリックベース塗料中の鱗片状光輝性顔料として、鱗片状アルミニウム顔料の表面を酸化鉄や有機着色顔料で被覆した着色アルミニウム顔料を使用することが使用することが好ましい。着色アルミニウム顔料としては、具体的には、上記鱗片状アルミニウム顔料表面に、化学蒸着法によって酸化鉄を被覆したものも使用することができる。
【0035】
着色アルミニウム顔料の大きさは、平均粒径が5〜30μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性やハイライトの明度の点から好ましく、より好ましくは平均粒子径が7〜25μmの範囲内もの、特に好ましくは8〜23μmの範囲内ものである。厚さは0.05〜0.5μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒径及び厚さは、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
【0036】
また、メタリックベース塗料に着色アルミニウム顔料を含有せしめる場合、その含有量は、塗装して得られる塗膜の仕上がり性の点から、前記鱗片状アルミニウム顔料との合計量として、塗料中の樹脂固形分100質量部に対して、1〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜25質量部、特に好ましくは5〜20質量部の範囲内である。鱗片状アルミニウム顔料と着色アルミニウム顔料との比率は、質量比として、90/10〜70/30の範囲内とすることが好ましく、より好ましくは、85/15〜75/25の範囲内である。
【0037】
本発明のメタリックベース塗料における上記着色顔料及び鱗片状光輝性顔料の種類や配合量は、複層塗膜の彩度の点から、塗装して得られた塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して45度で受光した分光反射率に基づくL*C*h表色系における彩度C*が20〜50範囲内となるように決定することが好ましい。
【0038】
本明細書におけるメタリックベース塗料による塗膜の彩度C*は、メタリックベース塗料を、予めN−6グレーの中塗塗膜が形成された被塗物に、エアスプレーを使用して所定の膜厚となるように塗装し、乾燥させて得られた塗膜を、多角度分光光度計(MA−68II、x−rite社製)を使用して測定して得られた数値として定義するものとする。
【0039】
本発明のメタリックベース塗料は、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
【0040】
さらに、本発明のメタリックベース塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0041】
本発明のメタリックベース塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、12〜60質量%、好ましくは15〜50質量%に調整しておくことが好ましい。
【0042】
本発明方法において、前記メタリックベース塗料は、後述する被塗物に静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて5〜30μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。通常、所定の膜厚となるように塗装した後に、加熱し、乾燥硬化せしめることができるが、未硬化の状態で後述する第1カラークリヤー塗料を塗装することができる。本発明のメタリックベース塗料の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約180℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で硬化させることができる。
【0043】
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記メタリックベース塗料による硬化又は未硬化の塗膜上に第1カラークリヤー塗料を塗装する。
【0044】
本発明における第1カラークリヤー塗料は、複層塗膜において彩度を高める塗料であって、着色材として着色顔料を含有する。着色顔料としては、前記メタリックベース塗料に配合することができる着色顔料として例示したものを同様に使用することができるが、複層塗膜における彩度の点から、ペリレン顔料、キナクリドン顔料の中でも透明性が高く、一次粒子径が小さい着色顔料を使用することが好ましい。該着色顔料の一次粒子径としては、3〜200nmのものが透明性、着色力の点から好ましく、特に好ましくは、一次粒子径が5〜150nmのものである。
【0045】
本発明における透明性顔料としては、着色材として該透明性顔料のみを、ビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対して1質量部含む膜厚100μmの塗膜の、ヘイズ値が0.1〜10.0の範囲内となるものを使用することが、複層塗膜の彩度の点から好ましい。より好ましくは0.2〜5.0の範囲内、特に好ましくは0.5〜1.5の範囲内である。
【0046】
本発明において、上記ヘイズ値は、平滑なPTFE板に塗装し、硬化、剥離した塗膜を濁度計COH−300A(商品名、日本電色工業社製)にて測定した拡散光線透過率(DF)及び平行光線透過率(PT)から、次式によって計算された数値として定義するものとする。式:ヘイズ値=100*DF/(DF+PT)
本発明の第1カラークリヤー塗料における着色顔料としては、複層塗膜の色相や彩度の点から、赤色顔料を用いることが好ましく、特に着色材として該赤色顔料のみを含む塗膜の色相がL*C*h表色系における色相角度hが、a*赤方向を0°とした場合に−30°〜45°の範囲内である赤色顔料を配合することが好ましい。
【0047】
本発明の第1カラークリヤー塗料における着色顔料の配合量は、複層塗膜の彩度や、ハイライトとシェードの明度差の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜3質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.03〜2.5質量部、特に好ましくは0.05〜2質量部の範囲内であることが好ましい。
【0048】
本発明の第1カラークリヤー塗料は、複層塗膜の彩度をさらに高くする点から、半透明な基材を酸化チタンで被覆した干渉パール顔料を配合することができる。半透明な鱗片状基材としては天然マイカ、人工マイカ、アルミナフレーク、シリカフレーク、ガラスフレーク等を挙げることができる。
【0049】
本発明の第1カラークリヤー塗料に配合することができる干渉パール顔料としては特に、複層塗膜の彩度を高める点から、該干渉パール顔料のみを含む塗膜の、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して10度で受光したときのL*C*h表色系における色相角度hがa*赤方向を0°とした場合に−120°〜120°の範囲内となるものを用いることが好ましい。
【0050】
上記干渉パール顔料の大きさは、平均粒径が5〜30μmの範囲内のものを使用することが、塗装された塗膜の仕上がり性の点から好ましく、より好ましくは平均粒子径が7〜25μmの範囲内もの、特に好ましくは8〜23μmの範囲内ものである。厚さは0.05〜5μmの範囲内のものを使用することが好ましい。ここでいう粒径及び厚さは、マイクロトラック粒度分布測定装置 MT3300(商品名、日機装社製)を用いてレーザー回折散乱法によって測定した体積基準粒度分布のメジアン径を意味する。
【0051】
第1カラークリヤー塗料に干渉パール顔料を配合する場合、その配合量は適宜決定させることができるが、複層塗膜の彩度や仕上がり性の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜30質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.03〜25質量部、特に好ましくは0.05〜20質量部の範囲内であることが好ましい。
【0052】
本発明の第1カラークリヤー塗料は、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネート化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
【0053】
さらに、本発明の第1カラークリヤー塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0054】
本発明の第1カラークリヤー塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、25〜80質量%、好ましくは35〜70質量%に調整しておくことが好ましい。
【0055】
本発明方法において、前記第1カラークリヤー塗料は、メタリックベース塗料によるメタリックベース塗膜に静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて20〜50μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。通常、所定の膜厚となるように塗装した後に、加熱し、乾燥硬化せしめることができるが、未硬化の状態で後述する第2のカラークリヤー塗料を塗装することができる。本発明の第1カラークリヤー塗料の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約180℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で硬化させることができる。
【0056】
本発明の複層塗膜形成方法においては、上記第1カラークリヤー塗料による硬化又は未硬化の第1カラークリヤー塗膜上に第2カラークリヤー塗料を塗装する。
【0057】
本発明における第2カラークリヤー塗料は、複層塗膜において彩度を高める塗料であって、着色材として着色顔料を含有する。着色顔料としては、複層塗膜の仕上がりを均一にする点から前記第1カラークリヤー塗料に配合せしめる着色顔料と同一のものを使用することが好ましい。
【0058】
本発明の第2カラークリヤー塗料における着色顔料の配合量は、複層塗膜の彩度や、ハイライトとシェードの明度差の点から、塗料中の樹脂固形分100質量部に対し0.01〜3質量部の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.03〜2.5質量部、特に好ましくは0.05〜2質量部の範囲内であることが好ましい。
【0059】
工業製品に塗装を行なう場合、被塗物の形状や塗装条件によっては、塗装膜厚が変動してしまうことがある。その場合、塗装して得られる塗膜の色も変動してしまう場合があり、仕上がりが均一でなくなってしまう問題点が生じる場合がある。この問題点を解消するために、本発明においては、第1カラークリヤー塗料による塗膜と第2のカラークリヤー塗料による塗膜が、単位膜厚あたりの着色顔料の濃度が、前者対後者の比率として、30/70〜65/35の範囲内となるように着色顔料の配合量を決定する。さらに好ましい比率としては40/60〜60/40の範囲内である。
【0060】
本発明において、単位膜厚あたりの着色顔料の濃度とは、塗料組成物中の着色顔料濃度を塗装膜厚で除した数値を意味する。
【0061】
本発明の第カラークリヤー塗料は、通常、ビヒクルとして、樹脂成分を含有することができる。樹脂成分としては、具体的には、水酸基などの架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂などの基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリイソシアネ−ト化合物(ブロック体も含む)などの架橋剤とを併用したものが挙げられ、これらは有機溶剤及び/又は水などの溶媒に溶解または分散して使用される。
【0062】
さらに、本発明の第2カラークリヤー塗料には、必要に応じて、水あるいは有機溶剤等の溶媒、顔料分散剤、沈降防止剤、硬化触媒、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、レオロジーコントロール剤等の各種添加剤、体質顔料などを適宜配合することができる。
【0063】
本発明の第2カラークリヤー塗料は、前述の成分を混合分散せしめることによって調製される。塗装時の固形分含有率を、塗料組成物に基づいて、25〜80質量%、好ましくは35〜70質量%に調整しておくことが好ましい。
【0064】
本発明方法において、前記第2カラークリヤー塗料は、第1カラークリヤー塗料による第1カラークリヤー塗膜上に静電塗装、エアスプレー、エアレススプレーなどの方法で塗装することができ、その膜厚は硬化塗膜に基づいて20〜50μmの範囲内とするのが、塗膜の平滑性の点から好ましい。通常、所定の膜厚となるように塗装した後に、加熱し、乾燥硬化せしめることができる。第2カラークリヤー塗料の塗膜それ自体は、焼き付け乾燥型の場合、通常、約50〜約180℃の温度で架橋硬化させることができ、常温乾燥型又は強制乾燥型の場合には、通常、常温乾燥〜約80℃の温度で架橋硬化させることができる。
【0065】
本発明方法における被塗物(基材)について説明する。被塗物(基材)としては、鉄、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム等の金属やこれらを含む合金、及びこれらの金属によるメッキまたは蒸着が施された成型物、ならびに、ガラス、プラスチックや発泡体などによる成型物等を挙げることができる。さらにこれらの素材に応じて適宜、脱脂処理や表面処理を行なったものを被塗物(基材)としてもよい。さらに、上記金属や成形物に下塗り塗膜や中塗り塗膜を形成させたものを被塗物(基材)とすることもできる。
【0066】
上記下塗り塗膜とは、素材表面を隠蔽したり、素材に防食性及び防錆性などを付与するために形成されるものであり、下塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。この下塗り塗料種としては特に限定されるものではなく、例えば、電着塗料、溶剤型プライマー等を挙げることができる。
【0067】
また、上記中塗り塗膜とは、素材表面や下塗り塗膜を隠蔽したり、付着性や耐チッピング性などを付与したり、複層塗膜における明度を調整するために形成されるものであり、素材表面や下塗り塗膜上に、中塗り塗料を塗装し、乾燥、硬化することによって得ることができる。中塗り塗料種は、特に限定されるものではなく、既知のものを使用でき、例えば、熱硬化性樹脂組成物及び着色顔料を必須成分とする有機溶剤系又は水系の中塗り塗料を好ましく使用できる。
【0068】
特に被塗物(基材)として、各種素材や成形物に下塗り塗膜あるいは中塗り塗膜を形成させたものを用いる場合には、下塗り塗膜及び中塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に前述のメタリックベース塗料を塗装することができる。あるいは、下塗り塗膜を加熱し、架橋硬化後に中塗り塗膜を形成せしめ、中塗り塗膜が未硬化の状態で、前述のメタリックベース塗料を塗装することもできる。又は、下塗り塗膜及び中塗り塗膜が未硬化の状態で前述のメタリックベース塗料を塗装してもよい。
【実施例】
【0069】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
実施例,比較例
(製造例1)水酸基含有アクリル樹脂の製造
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート50部を仕込み、撹拌混合し、135℃に昇温した。次いで下記のモノマー/重合開始剤の混合物を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート10部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)0.6部からなる混合物を同温度に保持した反応容器内に1時間30分かけて滴下し、さらに2時間熟成した。次にエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートを減圧下で留去し、水酸基価54mgKOH/g、数平均分子量20,000、樹脂固形分65%の水酸基含有アクリル樹脂を得た。ここで数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したものを意味する。
モノマー/重合開始剤の混合物:
メチルメタクリレ−ト38部、エチルアクリレート17部、n−ブチルアクリレート17部、ヒドロキシエチルメタクリレート7部、ラウリルメタクリレート20部及びアクリル酸1部及び2,2'−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)2部からなる混合物。
(製造例2)着色顔料分散体1の製造
225ml容マヨネーズビンに、ACRYDIC A430−60(商品名、アクリル樹脂溶液、固形分60質量%、DIC社製)33.3部、ソルスパース24000GR(商品名、顔料分散剤、ルーブリゾール社製)3部、PERRIND MAROON 179−229 6440(商品名、PigmentRed 179、サンケミカル社製)を15部及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート61.7部を配合し、さらに0.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して300分分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、着色顔料分散体1を得た。
(製造例3、4)着色顔料分散体2、3の製造
IRGAZIN DPP RUBIN FTX(商品名、PigmentRed 264、BASF社製)及びPALIOGEN BLUE L6482(商品名、PigmentBlue 60、BASF社製)についても製造例2と同様にして、着色顔料分散体2、3を得た。
(製造例5)着色顔料分散体4の製造
225ml容マヨネーズビンに、ACRYDIC A430−60(商品名、アクリル樹脂溶液、固形分60質量%、DIC社製)33.3部、ソルスパース24000GR(商品名、顔料分散剤、ルーブリゾール社製)3部、モナーク1300(商品名、カーボンブラック顔料、キャボット社製)を3部及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート61.7部を配合し、さらに0.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して300分分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、着色顔料分散体4を得た。(製造例6)着色顔料分散体5の製造
225ml容マヨネーズビンに、ACRYDIC A430−60(商品名、アクリル樹脂溶液、固形分60質量%、DIC社製)33.3部、ソルスパース24000GR(商品名、顔料分散剤、ルーブリゾール社製)3部、CYANINE BLUE G−314(商品名、PigmentBlue 15:1、山陽色素社製)8部及びエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート61.7部を配合し、さらに0.5mm径のジルコニアビーズ130部を投入して密栓し、振とう型ペイントコンディショナーを使用して300分分散した。分散後100メッシュの金網濾過を行なってジルコニアビーズを除去して、着色顔料分散体5を得た。
(着色顔料の色相角度測定)
上記着色顔料分散体を、それぞれ製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)と混合して、上記の着色顔料それぞれについて、樹脂成分100部(固形分)あたり着色顔料が固形分として20質量部含む塗料を調製し、それぞれ塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調製した。得られた塗料を、予めN−9の中塗塗膜が形成された被塗物に、エアスプレーを使用して膜厚15μmとなるように塗装し、室温約20℃の実験室内に15分静置後、熱風乾燥機を使用して、140℃30分間乾燥させて、5種類の塗板を得た。それぞれの塗板について、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して45度で受光した分光反射率に基づくL*C*h表色系における色相角度hを、多角度分光光度計(x−rite社製、MA−68II)を使用して測定した。結果を表1又は表2欄外に示した。
(製造例6〜12)メタリックベース塗料1〜7の調製
製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)あたり、着色顔料及び鱗片状光輝性顔料が固形分質量部として、表1に示す比率となるように、着色顔料分散体及び鱗片状光輝性顔料を配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調製し、実施例及び比較例に使用するメタリックベース塗料1〜7を調製した。
【0070】
得られたメタリックベース塗料1〜7を、予めN−6グレーの中塗塗膜が形成された被塗物に、エアスプレーを使用して所定の膜厚となるように塗装し、室温約20℃の実験室内に15分静置後、熱風乾燥機を使用して、140℃30分間乾燥させて、それぞれの塗板について、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して45度で受光した分光反射率に基づくL*C*h表色系における彩度C*を、多角度分光光度計(x−rite社製、MA−68II)を使用して測定した。
【0071】
【表1】

【0072】
(製造例13〜19)カラークリヤー塗料1〜17の調製
ステンレス製ビーカーにカルボキシル基含有アクリル樹脂(注1)50部、エポキシ基含有アクリル樹脂(注2)50部、Tinuvin400(商品名、ヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤、チバスペシャリティケミカルズ社製)3部、テトラブチルアンモニウムブロマイドとモノブチルりん酸との当量配合物2部、BYK300(商品名、表面調整剤、ビッグケミー社製)0.1部を配合し、さらに表2に示す比率となるように着色顔料分散体及び鱗片状光輝性顔料を配合して攪拌混合し、塗装に適正な粘度に希釈してカラークリヤー塗料1〜17を調製した。
(注1)カルボキシル基含有アクリル樹脂:無水マレイン酸のメタノールハーフエステル化物20部、アクリル酸4ーヒドロキシnーブチル20部、nーブチルアクリレート40部及びスチレン20部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量3500、水酸基価78mgKOH/g、酸価86mgKOH/g。
(注2)エポキシ基含有アクリル樹脂:グリシジルメタクリレート30部、アクリル酸4ーヒドロキシnーブチル20部、nーブチルアクリレート30部及びスチレン20部からなる単量体成分の共重合体。数平均分子量3000、エポキシ基含有量2.12ミリモル/g、水酸基価78mgKOH/g。
【0073】
【表2】

【0074】
(着色顔料のヘイズ値測定)
カラークリヤー塗料に配合せしめる着色顔料を、製造例1で得られた水酸基含有アクリル樹脂75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)25部からなる樹脂成分100部(固形分)と混合して、上記着色顔料それぞれについて、樹脂成分100部(固形分)あたり着色顔料が固形分として1質量部含む塗料を調製し、それぞれ塗装に適正な粘度に希釈して、固形分約25%の有機溶剤型塗料を調製した。得られた塗料を、平滑なPTFE板に塗装し、硬化、剥離した塗膜を濁度計COH−300A(商品名、日本電色工業社製)を使用して、ヘイズ値を測定した。結果を表2欄外に示した。
(鱗片状光輝性顔料の色相角度h測定)
カラークリヤー塗料に配合せしめる鱗片状光輝性顔料の色相角度hを次に示す要領で測定し、結果を表2欄外に示した。予め測定に供する鱗片状光輝性顔料にエチレングリコールモノブチルエーテルを加えて攪拌し、固形分50質量%の高濃度鱗片状光輝性顔料液を調製し、製造例1で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液を固形分として75部、ユーバン28−60(商品名、ブチルエーテル化メラミン樹脂、三井化学社製)を固形分として25部からなるビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対して、顔料の固形分が20質量部となるように添加し、さらに有機溶剤を加えて攪拌混合し、20℃における粘度を20秒/フォードカップ#3の塗料を調製した。得られた塗料を予め黒色(N−2)の中塗塗膜が形成された鋼板を溶剤脱脂した基材に、硬化塗膜として20μmとなるようにエア霧化静電スプレー塗装し、室温約20℃の実験室に5分放置した後に、クリヤー塗料「ルーガベーククリヤー」(商品名、関西ペイント製、アクリル樹脂・アミノ樹脂系、有機溶剤型)をミニベル型回転式静電塗装機を用いて、ブ−ス温度25℃、湿度75%の条件で硬化塗膜として、30μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて、測定に供する塗板を作成した。
【0075】
得られた塗板の色相角度hをx−rite社製のMA−68II(商品名)使用して、塗板に45度の角度から照射した光を正反射光から15度で受光したときの分光反射率から色相角度を求め、結果を表1欄外に示した。
(試験板の作成)
基材の調整
脱脂及びりん酸亜鉛処理した鋼板(JISG3141、大きさ400×300×0.8mm)にカチオン電着塗料「エレクロン9400HB」(商品名:関西ペイント株式会社製、エポキシ樹脂ポリアミン系カチオン樹脂に硬化剤としてブロックポリイソシアネート化合物を使用したもの)を硬化塗膜に基づいて膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で20分加熱して架橋硬化させて電着塗膜を得た。
【0076】
得られた電着塗面に、中塗り塗料「ル−ガベーク中塗りグレー」(商品名:関西ペイント株式会社製、ポリエステル樹脂・メラミン樹脂系、有機溶剤型)をエアスプレーにて硬化塗膜に基づいて膜厚30μmになるように塗装し、140℃で30分加熱して架橋硬化させて、中塗り塗膜を形成した塗板を基材とした。
塗装
(実施例1)上記基材に、メタリックベース塗料1をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として18μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、その後にカラークリヤー塗料1をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として25μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、カラークリヤー塗料2を硬化塗膜として、35μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、複層塗膜を同時に乾燥硬化せしめて試験板を得た。
(実施例2〜10,比較例1〜5)表3に示した構成で、実施例と同様にして試験板を作成した。
【0077】
【表3】

【0078】
(評価)
意匠性:自動車外板用塗料の開発に5年以上の経験を有する技術者及びデザイナー5名が、直射日光が当たらない屋外において、試験板の角度を変えながら観察し、意匠性を以下に示す基準で評価し、結果を表3に示した。
【0079】
4:彩度感、深み感、光輝感のいずれも優れている。
【0080】
3:彩度感、深み感、光輝感のうち1つが欠けている。
【0081】
2:彩度感、深み感、光輝感のうち2つが欠けている。
【0082】
1:彩度感、深み感、光輝感のうちすべて満たしていない。
(膜厚変動色差)
1)第1カラークリヤー塗料
上記試験板と同様にして、表3に示す構成で、メタリックベース塗料を塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、その後に第1カラークリヤー塗料をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として15μm及び35μmの2水準となるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、その後に第2カラークリヤー塗料を硬化塗膜として、35μmとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、乾燥硬化せしめて、第1カラークリヤーの膜厚が2水準となる試験板を得た。両者を、上記意匠性と同様に観察し、意匠性が同等である場合から、大きく異なる場合まで4段階で評価し、結果を表3に示した。
4:カラークリヤー塗料の膜厚差によって、仕上がり意匠が同等である。
3:カラークリヤー塗料の膜厚差によって、仕上がり意匠が僅かに異なる。
2:カラークリヤー塗料の膜厚差によって、仕上がり意匠が異なる。
1:カラークリヤー塗料の膜厚差によって、仕上がり意匠が大きく異なる。
2)第2カラークリヤー塗料
上記試験板と同様にして、表3に示す構成で、メタリックベース塗料を塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、その後に第1カラークリヤー塗料をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として25μmとなるように塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、その後に第2カラークリヤー塗料を硬化塗膜として、25μm及び45μmの2水準となるようにとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、乾燥硬化せしめて、第2カラークリヤーの膜厚が2水準となる試験板を得た。両者を、上記意匠性と同様に観察し、意匠性が同等である場合から、大きく異なる場合まで4段階で評価し、結果を表3に示した。
【0083】
なお、比較例4及び6においては、メタリックベース塗料を塗装し、塗装後、室温約20℃の実験室に約15分静置し、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、その後にカラークリヤー塗料をエアスプレーを用いて、硬化塗膜として25μm及び45μmの2水準となるようにとなるように塗装した。塗装後、室温にて15分間放置した後に、熱風循環式乾燥炉内を使用して、140℃で30分間加熱し、乾燥硬化せしめて、カラークリヤー塗料の膜厚が2水準となる試験板を得た。両者を、上記意匠性と同様に観察し、意匠性が同等である場合から、大きく異なる場合まで4段階で評価し、結果を表3に示した。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の塗膜形成方法は、各種工業製品、特に自動車外板に適用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗物に着色顔料及び鱗片状光輝性顔料を含むメタリックベース塗料を塗装して得られるメタリックベース塗膜上に、第1カラークリヤー塗料を塗装し、得られた第1カラークリヤー塗膜上に第2カラークリヤー塗料を塗装する塗膜形成方法であって、第1カラークリヤー塗料と第2カラークリヤー塗料に含まれる着色顔料が同一であって且つ第1カラークリヤー塗料による塗膜と第2カラークリヤー塗料による塗膜が、単位膜厚あたりの着色顔料の濃度が、前者対後者の比率として、30/70〜65/35の範囲内である複層塗膜形成方法。
【請求項2】
メタリックベース塗膜に45度から照射した光を正反射光に対して45度で受光した分光反射率に基づくL*C*h表色系における彩度C*が20〜50の範囲内である請求項1に記載の複層塗膜形成方法。
【請求項3】
メタリックベース塗料中の鱗片状光輝性顔料として、鱗片状アルミニウム顔料を用いる請求項1又は2に記載の複層塗膜形成方法。
【請求項4】
メタリックベース塗料中の鱗片状光輝性顔料として、半透明な鱗片状基材を金属酸化物で被覆した着色パール顔料又は干渉パール顔料を用いる請求項1〜3のいずれか1項記載の複層塗膜形成方法。
【請求項5】
メタリックベース塗料中の鱗片状光輝性顔料として、鱗片状アルミニウム顔料の表面を酸化鉄又は有機着色顔料で被覆した着色アルミニウム顔料を用いる請求項1〜4のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
【請求項6】
第1カラークリヤー塗料及び第2カラークリヤー塗料に含まれる着色顔料が透明性顔料であり、該透明性顔料が、着色材として該透明性顔料のみを、ビヒクル形成成分である樹脂固形分100質量部に対して1質量部含む膜厚100μmの塗膜の、ヘイズ値が0.1〜10.0の範囲内となるものである請求項1〜6のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
【請求項7】
メタリックベース塗料、第1のカラークリヤー塗料及び第2のカラークリヤー塗料が赤色顔料を含み、該赤色顔料が、着色材として該赤色顔料のみを含む塗膜の色相がL*C*h表色系における色相角度hが、a*赤方向を0°とした場合に−30°〜45°の範囲内となるものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。
【請求項8】
第1カラークリヤー塗料が半透明な基材を酸化チタンで被覆した干渉パール顔料を含み、該干渉パール顔料が着色材として該干渉パール顔料のみを含む塗膜の、塗膜に対して45度から照射した光を正反射光に対して15度で受光したときのL*C*h表色系色度図において、色相角度hがa*赤方向を0°とした場合に−120°〜120°の範囲内となるものである請求項1〜7のいずれか1項に記載の複層塗膜形成方法。

【公開番号】特開2012−232236(P2012−232236A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100875(P2011−100875)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】