説明

複層表底構造の静電靴

【目的】静電靴に関するものであり、特に、より効果的で安定した静電性能値を示すクリートの構造、機能、軽量化及び静電靴として視認機能を有する静電靴を提供する。
【解決手段】クリートソールとフレームソールをそれぞれ一体成型し、それらを接合して一体化したソールとアッパーの間にミッドソールを埋設して構成した靴底、又はクリートソールとアッパーの間にミッドソールを埋設しあるいは射出して構成した複層表底構造において、前記クリートソールは導電性を有し、かつ黄色に着色した材料で構成し、かつクリートの着色はクリートの表面だけでなく中実で、さらに前記クリートソールは踏付け部の左右のクリートの所定接地面積および踵部の周縁の左右、後端部及び踵部真中のクリートの所定接地面積に対応するクリートを他のクリートより凸となるクリート群として構成し、さらに前記ミッドソールは導電性を有するJIST−8103に適合する静電靴。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電靴に関するものであり、特に、より効果的で安定した静電性能値を示すクリートの構造、機能を有する静電靴に関するものである。
以下本発明が属する技術分野について詳述する。
1、静電靴の技術開発で、より効果的で安定した適正な静電性能値を得る事ができる靴底の構造、特にクリートの構造、機能、等に関する技術分野。
2、静電靴の踏込みの繰返しにより、その性能が劣化するのではなく、向上できる静電靴の技術分野。
3、従来から暗くて(黒色靴が圧倒的に多い)重いという安全、静電靴等のイメージを払拭し、市場に配慮したデザイン(明るく、フレッシュで老若男女に適用できるようなイメージの靴)を可能にするような静電靴について。
4、静電性能を有する(JIST8103に規定されている安全靴の一種で、以下“静電靴”と称す。)、靴底の構造に関し、静電靴の新品時、使用期間中、メンテナンスから廃棄時迄に、静電靴としての確認のために、都度必要に応じ静電性能値を測定する必要の無い、静電靴としての確かな視認が瞬時にできる技術。
5、安全靴(JIST8101に規定)と静電靴との確かな識別を容易にし、かつその識別を瞬時(瞬時:短時間で、具体的には測定等を必要とせず、目視で確実に判定できる程度の事。以下、同定義。)に行う技術。
6、靴の包装容器の廃棄、靴ひもの使用期間中の変更(非黄色の靴ひもの採用、等)、織りネームの汚れ、摩滅、等に左右されず、静電靴本体のみで付属する関連部品(包装容器、靴ひも、織りネーム(編布、等とも呼称)、等)に依存せず安全靴に対して識別ができかつ“静電靴”としての視認が恒久的かつ瞬時に可能になるようなスリッポンタイプ短靴、長靴、半長靴、等の静電靴の技術。
7、ひも無し静電靴の靴底意匠(デザイン、模様等)の多様性の構築。
【0002】
以下、明細書中で使用する用語について説明をしておく。
〔静電靴〕日本工業規格で規定される安全靴の一つ。静電靴は“JIST8103”に規定されている。
〔安全靴〕日本工業規格で規定される安全靴の一つ。安全靴は“JIST8101”に規定されている。
〔スリッポン〕紐付きの靴では無く、甲部がコシと一体形状、又は甲カバー等で覆われ、足入れがし易い靴の構造。図5参照。Slip-Onの略称。
〔長靴、半長靴〕同じく、編上げでは無く、甲及び脛(すね)部が一体形状(縫い合せによる形状一体の場合もある。)形式になっている長靴、半長靴等の構造。
〔3層表底構造〕クリートソールとフレームソールおよびミッドソールからなる表底
〔表底〕クリートを含む接地面に接する靴底。本文ではクリートソールをさす場合もある。
〔靴底〕靴が接地する表面で、本文では複数枚構成(構造)の靴底のクリートソールを指す。
〔アッパー〕靴底から上の部分。アッパーの下部に中底を縫い合わせた状態の物も呼称する場合がある。
〔中底〕アッパーの底部に取り付けるアッパー底板状材。
〔ミッドソール〕アッパーとクリートソールの間に埋設又は射出されるゴム、ポリマー等の靴底。
〔クリートソール〕靴底の凸部群を有する靴底板状材。
〔クリートソール単体〕フレームソールを使用しない場合のクリートソール。
〔クリートソール組立〕クリートソールとフレームソールが接合された靴表底。
〔クリート〕靴底の凸部群
〔フレームソール〕本文ではクリートソールの底部を支えたり、デザインの自由度を得ている板状材。
〔開口部〕フレームソール内に設定されるクリート群の突き出る空間(窓)。
〔溝〕クリート付け根部の全周とフレームソール開口部の端との間に形成される溝。
靴部分の名称
〔踏付け部〕足の前方で、本文では“踏まず部”よりつま先迄の接地面を踏込む区域でクリート(クリート間の間隔を含む)の在る部分。
〔踏まず部〕踏付け部と踵の中間域。
〔Sst〕踏付け部全体の面積。
〔Ss〕踏付け部所定の面積。但し、表面露出し接地可能なクリート部分。本文では斜線部のクリートを指す。Ss: Square, step。
〔Sht〕踵部全体の面積。
〔Sh〕踵部所定の面積。但し、表面露出し接地可能なクリート部分。ここでは斜線部のクリートを指す。Sh: Square, heel
〔h〕踏込みとして特定されたクリート群で、他のクリートに対して突き出ている分の高さ。
〔繰返し踏付け効果〕本文では、繰返し繰返し踏付ける事によって、一定タイミング時期に特定のクリート群が硬化したり、高密度化する事による、近傍のクリート群より、接地面に接触する靴表底クリート群の改質効果。
【背景技術】
【0003】
静電靴と安全靴の相関関係、規格成立の経緯等について
静電靴は安全靴の機械・物理的な性能については、オプションを除き(例えば耐踏抜き性)、ほぼ同じ様な規格を有している。それらは安全靴としての先芯の耐圧迫強度、耐踵部の衝撃強度、等である。靴のアッパー材、等については安全靴に対し違いがある。静電靴はアッパーに非皮革を使用できる。静電性能について安全靴には規格が存在せず(オプションを除く、例えば帯電)、静電靴のみが対象である。
規格制定については安全靴は1972年に、静電靴は1979年に制定されている。静電靴は安全靴の一形態とも解される。事実上、製造に関し、静電靴と安全靴は静電靴に使用される中底材、靴底材以外は共通と解されても過言ではない。
近年の通信機器に対する配慮も時代の変遷と同時に、特にそれらの機器、及びそれらに内包されるデータの保存に関しては価値をはかる術の無い程重要な資産である。したがって、静電破壊に対する配慮は今後も必要で、その技術開発は継続されなければならない。
1)クリート構造に関する静電性能について
静電性能は着用者、接地面の状態、天候、等によって大きくバラツキが発生する。肝要な事はそれらに左右されず静電性能を発揮する静電靴、換言すれば人体の足裏から接地面、つまり静電気を逃がし易い靴底、特にクリートの適切な構造、設計が必要とされている。これらは、接地面状態等、自然や人間の慣習(歩き癖)との関りも有り、避け難い事が多いがそれらに対応する改善が強く望まれている。
静電靴として接地面と靴底、クリートの相関関係
静電靴は安全靴の一種として構造的、機械的な性能を備えながらさらに電気・電子的な性能への対応である。
従来静電靴として種々開発はされているが、静電性能の安定的な発揮・測定、等とクリートの相関関係に関する報告はない。特に静電靴の使用環境に対する、静電靴の静電性能本来の要求への対応は少なかった。
【0004】
2)靴紐を使用しない静電靴(スリッポンタイプの靴)へのJIS規格対応製品の恒久的表示法の課題
スリッポンタイプの静電靴は日本工業規格、JIST8103の規格で製品の購入時、初回使用時、等には安全靴との識別が可能である。しかし、包装容器の廃棄、静電靴としての表示を含む織りネームが汚れたり、摩滅した場合等は、従来法では静電靴としての視認による識別は困難であった。測定は可能であるが作業場所、作業環境、測定時間の消費、等によっては困難な事も少なくない。靴に織りネームを付けたり、靴底内部に“静電”と表示する事は可能であるが経時と共に識別性が劣化し判読ができなくなる。静電靴としての視認と同時に形、姿が酷似している安全靴との恒久的な識別も必要とされている。
【0005】
3)靴紐を使用しない静電靴少品種の制限
従来スリッポン型短靴、半長靴、長靴の静電靴に対しては、JIS法に例示されている“表示”はひもが無いために困難であった。このため、靴ひもの他に織りネームを着ける等しているが使用状態等によっては“表示”が明瞭とは言い難く、瞬時に視認できない。また、状況によっては測定器を常設している職域もある。これも測定誤差や、各人測定の実施性により課題は残ったままの場合もある。そのためこれらの静電靴の使用は比較的少なかった。制限されていたとも解される。
【0006】
4)従来は、安全靴に酷似した形状で、靴底材、中底、インソール、等を静電靴用に変更するだけで、画一的な製品製作をしており、デザイン的に優れたものはなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
本発明に関連した先行技術文献を以下に示す。
静電靴のクリートについて
静電靴の効果的なクリートの設計、構造、導電部所の特定、それらの面積、特に“繰返し踏込み効果“に関する技術文献、先願特許は探索できなかった。
【0008】
【特許文献1】特許第2140663号静電靴のクリートソール材料、表底、導電材、等について上記特許文献はクリートソール、フレームソールの創案、構造、製法、利用法、等を示している。しかし、静電靴に対する思料は無く、静電靴スリッポンタイプ、長靴、半長靴のついては一切言及されていない。
【0009】
静電靴用の材料、等について
【特許文献2】実用新案出願公告 昭31-553
【0010】
導電材、導電法、等について
【特許文献3】公開実用新案公報 昭48-77139
【特許文献4】公開実用新案公報 昭58-26561
【特許文献5】公開実用新案公報 昭59-28303
【特許文献6】公開実用新案公報 平3-33503
【特許文献7】公開特許公報 特開2000-312601
【0011】
足裏踵側への突起(凸形状)
【特許文献8】公開実用新案公報 昭59-191901 )
【0012】
靴底内の“特定部分”への静電材の設置
【特許文献9】公開実用新案公報 昭61-5104
【0013】
上記先行文献についての検討
1)静電靴に関する特許文献は多数あるが上記に示すような分類に分けられる。
2)それらの特許又は実用新案には特にクリートソール及び又はクリートについて本願発明の先行文献となるような“技術的思想”特に特定部分の踏み込み効果については先例は無かった。
3)先行文献に係る発明又は考案は、いずれも本願発明とは目的、解決手段、効果、等が異なっていた。
4)静電靴の表底又は及びクリートソールに関する特許文献で、クリート、クリートと静電性能の関係、等の技術開発に関する先行特許文献は無かった。
【0014】
JIS規格、T−8103 静電靴の“JIS規格表示”について
静電靴の恒久的な“表示及び又は視認”、さらに安全靴との恒久的な“識別”に関する先行特許・技術文献も探索できなかった。
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】1.カタログ “ SAFETY FOOTWEAR CATALOG 2008 DIGEST“、株式会社シモン2008,3現在
【非特許文献2】2.カタログ “ WORKING FOOTWEAR SELECTION CATALOG MIDORI FOOTWEAR“、ミドリ安全株式会社2008,10現在上記両カタログは最新版であり、“静電靴”の掲載はあるが、スリッポン型、長靴、半長靴の掲載は共に少ない。その理由として、スリッポン型、長靴、半長靴の製造は問題無いと断定(安全靴を含む静電靴のメーカなので)できるが、これらの靴がカタログに掲載が少ない理由の一つに“恒久的表示”の問題を解決できなかった事が多いと推測する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
現在静電靴、JIS規格T−8103の課題の中で
・静電性能値の安定した性能及び結果としての測定(接地面についての対応も含む)に関する技術的な事項、静電性能の安定化と軽くて履き心地のより靴の開発が望まれる。
・JIS規格T−8103の12、「表示」に係る恒久的な表示に関する事項、等の課題がある。以下詳細を述べる。
静電靴、静電性能の改善
1)静電靴の静電性能は着用者の使用状態、接地面の状態、天候、インソール等靴関連部品の追加及び使用状況、等の影響を受けている。それらに依って測定する静電性能値には“バラツキ”がある。“バラツキ”に対する因果関係の解明と静電靴としての性能改善が必要とされている。
2)静電靴は履き込みと同時に併行して靴の性能(耐滑、静電性能等)は靴底、クリート群の摩滅と同時に劣化する事が多い。又は及び劣化は“使用者、使用状況、等”により偏在する事も広く認識されている。それら劣化の偏在は矯正が困難な場合が多く、且つ他力本願であるが改善を求められている。
静電性能を安定的に保ちかつ履き心地向上のために軽量化される靴が望まれている。
【0017】
JIS規格に示される表示について
静電靴単体で恒久的に“静電靴”としての“視認”ができなかったり、安全靴と静電靴の恒久的識別ができない等の問題があり、両者の恒久的な対策が必要である。
【0018】
JIST8103の12“表示”について
上記JIS規格には静電靴の識別として“表示 静電靴には静電気帯電防止性能のある事を適切な方法で(例えば、靴ひも等を黄色に着色する又は“静電気”と表示する等)で明示するほか、次の事項(サイズ、製造業者名、等)を表示しなければならない。“と記載されている。
靴ひも、織りネーム等の使用は恒久的方法とは言えず対策が必要である。
【0019】
JIS規格表示の現況
実際はひも付き静電靴、織ネーム法等は購入時や使用開始時は“静電靴”としての識別はできるが、静電靴ひもの非黄色への変更後、織りネームが汚れた場合、等は識別できないのが実際である。スリッポン型の静電靴に対して、織りネーム等で対応する事は次善の策ではあるが識別が明瞭とは言いがたい。スリッポン型等靴ひもを使わない静電靴は、製作できるにも関わらず、市場に少なく、特注品対応が主であるのは表示の問題が主因と推測する。早急な対応が緊要とされている。
【0020】
静電靴としての識別/視認
JISマーク製品は購入時に識別ができれば良く、恒久的な“表示”が厳格に求められて無く、当該製品は現在包装容器を廃棄したり、織りネーム等が汚れたり、摩滅したり、靴ひもを非黄色で交換した場合は恒久的な表示法では無い。これら製品に対しては使用期間中に識別できない場合もあり、問題がある。
製品の包装容器は購入時、使用開始時には“静電靴“である事はJIS規格により表示が必要なので識別できるが、それ以後、例えば包装容器を破棄した時点から“静電靴”である事の確認は静電靴用靴ひもの有無、等に依存する。このため靴ひもが非黄色に交換されれば識別及び又は視認は不可能になる。現在はこのような状態を看過しているのが実情である。
一方靴ひもについては経時と共に汚れたり破損したりして交換する事も多くある。その際ありあわせのひもの使用等により、静電靴に対し“黄色靴ひも“を使用しない事もある。また織りネームの場合は汚れたりすると判読が困難な場合もある。そのような場合は使用期間中に“静電靴”である事の視認は不可能である。これについても現在はそのような状態を看過しているのが実情である。
静電靴識別の測定器又は検査器を備えている事業所等もあるが、測定や検査無しで視認できる靴の必要性が求められている。
【0021】
静電靴誤用の事故防止
静電靴はその使用環境から、静電気による事故(人身事故、石油プラント、ガソリンスタンド、塗料工場、電子部品特に半導体部品の損壊、情報が蓄積されたICチップの損壊、等)を未然に防ぐために購入時、或いは履き始め時のみではなく、使用期間中も確実に視認できる事が必要である。
【0022】
製法から起因する静電靴と安全靴の識別の困難さ及び誤用
静電靴と安全靴は同じ木型、モールド型(靴底用)を用い、一対のペアとして構成されている場合が多く、例えば、靴底の材料を安全靴用と静電靴用に都度交換する事で安全靴又は及び静電靴として製作する事である。従って多くの安全靴と静電靴は似かよった姿になり“黄色靴ひも”無しでは瞬時の識別は困難である。このような事から現状では使用期間中に靴ひもを非黄色に交換した場合等は目視による恒久的な識別が困難で改善を求められている。
【0023】
製品(開発)の制限
スリッポンタイプ、等の静電靴は靴ひもが無く静電靴として識別できない。また織りネーム等での対応は汚れたり、摩滅した場合は判読が困難になる。従ってJIS8103に基づく静電靴の製作と販売は可能であったが、表示上の問題もあり製品設計上の制限が発生していた。市場の状況は最新版の大手静電靴メーカのカタログからも瞭然である。
JIS規格に示される“表示”に関し、恒久的な対応と併行して、靴ひもだけで無く、アッパ、靴底意匠等のデザイン的自由度が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0024】
以上のように従来の静電靴についての問題点を詳細に説明してきたが、本発明ではそうした問題点を解決するために以下のような手段を採用している。
第1の解決手段は、クリートソールとフレームソールをそれぞれ一体成型し、それらを接合して一体化したソールとアッパーの間にミッドソールを埋設しあるいは射出して構成した靴底、又はクリートソールとアッパーの間にミッドソールを埋設しあるいは射出して構成した靴底を有する複層表底構造において、前記クリートソールは導電性を有し、採用するフレームソールとアッパー等とは対照的な色彩を有する黄色に着色した材料で構成し、かつクリートの着色はクリートの表面だけでなく中実で、さらに前記クリートソールは踏付け部の左右のクリートの所定接地面積および踵部の周縁の左右、後端部及び踵部真中のクリートの所定接地面積に対応するクリートを他のクリートより凸となるクリート群として構成し、さらに前記ミッドソールは導電性を有する事を特徴とするJIST−8103に適合する静電靴である。
第2の解決手段は、前記クリート踏付け部の左右クリートの所定の面積(Ss)とは、靴底の踏まず部全体の面積をSstとした場合2/5Sst>Ss>1/20Sstの面積であることを特徴とする静電靴である。
第3の解決手段は、前記クリート踵部の周縁の左右及び後端部及び踵部真中のクリートの所定の面積(Sh)とは、踵部全体の面積をShtとした場合、1/2Sht>Sh>1/5Shtの面積であることを特徴とする静電靴である。
第4の解決手段は、前記クリートソール踏付け部の左右及び踵部周縁の左右、後端部及び踵部真中の各クリートの凸部の高さは周囲のクリートの高さよりも同等又は3〜27%高く設定されていることを特徴とする静電靴である。
第5の解決手段は、前記クリートソールの全てのクリート頂部の面積は10mm2 から各クリート凸部表面積以内の面積を有することを特徴とする静電靴である。
第6の解決手段は、前記クリートソールの全てのクリートは頂部から付け根に向かって拡がるテーパ形状のクリートとして構成されていることを特徴とする静電靴である。
第7の解決手段は、前記静電靴は安全靴、スリッポン型短靴、長靴、半長靴、サンダルのいずれか一つである事を特徴とする静電靴である。
【0025】
そして、上記解決手段は以下の観点からなされた。
1.靴の着用状態と接地面の両方を勘案した、結果的に静電は接地面と接触する部分、つまり靴の静電の伝播部であるクリートの改良設計に着目し、クリートと接地面とのコンタクト性の最適設計を行う。
2.従来、静電靴の表底(クリートを含む)は安全靴、靴底の延長として捉えられていた。しかし静電靴と安全靴ではクリートの果たす役割が異なる。静電靴の靴底クリートは静電性能の導電体として接地面に接触するセンサーと通電回路の役割を担っている。本発明では静電靴用として、静電靴の導電部を特定し(他のクリートも全て静電性能用クリートとして有効であるが)、それら特定のクリートには踏込みを繰返す程に、静電性能が劣化せず、向上する技術改善を行う。クリートソールをフレームソールより軽い材料を用いることによって靴全体として軽量化を図る。
3.デザイン自由度の拡大:靴底設計自由度(経済性、ファッション性等)の拡大を図る。
4.静電靴の経済的効果、靴底としてのファッション性向上を目的としたアクセント付与等を考慮した“静電靴”を製作する。このために靴底のクリートの一部の特定箇所にのみ“JIS規格に対応できる導電性を有する黄色クリートを配した構造、形状の静電靴を提供する。
5.静電靴の恒久的識別性と視認性のため、クリートの全部又は一部をJIS規格に例示されているように黄色に配色する事で、又は表底全体の配色に黄色導電性材料を利用にする事で静電靴としての視認を恒久的に可能にする。
6.それが可能になれば、安全靴と静電靴の恒久的な識別が本人、管理者など各々に可能になる。
7.JIS規格に示されている靴の包装容器、靴ひも、織りネーム等、付帯部品に依存する識別機能(目視による視認)から靴本体から直接の視認による識別機能を付与する。
8.靴紐を使用しない静電靴スリッポン型、長靴等への製品設計制限の軽減化
9.上記したような恒久的な“表示”が可能になる事により、靴ひもや織りネームを用いなくても済むスリッポン型短靴、半長靴、長靴の供給を可能にする。
10.静電靴、JIS規格に示される“表示”に関し、恒久的な対応と併行して、靴底意匠のデザイン的自由度を拡大する。
11.静電性能を克服する対応の一つとして、踏込みの繰返しで静電靴の性能が劣化せず、踏込みの繰返しと併行して性能が向上・安定(特のクリート)できる材料改質設計を行なう。
【発明の効果】
【0026】
第1実施例及び第2実施例の効果について
本発明はクリートソール内のクリート群は全て静電性能対応であるが、特に静電靴として効果的に導電を担うクリート群を特定している(前述した斜線を施した特定のクリート群)。それらクリート群は他のクリートよりも若干高く形成されているため、踏み込みを繰返す程に各々のクリートに圧縮荷重が集中的に作用し、それが、それらクリート群の硬化、強いては高密度化につながり、つまりクリート内の空間部(靴底材成形時の発泡により生じていた。)が潰される事により、導電部の改質(硬化→高密度→良導電性)が踏込みと同時に併行して進行する。これは繰返し踏込む程に踏慣らし効果が発生する。
【0027】
下記にクリート群と接地部に関する調査を示す。
調査は足裏又はおよび靴底に光明丹を薄く塗布しての調査を含め、その状態で徒歩、荷受時、等の際の接地部分(つまり最初の導電部)を調査した。歩行距離は片道約10m位で、使用した静電靴はツマ先におおよそ20mmのトースプリングを有する。静電靴ではつまづき防止等の目的でトースプリングの設定が一般的である。本件ではトースプリングからの影響も有りツマ先での接地は少なかった。
実験回数は下記に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
クリート群接地部の調査で、特定したクリート群は従来クリート群に較べより多く、より強い圧痕を残す事を確認できた。これは従来法に較べ接地面に対し確かなグリップ力を示す事を表している。これは靴底の意匠部磨耗の大小及び又は強弱でも同様な圧痕とが観察・追認できる。
接地部(圧痕)の調査はクリートの接触部が請求項おいてに特定した部所と合致し、その有効性も確認できた。この事は靴底性能確保のための設定基準(特定した踏付け及び踵部)とその範囲内で経済性、ファッション性等を踏まえて、意匠設計の自由度が増す(意匠形状、導電部のカラー、等)事を示す。
【0030】
踏込み部に設定された、他のクリートよりも突出しかつテーパ状をしたクリートは、より確実に効果的な静電導体として本クリートから導く事ができる。他のクリートよりも高く設定されたクリートは凸部で受けた力をテーパ状クリートの底部に伝える事でそれらの反対側(つまり、ミッドソール側)ではより広い範囲で受圧できる事により確実に人体から接地面へ伝える事ができる。
クリート頂部を凸部として形成するとともにクリートをテーパ状に形成した理由
クリート表面の凸部は静電性能をより確実に、かつ効果的に発揮するために発明された。上述、“繰返し踏慣らし効果”を推進する歩行、作業、時等の着地(つまり接地)する部分を特定し、それらの部分から確実に導電させるためである。接地時の力が発泡されているミッドソールに対し、より強力に作用する。
【0031】
“静電”は足の一部と接地面とで起こる電気的現象である。接地面に対する適切な接触が必要である。接地面(凹凸の多い面、油面、地面、凍結面、床、等)に対し、(最初に)接触する靴の部所は特定する事が可能である。靴、特に靴底の構造設計にも影響を受けるが、本静電靴では足の踏付け部、踵の周縁の一部がそれら部所である事を確認した。靴の最初の接触部所は使用者の着用状態(歩行、作業、等)や接地面等の両者によって影響される。使用者の状況から内股・外股の人、“O脚”の人、体重、体型(前屈み、等)、足の状態(外反母趾、等)、等がその好例である。このような理由から静電現象の対象面は、多岐に渡るが、作業を対象とし、特異な姿勢、極端に不安定、不規則な作業場所、等を除き、多くの場合(おおよそ90%以上)は請求項に記した靴底の“踏付け部”と“踵部の周縁、後端部又は及び真中”で静電現象に対応する事が可能である。
さらに発生又は及び蓄積された“静電気”が人体や物体からそれらを通して適切に接地面にアースする事である。そのために靴踏付け及び踵部の“独立懸架的な傾動機能を有する(既存特許第2140663号)”クリート”が適切に設計された凸部形状、異物を内包し難い事等によるクリートの設置面の「グリップ力」が向上できる構造を通し、かつ、繰返し踏付け効果を通して、ミッドソールが適切にクリート群をグリップできる各クリートの構造、機能を有することが望ましい。
通常作業での歩行時、作業時、等あらゆる行動の体重移動時、姿勢制御・変更時、行動停止時、等の調査・観察でもほとんどは踏付け部、踵部が軸になって接地面に最初に接地している。これは靴底の意匠部磨耗の大小及び又は強弱でも同様の事が観察・追認できる。
【0032】
静電性能は接地面と接触するクリートの大きさが小さい場合は安定的な静電性能を得る事ができない場合があった。静電性能はクリートの接地面との大きさだけでは無く、クリート構造、クリートと接地面の状況によって大きく変化する。
上述調査、今迄の経験から材料発泡性の効果、踏込みによる靴底の経時変化、等による靴底のクッション性、耐久性、等については別個に知見、経験を有している。本法(本法の範囲では、つまり材料の種類、配合、等の実際値)では初期性能で発泡性の高低によるクッション性、耐久性、耐久性から導かれる静電性能維持の長期間の有効性、等が予見可能である。これらの現象は普遍と考えられ、本法にも適用でき、本法による静電靴は(詰まりクリート)効果的な静電アースの導電部になる。
本出願は前提として実用新案第2149749号、特許第2140663号に示されている3層表底構造、クリート付け根周りの溝形成(2層である)と軟らかいミッドソールによるクリートの傾動効果を継承しつつ、その効果を静電靴の静電性能の適切な導電に適用し(傾動による発泡されているミッドソールポリマー材の適切な圧縮と復元の繰り返し)併せて下記新規発明による技術要素で相乗効果を得た。
1.本願は静電靴として、導電部を特定し、かつ、2.その面積(強いては体積)を特定し、かつ、3.クリートの改良設計により「踏み慣らし」効果を導く。
3層表底構造方式としてクリートソールとフレームソールを別個成形する事によりのみ、クリートソールより軽いフレームソールを設定でき、採用するフレームソール、アッパ等とは対照的な色彩を有する。
静電靴のクリートソールのみに「黄色」の着色を施し、フレームソールで非クリート部を覆う(カバー)構造を得られるために、静電機能に直結し、接地する「クリート群」のみを絶えず恒久的に「黄色」で露出(識別・視認)することができる。これは同様の理由で、当該クリートソールのみを中実として恒久的に黄色を保持できる。
静電靴底性能確保のための設定基準(特定した踏付け及び踵部)内で経済性、ファッション性等を踏まえて、一つひとつのクリート、クリートの色彩、高さ、等を勘案できる意匠設計の自由度を増す事ができた。
【0033】
クリートの色彩はJIS規格で静電靴として識別に指定(例示)している靴ひもと同じ黄色にする。これにより靴ひも、織りネームト等とは変わって、静電靴の底材に識別機能を付与する事で恒久的な識別を可能にし、さらに都度測定する事無しに“静電靴”である事を恒久的に視認できる。
本実施例では靴底のクリートソールは靴底の全体の大きさを有するのでフレームソールとミッドソール間にその端面が靴底全周に渡って現れる。静電靴としての“視認”の補助法として活用できる。
静電靴を着用する作業場面はいたる所にたくさん有り、測定機器の準備やそのための時間を確保する必要も無く視認できるので産業への寄与は多きいものがある。
踵部のクリートは受圧の他に、異なる場面での活用もある。
工場、作業現場、等で靴を靴箱に整列する事は普通に行われる事である。そのような際、多くは靴のつま先を靴箱奥に、踵部を靴箱の入り口に置く事が多い。このような際に、踵後端部が黄色い事により安全靴と静電靴は容易に識別及び視認が可能になる。
【0034】
第3実施例の効果
静電靴としての技術的制限(導電部の部所、面積、等)の遵守内で、他の部所に対しても、例えばつま先、踏まず部、等に一つひとつのクリート形状、クリートの色彩、クリートの高さ、等を性能とファッション性を勘案し、並存してヒモ無し静電靴としての可能性を示した。
【0035】
以下の表に本発明と従来品との比較表を示す。
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】フレームソールとクリートソールを有し、クリートソール全体を黄色に着色し、特定のクリート群(図中斜線部分のクリート群)はフレームソールの開口部より突出し、さらにそれら特定のクリート群(図中斜線部)のみを他のクリートよりも若干突出して構成した状態の第1実施例に係る靴底図である。
【図2】フレームソールがなくクリートソールで構成した靴底図であり、この図でもクリートソール全体を黄色に着色し、特定のクリート群(図中斜線部分のクリート群)のみを、他のクリートよりも若干突出して構成した状態の第2実施例に係る靴底図である。
【図3】図1の断面図である。
【図4】図2の断面図である。
【図5】図1の靴底を採用した第3実施例に係るスリッポンタイプの靴の側面図と靴底図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0037】
〔第1実施例〕図1、3において、靴底には従来の靴と同様に複数のクリートが形成されており、本出願人に係る実用新案第2149749号および特許第2140663号に開示されるクリートソールとフレームソールのクリート付け根部の特徴を継承している。クリートソールとフレームソールは一体成型又は別個に成形したそれらを接合し、それらとアッパーの間にミッドソールを射出して靴底を成型する。この靴底の構造、製法、等は従来製造法に同じであり、従来法(実用新案第2149749号および特許登録第2140663号に記載の製造法)に較べ変更点は少なく従来品に極めて近似した様態で製造することができる。
図1、3において、第1実施例に係る靴底はフレームソール1、クリートソール2およびミッドソール3を積層して構成されている。
【0038】
フレームソール1は従来特許(特許第2140663号)のものと同じであり、後述するクリートソール2のクリート5に対向する部分に開口部4を有し、この開口部4からクリートソール2のクリート5を靴底表側に突出できるように構成されている。フレームソール1は従来公知のフレームソールと同じ材料(合成ゴム等)を使用して構成されている。フレームソールはクリートソールよりも発泡率などの加減により減量も可能である。
フレームソール1に積層するクリートソール2は、導電性を有する材料を使用し、さらにクリートソール全体に黄色に着色されており、靴底にむけて多数のクリート5が一体に形成されている。次いで全面黄色のクリートソールとフレームソールに覆われ靴底表面には静電性能に最重要な係わりを持つクリートだけが黄色で露出される。これらのクリート5は図3に示すように、クリートの根元にむけて広がるテーパ状5a(たとえばクリート頂部からクリート付け根部に向けて広がるようなテーパ形状、具体的にはクリートの付け根はクリート頂部より3〜30%広がるテーパ面、一例としてクリート頂部よりも付け根部が約2.0mm程度広がっている寸法構成)を有している。
【0039】
そしてクリートソール2に形成されている多数のクリート5の中から、特定のクリート(図1中ハッチングをしてあるクリート、これについての詳細は後述する)のみが他のクリートよりも若干高くh(クリートの高さの約3〜27%、一例として約0.5mm程度高く)構成されている。
前記特定のクリート5とは、クリートソール踏付け部の左右クリート群及びクリートソール踵部の周縁の左右及び後端部(実施例1では踵部真中は省かれている。)のクリート群の内、図1中斜線を施した部分のクリートである。
斜線を施した部分の左右踏付け部の左右クリートの合計接地面積Ssとしては、靴底の踏みつけ部全体の面積をSstとした場合2/5Sst>Ss>1/20Sstの面積に対応する面積、たとえば、靴サイズが26cmの場合、左右踏付け部の左右クリート群の合計接地面積が略1700mm2 に対応する面積である。
また、クリート踵部の周縁の左右及び後端部(実施例1では真中は省かれている。当該クリート部はハッチング部分のみである。)の図1中ハッチングを施したクリートの接地面積Shは、踵部全体の面積をShtとした場合、1/2Sht>Sh>1/5Shtの面積に対応する面積、たとえば約1250mm2 の面積を有している。
【0040】
そして、上記したサイズの靴であれば、左右踏付け部の左右クリート群の内、接地面積の合計が略1700mm2 となるクリートが他のクリートよりも若干高くh(約0.5mm)形成されており、また、クリート踵部の周縁の左右及び後端部のクリートのうち、接地面積の合計が略1250mm2 の面積を有しているクリートが他のクリートよりも若干高くh(約0.5mm)形成されている。
そしてクリートソール2は静電性能を有するゴムを射出成型法で構成されている。具体的にはクリートソール2の材料は静電性能を有しており、さらその材料は黄色染料で配色されている。クリートソール2の色彩はクリート表面だけでなく中実として構成されている。
【0041】
上記靴底を使用した静電靴の製作
静電靴としては、クリートソール2とフレームソール1を一体成型又はそれらを別々に成形した後接合したものと、アッパーの間にミッドソール3(導電性ポリマー)を射出して靴底を成型する。靴底の構造、製法、等は従来製造法に同じである。従来法(実用新案第2149749号および特許第2140663号)に較べ製造手順的な変更点は少なく従来品に極めて近似した様態で製造できる。
【0042】
〔第2実施例〕 上記第1実施例ではフレームソール1を使用した靴底について説明したが、第2実施例は図2、4に示すようにフレームソール1を省略した靴底構造に特徴がある。
フレームソールを省く場合には、静電性能は、図4から明らかなようにミッドソール3とクリートソール2のみの構成に依存することになる。またクリートソール(靴底)は全面を通して黄色に配色される。第2実施例においても、左右踏付け部の左右クリート群の内、接地面積の合計が所定値となるクリートが他のクリートよりも若干高く形成されており、また、クリート踵部の周縁の左右及び後端部のクリートのうち、接地面積の合計が所定値の面積に対応する面積を有しているクリートが他のクリートよりも若干高く形成されている。このクリートの構造は、前記第1実施例と同様である。
【0043】
〔第3実施例〕
スリッポン型静電靴、(紐無し)長靴、半長靴の製作
日本工業規格、JIST8103に沿ってスリッポン型静電靴、(紐無し)長靴、半長靴を製作したものを図5に示す。
これは従来、静電靴としては“表示”の観点から使用が不便であった靴が、靴底に恒久的な“表示”法を実現した事により使用し易くなる。”表示”に関しJISには“適切な方法による表示”と示され靴ひもの着色について例示されている。
従来これら静電靴を製作する事に何ら問題は無かった。しかし靴ひもを使えない事から又は及び織りネームの汚れ、織りネーム表示部分(靴アッパーの一部、靴踵部、等)の摩滅により使用期間中に表示が消滅し、強い不便があった。それらにより販売体制・意欲が削がれた事も否定できない。強いては利用者に最適な商品供給を怠っている。今回本出願人は従来の特許(特許番号第2140663号)に基づいて静電靴の静電性能伝播(感知)能力の向上と共にクリートソールに導電性材料に黄色の配色をする事でこれら“静電靴”の“表示”に関する問題も解決する。本法によれば靴本体にJIS規格に示される"黄色"を配色する事で靴の寿命期間に等しい恒久的な“表示”により“使用”する事を促進できる。
本法は恒久的な表示を約束できる画期的な方法である。靴ひもを使用しないで又は織りネームが摩滅しても製品への静電靴としての“表示”が不可能であったのが、本法により靴全体への直接的な表示ができるようになり“使用”の促進ができるようになった。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、静電靴クリートを変形して、たとえば静電靴本体の一部に、JIS規格に準拠して識別機能を付与する場合、靴底の側面、クリートソールの端面、靴底のJISマーク等の凹面部、表底全面、クリート間の低地に黄色の材料の導電性材料を使用してもよい。
また、本発明はその精神または主要な特徴から逸脱する事無く、他のいかなる形態でも実施する事ができる。そのため前述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
1.技術的開発事項は、特別な新規製造装置(各製品毎の金型は除く。)を必要とせず従来製造装置をそのまま使用でき、さらに静電靴の静電性能の安定性とともに軽量化を向上させ、静電上の安全性を必要とする職域での使用に貢献できる。
2.JIST8103に規定する12項の“表示”に対し恒久的に靴単体で“視認”でき、かつ安全靴との”識別”も可能にしており、さらに工業的生産性についても特に問題は無い。
3.日本工業規格、JIST8101に規定する安全靴に対しても、より軽量化、耐滑性(繰返し踏込み後)を要する安全靴として各種職域での使用に貢献できる。
【符号の説明】
【0046】
1 フレームソール
2 クリートソール
3 ミッドソール
4 開口部
5 クリート
5a テーパ面
6 クリートソールとフレームソール一体に成形したクリートの付け根部全周に形成した溝
h クリートの突出部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリートソールとフレームソールをそれぞれ一体成型し、それらを接合して一体化したソールとアッパーの間にミッドソールを埋設しあるいは射出して構成した靴底、又はクリートソールとアッパーの間にミッドソールを埋設しあるいは射出して構成した靴底を有する複層表底構造において、
前記クリートソールは導電性を有し、採用するフレームソールとアッパー等とは対照的な色彩を有する黄色に着色した材料で構成し、かつクリートの着色はクリートの表面だけでなく中実で、
さらに前記クリートソールは踏付け部の左右のクリートの所定接地面積および踵部の周縁の左右、後端部及び踵部真中のクリートの所定接地面積に対応するクリートを他のクリートより凸となるクリート群として構成し、さらに前記ミッドソールは導電性を有する事を特徴とするJIST−8103に適合する静電靴。
【請求項2】
前記クリート踏付け部の左右クリートの所定の面積(Ss)とは、
靴底の踏まず部全体の面積をSstとした場合2/5Sst>Ss>1/20Sstの面積であることを特徴とする請求項1に記載の静電靴。
【請求項3】
前記クリート踵部の周縁の左右及び後端部及び踵部真中のクリートの所定の面積(Sh)とは、踵部全体の面積をShtとした場合、1/2Sht>Sh>1/5Shtの面積であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電靴。
【請求項4】
前記クリートソール踏付け部の左右及び踵部周縁の左右、後端部及び踵部真中の各クリートの凸部の高さは周囲のクリートの高さよりも同等又は3〜27%高く設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電靴。
【請求項5】
前記クリートソールの全てのクリート頂部の面積は10mm2 から各クリート凸部表面積以内の面積を有することを特徴とする請求項1〜4のずれかに記載の静電靴。
【請求項6】
前記クリートソールの全てのクリートは頂部から付け根に向かって拡がるテーパ形状のクリートとして構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の静電靴。
【請求項7】
フレームソールはクリートソールより高発泡で成形したことを特徴とする請求項1〜6の何れか一つに記載の静電靴。
【請求項8】
前記静電靴は安全靴、スリッポン型短靴、長靴、半長靴、サンダルのいずれか一つである事を特徴とする請求項1〜7の何れか一つに記載の静電靴。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−244903(P2011−244903A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118903(P2010−118903)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(390002222)株式会社シモン (7)
【Fターム(参考)】