説明

複式容器

【課題】副容器に形成された隔壁を切断する切断部を容器本体側に設けておき、副容器を容器本体に装着したときに当該隔壁が切断されて、副容器に収容された内容物が容器本体内に流入するようにした複式容器において、副容器内の圧力が高い状態のまま容器本体に装着して副容器の隔壁を切断した場合であっても、隔壁が切断される際に、副容器内の圧抜きがなされるようにする。
【解決手段】収容室30の一部を画成する隔壁30aと、この隔壁30aが形成された部位を含む筒状垂下部312とを備える密封された容器3を、軸方向と平行に立ち上がる円筒部の上端側を軸方向に対して斜めに切り取った形状とされた切断部221を筒状垂下部312に挿入し、切断部221の外周面が筒状垂下部312の内周面に密着した状態で隔壁30aを切断することによって開封するにあたり、切断部221の上端面に切り欠き部221cを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部環境への内容物の漏洩を有効に回避しつつ、容器内に形成された複数の収容室のそれぞれに別々に収容された内容物を混ぜ合わせることができる複式容器に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、副容器に形成された隔壁を切断する切断部を容器本体側に設けておき、副容器を容器本体に装着したときに当該隔壁が切断されて、副容器に収容された内容物が容器本体内に流入するようにして、外部環境への内容物の漏洩を有効に回避しつつ、複数の内容物を混ぜ合わせることができる複式容器を先に提案した(特許文献1参照)。
【0003】
かかる複式容器によれば、内容物の取り出し易さを考慮して、容器本体をスクイーズ可能な柔軟な材料によって形成する一方で、副容器については、もっぱら、その密封性に着目して設計することができるため、副容器ごと内容物を加熱処理するような使用態様に供される場合であっても、副容器内の密封性が損なわれないようにすることが容易となる。その結果、上記の使用態様に供される場合に、副容器ごと加熱処理された内容物と、容器本体に収容された内容物とを、外部環境と隔絶された状態を維持しながら混ぜ合わせることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2009/130948号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1には、容器本体側に設けた切断部によって、副容器に形成された隔壁を切断する際に、当該隔壁の一部が副容器の胴部内周面とつながった状態で、副容器の胴部内周面と切断部との間に挟持されるようにし、このようにすることで、切断された隔壁が、副容器の内容物が容器本体内に流入する際の妨げにならないようにした例を開示した。
【0006】
しかしながら、副容器ごと内容物を加熱処理すると、主にヘッドスペース内の空気が膨張して副容器内の圧力が高まるが、副容器内の圧力が高いうちに容器本体に副容器を装着して、その隔壁を切断しようとすると、図12(b)に示すように、隔壁30a(CT)が切断部221(CT)の上端面に押し付けられた状態となってしまう。そして、そのまま隔壁30a(CT)を切断しようとすると、図12(c)に示すように、隔壁30a(CT)が副容器3(CT)の胴部内周面から切り離されて切断部221(CT)の開口部を塞いでしまい、副容器内の内容物が容器本体に流入するのを妨げるおそれがあることが、本発明者らのその後の検討によって見出された。
【0007】
なお、図12は、従来技術を示す説明図であり、図12(a)は、隔壁30a(CT)を切断する前の状態、図12(b)は、隔壁30a(CT)を切断している途中の状態、図12(c)は、副容器3(CT)の胴部内周面から切り離された隔壁30a(CT)が、切断部221(CT)の開口部を塞いでしまった状態を、それぞれ模式的に示している。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、副容器内の圧力が高い状態のまま容器本体に装着して副容器の隔壁を切断した場合であっても、隔壁が切断される際に、副容器内の圧抜きがなされるようにして、上記したような問題を有効に回避することができるようにした複式容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る複式容器は、第一収容室を形成する容器本体と、第二収容室を形成する副容器とを少なくとも備え、前記副容器に、前記第二収容室の一部を画成する隔壁と、前記隔壁が形成された部位を含む筒状垂下部とを設け、前記容器本体には、前記副容器が装着される装着部を設けるとともに、前記装着部に、軸方向と平行に立ち上がる円筒部の上端側を前記軸方向に対して斜めに切り取った形状とされ、前記副容器に設けられた前記隔壁を切断する切断部を設け、前記副容器を前記装着部に装着したときに、前記切断部が前記筒状垂下部に挿入されて、前記切断部の外周面が前記筒状垂下部の内周面に密着した状態で、前記隔壁が切断されるようにするにあたり、前記切断部の上端面に切り欠き部を形成するか、又は前記切断部の上端面に開口する溝部を前記切断部の外周面に沿って形成した構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、密封された容器内の圧抜きをしつつ、当該容器を開封することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る複式容器の実施形態を示す概略分解図である。
【図2】本発明に係る複式容器の実施形態を示す分解断面図である。
【図3】図1に示す容器本体に密封部材と保護部材とを取り付けた例を示す説明図である。
【図4】切断部によって副容器に形成された第二収容室隔壁の薄肉とされた周縁が徐々に切断されていく例を示す説明図である。
【図5】容器本体の装着部に設ける切断部の一例を示す説明図である。
【図6】第二収容室隔壁を切断する際に副容器内の圧抜きがなされる様子を示す説明図である。
【図7】容器本体の装着部に設ける切断部の一例を示す説明図である。
【図8】本発明に係る複式容器の実施形態の使用例における一工程を示す説明図である。
【図9】本発明に係る複式容器の実施形態の使用例における一工程を示す説明図である。
【図10】本発明に係る複式容器の実施形態の使用例における一工程を示す説明図である。
【図11】本発明に係る複式容器の実施形態を廃棄処理する際の形態を示す説明図である。
【図12】従来技術を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る複式容器の一例について、その概略を示す分解図であり、図2は、図1中一点鎖線で示す複式容器1の中心軸を含む紙面に平行な面で切り取った断面図である。
【0013】
まず、本実施形態に係る複式容器の概要を説明するに、図1及び図2に示す例において、複式容器1は、第一収容室20を形成する容器本体2と、第二収容室30を形成する副容器3と、開封注出部材4とを備えている。
また、複式容器1を使用する際には、副容器3は容器本体2の装着部22に装着され、開封注出部材4は容器本体2の内容物取り出し口23に装着されるところ、使用前の流通、保管時には、図3に示すように、容器本体2の装着部22には封止部材5が取り付けられるとともに、容器本体2の内容物取り出し口23には保護部材6が取り付けられるようになっている。
なお、図3は、図1に示す容器本体2に内容物S3を収容して封止部材5で密封するするとともに、内容物取り出し口23に保護部材6を取り付けた状態を示す説明図である。
【0014】
このように、本実施形態に係る複式容器1は、容器本体2、副容器3、開封注出部材4、封止部材5、保護部材6の五つの部材を備えている。
本実施形態において、これらの部材は、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリアセタール,ポリブチレンテレフタレート等のエンジニアリングプラスチックなどの熱可塑性樹脂材料を用いて、射出成形などにより製造することができる。各部材は、全て同じ材料を用いて製造されたものであってもよいが、部材毎に要求される機能などの違いに応じて、使用する材料を適宜異ならせることもできる。また、各部材は、遮光を目的として着色してもよく、収容した内容物を外部から視認可能となるように透明又は半透明色としてもよい。
【0015】
次に、上記各部材の詳細な構成について、副容器3、容器本体2、開封注出部材4の順に、これらを中心に説明する。
【0016】
[副容器]
副容器3は、一方の端部側(図中上端側)が開口部とされ、他方の端部側(図中下端側)が第二収容室30の一部を画成する第二収容室隔壁30aによって閉塞された筒状の胴部31と、この胴部31の開口部に取り付けられて、胴部31と第二収容室隔壁30aとで画成された第二収容室30を密封する蓋体32とを有している。
【0017】
第二収容室隔壁30aは、図示するように、胴部31の内周面側の周縁が薄肉とされている。そして、副容器3を容器本体2の装着部22に装着したときに、後述する容器本体2の装着部22に設けられた切断部221により薄肉とされた周縁に沿って切断され、これによって、密封された状態にある副容器3が開封されるようになっている。
【0018】
また、胴部31の他方の端部側は、第二収容室隔壁30aが形成された部位を含む筒状垂下部312とされている。この筒状垂下部312の外周面にはネジ部が形成されており、これと対になるネジ部が、後述する容器本体2の装着部22に設けられたシール筒222の基部側の内周面に形成されている。これにより、副容器3は、容器本体2の装着部22にネジ嵌合によって回転しながら装着されるようになっている。
副容器3を開封したときに、切断された第二収容室隔壁30aは、筒状垂下部312の内周面と一部がつながった状態で、筒状垂下部312の内周面と容器本体2の装着部22に設けられた切断部221との間に狭持されるようにして、胴部31から切り離されて脱落してしまわないようにするが、これについては後述する。
【0019】
蓋体32は、胴部31の開口部に着脱自在に取り付けられて、収容された内容物が外部に漏洩しないように、副容器3に形成される第二収容室30を密封する。
図示する例において、蓋体32は、一対の張り出し部325が形成された外側筒部321と、外側筒部321の上端側に接続する天板部323とを有している。天板部323には、内側筒部322と環状突起324とが同心状に垂下するように設けられている。胴部31の開口部側の外周面と、蓋体32の外側筒部321の内周面とにはネジ部が形成され、ネジ嵌合によって蓋体32が胴部31に取り付けられるようになっている。これとともに、蓋体32を胴部31に取り付けたときに、内側筒部322と環状突起324との間で胴部31の開口部端縁側を挟み込むようにして、その密封性を高めている。
【0020】
さらに、蓋体32を胴部31に取り付けたときの密封性を高めるためには、胴部31の開口部端縁の先端面に当接する環状の突起を、蓋体32側の対応する位置に形成するようにするのが好ましい。このようにすることで、たとえ、内側筒部322の外周面と胴部31の内周面との間から内容物が漏洩したとしても、胴部31の開口部端縁の先端面と、これに当接する環状の突起とにより、それ以上の漏洩を防止することができる。
【0021】
また、副容器3の胴部31の外周面には、図示するようなフランジ部311を周方向に沿って形成することで、その剛性を高めることができる。さらに、フランジ部311の下方における胴部31の外周面には、図示するようなローレット加工を施して、胴部31に蓋体32をネジ嵌合によって着脱する際の滑り止めとすることもできる。
【0022】
[容器本体]
容器本体2は、筒状に形成された胴部21を有しており、この胴部21の一方の端部側(図中上端側)には、副容器3が装着される装着部22が設けられている。また、胴部21の他方の端部側(図中下端側)には、内容物取り出し口23が設けられており、この内容物取り出し口23には、開封注出部材4が装着されるようになっている。
【0023】
装着部22には、副容器3を装着したときに、副容器3に形成される第二収容室30の一部を画成する第二収容室隔壁30aを切断する切断部221と、その外周側に切断部221と同心状に立ち上がる筒状のシール筒222とが設けられている。シール筒222の基部側の内周面にはネジ部が形成されており、ネジ嵌合によって副容器3を装着部22に装着することによって、第二収容室隔壁30aの切断がなされるようになっているのは前述した通りである。
【0024】
切断部221を副容器3の筒状垂下部312に挿入したときに、切断部221とシール筒222とで筒状垂下部312が狭持され、切断部221の外周面が筒状垂下部312の内周面に密着した状態となるように、これらの肉厚などの寸法を適宜調整することで、第二収容室隔壁30aを切断する際のシール性を高めることができる。
このとき、切断部221の基部側の径を大きくするなどして、第二収容室隔壁30aの切断が開始されるよりも前に、切断部221の外周面が筒状垂下部312の内周面に密着した状態となるようにするのが好ましい。
【0025】
切断部221は、軸方向と平行に立ち上がる円筒部の上端側を軸方向に対して斜めに切り取った形状とすることができる。これにより、副容器3を装着部22に装着する際に、切断部221の先端が、第二収容室隔壁30aの薄肉とされた周縁の一部に食い込むことによって切断が開始され、さらに副容器3が押し込まれていくにつれて、第二収容室隔壁30aの薄肉とされた周縁が徐々に切断されていくようになっている。
切断部221の上端面は、図示するような直線状に切り取られた面とする態様に限られない。切断部221の先端と他の面との間に高低差があり、切断部221の先端が、第二収容室隔壁30aの薄肉とされた周縁の一部に食い込むことによって切断が開始されるようになっていれば、切断部221の上端面は、緩やかな凸面又は凹面となっていてもよい。
なお、切断部221の先端とは、切断部221の上端面のうち軸方向に沿って最も高い位置にある部位をいうものとする。
【0026】
切断された第二収容室隔壁30aが、副容器3の筒状垂下部312の内周面と一部がつながった状態で、副容器3の筒状垂下部312の内周面と切断部221との間に狭持されるようにして、副容器3の胴部31から切り離されて脱落しないようにするのは前述した通りであるが、このためには、切断部221の先端側の外径を窄めて逃げ部を形成しておくとともに、切断部221の寸法などを考慮して、第二収容室隔壁30aが形成される位置を決定すればよい。図示する例では、容器本体2の装着部22に副容器3を装着したときの切断部221との相対的な位置関係を考慮して、胴部31の他方の端部の先端から所定の長さだけ内方に入り込んだ位置に、第二収容室隔壁30aを形成している。
【0027】
図4は、切断部221によって第二収容室隔壁30aの薄肉とされた周縁が徐々に切断されていく例を示す説明図である。図4にあっては、副容器3がネジ嵌合によって回転しながら装着部22に装着されていく状態を示す要部断面図と、それぞれの状態における第二収容室隔壁30aを示す平面図とを組み合わせて当該状態を説明するが、図4(b)〜(e)のそれぞれは、副容器3を図4(a)に示す状態から時計回り(CW)に45゜,90゜,125゜,175゜回転させた状態を示している。また、第二収容室隔壁30aを示す平面図では、切断部221の先端の位置を符号Pで示し、第二収容室隔壁30aの切断された部位を符号CLで示している。
【0028】
図4に示すように、副容器3がネジ嵌合によって回転しながら装着部22に装着されるに際し、通常、副容器3は、時計回り(CW)に回転しながら装着部22内に押し込まれていき、これとともに、副容器3の筒状垂下部312に挿入された切断部221が、筒状垂下部312内を相対的に上昇する。そして、切断部221の先端が第二収容室隔壁30aの薄肉とされた周縁の一部に当接し(図4(a)参照)、さらに副容器3を回転させると、切断部221の先端が第二収容室隔壁30aの薄肉とされた周縁の一部に食い込んで切断が開始され(図4(b)参照)、第二収容室隔壁30aの薄肉とされた周縁が徐々に切断されていく(図4(c),図4(d)参照)。その後、副容器3をほぼ半回転させたところで副容器3の装着が完了し、切断された第二収容室隔壁30aが、筒状垂下部312の内周面と一部がつながった状態で、筒状垂下部312の内周面と容器本体2側に形成された切断部221との間に狭持される(図4(e)参照)。
【0029】
第二収容室隔壁30aを切断して密封された状態にある副容器3を開封するにあたり、副容器3内の圧力が高いと、第二収容室隔壁30aが切断部221の上端面に押し付けられてしまい、そのまま第二収容室隔壁30aを切断しようとすると、第二収容室隔壁30aが副容器3の胴部31の内周面から切り離されて、切断部221の開口部を塞いでしまい、副容器3内の内容物が容器本体2に流入するのを妨げるおそれがあるのは前述したとおりである。
このような不具合を避けるために、本実施形態では、図5に示すように、切断部221の上端面に切り欠き部221cを形成している。このような切り欠き部221cを切断部221の上端面に形成することで、第二収容室隔壁30aを切断して副容器3を開封する際に、第二収容室隔壁30aと切断部221の上端面との間に隙間が形成され、この隙間から副容器3内の圧力を逃がすことができる(図6(b)参照)。これにより、第二収容室隔壁30aを切断する際に、第二収容室隔壁30aが切断部221の上端面に押し付けられてしまうのを有効に回避し、密封された副容器3内の圧抜きがなされるようにすることができる。
【0030】
ここで、図5は、図2などに示す例から切断部221を抜き出して示す説明図であり、図5(a)は、切断部221の斜視図、図5(b)は、図2と同じ向きからみた正面図であり、図5(c)は、図5(b)中右側からみた側面図である。
また、図6は、第二収容室隔壁30aを切断する際に、副容器3内の圧抜きがなされる様子を示す説明図であり、図6(a)は、隔壁30aを切断する前の状態、図6(b)は、隔壁30aを切断している途中の状態、図6(c)は、切断された第二収容室隔壁30aが、筒状垂下部312の内周面と一部がつながった状態で、筒状垂下部312の内周面と容器本体2側に形成された切断部221との間に狭持される状態を、それぞれ模式的に示している。
【0031】
また、図4に示すようにして第二収容室隔壁30aが切断されていくに際し、第二収容室隔壁30aの切断された部位CLは、副容器3の回転に伴って、副容器3の回転方向側に移動していく。その一方で、副容器3の回転方向と反対側に位置する部位が、切断部221の上端面に押し上げられるようにして徐々に切断されていく。
このため、第二収容室隔壁30aの切断された部位CLは、副容器3の回転方向と、その反対方向の両方に等しく延びていくようにみえるが、このとき、切断部221の先端Pに対して副容器3の回転方向と反対側に位置する切断部221の上端面が、第二収容室隔壁30aを持ち上げるようにして、その薄肉とされた周縁を切断しているのに対し、切断部221の先端Pに対して副容器3の回転方向側に位置する切断部221の上端面は、第二収容室隔壁30aの既に切断された部分を持ち上げているだけである。
【0032】
したがって、切断部221の先端に対して副容器3の回転方向と反対側に位置する上端面が欠落すると、副容器3を回転させる際の抵抗が大きくなってしまうなどして、第二収容室隔壁30aの切断に支障をきたしてしまうおそれがあるが、切断部221の先端に対して副容器3の回転方向側に位置する上端面が欠落しても、第二収容室隔壁30aの切断に支障をきたしてしまうおそれは少ない。
このため、切断部221の上端面に切り欠き部221cを形成するにあたっては、切断部221の先端に対して副容器3の回転方向側となる位置に切り欠き部221cを形成するのが好ましい。
【0033】
さらに、上記した観点から第二収容室隔壁30aの切断に支障をきたすことなく、第二収容室隔壁30aの切断とともに、副容器3内の圧抜きを効果的に行うには、切断部221の上端面のうち軸方向に沿って最も低い位置にある部位と、切断部221の先端との高低差の半分の高さとなる位置に対して、切断部221の先端側となる位置に、切り欠き部221cを形成するのが好ましい。より具体的には、切断部221の上端面に切り欠き部221cを形成するにあたり、その切り欠き位置を次のようにして決定するのが好ましい。
すなわち、軸方向に直交する平面を投影面とする切断部221の上端面の正射影を図7(b)に示すが、かかる正射影において、切断部221の中心Oを起点に切断部221の先端を通る線分をLとし、切断部221の中心Oを起点に切り欠き部221cの切断部221の先端側の切り欠き位置を通る線分をLとし、切断部221の中心Oを起点に切り欠き部221cの切断部221の先端と反対側の切り欠き位置を通る線分をLとしたときに、線分Lと線分Lとのなす角度θと、線分Lと線分Lとのなす角度θと、線分Lと線分Lとのなす角度θとの間に、5゜≦θ≦90゜、−5゜≦θ≦45゜、5゜≦θ(=θ+θ)≦90゜となる関係が成り立つように、切り欠き部221cの切り欠き位置を決定するのが好ましく、より好ましくは、5゜≦θ≦45゜、0゜≦θ≦30゜、5゜≦θ(=θ+θ)≦60゜となる関係が成り立つようにする。
なお、角度θ,θ,θは、副容器3の回転方向を「+」、副容器3の回転方向と反対の方向を「−」として規定するものとする。
【0034】
ここで、図7(a)は、図5(b)の正面図に相当する切断部221の模式図であり、図7(b)は、軸方向に直交する平面を投影面とする切断部221の上端面の正射影を図7(a)に対応させて示している。また、線分L,Lと切り欠き部221cの切り欠き位置とが、図7(b)に示すようには重ならない場合もあるが、その場合には、角度θ,θが最も大きくなるように線分L,Lが通る位置を設定して、上記関係が成り立つようにする。
なお、切断部221を軸方向と平行に立ち上がる円筒部の上端側を軸方向に対して斜めに切り取った形状とするにあたり、切断部221の上端面の傾斜角度θは、通常、7〜20゜とすることができ、切断部221の上端面のうち軸方向に沿って最も低い位置にある部位に対する切断部221の先端の高さHは、通常、1.0〜3.0mmとすることができる。
【0035】
容器本体2に設ける装着部22は、胴部21と一体に形成してもよいが、図示する例では、胴部21と装着部22とを別体とし、胴部21に装着部22を取り付けることで、容器本体2が形成されるようにしてある。
後述するように、複式容器1から内容物を取り出す際には、容器本体2をスクイーズし、これによって、開封注出部材4の注出口411から適量の内容物が滴下されるようにする(後述する図10(c)参照)。このため、容器本体2は、スクイーズ可能な柔軟な材料により形成することが望まれるが、装着部22までも柔軟な材料で形成すると、装着部22に装着される副容器3に対するシール性を確保するのが困難となってしまうおそれがある。このため、胴部21をスクイーズ可能な柔軟な材料で形成するとともに、装着部22は、副容器3とのシール性を考慮して比較的硬質な材料で形成することができるように、胴部21と装着部22とは別体とするのが好ましい。
なお、装着部22を比較的硬質な材料で形成すれば、装着部22に形成される切断部221の剛性も確保できるため、切断部221による副容器3の第二収容室隔壁30aの切断を確実にする上でも好ましい。
【0036】
図示する例において、装着部22は、胴部21の内周面に密着する内側筒部224と、この内側筒部224の先端側で折り返されて垂下する外側筒部223とを有している。そして、装着部22は、図示するように、外側筒部223の内周面の先端側に形成した環状突部と、胴部21の開口部側の外周面に形成した環状突部とが係合して、胴部21の開口部に固定されるようになっている。
【0037】
このとき、内側筒部224の外周面を胴部21の内周面に密着させることで、胴部21と装着部22とのシール性を高めているが、両者の間のシール性を高めるためには、胴部21の開口部端縁の先端面に当接する環状の突起を、装着部22側の対応する位置に形成するのが好ましい。このようにすることで、たとえ、内側筒部224の外周面と胴部21の内周面との間から内容物が漏洩したとしても、胴部21の開口部端縁の先端面と、これに当接する環状の突起とにより、それ以上の漏洩を防止することができる。
【0038】
なお、装着部22の内周面には、周方向に沿って環状に突出する環状突部225が形成されている。この環状突部225は、封止部材5を装着部22に装着したときに、封止部材5の天板部51の外周縁と係合して、封止部材5の抜け止めとして機能する。
【0039】
また、図示する例において、内容物取り出し口23は、その内径が、胴部21の内径に対して小径となるように形成されている。これは、容器本体2をスクイーズして内容物を取り出す際に、内容物を押し出そうとする背圧が、内容物に対して有効に作用するようにさせることを主たる目的とするものであるが、内容物取り出し口23の内径を胴部21の内径に対して小径とすることで、内容物取り出し口23に開封注出部材4を装着したときのおさまりもよくなる。
【0040】
また、内容物取り出し口23には、胴部21との境に第一環状リブ234が形成され、この第一環状リブ234から所定の距離だけ離間した位置に、第二環状リブ233が形成されている。さらに、第一環状リブ234と第二環状リブ233との間には、軸方向に延在して第一環状リブ234と第二環状リブ233とに連接する複数の凸条リブ231が、周方向に沿って等角度間隔で形成されている。これにより、内容物取り出し口23の剛性を確保しているが、内容物取り出し口23の剛性を確保するには、図示するように、内容物取り出し口23を厚肉に形成するのも有効である。
【0041】
内容物取り出し口23の剛性を確保することで、容器本体2をスクイーズして内容物を取り出す際に、内容物取り出し口23に装着された開封注出部材4の脱落を防止し、これとともに、両者の間のシール性が損なわれないようにすることもできる。
すなわち、容器本体2(特に、胴部21)は、スクイーズ可能な柔軟な材料により形成することが望まれるため、内容物取り出し口23が胴部21と一体に形成された図示する例にあっては、内容物取り出し口23を上記のように剛性が確保できる構造として、開封注出部材4の脱落を防止するとともに、開封注出部材4を内容物取り出し口23に装着したときのシール性が損なわれないようにするのが好ましい。
なお、前述した装着部22と同様に、内容物取り出し口23を胴部21と別体とし、内容物取り出し口23を比較的硬質な材料で形成することで、その剛性を確保するようにしてもよい。ただし、部品点数を削減するという観点からは、図示する例のように、内容物取り出し口23は、胴部21と一体に形成するのが好ましい。
【0042】
また、内容物取り出し口23は、第一収容室20の一部を画成する第一収容室隔壁20aによって閉塞されている。
第一収容室隔壁20aは、図示するように、内容物取り出し口23の内周面と接する周縁が薄肉とされ、開封注出部材4を内容物取り出し口23に装着したときに、後述する開封注出部材4に形成された切断部42により、薄肉とされた周縁に沿って切断されるようになっている。このとき、第一収容室隔壁20aは、内容物取り出し口23から切り離されて脱落してしまわないようにするのが好ましい。より具体的には、切断された第一収容室隔壁20aが、内容物取り出し口23の内周面と一部がつながった状態で、内容物取り出し口23の内周面と開封注出部材4側に形成された切断部42との間に狭持されるようになっているのが好ましい(後述する図9(b)など参照)。
【0043】
このためには、開封注出部材4側に形成された切断部42の先端側の外径を窄めて逃げ部を形成しておき、この逃げ部と内容物取り出し口23の内周面との間に形成される隙間に、切断された第一収容室隔壁20aが、内容物取り出し口23の内周面と一部がつながった状態で狭持されるように、開封注出部材4側に形成された切断部42の寸法などを考慮して、第一収容室隔壁20aが形成される位置を決定すればよい。図示する例では、内容物取り出し口23に開封注出部材4を装着したときの開封注出部材4側に形成された切断部42との相対的な位置関係を考慮して、内容物取り出し口23の先端から所定の長さだけ内方に入り込んだ位置に、第一収容室隔壁20aを形成している。
【0044】
なお、第一収容室隔壁20aが、内容物取り出し口23の内周面と接する周縁が薄肉とされて、切断部42により薄肉とされた周縁に沿って切断されるようになっているのは、副容器3に形成される第二収容室隔壁30aと同様である。しかしながら、副容器3に形成される第二収容室隔壁30aは、密封された状態での加熱に耐えるために薄肉部分にも所定の強度が必要である点で、容器本体2側に形成される第一収容室隔壁20aとは事情が異なり、それに由来して、装着部22に形成される切断部221と、開封注出部材4に形成される切断部42とでは、求められる性質も異なっている。
【0045】
以上のような容器本体2は、使用時には、副容器3と開封注出部材4とが装着されるところ、前述したように、使用前には、装着部22に封止部材5を着脱自在に取り付けて、収容された内容物が外部に漏洩しないように、容器本体2に形成された第二収容室30を密封することができる。さらに、容器本体2の内容物取り出し口23には、第一収容室隔壁20aの破損などを防止するために、保護部材6を取り付けておくことができる。
【0046】
図3に示す例において、封止部材5は、環状の天板部51の外周縁が、装着部22の内周面に形成された環状突部225に係合することで、装着部材22に着脱自在に取り付けられている。そして、つまみ片54を利用して引き抜くことで、環状突部225との係合を解除して、装着部22から取り外すことができるようになっている。さらに、封止部材5は、天板部51の内周縁から有底筒状に垂下して、装着部22に形成された切断部221の内周面に密着する封止部52と、装着部22に形成された切断部221とシール突起222とに密着して狭持されるように天板部51から垂下する筒状垂下部53とを有しており、これらによって、容器本体2に形成された第二収容室20が密封されるようになっている。
【0047】
また、封止部材5は、使用前の流通、保管時に、容器本体2を密封するだけでなく、廃棄処理時に、容器内に残留する内容物が外部に漏洩してしまうのを防ぐために、開封注出部材4の注出口411を覆うように取り付けることができるようになっている。
すなわち、封止部材5の封止部52の内径は、開封注出部材4の注出口411に外径に対応させて形成されるとともに、封止部52の内周面には、環状突起55が形成されている。これにより、封止部材5の封止部52内に、開封注出部材4の注出口411を挿入し、この注出口411の外周面に形成された環状突起413と、封止部52の内周面に形成された環状突起55とを係合させることで、開封注出部材4の注出口411を覆うように、封止部材5を取り付けることができるようにしてある(後述する図11参照)。
【0048】
また、保護部材6は、図示するように、内容物取り出し口23の先端側の内周面に密着する筒状部61を有するネジ蓋とすることができるが、筒状部61は必要に応じて省略してもよく、打栓により内容物取り出し口23に取り付けられるようにしてもよい。保護部材6を内容物取り出し口23に取り付けたときのシール性を高めるためには、筒状部61を形成するとともに、内容物取り出し口23の先端面に当接する環状の突起を、保護部材6側の対応する位置に形成するようにしてもよい。
【0049】
[開封注出部材]
開封注出部材4は、注出口411が形成された外筒部41と、外筒部41の内側に取り付けられる切断部42と、外筒部41と切断部42との間に保持されるフィルタ43とを有している。外筒部41の外周面には、ローレット加工を施したり、図示するような一対の張り出し部412を設けたりすることで、開封注出部材4を容器本体2の内容物取り出し口23にネジ嵌合によって装着する際の滑り止めとすることもできる。
なお、図示する例にあっては、容器本体2の胴部21にも、一対の張り出し部232を設けてある。
【0050】
また、切断部42は、例えば、図示するように、軸方向と平行に立ち上がる円筒部の先端側を切り取った形状とすることができる。
ここで、容器本体2の内容物取り出し口23に開封注出部材4を装着するに際して、切断部42が、容器本体2の内容物取り出し口23を閉塞する第一収容室隔壁20aを切断し、このとき、切断部42先端側の外径が窄められて逃げ部が形成されているのも、前述したとおりである。
【0051】
フィルタ43は、内容物をろ過して、内容物中に含まれる不要な固形分を除去するためのものである。フィルタ43としては、ろ過の対象となる内容物に応じて、種々のろ材を用いて形成されたものを利用することができるが、精密なろ過が可能なメンブレンフィルターを利用するのが好ましい。
なお、注出口411の外周面に環状突起413が形成されており、廃棄処理時に、注出口411を覆うように封止部材5を取り付けることができるようになっているのは、前述したとおりである。
【0052】
[使用例]
次に、以上のような複式容器1の使用例について説明する。
【0053】
ここで、図8は、副容器3に収容された試薬S1に、被験者から採取した検体S0を加え、これらを加熱処理する工程を示す説明図である。図9は、容器本体2の装着部22に副容器3を装着し、第一収容室20と第二収容室30とを連通させて、第一収容室20に収容された吸着剤S3に、加熱処理された第二収容室30内の内容物S2を加え、これらを攪拌、混合する工程を示す説明図である。図10は、容器本体2の内容物取り出し口23に開封注出部材4を装着して、スラリー状になった内容物S4をろ過して、そのろ液(検体調製液)を滴下する工程を示す説明図である。図11は、注出口411を覆うように封止部材5を取り付けて、容器内に残留する内容物S5が外部に漏洩してしまうのを防ぎつつ、廃棄処理する際の形態を示す説明図である。
【0054】
本使用例において、容器本体2は、その第一収容室20内に吸着剤S3が収容され、装着部22に取り付けられた封止部材5で密封されるとともに、内容物取り出し口23に保護部材6を取り付けた状態(図3参照)で、必要に応じて、アルミニウムパウチなどの非透湿性の材料からなる包装材に包装されて流通、保管される。
また、副容器3は、その第二収容室30内に試薬S1が収容された状態(図8(a)参照)で、必要に応じて、アルミニウムパウチなどの非透湿性の材料からなる包装材に包装されて流通、保管される。
【0055】
本使用例では、まず、副容器3から蓋体32を取り外して、第二収容室30内に収容された試薬S1に、被験者から採取し、必要に応じて適宜処理が施された検体S0を加え、蓋体32で再封する(図8(b)、(c)参照)。次いで、副容器3を加熱処理装置に搬入し、副容器3ごと試薬S1に検体S0が加えられた内容物S2を加熱して加熱処理を行うことにより、検体S0に含まれる可能性のある結核菌を殺菌又は不活化させる。
【0056】
次に、容器本体2から封止部材5を取り外して(図9(a)参照)、所定の加熱処理を終えた副容器3を、容器本体2の装着部22に、ネジ嵌合によって回転させながら装着する(図9(b)参照)。これにより、装着部22に形成された切断部221が、副容器3に形成された第二収容室30の一部を画成する第二収容室隔壁30aを切断し、第二収容室30と容器本体2に形成された第一収容室30とが連通する。
このとき、実施形態では、切断部221の上端面に切り欠き部221cを形成しているので、副容器3内の圧力を逃がすことができる(図6参照)。これにより、第二収容室隔壁30aを切断する際に、第二収容室隔壁30aが切断部221の上端面に押し付けられてしまうのを有効に回避し、密封された副容器3内の圧抜きがなされるようにすることができる。
【0057】
その結果、副容器3内で加熱処理された内容物S2は、何の妨げもなく第一収容室20に流入し、容器本体2内の吸着剤S3に加えられる。そして、容器本体2を振ったり、揉んだりなどすることにより、内容物2と吸着剤S3とを攪拌、混合してスラリー状の内容物S4とし(図9(c)参照)、内容物S2中に含まれる不要物の一部又は全部を吸着剤S3に吸着させる。
なお、容器本体2の胴部21の容積は、このときの攪拌、混合が十分になされるように、これを考慮して設計するのが好ましい。
【0058】
その後、容器本体2の天地を逆にして倒立させた状態として、内容物S4を内容物取り出し口23から遠ざけつつ(図10(a)参照)、内容物取り出し口23に開封注出部材4を装着して、開封注出部材4側に形成された切断部42により、第一収容室隔壁20aを切断して、容器本体2を開封する(図10(b)参照)。そして、正立状態に戻した容器本体2をスクイーズし、内容物S4に背圧を作用させることによって、フィルタ43で内容物S4をろ過しながら、そのろ液を注出口411から滴下する(図10(c)参照)。
【0059】
以上の調製工程により、検体S0の調製液が得られ、この調製液は、次の反応工程に供される。
一方、使用を終えた複式容器1は、注出口411を覆うように封止部材5を取り付けて(図10参照)、容器内に残留する内容物S5が外部に漏洩してしまうのを防ぎつつ、廃棄処理する。
【0060】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
【0061】
例えば、前述した実施形態では、切断部221の上端面に切り欠き部221cを形成することで副容器3内の圧抜きを可能とした例を示したが、密着する切断部221の外周面と筒状垂下部312の内周面との間から、第二収容室隔壁30aが切断された副容器3内の圧力を逃がすことができれば、切断部221の上端面に切り欠き部221cを形成することに代えて、切断部221の上端面に開口する溝部を切断部221の外周面に沿って形成するようにしてもよい。
【0062】
また、前述した実施形態では、副容器3をネジ嵌合によって回転させながら装着部22に装着する例を示したが、副容器3は、打栓によって装着部22に押し込まれるように装着するようにしてもよい。
【0063】
また、前述した実施形態では、第一収容室20を形成する容器本体21と、第二収容室30を形成する副容器3とを備える複式容器1に本発明を適用した例について説明したが、これに限定されない。本発明は、前述した実施形態に示したような複式容器1に好適に利用できるものではあるが、密封された容器を開封するための開封構造として、これ以外のものにも適用できるはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上説明したように、本発明は、密封された容器を開封するための技術として広く利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 複式容器
2 容器本体
20 第一収容室
22 装着部
221 切断部
221c 切り欠き部
3 副容器
30 第二収容室(収容室)
30a 第二収容室隔壁(隔壁)
312 筒状垂下部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一収容室を形成する容器本体と、第二収容室を形成する副容器とを少なくとも備え、
前記副容器に、前記第二収容室の一部を画成する隔壁と、前記隔壁が形成された部位を含む筒状垂下部とを設け、
前記容器本体には、前記副容器が装着される装着部を設けるとともに、前記装着部に、軸方向と平行に立ち上がる円筒部の上端側を前記軸方向に対して斜めに切り取った形状とされ、前記副容器に設けられた前記隔壁を切断する切断部を設け、
前記副容器を前記装着部に装着したときに、
前記切断部が前記筒状垂下部に挿入されて、前記切断部の外周面が前記筒状垂下部の内周面に密着した状態で、前記隔壁が切断されるようにするにあたり、
前記切断部の上端面に切り欠き部を形成するか、又は前記切断部の上端面に開口する溝部を前記切断部の外周面に沿って形成したことを特徴とする複式容器。
【請求項2】
前記切断部の上端面のうち軸方向に沿って最も低い位置にある部位と、前記切断部の先端との高低差の半分の高さとなる位置に対して、前記先端側となる位置に、前記切り欠き部又は前記溝部を形成した請求項1に記載の複式容器。
【請求項3】
前記副容器がネジ嵌合によって回転しながら前記装着部に装着され、前記切断部の先端に対して前記副容器の回転方向側となる位置に、前記切り欠き部又は溝部を形成した請求項1又は2のいずれか一項に記載の複式容器。
【請求項4】
前記切り欠き部を前記切断部の上端面に形成するにあたり、
軸方向に直交する平面を投影面とする前記切断部の上端面の正射影において、
前記切断部の中心を起点に前記切断部の先端を通る線分をLとし、前記切断部の中心を起点に前記切り欠き部の前記切断部の先端側の切り欠き位置を通る線分をLとし、前記切断部の中心を起点に前記切り欠き部の前記切断部の先端と反対側の切り欠き位置を通る線分をLとしたときに、
前記線分Lと前記線分Lとのなす角度θと、前記線分Lと前記線分Lとのなす角度θと、前記線分Lと前記線分Lとのなす角度θとの間に、5゜≦θ≦90゜、−5゜≦θ≦45゜、5≦θ(=θ+θ)≦90゜となる関係が成り立つ請求項1〜3のいずれか一項に記載の複式容器。
【請求項5】
前記副容器の装着が完了したときに、前記第二収容室隔壁が、前記筒状垂下部の内周面と一部がつながった状態で、前記筒状垂下部の内周面と前記切断部との間に狭持される請求項1〜4のいずれか一項に記載の複式容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−140160(P2012−140160A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−294574(P2010−294574)
【出願日】平成22年12月29日(2010.12.29)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【出願人】(000120456)栄研化学株式会社 (67)
【Fターム(参考)】