説明

複数のアルコキシシリル官能性プレポリマーで構成され、それに基づくポリマー材料、ならびに接着剤およびコーティング組成物

【課題】表面を結合/コーティングするための有用な組成物を提供する。
【解決手段】硬化性組成物の構成成分として、エポキシド基に対して反応性である鎖末端当り1個超のアルコキシシリル官能基を有するプレポリマー、および、また任意選択により発泡性である接着結合およびコーティング組成物を製造するためのそれらの使用、およびそれらから製造されるポリマー性材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコキシシラン官能性プレポリマー、およびこのようなアルコキシシラン官能性プレポリマーを含む任意選択により発泡性である混合物を用いて表面を接着結合またはコーティングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
実質的に2次元の構造体を接着結合またはコーティングする分野において、応用分野の機能に応じた最適化された硬度/硬化挙動を示す硬化が制御された系を得るための様々な努力が行われている。
【0003】
ポリウレタンを形成し、次いで表面を結合/コーティングするために利用されるイソシアネートに基づく系は、イソシアネートの毒性に対する好ましくない点のために評判を落とし、同じ理由により置換しなければならない場合がある。
【0004】
これに対応して様々な経路が提案されている。
【0005】
ある場合には、アロファネート(allophanate)構造またはビューレット(biuret)構造を利用することによって、イソシアネート基を保護し、架橋/重合する際のみin situで反応させ、他の場合、イソシアネートをまったく含まないか、あるいは少なくとも部分的にはそのようなイソシアネートを置換した斬新な接着結合またはコーティング組成物を利用する。
【0006】
興味深いことに、アルコキシシリル基を有し、かつ、ポリオールに対して反応性であるのみならずイソシアネートに基づく系およびビューレットまたはアロファネート構造に基づく代替の系とも反応することができ、したがって、制御可能でバランスのよい所望の接着結合またはコーティングを可能とする新規で様々な応用分野を克服する助けになる実に斬新なプレポリマーであるものを開発すること本発明の文脈において可能である。
【0007】
反応性のアルコキシシリル基を有するプレポリマー系は、十分確立しており、工業および建設部門の弾性シーラントおよび接着剤を製造するのに使用される場合が非常に多い。大気中の水分および適切な触媒の存在下で、このようなアルコキシシラン末端プレポリマーは、相互に縮合することによってアルコキシ基を除去し、Si−O−Si結合を形成することが室温でも可能である。したがって、このようなプレポリマーの潜在的な用途には1成分系としての使用が含まれ、この系は、第2の成分を計量し混合する必要がないゆえに取扱いが容易であるという利点を有する。
【0008】
シラン重縮合を介して架橋するアルコキシシラン官能性ポリウレタンも同様に十分確立されている。このトピックに関する総説は、例えば、「Adhesives Age」4/1995、ページ30ff(著者:Ta-Min Feng、B. A. Waldmann)で見られる。この種のアルコキシシラン末端の水分硬化性(moisture-curing)一成分ポリウレタンは、建設および自動車産業で可撓性コーティング、シーリングおよび接着結合化合物としてその使用が益々増加している。
【0009】
この種のアルコキシシラン官能性ポリウレタンは、米国特許第3627722号または米国特許第3632557号に従って、例えば、ポリエーテルポリオールを過剰のポリイソシアネートと反応させてNCO含有プレポリマーを得て、次いでこれをアミノ官能性アルコキシシランとさらに反応させることによって調製することができる。生成したアルコキシシラン官能性プレポリマーは、尿素およびウレタン基を高濃度で含むので、これが生成物の高粘度となる。
【0010】
当技術分野では、アロファネートは、一価または多価アルコールを大量の過剰芳香族、脂肪族および/または脂環式ジイソシアネートと反応させることによって調製される(GB A 994 890、米国特許第3769318号、EP A 0 000 194またはEP A 0 712 840を参照されたい)。順当にイソシアネート官能性結合剤を得るために、ここでは専らジイソシアネートまたはポリイソシアネートが使用される。早期の架橋を防止するためには、過剰のポリイソシアネートを使用する必要があるが、当該ポリイソシアネートは、ウレタン化およびアロファネート化を行った後に、真空蒸留によって除去しなければならない。この手法によって、アロファネート窒素を介してさらなるイソシアネート基が官能基として結合する。アロファネート構造を有するポリイソシアネートは、アロファネート構造のない類似体と比較して比較的低粘度であるという事実は、例えば、EP B0 682 012のように文献に広く記載されている。ウレタンおよびイソシアネート以外のイソシアネート誘導体から間接的にアロファネートを調製することも同様に可能である。例えば、EP A0 825 211には、オキサジアジントリオンからアロファネート構造を合成するための方法が記載されており、さらなる経路は、ウレトジオンを開環することによって(Proceedings of the International Waterborne, High-Solids, and Powder Coatings Symposium 2001、28、405-419およびはUS−A−2003 0153713を参照されたい)アロファネート構造を得ることである。しかし、両方の経路は、高機能の出発材料を必要とし、副生物を多く含むアロファネート生成物しかもたらさない。加えて、前駆体が合成される場合、専ら使用されるポリイソシアネートは、少なくとも2つの官能基を有する。モノイソシアネートの使用もアロファネートの化学と関連して既に開示されている。米国特許出願第5663272号および第5567793号では、多官能性アルコールと反応させた後、NCO基およびOH基を含まず、次いで特定の型のMDIを用いてアロファネート化による改質を行うことによって液状MDIポリイソシアネートが得られるウレタンを得るためにフェニルイソシアネートが使用される。この手順では、さらなる処理を実施する前の生成物はモノマー性のジイソシアネートを含む。
【0011】
WO2007/025667には、アルコキシシラン基を含むさらに改質されたポリウレタンプレポリマーが記載され、粘度が顕著に低下したと言われている。アロファネートおよび/またはビューレット構造を含むこの種のプレポリマー(そのアロファネートおよび/またはビューレット構造の少なくとも10モル%は一般式R−NCOのモノイソシアネートに由来し、式中、Rは、C原子最大20個を有するヘテロ原子を含有してもよいアルキル、アラルキルまたはアリール基であり、このような基は、アロファネート構造の一部分として存在するNCO官能基以外の官能基も含まず、存在してもよい任意のアルコキシシリル基を含む)は、アルコキシシラン基を含むことができるポリウレタンプレポリマーのウレタン基および/または尿素基を、これらの基の部分的または全部のアロファネート化および/またはビューレット化反応においてモノイソシアネートと反応させることによって極めて簡単な方法で調製することができる。しかし、このようなプレポリマーに伴う欠点は、架橋用に提供される官能基の密度が比較的小さいことである。
【0012】
ビューレットまたはアロファネート構造を有するキャップドイソシアネートの反応性は、遊離イソシアネートの反応性と比較するとはるかに小さいが、適切な触媒を添加することによって用途のために最適化することができることを理解されたい。
【0013】
逆に、アルコキシシラン官能性プレポリマーのさらなる利点は、それが硬化する際、酸もオキシムもアミンも放出しないという事実にある。さらには、イソシアネート系シーラントまたは接着剤の場合と異なり、CO気体がまったく生成しない。COが形成されると、構造部材を結合した後に、さらに引き続いて接着剤の膨張が引き起こされる恐れがある。さらには、イソシアネートに基づく系と異なり、アルコキシシラン官能性プレポリマー混合物は、毒性に関して異論がない。
【0014】
アルコキシシラン官能性プレポリマーの特に有利な1つの型は、アルコキシシラン末端プレポリマーを含む。これらは、様々なビルディングブロックから合成することができる。通常、これらのプレポリマーは、有機骨格を有しており、すなわち、EP0 372 561、WO00/37533または米国特許第6207766号を含む参考文献で記載されている、例えば、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリビニルエステル、エチレン−オレフィンコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、またはポリオレフィンから構築される。しかし、これらの他に、広範な用途の系も存在し、それらの骨格は、WO96/34030を含む情報源に記載されている全体がまたは少なくとも部分的に有機シロキサンからなる。
【0015】
アルコキシシラン官能性プレポリマー用の特に有利な調製方法の1つでは、出発材料は、例えば、ポリエーテルまたはポリエステルポリオールなどのポリオールであり、それらは、第1の反応工程で過剰のジまたはポリイソシアネートと反応する。次いで、この第1の工程で得られたイソシアネート末端プレポリマーはアミノアルキル官能性アルコキシシランと反応することによって所望のアルコキシシラン末端プレポリマーが得られる。1つの代替の選択肢は、ポリオールを化学量論量以下のジもしくはポリイソシアネートと反応させることにより調製可能な種類のポリオールまたはOH官能性ポリウレタンを、イソシアナトアルキル官能性アルコキシシランと反応させることによってアルコキシシラン末端プレポリマーを調製することである。これらの調製方法は、例えば、EP1 421 129またはWO2005/000931に記載されている。考えられるさらなる調製方法も存在し、一例は、WO02/034838に記載されているような、アミノ官能性ポリオールとカルバマトアルキルアルコキシシランとの反応である。
【0016】
さらには、ポリ(メタ)アクリレート骨格を有するアルコキシシラン官能性プレポリマーも既知である。このようなプレポリマーは、通常、(メタ)アクリロイルオキシアルキルアルコキシシランを他の(メタ)アクリル酸モノマーおよび/または例えばスチレンなどのさらなる不飽和モノマービルディングブロックと共重合させることによって合成される。
【0017】
さらには、例えば、ビニルシランまたは(メタ)アクリロシランなどの不飽和アルコキシシランに次いでグラフト化することによってアルコキシシラン官能性ポリマーを調製することも可能である。
【0018】
接着剤としての使用に加え、シラン架橋した剛性で可撓性の発泡体を製造するためにアルコキシシラン官能性プレポリマー、特にイソシアネートを含まないin situでスプレー可能な発泡体を使用することも既知であり、例えば、EP1 098 920 B1またはEP1 363 960 B1に記載されている。これらのスプレー発泡体は、通常、加圧缶から適用され、ドア枠用の充填および強化材料として、または一般には建築構造体の空洞を充填およびシーリングするために、主として窓連結部をシールする働きをする。これらの用途では、発泡体は、極めて小さい密度、すなわち、発泡体の缶当り最大の体積の発生、したがって最大の生産性を特徴とする。発泡体の低い密度は、最大量の物理的な発泡剤(すなわち、発泡体の缶内で圧力下で液化し、スプレー作業で発泡体の形成を促進するガス)を添加することによって達成される。
【0019】
この型のスプレー発泡体は、従来の接着結合用途で使用するのに不適である。その理由は、主として、発泡後に発泡体は初期の有意の機械特性なしで開始しなければならず、したがって、結合させるワークピースは極めて長期間固定しなければならないであろうからである。
【0020】
DE10 2006 054 155には、表面を接着結合する方法であって、分子中に末端のみに存在し孤立したアルコキシシリル基および例えばNH、NHRまたはN(R基などの塩基性基を有するプレポリマーを含み、さらに発泡剤を含む発泡性混合物を、結合すべき表面の一方上または結合すべき表面の間に発泡させることによって発泡体を形成する工程か、あるいは、発泡が起こった後に混合物から生成し得る発泡体を結合すべき表面の一方上または結合すべき表面の間に適用し、次いで結合すべき表面の間で発泡体を圧縮する工程を含む方法が教示されている。
【0021】
DE10 2006 054 155の教示には、さらに、トリアルコキシシリル単位が導入する効果を強化するために、コポリマー構造中に既に存在するトリアルコキシシリル単位に、多数の官能基を引き受ける容量を有する追加の成分としてさらなる遊離シランを添加することが想定されている。水スカベンジャー(貯蔵安定性を改良する)として、架橋剤および/または反応性希釈剤(ネットワーク密度を上昇させるので、引張り強度などの硬化組成物の機械特性を改良する)として、および特に好ましくはアルコキシシランの形での接着促進剤として、これらの追加のシランの役割に関する議論が存在する。
【0022】
DE10 2006 054 155の低分子量アルコキシシラン、すなわち、NH、NHRまたはN(R基などの塩基性基を有するアルコキシシランは、実際、硬化触媒または少なくとも硬化共触媒という純機能が認められている。
【0023】
記載の手順の欠点は、α,ω位のみでシリル基によって末端化されたプレポリマーの官能基密度が低いことである。標的とするポリウレタンポリマーを高分子量で構築するという観点では、良好で永久的な基材接着という所望の効果に有効に対処するためには、シリル修飾では控え目であって、不十分であることは言うまでもない。したがって、DE10 2006 054 155の教示は、当初議論した所望の効果(接着の促進、乾燥、および架橋など)を与えるためにPUマトリックスに遊離シランを添加するという選択肢である。これによっては、プラスの効果に必要であるポリマー中の点にアンカーになるシリル基を目標通り組み込むことは決して保証されない。示された方法では、特に品質を保証するための再現性に関して欠点が明白である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、技術的に簡単で、信頼性があり、特に再現性のある方法に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0025】
驚くべきことに、今や、本明細書で記載の技術的な制限および欠点は、コポリマー成分として、アルコキシシリル基を有し、二重金属シアニド(DMC)触媒上でエポキシド官能性アルコキシシランをアルコキシル化することによって取得可能であり、本開示の一部分および主題として本明細書に全体が組み込まれている現在未公開の明細書、DE102008000360.8に全体が記載されている新規のポリエーテルアルコールを使用することによって克服することができることが発見された。
【0026】
ポリエーテル鎖のオキシアルキレン単位の配列内にアルコキシシラン官能基のみでなく、その末端に新規の複数のアルコキシシラン官能基をも有してもよいこれらの新規のポリエーテル構造によって、標的プレポリマーのアンカー基の密度を所望のものに設定する、すなわち、特定の性能目的に適合させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】式(1)のポリエーテル構造を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
加水分解を受けやすく、架橋しやすいそのようなアルコキシシリル基に基づいて、このような斬新的で反応性のポリエーテルは、既に自己硬化性であるポリマーを表す。固体の熱硬化性最終生成物を与えるそれらの架橋は、水の存在下で、選択的に促進剤としての酸または塩基を添加することによって簡単な方式で達成され、硬化作業中の温度を上昇させることによって、可使時間(pot life)を制御することが可能である。したがって、これらの架橋性のポリエーテルのポリマー構造は、出発物質の性質、および使用できるエポキシドモノマーの性質、量および配列に従って多種多様に変更することができ、ことによって、企図される特定の最終用途の機能に応じてこのようにして重要な生成物の性質を調整することができる。したがって、例えば、ポリマー鎖中のアルコキシシラン単位の割合を変更することによって、硬化ポリマーの架橋密度、したがって機械および物理化学的な特性プロフィールに広い範囲で影響を与えることが可能である。驚くべきことに、この場合、アルコキシシリル官能基の密度が相当に大きいポリエーテルでさえ、低粘度において扱いやすい容易な液体であり、したがって、高度に架橋した容易に接着する接着結合剤を標的とする場合でさえ、この成分の計量に対する制限はまったく存在しない。このような知見は、必要な架橋密度が低い加工粘度とともに達成されることを確実にするために最終配合物に配合成分として遊離シランモノマーを導入することに基礎を置くDE10 2006 054 155に記載の手順におけるその発明の教示とは異なる。その構造的な多様性に実質的に制限のないアルコキシシリル基を含むポリエーテルによって、例えば、エステル、カーボネート、および芳香族構造要素を組み込むことを介して、ポリマー化学の当業者は実質的に任意の性能要件に対処する設計の自由度を得る。
【0029】
本発明の方法によって得られたポリマーは、例えば、接着剤の製造用、表面コーティング用の基材として、金属、ガラスおよびガラス繊維/ガラス布、木材、木材系材料、天然繊維、および例えばコルクと一般のシリケート系材料などの様々な基材用の接着促進剤とプライマー、および結合剤として適切である。例えば、加水分解プロセスを介してメーソンリ、コンクリート、モルタルなどに固定されるアルコキシシリル部分を目標を定めて組み込むことは、このように備えられた系が建設産業の分野で用いられる場合極めて有利であることが証明されており、建設産業の業務には、建築物の基本構造における窓およびドア用の例えば枠のシーリングの接合および絶縁が含まれる。
【0030】
斬新なプレポリマーは、硬化する際にガス状の反応生成物を放出しないので、それを例えば、コーティング材料またはコーティング材料の構成成分の形で利用することによって表面を被覆することも可能である。例えば、WO2008/074489には、加水分解性のシラン基を有するポリオールおよびポリイソシアネートに基づく引っ掻き耐性および耐候安定性に優れたコーティング組成物が記載されている。
【0031】
加えて、遊離のイソシアネートを含まないことが可能であることの結果として、食品と接触する用途を含むように用途を拡大することができる。本発明のポリマーは、チップボードまたはMDFボードなどの木材系材料の製造、例えば、木材またはコルク(および、木材チップまたは木材繊維)の粒子の結合において、結合剤として、換言すれば、類似していても異なっていてもよい材料を相互に接合するために使用することができ、したがって、アミノプラスト樹脂またはイソシアネート接着組成物の代替としての木材ブロック床およびラミネート用途を含む床用としても利用可能である。シラン基修飾ポリイソシアネートからポリオールへ反応性基の再分配をしたこと、および同時に複数の加水分解性アルコキシシリル基を供給したことによって、多様に調整可能な特性プロフィールを備えた新規な接着剤およびコーティング材料がもたらされる。本発明のポリマーは、熱可塑性特性を有してもよいので、温度依存性の流動挙動が必要とされる成形体を製造するために使用することができる。成形コンパウンドは、例えば、射出成形、押出成形またはホットプレスなどのプロセスで使用することができる。本発明のポリマーは、好ましくは、触媒なしで用いることができ、そのためにさらなる架橋および硬化は成型操作中に行われない。架橋が行われた後、シリル含有ポリマーは、熱硬化性生成物に転移する。
【0032】
したがって、本発明は、第1に、接着結合、結合および/またはコーティング材料として使用できる組成物の構成成分として、エポキシド基に対して反応性である鎖末端当り1個超のアルコキシシリル官能基を有する硬化性プレポリマーを提供する。
【0033】
当業者なら周知のように、アルコキシシリル基の架橋または硬化は、2段階の化学過程で行われ、第1の工程では、大気中の湿分で十分である場合もある水の存在下、ケイ素に結合したアルコキシ基は、対応するアルコールとして除去され、SiOH基が形成される。次いで、後者のSiOH基は、自己縮合の場合、相互に縮合することによってSi−O−Si架橋が形成され、ポリマー材料が形成される。あるいは、SiOH官能性中間体は、例えば、特にOH官能基を有するシリケート質表面とよく反応するような反応性基を含む基材と反応し、それぞれの基材上で化学的に優れた固定がもたらされる。硬化速度は、触媒の添加または温度の変化によって非常に様々な仕方で影響され得る。
【0034】
このようにして、プレポリマーの自由または触媒誘導硬化の既知のプロセスを誘導することによって、適切な場合には、発泡様の構造を有するポリマー材料を得ることが可能である。アルコキシシリル基の修飾を種々変化させたり、複数化することによって、用途に適合可能な方式で好ましい形態を決定することが可能である。
【0035】
硬化性プレポリマーは、好ましくは、エポキシド基に対して反応性である鎖の末端当り1個超のアルコキシシリル官能基、好ましくは、1個超のトリアルコキシシリル官能基を含む。
【0036】
本発明に従って使用できるプレポリマー、特に、式(1)のアルコキシシリル修飾ポリエーテロールは、例えば、シリル修飾エポキシドと、様々な供給源からの任意のアルコール出発原料との反応によって得ることができる。
【0037】
調製、および使用できるエポキシド構造の種類は、本明細書の優先権日において未公開であるDE10 2008 000360.3に包括的に記載されている。DE10 2008 000360.3の明細書および特許請求の範囲の内容はすべて、本開示の一部分であると本明細書で見なされる。このようにして調製された化合物によって、末端のみならず、孤立して、ブロック様の積み重ね状態で、およびランダムにポリオキシアルキレン鎖内に挿入された加水分解的に架橋可能なアルコキシシリル官能基を含むアルコキシシリル基を含むポリオキシアルキレン化合物の間で選択する合成の自由度が付与される。
【0038】
このようにして調製されたプレポリマー、特に、式(1)のアルコキシシリル修飾ポリエーテルは、組成物の構造および分子量に関して再現性よくかつ目標通りに調製できるという事実によって卓越している。モノマー単位の配列は、広い範囲内で変化させることができる。エポキシドモノマーは、所望のブロックで、またはポリマー鎖内にランダムに組み込んだ状態で配列することができる。反応成分の開環反応によって生成ポリマー鎖内に挿入されるフラグメントは、その配列中で相互に順序可変であるが、ただし、環式無水物および二酸化炭素が、ポリエーテル構造内にランダムに挿入された状態、すなわち、相同なブロックではない状態で存在するという制限がある。
【0039】
使用されるプレポリマーが、ケイ素原子に結合した1個超の多数の官能基を有するポリアルキレンエーテルフラグメントを含む場合、存在するネットワークは多数の官能基を有する(highly functionalized)ネットワークであり、該ネットワークでは、式(2)R−Hのアルコール出発原料にそれぞれ由来し、反応性成分の開環反応によって生成ポリマー鎖内に導入されている自由に順序可変なフラグメントをその配列内に含むポリエーテル鎖が、−CH−O−(CH−Si−(CH−O−CH−架橋を介して相互に連結している。これらは、高度に複雑な、多数の官能基を有する構造である。この場合でも、官能基数を所望の用途分野に合わせることが可能である。架橋度および得られたポリマー構造の複雑性は、シリルモノマーのエポキシ官能基数とともに増加する。モノマーとして、3−グリシジルオキシアルキルトリアルコキシシランが特に好ましい。
【0040】
開環反応によって得られたポリマー鎖内に導入され、上記で定義した文脈におけるブロックまたはランダム状態で分布したフラグメントは、1つのポリエーテル構造単位の鎖中に存在し得るのみでなく、形成され、−CH−O−(CH−Si−(CH−O−CH−架橋を介して相互に連結している複数のポリエーテル構造単位上にランダムに分布することもできる。したがって、本方法による生成物の構造のバリエーションは多種多様であるので、一義的に定式化した説明は不可能である。
【0041】
プレポリマーとして、式(1)のポリエーテル構造を使用することが好ましい。図1も参照されたい。このような構造は、アルコキシシリル基で置換された直鎖からなり、そうした鎖は、フラグメントd〜jの選択を介し、反応性成分の開環反応によってポリマー鎖内に挿入されたフラグメントに従って、特定の多数の官能基を有するので、様々な種類の用途向けにカスタマイズすることもできる。
【0042】
【化1】

式中、
aは、1〜3、好ましくは、3の整数であり、
bは、0〜2、好ましくは、0〜1、より好ましくは、0の整数であり、aとbの合計は3であり、
cは、0〜22、好ましくは、0〜18、より好ましくは、0〜6の整数であり、特に、1〜3であり、
dは、2〜1000、好ましくは、2〜100、より好ましくは、2〜20、特に、2〜10の整数であり、
eは、0〜10000、好ましくは、0〜1000、より好ましくは、0〜300、特に、0〜100の整数であり、
fは、0〜1000、好ましくは、0〜100、より好ましくは、0〜50、特に、0〜30の整数であり、
gは、0〜1000、好ましくは、0〜200、より好ましくは、0〜100、特に、0〜70の整数であり、
h、iおよびjは、0〜500、好ましくは、0〜300、より好ましくは、0〜200、特に、0〜100の整数であり、ただし、指数d〜jを有するフラグメントは、相互に自由に順序可変であり、すなわち、ポリエーテル鎖内の配列において互換性があり、
nは、2と8の間の整数であり、
Rは、炭素原子1〜20個、特に1〜6個を有する直鎖または分枝かつ飽和または単一もしくは複数不飽和のアルキル基、あるいは炭素原子1〜20個を有するハロアルキル基から選択される同一でも異なっていてもよい1つまたは複数の基を表し、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチルおよびsec−ブチル基、特に、エチルまたはメチル基に対応し、
は、飽和もしくは不飽和かつ非分枝もしくは分枝の基であり、またはアルコキシ、アリールアルコキシもしくはアルキルアリールアルコキシ基型のポリエーテル基であり、当該炭素鎖には、酸素原子の割込みがあってもよく、あるいはRは、フェノールOH基が直接に結合している単一もしくは複数縮合の芳香族基であり、
またはR、およびRまたはRは、互いに独立して、各々、H、または、任意選択により一価もしくは多価でありさらに置換されることを含む炭化水素基を含む飽和もしくは適切な場合には単一もしくは複数の不飽和炭化水素基であり、基RまたはRは、一価の炭化水素基であり、その炭化水素基がフラグメントYを介して脂環式的に架橋してもよく、Yは不存在でもよく、あるいはメチレン単位1個または2個を有するメチレン架橋であってよく、Yがない場合、RまたはRは、互いに独立して、各々、炭素原子1〜20個、好ましくは、1〜10個を有する直鎖もしくは分枝の基であり、より好ましくは、メチル、エチル、プロピル、またはブチル、ビニル、アリル基、またはフェニル基であり、好ましくは、2つの基、RまたはRの少なくとも1つは、水素であり、R−Rは−CHCHCHCH−基であってよく、したがって、Yは、−(CHCH−)−基であってよく、炭化水素基RおよびRは、さらに置換されていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシル基またはグリシジルオキシプロピル基などの官能基を有してもよく、
は、炭素原子1〜24個の直鎖もしくは分枝のアルキル基、または適切な場合にはアルキル基を有していてもよい芳香族もしくは脂環式の基であり、
およびRは、互いに独立して、各々、水素、または開環重合により共重合することによってアルコキシシラン基を含む架橋性ポリエーテルエステルを与えるアルキル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、
、R10、R11およびR12は、互いに独立して、各々、水素、またはアルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールまたはアラルキル基であり、炭化水素基は、フラグメントZを介して脂環式的にまたは芳香族的に架橋することができ、Zは二価のアルキレン基またはアルケニレン基であってよい。
【0043】
指数d〜jを有するフラグメント及び置換基Rのポリオキシアルキレン鎖の両方の異なるモノマー単位は、存在する場合、相互にブロックで構築されてもよく、あるいは、ランダムに分布してもよい。したがって、本明細書で所与の式中に付与された指数、および指定された指数値の範囲は、実際に存在する構造および/またはそれらの混合物の潜在的な統計的分布の平均値として理解されるべきである。このことは、例えば、式(1)などの、それ自体がそのように厳密に再現された構造式にもあてはまる。
【0044】
29Si−NMRおよびGPCによる調査で明らかであるように、鎖末端OH基がプロセスに伴って存在するために、DMC触媒による調製中のみでなく、例えば、下流のプロセス工程においてもケイ素原子上でエステル交換反応に対する容量が必要である。形式的には、そのような反応では、酸素原子を介してケイ素に結合したアルキル基Rは、長鎖修飾アルコキシシリルポリマー基によって置換される。バイモーダルとマルチモーダルの両方のGPCプロットによれば、アルコキシ化生成物は、式(1)に示すのと同様な非エステル交換種のみならず、分子量が2倍、ある場合には3倍、または多数倍の分子量を有する非エステル交換種をも含むことが実際に示されている。したがって、式(1)は、複雑な化学事実を単純化して表しているだけである。
【0045】
したがって、組成物は、式(1)の指数(a)と(b)の合計が平均で3未満である化合物も含む。というのは、OR基の一部は、シリルポリエーテル基によって置換することができるからである。したがって、組成物は、R−OHを除去し、式(1)のさらなる分子の反応性OH基と縮合反応させることによってケイ素原子上に形成される種を含む。
【0046】
このような化合物の典型的な29Si−NMRスペクトル中の2つ以上の信号の存在によって、多様の置換パターンを有するシリル基の発生が強調される。したがって、指数a〜jに対する示された値および好ましい範囲は、やはり、様々な、個別的には網羅不可能な種全体にわたる平均値としてのみ理解されたい。
【0047】
式(1)の多数の官能基を有するネットワーク状のアルコキシシリル化合物および/またはトリアルコキシシリル化合物を与えるアルコキシ化反応に対する出発原料または出発原料化合物として、式(2)に従って少なくとも1つの反応性ヒドロキシル基を含む単独または互いの混合物である式(2)
−H
(2)
(Hは、アルコール化合物またはフェノール化合物のOH基に属する)のすべての化合物を用いることが可能である。Rは、飽和もしくは不飽和かつ任意選択により分枝の基に対応し、またはアルコキシ、アリールアルコキシもしくはアルキルアリールアルコキシ基型のポリエーテル基を表し、炭素鎖には、酸素原子の割込みがあってもよく、あるいはRは、フェノールOH基が直接に結合している単一または複数縮合の芳香族基を示す。出発原料化合物として使用でき、アルコキシ、アリールアルコキシまたはアルキルアリールアルコキシ基を含むポリエーテル基の鎖長は、任意である。好ましくは、ポリエーテル、アルコキシ、アリールアルコキシまたはアルキルアリールアルコキシ基は、炭素原子1〜1500、より好ましくは、炭素原子2〜300、特に炭素原子2〜100を含む。
【0048】
出発原料化合物とは、エポキシド官能性モノマーの付加によって得られる調製下でポリエーテル分子(1)の開始時のもの(出発原料)を形成する物質を意味する。本方法で使用される出発原料化合物は、好ましくは、アルコール、ポリエーテロールまたはフェノールからなる群から選択される。出発原料化合物として、一価もしくは多価アルコール、またはポリエーテルアルコールR−H(Hは、アルコールまたはフェノールのOH基に属す)を使用することが好ましい。
【0049】
OH官能性出発原料化合物R−H(2)として、分子量18〜10000g/mol、より特定すれば、50〜2000g/molを有し、ヒドロキシル基1〜8個、好ましくは、1〜4個を有する化合物を使用することが好ましい。
【0050】
式(2)の化合物の例として、アリルアルコール、ブタノール、オクタノール、ドデカノール、ステアリルアルコール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジ、トリおよびポリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ジおよびポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリトリトール、ソルビトール、セルロース糖類、リグニン、あるいは天然物質に基づくさらなるヒドロキシル含有化合物が挙げられる。
【0051】
あらかじめDMC触媒によるアルコキシル化によって調製された、ヒドロキシル基1〜8個、および分子量50〜2000g/molを有する低分子量ポリエーテロールを出発原料化合物として使用することが有利である。
【0052】
脂肪族または脂環式のOH基を有する化合物のみでなく、フェノールのOH官能基1〜20個を有する任意の化合物も適性を有している。このようなものとして、例えば、フェノール、アルキルおよびアリールフェノール、ビスフェノールAおよびノボラックが挙げられる。
【0053】
指数d〜jを有するフラグメントと、存在する場合、置換基Rのポリオキシアルキレン鎖両方の様々なモノマー単位は、相互の間のブロック状構造体を有してもよく、あるいは、統計的な分布に従ってもよい。
【0054】
したがって、指数、および本明細書で説明された式中で所与の示された指数値の範囲は、存在する実際の構造および/またはそれらの混合物の潜在的な統計的分布の平均値として理解されるべきである。このことは、例えば、式(1)などの、それ自体がそのように厳密に再現された構造式にもあてはまる。
【0055】
使用されるエポキシド官能性アルコキシシラン、適切な場合にはさらに使用されるモノマー、および適切な場合には二酸化炭素に応じて、アルコキシシリル修飾ポリエーテルアルコール(1)、および任意の所望の構造のそれらの混合物を調製することが可能である。式(1)の化合物のアルコキシシラン単位は好ましくは、トリアルコキシシリル単位である。
【0056】
式(1)のアルコキシシリルポリマーは、単独で、または、モノマー性アルコキシシラン、アルコキシシリル末端プレポリマー、硬化触媒、およびさらなる添加剤と補助剤とともにブレンドされた任意の所望の組合せで使用することができ、組合せは合わせて合計すると100部になる。
【0057】
本発明のプレポリマー、より特定すれば、アルコキシシラン基を含む式(1)の化合物は、その粘度が低いために、通常粘度がより高い他のシリル化合物と組み合わせて反応性希釈剤としても使用することができる。式(1)のトリアルコキシシリル官能基を多数有するプレポリマーはネットワーク密度を上昇させ、そのために、ポリマーの機械特性を改良するのに寄与する。さらには、そうしたプレポリマーは、既知のアルコキシシランとの対応するプレポリマーブレンドの粘度に影響を及ぼすことも可能である。
【0058】
本発明のプレポリマー、特定すれば、式(1)の化合物は、例えば、表面を被覆するのに使用される組成物中に存在することができる。そのコーティングは、例えば、接着コーティング、より特定すれば、発泡接着コーティングであってよい。
【0059】
したがって、本発明は、本発明のプレポリマー、特定すれば、式(1)のプレポリマーを含む組成物も提供する。本発明のこのような組成物が、発泡性であるべき場合は、適切な場合には化学的に形成される1つまたは複数の発泡剤を含む。
【0060】
被覆すべき表面は、スプレー、スプレッディング、ディッピングなどの既知の手段によって被覆することができる。その過程では、結合すべき表面は、好ましくは、相互に対して押し付けられる。接着結合を生成するための任意選択により発泡性である混合物(組成物)は、好ましくは、加圧缶から適用され、発泡体の形成は、混合物中に存在し、適切な場合には、やはり化学反応によって放出される発泡剤の結果として行われる。
【0061】
結合すべき表面が圧縮される場合、発泡体の泡構造は、好ましくは、少なくとも大幅に破壊される。したがって、発泡体が、結合すべき表面の間で圧縮された場合、その発泡体は、好ましくは、体積の60%未満程度まで、より好ましくは、体積の40%未満程度まで、特に好ましくは、体積の20%未満程度までが気泡から構成される。
【0062】
好ましい一実施形態では、結合すべき表面の少なくとも一方は、本発明発泡体を適用する前に湿らせる。特に好ましくは、結合すべき表面の少なくとも一方は湿らせ、発泡体は他方の表面に適用する。次いで、発泡体は、2つの表面間で圧縮される。
【0063】
本発明は、発泡体が結合すべき表面の一方に適用され、次いでこれらの表面を相互に対して強固に押し付けることによって圧縮されると、初期強度が驚異的に大きいという驚くべき発見に基づく。このことによって、本発明品は、非常に低い密度を有する発泡体として低レベルの初期の機械特性しか示さない、従来技術で記載されたin situでスプレー可能な発泡体とはまったく基本的に相違する。課題の表面に対する適切な接着の条件に照らすと、逆に、本発明の発泡体の初期の結合強度は、好ましくは、ちょうど10分以下の後、より好ましくは、5分後で、非常に好ましくは、ちょうど2分または1分後で既に非常に大きいので、結合の継ぎ目は、500N/m、好ましくは、少なくとも1000N/m、特に少なくとも1500N/mの持続性の引張り応力(結合面に対して法線方向の引張り力)および/またはせん断応力(結合面に対して平行な引張り力)の負荷をかけることができる。
【0064】
発泡体の高い初期強度は、当業者にとってさえ驚きである現象に帰することができる。したがって、従来のシラン架橋接着剤の場合と異なり、本発泡体の結合強度は、化学的なシラン架橋のみを介して発現するものではない。その代わりに、この化学的な硬化プロセスに加えて、他では接触接着剤に対してのみで既知である種類の、本明細書でも明らかにされた注目すべき物理効果が存在する。なお接触接着剤では、強度の発現は、ただ添加溶媒の蒸発の結果として行われるのみである。本発泡体の場合、このような溶媒の機能は、発泡剤または発泡剤の混合物によって発揮される。しかし、非常にゆっくりとしか硬化しない接触接着剤の場合と異なり、本発泡剤は、発泡性混合物の実際の発泡中に漸進的ではなくて大部分が突然に蒸発する。そうしているときに、発泡剤はこの混合物を発泡させることによって発泡体を形成し、その発泡体は、発泡剤の蒸発後の粘度が非常に大きいにもかかわらず、驚くべきことに極めて流動的であり続け、その結果として、本発泡体は、結合すべき表面を相互に対して押し付けることによって容易に圧縮され得る。本発泡体が圧縮されると、薄くて均一な接着層が結合すべき表面間に形成され、その表面は効果的に湿潤であり、したがって、最適の結合効果を達成することが可能になる。次いで、この効果は、生じる化学的な硬化反応によってさらに補強される。
【0065】
したがって、本発明は、表面を接着結合する方法をさらに提供するものであり、その方法では、被接着面間で発泡することによって発泡体を形成する発泡性組成物が提供され、あるいは、混合物から調製できる発泡体は、発泡した後、被接着面の一方または被接着面間に適用され、次いで、発泡体は、被接着面間で圧縮される発泡性組成物が提供される。
【0066】
さらには、さらなるまったく驚くべき効果は、例えば、結合すべき表面が圧縮される際に過剰量の発泡体がジョイントから押出されるときに形成される種類の望ましくない発泡残渣は、比較的容易に除去することができるという事実である。明らかに、発泡体の表面濡れおよび接着は、発泡体構造が圧縮されず、したがって、破壊されない場所で顕著に減少する。
【0067】
明らかに、形成された発泡体は、その発泡剤、および適切な場合には必要である熱の供給とは無関係に、微細な泡構造に基づくその移動性を保持し、かつ、排出された泡が、不粘着層を表面に形成した場合でさえも加圧下で表面を濡らすための関連能力を保持する。しかし、前記不粘着層は、発泡体が結合すべきワークピース間で圧縮されると破れて開くので、その結果として、依然未架橋のプレポリマーが放出され、結合すべき表面と接触するようになる。
【0068】
発泡体の初期結合強度が大きいことは、非常に大きい泡密度にとって好ましい。
【0069】
したがって、本発明は、
(A)上記のプレポリマー、好ましくは、一般式(1)の基を有するプレポリマーと、
(B)混合物全体に対して15重量%未満の発泡剤とを
含む発泡性組成物をさらに提供する。
【0070】
適切な発泡剤は、比較的低い圧力でも凝縮でき、in situでスプレー可能な発泡体を生成するためにも使用されるガスを含む。通常の発泡剤は、例えば、それぞれの場合炭素原子1〜5個、より特定すれば、3〜5個を有する炭化水素、特に、プロパン−ブタン混合物またはイソブタン、炭素原子1〜5個を有するヒドロフルオロカーボン、例えば、1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1−ジフルオロエタン、あるいはジメチルエーテル、および対応する混合物である。発泡剤の含有量は、混合物全体に対して、好ましくは、<10重量%、より好ましくは、<7重量%または<5重量%である。発泡剤の含有量は、混合物全体に対して、好ましくは、10重量%以下、より好ましくは、7重量%以下である。
【0071】
発泡体の形成は、発泡剤の添加なしで、純粋に化学に基づいて行うこともできるが、そのときは好ましくは、暖かいまたは熱い硬化の場合である。この場合、接着結合混合物が暖められると、例えば、アルコキシシリル基の加水分解から生成するメタノールまたはエタノールなどのアルコールを含む揮発性の低い発泡剤が形成される。高目の温度の水または不活性溶媒が発泡剤として働くことも可能である。
【0072】
基材のコーティングが所望である場合、簡単な仕方として発泡剤なしで済ませることが可能であり、適切な場合には、溶媒、またはさらなる添加剤および補助剤を添加することによって特にコーティングに必要な物理性を設定することが可能である。したがって、本発明は、表面を被覆または改質する方法であって、プレポリマー、特に式(1)のプレポリマーを含む組成物を処理する表面に適用し、硬化させる方法を提供する。
【0073】
本発明のプレポリマー、特に、アルコキシシリル基を有する式(1)のポリエーテロールを架橋または重合するのに使用し得る触媒は、それ自体当業者に既知である既知のポリウレタン化、アロファネート化またはビューレット化触媒である。そうした触媒として、例えば、亜鉛塩、すなわち、亜鉛オクトエート、亜鉛アセチルアセトネートおよび亜鉛2−エチルカプロエートなどの化合物が挙げられ、あるいは、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウムヒドロキシド、N,N,N−トリメチル−N−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム2−エチルヘキサノエートまたはコリン2−エチルヘキサノエートなどのテトラアルキルアンモニウム化合物が使用される。亜鉛オクタノエート(亜鉛2−エチルヘキサノエート)およびテトラアルキルアンモニウム化合物の使用が好ましく、より好ましくは、亜鉛オクタノエートの使用である。さらには、触媒として、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジアセテートまたはジブチルスズジオクトエートなどの、通常使用される有機スズ化合物を使用することが可能である。さらには、Borchi触媒などのビスマス触媒、チタネート、例えばチタン(IV)イソプロポキシド、鉄(III)化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、その他の場合では、アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−ノン−5−エン、N,N−ビス(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリンなどの触媒を使用することも可能である。酢酸、トリフルオロ酢酸もしくは塩化ベンゾイル、塩酸、リン酸などの有機もしくは無機ブレンステッド酸、ブチルホスフェート、(イソ)プロピルホスフェート、ジブチルホスフェートなどのそのモノエステルおよび/またはジエステルは適切な触媒である。2つ以上の触媒の組合せも使用できることを理解されたい。
【0074】
しかし、ごく最近では、特に有機スズ触媒の毒性によってその評判が落ちている。さらには、このような触媒の使用によって、一般に、このような系内でエステル結合の存在が消失する。というのは、触媒がエステルの開裂を加速し、したがって系の性質の変化が誘導される恐れがあるからである。したがって、このような系の生産者、例えば、DIY分野向けの接着剤またはシーラントの生産者は、配合上のその自由度が制限されている。したがって、DE102004018548には、少なくとも1つのシリル末端ポリマーと少なくとも1つの光潜在性塩基とを含む硬化性組成物であって、前記シリル末端ポリマーが、シラン基を含まないが末端シラン基を有する直鎖または分枝の塩基ポリマー基からなる硬化性組成物の使用が記載されている。特に、シリル末端有機ポリマーおよび/またはシリル末端シリコーンポリマーが好ましい。
【0075】
DE10 2004 018 548の対応する有機ポリマーまたはシリコーンポリマーは、それらの骨格(複数可)内にまったくシラン基を含まないが、その代わりに、ポリマー鎖のそれぞれの末端のみにシラン基を含む。したがって、直鎖のポリマーでは、ポリマーの2つの末端のみがシリル末端であり、そのようなポリマーは、以下、二価と呼ぶ。例えば、グリセリンから出発して調製されたポリマーが使用される場合、グリセリンの3つのヒドロキシル基に基づいて、3つの独立なシランを含まないポリマー鎖が形成され、シラン基の末端が鎖の末端にのみ位置する可能性が高いことが可能である。3つの末端を有するこのような分枝ポリマーは、以下、三価と呼ぶ。同様に、4つの末端を有するポリマーは四価と呼ぶ。DE10 2004 018 548の構造において、塩基ポリマー鎖内にさらなるシラン基が、例えば、側鎖基の形で存在しないために、架橋密度、および硬化後の機械特性が制限される。側鎖基を介した架橋の場合、それぞれの基材上の追加のアンカー基のために、接着性が増進され、その他の場合では、接着性は、シリル官能性の適切な選択によってその用途に合わせることができる。したがって、構造を適切に選択することによって、ウィンドウが使用者の裁量に任せられ、同時に、目的とする仕方で顕著な貯蔵安定性を有する組成物を製造することも可能である。
【0076】
本発明の(硬化性)組成物は、WO2005/100482に記載されているように、触媒として光潜在性塩基(photolatent base)と呼ばれるものを含むこともできる。光潜在性塩基は、好ましくは、1つまたは複数の塩基性窒素原子を有する有機塩基であり、この有機塩基は、当初ブロックの形で存在し、UV光、可視光またはIR放射により照射した後にのみ分子の開裂によって塩基形を放出する。WO2005/100482の明細書および特許請求の範囲の内容は、本明細書に組み込まれて本開示の一部分になる。
【0077】
光潜在性塩基の選択は、一方では架橋するべきシラン末端ポリマーによって、他方では組成物のその他の任意選択の構成成分によって決まる。架橋反応が強力な塩基を必要とする場合、照射時に強力な塩基を放出する光潜在性または光解離性塩基を選択することが必要である。組成物が、UV吸収構成成分をさらに含む場合、その活性化波長、すなわち、遊離塩基を脱離するその波長がその他のUV吸収構成成分と干渉しない光潜在性塩基を選択することが好ましい。
【0078】
照射が実施される時点は自由に選択可能であり、したがって、硬化性ポリマー(プレポリマー)と遊離塩基との接触は使用者が決めることができるので、硬化の開始は、使用者の裁量および希望で決めることができる。上記の光潜在性塩基の合成は、WO03/033500 Alを含む情報源に記載されている。適切な場合には、光増感剤は、随伴物として使用される。というのは、光増感剤によって、光活性化の場合に量子収率を改良することが可能になるからである。
【0079】
触媒または光潜在性塩基は、プロセス生成物の固体含有量に対して、0.001〜5.0重量%、好ましくは、0.01〜1.0重量%、特に好ましくは、0.05〜0.5重量%の量で用いられる。
【0080】
触媒または光潜在性塩基は、全体を1つで、その他の場合には分割して、その他の場合には連続的に添加することができる。全量を1つで添加することが好ましい。
【0081】
さらなる成分として、組成物は、好ましくは、通常モノマー性のシラン、フィラー、溶媒、泡安定剤、および発泡体の硬化を促進するための触媒をさらに含むことができる。
【0082】
使用されるさらなるシランは、原則としてすべてシラン、好ましくは、加水分解性アルコキシ基を含むシラン、特に、DE10200605415またはWO2005/003201に記載されているのと同様な化合物を含むシランであってよい。
【0083】
シランの他に、組成物は、さらなる成分および補助剤としてしばしばフィラーを含む。この場合のフィラーは、生成ブレンドの特性に相当な改良を与える。適切なフィラーの使用によって、特に引張り強度および破断時の延伸も相当に増進させることができる。通常のフィラーの例として、炭酸カルシウム、フュームドシリカおよびカーボンブラックが挙げられる。様々なフィラーも組み合わせて用いられる場合が多い。この文脈における適切なフィラーとして、従来技術で広く記載された種類の材料すべてが挙げられる。フィラーは、好ましくは、完成混合物に対して0〜90重量%の濃度で使用され、5〜70重量%の濃度が特に好ましい。
【0084】
さらには、本発明の組成物は、有機物質、好ましくは、液体および溶媒をさらに含むことができる。このような溶媒は、例えば、非架橋混合物の粘度を下げる働きをする。適切な溶媒として、原則としてすべての溶媒、およびやはり溶媒混合物が挙げられる。使用される溶媒は、好ましくは、双極子モーメントを有する化合物である。特に好ましい溶媒は、水素結合内に入りこむことができる自由電子対を備えたヘテロ原子を有する。そのような溶媒の好ましい例は、tert−ブチルメチルエーテルなどのエーテル、エチルアセテートもしくはブチルアセテートなどのエステル、ならびに例えばメタノールおよびエタノールなどのアルコール、ならびにプロパノールおよびブタノールの様々な位置異性体、その他の場合には、特に特定の用途向けに選択されたグリコール型である。
【0085】
特に発泡体の、室温での速やかな硬化を達成する目的で、例えば、前記のポリウレタン化、アロファネート化、またはビューレット化触媒、酸、塩基または光解離性化合物の群からの硬化触媒を適切な場合には、添加することが可能である。使用できる泡安定剤は、従来のin situ発泡体で使用されるのと同じ化合物である。それらの広い範囲からの選択物は、市販されており、文献に広く記載されている。
【0086】
さらには、組成物は、水スカベンジャー、成分とは異なっている接着促進剤および/または反応性希釈剤、および可塑剤(例えば、フタレート、ベンゾエート、ホスフェート可塑剤)、チキソトロープ剤、殺菌剤、難燃剤、顔料などのそれ自体既知の補助剤を含むことができる。光安定剤、酸化防止剤、フリーラジカルスカベンジャー、およびさらなる安定剤も、組成物に添加することができる。この種のものの添加は、一般に、非架橋混合物および硬化物両方で特に所望の特性プロフィールを生成するのに不可欠である。
【0087】
本発明の組成物に対して、接着剤、シーラント、結合剤および/またはジョイントシーラントの分野で数え切れないほどの様々な用途が存在する。そうした組成物は、例えば、鉱物基材、金属、プラスチック、ガラス、セラミック、木材、木材系材料、天然繊維、その他の場合にはコルクなどの数え切れないほどの様々な基材に対して適している。原則としては、組成物および/またはその組成物から製造される発泡体は、任意の物品を接着結合するのに適している。しかし、特に、それらは、結合すべき表面が、平坦でない場合、あるいは、例えば、細い繊維または粒子およびコルクを相互に接合することによって複合材料を形成しなければならない場合に非常に適している。例えば、材料が裂けたりまたはゆがんだりした結果として、もはや厳密に相互の上にフィットしない破壊部位を接着結合する場合、あるいは、幅木、張り出し、またはその他の装飾トリムを平坦でない壁面に接着結合する場合がこのようなケースである。このような場合、発泡体は、空洞でさえも有効に充填することができるという利点を有する。
【0088】
本発明の組成物は、好ましくは、大気中の湿分および/または水と接触すると硬化する、発泡性接着剤、より好ましくは、1成分系の発泡性接着剤として使用される。
【0089】
したがって、本発明は、任意選択により発泡性であるプレポリマーおよびそれらの組成物を使用して製造される、例えば、MDFボード(中程度の密度のファイバボード)、チップボード、コルク物品およびラミネート物品などの木材複合材などの複合材料をさらに提供する。
【0090】
本発明は、本発明のプレポリマーおよび組成物を含む接着剤、シーラント、結合剤および/またはジョイントシーラントをさらに提供する。これらの特許請求された接着剤、シーラント、結合剤および/またはジョイントシーラントは、様々な基材を相互に結合および/またはシールおよび/または接合することができる。さらには、接着剤は、任意選択により発泡性である。
【0091】
本発明の組成物(または接着剤)およびそれらの用途は、以下の実施例によって説明されるが、本発明がこれらの例示的な実施形態に限定されるべきであるという意図はまったく存在しない。以下で範囲、化合物の一般式もしくはクラスを参照する場合、明確に述べられた対応する範囲または化合物の群のみでなく、個々の値(範囲)または化合物を抜き出すことによって得ることができるすべての下位の範囲および化合物の下位の群すべてをも包含するものである。文書が本明細書の文脈において引用された場合、それらの内容は、本発明の開示の内容に全体が属するものである。
【0092】
本発明のさらなる実施形態は、特許請求の範囲から明らかになることになる。
【実施例】
【0093】
以下に示す実施例では、本発明は、実施例によって説明されるが、その応用の広さが特許請求の範囲と本明細書全体で決まる本発明は、実施例で指定された実施形態に限定されるべきであるという意図はまったくない。
【0094】
別段の指示がない限り、以下の実施例中の量に関するデータおよび百分率に関するデータはすべて重量基準であり、圧力はすべて0.10MPa(絶対)であり、温度はすべて20℃である。
【0095】
不粘着時間は、プレポリマーの反応性の指標として表示される場合がある。不粘着時間とは、プレポリマーが空気中で適用された後、ポリマー表面が、この表面と鉛筆とを接触させた後に、鉛筆に接着して残ったポリマー塊も、糸引きもない程度に硬化するまでの経過時間である。
【0096】
実験の部:
以下の実施例では、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランまたは3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランからのDMC触媒によるアルコキシル化というプロセス原理によって、現在未公開の明細書DE10 2008 000360.8に従って調製された、トリアルコキシシリル基を含む以下のポリエーテルを使用した。
【0097】
トリアルコキシシリルポリエーテル1:
平均分子量が約1300g/molでトリアルコキシシラン官能基が4倍ある低分子量で、無色の粘度が小さいポリエーテル
化学的な構成:トリプロピレングリコール+Evonik Degussa GmbH製の3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYEO)4モル
【0098】
トリアルコキシシリルポリエーテル2:
平均分子量が約1200g/molでトリアルコキシシラン官能基が4倍ある低分子量で、無色の粘度が小さいポリエーテル
化学的な構成:トリプロピレングリコール+Evonik Degussa GmbH製の3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYMO)4モル
【0099】
トリアルコキシシリルポリエーテル3:
平均分子量が約9000g/molで、ブロック状の構造を有し、トリアルコキシシラン官能基が4倍ある高分子量で、ほとんど無色の粘度が小さいポリエーテル
化学的な構成:ジプロピレングリコール+プロピレンオキシド135モル+3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYEO)4モル
【0100】
トリアルコキシシリルポリエーテル4:
平均分子量が約6400g/molで、ブロック状の構造を有し、トリアルコキシシラン官能基が8倍ある高分子量で、ほとんど無色の粘度が小さいポリエーテル
化学的な構成:トリプロピレングリコール+3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYEO)4モル+プロピレンオキシド70モル+3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(登録商標)GLYEO)4モル
【0101】
1.接着発泡体
(実施例1.1)
【0102】
200gのトリアルコキシシリルポリエーテル1、20gのメタンスルホン酸を10重量%濃度で平均分子量1100g/molのポリプロピレングリコールに溶かした溶液、および40gの平均分子量25000g/molのポリプロピレングリコールを一緒に30℃で、清澄な溶液が得られるまで攪拌することによって均一な硬化性混合物を調製する。この種類の混合物は、湿分が存在しない場合、室温での貯蔵で数カ月安定である。
【0103】
この混合物50gを、泡安定剤Tegostab(登録商標)B8526(Evonik Goldschmidt GmbH)1gと一緒に体積100mlのガラス圧力容器中に導入し、次いで、この最初の仕込みに発泡剤としてブタン5gを仕込む。混合するために十分に振とうした後、均一で実質的に無色の透明混合物を得る。バルブ上に取り付けられ、in situ発泡体に共通な型を有するアダプタ管を介して、寸法3cm×9cmの結合面を有する2つの木材供試体に、湿分硬化性の加圧混合物を発泡体として室温で適用する。次いで、木材ブロックの1つを従来の壁塗料で被覆された清浄表面に接着し、他方を木材表面に接着する。結合面を相互に対して数秒間しっかりと押し付ける。この間に発泡体が圧縮される。30分後、結合面に引張り応力5Nを恒常的に負荷する。この時間の後、それぞれの基材に対する接着が、十分行われ、接着結合は基材から離れることなく、硬化発泡体が機械的な負荷に耐える状態まで硬化が進行した。
(実施例1.2)
【0104】
実施例1.1に記載の硬化性プレポリマー混合物30gおよび泡安定剤Tegostab(登録商標)B8870(Evonik Goldschmidt GmbH)1gを体積100mlのガラス圧力容器中に導入し、次いで、この最初の仕込みに発泡剤としてブタン7gを混合する。次いで、振とう後均一である低粘度混合物を、圧力容器上に位置するバルブを開放することによってアダプタ管を介して発泡体として排出する。室温で5分後、発泡体は不粘着性であり、12時間後に硬化する。
(実施例1.3)
【0105】
225gのトリアルコキシシリルポリエーテル2、6gのジブチルスズジラウレート、75gの平均分子量25000g/molのポリプロピレングリコールを一緒に30℃で、清澄な溶液が得られるまで攪拌することによって均一な硬化性混合物を調製する。そのような混合物は、湿分が存在しない場合、室温での貯蔵で数カ月間安定である。
【0106】
この混合物30gおよび泡安定剤Tegostab(登録商標)B8870(Evonik Goldschmidt GmbH)1gを体積100mlの圧力容器中に秤量する。次いで、発泡剤としてブタン5gを添加する。混合するために十分に振とうした後、低粘度の均一で淡色の液体が生成する。
【0107】
次いで、圧力容器上に位置するバルブを開放することによって組成物を発泡体として排出する。この発泡体は、室温で5分以内は、不粘着性であり、12時間後に硬化する。
【0108】
2.コーティングの製造
(実施例2.1)
【0109】
225gのトリアルコキシシリルポリエーテル3、6gのジブチルスズジラウレート、および75gの平均分子量25000g/molのポリプロピレングリコールを一緒に30℃で、清澄な溶液が得られるまで攪拌することによって均一な硬化性混合物を調製する。そのような混合物は、粘度が低く、湿分が存在しない場合、室温での貯蔵で数カ月間安定である。
【0110】
この混合物を長方形の鋳込みモールド内に充填し、同時に層厚を3mmにする。この系は、大気中の湿分(相対湿度60%)と接触して室温で硬化を開始する。ポリマーコーティングが形成され、それが時間とともに益々粘性を増し、最終的に固化し、48時間後に正常に硬化した。
(実施例2.2)
【0111】
200gのトリアルコキシシリルポリエーテル4および20gのメタンスルホン酸を10重量%濃度で平均分子量1100g/molのポリプロピレングリコールに溶かした溶液を一緒に30℃で、清澄な溶液が得られるまで攪拌することによって硬化性混合物を調製する。次いで、10gのフュームドシリカ(Evonik Degussa GmbH製のAerosil(登録商標)R972)を添加し、その混合物を均一な組成物が形成されるまで3時間攪拌する。
【0112】
実施例2.1で上記したように、この混合物を長方形モールド内に注ぎ、同時に層厚を3mmにする。この系は、大気中の湿分(相対湿度60%)と接触して室温で硬化を開始する。ポリマーコーティングが形成され、それが時間とともに益々粘性を増し、最終的に固化し、48時間後に正常に硬化した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物の構成成分としての、エポキシド基に対して反応性である鎖末端当り1個超のアルコキシシリル官能基を有するプレポリマー。
【請求項2】
エポキシド基に対して反応性である鎖末端当り1個超のトリアルコキシシリル官能基を含むことを特徴とする、請求項1に記載のプレポリマー。
【請求項3】
適切な場合には発泡性接着結合組成物を含む、コーティング組成物、結合剤および/または接着結合組成物として使用できる、請求項1または2の少なくとも一項に記載のプレポリマー。
【請求項4】
式(1)
【化2】

[式中、
aは、1〜3の整数であり、
bは、0〜2の整数であり、aとbの合計は3であり、
cは、0〜22の整数であり、
dは、2〜1000の整数であり、
eは、0〜10000の整数であり、
fは、0〜1000の整数であり、
gは、0〜1000の整数であり、
h、iおよびjは、0〜500の整数であり、ただし、指数d〜jを有するフラグメントは、相互に自由に順序可変であり、すなわち、ポリエーテル鎖内で配列において互換性があり、
nは、2と8の間の整数であり、
Rは、炭素原子1〜20個を有する直鎖または分枝かつ飽和または単一もしくは複数不飽和のアルキル基、あるいは炭素原子1〜20個を有するハロアルキル基から選択される同一でも異なっていてもよい1つまたは複数の基を表し、
は、飽和もしくは不飽和かつ非分枝もしくは分枝の基、またはアルコキシ、アリールアルコキシもしくはアルキルアリールアルコキシ基型のポリエーテル基を表し、その炭素鎖には、酸素原子の割込みがあってもよく、あるいはRは、フェノールOH基が直接に結合している単一もしくは複数縮合の芳香族基であり、
またはR、およびRまたはRは、互いに独立して、各々、H、または飽和もしくは不飽和で一価もしくは多価の炭化水素基であり、基RまたはRは、一価の炭化水素基であり、当該炭化水素基はフラグメントYを介して脂環式的に架橋することが可能であり、Yはなくてもよく、あるいはメチレン単位1個または2個を有するメチレン架橋であってよく、Yがない場合、RまたはRは、互いに独立して、各々、炭素原子1〜20個を有する直鎖もしくは分枝の基であり、R−Rは、−CHCHCHCH−基であってよく、したがって、Yは、−(CHCH−)−基であり、前記炭化水素基RおよびRは、さらに置換されていてもよく、ハロゲン、ヒドロキシル基またはグリシジルオキシプロピル基などの官能基を有してもよく、
は、炭素原子1〜24個の直鎖もしくは分枝のアルキル基、または適切な場合にはアルキル基を有していてもよい芳香族もしくは脂環式の基であり、
およびRは、互いに独立して、水素、または、開環重合により共重合することによってアルコキシシラン基を含む架橋性ポリエーテルエステルを与えるアルキル、アルコキシ、アリールもしくはアラルキル基であり、
、R10、R11およびR12は、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリールまたはアラルキル基であり、炭化水素基は、フラグメントZを介して脂環式的にまたは芳香族的に架橋することが可能であり、Zは二価のアルキレン基またはアルケニレン基である]
で表されるアルコキシシランポリエーテルを含む、請求項1から3の少なくとも一項に記載のプレポリマー。
【請求項5】
式(1)で表されるアルコキシシランポリエーテルが、トリアルコキシシランポリエーテルであることを特徴とする、請求項4に記載のプレポリマー。
【請求項6】
請求項1から5の少なくとも一項に記載の少なくとも1つのプレポリマーを含む組成物。
【請求項7】
発泡性であり、適切な場合にはおいて化学的に形成される1つまたは複数の発泡剤を含むことを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
表面または3次元複合材料を接着結合する方法であって、請求項1から7の少なくとも一項に記載の任意選択により発泡性である組成物を被接着面間で発泡することによって発砲体を形成し、あるいは組成物から調製できる発砲体を発泡後に被接着面の一方にまたは被接着面間に適用し、次いでその発砲体を被接着面間で圧縮する、方法。
【請求項9】
表面をコーティングまたは改質する方法であって、請求項4または5に記載の式(1)に従うプレポリマーを含む組成物を処理する表面に適用し、硬化させる方法。
【請求項10】
前記発泡性組成物が、さらなるシラン、フィラー、溶媒、発泡安定剤、および発泡体の硬化を促進するための触媒から選択されるさらなる成分を含む、請求項8または9に記載の方法または請求項7に記載の発泡性組成物。
【請求項11】
請求項4または5に記載の式(1)の少なくとも1つのプレポリマーを含む組成物の自由硬化または触媒誘導硬化によって得られる、適切な場合には泡状構造を有するポリマー材料。
【請求項12】
請求項1から7の少なくとも一項に記載の発泡性組成物を使用して製造される複合材料。
【請求項13】
請求項1から7の少なくとも一項に記載の組成物を含む接着剤、シーラント、結合剤および/またはジョイントシーラント。
【請求項14】
異なる基材をそれを用いて接着的に結合および/またはシールおよび/または接合できることを特徴とする、請求項13に記載の接着剤、シーラント、結合剤および/またはジョイントシーラント。
【請求項15】
発泡性接着剤を使用することを特徴とする、請求項13および14の少なくとも一項に記載の接着剤。

【図1】
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【公開番号】特開2010−77432(P2010−77432A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−215126(P2009−215126)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(507375465)エヴォニク ゴールドシュミット ゲーエムベーハー (100)
【Fターム(参考)】