説明

複数のクラスの有価証券媒体のための確認テンプレート

【課題】証券媒体アイテムの自動確認の際に使用するための技術を提供する。
【解決手段】複数の1クラス分類子を備えるテンプレートにアクセスするステップであって、それぞれが証券媒体アイテムが属する複数のクラスのうちの1つに対応するステップと、1クラス分類子のそれぞれを証券媒体アイテムの画像に適用して、複数のクラスのそれぞれに対する結果セットを生成するステップとを含む証券媒体アイテムの自動確認の際に使用するための技術。次に、各証券媒体クラスに対する結果セットは、証券媒体アイテムがそのクラスに属するか否かを判定するために分析される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、銀行券等の有価証券媒体の受入及び確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券のような有価証券媒体アイテムが銀行券分類機またはインテリジェント預金またはリサイクルATMのような自動処理システム内に送り込まれると、システムは、複数の可能なクラス(例えば、通貨および額面)のうちのいずれに各アイテムが属するのかを判定するためにアイテムを認識しなければならないし、認識した場合には、そのアイテムが真正であるか、または偽造であるかを判定しなければならない(すなわち、そのアイテムを「確認」しなければならない)。これらのシステムは、通常、処理するタイプのアイテムから取り出したトレーニング・データ前に開発したテンプレートを使用して有価アイテムを認識し、確認する。実際には、システムが処理すると予想される証券媒体アイテムの各一意の「クラス」に対して一意のテンプレートが開発される。例えば、通貨処理システムの場合には、通貨、シリーズ、額面および向き(すなわち、処理システム内に挿入した場合の銀行券の向き)の各可能な組合せに対して一意のテンプレートが生成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
証券媒体アイテムの各クラスに対する一意のテンプレートの開発は時間がかかり、コストが高くなっていて、特に多くのシリーズで作られるか、または複数の銀行または大蔵省により発行された銀行券を有する国用の通貨処理装置を開発する場合には、非常に時間がかかり、非常にコストが高くなる。大部分の従来の確認方法は、熟練した人により銀行券の関連する特徴(領域)を手動で選択しなければならないので、テンプレートの生成コストはさらに高いものになる。ある場合には、銀行券上に表示される新しい正式な署名のような僅かな変化の場合でも、または銀行券を印刷するのに使用するインクの変更の場合でも、新しいテンプレートを開発しなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、証券媒体アイテムの自動確認の際に使用するための技術であって、複数の1クラス分類子(one−class classifier)を備えるテンプレートにアクセスするステップであって、それぞれが証券媒体アイテムが属する複数のクラスのうちの1つに対応するステップと、次に、1クラス分類子のそれぞれを証券媒体アイテムの画像に適用して、複数のクラスのそれぞれに対する結果セットを生成するステップとを含む。次に、各証券媒体クラスに対する結果セットは、証券媒体アイテムがそのクラスに属するか否かを判定するために分析される。
【0005】
証券媒体アイテムの自動確認のためのテンプレートの生成の際に使用するための技術についても以下に説明する。この技術は、類似のタイプの複数の証券媒体アイテムの画像を受信するステップを含む。この場合、各画像は、そのタイプの証券媒体アイテムに関連する複数のクラスのうちの1つに属する。次に、画像は、複数のクラスのすべてに属する証券媒体アイテムを表す1つのセグメンテーション・マップを生成するために使用される。次に、画像およびセグメンテーション・マップは、一緒に複数の1クラス分類子を生成するために使用される。この場合、1クラス分類子のそれぞれは、複数のクラスのうちの1つと関連付けられる。次に、テンプレートは、セグメンテーション・マップおよび複数の1クラス分類子を含むように定義される。
【0006】
下記の説明および添付の特許請求の範囲を読めば、他の特徴および利点を理解することができるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
自動証券媒体確認テンプレートを生成し、次に、これらのシステムのユーザから任意の形の有価証券媒体を受け入れるシステムでこれらのテンプレートを使用する際に使用するための技術について以下に説明する。この技術は、紙幣預金機能を有する現金自動預払機(ATM)、券売機、両替機、セルフ・サービス・キオスク等を含む銀行券を受け入れるように構成されている任意のタイプのセルフ・サービス端末内の銀行券の自動確認の際に特に役に立つ。下記の説明においては、銀行券の確認に最も力を入れて説明するが、この技術は、事実上任意のタイプの有価証券媒体の自動確認の際にも役に立つ。
【0008】
証券媒体確認テンプレートを生成するためのこの技術は、上記の参照により組み込むものとする2つの関連する出願に記載されるテンプレート生成プロセスを利用する。このプロセスは、1つまたは複数の真券、および真券だけのサブ領域の統計的表示により構成された通貨テンプレートを使用して、銀行券または他の有価証券媒体の有効性を自動判定する際に使用するための1クラス分類子を生成するステップを含む。偽券の統計的表示は必要ない。すなわち、このプロセスで生成される分類子は、各銀行券の有効性を判定する際に、真券だけからの統計的情報を必要とし、この情報により対象となる銀行券がそのクラスに属する(すなわち、「真正」である)か、またはそのクラスに属さない(すなわち、「偽造」である)と結論づける点で「1クラス」分類子である。
【0009】
一般に、各銀行券「クラス」は、通貨(例えば、米国ドル)、額面(例えば、5ドル、10ドル、20ドル額面)、シリーズ(例えば、2003年の5ドル紙幣対2006年の5ドル紙幣)、および向き(すなわち、表面の右縁部が先、表面の左縁部が先、裏面の右縁部が先、裏面の左縁部が先)の特定の組合せにより定義される。それぞれが、2つの異なるシリーズの下で作られた紙幣の2つの異なる額面を有する通貨の場合には、16の異なる1クラス分類子(2つの額面×2つのシリーズ×4つの向き=16クラス)または16の紙幣確認テンプレートを必要とする。確認される各紙幣の場合、紙幣はこれら16のテンプレートのうちの1つだけと比較される。すなわち、紙幣の額面、シリーズおよび処理システム内に挿入される向きに対応するテンプレートとだけ比較される。
【0010】
下記のプロセスは、そのアイテムに対してどんなに多くのクラスが存在していても、所与の証券媒体アイテムに対して1つの証券媒体確認テンプレートだけですむように、2つの関連する用途のプロセスを修正する。例えば、それぞれ2つの異なるシリーズの下で作られた2つの額面を有し、16全部のクラスを有する上記通貨の場合には、下記のプロセスは16の確認テンプレートを作らないが、通貨の各額面に対して一つずつ2つのテンプレートだけを作る。これらの各テンプレートは、両方の製造シリーズおよび4つのすべての紙幣の向きに対応するクラスを含む2つの額面のうちの一方に対してだけ存在する全部で8つのクラスの有効性を判定する際に使用される。しかし、修正について説明する前に、2つの関連出願で説明したプロセスの概要を順次説明する。
【0011】
図1に示すように、テンプレート生成プロセスは、各銀行券クラスに対する複数の銀行券(銀行券1〜N)の画像を捕捉するステップを含む。画像は、それぞれが、例えば、赤、緑、青、赤外線および紫外線のような選択した周波数または周波数範囲で照明した場合に、銀行券の透過または反射特性を表す複数の可能な画像「チャネル」のうちの任意チャネル内で生成される。図2に示すように、各クラスの銀行券の画像は、各画像内に含まれる画素の数により決定した画像サイズを有する(高さがR画素、幅がC画素の画像は、R×Cの画像サイズを有する)。
【0012】
画像内の各画素は、周知の技術により容易に測定することができる強度値Pを有する。それぞれがR×C個の画素を有するN枚の銀行券の画像セットの場合には、n番目の銀行券のi番目の行およびj番目の列のところの画素の強度値は、Pijで表される。ここで、i=1,2,...,Rであり、j=1,2,...,Cであり、n=1,2,...,Nである。この方法で画素の強度値を表すことにより、図3に示すような画像強度マトリクスを生成することができる。このマトリクス内には、最初の銀行券の画像内のすべての画素に対する強度値が第1の行で整合し、2番目の銀行券の画像内のすべての画素に対する強度値が第2の行で整合し、以下同様であり、N番目の銀行券の画像内のすべての画素に対する強度値がN番目の行で整合している。結果は下記のようになる。マトリクスの列はそのクラスのすべての画像に対する「画素位置プロファイル」を提供する。すなわち、各列はそのクラスのすべての銀行券を横切る所与の位置のすべての画素に対する強度値を示す。例えば、図3の例の場合には、マトリクスの第1の列は、銀行券の画像の第1の行および第1の列(左上の隅)のすべての画素に対する画像の強度を示し、マトリクスの最後の列は、銀行券の画像のR番目の行およびC番目の列(右下の隅)のすべての画素に対する画像の強度を示す。
【0013】
次に、クラスタリング・アルゴリズムが、画素位置をM個のサブグループまたは「セグメント」にグループ分けするために画像強度マトリクスに適用される。このことを行うために、類似の手段が、例えば、マトリクス内の列ベクトル間のユークリッド距離を計算することにより、各ペアの画素に対する強度値を使用して画素位置の各ペアに対して計算される。このクラスタリング・プロセスは、反復して行われ、アルゴリズムの結果がM個のセグメントの周囲に収束した後で、各画素位置は、それがM個のセグメントのどれに属するのかを示す「メンバーシップ・インデックス」が割り当てられる。全R×C画像サイズを横切る一組のメンバーシップ・インデックス値は、その銀行券クラスに対する「セグメンテーション・マップ」を形成する。
【0014】
図4は、銀行券が3つのセグメント(M=3)に分割される図1および図2の例に対するセグメンテーション・マップである。マップ内の各画素位置は、「1」、「2」または「3」という数値を有する。この場合、値「1」は非常に暗い画素を表し、値「3」は非常に明るい画素を表し、値「2」は明るい画素と暗い画素との間の画素を表す。このセグメンテーション・マップは、その銀行券クラスに対するトレーニング・セット内のN枚すべての銀行券に適用され、あるシステムの場合には、任意のおよびすべての使用可能な画像チャネルから取り出した画像による認識および確認プロセスにおいて使用される。
【0015】
その銀行券クラスに対してセグメンテーション・マップが生成されると、図5に示すように、マップはそのクラスのN個の各画像から識別情報を抽出するためのマスクとして適用される。銀行券nの画像にセグメンテーション・マップを適用すると、M個の各セグメントに属する画像内のすべての画素に対する平均(または中間)強度値Sを計算することができる。ここで、m=1,2,...,Mであり、n=1,2,...,Nである。図5の例の場合には、セグメンテーション・マップは、セグメンテーション・マップ内に定義されている3つの各セグメントに対して1つずつ、3つの平均強度値(S、S、およびS)を各銀行券に対して生成する。
【0016】
次に、トレーニング・セット内のN個のすべての銀行券に対する平均強度値は、図6に示すように、その銀行券クラスに対する「特徴セット・マトリクス」Fを生成するために結合される。マトリクス内の各行は、トレーニング・セット内の銀行券の1枚のM個のセグメントに対する平均強度値を保持する。この例の場合には、特徴セット・マトリクスは、N×3マトリクスであり、N枚の銀行券はそれぞれ3つのセグメントを有する。
【0017】
下記のプロセスは、各クラスに対して1つのセグメンテーション・マップを生成する代わりに、特定の通貨の特定の額面の銀行券のすべてのシリーズおよびすべての向きのような特定の証券媒体アイテムのすべてのクラスに適用される1つのセグメンテーション・マップを生成することにより図1〜図6のプロセスを修正する。図7(A)〜図7(D)は、自動処理システム内にアイテムを挿入することができる4つの可能な縦方向の向きにより定義された4つの異なるクラスを有する銀行券のような有価証券媒体アイテムを示す。図7(A)および図7(B)の証券媒体アイテム内の実線は、処理システムに表面を上にして挿入した場合に、アイテムの面上に見ることができる特徴を表す。この場合、図7(B)に示す方向は、図7(A)に示す方向から180度回転したものを示す。図7(C)および図7(D)は、処理システム内に裏面を上にして挿入した場合のアイテムの向きを表す。この場合、鎖線は、アイテムの表面上の特徴がその向きでは肉眼で見ることができないことを示す。
【0018】
各セグメンテーション・マップが、すべてが同じクラスに属するアイテムの画像から生成される2つの関連出願のところで説明したプロセスとは異なり、ここで説明するプロセスは、例えば、図7(A)〜図7(D)に示す4つの向きを有するアイテムの画像からのように、異なるクラスに属するアイテムの画像からセグメンテーション・マップを生成する。このようなセグメンテーション・マップを生成するために、すべての可能なクラスに対するトレーニング画像が一緒に処理され、結果として得られる画像強度マトリクス(図3参照)は、4つすべての向きのアイテムの画像が相互に重ねられた場合に表れるような証券媒体アイテムの特徴を示す画像である、図8に示すものに似ているものに見える「擬似画像」を表す。
【0019】
図9は、図7(A)〜図7(D)の例からの3つのセグメントを有するセグメンテーション・マップを示す。「1」という数値を有し、非常に暗い画素位置を表すこれらセグメントの第1のセグメントは、矩形の形の画素位置の4つのグループを含む。「2」という数値を有し、中程度に暗い画素位置を表すこれらセグメントの第2のセグメントは、銀行券を横切って垂直に走り、第1のセグメントを形成するグループを囲む画素位置の2つのグループを含む。第3のセグメントは、非常に明るい画素位置を示し、第1または第2のセグメントに割り当てられないすべての画素位置を含む。
【0020】
図9に示すようなセグメンテーション・マップを使用し、複数の証券媒体クラスを横切ってセグメンテーション・マップを適用する目的で、テンプレート生成プロセスは、確認プロセスにおいてセグメンテーション・マップと一緒に動作するK個の1クラス分類子を生成するために、クラスタリング技術に依存する。ここで、Kは、各確認テンプレートに関連付けられるクラスの全数である。2つの額面の通貨の上記例の場合には、各額面に対する確認テンプレートは、1つのセグメンテーション・マップと一緒に格納される8つの1クラス分類子を含む。
【0021】
一般に、K手段クラスタリング、階層クラスタリング、最近傍クラスタリング、およびカーネル・クラスタリングのようなクラスタリング技術は、クラスタの形をしているデータ内の構造を発見することにより、データ・セットの内部組織を発見するために使用される。本明細書に説明するテンプレート生成プロセスは、1つの確認テンプレートによりカバーされるアイテムのすべてのクラスに対応する画像を含む証券媒体アイテムの画像にこれら周知のクラスタリング技術のいずれかを適用して、画像データをクラスタリング・アルゴリズムにより定義される類似手段によりいくつかのクラスタにグループ分けする。より詳細には、1つの確認テンプレートによりカバーされるK個のクラスを有する証券媒体アイテムの場合には、クラスタリング・アルゴリズムは、画像データをK個のクラスタに分割する。例えば、流通しているNシリーズの銀行券を有する通貨額面の場合には、クラスタの数は、K=4Nである。ここで、4は、処理システムに銀行券を挿入することができる可能な向きの数である。図7(A)〜図7(D)の例の場合には、クラスタリング・プロセスは、図10に示すクラスタ類似の一組の4つのクラスタを生成する場合がある。
【0022】
図11は、例えば、テンプレートによりカバーされるK個のクラスを有する銀行券のある額面用の確認テンプレートのような、上記セグメンテーション・マップおよびクラスタ・データを使用して確認テンプレートを生成する際に使用するためのプロセスを示すフローチャートである。このプロセスは、トレーニング・システムが、選択した額面の銀行券のトレーニング・セットから画像のデータ・セットXを収集する場合に開始する(ステップ1100)。データ・セットは、例えば、対応する銀行券の製造シリーズまたは向きとは無関係に、画像が属するクラスとは無関係に選択した額面のすべての銀行券からの画像を含む。次に、トレーニング・システムは、データ・セットX内の画像を使用して、上記のような、また図9に示す、選択した額面に対するセグメンテーション・マップSを生成する(ステップ1110)。トレーニング・システムは、また、データ・セットXにクラスタリング・アルゴリズムを適用して、データをK個のサブグループまたはクラスタXにグループ分けする。ここで、i=1,2,...,Kである(ステップ1120)。
【0023】
セグメンテーション・マップSおよびK個のクラスタXを生成した後で、トレーニング・システムは、K個の各クラスタXへセグメンテーション・マップSを適用して、図6のところで説明した上記方法で、クラスタXに対する特徴セット・マトリクスFを抽出する(ステップ1130)。次に、トレーニング・システムは、K個の各特徴セット・マトリクスFに対して、平均ベクトルμ、共分散マトリクスΩ、および臨界値fciを計算する(ステップ1140)。これらの要素(平均ベクトル、共分散マトリクス、および臨界値)3つすべてを計算するための式は、当業者であれば周知のものであるので、ここでは詳細に説明しない。これら3つの要素は、一緒にK個の各クラスタに対する1クラス分類子のパラメータを形成する。
【0024】
K個の各クラスタに対する1クラス分類子のパラメータを計算する場合に、トレーニング・セットは、選択した通貨額面に対する確認テンプレートとして、セグメンテーション・マップSと一緒にこれらのパラメータを格納する(ステップ1150)。次に、この確認テンプレートは、テンプレートに関連する通貨および額面の銀行券の有効性を判定する際に使用するために、銀行券処理システムに分配される。
【0025】
図12は、複数のクラスを有するあるタイプの証券媒体アイテムの有効性を判定する際に、自動証券媒体処理システムで使用するためのプロセスである。このプロセスは、例えば、システムに挿入した場合に、銀行券の額面または向きに関連する製造シリーズの数がいくつであっても(すなわち、その額面の銀行券が属するクラスの数がいくつであっても)、現金自動預払機(ATM)または両替リサイクラでの選択した額面の銀行券の確認に特に適している。
【0026】
確認プロセスは、システムが銀行券を受け取り、銀行券の1つまたは複数のデジタル画像を生成した場合に開始する(ステップ1200)。システム内の銀行券認識モジュールは、銀行券の画像を分析し、その銀行券の通貨および額面の両方を識別する(ステップ1210)。システム内の確認モジュールは、認識モジュールから通貨および額面情報を受け取り、所定の格納位置から適当な確認テンプレートを検索する。この場合、確認テンプレートは、K個の1クラス分類子パラメータ、および上記セグメンテーション・マップを含む(ステップ1220)。確認モジュールは、銀行券画像にセグメンテーション・マップを適用して、その銀行券の特徴セットを抽出する(ステップ1230)。個々の銀行券に対する特徴セットは、上記特徴セット・マトリクスの行を形成するベクトル類似のベクトルである。
【0027】
次に、確認モジュールは、K個の1クラス分類子のそれぞれに対して格納している平均ベクトルおよび共分散マトリクスを検索し、これらのパラメータをその銀行券に対する特徴セット・ベクトルと一緒に使用して、K個の1クラス分類子のそれぞれに関する銀行券に対する試験統計値を計算する(ステップ12401−K)。次に、確認モジュールは、銀行券のこの値をK個の1クラス分類子のそれぞれに対して格納している臨界値と比較する(ステップ1250)。確認モジュールが、銀行券に対する試験統計値が、K個の1クラス分類子のうちの1つに対して臨界値が定義している基準を満たすと結論づけた場合には、確認モジュールは、その銀行券が有効な銀行券であると結論づけ、処理システムにその銀行券を受け入れるように指示する(ステップ1260)。一方、確認モジュールが、銀行券の試験統計値がK個の1クラス分類子のいずれかの臨界値が定義する基準を満たさないと判定した場合には、確認モジュールは、銀行券は有効でないか、または疑わしいと判定し、処理システムに銀行券をユーザに戻すか、または銀行券をリジェクト銀行券ボックスに入れるように指示する(ステップ1270)。
【0028】
コンピュータ・ベースのおよび他の実施態様
上記技術の種々の実施態様は、電子ハードウェア、コンピュータ・ソフトウェア、またはこれらの技術の組合せにより実施することができる。大部分の実施態様は、プログラマブル・コンピュータが実行する1つまたは複数のコンピュータ・プログラムを含む。一般に、コンピュータは、1つまたは複数のプロセッサと、1つまたは複数のデータ記憶コンポーネント(例えば、揮発性および不揮発性メモリ・モジュール、およびハードおよびフロッピー・ディスク・ドライブ、CD−ROMドライブ、および磁気テープ・ドライブのような永続性光学および磁気記憶装置)と、1つまたは複数の入力装置(例えば、マウスおよびキーボード)と、1つまたは複数の出力装置(例えば、表示コンソールおよびプリンタ)とを含む。
【0029】
コンピュータ・プログラムは、通常、永続性記憶媒体に格納していて、次に、実行時にメモリ内にコピーされる実行可能なコードを含む。プロセッサは、所定の順序でメモリからプログラム命令を検索することによりコードを実行する。プログラム・コードを実行している場合、コンピュータは、入力および/または記憶装置からデータを受信し、データ上で動作を行い、次に結果として得られるデータを出力および/または記憶装置に送る。
【0030】
上記説明は、広義の意味での発明の1つまたは複数の特定の実施形態を記述している。本発明は、また種々の他の実施形態により実行されるので、本明細書に記載したものに限定されない。多くの他の実施形態も添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】セグメンテーション・マップ、および証券媒体アイテムの1つのクラスに対する特徴セット・マトリクスを生成するためのプロセスを示す。
【図2】セグメンテーション・マップ、および証券媒体アイテムの1つのクラスに対する特徴セット・マトリクスを生成するためのプロセスを示す。
【図3】セグメンテーション・マップ、および証券媒体アイテムの1つのクラスに対する特徴セット・マトリクスを生成するためのプロセスを示す。
【図4】セグメンテーション・マップ、および証券媒体アイテムの1つのクラスに対する特徴セット・マトリクスを生成するためのプロセスを示す。
【図5】セグメンテーション・マップ、および証券媒体アイテムの1つのクラスに対する特徴セット・マトリクスを生成するためのプロセスを示す。
【図6】セグメンテーション・マップ、および証券媒体アイテムの1つのクラスに対する特徴セット・マトリクスを生成するためのプロセスを示す。
【図7】アイテムを自動処理システム内に挿入することができる4つの可能な縦方向の向きにより定義された4つの異なるクラスを有する銀行券のような有価証券媒体アイテムの画像である。
【図8】すべての4つの方向を向いているアイテムの画像が相互に重ねられた場合に表れる、図7(A)〜図7(D)の証券媒体アイテムの特徴を示す「擬似画像」である。
【図9】図7(A)〜図7(D)の例からの3つのセグメントを有するセグメンテーション・マップである。
【図10】クラスタリング・アルゴリズムを図7(A)〜図7(D)の画像に適用した場合に得られる一組の4つのクラスタである。
【図11】セグメンテーション・マップおよびクラスタ・データを使用する確認テンプレートを生成する際に使用するためのプロセスを示すフローチャートである。
【図12】複数のクラスを有するあるタイプの証券媒体アイテムの有効性を判定する自動証券媒体処理システムで使用するためのプロセスを示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の1クラス分類子を備えるテンプレートにアクセスするステップであって、それぞれが証券媒体アイテムが属する複数のクラスのうちの1つに対応するステップと、
前記1クラス分類子のそれぞれを前記証券媒体アイテムの画像に適用して、前記複数のクラスのそれぞれに対する結果セットを生成するステップと、
前記複数のクラスのそれぞれに対して、前記結果セットを分析し、前記証券媒体アイテムがそのクラスに属するか否かを判定するステップと、
の各ステップを含む、証券媒体アイテムの自動確認の際に使用するための方法。
【請求項2】
前記証券媒体アイテムが、前記複数のクラスのいずれにも属さないと判定するステップと、それに応じて、前記証券媒体アイテムが有効でないと判定するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記証券媒体アイテムが、前記複数のクラスのうちの1つに属すると判定するステップと、それに応じて、前記証券媒体アイテムが有効であると判定するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のクラスのうちの少なくとも1つが、自動確認機械に前記証券媒体アイテムを挿入することができる複数の向きのそれぞれと関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のクラスのうちの少なくとも1つが、前記証券媒体アイテムが製造される複数の製造シリーズのそれぞれと関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記証券媒体アイテムが銀行券であり、前記テンプレートにアクセスするステップが、前記銀行券が属する特定の通貨および特定の額面に対応するテンプレートにアクセスするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のクラスのうちの少なくとも1つが、前記特定の通貨および特定の額面の銀行券を自動確認機械に挿入することができる複数の向きのそれぞれと関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のクラスのうちの少なくとも1つが、前記特定の通貨および特定の額面の銀行券が製造される複数の製造シリーズのそれぞれと関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記テンプレートから、前記複数のクラスのすべてに属する証券媒体アイテムに適用する1つのセグメンテーション・マップを検索するステップと、
前記証券媒体アイテムの画像にセグメンテーション・マップを適用して、前記画像に対する特徴セットを抽出するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記証券媒体アイテムの画像に前記1クラス分類子それぞれを適用するステップが、前記1クラス分類子それぞれを前記特徴セットに適用して、前記複数のクラスのそれぞれに対する前記結果セットを生成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記テンプレートにアクセスするステップが、それぞれが複数の特徴クラスタのうちの1つを表す複数の1クラス分類子を備えるテンプレートにアクセスするステップを含み、前記複数の特徴クラスタのそれぞれが、前記証券媒体アイテムが属する前記複数のクラスのうちの1つと関連する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記証券媒体アイテムが銀行券である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
類似のタイプの複数の証券媒体アイテムの画像を受信するステップであって、前記各画像が、そのタイプの証券媒体アイテムに関連する複数のクラスのうちの1つに属するステップと、
前記画像を使用して、前記複数のクラスのすべてに属する証券媒体アイテムを表す1つのセグメンテーション・マップを生成するステップと、
前記画像および前記セグメンテーション・マップを使用して、複数の1クラス分類子を生成するステップであって、前記1クラス分類子のそれぞれが前記複数のクラスのうちの1つと関連するステップと、
前記セグメンテーション・マップおよび前記複数の1クラス分類子を含むように前記テンプレートを定義するステップと、
の各ステップを含む、証券媒体アイテムの自動確認のためのテンプレートを生成する際に使用するための方法。
【請求項14】
前記画像を使用して、それぞれが前記複数のクラスのうちの1つと関連する複数の特徴クラスタを生成するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記画像および前記セグメンテーション・マップを使用して複数の1クラス分類子を生成するステップが、前記複数の特徴クラスタのそれぞれに前記セグメンテーション・マップを適用して複数の特徴セットを抽出するステップを含み、前記特徴セットそれぞれが前記複数のクラスのうちの1つと関連する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記複数のクラスのうちの少なくとも1つが、前記証券媒体アイテムを自動確認機械内に挿入することができる複数の向きのそれぞれと関連する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のクラスのうちの少なくとも1つが、そのタイプの証券媒体アイテムが製造される複数の製造シリーズのそれぞれと関連する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記証券媒体アイテムが、特定の通貨および特定の額面に属する銀行券である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記複数のクラスのうちの少なくとも1つが、特定の通貨および特定の額面の銀行券を自動確認機械内に挿入することができる複数の向きのそれぞれと関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記複数のクラスのうちの少なくとも1つが、前記特定の通貨および特定の額面の銀行券が製造される複数の製造シリーズのそれぞれと関連する、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記証券媒体アイテムが銀行券を含む、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−181507(P2008−181507A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−338730(P2007−338730)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(391007161)エヌ・シー・アール・コーポレイション (85)
【氏名又は名称原語表記】NCR CORPORATION
【Fターム(参考)】