複数のファイバーで構成される帯を凸型表面上および/またはエッジを有する表面上に付設する方法および装置
本発明は、複合材料で部品を製造するためのファイバー付設方法およびファイバー付設装置に関し、特に、複数のファイバーで構成される帯を凸型表面上および/またはエッジを有する表面上に付設するファイバー付設方法およびファイバー付設装置に関する。本装置は、ファイバー付設ヘッドと、この付設ヘッドを移動させるための移動システム(5)とを備えている。該付設ヘッドは、付設表面(90)に接触させてこの帯を付設するための圧縮ローラ(2)を有する圧縮システムと、この圧縮ローラの下流に配置されている、実質的に平らな接触表面(32)を有する圧縮部材(3、103、203)とを備えている。さらに、該圧縮部材は、上記帯の幅のほぼ全体にわたって、上記接触表面によって上記付設表面に少なくとも1つの接触線において押し付けられることができる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、複合材料部品を製造するためのファイバー付設方法およびファイバー付設装置に関し、さらに具体的には、複数のファイバーで構成される帯を、凸型表面上および/またはエッジを有する表面上に付設する方法および装置に関する。
【0002】
樹脂を含浸する平坦なリボン状の複数のファイバー(特に熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含浸する炭素ファイバー)によって構成された幅の広い帯を、雄型のモールドまたは雌型のモールド上に付設するための公知のファイバー付設装置(いわゆるファイバー配置装置)は以前から存在する。これらの装置(例えば国際特許出願公開第2006/092514号明細書に記載された装置)は、通常、モールド付設表面上に平坦な複数のファイバーで構成された帯を付設可能なファイバー付設ヘッドと、このファイバー付設ヘッドを移動させるための移動システムとを備えている。
【0003】
上記ファイバー付設ヘッドはファイバー配置ヘッドとも呼ばれ、通常、複数のファイバーで構成される帯を付設するための接触線に沿ってモールドに対して接触するように設けられた圧縮ローラと、帯状のファイバーを該圧縮ローラ上において案内するためのファイバー案内手段とを備えている。
【0004】
上記移動システムによって、付設ヘッドは互いに垂直な少なくとも3つの方向に確実に移動する。この移動システムは、例えば、付設ヘッドが固定される端部手首型関節部を有する、床面上に配置または直線運動軸上に搭載された標準的な6軸ロボット型多関節アームによって形成されるか、または、付設ヘッドを搬送する端部手首型関節部を装備した門形フレーム式直角座標ロボットによって形成されればよい。
【0005】
圧縮ローラによってファイバーを付設または積設する際に、圧縮ローラは、モールドの付設表面上に継続的に圧力を印加して、ファイバーで構成された積設済みの帯と帯との間に捕捉されている空気を徐々に追い出す。重畳した帯の複数の層を付設した後に、得られた部品は、オーブン(一般にはオートクレーブオーブン)に通すことによって真空硬化させる。
【0006】
積設時にこのように圧縮することによって、硬化前の寸法が硬化後の最終的な寸法にほぼ対応する部品を得ることができる。
【0007】
多数のファイバー(例えば、8つのファイバー)で構成された帯を付設する場合には、ファイバーを配置するための現在提案されている付設装置およびプログラミングソフトウェアでは、複数のファイバーで構成された、エッジまたは凸型表面の母線に対して約45°または135°の方向を向いた帯を、すべての帯状ファイバーを圧縮しながら、エッジ上または曲率半径が小さな(例えば10mm未満)凸型表面上に積設することができない。
【0008】
圧縮を実施しなければ、空気の気泡は真空硬化時にしか追い出されない。したがって、最終部品は、上記エッジまたは凸型表面において余分な材料がひだを形成する。
【0009】
従来技術において、エッジおよび/または凸型表面を有するこれらの異なる部品は、前記の種類の付設装置を用いて平面状部品を形成し、次にこの平面状部品を硬化させる前に折り畳むおよび/または曲げることによって得られる。この折り畳みまたは曲げステップは、余分かつ複雑な過程を必要とするだけではなく、内部の層においてひだが形成されることにもつながる。このようなひだが形成されると、最終部品の諸耐性が影響される。
【0010】
その結果、従来技術において提案されている付設装置は、特に航空産業分野において、非常に重要な部品(例えば、航空機の翼のスパー、ウインドタービンのブレードのビーム、空気力学的なプロファイル形状、いわゆるL字型金具、補強材など)の製造に使用されない。
【0011】
本発明の目的は、エッジおよび/または凸型表面を有する部品を、ファイバー付設装置を用いて良好な機械的特性で製造することを可能にし、前記の短所を解消することを図る解決策を提案することにある。
【0012】
この目的を達成するために、本発明は、ほぼ隣接して配置される平坦な複数のファイバーで構成される帯を、エッジまたは曲表面(例えば円弧状表面)によって接続された第1の実質的に平らな表面および第2の実質的に平らな表面を備えた付設表面上、または、凸型付設表面(例えば円筒状表面またはテーパ状表面)上に付設する方法であって、該帯の付設が、圧縮ローラを有する圧縮システムを備えたファイバー付設ヘッドを用いて実施され、該圧縮ローラを付設表面に接触させ、圧縮ヘッドを移動させて、複数のファイバーで構成される帯を該付設表面上に付設することを含む方法であって、該圧縮システムの圧縮部材を、付設表面上に付設された複数のファイバーで構成される帯に接触させるステップであって、該圧縮部材がヘッドの進行方向に対して圧縮ローラの下流に配置され、また、該圧縮部材が、帯を構成するすべてのファイバーに少なくとも1つの接触線において実質的に接触しているステップと、該圧縮部材が、圧縮部材と付設表面との間で実質的に滑りを発生させずに帯に少なくとも1つの接触線において接触したまま帯を圧縮できるように、また、圧縮ローラが伸開線を描くように、エッジを中心として、曲表面を中心として、または、凸型表面を中心としてヘッドを回転させるステップとを含むことを特徴とする、方法を提案する。
【0013】
本発明によれば、ヘッドはさらに圧縮部材を備えており、こうすることによって、圧縮部材が付設表面に付設された帯に少なくとも1つの接触線において接触する。次に、ヘッドは、圧縮部材と付設表面との間の相対的並進速度をほぼゼロで保持しながら(つまり、実質的に滑りを発生させずに)、圧縮部材を、少なくとも1つの接触線における帯との接触を保持するように回転する。
【0014】
圧縮部材の接触は、ヘッドをヘッド移動システムを介して後方向に振ることによって、および/または、圧縮部材を移動システムによって移動させることによって実施される。上記回転ステップは、回転動作を実施可能にするために、圧縮ローラがエッジを超えるまで、第1の表面と曲表面との間の接合線を超えるまで、または、凸型表面の母線を超えるまで、ヘッドを接線方向に付設表面まで移動させるステップの後に実施される。なお、上記圧縮部材を押し付けるステップは、この移動ステップと同時、または、移動ステップの後に実施される。
【0015】
一実施形態によれば、上記付設表面がエッジによって接続された第1の実質的に平らな表面および第2の実質的に平らな表面を備えている場合に、上記方法は、上記圧縮ローラを第1の表面に少なくとも1つの接触線において接触させ、付設ヘッドを移動させて、ファイバーで構成される帯を第1の表面上に、上記エッジに対して角度α1を形成する第1の方向に付設するステップと、上記エッジが近づくと、上記ヘッドを、圧縮ローラが実質的にエッジを超えるまで、第1の方向に第1の表面の接線に沿って移動させ、この移動と同時に、または、移動に続いて、第1の表面上に付設された帯に圧縮部材を接触させるステップと、上記圧縮ローラが第2の表面に帯の幅に実質的に対応する少なくとも1つの接触線において接触するまで、上記ヘッドを、エッジを中心として、圧縮部材が帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップと、上記圧縮部材がこれ以上付設表面に接触しないように圧縮部材を付設表面から離間させ、この離間と同時に、または、離間に続いてヘッドを移動させて、上記帯を第2の表面上に、上記エッジに対して180−α1に実質的に等しい角度α2を形成する第2の方向に付設するステップとを含む。
【0016】
別の一実施形態によれば、上記付設表面が曲表面によって接続された第1の実質的に平らな表面および第2の実質的に平らな表面を備えている場合に、上記方法は、上記圧縮ローラを第1の表面に少なくとも1つの接触線において接触させ、付設ヘッドを移動させて、ファイバーで構成される帯を第1の表面上に、上記第1の表面と曲表面との間のほぼ直線状である第1の接合線に対して角度α1を形成する第1の方向に付設するステップと、上記第1の接合線が近づくと、上記ヘッドを、圧縮ローラが第1の接合線を超えるまで、第1の方向に第1の表面の接線に沿って移動させ、この移動と同時に、または、移動に続いて、第1の表面上に付設された帯に圧縮部材を接触させるステップと、1つまたは複数の回転ステップにおいて、上記圧縮ローラが第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触するまで、上記ヘッドを、曲表面を中心として、上記部材が帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップと、上記圧縮部材がこれ以上付設表面に接触しないように圧縮部材を付設表面から離間させ、この離間と同時に、または、離間に続いて、圧縮ローラによって第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触している付設ヘッドを移動させて、上記帯を第2の表面上に、上記曲表面と第2の表面との間の第2の接合線に対して180−α1に実質的に等しい角度α2を形成する方向に付設するステップとを含む。
【0017】
本実施形態では、圧縮部材を第1の表面上に付設された帯に接触させた後に、圧縮ローラが付設表面に接触するまで、上記ヘッドを曲表面を中心として回転させ、上記圧縮ローラが、回転の終了時に、少なくとも1つの接触点において曲表面に接触しているのであれば、圧縮部材を曲表面に接触させて、または、接触させないで(好ましくは、上記部材を曲表面から離間させることによって接触させないで)、ヘッドを接触点を通る曲表面の母線に対して角度α1を形成する方向に曲表面の接線に沿って接触点まで移動させ、次に、上記ヘッドを曲表面を中心として回転させ、これらの2つの移動ステップおよび回転ステップを、圧縮ローラが第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触するまで反復することが可能である。
【0018】
別の構成としては、回転ステップに先行するヘッドの移動が、ローラを曲表面に接触させる前に実施される。
【0019】
上記曲表面は、中心角が180°より大きい扇形を形成するように延びてもよい。
【0020】
別の一実施形態によれば、凸型付設表面(例えば円筒状表面またはテーパ状表面)の場合に、上記方法は、上記圧縮ローラを凸型付設表面に少なくとも1つの接触点において接触させるステップと、この接触点に達するまで、圧縮部材を凸型付設表面に接触させて、または、接触させないで、上記ヘッドを接触点を通る凸型表面の母線に対して角度α1を形成する方向に凸型付設表面の接線に沿って移動させるステップと、1つ以上の回転ステップにおいて、上記圧縮部材によって凸型付設表面に押し付けられた付設ヘッドを、凸型付設表面を中心として、上記部材が帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップとを含む。
【0021】
本実施形態では、圧縮部材を凸型付設表面に接触させて、または、接触させないで(好ましくは、上記部材を凸型付設表面から離間させることによって接触させないで)、上記ヘッドを接触点を通る凸型表面の母線に対して角度α1を形成する方向に凸型付設表面の接線に沿って接触点まで移動させた後に、上記圧縮部材によって凸型付設表面に押し付けられた付設ヘッドを、凸型付設表面を中心として、圧縮ローラが凸型付設表面に接触するまで回転させ、この移動ステップおよび回転ステップを1回以上反復することが可能である。
【0022】
別の構成としては、回転ステップに先行するヘッドの移動が、ローラを凸型付設表面に接触させる前に実施される。
【0023】
本方法は、好適には、90°ではない角度α1に対して使用される。好ましくは、角度αは10°〜80°、好ましくは20°〜70°、より好ましくは30°〜60°、例えば約45°である。
【0024】
本発明のもう1つの目的は、上記において規定した方法を実施するために使用可能な、複合材料で部品を製造するためのファイバー付設装置であって、前述の方法を実施することができ、付設表面に接触させて帯を付設するための圧縮ローラを有する圧縮システムと、ファイバーを帯の形態で圧縮ローラ上において案内するためのファイバー案内手段とを備え、複数の平坦なファイバーで構成された帯を付設表面に付設することができるファイバー付設ヘッドと、上記圧縮システムが、圧縮ローラの下流に配置されている、実質的に平らな接触表面を有する圧縮部材をさらに備え、上記圧縮部材が、帯の幅のほぼ全体にわたって、接触表面によって付設表面に少なくとも1つの接触線において押し付けられることができることを特徴とする、上記ファイバー付設ヘッドを移動させるための移動システムとを備えたファイバー付設装置である。
【0025】
該圧縮部材は、好適にはエラストマー系素材で形成され、好ましくは付着防止膜(例えばテフロン(登録商標)膜)でコーティングされる。圧縮部材の接触表面は、好適には圧縮ローラにもっとも近い場所に配置される。
【0026】
一実施形態によれば、上記圧縮部材は、圧縮ローラとは離れた圧縮用楔形部材を有する。
【0027】
別の一実施形態によれば、上記圧縮部材が上流側戻りローラおよび下流側戻りローラに取り付けられた無端バンドを備え、両ローラが圧縮ローラの下流に圧縮ローラの軸と平行に取り付けられ(好ましくは回転可能に取り付けられ)、上記無端バンドの下側ストランドが圧縮部材の接触表面を構成する。
【0028】
別の一実施形態によれば、上記圧縮部材が圧縮ローラおよび下流側戻りローラに取り付けられた無端バンドを備え、上記下流側戻りローラが圧縮ローラの下流に圧縮ローラと平行に取り付けられ、上記無端バンドの下側ストランドが接触部材の接触表面を構成する。
【0029】
一実施形態によれば、上記付設ヘッドが支持構造物を備え、こうすることによって、上記ヘッドが移動システムに組み込まれ、上記圧縮部材および圧縮ローラが、圧縮ローラの軸に対する圧縮部材の接触表面の相対運動を発生させずに、相対的に固定された状態で支持構造物に取り付けられ、したがって、上記圧縮部材は、装置移動システムによって付設ヘッドが移動することによって付設表面に押し付けられる。別の構成としては、上記圧縮部材は取り外し可能な様態で支持構造物に取り付けられ、移動手段は、回転運動および/または並進運動によって圧縮部材を退避位置と1つのまたは複数の動作位置との間で移動させて、圧縮部材を付設表面に接触させることができる。
【0030】
添付の概略的な図面を参照すれば、本発明の現在好ましい特定の実施形態に関する以下の詳細な説明において、本発明はより良好に理解され、他の目的、詳細、特性、および、効果が明らかになるであろう。
【0031】
図1は、複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、第1の実施形態に係る付設装置の概略的な斜視図である。
【0032】
図2は、複数のファイバーで構成される帯をモールド上に付設する、図1の装置の付設ヘッドの概略的な拡大斜視図である。
【0033】
図3および図4Aは、複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、図2のヘッドの圧縮システムの2つの概略的な斜視図である。なお、このモールドは、互いに対してほぼ90°に配置され、円形円弧状を有する表面によって接続される、第1の実質的に平らな表面と第2の実質的に平らな表面とを備えている。また、付設ヘッドは上記帯を上記第1の表面上に付設する過程にある。
【0034】
図4B〜図4Gは、図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【0035】
図5は、図3の付設表面の概略的な拡大側面図であって、複数のファイバーで構成される帯を曲表面上に付設するためのヘッド移動時の、ローラの点の軌跡を鉛直方向に投影して示している。
【0036】
図6は、図3の付設表面の第1の表面上に付設された複数のファイバーで構成される帯の平面図である。
【0037】
図7Aおよび図7Bは、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【0038】
図8Aおよび図8Bは、それぞれ、本発明の第3の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【0039】
図1を参照すると、ファイバー付設装置はファイバー付設ヘッド1および移動システム5を備えており、こうすることによって、ファイバー付設ヘッドをどの方向にも移動させることができる。ここで、移動システムは、直線運動軸52上に移動可能に取り付けられた6軸ロボット型多関節アーム部51(自体公知)を備えている。また、この6軸ロボット型多関節アーム部51の端部手首型関節部511には、付設ヘッド1が設けられている。上記多関節アーム部は、サブプレート52bによって台車53上に固定されている。また、この台車53は直線運動軸52上に滑ることができるように取り付けられている。上記直線運動軸は、床面に固定された平行な2つのレールで構成されている。台車には、コントローラによってサーボ制御される駆動手段(例えばモータ駆動ロール式の駆動手段)が設けられており、上記レールに沿って付設ヘッドを移動させることができる。ファイバー付設装置は、ファイバー収納手段と、ファイバーを収納手段から付設ヘッドに向かって搬送する搬送手段(図示せず)とをさらに備えている。各ファイバーは、好適には、例えば軸52に載せたスライド式従動台車に取り付けられたクリールのボビンに巻きつけて収納されて、例えば国際特許出願公開第2006/092514号明細書に記載されている屈曲性を有する搬送チューブを介して付設ヘッドまで個別に搬送される。
【0040】
図2および図3を参照すると、ファイバー付設ヘッドは支持構造物10を備え、こうすることによって、ヘッドは、ロボットの手首型関節部の端部に取り付けられる。なお、上記支持構造物に、ファイバー案内手段と、圧縮ローラ2を有する圧縮システムとが取り付けられている。この案内手段は、ヘッドに入るファイバーを、樹脂を事前に含浸させた複数のファイバーの帯の形態で圧縮ローラの方向に案内する。帯を形成する各ファイバーは、横に並べてほぼ隣接して配置されている。上記ヘッドをロボットによって移動させることによって、圧縮ローラ(自体公知)をモールド9の付設表面に接触させて、複数のファイバーで構成される帯を付設することができる。このヘッドは、例えば仏国公開特許第2 913 365号明細書に記載されたタイプのヘッドである。上記圧縮ローラ2は、側面支持部21を介して支持構造物10に回転可能に取り外し可能な様態で取り付けられる。該ローラは、付着防止材(例えばテフロン)でコーティングしたエラストマー系素材で構成されている。ローラの幅は、図示した実施形態では、8つのファイバーで構成された帯の幅よりわずかに大きい。
【0041】
上記圧縮システムは圧縮部材をさらに備えている。この圧縮部材は、本実施形態では、複数のファイバーで構成される帯を付設表面上に付設できるように、図3に矢印F1で示すヘッドの進行方向に対して圧縮ローラの下流に配置された圧縮用楔形部材3で形成されている。図3に示すように、圧縮用楔形部材はブロック30で構成されている。このブロック30は例えばほぼ平行六面体であって、その幅はブロックの2つの側面31の間の距離によって規定されており、圧縮ローラ2の幅に実質的に等しい。ブロックの下面は実質的に平らな接触表面32と称する面を形成している。こうすることによって、上記圧縮用楔形部材は、圧縮ローラによって積設済みの帯の幅全体にわたって少なくとも1つの接触線において当接するように構成されている。
【0042】
本実施形態において、圧縮用楔形部材は、その接触表面32が圧縮ローラの接線方向に配置され、その結果、ヘッドを多関節アーム部51を介して後方向に振ることによって、直前に付設された複数のファイバーで構成される帯にヘッドが接触するように、圧縮ローラの後ろ側にある中央の組み立てアーム部35によって支持構造物10に固定されている。
【0043】
ブロックの前面はローラに近い側に配置され、好適には、楔形部材が取り付けられるように、ローラの曲率半径に合わせた曲率半径を有する凹表面33を形成し、特にローラにもっとも近い接触表面32をローラの曲率半径に合わせた曲率半径を有するように形成する。好適には、凹表面33と接触表面32との間に規定された前方エッジ34は、できるだけ高さが抑制され、また、ほぼ直線状である。上記案内手段はファイバーを圧縮ローラに接触させ、ファイバーは、圧縮用楔形部材と実質的に接触せずに、ローラと圧縮用楔形部材との間を通過する。上記ブロックは、好適にはローラと類似のエラストマー系素材で形成され、その下面は、好適には付着防止膜(例えばテフロン膜)でコーティングされ、接触表面32を構成する。
【0044】
好適には、この圧縮システムを装備したヘッドを使用して、複数のファイバーで構成される帯が、エッジを有する付設表面上、または、凸型表面上に積設される。こうすることによって、帯は、エッジまたは凸型表面において、特に、付設された帯がエッジまたは凸型表面に対して例えば45°または135°の角度を形成する場合に、確実に良好に圧縮される。
【0045】
次に、図3、図4A〜上記4G、図5、および、図6を参照しながら、付設表面90が、円弧状の曲表面93によって接続された第1の実質的に平らな表面91および第2の実質的に平らな表面92を備えている場合において、本発明に係るファイバー付設装置を用いてモールドの付設表面上に帯を付設する方法について記載する。
【0046】
上記2つの表面91および92は、互いに対して90°に配置され、曲表面93は、中心角が90°の扇形の円弧状に延びている。部材番号93aおよび93bは、それぞれ、第1の表面91と曲表面93との間に位置するほぼ直線状の第1の接合線および第2の表面と曲表面との間に位置するほぼ直線状の第2の接合線を示している。
【0047】
第1の表面および第2の表面は実質的に平らであると言ってよい。ここでは、「実質的に平らな表面」とは平らな表面を意味しているだけではなく、凹型表面または凸型表面をも意味している。ただし、後者の場合には、その凸状態または凹状態は、幅全体にわたって、ローラを表面に押し付けて帯を構成するすべてのファイバーを圧縮することができる程度に十分に低い。また、必要な場合には、エラストマー系素材製の上記ローラはわずかに変形することができ、この押し付け作業が確実に実施される。
【0048】
図3、図4A、および、図6に示すように、上記付設ヘッドは、ファイバー7で構成される帯8を第1の表面91上に積設する。この付設ヘッドは、通常、圧縮ローラ2によって第1の表面91に少なくとも1つの接触線において押し付けられる。実際には、変形可能な素材で作製された該ローラが幅の狭い線状領域において押し付けられる。ヘッドは、方向F1に移動して、第1の接合線93aに対して角度α1(図6)を形成する帯を付設する。
【0049】
例えば図4Bに示すように、ヘッドは同方向F1に移動して、第1の接合線93aに達する。付設ヘッドの軌跡をパラメータで表わすために、例えば、表面に接触しているローラの母線Gの中点に対応する、ヘッドの原点P0を定義する。付設ヘッドは、原点P0がほぼ第1の接合線上に位置するまで移動する。
【0050】
図5および図6に示すように、第1の表面上に付設された帯を構成する外側のファイバー71のエッジが第1の接合線に到達するように、付設ヘッドは、同方向F1に第1の表面91の接線に沿って距離L1を移動する。帯の幅が2dに等しい場合には、この距離L1はd/tanα1に等しい。
【0051】
上記ヘッドは、方向F1に第1の表面の接線に沿って距離L2を移動する。この距離L2は、少なくとも、上記2つの接合線間の曲表面上にファイバーを巻きつけるために必要なファイバーの長さと、ローラの母線Gから圧縮用楔形部材までの距離とを足し算したものに等しい。
【0052】
次に、例えば図4Cに示すように、付設ヘッドは後方向に傾斜して、圧縮用楔形部材3を第1の表面に押し付け、楔形部材の接触表面32を第1の表面上に付設された複数のファイバーで構成される帯に押し付ける。圧縮用楔形部材を押し付けるために、ヘッドは、距離L1+L2または距離L2の移動の終了時またはその距離を移動中に、後方向に振られる。好ましくは、各ファイバーに対する楔形部材の滑りを一切発生させないように、移動の終了時に振られる。
【0053】
次に、例えば図4Dに示すように、ヘッドは、楔形部材とモールドとの間の相対的速度をゼロで保持しながら、圧縮用楔形部材をモールドに実質的に少なくとも1つの接触線において接触させた状態を保持できる軌跡に沿って、曲表面93を中心として回転する。この回転は、ローラが第2の接合線を超えて、接触線に沿って第2の表面92に当接するまで実施される。図5は、ローラの接触母線Gの点P1の軌跡を鉛直方向に投影して示している。この点P1は、帯を構成する外側のファイバー71のエッジに位置する母線の点である。ローラの各点は、2つの接合線間の曲表面によって示す円弧を中心とする、長さL2のファイバーの巻きつけに対応する伸開線を描く。回転の終了時に、点P1は第2の表面92上に達し、その結果、圧縮用楔形部材の前方エッジ34が第2の接合線を超える。また、点P1の右に位置するこの前方エッジ34の端部は、実質的に第2の接合線93bに沿って位置している可能性がある。
【0054】
曲表面を中心としたヘッドの回転が終了すると、例えば図4Eに示すように、圧縮ローラが接触線に沿って押し付けられ、ヘッドが前方向に傾斜して、圧縮用楔形部材を持ち上げる。この結果、例えば図4Fに示すように、圧縮用楔形部材はこれ以上モールドに接触しない。
【0055】
圧縮用楔形部材が接触しなくなると、ヘッドは、接触している圧縮ローラだけを使って、第2の接合線に対して角度α2を形成する方向F2にドレープ形成を再開する。この角度α2は実質的に180°−α1に等しい。
【0056】
ローラおよび圧縮用楔形部材が変形可能な素材で作製されている場合、両者の変形能力によって、L2の移動にある程度のずれの発生が許容されるようになり、したがって、回転の前後で接触母線Gの位置にある程度のずれが許容されるようになるが、一方で、曲表面上におけるすべてのファイバーの圧縮は保証される。
【0057】
本実施形態では、ヘッドが距離L2を移動することによって、ファイバーがほどけて、楔形部材が第1の接合線に対して十分な長さだけシフトすることができるようになり、回転動作中に曲表面全体にわたって楔形部材によって帯を圧縮することが可能になる。
【0058】
あるいは、上述のような曲表面上への帯の付設を、特に上記2つの接合線間の各ファイバーの巻きつけ円弧部が大きい場合、および/または、楔形部材の長さが巻きつけ円弧部未満である場合は、複数の移動動作および回転動作に分けて実施してもよい。この場合、ヘッドは上述のように接線方向に第1の表面まで距離L1を移動して、次に、巻きつけ円弧部未満の距離L’2を移動する。ヘッドを振って楔形部材を押し付けた後に、ヘッドはローラが曲表面に接触するまで回転する。次に、ヘッドは、接触点において接線方向に距離L”2を移動する。なお、距離L”2は距離L’2に等しくてもよい。この移動の間、楔形部材は、曲表面と接触した状態で保持されてもよいが、好ましくは、ヘッドが前方向に振られて曲表面から離れる方向に移動し、こうすることによって一切の滑りの発生を防止する。楔形部材が離れる方向に移動したのであれば、距離L2の移動の終了時に、ヘッドを後方向に振ることによって、楔形部材は接触線において曲表面に接触するようになる。次に、ヘッドは、例えば上述のように回転する。この回転の終了時にローラが第2の表面に接触していれば、次に、ヘッドは後方向に振られて、第2の表面上に帯を典型的な態様で付設する。そうでなければ、上記の移動動作および回転動作がローラが第2の表面に接触するまで繰り返される。
【0059】
本発明に係る方法は、言うまでもなく、エッジを形成する、または、曲表面によって接続された2つの表面、特に180°または180°を超える円弧状の曲表面によって接続された2つの実質的に平行な表面を備えた各種の付設表面に適用されてもよい。さらに、例えば小さな直径を有する円筒上にドレープをかける際には、前記の接線方向の移動動作および回転動作を連続的に実施してもかまわない。
【0060】
2つの表面が急峻なエッジによって接続されている、または、圧縮用楔形部材の弾性変形によって曲表面の圧縮を可能にするために十分に小さな曲率半径を有する曲表面によって接続されている単純な場合であれば、ヘッドは、少なくとも前記の距離L1に等しい距離を移動し、好ましくはこの距離に加えて、母線を圧縮用楔形部材の前方エッジから隔てている距離を移動し、次に、ヘッドは後方向に振られて楔形部材を押し付けて、そして回転してローラを第2の表面に押し付ける。
【0061】
図7Aおよび図7Bは、ヘッドの支持構造物上に取り付け可能な圧縮システムの第2の実施形態を示している。圧縮システムは、上述のように圧縮ローラ102を備え、さらに、上流側戻りローラ136および下流側戻りローラ137に取り付けられた無端バンド(つまりベルト)130を有する圧縮部材103を備えている。どちらの戻りローラも、ヘッドの支持構造物上において、圧縮ローラの下流に、圧縮ローラの軸と平行に回転可能に取り付けられる。なお、無端バンドの下側ストランド138は上記接触表面132を構成し、こうすることによって、圧縮部材がモールドに押し付けられる。
【0062】
無端バンド(ベルト)によって形成されるこの接触表面132によって、回転動作中に接触表面がモールドに対して滑ることができるようになり、また、原点P0が第1の接合線上に位置する場合、および/または、ヘッドの距離L1および/または前記の距離L2、L’2、および、L”2の移動中に、回転動作前にヘッドが振られて、上記表面(例えばモールド)に対する滑りを発生させずに、この接触表面を押し付けることができるようになる。
【0063】
好適には、戻りローラ136、137は、圧縮ローラの側面支持部121上の複数の側面アーム部135のシステムを介して取り付けられ、こうすることによって、圧縮システムはヘッドの支持構造物上に運動可能に取り付けられる。
【0064】
図8Aおよび図8Bは、圧縮システムの第3の実施形態を示している。本実施形態において、圧縮部材203は、圧縮ローラ202および下流側戻りローラ237に取り付けられた無端バンド230を備えている。下流側戻りローラは圧縮ローラの下流側に、圧縮ローラと平行に取り付けられている。したがって、無端バンドは圧縮ローラの接触表面を構成し、下側ストランド238は圧縮部材の接触表面232を構成する。下流側戻りローラは、側面アーム部235を介して圧縮ローラの側面支持部221に取り付けられている。
【0065】
上記無端バンド130および230は、好適にはエラストマー系素材で構成され、外側が付着防止膜(例えばテフロン系膜)によってコーティングされる。
【0066】
本発明について各種の特定の実施形態との関連において記載してきたが、本発明は決してこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、記載した手段のすべての技術的な等価物およびその組み合わせを含むものであることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、第1の実施形態に係る付設装置の概略的な斜視図である。
【図2】複数のファイバーで構成される帯をモールド上に付設する、図1の装置の付設ヘッドの概略的な拡大斜視図である。
【図3】複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、図2のヘッドの圧縮システムの2つの概略的な斜視図である。なお、このモールドは、互いに対してほぼ90°に配置され、円形円弧状を有する表面によって接続される、第1の実質的に平らな表面と第2の実質的に平らな表面とを備えている。また、付設ヘッドは上記帯を上記第1の表面上に付設する過程にある。
【図4A】複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、図2のヘッドの圧縮システムの2つの概略的な斜視図である。なお、このモールドは、互いに対してほぼ90°に配置され、円形円弧状を有する表面によって接続される、第1の実質的に平らな表面と第2の実質的に平らな表面とを備えている。また、付設ヘッドは上記帯を上記第1の表面上に付設する過程にある。
【図4B】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4C】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4D】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4E】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4F】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4G】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図5】図3の付設表面の概略的な拡大側面図であって、複数のファイバーで構成される帯を曲表面上に付設するためのヘッド移動時の、ローラの点の軌跡を鉛直方向に投影して示している。
【図6】図3の付設表面の第1の表面上に付設された複数のファイバーで構成される帯の平面図である。
【図7A】本発明の第2の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【図7B】本発明の第2の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【図8A】本発明の第3の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【図8B】本発明の第3の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、複合材料部品を製造するためのファイバー付設方法およびファイバー付設装置に関し、さらに具体的には、複数のファイバーで構成される帯を、凸型表面上および/またはエッジを有する表面上に付設する方法および装置に関する。
【0002】
樹脂を含浸する平坦なリボン状の複数のファイバー(特に熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂を含浸する炭素ファイバー)によって構成された幅の広い帯を、雄型のモールドまたは雌型のモールド上に付設するための公知のファイバー付設装置(いわゆるファイバー配置装置)は以前から存在する。これらの装置(例えば国際特許出願公開第2006/092514号明細書に記載された装置)は、通常、モールド付設表面上に平坦な複数のファイバーで構成された帯を付設可能なファイバー付設ヘッドと、このファイバー付設ヘッドを移動させるための移動システムとを備えている。
【0003】
上記ファイバー付設ヘッドはファイバー配置ヘッドとも呼ばれ、通常、複数のファイバーで構成される帯を付設するための接触線に沿ってモールドに対して接触するように設けられた圧縮ローラと、帯状のファイバーを該圧縮ローラ上において案内するためのファイバー案内手段とを備えている。
【0004】
上記移動システムによって、付設ヘッドは互いに垂直な少なくとも3つの方向に確実に移動する。この移動システムは、例えば、付設ヘッドが固定される端部手首型関節部を有する、床面上に配置または直線運動軸上に搭載された標準的な6軸ロボット型多関節アームによって形成されるか、または、付設ヘッドを搬送する端部手首型関節部を装備した門形フレーム式直角座標ロボットによって形成されればよい。
【0005】
圧縮ローラによってファイバーを付設または積設する際に、圧縮ローラは、モールドの付設表面上に継続的に圧力を印加して、ファイバーで構成された積設済みの帯と帯との間に捕捉されている空気を徐々に追い出す。重畳した帯の複数の層を付設した後に、得られた部品は、オーブン(一般にはオートクレーブオーブン)に通すことによって真空硬化させる。
【0006】
積設時にこのように圧縮することによって、硬化前の寸法が硬化後の最終的な寸法にほぼ対応する部品を得ることができる。
【0007】
多数のファイバー(例えば、8つのファイバー)で構成された帯を付設する場合には、ファイバーを配置するための現在提案されている付設装置およびプログラミングソフトウェアでは、複数のファイバーで構成された、エッジまたは凸型表面の母線に対して約45°または135°の方向を向いた帯を、すべての帯状ファイバーを圧縮しながら、エッジ上または曲率半径が小さな(例えば10mm未満)凸型表面上に積設することができない。
【0008】
圧縮を実施しなければ、空気の気泡は真空硬化時にしか追い出されない。したがって、最終部品は、上記エッジまたは凸型表面において余分な材料がひだを形成する。
【0009】
従来技術において、エッジおよび/または凸型表面を有するこれらの異なる部品は、前記の種類の付設装置を用いて平面状部品を形成し、次にこの平面状部品を硬化させる前に折り畳むおよび/または曲げることによって得られる。この折り畳みまたは曲げステップは、余分かつ複雑な過程を必要とするだけではなく、内部の層においてひだが形成されることにもつながる。このようなひだが形成されると、最終部品の諸耐性が影響される。
【0010】
その結果、従来技術において提案されている付設装置は、特に航空産業分野において、非常に重要な部品(例えば、航空機の翼のスパー、ウインドタービンのブレードのビーム、空気力学的なプロファイル形状、いわゆるL字型金具、補強材など)の製造に使用されない。
【0011】
本発明の目的は、エッジおよび/または凸型表面を有する部品を、ファイバー付設装置を用いて良好な機械的特性で製造することを可能にし、前記の短所を解消することを図る解決策を提案することにある。
【0012】
この目的を達成するために、本発明は、ほぼ隣接して配置される平坦な複数のファイバーで構成される帯を、エッジまたは曲表面(例えば円弧状表面)によって接続された第1の実質的に平らな表面および第2の実質的に平らな表面を備えた付設表面上、または、凸型付設表面(例えば円筒状表面またはテーパ状表面)上に付設する方法であって、該帯の付設が、圧縮ローラを有する圧縮システムを備えたファイバー付設ヘッドを用いて実施され、該圧縮ローラを付設表面に接触させ、圧縮ヘッドを移動させて、複数のファイバーで構成される帯を該付設表面上に付設することを含む方法であって、該圧縮システムの圧縮部材を、付設表面上に付設された複数のファイバーで構成される帯に接触させるステップであって、該圧縮部材がヘッドの進行方向に対して圧縮ローラの下流に配置され、また、該圧縮部材が、帯を構成するすべてのファイバーに少なくとも1つの接触線において実質的に接触しているステップと、該圧縮部材が、圧縮部材と付設表面との間で実質的に滑りを発生させずに帯に少なくとも1つの接触線において接触したまま帯を圧縮できるように、また、圧縮ローラが伸開線を描くように、エッジを中心として、曲表面を中心として、または、凸型表面を中心としてヘッドを回転させるステップとを含むことを特徴とする、方法を提案する。
【0013】
本発明によれば、ヘッドはさらに圧縮部材を備えており、こうすることによって、圧縮部材が付設表面に付設された帯に少なくとも1つの接触線において接触する。次に、ヘッドは、圧縮部材と付設表面との間の相対的並進速度をほぼゼロで保持しながら(つまり、実質的に滑りを発生させずに)、圧縮部材を、少なくとも1つの接触線における帯との接触を保持するように回転する。
【0014】
圧縮部材の接触は、ヘッドをヘッド移動システムを介して後方向に振ることによって、および/または、圧縮部材を移動システムによって移動させることによって実施される。上記回転ステップは、回転動作を実施可能にするために、圧縮ローラがエッジを超えるまで、第1の表面と曲表面との間の接合線を超えるまで、または、凸型表面の母線を超えるまで、ヘッドを接線方向に付設表面まで移動させるステップの後に実施される。なお、上記圧縮部材を押し付けるステップは、この移動ステップと同時、または、移動ステップの後に実施される。
【0015】
一実施形態によれば、上記付設表面がエッジによって接続された第1の実質的に平らな表面および第2の実質的に平らな表面を備えている場合に、上記方法は、上記圧縮ローラを第1の表面に少なくとも1つの接触線において接触させ、付設ヘッドを移動させて、ファイバーで構成される帯を第1の表面上に、上記エッジに対して角度α1を形成する第1の方向に付設するステップと、上記エッジが近づくと、上記ヘッドを、圧縮ローラが実質的にエッジを超えるまで、第1の方向に第1の表面の接線に沿って移動させ、この移動と同時に、または、移動に続いて、第1の表面上に付設された帯に圧縮部材を接触させるステップと、上記圧縮ローラが第2の表面に帯の幅に実質的に対応する少なくとも1つの接触線において接触するまで、上記ヘッドを、エッジを中心として、圧縮部材が帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップと、上記圧縮部材がこれ以上付設表面に接触しないように圧縮部材を付設表面から離間させ、この離間と同時に、または、離間に続いてヘッドを移動させて、上記帯を第2の表面上に、上記エッジに対して180−α1に実質的に等しい角度α2を形成する第2の方向に付設するステップとを含む。
【0016】
別の一実施形態によれば、上記付設表面が曲表面によって接続された第1の実質的に平らな表面および第2の実質的に平らな表面を備えている場合に、上記方法は、上記圧縮ローラを第1の表面に少なくとも1つの接触線において接触させ、付設ヘッドを移動させて、ファイバーで構成される帯を第1の表面上に、上記第1の表面と曲表面との間のほぼ直線状である第1の接合線に対して角度α1を形成する第1の方向に付設するステップと、上記第1の接合線が近づくと、上記ヘッドを、圧縮ローラが第1の接合線を超えるまで、第1の方向に第1の表面の接線に沿って移動させ、この移動と同時に、または、移動に続いて、第1の表面上に付設された帯に圧縮部材を接触させるステップと、1つまたは複数の回転ステップにおいて、上記圧縮ローラが第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触するまで、上記ヘッドを、曲表面を中心として、上記部材が帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップと、上記圧縮部材がこれ以上付設表面に接触しないように圧縮部材を付設表面から離間させ、この離間と同時に、または、離間に続いて、圧縮ローラによって第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触している付設ヘッドを移動させて、上記帯を第2の表面上に、上記曲表面と第2の表面との間の第2の接合線に対して180−α1に実質的に等しい角度α2を形成する方向に付設するステップとを含む。
【0017】
本実施形態では、圧縮部材を第1の表面上に付設された帯に接触させた後に、圧縮ローラが付設表面に接触するまで、上記ヘッドを曲表面を中心として回転させ、上記圧縮ローラが、回転の終了時に、少なくとも1つの接触点において曲表面に接触しているのであれば、圧縮部材を曲表面に接触させて、または、接触させないで(好ましくは、上記部材を曲表面から離間させることによって接触させないで)、ヘッドを接触点を通る曲表面の母線に対して角度α1を形成する方向に曲表面の接線に沿って接触点まで移動させ、次に、上記ヘッドを曲表面を中心として回転させ、これらの2つの移動ステップおよび回転ステップを、圧縮ローラが第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触するまで反復することが可能である。
【0018】
別の構成としては、回転ステップに先行するヘッドの移動が、ローラを曲表面に接触させる前に実施される。
【0019】
上記曲表面は、中心角が180°より大きい扇形を形成するように延びてもよい。
【0020】
別の一実施形態によれば、凸型付設表面(例えば円筒状表面またはテーパ状表面)の場合に、上記方法は、上記圧縮ローラを凸型付設表面に少なくとも1つの接触点において接触させるステップと、この接触点に達するまで、圧縮部材を凸型付設表面に接触させて、または、接触させないで、上記ヘッドを接触点を通る凸型表面の母線に対して角度α1を形成する方向に凸型付設表面の接線に沿って移動させるステップと、1つ以上の回転ステップにおいて、上記圧縮部材によって凸型付設表面に押し付けられた付設ヘッドを、凸型付設表面を中心として、上記部材が帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップとを含む。
【0021】
本実施形態では、圧縮部材を凸型付設表面に接触させて、または、接触させないで(好ましくは、上記部材を凸型付設表面から離間させることによって接触させないで)、上記ヘッドを接触点を通る凸型表面の母線に対して角度α1を形成する方向に凸型付設表面の接線に沿って接触点まで移動させた後に、上記圧縮部材によって凸型付設表面に押し付けられた付設ヘッドを、凸型付設表面を中心として、圧縮ローラが凸型付設表面に接触するまで回転させ、この移動ステップおよび回転ステップを1回以上反復することが可能である。
【0022】
別の構成としては、回転ステップに先行するヘッドの移動が、ローラを凸型付設表面に接触させる前に実施される。
【0023】
本方法は、好適には、90°ではない角度α1に対して使用される。好ましくは、角度αは10°〜80°、好ましくは20°〜70°、より好ましくは30°〜60°、例えば約45°である。
【0024】
本発明のもう1つの目的は、上記において規定した方法を実施するために使用可能な、複合材料で部品を製造するためのファイバー付設装置であって、前述の方法を実施することができ、付設表面に接触させて帯を付設するための圧縮ローラを有する圧縮システムと、ファイバーを帯の形態で圧縮ローラ上において案内するためのファイバー案内手段とを備え、複数の平坦なファイバーで構成された帯を付設表面に付設することができるファイバー付設ヘッドと、上記圧縮システムが、圧縮ローラの下流に配置されている、実質的に平らな接触表面を有する圧縮部材をさらに備え、上記圧縮部材が、帯の幅のほぼ全体にわたって、接触表面によって付設表面に少なくとも1つの接触線において押し付けられることができることを特徴とする、上記ファイバー付設ヘッドを移動させるための移動システムとを備えたファイバー付設装置である。
【0025】
該圧縮部材は、好適にはエラストマー系素材で形成され、好ましくは付着防止膜(例えばテフロン(登録商標)膜)でコーティングされる。圧縮部材の接触表面は、好適には圧縮ローラにもっとも近い場所に配置される。
【0026】
一実施形態によれば、上記圧縮部材は、圧縮ローラとは離れた圧縮用楔形部材を有する。
【0027】
別の一実施形態によれば、上記圧縮部材が上流側戻りローラおよび下流側戻りローラに取り付けられた無端バンドを備え、両ローラが圧縮ローラの下流に圧縮ローラの軸と平行に取り付けられ(好ましくは回転可能に取り付けられ)、上記無端バンドの下側ストランドが圧縮部材の接触表面を構成する。
【0028】
別の一実施形態によれば、上記圧縮部材が圧縮ローラおよび下流側戻りローラに取り付けられた無端バンドを備え、上記下流側戻りローラが圧縮ローラの下流に圧縮ローラと平行に取り付けられ、上記無端バンドの下側ストランドが接触部材の接触表面を構成する。
【0029】
一実施形態によれば、上記付設ヘッドが支持構造物を備え、こうすることによって、上記ヘッドが移動システムに組み込まれ、上記圧縮部材および圧縮ローラが、圧縮ローラの軸に対する圧縮部材の接触表面の相対運動を発生させずに、相対的に固定された状態で支持構造物に取り付けられ、したがって、上記圧縮部材は、装置移動システムによって付設ヘッドが移動することによって付設表面に押し付けられる。別の構成としては、上記圧縮部材は取り外し可能な様態で支持構造物に取り付けられ、移動手段は、回転運動および/または並進運動によって圧縮部材を退避位置と1つのまたは複数の動作位置との間で移動させて、圧縮部材を付設表面に接触させることができる。
【0030】
添付の概略的な図面を参照すれば、本発明の現在好ましい特定の実施形態に関する以下の詳細な説明において、本発明はより良好に理解され、他の目的、詳細、特性、および、効果が明らかになるであろう。
【0031】
図1は、複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、第1の実施形態に係る付設装置の概略的な斜視図である。
【0032】
図2は、複数のファイバーで構成される帯をモールド上に付設する、図1の装置の付設ヘッドの概略的な拡大斜視図である。
【0033】
図3および図4Aは、複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、図2のヘッドの圧縮システムの2つの概略的な斜視図である。なお、このモールドは、互いに対してほぼ90°に配置され、円形円弧状を有する表面によって接続される、第1の実質的に平らな表面と第2の実質的に平らな表面とを備えている。また、付設ヘッドは上記帯を上記第1の表面上に付設する過程にある。
【0034】
図4B〜図4Gは、図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【0035】
図5は、図3の付設表面の概略的な拡大側面図であって、複数のファイバーで構成される帯を曲表面上に付設するためのヘッド移動時の、ローラの点の軌跡を鉛直方向に投影して示している。
【0036】
図6は、図3の付設表面の第1の表面上に付設された複数のファイバーで構成される帯の平面図である。
【0037】
図7Aおよび図7Bは、それぞれ、本発明の第2の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【0038】
図8Aおよび図8Bは、それぞれ、本発明の第3の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【0039】
図1を参照すると、ファイバー付設装置はファイバー付設ヘッド1および移動システム5を備えており、こうすることによって、ファイバー付設ヘッドをどの方向にも移動させることができる。ここで、移動システムは、直線運動軸52上に移動可能に取り付けられた6軸ロボット型多関節アーム部51(自体公知)を備えている。また、この6軸ロボット型多関節アーム部51の端部手首型関節部511には、付設ヘッド1が設けられている。上記多関節アーム部は、サブプレート52bによって台車53上に固定されている。また、この台車53は直線運動軸52上に滑ることができるように取り付けられている。上記直線運動軸は、床面に固定された平行な2つのレールで構成されている。台車には、コントローラによってサーボ制御される駆動手段(例えばモータ駆動ロール式の駆動手段)が設けられており、上記レールに沿って付設ヘッドを移動させることができる。ファイバー付設装置は、ファイバー収納手段と、ファイバーを収納手段から付設ヘッドに向かって搬送する搬送手段(図示せず)とをさらに備えている。各ファイバーは、好適には、例えば軸52に載せたスライド式従動台車に取り付けられたクリールのボビンに巻きつけて収納されて、例えば国際特許出願公開第2006/092514号明細書に記載されている屈曲性を有する搬送チューブを介して付設ヘッドまで個別に搬送される。
【0040】
図2および図3を参照すると、ファイバー付設ヘッドは支持構造物10を備え、こうすることによって、ヘッドは、ロボットの手首型関節部の端部に取り付けられる。なお、上記支持構造物に、ファイバー案内手段と、圧縮ローラ2を有する圧縮システムとが取り付けられている。この案内手段は、ヘッドに入るファイバーを、樹脂を事前に含浸させた複数のファイバーの帯の形態で圧縮ローラの方向に案内する。帯を形成する各ファイバーは、横に並べてほぼ隣接して配置されている。上記ヘッドをロボットによって移動させることによって、圧縮ローラ(自体公知)をモールド9の付設表面に接触させて、複数のファイバーで構成される帯を付設することができる。このヘッドは、例えば仏国公開特許第2 913 365号明細書に記載されたタイプのヘッドである。上記圧縮ローラ2は、側面支持部21を介して支持構造物10に回転可能に取り外し可能な様態で取り付けられる。該ローラは、付着防止材(例えばテフロン)でコーティングしたエラストマー系素材で構成されている。ローラの幅は、図示した実施形態では、8つのファイバーで構成された帯の幅よりわずかに大きい。
【0041】
上記圧縮システムは圧縮部材をさらに備えている。この圧縮部材は、本実施形態では、複数のファイバーで構成される帯を付設表面上に付設できるように、図3に矢印F1で示すヘッドの進行方向に対して圧縮ローラの下流に配置された圧縮用楔形部材3で形成されている。図3に示すように、圧縮用楔形部材はブロック30で構成されている。このブロック30は例えばほぼ平行六面体であって、その幅はブロックの2つの側面31の間の距離によって規定されており、圧縮ローラ2の幅に実質的に等しい。ブロックの下面は実質的に平らな接触表面32と称する面を形成している。こうすることによって、上記圧縮用楔形部材は、圧縮ローラによって積設済みの帯の幅全体にわたって少なくとも1つの接触線において当接するように構成されている。
【0042】
本実施形態において、圧縮用楔形部材は、その接触表面32が圧縮ローラの接線方向に配置され、その結果、ヘッドを多関節アーム部51を介して後方向に振ることによって、直前に付設された複数のファイバーで構成される帯にヘッドが接触するように、圧縮ローラの後ろ側にある中央の組み立てアーム部35によって支持構造物10に固定されている。
【0043】
ブロックの前面はローラに近い側に配置され、好適には、楔形部材が取り付けられるように、ローラの曲率半径に合わせた曲率半径を有する凹表面33を形成し、特にローラにもっとも近い接触表面32をローラの曲率半径に合わせた曲率半径を有するように形成する。好適には、凹表面33と接触表面32との間に規定された前方エッジ34は、できるだけ高さが抑制され、また、ほぼ直線状である。上記案内手段はファイバーを圧縮ローラに接触させ、ファイバーは、圧縮用楔形部材と実質的に接触せずに、ローラと圧縮用楔形部材との間を通過する。上記ブロックは、好適にはローラと類似のエラストマー系素材で形成され、その下面は、好適には付着防止膜(例えばテフロン膜)でコーティングされ、接触表面32を構成する。
【0044】
好適には、この圧縮システムを装備したヘッドを使用して、複数のファイバーで構成される帯が、エッジを有する付設表面上、または、凸型表面上に積設される。こうすることによって、帯は、エッジまたは凸型表面において、特に、付設された帯がエッジまたは凸型表面に対して例えば45°または135°の角度を形成する場合に、確実に良好に圧縮される。
【0045】
次に、図3、図4A〜上記4G、図5、および、図6を参照しながら、付設表面90が、円弧状の曲表面93によって接続された第1の実質的に平らな表面91および第2の実質的に平らな表面92を備えている場合において、本発明に係るファイバー付設装置を用いてモールドの付設表面上に帯を付設する方法について記載する。
【0046】
上記2つの表面91および92は、互いに対して90°に配置され、曲表面93は、中心角が90°の扇形の円弧状に延びている。部材番号93aおよび93bは、それぞれ、第1の表面91と曲表面93との間に位置するほぼ直線状の第1の接合線および第2の表面と曲表面との間に位置するほぼ直線状の第2の接合線を示している。
【0047】
第1の表面および第2の表面は実質的に平らであると言ってよい。ここでは、「実質的に平らな表面」とは平らな表面を意味しているだけではなく、凹型表面または凸型表面をも意味している。ただし、後者の場合には、その凸状態または凹状態は、幅全体にわたって、ローラを表面に押し付けて帯を構成するすべてのファイバーを圧縮することができる程度に十分に低い。また、必要な場合には、エラストマー系素材製の上記ローラはわずかに変形することができ、この押し付け作業が確実に実施される。
【0048】
図3、図4A、および、図6に示すように、上記付設ヘッドは、ファイバー7で構成される帯8を第1の表面91上に積設する。この付設ヘッドは、通常、圧縮ローラ2によって第1の表面91に少なくとも1つの接触線において押し付けられる。実際には、変形可能な素材で作製された該ローラが幅の狭い線状領域において押し付けられる。ヘッドは、方向F1に移動して、第1の接合線93aに対して角度α1(図6)を形成する帯を付設する。
【0049】
例えば図4Bに示すように、ヘッドは同方向F1に移動して、第1の接合線93aに達する。付設ヘッドの軌跡をパラメータで表わすために、例えば、表面に接触しているローラの母線Gの中点に対応する、ヘッドの原点P0を定義する。付設ヘッドは、原点P0がほぼ第1の接合線上に位置するまで移動する。
【0050】
図5および図6に示すように、第1の表面上に付設された帯を構成する外側のファイバー71のエッジが第1の接合線に到達するように、付設ヘッドは、同方向F1に第1の表面91の接線に沿って距離L1を移動する。帯の幅が2dに等しい場合には、この距離L1はd/tanα1に等しい。
【0051】
上記ヘッドは、方向F1に第1の表面の接線に沿って距離L2を移動する。この距離L2は、少なくとも、上記2つの接合線間の曲表面上にファイバーを巻きつけるために必要なファイバーの長さと、ローラの母線Gから圧縮用楔形部材までの距離とを足し算したものに等しい。
【0052】
次に、例えば図4Cに示すように、付設ヘッドは後方向に傾斜して、圧縮用楔形部材3を第1の表面に押し付け、楔形部材の接触表面32を第1の表面上に付設された複数のファイバーで構成される帯に押し付ける。圧縮用楔形部材を押し付けるために、ヘッドは、距離L1+L2または距離L2の移動の終了時またはその距離を移動中に、後方向に振られる。好ましくは、各ファイバーに対する楔形部材の滑りを一切発生させないように、移動の終了時に振られる。
【0053】
次に、例えば図4Dに示すように、ヘッドは、楔形部材とモールドとの間の相対的速度をゼロで保持しながら、圧縮用楔形部材をモールドに実質的に少なくとも1つの接触線において接触させた状態を保持できる軌跡に沿って、曲表面93を中心として回転する。この回転は、ローラが第2の接合線を超えて、接触線に沿って第2の表面92に当接するまで実施される。図5は、ローラの接触母線Gの点P1の軌跡を鉛直方向に投影して示している。この点P1は、帯を構成する外側のファイバー71のエッジに位置する母線の点である。ローラの各点は、2つの接合線間の曲表面によって示す円弧を中心とする、長さL2のファイバーの巻きつけに対応する伸開線を描く。回転の終了時に、点P1は第2の表面92上に達し、その結果、圧縮用楔形部材の前方エッジ34が第2の接合線を超える。また、点P1の右に位置するこの前方エッジ34の端部は、実質的に第2の接合線93bに沿って位置している可能性がある。
【0054】
曲表面を中心としたヘッドの回転が終了すると、例えば図4Eに示すように、圧縮ローラが接触線に沿って押し付けられ、ヘッドが前方向に傾斜して、圧縮用楔形部材を持ち上げる。この結果、例えば図4Fに示すように、圧縮用楔形部材はこれ以上モールドに接触しない。
【0055】
圧縮用楔形部材が接触しなくなると、ヘッドは、接触している圧縮ローラだけを使って、第2の接合線に対して角度α2を形成する方向F2にドレープ形成を再開する。この角度α2は実質的に180°−α1に等しい。
【0056】
ローラおよび圧縮用楔形部材が変形可能な素材で作製されている場合、両者の変形能力によって、L2の移動にある程度のずれの発生が許容されるようになり、したがって、回転の前後で接触母線Gの位置にある程度のずれが許容されるようになるが、一方で、曲表面上におけるすべてのファイバーの圧縮は保証される。
【0057】
本実施形態では、ヘッドが距離L2を移動することによって、ファイバーがほどけて、楔形部材が第1の接合線に対して十分な長さだけシフトすることができるようになり、回転動作中に曲表面全体にわたって楔形部材によって帯を圧縮することが可能になる。
【0058】
あるいは、上述のような曲表面上への帯の付設を、特に上記2つの接合線間の各ファイバーの巻きつけ円弧部が大きい場合、および/または、楔形部材の長さが巻きつけ円弧部未満である場合は、複数の移動動作および回転動作に分けて実施してもよい。この場合、ヘッドは上述のように接線方向に第1の表面まで距離L1を移動して、次に、巻きつけ円弧部未満の距離L’2を移動する。ヘッドを振って楔形部材を押し付けた後に、ヘッドはローラが曲表面に接触するまで回転する。次に、ヘッドは、接触点において接線方向に距離L”2を移動する。なお、距離L”2は距離L’2に等しくてもよい。この移動の間、楔形部材は、曲表面と接触した状態で保持されてもよいが、好ましくは、ヘッドが前方向に振られて曲表面から離れる方向に移動し、こうすることによって一切の滑りの発生を防止する。楔形部材が離れる方向に移動したのであれば、距離L2の移動の終了時に、ヘッドを後方向に振ることによって、楔形部材は接触線において曲表面に接触するようになる。次に、ヘッドは、例えば上述のように回転する。この回転の終了時にローラが第2の表面に接触していれば、次に、ヘッドは後方向に振られて、第2の表面上に帯を典型的な態様で付設する。そうでなければ、上記の移動動作および回転動作がローラが第2の表面に接触するまで繰り返される。
【0059】
本発明に係る方法は、言うまでもなく、エッジを形成する、または、曲表面によって接続された2つの表面、特に180°または180°を超える円弧状の曲表面によって接続された2つの実質的に平行な表面を備えた各種の付設表面に適用されてもよい。さらに、例えば小さな直径を有する円筒上にドレープをかける際には、前記の接線方向の移動動作および回転動作を連続的に実施してもかまわない。
【0060】
2つの表面が急峻なエッジによって接続されている、または、圧縮用楔形部材の弾性変形によって曲表面の圧縮を可能にするために十分に小さな曲率半径を有する曲表面によって接続されている単純な場合であれば、ヘッドは、少なくとも前記の距離L1に等しい距離を移動し、好ましくはこの距離に加えて、母線を圧縮用楔形部材の前方エッジから隔てている距離を移動し、次に、ヘッドは後方向に振られて楔形部材を押し付けて、そして回転してローラを第2の表面に押し付ける。
【0061】
図7Aおよび図7Bは、ヘッドの支持構造物上に取り付け可能な圧縮システムの第2の実施形態を示している。圧縮システムは、上述のように圧縮ローラ102を備え、さらに、上流側戻りローラ136および下流側戻りローラ137に取り付けられた無端バンド(つまりベルト)130を有する圧縮部材103を備えている。どちらの戻りローラも、ヘッドの支持構造物上において、圧縮ローラの下流に、圧縮ローラの軸と平行に回転可能に取り付けられる。なお、無端バンドの下側ストランド138は上記接触表面132を構成し、こうすることによって、圧縮部材がモールドに押し付けられる。
【0062】
無端バンド(ベルト)によって形成されるこの接触表面132によって、回転動作中に接触表面がモールドに対して滑ることができるようになり、また、原点P0が第1の接合線上に位置する場合、および/または、ヘッドの距離L1および/または前記の距離L2、L’2、および、L”2の移動中に、回転動作前にヘッドが振られて、上記表面(例えばモールド)に対する滑りを発生させずに、この接触表面を押し付けることができるようになる。
【0063】
好適には、戻りローラ136、137は、圧縮ローラの側面支持部121上の複数の側面アーム部135のシステムを介して取り付けられ、こうすることによって、圧縮システムはヘッドの支持構造物上に運動可能に取り付けられる。
【0064】
図8Aおよび図8Bは、圧縮システムの第3の実施形態を示している。本実施形態において、圧縮部材203は、圧縮ローラ202および下流側戻りローラ237に取り付けられた無端バンド230を備えている。下流側戻りローラは圧縮ローラの下流側に、圧縮ローラと平行に取り付けられている。したがって、無端バンドは圧縮ローラの接触表面を構成し、下側ストランド238は圧縮部材の接触表面232を構成する。下流側戻りローラは、側面アーム部235を介して圧縮ローラの側面支持部221に取り付けられている。
【0065】
上記無端バンド130および230は、好適にはエラストマー系素材で構成され、外側が付着防止膜(例えばテフロン系膜)によってコーティングされる。
【0066】
本発明について各種の特定の実施形態との関連において記載してきたが、本発明は決してこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、記載した手段のすべての技術的な等価物およびその組み合わせを含むものであることが理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、第1の実施形態に係る付設装置の概略的な斜視図である。
【図2】複数のファイバーで構成される帯をモールド上に付設する、図1の装置の付設ヘッドの概略的な拡大斜視図である。
【図3】複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、図2のヘッドの圧縮システムの2つの概略的な斜視図である。なお、このモールドは、互いに対してほぼ90°に配置され、円形円弧状を有する表面によって接続される、第1の実質的に平らな表面と第2の実質的に平らな表面とを備えている。また、付設ヘッドは上記帯を上記第1の表面上に付設する過程にある。
【図4A】複数のファイバーで構成される帯をモールドの付設表面上に付設する、図2のヘッドの圧縮システムの2つの概略的な斜視図である。なお、このモールドは、互いに対してほぼ90°に配置され、円形円弧状を有する表面によって接続される、第1の実質的に平らな表面と第2の実質的に平らな表面とを備えている。また、付設ヘッドは上記帯を上記第1の表面上に付設する過程にある。
【図4B】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4C】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4D】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4E】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4F】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図4G】図4Aの斜視図に相応する概略的な斜視図であって、複数のファイバーで構成される帯を、第1の表面上、曲表面上、および、第2の表面上において付設する際の、約45°の方向を向いた付設ヘッドの異なる位置を示している。
【図5】図3の付設表面の概略的な拡大側面図であって、複数のファイバーで構成される帯を曲表面上に付設するためのヘッド移動時の、ローラの点の軌跡を鉛直方向に投影して示している。
【図6】図3の付設表面の第1の表面上に付設された複数のファイバーで構成される帯の平面図である。
【図7A】本発明の第2の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【図7B】本発明の第2の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【図8A】本発明の第3の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【図8B】本発明の第3の実施形態に係る付設ヘッドの圧縮システムの斜視図および側面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジまたは曲表面(93)によって接続された第1の実質的に平らな表面(91)および第2の実質的に平らな表面(92)を備えた付設表面(90)上、または、凸型付設表面上に、複数のファイバー(7)で構成される帯(8)を付設する方法であって、
該帯の付設が、圧縮ローラ(2、102、202)を有する圧縮システムを備えたファイバー付設ヘッド(1)を用いて実施され、
該圧縮ローラを上記付設表面に接触させ、上記圧縮ヘッドを移動させて、上記複数のファイバーで構成される帯を該付設表面上に付設することを含む方法であって、
該圧縮システムの圧縮部材(3、103、203)を、上記付設表面上に付設された上記複数のファイバーで構成される帯に接触させるステップであって、該圧縮部材が上記ヘッドの進行方向(F1、F2)に対して圧縮ローラ(2、102、202)の下流に配置され、また、該圧縮部材が、上記帯を構成するすべてのファイバーに少なくとも1つの接触線において実質的に接触しているステップと、
該圧縮部材が、上記圧縮部材と上記付設表面との間で実質的に滑りを発生させずに帯に少なくとも1つの接触線において接触したまま上記帯を圧縮できるように、上記エッジを中心として、曲表面(93)を中心として、または、上記凸型表面を中心として上記ヘッドを回転させるステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
上記付設表面が上記エッジによって接続された第1の実質的に平らな表面および第2の実質的に平らな表面を備えている場合に、
上記圧縮ローラ(2、102、202)を上記第1の表面に少なくとも1つの接触線において接触させ、上記付設ヘッドを移動させて、ファイバー(7)で構成される帯(8)を上記第1の表面上に、上記エッジに対して角度α1を形成する第1の方向(F1)に付設するステップと、
上記ヘッドを、上記圧縮ローラが実質的に上記エッジを超えるまで、上記第1の方向に上記第1の表面の接線に沿って移動させ、上記第1の表面上に付設された帯に上記圧縮部材を接触させるステップと、
上記圧縮ローラが上記第2の表面に上記帯の幅に実質的に対応する少なくとも1つの接触線において接触するまで、上記ヘッドを、上記エッジを中心として、上記圧縮部材が上記帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップと、
上記圧縮部材がこれ以上、上記付設表面に接触しないように上記圧縮部材を上記付設表面から離間させ、上記ヘッドを移動させて、上記帯を上記第2の表面上に、上記エッジに対して180−α1に実質的に等しい角度α2を形成する第2の方向(F2)に付設するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記付設表面(90)が上記曲表面によって接続された第1の実質的に平らな表面(91)および第2の実質的に平らな表面(92)を備えている場合に、
上記圧縮ローラ(2、102、202)を第1の表面(91)に少なくとも1つの接触線において接触させ、上記付設ヘッドを移動させて、ファイバー(7)で構成される帯(8)を上記第1の表面上に、上記第1の表面と上記曲表面との間の第1の接合線(93a)に対して角度α1を形成する第1の方向(F1)に付設するステップと、
上記ヘッドを、上記圧縮ローラが上記第1の接合線を超えるまで、上記第1の方向に上記第1の表面の接線に沿って移動させ、上記第1の表面上に付設された帯に上記圧縮部材を接触させるステップと、
上記圧縮ローラが上記第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触するまで、上記ヘッドを、上記曲表面を中心として、上記部材が上記帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップと、
上記圧縮部材がこれ以上付、上記設表面に接触しないように上記圧縮部材を上記付設表面から離間させ、上記圧縮ローラによって上記第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触している付設ヘッドを移動させて、上記帯を上記第2の表面上に、上記曲表面と上記第2の表面との間の第2の接合線に対して180−α1に実質的に等しい角度α2を形成する方向(F2)に付設するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記凸型付設表面の場合に、
上記圧縮ローラ(2、102、202)を上記凸型付設表面に少なくとも1つの接触点において接触させるステップと、
この接触点に達するまで、上記ヘッドを上記凸型付設表面の接線方向に移動させるステップと、
上記圧縮部材によって上記凸型付設表面に押し付けられた上記付設ヘッドを、上記凸型付設表面を中心として、上記部材が上記帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記角度α1が10°〜80°であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法を実施するために使用可能な、複合材料で部品を製造するためのファイバー付設装置であって、
平坦な複数のファイバー(7)で構成される帯(8)を付設表面(90)上に付設することができ、上記付設表面に接触させてこの帯を付設するための圧縮ローラ(2、102、202)を有する圧縮システムと、上記ファイバーを上記圧縮ローラ上において案内するためのファイバー案内手段とを備えたファイバー付設ヘッド(1)と、
該付設ヘッドを移動させるための移動システム(5)とを備えたファイバー付設装置であって、
該圧縮システムが、上記圧縮ローラの下流に配置されている、実質的に平らな接触表面(32、132、232)を有する圧縮部材(3、103、203)をさらに備え、この圧縮部材が、上記帯の幅のほぼ全体にわたって、上記接触表面によって上記付設表面に少なくとも1つの接触線において押し付けられることができることと、
該圧縮部材が、上流側戻りローラ(136、202)および下流側戻りローラ(137、237)に取り付けられた、上記圧縮部材の接触表面(132、232)を構成する下側ストランド(138、238)を有する無端バンド(130、230)を備えていることとを特徴とする、ファイバー付設装置。
【請求項7】
上記無端バンド(130)が上流側戻りローラ(136)および下流側戻りローラ(137)に取り付けられ、両ローラが上記圧縮ローラの下流に上記圧縮ローラの軸と平行に取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載のファイバー付設装置。
【請求項8】
上記上流側戻りローラが圧縮ローラ(202)によって構成され、
上記無端バンド(230)が圧縮ローラ(202)および下流側戻りローラ(237)に取り付けられ、
上記下流側戻りローラが上記圧縮ローラの下流に上記圧縮ローラと平行に取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載のファイバー付設装置。
【請求項9】
上記ファイバー付設ヘッドが支持構造物(10)を備え、
こうすることによって、上記ヘッドが上記移動システムに組み込まれ、
上記圧縮部材および上記圧縮ローラが、相対的に固定された状態で上記支持構造物に取り付けられていることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載のファイバー付設装置。
【請求項1】
エッジまたは曲表面(93)によって接続された第1の実質的に平らな表面(91)および第2の実質的に平らな表面(92)を備えた付設表面(90)上、または、凸型付設表面上に、複数のファイバー(7)で構成される帯(8)を付設する方法であって、
該帯の付設が、圧縮ローラ(2、102、202)を有する圧縮システムを備えたファイバー付設ヘッド(1)を用いて実施され、
該圧縮ローラを上記付設表面に接触させ、上記圧縮ヘッドを移動させて、上記複数のファイバーで構成される帯を該付設表面上に付設することを含む方法であって、
該圧縮システムの圧縮部材(3、103、203)を、上記付設表面上に付設された上記複数のファイバーで構成される帯に接触させるステップであって、該圧縮部材が上記ヘッドの進行方向(F1、F2)に対して圧縮ローラ(2、102、202)の下流に配置され、また、該圧縮部材が、上記帯を構成するすべてのファイバーに少なくとも1つの接触線において実質的に接触しているステップと、
該圧縮部材が、上記圧縮部材と上記付設表面との間で実質的に滑りを発生させずに帯に少なくとも1つの接触線において接触したまま上記帯を圧縮できるように、上記エッジを中心として、曲表面(93)を中心として、または、上記凸型表面を中心として上記ヘッドを回転させるステップとを含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
上記付設表面が上記エッジによって接続された第1の実質的に平らな表面および第2の実質的に平らな表面を備えている場合に、
上記圧縮ローラ(2、102、202)を上記第1の表面に少なくとも1つの接触線において接触させ、上記付設ヘッドを移動させて、ファイバー(7)で構成される帯(8)を上記第1の表面上に、上記エッジに対して角度α1を形成する第1の方向(F1)に付設するステップと、
上記ヘッドを、上記圧縮ローラが実質的に上記エッジを超えるまで、上記第1の方向に上記第1の表面の接線に沿って移動させ、上記第1の表面上に付設された帯に上記圧縮部材を接触させるステップと、
上記圧縮ローラが上記第2の表面に上記帯の幅に実質的に対応する少なくとも1つの接触線において接触するまで、上記ヘッドを、上記エッジを中心として、上記圧縮部材が上記帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップと、
上記圧縮部材がこれ以上、上記付設表面に接触しないように上記圧縮部材を上記付設表面から離間させ、上記ヘッドを移動させて、上記帯を上記第2の表面上に、上記エッジに対して180−α1に実質的に等しい角度α2を形成する第2の方向(F2)に付設するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記付設表面(90)が上記曲表面によって接続された第1の実質的に平らな表面(91)および第2の実質的に平らな表面(92)を備えている場合に、
上記圧縮ローラ(2、102、202)を第1の表面(91)に少なくとも1つの接触線において接触させ、上記付設ヘッドを移動させて、ファイバー(7)で構成される帯(8)を上記第1の表面上に、上記第1の表面と上記曲表面との間の第1の接合線(93a)に対して角度α1を形成する第1の方向(F1)に付設するステップと、
上記ヘッドを、上記圧縮ローラが上記第1の接合線を超えるまで、上記第1の方向に上記第1の表面の接線に沿って移動させ、上記第1の表面上に付設された帯に上記圧縮部材を接触させるステップと、
上記圧縮ローラが上記第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触するまで、上記ヘッドを、上記曲表面を中心として、上記部材が上記帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップと、
上記圧縮部材がこれ以上付、上記設表面に接触しないように上記圧縮部材を上記付設表面から離間させ、上記圧縮ローラによって上記第2の表面に少なくとも1つの接触線において接触している付設ヘッドを移動させて、上記帯を上記第2の表面上に、上記曲表面と上記第2の表面との間の第2の接合線に対して180−α1に実質的に等しい角度α2を形成する方向(F2)に付設するステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記凸型付設表面の場合に、
上記圧縮ローラ(2、102、202)を上記凸型付設表面に少なくとも1つの接触点において接触させるステップと、
この接触点に達するまで、上記ヘッドを上記凸型付設表面の接線方向に移動させるステップと、
上記圧縮部材によって上記凸型付設表面に押し付けられた上記付設ヘッドを、上記凸型付設表面を中心として、上記部材が上記帯に少なくとも1つの接触線において接触したままでいられるように回転させるステップとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記角度α1が10°〜80°であることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法を実施するために使用可能な、複合材料で部品を製造するためのファイバー付設装置であって、
平坦な複数のファイバー(7)で構成される帯(8)を付設表面(90)上に付設することができ、上記付設表面に接触させてこの帯を付設するための圧縮ローラ(2、102、202)を有する圧縮システムと、上記ファイバーを上記圧縮ローラ上において案内するためのファイバー案内手段とを備えたファイバー付設ヘッド(1)と、
該付設ヘッドを移動させるための移動システム(5)とを備えたファイバー付設装置であって、
該圧縮システムが、上記圧縮ローラの下流に配置されている、実質的に平らな接触表面(32、132、232)を有する圧縮部材(3、103、203)をさらに備え、この圧縮部材が、上記帯の幅のほぼ全体にわたって、上記接触表面によって上記付設表面に少なくとも1つの接触線において押し付けられることができることと、
該圧縮部材が、上流側戻りローラ(136、202)および下流側戻りローラ(137、237)に取り付けられた、上記圧縮部材の接触表面(132、232)を構成する下側ストランド(138、238)を有する無端バンド(130、230)を備えていることとを特徴とする、ファイバー付設装置。
【請求項7】
上記無端バンド(130)が上流側戻りローラ(136)および下流側戻りローラ(137)に取り付けられ、両ローラが上記圧縮ローラの下流に上記圧縮ローラの軸と平行に取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載のファイバー付設装置。
【請求項8】
上記上流側戻りローラが圧縮ローラ(202)によって構成され、
上記無端バンド(230)が圧縮ローラ(202)および下流側戻りローラ(237)に取り付けられ、
上記下流側戻りローラが上記圧縮ローラの下流に上記圧縮ローラと平行に取り付けられていることを特徴とする、請求項6に記載のファイバー付設装置。
【請求項9】
上記ファイバー付設ヘッドが支持構造物(10)を備え、
こうすることによって、上記ヘッドが上記移動システムに組み込まれ、
上記圧縮部材および上記圧縮ローラが、相対的に固定された状態で上記支持構造物に取り付けられていることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載のファイバー付設装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図2】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図4G】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【公表番号】特表2012−522904(P2012−522904A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502683(P2012−502683)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054377
【国際公開番号】WO2010/112573
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(507296621)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054377
【国際公開番号】WO2010/112573
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(507296621)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]