複数のミニカプセルの製造
押出プロセスは、加熱時に流動可能である材料を押し出すステップと、そのように形成された押出物をノズル10に通過させて該押出物を実質的に均一な形状の複数のエレメント、例えば、ミニ球体又はミニカプセル、にするステップとを、含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬物質を含む複数のミニカプセル又はミニ球体の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
他の方法では既存の薬剤投与形態が適用できないと思われる活性のある医薬活性成分又は他の化合物の溶解性、浸透性、及び/又は安定性を高めるために、数多くの製剤化の取り組み(アプローチ)が展開されている。そのような取り組みの一部として、継ぎ目のないミニカプセルと、薬剤ペレット、丸剤(ピル)、カプセル、又は他の剤形(形態、フォーマット)を生産する溶融押出法とが挙げられる。
【0003】
継ぎ目のないミニカプセルの製造方法は、米国特許第5,882,680号明細書に記述されている。
【0004】
継ぎ目のないミニカプセルが形成される原理は、1種類以上の溶液の表面張力を利用することであり、該溶液を、特定の直径を有する開口部又はノズルから放出して特定の振動数及び重力流にさらして球形とし、更に冷却用空気流又は冷却溶液若しくは硬化溶液及びアウタ・シェル溶液(外殻部溶液)に落としてゲル化又は固化させる。これは、継ぎ目のないミニ球体の形成を簡潔に説明している。
【0005】
コア溶液(芯部溶液)は、主に疎水性の溶液又は懸濁液である。外殻部溶液は、通常、ゼラチンを主成分とする。しかし、親水性の溶液も又、中間溶液を存在させることでカプセル化することができる。この中間溶液によって、親水性の芯部溶液と外殻部とがじかに接触するのを防ぐことが可能である。開口部が1つのノズルを用いて、ミニカプセル又はシェル(殻部)/コア(芯部)混合懸濁液滴(ビード)を作ることができる。開口部が2つ(中心及び外側)あるノズルを用いることで、疎水性溶液を封入させることができる。3つ以上の開口部があるノズルによって、種々の用途のための継ぎ目のないミニカプセルを作ることができる。
【0006】
平均径が1.00〜3.00mm、とりわけ1.50〜1.80mmの範囲である多数の微粒子状になった継ぎ目のないニモジピン・ミニカプセルが、我々の国際公開第2006/035417A号パンフレットに記載されている。
【0007】
結果として生じる1層、2層、又は3層のミニカプセル又はミニ球体を、種々の徐放性ポリマー(制御された遊離ポリマー、制御された解放ポリマー、controlled release polymers)による被覆により処理することが可能であり、該徐放性ポリマーは、内在するミニカプセル又はミニ球体の芯部(その全部又は一部)から活性医薬成分の放出を調節するものである。先行する発明によれば、薬物を装填したミニカプセルを速度制御ポリマーによって被覆することで、目標溶解速度が得られる。これらのミニカプセルから放出される薬物は、ポリマーが膨張して透過可能になることで拡散制御され、そのことがGITでの徐放(controlled release)を可能にする。適切な溶解特性を達成するために、以下のパラメータ、すなわち効果的なプロセス/条件、薬物の溶解性/粒径、ミニカプセルの表面積、ミニカプセルの直径、及び被覆ポリマーの適合性を、検討する必要がある。
【0008】
既知のミニカプセル・プロセスは、或る範囲の活性医薬用化合物にとって多くの利益を有している。しかし、芯部の製剤と殻部の剤料及び/又は緩衝層(必要な場合)との親和性(適合性)に関する問題を含む潜在的な制限もある。別の潜在的な制限は、活性医薬用化合物のペイロードが低いことであり、これは、錠剤のサイズが大きくなって患者にとっては不都合なものとなる。更に別の潜在的な制限は、徐放は殻部又は殻部被覆膜の機能であり、それ故に徐放が制限される可能性があることである。更に別の制限は、不完全なカプセル化又は不規則な形状のミニカプセルの原因になり得る、シェル(殻部)とコア(芯部)若しくは緩衝層との間における不適合性の可能性に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,882,680号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/035417A号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4,678,516号明細書
【特許文献4】米国特許第6,391,338号明細書
【特許文献5】米国特許第3,845,770号明細書
【特許文献6】米国特許第3,916,899号明細書
【特許文献7】米国特許第3,536,809号明細書
【特許文献8】米国特許第3,598,123号明細書
【特許文献9】米国特許第4,008,719号明細書
【特許文献10】米国特許第5,674,533号明細書
【特許文献11】米国特許第5,059,595号明細書
【特許文献12】米国特許第5,591,767号明細書
【特許文献13】米国特許第5,120,548号明細書
【特許文献14】米国特許第5,073,543号明細書
【特許文献15】米国特許第5,639,476号明細書
【特許文献16】米国特許第5,354,556号明細書
【特許文献17】米国特許第5,733,566号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、少なくともこれらの問題の幾つかに対処する、改良されたミニカプセル・プロセスを提供することに向けられたものである。この改良されたプロセスは、或る範囲の活性医薬用化合物、及び他の物質、の徐放、溶解性、浸透性、溶解、及び安定性を更に高めるための多くの形態の開発につながり得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、加熱された時に流動可能である材料を押出すステップと、このようにして形成された押出物をノズルに通して該押出物を実質的に均一に成形された複数のエレメント(構成要素)、例えば、ミニ球体又はミニカプセル、にするステップと、を有する押出プロセスが提供される。
【0012】
1実施態様において、押出物がノズルを通過せしめられる時、力がノズルに適用される。この力は、振動力であってもよい。
【0013】
それに代わるものとして、或いは、付加的に、切断力が、押出物に適用される。この切断力は、押出物がノズルを出る時に、該ノズルに適用されることができる。この切断力は、回転せん断力、フライホイール・カッター、固定刃、及び可動刃から選択される1つ以上のものによって、作用せしめられることができる。
【0014】
1例において、ノズルは、複数の通路を有している。複数の通路の少なくとも幾つかは、同心であることができる。
【0015】
1実施態様において、ノズルは、1つ以上の複数の入口(入口ポート)を有し、該ノズルの複数の入口(入口ポート)の少なくとも1つに溶融押出物が供給される。1例では、別の媒体が、ノズルの複数の入口のうちの1つに供給される。異なるノズル入口に入った媒体は、異なる温度又は圧力であることができる。
【0016】
この媒体は、封入媒体、被膜、及び/又は薬剤等の活性成分を含有するものであってもよい。
【0017】
1実施態様において、上記プロセスは、成形されたエレメント(成分、構成要素)を冷却するステップを含む。該成形されたエレメントは、空気等の冷却気体(冷却ガス)中で、冷却されることができる。該成形されたエレメントは、冷却液中で冷却されてもよい。
【0018】
1実施態様において、押出される材料は、薬剤、生物薬剤、及び/又は栄養補給剤を含む。
【0019】
1実施態様において、溶融押出されるべき材料の成分(要素、組成、constituents)は、混合され、温度調節されたフィーダーを通して供給される。
【0020】
1例において、第1の媒体が、第1の押出機(押出成型機)からノズルの第1の入口に供給され、第2の媒体が、第2の押出機(押出成型機)からノズルの第2の入口に供給される。
【0021】
1実施態様において、第1の媒体が、第1の押出機からノズルの第1の入口に供給され、第2の媒体が、ポンプ手段によって、ノズルの第2の入口に送り込まれる。
【0022】
溶融押出の材料は、非治療用の化合物(混合物、合成物、compounds)と共に、1つ以上の活性医薬用の化合物(混合物、合成物、compounds)を含むものであってもよい。その非治療用の化合物は、溶融可能なポリマー、可塑剤、溶解性促進剤、浸透性促進剤、粘性調整剤(粘度調整剤)、pH調整剤、界面活性剤、ヒドロゲル、イオン交換樹脂、及び徐放性ポリマー(制御された遊離ポリマー、controlled release polymers)のうちの1つ若しくはそれ以上のものから選択されることができる。
【0023】
その材料は、結晶形態の薬剤、安定化された非晶形態の薬剤、安定化された微粉化形態の薬剤、安定化されたナノ製剤化形態の薬剤、非共有結合型の薬剤、又は共有結合型の薬剤を含むことができる。
【0024】
本発明は、又、本発明のプロセス(方法、製法、工程)によって作られた時、実質的に均一に成形されたエレメントを提供する。このエレメントは、ミニ球体又はミニカプセルであることができる。そのエレメントは、1層、2層、又はそれ以上の層を有するものであってもよい。
【0025】
別のアスペクト(観点)において、本発明は、押出材料を溶融するための押出機と、溶融押出物(溶融された押出物)が送られる出口ノズルと、該ノズルを出る材料がミニ球体又はミニカプセル等の実質的に均一に成形されたエレメントに形作られるように力を作用させる(適用する)ための手段と、を有する押出装置を提供する。
【0026】
1例において、当該装置は、ノズルに力を適用するためのバイブレーターを有する。
【0027】
それに代えて、又は付加的に、当該装置は、切断力を適用するための切断手段を有する。この切断手段は、ノズルの出口に隣接して位置することができる。当該切断手段は、回転せん断力、フライホイール・カッター、固定刃、及び可動刃から選択される、1つ、又はそれ以上のものを有することができる。
【0028】
1実施態様において、ノズルは、単一の出口を有する。ノズルは、少なくとも2つの出口を有することができる。当該出口は、内側出口と、該内側出口を囲む外側出口とを有するものであってもよい。
【0029】
1例において、これらの出口は同心である。
【0030】
1実施態様において、ノズルは、押出機からの押出物が供給される第1の入口と、材料をノズル内に供給するための少なくとも1つの更なる入口と、を有する。その装置は、更なるノズルの入口を通して材料を送るためのポンプ手段を有することができる。
【0031】
1実施態様において、装置は、ノズルを出た材料を冷却するための冷却手段を有する。
【0032】
本発明は、又、単層溶融押出ミニ球体を提供する。
【0033】
本発明は、更に、溶融押出された芯部(コア)と、外側層(外層)とを有する、2層生成物(2層製品、2層プロダクト、two-layer product)を提供する。1例において、この外層は、溶融押出層(溶融され押出された層)である。
【0034】
本発明の1つのアスペクトは、従来の熱溶融押出技術とミニカプセル加工技術とを組み合わせるプロセスであり、このプロセスにより、(溶融押出可能なポリマー、可塑剤、及び/又は医薬用化合物を用いて)均一又は略均一な形状のプロダクツ(生成物)であって徐放製剤(controlled release formulations)を示すプロダクツが製造される。
【0035】
熱溶融押出(HME)プロセスは、医薬産業において、知られたものである。プラスチック工業(産業)からの知識に基づき、製剤製造者(formulators)は、薬剤(薬物、drugs)、ポリマー、可塑剤、及びその他の機能的賦形剤の混合物を押出成形して、種々の最終的な形状(形態)にすることで、所望の薬剤放出特性を実現することができる。従来の加工技術に対してHMEを用いることの利点として、単位操作がより少ないこと、含有物の均一性がより優れていること、無水処理であること、溶解性の低い薬剤を分散させる機構であること、高せん断造粒の代わりになる低エネルギー代替手段であること、従来の湿式造粒法に比較して処理時間が短いことが挙げられる。しかしながら、公知技術に関する問題の1つは、最終生成物(最終製品、final products)のサイズ及び形状が不均一であるという点である。一般的に、最終生成物は、不規則なエッジ(縁)を有する、棒状又は円筒形状である。形が不規則である点を解決するために、円筒形状又は棒状の生成物は、球形化処理が施され、粗いエッジを滑らかにして、より容易に後処理することが可能であるよりいっそう球形となった最終生成物を製造する。更なる問題は、そのプロセスが、しばしば、強い処理及び組み合わせ力を必要とすることであり、これは、ある種の薬剤と、まさにポリマーとを変性させる可能性があることである。
【0036】
従来の溶融押出処理においては、熱押出混合物は、リング状のノズル・プレートに通され、回転ナイフを用いて同様のサイズの小片(粒子、particle)に切断される。本発明の1つのアスペクトにおいては、改良(修正、変更、modified)された振動ノズルが用いられ、熱せられた押出物をこのノズルに通して該ノズルから滴下させることで、継ぎ目のない球形の球を形成するようにしている。ノズルは、非円形であることができ、これにより、概ね正四角形、長方形、或いはその他の形状を有する、単一又は多数のストリップ形状の押出物の製造が可能になる。本発明の生成物は、サイズ及び形状が均一又は略均一であり、これは、単一又は同心円のノズルを通過する溶融押出物の流速と、ノズルがその状態に置かれる振動数との組合せの結果である。その結果として生じる生成物の球状性は、その押出物複合体の表面張力に起因する。そのプロセスは、連続した液滴を重力によって流すことを含むものであり、これらの液滴は、空気によって冷却又は液体中で冷却され、これにより、大変規則正しい形状でサイズが調整可能であるミニ球体及びミニカプセルが製造される。
【0037】
1つのアスペクトにおいて、本発明は、1つのプロセスを提供するものであり、当該プロセスによって、継ぎ目のないミニカプセル・プロセスは、溶融押出フィーダーを含むように改良(修正、変更)され、これにより、その熱押出物は混合されて均質化され、適切な温度で適切な振動ノズル構造を通して供給され、適切な粘性が与えられ、そして、適切な圧力で、不可欠(必要)な流速を与えるものであり、又、ノズルが適切な振動数に置かれることで、結果として、所望の継ぎ目のない球体の直径及び形状(フォーム)が得られるようになっている。
【0038】
本発明は、1つのプロセスを提供するものであり、該プロセスにおいて、ノズルは、単一のノズル、又は多芯(複数のセンターを有する、polycentric)のノズル(例えば、2芯、3芯、又はそれ以上の芯)から構成されるものであり、当該多芯ノズルは、多数の異なる押出物が各同心ノズルを通して流動することを許容する。そのような形状(フォーム、形態)の押出物は、単層である場合には、一旦、冷却されることで、固体又は半固体になり、或いは、多層の場合には、一旦、冷却されることで、液体、半固体、又は固体の形状(フォーム、形態)うちの何れかになり得る。
【0039】
本発明は、1つのプロセスを提供するものであり、該プロセスにより、結果として形成されるミニ球体又はミニカプセルは、液体、固体、又は半固体の芯部(コア)を有する。該芯部は、徐放性ポリマーを取り込むことで、徐放性ポリマー・コーティング(被覆)の適用に対する必要条件を不要とする。封入材料(カプセル化材料、encapsulating material)は、全体的に、又は部分的に、徐放性ポリマーを含むものであってもよい。
【0040】
本発明は、又、ゼラチン等のゲル化剤含有の有無にかかわらず、製造されるべき、単層、2層、又は多層のミニカプセルの開発を可能にする。これによって、ゼラチン等のゲル化剤と、種々のエマルジョン又は液体をベースとする薬剤の製剤との固有の配合禁忌に関連した問題を克服することができ、このような配合禁忌は、表面張力、又は他の製剤ベースの要因に関連している。このように、当該プロセスは、広範囲の活性医薬用化合物が求めるものに適合(適応)するものである。
【0041】
他の溶融押出可能な徐放性材料の有無にかかわらず、ゲル化剤を含有させることによって、より均一な球状ミニカプセル又はミニ球体の製造が可能になる。又、このような球状ミニカプセル又はミニ球体は、一旦、種々の水(性)環境に曝されると溶解し、結果とし、外側の層又は複数の層に穴が開く。これは、残存する溶融押出材料の分解を、高め或いは更に制御、し得る。ゲル化剤及び溶融押出物の一方又は両方は、1つ、若しくはそれ以上の、活性成分又は付加的機能賦形剤を含むものであってもよい。
【0042】
結果として生ずる押出球状ミニカプセル又はミニ球体は、空気冷却され、或いは、冷却液槽に滴下されて、回収され、必要に応じて、表面から残留冷却液体を取り除くように処理され、そして、更に、必要に応じて、高温で硬化(cured)せしめられる。
【0043】
結果として生ずる球状ミニカプセル又はミニ球体は、付加的な薬物層、徐放性ポリマー、粘性又は生体(バイオ)接着ポリマー、或いは、全体的な機能性又は薬物療法的能力を高めるような他のコーティングによって、被覆してもよい。
【0044】
振動力を用いて製造した押出球状ミニカプセル又はミニ球体にとって代わるものとして、又はそれに加えて、押出された単層又は同心的多層の円筒状押出物は、該押出物が1つのノズル又は複数のノズルを通過して冷却された時に、刃(ブレード)又は他の切断具を用いて、成形されることができる。その切断具は、液体に漬けておいてもよい。その結果(物)は、1つ以上の層を有する円筒状又は擬似球状の生成物(製品)であることができ、各層は、1つ以上の活性医薬成分又は他の成分を含む。
【0045】
本発明は、2つ以上の活性医薬用化合物を含む併用製品(combination product)を提供し、これらのものは、即時若しくは徐放的に同時に放出されるか、又は、即時若しくは徐放的に連続して放出されることで、より良い疾病管理(例えば、近位ループ利尿薬の初期放出に続く、遠位ループ利尿薬の放出)又は時間治療学を提供する。
【0046】
本発明は、有効量の活性医薬製剤と共に、広範囲の押出可能又は熱溶融可能なポリマー、可塑剤、ゲル化剤、浸透性促進剤、溶解性促進剤、pH調節剤、崩壊剤、及び/又は安定剤の含有を可能にするものであり、これらは適切な温度に加熱されることで、或る範囲の球状形態をなす。
【0047】
医薬製剤は、或る範囲の周知の方法のいずれか1つによって、患者に投与することが可能である。幾つかの実施態様において、そのような製剤は、少量の形態で老年科又は小児科において投与するのに適した、硬いゼラチン・カプセル又はサッシェ(小袋)に複数のミニカプセル又はミニ球体を含有させることで、経口送達用に設計されている。別の実施態様において、製剤は、膣又は直腸に投与するために、坐剤(座薬)の形態に設計される。
【0048】
医薬製剤は、他の成分を含むものであってもよい。
【0049】
本発明の幾つかの観点において提供される方法は、医薬製剤を調製するための単一のステップ又は複数のステップを含むことができる。
【0050】
これに限定されるものではないが、例えば、溶融押出可能なポリマー、可塑剤、溶解性促進剤、浸透性促進剤、徐放性ポリマー、ゲル化剤又は他の物質(entity)を含むところの、1つ又はそれ以上の非治療用化合物成分(コンポーネント)と共に、活性医薬用化合物のいずれか1つを含む異なった組合せは、結果として、或る範囲の製剤をもたらすものであり、該製剤の各々は、特定の配列の特性を備えている。或る処理条件又は組合せは、活性医薬用化合物の特定のタイプ又はクラスに対して、よりよく適し得る一方で、他の組み合わせは、活性医薬用化合物の他のタイプ又はクラスに対して、よりよく適し得る。適切な押出可能又は溶融可能なポリマーを有する特定の活性医薬用化合物を選択する方法は、本発明の一部として、提供される。
【0051】
本発明において、処理成分とパラメータは、容易に選択することが出来る。例えば、特定の活性医薬用化合物又はその他の非治療用化合物の熱感受性に適合し得る溶融温度を有する押出可能又は溶融可能なポリマーを選択することが可能である。
【0052】
本発明は、又、異なる温度感度を有する活性医薬用化合物と、相補的な溶融点を有する押出可能又は溶融可能なポリマーとを、単一の球状ミニカプセル又はミニ球体の中で組み合わせることを容易化すると共に、同じ処理ではあっても異なる適切な温度でそれぞれを処理することを容易化する。
【0053】
本発明を実施するために使用される押出機は、乾燥した原材料(feed)を扱うために、固体運搬ゾーンと、1つ又は複数の加熱ゾーンと、1つまたはそれ以上の入口及び1つ又はそれ以上の出口とを有する振動ノズルと、を有するところの、あらゆる適切な市販されているモデルであることができる。押出機スクリューは、シングル又はツインであることができ、複数の分離した温度制御可能な加熱ゾーンを有することができる。ノズルの形状と振動力は、入口の流速と同様に、結果として得られる粒子の形状及びサイズを変更(修正)するために、変化させることができる。振動力の代わりとして、或いはそれに加えて、刃又はその他の切断具を用いることも可能であり、これによって、金型の構造や形状に応じて、略均一な球状又は円筒状又はその他の形状のペレットを形成が可能になる。
【0054】
必要とされる生成物(製品)の形態に応じ、処理条件を変更することで、プロセス(処理)の変更が可能になる。そのような条件は、例として挙げれば、製剤組成、供給速度、操作温度、押出機スクリュー速度、滞留時間、加熱ゾーンの長さ、押出機トルク、及び/又は圧力のみならず、ノズル若しくは金型の構成、ノズル入口速度、ノズル振動力、或いは切断具速度を含む。結果として、数多くの製剤形態が得られる。
【0055】
芯部の製剤は、それが半固体であっても、液体であっても、内部浸透圧を発生させるように働く膨張可能なマトリックスを含んでいてもよく、これにより、一旦、外側の殻部又はコーティング(被膜)が腸又は結腸の環境に曝されると、芯部の含有物の放出が促進される。
【0056】
本発明は、又、必要に応じて、放出されるべき微粒化又はナノ製剤化された活性成分又は賦形剤の取り込みを容易化する。ナノ製剤(nanoformulations)は、親水性及び脂溶性(脂肪親和性)の物質の吸収を高めるために、脂質ナノ粒子を含むものであってもよい。
【0057】
本発明は、吸収性、安定性、又は免疫原性を変更するために、或いは、受動的又は能動的薬物送達を行うために、共有結合的又は非共有結合的に改良(修正、変更)された活性成分の取り込みを可能にする。
【0058】
本発明は、又、生物学的利用能促進剤(エンハンサー)の取り込みを許容するものであり、該生物学的利用能促進剤として、これに限定されるものではないが、浸透性促進剤、プロテオグリカンポンプ(PgP)抑制剤、及びシトクロムP450酵素の抑制剤が挙げられる。
【0059】
本発明は、更に、胃腸管系ルーメンにおいて、又は全身的に、タンパク質分解酵素又は他の分解酵素を含むことを許容する。
【0060】
加えて、本発明は、これに限定されるものではないが、リパーゼ阻害剤を含む酵素阻害剤の含有を許容する。
【0061】
本発明において、pH調整剤(そのような調整剤は、溶解性を高めることが可能である)を含有し、pH感受性物質を保護し、及び/又はミニカプセル若しくはミニ球体からの放出を改良(変更、修正)することが可能である。
【0062】
又、これに限定されるものではないが、脂質成分、炭水化物成分、タンパク質成分等を含む、或る種の栄養物又は腸からの代謝サブユニット、の腸からの吸収を防止するために、例えば、吸収調整剤を含むことも可能である。そのようなものとして、胆汁酸金属イオン封鎖剤を挙げることができる。
【0063】
更に、免疫調整剤を含むことが可能であり、当該免疫調整剤として、これに限定されるものではないが、ワクチン・アジュバント(補助剤)、アレルゲン、抗アレルギー物質、経口免疫寛容誘導物質(inducers of oral tolerance)等が挙げられる。
【0064】
本発明は、又、リンパ系吸収又は肝臓系吸収を高める賦形剤の取り込みを可能にするものであり、当該賦形剤として、これに限定されるものではないが、脂質賦形剤、シクロデキストリン、及び改良(修正、変更)されたシクロデキストリンが挙げられる。
【0065】
本発明は、更に、例えば、解毒剤、刺激剤、抗体、又は経口投与された場合は効果を示さないが、異物混入の場合に活性医薬の効果を中和するするそのような他の物質と、活性医薬物質と、の組み合わせを可能にすることを通して、ある種の添加物質等の異物混入防止製剤(tamper-proof formulations)の開発を可能にする。
【0066】
本発明は、更に、小腸内での滞留時間が増加する抗生物質製剤の開発や、結腸細菌の叢害(colonic bacterial flora damage)を減じるために結腸上皮細胞において局部放出する抗生物質製剤の開発、を可能にする。
【0067】
医薬製剤は、特に多層(複数層)フォーマットに対して、適切な溶剤(水、水性、非水性、イオン性(極性)、非イオン性(非極性)、水滴性(hydropic)、親水性、及び/又はそれらの組合せ等)を含んだワックス、エマルジョン、ペースト、クリーム又は軟膏であることができ、任意に、その他の化合物(安定剤、香料、抗菌剤、抗酸化物質、pH調整剤、接着剤、味遮蔽剤、着色剤、防腐剤、抗酸化物質、界面活性剤、及び/又はバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)調整剤)を含むことができる。アルコール等の生物学的利用能促進剤、或いは、医薬製剤から治療用化合物の浸透を高める他の化合物が、含有され得ることが考えられる。
【0068】
経口、口腔(口内)、及び、舌下投与のために、医薬製剤は、ゲル・キャップ、カプレット、錠剤、カプセル、懸濁液、又は粉末の形態であることができる。直腸に投与するために、医薬製剤は、化合物を腸、S字結腸曲がり、及び/又は直腸に放出するべく、坐剤(座薬)、軟膏、浣腸、錠剤、又はクリームの形態であることができる。
【0069】
固体の単位投薬フォーム(形態)において、化合物は、従来の担体と組み合わせることができる。該担体としては、例えば、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ又はゼラチン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、グアーガム、ジャガイモでんぷん又はアルギン酸)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウム)、及び不活性充填剤(例えば、ラクトース、蔗糖、又はコーンスターチ)等が挙げられる。
【0070】
更に、活性成分は、部分的にカプセル化されてもよく、完全にカプセル化されてもよく、部分的に吸収され合成化されてもよく、完全に吸収され合成化されてもよく、或いは、それらの組み合わせでもよい。そのようなカプセル化は、従来の手順を用いて達成することが可能であり、不水溶性又は水溶性の薬剤(エージェント)を用いることができる。
【0071】
懸濁剤の調製(準備)に関して、医薬製剤は、オイル、例えば、固定油(例えば、落花生油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、及びオリーブ油等)、脂肪酸(例えば、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸等)、及び、脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリド、アセチル化脂肪酸グリセリド等)を含むことができる。これらは、又、薬学的に適切な界面活性剤、懸濁化剤、又は乳化剤の添加の有無にかかわらず、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロール、及びプロピレングリコール等)、グリセロール・ケタール(例えば、2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−メタノール等)、エーテル(例えば、ポリ(エチレングリコール)450等)、石油炭化水素(例えば、鉱油及びワセリン等)、水、又はそれらの混合物と混合されてもよい。
【0072】
ソフト・ゼラチン型の製剤及び坐剤の製剤の調製に、オイルを用いることもできる。水、生理的食塩水、含水デキストロース(含水ブドウ糖、aqueous dextrose)、関係する糖溶液、及びグリセロールは、懸濁製剤の調製に用いられることが可能である。この懸濁製剤は、懸濁化剤(例えば、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース)のみならず、緩衝剤及び防腐剤を適切に含有するものであってもよい。石鹸及び合成洗剤は、界面活性剤として用いられることができ、又洗剤組成用賦形剤として用いられることができる。適切な石鹸は、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミン塩類を含む。適切な洗剤は、陽イオン洗剤(例えば、ジメチルジアルキルハロゲン化アンモニウム、アルキルハロゲン化ピリジニウム、及びアルキルアミン酢酸塩等)と、陰イオン洗剤(例えば、アルキル、アリール及びオレフィンスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリド硫酸塩、及びスルホサクシネート)と、非イオン系洗剤(例えば、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリ(オキシエチレン)・ブロック・ポリ(オキシプロピレン)共重合体等)と、両性洗剤(例えば、アルキル・ベータ・アミノプロピオネート及び2−アルキルイミダゾリン第四級(4番目)アンモニウム塩等)と、それらの混合物とを含む。
【0073】
多くの溶融可能疎水性結合剤(バインダー)を用いることが可能であり、該結合剤は、これに限定されるものではないが、ビーズワックス、カルナウバワックス、パルミチン酸セチル、グリセリル・ベヘネート、グリセリル・モノステアレート、パルミトステアリン酸グリセリン(Glyceryl palmitostearate)、ステアリン酸グリセリル、水素化キャスター油、微結晶ワックス、パラフィンワックス、ステアリン酸、ゲルシア44/01、ゲルシア35/10、及びステアリン酸アルコールを含む。
【0074】
多くの溶融可能親水性結合剤を用いることが可能であり、該結合剤は、これに限定されるものではないが、ゲルシア50/13、ゲルシア44/10、ポロクサマー188、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール3000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール10000、ポリエチレングリコール20000、及びステアレート6000 WL1644を含む。
【0075】
本発明の幾つかの実施形態は、水溶性薬剤(エージェント)を必要とする。そのような水溶性ゲル化剤は、これに限定されるものではないが、ゼラチン、タンパク質、多糖類、澱粉、セルロース、及びそれらの混合物を含む。他の水溶性被覆材料は、これに限定されるものではないが、アルブミン、ペクチン、グアーガム、カルボキシメチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、カラゲナン、寒天及び同様のヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、及びこれらの組み合わせから構成されることが可能である。
【0076】
即時放出性、促進放出性、長時間作用性、持続的放出性、徐放性、緩放出性の投薬形態のいずれか1つ、又はその組み合わせは、本発明で用いられることが可能である、と考えられる。本発明の製剤のクール(一定期間に飲むべき一連の薬、course)、投与期間、及び投薬必要条件は、処置を受けている患者、投与される化合物、使用される製剤、使用される投与方法、処置されている徴候の重症度及びタイプ、他の薬剤との同時投与、及び他の要因によって、変化するだろう。
【0077】
製剤に含まれる治療用化合物は、それらの医薬的に許容し得る塩類として処方(調剤)されることが可能である。ここで用いているような「医薬的に許容し得る塩類」とは、酸又は塩基をその塩類にすることにより治療用の親化合物が改良(変更、修正)されるところの、開示された化合物の誘導体(誘導薬、誘導剤、derivatives)を指している。医薬的に許容し得る塩類の例は、これに限定されるものではないが、アミン等の塩基性残基の無機又は有機の酸性塩類、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ又は有機塩類、その他のものを含む。この医薬的に許容し得る塩類は、従来の無毒性の塩類、或いは、無毒性の無機又は有機酸から形成される、たとえば、親化合物の第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の無毒性の塩類は、塩化水素、臭化水素、硫黄、スルホン基、スルファミン、リン、窒素等の無機酸に由来する塩類と、アミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル乳酸、グルタミン酸、ベンゾイン酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシベンゾイン酸、フルナル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等の有機酸から調製(準備)された塩類と、を含む。
【0078】
本発明の医薬的に許容し得る塩類は、従来の化学的方法によって、塩基性又は酸性の部分を含む治療用親化合物から合成されることができる。一般に、そのような塩類は、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を、所定量の適切な塩基又は酸と、水、有機溶媒、又はこれら2つの混合液中で反応させることによって、調製されることができる。一般に、非水性の媒体が好まれる。適切な塩類のリストは、ラミングトンズ・ファーマシューティカル・サイエンシズ、第17版、マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン・ピーエー、1985, p.1418(Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p.1418)に見出され、その開示内容は、本明細書に取り込まれる。更に、製剤に含まれる治療用化合物は、共有結合的に変更(修正、改良)されたバリアント(異形、異形体)を含むように、処方(調剤)されることができ、ここでは、浸透性促進成分(物質、entity)、安定性促進成分、免疫改質成分、又は、酸化窒素若しくは酸化窒素供与体(ドナー)等を含む他の成分が、調製されている小分子又は治療用生物医薬化合物と結合せしめられる。
【0079】
本発明は、上に述べられた実施形態に限定されるものではなく、細部において変形せしめられることができる。
【0080】
本発明の記載に使用されているような「有効量」という用語は、体外(in vitro)又は生内(in vivo)での生理学的反応を引き出すのに十分な量又は投与量(用量)として、定義される。
【0081】
本発明は、例示に過ぎない以下の記載から、明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図1A】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図2】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図3】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図4】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図5】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図6】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図7】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図8】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図9】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図10】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図11】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図12】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図面を参照すると、図1は、振動ノズルを有する修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。この振動ノズルは、固体のミニ球体の形成をもたらす液滴形成を可能にする単一又は複数の同心の通路を有するものであってもよい。液滴を形成するための振動力の使用に加えて、又は該振動力の使用に取って代わるものとして、切断具も適用可能である。
【0084】
より詳しくは、図1は、単一のノズルを介する溶融押出を用いることで、固体のミニ球体を製造するためのプロセスを図示している。このプロセスで使用される装置は、投入ホッパー2を具備する押出機(押出成形機)1を備えており、この投入ホッパー2を通して、種々の成分(要素、原料、剤料、ingredients)、例えば薬物、押出可能なポリマー、可塑剤等が導入される。このホッパー2は、押出されるべき混合物を、筐体4内において、押出スクリュー3に誘導する。このスクリューは、供給部5、溶融部6、混合部7、及び均質化部8を有する。又、ノズル10に送り出される前に、冷却部9が筐体内に存在する。
【0085】
供給部5において、投入ユニット2からの配合物は、1つ以上の押出スクリュー3を経て、一様に、スクリュー・チェンバーに入る。溶融部6において、配合物は、押出可能なポリマーのガラス転移温度を上回る温度に加熱される。混合部7において、押出スクリューが作動して、溶融された混合物を更に混ぜ合わせる。均質化部8において、溶融された混合物は更に均質化されて、冷却チャンバー9に送られる。ノズル10は、単一又は多数(2、3、又はそれ以上の数)の同心ノズルであってもよく、又、熱い溶融物は、1つ以上のノズル10を通過する。
【0086】
ノズル10は、制御可能な振動数及び振動力を持つバイブレーター15によって生じせしめられる振動エネルギーを受ける。
【0087】
バイブレーター15に代わるものとして、又はバイブレーター15に加えて、ノズル出口で、図1Aに示すように、押出物は、回転刃18等の適切な切断具により切断されるようにしてもよい。この刃18は、旋回軸19を中心に回転する。
【0088】
図1に示す装置及びプロセスは、固体のミニ球体20を製造するために用いられる。
【0089】
図2は、異なる製剤(formulations)が流れる複数の同心通路を有することが可能である振動ノズルを備えた、修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを示す図である。液滴を形成するための振動力の使用に加えて、又は振動力に代わるものとして、切断具を、又、適用することが可能である。
【0090】
より詳しくは、図2は、2層になった固体のミニ球体又は液体を満たしたミニカプセル30を製造するプロセス及び装置を示す。この装置は、図1を参照しながら説明した装置に類似しており、同様の構成要素(パーツ)に対しては、同じ参照符号を付与する。最終製品(生産品、生成物、プロダクト、product)の殻部分は、供給ポンプ(不図示)を有することが可能な溶融容器37から加工される。この容器37において、ゲル化剤は、加熱されてノズル38を通して汲み出され、溶融又は冷やされた押出物の周りにシェル(殻部)を形成する。ノズル38は、制御可能な振動数又は振動力を与えるためのバイブレーター39を有していてもよい。ノズルは同心的であり、例外の有無にかかわらず、及び/又は薬物(薬剤、drug)の有無にかかわらず、ゼラチンが外側(アウター)32を通して通過する一方、薬物の有無にかかわず、押出可能な溶融物が内側(インナー)31を通して通過する。
【0091】
結果物としての製品30は、多層の固体のミニ球体又は液体で満たされたミニカプセルであることができる。押出物の芯部(コア)は、周囲温度において、液体、半固体、又は固体から構成されることができる。外層は、溶融押出可能なポリマー、単体又は複合体、可塑剤、薬物(薬剤)、及び/又は他の賦形剤(補形剤)を含むところのゲル化剤から構成されてもよく、この外層は、溶融容器内において高温で混合される。全ての層は、1種類以上の活性医薬用化合物を含んでいてもよい。
【0092】
図3は、双式(ツイン)又は2重の溶融抽出プロセスを用いる、修正(改良、変更)された溶融押出生成物(生産品、製品、プロダクツ)を説明する図である。より詳しくは、図3は、2つの押出機システム40、41を用いて、2層型のミニカプセル又はミニ球体45を生産するプロセス及び装置を示す。一方の押出機システム40は、芯部の加工に用いられ、他方の押出機システム41は、殻(シェル)の加工に用いられる。この押出機システムは、各々、図1及び図2を参照しながら上記したものと類似しており、同様の構成要素に対しては、同一の参照符号を当てている。同心である内側の放出口47と外側の放出口48とを夫々有する共通のノズル46が存在していてもよい。再度、バイブレーター15に加えて、又はバイブレーター15に取って代わるものとして、切断具が使用されてもよい。最終製品45の芯部は、周囲温度において、液体、半固体、又は固体から構成されるものであってもよい。一方、殻(シェル)は、溶融押出可能なポリマー、単体又は複合体(コンプレックス)、可塑剤、薬物(薬剤)、及び/又は他の賦形剤(補形剤)を含むところのゲル化剤から構成されるものであってもよい。
【0093】
図4は、修正(改良、変更)された溶融プロセスを示す図であり、殻は、溶融押出可能なポリマー、単体又は複合体、可塑剤、薬物(薬剤)、及び/又は他の賦形剤(補形剤)を含むところのゲル化剤から構成され得る、押出機から得た溶融押出物から得られるものであり、一方、芯部は、周囲温度において、液体、半固体、又は固体である親水性又は脂溶親和性の物質から構成されるものであってもよい。液滴を形成するべく、振動力の使用に加えて、或いは、むしろ、切断具を適用することも可能である。
【0094】
より詳しくは、図4は、逆押出可能な殻ミニカプセル又はミニ球体50を生産するプロセス及び装置を示す。この配置(装置)は、図2のものと類似しており、同様の構成要素(パーツ)には、同じ参照符号を付している。異なる点は、この例において、押出システムが殻(シェル)の押出に用いられる一方、溶融ポンプ・システムが最終製品50の殻を加工するために用いられる点である。ノズルは同心的であり、賦形剤(補形剤)及び/又は薬物(薬剤)の有無にかかわらず、ゼラチンが内側(インナー)51を通して通過せしめられ、一方、薬物(薬剤)の有無にかかわらず、溶融押出物が外側(アウター)52通して通過せしめられる。
【0095】
図5は、溶融押出と噴霧被覆(スプレイ・コーティング)とを組み合わせる、本発明のプロセス及び装置を示す図である。より詳しくは、図5には、溶融押出と噴霧被覆とを組み合わせるプロセス及び装置が示されている。このシステムは、図1を参照しながら記載したものと類似しており、同様の構成要素(パーツ)には、同一の参照符号が付されている。この例においては、ノズル10からの出力製品(アウトプット・プロダクト)70は、インプロセス又はインラインでの噴霧被覆75に曝されるようになっている。芯部の剤料は、出てくる押出物が固体状又は半固体状の球体又は非球体の形態である、従来の熱溶融押出又はミニカプセル・プロセスによって製造される押出物である。噴霧被覆は、真空のチャンバー又は加熱されたチャンバーで生ずるものであり、被覆されるべき剤料は、溶媒の形態、或いは、さもなければ、容易に乾燥し得る形態にあるものである。結果として生じる被覆形態は、回収して更に処理が行われるか、又は別のことが行われる。噴霧被覆された剤料は、制御された徐放性ポリマー(controlled release polymers)又は他の物質、例えば、可塑剤、溶媒(溶剤)、活性物質や、接着剤等、から構成されるものであってもよい。その製品(プロダクト)は、必要に応じて、付加的な活性成分又は機能的な被膜を加えるために、更なる処理が施されてもよい。
【0096】
図6は、修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを示す図である。このプロセスは、異なる製剤が流れる複数の同心的な通路を有することができる振動ノズルを有する。液滴を形成するための振動力の使用に加えて、或いは、はむしろ、切断具を適用することも可能である。結果物としての製品(プロダクト)は、多層の固体のミニ球体又は類似のものであることができる。その押出物は、ゲル化剤を含むものであってもよい。このゲル化剤は、水溶性であることができ、そして、供給段階、溶融段階、混合段階、均質化段階、又は冷却段階のいずれか1つ以上の段階で、押出物に導入することができる。
【0097】
図6には、水溶性物質との混合を取り入れるために、溶融と押出とを組み合わせる装置及びプロセスが示されている。このシステムは、図2のものと類似しており、同様の構成要素(パーツ)には、同一の参照符号が付されている。異なる点は、この例では、この押出機システムの混合部、均質化部、又は冷却部等のいずれかの適切な位置で、溶融容器60からの剤料が、加熱されて溶融された押出物にポンプで注ぎ込まれる点である。結果として生じる製品は、カプセル化殻部61の内側に非ゲル化成分の混合物が芯部62として封入された状態で、その形態の外側に、当該カプセル化殻部61の如くゲル化剤を有することが可能である。或いは、用いた混合プロセス及び剤料に応じて、殻部61と芯部62とを相互に混ぜ合わせてもよい。
【0098】
球状又は円筒状の最終的なフォーマット(形、形状)は、溶融押出可能なポリマー、単体又は複合体、可塑剤、薬物(薬剤)、及び/又は他の賦形剤((補形剤))を含むところのゲル化剤から構成されるものであってもよく、このフォーマットは、溶融容器内で、高温で混合される。全ての層は、1種類以上の活性医薬用化合物を含むことができる。図7は、図1又は図6のプロセスを用いる、溶融押出製品(プロダクト)を示す図である。結果として生じる単層の製品80は、これに限定されるものではないが、次の1つのものから、若しくは、次の2つ以上ものを含む組み合わせからなり得る。すなわち、当該次のものとは、溶融押出ポリマー、可塑剤、(製薬学的又は栄養学的)活性剤、これに限定されるものではないが崩壊剤や膨張剤を含む機能物質(function entities)、ヒドロゲル、pH調節剤等や、これに限定されるものではないがゼラチン、カラゲナン、キトサン(又はその誘導剤)、シリコン等を含むゲル化剤である。可塑剤は、処理温度及び圧力を減少させると共に、活性のある製薬学的形態を安定化させるために、選択される。ミニ球体は、形態(form)を促進するためのゲル化剤、又は水溶液中での溶解を早める親水性物質を付加的に含むものであってもよい。表示された生成物は、個々のミニ球体の胃貯留を許容するために、又は個々のミニ球体が合体(癒着)するのを可能にするために、膨張可能な原料を含むものであってもよく、又/或いは、胃、腸、及び結腸壁の内側を覆う粘液との相互作用、又は胃、腸、或いは結腸の上皮細胞との直接的な相互作用、を高めるための接着分子を含むものであってもよい。必要に応じて、製品を更に加工することで、活性のある被膜又は機能的な被膜を付加してもよい。
【0099】
図8は、更に、例えば図2に示したようなプロセスを用いて製造される製品85を示す図であり、芯部86は、周囲温度で液体、半固体、又は固体である押出物を含み、一方、殻部87は、ゲル化剤を含む。芯部86は、これに限定されるものではないが、溶融押出ポリマー、可塑剤、(製薬学的又は栄養学的)活性剤、これに限定されるものではないが崩壊剤や膨張剤を含む機能物質(機能剤、function entities)、ヒドロゲル、pH調節剤等のうちの1つのもの、若しくは2つ以上ものを含む組み合わせからなり得る。一方、殻部は、これに限定されるものではないが、活性剤及び/若しくは機能剤(functional agents)を付加的に含み得る、ゼラチン、カラゲナン、キトサン(又はその誘導剤)、シリコン等を含むゲル化剤からなる。必要に応じて、製品を更に加工することで、活性のある被膜又は機能的な被膜を付加することができる。
【0100】
図9は、結果として2層のミニカプセル又はミニ球体が得られる、図3に示すようなプロセスを用いて製造した製品90を示す図である。その芯部91は、その殻部92が固体である間、周囲温度で液体、半固体若しくは固定でありことができ、それは、活性のある医薬製剤又は栄養剤に加え、これに限定されるものではないが、膨張剤、接着剤、崩壊剤、pH調節剤等を含む種々の機能物質を含むものであってもよい。必要に応じて、製品を更に加工することで、活性のある被膜又は機能的な被膜を付加してもよい。
【0101】
図10は、図1〜6に示すいずれかのプロセスにより製造された製品に加えて、結果として生ずる1層又は2層の製品100が、付加的な層、つまり次のような被膜を有し得ることを示す図である。すなわち、当該被膜101は、活性剤、膨張可能な剤料、接着剤、徐放性ポリマー(制御された遊離ポリマー、controlled release polymers)、崩壊剤、ゲル化剤等を含む被膜である。このような被膜は、種々の流動層(fluid bed)又はパン・コータを含むところの、イン・プロセス又は従来の被覆技術を用いて付加することができる。
【0102】
図11は、親水性で膨張可能な剤料を含む半固体又は液体の芯部106を含む、多層のミニカプセル105を示す図である。膨張可能な剤料を、殻部内又は緩衝層内で、芯部製剤と混合してもよい。
【0103】
図12は、押出物が溶融状態にある間にノズルに対して与えられる振動力の適用を通して結果として生じる1層又は多層の製品が形成されるところの、図1〜図6に示すプロセスのいずれかによって製造される製品に加えて、切断具の単独の使用、若しくは、押出物がダイ(金型)を出てくる時に当該押出物への振動力と組み合わせて用いられる切断具の使用、が、結果として、1層又は多層の円筒状製品110を形成することを示している。芯部は、ゲル化剤及び/又は膨張剤料の有無にかかわらず、液体又は半固体であることができる。殻部は、ゲル化剤の有無にかかわらず、徐放成分(制御された遊離成分、controlled release ingredients)からなるものであってよい。更に、殻部の被膜が不完全である場合には、芯部及び殻部の同時的な放出(解放、release)又は溶解を許容する。
【0104】
円筒形のノズル放出口(ノズル・アウトレット)又はダイ(金型)の使用に加えて、該放出口又はダイは、これに限定されるものではないが、正方形、長方形、楕円形、又は、そのような形状を含む、他の形状であってもよい。結果として生じる押出製品は、かなり均一な非球状の形状(形態)となるであろう。
【0105】
本発明は、継ぎ目のないミニカプセル及び溶融押出プロセスの両方の利点を組み合わせるものである。溶融押出プロセスは、他の利点と同様に、より均一な粒子、高められた徐放被膜(高められ制御された遊離被膜、enhanced controlled release coatings)、粘膜接着剤又は生体接着剤、膨潤性ポリマーを許容し、一方で、この溶融押出プロセスは、他の問題(issue)と同様に、可溶性及び溶解の問題に対処する所定範囲の製剤の開発をもたらすであろう。本発明の製品は、硬いゼラチン・カプセル、丸剤(ピル)、ペレット、坐剤、サシェット(小袋、sachets)、又は他の投与フォーマットへの更なる加工に適する。
【0106】
本発明では、粘性、表面張力、温度、或いは他の変数に応じて、溶融押出物を振動ノズルに通して球形、又は他の所望の粒子形状に形成することができる。粒径は、粘性、流量、表面張力、ノズルに対して設定されているノズルの直径及び振動数、並びに/又はノズル若しくはダイの先端(ダイ・チップ)での切断具の回転速度若しくは回転力、に依存する。切断具は、ロータリカッター、シア・カッター、ナイフであることができ、これらのすべては、固定されるか、若しくは回転自在であることができ、そして、これらは、上記したものの任意の組み合わせから構成されることができる。結果として生じる粒子は、次いで、空気中で冷やされるか、又は冷却液の中に滴下されるか、若しくはその中で形成され、回収され、そして、必要に応じて、高温下で、一晩、硬化(cured)せしめられる。
【0107】
ダイ又はノズルは、2つ以上のノズルを有する同心のノズルであることができる。これに限定されるものではないが、ゼラチン及び/又はエチルセルロースを含むところの、フィルム形成剤及び/又はポリマーは、外側ノズルを通して流動することが可能である。内側ノズルは、室温で液体の製剤(formulation)を含むことが可能であり、これは、室温で、液体又は半固体の状態に留まる。この実施例では、次のノズルは、1つ以上の活性医薬用化合物を含む、徐放性ポリマー/可塑剤混合物を含むものであってもよい。更に、1つ以上の活性医薬用化合物の有無にかかわらず、ゲル及び/又は徐放性ポリマーを含む複数のノズルを設けることも可能である。
【0108】
適切な製剤(formulation)を形成するために、押出時や、粒子形成プロセス時に、制御や状態について、多数、変更することが可能である。そのような変更は、これに限定されるものではないが、製剤の組成、供給量(供給率)、動作温度、1分あたりの押出機スクリューの回転数、滞留(残存、持続)時間、ダイの構成、加熱ゾーンの長さ並びに押出機トルク及び/又は圧力、ノズル構成及び振動数、及び、切断具の回転数若しくは回転力等を含む。そのような状態は、当業者に知られている技術を用いて、容易に最適化することが可能である。
【0109】
本発明は、溶融プロセス、及び加圧されるか若しくは重力により流動する振動ノズル、に基づく装置を提供するものである。この装置において、1つの活性医薬製剤若しくは複数の活性医薬性剤が、溶解性、浸透性、安定性、又は徐放性(制御された遊離性、controlled release)を高める適切な賦形剤と混合される。次いで、この混合物は、速やかに加熱され、賦形剤及び/又は1つの活性医薬製剤若しくは複数の活性医薬性剤が溶融せしめられ、この混合物は、単一のノズル又は多数の同心的なノズルを有する振動ノズルに押し流すか、或いは当該振動ノズルを通して重力によって流す。結果として生じるミニカプセル又はミニ球体は、1層、2層、3層、又はそれを上回る数の層から構成されるころができ、1層若しくはそれ以上の層は、液体、半固体若しくは固体であってもよい。全例において、結果として形成されるミニカプセル又はミニ球体は、規則的な球状である。更に、本発明は、結果として形成されるミニカプセル又はミニ球体のコーティングを促進(容易化)することで、活性薬剤の放出、安定性の強化、及び/又は腸粘膜若しくは結腸粘膜又は上皮細胞に対する付着を制御する。更に、本発明は、胃腸管の特定領域に、経口送達製剤を標的放出することを許容し、これによって、吸収を最大にし、ペイロードに保護を与え、罹患した腸組織の処置を最適化し、又は経口生物学的利用能(oral bioavailability)を高めることを可能にする。その結果は、修正(改良、変更)された放出組成物(release compositions)となり、作用時において、固有の二面的又は多面的方法で、1つ以上の活性成分を放出する。本発明は、更に、そのような複数のミニカプセル又はミニ球体徐放組成物(制御された遊離組成物、controlled release compositions)等を含む固体の経口投薬形態(フォーム)、サシェット又は坐剤はもとより、二面的又は多面的方法で1つ以上の活性成分を患者に送達する方法を提供する。その上、本発明は、1つ以上の医薬活性成分を連続的に又は同時的に投与することを可能ならしめ、これにより、病気治療及び管理を改善すると共に、体の自然な概日リズムの恩恵を受けることができる。
【0110】
本明細書において「熱溶融押出可能」として参照されている化合物(compound)は、熱溶融押出が可能な化合物である。標準的な周囲温度及び圧力の条件下で、熱溶融押出可能なポリマーは、十分に硬いが、高温又は高圧下で変形又は半液体状態となることができるものである。本発明に記載のプロセス及び製剤は、可塑剤を含む必要がないにもかかわらず、当該可塑剤は、本発明の範囲に含まれ得る。
【0111】
この熱溶融押出という用語は、広く全てを含んでいる用語であるが、例えば、射出成形、溶融メッキ、溶融鋳造(melt casting)、及び圧縮成形等、の他の等価のプロセスをカバーすることができる。上記方法のいずれかによる処理(加工)を通して、結果として形成される製剤は、必要に応じ、所望の投与形態に応じて、例えば、錠剤、丸剤、トローチ剤や、坐剤等に、形成することができる。この発明を開示する目的のために、熱溶融押出という用語は、溶融押出という用語と置き換え可能であり、この用語は、従来の熱溶融押出装置からの溶融剤料の押出のみならず、非従来的な熱溶融押出装置からの溶融剤料の押出にも適用され、それは、継ぎ目のないミニカプセル・プロセス、従来の熱溶融押出装置に対する修正(改良、変形)、ミニカプセル装置に対する修正(改良、変形)、複合機器、又は、重力等を含む力の適用により溶融剤料を押出することが可能である他の可能なフォーマットを含む。
【0112】
本発明の幾つかの実施形態で用いられる熱溶融押出プロセスは、処理の過程での治療用化合物の劣化又は分解を最小にする操作温度の範囲内の高温で、実施される。この操作温度の範囲は、一般に、約35℃乃至約160℃の範囲内にあり、加熱領域の制御によって決定されるところの、ポリマー及び/又は可塑剤の溶融温度に依存する。
【0113】
熱溶融押出は、スラリー、固体、懸濁液、液体、粉状又は他の原剤料を用いて、実施することが可能であり、そのような供給原料は、押出可能なポリマー及び治療用化合物を含む。乾燥した原剤料又は湿った原剤料は、本発明のプロセスにおいて使用することができる。
【0114】
熱溶融押出プロセスは、一般に、次のように説明される。有効量の粉末状治療用化合物を押出可能なポリマーと混合し、そして、幾つかの実施形態では、この混合物に可塑剤を添加する。医薬用化合物(医薬品、pharmaceutical compound)を、所望の放出プロフィール、治療用化合物の薬理活性及び毒性、並びに他のそのような考慮すべき点に応じた比率の範囲で、この混合物に添加することができる。次に、混合物を押出機ホッパーに入れ、押出可能なポリマー及び/又は可塑剤が存在する場合にそれを溶融又は軟化させて治療用化合物が分散されるマトリックスを形成する温度で、押出機の加熱された領域に通過させる。次いで、混合物、或いは、押出物と呼ばれるもの、が硬化し始める時に、溶融した又は軟化した混合物は、ダイ又はそのような構成要素から出される。従来、ダイを出た時の押出物は、まだ、温かいか、熱いことから、一般に、それは、個々の小片(粒子、particle)に切断され、次いで、粉砕、成型、球状化(spheronised)されて、ビーズ及び/又は錠剤にされ、或いは、所望の物理的形態に加工される。
【0115】
種々の熱溶融押出医薬製剤(pharmaceutical formulations)及びそれらの製造方法が知られているにもかかわらず、薬剤送達のための単純な製剤の開発と、該製剤の製造方法の開発は、医薬品工業では、問題を抱えたままである。この技術分野において、徐放医薬製剤のみならず、それを調製(準備)するための改良されたより効率的な方法を開発する必要性が、依然として存在している。本発明は、最終的な製剤の均一性を高め、結果として生じる球状の溶融押出ミニカプセルの構造及び機能性を改良(修正、変更)するプロセスを提供する。これは、「球状化(spheronised)」された溶融押出粒子を生産するための更なる処理の必要性(必要条件)を取り除く。更に、本発明は、芯部が液体、半固体、又は固体であり、一方、殻部が押出可能なポリマーの複合体から構成されることができる、ミニカプセルを製造する能力を有する。このように、一段階(ワンステップ)で、ゼラチンを必要としない徐放性ミニカプセル、若しくは、ゼラチンの殻部が形成されたミニカプセルを更なる徐放性ポリマーで被覆する必要がない徐放性ミニカプセル、が製造される。更に、ゲル化剤又はそのようなものから構成される殻部の必要性を取り除くことで、ミニカプセル・ペイロード能力が最大化される。本発明の別の利点は、結果として得られる製品形態から、親水性活性医薬製剤(医薬品、pharmaceutical agents)及び疎水性活性医薬製剤(医薬品、pharmaceutical agents)の放出動態(release kinetics)を更に調節するための賦形剤の導入の可能性である。組み込まれる剤料に応じて、結果として生じる製品は、種々の無定型(非晶)構造又は結晶構造を含む種々の薬剤フォーマットの安定性を維持するのに役立ち得る。従って、本発明は、溶融押出及びミニカプセル・プロセスの両方に効率性を導入し、一方で、結果として生ずる製品に付加的な機能性を導入するのみならず、重量ベースでの活性物質の量(load)を増加させる。
【0116】
加熱溶融プロセス賦形剤及び実施例
HME製剤開発では、ポリマーの選択は、HMEの製剤開発時に所望の薬物(薬剤)放出特性(プロフィール)を得る上で、決定的なファクター(要素)となっている。ポリマーの選択が良好になされることで、押出機(押出装置)での処理が容易化される。多くの市販(商用)製剤等級のポリマーは、HME製剤に用いることができ、これは、誘導セルロース、ポリ(メタクリレート)誘導体、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルアセテート−コ−メタクリル酸)、エポキシ樹脂及びカプロラクトン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、及び、種々のワックス、脂肪や、脂質ベースの賦形剤(ゲルシア(Gelucire)[登録商標]、ウィテップゾール(Witepsol)[登録商標]、ラブラフィル(Labrafil)[登録商標]や、他のもの)を含む他のものを含む。
【0117】
1つのポリマー又は複数のポリマーを選択する場合、原剤料のプロセス条件やプロセス特性(attribute)が考慮されるべきである。例えば、処理条件は、典型的には、押出されるべき剤料の流動学的特性及び熱的特性に基づいて、選択される。選択される条件は、処理のための許容溶融粘性を生成しなければならないが、それは、原剤料の劣化をもたらすことができない。トルク、溶融圧力、及び駆動モータのアンペア数は、溶融粘性の間接的な指標である。トルクは、押出機を通って剤料を移動させるために必要とされる機械仕事の指標である。溶融圧力は、剤料が圧縮され、溶融され、ダイ等の押出装置の末端にある制限を通して押し進められる際に、押出機内に生ずる力である。粘性、トルク、又は溶融圧力が高すぎると、薬物(薬剤)、賦形剤、又は添加剤の劣化が生ずる可能性がある。
【0118】
HME要求処理条件は、装置の設計、ポリマーの選択、及び製剤における種々の添加物の使用によって、定まる。
【0119】
ポリマーの溶融粘性は、処理温度が高いと溶融粘性が低くなる場合では、処理条件(プロセス条件)によって影響を受ける。一定の温度では、押出すべき剤料の粘性及び分子量が増加するにつれて、押出機内のトルクも増加する。トルク、バレル圧、及び駆動モーターのアンペア数を許容限界内に収めるために、可塑剤を製剤に取り込んでもよい。
【0120】
可塑剤は、製剤のガラス転移温度を下げるように働き、これにより、剤料の押出が容易化されると共に、押出物の可撓性が増加する。適切な可塑剤を選択することで、剤料は、押出機内において、より低い力学的エネルギーを用いて、より低い温度又は等温で、処理されることができ、これによって、温度感受性の薬物(薬剤)又はポリマーに関係する劣化の問題が低減される。幾つかの薬剤では、1つの薬物が処理の過程で可塑剤として働くことができ、その例として、イブプロフェン及びイトラコナゾールが挙げられる。処理条件を高めることに加えて、可塑剤は薬物の放出速度を変えることができるので、押出を容易化するのに十分な可塑剤が存在する一方で所望の薬物放出特性が保たれるように、バランスをとらなければならない。
【0121】
又、可塑剤は、種々の薬物構造を安定化させるために作用し得るものであり、該薬物構造として、非結晶構造又は結晶構造が挙げられる。
【0122】
これ迄、HME装置は、最終的に最適な投薬形態(dosage form)を生じさせるように、改良(修正、変更)されてきた。幾つかの設計上の改良は、スクリューの形状(輪郭、外径)、押出機の型(シングル・スクリュー対ツイン・スクリュー)、押出機の温度ゾーン設定値、押出機のホッパーに剤料を充填する方法(スターブ対フラッド供給)、及び押出速度を含む。
【0123】
装置の選択、製剤、及び処理条件を別にすれば、ポリマーの選択は、HME製剤が成功する上で重要な役割を果たす。他のものの中で、HMEにおいて広く用いられる3種類のポリマーとして、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、及びヒプロメロースが挙げられ、該ヒプロメロースとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HM又はHMPC)が挙げられる。速やかな放出の後に続く持続的放出が、迅速な開始の後に続く持続的な活性が望まれるところにおける同一の活性医薬成分に対して所望されるか、若しくは、連続的な吸収が望まれるところにおける異なった活性医薬成分に対して所望されるところにおいて、解放プロフィールは、同心的な球形の複数の層にある、又は並行なシート状形態(フォーム)にある、異なった溶融押出ポリマーの使用を通して調整されることができる。例として、各々が幾つかの等級の異なる粘性のある、メチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとからなるシンエツ(Shin-Etsu)のメトロース類が挙げられる。メトロースSRは、もっぱら厳しい特性を持つ親水性マトリックス剤向けに設計(構成)されたものであり、これは、特に、このマトリックス系(システム)に適したものである。親水性のマトリックス系は、本質的に、薬物(薬剤)と水溶性の高粘性ポリマーとからなる経口用投薬形態(フォーム)のための最も単純な持続的放出技術である。組成を変えることで、単一の活性医薬成分又は複数の活性医薬成分の即時放出及び持続的放出の両方が可能になる。
【0124】
ポリ(エチレン)酸化物(PEO)は、自由流動性の白色の親水性粉末である。それは、100,000乃至7,000,000Da分子量で入手可能な高結晶性ポリマーである。現在のところ、それは、徐放(controlled-release)、固体投与量マトリックス系、経皮薬剤送達系(システム)、及び粘膜生体接着剤等の適用において、医薬産業で用いられている。PEOは、処理ウィンドウが広いことから、HMEの理想的な候補である。PEOの結晶化融点は、分子量に依存して、〜70℃である。可塑剤なしで、PEOをその融点より適度に高い処理温度で押出することができ、装置の限界に制約される。押出時、PEOの潜在的な劣化は、ビタミンE琥珀酸塩(succinate)、ビタミンE、或いはビタミンE・TPGSの添加によって減少した。これらは、PEOの分子量損失を制限すえる(ケー・コッペン氏等の「サーマル・アンド・レオロジカル・イバリュエーション・オブ・ファーマシューティカル・エクシピエンツ・フォー・ホット・メルト・エクストルージョン」(“Thermal and Rheological Evaluation of Pharmaceutical Excipients for Hot Melt Extrusion”)、バルチモア、エム・ディー、エー・エー・ピー・エス、アニュアル・ミーティング・アンド・エクスポジションにて2004年に呈された文書)。
【0125】
レプカ氏(Repka)等(「プロダクション・アンド・キャラクタライゼーション・オブ・ホットメルト・エクストルーディッド・フィルムス・コンテイニング・クロトリマゾール」(“Production and Characterization of Hot-Melt Extruded Films Containing Clotrimazole,”)ドラッグ・ディー・イー・ビー、アイ・エヌ・ディー、ファーム、29 (7), 757-765 (2003))(Drug Dev. lnd. Pharm. 29 (7), 757-765 (2003)))は、HME製造投薬形態(フォーム)が患者のコンプライアンスを改善し得ることを示唆した。彼らは、高効率の投薬形態を製造するのにHMEを用いることができ、これによって、投与頻度(21)が減少することを論じた。この研究は、分子量(MW)100,000のPEOをHPC及び活性成分ポリカルボフィル(Noveon AA-I)と組み合わせることで、厚さが0.34〜0.36mmのフィルムを生産することに関係するものであった。フィルム用ダイを備えた単一スクリュー押出機(Killion、KLB-100)が用いられた。PEG3350が、酸化防止剤としてブチル化水酸化トルエン及び没食子酸プロピル、並びに抗真菌剤としてクロトリマゾール(10% w/w)と共に、可塑剤として製剤に添加された。フィルムの正確な組成は開示されなかった。これらのフィルムは、優れた含量均一性を持つことが報告された。広角X線回折による研究によって、クロトリマゾールがHMEフィルム内に分子状に分散することが示された。クロトリマゾールは、6時間にわたるゼロ次放出(zero-order release)を示すと共に、10時間にわたる持続的放出(prolonged release)を示した。
【0126】
シャハター氏(スコットランド、グラスゴーの第30回アニュアル・ミーティング・オブ・ザ・コントロールド・リリース・ソサイアティにて、2003年7月に呈された「ソリッド・ソリューション・オブ・ア・プアリー・ソリュブル・モデル・ドラッグ・イン・ア・フェイズ・セパレーティッド・ポリマー・マトリクス:メルト・プリペアード・ディスパージョンズ・ベーズド・オン・ポリオックス・ダブリュ・エス・アール(POLYOX WSR)」(“Solid Solution of a Poorly Soluble Model Drug in a Phase-Separated Polymer Matrix: Melt-Prepared Dispersions based on POLYOX WSR”))は、ケトプロフェンで固体溶融分散を準備するために、分子量(MW)100,000のPEOを検討した。ニート・ケトプロフェンには、強い溶融遷移がある。混合された剤料に対する示差走査熱量測定(DSC)及びX線回折(XRD)分析によれば、ケトプロフェンがPEOの非晶相に溶けることが示唆された。促進条件(40℃及び75%RH)で1ヶ月間にわたり保存された試料についてのXRD分析に示されるように、分散体は安定していた。この著者は、他の薬物構造を有する固体分散体を形成するPEOの能力を試験した。DSCの結果は、イブプロフェン、トルブタミド、スルファチアゾール、及びヒドロフルメタジドがPEO内に固体分散体を潜在的に形成することができることを示した。固体状態の核磁気共鳴(SSNMR)の結果は、何れかの成分の融点よりも温度が低い場合であっても、ケトプロフェンの結晶格子を分裂させるのに十分なほどPEOケトプロフェン相互作用が強いことを示した。この著者は、整然とした結晶構造に対して、混合物中のケトプロフェンの移動度が増加することを報告した。これらの結果は、ケトプロフェンを含む固体分散体を低温で形成するPEOの能力を裏付けるものであった。
【0127】
エチルセルロース(EC)は、セルロースの疎水性エチルエーテルである。ECは、活性成分のマイクロカプセル化、徐放性マトリックス系(システム)、味覚マスキング、溶媒(溶剤)及び押出物粒状化、錠剤結合に関する医薬用途、並びに錠剤及びビーズ用の徐放被膜(controlled-release coating)としての医薬用途に、現在用いられている。ECは、種々の分子量で入手することが可能であり、Tg値が129〜133℃であり、又結晶融点が〜180℃である。ECは、押出には良好な候補である。なぜなら、それは、ガラス転移温度よりも高く、かつ劣化を示す温度(−250℃)よりも低い温度で、熱可塑性の挙動を示すからである(ケー・コッペン氏等の「サーマル・アンド・レオロジカル・イバリュエーション・オブ・ファーマシューティカル・エクシピエンツ・フォー・ホット・メルト・エクストルージョン」(“Thermal and Rheological Evaluation of Pharmaceutical Excipients for Hot Melt Extrusion”)、バルチモア、エム・ディー、エー・エー・ピー・エス、アニュアル・ミーティング・アンド・エクスポジションにて2004年に呈された文書)。
【0128】
デブラバンダ氏(DeBrabander)等は、親水性賦形剤(HM)の添加によって、ECからのイブプロフェンの放出速度を改良(変更、修正)する研究を行った(「ディベロップメント・アンド・エバリュエーション・オブ・サステインド・リリース・ミニマトリシズ・プリペアド・ビア・ホット・メルト・エクストルージョン」(“Development and Evaluation of Sustained Release Mini- Matrices Prepared via Hot Melt Extrusion”)、ジェイ・コントロールド・リリース、89 (2), 235-247 (2003)(J. Controlled Release 89 (2), 235-247 (2003))。彼らは、ミニ・マトリックスを生産するために、3mm金型を有する共回転2軸スクリュー押出機を用いた。手作業によって押出物を全長2mmの投薬形態に切断した。製剤においてHMをECの比率に変えることで、薬物放出速度が変化し、HMの比率が増加するにともなって放出速度が増加した。著者は、又、ポリマーをもって押出された後のイブプロフェンの熱の安定性について研究した。著者は、高パーフォーマンス液体クロマトグラフィーによる測定で、押出後に、イブプロフェン量の98.9%が残留していることを見出した。
【0129】
ヒプロメロース(HM)、親水性のセルロースエーテルは、粘性及び置換のあるレンジで利用可能である。それは、徐放性マトリックス、錠剤被膜、及び粒状化結合剤等の医薬用途で用いられる。HMは、Tgが160乃至210℃であり、置換に応じて、250℃を上回る温度で有意な劣化を示す。HMに狭い処理ウィンドウ(narrow processing window)を与える、その高いTg及び低い劣化温度のために、押出がチャレンジであることが証明された。処理ウィンドウを広げる1つの方法は、オルダーマン氏(Alderman)及びウルフォード氏(Wolford)によって記述されているように、製剤に多量の可塑剤を取り込ませることである(「サステインド・リリース・ドーシッジ・フォーム・ベイズド・オン・ハイリー・プラスティサイズド・セルロール・エーテル・ゲルズ」(“Sustained Release Dosage Form based on Highly Plasticised Cellulose Ether Gels”)米国特許第4,678,516号明細書(1987年7月7日))。著者は、押出されたマトリックス製剤に、少なくとも30重量%の可塑剤を用いることを示唆した。
【0130】
ベレック氏(Verreck)、シックス氏(Six)、及び同僚は、イトラコナゾール(クラスII薬剤)及びHMの固体分散体を研究した(「キャラクタライゼーション・オブ・ソリッド・ディスパージョン・オブ・イトラコナゾール・アンド・ハイドロクシプロピルメチルセルロース・プリペアド・バイ・メルト・エクストルージョン・パート・ワン」(“Characterization of Solid Dispersions of Itraconazole and Hydroxypropylmethylcellulose Prepared by Melt Extrusion-Part I”)インターナショナル・ジェイ・ファーム 251 (1-2) 165-174 (2003)(Int. J. Pharm. 251 (1-2) 165-174 (2003))。
【0131】
最初の結果は、HM中に、イトラコナゾールの非晶質固体分散体が形成されることを示した。40%のイトラコナゾールと、60%のHMとの混合物の研究に、HMEが用いられた。共回転2軸スクリュー押出機を用いて形成された試料(サンプル)は、ミルにかけられることで、120分で90%のイトラコナゾールを放出した。薬剤とポリマーとの物理的混合で作られた試料は、同じ時間で、わずか2%のイトラコナゾールを放出した。イトラコナゾールの溶解速度を改善する研究では、押出物をミルにかけ、25%のイトラコナゾール、75%のHM、80%の薬物を含む製剤が、30分以内に溶解せしめられた。これらの結果は、各々、30分後に0%及び5%の薬剤放出を有するところの、結晶状及びガラス状のイトラコナゾールの溶解とは対照的である。
【0132】
ランバリ氏(Rambali)等は、イントラコナゾール、HM、及びヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP−β−CD)を含むHME製剤を最適化した(「イントラコナゾール・フォーミュレーション・スタディーズ・オブ・ザ・メルト・エクストルージョン・プロセス・ウィズ・ミクスチャ・デザイン」("Itraconazole Formulation Studies of the Melt-Extrusion Process with Mixture Design")、ドラッグ・ディビジョン・アイ・エヌ・ディ・ファーム 29 (6), 641-652 (2003)(Drug Dev. Ind. Pharm. 29 (6), 641-652 (2003))。この著者は、高薬物充填を有する製剤がより低いトルクを有することから、イトラコナゾールが溶解のための可塑剤として作用することを報告した。例えば、60%のHM、20%(HP−β−CD)、及び20%のイトラコナゾールを有する製剤は、45%のトルクを有していた。イトラコナゾールの割合が、37%のHM及び20%(HP−β−CD)をもって、43%に増加した時、トルクは34%に減少した。3.0mmの棒状金型を有する共回転2軸スクリュー押出機が、これらの観測結果を得るのに使用された。
【0133】
ECとHMとは、活性医薬を送達するべく、独特の投薬形態に組み合わされることができる。これらの投薬形態の1つは、EC外側パイプと、別個に調製(準備)されたHM芯部とを使用した(「ホット・メルト・エクストルーディッド・エチルセルロース・シリンダーズ・コンテイニング・ア・エイッチ・ピー・エム・シー・ゲルシア・コア・フォー・サステインド・ドラッグ・デリバリ」(“Hot-Melt Extruded Ethylcellulose CylindersContaining a HPMC-Gelucire Core for Sustained Drug Delivery”)、ジェイ・コントロールド・リリース 94 (2-3), 273280 (2004)(J. Controlled Release 94 (2-3), 273280 (2004))。ECパイプが、金属インサートを備えた環状金型を有する実験室規模の共回転2軸スクリュー押出機により、HMEを用いて製造された。芯部は、手作業により、成分が溶けるまで加熱し、その後に均質化することによって、調製(準備)された。芯部の剤料は、手作業によってパイプ内に充填された。著者は、全プロセスが全面的なHME生産作業で自動化され得ることを提案する。この研究の目的は、HMマトリックス錠剤にしばしば見られる破裂効果(バースト効果)を減少させることであった。テオフィリン・モノハイドレート(可溶の媒体及び水溶解度8.33g/l)、プロプラノロールHCl(制限されることなく水溶性、水溶解度50g/l)、又はヒドロクロロチアジド(難溶性、0.1N HCl溶解度0.25g/l)の5%薬剤充填をもって、薬剤溶解度は、放出速度に影響しなかったことが報告された。これに代わり、溶解特性(プロフィール)は、3種類の薬剤全てについて、耐食制御されたゼロ次薬物放出(zero-order drug releaseを示した。筆者は、又、内側の芯部で使用されたHMの粘性等級及び置換タイプを調べた。
【0134】
著者は、同一のHM粘性に関して、放出速度には何ら差異がなかったことを見出した。にもかかわらず、HMをメチルセルロース(MC)に置き換えることで、放出速度がより速くなった。
【0135】
メハイズ氏(Mehuys)等による別の研究は、芯部が単独で用いられる代わりに、HM−ゲルシア芯部を有するECパイプを用いた場合に、プロプラノロールHClの生物学的利用能が増加することを報告した(「イン・ヴィトロ・アンド・イン・ヴィヴォ・イバリュエーション・オブ・ア・マトリクス・イン・シリンダ・システム・フォー・サステインド・ドラッグ・ディリバリー」("In Vitro and in Vivo Evaluation of a Matrix-in-Cylinder System for Sustained Drug Delivery")、ジェイ・コントロールド・リリース 96 (2), 261-271 (2004))(J. Controlled Release 96 (2), 261-271 (2004))。金属インサートを備えた環状金型を有する実験室規模の共回転2軸スクリュー押出機によって、ECパイプが製造された。このパイプは、内径が5mm、肉厚が1mmであり、このパイプは、12mmの長さに切断された。芯部剤料は、溶けるまで加熱された後、均質化させた。このパイプの芯部は、別体で調製(準備)されたHMゲルシア芯部剤料で、手作業により充填された。著者は、流体力学、機械的ストレス、及び溶解媒体が、薬物放出速度に殆ど影響しないことを報告した。結果は、インデラル(Inderal)(ワイエス(Wyeth))の持続的放出性の製剤と比較して、円筒状のプロプラノロールHCl中のHME生成マトリックスが犬で良好な生物学的利用能を有することを示した。著者は、円筒系(システム)のマトリックスの相対生物学的利用能が、AUC0−24という手段を用いて測定したところ、インデラルよりも〜400%良好であることを報告した。
【0136】
米国特許第6,391,338号明細書(バイオバイル社(Biovail Inc.))は、熱溶融製剤を開示している。この熱溶融製剤は、医薬活性成分であるイブプロフェン又はニフェジピンのいずれかを、主としてユードラギット(Eudragit)(登録商標)E100から構成される持続的放出芯部内に含む。これらの組成物は、胃環境から大腸に至る経口投与に続く持続的放出に利用可能である、一定量のイブプロフェン又はニフェジピンを有する。
【0137】
徐放性ポリマー−膜制御投薬形態(投薬フォーム)
本発明の改良(修正、変更)された放出製剤は、膜制御製剤としても提供されることができる。本開示の膜制御製剤は、迅速放出芯部を調製することによって作ることができる。この芯部は、ゼラチン殻部によって封入された液体、半固体又は固体であることができ、該殻部を機能被膜によって被覆する。膜制御被膜の存在下又は非存在下で、芯部自体がミニカプセルからの医薬用化合物の放出速度を制御するように、芯部は、液体、半固体、又は固体であろうとも、製剤化(調剤化、formulated)されることができる。膜制御投薬形態の詳細を以下に示す。本発明の或る実施形態では、医薬用化合物は、複数のミニカプセル膜制御製剤に与えられる。活性医薬成分は、液体、半固体、又は固体の物質として製剤化することができ、これにより、溶解性、浸透性、又は溶解速度が高められ、又、この活性医薬成分は、2層又は3層のミニカプセルの芯部として利用される。このミニカプセルは、混和性の芯部の成分と殻部の成分とを分離するために、付加的な緩衝層の有無にかかわらず、付加的に殻部を備える。このミニカプセルの直径は、0.5mmから約5.0mmまでの範囲であってよい。同一の活性(成分)又は1以上の他の活性成分の付加的な医薬用化合物は、流動床コーター又はパン・コーティング・システムを用いて、溶液又は懸濁液から噴霧することができる。
【0138】
ミニカプセルからの製剤放出の位置を制御するために、種々の遅延放出及び/又は延長放出ポリマー剤料(extended-release polymeric materials)が、膜被膜としてミニカプセルに塗布される。そのポリマー剤料は、水溶性ポリマー及び不水溶性ポリマーのいずれをも含む。可能な水溶性ポリマーは、これに限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリエチレングリコール、及び/又はこれらの混合物を含む。
【0139】
可能な不水溶性のポリマーは、これに限定されるものではないが、エチルセルロース、セルロースアセテート、プロピオン酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸酪酸セルロース(セルロースアセテートブチレート)、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、及びポリ(ヘキシルメタクリレート)、(ポリ(イソデシルメタクリレート))、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(イソプロピルアクリル酸塩)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(オクタデシル・アクリル酸塩)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレン)低密度、ポリ(エチレン)高密度、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、又はポリウレタン、及び/又はそれらの混合物を含む。
【0140】
ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)ポリマー(エボニク(Evonik)から入手可能)は、アクリル酸塩及び/又はメタクリレート(メタクリル樹脂)をベースとした重合性ラッカー物質である。活性成分と水とに対して制限されることなく浸透性を有する適切なポリマーは、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RLである。活性成分と水とに対してわずかに浸透性を有する適切なポリマーは、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RSである。活性成分と水とに対してわずかに浸透性があり、かつpH依存的な浸透性を有する他の適切なポリマーは、これに限定されるものではないが、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S、及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Eを含む。
【0141】
ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRSは、第四アンモニウム基の含有量が小さいアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体から構成されるアクリル樹脂である。そのアンモニウム基は、塩として存在し、ラッカー膜の浸透性を高める。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRSは、pHとは無関係に、それぞれが制限されることのない浸透性(RL)及びわずかな浸透性(RS)を有する。ポリマーは、pHとは無関係に、水及び消化液中で膨潤する。該膨潤状態において、それらは、水及び溶かされた活性化合物に対して、浸透性を有する。
【0142】
ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Lは、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルエステルから合成された陰イオンポリマーである。それは、酸及び純水において不溶性である。それは、中性条件乃至弱アルカリ性条件で可溶性となる。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Lの浸透性は、pHに依存する。pH5.0を超えると、ポリマーの浸透性は増加する。
【0143】
膜制御投薬形態を含む様々の実施形態では、ポリマー剤料は、メタクリル酸共重合体、アンモニオメタクリレート共重合体、或いはそれらの混合物を含む。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L(エボニク(Evonik))等のメタクリル酸共重合体は、本発明の徐放製剤での使用にふさわしい。これらのポリマーは、胃液耐性及び腸内可溶性のポリマーである。これらのポリマー膜は、純水及び希釈された酸において、不溶性である。それらは、カルボン酸の含有量に依存して、より高いpHで溶ける。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Lは、ポリマー被膜中の単一成分として、又は任意の比率での組み合わせにおいて、用いることができる。複数のポリマーを組み合わせて使用することによって、ポリマー剤料は、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Sが独立して溶ける上記pHの範囲内にあるpHで、可溶性を示し得る。
【0144】
膜被覆は、少なくとも1つの医薬的に許容し得る水溶性ポリマーを主たる割合(すなわち、全ポリマー含有量の50%以上)で含むポリマー剤料であって、随意的に少なくとも1つの医薬的に許容し得る水不溶性のポリマーを少ない割合(すなわち、全ポリマー含有量の50%未満)で含むポリマー剤料を、含むことができる。或いは、薄膜被膜は、少なくとも1つの医薬的に許容し得る水不溶性ポリマーを主たる割合(すなわち、全ポリマー含有量の50%以上)で含むポリマー剤料であって、随意的に少なくとも1つの医薬的に許容し得る水溶性のポリマーを少ない割合(すなわち、全ポリマー含有量の50%未満)で含むポリマー剤料を、含むことができる。
【0145】
アミノメタクリレート共重合体は、あらゆる所望の比率で組み合わせることができる。又、この比率を変えることで、薬物放出の速度が変わる。例えば、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS:ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RLの比率を90:10として用いることができる。或いは、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS:ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RLの比率を約100:0、乃至約80:20、或いは、約100:0乃至約90:10、或いは、その中間の任意の比率とすることができる。そのような製剤では、浸透性が低いポリマー・ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RSは、一般に、より可溶性があるRLを含む大多数のポリマー剤料からなり、それが溶解した時、制御された方法で、溶質が芯部に入り、かつ溶けた医薬活性成分が逃げる隙間(ギャップ)の形成が許容される。
【0146】
薬物の放出において、所望の遅延を達成するために、アミノメタクリレート共重合体は、ポリマー剤料内で、メタクリル酸共重合体と結合(化合)せしめられることができる。アンモニオメタクリレート共重合体(例えば、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS)とメタクリル酸共重合体との比率は、約99:1乃至約20:80の範囲内で、用いることができる。2つのタイプのポリマーは、組み合わされて、同一のポリマー剤料にすることができ、或いは、芯部に塗布される別々の被膜として提供されることもできる。
【0147】
上で議論されたユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)ポリマーに加えて、他の腸溶性、又はpH依存性、のポリマーを用いることができる。そのようなポリマーは、フタル酸エステル(塩)、酪酸塩(ブチラート)、琥珀酸エステル(塩)及び(又は)メリタート基を含むことができる。そのようなポリマーは、これに限定されるものではないが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース琥珀酸塩、セルロース水素フタル酸塩、酢酸セルローストリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート琥珀酸塩、酢酸でんぷんフタル酸塩、アミロースアセテートフタル酸塩、ポリ酢酸ビニルフタル酸塩、及びポリビニルブチレートフタル酸塩を含むことができる。
【0148】
シュアリース(Surelease)(登録商標)は、カラーコン(Colorcon)によって開発された水性性のエチルセルロース分散であり、膜形成ポリマー、可塑剤、及び安定化剤の独特の組み合わせ(化合物、combination)である。持続的放出及び味覚マスキングでの適用を目的として設計されたシュアリース(Surelease)(登録商標)は、放出速度制御ポリマーとして、エチルセルロースを用いる、使い易く、全体的に水性の被膜系(被膜システム)である。その分散は、pHに対して比較的非感受性である再現可能な特性(プロフィール)によって、薬物放出速度を調節するための順応性(融通性)を提供する。
【0149】
薬物放出の主たる手段は、シュアリース(Surelease)(登録商標)分散膜を介した拡散によるものであり、これは、膜厚によって、直接、制御される。適用されるシュアリース(Surelease)(登録商標)の量を増減させることで、放出速度は、容易に、変えることができる。
【0150】
シュアリース(Surelease)(登録商標)の分散をもって、再現可能な薬剤放出特性は、開発プロセスから、スケールアップ及び生産プロセスに至るまで、一貫して正確(適切、right)である。より多くの情報は、カラーコン(Colorcon)社のウェブサイト(www.Colorcon.com)で見つけることができる。
【0151】
制御された放出被膜を可能にするために、所定の範囲(range)の付加的剤料を用いることが可能である。更に、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)、シュアリース(Surelease)(登録商標)、或いは他のポリマー若しくは剤料は、任意の組み合わせで用いられることができる。
【0152】
被膜は、ポリマー剤料の浸透性を増加させるために、更に、少なくとも1つの可溶性の賦形剤を含むことができる。適切には、少なくとも1つの可溶性の賦形剤が、可溶性ポリマー、界面活性剤、アルカリ金属塩、有機酸、糖、及び糖アルコールの中から選択される。そのような可溶性の賦形剤は、これに限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート)、有機酸(例えば、酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸)、糖(例えば、デキストロース、果糖、グルコース、ラクトース、及び蔗糖)、糖アルコール(例えば、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、及びキシリトール)、キサンタンガム、デキストリン、及びマルトデキストリンを含む。幾つかの実施形態では、ポリビニルピロリドン、マンニトール及び/又はポリエチレングリコールが、可溶性の賦形剤として用いられ得る。少なくとも1つの可溶性の賦形剤が、ポリマーの乾燥重量の合計に基づいて、約1%乃至約10重量%の範囲で用いられ得る。あらゆる適切な手段、例えば、GLATT、ACCELACOTA、及び/又はHICOATERプロセス装置等の有孔(孔空け、perforated)パン・システムを用いることによって、被覆プロセスが実行され得る。
【0153】
放出時の遅延又は延長をなすような、放出速度の改良(修正、変更)は、数多くのやり方で達成され得る。機構は、腸内の局所pHに対して依存又は独立することができ、又、所望の効果を達成するために、局所的に酵素の活動にも依存することができる。例えば、改良(修正、変更)された放出製剤の例が、当該技術分野で知られており、当該例は、例えば、米国特許第3,845,770号明細書、第3,916,899号明細書、第3,536,809号明細書、第3,598,123号明細書、第4,008,719号明細書、第5,674,533号明細書、第5,059,595号明細書、第5,591,767号明細書、第5,120,548号明細書、第5,073,543号明細書、第5,639,476号明細書、第5,354,556号明細書、及び第5,733,566号明細書に開示されている。
【0154】
改良(修正、変更)された延長放出(解放)膜投薬形態をもって、半透膜は、興味のある活性物質を含む製剤を囲むことができる。半透膜は、水及び溶質の両方に対して、多かれ少なかれ浸透性を有するものを含む。この膜は、不水溶性及び/又は水溶性ポリマーを含み得るものであり、この膜は、pH依存性及び/又はpH非依存性の溶解特性を示すことができる。これらのタイプのポリマーは、以下に詳しく説明する。一般に、例えば、膜の組成によって決定され得る、ポリマー膜の特性は、投薬形態からの放出の性質を決定するであろう。
【0155】
使用に適した幾つかの改良(修正、変更)された投薬形態(投薬フォーム)を以下に説明する。そのような形態についてのより詳しい議論は、又、例えば、「ザ・ハンドブック・オブ・ファーマシューティカル・コントロールド・リリース・テクノロジー、ディー・エル・ワイズ(ド)、マーセル・デッカー・インコーポレイテッド、ニューヨーク(2000)」(The Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology. D. L. Wise (ed.), Marcel Decker, Inc., New York (2000))や、「トリーティズ・オン・コントロールド・ドラッグ・ディリバリー、ファンダメンタルズ、オプチマイゼーション・アンド・アプリケーションズ、エー・キュドニウス(ド)、マーセル・デッカー・インコーポレイテッド、ニューヨーク(1992)」(Treatise on Controlled Drug Delivery: Fundamentals, Optimization, and Applications, A. Kydonieus (ed.), Marcel Decker, Inc., New York, (1992))に見い出されることができ、これらに関連する各内容は、この目的のために、本明細書中に援用される。改良(修正、変更)された放出製剤(解放製剤)の例は、これに限定されるものではないが、改良(修正、変更)された飾、マトリックス、浸透性システム、及びイオンシステムが挙げられる。上に示唆されるように、これらの全ては、単一ユニット、若しくは複数ユニット、の投薬形態の形態をなしている。
【0156】
結腸送達被覆及び製剤(formulations)
結腸への薬剤の経口送達は、結腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、癌、及び感染)の治療において価値がある。これによって、高い局所濃度(濃縮)が達成できる一方で、上部GITでの薬物の放出のために、或いは不要な組織吸収のために、生ずる副作用を最小限にすることができる。結腸はリンパ系組織に富んでおり、結腸粘膜のマスト細胞に抗原が取り込まれることで、抗体の迅速な局所産出(local production)が生じ、これは、効率的なワクチン送達を援助する(サラシジャ、エス・アンド・ホタ・エー、コロン・スペシフィック・ドラッグ・ディリバリ・システムズ、アイエヌディ・ジェイ・ファーム・エスシーアイ、62: 1-8, 2000(Sarasija, S. and Hota, A.. Colon-specific drug delivery systems. Ind J Pharm Sci, 62: 1-8, 2000))。結腸は、吸収されにくい薬物分子が、改善された生物学的利用能を持つと考えられる部位として、注目されている。結腸のこの部位は、胃及び小腸と比べて、多様性及び活動の強度が小さく、やや厳しくない環境を有するものとして認識されている。更に、結腸は、より長い保持時間(retention time)を持っており、吸収されにくい薬物の吸収を増強する薬剤に対して、高い反応性を示す。投薬形態を遅延又は標的化することとは別に、信頼できる結腸薬物送達は、又、経口的に投与され、消化されず、変化せず、そして十分に活性のあるペプチド薬物の結腸での吸収にとって、重要なスターティング・ポジションであり得る。大腸は、相対的に、ペプチダーゼがないことから、そのような特別の送達系(送達システム)は、経口投与後に十分に吸収された薬物を得るためのまずまずの機会(fair chance)を得る。結腸に対する薬剤の標的化のための最も単純な方法は、層が厚い従来の腸溶性被膜(enteric coatings)を適用することで、或いは非常にゆっくりと放出するマトリックスを適用することで、より穏やかな放出速度、或いはより長時間にわたる放出を得ることである。
【0157】
経口投与された薬物を結腸に対して標的化させるための種々の戦略は、担体に対する薬物の共有結合、pH感受性ポリマーによる被覆、時限放出系(システム)の製剤化、結腸の細菌によって特異的に分解(degraded)される担体の利用、生体接着系(システム)及び浸透性の制御薬物送達系(システム)を含む。炎症性腸疾患(IBD)の局所化学療法のために5−アミノサリチル酸(5−ASA)を送達することを目的として、様々なプロドラッグ(スルファサラジン、イプサラジン、バルサラジン、及びオルサラジン)が開発されている。結腸に対する薬物の標的化で使用するために、微生物によって分解可能なポリマー(特に、アゾ架橋ポリマー)が研究されている。或る種の植物多糖類、例えばアミロース、イヌリン、ペクチン、及びグアーガムは、胃腸酵素の存在下で、影響されない状態を保つことから、結腸を標的とする薬物送達系の製剤化への道を開く。結腸内で薬物を放出するためのトリガーとしてpHを用いるという考え方は、胃腸管を下って連続的に変化するpHの状態に基づくものである。胃を離れてから3乃至4時間まで薬物の放出を防ぐという原則に基づいて、時間依存型の薬物送達系が開発されている。レドックス感受性ポリマー及び生体接着系(システム)も、又、結腸内への薬剤送達のために開発されている。
【0158】
pH依存性の系(システム)は、ヒトGITのpHが胃(消化の際に4まで増加するpH1乃至2)から、消化の部位にある小腸(pH6乃至7)へ徐々に高くなり、そして、遠位の回腸では7乃至8にまで増加する、という、一般に受け入れられている考えを生かすものである。錠剤、カプセル、又はペレットに対してpH感受性のポリマーを被覆することで、遅延放出が得られ、胃液から活性薬物が保護される。しかし、結腸標的化に用いられたポリマーは、胃、及び小腸の近位部の低いpH値に耐えられる必要があり、又、回腸終端部及び好ましくは回盲部のわずかにアルカリ性に傾いた中性pHで分解できることも必要である。
【0159】
投薬形態のGI残留時間は、多くの生理学的因子及び他の因子によって影響を受けるpH依存性結腸標的化送達系にとって、もう1つの重要なパラメータである。にもかかわらず、GITの種々の部位に関して、一般的に受け入れられている幾つかのGI残留値が存在する。最も一般的に用いられているpH依存型被膜ポリマーは、メタクリル酸共重合体であり、これは、一般的に、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S(エボニク(Evonik)AG、ダルムシュタット、ドイツの登録商標)、より具体的にはユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S、として知られているものである。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L100及びS100は、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体である。カルボキシル基とエステル基との比率は、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L100では、約1:1及びよびユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S100では、約1:2である。該ポリマーは、塩を形成し、pH5.5以上で溶解し、水に分散してラテックスを形成することから、被覆プロセスでの有機溶媒の使用が避けられる。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L30D−55は、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L100−55の水分散液を使用できる状態にある。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Sの水溶解性は、遊離カルボキシル基とエステル化基との比率に依存する。これらのポリマーの能力(性能)に影響を及ぼす重要な要因は、溶解が生じるpH値である。イオン化可能なフタル酸基を有するポリマーは、アクリル酸基又はメタクリル酸基を有するものと比較して、より速く、かつより低いpHで溶解する。溶解媒体中の可塑剤(81)の存在及び塩(82、83)の性質も、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶解速度に影響を及ぼす。更に、形成された膜の浸透性は、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)を溶解するのに用いられる溶媒の種類に依存し得る(ドレスマン、ジェイ・ビー、アミドン、シー、レパス、シー、アンド・サー、ヴイ・ピー、ディソリューション・テスティング・アズ・ア・プログノスティック・ツール・フォー・オーラル・ドラッグ・アブソープション、イミーディエット・リリース・ドーシッジ・フォームズ、ファーム・アール・イーエス、15: 1 1-22, 1998(Dressman, J. B., Amidon, C, Reppas, C. and Shah, V. P., Dissolution testing as a prognostic tool for oral drug absorption: Immediate release dosage forms, Pharm Res, 15: 1 1-22, 1998)。
【0160】
多糖類(単糖類のポリマー)は、胃腸酵素の消化作用に対して耐性を示すことから、該多糖類の完全性を保持する。多糖類のマトリックスは、胃及び小腸の生理学的環境内で完全なままであると考えられるが、ひとたび結腸に達すると、細菌ポリサッカライダーゼによる作用を受けて、マトリクスの劣化が生ずる。この天然ポリマーのファミリーは、薬物送達の領域に受け入れられる。なぜなら、該ファミリーは、数多くの誘導体化可能な基、広範囲の分子量、可変の化学組成物、及び大部分は低毒性であること、並びに生物分解性を有するにもかかわらず、高安定性を有するとのころの、複数のポリマーから構成されているからである。これらの剤料の最も好ましい特性は、それらが、医薬賦形剤として、既に、承認されていることである。多くの多糖類、例えば、アミロース、グアーガム、ペクチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、コンドロイチン硫酸塩、デキストラン、及びローカストビーンガム、が、結腸標的化薬物送達系でのそれらの使用について、研究されている。結腸標的化薬物送達系に用いられる多糖誘導体の開発における最も重要な事実は、適切な生物分解性の多糖類の選択である。これらの多糖類は、通常、水溶性であることから、架橋又は疎水性誘導体化によって、これらを水不溶性にしなければならない。
【0161】
グアーガムは、本来、親水性であり、冷水の中で膨潤し、粘着性のコロイド分散或いはゾルを形成する。このゲル化特性は、投薬形態からの薬物の放出を遅らせると共に、結腸の環境下での劣化の影響を受けやすい。ヒト由来の均質化され希釈された糞便が、グアーガムと共にインキュベートされ、腸内マイクロフローラによる多糖類の劣化が調べられた。それは、急激な粘性の減少及びpHの低下を生ずる一方で、オートクレーブ滅菌された糞のホモジェネートとインキュベートされた場合には、そのような結果は観察されなかった。経口送達製剤におけるビヒクル(vehicle)として使用するための膨潤特性を減少させるために、グアーガムが、増加量のトリメタホスフェート・3ナトリウムで架橋せしめられた。架橋形成処理の結果、グアーガムは、その非イオンの性質を失って、負に帯電するようになった。これは、ヒトロゲル網が崩壊する増加濃度で、塩化ナトリウム溶液中でのメチレンブルー吸着及び膨潤の研究によって明かにされた(グリコ・カビル、アイ、ヤゲン、ビー、ペンハシ、エー、アンド・ルビンシュタイン、エー、フォスフェイティッド・クロスリンクド・グアール・フォー・コロン・スペシフィック・ドラッグ・デリバリ、アイ、プレパレーション・アンド・フィジコケミカル・キャラクタライゼーション、ジェイ・コントロール・アール・イー・エル、63: 121-127, 2000(Gliko-Kabir, L, Yagen, B., Penhasi, A. and Rubinstein, A., Phosphated crosslinked guar for colon-specific drug delivery. I. Preparation and physicochemical characterization. J Control Rel, 63: 121-127, 2000)。架橋されたグアーガム生成物(製品、products)が分析され、結腸に特有の薬剤担体としての効能がチェックされ、0.1当量のトリメタホスフェート・3ナトリウムで架橋された生成物はPBS(pH6.4)中で少なくとも6時間にわたってヒドロコルチゾン搭載量(load)の80%の放出を防ぐことが見出された。ガラクトシダーゼ及びマンナナーゼ或いはそれらの誘導体の混合物が緩衝液に添加された時、放出の増強が観察された。ラットの盲腸での生体内(in vivo)劣化についての研究によれば、グアーガムを化学的に変更(修正)したにもかかわらず、その酵素劣化特性は架橋剤の濃度に依存したかたちで保持されたことが示された。担体としてのグアーガムを使用し、かつモデル薬剤としてのインドメタシンを使用する、経口投与用の新規な錠剤製剤が、生体外の(in vitro)方法を用いる結腸標的化薬剤送達系に関し、研究された。胃腸管の通過を刺激する条件下における薬剤の放出についての研究により、胃及び小腸の生理学的環境下で薬剤が完全に放出されることをグアーガムが保護することが示された。ラットの盲腸含有物を含むpH6.8のPBSでの研究は、結果として生ずる薬剤放出を伴う結腸の細菌酵素作用に対するグアーガムの感受性を実証した(ラマ・プラサッド、ワイ、ブイ、クリシュナイア、ワイ、エス、アール アンド・サティアナラヤナ、エス、イン・ヴィトロ・エバリュエーション・オブ・グアー・ガム・アズ・ア・キャリア・フォー・コロン・スペシフィック・ドラッグ・デリバリ、ジェイ・コントロール・アール・イー・エル、51 : 281-287, 1998(Rama Prasad, Y.V., Krishnaiah, Y.S.R. and Satyanarayana, S., In vitro evaluation of guar gum as a carrier for colon-specific drug delivery. J Control Rel, 51 : 281-287, 1998)。
【0162】
結腸特異的薬剤送達(Colon-specific drug delivery)は、医薬製剤に対する乾燥アミロース膜の適用によって可能であり得る。アミロース(澱粉の主要な部分(fractions)の1つ)は、適切な条件下で調製(準備)された時、ゲル化を通して膜を形成する能力を有する。膜の微細構造は、膵臓のα−アミラーゼの作用に対して潜在的に耐性を有するが、結腸のマイクロフローラのアミラーゼによって消化される。しかし、シミュレートされた胃腸条件下では、アミロース単独で作られた被膜は、多孔性になり、薬剤放出を許す。アミロースの膨潤を制御するために、不溶性ポリマーをアミロース膜に取り込むことで、この問題に対する解決策が与えられる。或る範囲のセルロース及びアクリル酸塩をベースとする共重合体を評価したところ、その中でも市販のエチルセルロース(エトセル(Ethocel))は、膨潤を最も効果的に制御することがわかった。シミュレートされた胃及び小腸の条件下で、市販のペプシン及びパンクレアチンを用いて、種々の被覆ペレットの生体外(in vitro)溶解が測定されたところ、12時間にわたり、そのような条件に対して、アミロース−エトセル被膜(1:4)が耐性を示すことが実証された(ミロジェビック、エス、ニュートン、ジェイ、エム、カミングス、ジェイ、エッチ、ギブソン、ジー、アール、ボサム、アール、エル、リング、エス、シー、ストックハム、エム、アンド・オールウッド、エム、シー、アミロース・アズ・ア・コーティング・フォー・ドラッグ・デリバリ・ザ・コロン、プレパレーション・アンド・イン・ヴィトロ・エバリュエーション・ユージング・5−アミノサリシリック・アシッド・ペレット、ジェイ・コントロール・アール・イ・エル 38: 75-84. 1996(Milojevic, S. , Newton, J.M , Cummings, J.H., Gibson, G.R.. Botham, R.L., Ring, S.C., Stockham, M. and Allwood, M. C, Amylose as a coating for drug delivery the colon: Preparation and in vitro evaluation using 5-aminosalicylic acid pellets. J Control Rel, 38: 75-84. 1996)。更なる研究によれば、被覆されたペレットが再現可能な薬剤放出速度を示し、該速度は上部胃腸pH及び酵素によっては影響されず、又、長期保存にも影響されないことが実証された。種々のパラメータ(例えば、アミロースと膜内のエチルセルロースとの比率や、被膜の厚さ)によって、薬剤の放出が変更(修正)された。結果として生じたデータのモデリングによれば、薬剤の放出を制御する上で、被覆に用いた溶媒にかかわりなく、被覆の厚さよりも上記比率がよりいっそう重要であることが見い出された。被覆の厚さが15%TWGであるアミロース1部及びエチルセルロース1部から構成される製剤は、上部胃腸管における5−アミノサリチル酸の放出に首尾よく抵抗したにもかかわらず、刺激された結腸状態における相対的に急激な放出を開始させた。そのような有機ベースの系(システム)によって、薬物、特に水感受性及び/又は熱不安定性の薬物、を結腸に送達するための実際的な手段が提供される(シウ氏等、エー・エー・ピー・エス・ファーム・エス・シー・アイ・ティー・イ・シー・エッチ、2000; 1 (3) アーティクル 22 (Siew et al.. AAPS Pharm Sci Tech: 2000; 1 (3) article 22)。
【0163】
キトサンは、アルカリ脱アセチル化によって、天然のキチンから得られる高分子量ポリカチオン性多糖類である。化学的には、それは、ポリ(N−グルコサミン)である。キトサンは、好適な生物学的特性、例えば、非毒性、生物学的適合性、及び生分解性、を有する。他の多糖類と同様に、それは、結腸のマイクロフローラの活動による分解が生ずることから、結腸標的化薬剤送達の候補となる。トザキ氏(Tozaki)等(トザキ、エッチ、オドリバ、ティー、オカダ、エヌ、フジタ、ティー、テラベ、エー、スズキ、ティー、オカベ、エス、ムルニシ、エス、アンド・ヤマモト、エー、キトサン・カプセル・フォー・コロン・スペシフィック・ドラッグ・デリバリー、エンハンスド・ローカリゼーション・オブ・5−アミノサリシリック・アシッド・イン・ザ・ラージ・インテスティン・アクセラレイツ・ヒーリング・オブ・ティー・エヌ・ビー・エス・インデュースド・コライティス・イン・ラッツ、ジェイ・コントロール・アール・イー・エル、82, 51-61, 2002)(Tozaki, H., Odoriba. T., Okada, N., Fujita, T., Terabe. A., Suzuki. T., Okabe, S., Murnishi, S. and Yamamoto, A., Chitosan capsules for colon-specific drug delivery: enhanced localization of 5-aminosalicylic acid in the large intestine accelerates healing of TNBS-induced colitis in rats. J Control Rel, 82, 51-61, 2002)は、キトサン・カプセルによる結腸特異的インシュリン送達を開発した。5(6)−カルボキシフルオレスセイン(CF)を含むキトサン・カプセルからの生体外(in vitro)薬剤送達実験が、わずかに変更(修正)を加えた回転バスケット法によって、実施された。インシュリンの腸吸収は、インシュリン及び添加剤を含有するキトサン・カプセルを経口投与した後に、血漿(プラズマ)インシュリン濃度及びその低血糖作用を測定することによって、評価された。カプセルからのCFの放出は、人工的な胃液(pH1)、或いは人工的な腸液(pH7)中では、殆ど観察されなかった。しかし、CFの放出は、ラットの盲腸の含有物の存在下で、著しく増加した。このグループは、更に、キトサン・カプセルを用いて、結腸に特有のインシュリン送達を評価した。これらのものは、胃及び小腸では安定していたが、結腸内に入った時、ラットの盲腸の含有物中の微生物によって分解され、ペプチド及び非ペプチド薬剤の結腸標的化薬剤送達用の担体として、それらの有用性が証明されることが、わかった。
【0164】
ロレンツォ・ラモサ氏(Lorenzo-Lamosa)等(デザイン・オブ・マイクロエンカプシュレイティッド・キトサン・マイクロスフィア・フォー・コロニック・ドラッグ・デリバリ、ジェイ・コントロール・アール・イー・エル、52: 109-118, 1998)(Design of microencapsulated chitosan microspheres for colonic drug delivery. J Control ReI, 52: 109-118, 1998)は、特異的生分解性とpH依存性の放出挙動とを組み合わせる系(システム)を調製(準備)し、該系の有効性を実証した。この系は、モデル薬剤として、ジクロフェナクナトリウムを含むアクリル系マイクロスフェア内に捕らえられらたキトサン・マイクロコアからなる。薬剤は、噴霧乾燥を用いて、キトサン・マイクロコア内に効率的にトラップされ、続いて、油中油溶媒蒸発法を用いて、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L100及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S100の中にマイクロカプセル化された。キトサン多重貯蔵系からの薬剤放出が、キトサン分子量又はキトサン塩のタイプを変えることによって、調節された。、更に、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)でキトサン・マイクロコアを被覆することにより、完全なpH依存放出特性が達成された。
【0165】
上記引用した溶融押出ポリマー及び可塑剤に加えて、本発明は、又、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン等のゲル化剤を含む。これらのものは、容易に水に溶けることができ、薬剤、溶融可能なポリマー、及び/又は可塑剤を含む他の賦形剤と、均質的に混合される。このようにして得られた均質なミニ球体は、胃、小腸、及び結腸内で、高い崩壊(分解、分散、分裂)速度、そして、おそらく、より迅速な薬剤溶解、を示すことが予想されであろう。
【0166】
振動力を作用させることで、球形、又は略球形、に形成される押出物に加えて、当該押出物は、又、これに限定されるものではないが、切断具、例えば回転ナイフ、を用いて切断することで、形成されることもできる。
【0167】
実施例
(実施例1−単層ニモジピン溶融押出シームレス球体)
有効量の製剤を提供するのに十分な量のニモジピンは、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS及びRLの混合物と混合され得る。ニモジピン:ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)ポリマーの重量比は、約5:95%wtから50:50%wtまで変化させることができる。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS:ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RLの重量比は、約0:100%wtから100:0%wtまで変化させることができる。次いで、固体混合物は、押出機ホッパー或いは他のミキサー内に配置されることが可能である。固体混合物は、RS又はRLポリマーの溶融又は軟化が生ずるように、押出加熱ゾーンの温度設定によって決定される如く約100℃から約160℃の温度範囲で、加熱押出機に通される。ノズル全体に、適切な振動数をかけてもよい。固体球状の押出物(ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)/ニモジピン)は、ノズルから出る際、空気中、又は冷却液(例えば、鉱油)中、で冷却されることができる。
【0168】
【表1】
【0169】
(実施例2−2層組み合わせ近位利尿薬(IR)及び遠位利尿薬(SR))
適切な量のヒドロクロロチアジドが、ゲルシア(gelucire)44/01及びラブラゾル(Labrasol)と混合されて、65℃に加熱された。次いで、適切な速度及び温度で、更に、混合又は押出ノズルへの押出を行うべく、結果として生ずる溶液(溶剤、solution)は、押出機に置かれてもよい。その押出物は、内側ノズルの入口に通される。外側ノズルの入口を通して、ゼラチン、アセタゾラミド、及びソルビトールの溶融(〜70℃)した混合物が導入される。ノズル全体に、適切な振動数をかけてもよい。結果として生ずる2層ミニカプセルは、硬化(set)せしめられるべく、冷却液中に放出される。一旦硬化せしめられると、このミニカプセルは、適切な力で遠心力が作用せしめられ、あらゆる冷却油の残渣(残留物)が取り除かれる。
【0170】
【表2】
【0171】
(実施例3―単層テオフィリン持続的放出溶融押出球体)
適切な量のテオフィリン、アクリ(Acry)−EZE、カルボポール974P、メトセルK4M、及びフマル酸が、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有していてもよい。次いで、固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができ、この温度範囲は、押出機加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように、決定される。その後、押出物は、振動ノズルから出る。
【0172】
【表3】
【0173】
(実施例4―単層テオフィリン持続的放出溶融押出球体)
適切な量のテオフィリン及びカラーギナンが混合されて、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、シングル・スクリュー搬送機構又はダブル・スクリュー搬送機構を有することができる。当該機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように、決定される。その後、押出物は、振動ノズルから出る。
【0174】
【表4】
【0175】
(実施例5―単層テオフィリン持続的放出溶融押出球体)
適切な量のテオフィリン、キトサン、ゼラチン、及びソルビトールが、混合されて、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、シングル・スクリュー搬送機構又はダブル・スクリュー搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、キトサン及びゼラチンの溶融が生じるように、決定される。その後、押出物は、振動ノズルから出る。
【0176】
【表5】
【0177】
(実施例6−(ムコ接着剤を有する)ゼラチン殻部における2層ヘパリン押出物(SR))
適切な量のヘパリン、ウィテップゾールH−15、ミグリオール、及びレシチンが、混合されて、〜70℃に加熱され、押出機に通して供給され、2芯ノズル(di-centric nozzle)の内側ノズルの入口を通して、出される。外側ノズルの入口を通して、ゼラチン、キトサン、及びソルビトールの溶融した(〜70℃)混合物が導入される。ノズル全体に適切な振動数をかけてもよい。結果として生ずる2層ミニカプセルは、硬化(set)せしめられるべく、冷却液中に放出される。一旦硬化せしめられると、このミニカプセルは、適切な力で遠心力が作用せしめられ、あらゆる冷却油の残渣(残留物)が取り除かれる。
【0178】
【表6】
【0179】
(実施例7−2層カルベジオール押出物(SR含有芯部)/カルベジオール押出物(SR含有殻部))
適切な量のカルベジオール、ウィテップゾールH−15、ゲルシア44/01が、混合されて、〜70℃に加熱され、押出機に通して供給され、2芯ノズル(di-centric nozzle)の内側ノズルの入口を通して、出される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRS、ゼラチン、カルベジオール(微粉化)、及びグリセロール・モノステアレートが、ミキサーに入れられ、そして、約10分間撹拌される。次いで、その固体混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構であることができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際に、内側ノズルを通過する非固体の押出物に対して均一な被膜を塗布する。
【0180】
【表7】
【0181】
(実施例8−2層ヒドララジン押出物(SR含有芯部)/カルベジオール押出物(SR含有殻部))
適切な量のヒドララジン、ウィテップゾールH−15、ミグリオール、及びレシチンが、混合されて、〜70℃に加熱され、押出機を通して供給され、2芯ノズルの内側ノズルの入口を通して出される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRS、ゼラチン、カルベジオール(微粉化)、及びグリセロール・モノステアレートが、ミキサーに入れられて、約10分間撹拌される。次いで、その固体の混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際、内側ノズルを通る非固体押出物に対して、均一な被膜を塗布する。
【0182】
【表8】
【0183】
(実施例9−(ムコ接着剤を有する)押出殻部における2層核酸(SR含有コア))
適切な量の核酸、ウィテップゾールH−15、ミグリオール、及びレシチンが、混合され、〜70℃に加熱されて、押出機を通して供給され、2芯ノズルの内側ノズルの入口を通して出される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRS、アミロース、及びグリセロール・モノステアレートが、ミキサーに入られて、約10分間撹拌される。次いで、その固体の混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを介して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際、内側ノズルを通る非固体押出物に対して均一な被膜を塗布する。
【0184】
【表9】
【0185】
(実施例10―単層溶融押出フェロジピン球体)
フェロジピン、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)E、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)NE、ゼラチン、及びソルビトールの適切な混合物が、押出機を通して供給され、適切な温度に加熱されることによって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)ポリマーが溶融される。次いで、その溶融混合物は、適切な振動数をかけることができるノズルの入口を通して、供給される。その結果として生ずる単層ミニカプセルは、硬化(set)せしめられるべく、冷却液中に放出される。一旦硬化せしめられると、このミニカプセルは、適切な力で遠心力が作用せしめられ、あらゆる冷却油の残渣(残留物)が取り除かれる。
【0186】
【表10】
【0187】
(実施例11―単層溶融押出フェロジピン球体)
適切な量のフェロジピン、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)E、及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)NEが、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体の混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように決定される。その後、押出物は振動ノズルから出る。
【0188】
【表11】
【0189】
(実施例12―単層インドメタシン持続的放出球体)
適切な量のインドメタシン、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RD−100、プルロニックF68、及びクエン酸トリエチルが、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体の混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように決定される。その後、それは、金型(ダイ)を出て、切断具にかけられるが、当該切断具の回転は、溶融押出される粒子の寸法を決定づける。
【0190】
【表12】
【0191】
(実施例13―単層イブプロフェン持続的放出球体)
適切な量のイブプロフェン、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RD−100、及びPVPが、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体の混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように、決定される。その後、それは、金型(ダイ)を出て、切断具にかけられるが、当該切断具の回転は、溶融押出される粒子の寸法を決定づける。
【0192】
【表13】
【0193】
(実施例14―単層ジルチアゼム持続的放出球体)
適切な量のジルチアゼムHCL、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RSPO、及びクエン酸トリエチルが、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体の混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RSPOの溶融が生じるように、決定される。金型から出る前に、そして、ジルチアゼム/ユードラギット/クエン酸トリエチルの押出物が溶融状態にある間に、溶融ゼラチンが、更なる押出機の入口を通して供給されて、供給及び混合が行われる。その後、押出物は振動ノズルを出る。
【0194】
【表14】
【0195】
(実施例15―2層持続的放出結腸ニコチン酸生成物)
適切な量のニコチン酸、ウィテップゾールH−15、ミグリオール、及びレシチンが、混合され、〜70℃に加熱されて、押出機を通して供給され、2芯ノズルの内側ノズルの入口を通して出される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRS、アミロース、及びグリセロール・モノステアレートが、ミキサーに入れられて、約10分間撹拌される。ついで、その固体の混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際、内側ノズルを通る非固体押出物に対して均一な被膜を塗布する。
【0196】
【表15】
【0197】
(実施例16−2層クエン酸フェンタニル持続的放出溶融押出カプセル)
適切な量のクエン酸フェンタニルが、ゲルシア44/01、ラブラゾル、及びN−メチル・ピロリジンと混合されて、65℃に加熱される。次いで、適切な速度及び温度で、混合又は押出ノズルへの押出を行うために、結果として生ずる溶液(solution)は、押出機に入れられることができる。この押出物は、内側ノズルの入口に通される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS及びRL(可変比率)、ゼラチン、及びPVPが、ミキサーに入れられて、約10分間撹拌される。次いで、その固体混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際、内側ノズルを通る非固体押出物に対して、均一な被膜を塗布する。
【0198】
【表16】
【0199】
(実施例17−2層ゾルピデム押出物(SR含有芯部)/ゾルピデム押出物(IR含有殻部)
適切な量のゾルピデム、メトローズ(Metolose)(登録商標)SM及びPVPが、混合され、〜130℃に加熱されて、押出機に通して供給され、2芯ノズルの内側ノズルの入口を通して出される。適切な量のゾルピデム、メトローズ(Metolose)(登録商標)SR90SH及びグリセロール・モノステアレート、カルベジオール(微粉化)及びグリセロール・モノステアレートが、押出機に通して供給され、2芯ノズルの外側ノズルの入口を通して出される。2つの押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、内側及び外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、メトローズ(Metolose)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。振動ノズルを出ると、切断によって、層状の押出物が形成される。
【0200】
【表17】
【0201】
本発明は、細部において変更し得る上記実施形態に限定されるものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬物質を含む複数のミニカプセル又はミニ球体の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
他の方法では既存の薬剤投与形態が適用できないと思われる活性のある医薬活性成分又は他の化合物の溶解性、浸透性、及び/又は安定性を高めるために、数多くの製剤化の取り組み(アプローチ)が展開されている。そのような取り組みの一部として、継ぎ目のないミニカプセルと、薬剤ペレット、丸剤(ピル)、カプセル、又は他の剤形(形態、フォーマット)を生産する溶融押出法とが挙げられる。
【0003】
継ぎ目のないミニカプセルの製造方法は、米国特許第5,882,680号明細書に記述されている。
【0004】
継ぎ目のないミニカプセルが形成される原理は、1種類以上の溶液の表面張力を利用することであり、該溶液を、特定の直径を有する開口部又はノズルから放出して特定の振動数及び重力流にさらして球形とし、更に冷却用空気流又は冷却溶液若しくは硬化溶液及びアウタ・シェル溶液(外殻部溶液)に落としてゲル化又は固化させる。これは、継ぎ目のないミニ球体の形成を簡潔に説明している。
【0005】
コア溶液(芯部溶液)は、主に疎水性の溶液又は懸濁液である。外殻部溶液は、通常、ゼラチンを主成分とする。しかし、親水性の溶液も又、中間溶液を存在させることでカプセル化することができる。この中間溶液によって、親水性の芯部溶液と外殻部とがじかに接触するのを防ぐことが可能である。開口部が1つのノズルを用いて、ミニカプセル又はシェル(殻部)/コア(芯部)混合懸濁液滴(ビード)を作ることができる。開口部が2つ(中心及び外側)あるノズルを用いることで、疎水性溶液を封入させることができる。3つ以上の開口部があるノズルによって、種々の用途のための継ぎ目のないミニカプセルを作ることができる。
【0006】
平均径が1.00〜3.00mm、とりわけ1.50〜1.80mmの範囲である多数の微粒子状になった継ぎ目のないニモジピン・ミニカプセルが、我々の国際公開第2006/035417A号パンフレットに記載されている。
【0007】
結果として生じる1層、2層、又は3層のミニカプセル又はミニ球体を、種々の徐放性ポリマー(制御された遊離ポリマー、制御された解放ポリマー、controlled release polymers)による被覆により処理することが可能であり、該徐放性ポリマーは、内在するミニカプセル又はミニ球体の芯部(その全部又は一部)から活性医薬成分の放出を調節するものである。先行する発明によれば、薬物を装填したミニカプセルを速度制御ポリマーによって被覆することで、目標溶解速度が得られる。これらのミニカプセルから放出される薬物は、ポリマーが膨張して透過可能になることで拡散制御され、そのことがGITでの徐放(controlled release)を可能にする。適切な溶解特性を達成するために、以下のパラメータ、すなわち効果的なプロセス/条件、薬物の溶解性/粒径、ミニカプセルの表面積、ミニカプセルの直径、及び被覆ポリマーの適合性を、検討する必要がある。
【0008】
既知のミニカプセル・プロセスは、或る範囲の活性医薬用化合物にとって多くの利益を有している。しかし、芯部の製剤と殻部の剤料及び/又は緩衝層(必要な場合)との親和性(適合性)に関する問題を含む潜在的な制限もある。別の潜在的な制限は、活性医薬用化合物のペイロードが低いことであり、これは、錠剤のサイズが大きくなって患者にとっては不都合なものとなる。更に別の潜在的な制限は、徐放は殻部又は殻部被覆膜の機能であり、それ故に徐放が制限される可能性があることである。更に別の制限は、不完全なカプセル化又は不規則な形状のミニカプセルの原因になり得る、シェル(殻部)とコア(芯部)若しくは緩衝層との間における不適合性の可能性に関するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,882,680号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/035417A号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4,678,516号明細書
【特許文献4】米国特許第6,391,338号明細書
【特許文献5】米国特許第3,845,770号明細書
【特許文献6】米国特許第3,916,899号明細書
【特許文献7】米国特許第3,536,809号明細書
【特許文献8】米国特許第3,598,123号明細書
【特許文献9】米国特許第4,008,719号明細書
【特許文献10】米国特許第5,674,533号明細書
【特許文献11】米国特許第5,059,595号明細書
【特許文献12】米国特許第5,591,767号明細書
【特許文献13】米国特許第5,120,548号明細書
【特許文献14】米国特許第5,073,543号明細書
【特許文献15】米国特許第5,639,476号明細書
【特許文献16】米国特許第5,354,556号明細書
【特許文献17】米国特許第5,733,566号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、少なくともこれらの問題の幾つかに対処する、改良されたミニカプセル・プロセスを提供することに向けられたものである。この改良されたプロセスは、或る範囲の活性医薬用化合物、及び他の物質、の徐放、溶解性、浸透性、溶解、及び安定性を更に高めるための多くの形態の開発につながり得る。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、加熱された時に流動可能である材料を押出すステップと、このようにして形成された押出物をノズルに通して該押出物を実質的に均一に成形された複数のエレメント(構成要素)、例えば、ミニ球体又はミニカプセル、にするステップと、を有する押出プロセスが提供される。
【0012】
1実施態様において、押出物がノズルを通過せしめられる時、力がノズルに適用される。この力は、振動力であってもよい。
【0013】
それに代わるものとして、或いは、付加的に、切断力が、押出物に適用される。この切断力は、押出物がノズルを出る時に、該ノズルに適用されることができる。この切断力は、回転せん断力、フライホイール・カッター、固定刃、及び可動刃から選択される1つ以上のものによって、作用せしめられることができる。
【0014】
1例において、ノズルは、複数の通路を有している。複数の通路の少なくとも幾つかは、同心であることができる。
【0015】
1実施態様において、ノズルは、1つ以上の複数の入口(入口ポート)を有し、該ノズルの複数の入口(入口ポート)の少なくとも1つに溶融押出物が供給される。1例では、別の媒体が、ノズルの複数の入口のうちの1つに供給される。異なるノズル入口に入った媒体は、異なる温度又は圧力であることができる。
【0016】
この媒体は、封入媒体、被膜、及び/又は薬剤等の活性成分を含有するものであってもよい。
【0017】
1実施態様において、上記プロセスは、成形されたエレメント(成分、構成要素)を冷却するステップを含む。該成形されたエレメントは、空気等の冷却気体(冷却ガス)中で、冷却されることができる。該成形されたエレメントは、冷却液中で冷却されてもよい。
【0018】
1実施態様において、押出される材料は、薬剤、生物薬剤、及び/又は栄養補給剤を含む。
【0019】
1実施態様において、溶融押出されるべき材料の成分(要素、組成、constituents)は、混合され、温度調節されたフィーダーを通して供給される。
【0020】
1例において、第1の媒体が、第1の押出機(押出成型機)からノズルの第1の入口に供給され、第2の媒体が、第2の押出機(押出成型機)からノズルの第2の入口に供給される。
【0021】
1実施態様において、第1の媒体が、第1の押出機からノズルの第1の入口に供給され、第2の媒体が、ポンプ手段によって、ノズルの第2の入口に送り込まれる。
【0022】
溶融押出の材料は、非治療用の化合物(混合物、合成物、compounds)と共に、1つ以上の活性医薬用の化合物(混合物、合成物、compounds)を含むものであってもよい。その非治療用の化合物は、溶融可能なポリマー、可塑剤、溶解性促進剤、浸透性促進剤、粘性調整剤(粘度調整剤)、pH調整剤、界面活性剤、ヒドロゲル、イオン交換樹脂、及び徐放性ポリマー(制御された遊離ポリマー、controlled release polymers)のうちの1つ若しくはそれ以上のものから選択されることができる。
【0023】
その材料は、結晶形態の薬剤、安定化された非晶形態の薬剤、安定化された微粉化形態の薬剤、安定化されたナノ製剤化形態の薬剤、非共有結合型の薬剤、又は共有結合型の薬剤を含むことができる。
【0024】
本発明は、又、本発明のプロセス(方法、製法、工程)によって作られた時、実質的に均一に成形されたエレメントを提供する。このエレメントは、ミニ球体又はミニカプセルであることができる。そのエレメントは、1層、2層、又はそれ以上の層を有するものであってもよい。
【0025】
別のアスペクト(観点)において、本発明は、押出材料を溶融するための押出機と、溶融押出物(溶融された押出物)が送られる出口ノズルと、該ノズルを出る材料がミニ球体又はミニカプセル等の実質的に均一に成形されたエレメントに形作られるように力を作用させる(適用する)ための手段と、を有する押出装置を提供する。
【0026】
1例において、当該装置は、ノズルに力を適用するためのバイブレーターを有する。
【0027】
それに代えて、又は付加的に、当該装置は、切断力を適用するための切断手段を有する。この切断手段は、ノズルの出口に隣接して位置することができる。当該切断手段は、回転せん断力、フライホイール・カッター、固定刃、及び可動刃から選択される、1つ、又はそれ以上のものを有することができる。
【0028】
1実施態様において、ノズルは、単一の出口を有する。ノズルは、少なくとも2つの出口を有することができる。当該出口は、内側出口と、該内側出口を囲む外側出口とを有するものであってもよい。
【0029】
1例において、これらの出口は同心である。
【0030】
1実施態様において、ノズルは、押出機からの押出物が供給される第1の入口と、材料をノズル内に供給するための少なくとも1つの更なる入口と、を有する。その装置は、更なるノズルの入口を通して材料を送るためのポンプ手段を有することができる。
【0031】
1実施態様において、装置は、ノズルを出た材料を冷却するための冷却手段を有する。
【0032】
本発明は、又、単層溶融押出ミニ球体を提供する。
【0033】
本発明は、更に、溶融押出された芯部(コア)と、外側層(外層)とを有する、2層生成物(2層製品、2層プロダクト、two-layer product)を提供する。1例において、この外層は、溶融押出層(溶融され押出された層)である。
【0034】
本発明の1つのアスペクトは、従来の熱溶融押出技術とミニカプセル加工技術とを組み合わせるプロセスであり、このプロセスにより、(溶融押出可能なポリマー、可塑剤、及び/又は医薬用化合物を用いて)均一又は略均一な形状のプロダクツ(生成物)であって徐放製剤(controlled release formulations)を示すプロダクツが製造される。
【0035】
熱溶融押出(HME)プロセスは、医薬産業において、知られたものである。プラスチック工業(産業)からの知識に基づき、製剤製造者(formulators)は、薬剤(薬物、drugs)、ポリマー、可塑剤、及びその他の機能的賦形剤の混合物を押出成形して、種々の最終的な形状(形態)にすることで、所望の薬剤放出特性を実現することができる。従来の加工技術に対してHMEを用いることの利点として、単位操作がより少ないこと、含有物の均一性がより優れていること、無水処理であること、溶解性の低い薬剤を分散させる機構であること、高せん断造粒の代わりになる低エネルギー代替手段であること、従来の湿式造粒法に比較して処理時間が短いことが挙げられる。しかしながら、公知技術に関する問題の1つは、最終生成物(最終製品、final products)のサイズ及び形状が不均一であるという点である。一般的に、最終生成物は、不規則なエッジ(縁)を有する、棒状又は円筒形状である。形が不規則である点を解決するために、円筒形状又は棒状の生成物は、球形化処理が施され、粗いエッジを滑らかにして、より容易に後処理することが可能であるよりいっそう球形となった最終生成物を製造する。更なる問題は、そのプロセスが、しばしば、強い処理及び組み合わせ力を必要とすることであり、これは、ある種の薬剤と、まさにポリマーとを変性させる可能性があることである。
【0036】
従来の溶融押出処理においては、熱押出混合物は、リング状のノズル・プレートに通され、回転ナイフを用いて同様のサイズの小片(粒子、particle)に切断される。本発明の1つのアスペクトにおいては、改良(修正、変更、modified)された振動ノズルが用いられ、熱せられた押出物をこのノズルに通して該ノズルから滴下させることで、継ぎ目のない球形の球を形成するようにしている。ノズルは、非円形であることができ、これにより、概ね正四角形、長方形、或いはその他の形状を有する、単一又は多数のストリップ形状の押出物の製造が可能になる。本発明の生成物は、サイズ及び形状が均一又は略均一であり、これは、単一又は同心円のノズルを通過する溶融押出物の流速と、ノズルがその状態に置かれる振動数との組合せの結果である。その結果として生じる生成物の球状性は、その押出物複合体の表面張力に起因する。そのプロセスは、連続した液滴を重力によって流すことを含むものであり、これらの液滴は、空気によって冷却又は液体中で冷却され、これにより、大変規則正しい形状でサイズが調整可能であるミニ球体及びミニカプセルが製造される。
【0037】
1つのアスペクトにおいて、本発明は、1つのプロセスを提供するものであり、当該プロセスによって、継ぎ目のないミニカプセル・プロセスは、溶融押出フィーダーを含むように改良(修正、変更)され、これにより、その熱押出物は混合されて均質化され、適切な温度で適切な振動ノズル構造を通して供給され、適切な粘性が与えられ、そして、適切な圧力で、不可欠(必要)な流速を与えるものであり、又、ノズルが適切な振動数に置かれることで、結果として、所望の継ぎ目のない球体の直径及び形状(フォーム)が得られるようになっている。
【0038】
本発明は、1つのプロセスを提供するものであり、該プロセスにおいて、ノズルは、単一のノズル、又は多芯(複数のセンターを有する、polycentric)のノズル(例えば、2芯、3芯、又はそれ以上の芯)から構成されるものであり、当該多芯ノズルは、多数の異なる押出物が各同心ノズルを通して流動することを許容する。そのような形状(フォーム、形態)の押出物は、単層である場合には、一旦、冷却されることで、固体又は半固体になり、或いは、多層の場合には、一旦、冷却されることで、液体、半固体、又は固体の形状(フォーム、形態)うちの何れかになり得る。
【0039】
本発明は、1つのプロセスを提供するものであり、該プロセスにより、結果として形成されるミニ球体又はミニカプセルは、液体、固体、又は半固体の芯部(コア)を有する。該芯部は、徐放性ポリマーを取り込むことで、徐放性ポリマー・コーティング(被覆)の適用に対する必要条件を不要とする。封入材料(カプセル化材料、encapsulating material)は、全体的に、又は部分的に、徐放性ポリマーを含むものであってもよい。
【0040】
本発明は、又、ゼラチン等のゲル化剤含有の有無にかかわらず、製造されるべき、単層、2層、又は多層のミニカプセルの開発を可能にする。これによって、ゼラチン等のゲル化剤と、種々のエマルジョン又は液体をベースとする薬剤の製剤との固有の配合禁忌に関連した問題を克服することができ、このような配合禁忌は、表面張力、又は他の製剤ベースの要因に関連している。このように、当該プロセスは、広範囲の活性医薬用化合物が求めるものに適合(適応)するものである。
【0041】
他の溶融押出可能な徐放性材料の有無にかかわらず、ゲル化剤を含有させることによって、より均一な球状ミニカプセル又はミニ球体の製造が可能になる。又、このような球状ミニカプセル又はミニ球体は、一旦、種々の水(性)環境に曝されると溶解し、結果とし、外側の層又は複数の層に穴が開く。これは、残存する溶融押出材料の分解を、高め或いは更に制御、し得る。ゲル化剤及び溶融押出物の一方又は両方は、1つ、若しくはそれ以上の、活性成分又は付加的機能賦形剤を含むものであってもよい。
【0042】
結果として生ずる押出球状ミニカプセル又はミニ球体は、空気冷却され、或いは、冷却液槽に滴下されて、回収され、必要に応じて、表面から残留冷却液体を取り除くように処理され、そして、更に、必要に応じて、高温で硬化(cured)せしめられる。
【0043】
結果として生ずる球状ミニカプセル又はミニ球体は、付加的な薬物層、徐放性ポリマー、粘性又は生体(バイオ)接着ポリマー、或いは、全体的な機能性又は薬物療法的能力を高めるような他のコーティングによって、被覆してもよい。
【0044】
振動力を用いて製造した押出球状ミニカプセル又はミニ球体にとって代わるものとして、又はそれに加えて、押出された単層又は同心的多層の円筒状押出物は、該押出物が1つのノズル又は複数のノズルを通過して冷却された時に、刃(ブレード)又は他の切断具を用いて、成形されることができる。その切断具は、液体に漬けておいてもよい。その結果(物)は、1つ以上の層を有する円筒状又は擬似球状の生成物(製品)であることができ、各層は、1つ以上の活性医薬成分又は他の成分を含む。
【0045】
本発明は、2つ以上の活性医薬用化合物を含む併用製品(combination product)を提供し、これらのものは、即時若しくは徐放的に同時に放出されるか、又は、即時若しくは徐放的に連続して放出されることで、より良い疾病管理(例えば、近位ループ利尿薬の初期放出に続く、遠位ループ利尿薬の放出)又は時間治療学を提供する。
【0046】
本発明は、有効量の活性医薬製剤と共に、広範囲の押出可能又は熱溶融可能なポリマー、可塑剤、ゲル化剤、浸透性促進剤、溶解性促進剤、pH調節剤、崩壊剤、及び/又は安定剤の含有を可能にするものであり、これらは適切な温度に加熱されることで、或る範囲の球状形態をなす。
【0047】
医薬製剤は、或る範囲の周知の方法のいずれか1つによって、患者に投与することが可能である。幾つかの実施態様において、そのような製剤は、少量の形態で老年科又は小児科において投与するのに適した、硬いゼラチン・カプセル又はサッシェ(小袋)に複数のミニカプセル又はミニ球体を含有させることで、経口送達用に設計されている。別の実施態様において、製剤は、膣又は直腸に投与するために、坐剤(座薬)の形態に設計される。
【0048】
医薬製剤は、他の成分を含むものであってもよい。
【0049】
本発明の幾つかの観点において提供される方法は、医薬製剤を調製するための単一のステップ又は複数のステップを含むことができる。
【0050】
これに限定されるものではないが、例えば、溶融押出可能なポリマー、可塑剤、溶解性促進剤、浸透性促進剤、徐放性ポリマー、ゲル化剤又は他の物質(entity)を含むところの、1つ又はそれ以上の非治療用化合物成分(コンポーネント)と共に、活性医薬用化合物のいずれか1つを含む異なった組合せは、結果として、或る範囲の製剤をもたらすものであり、該製剤の各々は、特定の配列の特性を備えている。或る処理条件又は組合せは、活性医薬用化合物の特定のタイプ又はクラスに対して、よりよく適し得る一方で、他の組み合わせは、活性医薬用化合物の他のタイプ又はクラスに対して、よりよく適し得る。適切な押出可能又は溶融可能なポリマーを有する特定の活性医薬用化合物を選択する方法は、本発明の一部として、提供される。
【0051】
本発明において、処理成分とパラメータは、容易に選択することが出来る。例えば、特定の活性医薬用化合物又はその他の非治療用化合物の熱感受性に適合し得る溶融温度を有する押出可能又は溶融可能なポリマーを選択することが可能である。
【0052】
本発明は、又、異なる温度感度を有する活性医薬用化合物と、相補的な溶融点を有する押出可能又は溶融可能なポリマーとを、単一の球状ミニカプセル又はミニ球体の中で組み合わせることを容易化すると共に、同じ処理ではあっても異なる適切な温度でそれぞれを処理することを容易化する。
【0053】
本発明を実施するために使用される押出機は、乾燥した原材料(feed)を扱うために、固体運搬ゾーンと、1つ又は複数の加熱ゾーンと、1つまたはそれ以上の入口及び1つ又はそれ以上の出口とを有する振動ノズルと、を有するところの、あらゆる適切な市販されているモデルであることができる。押出機スクリューは、シングル又はツインであることができ、複数の分離した温度制御可能な加熱ゾーンを有することができる。ノズルの形状と振動力は、入口の流速と同様に、結果として得られる粒子の形状及びサイズを変更(修正)するために、変化させることができる。振動力の代わりとして、或いはそれに加えて、刃又はその他の切断具を用いることも可能であり、これによって、金型の構造や形状に応じて、略均一な球状又は円筒状又はその他の形状のペレットを形成が可能になる。
【0054】
必要とされる生成物(製品)の形態に応じ、処理条件を変更することで、プロセス(処理)の変更が可能になる。そのような条件は、例として挙げれば、製剤組成、供給速度、操作温度、押出機スクリュー速度、滞留時間、加熱ゾーンの長さ、押出機トルク、及び/又は圧力のみならず、ノズル若しくは金型の構成、ノズル入口速度、ノズル振動力、或いは切断具速度を含む。結果として、数多くの製剤形態が得られる。
【0055】
芯部の製剤は、それが半固体であっても、液体であっても、内部浸透圧を発生させるように働く膨張可能なマトリックスを含んでいてもよく、これにより、一旦、外側の殻部又はコーティング(被膜)が腸又は結腸の環境に曝されると、芯部の含有物の放出が促進される。
【0056】
本発明は、又、必要に応じて、放出されるべき微粒化又はナノ製剤化された活性成分又は賦形剤の取り込みを容易化する。ナノ製剤(nanoformulations)は、親水性及び脂溶性(脂肪親和性)の物質の吸収を高めるために、脂質ナノ粒子を含むものであってもよい。
【0057】
本発明は、吸収性、安定性、又は免疫原性を変更するために、或いは、受動的又は能動的薬物送達を行うために、共有結合的又は非共有結合的に改良(修正、変更)された活性成分の取り込みを可能にする。
【0058】
本発明は、又、生物学的利用能促進剤(エンハンサー)の取り込みを許容するものであり、該生物学的利用能促進剤として、これに限定されるものではないが、浸透性促進剤、プロテオグリカンポンプ(PgP)抑制剤、及びシトクロムP450酵素の抑制剤が挙げられる。
【0059】
本発明は、更に、胃腸管系ルーメンにおいて、又は全身的に、タンパク質分解酵素又は他の分解酵素を含むことを許容する。
【0060】
加えて、本発明は、これに限定されるものではないが、リパーゼ阻害剤を含む酵素阻害剤の含有を許容する。
【0061】
本発明において、pH調整剤(そのような調整剤は、溶解性を高めることが可能である)を含有し、pH感受性物質を保護し、及び/又はミニカプセル若しくはミニ球体からの放出を改良(変更、修正)することが可能である。
【0062】
又、これに限定されるものではないが、脂質成分、炭水化物成分、タンパク質成分等を含む、或る種の栄養物又は腸からの代謝サブユニット、の腸からの吸収を防止するために、例えば、吸収調整剤を含むことも可能である。そのようなものとして、胆汁酸金属イオン封鎖剤を挙げることができる。
【0063】
更に、免疫調整剤を含むことが可能であり、当該免疫調整剤として、これに限定されるものではないが、ワクチン・アジュバント(補助剤)、アレルゲン、抗アレルギー物質、経口免疫寛容誘導物質(inducers of oral tolerance)等が挙げられる。
【0064】
本発明は、又、リンパ系吸収又は肝臓系吸収を高める賦形剤の取り込みを可能にするものであり、当該賦形剤として、これに限定されるものではないが、脂質賦形剤、シクロデキストリン、及び改良(修正、変更)されたシクロデキストリンが挙げられる。
【0065】
本発明は、更に、例えば、解毒剤、刺激剤、抗体、又は経口投与された場合は効果を示さないが、異物混入の場合に活性医薬の効果を中和するするそのような他の物質と、活性医薬物質と、の組み合わせを可能にすることを通して、ある種の添加物質等の異物混入防止製剤(tamper-proof formulations)の開発を可能にする。
【0066】
本発明は、更に、小腸内での滞留時間が増加する抗生物質製剤の開発や、結腸細菌の叢害(colonic bacterial flora damage)を減じるために結腸上皮細胞において局部放出する抗生物質製剤の開発、を可能にする。
【0067】
医薬製剤は、特に多層(複数層)フォーマットに対して、適切な溶剤(水、水性、非水性、イオン性(極性)、非イオン性(非極性)、水滴性(hydropic)、親水性、及び/又はそれらの組合せ等)を含んだワックス、エマルジョン、ペースト、クリーム又は軟膏であることができ、任意に、その他の化合物(安定剤、香料、抗菌剤、抗酸化物質、pH調整剤、接着剤、味遮蔽剤、着色剤、防腐剤、抗酸化物質、界面活性剤、及び/又はバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)調整剤)を含むことができる。アルコール等の生物学的利用能促進剤、或いは、医薬製剤から治療用化合物の浸透を高める他の化合物が、含有され得ることが考えられる。
【0068】
経口、口腔(口内)、及び、舌下投与のために、医薬製剤は、ゲル・キャップ、カプレット、錠剤、カプセル、懸濁液、又は粉末の形態であることができる。直腸に投与するために、医薬製剤は、化合物を腸、S字結腸曲がり、及び/又は直腸に放出するべく、坐剤(座薬)、軟膏、浣腸、錠剤、又はクリームの形態であることができる。
【0069】
固体の単位投薬フォーム(形態)において、化合物は、従来の担体と組み合わせることができる。該担体としては、例えば、結合剤(例えば、アカシア、コーンスターチ又はゼラチン)、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、グアーガム、ジャガイモでんぷん又はアルギン酸)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸又はステアリン酸マグネシウム)、及び不活性充填剤(例えば、ラクトース、蔗糖、又はコーンスターチ)等が挙げられる。
【0070】
更に、活性成分は、部分的にカプセル化されてもよく、完全にカプセル化されてもよく、部分的に吸収され合成化されてもよく、完全に吸収され合成化されてもよく、或いは、それらの組み合わせでもよい。そのようなカプセル化は、従来の手順を用いて達成することが可能であり、不水溶性又は水溶性の薬剤(エージェント)を用いることができる。
【0071】
懸濁剤の調製(準備)に関して、医薬製剤は、オイル、例えば、固定油(例えば、落花生油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油、及びオリーブ油等)、脂肪酸(例えば、オレイン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸等)、及び、脂肪酸エステル(例えば、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリド、アセチル化脂肪酸グリセリド等)を含むことができる。これらは、又、薬学的に適切な界面活性剤、懸濁化剤、又は乳化剤の添加の有無にかかわらず、アルコール(例えば、エタノール、イソプロパノール、ヘキサデシルアルコール、グリセロール、及びプロピレングリコール等)、グリセロール・ケタール(例えば、2,2−ジメチル−l,3−ジオキソラン−4−メタノール等)、エーテル(例えば、ポリ(エチレングリコール)450等)、石油炭化水素(例えば、鉱油及びワセリン等)、水、又はそれらの混合物と混合されてもよい。
【0072】
ソフト・ゼラチン型の製剤及び坐剤の製剤の調製に、オイルを用いることもできる。水、生理的食塩水、含水デキストロース(含水ブドウ糖、aqueous dextrose)、関係する糖溶液、及びグリセロールは、懸濁製剤の調製に用いられることが可能である。この懸濁製剤は、懸濁化剤(例えば、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、又はカルボキシメチルセルロース)のみならず、緩衝剤及び防腐剤を適切に含有するものであってもよい。石鹸及び合成洗剤は、界面活性剤として用いられることができ、又洗剤組成用賦形剤として用いられることができる。適切な石鹸は、脂肪酸アルカリ金属、アンモニウム、及びトリエタノールアミン塩類を含む。適切な洗剤は、陽イオン洗剤(例えば、ジメチルジアルキルハロゲン化アンモニウム、アルキルハロゲン化ピリジニウム、及びアルキルアミン酢酸塩等)と、陰イオン洗剤(例えば、アルキル、アリール及びオレフィンスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリド硫酸塩、及びスルホサクシネート)と、非イオン系洗剤(例えば、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミド、及びポリ(オキシエチレン)・ブロック・ポリ(オキシプロピレン)共重合体等)と、両性洗剤(例えば、アルキル・ベータ・アミノプロピオネート及び2−アルキルイミダゾリン第四級(4番目)アンモニウム塩等)と、それらの混合物とを含む。
【0073】
多くの溶融可能疎水性結合剤(バインダー)を用いることが可能であり、該結合剤は、これに限定されるものではないが、ビーズワックス、カルナウバワックス、パルミチン酸セチル、グリセリル・ベヘネート、グリセリル・モノステアレート、パルミトステアリン酸グリセリン(Glyceryl palmitostearate)、ステアリン酸グリセリル、水素化キャスター油、微結晶ワックス、パラフィンワックス、ステアリン酸、ゲルシア44/01、ゲルシア35/10、及びステアリン酸アルコールを含む。
【0074】
多くの溶融可能親水性結合剤を用いることが可能であり、該結合剤は、これに限定されるものではないが、ゲルシア50/13、ゲルシア44/10、ポロクサマー188、ポリエチレングリコール2000、ポリエチレングリコール3000、ポリエチレングリコール6000、ポリエチレングリコール8000、ポリエチレングリコール10000、ポリエチレングリコール20000、及びステアレート6000 WL1644を含む。
【0075】
本発明の幾つかの実施形態は、水溶性薬剤(エージェント)を必要とする。そのような水溶性ゲル化剤は、これに限定されるものではないが、ゼラチン、タンパク質、多糖類、澱粉、セルロース、及びそれらの混合物を含む。他の水溶性被覆材料は、これに限定されるものではないが、アルブミン、ペクチン、グアーガム、カルボキシメチル澱粉、カルボキシメチルセルロース、カラゲナン、寒天及び同様のヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン、及びこれらの組み合わせから構成されることが可能である。
【0076】
即時放出性、促進放出性、長時間作用性、持続的放出性、徐放性、緩放出性の投薬形態のいずれか1つ、又はその組み合わせは、本発明で用いられることが可能である、と考えられる。本発明の製剤のクール(一定期間に飲むべき一連の薬、course)、投与期間、及び投薬必要条件は、処置を受けている患者、投与される化合物、使用される製剤、使用される投与方法、処置されている徴候の重症度及びタイプ、他の薬剤との同時投与、及び他の要因によって、変化するだろう。
【0077】
製剤に含まれる治療用化合物は、それらの医薬的に許容し得る塩類として処方(調剤)されることが可能である。ここで用いているような「医薬的に許容し得る塩類」とは、酸又は塩基をその塩類にすることにより治療用の親化合物が改良(変更、修正)されるところの、開示された化合物の誘導体(誘導薬、誘導剤、derivatives)を指している。医薬的に許容し得る塩類の例は、これに限定されるものではないが、アミン等の塩基性残基の無機又は有機の酸性塩類、カルボン酸等の酸性残基のアルカリ又は有機塩類、その他のものを含む。この医薬的に許容し得る塩類は、従来の無毒性の塩類、或いは、無毒性の無機又は有機酸から形成される、たとえば、親化合物の第四級アンモニウム塩を含む。例えば、そのような従来の無毒性の塩類は、塩化水素、臭化水素、硫黄、スルホン基、スルファミン、リン、窒素等の無機酸に由来する塩類と、アミノ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル乳酸、グルタミン酸、ベンゾイン酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシベンゾイン酸、フルナル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸等の有機酸から調製(準備)された塩類と、を含む。
【0078】
本発明の医薬的に許容し得る塩類は、従来の化学的方法によって、塩基性又は酸性の部分を含む治療用親化合物から合成されることができる。一般に、そのような塩類は、遊離酸又は塩基の形態のこれらの化合物を、所定量の適切な塩基又は酸と、水、有機溶媒、又はこれら2つの混合液中で反応させることによって、調製されることができる。一般に、非水性の媒体が好まれる。適切な塩類のリストは、ラミングトンズ・ファーマシューティカル・サイエンシズ、第17版、マック・パブリッシング・カンパニー、イーストン・ピーエー、1985, p.1418(Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa., 1985, p.1418)に見出され、その開示内容は、本明細書に取り込まれる。更に、製剤に含まれる治療用化合物は、共有結合的に変更(修正、改良)されたバリアント(異形、異形体)を含むように、処方(調剤)されることができ、ここでは、浸透性促進成分(物質、entity)、安定性促進成分、免疫改質成分、又は、酸化窒素若しくは酸化窒素供与体(ドナー)等を含む他の成分が、調製されている小分子又は治療用生物医薬化合物と結合せしめられる。
【0079】
本発明は、上に述べられた実施形態に限定されるものではなく、細部において変形せしめられることができる。
【0080】
本発明の記載に使用されているような「有効量」という用語は、体外(in vitro)又は生内(in vivo)での生理学的反応を引き出すのに十分な量又は投与量(用量)として、定義される。
【0081】
本発明は、例示に過ぎない以下の記載から、明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図1A】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図2】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図3】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図4】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図5】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図6】本発明の修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。
【図7】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図8】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図9】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図10】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図11】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【図12】この技術を用いて生産(製造)される生成物(生産品、製品、プロダクツ)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図面を参照すると、図1は、振動ノズルを有する修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを説明する図である。この振動ノズルは、固体のミニ球体の形成をもたらす液滴形成を可能にする単一又は複数の同心の通路を有するものであってもよい。液滴を形成するための振動力の使用に加えて、又は該振動力の使用に取って代わるものとして、切断具も適用可能である。
【0084】
より詳しくは、図1は、単一のノズルを介する溶融押出を用いることで、固体のミニ球体を製造するためのプロセスを図示している。このプロセスで使用される装置は、投入ホッパー2を具備する押出機(押出成形機)1を備えており、この投入ホッパー2を通して、種々の成分(要素、原料、剤料、ingredients)、例えば薬物、押出可能なポリマー、可塑剤等が導入される。このホッパー2は、押出されるべき混合物を、筐体4内において、押出スクリュー3に誘導する。このスクリューは、供給部5、溶融部6、混合部7、及び均質化部8を有する。又、ノズル10に送り出される前に、冷却部9が筐体内に存在する。
【0085】
供給部5において、投入ユニット2からの配合物は、1つ以上の押出スクリュー3を経て、一様に、スクリュー・チェンバーに入る。溶融部6において、配合物は、押出可能なポリマーのガラス転移温度を上回る温度に加熱される。混合部7において、押出スクリューが作動して、溶融された混合物を更に混ぜ合わせる。均質化部8において、溶融された混合物は更に均質化されて、冷却チャンバー9に送られる。ノズル10は、単一又は多数(2、3、又はそれ以上の数)の同心ノズルであってもよく、又、熱い溶融物は、1つ以上のノズル10を通過する。
【0086】
ノズル10は、制御可能な振動数及び振動力を持つバイブレーター15によって生じせしめられる振動エネルギーを受ける。
【0087】
バイブレーター15に代わるものとして、又はバイブレーター15に加えて、ノズル出口で、図1Aに示すように、押出物は、回転刃18等の適切な切断具により切断されるようにしてもよい。この刃18は、旋回軸19を中心に回転する。
【0088】
図1に示す装置及びプロセスは、固体のミニ球体20を製造するために用いられる。
【0089】
図2は、異なる製剤(formulations)が流れる複数の同心通路を有することが可能である振動ノズルを備えた、修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを示す図である。液滴を形成するための振動力の使用に加えて、又は振動力に代わるものとして、切断具を、又、適用することが可能である。
【0090】
より詳しくは、図2は、2層になった固体のミニ球体又は液体を満たしたミニカプセル30を製造するプロセス及び装置を示す。この装置は、図1を参照しながら説明した装置に類似しており、同様の構成要素(パーツ)に対しては、同じ参照符号を付与する。最終製品(生産品、生成物、プロダクト、product)の殻部分は、供給ポンプ(不図示)を有することが可能な溶融容器37から加工される。この容器37において、ゲル化剤は、加熱されてノズル38を通して汲み出され、溶融又は冷やされた押出物の周りにシェル(殻部)を形成する。ノズル38は、制御可能な振動数又は振動力を与えるためのバイブレーター39を有していてもよい。ノズルは同心的であり、例外の有無にかかわらず、及び/又は薬物(薬剤、drug)の有無にかかわらず、ゼラチンが外側(アウター)32を通して通過する一方、薬物の有無にかかわず、押出可能な溶融物が内側(インナー)31を通して通過する。
【0091】
結果物としての製品30は、多層の固体のミニ球体又は液体で満たされたミニカプセルであることができる。押出物の芯部(コア)は、周囲温度において、液体、半固体、又は固体から構成されることができる。外層は、溶融押出可能なポリマー、単体又は複合体、可塑剤、薬物(薬剤)、及び/又は他の賦形剤(補形剤)を含むところのゲル化剤から構成されてもよく、この外層は、溶融容器内において高温で混合される。全ての層は、1種類以上の活性医薬用化合物を含んでいてもよい。
【0092】
図3は、双式(ツイン)又は2重の溶融抽出プロセスを用いる、修正(改良、変更)された溶融押出生成物(生産品、製品、プロダクツ)を説明する図である。より詳しくは、図3は、2つの押出機システム40、41を用いて、2層型のミニカプセル又はミニ球体45を生産するプロセス及び装置を示す。一方の押出機システム40は、芯部の加工に用いられ、他方の押出機システム41は、殻(シェル)の加工に用いられる。この押出機システムは、各々、図1及び図2を参照しながら上記したものと類似しており、同様の構成要素に対しては、同一の参照符号を当てている。同心である内側の放出口47と外側の放出口48とを夫々有する共通のノズル46が存在していてもよい。再度、バイブレーター15に加えて、又はバイブレーター15に取って代わるものとして、切断具が使用されてもよい。最終製品45の芯部は、周囲温度において、液体、半固体、又は固体から構成されるものであってもよい。一方、殻(シェル)は、溶融押出可能なポリマー、単体又は複合体(コンプレックス)、可塑剤、薬物(薬剤)、及び/又は他の賦形剤(補形剤)を含むところのゲル化剤から構成されるものであってもよい。
【0093】
図4は、修正(改良、変更)された溶融プロセスを示す図であり、殻は、溶融押出可能なポリマー、単体又は複合体、可塑剤、薬物(薬剤)、及び/又は他の賦形剤(補形剤)を含むところのゲル化剤から構成され得る、押出機から得た溶融押出物から得られるものであり、一方、芯部は、周囲温度において、液体、半固体、又は固体である親水性又は脂溶親和性の物質から構成されるものであってもよい。液滴を形成するべく、振動力の使用に加えて、或いは、むしろ、切断具を適用することも可能である。
【0094】
より詳しくは、図4は、逆押出可能な殻ミニカプセル又はミニ球体50を生産するプロセス及び装置を示す。この配置(装置)は、図2のものと類似しており、同様の構成要素(パーツ)には、同じ参照符号を付している。異なる点は、この例において、押出システムが殻(シェル)の押出に用いられる一方、溶融ポンプ・システムが最終製品50の殻を加工するために用いられる点である。ノズルは同心的であり、賦形剤(補形剤)及び/又は薬物(薬剤)の有無にかかわらず、ゼラチンが内側(インナー)51を通して通過せしめられ、一方、薬物(薬剤)の有無にかかわらず、溶融押出物が外側(アウター)52通して通過せしめられる。
【0095】
図5は、溶融押出と噴霧被覆(スプレイ・コーティング)とを組み合わせる、本発明のプロセス及び装置を示す図である。より詳しくは、図5には、溶融押出と噴霧被覆とを組み合わせるプロセス及び装置が示されている。このシステムは、図1を参照しながら記載したものと類似しており、同様の構成要素(パーツ)には、同一の参照符号が付されている。この例においては、ノズル10からの出力製品(アウトプット・プロダクト)70は、インプロセス又はインラインでの噴霧被覆75に曝されるようになっている。芯部の剤料は、出てくる押出物が固体状又は半固体状の球体又は非球体の形態である、従来の熱溶融押出又はミニカプセル・プロセスによって製造される押出物である。噴霧被覆は、真空のチャンバー又は加熱されたチャンバーで生ずるものであり、被覆されるべき剤料は、溶媒の形態、或いは、さもなければ、容易に乾燥し得る形態にあるものである。結果として生じる被覆形態は、回収して更に処理が行われるか、又は別のことが行われる。噴霧被覆された剤料は、制御された徐放性ポリマー(controlled release polymers)又は他の物質、例えば、可塑剤、溶媒(溶剤)、活性物質や、接着剤等、から構成されるものであってもよい。その製品(プロダクト)は、必要に応じて、付加的な活性成分又は機能的な被膜を加えるために、更なる処理が施されてもよい。
【0096】
図6は、修正(改良、変更)された溶融押出プロセスを示す図である。このプロセスは、異なる製剤が流れる複数の同心的な通路を有することができる振動ノズルを有する。液滴を形成するための振動力の使用に加えて、或いは、はむしろ、切断具を適用することも可能である。結果物としての製品(プロダクト)は、多層の固体のミニ球体又は類似のものであることができる。その押出物は、ゲル化剤を含むものであってもよい。このゲル化剤は、水溶性であることができ、そして、供給段階、溶融段階、混合段階、均質化段階、又は冷却段階のいずれか1つ以上の段階で、押出物に導入することができる。
【0097】
図6には、水溶性物質との混合を取り入れるために、溶融と押出とを組み合わせる装置及びプロセスが示されている。このシステムは、図2のものと類似しており、同様の構成要素(パーツ)には、同一の参照符号が付されている。異なる点は、この例では、この押出機システムの混合部、均質化部、又は冷却部等のいずれかの適切な位置で、溶融容器60からの剤料が、加熱されて溶融された押出物にポンプで注ぎ込まれる点である。結果として生じる製品は、カプセル化殻部61の内側に非ゲル化成分の混合物が芯部62として封入された状態で、その形態の外側に、当該カプセル化殻部61の如くゲル化剤を有することが可能である。或いは、用いた混合プロセス及び剤料に応じて、殻部61と芯部62とを相互に混ぜ合わせてもよい。
【0098】
球状又は円筒状の最終的なフォーマット(形、形状)は、溶融押出可能なポリマー、単体又は複合体、可塑剤、薬物(薬剤)、及び/又は他の賦形剤((補形剤))を含むところのゲル化剤から構成されるものであってもよく、このフォーマットは、溶融容器内で、高温で混合される。全ての層は、1種類以上の活性医薬用化合物を含むことができる。図7は、図1又は図6のプロセスを用いる、溶融押出製品(プロダクト)を示す図である。結果として生じる単層の製品80は、これに限定されるものではないが、次の1つのものから、若しくは、次の2つ以上ものを含む組み合わせからなり得る。すなわち、当該次のものとは、溶融押出ポリマー、可塑剤、(製薬学的又は栄養学的)活性剤、これに限定されるものではないが崩壊剤や膨張剤を含む機能物質(function entities)、ヒドロゲル、pH調節剤等や、これに限定されるものではないがゼラチン、カラゲナン、キトサン(又はその誘導剤)、シリコン等を含むゲル化剤である。可塑剤は、処理温度及び圧力を減少させると共に、活性のある製薬学的形態を安定化させるために、選択される。ミニ球体は、形態(form)を促進するためのゲル化剤、又は水溶液中での溶解を早める親水性物質を付加的に含むものであってもよい。表示された生成物は、個々のミニ球体の胃貯留を許容するために、又は個々のミニ球体が合体(癒着)するのを可能にするために、膨張可能な原料を含むものであってもよく、又/或いは、胃、腸、及び結腸壁の内側を覆う粘液との相互作用、又は胃、腸、或いは結腸の上皮細胞との直接的な相互作用、を高めるための接着分子を含むものであってもよい。必要に応じて、製品を更に加工することで、活性のある被膜又は機能的な被膜を付加してもよい。
【0099】
図8は、更に、例えば図2に示したようなプロセスを用いて製造される製品85を示す図であり、芯部86は、周囲温度で液体、半固体、又は固体である押出物を含み、一方、殻部87は、ゲル化剤を含む。芯部86は、これに限定されるものではないが、溶融押出ポリマー、可塑剤、(製薬学的又は栄養学的)活性剤、これに限定されるものではないが崩壊剤や膨張剤を含む機能物質(機能剤、function entities)、ヒドロゲル、pH調節剤等のうちの1つのもの、若しくは2つ以上ものを含む組み合わせからなり得る。一方、殻部は、これに限定されるものではないが、活性剤及び/若しくは機能剤(functional agents)を付加的に含み得る、ゼラチン、カラゲナン、キトサン(又はその誘導剤)、シリコン等を含むゲル化剤からなる。必要に応じて、製品を更に加工することで、活性のある被膜又は機能的な被膜を付加することができる。
【0100】
図9は、結果として2層のミニカプセル又はミニ球体が得られる、図3に示すようなプロセスを用いて製造した製品90を示す図である。その芯部91は、その殻部92が固体である間、周囲温度で液体、半固体若しくは固定でありことができ、それは、活性のある医薬製剤又は栄養剤に加え、これに限定されるものではないが、膨張剤、接着剤、崩壊剤、pH調節剤等を含む種々の機能物質を含むものであってもよい。必要に応じて、製品を更に加工することで、活性のある被膜又は機能的な被膜を付加してもよい。
【0101】
図10は、図1〜6に示すいずれかのプロセスにより製造された製品に加えて、結果として生ずる1層又は2層の製品100が、付加的な層、つまり次のような被膜を有し得ることを示す図である。すなわち、当該被膜101は、活性剤、膨張可能な剤料、接着剤、徐放性ポリマー(制御された遊離ポリマー、controlled release polymers)、崩壊剤、ゲル化剤等を含む被膜である。このような被膜は、種々の流動層(fluid bed)又はパン・コータを含むところの、イン・プロセス又は従来の被覆技術を用いて付加することができる。
【0102】
図11は、親水性で膨張可能な剤料を含む半固体又は液体の芯部106を含む、多層のミニカプセル105を示す図である。膨張可能な剤料を、殻部内又は緩衝層内で、芯部製剤と混合してもよい。
【0103】
図12は、押出物が溶融状態にある間にノズルに対して与えられる振動力の適用を通して結果として生じる1層又は多層の製品が形成されるところの、図1〜図6に示すプロセスのいずれかによって製造される製品に加えて、切断具の単独の使用、若しくは、押出物がダイ(金型)を出てくる時に当該押出物への振動力と組み合わせて用いられる切断具の使用、が、結果として、1層又は多層の円筒状製品110を形成することを示している。芯部は、ゲル化剤及び/又は膨張剤料の有無にかかわらず、液体又は半固体であることができる。殻部は、ゲル化剤の有無にかかわらず、徐放成分(制御された遊離成分、controlled release ingredients)からなるものであってよい。更に、殻部の被膜が不完全である場合には、芯部及び殻部の同時的な放出(解放、release)又は溶解を許容する。
【0104】
円筒形のノズル放出口(ノズル・アウトレット)又はダイ(金型)の使用に加えて、該放出口又はダイは、これに限定されるものではないが、正方形、長方形、楕円形、又は、そのような形状を含む、他の形状であってもよい。結果として生じる押出製品は、かなり均一な非球状の形状(形態)となるであろう。
【0105】
本発明は、継ぎ目のないミニカプセル及び溶融押出プロセスの両方の利点を組み合わせるものである。溶融押出プロセスは、他の利点と同様に、より均一な粒子、高められた徐放被膜(高められ制御された遊離被膜、enhanced controlled release coatings)、粘膜接着剤又は生体接着剤、膨潤性ポリマーを許容し、一方で、この溶融押出プロセスは、他の問題(issue)と同様に、可溶性及び溶解の問題に対処する所定範囲の製剤の開発をもたらすであろう。本発明の製品は、硬いゼラチン・カプセル、丸剤(ピル)、ペレット、坐剤、サシェット(小袋、sachets)、又は他の投与フォーマットへの更なる加工に適する。
【0106】
本発明では、粘性、表面張力、温度、或いは他の変数に応じて、溶融押出物を振動ノズルに通して球形、又は他の所望の粒子形状に形成することができる。粒径は、粘性、流量、表面張力、ノズルに対して設定されているノズルの直径及び振動数、並びに/又はノズル若しくはダイの先端(ダイ・チップ)での切断具の回転速度若しくは回転力、に依存する。切断具は、ロータリカッター、シア・カッター、ナイフであることができ、これらのすべては、固定されるか、若しくは回転自在であることができ、そして、これらは、上記したものの任意の組み合わせから構成されることができる。結果として生じる粒子は、次いで、空気中で冷やされるか、又は冷却液の中に滴下されるか、若しくはその中で形成され、回収され、そして、必要に応じて、高温下で、一晩、硬化(cured)せしめられる。
【0107】
ダイ又はノズルは、2つ以上のノズルを有する同心のノズルであることができる。これに限定されるものではないが、ゼラチン及び/又はエチルセルロースを含むところの、フィルム形成剤及び/又はポリマーは、外側ノズルを通して流動することが可能である。内側ノズルは、室温で液体の製剤(formulation)を含むことが可能であり、これは、室温で、液体又は半固体の状態に留まる。この実施例では、次のノズルは、1つ以上の活性医薬用化合物を含む、徐放性ポリマー/可塑剤混合物を含むものであってもよい。更に、1つ以上の活性医薬用化合物の有無にかかわらず、ゲル及び/又は徐放性ポリマーを含む複数のノズルを設けることも可能である。
【0108】
適切な製剤(formulation)を形成するために、押出時や、粒子形成プロセス時に、制御や状態について、多数、変更することが可能である。そのような変更は、これに限定されるものではないが、製剤の組成、供給量(供給率)、動作温度、1分あたりの押出機スクリューの回転数、滞留(残存、持続)時間、ダイの構成、加熱ゾーンの長さ並びに押出機トルク及び/又は圧力、ノズル構成及び振動数、及び、切断具の回転数若しくは回転力等を含む。そのような状態は、当業者に知られている技術を用いて、容易に最適化することが可能である。
【0109】
本発明は、溶融プロセス、及び加圧されるか若しくは重力により流動する振動ノズル、に基づく装置を提供するものである。この装置において、1つの活性医薬製剤若しくは複数の活性医薬性剤が、溶解性、浸透性、安定性、又は徐放性(制御された遊離性、controlled release)を高める適切な賦形剤と混合される。次いで、この混合物は、速やかに加熱され、賦形剤及び/又は1つの活性医薬製剤若しくは複数の活性医薬性剤が溶融せしめられ、この混合物は、単一のノズル又は多数の同心的なノズルを有する振動ノズルに押し流すか、或いは当該振動ノズルを通して重力によって流す。結果として生じるミニカプセル又はミニ球体は、1層、2層、3層、又はそれを上回る数の層から構成されるころができ、1層若しくはそれ以上の層は、液体、半固体若しくは固体であってもよい。全例において、結果として形成されるミニカプセル又はミニ球体は、規則的な球状である。更に、本発明は、結果として形成されるミニカプセル又はミニ球体のコーティングを促進(容易化)することで、活性薬剤の放出、安定性の強化、及び/又は腸粘膜若しくは結腸粘膜又は上皮細胞に対する付着を制御する。更に、本発明は、胃腸管の特定領域に、経口送達製剤を標的放出することを許容し、これによって、吸収を最大にし、ペイロードに保護を与え、罹患した腸組織の処置を最適化し、又は経口生物学的利用能(oral bioavailability)を高めることを可能にする。その結果は、修正(改良、変更)された放出組成物(release compositions)となり、作用時において、固有の二面的又は多面的方法で、1つ以上の活性成分を放出する。本発明は、更に、そのような複数のミニカプセル又はミニ球体徐放組成物(制御された遊離組成物、controlled release compositions)等を含む固体の経口投薬形態(フォーム)、サシェット又は坐剤はもとより、二面的又は多面的方法で1つ以上の活性成分を患者に送達する方法を提供する。その上、本発明は、1つ以上の医薬活性成分を連続的に又は同時的に投与することを可能ならしめ、これにより、病気治療及び管理を改善すると共に、体の自然な概日リズムの恩恵を受けることができる。
【0110】
本明細書において「熱溶融押出可能」として参照されている化合物(compound)は、熱溶融押出が可能な化合物である。標準的な周囲温度及び圧力の条件下で、熱溶融押出可能なポリマーは、十分に硬いが、高温又は高圧下で変形又は半液体状態となることができるものである。本発明に記載のプロセス及び製剤は、可塑剤を含む必要がないにもかかわらず、当該可塑剤は、本発明の範囲に含まれ得る。
【0111】
この熱溶融押出という用語は、広く全てを含んでいる用語であるが、例えば、射出成形、溶融メッキ、溶融鋳造(melt casting)、及び圧縮成形等、の他の等価のプロセスをカバーすることができる。上記方法のいずれかによる処理(加工)を通して、結果として形成される製剤は、必要に応じ、所望の投与形態に応じて、例えば、錠剤、丸剤、トローチ剤や、坐剤等に、形成することができる。この発明を開示する目的のために、熱溶融押出という用語は、溶融押出という用語と置き換え可能であり、この用語は、従来の熱溶融押出装置からの溶融剤料の押出のみならず、非従来的な熱溶融押出装置からの溶融剤料の押出にも適用され、それは、継ぎ目のないミニカプセル・プロセス、従来の熱溶融押出装置に対する修正(改良、変形)、ミニカプセル装置に対する修正(改良、変形)、複合機器、又は、重力等を含む力の適用により溶融剤料を押出することが可能である他の可能なフォーマットを含む。
【0112】
本発明の幾つかの実施形態で用いられる熱溶融押出プロセスは、処理の過程での治療用化合物の劣化又は分解を最小にする操作温度の範囲内の高温で、実施される。この操作温度の範囲は、一般に、約35℃乃至約160℃の範囲内にあり、加熱領域の制御によって決定されるところの、ポリマー及び/又は可塑剤の溶融温度に依存する。
【0113】
熱溶融押出は、スラリー、固体、懸濁液、液体、粉状又は他の原剤料を用いて、実施することが可能であり、そのような供給原料は、押出可能なポリマー及び治療用化合物を含む。乾燥した原剤料又は湿った原剤料は、本発明のプロセスにおいて使用することができる。
【0114】
熱溶融押出プロセスは、一般に、次のように説明される。有効量の粉末状治療用化合物を押出可能なポリマーと混合し、そして、幾つかの実施形態では、この混合物に可塑剤を添加する。医薬用化合物(医薬品、pharmaceutical compound)を、所望の放出プロフィール、治療用化合物の薬理活性及び毒性、並びに他のそのような考慮すべき点に応じた比率の範囲で、この混合物に添加することができる。次に、混合物を押出機ホッパーに入れ、押出可能なポリマー及び/又は可塑剤が存在する場合にそれを溶融又は軟化させて治療用化合物が分散されるマトリックスを形成する温度で、押出機の加熱された領域に通過させる。次いで、混合物、或いは、押出物と呼ばれるもの、が硬化し始める時に、溶融した又は軟化した混合物は、ダイ又はそのような構成要素から出される。従来、ダイを出た時の押出物は、まだ、温かいか、熱いことから、一般に、それは、個々の小片(粒子、particle)に切断され、次いで、粉砕、成型、球状化(spheronised)されて、ビーズ及び/又は錠剤にされ、或いは、所望の物理的形態に加工される。
【0115】
種々の熱溶融押出医薬製剤(pharmaceutical formulations)及びそれらの製造方法が知られているにもかかわらず、薬剤送達のための単純な製剤の開発と、該製剤の製造方法の開発は、医薬品工業では、問題を抱えたままである。この技術分野において、徐放医薬製剤のみならず、それを調製(準備)するための改良されたより効率的な方法を開発する必要性が、依然として存在している。本発明は、最終的な製剤の均一性を高め、結果として生じる球状の溶融押出ミニカプセルの構造及び機能性を改良(修正、変更)するプロセスを提供する。これは、「球状化(spheronised)」された溶融押出粒子を生産するための更なる処理の必要性(必要条件)を取り除く。更に、本発明は、芯部が液体、半固体、又は固体であり、一方、殻部が押出可能なポリマーの複合体から構成されることができる、ミニカプセルを製造する能力を有する。このように、一段階(ワンステップ)で、ゼラチンを必要としない徐放性ミニカプセル、若しくは、ゼラチンの殻部が形成されたミニカプセルを更なる徐放性ポリマーで被覆する必要がない徐放性ミニカプセル、が製造される。更に、ゲル化剤又はそのようなものから構成される殻部の必要性を取り除くことで、ミニカプセル・ペイロード能力が最大化される。本発明の別の利点は、結果として得られる製品形態から、親水性活性医薬製剤(医薬品、pharmaceutical agents)及び疎水性活性医薬製剤(医薬品、pharmaceutical agents)の放出動態(release kinetics)を更に調節するための賦形剤の導入の可能性である。組み込まれる剤料に応じて、結果として生じる製品は、種々の無定型(非晶)構造又は結晶構造を含む種々の薬剤フォーマットの安定性を維持するのに役立ち得る。従って、本発明は、溶融押出及びミニカプセル・プロセスの両方に効率性を導入し、一方で、結果として生ずる製品に付加的な機能性を導入するのみならず、重量ベースでの活性物質の量(load)を増加させる。
【0116】
加熱溶融プロセス賦形剤及び実施例
HME製剤開発では、ポリマーの選択は、HMEの製剤開発時に所望の薬物(薬剤)放出特性(プロフィール)を得る上で、決定的なファクター(要素)となっている。ポリマーの選択が良好になされることで、押出機(押出装置)での処理が容易化される。多くの市販(商用)製剤等級のポリマーは、HME製剤に用いることができ、これは、誘導セルロース、ポリ(メタクリレート)誘導体、ポリ(エチレン−コ−ビニルアセテート)、ポリ(エチレン)、ポリ(ビニルアセテート−コ−メタクリル酸)、エポキシ樹脂及びカプロラクトン、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレングリコール)、及び、種々のワックス、脂肪や、脂質ベースの賦形剤(ゲルシア(Gelucire)[登録商標]、ウィテップゾール(Witepsol)[登録商標]、ラブラフィル(Labrafil)[登録商標]や、他のもの)を含む他のものを含む。
【0117】
1つのポリマー又は複数のポリマーを選択する場合、原剤料のプロセス条件やプロセス特性(attribute)が考慮されるべきである。例えば、処理条件は、典型的には、押出されるべき剤料の流動学的特性及び熱的特性に基づいて、選択される。選択される条件は、処理のための許容溶融粘性を生成しなければならないが、それは、原剤料の劣化をもたらすことができない。トルク、溶融圧力、及び駆動モータのアンペア数は、溶融粘性の間接的な指標である。トルクは、押出機を通って剤料を移動させるために必要とされる機械仕事の指標である。溶融圧力は、剤料が圧縮され、溶融され、ダイ等の押出装置の末端にある制限を通して押し進められる際に、押出機内に生ずる力である。粘性、トルク、又は溶融圧力が高すぎると、薬物(薬剤)、賦形剤、又は添加剤の劣化が生ずる可能性がある。
【0118】
HME要求処理条件は、装置の設計、ポリマーの選択、及び製剤における種々の添加物の使用によって、定まる。
【0119】
ポリマーの溶融粘性は、処理温度が高いと溶融粘性が低くなる場合では、処理条件(プロセス条件)によって影響を受ける。一定の温度では、押出すべき剤料の粘性及び分子量が増加するにつれて、押出機内のトルクも増加する。トルク、バレル圧、及び駆動モーターのアンペア数を許容限界内に収めるために、可塑剤を製剤に取り込んでもよい。
【0120】
可塑剤は、製剤のガラス転移温度を下げるように働き、これにより、剤料の押出が容易化されると共に、押出物の可撓性が増加する。適切な可塑剤を選択することで、剤料は、押出機内において、より低い力学的エネルギーを用いて、より低い温度又は等温で、処理されることができ、これによって、温度感受性の薬物(薬剤)又はポリマーに関係する劣化の問題が低減される。幾つかの薬剤では、1つの薬物が処理の過程で可塑剤として働くことができ、その例として、イブプロフェン及びイトラコナゾールが挙げられる。処理条件を高めることに加えて、可塑剤は薬物の放出速度を変えることができるので、押出を容易化するのに十分な可塑剤が存在する一方で所望の薬物放出特性が保たれるように、バランスをとらなければならない。
【0121】
又、可塑剤は、種々の薬物構造を安定化させるために作用し得るものであり、該薬物構造として、非結晶構造又は結晶構造が挙げられる。
【0122】
これ迄、HME装置は、最終的に最適な投薬形態(dosage form)を生じさせるように、改良(修正、変更)されてきた。幾つかの設計上の改良は、スクリューの形状(輪郭、外径)、押出機の型(シングル・スクリュー対ツイン・スクリュー)、押出機の温度ゾーン設定値、押出機のホッパーに剤料を充填する方法(スターブ対フラッド供給)、及び押出速度を含む。
【0123】
装置の選択、製剤、及び処理条件を別にすれば、ポリマーの選択は、HME製剤が成功する上で重要な役割を果たす。他のものの中で、HMEにおいて広く用いられる3種類のポリマーとして、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、及びヒプロメロースが挙げられ、該ヒプロメロースとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HM又はHMPC)が挙げられる。速やかな放出の後に続く持続的放出が、迅速な開始の後に続く持続的な活性が望まれるところにおける同一の活性医薬成分に対して所望されるか、若しくは、連続的な吸収が望まれるところにおける異なった活性医薬成分に対して所望されるところにおいて、解放プロフィールは、同心的な球形の複数の層にある、又は並行なシート状形態(フォーム)にある、異なった溶融押出ポリマーの使用を通して調整されることができる。例として、各々が幾つかの等級の異なる粘性のある、メチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとからなるシンエツ(Shin-Etsu)のメトロース類が挙げられる。メトロースSRは、もっぱら厳しい特性を持つ親水性マトリックス剤向けに設計(構成)されたものであり、これは、特に、このマトリックス系(システム)に適したものである。親水性のマトリックス系は、本質的に、薬物(薬剤)と水溶性の高粘性ポリマーとからなる経口用投薬形態(フォーム)のための最も単純な持続的放出技術である。組成を変えることで、単一の活性医薬成分又は複数の活性医薬成分の即時放出及び持続的放出の両方が可能になる。
【0124】
ポリ(エチレン)酸化物(PEO)は、自由流動性の白色の親水性粉末である。それは、100,000乃至7,000,000Da分子量で入手可能な高結晶性ポリマーである。現在のところ、それは、徐放(controlled-release)、固体投与量マトリックス系、経皮薬剤送達系(システム)、及び粘膜生体接着剤等の適用において、医薬産業で用いられている。PEOは、処理ウィンドウが広いことから、HMEの理想的な候補である。PEOの結晶化融点は、分子量に依存して、〜70℃である。可塑剤なしで、PEOをその融点より適度に高い処理温度で押出することができ、装置の限界に制約される。押出時、PEOの潜在的な劣化は、ビタミンE琥珀酸塩(succinate)、ビタミンE、或いはビタミンE・TPGSの添加によって減少した。これらは、PEOの分子量損失を制限すえる(ケー・コッペン氏等の「サーマル・アンド・レオロジカル・イバリュエーション・オブ・ファーマシューティカル・エクシピエンツ・フォー・ホット・メルト・エクストルージョン」(“Thermal and Rheological Evaluation of Pharmaceutical Excipients for Hot Melt Extrusion”)、バルチモア、エム・ディー、エー・エー・ピー・エス、アニュアル・ミーティング・アンド・エクスポジションにて2004年に呈された文書)。
【0125】
レプカ氏(Repka)等(「プロダクション・アンド・キャラクタライゼーション・オブ・ホットメルト・エクストルーディッド・フィルムス・コンテイニング・クロトリマゾール」(“Production and Characterization of Hot-Melt Extruded Films Containing Clotrimazole,”)ドラッグ・ディー・イー・ビー、アイ・エヌ・ディー、ファーム、29 (7), 757-765 (2003))(Drug Dev. lnd. Pharm. 29 (7), 757-765 (2003)))は、HME製造投薬形態(フォーム)が患者のコンプライアンスを改善し得ることを示唆した。彼らは、高効率の投薬形態を製造するのにHMEを用いることができ、これによって、投与頻度(21)が減少することを論じた。この研究は、分子量(MW)100,000のPEOをHPC及び活性成分ポリカルボフィル(Noveon AA-I)と組み合わせることで、厚さが0.34〜0.36mmのフィルムを生産することに関係するものであった。フィルム用ダイを備えた単一スクリュー押出機(Killion、KLB-100)が用いられた。PEG3350が、酸化防止剤としてブチル化水酸化トルエン及び没食子酸プロピル、並びに抗真菌剤としてクロトリマゾール(10% w/w)と共に、可塑剤として製剤に添加された。フィルムの正確な組成は開示されなかった。これらのフィルムは、優れた含量均一性を持つことが報告された。広角X線回折による研究によって、クロトリマゾールがHMEフィルム内に分子状に分散することが示された。クロトリマゾールは、6時間にわたるゼロ次放出(zero-order release)を示すと共に、10時間にわたる持続的放出(prolonged release)を示した。
【0126】
シャハター氏(スコットランド、グラスゴーの第30回アニュアル・ミーティング・オブ・ザ・コントロールド・リリース・ソサイアティにて、2003年7月に呈された「ソリッド・ソリューション・オブ・ア・プアリー・ソリュブル・モデル・ドラッグ・イン・ア・フェイズ・セパレーティッド・ポリマー・マトリクス:メルト・プリペアード・ディスパージョンズ・ベーズド・オン・ポリオックス・ダブリュ・エス・アール(POLYOX WSR)」(“Solid Solution of a Poorly Soluble Model Drug in a Phase-Separated Polymer Matrix: Melt-Prepared Dispersions based on POLYOX WSR”))は、ケトプロフェンで固体溶融分散を準備するために、分子量(MW)100,000のPEOを検討した。ニート・ケトプロフェンには、強い溶融遷移がある。混合された剤料に対する示差走査熱量測定(DSC)及びX線回折(XRD)分析によれば、ケトプロフェンがPEOの非晶相に溶けることが示唆された。促進条件(40℃及び75%RH)で1ヶ月間にわたり保存された試料についてのXRD分析に示されるように、分散体は安定していた。この著者は、他の薬物構造を有する固体分散体を形成するPEOの能力を試験した。DSCの結果は、イブプロフェン、トルブタミド、スルファチアゾール、及びヒドロフルメタジドがPEO内に固体分散体を潜在的に形成することができることを示した。固体状態の核磁気共鳴(SSNMR)の結果は、何れかの成分の融点よりも温度が低い場合であっても、ケトプロフェンの結晶格子を分裂させるのに十分なほどPEOケトプロフェン相互作用が強いことを示した。この著者は、整然とした結晶構造に対して、混合物中のケトプロフェンの移動度が増加することを報告した。これらの結果は、ケトプロフェンを含む固体分散体を低温で形成するPEOの能力を裏付けるものであった。
【0127】
エチルセルロース(EC)は、セルロースの疎水性エチルエーテルである。ECは、活性成分のマイクロカプセル化、徐放性マトリックス系(システム)、味覚マスキング、溶媒(溶剤)及び押出物粒状化、錠剤結合に関する医薬用途、並びに錠剤及びビーズ用の徐放被膜(controlled-release coating)としての医薬用途に、現在用いられている。ECは、種々の分子量で入手することが可能であり、Tg値が129〜133℃であり、又結晶融点が〜180℃である。ECは、押出には良好な候補である。なぜなら、それは、ガラス転移温度よりも高く、かつ劣化を示す温度(−250℃)よりも低い温度で、熱可塑性の挙動を示すからである(ケー・コッペン氏等の「サーマル・アンド・レオロジカル・イバリュエーション・オブ・ファーマシューティカル・エクシピエンツ・フォー・ホット・メルト・エクストルージョン」(“Thermal and Rheological Evaluation of Pharmaceutical Excipients for Hot Melt Extrusion”)、バルチモア、エム・ディー、エー・エー・ピー・エス、アニュアル・ミーティング・アンド・エクスポジションにて2004年に呈された文書)。
【0128】
デブラバンダ氏(DeBrabander)等は、親水性賦形剤(HM)の添加によって、ECからのイブプロフェンの放出速度を改良(変更、修正)する研究を行った(「ディベロップメント・アンド・エバリュエーション・オブ・サステインド・リリース・ミニマトリシズ・プリペアド・ビア・ホット・メルト・エクストルージョン」(“Development and Evaluation of Sustained Release Mini- Matrices Prepared via Hot Melt Extrusion”)、ジェイ・コントロールド・リリース、89 (2), 235-247 (2003)(J. Controlled Release 89 (2), 235-247 (2003))。彼らは、ミニ・マトリックスを生産するために、3mm金型を有する共回転2軸スクリュー押出機を用いた。手作業によって押出物を全長2mmの投薬形態に切断した。製剤においてHMをECの比率に変えることで、薬物放出速度が変化し、HMの比率が増加するにともなって放出速度が増加した。著者は、又、ポリマーをもって押出された後のイブプロフェンの熱の安定性について研究した。著者は、高パーフォーマンス液体クロマトグラフィーによる測定で、押出後に、イブプロフェン量の98.9%が残留していることを見出した。
【0129】
ヒプロメロース(HM)、親水性のセルロースエーテルは、粘性及び置換のあるレンジで利用可能である。それは、徐放性マトリックス、錠剤被膜、及び粒状化結合剤等の医薬用途で用いられる。HMは、Tgが160乃至210℃であり、置換に応じて、250℃を上回る温度で有意な劣化を示す。HMに狭い処理ウィンドウ(narrow processing window)を与える、その高いTg及び低い劣化温度のために、押出がチャレンジであることが証明された。処理ウィンドウを広げる1つの方法は、オルダーマン氏(Alderman)及びウルフォード氏(Wolford)によって記述されているように、製剤に多量の可塑剤を取り込ませることである(「サステインド・リリース・ドーシッジ・フォーム・ベイズド・オン・ハイリー・プラスティサイズド・セルロール・エーテル・ゲルズ」(“Sustained Release Dosage Form based on Highly Plasticised Cellulose Ether Gels”)米国特許第4,678,516号明細書(1987年7月7日))。著者は、押出されたマトリックス製剤に、少なくとも30重量%の可塑剤を用いることを示唆した。
【0130】
ベレック氏(Verreck)、シックス氏(Six)、及び同僚は、イトラコナゾール(クラスII薬剤)及びHMの固体分散体を研究した(「キャラクタライゼーション・オブ・ソリッド・ディスパージョン・オブ・イトラコナゾール・アンド・ハイドロクシプロピルメチルセルロース・プリペアド・バイ・メルト・エクストルージョン・パート・ワン」(“Characterization of Solid Dispersions of Itraconazole and Hydroxypropylmethylcellulose Prepared by Melt Extrusion-Part I”)インターナショナル・ジェイ・ファーム 251 (1-2) 165-174 (2003)(Int. J. Pharm. 251 (1-2) 165-174 (2003))。
【0131】
最初の結果は、HM中に、イトラコナゾールの非晶質固体分散体が形成されることを示した。40%のイトラコナゾールと、60%のHMとの混合物の研究に、HMEが用いられた。共回転2軸スクリュー押出機を用いて形成された試料(サンプル)は、ミルにかけられることで、120分で90%のイトラコナゾールを放出した。薬剤とポリマーとの物理的混合で作られた試料は、同じ時間で、わずか2%のイトラコナゾールを放出した。イトラコナゾールの溶解速度を改善する研究では、押出物をミルにかけ、25%のイトラコナゾール、75%のHM、80%の薬物を含む製剤が、30分以内に溶解せしめられた。これらの結果は、各々、30分後に0%及び5%の薬剤放出を有するところの、結晶状及びガラス状のイトラコナゾールの溶解とは対照的である。
【0132】
ランバリ氏(Rambali)等は、イントラコナゾール、HM、及びヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HP−β−CD)を含むHME製剤を最適化した(「イントラコナゾール・フォーミュレーション・スタディーズ・オブ・ザ・メルト・エクストルージョン・プロセス・ウィズ・ミクスチャ・デザイン」("Itraconazole Formulation Studies of the Melt-Extrusion Process with Mixture Design")、ドラッグ・ディビジョン・アイ・エヌ・ディ・ファーム 29 (6), 641-652 (2003)(Drug Dev. Ind. Pharm. 29 (6), 641-652 (2003))。この著者は、高薬物充填を有する製剤がより低いトルクを有することから、イトラコナゾールが溶解のための可塑剤として作用することを報告した。例えば、60%のHM、20%(HP−β−CD)、及び20%のイトラコナゾールを有する製剤は、45%のトルクを有していた。イトラコナゾールの割合が、37%のHM及び20%(HP−β−CD)をもって、43%に増加した時、トルクは34%に減少した。3.0mmの棒状金型を有する共回転2軸スクリュー押出機が、これらの観測結果を得るのに使用された。
【0133】
ECとHMとは、活性医薬を送達するべく、独特の投薬形態に組み合わされることができる。これらの投薬形態の1つは、EC外側パイプと、別個に調製(準備)されたHM芯部とを使用した(「ホット・メルト・エクストルーディッド・エチルセルロース・シリンダーズ・コンテイニング・ア・エイッチ・ピー・エム・シー・ゲルシア・コア・フォー・サステインド・ドラッグ・デリバリ」(“Hot-Melt Extruded Ethylcellulose CylindersContaining a HPMC-Gelucire Core for Sustained Drug Delivery”)、ジェイ・コントロールド・リリース 94 (2-3), 273280 (2004)(J. Controlled Release 94 (2-3), 273280 (2004))。ECパイプが、金属インサートを備えた環状金型を有する実験室規模の共回転2軸スクリュー押出機により、HMEを用いて製造された。芯部は、手作業により、成分が溶けるまで加熱し、その後に均質化することによって、調製(準備)された。芯部の剤料は、手作業によってパイプ内に充填された。著者は、全プロセスが全面的なHME生産作業で自動化され得ることを提案する。この研究の目的は、HMマトリックス錠剤にしばしば見られる破裂効果(バースト効果)を減少させることであった。テオフィリン・モノハイドレート(可溶の媒体及び水溶解度8.33g/l)、プロプラノロールHCl(制限されることなく水溶性、水溶解度50g/l)、又はヒドロクロロチアジド(難溶性、0.1N HCl溶解度0.25g/l)の5%薬剤充填をもって、薬剤溶解度は、放出速度に影響しなかったことが報告された。これに代わり、溶解特性(プロフィール)は、3種類の薬剤全てについて、耐食制御されたゼロ次薬物放出(zero-order drug releaseを示した。筆者は、又、内側の芯部で使用されたHMの粘性等級及び置換タイプを調べた。
【0134】
著者は、同一のHM粘性に関して、放出速度には何ら差異がなかったことを見出した。にもかかわらず、HMをメチルセルロース(MC)に置き換えることで、放出速度がより速くなった。
【0135】
メハイズ氏(Mehuys)等による別の研究は、芯部が単独で用いられる代わりに、HM−ゲルシア芯部を有するECパイプを用いた場合に、プロプラノロールHClの生物学的利用能が増加することを報告した(「イン・ヴィトロ・アンド・イン・ヴィヴォ・イバリュエーション・オブ・ア・マトリクス・イン・シリンダ・システム・フォー・サステインド・ドラッグ・ディリバリー」("In Vitro and in Vivo Evaluation of a Matrix-in-Cylinder System for Sustained Drug Delivery")、ジェイ・コントロールド・リリース 96 (2), 261-271 (2004))(J. Controlled Release 96 (2), 261-271 (2004))。金属インサートを備えた環状金型を有する実験室規模の共回転2軸スクリュー押出機によって、ECパイプが製造された。このパイプは、内径が5mm、肉厚が1mmであり、このパイプは、12mmの長さに切断された。芯部剤料は、溶けるまで加熱された後、均質化させた。このパイプの芯部は、別体で調製(準備)されたHMゲルシア芯部剤料で、手作業により充填された。著者は、流体力学、機械的ストレス、及び溶解媒体が、薬物放出速度に殆ど影響しないことを報告した。結果は、インデラル(Inderal)(ワイエス(Wyeth))の持続的放出性の製剤と比較して、円筒状のプロプラノロールHCl中のHME生成マトリックスが犬で良好な生物学的利用能を有することを示した。著者は、円筒系(システム)のマトリックスの相対生物学的利用能が、AUC0−24という手段を用いて測定したところ、インデラルよりも〜400%良好であることを報告した。
【0136】
米国特許第6,391,338号明細書(バイオバイル社(Biovail Inc.))は、熱溶融製剤を開示している。この熱溶融製剤は、医薬活性成分であるイブプロフェン又はニフェジピンのいずれかを、主としてユードラギット(Eudragit)(登録商標)E100から構成される持続的放出芯部内に含む。これらの組成物は、胃環境から大腸に至る経口投与に続く持続的放出に利用可能である、一定量のイブプロフェン又はニフェジピンを有する。
【0137】
徐放性ポリマー−膜制御投薬形態(投薬フォーム)
本発明の改良(修正、変更)された放出製剤は、膜制御製剤としても提供されることができる。本開示の膜制御製剤は、迅速放出芯部を調製することによって作ることができる。この芯部は、ゼラチン殻部によって封入された液体、半固体又は固体であることができ、該殻部を機能被膜によって被覆する。膜制御被膜の存在下又は非存在下で、芯部自体がミニカプセルからの医薬用化合物の放出速度を制御するように、芯部は、液体、半固体、又は固体であろうとも、製剤化(調剤化、formulated)されることができる。膜制御投薬形態の詳細を以下に示す。本発明の或る実施形態では、医薬用化合物は、複数のミニカプセル膜制御製剤に与えられる。活性医薬成分は、液体、半固体、又は固体の物質として製剤化することができ、これにより、溶解性、浸透性、又は溶解速度が高められ、又、この活性医薬成分は、2層又は3層のミニカプセルの芯部として利用される。このミニカプセルは、混和性の芯部の成分と殻部の成分とを分離するために、付加的な緩衝層の有無にかかわらず、付加的に殻部を備える。このミニカプセルの直径は、0.5mmから約5.0mmまでの範囲であってよい。同一の活性(成分)又は1以上の他の活性成分の付加的な医薬用化合物は、流動床コーター又はパン・コーティング・システムを用いて、溶液又は懸濁液から噴霧することができる。
【0138】
ミニカプセルからの製剤放出の位置を制御するために、種々の遅延放出及び/又は延長放出ポリマー剤料(extended-release polymeric materials)が、膜被膜としてミニカプセルに塗布される。そのポリマー剤料は、水溶性ポリマー及び不水溶性ポリマーのいずれをも含む。可能な水溶性ポリマーは、これに限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース又はポリエチレングリコール、及び/又はこれらの混合物を含む。
【0139】
可能な不水溶性のポリマーは、これに限定されるものではないが、エチルセルロース、セルロースアセテート、プロピオン酸セルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸酪酸セルロース(セルロースアセテートブチレート)、酢酸フタル酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸エチル)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、及びポリ(ヘキシルメタクリレート)、(ポリ(イソデシルメタクリレート))、ポリ(メタクリル酸ラウリル)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸メチル)、ポリ(イソプロピルアクリル酸塩)、ポリ(アクリル酸イソブチル)、ポリ(オクタデシル・アクリル酸塩)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレン)低密度、ポリ(エチレン)高密度、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、又はポリウレタン、及び/又はそれらの混合物を含む。
【0140】
ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)ポリマー(エボニク(Evonik)から入手可能)は、アクリル酸塩及び/又はメタクリレート(メタクリル樹脂)をベースとした重合性ラッカー物質である。活性成分と水とに対して制限されることなく浸透性を有する適切なポリマーは、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RLである。活性成分と水とに対してわずかに浸透性を有する適切なポリマーは、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RSである。活性成分と水とに対してわずかに浸透性があり、かつpH依存的な浸透性を有する他の適切なポリマーは、これに限定されるものではないが、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S、及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Eを含む。
【0141】
ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRSは、第四アンモニウム基の含有量が小さいアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルとの共重合体から構成されるアクリル樹脂である。そのアンモニウム基は、塩として存在し、ラッカー膜の浸透性を高める。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRSは、pHとは無関係に、それぞれが制限されることのない浸透性(RL)及びわずかな浸透性(RS)を有する。ポリマーは、pHとは無関係に、水及び消化液中で膨潤する。該膨潤状態において、それらは、水及び溶かされた活性化合物に対して、浸透性を有する。
【0142】
ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Lは、メタクリル酸及びメタクリル酸メチルエステルから合成された陰イオンポリマーである。それは、酸及び純水において不溶性である。それは、中性条件乃至弱アルカリ性条件で可溶性となる。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Lの浸透性は、pHに依存する。pH5.0を超えると、ポリマーの浸透性は増加する。
【0143】
膜制御投薬形態を含む様々の実施形態では、ポリマー剤料は、メタクリル酸共重合体、アンモニオメタクリレート共重合体、或いはそれらの混合物を含む。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L(エボニク(Evonik))等のメタクリル酸共重合体は、本発明の徐放製剤での使用にふさわしい。これらのポリマーは、胃液耐性及び腸内可溶性のポリマーである。これらのポリマー膜は、純水及び希釈された酸において、不溶性である。それらは、カルボン酸の含有量に依存して、より高いpHで溶ける。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Lは、ポリマー被膜中の単一成分として、又は任意の比率での組み合わせにおいて、用いることができる。複数のポリマーを組み合わせて使用することによって、ポリマー剤料は、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Sが独立して溶ける上記pHの範囲内にあるpHで、可溶性を示し得る。
【0144】
膜被覆は、少なくとも1つの医薬的に許容し得る水溶性ポリマーを主たる割合(すなわち、全ポリマー含有量の50%以上)で含むポリマー剤料であって、随意的に少なくとも1つの医薬的に許容し得る水不溶性のポリマーを少ない割合(すなわち、全ポリマー含有量の50%未満)で含むポリマー剤料を、含むことができる。或いは、薄膜被膜は、少なくとも1つの医薬的に許容し得る水不溶性ポリマーを主たる割合(すなわち、全ポリマー含有量の50%以上)で含むポリマー剤料であって、随意的に少なくとも1つの医薬的に許容し得る水溶性のポリマーを少ない割合(すなわち、全ポリマー含有量の50%未満)で含むポリマー剤料を、含むことができる。
【0145】
アミノメタクリレート共重合体は、あらゆる所望の比率で組み合わせることができる。又、この比率を変えることで、薬物放出の速度が変わる。例えば、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS:ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RLの比率を90:10として用いることができる。或いは、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS:ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RLの比率を約100:0、乃至約80:20、或いは、約100:0乃至約90:10、或いは、その中間の任意の比率とすることができる。そのような製剤では、浸透性が低いポリマー・ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RSは、一般に、より可溶性があるRLを含む大多数のポリマー剤料からなり、それが溶解した時、制御された方法で、溶質が芯部に入り、かつ溶けた医薬活性成分が逃げる隙間(ギャップ)の形成が許容される。
【0146】
薬物の放出において、所望の遅延を達成するために、アミノメタクリレート共重合体は、ポリマー剤料内で、メタクリル酸共重合体と結合(化合)せしめられることができる。アンモニオメタクリレート共重合体(例えば、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS)とメタクリル酸共重合体との比率は、約99:1乃至約20:80の範囲内で、用いることができる。2つのタイプのポリマーは、組み合わされて、同一のポリマー剤料にすることができ、或いは、芯部に塗布される別々の被膜として提供されることもできる。
【0147】
上で議論されたユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)ポリマーに加えて、他の腸溶性、又はpH依存性、のポリマーを用いることができる。そのようなポリマーは、フタル酸エステル(塩)、酪酸塩(ブチラート)、琥珀酸エステル(塩)及び(又は)メリタート基を含むことができる。そのようなポリマーは、これに限定されるものではないが、酢酸フタル酸セルロース、酢酸セルロース琥珀酸塩、セルロース水素フタル酸塩、酢酸セルローストリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタル酸塩、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート琥珀酸塩、酢酸でんぷんフタル酸塩、アミロースアセテートフタル酸塩、ポリ酢酸ビニルフタル酸塩、及びポリビニルブチレートフタル酸塩を含むことができる。
【0148】
シュアリース(Surelease)(登録商標)は、カラーコン(Colorcon)によって開発された水性性のエチルセルロース分散であり、膜形成ポリマー、可塑剤、及び安定化剤の独特の組み合わせ(化合物、combination)である。持続的放出及び味覚マスキングでの適用を目的として設計されたシュアリース(Surelease)(登録商標)は、放出速度制御ポリマーとして、エチルセルロースを用いる、使い易く、全体的に水性の被膜系(被膜システム)である。その分散は、pHに対して比較的非感受性である再現可能な特性(プロフィール)によって、薬物放出速度を調節するための順応性(融通性)を提供する。
【0149】
薬物放出の主たる手段は、シュアリース(Surelease)(登録商標)分散膜を介した拡散によるものであり、これは、膜厚によって、直接、制御される。適用されるシュアリース(Surelease)(登録商標)の量を増減させることで、放出速度は、容易に、変えることができる。
【0150】
シュアリース(Surelease)(登録商標)の分散をもって、再現可能な薬剤放出特性は、開発プロセスから、スケールアップ及び生産プロセスに至るまで、一貫して正確(適切、right)である。より多くの情報は、カラーコン(Colorcon)社のウェブサイト(www.Colorcon.com)で見つけることができる。
【0151】
制御された放出被膜を可能にするために、所定の範囲(range)の付加的剤料を用いることが可能である。更に、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)、シュアリース(Surelease)(登録商標)、或いは他のポリマー若しくは剤料は、任意の組み合わせで用いられることができる。
【0152】
被膜は、ポリマー剤料の浸透性を増加させるために、更に、少なくとも1つの可溶性の賦形剤を含むことができる。適切には、少なくとも1つの可溶性の賦形剤が、可溶性ポリマー、界面活性剤、アルカリ金属塩、有機酸、糖、及び糖アルコールの中から選択される。そのような可溶性の賦形剤は、これに限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、塩化ナトリウム、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート)、有機酸(例えば、酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、グルタル酸、リンゴ酸、コハク酸及び酒石酸)、糖(例えば、デキストロース、果糖、グルコース、ラクトース、及び蔗糖)、糖アルコール(例えば、ラクチトール、マルチトール、マンニトール、ソルビトール、及びキシリトール)、キサンタンガム、デキストリン、及びマルトデキストリンを含む。幾つかの実施形態では、ポリビニルピロリドン、マンニトール及び/又はポリエチレングリコールが、可溶性の賦形剤として用いられ得る。少なくとも1つの可溶性の賦形剤が、ポリマーの乾燥重量の合計に基づいて、約1%乃至約10重量%の範囲で用いられ得る。あらゆる適切な手段、例えば、GLATT、ACCELACOTA、及び/又はHICOATERプロセス装置等の有孔(孔空け、perforated)パン・システムを用いることによって、被覆プロセスが実行され得る。
【0153】
放出時の遅延又は延長をなすような、放出速度の改良(修正、変更)は、数多くのやり方で達成され得る。機構は、腸内の局所pHに対して依存又は独立することができ、又、所望の効果を達成するために、局所的に酵素の活動にも依存することができる。例えば、改良(修正、変更)された放出製剤の例が、当該技術分野で知られており、当該例は、例えば、米国特許第3,845,770号明細書、第3,916,899号明細書、第3,536,809号明細書、第3,598,123号明細書、第4,008,719号明細書、第5,674,533号明細書、第5,059,595号明細書、第5,591,767号明細書、第5,120,548号明細書、第5,073,543号明細書、第5,639,476号明細書、第5,354,556号明細書、及び第5,733,566号明細書に開示されている。
【0154】
改良(修正、変更)された延長放出(解放)膜投薬形態をもって、半透膜は、興味のある活性物質を含む製剤を囲むことができる。半透膜は、水及び溶質の両方に対して、多かれ少なかれ浸透性を有するものを含む。この膜は、不水溶性及び/又は水溶性ポリマーを含み得るものであり、この膜は、pH依存性及び/又はpH非依存性の溶解特性を示すことができる。これらのタイプのポリマーは、以下に詳しく説明する。一般に、例えば、膜の組成によって決定され得る、ポリマー膜の特性は、投薬形態からの放出の性質を決定するであろう。
【0155】
使用に適した幾つかの改良(修正、変更)された投薬形態(投薬フォーム)を以下に説明する。そのような形態についてのより詳しい議論は、又、例えば、「ザ・ハンドブック・オブ・ファーマシューティカル・コントロールド・リリース・テクノロジー、ディー・エル・ワイズ(ド)、マーセル・デッカー・インコーポレイテッド、ニューヨーク(2000)」(The Handbook of Pharmaceutical Controlled Release Technology. D. L. Wise (ed.), Marcel Decker, Inc., New York (2000))や、「トリーティズ・オン・コントロールド・ドラッグ・ディリバリー、ファンダメンタルズ、オプチマイゼーション・アンド・アプリケーションズ、エー・キュドニウス(ド)、マーセル・デッカー・インコーポレイテッド、ニューヨーク(1992)」(Treatise on Controlled Drug Delivery: Fundamentals, Optimization, and Applications, A. Kydonieus (ed.), Marcel Decker, Inc., New York, (1992))に見い出されることができ、これらに関連する各内容は、この目的のために、本明細書中に援用される。改良(修正、変更)された放出製剤(解放製剤)の例は、これに限定されるものではないが、改良(修正、変更)された飾、マトリックス、浸透性システム、及びイオンシステムが挙げられる。上に示唆されるように、これらの全ては、単一ユニット、若しくは複数ユニット、の投薬形態の形態をなしている。
【0156】
結腸送達被覆及び製剤(formulations)
結腸への薬剤の経口送達は、結腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病、癌、及び感染)の治療において価値がある。これによって、高い局所濃度(濃縮)が達成できる一方で、上部GITでの薬物の放出のために、或いは不要な組織吸収のために、生ずる副作用を最小限にすることができる。結腸はリンパ系組織に富んでおり、結腸粘膜のマスト細胞に抗原が取り込まれることで、抗体の迅速な局所産出(local production)が生じ、これは、効率的なワクチン送達を援助する(サラシジャ、エス・アンド・ホタ・エー、コロン・スペシフィック・ドラッグ・ディリバリ・システムズ、アイエヌディ・ジェイ・ファーム・エスシーアイ、62: 1-8, 2000(Sarasija, S. and Hota, A.. Colon-specific drug delivery systems. Ind J Pharm Sci, 62: 1-8, 2000))。結腸は、吸収されにくい薬物分子が、改善された生物学的利用能を持つと考えられる部位として、注目されている。結腸のこの部位は、胃及び小腸と比べて、多様性及び活動の強度が小さく、やや厳しくない環境を有するものとして認識されている。更に、結腸は、より長い保持時間(retention time)を持っており、吸収されにくい薬物の吸収を増強する薬剤に対して、高い反応性を示す。投薬形態を遅延又は標的化することとは別に、信頼できる結腸薬物送達は、又、経口的に投与され、消化されず、変化せず、そして十分に活性のあるペプチド薬物の結腸での吸収にとって、重要なスターティング・ポジションであり得る。大腸は、相対的に、ペプチダーゼがないことから、そのような特別の送達系(送達システム)は、経口投与後に十分に吸収された薬物を得るためのまずまずの機会(fair chance)を得る。結腸に対する薬剤の標的化のための最も単純な方法は、層が厚い従来の腸溶性被膜(enteric coatings)を適用することで、或いは非常にゆっくりと放出するマトリックスを適用することで、より穏やかな放出速度、或いはより長時間にわたる放出を得ることである。
【0157】
経口投与された薬物を結腸に対して標的化させるための種々の戦略は、担体に対する薬物の共有結合、pH感受性ポリマーによる被覆、時限放出系(システム)の製剤化、結腸の細菌によって特異的に分解(degraded)される担体の利用、生体接着系(システム)及び浸透性の制御薬物送達系(システム)を含む。炎症性腸疾患(IBD)の局所化学療法のために5−アミノサリチル酸(5−ASA)を送達することを目的として、様々なプロドラッグ(スルファサラジン、イプサラジン、バルサラジン、及びオルサラジン)が開発されている。結腸に対する薬物の標的化で使用するために、微生物によって分解可能なポリマー(特に、アゾ架橋ポリマー)が研究されている。或る種の植物多糖類、例えばアミロース、イヌリン、ペクチン、及びグアーガムは、胃腸酵素の存在下で、影響されない状態を保つことから、結腸を標的とする薬物送達系の製剤化への道を開く。結腸内で薬物を放出するためのトリガーとしてpHを用いるという考え方は、胃腸管を下って連続的に変化するpHの状態に基づくものである。胃を離れてから3乃至4時間まで薬物の放出を防ぐという原則に基づいて、時間依存型の薬物送達系が開発されている。レドックス感受性ポリマー及び生体接着系(システム)も、又、結腸内への薬剤送達のために開発されている。
【0158】
pH依存性の系(システム)は、ヒトGITのpHが胃(消化の際に4まで増加するpH1乃至2)から、消化の部位にある小腸(pH6乃至7)へ徐々に高くなり、そして、遠位の回腸では7乃至8にまで増加する、という、一般に受け入れられている考えを生かすものである。錠剤、カプセル、又はペレットに対してpH感受性のポリマーを被覆することで、遅延放出が得られ、胃液から活性薬物が保護される。しかし、結腸標的化に用いられたポリマーは、胃、及び小腸の近位部の低いpH値に耐えられる必要があり、又、回腸終端部及び好ましくは回盲部のわずかにアルカリ性に傾いた中性pHで分解できることも必要である。
【0159】
投薬形態のGI残留時間は、多くの生理学的因子及び他の因子によって影響を受けるpH依存性結腸標的化送達系にとって、もう1つの重要なパラメータである。にもかかわらず、GITの種々の部位に関して、一般的に受け入れられている幾つかのGI残留値が存在する。最も一般的に用いられているpH依存型被膜ポリマーは、メタクリル酸共重合体であり、これは、一般的に、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S(エボニク(Evonik)AG、ダルムシュタット、ドイツの登録商標)、より具体的にはユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S、として知られているものである。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L100及びS100は、メタクリル酸とメチルメタクリレートとの共重合体である。カルボキシル基とエステル基との比率は、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L100では、約1:1及びよびユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S100では、約1:2である。該ポリマーは、塩を形成し、pH5.5以上で溶解し、水に分散してラテックスを形成することから、被覆プロセスでの有機溶媒の使用が避けられる。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L30D−55は、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L100−55の水分散液を使用できる状態にある。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)Sの水溶解性は、遊離カルボキシル基とエステル化基との比率に依存する。これらのポリマーの能力(性能)に影響を及ぼす重要な要因は、溶解が生じるpH値である。イオン化可能なフタル酸基を有するポリマーは、アクリル酸基又はメタクリル酸基を有するものと比較して、より速く、かつより低いpHで溶解する。溶解媒体中の可塑剤(81)の存在及び塩(82、83)の性質も、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶解速度に影響を及ぼす。更に、形成された膜の浸透性は、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)を溶解するのに用いられる溶媒の種類に依存し得る(ドレスマン、ジェイ・ビー、アミドン、シー、レパス、シー、アンド・サー、ヴイ・ピー、ディソリューション・テスティング・アズ・ア・プログノスティック・ツール・フォー・オーラル・ドラッグ・アブソープション、イミーディエット・リリース・ドーシッジ・フォームズ、ファーム・アール・イーエス、15: 1 1-22, 1998(Dressman, J. B., Amidon, C, Reppas, C. and Shah, V. P., Dissolution testing as a prognostic tool for oral drug absorption: Immediate release dosage forms, Pharm Res, 15: 1 1-22, 1998)。
【0160】
多糖類(単糖類のポリマー)は、胃腸酵素の消化作用に対して耐性を示すことから、該多糖類の完全性を保持する。多糖類のマトリックスは、胃及び小腸の生理学的環境内で完全なままであると考えられるが、ひとたび結腸に達すると、細菌ポリサッカライダーゼによる作用を受けて、マトリクスの劣化が生ずる。この天然ポリマーのファミリーは、薬物送達の領域に受け入れられる。なぜなら、該ファミリーは、数多くの誘導体化可能な基、広範囲の分子量、可変の化学組成物、及び大部分は低毒性であること、並びに生物分解性を有するにもかかわらず、高安定性を有するとのころの、複数のポリマーから構成されているからである。これらの剤料の最も好ましい特性は、それらが、医薬賦形剤として、既に、承認されていることである。多くの多糖類、例えば、アミロース、グアーガム、ペクチン、キトサン、イヌリン、シクロデキストリン、コンドロイチン硫酸塩、デキストラン、及びローカストビーンガム、が、結腸標的化薬物送達系でのそれらの使用について、研究されている。結腸標的化薬物送達系に用いられる多糖誘導体の開発における最も重要な事実は、適切な生物分解性の多糖類の選択である。これらの多糖類は、通常、水溶性であることから、架橋又は疎水性誘導体化によって、これらを水不溶性にしなければならない。
【0161】
グアーガムは、本来、親水性であり、冷水の中で膨潤し、粘着性のコロイド分散或いはゾルを形成する。このゲル化特性は、投薬形態からの薬物の放出を遅らせると共に、結腸の環境下での劣化の影響を受けやすい。ヒト由来の均質化され希釈された糞便が、グアーガムと共にインキュベートされ、腸内マイクロフローラによる多糖類の劣化が調べられた。それは、急激な粘性の減少及びpHの低下を生ずる一方で、オートクレーブ滅菌された糞のホモジェネートとインキュベートされた場合には、そのような結果は観察されなかった。経口送達製剤におけるビヒクル(vehicle)として使用するための膨潤特性を減少させるために、グアーガムが、増加量のトリメタホスフェート・3ナトリウムで架橋せしめられた。架橋形成処理の結果、グアーガムは、その非イオンの性質を失って、負に帯電するようになった。これは、ヒトロゲル網が崩壊する増加濃度で、塩化ナトリウム溶液中でのメチレンブルー吸着及び膨潤の研究によって明かにされた(グリコ・カビル、アイ、ヤゲン、ビー、ペンハシ、エー、アンド・ルビンシュタイン、エー、フォスフェイティッド・クロスリンクド・グアール・フォー・コロン・スペシフィック・ドラッグ・デリバリ、アイ、プレパレーション・アンド・フィジコケミカル・キャラクタライゼーション、ジェイ・コントロール・アール・イー・エル、63: 121-127, 2000(Gliko-Kabir, L, Yagen, B., Penhasi, A. and Rubinstein, A., Phosphated crosslinked guar for colon-specific drug delivery. I. Preparation and physicochemical characterization. J Control Rel, 63: 121-127, 2000)。架橋されたグアーガム生成物(製品、products)が分析され、結腸に特有の薬剤担体としての効能がチェックされ、0.1当量のトリメタホスフェート・3ナトリウムで架橋された生成物はPBS(pH6.4)中で少なくとも6時間にわたってヒドロコルチゾン搭載量(load)の80%の放出を防ぐことが見出された。ガラクトシダーゼ及びマンナナーゼ或いはそれらの誘導体の混合物が緩衝液に添加された時、放出の増強が観察された。ラットの盲腸での生体内(in vivo)劣化についての研究によれば、グアーガムを化学的に変更(修正)したにもかかわらず、その酵素劣化特性は架橋剤の濃度に依存したかたちで保持されたことが示された。担体としてのグアーガムを使用し、かつモデル薬剤としてのインドメタシンを使用する、経口投与用の新規な錠剤製剤が、生体外の(in vitro)方法を用いる結腸標的化薬剤送達系に関し、研究された。胃腸管の通過を刺激する条件下における薬剤の放出についての研究により、胃及び小腸の生理学的環境下で薬剤が完全に放出されることをグアーガムが保護することが示された。ラットの盲腸含有物を含むpH6.8のPBSでの研究は、結果として生ずる薬剤放出を伴う結腸の細菌酵素作用に対するグアーガムの感受性を実証した(ラマ・プラサッド、ワイ、ブイ、クリシュナイア、ワイ、エス、アール アンド・サティアナラヤナ、エス、イン・ヴィトロ・エバリュエーション・オブ・グアー・ガム・アズ・ア・キャリア・フォー・コロン・スペシフィック・ドラッグ・デリバリ、ジェイ・コントロール・アール・イー・エル、51 : 281-287, 1998(Rama Prasad, Y.V., Krishnaiah, Y.S.R. and Satyanarayana, S., In vitro evaluation of guar gum as a carrier for colon-specific drug delivery. J Control Rel, 51 : 281-287, 1998)。
【0162】
結腸特異的薬剤送達(Colon-specific drug delivery)は、医薬製剤に対する乾燥アミロース膜の適用によって可能であり得る。アミロース(澱粉の主要な部分(fractions)の1つ)は、適切な条件下で調製(準備)された時、ゲル化を通して膜を形成する能力を有する。膜の微細構造は、膵臓のα−アミラーゼの作用に対して潜在的に耐性を有するが、結腸のマイクロフローラのアミラーゼによって消化される。しかし、シミュレートされた胃腸条件下では、アミロース単独で作られた被膜は、多孔性になり、薬剤放出を許す。アミロースの膨潤を制御するために、不溶性ポリマーをアミロース膜に取り込むことで、この問題に対する解決策が与えられる。或る範囲のセルロース及びアクリル酸塩をベースとする共重合体を評価したところ、その中でも市販のエチルセルロース(エトセル(Ethocel))は、膨潤を最も効果的に制御することがわかった。シミュレートされた胃及び小腸の条件下で、市販のペプシン及びパンクレアチンを用いて、種々の被覆ペレットの生体外(in vitro)溶解が測定されたところ、12時間にわたり、そのような条件に対して、アミロース−エトセル被膜(1:4)が耐性を示すことが実証された(ミロジェビック、エス、ニュートン、ジェイ、エム、カミングス、ジェイ、エッチ、ギブソン、ジー、アール、ボサム、アール、エル、リング、エス、シー、ストックハム、エム、アンド・オールウッド、エム、シー、アミロース・アズ・ア・コーティング・フォー・ドラッグ・デリバリ・ザ・コロン、プレパレーション・アンド・イン・ヴィトロ・エバリュエーション・ユージング・5−アミノサリシリック・アシッド・ペレット、ジェイ・コントロール・アール・イ・エル 38: 75-84. 1996(Milojevic, S. , Newton, J.M , Cummings, J.H., Gibson, G.R.. Botham, R.L., Ring, S.C., Stockham, M. and Allwood, M. C, Amylose as a coating for drug delivery the colon: Preparation and in vitro evaluation using 5-aminosalicylic acid pellets. J Control Rel, 38: 75-84. 1996)。更なる研究によれば、被覆されたペレットが再現可能な薬剤放出速度を示し、該速度は上部胃腸pH及び酵素によっては影響されず、又、長期保存にも影響されないことが実証された。種々のパラメータ(例えば、アミロースと膜内のエチルセルロースとの比率や、被膜の厚さ)によって、薬剤の放出が変更(修正)された。結果として生じたデータのモデリングによれば、薬剤の放出を制御する上で、被覆に用いた溶媒にかかわりなく、被覆の厚さよりも上記比率がよりいっそう重要であることが見い出された。被覆の厚さが15%TWGであるアミロース1部及びエチルセルロース1部から構成される製剤は、上部胃腸管における5−アミノサリチル酸の放出に首尾よく抵抗したにもかかわらず、刺激された結腸状態における相対的に急激な放出を開始させた。そのような有機ベースの系(システム)によって、薬物、特に水感受性及び/又は熱不安定性の薬物、を結腸に送達するための実際的な手段が提供される(シウ氏等、エー・エー・ピー・エス・ファーム・エス・シー・アイ・ティー・イ・シー・エッチ、2000; 1 (3) アーティクル 22 (Siew et al.. AAPS Pharm Sci Tech: 2000; 1 (3) article 22)。
【0163】
キトサンは、アルカリ脱アセチル化によって、天然のキチンから得られる高分子量ポリカチオン性多糖類である。化学的には、それは、ポリ(N−グルコサミン)である。キトサンは、好適な生物学的特性、例えば、非毒性、生物学的適合性、及び生分解性、を有する。他の多糖類と同様に、それは、結腸のマイクロフローラの活動による分解が生ずることから、結腸標的化薬剤送達の候補となる。トザキ氏(Tozaki)等(トザキ、エッチ、オドリバ、ティー、オカダ、エヌ、フジタ、ティー、テラベ、エー、スズキ、ティー、オカベ、エス、ムルニシ、エス、アンド・ヤマモト、エー、キトサン・カプセル・フォー・コロン・スペシフィック・ドラッグ・デリバリー、エンハンスド・ローカリゼーション・オブ・5−アミノサリシリック・アシッド・イン・ザ・ラージ・インテスティン・アクセラレイツ・ヒーリング・オブ・ティー・エヌ・ビー・エス・インデュースド・コライティス・イン・ラッツ、ジェイ・コントロール・アール・イー・エル、82, 51-61, 2002)(Tozaki, H., Odoriba. T., Okada, N., Fujita, T., Terabe. A., Suzuki. T., Okabe, S., Murnishi, S. and Yamamoto, A., Chitosan capsules for colon-specific drug delivery: enhanced localization of 5-aminosalicylic acid in the large intestine accelerates healing of TNBS-induced colitis in rats. J Control Rel, 82, 51-61, 2002)は、キトサン・カプセルによる結腸特異的インシュリン送達を開発した。5(6)−カルボキシフルオレスセイン(CF)を含むキトサン・カプセルからの生体外(in vitro)薬剤送達実験が、わずかに変更(修正)を加えた回転バスケット法によって、実施された。インシュリンの腸吸収は、インシュリン及び添加剤を含有するキトサン・カプセルを経口投与した後に、血漿(プラズマ)インシュリン濃度及びその低血糖作用を測定することによって、評価された。カプセルからのCFの放出は、人工的な胃液(pH1)、或いは人工的な腸液(pH7)中では、殆ど観察されなかった。しかし、CFの放出は、ラットの盲腸の含有物の存在下で、著しく増加した。このグループは、更に、キトサン・カプセルを用いて、結腸に特有のインシュリン送達を評価した。これらのものは、胃及び小腸では安定していたが、結腸内に入った時、ラットの盲腸の含有物中の微生物によって分解され、ペプチド及び非ペプチド薬剤の結腸標的化薬剤送達用の担体として、それらの有用性が証明されることが、わかった。
【0164】
ロレンツォ・ラモサ氏(Lorenzo-Lamosa)等(デザイン・オブ・マイクロエンカプシュレイティッド・キトサン・マイクロスフィア・フォー・コロニック・ドラッグ・デリバリ、ジェイ・コントロール・アール・イー・エル、52: 109-118, 1998)(Design of microencapsulated chitosan microspheres for colonic drug delivery. J Control ReI, 52: 109-118, 1998)は、特異的生分解性とpH依存性の放出挙動とを組み合わせる系(システム)を調製(準備)し、該系の有効性を実証した。この系は、モデル薬剤として、ジクロフェナクナトリウムを含むアクリル系マイクロスフェア内に捕らえられらたキトサン・マイクロコアからなる。薬剤は、噴霧乾燥を用いて、キトサン・マイクロコア内に効率的にトラップされ、続いて、油中油溶媒蒸発法を用いて、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)L100及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)S100の中にマイクロカプセル化された。キトサン多重貯蔵系からの薬剤放出が、キトサン分子量又はキトサン塩のタイプを変えることによって、調節された。、更に、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)でキトサン・マイクロコアを被覆することにより、完全なpH依存放出特性が達成された。
【0165】
上記引用した溶融押出ポリマー及び可塑剤に加えて、本発明は、又、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン等のゲル化剤を含む。これらのものは、容易に水に溶けることができ、薬剤、溶融可能なポリマー、及び/又は可塑剤を含む他の賦形剤と、均質的に混合される。このようにして得られた均質なミニ球体は、胃、小腸、及び結腸内で、高い崩壊(分解、分散、分裂)速度、そして、おそらく、より迅速な薬剤溶解、を示すことが予想されであろう。
【0166】
振動力を作用させることで、球形、又は略球形、に形成される押出物に加えて、当該押出物は、又、これに限定されるものではないが、切断具、例えば回転ナイフ、を用いて切断することで、形成されることもできる。
【0167】
実施例
(実施例1−単層ニモジピン溶融押出シームレス球体)
有効量の製剤を提供するのに十分な量のニモジピンは、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS及びRLの混合物と混合され得る。ニモジピン:ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)ポリマーの重量比は、約5:95%wtから50:50%wtまで変化させることができる。ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS:ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RLの重量比は、約0:100%wtから100:0%wtまで変化させることができる。次いで、固体混合物は、押出機ホッパー或いは他のミキサー内に配置されることが可能である。固体混合物は、RS又はRLポリマーの溶融又は軟化が生ずるように、押出加熱ゾーンの温度設定によって決定される如く約100℃から約160℃の温度範囲で、加熱押出機に通される。ノズル全体に、適切な振動数をかけてもよい。固体球状の押出物(ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)/ニモジピン)は、ノズルから出る際、空気中、又は冷却液(例えば、鉱油)中、で冷却されることができる。
【0168】
【表1】
【0169】
(実施例2−2層組み合わせ近位利尿薬(IR)及び遠位利尿薬(SR))
適切な量のヒドロクロロチアジドが、ゲルシア(gelucire)44/01及びラブラゾル(Labrasol)と混合されて、65℃に加熱された。次いで、適切な速度及び温度で、更に、混合又は押出ノズルへの押出を行うべく、結果として生ずる溶液(溶剤、solution)は、押出機に置かれてもよい。その押出物は、内側ノズルの入口に通される。外側ノズルの入口を通して、ゼラチン、アセタゾラミド、及びソルビトールの溶融(〜70℃)した混合物が導入される。ノズル全体に、適切な振動数をかけてもよい。結果として生ずる2層ミニカプセルは、硬化(set)せしめられるべく、冷却液中に放出される。一旦硬化せしめられると、このミニカプセルは、適切な力で遠心力が作用せしめられ、あらゆる冷却油の残渣(残留物)が取り除かれる。
【0170】
【表2】
【0171】
(実施例3―単層テオフィリン持続的放出溶融押出球体)
適切な量のテオフィリン、アクリ(Acry)−EZE、カルボポール974P、メトセルK4M、及びフマル酸が、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有していてもよい。次いで、固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができ、この温度範囲は、押出機加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように、決定される。その後、押出物は、振動ノズルから出る。
【0172】
【表3】
【0173】
(実施例4―単層テオフィリン持続的放出溶融押出球体)
適切な量のテオフィリン及びカラーギナンが混合されて、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、シングル・スクリュー搬送機構又はダブル・スクリュー搬送機構を有することができる。当該機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように、決定される。その後、押出物は、振動ノズルから出る。
【0174】
【表4】
【0175】
(実施例5―単層テオフィリン持続的放出溶融押出球体)
適切な量のテオフィリン、キトサン、ゼラチン、及びソルビトールが、混合されて、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、シングル・スクリュー搬送機構又はダブル・スクリュー搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、キトサン及びゼラチンの溶融が生じるように、決定される。その後、押出物は、振動ノズルから出る。
【0176】
【表5】
【0177】
(実施例6−(ムコ接着剤を有する)ゼラチン殻部における2層ヘパリン押出物(SR))
適切な量のヘパリン、ウィテップゾールH−15、ミグリオール、及びレシチンが、混合されて、〜70℃に加熱され、押出機に通して供給され、2芯ノズル(di-centric nozzle)の内側ノズルの入口を通して、出される。外側ノズルの入口を通して、ゼラチン、キトサン、及びソルビトールの溶融した(〜70℃)混合物が導入される。ノズル全体に適切な振動数をかけてもよい。結果として生ずる2層ミニカプセルは、硬化(set)せしめられるべく、冷却液中に放出される。一旦硬化せしめられると、このミニカプセルは、適切な力で遠心力が作用せしめられ、あらゆる冷却油の残渣(残留物)が取り除かれる。
【0178】
【表6】
【0179】
(実施例7−2層カルベジオール押出物(SR含有芯部)/カルベジオール押出物(SR含有殻部))
適切な量のカルベジオール、ウィテップゾールH−15、ゲルシア44/01が、混合されて、〜70℃に加熱され、押出機に通して供給され、2芯ノズル(di-centric nozzle)の内側ノズルの入口を通して、出される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRS、ゼラチン、カルベジオール(微粉化)、及びグリセロール・モノステアレートが、ミキサーに入れられ、そして、約10分間撹拌される。次いで、その固体混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構であることができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際に、内側ノズルを通過する非固体の押出物に対して均一な被膜を塗布する。
【0180】
【表7】
【0181】
(実施例8−2層ヒドララジン押出物(SR含有芯部)/カルベジオール押出物(SR含有殻部))
適切な量のヒドララジン、ウィテップゾールH−15、ミグリオール、及びレシチンが、混合されて、〜70℃に加熱され、押出機を通して供給され、2芯ノズルの内側ノズルの入口を通して出される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRS、ゼラチン、カルベジオール(微粉化)、及びグリセロール・モノステアレートが、ミキサーに入れられて、約10分間撹拌される。次いで、その固体の混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際、内側ノズルを通る非固体押出物に対して、均一な被膜を塗布する。
【0182】
【表8】
【0183】
(実施例9−(ムコ接着剤を有する)押出殻部における2層核酸(SR含有コア))
適切な量の核酸、ウィテップゾールH−15、ミグリオール、及びレシチンが、混合され、〜70℃に加熱されて、押出機を通して供給され、2芯ノズルの内側ノズルの入口を通して出される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRS、アミロース、及びグリセロール・モノステアレートが、ミキサーに入られて、約10分間撹拌される。次いで、その固体の混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを介して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際、内側ノズルを通る非固体押出物に対して均一な被膜を塗布する。
【0184】
【表9】
【0185】
(実施例10―単層溶融押出フェロジピン球体)
フェロジピン、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)E、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)NE、ゼラチン、及びソルビトールの適切な混合物が、押出機を通して供給され、適切な温度に加熱されることによって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)ポリマーが溶融される。次いで、その溶融混合物は、適切な振動数をかけることができるノズルの入口を通して、供給される。その結果として生ずる単層ミニカプセルは、硬化(set)せしめられるべく、冷却液中に放出される。一旦硬化せしめられると、このミニカプセルは、適切な力で遠心力が作用せしめられ、あらゆる冷却油の残渣(残留物)が取り除かれる。
【0186】
【表10】
【0187】
(実施例11―単層溶融押出フェロジピン球体)
適切な量のフェロジピン、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)E、及びユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)NEが、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体の混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように決定される。その後、押出物は振動ノズルから出る。
【0188】
【表11】
【0189】
(実施例12―単層インドメタシン持続的放出球体)
適切な量のインドメタシン、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RD−100、プルロニックF68、及びクエン酸トリエチルが、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体の混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように決定される。その後、それは、金型(ダイ)を出て、切断具にかけられるが、当該切断具の回転は、溶融押出される粒子の寸法を決定づける。
【0190】
【表12】
【0191】
(実施例13―単層イブプロフェン持続的放出球体)
適切な量のイブプロフェン、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RD−100、及びPVPが、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体の混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ポリマーの溶融が生じるように、決定される。その後、それは、金型(ダイ)を出て、切断具にかけられるが、当該切断具の回転は、溶融押出される粒子の寸法を決定づける。
【0192】
【表13】
【0193】
(実施例14―単層ジルチアゼム持続的放出球体)
適切な量のジルチアゼムHCL、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RSPO、及びクエン酸トリエチルが、押出機ホッパーに供給される。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体の混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RSPOの溶融が生じるように、決定される。金型から出る前に、そして、ジルチアゼム/ユードラギット/クエン酸トリエチルの押出物が溶融状態にある間に、溶融ゼラチンが、更なる押出機の入口を通して供給されて、供給及び混合が行われる。その後、押出物は振動ノズルを出る。
【0194】
【表14】
【0195】
(実施例15―2層持続的放出結腸ニコチン酸生成物)
適切な量のニコチン酸、ウィテップゾールH−15、ミグリオール、及びレシチンが、混合され、〜70℃に加熱されて、押出機を通して供給され、2芯ノズルの内側ノズルの入口を通して出される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RL及びRS、アミロース、及びグリセロール・モノステアレートが、ミキサーに入れられて、約10分間撹拌される。ついで、その固体の混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際、内側ノズルを通る非固体押出物に対して均一な被膜を塗布する。
【0196】
【表15】
【0197】
(実施例16−2層クエン酸フェンタニル持続的放出溶融押出カプセル)
適切な量のクエン酸フェンタニルが、ゲルシア44/01、ラブラゾル、及びN−メチル・ピロリジンと混合されて、65℃に加熱される。次いで、適切な速度及び温度で、混合又は押出ノズルへの押出を行うために、結果として生ずる溶液(solution)は、押出機に入れられることができる。この押出物は、内側ノズルの入口に通される。適切な量のユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)RS及びRL(可変比率)、ゼラチン、及びPVPが、ミキサーに入れられて、約10分間撹拌される。次いで、その固体混合物は、第2の押出機ホッパーに入れられてもよい。用いられるべき押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、ユードラギット(EUDRAGIT)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。押出物は、振動ノズルを出る際、内側ノズルを通る非固体押出物に対して、均一な被膜を塗布する。
【0198】
【表16】
【0199】
(実施例17−2層ゾルピデム押出物(SR含有芯部)/ゾルピデム押出物(IR含有殻部)
適切な量のゾルピデム、メトローズ(Metolose)(登録商標)SM及びPVPが、混合され、〜130℃に加熱されて、押出機に通して供給され、2芯ノズルの内側ノズルの入口を通して出される。適切な量のゾルピデム、メトローズ(Metolose)(登録商標)SR90SH及びグリセロール・モノステアレート、カルベジオール(微粉化)及びグリセロール・モノステアレートが、押出機に通して供給され、2芯ノズルの外側ノズルの入口を通して出される。2つの押出機は、ダブル・スクリュー固体搬送機構を有することができる。この機構は、複数の加熱ゾーンを通して、ホッパーから押出ノズルに、内側及び外側ノズルの入口を通して、延在する。次いで、その固体混合物は、約75℃乃至約150℃の温度範囲に加熱された押出機に通されることができる。この温度範囲は、押出機の加熱ゾーンの温度設定によって、メトローズ(Metolose)(登録商標)の溶融が生じるように、決定される。振動ノズルを出ると、切断によって、層状の押出物が形成される。
【0200】
【表17】
【0201】
本発明は、細部において変更し得る上記実施形態に限定されるものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された時に流動可能である材料を押し出すステップと、
これにより形成された押出物をノズルに通して該押出物を実質的に均一に成形された複数のエレメント、例えば、ミニ球体又はミニカプセル、にするステップと、を有する押出プロセス。
【請求項2】
上記押出物が上記ノズルを通過する時に、上記ノズルに力が作用せしめられる、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
上記力は、振動力である、請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
上記押出物に、切断力が作用せしめられる、請求項2又は3記載のプロセス。
【請求項5】
上記切断力は、押出物が上記ノズルを出る時に該押出物に作用せしめられる、請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
上記切断力は、回転せん断力、フライホイール・カッター、固定刃、及び可動刃から選択される1つ以上のものによって、作用せしめられる、請求項4又は5記載のプロセス。
【請求項7】
上記ノズルは、1つ以上の通路を有する、請求項1乃至6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
上記通路の少なくとも一部は、同心的である、請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
上記ノズルは、1つ以上の入口ポートを有し、
溶融された上記押出物は、ノズルの入口ポートの少なくとも1つに送られる、請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
別の媒体が、上記ノズルの入口ポートの1つに送られる、請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
異なったノズルの入口に入る上記媒体は、異なる温度又は圧力にある、請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
上記媒体は、封入剤である、請求項10又は11記載のプロセス。
【請求項13】
上記媒体は、被膜である、請求項10又は11記載のプロセス。
【請求項14】
上記媒体は、活性成分、例えば薬剤、を含む、請求項10〜13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
更に、上記成形されたエレメントを冷却するステップを有する、請求項1〜14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
上記成形されたエレメントは、冷却用の気体、例えば、空気、の中で冷却される、請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
上記成形されたエレメントは、冷却用の液体の中で冷却される、請求項15又は16記載のプロセス。
【請求項18】
押出される上記材料は、薬剤を含んでいる、請求項1〜17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
押出される上記材料は、生物薬剤を含んでいる、請求項1〜18のいずれかに記載のプロセス。
【請求項20】
押出される上記材料は、栄養補給剤を含んでいる、請求項1〜19のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
溶融押出されるべき上記材料の成分は、混合されて、温度調節されたフィーダーを通して供給される、請求項1〜20のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
第1の媒体が、第1の押出機から上記ノズルの第1の入口に供給され、
第2の媒体が、第2の押出機から上記ノズルの第2の入口に供給される、請求項7〜21のいずれかに記載のプロセス。
【請求項23】
第1の媒体が、第1の押出機から上記ノズルの第1の入口に供給され、
第2の媒体が、ポンプ手段によって、上記ノズルの第2の入口に供給される、請求項7〜22のいずれかに記載のプロセス。
【請求項24】
溶融押出のための材料は、非治療用化合物と共に1つ以上の活性医薬用化合物を含む、請求項1〜23のいずれかに記載のプロセス。
【請求項25】
上記非治療用成分は、溶融可能なポリマー、可塑剤、溶解性促進剤、浸透性促進剤、粘性調整剤、pH調整剤、界面活性剤、ヒドロゲル、イオン交換樹脂、及び徐放性ポリマーのうちの1つ以上から選択される、請求項24記載のプロセス。
【請求項26】
上記材料は、結晶状の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項27】
上記材料は、安定化された非晶形態の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項28】
上記材料は、安定化された微粉化形態の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項29】
上記材料は、安定化されたナノ製剤化形態の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項30】
上記活性材料は、非共有結合型の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項31】
上記活性材料は、共有結合型の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれかに記載のプロセスによって形成される場合の、実質的に均一に成形されたエレメント。
【請求項33】
上記エレメントは、ミニ球体である、請求項32記載の均一に成形されたエレメント。
【請求項34】
上記エレメントは、ミニカプセルである、請求項32記載の均一に成形されたエレメント。
【請求項35】
1層から構成される、請求項32〜34のいずれかに記載のエレメント。
【請求項36】
2層以上から構成される、請求項32〜34のいずれかに記載のエレメント。
【請求項37】
押出材料を溶融するための押出機と、
溶融された押出物が供給される出口ノズルと、
該出口ノズルを出てくる材料が実質的に均一に成形されたエレメント、例えば、ミニ球体又はミニカプセル、に形成されるように、力を作用させるための手段と、を有する押出装置。
【請求項38】
上記出口ノズルに力を作用させるためのバイブレーターを有する、請求項37記載の装置。
【請求項39】
切断力を作用させるための切断手段を有する、請求項37又は38記載の装置。
【請求項40】
上記切断手段は、上記ノズルの出口に隣接して位置する、請求項39記載の装置。
【請求項41】
上記切断手段は、回転せん断力、フライホイール・カッター、固定刃、及び可動刃から選択される1つ以上のものを含む、請求項39又は40記載の装置。
【請求項42】
上記ノズルは、単一の出口を有する、請求項37〜41のいずれかに記載の装置。
【請求項43】
上記ノズルは、少なくとも2つの出口を有する、請求項37〜41のいずれかに記載の装置。
【請求項44】
上記出口は、内側出口と、該内側出口を囲む外側出口と、を有する、請求項43記載の装置。
【請求項45】
上記出口は、同心である、請求項44記載の装置。
【請求項46】
上記ノズルは、上記押出機からの押出物が供給される第1の入口と、
材料を上記ノズル内に供給するための少なくとも1つの更なる入口と、を有する、請求項37〜45のいずれかに記載の装置。
【請求項47】
材料を上記更なる入口を通して供給するためのポンプ手段を有する、請求項46記載の装置。
【請求項48】
上記ノズルを出た材料を冷却するための冷却手段を有する、請求項37〜47のいずれかに記載の装置。
【請求項49】
単層溶融押出されたミニ球体。
【請求項50】
溶融押出芯部と外側層とを有する、2層生成物。
【請求項51】
上記外側層は、溶融押出層である、請求項50記載の生成物。
【請求項1】
加熱された時に流動可能である材料を押し出すステップと、
これにより形成された押出物をノズルに通して該押出物を実質的に均一に成形された複数のエレメント、例えば、ミニ球体又はミニカプセル、にするステップと、を有する押出プロセス。
【請求項2】
上記押出物が上記ノズルを通過する時に、上記ノズルに力が作用せしめられる、請求項1記載のプロセス。
【請求項3】
上記力は、振動力である、請求項2記載のプロセス。
【請求項4】
上記押出物に、切断力が作用せしめられる、請求項2又は3記載のプロセス。
【請求項5】
上記切断力は、押出物が上記ノズルを出る時に該押出物に作用せしめられる、請求項4記載のプロセス。
【請求項6】
上記切断力は、回転せん断力、フライホイール・カッター、固定刃、及び可動刃から選択される1つ以上のものによって、作用せしめられる、請求項4又は5記載のプロセス。
【請求項7】
上記ノズルは、1つ以上の通路を有する、請求項1乃至6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
上記通路の少なくとも一部は、同心的である、請求項7記載のプロセス。
【請求項9】
上記ノズルは、1つ以上の入口ポートを有し、
溶融された上記押出物は、ノズルの入口ポートの少なくとも1つに送られる、請求項1〜8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
別の媒体が、上記ノズルの入口ポートの1つに送られる、請求項9記載のプロセス。
【請求項11】
異なったノズルの入口に入る上記媒体は、異なる温度又は圧力にある、請求項10記載のプロセス。
【請求項12】
上記媒体は、封入剤である、請求項10又は11記載のプロセス。
【請求項13】
上記媒体は、被膜である、請求項10又は11記載のプロセス。
【請求項14】
上記媒体は、活性成分、例えば薬剤、を含む、請求項10〜13のいずれかに記載のプロセス。
【請求項15】
更に、上記成形されたエレメントを冷却するステップを有する、請求項1〜14のいずれかに記載のプロセス。
【請求項16】
上記成形されたエレメントは、冷却用の気体、例えば、空気、の中で冷却される、請求項15記載のプロセス。
【請求項17】
上記成形されたエレメントは、冷却用の液体の中で冷却される、請求項15又は16記載のプロセス。
【請求項18】
押出される上記材料は、薬剤を含んでいる、請求項1〜17のいずれかに記載のプロセス。
【請求項19】
押出される上記材料は、生物薬剤を含んでいる、請求項1〜18のいずれかに記載のプロセス。
【請求項20】
押出される上記材料は、栄養補給剤を含んでいる、請求項1〜19のいずれかに記載のプロセス。
【請求項21】
溶融押出されるべき上記材料の成分は、混合されて、温度調節されたフィーダーを通して供給される、請求項1〜20のいずれかに記載のプロセス。
【請求項22】
第1の媒体が、第1の押出機から上記ノズルの第1の入口に供給され、
第2の媒体が、第2の押出機から上記ノズルの第2の入口に供給される、請求項7〜21のいずれかに記載のプロセス。
【請求項23】
第1の媒体が、第1の押出機から上記ノズルの第1の入口に供給され、
第2の媒体が、ポンプ手段によって、上記ノズルの第2の入口に供給される、請求項7〜22のいずれかに記載のプロセス。
【請求項24】
溶融押出のための材料は、非治療用化合物と共に1つ以上の活性医薬用化合物を含む、請求項1〜23のいずれかに記載のプロセス。
【請求項25】
上記非治療用成分は、溶融可能なポリマー、可塑剤、溶解性促進剤、浸透性促進剤、粘性調整剤、pH調整剤、界面活性剤、ヒドロゲル、イオン交換樹脂、及び徐放性ポリマーのうちの1つ以上から選択される、請求項24記載のプロセス。
【請求項26】
上記材料は、結晶状の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項27】
上記材料は、安定化された非晶形態の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項28】
上記材料は、安定化された微粉化形態の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項29】
上記材料は、安定化されたナノ製剤化形態の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項30】
上記活性材料は、非共有結合型の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項31】
上記活性材料は、共有結合型の薬剤を含む、請求項1〜25のいずれかに記載のプロセス。
【請求項32】
請求項1〜31のいずれかに記載のプロセスによって形成される場合の、実質的に均一に成形されたエレメント。
【請求項33】
上記エレメントは、ミニ球体である、請求項32記載の均一に成形されたエレメント。
【請求項34】
上記エレメントは、ミニカプセルである、請求項32記載の均一に成形されたエレメント。
【請求項35】
1層から構成される、請求項32〜34のいずれかに記載のエレメント。
【請求項36】
2層以上から構成される、請求項32〜34のいずれかに記載のエレメント。
【請求項37】
押出材料を溶融するための押出機と、
溶融された押出物が供給される出口ノズルと、
該出口ノズルを出てくる材料が実質的に均一に成形されたエレメント、例えば、ミニ球体又はミニカプセル、に形成されるように、力を作用させるための手段と、を有する押出装置。
【請求項38】
上記出口ノズルに力を作用させるためのバイブレーターを有する、請求項37記載の装置。
【請求項39】
切断力を作用させるための切断手段を有する、請求項37又は38記載の装置。
【請求項40】
上記切断手段は、上記ノズルの出口に隣接して位置する、請求項39記載の装置。
【請求項41】
上記切断手段は、回転せん断力、フライホイール・カッター、固定刃、及び可動刃から選択される1つ以上のものを含む、請求項39又は40記載の装置。
【請求項42】
上記ノズルは、単一の出口を有する、請求項37〜41のいずれかに記載の装置。
【請求項43】
上記ノズルは、少なくとも2つの出口を有する、請求項37〜41のいずれかに記載の装置。
【請求項44】
上記出口は、内側出口と、該内側出口を囲む外側出口と、を有する、請求項43記載の装置。
【請求項45】
上記出口は、同心である、請求項44記載の装置。
【請求項46】
上記ノズルは、上記押出機からの押出物が供給される第1の入口と、
材料を上記ノズル内に供給するための少なくとも1つの更なる入口と、を有する、請求項37〜45のいずれかに記載の装置。
【請求項47】
材料を上記更なる入口を通して供給するためのポンプ手段を有する、請求項46記載の装置。
【請求項48】
上記ノズルを出た材料を冷却するための冷却手段を有する、請求項37〜47のいずれかに記載の装置。
【請求項49】
単層溶融押出されたミニ球体。
【請求項50】
溶融押出芯部と外側層とを有する、2層生成物。
【請求項51】
上記外側層は、溶融押出層である、請求項50記載の生成物。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図1A】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−527285(P2010−527285A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504993(P2010−504993)
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/IE2008/000048
【国際公開番号】WO2008/132707
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509276490)シグモイド・ファーマ・リミテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】Sigmoid Pharma Limited
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【国際出願番号】PCT/IE2008/000048
【国際公開番号】WO2008/132707
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(509276490)シグモイド・ファーマ・リミテッド (9)
【氏名又は名称原語表記】Sigmoid Pharma Limited
【Fターム(参考)】
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