説明

複数の作業箇所を備えた繊維機械、特にダブルワイヤ撚糸機又はケーブリング機

【課題】構造が単純で高いフレキシビリティを保証する、複数作業箇所を備えた繊維機械を提供する。
【解決手段】複数作業箇所を備えた繊維機械であって、各1つのフレームを有するダブルスピンドルユニットを有し、フレームが作業エレメント及び搬送エレメントを保持し、ダブルスピンドルユニットの2つの作業箇所の背側が互いに向かい合って配置され、各ダブルスピンドルユニット1が、真ん中に配置された1つの保持体2を有し、該保持体が、ダブルスピンドルユニット1の1つの作業箇所から他方の作業箇所に向かって延びる横ビーム20を有し、該横ビームが調整可能な足26を用いて土台に支持され、保持体2の中央に配置された中空成形体21が横ビーム20から鉛直方向に延び、中空成形体21が、パッケージ搬出装置31,33の受容及び巻取り装置3の固定のために構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複数の作業箇所を備えた繊維機械、特にダブルワイヤ撚糸機又はケーブリング機であって、単数又は複数のダブルスピンドルユニットを有しており、該ダブルスピンドルユニットがそれぞれ1つのフレームを有していて、該フレームが作業エレメント及び搬送エレメントを保持していて、ダブルスピンドルユニットの2つの作業箇所の背側が互いに向かい合って配置されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
汎用のダブルワイヤ撚糸機又はケーブリング機は今日そのほぼ100%が、複数の作業箇所を備えた繊維機械である。1つの作業箇所は他の作業箇所の隣に配置されていて、糸供給装置及び巻取り装置の駆動は、機械を貫いて延びる連続した軸を介して行われ、これらの軸は、端面側に配置された中央の電動機によって中央で駆動される。
【0003】
スピンドルは通常ベルトによって駆動されるか又は、新しい構造形式の機械では、スピンドルの下か隣に位置する個別モータによって回転させられる。両方の場合において駆動もしくは供給及び制御は中央において、かつすべてのスピンドルに対して共同に等しく行われる。
【0004】
機械フレームは今日汎用の構造形式では、両側のセクションに形成されており、これらのセクションは、それぞれ約8〜16個のスピンドルを有していて、完全に機能するように構成された状態で顧客に発送される。機械フレームは1つの中央の制御兼駆動ユニットによって、約40メートルの長さを有しかつ200を越えることもまれではない作業箇所を備えた完全な機械にまとめられる。このような設計と中央から制御及び駆動される複数のスピンドルとによって、すべての製造コスト、運搬コスト及び組立てコストを極めて安価に個々の作業箇所に割り当てることが可能である。このことは、全体として極めて安価な解決策である。
【0005】
このような構造形式の機械はしかしながら、大量生産品を合理的に製造するためにしか適していない。そして小さなロットのために必要なフレキシビリティは保証されていない。高い変更コストをかけてしか又は機械の部分的な利用によってしか、つまり比較的高いコストをもってしか、高いフレキシビリティを要する課題を解決することができない。
【0006】
中央において駆動される機械の別の欠点としては、機械故障時における機械の効率が著しく低下するということが挙げられる。それというのは機械停止時には直ちに多数のスピンドルが停止してしまうからである。従って機械における1つの故障が、かなり重大な結果を招くことになる。例えば、上に述べた特性を有する1つのダブル撚糸機は、DE2925668A1に開示されている。この公知のダブル撚糸機では、複数の作業箇所から成るいわゆるフィールドは、鉛直な機械スタンドに配置されていて、1つのセクションを形成している。
【0007】
この公知のダブル撚糸機を出発点として、フレキシブルな機械に対する要求が以前より生じている。しかしながらこの要求は通常、機械の製造に対するかなり高いコストによって達成されていない。
【0008】
より高いフレキシビリティを得る別の可能性は、例えばEP1737775A1に開示されている。ここに記載された解決策は、なお基本的には汎用の、複数の作業箇所を備えた繊維機械の構造を有しているが、個々のスピンドル/作業箇所には中央の駆動装置の代わりに個別駆動装置及び個別制御装置が配設されている。この構成により、各作業箇所はほとんど自立して運転されることができる。しかしながらこの解決策には、中央の機械構造が明らかに維持されたままであるという欠点がある。すなわち使用者は、利用可能なスピンドル数に関連して高いコストを負担しなくてはならないにもかかわらず、制限されたフレキシビリティしか得られない。パッケージの搬出又は熱の排出のための解決策の提案は、EP1737775A1においては完全に未解決のままである。
【0009】
フレキシビリティが制限されない方向におけるさらなるステップは、EP1357208A1に開示されている。この公知の構成では、プレシジョンワインディング法によるダブル撚糸機の自立した個別作業箇所が記載されている。この場合確かに、個別作業箇所のうちの複数のユニットを互いにつなぎ合わせて一種の、複数作業箇所を有する繊維機械を形成することができるが、しかしながら各ポジションは完全に自立していて、他のポジションとは別個に運転される。この公知の構成においても、完成したパッケージを相応な搬送装置を介して得るもしくは搬出するという可能性は、存在しない。EP1357208A1には片側の機械だけが図示及び記載されており、この片側の機械ではしかしながら、個別スピンドルユニットの任意の配置は、完全に別個の設置をも含めて完全に未解決のままである。
【0010】
繊維運転において必須の空調のための高いコストを低減できるようにするために、汎用の機械はさらにしばしば次のように構成される。すなわち汎用の機械では、機械フレームは機械中心に向かって通路系を形成しており、この通路系を介して暖気を吸い込むことができ、その後で室は負荷をかけられる。このような可能性は、EP1357208A1の解決策では設けられていないし、かつ構造的に不可能である。各ポジションのために独立しかつ自立している機械フレームは、必然的に製造コストを高騰させる。個別スピンドルユニットの安定性は、その底面積によって制限されている。つまり、安定性を高めるための付加的な手段を講じることが必要であり、EP1357208A1には、個別スピンドルユニットを互いに結合することが記載されている。
【0011】
EP0384092B1に基づいてさらに、個別のスピンドルの代わりにダブルスピンドルユニットを製造することが公知である。これらのダブルスピンドルユニットは、安定性が高いという利点を有し、かつ取り扱われるパッケージのための搬出系を有している。記載されたダブルスピンドルユニットは、ベースフレームに位置しており、このベースフレームは、互いに間隔をおいて配置されていて鉛直方向に延びる6つのステーを有していて、これらのステー自体は上側及び下側において横ビームによって互いに結合されている。空間的に配置された複数の室から形成されたこの複雑なフレームには、両方の作業箇所の作業エレメントが固定されている。この費用のかかるフレーム構造は、汎用の複数の作業箇所を有する繊維機械におけるように、作業エレメントの寸法に関して単に極めて制限されたバリエーションしか許さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】DE2925668A1
【特許文献2】EP1737775A1
【特許文献3】EP1357208A1
【特許文献4】EP0384092B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ゆえに本発明の課題は、単純な構造を有していて高いフレキシビリティを保証する、複数の作業箇所を備えた繊維機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題を解決するために本発明の構成では、複数の作業箇所を備えた繊維機械であって、単数又は複数のダブルスピンドルユニットを有しており、該ダブルスピンドルユニットがそれぞれ1つのフレームを有していて、該フレームが作業エレメント及び搬送エレメントを保持していて、ダブルスピンドルユニットの2つの作業箇所の背側が互いに向かい合って配置されている形式のものに冒頭に述べた形式の繊維機械において、各ダブルスピンドルユニットが、真ん中に配置された1つの保持体を有しており、該保持体が、ダブルスピンドルユニットの1つの作業箇所から他方の作業箇所に向かって延びる横ビームを有していて、該横ビームは調整可能な足を用いて土台に支持されており、保持体がさらに中央に配置された中空成形体を有していて、該中空成形体が横ビームから鉛直方向に延びており、中空成形体が、パッケージ搬出装置を受容するため及び巻取り装置(巻取りモジュール)を固定するために構成されている。
【発明の効果】
【0015】
互いに背中合わせに位置する2つの作業箇所のための支持構造体を形成する真ん中に配置された支持体は、単純な構造を有しており、寸法に関してほぼ制限されない両作業箇所の構成部材及び構成群の固定を可能にする。中空成形体の構造及び使用は、適合した支持能力にもかかわらず、構造体の重量を僅かなものにする。また、種々様々な寸法を有する作業箇所のために、同じ支持構造体を使用することができる。さらに、特定の構成部材を複数回使用することによって、構成部材バリエーションを最少にすることもしくはコスト節減を可能にすることができる。個別巻取り箇所とは異なり、互いに背中合わせで位置する作業ユニットの連結は、省かれる。さらに本発明の構成は、中空成形体の特殊な構造によって、同時に、パッケージ搬送装置を受容するために役立ち、このパッケージ搬送装置は特に、重い撚糸パッケージの製造時に操作員の負荷を軽減し、かつ大きな付加コストなしに設置することができる。
【0016】
本発明の別の有利な態様は、請求項2〜11に記載されている。
【0017】
請求項2記載の有利な態様では、横ビームが少なくとも1つの開口を有していて、該開口にサクション装置が接続可能である。すなわち、少なくとも1つの開口を備えた中空体として、保持体の鉛直部分を形成することによって、複数の作業箇所を備えた繊維機械に必要に応じてサクション装置を簡単に設けることができる。このようなサクション装置によって、製造時に作業箇所の領域において発生する暖気を問題なく吸い出すことができ、これによって、顧客の該当する作業場において室の空調を良好にすることができる。
【0018】
請求項3記載のように、巻取り装置が巻取りモジュールとして形成されていると、1つの巻取りモジュールと、別の巻取り形式又は別の寸法を有する巻取りパッケージを生ぜしめることができる代替の巻取りモジュールとの交換を含めて、迅速な組付けが可能となり、有利である。そしてこれにより、複数の作業箇所を備えた繊維機械のフレキシビリティをさらに高めることができる。
【0019】
請求項4記載の巻取りモジュールのハウジングに関する有利な態様では、中空成形体とスピンドルモジュールとに形成された空気通流開口が互いに整合して配置されていることによって、効果的な熱排出を保証することができる。すなわち中空成形体を貫いて、簡単かつ効果的に熱発生箇所の温度を下げることができる。
【0020】
各作業箇所のために固有の制御装置を設けることによって、作業箇所を完全自動式にするためのフレキシビリティをさらに高めることが保証される。
【0021】
特に簡単な解決策では、巻取りモジュールに制御ユニットが組み込まれている(請求項6)。このようになっていると、例えば巻取りモジュールへのデータ伝送の必要がなくなる。この場合制御ユニットは有利には操作ユニットを有しており(請求項7)、この操作ユニットは、例えばツイストパラメータ又は作業プログラムの迅速かつ簡単な入力又は変更を可能にする。
【0022】
本発明による複数の作業箇所を備えた繊維機械は個々のダブルスピンドルユニットから成っているが、もちろん、インタフェースを介して中央の制御ユニットと通信することも可能である(請求項8)。中央の制御ユニットはこのインタフェースを介して、スピンドルに関連したデータ、つまり目標値や作業プログラムのようなデータを伝達することができる。操作員による調節はここでは中央箇所において行われる。
【0023】
それぞれのダブルスピンドルユニットの作業エレメントが個別の駆動装置を有していることによって、他の作業箇所からの遮断が促進される(請求項9)。
【0024】
請求項10記載のようにダブルスピンドルユニットが、それぞれ別個に運転可能な搬送モジュールを有していて、該搬送モジュールが、パッケージ搬出装置の搬送区分を形成していると、生ぜしめられた巻上げパッケージのための種々様々な搬送方向に対する限界を任意に変化させることができる。
【0025】
複数のダブルスピンドルユニットに共通の1つのパッケージ搬出装置が設けられていると、確かに搬送方向に対する制限は固定されるが、1つの共通の搬送装置は低コストである。また搬送装置を変えることによって、このような構成においても、複数の搬送バリエーションを実現すること及び付加的な仕分け機能を得ることができる。
【0026】
エネルギのための中央の供給エレメント又はダブルスピンドルユニットを制御するための制御装置が設けられている場合、これらの供給エレメント又は制御装置は弾性特性を有していることが望ましく、これによってダブルスピンドルユニット間における振動伝達が十分に抑制される。
【0027】
また、請求項12記載のように、ダブルスピンドルユニット間に、弾性特性を有することが望ましい別体の接続エレメントを設けることも可能である。
【0028】
さらに付言すれば、簡単に認識できることであるが、規定された値を超える作業エレメント又はモジュールを寸法設定する場合、この事実は単に、互いに隣接するダブルスピンドルユニットは互いに間隔をおいて配置されるということを、考慮するだけでよい。基本的には、ダブルスピンドルユニットを交換すること、複数の作業箇所を備えた繊維機械を形成するダブルスピンドルユニットの数を変更すること、もしくは空間的な所与性に適合させることが、常に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明によるダブルスピンドルユニットを示す斜視図である。
【図2】本発明によるダブルスピンドルユニットの保持体を示す斜視図である。
【図3】巻取りモジュールを示す斜視図である。
【図4】本発明によるダブルスピンドルユニットを部分的に組み立てた状態で示す図である。
【図5】スピンドルユニットのハウジングを示す図である。
【図6】複数の作業箇所を備えた繊維機械を示す斜視図である。
【図7】複数の作業箇所を備えた繊維機械を示す別の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0031】
図1に示されたダブルスピンドルユニット1は、真ん中に配置された保持体2を備えており、この保持体2は、互いに背側で向かい合っている作業箇所1′,1′′のすべての作業エレメントと、1つの搬送モジュール17とを有している。両作業箇所1′,1′′は、図示の実施形態ではダブルワイヤ撚糸装置(Doppeldrahtzwirneinrichtung)である。
【0032】
図2に詳しく示した保持体2は横ビーム20を有していて、この横ビーム20は、調整可能な足26を介して床もしくは土台に支持されている。特にこのようなダブルスピンドルユニット1が単独で設置されている場合に、安定性をさらに高めるためには、4つの足26を使用することや足がより大きな設置面を有することが望ましい。いずれにせよ寸法設定もしくは設計は、ダブルスピンドルユニット1の十分な安定性が保証されるようになっていなくてはならない。
【0033】
横ビーム20からは鉛直方向に中空成形体21が延びており、この中空成形体21は上端部に、巻取りモジュール3のための取付け側壁24と、搬送モジュール17のための受容部25とを有している。横ビーム20における開口22は、スピンドルモジュール4の個別駆動装置を受容するために働く。
【0034】
さらに中空成形体21は、横ビーム20における対応する開口と整合する開口(図示せず)を備えていてもよい。このような構成によって、撚糸時に生じる熱を搬出するためのサクション装置の接続が可能になる。加熱された空気を可能な限り発生箇所の近傍で排出できるようにするために、中空成形体21はさらに複数の冷却開口23を有しており、これらの冷却開口23は、取付けプレート27における開口23′及びスピンドルモジュール4のハウジング18における開口23′′と整合している。
【0035】
図1には、作業箇所1′のうち、繰出しパッケージ5、パッケージポット6及びバルーン糸7並びにこれらを取り囲むハウジング18を備えたスピンドルモジュール4が示されている。ハウジング18は取付けプレート27(図4)を介して中空成形体21と結合されている。ハウジング18は前側に、フロントプレート18′、通常は透明で開閉可能な蓋部分18′′及びカバー18′′′(図5)を有している。ハウジング18の上に配置された巻取りモジュール3(図3に詳しく図示)は糸ガイド兼搬送機構8、摩擦駆動装置10及び糸ガイド11を有している。巻取りパッケージ12はパッケージプレート14を介して旋回可能なパッケージフレーム13に支承されており、このパッケージフレーム13自体は、軸受15′を介して巻取りモジュール3の軸受側壁15に保持されている。
【0036】
巻取りモジュール3の巻取りボックス16内には制御ユニット9が配置されており、この制御ユニット9は操作エレメント9′を有している。パッケージフレーム13には各1つのフレームダンパ19が枢着されており、このフレームダンパ19は、巻取り時における振動運動を緩衝するため及び均一な圧着圧を得るために働く。搬送モジュール17は、完成した巻取りパッケージをその交換後に搬出するために設けられている。この搬送モジュール17は、搬送モジュール固有のコンベヤベルト31を備えた搬送区分を形成しているか、又は複数のダブルスピンドルユニット1を有するコンベヤベルト33(図7)を備えた搬送区分を形成している。ダブルスピンドルに関連したコンベヤベルト31が使用されるか又は複数のダブルスピンドルユニットを包括するコンベヤベルト33が使用されるかは、巻取りパッケージ12の搬出の所望のフレキシビリティに依存する。図6に示したコンベヤベルト31を備えた個別搬送区分では高いフレキシビリティが与えられているのに対して、長いコンベヤベルト33では、搬出のために必要な製造コストが減じられている。しかしながら後者の場合には、巻取りパッケージ12のための種々様々な搬送方向の間の境界のバリエーションに対する可能性は、確定している。
【0037】
図7に示した機械には、さらに取出しポジション35を備えた搬出ステーション34が示されており、この搬出ステーション34には完成した巻取りパッケージ12が搬送され、これによりこの搬出ステーション34から完成した巻取りパッケージ12を、例えばリフトを用いてオーバヘッドコンベヤに又はパレットに引き渡すことができる。
【0038】
図6及び図7から分かるように、ダブルスピンドルユニット1は両側において閉鎖プレート30によって画定されており、そしてこれらの閉鎖プレート30は相応な共通の装置32又は34と対応している。
【0039】
図6及び図7に示した機械では中央の制御装置32が示されており、この制御装置32は例えば中央のエネルギ供給装置を有しているか又は場合によっては制御装置を有しており、この制御装置とは、作業箇所固有の制御ユニット9が応答することができる。例えばすべての作業箇所1′,1′′のため又はこれらの作業箇所のグループのために、中央の制御装置32において相応な規準値を調節することができる。
【0040】
巻取りモジュール3は全体として、保持体2の取付け側壁24に取り付けられていて、容易に交換することができる。このことは、単に故障時における交換だけではなく、別の巻取りモジュールとの交換をも意味しており、つまり別の寸法を有するパッケージ、別の巻成方法又は大きく異なった糸材料との交換が可能である。
【0041】
ヒンジ状の保持装置24′は、巻取りモジュール3との上側のねじ結合部(図示せず)の解離後に、巻取りモジュール3が下方に向かってスピンドルモジュール4のハウジング18の領域内に旋回することを可能にし、これによってダブルスピンドルユニット1の搬送体積を著しく減じることができる。
【0042】
図5及び図7から分かるように、さらに供給通路29が設けられており、この供給通路29には例えば相応な供給管路が敷設されている。この供給通路がフレキシブルな構成を有している場合には、1つの作業箇所から他の作業箇所への振動の伝播が効果的に阻止される。さらに各供給通路29の長さはフレキシブルな機械長さに合わせることができる。この供給通路から延びる供給管路は、例えば中空成形体を貫いて上方に向かって案内され、供給開口28を介して制御ユニット9を備えた巻取りモジュール3内に接続開口している。
【0043】
ここには図示はされていないが、しかしながらもちろん同様に本発明の枠内において、個々のダブルスピンドルユニット1の間にスペーサを配置することも可能である。これらのスペーサの寸法は、場合によっては、スピンドルの相応な作業エレメントがどのような寸法を有しているかに依存している。例えば、作業エレメントの長さを所定の構造において伸ばすことも可能であり、このことは、本発明によれば真ん中に配置されている保持体2によって簡単に可能である。これにより全体として、1つの機械の輪郭に関するフレキシビリティが著しく改善される。
【符号の説明】
【0044】
1 ダブルスピンドルユニット、 1′,1′′ 作業箇所、 2 保持体、 3 巻取りモジュール、 4 スピンドルモジュール、 8 糸ガイド兼搬送機構、 9 制御ユニット、 9′ 操作エレメント、 10 摩擦駆動装置、 11 糸ガイド、 12 巻取りパッケージ、 13 パッケージフレーム、 14 パッケージプレート、 15 軸受側壁、 15′ 軸受、 17 搬送モジュール、 18 ハウジング、 18′ フロントプレート、 18′′ 蓋部分、 18′′′ カバー、 19 フレームダンパ、 21 中空成形体、 22 開口、 23 冷却開口、 23′,23′′ 開口、 24 取付け側壁、 25 受容部、 26 足、 27 取付けプレート、 28 供給開口、 29 供給通路、 30 閉鎖プレート、 31,33 コンベヤベルト、 32 制御装置、 34 搬出ステーション、 35 取出しポジション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業箇所を備えた繊維機械、特にダブルワイヤ撚糸機又はケーブリング機であって、単数又は複数のダブルスピンドルユニットを有しており、該ダブルスピンドルユニットがそれぞれ1つのフレームを有していて、該フレームが作業エレメント及び搬送エレメントを保持していて、ダブルスピンドルユニットの2つの作業箇所の背側が互いに向かい合って配置されている形式のものにおいて、
各ダブルスピンドルユニット(1)が、真ん中に配置された1つの保持体(2)を有しており、
該保持体(2)が、ダブルスピンドルユニット(1)の1つの作業箇所から他方の作業箇所に向かって延びる横ビーム(20)を有していて、該横ビーム(20)が調整可能な足(26)を用いて土台に支持されており、
保持体(2)がさらに中央に配置された中空成形体(21)を有していて、該中空成形体(21)が横ビーム(20)から鉛直方向に延びており、
中空成形体(21)が少なくとも、パッケージ搬出装置(31,33)を受容するため及び巻取り装置(3)を固定するために構成されている
ことを特徴とする、複数の作業箇所を備えた繊維機械。
【請求項2】
横ビーム(20)が少なくとも1つの開口を有していて、該開口にサクション装置が接続可能である、請求項1記載の繊維機械。
【請求項3】
巻取り装置(3)が巻取りモジュールとして形成されている、請求項1記載の繊維機械。
【請求項4】
中空成形体(21)にスピンドルモジュール(4)のハウジング(18)が接続されており、該ハウジング(18)及び中空成形体(21)が、互いに整合する空気通流開口(23,23′,23′′)を有している、請求項1記載の繊維機械。
【請求項5】
各ダブルスピンドルユニット(1)が1つの制御ユニット(9)を有している、請求項1記載の繊維機械。
【請求項6】
制御ユニット(9)が巻取りモジュール(3)に組み込まれている、請求項5記載の繊維機械。
【請求項7】
制御ユニット(9)が操作ユニット(9′)を有している、請求項5又は6記載の繊維機械。
【請求項8】
制御ユニット(9)が、中央の制御ユニット(32)との通信用のインタフェースを有している、請求項5記載の繊維機械。
【請求項9】
各ダブルスピンドルユニット(1)の作業エレメントが個別の駆動装置を有していて、ダブルスピンドルユニット(1)が所属の制御装置(9)を用いて独立して運転可能である、請求項7又は8記載の繊維機械。
【請求項10】
ダブルスピンドルユニット(1)がそれぞれ、別個に運転可能な搬送モジュール(17)を有していて、該搬送モジュール(17)が、パッケージ搬出装置(31)の搬送区分を形成している、請求項1記載の繊維機械。
【請求項11】
1つの共通のパッケージ搬出装置(33)を備えた複数のダブルスピンドルユニット(1)が設けられており、これによって形成された搬送区分の端部側におけるダブルスピンドルユニットが、無端の巻掛け搬送装置(33)のために必要な変向装置を備えている、請求項1記載の繊維機械。
【請求項12】
ダブルスピンドルユニット(1)を橋渡しする別個の又は連続した接続エレメント(29)が、振動伝達を抑制するために弾性特性を有している、請求項1記載の繊維装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−67937(P2013−67937A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−208618(P2012−208618)
【出願日】平成24年9月21日(2012.9.21)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】