説明

複数の加工工具が取り付けられる回転可能な工具運搬器が設けられる、眼鏡レンズを形成する機械

眼鏡用レンズを形成する機械であり、取り付けられた複数の加工工具を有する回転可能な工具運搬器が設けられる機械であって、レンズ(100)を支持するとともに、第1の駆動手段(14)により第1の回転軸(A3)を中心にしてレンズを回転駆動する手段(12,13)と、第2の回転軸(A20)を中心にして回転するように取り付けられ、第2の駆動手段により回転駆動される工具運搬器(20)と、各工具用軸(A21,A22,A23)を中心にして回転するように工具運搬器(20)に取り付けられた複数の加工工具(21,22,23)であって、それら加工工具の少なくとも2つ(21,22)は、レンズの周面を形成するとともに異なる工具用軸(A21,A22)を有する複数の加工工具と、第1の回転軸(A3)と第2の回転軸(A20)との間の相対間隔を拡げる運動を行う第3の駆動手段と、第1の回転軸(A3)に対し実質的に交差するように延びる第3の回転軸(A0)を中心にして、第1の回転軸(A3)に対し工具運搬器(20)を旋回可能とする旋回手段(30,31,32)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してフレームへの一対の矯正用眼鏡レンズの装着に関し、さらに詳しくはレンズを形成する機械と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学技術者の仕事の技術的分野は、将来の着用者により選ばれたフレームに、一対の眼鏡用レンズを装着することにある。これをするために光学技術者は各レンズを形成する必要があり、その作業は、フレームにおよびまたは望ましいレンズ形状にレンズを適合するようにレンズの外形を修正することである。
【0003】
従来、レンズの形成は、縁取り作業(しばしば「ラフィング」と称される」と、フレームのタイプに依存する仕上げ作業とからなる、2つの主たる作業を含む。
【0004】
縁取り作業とは、当該眼鏡レンズの不要な周面部を除去することであり、その外形を当初は略円形とし、リムの任意の外形またはフレームの枠に適合させて、あるいはフレームが縁無しタイプの場合には、単に望ましい審美的形状とする。この縁取り作業に続いて、通常、レンズの周囲の2つの鋭利な縁部を丸み付けする、すなわち面取りする面取り作業が行われる。
【0005】
仕上げ作業はフレームのタイプに依存する。縁付きフレームでは、通常、ベベルと称される隆起部を形成するベベリング作業が行われる。ベベルは、リムまたはレンズが装着される眼鏡フレームの周囲に形成された、一般にベゼルとして知られる対応する溝に係合するように設計される。フレームが縁無しタイプの場合、レンズの形成と必要に応じたその鋭利な縁部の丸み付け(面取り加工)とに続いて、縁無しフレームの眼鏡のつると鼻梁とがレンズに固定されるようにレンズの適切な穴あけ加工が行われる。最後に、フレームがナイロン糸を用いた半縁付きタイプの場合、面取り加工は、レンズの端面に溝を形成する溝加工作業を伴い、溝は、フレームの剛直な部位にレンズを押し付けるフレームのナイロン糸を受容するために機能する。
【0006】
通常、レンズは数値制御研削機で形成され、数値制御研削機は、行われる予定の種々の作業に適した複数の加工工具とともに、レンズを保持して回転駆動する手段を有する。
【0007】
通常、加工工具は、とりわけラフィング用の研削輪と、主たる加工モジュールを構成する共通の回転駆動軸に取り付けられるベベリング用の研削輪とを含む。穴加工用、溝加工用、および面取り加工用の工具と、さらに例えば大きく湾曲したレンズのようなある特定タイプのレンズを機械加工するための特殊な工具が、別の加工モジュールに配置される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのような機械は大量のスペースを占有し、加工モジュール毎に設けられる少なくとも1つのモータを必要とするので、高価である。
【0009】
FR2614227号公報の図2に示された特定の実施形態では、回転軸を中心に転回するように取り付けられた共通の回転式工具運搬器に、上述の加工工具のいくつかを組み合わせることを提案している。加工工具はさらに、工具運搬器の回転軸と実質平行の別個の工具軸を中心に回転するように取り付けられる。その公報の教示によると、工具運搬器に取り付けられる加工工具は、単にレンズの表面を形成するための工具であり、機械加工するレンズに対して相対移動するそれら加工工具の移動の自由は、ほとんどない。
【0010】
その工具運搬器を用いて行われることの可能なレンズ加工作業の多様性は、それ故、制限される。
【0011】
本発明の目的は、機械の小型化を保ちながら、回転式の工具運搬器を有する形削り盤により使用可能なレンズ加工作業の多様性を増加させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的のため、本発明は、レンズを支持するとともに、第1の駆動手段により第1の回転軸を中心にしてレンズを回転駆動する手段と、第2の回転軸を中心にして回転するように取り付けられ、第2の駆動手段により回転駆動される工具運搬器と、各工具用軸を中心にして回転するように工具運搬器に取り付けられた複数の加工工具であって、それら加工工具の少なくとも2つは、レンズの周面を形成するとともに異なる工具用軸を有する複数の加工工具と、第1の回転軸と第2の回転軸との間の相対間隔を拡げる運動を行う第3の駆動手段と、第1の回転軸に対し実質的に交差するように延びる第3の回転軸を中心にして、第1の回転軸に対し工具運搬器を旋回可能とする旋回手段とを備える、眼鏡用のレンズを形成する形削り盤を提供する。
【0013】
レンズの回転軸に対する工具運搬器の軸の旋回運動の自由は、穴あけ用工具の軸の傾斜角を制御可能とし、これにより所望の向きと形状の穴を加工することができる。工具運搬器全体に旋回運動の自由が適用されるということは、レンズ周面を形成する他の工具の軸の傾斜角を制御することをさらに可能とし、これによりレンズ周面を所望の形状に正確に形成できる。
【0014】
これにより、特に、加工されるべきレンズ周面を形成するための仕上げ用工具(一般にベベリング加工用研削輪や溝加工用研削輪)の軸の傾斜角を調整することが可能となる。工具運搬器の旋回運動の同一の自由を利用すると、加工されるべきレンズ周面を形成するためのラフィング加工用工具(一般に縁取り粗加工用研削輪)の傾斜角を適合させることも可能となり、それにより仕上げ加工目的の所望の角度に相当する傾斜角に粗加工されたレンズ端面を得ることができる。これにより仕上げ加工作業がよりたやすくなり(移動をあまり必要とせず、より均一の態様で移動させるので)、それにより仕上げ用工具の磨耗が低減され、かつ、より均一化されるとともに、仕上げ加工をより早く、かつより正確に行うことができる。
【0015】
また、レンズの加工前およびまたはレンズの加工中に動的に、レンズに対する工具の理想的な3次元位置を得るために、工具運搬器の軸の旋回運動の自由を別の自由度と組み合わせることもできる。
【0016】
大きく傾斜され、かつ、周面に面取り部や溝を形成することが望まれるレンズにとって、ベベリング加工用工具や溝加工用工具のような加工工具の軸の傾斜角は、面取りまたは溝加工されたレンズ周面の各部の向きと形状を3次元的により適合させることを可能にするとともに、その現象を制限し、それにより面取り部や溝はそれが形成されている間に削り取られるようになる。
【0017】
そのような工具運搬器は、少ない移動部分と移動の自由でありながら、レンズに幅広い種類の処理操作を行うことをさらに可能とする。
【0018】
各加工工具は、その回転軸上に単独で取り付けられているので、工具が交換されるときに、(複数の工具が共通軸上に取り付けられている場合に起こるような)他の加工工具を取り除くことはもはや必要でない。交換された加工工具は、較正し直されることを必要とするだけで、他の加工工具は交換により影響を受けない状態にとどまっているので、他の加工工具を較正し直すことは必要でない。
【0019】
さらに、回転軸を中心とした工具運搬器の回転の自由およびこの回転軸を中心として工具が分配されるおかげで、選択された加工工具をレンズに合わせて運搬するのに単一のモータで十分である。形削り盤の全体の大きさとコストもそれにより低減される。
【0020】
本発明の第1の好ましい特徴によると、加工工具は穴あけ用工具を有する。本発明の工具運搬器に穴あけ用工具が存在することにより、単一の工具運搬器とそれが有する移動の自由を用いて、対応する加工工具によりレンズの周面を形成するだけでなく、穴あけされるタイプのフレームに装着される予定のレンズを穴あけ加工することも可能である。別個の穴あけ用モジュールを追加して設けることは必要でない。
【0021】
本発明の別の好ましい特徴によると、少なくとも1つの加工工具の工具用軸および工具運搬器の第2の回転軸は、この加工工具が選択されて工具運搬器が加工工具の作動位置に回転させられたときに、加工工具の工具用軸が第1の回転軸に対して傾斜するような態様で、典型的には5度以上の傾斜角にて配設される。この傾斜角は固定的でもよく、好ましくは、レンズの全体的な湾曲と形削り後のレンズの所望の全体的な最終外形形状とに依存させてもよい。
【0022】
本発明の別の好ましい特徴によると、レンズの加工工程を進めるために加工工具の1つを選択する手段と、選択された加工工具をレンズに合わせて運搬するような態様で、第2の回転軸を中心にして工具運搬器を回転させるように設計された第2の駆動手段を制御する制御手段とが設けられる。
【0023】
そのような状況では、好ましくは、
−第3の回転軸を中心として工具運搬器を旋回する手段は、レンズの加工前およびまたは加工中に、制御手段の制御の下、第4の駆動手段により駆動され、
−制御手段は、レンズを回転する第1の駆動手段に協調し、第3の回転軸を中心として工具運搬器を旋回する手段を駆動する第4の駆動手段を制御するように設計され、
−制御手段は、レンズを回転する第1の駆動手段に協調し、第2の回転軸を中心として工具運搬器を回転する第2の駆動手段を制御するように設計される。
【0024】
この制御は、現在の加工箇所において、形成されるレンズの前面、後面および中央面の局所的または全体的な湾曲に応じて実行されるとともに、この加工箇所において、所望の形状とされる外形の半径に応じて実行される。
【0025】
本発明の別の好ましい特徴によると、形削り工具は、平坦な端面を有するようにレンズを形成する少なくとも1つの縁取り用工具と、ベベリング加工用研削輪、面取り用ディスク、溝加工用工具、および研磨用工具のうちの少なくとも1つにより構成される少なくとも1つの仕上げ用工具とを有する。
【0026】
本発明の別の好ましい特徴によると、形削り工具は、互いに異なる直径を有し、その形削り工具の回転軸は、第2の回転軸から異なる距離に配置されている。特に、加工工具は、形削りするレンズの周面を形成するラフィング加工用研削輪と仕上げ加工用研削輪とを有し、ラフィング加工用研削輪の直径は仕上げ加工用研削輪の直径よりも著しく大きく、両者の直径の差は概して10mmより大きい構成とすることができる。
【0027】
本発明の別の好ましい特徴によると、各加工工具は、工具用軸を中心とした加工工具の回転中における動作範囲を規定する動作部を有し、少なくとも2つの形削り工具にとって同一である第2の回転軸からの最大距離に、動作範囲の有効部が定められている。
【0028】
レンズを加工工具に接触させるための傾動移動量がこれにより小さくなる。これは、形削り盤をさらに小型化することも可能にする。
【0029】
本発明の別の好ましい特徴によると、加工工具を、それらを回転駆動する共通モータに連結する連結手段を有し、連結手段は、複数の加工工具の少なくとも1つが非作動状態にあるときに、その加工工具の連結用のクラッチが解放されることを可能とし、工具運搬器が複数の加工工具の少なくとも1つの作動位置にあるときに、その加工工具と共通モータとの間の連結用クラッチを接続するように設計される。非作動状態にある工具の連結用のクラッチが解放されることにより、駆動歯車装置および工具用軸受けの磨耗を低減し、さらに加工作業により生じる騒音公害を低減し、それにより寿命と加工精度を高める。
【0030】
発明の別の好ましい特徴によると、レンズの支持部は、第1の回転軸上にそれぞれ配設された2本のシャフトであって、それらの自由端面の間にレンズを把持する2本のシャフトを有し、これら各シャフトは、その自由端部に直径の減少した端末部を有する。これにより小径のレンズの周面を加工することが可能である。
【0031】
本発明は、さらに上述のように定義された形削り盤によりレンズを形成する方法を提供し、その方法は、第2の回転軸を中心にして工具運搬器を回転し、レンズに合わせて縁取り用工具を位置させる工程と、縁取り用工具によりレンズの縁取りを粗加工で行う工程と、第2の回転軸を中心にして工具運搬器を回転し、レンズに合わせて仕上げ用工具を位置させる工程と、第3の回転軸を中心とした傾斜角が0度以外である工具運搬器を用いて、仕上げ用工具によりレンズのベベリング加工または溝加工を仕上げる工程とを含む。
【0032】
この方法は、好ましくは、傾斜角とは無関係に、全てのレンズの形成に系統的に適用され、とりわけ、半径が12cmより大きい球状の前面を有するレンズを形成する加工にさえ適用される。
【0033】
本発明は、さらに上述のように定義された形削り盤によりレンズを形成する方法を提供し、その方法は、第2の回転軸を中心にして工具運搬器を回転し、レンズに合わせて縁取り用工具を位置させる工程と、第3の回転軸を中心とした傾斜角が0度以外である工具運搬器を用いて、縁取り用工具によりレンズの縁取りを粗加工で行う工程と、第2の回転軸を中心にして工具運搬器を回転し、レンズに合わせて仕上げ用工具を位置させる工程と、工具運搬器の同一の傾斜角で、仕上げ用工具によりレンズのベベリング加工または溝加工を仕上げる工程とを含む。
【0034】
これは精度のよいかつ適切に向きが付けられた傾斜端部を生成し、それによりフレームへの取り付け精度および外観を向上する。これはさらに、形削りをやり直す必要があるあらゆるリスクを回避し、これにより光学技術者にとってかなりの時間の節約となる。
【0035】
非制限的な例により与えられる付随の図面に関連した以下の説明は、発明の本質が何であり、かつそれをいかにして実行に移すことができるかにつき、十分な理解を与える。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係る形削り盤の斜視図である。
【図2】本発明に係る形削り盤の別の角度から見た斜視図であり、工具運搬器を回転する手段を示す図である。
【図3】工具運搬器の部分正面図であり、工具運搬器から投影したベベリング加工用研削輪により微小径のレンズを形成する端部を示す図である。
【図4】加工工具を回転駆動する共通モータに加工工具を連結するクラッチ解放可能手段を示す部分概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1,2は、眼鏡に取り付けられる矯正用のおよびまたは着色された眼鏡レンズ100を形成する形削り盤を示している。形削り盤は、底部と4つの側壁とを有する鋳造品であるベース成形のシェルを備える。シェルは全体が成形されているので、永続的にかつ確実に漏れを抑えることが保証されている。
【0038】
ロッカー装置11と加工手段19とを支持するプレート2も設けられる。プレート2は、図1,2に概略的にかつ一部のみ示され、シェル1上に搭載されてカバーを形成する。したがって、レンズ100が形成される間、プレート2はシェル1と協働して、ロッカー装置11と加工手段19とを包含する封止されたハウジングを形成する。カバー形成プレート2は、形成されたハウジング内部へのアクセスを与える管理アクセスハッチ(不図示)を有し、それによりレンズ100を挿入および取り除く。
【0039】
また、加工手段19およびロッカー装置11の機械的な移動部は、全てプレート2に取り付けられ、メンテナンス作業の間、これらの要素はカバー2と一体のユニットとしてシェル1から取り出されて直接アクセス可能となり、これによりメンテナンス作業を容易にする。とりわけ、メンテナンス作業を行う作業員は、シェル1の側壁によって妨害されない。
【0040】
ロッカー装置11は、チルト軸A1を中心に回転するようにプレート2に取り付けられている。この回転運動の自由は、図1,2のBSCで示される。
【0041】
それによりクランプおよび回転駆動シャフト12,13は、第1に、それらがシェル1とカバープレート2とにより形成されたハウジングの内部に位置する作業位置と、第2に、それらがハウジングの外部に位置する装填位置との間を、チルト軸A1を中心に回転運動可能となる。
【0042】
ロッカー装置11は、クランプおよび回転駆動シャフト12,13を有し、これらシャフト12,13は、レンズ100に結合し、チルト軸A1から離間したチルト軸A1に対し平行な回転軸A3に沿って伸延する。これらのシャフト12,13は、軸A3に沿ってお互いに対し相対的に並進運動可能であり、レンズ100を把持してしっかり固定する。
【0043】
シャフト12,13、および結果的にはレンズ100も、軸A3を中心に回転運動可能である。図1,2にROTで示されるこのシャフト12,13の回転は、例えばステップモータとギアボックスユニットなどの適宜な第1の駆動手段によって行われる。
【0044】
加工手段19は、第2の回転軸A20を中心としてドラムを形成する円柱形状の工具運搬器20を備え、工具運搬器20は軸A20を中心とした回転運動PIV1の自由を有する。軸A20を中心とした工具運搬器20の回転PIV1は、通常はステップモータとギアボックスユニットにより構成される第2の駆動手段(不図示)によって行われる。
【0045】
工具運搬器20は、工具運搬器の回転軸A20に対してほぼ平行で、かつ互いに異なる工具の軸A21,A22,A23を中心にしてそれぞれ回転可能な複数の加工工具21,22,23を有する。
【0046】
これらの加工工具21,22,23は、工具運搬器の回転軸A20の周囲に配置され、とりわけそれらは周面を形成する2つの工具21,22と、1つの穴あけ用の工具23とを含む。
【0047】
工具運搬器20は、回転軸A2に沿って並進運動可能であり、これにより工具がその回転軸に沿ってレンズに対し相対移動し、とくに溝加工やベベリング加工、実際には穴あけ加工時に有用である。この移動の自由は「トランスファー」と称され、図のTRAで示される。
【0048】
ある変形例では、このレンズと工具運搬器との間の並進運動の相対的な自由は、シャフト12,13とレンズとにより構成される組立品が、全体として並進運動可能となるような態様で設計されたロッカー装置11によって達成することもできる。
【0049】
回転式の加工工具を駆動する構成は、複数の出力シャフトを有する工具運搬器20を備え、各々の出力シャフトには、加工工具21,22,23の1つが取り付けられている。これらのシャフトは各々、歯車装置(仕上げ用研削輪22のための28を参照)により回転駆動され、それらを回転駆動する共通モータ40の出力シャフトにクラッチを解放可能な態様で連結された入力シャフト(上記歯車装置28のための28.1を参照)とともに回転駆動される。
【0050】
クラッチ解放可能手段は、共通モータに加工工具を連結するために設けられる。これらの連結手段は、工具運搬器20が加工工具の作動位置にあるときに、その作動状態の加工工具と共通モータ40を連結するクラッチを接続するとともに、非作動状態の加工工具を連結するクラッチを解放するように設計される。
【0051】
特に、図3,4に示すように、個々のクラッチ解放可能な磁気継ぎ手が共通モータ40とともに各工具のために設けられ、この磁気継ぎ手は、通常は供給元のマグネティックテクノロジー社(Magnetic Technologies Ltd)によって販売されているような、面ディスクを備えるタイプのものである。この磁気継ぎ手は、主として第1に、加工工具21,22,23にそれぞれ対応付けられた軸A25,A26,A27に関して個別の継ぎ手ディスク25,26,27を備え、各ディスクは対応する工具の駆動歯車装置に連結されることにより、工具運搬器20に回転するように取り付けられ(図3,4に示す構成では、工具22を駆動する歯車装置28が図によって示される)、第2に、共通モータ40の出力シャフトに連結された共通継ぎ手ディスク41を備えている。共通継ぎ手ディスク41は、工具運搬器20の回転軸A2に対して相対的にオフセットされたモータの軸A41上に配置され、個々の継ぎ手ディスク25,26,27は、共通継ぎ手ディスク41の駆動軸A41と同一のオフセットを有する軸A25,A26,A27上に配設されている。これにより工具運搬器20が、種々の工具21,22,23を連続して作動位置に配置するように回転軸A20を中心に回転するとき、個々の継ぎ手ディスク25,26,27が共通の継ぎ手ディスク41に連続的に一致するように移動される。工具運搬器20が、加工工具の1つ(図3,4の例では仕上げ用研削輪22)がレンズ100を加工する位置である所与の角度位置に静止状態でとどまるとき、その工具に連結された個々の継ぎ手ディスク(図3,4の例ではディスク26)は共通継ぎ手ディスク41に面して位置される。図示の例では、軸A26と軸A41とが一致している。
【0052】
ある変形例では、共通モータ40の出力シャフトが共通継ぎ手の歯車を回転させるとともに、工具運搬器20を回転させることで各工具の歯車装置をそれぞれ共通継ぎ手の歯車に噛合させるような態様により、種々の工具の各駆動歯車装置が配設されるように構成することもできる。工具運搬ドラムが、対応する工具の作動位置にあるときに、各工具の歯車装置は、単独で共通継ぎ手の歯車に個別に噛合されるようになる。そのとき、他の工具の駆動用歯車の共通モータに連結するクラッチは解放される。このため、共通継ぎ手の歯車は、工具運搬器20の回転軸A20からオフセットされる。
【0053】
形削り工具21,22は、縁取り用工具21と仕上げ用工具22とを有する。縁取り用工具21は、ラフィング加工用研削輪により構成され、仕上げ用工具22はベベリング加工用研削輪により構成されている。ラフィング加工用研削輪は、その回転軸A21を中心として1回りの縁取りの加工面を有し(特に円筒状面)、ラフィング加工面の粒径は約150μmである。仕上げ用研削輪22は、ベベリング溝22.2とともに、その回転軸A22を中心とした1回りの面により構成された縁取りの加工面22.1を有する。特に、縁取りの加工面22.1は円筒形状であるが、好ましくは円錐形状とすることもできる。いかなる形状であるにしろ、仕上げ用研削輪22は、ラフィング加工用研削輪21の直径よりもかなり小さい最大直径を呈する。仕上げ用研削輪22の粒径は、55μm程度である。
【0054】
図示は省略するが、面取り用工具、溝加工用工具、研磨用工具のような他の仕上げ用工具を追加した構成とすることが好ましい。
【0055】
形削り盤は、さらに第1の回転軸A3に対して工具運搬器20を回転させる旋回手段を有する。旋回手段は、プレート2に工具運搬器20を連結する軸A0を中心とした回転結合部を備える。これにより工具運搬器20は、工具運搬器の回転軸A20と結果的に加工工具の軸とが、レンズの回転軸A3に対してある角度にわたり旋回可能となる回転運動PIV2の自由を有する。軸A0を中心とした工具運搬器20のこの旋回は、特に、モータ29を備える第4の駆動手段によって行われ、モータ29の出力シャフトは、鉛直方向の軸A0を中心として工具運搬器20を旋回可能とする歯車32に噛合したウォームギヤの軸31に取り付けられている。駆動モータ29は、制御手段200によりレンズの加工前およびまたは加工中に動作する。
【0056】
好適な磁気継ぎ手にとっては、軸A0を中心とした工具運搬器20の角度位置に拘わらず、好ましくは共通の継ぎ手ディスク40と同一の軸上にそれぞれ継ぎ手ディスク25,26,27がとどまるべき点に留意すべきである。したがって、共通モータ40と共通の継ぎ手ディスク41とが軸A0を中心として工具運搬器20とともにPIV2の回転をするように構成することが好ましい。
【0057】
工具運搬器20の旋回軸A0は、とくにこの軸を中心とした工具運搬器の旋回が工具の過渡の並進運動によって随伴されないように工具に接近して配置されることが好ましい。
【0058】
形削り工具21,22は互いに異なる直径を有し、形削り工具21,22の回転軸A21,A22は第2の回転軸A20から異なる距離に配置されている。とりわけ各形削り工具21,22は、軸A21,A22,A23を中心とした形削り工具21,22の回転中に、各形削り工具21,22にとって同一である第2の回転軸A20からの最大距離に位置する動作範囲の有効部を用いて動作範囲を規定する動作部を有する。
【0059】
加工工具の少なくとも1つの工具軸が、工具運搬器20の第2の回転軸A20に対して概して5度以上の角度により傾斜されるように構成されてもよい。これによりこの加工工具が選択され、工具運搬器がその加工工具の作動位置を占めるように回転されると、軸A20を中心として回転する工具運搬器20により、この加工工具の工具軸をレンズの回転軸に対して方向付けることができる。
【0060】
この傾斜軸を有する加工工具は、一般に円錐状の研磨用加工面を有するベベリング加工用輪22、あるいは溝加工用ディスクとしてもよい。そのような状況下において、傾斜角度は、頂部に同一の円錐半角を有する10°〜30°の範囲としてもよい。
【0061】
さらに、とりわけ図3に示すように、研削輪22と21とが工具運搬器20から放射状に突出するように構成されることが好ましい。これにより図3では、研削輪22が工具運搬器20に対して距離Dにより放射状に突出して見える。この研削輪の放射状の突出により、ロッカー装置11と工具運搬器20との間の干渉を防止しつつ、最終直径が極小のレンズ100を加工することができる。
【0062】
そうした状況下で、極小径のレンズを加工することは、細まった端部に設けられたレンズ100をクランプするクランプシャフト12,13によって特に可能となる。ロッカー装置11から突出するロッカー装置11の本体に関し、各クランプシャフト12,13は、基部32,33と、基部32,33よりも小径の末端部36,37とを有する。これは、シャフトが十分な剛性を有することを保証するにも拘わらず、それと同時に、小径の末端部36,37に一致している研削輪が、クランプシャフトの大径の基部32,33の間を通ることを可能にする。
【0063】
とりわけ各基部32,33の自由端には、取付終片34,35に係合するギザギザ形状の機構が設けられ、取付終片34,35には、末端部36,37を形成する小径の突出部が設けられている。突出部すなわちシャフト12の末端部36は、その自由端において、ブロッキングパッド、すなわち基準のフレームに組み込むためのレンズ100の対応する面に装着されたアクセサリ38と共働する。このブロッキングアクセサリはそれ自体よく知られており、一例としてEP1266723号公報に記載された形式のアクセサリを用いることができる。突出部の自由端すなわちシャフト13の末端部37には、滑りを防止して表面状態を保持するため、レンズに高い摩擦係数を与えるエラストマー製の接続ペレット39が設けられている。
【0064】
一例として、各クランプシャフト12,13の末端部36,37は、上流部に対して少なくとも直径1mmの段を呈する。末端部の直径は、8mm〜18mmの範囲内にある。図示の例では、末端部は直径10mmであり、本体部は32,33は直径18mmである。
【0065】
クランプシャフトの末端部36,37は、それらの長さの合計が、加工されるレンズの最小厚さを減じたラフィング加工用および仕上げ用の研削輪の最大幅以上となる長さを超えて伸延する。とりわけ、レンズの最小厚さは2mmである。したがって、それぞれ17mmの幅のラフィング加工用および仕上げ用の研削輪を設けた場合、2本のシャフト12,13の小径の末端部36,37の長さの合計は少なくとも15mmである。各小径の末端部36,37の長さは、クランプシャフトが十分な剛性を保つことを保証するため、長すぎないようにすべきである。とりわけ、各クランプシャフトの小径の末端部36,37の長さは、約8mmである。
【0066】
レンズ100の加工工程を進めるため、加工工具21,22,23の1つを選択する手段が設けられるとともに、選択された加工工具21,22,23をレンズ100に合わせて運搬するため、工具運搬器20の回転運動を制御する手段も設けられている。
【0067】
制御手段200は、工具運搬器20の回転運動を制御する手段、例えば工具運搬器20の回転位置を割り出す装置を制御する。工具運搬器の回転位置の割り出し装置は、縁取り作業を行っている間に、加工工具21,22,23が移動を妨げられるような態様で設計される。
【0068】
レンズの第1の回転軸A3と工具運搬器20の第2の回転軸A20との間の間隔を、縁取り時に動的に調整可能とするため、チルト軸A1を中心に傾倒するロッカー装置11の運動の自由BSCが利用される。この自由BSCは、一般にモータとギヤボックスユニット15により構成される第3の駆動手段によって行われる。
【0069】
眼鏡レンズを所与の外形を有するように加工するため、再生産するために並進運動するロッカー装置11の運動の自由RESと、回転運動するレンズのシャフト12,13の運動の自由ROTは、コンピュータとこのために適宜にプログラムされた電子的処理装置200により協調して制御され、眼鏡レンズの外形の全ての箇所を連続的に正確な直径とする。
【0070】
コンピュータと電子的処理装置200は、ロッカー装置や工具運搬器のような形削り盤の種々の要素の運動の自由を制御する手段を有する。コンピュータと電子的処理装置200は、この例では、加工工具の運動の自由とレンズ用のシャフトを回転駆動するとともにクランプする種々の運動の自由とを協調して制御するように設計された電子カードにより構成され、以下に説明するように自動形削り方法を実施する。
【0071】
上述の形削り盤は、以下の工程を適用するレンズ形削り方法を実施するために利用される。
【0072】
レンズは、ロッカー装置の回転駆動保持シャフト12,13の中間に配置されて把持される。コンピュータと電子処理装置200は、工具運搬器20の回転運動の自由を制御し、レンズに合わせて形削り工具21を位置させる。その後、コンピュータと電子処理装置200は、レンズの回転運動の自由ROTを制御し、形削り工具21を用いてレンズ100の縁取りを粗加工で行うために、並進運動の自由TRAと再生産における運動の自由RESを制御する。
【0073】
この粗加工の工程の間に、レンズは粗加工され、レンズの外形はそこに与えるべく望まれた形状に近づく。
【0074】
この粗加工作業にとって好ましくは、工具運搬器の旋回回転の自由を使用し、レンズの端面を仕上げるための望まれた角度に対応した傾斜角をとるために、形削り工具21を旋回させる点に注意が払われる。
【0075】
穴加工されるタイプのフレーム用のレンズを加工するとき、一旦粗加工が完了すると、レンズに合わせて仕上げ用工具22を位置させるために工具運搬器がその軸A20を中心にして回転し、ベベリング溝を有しない仕上げ用研削輪の周辺部を用いることにより、縁取り作業の仕上げを行う。
【0076】
その後、仕上げ工程の最後に、工具運搬器20はその回転軸A20を中心にして回転させられ、レンズに合わせて穴あけ用工具23を運搬する。レンズの回転軸A3に対して工具運搬器の軸A20を傾斜させるため、工具運搬器の旋回運動の自由PIV2がそのとき制御され、レンズを穴加工する穴あけ工具を正確に方向付けする。
【0077】
レンズを穴あけ加工して形成するとき、一旦ラフィング加工が完了すると、工具運搬器はその回転軸A20を中心として回転し、レンズに合わせて仕上げ用工具22を位置させる。
【0078】
コンピュータと電子処理装置200は、形削り盤の種々の要素の運動の自由を同様に制御し、ベベリング仕上げ作業を実行する。ある変形例では、工具運搬器上に溝加工用工具を配置し、レンズを溝加工する構成とすることもできる。
【0079】
レンズの回転軸A3に対する工具運搬器20の回転軸A20の旋回の自由PIV2は、レンズの周面の所望の形状を得るような態様で制御されてもよい。
【0080】
好ましくは、旋回の自由PIV2は、強く湾曲されたレンズの周面にベベルまたは溝を形成するように制御され、それが形成されている間のベベルまたは溝が削り取られる範囲を制限する。レンズの前面は球状に形成されるので、強く湾曲されたレンズは、12cm未満の半径の球部を形成するレンズとして定義される。このため、制御手段は、軸A0を中心として旋回する回転運搬器20の運動の自由PIV2を利用するようにプログラムされ、2006年11月13日に本出願人の名前で出願されたフランス特許出願FR06/08987に説明されているように、レンズに対する工具の傾斜角を制御する。
【0081】
ある状況では、制御手段200は、加工位置に工具を運搬するためにレンズを加工し始める前だけでなく、動的にレンズが加工される間、レンズが軸A3を中心として回転させられる間にも、レンズを回転駆動する第1の駆動手段に協調して、軸A0を中心とした工具運搬器20を旋回する手段を駆動する第4の駆動手段を制御するように設計される。工具運搬器20の傾斜角の動的な制御は、ベベリング加工や溝加工のようなレンズ周面の仕上げ加工を実行するときにとくに有用であり、フレームへのより正確な装着を達成する。この制御は、そのときフレームの3次元形状の機能として好ましくは実行される。
【0082】
また、そのようなレンズ周辺の仕上げ加工の間の加工の正確性をさらに向上させるために、第2の回転軸A20を中心とした工具運搬器20の回転のための第2の駆動手段が、レンズを回転する第1の駆動手段14と協調して、このためにプログラムされた制御手段200により制御されることが好ましい。
【0083】
このため、制御手段は、軸A0とA20を中心とした工具運搬器20の2つの自由運動を使用するようにプログラムされ、2005年11月24日に本出願人の名前で出願されたフランス特許出願FR05/11895に説明された態様で、レンズに対して工具の位置を制御する。
【0084】
そのような状況では、加工工具(ベベリング加工や溝加工用工具)の軸と工具運搬器20の第2の回転軸A20は、加工工具が選択されて工具運搬器がその加工工具の作動位置に回転させられたときに、加工工具の軸がある角度でレンズの第1の回転軸に対して傾斜されるような態様で配設されるように構成される。レンズの角度位置に応じた第2の回転軸A20を中心とする工具運搬器20の回転は、そのとき十分な効果をもたらす。
【0085】
この方法は、レンズの曲率半径の値とは無関係にレンズを形成するとき、とりわけ強く湾曲されていないレンズに対し、すなわち12cmよりも大きな半径の球部を形成するレンズに対し、意図的に利用されてもよい。
【0086】
例えば汚れに対する処置であり、滑りやすくするようなコーティングを有するレンズを加工するために、ミリングカッター工具が設けられた工具運搬器を備えることも可能である。制御ユニットは、このタイプの滑りやすいレンズの形削りの粗加工をするためのカッター工具を用いるようにプログラムされる。したがってレンズに伝えられるトルクは小さく、これによりレンズがその支持部に対して滑ることを回避する。このようなミリングによる切削は、2006年5月19日に本出願人より出願されたフランス特許出願FR06/04493に詳細に記載されている。
【0087】
形削りするレンズが滑りやすいタイプからなり、さらに形削り後に望まれる最終の直径が小さすぎてその直径をミリングにより形削りできないとき、制御ユニットは、以下の2つのサブ工程で粗加工するようにプログラムされる。
−所望の直径よりも大きな最小直径まで削減するようにレンズがミル加工される。最小直径は、工具運搬器またはミル加工工具の駆動モータと、レンズ100を保持して回転駆動する手段12,13との間のあらゆる衝突を避けるように事前に定義される。
−粗加工用の研削輪を用いて所望の直径に研削することによりラフィング作業を仕上げる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡用のレンズ(100)を形成する形削り盤において、
前記レンズ(100)を支持するとともに、第1の駆動手段(14)により第1の回転軸(A3)を中心にして前記レンズを回転駆動する手段(12,13)と、
第2の回転軸(A20)を中心にして回転するように取り付けられ、第2の駆動手段により回転駆動される工具運搬器(20)と、
各工具用軸(A21,A22,A23)を中心にして回転するように前記工具運搬器(20)に取り付けられた複数の加工工具(21,22,23)であって、それら加工工具の少なくとも2つ(21,22)は、前記レンズの周面を形成するとともに異なる工具用軸(A21,A22)を有する複数の加工工具(21,22,23)と、
前記第1の回転軸(A3)と前記第2の回転軸(A20)との間の相対間隔を拡げる運動を行う第3の駆動手段とを備え、
前記第1の回転軸(A3)に対し実質的に交差するように延びる第3の回転軸(A0)を中心にして、前記第1の回転軸(A3)に対し前記工具運搬器(20)を旋回可能とする旋回手段(30,31,32)を有することを特徴とする形削り盤。
【請求項2】
請求項1に記載の形削り盤において、
前記加工工具(21,22,23)は、穴あけ用工具(23)を有する形削り盤。
【請求項3】
請求項1または2に記載の形削り盤において、
少なくとも1つの前記加工工具(22)の工具用軸(A22)および前記工具運搬器(20)の第2の回転軸(A20)は、この加工工具(22)が選択されて前記工具運搬器が前記加工工具の作動位置に回転させられたときに、前記加工工具(22)の工具用軸(A22)が第1の回転軸(A3)に対して傾斜するような態様で配設されている形削り盤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の形削り盤において、
レンズ(100)の加工工程を進めるために前記加工工具(21,22,23)の1つを選択する選択手段(200)と、
前記選択された加工工具(21,22,23)を前記レンズ(100)に合わせて運搬するような態様で、前記第2の回転軸(A20)を中心にして前記工具運搬器(20)を回転させるように設計された前記第2の駆動手段を制御する制御手段(200)とを有する形削り盤。
【請求項5】
請求項4に記載の形削り盤において、
前記第3の回転軸(A0)を中心として前記工具運搬器(20)を旋回する手段は、前記レンズの加工前およびまたは加工中に、前記制御手段(200)の制御の下、第4の駆動手段により駆動される形削り盤。
【請求項6】
請求項5に記載の形削り盤において、
前記制御手段(200)は、前記レンズを回転する前記第1の駆動手段(14)に協調し、前記第3の回転軸(A0)を中心として前記工具運搬器(20)を旋回する前記手段を駆動する前記第4の駆動手段を制御するように設計されている形削り盤。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の形削り盤において、
前記制御手段(200)は、前記レンズを回転する前記第1の駆動手段(14)に協調し、前記第2の回転軸(A20)を中心として前記工具運搬器(20)を回転する前記第2の駆動手段を制御するように設計されている形削り盤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の形削り盤において、
前記形削り工具(21,22)は、
平坦な端面を有するようにレンズを形成する少なくとも1つの縁取り用工具(21)と、
ベベリング加工用研削輪、面取り用ディスク、溝加工用工具、および研磨用工具のうちの少なくとも1つにより構成される少なくとも1つの仕上げ用工具(22)とを有する形削り盤。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の形削り盤において、
前記形削り工具(21,22)は、互いに異なる直径を有し、その形削り工具(21,22)の回転軸(A21,A22)は、前記第2の回転軸(A20)から異なる距離に配置されている形削り盤。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の形削り盤において、
各加工工具(21,22,23)は、工具用軸(A21,A22,A23)を中心とした前記加工工具(21,22,23)の回転中における動作範囲を規定する動作部を有し、少なくとも2つの前記形削り工具(21,22)にとって同一である前記第2の回転軸(A20)からの最大距離に、前記動作範囲の有効部が定められている形削り盤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の形削り盤において、
前記加工工具(21,22,23)を、それらを回転駆動する共通モータ(41)に連結する連結手段を有し、
前記連結手段は、前記複数の加工工具の少なくとも1つが非作動状態にあるときに、その加工工具の連結用のクラッチが解放されることを可能とし、前記工具運搬器(20)が前記複数の加工工具の少なくとも1つの作動位置にあるときに、その加工工具と前記共通モータ(41)との間の連結用クラッチを接続するように設計される形削り盤。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の形削り盤において、
前記レンズの支持部は、前記第1の回転軸(A3)上にそれぞれ配設された2本のシャフト(12,13)であって、それらの自由端面の間に前記レンズを把持する2本のシャフト(12,13)を有し、これら各シャフトは、その自由端部に直径の減少した端末部(16,17)を有する形削り盤。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の形削り盤によりレンズを形成する方法であって、
前記第2の回転軸(A20)を中心にして前記工具運搬器(29)を回転し、前記レンズに合わせて前記縁取り用工具(21)を位置させる工程と、
前記縁取り用工具(21)により前記レンズ(100)の縁取りを粗加工で行う工程と、
前記第2の回転軸(A20)を中心にして前記工具運搬器(20)を回転し、前記レンズに合わせて前記仕上げ用工具(22)を位置させる工程と、
前記第3の回転軸(A0)を中心とした傾斜角が0度以外である前記工具運搬器を用いて、前記仕上げ用工具(22)により前記レンズのベベリング加工または溝加工を仕上げる工程とを含む方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記傾斜角とは無関係に、レンズの形成に系統的に適用される方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
半径が12cmより大きい球状に形成される前面を有するレンズに適用される方法。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の形削り盤によりレンズを形成する方法であって、
前記第2の回転軸(A20)を中心にして前記工具運搬器(20)を回転し、前記レンズに合わせて前記縁取り用工具(21)を位置させる工程と、
前記第3の回転軸(A0)を中心とした傾斜角が0度以外である前記工具運搬器を用いて、前記縁取り用工具(21)により前記レンズ(100)の縁取りを粗加工で行う工程と、
前記第2の回転軸(A20)を中心にして前記工具運搬器(20)を回転し、前記レンズに合わせて前記仕上げ用工具(22)を位置させる工程と、
前記工具運搬器(20)の同一の傾斜角で、前記仕上げ用工具(22)により前記レンズのベベリング加工または溝加工を仕上げる工程とを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−517795(P2010−517795A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547723(P2009−547723)
【出願日】平成20年1月14日(2008.1.14)
【国際出願番号】PCT/FR2008/000039
【国際公開番号】WO2008/107532
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(504268065)エシロル アンテルナショナル(コンパーニュ ジェネラル ドプテーク) (16)
【Fターム(参考)】