説明

複数の容量および誘導プラズマ源を備えたプラズマ処理リアクタ

【課題】改良されたチャンバ洗浄機構、装置、および方法を提供する。
【解決手段】エッチング処理のさらなる調整を可能にするために利用されてもよい。一実施形態において、プラズマを生成するよう構成されたプラズマ処理チャンバ100は、基板を受けるよう構成された内側下部電極131と、内側下部電極の外側に配置された外側下部電極135とを備えた下部電極アセンブリ130を備えている。プラズマ処理チャンバは、上部電極111を備え内側下部電極と外側下部電極との真上に配置された上部電極アセンブリ110を、さらに備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体ベースのデバイス(例えば、集積回路やフラットパネルディスプレイ)の製造では、材料の層が交互に基板表面(例えば、半導体ウエハまたはガラスパネル)上に蒸着されて基板表面からエッチングされてよい。当該分野で周知のように、蒸着された層のエッチングは、プラズマエッチングなど、様々な技術によって実現されてよい。プラズマエッチングでは、基板に対する実際のエッチングは、通例、プラズマ処理チャンバ内で行われる。エッチング処理の際には、プラズマが、適切なエッチャントソースガスから形成され、エッチングマスクによって保護されていないワークピースの領域をエッチングすることで、所望のパターンを残す。
【0002】
基板のプラズマエッチングの際には、フォトレジストによって形成されたポリマまたはエッチング剤によってエッチングされた材料層からなるエッチング副生成物が、周辺のチャンバハードウェア上に主に堆積する。堆積した副生成物は、基板のエッチングを続けるごとに蓄積していく。基板製造のデバイスの歩留まりを向上させるためには、再生可能なチャンバを維持することが重要であり、それは、1または複数の基板がエッチングされた後に、定期的にチャンバ洗浄処理を行うことによって実現できる。通例、チャンバ洗浄は、各基板のエッチング後に実行される。
【0003】
半導体基板から誘電材料をエッチングするために、容量結合真空プラズマシステムが用いられることが多い。容量システムは、プラズマ損傷が低く、下層およびフォトレジスト層に対する選択性が高いという利点を有する。しかしながら、基板エッチング後のチャンバの洗浄に容量結合プラズマを用いると、容量結合プラズマは、比較的高いイオンエネルギを有するため、露出した静電チャックに衝撃を与える。静電チャックは、基板エッチング中に基板を支持するために用いられるものであり、露出したチャックに衝撃が与えられることで、静電チャックの寿命が短くなると共に、粒子が生成される。さらに、チャンバ内の上部電極および下部電極によって生成される容量結合プラズマは、主に、静電チャック上方の中央領域に集中するため、周辺のチャンバハードウェアの洗浄には有効でない。周辺のチャンバハードウェアを完全に洗浄するためには、洗浄時間を延長する必要があり、それは、製造のスループットに影響する。現在の容量結合プラズマリアクタでは、各基板の処理(すなわちエッチング)の後のチャンバ洗浄は、一般に、上述の制約の範囲で最適化されている。
【0004】
以上の点から、静電チャックの寿命を向上させ、基板の歩留まりを改善し、製造スループットを改善する改良チャンバ洗浄機構を提供する方法および装置が求められている。
【発明の概要】
【0005】
概して、本発明の実施形態は、改良チャンバ洗浄機構を提供することによって、これらの要求を満たす。また、本発明の実施形態は、エッチング処理のさらなる調整を可能にする。本発明は、処理、装置、またはシステムなど、種々の形態で実施できることを理解されたい。以下では、本発明の実施形態をいくつか説明する。
【0006】
一実施形態において、プラズマを生成するよう構成されたプラズマ処理チャンバは、基板を受けるよう構成された内側下部電極と、内側下部電極の外側に配置された外側下部電極とを備えた下部電極アセンブリを備えている。プラズマ処理チャンバは、上部電極を備える上部電極アセンブリを備え、上部容量電極は内側下部電極と外側下部電極との真上に配置されている。
【0007】
別の実施形態において、プラズマを生成するよう構成されたプラズマ処理チャンバは、基板を受けるよう構成された内側下部電極と、内側下部電極を囲む外側下部電極とを備えた下部電極アセンブリを備えている。プラズマ処理チャンバは、内側および外側下部電極の上方に離れて配置された上部電極を備えた上部電極アセンブリを備える。上部電極は、内側下部電極と、外側下部電極の少なくとも一部とに関連する領域を規定する。内側下部電極と上部電極とは、下部電極アセンブリと上部電極アセンブリとの間に規定された空洞の第1の領域内で、第1のガスを第1の容量結合プラズマに変換するよう構成されている。外側下部電極と上部電極とは、空洞の第2の領域内で、第2のガスを第2の容量結合プラズマに変換するよう構成されている。
【0008】
さらに別の実施形態では、プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成する方法が提供される。その方法は、まず、プラズマ処理チャンバ内にプロセスガスを供給する。次に、その方法は、下部電極アセンブリの一部であり、下部電極アセンブリの内側下部電極の周りを囲む外側下部電極に電力供給することによって、プラズマを生成する。
【0009】
本発明のその他の態様および利点については、本発明の原理を例示した添付図面を参照しつつ行う以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1A】基板エッチングシステムの一実施形態を示す説明図。
【図1B】プラズマシステム内で洗浄プラズマを生成する処理の流れを示すフローチャート。
【図1C】プラズマシステム内でエッチングプラズマを生成する処理の流れを示すフローチャート。
【図2】基板エッチングシステムの別の実施形態を示す説明図。
【図3A】基板エッチングシステムの別の実施形態を示す説明図。
【図3B】プラズマシステム内で洗浄プラズマを生成する処理の流れを示すフローチャート。
【図3C】プラズマシステム内でエッチングプラズマを生成する処理の流れを示すフローチャート。
【図4】基板エッチングシステムのさらに別の実施形態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、より効果的かつ柔軟な改良型チャンバ洗浄/エッチングシステム、方法、および装置のいくつかの代表的な実施形態について説明する。当業者にとって明らかなように、本発明は、本明細書で説明する具体的な詳細事項の一部または全てがなくとも実施可能である。
【0012】
上述のように、各基板のエッチング後にチャンバ壁面状態を再生可能にすれば、歩留まりが向上する。効果的なその場(in−situ)チャンバ洗浄が、次世代のプラズマエッチングリアクタの重要な特徴になっている。本発明の一実施形態は、基板支持を囲む第2のプラズマ源を提供する。第2のプラズマ源は、処理チャンバの周辺付近に配置されており、基板エッチング後のチャンバ洗浄動作中に始動されて、基板エッチング中にエッチング副生成物が蓄積した周辺のチャンバハードウェアを洗浄することができる。図1Aは、基板支持を囲む第2のプラズマ源を有するプラズマ処理装置100の断面図である。この実施形態は、導電材料からなる下部電極131を備えており、下部電極131は、RF(高周波)整合器138およびRF電源139に対して動作可能に接続されている。下部電極131は、基板支持を兼ねており、下部電極アセンブリ130の一部である。一実施形態では、RF電源139は、多重周波数電源である。例えば、電源は、約400kHzないし約60MHzの間の範囲の混合周波数を有することができる。RF電力が下部電極131から処理チャンバ内のガスに供給されると、プラズマが生成される。供給されると、プラズマが生成される。一実施形態では、RF電源は、約1ワットないし約10ワットまでのRF電力レベルを供給する。
【0013】
一実施形態では、下部電極アセンブリ130は、約−20℃ないし約70℃の温度範囲に基板を冷却できる組み込み冷却機構(図示せず)を有する。基板支持の周囲には、基板処理の際にさらなる接地路をプラズマに提供する導電リング133が配置されている。下部電極131と導電リング133との間には、基板支持と導電リング133とを絶縁する誘電リング132が設けられている。
【0014】
一例では、下部電極131は、300mm基板を受けるよう適合された領域を有するが、それに限定されない。一実施形態では、電力供給された下部電極131は、基板(図示せず)を受けると共に、基板エッチング動作中に基板を下部電極131に固定するよう構成されている。基板は、周知のシステムおよび方法を用いて、下部電極に静電的に固定すなわち「チャック」される。これら周知のシステムおよび方法は、チャックおよびデチャックのための高電圧電極(図示せず)を組み込んで、誘電材料で被覆した下部電極131を含む。プラズマ処理装置100は、アース135を通して接地されたチャンバ壁140を備える。アース135は、誘電材料136によって下部電極131から隔離されている。
【0015】
第1の上部電極111が、下部電極131の上方の近い距離に配置されている。一般に、上部電極111は、汚染を避けるために、基板に適合した材料から形成される。第1の上部電極111は、上部電極アセンブリ110の一部であり、アース148に接続され、RF電力のための完全な電気回路を提供している。第1の上部電極111は、下部電極131と異なる表面積を有してよい。上部電極アセンブリ110は、チャンバカバー117に接続されており、チャンバカバー117は、アース118に接地されている。例えば、第1の上部電極111は、ケイ素または炭化ケイ素などの導電材料からなるが、これに限定されない。さらに、例えば、第1の上部電極111は、下部電極から約2cmないし約3cmに位置するが、これに限定されない。
【0016】
上部電極111の周囲には、誘導コイル112からなる第2の上部電極112が配置されている。誘導コイル112は、誘電材料113内に埋め込まれている。コイル112は、RF整合器126に接続されており、RF整合器126は、RF電源127に接続されている。一実施形態では、RF電源127は、混合周波数電力を供給できる。RF電源127の電力周波数は、約400kHzないし約27MHzの範囲の単一周波数または多重周波数であってよい。一実施形態では、誘導結合プラズマを生成する電力は、約0ワットないし約2000ワットの間である。
【0017】
ファラデーシールド114が、誘電材料113の下方に配置されている。導電ブロック115が、誘電材料113を囲んでおり、ファラデーシールド114と電気的に接触することで、下部電極131からのRF電力のための接地路を提供している。ファラデーシールド114の下方と外縁の周囲とに、凹型の誘電リング116が配置されている。一実施形態では、誘電リング116は、石英からなる。
【0018】
ファラデーシールド114は、電極のいずれかからのRF電力にRF接地路を提供する。ファラデーシールド114は、また、処理チャンバ内の接地面積と電力供給面積との間の面積比を維持する助けとなるため、容量結合プラズマ処理中のチャンバ内の電圧降下は、誘導コイル112の導入によって変化しない。同じ面積比を維持することにより、誘導コイル112を導入しても、一貫したエッチング処理が可能になる。さらに、ファラデーシールド114は、誘導源からの電場を遮蔽し、誘導プラズマ処理中の誘導コイル112からの容量結合を最小限に抑えて、チャンバ構成要素のスパッタリングを回避する。ファラデーシールドの設計方法についての詳細は、共に譲渡された米国特許出願No.10/232,564、2002年8月30日出願、「Faraday Shield Disposed within an Inductively Coupled Plasma Etching Chamber」、および、米国特許出願No.10/345,582、2003年1月15日出願、「Dual Interleaved Faraday Shieleds For An Inductively Coupled Plasma Etching Chamber」に記載されている。チャンバ洗浄中に、コイル112は、RF電源127によって電力供給され、領域150で誘導結合プラズマを生成する。チャンバ洗浄中に、導電リング133は接地され、下部電極は浮遊しているため、領域150の誘導結合プラズマは、主に、誘導コイル112と導電リング133との間に集中する。
【0019】
第1の上部電極111および第2の上部電極122の周囲には、絶縁体120が配置されている。絶縁体120の下方には、プラズマ閉じ込めリング121、122、123が配置されている。1または複数のプラズマ閉じ込めリングが設けられることを理解されたい。閉じ込めリング121、122、123は、処理チャンバ内で生成されたプラズマを閉じ込める。一実施形態では、閉じ込めリング121、122、123は、石英からなる。プラズマ閉じ込めリングについての詳細は、共に譲渡された米国特許No.6,744,212、2004年6月1日発行、「Plasma Processing Apparatus And Method For Confining An RF Plasma Under Very High Gas Flow and RF Power Density Conditions」、および、米国特許No.6,872,281、2005年3月29日発行、「Chamber Configuration For Confining A Plasma」に記載されている。
【0020】
ガス供給手段128が、上部電極アセンブリ110の中央部に接続されている。ガス供給手段128によって処理チャンバ100内に供給されるガスは、単一のガスであってもよいし、2以上のガスの混合ガスであってもよい。一実施形態では、ガスが上部電極アセンブリ110に到達すると、ガス供給手段128は、第1の上部電極111の中央部と縁部との両方から、処理チャンバにガスを供給する。一実施形態では、第1の上部電極111は、ガス分配シャワーヘッドを兼ねている。例えば、総ガス流量は、最大1500sccmであるが、これに限定されない。一実施形態では、上部電極アセンブリ110は、さらに、上部電極111の温度を約22℃ないし約200℃の間に維持するために利用可能な加熱板(図示せず)を有する。
【0021】
上述のように、上部電極111は、アース148によって接地されている。上部電極111は、さらに、RF電源(図示せず)またはDC電源(図示せず)に接続されてもよい。第1の上部電極111と下部電極131との間の容量結合プラズマのための電源は、下部電極131ではなく、第1の上部電極111に接続された電源から供給されてもよい。上部電極111から電力が供給される場合には、下部電極131は接地される。あるいは、上部および下部電極が、RF電源を提供してもよい。例えば、第1の上部電極111のためのRF電源は、2MHz、27MHz、および60MHzの混合周波数を有してもよい。
【0022】
誘導プラズマ源は、チャンバ壁の材料の有意なスパッタリングを起こすことなく、周辺領域150内で高密度プラズマを生成できる。上述のように、チャンバ壁の材料のスパッタリングは、チャンバを汚染したり、部品の寿命を短くしたりする可能性がある。誘導プラズマ源は、エッチング処理プラズマと接触する周辺のチャンバハードウェア上に堆積したポリマ(すなわち、エッチング副生成物)を効果的に洗浄できる。
【0023】
図1Bは、チャンバ洗浄プラズマを生成するための処理の流れの一実施形態を示すフローチャートである。動作161において、チャンバ洗浄ガス(O2、CF4など)が、プラズマ処理チャンバに供給される。動作163において、チャンバ洗浄プラズマを生成するために、RF電力が、プラズマ処理チャンバ100の誘導コイル112に供給される。次いで、チャンバ洗浄プラズマは、チャンバの洗浄に利用されてよい。チャンバ洗浄中に、下部電極131は浮遊している。領域150内のチャンバ洗浄プラズマは、下部電極131から離れており、主に、図1Aの誘導電極112と導電リング133との間に存在する。
【0024】
典型的な平行板容量結合プラズマは、エッチング処理中に基板(すなわち、ウエハ)の縁部付近でプラズマ密度の低下を示す。誘導プラズマ源は、半径方向の均一性の調整を可能にする。誘導プラズマをエッチング処理中に導入することで、主な容量性電力のRF接地路に影響を与えることなく、基板の縁部におけるプラズマ密度を増大させることができる。RF接地路は、ファラデーシールドの利用の影響を受けないことを理解されたい。さらに、誘導源プラズマは、基板上で高いプラズマ密度および非常に低いイオンエネルギを必要とする処理(例えば、低誘電体のエッチングのためのフォトレジスト剥離)に、プラズマを提供することもできる。その結果、誘導源プラズマの利用によって、リアクタのエッチングプロセスウィンドウを広げることができる。
【0025】
図1Cは、エッチングプラズマを生成するための処理の流れの一実施形態を示すフローチャートである。動作171において、1または複数のエッチングガス(高アスペクト比コンタクトエッチング(HARC)用のAr、C48、およびO2、または、酸化物技術のためのAr、CF4、CHF3、およびO2)が、プラズマ処理チャンバに供給される。エッチングガスが処理チャンバに導入されると、動作173において、エッチングプラズマを生成するために、RF電力が、容量電極と誘導電極とに供給される。生成されたエッチングプラズマは、容量成分と誘導成分とを有する。基板縁部付近の誘導成分は、上述のように、基板縁部におけるプラズマ密度を増大させて、基板縁部におけるプラズマ密度の低下を補う。したがって、基板の縁部における誘導成分の追加によって、エッチングプラズマは、基板表面にわたって、より均一になることができる。
【0026】
図2は、図1Aの上述の実施形態110の変形例200を示す図である。上部電極アセンブリ210には、2組の誘導コイル212Aおよび212Bが設けられている。2組の誘導コイルは、1つの内側コイル212Aおよび1つの外側コイル212Bからなる。ファラデーシールド214は、内側コイル212Aおよび外側コイル212Bの両方に対応するために、上部電極211全体の上に配置されている。ファラデーシールド214は、上述した図1Aのファラデーシールド114と同様の機能を有する。2組のコイル212Aおよび212Bは両方とも、RF整合器226に接続されており、RF整合器226は、RF電源227に接続されている。2組のコイル212Aおよび212Bが配置されたため、プロセスガスは、中央ガス供給手段228Bおよび周縁ガス供給手段228Aを通して、シャワーヘッドを兼ねる上部電極211に供給される。図2の他の構成要素は、図1Aを参照して上述したものと同様である。
【0027】
チャンバ洗浄の際、洗浄プラズマを生成するために、両方の誘導コイル212Aおよび212B、または、外側コイル212Bのみ、に電力供給を行うことができる。チャンバ洗浄の際に両方のコイルに電力供給する場合には、ある割合の電力(例えば、0%ないし50%)が内側コイルに供給され、残りの電力(例えば、50%ないし100%)が外側コイル112Bに供給される。弱い誘電プラズマは、洗浄中に静電チャックを損傷しないことを理解されたい。また、内側誘電コイルを追加することで、チャンバ洗浄処理についてさらなる処理調整が可能になることを理解されたい。内側および外側のコイルに、異なる周波数または混合周波数で電力供給することも可能である。その場合、内側および外側のコイルが、別個の電源を必要とする。すなわち、さらなる電源が追加される。
【0028】
一実施形態では、まず、プラズマ処理チャンバ内に洗浄ガス(または、洗浄混合ガス)を供給して、次に、全電力をコイル212Bに供給することで誘導コイル212Aおよび212Bに電力供給することにより、領域250内で誘導プラズマが生成される。チャンバ洗浄動作中には、下部電極231は浮遊したままでよく、導電リング233は接地される。
【0029】
上述のように、誘導プラズマ源は、チャンバを汚染したり部品の寿命を短くしたりする可能性があるチャンバ壁材料の有意なスパッタリングを起こすことなく、周辺領域に高密度のプラズマを生成することができる。誘導プラズマ源は、エッチング処理プラズマと接触する周辺のチャンバハードウェア上に堆積したポリマ(すなわち、エッチング副生成物)を効果的に洗浄できる。
【0030】
容量プラズマ電力と同様に、エッチングプラズマの均一性を調整するために、誘導コイル212Aおよび212Bの両方または一方に電力供給してよい。上部電極211と下部電極231との間で生成された容量結合プラズマに加えて、誘導電源212Aおよび212Bは、誘導プラズマを生成するためにオンにされてよく、エッチング処理中の基板にわたるプラズマの均一性を改善するために調整されてよい。容量結合プラズマでは、通例、基板の縁部におけるプラズマ密度が低い。図1Aの1または複数のコイル112、および、図2の1または複数の外側コイル212Bは、基板の縁部におけるイオン密度を上昇させる助けとなりうる。図2の1または複数の内側コイル212Aおよび1または複数の外側コイル212Bは、プラズマ密度を調整するために、同時に用いられてもよい。上述のように、ある割合の電力が、1または複数の内側コイル212Aに供給されてよく、残りの電力が、1または複数の外側コイル212Bに供給されてよい。図2の内側および外側のコイル212Aおよび212Bは、エッチング処理のさらなる処理調整を可能にする。一部の応用例では、誘導コイル(内側、外側、または両方)からの誘導電力だけを用いて、誘導プラズマを生成する。
【0031】
ファラデーシールド214を用いることにより、RF接地路は影響を受けなくなっている。さらに、誘導源プラズマは、基板上で高いプラズマ密度および非常に低いイオンエネルギを必要とする処理(例えば、フォトレジストの剥離または低誘電体のエッチング)に、プラズマを提供することもできる。したがって、2組の誘電コイルを利用することで、エッチング処理のためのプロセスウィンドウが広くなる。図2に示した実施形態によってエッチングプラズマを生成するための処理の流れは、単一の誘導電極が2つの誘導電極(コイル212Aおよび212B)に置き換えられていることを除いて、図1Cの処理の流れと同様である。生成されたエッチングプラズマは、容量成分と誘導成分とを有する。誘導成分を調整して、基板にわたるプラズマの均一性を向上させることができる。
【0032】
図3Aには、本発明の別の実施形態300が示されている。図3Aでは、内側下部電極331に加えて、外側下部電極335が、導電リング333の下に配置されている。内側下部電極331は、基板を支持するよう構成されている。外側下部電極335は、内側下部電極331と同じRF電源339に接続されることが可能であり、下部電極アセンブリ330の一部である。RF電源339は、約400kHzないし約60MHzの範囲の単一周波数または多重周波数を供給できる。RF電源339は、内側下部電極331と外側下部電極335とに電力を供給する電源であり、RF整合器338に接続されている。一実施形態では、スイッチ336が、それらの電極へのRF電力の印加を制御する。基板のエッチング中に、スイッチ336は、内側下部電極331に供給されるようRF電力を制御する。この処理中に、外側下部電極335は、アース337に接続されてもよいし、RF調整ブロックキット357に接続されてもよい。RF調整ブロックキット357は、電源339によって内側下部電極331に供給されるRF電力の特定の周波数を選択的に接地することを可能にする。例えば、内側下部電極331に供給されるRF電力が、2MHz、27MHz、および60MHzを含む場合、RF調整ブロックキット437による選択的な接地を用いて、1または2の特定の周波数(例えば、60MHz)を接地することで、エッチング処理の均一性を調整することができる。
【0033】
内側下部電極331と外側下部電極335とに、同時または交互に電力を供給するために、別個の電源を用いてもよい。図3Aの他の構成要素は、図1Aを参照して上述したものと同様である。チャンバ洗浄の際には、電力が、外側下部電極335に供給されることで、周辺チャンバを洗浄するための容量結合プラズマが領域350に提供される。領域350の容量結合プラズマは、上部電極311と外側下部電極335との間で生成される。洗浄処理の間、下部電極は浮遊していてよいため、容量結合洗浄プラズマ、および、その悪影響を、露出した内側下部電極331(すなわち、静電チャック)から遠ざけることができる。すなわち、洗浄プラズマは、内側下部電極(すなわち、静電チャック)に衝撃を与えないため、内側下部電極(すなわち、静電チャック)の寿命を延ばすことになる。さらに、従来の洗浄技術と比べて、容量結合プラズマを用いた時に、下部電極331から生成される粒子は多くない。
【0034】
周辺の容量プラズマ源は、周辺領域350で高密度のプラズマを生成する。容量プラズマ源は、エッチング処理プラズマと接触する周辺のチャンバハードウェア上に堆積したポリマ(すなわち、エッチング副生成物)を効果的に洗浄できることを理解されたい。
【0035】
図3Bは、チャンバ洗浄プラズマを生成するための処理の流れの一実施形態を示すフローチャートである。動作361において、チャンバ洗浄ガス(O2、CF4など)が、プラズマ処理チャンバに供給される。動作363において、チャンバ洗浄プラズマを生成するために、RF電力が、プラズマ処理チャンバの外側下部電極に供給される。次いで、チャンバ洗浄プラズマは、チャンバの洗浄に利用されてよい。チャンバ洗浄中に、内側下部電極は浮遊したままになっている。周辺領域のチャンバ洗浄プラズマは、下部電極から十分に離れており、主に、外側下部電極と上部電極との間に配置される。
【0036】
さらに、周辺の容量プラズマ源は、半径方向の均一性の調整を可能にする。周辺の容量プラズマは、主要な容量結合プラズマの電極の縁部付近でのエッチングプラズマの均一性を改善するために、エッチング処理中に導入されてよい。
【0037】
図3Cは、エッチングプラズマを生成するための処理の流れの一実施形態を示すフローチャートである。動作371において、1または複数のエッチングガス(高アスペクト比コンタクトエッチング(HARC)のためのAr、C48、およびO2、または、酸化物技術のためのAr、CF4、CHF3、およびO2)が、プラズマ処理チャンバに供給される。動作373において、エッチングプラズマを生成するために、RF電力が、内側下部電極331および外側下部電極335に供給される。外側下部電極は、基板の縁部付近におけるプラズマの密度を増大させる助けとなる。
【0038】
図4には、本発明の別の実施形態が示されている。図4には、誘導コイルによって形成された第2の下部電極435が、導電リング433およびファラデーシールド414の下に配置されている。第2の下部電極435は、第1の下部電極431と同じRF電源に接続されることが可能である。RF電源439は、第1の下部電極431または第2の下部電極435にRF電力を供給し、スイッチ436によって制御される。RF電源439は、約400kHzないし約60MHzの範囲の単一周波数または多重周波数を供給できる。RF電源439は、内側下部電極431と外側下部電極335とに電力を供給する電源であり、RF整合器438に接続されている。一実施形態では、スイッチ436が、それらの電極へのRF電力の印加を制御する。基板のエッチング中に、スイッチ436は、内側下部電極431に供給されるようRF電力を制御する。この処理中に、外側下部電極335は、アース437に接続されてもよいし、RF調整ブロックキット457に接続されてもよい。RF電源439は、約400kHzないし約60MHzの範囲の単一周波数または多重周波数を供給できる。RF電源439は、内側下部電極431と外側下部電極435とに電力を供給する電源であり、RF整合器438に接続されている。一実施形態では、スイッチ436が、それらの電極へのRF電力の印加を制御する。基板のエッチング中に、スイッチ436は、内側下部電極431に供給されるようRF電力を制御する。この処理中に、外側下部電極435は、アース437に接続されてもよいし、RF調整ブロックキット457に接続されてもよい。
【0039】
下部電極431と第2の下部電極435とにRF電力を供給するために、別個のRF電源を用いてもよい。基板エッチング中には、下部電極431に電力が供給される。図4の他の構成要素は、図1Aを参照して上述したものと同様である。
【0040】
チャンバ洗浄の際には、まず、洗浄ガスがプラズマ処理チャンバに供給される。その後、電力が、第2の下部電極435に供給されることで、周辺チャンバハードウェアを洗浄するための誘導結合プラズマが領域450に提供される。領域450の誘導結合プラズマ450は、上部電極411と第2の下部電極435との間で生成され、主に、チャンバの縁部付近に存在する。プラズマは、チャンバの縁部付近に存在し、誘導源(低イオンエネルギ)から生成されるため、それほど下部電極(すなわち、静電チャック)に衝撃を与えることがなく、下部電極(すなわち、静電チャック)の寿命を延ばすことになる。さらに、プラズマは、容量結合プラズマを利用した場合ほど多くの粒子を第1の下部電極431から生成することがない。
【0041】
上述のように、誘導プラズマ源は、チャンバを汚染したり部品の寿命を短くしたりする可能性があるチャンバ壁材料の有意なスパッタリングを起こすことなく、周辺領域に高密度のプラズマを生成することができる。誘導プラズマ源は、従来技術の悪影響を排除して、エッチング処理プラズマと接触する周辺のチャンバハードウェア上に堆積したポリマ(すなわち、エッチング副生成物)を効果的に洗浄できる。
【0042】
典型的な平行板容量結合プラズマは、エッチング処理中にチャンバの縁部付近でプラズマ密度の低下を示す。上述の誘導プラズマ源は、半径方向の均一性の調整を可能にする。誘導プラズマをエッチング処理中に導入することで、主な容量性電力のRF接地路に影響を与えることなく、電極の縁部におけるプラズマ密度を増大させることができる。さらに、誘導源プラズマは、基板上で高いプラズマ密度および非常に低いイオンエネルギを必要とする処理(例えば、フォトレジストの剥離または低誘電体のエッチング)に、プラズマを提供することもできる。したがって、追加の周辺電極を利用することで、エッチング処理のためのプロセスウィンドウを広くすると共に、エッチング動作の合間のチャンバの洗浄をより効果的に行うことができる。
【0043】
上述のプラズマ処理チャンバは、デュアルダマシン多段処理、高アスペクト比コンタクトエッチング(HARC)、剥離など、広範囲の処理用途のための様々なプラズマ密度、イオンエネルギ、および薬剤制御を提供すると共に、容量プラズマ源と誘導プラズマ源との組み合わせによる効果的なチャンバ洗浄を行う。一実施形態では、この効果的なチャンバ洗浄を次世代の粒子抑制に適用して、歩留まりを向上させると共に、エッチングチャンバで用いられる静電チャックの寿命を延ばすことができる。
【0044】
上述のプラズマ処理チャンバは、基板に対するプロセスパラメータの半径方向の均一性を制御することを可能にする。多段階のレシピを用いる処理用途は、中央部から縁部までの幅広い均一性を実現する様々な処理圧力、RF電力、および薬剤を伴う。フィーチャのサイズは小さくなり続けているが、その場での(in−situ)調整が可能になることで、多段階のレシピを用いる処理用途について厳密な均一性の制御を維持するための柔軟性が提供される。
【0045】
理解を深めるために、上述の発明について、ある程度詳しく説明したが、添付の特許請求の範囲内で、ある程度の変更や変形を行ってもよいことは明らかである。したがって、本実施形態は、例示的なものであって、限定的なものではないとみなされ、本発明は、本明細書に示した詳細に限定されず、添付の特許請求の範囲および等価物の範囲内で変形されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを生成するよう構成されたプラズマ処理チャンバであって、
基板を受けるよう構成された内側下部電極と、前記内側下部電極の外側に配置された外側下部電極とを備えた下部電極アセンブリと、
上部電極を備える上部電極アセンブリとを備え、前記上部容量電極は、前記内側下部電極と前記外側下部電極との真上に配置されている、プラズマ処理チャンバ。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記内側下部電極と前記上部電極とは、第1のガスを第1のプラズマに変換するよう構成されている、プラズマ処理チャンバ。
【請求項3】
請求項1に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記外側下部電極と前記上部電極とは、第2のガスを第2のプラズマに変換するよう構成されている、プラズマ処理チャンバ。
【請求項4】
請求項3に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記外側下部電極は誘導コイルで形成されており、前記第2のプラズマは誘導結合プラズマである、プラズマ処理チャンバ。
【請求項5】
請求項4に記載のプラズマ処理チャンバであって、さらに、
前記誘導コイルの上方に配置されたファラデーシールドを備える、プラズマ処理チャンバ。
【請求項6】
請求項1に記載のプラズマ処理チャンバであって、さらに、
前記上部電極アセンブリと前記下部電極アセンブリとを囲み、前記プラズマ処理チャンバ内で前記下部電極と平行に吊り下げられた複数の閉じ込めリングを備える、プラズマ処理チャンバ。
【請求項7】
請求項1に記載のプラズマ処理チャンバであって、第1のRF電源が、前記内側下部電極に接続されており、約400kHzから約60MHzの範囲の単一周波数または多重周波数を有するRF電力を供給することによって、前記上部電極と共に第1のプラズマを生成させる、プラズマ処理チャンバ。
【請求項8】
請求項7に記載のプラズマ処理チャンバであって、第2のRF電源が、前記外側下部電極に接続されており、約400kHzから約27MHzの範囲の単一周波数または多重周波数を有するRF電力を供給することによって、第2のプラズマを生成させる、プラズマ処理チャンバ。
【請求項9】
請求項1に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記内側下部電極と前記外側下部電極との両方がRF電源に接続され、電源スイッチが、前記内側下部電極と前記外側下部電極とに対して交互に供給されるように前記RF電源からのRF電力の供給を制御するよう構成されている、プラズマ処理チャンバ。
【請求項10】
請求項1に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記外側下部電極は、スイッチに接続されており、前記スイッチは、接地とRF調整ブロックキットとの間での切り換えが可能であり、前記RF調整ブロックキットは、単一RF周波数または多重RF周波数を選択的に接地させることが可能である、プラズマ処理チャンバ。
【請求項11】
請求項1に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記外側下部電極は、容量電極である、プラズマ処理チャンバ。
【請求項12】
請求項2に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記内側下部電極と前記上部電極とが、前記第1のガスを前記第1のプラズマに変換している時に、前記外側下部電極にも電力供給して、前記基板の縁部付近の前記第1のプラズマの密度を増大させる、プラズマ処理チャンバ。
【請求項13】
請求項12に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記第1のプラズマは、前記基板をエッチングするために用いられるエッチングプラズマである、プラズマ処理チャンバ。
【請求項14】
請求項3に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記第2のプラズマは、チャンバ洗浄プラズマであり、実質的に、前記内側下部電極の表面の外側に配置される、プラズマ処理チャンバ。
【請求項15】
プラズマを生成するよう構成されたプラズマ処理チャンバであって、
基板を受けるよう構成された内側下部電極と、前記内側下部電極を囲む外側下部電極とを備えた下部電極アセンブリと、
前記内側および外側下部電極の上方に離れて配置された上部電極を備えた上部電極アセンブリと、
を備え、
前記上部電極は、前記内側下部電極と、前記外側下部電極の少なくとも一部とに関連する範囲を規定し、前記内側下部電極と前記上部電極とは、前記下部電極アセンブリと前記上部電極アセンブリとの間に規定された空洞の第1の領域内で、第1のガスを第1の容量結合プラズマに変換するよう構成されており、前記外側下部電極と前記上部電極とは、前記空洞の第2の領域内で、第2のガスを第2の容量結合プラズマに変換するよう構成されている、プラズマ処理チャンバ。
【請求項16】
請求項15に記載のプラズマ処理チャンバであって、さらに、
前記第1のプラズマまたは前記第2のプラズマが実質的に配置される容積を囲み、前記プラズマ処理チャンバ内で前記内側下部電極と平行に吊り下げられた複数の閉じ込めリングを備える、プラズマ処理チャンバ。
【請求項17】
請求項15に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記外側下部電極は、スイッチに接続されており、前記スイッチは、接地とRF調整ブロックキットとの間での切り換えが可能であり、前記RF調整ブロックキットは、単一RF周波数または多重RF周波数を選択的に接地させることが可能である、プラズマ処理チャンバ。
【請求項18】
請求項15に記載のプラズマ処理チャンバであって、前記内側下部電極と前記上部電極とが、前記第1のガスを前記第1の容量結合プラズマに変換している時に、前記外側下部電極にも電力供給して、前記基板の縁部付近の前記第1の容量結合プラズマの密度を増大させる、プラズマ処理チャンバ。
【請求項19】
プラズマ処理チャンバ内でプラズマを生成する方法であって、
プロセスガスを前記プラズマ処理チャンバ内に供給する動作と、
下部電極アセンブリの一部であり、前記下部電極アセンブリの内側下部電極の周りを囲む外側下部電極に電力供給することによって、プラズマを生成する動作と、
を備える、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法であって、プラズマを生成する前記動作中に生成された前記プラズマは、チャンバ洗浄プラズマであり、実質的に、前記内側下部電極の表面の外側に配置される、方法。
【請求項21】
請求項19に記載の方法であって、プラズマを生成する前記動作中に、前記内側下部電極は、浮遊した状態に維持される、方法。
【請求項22】
請求項19に記載の方法であって、外側下部電極に電力供給することによってプラズマを生成する前記動作は、電力が前記内側下部電極に到達することを防止することを含む、方法。
【請求項23】
請求項19に記載の方法であって、プラズマを生成する前記動作中に、前記上部電極は、前記プラズマ生成動作の間、接地される、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−80956(P2013−80956A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−285812(P2012−285812)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2008−555398(P2008−555398)の分割
【原出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】