説明

複数の構成要素からなる視覚信号を有する吸収性物品

中央着色領域、中間着色領域、外側着色領域、及び背景領域を有する吸収性物品。中間着色領域は、中央着色領域と外側着色領域との間に位置することができる。中間着色領域は、中央着色領域を実質的に取り囲むことができる。中央着色領域、中間着色領域、及び外側着色領域は、背景領域と色が異なる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の構成要素からなる視覚信号を有する吸収性物品を提供する。
【背景技術】
【0002】
市場では、異なる着色領域を含む様々な吸収性物品が入手可能である。女性の膣又は尿道から排出される流体を集める働きをする生理用ナプキン及び成人女性用失禁用品のような吸収性物品は、その吸収性物品の中央部分から離れた部分とは色が異なる着色領域をその吸収性物品の中央部分の近くに含む場合がある。
【0003】
吸収性物品の製造者は、吸収性物品の中央部分に着色領域を含めることによって、吸収性物品の中央部分が、集まった流体の留まるべき場所であることを消費者に効果的に知らせてきた。製造者は、中央着色領域用に様々なデザインを考案してきた。いくつかの吸収性物品では、中央着色領域は、吸収性物品の全幅と比べて比較的狭く、吸収性物品の長さの約半分に沿ってのみ延びる。比較的狭い中央着色領域を採用した1つの考え得る理由は、このような着色領域が、奥行き感のような所望の視覚的印象をもたらすことができる点である。中央着色領域は、パンティ内での製品の使用法と製品の配置が、いかに吸収性物品の染みのパターンに影響を及ぼし得るかを消費者が理解するのを助ける場合があり、このことは、消費者が吸収性物品のシャーシをパンティに取り付ける方法と位置を改善するのを助けて、最高の性能を実現させる場合がある。
【0004】
吸収性物品の狭い中央着色領域に伴う問題の1つは、中央着色領域外に延びる染みのパターンが、吸収性物品の吸収能力の限界に達したことを示していると連想する消費者もいるという点である。いくつかの吸収性物品では、中央着色領域は、吸収性物品の吸収能力の25%未満を占めることができる。
【0005】
幅方向及び長さ方向への優れた流体分配性を有する様々な材料が入手可能である。このような材料は、吸収性物品の中央着色領域から離れた領域に、集めた流体を分配することができる。吸収性物品において、より広範に流体を分配できる吸収性物品は有益であることができる。これは、より広範な流体分配性が、吸収性物品の吸収能力を効果的に向上させることができるからである。吸収性物品において流体を広範に分配させることの欠点の1つは、中央着色領域がある場合、その流体の染みが、中央着色領域をはるかに越えて流れる場合がある点である。上述のように、中央着色領域外の染みは、着用者を心配させる場合がある。中央着色領域を大きくすることは、魅力的なデザインオプションでない場合もある。着色領域が大きいほど、吸収性物品がかさばる印象を与えると共に快適なフィット感をもたらさないものとして受け取られる場合があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの制限事項に鑑みると、着用者のニーズを満たす十分な流体貯蔵力があると着用者が認識する視覚的印象を有する吸収性物品に対する、未対応のニーズが引き続きある。更に、比較的狭い着色領域外の領域にある吸収性物品中の流体が吸収性物品内にしっかり保持されることにユーザーが安心すると共にユーザーが漏れを心配する必要がない吸収性物品に対する、未対応のニーズが引き続きある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
重心と、長手方向中心線と、長手方向中心線と直交すると共に重心で長手方向中心線と交差する横断方向中心線と、身体に面する表面と、を有する吸収性物品を開示する。吸収性物品は背景領域を含む。吸収性物品は、長手方向中心線と重なっている中央着色領域を含む。吸収性物品は、中央着色領域を実質的に取り囲む中間着色領域を含み、中間着色領域の一部分が長手方向中心線を横切って延び、横断方向中心線に沿って、背景領域の一部が中間着色領域と中央着色領域との間に位置する。吸収性物品は外側着色領域を含み、背景領域の少なくとも一部が、外側着色領域と中間着色領域との間に位置する。背景領域、中央着色領域、中間着色領域、及び外側着色領域は、身体に面する表面から見える。中央着色領域、中間着色領域、及び外側着色領域は、背景領域とは色が異なる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】吸収性物品の概略図。
【図2】吸収性物品の概略図。
【図3】吸収性物品の概略図。
【図4】図1に示した吸収性物品の断面図。
【図5】吸収性物品の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で「吸収性物品」と称されるものは、下着の股部に着用する生理用ナプキン、パンティライナー、又は失禁パッドであり得る。乳児用おむつ、成人用失禁おむつ、及び人の排泄物処理用具は従来、下着と共に着用しないが、本発明の恩恵を受ける場合があると考えられる。吸収性物品は、使い捨て吸収性物品であることができる。
【0010】
本明細書で「色」と称される用語には、いずれの原色、すなわち、白、黒、赤、青、紫、オレンジ、黄色、緑、及び藍色、並びに、これらのいずれの淡色又は混合色も含まれる。「ノンカラー」又は「非着色」という用語は、白色を指し、少なくとも80のL値、0±2に等しいa値、及び0±2に等しいb値を有する色として更に定義される。
【0011】
「使い捨て」という用語は、吸収性物品として再生、又は、その他の形で復元若しくは再利用するようには意図されていない(すなわち、1回使用後、破棄するように意図されている)吸収性物品を説明する目的で本明細書で用いる。
【0012】
複数の構成要素からなる視覚信号を備えている場合のあるパンティライナー及び生理用ナプキンの非限定例としては、パンティライナーのALWAYS ULTRA、ALWAYS INFINITY、及びALWAYSなど、Procter & Gamble Company(Cincinnati、Ohio)製のものが挙げられる。米国特許第4,324,246号、同第4,463,045号、同第6,004,893号、同第4,342,314号、同第4,463,045号、同第4,556,146号、同第4,589,876号、同第4,687,478号、同第4,950,264号、同第5,009,653号、同第5,267,992号、及び米国再発行特許第32,649号に開示されているような吸収性物品も、複数の構成要素からなる視覚信号の恩恵を受ける場合がある吸収性物品と考えられる。
【0013】
吸収性物品5の平面図が図1に示されている。吸収性物品5は、実質的に平らな形体と重心40を有することができる。重心40は、長手方向中心線Lと横断方向中心線Tとの交点であることができる。吸収性物品5は、身体に面する表面10と、衣服に面する表面を有することができる。吸収性物品5は、機械方向MDと、機械横方向CDを有することができ、これらの用語は、当該技術分野において通常の技量を有する者が一般的に用いている用語として用いる。
【0014】
図1に示されているように、吸収性物品5は、身体に面する表面10である視認表面を有するとみなすことができる。身体に面する表面10は、吸収性物品5の側面であって、生理用ナプキン、パンティライナー、若しくは成人用失禁製品の場合のように、吸収性物品5を着用したとき、又は、タンポンの場合のように、着用者の身体の中に挿入するときに、着用者の身体と接する側面であることができる。概ね円筒形のタンポンでは、長手方向中心線Lは、タンポンの身体に面する表面10の上にあるとみなされ、タンポンの中心軸と揃っており、重心40は、長手方向中心線Lの中点であることができる。吸収性物品5は、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100を有することができる。中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100は、身体に面する表面10から見える。
【0015】
吸収性物品5の身体に面する表面10を見ると、吸収性物品5は背景領域50を有することができる。背景領域50は、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100と視覚的に区別可能な領域である。背景領域50は、白、又は、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100と視覚的に区別可能なその他のいずれかの色であることができる。2つの色の間のΔE(後述する)が少なくとも約1あれば、その2つの色は視覚的に区別可能であると考えられる。2つの色の間のΔEが少なくとも約3あれば、その2つの色は視覚的に更に区別可能であることができる。
【0016】
中央着色領域60は、長手方向中心線Lと重なっていることができる。中央着色領域60は、トップシート30の一部であることができる。中央着色領域60は、吸収性コア90の一部であることができ、吸収性コア90は、トップシート30とバックシート92との間に配置されている。中央着色領域60は、トップシート30と吸収性コア90との中間の層上に位置することができる。中央着色領域60は、身体に面する表面10を観察者に見せたときに視覚的に認識可能でさえあればよい。中央着色領域60は、印刷、着色、染色、又は基材の色の中にコントラストを作るためのその他の既知の手段によって設けることができる。長手方向中心線Lと重なっている中央着色領域60を設けることによって、中央着色領域60のない吸収性物品5よりも、吸収性物品5が厚いように見せることができる。中央着色領域60は、重心40と重ねることができ、これにより、吸収性物品は更に左右対称に見える場合があり、より優れたフィット感と性能をもたらすものとして認識される場合がある。外側着色領域100の全体は、横断方向中心線Tから離れた位置に置いて、外側着色領域100のいずれの部分も、横断方向中心線Tと交差しないようにすることができる。
【0017】
中央着色領域60は、図1に示されているように、実質的に細長い形であることができる。理論に束縛されることなく、長手方向中心線Lと揃っているか、又は長手方向中心線L上にある細長い形によって、吸収性物品5は、このような細長い形をしていない吸収性物品5よりも細いかのように見える場合があると考えられる。このような印象から、細く見える吸収性物品はパンティの股部で心地よくフィットするという考えを消費者は抱く場合がある。中央着色領域60の幅は、周辺部110のうち、横断方向中心線Tと重なる部分間の最大距離の約50%未満であることができる。
【0018】
中間着色領域80は、中央着色領域60を実質的に取り囲むことができる。「実質的に取り囲む」とは、中央着色領域60の質量中心の周囲数πラジアン超が、中間着色領域80によって取り囲まれていることを意味し、これは、中間着色領域80が中央着色領域60の約50%超を放射状に取り囲んでいることに相当する。中間着色領域80は、中央着色領域60の質量中心の周囲約1.5πラジアン超を取り囲むことができ、これは、中間着色領域80が中央着色領域60の約75%超を放射状に取り囲んでいることに相当する。中間着色領域80は、中央着色領域60の質量中心の周囲約1.8πラジアン超を取り囲むことができ、これは、中間着色領域80が中央着色領域60の約90%超を放射状に取り囲んでいることに相当する。理論に束縛されることなく、中間着色領域80は、吸収性物品5の中間部分であって、そこを越えて染みが生じたら、間もなく吸収性物品5を交換しなければならなくなる可能性があることに対する注意を着用者が強めるべきものとして着用者が理解する場合がある。中間着色領域80は、印刷、着色、染色、又は基材の色の中にコントラストを作るためのその他のいずれかの既知の手段によって、設けることができる。
【0019】
中間着色領域80が中央着色領域60と外側着色領域100との間に位置するように、外側着色領域100を配置することができる。中間着色領域80が外側着色領域100と中央着色領域60との間に位置するように外側着色領域100を設けると、いくつかの利点が得られる可能性があると考えられる。例えば、集めた流体を横方向に分配できる吸収性物品5では、吸収性物品5内の、中間着色領域80を越えて現れる染みを着用者が心配する必要はない。吸収性物品5は、更なる流体を収容する十分な吸収能力を有している可能性が高いからである。中央着色領域60と中間着色領域80の外側に外側着色領域100を設けることによって、吸収性物品5の部分のうち、外側着色領域100を含む部分が、更なる流体貯蔵力を有することを、吸収性物品5の着用者は更によく理解することができる。そこにある染みが望ましくないわけではないことを着用者に示すような場所に、外側着色領域100が配置されていることを着用者は理解できるからである。外側着色領域100は、印刷、着色、染色、又は基材の色の中にコントラストを作るためのその他の既知の手段によって、設けることができる。
【0020】
中央着色領域60と中間着色領域80は、互いから離間していることができる。このような配置が望ましいことがある。製造中には、中央着色領域60と中間着色領域80の位置合わせが上手くいかない場合があるが、中央着色領域60と中間着色領域80が互いに接合しているデザインと比べて、この位置合わせの失敗を目立たなくすることができるからである。あるいは、中間着色領域80は、中央着色領域60と実質的に隣接させて配置することができる。吸収性物品の概ね中央部分の限度能力に近づいている可能性があるので、着用者は注意を強めるのが望ましいということの目安を、中央着色領域60と実質的に隣接する中間着色領域80内にできる染みが着用者に示すことができる点で、上記のような配置が有用である場合がある。
【0021】
外側着色領域100は、長手方向中心線L上に配置することができる。理論に束縛されることなく、長手方向中心線L上に位置する外側着色領域100は、その区域内に染みができたときに、着用者に、比較的短い期間内に、吸収性物品を交換する準備をさせるという恩恵をもたらすと考えられる。
【0022】
いくつかの実施形態では、背景領域50の少なくとも一部は、外側着色領域100と中間着色領域80との間に位置することができる。このようなアプローチは、互いに知覚的に区別できる背景領域50と外側着色領域100とをもたらすと考えられる。同様に、横断方向中心線Tに沿って、背景領域50の一部は、中間着色領域80と中央着色領域60との間に位置し、知覚的に区別できる領域をもたらすことができる。
【0023】
2つの外側着色領域100が長手方向中心性Lの上に位置すると共に中央着色領域60が2つの外側着色領域100の間に位置するように配置された2つの外側着色領域100を吸収性物品5は含むことができる。2つの外側着色領域100が、吸収性物品の前側の方(恥骨領域を向く方)と、吸収性物品の後端の方(肛門領域を向く方)に位置する傾向を有するようになると共に外側着色領域100内の染みが、吸収性物品5を交換すべきだという表示になり得るという点で、このような配置が望ましい場合がある。上記のように配置する場合には、中間着色領域80は、各外側着色領域100と中央着色領域60との間に位置することができる。
【0024】
中央着色領域60の中央着色領域面積は、MD−CD平面で測定した場合の吸収性コア90の面積の約15%〜約50%であることができる。外側着色領域は、MD−CD平面において、吸収性コア90の面積の約15%未満であることができる。
【0025】
図2に示すように、吸収性物品5は、2つの外側着色領域100であって、長手方向中心線Lが2つの外側着色領域100の間にくるように互いから離間している2つの外側着色領域100を含むことができる。長手方向中心線Lの反対側に位置する2つの外側着色領域100を配置することによって、外側着色領域100は、吸収性物品5の周辺部110にいくらか近接した位置にくる。したがって、周辺部110に近接した位置にある外側着色領域100内にできる染みは、吸収性物品5が貯蔵できるように設計されている流体最大量に近づいているか、又はその最大量を吸収済みであるという表示になることができる。別の実施形態では、吸収性物品5は、横断方向中心線Lが2つの外側着色領域100の間にくるように互いから離間している2つの外側着色領域100を含むことができる。
【0026】
吸収性物品5は、第1の末端部150と第2の末端部160を有するとみなすことができる。第1の末端部150と第2の末端部160とは、横断方向中心線Tの反対側に位置するとみなすことができる。第1の末端部150は、長手方向中心線Lの反対側に位置する2つの外側着色領域100を含むことができる。同様に、第2の末端部160は、長手方向中心線の反対側に位置する2つの外側着色領域100を含むことができる。このような構造にすると、吸収性物品は、中央着領域60から離れるように分散した4つの外側着色領域100を含むことができる。吸収性物品5は、吸収性物品5の最も中央の部分から遠いこれらの外側着色領域100で流体を吸収する能力を有する場合があるので、これらの外側着色領域の染みが早急に警戒する理由にならないことを外側着色領域100は着用者に示すことができる。第1の末端部150は、吸収性物品5の、着用時に着用者の恥骨区域の方を向く末端部であることができ、第2の末端部160は、吸収性物品5の、着用時に着用者の肛門区域の方を向く末端部であることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、少なくとも中央着色領域60を完全に取り囲む背景領域50を有するのが望ましい場合がある。例えば、背景領域50は、図1及び2に示されているように、中央着色領域60と周辺部110との間に位置することができる。実際は、中央着色領域60は周辺部110とは区分又は区別して、中央着色領域60が周辺部110と接しないようにする。周辺部110がトップシート30とバックシート92との間の接着剤を含む多くの吸収性物品5では、その接着剤は吸収性でない場合があると共にこの接着剤と接する中央着色領域60が吸収性があると着用者に誤解される場合があるので、上記の構成が望ましい場合がある。上記と同じ理由で、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100は、背景領域50に実質的に取り囲まれている場合がある。すなわち、背景領域50は、周辺部110と、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100のいずれかとの間に位置することができる。
【0028】
更に視覚的に整合性のあるデザインをもたらすために、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100は、約200未満のCIELab色空間体積内にあることができる。CIELab色空間体積については後で更に詳しく論じる。このようなアプローチでは、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100の色は、大半の観察者の目には実質的に異なって見えず、観察者は、同じ色の陰影又はわずかな変化として認識する場合がある。わずかに異なる様々な色を有し、見ていて楽しく興味深いものであることができる塗料のサンプルチップのように、色のわずかな変化は、見ていて楽しいと考えられる。中央着色領域60と、中間着色領域80と、外側着色領域100との間の独自性が弱いのが望ましい場合には、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100は、約50未満のCIELab色空間体積内にあることができる。
【0029】
吸収性物品5の身体に面する表面10を見たとき、観察者は背景領域50、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100を見える。中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100はそれぞれ、背景領域50と色が違うという点で、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100は、背景領域50とは視覚的に異なる。中央着色領域60と背景領域50は、色が少なくとも約1のΔE(後で更に詳しく論じる)、異なることができる。同様に、中間着色領域80が背景領域50に対して際立つように、色が中間着色領域80と背景領域50は、少なくとも約1のΔE、異なることができる。外側着色領域100と背景領域50は、色が少なくとも約1のΔE、異なることができる。簡単に製造できるように、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100は、吸収性物品5において、第1の材料層の上に設けることができる。
【0030】
中央着色領域60は、外側着色領域100よりも暗くすることができる。色の暗さは、後述のように、Lとして定量化することができ、Lの値が低いほど、色が暗いことを示す。このようなデザインは、吸収性物品5の中央部分が、吸収性物品5のより周辺近くに配置された部分よりも高い流体容量を有する場合に有用である場合がある。更に、外側着色領域100よりも暗い中央着色領域60は、吸収性物品5の部分のうち、中央着色領域60と組み合わされる部分における、染みを目立たなくする作用を向上させる場合がある。外側着色領域100では、中央着色領域60ほどは染みを目立たなくするのが望ましくない場合がある。着用者が染みを認識しないと、間もなく吸収性物品5の交換を考えなければならないと認識しない場合があるからである。吸収性物品5の比較的離れた部分の染みが着用者にはっきり見えるようにするという同じ理由から、中央着色領域60は中間着色領域80よりも暗くすることができ、中間着色領域80は外側着色領域100よりも暗くすることができる。
【0031】
図3に示されているように、吸収性物品5は、第1の層20と第2の層22を含むことができる。第1の層20は、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100からなる群から選択される着色領域を含むことができる。第2の層22は、中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100からなる群から選択される着色領域を含むことができ、第1の層20の着色領域は、第2の層22の着色領域とは異なる。このような実施形態では、吸収性物品5の層に異なる着色領域を配置することができ、これらの層を組み合わせて、総合的な視覚的印象を作る。製造時に、第1の層20と第2の層22にそれぞれ、その上に配置するのが望まれる着色領域を設けることができ、製造プロセス中に、第1の層20と第2の層22を組み合わせることができる。
【0032】
吸収性物品5の異なる材料層に異なる着色領域を有することによって、より優れた視覚的印象を吸収性物品5の上に作ることができると考えられる。例えば、中央着色領域60と外側着色領域100が異なる材料層の上にあると、見たときに、それらの着色領域の少なくとも1つが、他方の着色領域を含む層を通して見えることになる。別の層材料を通して見える着色領域は、マット仕上げの写真と光沢仕上げの写真との違い、又は透き通った布地物品の下に下着が見える形と幾分同じように、イメージの柔らかさ/拡散性という点で大きく異なる視覚的印象を有することができる。更に、第1の層20と第2の層22の材料の種類が異なっている場合、例えば、一方はフィルムで、他方は不織布である場合、各層で異なる着色技法を用いてよい。例えば、フィルム上に着色領域を設けるために、密着焼付(例えばグラビア印刷)を採用してよく、不織布上に着色領域を設けるために、インクジェット印刷を採用してよい。このような多層アプローチによって、都合良く、製造中にオンラインで、特定の着色領域に変更を加えられるようになることもある。例えば、単一の製造ラインを用いて、同一の中央着色領域60と、各吸収性物品5によって異なる外側着色領域100とを有する複数の吸収性物品5を作製することができる。
【0033】
第1の層20はトップシート30であることができる。第1の層20は流体透過性ポリマーフィルム又は不織布材であることができる。第1の層20は、第2のトップシート30又はインサート、例えば、着用したときに着用者の身体と接する材料と、流体を集めて保持するように設計された吸収性コア90との間にある中間層であることができる。第1の層20は吸収性コア90であることができる。第1の層20は、繊維状の不織布であることができ、この不織布の繊維は第2の層22から突出している。第2の層22から突出している不織布からの繊維は、ニードルパンチング、又は米国特許第7,410,683号に開示されているように、ひとつのウェブの繊維を別のウェブに通して移動させるのに適したその他の方法によってもたらすことができる。
【0034】
第2の層22はトップシート30であることができる。第2の層22は、流体透過性ポリマーフィルム、不織布材、又はその他の好適な流体透過性材であることができる。第2の層22は、第2のトップシート30又はインサート、例えば、トップシート30のように、着用したときに着用者の身体と接する材料と、流体を集めて保持するように設計された吸収性コア90との間にある中間層であることができる。第2の層22は吸収性コア90であることができる。
【0035】
中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100のそれぞれは、インクジェット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、リソグラフ印刷、及びスクリーン印刷からなる群から選択される技法によって、1つの層に設けることができる。作製方法の1つの実施形態では、中央着色領域60を着色する着色技法は、外側着色領域100を着色する着色技法とは異なる。
【0036】
図1に示されている吸収性物品5の断面が図4に示されている。図示されているように、吸収性物品5は、トップシート30、バックシート92、及びトップシート30とバックシート92との間に配置された吸収性コア90を含むことができる。いくつかの実施形態では、吸収性物品5の各構成要素、及び吸収性物品5自体は、図4に示されているように、身体に面する側11と衣服に面する側12を有するとみなすことができる。身体に面する側11は、吸収性物品の使用時に着用者の身体又は膣壁の方を向き、衣服に面する側12は、身体に面する側11の反対側に位置する。タンポンは、衣服に面する側を有しないとみなす。タンポンは身体の内部で着用するからである。
【0037】
中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100のいずれも、吸収性物品5の身体に面する側11から視覚的に認識可能であれば、吸収性物品5のいずれの層の上又は一部にも配置することができる。これらの着色領域は、例えば、吸収性物品5のいずれかの層の身体に面する側11、又は衣服に面する側12の上に配置することができる。例えば、中央着色領域60は、吸収性コア90の身体に面する側11に印刷することができ、外側着色領域100は、トップシート30の衣服に面する側12に印刷することができる。中央着色領域60、中間着色領域80、及び外側着色領域100のいずれも、トップシート30と吸収性コア90との間に位置するインサートの上に設けることができる。
【0038】
図5に示されているように、外側着色領域100が中央着色領域60と中間着色領域80との間にくるように、外側着色領域100を配置することができる。中間着色領域80を周辺部110に近接して配置する場合には(中間着色領域80は、流体の流れに対するバリヤとして認識される場合がある)、このようなアプローチが望ましい場合がある。
【0039】
中央着色領域60、中間着色領域80、外側着色領域100、及び背景領域50の色は、色のL値、a値、及びb値に従って、反射分光光度計によって測定される。L値、a値、及びb値は、吸収性物品5の周辺部110の内側寄りにある、吸収性物品5の身体に面する表面10から測定される。色差は、L値、a値、及びb値を用いて、式ΔE=[(LX・−L+(aX・−a+(b−b1/2により計算することができる。本明細書において、式中の「X」は、中央着色領域60、中間着色領域80、外側着色領域100、又は背景領域50を表す場合があり、「Y」は、当該領域の色の比較対象である、別の領域の色を表す場合がある。X及びYは、同時に同じ2つの測定点であってはならない。換言すれば、いずれの特定の色差比較でも、Xの位置はYの位置と同じではない。
【0040】
3色以上を用いる場合、「X」と「Y」の値は、それ自体の中に測定点も交互に含む。本明細書におけるΔEの計算の重要な点は、「X」及び「Y」の値が、視認面上の同一測定点から生じるべきではないことである。測定区域の範囲内に背景領域50が事実上位置しない場合には、「X」値は、「Y」値に対する空間関係において異なるが、吸収性コア90の周辺部の範囲内である点から生じるべきである。
【0041】
ヴァージニア州レストン(Reston)のハンター・アソシエイツ・ラボラトリー(Hunter Associates Laboratory)ハンター・ラボ・ラボスキャンXE反射分光光度計(Hunter Lab LabScan XE reflectance spectrophotometer)を使用して、反射が色を測定される。吸収性物品5は、18℃〜24℃(65°F〜75°F)の周囲温度、及び50%〜80%の相対湿度において試験する。
【0042】
分光光度計をCIELab色スケールに設定し、D65照明を用いる。観察者(Observer)を10°に設定し、モード(Mode)を45/0°に設定する。面積視野(Area View)は3.18mm(0.125インチ)に設定し、ポートサイズ(Port Size)は5.08mm(0.20インチ)に設定する。サンプルの分析前に、供給業者から計器と共に供給される黒いガラスと白い参照用タイルを用いて分光光度計を較正する。較正はLabScan XEユーザーズマニュアル、マニュアルバージョン1.1、2001年8月、A60−1010−862に記載されているように製造業者の取扱説明書に従って実施する。参照用タイル又はサンプルの洗浄が必要な場合には、エンボス加工、ローション、又は光沢剤を含まないティッシュ(例えばPUFFSティッシュ)しか使用してはならない。分析対象となる、付与された色を含む吸収性物品上の任意のサンプル点を選択できる。
【0043】
吸収性物品5は、その吸収性物品5の背後に白いクランプディスクを配置した状態で、分光光度計のサンプルポートの上に置く。吸収性物品5は、実質的に平らな状態、かつ、しわのない状態にする必要がある。
【0044】
吸収性物品5を取り外し、再配置して、少なくとも6回、身体に面する表面10の色を測定する。可能な場合(例えば、対象となる要素上の付与された色のサイズが、6個の別個の異なる互いに重なり合わない試料点を得ることを制限しない場合)、どの2個の試料点も重なり合うことがないように、各読み取りを外側に見える表面上の実質的に異なる領域で実施する。着色領域の寸法により、サンプル点の重なりが必要な場合には、任意の2つのサンプル点間の重なりを最小化するように選択したサンプル点を有するように、6つのみを取らなければならない。測定値を平均して、外側に見える要素の表面上の指定された色について記録されたL、a、及びb値を得る。
【0045】
CIELab色空間体積Vを計算すると、測定対象である特定の領域群について、記録されたL、a、及びbの最大値及び最小値が決定される。記録されたL、a、及びbの最大値及び最小値を用いて、下記の式に従ってCIELab色空間体積Vを計算する。
【数1】

上記の式中、ΔLは、比較する2つの着色領域のL値の差であり、ΔL=L−Lによって計算する。Δaは、比較する2つの着色領域のa値の差であり、Δa=a−aによって計算する。Δbは、比較する2つの着色領域のb値の差であり、Δb=b−bによって計算する。CIELab色空間体積は、実質的に立体楕円形の形をもたらすことができる。ΔL、Δa、及びΔbが等しい場合、この立体は球形になる。本明細書で使用する場合、「立体」は、長さ、幅、及び高さ(又は奥行き)を有する三次元形の数学的概念を指す。楕円では一般に、ΔL、Δa、及びΔbの次元差が他の立体よりも比較的より均一になることが必要なので、体積を計算するには楕円の体積が好ましい。更に、楕円の体積は、球形の体積よりも視覚的に受け入れやすい(すなわち、人間の知覚による色のミスマッチを検出しにくい)と考えられている。
【0046】
いくつかの実施形態では、別個の要素の外側から見える少なくとも2つの表面の色は、約200未満のCIELab色空間体積を占めることになる。これらの外側から見える表面は、後述する試験方法に従って分析する。分析すると、外側から見える表面を含む要素の固有の色から、L、a、及びbの座標が得られる。次に、上記の式を用いて、CIELab色空間体積を計算する。得られる体積は約200未満であることができる。得られる体積は約50未満であることができる。
【0047】
見える表面を有する3以上の別個の着色領域の色が、前述のCIELab色空間体積を占めることができることを認識すべきである。3以上の要素のCIELab色空間体積を計算すると、一連の要素の最大及び最小のL、a、及びbを用いて、CIELab色空間体積が計算される。最大の色値及び最小の色値を使用して、以上に提示した式に従ってVを計算する。
【0048】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、各こうした寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0049】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願書類を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、その全体を参考として本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。
【0050】
本発明の特定の実施形態が説明及び記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重心(40)と、長手方向中心線(L)と、前記長手方向中心線(L)と直交すると共に前記重心で前記長手方向中心線と交差する横断方向中心線(T)と、身体に面する表面(10)と、を有する吸収性物品(5)であって、
前記吸収性物品が、
背景領域(50)と、
前記長手方向中心線と重なっている中央着色領域(60)と、
前記中央着色領域を実質的に取り囲む中間着色領域(80)であって、前記中間着色領域の一部分が前記長手方向中心線を横切って延び、前記横断方向中心線に沿って、前記背景領域の一部が前記中間着色領域と前記中央着色領域との間に位置する、中間着色領域と、
外側着色領域(100)であって、前記背景領域の少なくとも一部が前記外側着色領域と前記中間着色領域との間に位置する、外側着色領域と、を含み、
前記背景領域、前記中央着色領域、前記中間着色領域、及び前記外側着色領域が、前記身体に面する表面から見え、
前記中央着色領域、前記中間着色領域、及び前記外側着色領域が、前記背景領域と色が異なる、吸収性物品。
【請求項2】
前記中央着色領域と前記中間着色領域が互いから離間している、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記外側着色領域が前記長手方向中心線上に位置する、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記吸収性物品が2つの外側着色領域を含み、前記2つの外側着色領域が前記長手方向中心線上に位置し、前記中央着色領域が前記2つの外側着色領域の間に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記吸収性物品が2つの外側着色領域を含み、前記長手方向中心線が前記2つの外側着色領域の間に位置するように、前記2つの外側着色領域が互いから離間している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前記吸収性物品が2つの外側着色領域を含み、前記横断方向中心線が前記2つの外側着色領域の間に位置するように、前記2つの外側着色領域が互いから離間している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記吸収性物品が、前記横断方向中心線の反対側に位置する第1の末端部(150)及び第2の末端部(160)を有し、
前記第1の末端部が、前記長手方向中心線の反対側にそれぞれが位置する2つの外側着色領域を含み、
前記第2の末端部が、前記長手方向中心線の反対側にそれぞれが位置する2つの外側着色領域を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記中間着色領域が前記中央着色領域と前記外側着色領域との間に位置するように、前記外側着色領域が配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記外側着色領域が前記中央着色領域と前記中間着色領域との間に位置するように、前記外側着色領域が配置されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記中央着色領域、前記中間着色領域、及び前記外側着色領域が、約200未満のCIELab色空間体積内にある、請求項1〜9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
色のL、a、及びbに従って、前記中央着色領域、前記外側着色領域、及び前記背景領域をHunter Reflectance Meter試験によって測定し、前記L、a、及びbの値は前記身体に面する表面から測定され、前記中央着色領域と前記外側着色領域が色差を有し、前記L、a、及びbの値を用いて、ΔE=[(LX・−L+(aX・−a+(b−b1/2の式によって、前記色差を計算すると、前記中央着色領域と前記背景領域との間の前記ΔEが少なくとも約1であり、前記外側着色領域と前記背景領域との間の前記ΔEが少なくとも約1である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記吸収性物品が、第1の層(20)と、第2の層(22)と、を含み、
前記第1の層が、前記中央着色領域、前記中間着色領域、及び前記外側着色領域からなる群から選択される着色領域を含み、
前記第2の層が、前記中央着色領域、前記中間着色領域、及び前記外側着色領域からなる群から選択される着色領域を含み、
前記第1の層の前記着色領域が、前記第2の層の前記着色領域とは異なる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記第1の層が不織布であり、前記不織布の繊維が前記第2の層から突出している、請求項12に記載の吸収性物品。
【請求項14】
色のL、a、及びbに従って、前記中間着色領域及び前記背景領域をHunter Reflectance Meter試験によって測定し、前記L、a、及びbの値は前記身体に面する表面から測定され、前記中間着色領域が色差を有し、前記L、a、及びbの値を用いて、ΔE=[(LX・−L+(aX・−a+(b−b1/2の式によって、前記色差を計算すると、前記中間着色領域と前記背景領域との間の前記ΔEが少なくとも約1である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記中間着色領域が前記中央着色領域の約90%超を放射状に取り囲んでいる、請求項1〜14のいずれか一項に記載の吸収性物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−502976(P2013−502976A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526700(P2012−526700)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2009/055104
【国際公開番号】WO2011/025485
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】