説明

複数の機能エンティティのマップ・ベース通信

【課題】本発明は、異なる量のデータをデータベースに供給するサーバ・システムに関する。
【解決手段】上記システムは、データベースと、データ・トラッカ装置とを備え、データ・トラッカは、複数の機能エンティティ(好ましくは事務機であり、特に、プリンタを備えた装置)によって送出されるデータを受信し、データ・トラッカ装置は、キュー構造を備えた中間バッファ記憶装置にデータを非同期で送信するよう備えられ、中間バッファ記憶装置はデータを順次記憶し、記憶する対象のデータベースにデータを順次送信する局所サーバ・システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の機能エンティティの保守システムに関し、特に、局所サーバ・システム、マップ・ベース通信のシステム、状態依存性データ処理装置、及び少なくとも1つ又は複数の機能エンティティを検索する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、数百乃至2千個の機能エンティティの保守システムを使用して、種々の機能エンティティのステータスを制御し、エラー・メッセージ、印刷メッセージ数、課金可能メッセージ等を含む機能や他の種類のステータスについての報告を提供することが一般的である。
【0003】
事務システムでは、複数の事務機を建物内に分散させることが可能であるか、全国にわたって分散させることも可能であり、通常、プリンタ、多機能プリンタ、コピ―機等のような多数の事務機の保守及び備品を提供することが課題となっている。
【0004】
本願の開示は、特に、プリンタを含む事務機又は機能装置の保守に関する。機能装置は、保守システムによって定期的にアクセスすることが可能であるか、又は、機能装置は、誤動作又は別のエラーの場合に保守システムにアクセスすることが可能である。
【0005】
数百乃至数千の事務機を使用する企業又は顧客は、種々の事務機それぞれの機能(事務機に誤動作が生じている否か、事務機が、更に機能するための備品(例えば、トナー、インク、用紙等)を必要としているか否か)について知りたいとする。前述の場合、種々の事務機はシステムと通信しており、保守システムは、定期的に、システムにその現在のステータスを送信する旨を種々の事務機に要求することが可能であるか、又は誤動作の場合、特定の事務機は、通信を開始して、特定の事務機内で生じたエラーについての情報を含む現在のステータスを報告する旨の要求をシステム、又はシステムのサーバに向けて送出することが可能である。
【0006】
多数の事務機と通信し、この通信によって実現されるデータを管理することには特に、時間がかかり、処理時間がかかる。
【0007】
従来技術では、データが適切か否かを確認することなく、種々の事務機からデータを受信することが一般的である。データはデータベースに書き込まれ、データは次いで、統計目的、保守目的及び課金目的でデータを処理した保守提供者に送信される。
【0008】
しかし、誤動作ステータス・データ又はラン・アウト・データが記憶され、送信されるのみならず、適切な機能及び適切な状態に関するデータも送信され、記憶され、適切なデータを見つけるためには処理されなければならない。これに関して交換され、送信される対象のデータの量が非常に多いことにより、前述のシステムの容量が、(プリンタ、又はコピー機、ファクシミリ機等を含む多機能プリンタのような)約2千の事務機に制限される。
【0009】
2千個を超える事務機と通信することができるためには、数個のサーバが必要になり、それらのサーバ間の通信により、別の問題が生じる。サーバ動作の管理により、システムが遅くなり、多数の事務機(例えば、約15000台の事務機)のより複雑なシステムを動作させるために一層多くのサーバが必要になる場合、プロセッサ動作時間及びプロセッサの容量がやはり、システム全体のボトルネックになる。プロセッサが常に、処理する対象のデータをインポートし、エクスポートしなければならないからである。これは、既存の保守システムでは、長時間を必要とする。データをデータベースからインポートしなければならず、長時間を必要とするからである。
【0010】
対応する問題点が他の技術分野でも生じ得る。例えば、携帯電話ネットワーク・プロバイダが、更なる保守機能を提供しようとしているとする。携帯電話機の蓄電池が特定の電力レベルに達した場合、この種の機能エンティティは、統計目的、警告信号の目的等で、対応する情報を保守システムに通信することが可能である。
【0011】
同様に、電子家庭機器の将来分野、誤り通信システムの自己診断を備えた自動車であって、誤動作又は不足の状態(例えば、自動車内のモーター油又はギヤ油が不足している状態)が生じ得る自動車や、他の分野であって、対応する機能エンティティを、保守サービス、警告信号サービス、予備部品注文サービス、課金サービス等のようなサービスに提供しなければならないことがあり得る分野も興味深い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
よって、本発明の目的は、従来技術の保守システムの問題点のうちの少なくとも1つをそれぞれが解決するいくつかの改良を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の局面によれば、異なる量のデータをデータベースに供給する局所サーバ・システムは、データベース及びデータ・トラッカ装置を備える。データ・トラッカ装置は、複数の機能エンティティ(好ましくは、事務機。特に、プリンタを備えた装置)によって送出されるデータを受信し、データ・トラッカ装置は、キュー構造を備えた中間バッファ記憶装置にデータを非同期で送信するよう用意され、中間バッファ記憶装置は、データを順次、記憶し、記憶する対象のデータベースにデータを順次、送信する。
【0014】
このシステムにより、多数の機能エンティティとの非常に効率的な通信が可能になる。データ・トラッカは、種々の機能エンティティと非常に高速に通信することが可能であり、機能エンティティから受信されたデータをキャッシュ・メモリ装置(例えば、並列に多くの別々の通信を行うことができるために大容量を有するRAMメモリ装置等)に記憶することが可能であるからである。キャッシュ・メモリに書き込まれるデータはその場合、データをデータベースに順次書き込むことを可能にするキュー構造を有する中間バッファ記憶装置に、同期して書き込むことが可能である。このハードウェア構造により、本発明のシステムが、ほぼ同時に並列に事務機のような多数の機能エンティティを処理し、非常にすばやく中間バッファ記憶装置にデータに書き込んで、データベースの大容量のデータ記憶容量を使用することができることが可能になる。一方、このデータベースは、非常に遅く、記憶される対象の、同期して入って来る大量のデータを処理することができない。本発明の概念を要約すれば、同期した一書込処理がトラッカから中間バッファに対して行われ、同期した別の書込処理が中間バッファからデータベースに対して行われる。上記2つの書込処理の速度は異なるので、トラッカからデータベースへの書込処理は、非同期とみなされる。
【0015】
更に、中間バッファ記憶装置を備えたこの構造により、データ安全性バッファ及び別の安全機能が、データベースの誤動作の場合に、又は、データベースの故障の場合に、残っている空き記憶空間又は既に占有された記憶空間を監視して、中間バッファ記憶装置が特定の閾値を上回るか、又は特定の閾値未満に降下した場合に警告信号を与えることができることが可能になる。
【0016】
データベースとの間の読み出し動作と書き込み動作とを切り離すために、やはり、第2の中間バッファ記憶装置を介して互いに接続された2つのデータベース・エンティティを有することが効果的である。よって、データ・トラッカ装置から第1の中間バッファ記憶装置を介して第1のデータベース・エンティティにデータを書き込むために第1のデータベース・エンティティを使用することが可能である。第2のデータベース・エンティティは、第1のデータベース・エンティティからのデータ、又はデータ・トラッカ装置からの処理済データを受信するよう構成することが可能である。第2のデータベース・エンティティは、データベースからデータを読み出すことが可能なデータ・リポータ装置にデータを送出し、データを、例えば、外部装置に、更なる処理、課金目的、又は保守目的で送出することが可能なレポータ装置を介してアクセスすることが可能である。
【0017】
本発明の別の局面によれば、マップ・ベースの通信のシステムは、複数の機能エンティティ(特に、プリンタ部を有する事務機)と、ネットワークによる個々の接続を介してサーバに接続されている機能エンティティそれぞれの状態を監視するサーバとを備える。機能エンティティそれぞれは識別情報に割り当てられる。機能エンティティそれぞれは、機能エンティティの各タイプの機能及び/又は能力の記述に対応する各種の識別情報によって識別することが可能である。識別情報は、一連番号、タイプ識別番号等であり得る。サーバは、識別情報に対応する機能エンティティの機能及び能力の記述にアクセスするためのアクセス情報構造を備える複数の関連付けマップ構造装置を含む。関連付けマップの語は、データと識別情報との関連付けを表している。各種の識別情報は、複数の関連付けマップ構造装置に記憶された複数の関連付けマップのうちの特定の関連付けマップと関連付けられる。サーバ装置は個々の認識識別情報を個々の接続それぞれに割り当て、サーバは、個々の接続の個々の認識識別情報と、識別情報の種類のうちの1つを含むデータ形式を備えたポインタを形成するよう構成され、ポインタそれぞれにより、識別情報のその特定のタイプに基づいて、特定の関連付けマップのうちの1つへのアクセスが可能になる。
【0018】
ポインタ技術により、非常にすばやく多機能プリンタのような特定の機能エンティティについての情報にアクセスすることが可能である。従来技術において使用されるようなシーケンシャル・アクセスを避けることが可能であるからである。一方、本発明によれば、いくつかの関連付けマップ(例えば、別々の3つのタイプの識別情報の場合、3つの関連付けマップ)を提供することが必要である。前述の類の手順は、容量のより大きなメモリ空間の使用を伴うが、前述の類の手順により、検索された情報にアクセスして、必要な情報に非常にすばやくアクセスすることが可能になる。
【0019】
マップ・ベースの通信をサーバが提供することを可能にする手段として、キャッシュ・メモリ構造を備えたデータ・トラッカであって、データベースに接続されたデータ・トラッカがある。キャッシュ・メモリ構造は、複数関連付けマップ構造を含み、機能エンティティ(例えば、多機能プリンタ、コピー機等)の機能及び/又は能力に対するデータへのすばやいアクセスを可能にする。
【0020】
本発明の効果的な実施例によれば、少なくとも、個々の接続に接続された機能エンティティが初めて、サーバとの通信処理を開始した後に、サーバへの個々の接続が起動された場合、上記サーバは、個々の認識識別情報をこの個々の接続に割り当てる。個々の認識識別情報には、ポインタを形成するための機能エンティティの識別情報が備えられる。この種の手順により、別々の識別情報を特定の接続の同じ個々の認識識別情報にシステムが割り当てることが可能になる。すなわち、特定の個々の認識識別情報でプラグ接続されたプリンタが、別のプリンタと交換される場合、システムは、柔軟であり、ネットワーク内の特定の接続に割り当てられた個々の認識識別情報に機能エンティティ又はプリンタの別の識別情報を割り当てることができる。
【0021】
本発明の別の局面によれば、複数の機能エンティティ(特に、プリンタ部を備えた事務機)のうちの少なくとも1つとの間で送受信されるデータを処理するよう構成される状態依存性データ処理装置が提供される。ステータス情報は、状態依存性データ処理装置により、以下の処理(ステータス情報が、機能エンティティにより、状態依存性データ処理装置に、調節可能な等間隔で送出される処理、状態依存性データ処理装置による要求による処理、及び、複数の機能エンティティのうちの個別の少なくとも1つによって開始される通信による処理)のうちの少なくとも1つによって受信される。状態依存性データ処理装置は、複数の機能エンティティそれぞれのステータス情報を記憶する。ステータス情報は特定の時間に割り当てられる。後の時点で受信される新たなステータス情報が、既に受信されたものと比較される。新たなステータス情報は、先行して受信されたものと異なる場合にのみ記憶される。特定の事務機についてのステータス履歴報告及び多数の事務機についてステータス履歴報告を可能にするために、新たなステータス情報が、受信された時間に割り当てられる。データ処理装置は、新たなステータス情報が、同じステータスに関する先行情報と異なる場合にのみ、新たなステータス情報をデータベースに書き込むことができるよう構成することが可能である。これにより、送信されなければならず、データベースに書き込まれなければならない情報が少なくなり、送信されなければならず、データベースに書き込まれなければならないデータが少なくなることが確実になる。これは、データを処理することによって達成することが可能な情報メンテナンスの間にデータの量を削減することに有用である。更に、後続の通信動作及び処理動作において送信される対象のデータの量を削減することが可能である。更に、社内用又は外部用に報告を作成しなければならない場合、報告を作成するためのデータの量は大きく削減される。
【0022】
システムを更に柔軟にするために、本発明による別の実施例は、データベース内の記憶装置の編成を使用する。これにより、限定数の列が使用され、少なくとも2つの列内の特定数の行を機能エンティティに割り当てて、特定の機能エンティティのデータを記憶する。特定の機能エンティティに関連付けられた行の数は、記憶されているデータに必要な行の数よりも大きいことがあり得る。更に、記憶する対象のデータは、1つのタイプまたは値の対のデータとして分類することが可能であり、データベース内の記憶装置の編成は、この種のデータ形式に対応する。
【0023】
この実施例は、データベースの完全な構造を変えることなく、データベースのデータ記憶装置の構造を変えるか、又は補うことを可能にする。よって、一方で、データベースのメモリ構造を維持することが可能であり、他方で、データベース全体を再構成することなく、将来の関心情報となる情報を追加し、過去には関心があったが将来はもう関心がなくなることになる情報を取り除くことが可能である。
【0024】
本発明の別の局面によれば、特定の識別情報に基づいた少なくとも1つ又は複数の機能エンティティを検索する方法を提供する。機能エンティティは、ネットワークを介してサーバと接続される。識別情報は、多機能プリンタ、コピー機等のような事務機によって表すことが可能な機能エンティティそれぞれの少なくとも1つの能力情報、状態情報及び状態履歴情報等を提供するよう構成される。識別情報に基づいて、属性データが生成され、属性データが、サーバを介してデータベースに記憶される。クエリは属性に基づいて作成され、サーバは、属性クエリを使用してデータベースにアクセスして、クエリ内の属性に関係付けられた少なくとも1つ又は複数の装置を見つけるよう起動される。
【0025】
本発明の方法の検索機能を向上させるために、サーバが、複数の属性のうちの個別の属性それぞれにアクセスし、複数の属性のうちの個別の属性それぞれへのアクセスを阻止し、複数の属性のうちの個別の属性それぞれを受け入れることを可能にするようオペレータが構成される。すなわち、オペレータのうちの一オペレータが、特定の属性を要求する。別のオペレータは、特定の属性を有する機能エンティティ全てを却下する。更に別のオペレータは、特定の属性を有するか否かにかかわらず、機能エンティティを受け入れる。
【0026】
クエリは、「AND」/「OR」演算を結合するよう構成することが可能である。ユーザは、特定のクエリの名前を自ら作成し、よりうまく使用するためにクエリ言語を人間らしくすることができるクエリの名前を記憶することが可能である。クエリは特に、データ又はカウンタ以外の何れかの装置属性を求めて検索することを可能にするよう構成することが可能である。属性全てに対する全文検索は特に、サーバの、非常に速いキャッシュ・メモリに記憶された属性全てに対して利用可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
前述の実施例を互いに組み合わせて、多数(最大15000個又はそれを上回る個数)の機能エンティティの保守及び監視を行うためのシステム全体を提供する。同じことが、本発明の特定の実施例の説明にもあてはまる。
【0028】
明らかに、この場合における通信は、有線による通信のみならず、RF伝送、携帯電話ネットワーク伝送、光伝送チャネル、衛星伝送等、及びそれらの組合せによる何れかの種類の通信を意味する。
【0029】
図では、同じ機能装置を2回以上説明することを避けることが可能であるように、参照符号を同一又は同等の装置に割り当てている。
【実施例】
【0030】
図1によれば、第1の実施例10aは、多機能プリンタ、コピー機等のような複数の機能エンティティ12a、12b、12c、12dを備える。機能エンティティは以下で「プリンタ」と呼ぶ。プリンタ12a、12b、12c、12dは、回線A、B、C、Dを介してデータ・トラッカ装置14に接続される。
【0031】
一方、機能エンティティは携帯電話機であってもよく、移動通信手段を備えた自動車は、家庭用装置等を意味する。回線は、電線の接続、回線のないチャネル接続等、及びそれらの組合せであり得る。
【0032】
データ・トラッカ装置14は、大記憶容量(例えば、4GB、6GB、若しくは8GB、又はそれ以上)を有するキャッシュ・メモリ14a、及び少なくとも1つの中央処理装置を含み得る。当然、容量がより小さいか、又はより大きいキャッシュ・メモリを、アクセスする対象のプリンタの数に応じて使用することが可能である。
【0033】
データ・トラッカ装置14は、キュー構造を備え得る中間バッファ・メモリ16に接続される。プリンタ12a、12bから受信されたデータは、データベース18に順次書き込む対象のデータを記憶することが可能な中間バッファ記憶装置16に非同期で送出することが可能である。バッファ16はキュー構造を有し得る。監視装置15は、バッファ16に接続して、充填度が特定の閾値を上回る場合に、回線Lを介してバッファ16の充填度を監視することが可能である。監視装置15は、システム10aの構成部分に向けて、回線M、N及びOのうちの1つ又はいくつかを介して警告信号を出すことが可能である。更に、監視装置15は、回線Mを介してデータベース18に向けて起動信号を送出することが可能であるか、又はデータベース18のステータスを確認することが可能な人間のオペレータの注意を警告が引くよう警告を送出することが可能である。
【0034】
レポータ装置20は、データベース18にアクセスして、データベース18から情報を読み出し、データに基づいてレポートを生成することが可能である。レポータ装置は、データを処理し、かつ/又は、保守会社、販売会社等に配置され得る外部装置22に回線Jを介してデータを送信することができる。
【0035】
データ・トラッカ装置14は、多数のプリンタ12a、12bのステータス・データを非同期で受信し、データ・トラッカ装置14に組み入れられたキャッシュ・メモリ部分14aにデータを記憶することが可能である。データ・トラッカ装置14のキャッシュ・メモリ14aでは、別々のプリンタそれぞれの実際のステータスを記憶することが可能である。データ・トラッカ装置14は、特定の時間に受信された特定のプリンタのデータをキャッシュ・メモリに記憶されたデータと比較し、受信されたデータが、キャッシュ・メモリに記憶されたデータと異なる場合、特定のプリンタに関連付けられたデータが実行される。プリンタの状態が変化した時間を記憶することも可能である。これにより、本発明のシステムに接続されたプリンタの状態の変化についてのより好適な履歴報告が可能になる。この処理は、キャッシュ・メモリ14aに記憶される対象のデータ、及びデータベース18に送信される対象のデータの削減を可能にする。
【0036】
データ・トラッカ14において、プリンタの実際のデータと、現在受信されている新たなデータとの間で行われる比較は、個別のプリンタの実際の状態又はステータスと、プリンタの新たな状態との間の変化に関するフィルタ特性を有する一種のフィルタとして規定することが可能である。記憶された状態と、新たな状態との間で差を識別することが可能である場合にのみ、新たな状態が、キャッシュ・メモリに書き込まれ、プリンタの先行する状態又はステータスが上書きされる。
【0037】
プリンタ12a、12b、とデータ・トラッカ装置との間の通信は、各種の通信によって起動させることが可能である。プリンタそれぞれがデータ・トラッカ装置14に警告信号を送出することが可能である。警告信号を使用して通信を起動させることが可能であるか、又は、警告信号は、プリンタのどの部分が誤動作を有するかを示す状態変化データを既に含み得る。別の種類又は更なる種類の通信は、データ・トラッカ装置14によって行われる通常の要求に基づいて行うことが可能である。この場合、データ・トラッカ装置は、20分、40分等の等時間間隔、又は他の調節可能な時間間隔でプリンタそれぞれに、ステータス情報に対する要求を送出する。時間間隔は、当該日の時刻に対応して、若しくは、特定の時間間隔内のデータ・トラッカの処理容量に対応して、又は、プリンタ・モデル・タイプに対応して調節することが可能である。
【0038】
プリンタが回線A、B等に接続されている場合、データ・トラッカ装置14は、個々の接続認識識別情報をこの接続又は回線A、Bに割り当てる。この個別の接続認識識別情報を、一連番号、タイプ識別番号等であり得る個々のプリンタの識別情報と合成する。
【0039】
データ・トラッカ装置では、プリンタの機能、能力及びステータスに関する情報は、特定の関連付けマップ構造に割り当てることが可能である。この関連付けマップ構造は、特定の接続に接続されたプリンタの情報へのすばやいアクセスを可能にするよう提供される。
【0040】
よって、データ・トラッカ装置は、プリンタの能力、ステータス等についての情報が記憶されているメモリの場所を、関連付けマップ構造によって指し示すことができる一種のポインタを形成する。よって、特定のプリンタについての情報へのすばやいアクセスが利用可能になる。
【0041】
各識別情報タイプは、特定の関連付けマップを必要とするので、更なる識別情報タイプ毎に、更なる1つの関連付けマップが必要である。よって、ポインタは好ましくは、対応する識別情報をシステムに加えるオペレータに応じて、特定の個々の接続、及び識別情報の許容可能なタイプのうちの1つに割り当てられた個々の識別情報を含む。
【0042】
高速化してプリンタ・データを見つけるために必要な関連付けマップが3種類存在している。
【0043】
IPアドレス(ステータス/カウンタが装置から受信される場合)
一連番号(新たなデータが受信され、一連番号に関連付けられて記憶される必要がある場合)
アドレス(プリンタをポーリングしなければならない場合、これはIPアドレス又はホスト名である)。
【0044】
この点で、識別情報を、サーバに接続された端末を介してサーバに送出するのではなく、別々のプリンタ12a、12bにアクセスする主システムを介して送出して、印刷済ジョブを行うということを念頭におかなければならない。前述の主システムは、国、大陸、又は全世界にわたって分散させることが可能であるので、分散領域全体のどこでも、どのオペレータも、新たな事務機又はプリンタを主システムに、同じタイプの識別情報を使用して追加する。したがって、サーバ14が、プリンタ12a、12b、についての対応する情報を素早く見つけて、プリンタを監視し、処理し、別のプリンタへのアクセスのために空き状態にすることができるか、又は別のプリンタによってアクセスすることを可能にする必要がある。
【0045】
多数のプリンタによる非同期アクセス、並びに、記憶及び/あるいは処理及び/あるいは報告に価するプリンタ状態又はステータスの情報の選択は、この点でも基本的な機能である。
【0046】
サーバ14への新たな接続が、プリンタ12a、12b、に初めてプラグ接続することによって起動され、初めて、プリンタがサーバと通信を開始する場合、サーバは、個々の認識識別情報をこの接続に割り当てる。プリンタを変更すべきであり、別のプリンタを、同じ接続に接続すべき場合、サーバは、同じ個々の認識識別情報をこの個々の接続に更に割り当てることになるが、別のタイプ又は種類のプリンタを識別する別の識別情報を読み出す。
【0047】
図1に示す別々の装置の間で処理され、通信される対象のデータの削減を可能にするために、サーバ14のキャッシュ・メモリ内のサーバ14に接続されたプリンタそれぞれについての実際のステータス情報、状態情報及び能力情報を保持する必要がある。新たな情報が、サーバ14に接続された、プリンタのうちの1つ、又はプリンタのうちのいくつかから通信された場合、サーバ14は、上記情報を、キャッシュ・メモリに記憶された実際の情報と比較する。新たな情報が、記憶された情報と異なる場合、新たな情報を使用して、旧く、もう有効でないステータス、状態、又は能力の情報を上書きする。変化が生じた時間を記憶することも可能である。一方、プリンタからサーバ14に、先行する時間に報告された誤動作ステータスが、対応するプリンタの保守又は修理によって解消されている場合、解消情報を記憶することも可能であり、解消情報が、プリンタ12a、12bからサーバ14に通信された時間を、後続する履歴報告が格納することも可能である。
【0048】
よって、この点におけるサーバの動作は、一種のフィルタであり、先行して記憶された情報と、新たな情報との差は、新たな情報が、記憶する対象に価せず、実際の情報の上書きに有用でないか否かの決定のためのフィルタ基準であるフィルタとして規定することが可能である。
【0049】
前述の構成によれば、サーバ14に記憶される対象のデータの量、及び、キュー構造を備えたバッファ・メモリを介してデータベース18に送信する対象のデータの量を削減することが可能である。更に、回線Hを介して報告装置20によって要求されなければならない情報、及び、販売会社に配置され得る外部アクセス又はサーバ・データベース23に通信する対象の情報を削減することも当然、可能である。
【0050】
システムの柔軟性を増加させるために、データベース18に、特別な記憶装置の編成を設けることも効果的である。この非常に効果的な記憶装置の編成によれば、データベースは、限定数の列(特に、2列)を有するよう編成され、少なくとも2つの列における特定数の行が、プリンタのうちの1つに割り当てられる。記憶装置の編成における記憶行の数は、プリンタ毎に記憶される対象のデータの数を超え得る。よって、データベース記憶装置の編成全体を変更することなく、データベースに、プリンタに記憶される対象の情報を追加するか、又は、プリンタに格納される情報を取り除くことが可能である。
【0051】
特に、データが一タイプ又は値の対として記憶され、データベースにおける記憶装置の編成がこのデータ形式に対応する場合に、非常に効果的であることが明らかになっている。
【0052】
システムの柔軟性又は速度を更に増加させる別の構成は、少なくとも複数のプリンタ12a、12b、であって、上記プリンタがネットワークA、B、C、D、を介してサーバ14と接続されたプリンタを、特定の識別情報に基づいて検索する方法に関する。
【0053】
プリンタ12a、12b、それぞれに関する情報が、例えば、サーバ14のキャッシュ・メモリに記憶されるか、又は、サーバ14の起動のためにデータベース18に記憶される。識別情報は、プリンタそれぞれの実際の状態又はステータス、及び能力を記述した、能力情報、状態情報及び状態履歴情報のうちの少なくとも1つを提供するよう構成される。当然、識別情報は、オペレータが、一プリンタ又はプリンタ群についての他の情報に関心を持った場合に変更することが可能である。
【0054】
プリンタそれぞれの識別情報を使用して属性データを構成し、属性データは例えば、サーバ14又はデータベース18に記憶される。前述の属性データを報告装置20に記憶することも可能である。更に、クエリが属性データに基づいて構成され、サーバが、属性クエリを使用してデータベースにアクセスして、クエリにおける属性と関係付けられた少なくとも1つ又は複数のプリンタを見つけるよう起動される。
【0055】
この構成は、特定の属性を有する事務機又はプリンタについての報告の作成に有用である。
【0056】
この点で、複数の属性のうちの個別の属性それぞれにサーバがアクセスすることを可能にし、複数の属性のうちの個別の属性それぞれを受け入れるようオペレータが構成される。すなわち、オペレータを使用して、特定の構成、ステータス、状態等を有するプリンタ、又は、前述の特定の状態、ステータス、構成等を有しないプリンタを検索する。一オペレータは、特定のステータス、状態、能力、構成等が受け入れ可能であるが、必要でない場合にも使用することが可能である。
【0057】
よって、属性情報はテキスト・ファイルとして扱うことが可能であり、クエリは、全文検索により、特定のプリンタ又は特定のプリンタ群の識別が可能になるよう構成される。すなわち、1つ又は複数の列と関連付けられるようラベル(又は属性名)が使用される、テキスト列の関連付けマップが導入される。これは、プリンタの検索された装置をユーザがすばやく、かつ正確に見つけることに有用である。
【0058】
図2では、更なるアクセス装置24は、データ回線Lを介してサーバ14へのアクセスを有する。この更なる構成によれば、実際の報告をサーバ14から読み出すことが可能である。サーバ14は常に、接続された事務機又はプリンタ12a、12b全ての現在のステータスについての実際の情報を有するからである。
【0059】
図2についての実施例10bの他の構成は、図1を参照して示し、説明した構成と同様であり得る。よって、図2の実施例は、オペレータが(例えば、データベース18を起動させるために)警告状態を解消することを可能にする旨の警告信号をオペレータに与えるために端末装置24にも接続することが可能である警告装置15も有し得る。図3による実施例10cは、2つのデータベース18a、18bを備えたシステム構成を示す。データベースからデータを読み出す速度が速い一方、データベースに書き込む速度が遅いので、図1及び図2によるデータベース18を2つのデータベース18a、18bに分割して、データベースとの間の読み出しと、及びデータベースとの間の書き込みとを切り離すことにより、多少の効果をもたらすことが可能である。
【0060】
更に、サーバ14は、データベース18bに更に送出されるデータを削減するよう、データベース18aに記憶されたデータを再処理することが可能である。
【0061】
当然、第2のデータベース18bは、更に、データの非同期書込みを受け入れることができ、同期データ・ストリームを第2のデータベース18bに送出することができるキュー構造を備えた中間バッファ記憶装置を有し得る。
【0062】
当然、更に、実施例10cには、中間バッファ記憶装置の充填度を監視するために1つ又は2つの監視装置若しくは警告装置15を設けることが可能である。
【0063】
本出願は、内容全体を本明細書及び特許請求の範囲に援用する、西暦2007年10月16日付けに出願された欧州特許出願第07118581号、及び西暦2007年12月21日付けに出願された欧州特許出願第07150314号に基づくものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明を組み入れた実施例の機能シーンを示す図である。
【図2】本発明の構成を含む別の実施例の機能シーンを示す図である。
【図3】機能シーンを参照して別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
12 機能エンティティ
14 データ・トラッカ装置
15 監視装置
16 中間バッファ・メモリ
18 データベース
20 レポータ装置
22 外部装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる量のデータをデータベースに供給する局所サーバ・システムであって、前記データベースと、データ・トラッカ装置とを備え、前記データ・トラッカ装置は、複数の機能エンティティ、好ましくは事務機であり、特に、プリンタを備えた装置によって送出されるデータを受信し、前記トラッカ装置は、キュー構造を備えた中間バッファ記憶装置にデータを同期して送信するよう用意され、前記中間バッファ記憶装置は前記データを順次記憶し、記憶する対象の前記データベースに前記データを同期して送信するシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記中間バッファ記憶装置の空き状態及び/又は占有状態の記憶空間が監視され、記憶空間監視装置がそのために設けられ、用意されるシステム。
【請求項3】
請求項2記載のシステムであって、警告装置は、前記空き状態及び/又は占有状態の記憶空間を検出し、前記記憶空間が、特定の記憶空間充填度を超えたか、又は下回った場合、信号を送出するシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3のうちの何れか一項に記載のシステムであって、前記データベースは、少なくとも2つのデータベース・エンティティを含み、第1のエンティティは前記中間バッファ記憶装置を介してデータを受信し、前記データは、第1のデータベース・エンティティからのデータを再生し、前記データを第2のデータベースに送出するデータ書込エンジンに送信されるシステム。
【請求項5】
請求項4記載のシステムであって、前記データ書込エンジンは、第2のデータベース・エンティティにデータを非同期で送出し、第2の中間バッファ記憶装置は、前記データを同期して受信し、前記データを同期データ・ストリームとして第2のデータベース・エンティティに送信するシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5のうちの何れか一項に記載のシステムであって、前記データ・トラッカ装置は、接続している複数の機能エンティティに関する情報へのすばやいアクセスを可能にするためのキャッシュ・メモリ編成を含むシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6のうちの何れか一項に記載のシステムであって、前記データ・トラッカ装置内の一次情報が起動手順後に前記データベースから取り出されるシステム。
【請求項8】
複数の機能エンティティ、特に、プリンタ部を有する事務機、及びネットワークによる個々の接続を介してサーバに接続された前記複数の機能エンティティそれぞれの状態を監視するサーバとを備えるシステムであって、前記機能エンティティそれぞれは、各種識別情報が存在している識別情報に割り当てられ、前記識別情報は、機能エンティティの機能及び/又は能力の記述、例えば、一連番号、タイプ識別番号等に対応し、前記サーバは、前記識別情報に対応する機能エンティティの機能及び能力の前記記述にアクセスするためのアクセス情報構造を備える複数の関連付けマップ構造を含み。識別情報の種類それぞれは、複数の関連付けマップ構造装置に記憶された複数の関連付けマップのうちの特定の関連付けマップと関連付けられ、前記サーバは、個々の接続それぞれに、個々の認識識別情報を割り当て、前記サーバは、個別の接続の前記個々の認識識別情報、及び各種の識別情報のうちの1つを含むデータ形式を備えたポインタを形成するよう構成され、前記ポインタは、前記特定の関連付けマップへのアクセスを可能にするシステム。
【請求項9】
請求項8記載のシステムであって、前記サーバは、キャッシュ・メモリ構造を備えたデータ・トラッカを含み、前記データ・トラッカはデータベースに接続され、前記キャッシュ・メモリ構造は、前記複数の関連付けマップ構造を含み、前記機能エンティティの前記機能及び前記能力へのすばやいアクセスを可能にするシステム。
【請求項10】
請求項8又は9の何れか一項に記載されたシステムであって、少なくとも、前記個々の接続に接続された機能エンティティが、初めて、前記サーバとの通信処理を起動させた後に、前記サーバへの接続が起動された場合、前記サーバは前記個々の認識識別情報を前記個々の接続に割り当て、前記個々の認識識別情報、及び前記識別情報を構成して、前記ポインタを形成するシステム。
【請求項11】
複数の機能エンティティ、特に、プリンタ部を備えた事務機のうちの少なくとも1つとの間で送受信されるデータを処理する状態依存性データ処理装置であって、
ステータス情報は、前記機能エンティティにより、調節可能な等間隔で前記状態依存性データ処理装置に、かつ/あるいは、前記条件依存性データ処理装置による要求により、かつ/あるいは、前記複数の機能エンティティのうちの個別の少なくとも1つによって開始される通信によって送出され、
前記状態依存性データ処理装置は、前記複数の機能エンティティそれぞれのステータス情報を記憶し、
前記ステータス情報は特定の時間に割り当てられ、
後の時点で受信される新たなステータス情報が、既に受信された内容と比較され、
前記新たなステータス情報は、先行して受信された内容と異なる場合に記憶される装置。
【請求項12】
請求項11記載の装置であって、前記記憶された新たなステータス情報は、受信された時間に割り当てられる装置。
【請求項13】
請求項12記載の装置であって、特定の時間に割り当てられた別の新たなステータス情報がデータベースに記憶される装置。
【請求項14】
請求項11乃至13のうちの何れか一項に記載の装置であって、データベース内の記憶装置の編成は、限定数の列を含むよう編成され、少なくとも2つの列における特定数の行が、特定の機能エンティティに記憶するために、機能エンティティに割り当てられる装置。
【請求項15】
請求項14記載の装置であって、特定の機能エンティティに関連付けられた行の数が、記憶されている前記データに必要な行の数よりも大きい装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の装置であって、前記データは。一タイプ又は値の対として記憶され、前記データベース内の記憶装置の編成はこのデータ形式に対応する装置。
【請求項17】
特定の識別情報に基づいて少なくとも1つ又は複数の機能エンティティを検索する方法であって、前記機能エンティティは、ネットワークを介してサーバと接続され、
前記識別情報は、前記機能エンティティの能力情報、状態情報及び状態履歴情報等のうちの少なくとも1つを提供するよう構成され、
属性データは前記識別情報に基づいて形成され、
前記属性データは、前記サーバ及び/又はその高速アクセス・メモリを介してデータベースに記憶され、
クエリは属性に基づいて形成され、前記サーバは、前記クエリを使用して前記データベースにアクセスして、前記クエリにおいて参照された前記属性に関係付けられた少なくとも1つ又は複数の機能エンティティを見つけるよう起動される方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、前記サーバが、複数の属性のうちの個別の属性それぞれにアクセスし、複数の属性のうちの個別の属性それぞれへのアクセスを阻止し、複数の属性のうちの個別の属性それぞれを受け入れることを可能にするようオペレータが構成される方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法であって、属性が前記クエリに従う前記機能エンティティの前記データが、識別され、前記サーバ又は端末を介して出力される方法。
【請求項20】
請求項17乃至19のうちの何れか一項に記載の方法であって、高速アクセスを提供するメモリに記憶された属性情報が、前記クエリによる全文検索の対象となる方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−124690(P2009−124690A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−266630(P2008−266630)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】