説明

複数の活性物質を有する色素過剰スポットの外観の改善方法

色素過剰スポットの外観を改善する方法は、皮膚表面上の色素過剰スポットに組成物を塗布する工程を含んでもよく、前記組成物は、色素過剰スポットのための安全かつ有効な量の、カラフトコンブ抽出物である即効性薬剤と、色素過剰スポットのための安全かつ有効な量の、ビタミンB3、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、及びそれらの組み合わせから選択される遅効性薬剤と、を含み、該組成物は、即効性薬剤及び遅効性薬剤の両方が色素過剰スポットの外観を改善するのに十分な期間、少なくとも毎日塗布される。この方法は、顔面皮膚表面上の色素過剰スポットを識別する工程を更に含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即効性及び遅効性薬剤を使用する、哺乳動物の皮膚内の色素過剰スポットの外観を改善するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は、表皮、真皮及び皮下脂肪層の3つの主要な層を含む。表皮は、角質層、顆粒層、有棘層及び基底層の4つの層(上部から下部へ)を含む。角質層と顆粒層との間に、別個の5つめの層である透明層が存在する場合がある。基底層は、徐々に上方に移動して、他の表皮層を形成する細胞を生成する。これらの細胞は上方に移動するにつれて、それらの中心核を損失し、皮膚タンパク質(ケラチン)及び脂肪(脂質)の生成を開始する。これらの細胞は、表皮の上部層内に存在する際に角化細胞と識別される。メラニン形成細胞は、表皮の基底層内に位置する別のクラスの細胞である。メラニン形成細胞は、色素沈着過剰の主な要因であるメラニンの生成を担っている。
【0003】
メラニンは、基本的なレベルで、酵素チロシナーゼと基質としてのL−チロシンとが関与するメラニン形成細胞内の複雑な反応セットにより生成される。チロシナーゼは、L−チロシンのDOPA(L−3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン)への変換と、DOPAのドーパキノンへの変換とを触媒する。ドーパキノンは、更なる変換を受けてメラニンを形成する。メラニンは、メラノソームとして知られている小器官内に凝集し、このメラノソームは、樹状突起として知られるメラニン形成細胞の細長い線維に沿って角化細胞に移動される。メラノソーム内に発現されているおよそ1500の遺伝子産物が存在し、そのうちの600は任意の所定の時間に発現され、そのうちの100はメラノソームに固有のものであると考えられている。加えて、シグナル伝達、メラニン形成細胞内でのメラノソームの輸送、角化細胞へのメラノソームの移動に関与する多数の調節要素が存在する。
【0004】
メラニンの生成は、様々な外部及び内部事象により引き起こされる場合がある。例えば、メラニン形成細胞は皮膚が紫外線照射に付された際に追加のメラニンを生成する。次に、メラニンはメラノソーム(melanasome)を介して角化細胞に輸送され、角化細胞は次に皮膚に「黄褐色の」外観を残す。紫外線光が除去されると、メラニン形成細胞は、通常のメラニン生成のレベルに戻る。炎症は、IL−1、エンドセリン−1、及び/又は幹細胞因子等のメディエータによるメラニン形成細胞の直接的な刺激により、色素沈着過剰を開始させ得る。損傷皮膚内で生成され、又は炎症細胞から副生物として放出される超酸化物及び一酸化窒素等の活性酸素種は、メラニン形成細胞の刺激因子であり得る。
【0005】
時間が経過するにつれて、慢性的な紫外線暴露と、他の内因性及び外因性の加齢因子とが角化細胞及び/又はメラニン形成細胞内の永続する遺伝子発現の変化をもたらし、加齢関連の色素過剰スポットが生じ得る。いくつかのメラニン形成関連の遺伝子(例えば、チロシナーゼ、TYRP1)のmRNAレベルは、化学線黒子(染み)を増大させることが報告されている。色素沈着過剰には、表皮性エンドセリンカスケードの強調と、幹細胞因子の役割も存在し得る。これらの変化は、メラニンの過剰生成と、結果として生じる色素沈着過剰スポットとをもたらす場合があり、このスポットは、紫外線暴露等の侵襲が避けられる場合でも持続する。色素過剰スポット以外にも、慢性的な紫外線暴露と他の内因性及び外因性加齢因子とは、皮膚色調におけるより僅かな変化をもたらし得る。これらの変化は、度々、まだらな色調、又は斑点模様の外観として表現される。少なくとも1つの試験は、染みが、時折、認知されるヒト年齢に10〜12年加える場合があり、また、メラニン分布が色調に依存した年齢認知を推し進め得ることを示唆している。
【0006】
急速な改善と、より長期間の改善との両方を提供する、色素過剰スポットの外観を改善するための組成物を開発する必要性も存在している。使用者は、色素過剰スポットの急速かつ顕著な改善をもたらすと共に、持続しかつ長続きする改善も提供する組成物を望んでいる。このように、色素過剰スポットの外観を急速かつ持続的に改善できる組成物及び処置方法を提供することへの継続した願望が存在している。
【0007】
褐藻類の一種であるカラフトコンブ(Laminaria Saccharina)の抽出物は、当技術分野にて公知である。1つの例は、Biotech Marine,Franceにより、商標名Phlorogineで販売されている。Phlorogineは、例えば米国特許出願公開第2008/0119527A1号に記載されているように、皮脂腺の活性を調節し得る抗脂漏性剤として公知である。褐藻類の抽出方法も公知である。欧州特許第1074262B1号は、褐藻綱及びラミナリアオクロロイカ(Laminaria Ochroleuca)種の抽出方法を記載している。これらの抽出物は、浸透圧安定剤(osmoprotector)、フリーラジカルスカベンジャー、又は、皮膚老化作用の効果に対抗するものとして美容組成物中に使用されるよう記載されている。ブランド名SK−II Facial Clear Solution(Procter & Gamble,Cincinnati,OH)で販売されている美容組成物は、約1.25%のPhlorogine濃度を有する。SK−II Facial Clear Solutionは、油性光沢を増大させずに、皮膚を保湿する保湿ゲルとして販売されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0119527A1号
【特許文献2】欧州特許第1074262B1号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
色素過剰スポットの外観を改善する方法は、皮膚表面上の色素過剰スポットに組成物を塗布する工程を含み、該組成物は、色素過剰スポットのための安全かつ有効な量の、カラフトコンブ抽出物である即効性薬剤と、色素過剰スポットのための安全かつ有効な量の、ビタミンB3、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、及びそれらの組み合わせから選択される遅効性薬剤と、を含み、該組成物は、即効性薬剤及び遅効性薬剤の両方が色素過剰スポットの外観を改善するのに十分な期間、少なくとも毎日塗布される。
【0010】
色素過剰スポットの外観を低減する方法であって、該方法は、顔面皮膚表面上の色素過剰スポットに、安全かつ有効な量の即効性薬剤を含む第1の組成物と、安全かつ有効な量の遅効性薬剤を含む第2の組成物とを塗布する工程を含み、即効性薬剤はカラフトコンブ抽出物であり、また即効性薬剤はカラフトコンブ抽出物が色素過剰スポットの外観を改善するのに十分な第1の期間塗布され、遅効性薬剤はビタミンB3、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、及びそれらの組み合わせから選択され、また遅効性薬剤は色素過剰スポットの外観を改善するのに十分な第2の期間塗布される。
【0011】
本発明は、背景技術にて特定された技術的問題に応答して、他の形態をとり得る。本明細書にてより完全に理解されるように、本発明者らは、驚くべきことに、色素過剰スポットを処置するための即効性活性物質が、必ずしも最高の持続的な改善を提供しないことを発見した。この問題に対処するために、色素過剰スポットを改善するための即効性活性物質及び遅効性活性物質を使用した組成物及び方法を本明細書に記載する。本発明の更なる形態は、以下の詳細な説明にて認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明は、添付図面と併せて以下の説明から、より良く理解されると考えられる。参照する図面は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図1】点滴器の形態を有する例示的なアプリケーター。
【図2】棒状物の形態を有する例示的なアプリケーター。
【図3】細先端チューブの形態を有する例示的なアプリケーター。
【図4】参加者のフルカラー画像。
【図5】図4に示した同一の参加者のメラニン濃度マップ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特に指示のない限り、本明細書で使用される百分率及び比率は、全て総組成物の重量を基準とし、測定は、全て25℃で行われる。全ての数字範囲はより狭い範囲を含み、線引きされている範囲の上限及び下限は置き換え可能であり、明白に線引きされていない更なる範囲を形成する。
【0014】
本発明の組成物は、本明細書に記載の必須構成成分並びに任意成分を含み、それらから本質的になり、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が追加成分を包含してもよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を実質的に変化させない場合に限ることを意味する。
【0015】
組成物に関連して使用される用語「塗布する」又は「塗布」は、本発明の組成物を表皮等のヒト皮膚表面上に塗布し又拡げることを意味する。
【0016】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚科学的に許容可能な」は、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等がなく、ヒトの皮膚組織と接触して使用するのに好適であることを意味する。
【0017】
本明細書で使用するとき、用語「安全かつ有効な量」は、有益な利益を有意に誘導するのに十分な化合物及び組成物の量を意味する。
【0018】
本明細書で使用するとき、用語「炎症後色素沈着過剰」は、一過性炎症事象に応答した、急性から慢性の色素沈着の増大を指す。炎症後色素沈着過剰は特に、暗色皮膚の対象によく見られる。炎症後色素沈着過剰は一般に、一過性炎症事象が消散した後、低下する。一過性炎症事象の例には、挫創病変、内方発育毛、引っ掻き傷、虫刺され、界面活性剤損傷、及び短時間の紫外線曝露が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「色素過剰スポット」は、局部的かつ慢性の又は全身性のメラニン過剰生成により、色素沈着が隣接する皮膚範囲よりも大きい、皮膚の規定範囲を指す。色素過剰スポットは一般に、直径約2mm〜約10mmであるが、より小さい又は大きいスポットの可能性もある。色素過剰スポットは、染み、日焼けによる染み(sun spot)、黒子(solar lentigo)、低メラニン性病変(hypo-melanotic lesion)、そばかす及び肝斑(melasma)スポットのうちの1つ以上を含むことができる。
【0020】
本明細書で使用するとき、用語「染み」は、内因性又は外因性の加齢因子により生じる局部的かつ慢性のメラニン過剰生成により、色素沈着が隣接した皮膚の色素沈着よりも多い皮膚の規定範囲を指す。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「皮膚色調」は、一過性ではなく全身性のメラニン合成による、皮膚におけるメラニンの全体的な外観を指す。皮膚色調は一般に、皮膚の広い範囲にわたり特徴付けられる。範囲は、理想的には100mm2であってもよいが、顔面皮膚の全体、又は任意の顔面皮膚表面等のより広い範囲が想定される。皮膚色調は、画像分析により測定することができる。例えば、全体的な明るさは、L***色空間内のL*座標により測定することができる(International Commission on Illumination)。メラニンマッピング等の発色団マッピングとメラニン濃度とは、全体的な皮膚色調の指標として使用することができる。発色団マップデータから平均メラニンを計算することができる。加えて、皮膚色調均一性はメラニン均一性から測定することができ、前記メラニン均一性も発色団マップデータから計算することができる。好適な発色団マッピング法は、以下の実施例にて論じられる。
【0022】
本明細書で使用するとき、用語「顔面皮膚表面」は、額、眼窩周囲、頬、口周囲、頤及び鼻の皮膚表面のうちの1つ以上を指す。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「即効性」は、約4週間以内に色素過剰スポットの顕著な改善(例えば、大きさ又は暗さ)を提供することを意味する。
【0024】
本明細書で使用するとき、用語「遅効性」は、約4週間〜約8週間後に色素過剰スポットの顕著な改善(例えば、大きさ又は暗さ)を提供することを意味する。
【0025】
I.組成物
本発明は様々な組成物に関し、より詳細には、皮膚表面に局所塗布するための組成物に関する。組成物は、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、化粧水、スティック、ペンシル、スプレー、エアゾル、軟膏、クレンジング洗剤液およびクレンジング棒状固形物(cleansing liquid washes and solid bars)、シャンプー及びヘアコンディショナー、ペースト、フォーム、パウダー、ムース、髭剃りクリーム、ティッシュ、細片(strip)、パッチ、電気駆動パッチ、創傷被覆材及び粘着性包帯、ヒドロゲル、フィルム形成製品、顔面及び皮膚マスク(不溶性シートを有する及び有さない)、ファンデーション、アイライナー及びアイシャドウ等の化粧品等が挙げられるがこれらに限定されない、非常に様々な製品形態に製造されることができる。組成物の形態は、組成物中に存在する場合、選択された皮膚科学的に許容可能な特定のキャリアに従い得る。
【0026】
A.色素過剰スポットのための即効性薬剤(「即効性薬剤」)
本発明の組成物は、色素過剰スポットの改善のための即効性薬剤を含有する。所定の実施形態において、即効性薬剤は、安全かつ有効な量のカラフトコンブ抽出物、即ち褐藻類抽出物を含有することができる。好ましい抽出物は、Marine Biotech,Franceから入手可能なPhlorogine及び/又はPhlorogine BGである。別の好適なカラフトコンブ抽出物は、Ennagram,Franceから製品コードHG 657により入手可能である。組成物は、組成物の0.008重量%〜50重量%、一実施形態では約0.04重量%〜20重量%、別の実施形態では0.2重量%〜10重量%のPhlorogine及び/又はPhlorogine BGを含有してもよい。更なる別の実施形態では、組成物は、全組成物の1重量%〜5重量%、更なる別の実施形態では1重量%〜3重量%のPhlorogine及び/又はPhlorogine BGを含有する。
【0027】
カラフトコンブ抽出物は、例えば水、増粘剤、湿潤剤、溶剤及び可溶化剤等の他の化合物を含有してもよい。例えば、Phlorogine及び/又はPhlorogine BGは、およそ約1%〜約2.5%の乾燥抽出物を含有し、残りの物質は不活性キャリアである。したがって、本発明の組成物は、組成物の約0.00008重量%〜約1.25重量%、一実施形態では約0.0004重量%〜約0.5重量%、別の実施形態では約0.002重量%〜約0.25重量%のカラフトコンブ抽出物を含有してもよい。更なる別の実施形態では、組成物は、全組成物の約0.01重量%〜約0.125重量%、更なる別の実施形態では0.01重量%〜0.075重量%のカラフトコンブ抽出物を含有する。カラフトコンブ抽出物は、例えば欧州特許第1074262B1号に記載されているもの等の、当該技術分野にて公知のプロセスにより調製することができる。
【0028】
所定の実施形態において、即効性薬剤は、安全かつ有効な量のN−アシルアミノ酸化合物を含有することができる。アミノ酸は、当該技術分野において公知のいかなるアミノ酸の1つでもあることができる。N−アシルアミノ酸化合物は、N−アシルアミノ酸、それらの異性体、それらの塩、及びそれらの誘導体を含む。本発明の組成物は、組成物の約0.0001〜約25重量%、約0.001〜約10重量%、約0.01〜約5重量%、又は約0.02〜約2.5重量%のN−アシルアミノ酸を含有することができる。本発明のN−アシルアミノ酸化合物は、式Iの化合物に相当する。
【0029】
【化1】

式中、Rは、水素、アルキル(置換又は非置換、直鎖又は分岐鎖)、アリール、又はアルキルと芳香族基との組み合わせである。当該技術分野で公知のアミノ酸の可能な側鎖のリストは、Stryer,Biochemistry,1981,published by W.H.Freeman and Companyに記載されている。R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;又はそれらの混合物であることができる。
【0030】
N−アシルアミノ酸化合物は、N−アシルフェニルアラニン、N−アシルチロシン、それらの異性体、それらの塩、及びそれらの誘導体からなる群から選択されてもよい。アミノ酸は、D異性体又はL異性体、あるいはそれらの混合物であることができる。N−アシルフェニルアラニンは、下式IIに相当する。
【0031】
【化2】

式中、R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;又はそれらの混合物であることができる。
【0032】
N−アシルチロシンは、下式IIIに相当する。
【0033】
【化3】

式中、R1は、C1〜C30、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状、置換又は非置換のアルキル;置換又は非置換の芳香族基;又はそれらの混合物であることができる。
【0034】
一実施形態において、N−アシルアミノ酸化合物は、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン(N-undecylenoyl-L-phenylalanine)を含有する。この薬剤は、広い分類のN−アシルフェニルアラニン誘導体に属し、そのアシル基はC11モノ不飽和脂肪酸部分、及びアミノ酸はフェニルアラニンのL異性体である。N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、下式IVに相当する。
【0035】
【化4】

【0036】
N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニンは、SEPPICから商標名Sepiwhite(登録商標)で市販されている。
【0037】
所定の実施形態において、即効性薬剤は、安全かつ有効な量のN−アシルアミノ酸化合物と、安全かつ有効な量のカラフトコンブ抽出物とを含有することができる。
【0038】
B.色素過剰スポットのための遅効性薬剤(「遅効性薬剤」)
本発明の組成物は、色素過剰スポットの改善のための遅効性薬剤を含有する。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の約50重量%、40重量%、30重量%、20重量%、10重量%、5重量%又は3重量%迄の遅効性薬剤を含有する。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の少なくとも約0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.5重量%又は1重量%の遅効性薬剤を含有する。好適な範囲は、組成物の約0.1重量%〜約50重量%、約0.2重量%〜約20重量%、又は約1重量%〜約10重量%の追加の遅効性薬剤の好適な範囲を含む、下限及び上限の任意の組み合わせを含む。遅効性薬剤の最適な量は選択される特定の活性物質に依存することにより、本明細書に列挙した量は、規準としてのみ使用されるべきである。
【0039】
好適な遅効性薬剤には、糖アミン、ビタミンB3化合物、(ヘキシルレゾルシノール、アルブチン、デオキシアルブチン等の)1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、ジラウリン酸スクロース、バクコイル(bakuchoil)(4−[(1E,3S)−3−エテニル−3,7−ジメチル−1,6オクタジエニル]フェノール又はモノテルペンフェノール)、ピレノイン(pyrenoine)(Biotech Marine,Franceから入手可能)、キビ(panicum miliaceum)種子抽出物、アーラトン(arlatone)二酸、ケイ皮酸、フェルラ酸、アクロマキシル(achromaxyl)、メチルニコチンアミド、油可溶性甘草抽出物、葉酸、ウンデシレン酸(即ち、ウンデセン酸)、ウンデシレン酸亜鉛、チアミン(ビタミンB1)及びその塩酸塩、L−トリプトファン、ヘキシルレゾルシノール、ヒマワリ(helianthus annuus)(サンフラワー)及びブドウ(vitis vinifera)(グレープ)葉抽出物、カルノシン(即ち、ドラゴシン)、ゲンチシン酸メチル、1,2−ヘキサンジオール及び1,2−オクタンジオール(即ち、Symrise AG,GermanyによりSymdiol 68として販売されている組み合わせ)、イノシトール、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン等のN−アシルアミノ酸化合物、コウジ酸(koijic acid)、ヘキサミジン化合物、サリチル酸、並びにプロピオン酸レチノール及びプロピオン酸レチニルを含むレチノイドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
所定の実施形態において、追加の遅効性薬剤は、ビタミンB3化合物、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、及びそれらの組み合わせから選択される。所定の実施形態において、追加の遅効性薬剤は、ナイアシンアミド、ヘキシルレゾルシノール、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0041】
本明細書で使用するとき、「ビタミンB3化合物」とは、次式を有する化合物を意味する。
【0042】
【化5】

式中、Rは−CONH2(すなわちナイアシンアミド)、−COOH(すなわちニコチン酸)又は−CH2OH(すなわちニコチニルアルコール)、これらの誘導体、及びこれらの任意の塩である。本明細書で使用するとき、「糖アミン」には、その異性体及び互変異性体、並びにその塩(例えばHCl塩)及びその誘導体が含まれる。糖アミンの例としては、グルコサミン、N−アセチルグルコサミン、マンノサミン、N−アセチルマンノサミン、ガラクトサミン、N−アセチルガラクトサミン、これらの異性体(例えば立体異性体)、及びこれらの塩(例えばHCl塩)が挙げられる。本明細書で使用するとき、「ヘキサミジン化合物」とは、次式を有する化合物を意味する:
【0043】
【化6】

式中、R1及びR2は任意であるか、又は有機酸(例えばスルホン酸等)である。一実施形態において、ヘキサミジン化合物はジイセチオン酸ヘキサミジンを含む。
【0044】
C.抗炎症剤
色素沈着過剰は、皮膚炎症から生じ得る。色素沈着過剰、より詳細には炎症後色素沈着過剰を引き起こす一過性炎症事象としては、挫創病変、内方発育毛、引っ掻き傷、虫刺され、界面活性剤損傷及び短時間の紫外線暴露が挙げられるが、これらに限定されない。炎症後色素沈着過剰を含む、炎症誘導による色素沈着過剰は、本発明の組成物中に抗炎症剤を組み込むことにより対処することができる。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の約20重量%、10重量%、5重量%、3重量%又は1重量%迄の抗炎症剤を含有する。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の少なくとも約0.001重量%、0.01重量%、0.1重量%、0.2重量%、0.3重量%、0.5重量%又は1重量%の抗炎症剤を含有する。好適な範囲は、下限と上限との任意の組み合わせを含む。好適な抗炎症剤には、非ステロイド系の抗炎症剤(イブプロフェン、ナプロキセン、フルフェナム酸、エトフェナマート、アスピリン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカム及びフェルビナクが挙げられるが、これらに限定されないNSAIDS)、グリシルリジン酸(グリシルリジン、グリシルリキシン酸(glycyrrhixinic acid)及びグリシルレチン酸グリコシドとしても知られている)及びグリシルリジン酸二カリウム等の塩、グリシルレテン酸(glycyrrhetenic acid)、甘草抽出物、カンデリラ蝋、ビサボロール(例えば、αビサボロール)、マンジスタ(キイチゴ属の植物、特にクルマバアカネ(Rubia cordifolia)から抽出される)、及びガッグル(guggal)(コミフォラ属の植物、特にコミフォラムクリ(Commiphora mukul)から抽出される)、コーラノキ抽出物、カミツレ、ムラサキツメクサ抽出物、及びムチサンゴ(sea whip)抽出物、上記のいずれかの誘導体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
D.日焼け止め活性物質
本発明の組成物は、1つ以上の日焼け止め活性物質(日焼け止め剤)及び/又は紫外線吸収剤を含んでよい。本明細書において、「日焼け止め活性物質」とは、日焼け止め剤と物理的日焼け防止剤との両方を包含する。日焼け止め活性物質及び紫外線吸収剤は有機又は無機であってもよい。好適な日焼け止め活性物質及び紫外線吸収剤の例は、「日焼け止め剤」としてPersonal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Editionに開示されている。特に好適な日焼け止め活性物質は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート(PARSOL(商標)MCXとして市販)、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン(PARSOL(商標)1789として市販)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレエート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシプロピル)アミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチルヘキシルサリチレート、グリセリル−p−アミノベンゾエート、3,3,5−トリ−メチルシクロヘキシルサリチレート、アントラニル酸メチル、p−ジメチル−アミノ安息香酸又はアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾエート、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホンベンゾオキサゾイン酸、オクトクリレン、酸化亜鉛、ベンジリデンカンファー及びその誘導体類、二酸化チタン、並びにこれらの混合物である。
【0046】
一実施形態では、組成物は、その組成物の約1重量%〜約20重量%、あるいは約2重量%〜約10重量%の日焼け止め活性物質及び/又は紫外線吸収剤を含んでよい。正確な量は、選択した日焼け止め活性物質及び/又は紫外線吸収剤並びに所望の太陽光線保護指数(SPF)に応じて変化し、当業者の知識と判断の範囲内である。
【0047】
E.任意構成成分
本発明の組成物は、所与の製品の種類に従来用いられる他の様々な成分を、それらが本発明の効果を容認し難いほど変更しないという条件で含有してもよい。存在する場合、本発明の組成物は、組成物の約0.0001重量%〜約50重量%、約0.001重量%〜約20重量%、又は代替的に約0.01重量%〜約10重量%の任意構成成分を含有することができる。本明細書に列挙した量は規準としてのみ使用されるべきであり、組成物中に使用される任意構成成分の最適な量は、それらの効力がかなり多様であるため、選択される特定の活性物質に依存するであろう。したがって、本発明でにて有用ないくつかの任意構成成分の量は、本明細書に列挙した範囲外であり得る。
【0048】
組成物中に組み込まれる場合、任意の構成成分は、正常な判断の範囲内で、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応等を示すことなく、ヒトの皮膚組織に接触させて用いるのに好適でなければならない。本発明の組成物は、抗挫創活性物質、落屑活性物質、抗セルライト剤、キレート剤、フラボノイド、日焼け活性物質、非ビタミン酸化防止剤及びラジカルスカベンジャー、育毛調整剤、しわ防止活性物質、抗皮膚萎縮防止活性物質、鉱物、フィトステロール及び/又は植物ホルモン、N−アシルアミノ酸化合物、抗菌活性物質又は抗真菌活性物質、並びに他の有用なスキンケア活性物質等の任意構成成分を含有してもよく、これらは、米国特許出願公開第2006/0275237(A1)号及び同第2004/0175347(A1)号に更に詳細に記載されている。
【0049】
Personal Care Product Council’s International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Thirteenth Editionには、皮膚ケア産業において通常使用されている非常に様々な非限定的な美容及び医薬成分が記載され、それらは本発明の組成物中で使用するのに好適な任意構成成分である。これらの成分クラスの例としては、研磨材、吸収剤、芳香剤等の美容構成成分、色素、顔料/着色剤、精油、アンチケーキング剤、消泡剤、結合剤、生物学的添加剤、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学的添加剤、着色剤、美容収斂剤、美容殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外用鎮痛剤、フィルム形成剤又は材料、例えばフィルム形成特性及び組成物の持続性を補助するためのポリマー(例えば、エイコセンコポリマー及びビニルピロリドンコポリマー)、乳白剤、pH調整剤、噴霧剤、還元剤、捕捉剤、並びに増粘剤が挙げられる。
【0050】
F.皮膚科学的に許容可能なキャリア
本発明の組成物は、組成物に、皮膚科学的に許容可能なキャリア(キャリア)も含むことができる。本明細書で使用するとき、「皮膚科学的に許容可能なキャリア」という語句は、該キャリアがケラチン組織への局所塗布に好適であり、良好な審美特性を有し、本発明の活性物質と適合性があり、安全性又は毒性についていかなる問題も起こさないことを意味する。一実施形態において、キャリアは、組成物の約50重量%〜約99重量%、約60重量%〜約98重量%、約70重量%〜約98重量%、又は代替的に約80重量%〜約95重量%のレベルで存在する。
【0051】
キャリアは、多種多様な形態をとることができる。非限定例には、単純な溶液(水性又は油ベースの)、乳濁液、及び固体形態(例えば、ゲル、スティック、流動性固体、無定形材料)が挙げられる。所定の実施形態において、皮膚科学的に許容可能なキャリアは、乳濁液の形態を有する。乳濁液は、一般に、連続水相(例えば水中油型及び水中油中水型)、又は連続油相(例えば油中水型及び油中水中油型)を有するものとして分類され得る。本発明の油相には、シリコーンオイル、非シリコーンオイル(炭化水素油、エステル、エーテル等)、及びこれらの混合物が含まれ得る。
【0052】
水相は、典型的には、水を含む。しかしながら、別の実施形態では、水相は、水溶性保湿剤、コンディショニング剤、抗菌剤、湿潤剤、及び/又は他の水溶性スキンケア活性物質が挙げられるが、これらに限定されない水以外の構成成分(非水構成成分)を含み得る。一実施形態では、組成物の非水構成成分は、グリセリン及び/又は他のポリオール等の湿潤剤を含む。しかしながら、組成物は、実質的に(即ち、1%未満の水)又は完全に無水であってもよいことを理解するべきである。
【0053】
所望の製品形態を得るために、好適なキャリアが選択される。更に、組成物構成成分(例えば、カラフトコンブ抽出物、日焼け止め活性物質、追加の構成要素)の可溶性又は分散性は、キャリアの形態及び組成に影響し得る。一実施形態では、水中油又は油中水型の乳濁液が好ましい。
【0054】
乳濁液は、更に乳化剤を含有してもよい。組成物は、キャリアを十分乳状にする任意の好適な百分率の乳化剤を含有してもよい。好適な重量範囲は、組成物の重量に基づいて、約0.1%〜約10%又は約0.2%〜約5%の乳化剤を含む。乳化剤は、非イオン性、アニオン性又はカチオン性であってよい。好適な乳化剤は、例えば、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheonのDetergents and Emulsifiers,North American Edition、317〜324頁(1986)に開示されている。好適な乳濁液は、所望の製品形態に応じて、幅広い粘度を有し得る。
【0055】
キャリアは、当業者に周知であるように増粘剤を更に含有して、好適な粘度及び流動学的特性を有する組成物を提供してもよい。
【0056】
II.例示的な組成物
以下は、本発明の組成物の非限定的な実施例である。これらの実施例は単に説明のために示すものであり、本発明を限定するものと解釈すべきでなく、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多くの改変が可能であり、当業者にはこれらのことが理解されよう。実施例においては、特に指定のない限り、全ての濃度が重量%として列挙されており、希釈剤、充填剤等の微量物質は除外し得る。そのため、列挙した配合は、列挙した成分及びこのような成分に関連するいかなる微量物質をも含む。当業者にとって明白なように、このような微量物質の選択は、本明細書に記載したように本発明を作るために選択した特定成分の物理的及び化学的特質によって変わることになる。
【0057】
実施例は、全般的及び局部的な塗布、並びに1つ以上の色素過剰スポットの処置に使用されてもよい。
【0058】
【表1】

*1−Biotech Marine,Franceから入手可能。
*2−SEPPIC,Franceから入手可能なSepiwhite。
*3−Cognis GmbHから入手可能なEmulgade PL 68/50。
*4−SEPPIC,Franceから入手可能なSepigel 305。
*5−Dow Corning,Inc.,Midland,MIから入手可能なDow Corning DC1503。
【0059】
本発明の組成物は、一般に、局所塗布組成物を製造する技術分野において知られているような従来の方法によって調製される。このような方法は、通常、加熱、冷却、真空の塗布等を用いて又は用いずに、成分を1つ以上の工程で混合して比較的均一な状態にするものである。一般に、乳濁液は、最初に水相物質を脂肪相物質とは別個に混合し、その後2相を適宜組み合わせて、所望の連続層を得ることにより調製される。組成物は、好ましくは、安定性(物理的安定性、化学的安定性、光安定性)、及び/又は活性物質の送達を最適化するように調製される。この最適化には、適切なpH(例えば、7未満)、活性剤と錯体になり、ひいては安定性又は分配にマイナスの影響を与え得る物質の排除(例えば、汚染鉄の排除)、錯体形成を防止する手法(例えば、適切な分散剤又は二重区画包装)の使用、適切な光安定性の手法(例えば、日焼け止め剤/日焼け防止剤の組み込み、不透明包装の使用)の使用等が含まれてもよい。
【0060】
III.処置方法
処置、塗布、調節又は改善の様々な方法は、前述した組成物を使用することができる。一実施形態では、本方法は、組成物により改善するために色素過剰スポットを識別する工程を含む。色素過剰スポットは、使用者、又は例えば皮膚科医、美容師、若しくは他の介護者等の第三者により識別されてもよい。識別は、大きさ及び/又は色に基づいて、処置を必要とする皮膚の色素過剰スポットを視覚的に検査することにより行われてもよい。識別はまた、SIAscope V(Astron Clinica,Ltd.,UKから入手可能)又はVISIA(登録商標)Complexion Analysisシステム(Canfield Scientific,Inc.,Fairfield,NJから入手可能)等の市販の画像化装置により行われてもよい。両方の装置は、皮膚の画像を収集し、色素過剰スポットを識別することが可能である。ある場合に、本方法は、組成物により処置するために複数の色素過剰スポットを識別する工程を含む。以下の工程の全ては、単一の色素過剰スポット及び複数の色素過剰スポットの両方に適切である。
【0061】
色素過剰スポットの識別は、身体の任意の皮膚表面上で行うことができる。最も問題の皮膚表面は、顔面皮膚表面、手及び腕の皮膚表面、足及び脚の皮膚表面、並びに首及び胸の皮膚表面(例えば、デコルタージュ)等の、一般的に衣服で覆われない皮膚表面である傾向がある。特に、顔面皮膚表面の色素過剰スポットの識別は、額、口周囲、頤、眼窩周囲、鼻及び/又は頬の皮膚表面を含む。
【0062】
本方法は、組成物を色素過剰スポットに塗布する工程を含んでもよい。組成物を色素過剰スポットに塗布する多数の治療計画が存在する。組成物は、処置期間中、少なくとも1日1回、より好ましくは1日2回塗布されてもよい。1日2回塗布される場合、第1及び第2の塗布は、少なくとも1〜12時間の間隔を空ける。一般に、組成物は、朝及び/又は一般的には就寝前である夜に塗布され得る。
【0063】
処置期間は、理想的には、色素過剰スポットの改善を提供するのに十分な時間である。改善は、色素過剰スポットの大きさの検知可能性の低下、色素過剰スポットの色の薄化(例えば、色の明るさの上昇)、又は色素過剰スポットのメラニンの減少であってもよい。処置期間は、少なくとも約1週間であり得る。処置期間は、少なくとも約4週間又は約8週間継続する場合がある。所定の実施形態では、処置期間は、数ヶ月(即ち3〜12ヶ月)又は数年間にわたり延長するであろう。一実施形態において、組成物は少なくとも約4週間又は少なくとも約8週間の処置期間中、少なくとも1日1回色素過剰スポットに塗布される。一実施形態において、組成物は少なくとも約4週間又は少なくとも約8週間の処置期間中、1日2回色素過剰スポットに塗布される。
【0064】
組成物を色素過剰スポットに塗布する工程は、局部的塗布により行われてもよい。組成物の塗布に関連して、用語「局部的な」、「局部」又は「局部的に」は、組成物が標的範囲(色素過剰スポット等)に送達される一方、処置を必要としない皮膚表面への送達を最小限にすることを意味する。組成物は色素過剰スポット内に塗布され、軽くマッサージされてもよい。局部的塗布により、適度の量の組成物が色素過剰スポットに隣接した範囲に塗布される(即ち、組成物は幾分かの拡がりを有することなく、色素過剰スポットの境界線内に塗布され又は残留する見込みはない)ことが理解される。組成物又は皮膚科学的に許容可能なキャリアの形態は、局部的塗布を容易にするように選択されるべきである。本発明の所定の実施形態は、組成物を色素過剰スポットに局部的に塗布することを想定しているが、本発明の組成物は1つ以上の顔面皮膚表面に対してより全般的に又は広く塗布されて、顔面皮膚領域内の色素過剰スポットの外観を低減できることを認識するであろう。
【0065】
いくつかの実施形態では、組成物は局部的及び全般的な塗布に適した様々なアプリケーターにより送達されてもよい。いくつかのアプリケーターの例は、図1〜3に示されている。図1にて、好適なアプリケーター10は、組成物を収容し得るボトル14と共に示されている点滴器12であってもよい。図2は、組成物を収容し得るハウジング24を有する棒状物22としてのアプリケーター20を示す。棒状物22は、取っ手部26、柄部27及びアプリケーターヘッド28を備えてもよい。アプリケーターヘッド28は、組成物を解放可能に保持し得る繊維、泡状体、綿又は任意の他の好適な材料を含んでもよい。図3は、本体34と、細い分配先端部36とを有する細先端チューブ32としてのアプリケーター30を示す。組成物は本体34内に貯蔵され、尖った先端部36を通して分配されてもよい。第1の組成物を色素過剰スポットに局部的に塗布できる、綿棒等の他のアプリケーターも使用することができる。他の好適なアプリケーターには、Shya Hsin Plastic Works,Inc.,Taiwanから入手可能なSH−0127ペンアプリケーターと、SwabPlus,Inc.,Chinaから入手可能なXpress Tip又は液体充填スワブ(liquid filled swab)のいずれかとが挙げられる。アプリケーターは、およそ約2mm〜約10mmの直径を有する色素過剰スポットに組成物を容易に塗布し、また、約1〜約50uL/cm2又は約1〜約5uL/cm2の量の組成物を与えるよう構成されていてもよい。別の実施形態では、組成物は1つ以上の色素過剰スポットに塗布され、より一般的には、1つ以上の顔面皮膚表面に同時に(即ち、30分間未満、又は典型的には5分間未満にわたり)塗布される。
【0066】
本明細書に記載するいくつかの方法は、本発明の組成物をアプリケーターで塗布することを想定しているが、アプリケーターは必要なく、本発明の組成物は直接、又は人の指を使用して、又は他の従来の様式でも塗布できることが認識されるであろう。
【0067】
好適な方法は、上記の工程のうちの任意の1つ以上を含む。上記の全工程が、単一の色素過剰スポット及び複数の色素過剰スポットの両方への塗布、処置、調節及び/又は改善に適切である。同様に、以下の例示的な方法は、単一の色素過剰スポット及び複数の色素過剰スポットの両方に適切である。
【0068】
色素過剰スポットの外観を改善する1つの好適な方法は、即効性薬剤及び遅効性薬剤を含む組成物を皮膚表面上の色素過剰スポットに塗布する工程を含み、組成物は、即効性薬剤及び遅効性薬剤の両方が色素過剰スポットの外観を改善するのに十分な期間、少なくとも毎日塗布される。色素過剰スポットの外観を改善する別の好適な方法は、皮膚表面上の色素過剰スポットを識別する工程と、即効性薬剤及び遅効性薬剤を含む組成物を皮膚表面上の色素過剰スポットに塗布する工程とを含み、組成物は、即効性薬剤及び遅効性薬剤の両方が色素過剰スポットの外観を改善するのに十分な期間、少なくとも毎日塗布される。
【0069】
色素過剰スポットの外観を改善する別の方法は、色素過剰スポットに、安全かつ有効な量の即効性薬剤を含む第1の組成物と、安全かつ有効な量の遅効性薬剤を含む第2の組成物とを塗布する工程を含み、即効性薬剤はカラフトコンブ抽出物であり、また即効性薬剤はカラフトコンブ抽出物が色素過剰スポットの外観を改善するのに十分な第1の期間塗布され、遅効性薬剤は色素過剰スポットの外観を改善するのに十分な第2の期間塗布される。
【0070】
IV.試験方法
以下の方法は、本発明の様々な実施形態の所定の特徴及び利点を説明するために提供され、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0071】
A.メラニン合成アッセイ
B16−F1マウス黒色腫細胞ラインをアッセイに使用する。B16−F1細胞は、American Tissue Culture Collection,Virginia,USAから獲得する。アッセイに使用する細胞培養液は、500mLのDulbeccoの修正イーグル培地(DMEM)、50mLのウシ胎児血清(FBS)、及び5mLのペニシリン−ストレプトマイシン液を含有する。この培地中で培養され、90%を越えるコンフルエンシーに増殖したB16−F1細胞は、メラニンを合成する。任意の理論により束縛されるものではないが、メラニン合成は培養液及び/又は高いコンフルエンシーへの増殖により誘導されるストレスにより刺激されると仮定される。DMEM及びFBSはAmerican Tissue Culture Collectionから獲得でき、ペニシリン−ストレプトマイシン液はInvitrogen,Inc.,California,USAから獲得できる。このアッセイで使用する機器は、Therma Scientific,Massachusets,USAによるForma Series Model 3110等のCO2インキュベーター、Hauser Scientific,Pennsylvania,USAによるBright Lineモデル等の血球計、及びMolecular Devices,California,USAからのSpectraMax250等の紫外線可視スペクトルプレートリーダーを含む。アッセイ工程は、以下を含む。
【0072】
1.第0日−細胞増殖。細胞培養液を37℃に暖め、29mLをT−150フラスコ内に配置する。T−150フラスコにおよそ1×106のB16−F1継代1マウス細胞を加え、37℃、5% CO2、90%相対湿度で、約80%コンフルエンシー迄、3日間インキュベートする。
2.第3日−96ウェルプレートの開始。第3日にT−150フラスコからの細胞をトリプシン処理し、血球計数器を使用して細胞濃度を測定する。96ウェルプレートを細胞培養液100uL当たり2,500細胞で開始する。プレートを37℃、5% CO2、90%相対湿度で、少なくとも20%〜40%コンフルエント迄、2日間インキュベートする。
3.第5日−プレートから細胞培養液を除去し、新鮮な培養液(100uL/ウェル)で置き換える。水で希釈した1uLのPhlorogineを加える。複数の希釈比を試験して用量応答曲線を生成してもよく、好ましくは3つのウェルを各希釈比で処理する。対照は、細胞培養液、B16−F1細胞及び溶媒を有するウェル(対照#1);細胞培養液及び溶媒を有するウェル(対照#2);並びに場合により、[試験化合物]の背景色の調整が必要な場合、細胞培養液、溶媒及び[試験化合物]を有するウェル(対照#3)を含む。
4.第7日−メラニン生成の測定。細胞は約80%を越えるコンフルエンシーを有する必要がある。そうでない場合、このデータ点を使用しない。各ウェルに100uLの0.75%水酸化ナトリウム溶液を加える。UV−Visプレートリーダーを使用して、96ウェルプレートを410nmにて読み取り、[試験化合物]で処理されたウェルと、処理されなかった対照ウェルとの間で、生成されたメラニンの量を光学的に測定する。メラニンが生成されたウェルは、茶色がかって見える。メラニンが殆ど生成されなかったウェルは、透明から薄紫色に見える。メラニン合成阻害の百分率は、以下の式により計算する。
【0073】
【数1】

式中、OD410は、紫外線可視スペクトルプレートリーダーで測定された410nmでの光学密度である。
【0074】
対照#3が使用される際、メラニン合成阻害の百分率の式は、
【0075】
【数2】

【0076】
一般に上記に概略したアッセイを用いて、下記の表1に示すように、対照細胞と比較して、Phlorogine処理B16−F1細胞におけるメラニン合成が阻害された。
【0077】
【表2】

【0078】
B.色素過剰スポットの縮小及びメラニン均一性に関するインビボでの試験
270の被験者を使用して、ラウンドロビン、ビヒクル調整、スプリットフェース(split face)設計を用いて、1週間の標準化期間を含む9週間のインビボでの試験を行った。270の被験者を、以下を含む包含/除外基準に従ってスクリーニングした。
【0079】
包含
1.顔面の両側の頬の周辺及び/又は眼窩周囲の範囲に、色素過剰スポットを有する。
2.顔面の各側の頬の範囲内に、直径8〜10mmの少なくとも1つの色素過剰スポット、直径4〜6mmの4つのスポット、又は直径2〜3mmの10個のスポット(日焼けによる染み、そばかす、又は肝斑スポット)、又は等価なスポット範囲を有する。
3.供給されたUVローション、及び、例えば帽子等の物理的UV遮断を用いることにより太陽暴露を控えて、顔面日焼け、黄褐色化、又は風焼けを避けることに協力的である。
【0080】
排除
1.アトピー、湿疹、乾癬、又は他の慢性皮膚疾患を有すると診断されている。
2.顔面皮膚疾患(例えば、5つを越える面皰、紅色粃糠疹(red scaling)皮膚の範囲、表面細血管(superficial thin blood vessel)等)の明かな徴候を有する。
3.顔面上に、変色又は瘢痕の有意な範囲を有する。
4.顔面上に、3つを越える突出した黒子(mole)(>3mm)を有する。
【0081】
270人の被験者が試験のために採用された。およそ60人の被験者が、試験過程中に脱落した。
【0082】
処置計画−計画は、1週間のウォッシュアウト期間により開始した。毎朝、被験者は顔面を好適な洗浄剤(例えば、Olay Purifying Mud Lathering Cleanser、The Procter & Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能)で洗浄し、タオルで穏やかに乾燥し、適切な顔面側に保湿剤原料(stock moisturizer)(例えば、3%グリセリン、パンテノールなし、0.3% EDTA二ナトリウムを含有する表2に記載したビヒクル)を塗布し、5分間待機した後、紫外線遮断ローション(例えば、Olay Natural White UV Moisturizing Lotion SPF 15、The Procter & amble Company,Cincinnati,OHから入手可能)を塗布する。毎晩、被験者は顔面を好適な洗浄剤(例えば、Olay Purifying Mud Lathering Cleanser、The Procter & Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能)で洗浄し、タオルで穏やかに乾燥し、保湿剤原料を塗布する。
【0083】
各被験者は、顔面の左又は右側のいずれかに、2つのコード化試験製剤の1日2回の塗布を受ける。毎朝、被験者は顔面を好適な洗浄剤(例えば、Olay Purifying Mud Lathering Cleanser、The Procter & Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能)で洗浄し、タオルで穏やかに乾燥し、適切な顔面側に試験製剤を塗布し、5分間待機した後、紫外線遮断ローション(例えば、Olay Natural White UV Moisturizing Lotion SPF 15、The Procter & Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能)を塗布する。毎晩、被験者は顔面を好適な洗浄剤(例えば、Olay Purifying Mud Lathering Cleanser、The Procter & Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能)で洗浄し、タオルで穏やかに乾燥し、適切な顔面側に試験製剤を塗布する。参加者は、顔面の各側に、0.5gの適切な試験製剤を塗布しなければならない。試験製剤は、指により穏やかな圧力を用いて円形動作で塗布される必要がある。試験製剤は、ビヒクル対照、ビヒクル+1% Phlorogine、及びビヒクル+5%ビタミンB3を含有していた。これらの試験製剤を表2に示す。
【0084】
【表3】

*A−SEPPIC,Franceから入手可能なSepigel 305。
*B−Dow Corning,Midland,MIから入手可能なDow Corning 1503 Fluid。
*C−Cognis GmbH,Germanyから入手可能なEmulglade PL 68/50。
*D−Momentive Performance Materials,Albany,NYから入手可能なTospearl 2000。
【0085】
顔面処置部位の画像は、ベースライン(第0週)と、処置から4週後及び8週後に捕捉し、皮膚色と、スポットの大きさ及び色との変化に関して分析する。画像収集前に、参加者の顔面を、上記に引用した洗浄剤で洗浄し、乾燥させる(およそ20分間)。参加者の顔面の右側及び左側の画像を収集する。画像は、顔面画像化に好適なレンズ(例えば60mm Nikorレンズ)を装備したデジタルカメラ(例えば、Fuji F2 ProデジタルSLR)を使用して収集する。画像を好適なカメラ分解能にて、RAWフォーマット等の好適なファイルフォーマットで保存する。フラッシュ源により照明が提供される(例えば、約5600Kの色温度を有する1000Wストロボ)。カメラ及び照明に偏光フィルターが装備されて、鏡面反射を低減する。各画像内に捕捉された固定カラーチャートにより、コンピューター処理による色較正と試験画像の修正とが可能となる。
【0086】
画像ファイルをアルゴリズムにより加工して、ユーメラニンのグレースケール濃度マップを得る。アルゴリズムは、RAW画像のいずれの画素も分析し、存在するユーメラニンの濃度を計算する。好適なアルゴリズムは、各画素に関する赤色、緑色及び青色値をデコンパイルすることを含む。各画素に関するRGB値を加工し、公知の基準と比較してメラニン濃度を得る。各画素に関するメラニン濃度に、0〜255のグレースケール値を割り当てる。画素アレイの再結合により、ユーメラニン(及び/又はオキシヘモグロビン等の他の発色団)のパラメトリックなグレースケール濃度マップが生成される。図4は、収集した参加者のフルカラー画像を示す。図5は、同一の参加者のメラニン濃度マップを示す。
【0087】
画像収集と、RGBアルゴリズムを介したメラニンマッピングとの好適な方法は、Cottonらに付与された米国特許出願公開第2008/0075340A1号(2008年3月27日公開)及びPreeceらに付与された同第2007/0161910A1号(2007年7月12日公開)に記載されている。発色団マッピングの記載は、Matts,P.J.ら、「The Distribution of Melanin in Skin Determined In Vivo」,British Journal of Dermatology,156(4):620〜628,April 2007にも見出すことができる。
【0088】
Optimas(商標)6.5(Media Cybernetics,Inc.,Bethesda,MDから入手可能)等の追加の画像分析ソフトウェアを使用して、RAW画像から、又は得られたメラニンマップから関心対象の領域を選択してもよい。関心対象領域が選択されて、画像が、試験製剤の塗布の標的である顔面範囲、又は特定の関心対象の顔面範囲に狭められる。例えば、本試験では、顔面皮膚表面の好適な関心対象領域は、頬及び眼窩周囲領域(即ち、片側が髪の生え際からおよそ1cmに境界を付けられ;反対側が鼻梁と平行なラインにより上縁に沿って、次いで下縁上の鼻唇溝に沿って境界を付けられ;上部が、こめかみを横切る上眼瞼に平行なラインに沿って、次いでおよそ眼窩骨の下縁に沿って境界を付けられ、下部が、下唇に平行なラインに沿って境界を付けられる範囲)を含む。メラニンマップの関心対象領域は、メラニンスポット範囲部分とメラニン均一性とを計算するために更に分析される。
【0089】
市販されている他の画像収集及びメラニンマッピングシステムは、SIAscope Vを使用する接触SIAscopy(Astron Clinica,Ltd.,UKから入手可能)、又は従来のデジタル画像化機器を使用する非接触SIAscopy(Astron Clinica,Ltd.,UKから入手可能)である。市販されている他の画像収集及びメラニンマッピングシステムは、RBX(商標)技術を使用するVISIA(登録商標)Complexion Analysisシステム(Canfield Scientific,Inc.,Fairfield,NJから入手可能)である。RBX(商標)技術はRGB色からの画像をRBX色−空間に変換し、赤色及び茶色のチャネルはヘモグロビン及びメラニン分布を表す。VISIA(登録商標)/RBX(商標)は、スポット範囲の検出が可能である。http://www.canfieldsci.com/FileLibrary/RBX%20tech%20overview−LoRz1.pdfにて入手可能なRBX(商標)Technology Overview White Paper、又はCanfield Imaging Systems,253 Passaic Avenue,Fairfield,New Jersey 07004−2524を参照されたい。
【0090】
メラニンマップからのデータを使用して、メラニンスポット(Sport)範囲部分の百分率及びメラニン均一性を計算する。メラニンスポット範囲部分の百分率(SAF)を、皮膚測定範囲に対するメラニンスポットが占める範囲(即ち、関心対象の領域)の比率として、100を乗じて計算する。この百分率は、色素過剰範囲の大きさの変化の指標として使用することができる。低い百分率は、より小さい及び/又はより少数のメラニンスポットを反映している。
【0091】
メラニン均一性は、皮膚測定範囲(即ち、関心対象の領域)にわたる個々の画素のグレースケール値の平均の標準偏差として計算する。より小さい値は、より均一なメラニン色素沈着を反映している。メラニンスポット範囲部分とメラニン均一性との更なる記載は、Kinball,A.B.ら、「Reduction in the appearance of facial hyperpigmentation after use of moisturizers with a combination of topical niacinamide and N−acetyl glucosamine:results of a randomized,double−blind,vehicle−controlled study」,British Journal of Dermatology,162(2):435〜441,February 2010にも見出すことができる。
【0092】
Phlorogineは第4週後に最高の成績を収め、対照及び他の試験組成物よりも良好に、色素過剰スポットを有意に(p<=0.10)低減した。第8週後、ビタミンB3組成物が最高の成績を納め、ビヒクルよりも良好に、色素過剰スポットを有意に(p<=0.10)低減した。加えて、ヘキシルレゾルシノールはPhlorogineと同様、ビヒクルよりも良好に、色素過剰スポットを有意に(p<=0.10)低減した。
【0093】
表3に画像分析データを纏め、「SAF」は、平均スポット範囲部分であり、「Δ SAF」は、スポット範囲部分における調整された共通ベースライン(第0週)からの変化の平均であり、「Δ SAF試験レッグ−Δ SAFビヒクル」は、試験製剤のスポット範囲部分における変化の平均から、ビヒクルのスポット範囲部分における変化の平均を減算した差異である。
【0094】
【表4】

*1−ボールド体において統計的に有意な、Δ SAF試験レッグ−Δ SAFビヒクル値。
*2−調整された共通ベースライン
【0095】
ビヒクル及び試験レッグに関するSAFは、ベースライン(第0週)から第8週にかけて増大したことが認められる。この試験はBeijing,Chinaにて、1月21日前後から3月21日前後にかけて行われた。この試験期間中、昼の長さがほぼ2.5時間延長した。試験期間中、季節的な皮膚暗色化の影響を低減するために紫外線製品を使用したが、ベースラインからの第8週のSAF増大は、季節的な皮膚暗色化に起因すると思われる。季節的な皮膚暗色化は、太陽光及び紫外線暴露の増大により季節的に生じる天然の暗色化(即ち日焼け)である。
【0096】
ビヒクル(表2に記載したものと類似の)、ビヒクル中5%ナイアシンアミド、及びビヒクル中1% Sepiwhite(N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン)を使用して、上述したインビボでの試験と類似した別個の試験を行った。表4に画像分析データを纏め、「SAF」は、平均スポット範囲部分であり、「Δ SAF」は、スポット範囲部分における調整された共通ベースライン(第0週)からの変化の平均であり、「Δ SAF試験レッグ−Δ SAFビヒクル」は、試験製剤のスポット範囲部分における変化の平均から、ビヒクルのスポット範囲部分における変化の平均を減算した差異である。
【0097】
【表5】

*1−ボールド体において統計的に有意(Δ SAF試験レッグ−Δ SAFビヒクル)な値。
*2−調整された共通ベースライン
【0098】
Sepiwhiteは第4週後に最高の成績を収め、対照及び他の試験組成物よりも良好に、色素過剰スポットを有意に(p<=0.05)低減した。第8週後、Sepiwhite組成物が最高の成績を納め、ビヒクルよりも良好に、色素過剰スポットを有意に(p<=0.05)低減した。同様に、ビタミンB3はビヒクルよりも良好に、色素過剰スポットを有意に(p<=0.05)低減した。
【0099】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することを意図している。
【0100】
相互参照される又は関連するあらゆる特許又は出願を含め、本明細書において引用される全ての文献は、明示的に除外ないしは制限されない限り、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、それが本明細書において開示され請求されるいずれかの発明に関する先行技術であること、又はそれが単独で若しくは他のいかなる参照とのいかなる組み合わせにおいても、このような発明を教示する、提案する、又は開示することを認めるものではない。更に、本書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考として組み込まれた文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本書においてその用語に与えられた定義又は意味が適用されるものとする。
【0101】
本発明の特定の実施形態が例示され、記載されてきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の「特許請求の範囲」で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚表面上の過剰色素スポットに組成物を塗布する工程を含む、前記過剰色素スポットの外観の改善方法であって、前記組成物が、
a.カラフトコンブ(Laminaria Saccharina)抽出物、好ましくは前記組成物の0.00008重量%〜1.25重量%のカラフトコンブ抽出物を含む、色素過剰スポットのための安全かつ有効な量の即効性薬剤と、
b.ビタミンB3、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、及びそれらの組み合わせから選択される、色素過剰スポットのための安全かつ有効な量の遅効性薬剤と、を含み、
前記組成物は、前記即効性薬剤及び遅効性薬剤の両方が前記過剰色素スポットの前記外観を改善するのに十分な期間、少なくとも毎日塗布される、方法。
【請求項2】
前記皮膚表面が顔面皮膚表面である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、少なくとも1日1回又は2回、少なくとも8週間塗布される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記改善が、前記色素過剰スポットの大きさの低下、前記色素過剰スポットの明るさの上昇、又は前記色素過剰スポットのメラニンにおける低下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の組成物が、日焼け止め活性物質、抗炎症剤、皮膚色調剤、又はそれらの組み合わせを更に含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の組成物が、アプリケーター、好ましくは前記第1の組成物を約1〜約50uL/cm2投与するアプリケーターによって前記色素過剰スポットに局部的に塗布される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
皮膚表面上の色素過剰スポットを識別する工程、好ましくは色素過剰スポットを画像化装置によって識別する工程を更に含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記即効性薬剤が、N−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン(N-undecylenoyl-L-phenylalanine)を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
色素沈着スポットの外観の改善方法であって、顔面皮膚表面上の色素沈着スポットに、
a.(i)カラフトコンブ(Laminaria Saccharina)抽出物と、(ii)カラフトコンブ抽出物及びN−ウンデシレノイル−L−フェニルアラニン(N-undecylenoyl-L-phenylalanine)と、から選択され、前記色素過剰スポットの前記外観を改善するのに十分な第1の期間塗布される、安全かつ有効な量の即効性薬剤を含む第1の組成物と、
b.ビタミンB3、1,3−ジヒドロキシ−4−アルキルベンゼン、及びそれらの組み合わせから選択され、前記色素過剰スポットの前記外観を改善するのに十分な第2の期間塗布される、安全かつ有効な量の遅効性薬剤を含む第2の組成物と、を塗布する工程を含む、方法。
【請求項10】
前記第1の組成物中の前記カラフトコンブ(Laminaria Saccharina)抽出物の濃度が、前記組成物の約0.00008重量%〜約1.25重量%である、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−519734(P2012−519734A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−525585(P2012−525585)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/042846
【国際公開番号】WO2012/011905
【国際公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】