説明

複数の糖からなる複合体結晶糖質を含有する糖ペーストその製造方法およびその用途

【課題】新規な複数の糖からなる複合体結晶糖質、その製造方法およびその用途を提供する。
【解決手段】
D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合体結晶糖質とD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の均一混合物よりなる糖ペースト、その製造方法、および飲食物、化粧品または医薬品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複数の糖からなる複合体結晶糖質を含有する糖ペースト、その製造方法およびその用途に関し、さらに詳細には、主成分としてD−グルコースおよびD−フラクトースの複合結晶体とD−グルコースおよびD−フラクトースの液糖からなる新規な糖ペースト、その製造方法およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、実用化されている糖の混合物には、D−グルコースとD−フラクトースの「ぶどう糖果糖液糖」がある。ぶどう糖果糖液糖はグルコースイソメラーゼを用いてD−グルコースの約半分をD−フラクトースに変換し、砂糖の甘味度に近づいた代替糖として工業的に生産されており、コーヒーや紅茶のガムシロップとして商品化されている。異性化糖という呼称は普通、D−グルコースとD−フラクトースの混合糖液のことを指す。これは、現在D−グルコースを原料としたグルコースイソメラーゼによる異性化反応でしか工業的に実用化されていないためである。
【0003】
デンプンから異性化糖を生成するには、3回の酵素反応と精製、濃縮が必要であり、次の工程からなるのが一般的である。
1.液化工程:デンプンに水と加水分解酵素であるα−アミラーゼを加え、95℃程度に加熱する。これにより高分子のデンプンはある程度小さく分解する。
2.糖化工程:液化終了後に55℃程度にまで冷却し、グルコアミラーゼを加える。この反応で、糖はさらに細かく分解されてぶどう糖になる。
3.異性化工程:60℃で異性化酵素のグルコースイソメラーゼを加え、約半分のぶどう糖を果糖に変化させる。異性化糖の名称はこの反応(ぶどう糖が果糖に異性化する反応)に由来している。
4.精製・濃縮工程:異性化後、液糖をろ過機やイオン交換装置で精製し、水分を蒸発させて濃縮することにより、果糖分42%のぶどう糖果糖液糖が得られる。
さらに、クロマトグラフィーによって果糖純度を高めることができ、この技術で果糖分55%の果糖ぶどう糖液糖や果糖分95%の高果糖液糖などを作ることができる。
【0004】
こうして製造された異性化糖製品の規格は日本農林規格(JAS)で以下のように制定されている。
1.ぶどう糖果糖液糖:果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が50%未満のもの。
2.果糖ぶどう糖液糖:果糖含有率が50%以上90%未満のもの。
3.高果糖液糖:果糖含有率が90%以上のもの。
4.砂糖混合異性化液糖:上記の液糖に10%以上の砂糖を加えたもの(その液糖がぶどう糖果糖液糖なら砂糖混合ぶどう糖果糖液糖)。
【0005】
D−グルコースとD−フラクトースの混合糖液である異性化糖は結晶化が難しいことから、結晶としてではなく液体の状態で利用されている。これは一般に複数の糖が存在すると結晶状態にすることが困難であり、D−グルコースとD−フラクトースの混在している異性化糖は結晶状態にすることができていない。そのため結晶化させずにそのまま利用しているのである。
【0006】
一方、D−フラクトースやD−グルコースの結晶を単独で製造することは次の文献に記載されているようにいくつか提案されている。
D−フラクトースの結晶化技術に関しては、例えば、フラクトースとグルコースを含む水溶性シロップを59〜61℃のから52〜58℃まで冷却して、約40〜80ミクロンのサイズを有する純粋フラクトース種結晶を重量が5〜9%となる比率で、2〜4時間かけて前記シロップへ添加し、これを0.7〜0.9℃/時間の降温速度で約54〜48℃まで制御徐冷し、無水エタノールを6〜10時間かけて、前記シロップ中の水に対するアルコールの重量比率が1.0〜2.0となるまで添加し、0.4〜0.8℃/時間の降温速度で、約54℃〜48℃から約30〜25℃まで制御徐冷を施し、さらに1時間かけて温度を安定化させる結晶化工程を有する結晶質フラクトースの製造方法(特許文献1参照)が提案されている。
【0007】
また、熱い濃縮フラクトース溶液にフラクトース結晶を播種した後にその溶液を固体化することによる結晶フラクトースの製造方法(特許文献2参照)、デキストロースの一部がフラクトースに異性化され、得られたデキストロース/フラクトース流は高フラクトース流を生産するため分別化され、高フラクトース流中におけるフラクトースの一部は晶出され、結晶化後に残留する母液は液相甘味料を生産するためデキストロース含有流とブレンドされることよりなる無水結晶フラクトースとフラクトース及びデキストロースからなるシロップとの同時生産プロセス(特許文献3参照)などが提案されている。
また、グルコース単独での結晶化に関する技術としては、例えば、(1)加水分解(液化・糖化)工程、(2)精製・濃縮工程、(3)イオン交換クロマト分画工程、(4)定温結晶化工程の各工程を経て澱粉から調製したマスキットを分蜜せずに乾燥・造粒して成形の含水結晶ぶどう糖粒を得る含水結晶ぶどう糖粒の製造方法が提案されている(特許文献4参照)。
【0008】
一方、フラクトースと他の単糖類を含有する糖の混合物を結晶化した例としては、D−プシコースとD−フラクトースを含有する複合体結晶糖質をD−プシコースとD−フラクトースを含有する水または水エタノール混合溶液から製造する方法(特許文献5参照)が例外的に見出されるにすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−537326号公報
【特許文献2】特開2002−520030号公報
【特許文献3】特開平6−277099号公報
【特許文献4】特許公開平8−242900号公報
【特許文献5】特開2001−11090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
これまで、でんぷん工業において最大の甘味料として用いられてきた異性化糖は液状であることで主に飲料用の甘味料として用いられてきた。一般に物質は純粋な単一物は結晶化し易く、不純物を含むものは結晶化し難い。特に異性化糖のように、D−グルコースとD−フラクトースが同量程度に混在している場合は、これを固体状態にすることは不可能であると一般には考えられていた。糖の混合物が固体状態(結晶)になる例としては、D−フラクトースとD−プシコースの複合結晶(上記特許文献5)が例外的に提案されているに過ぎない。
【0011】
特にD−フラクトースは単独での結晶化速度が遅いことが知られ、結晶化するには複雑な工程を必要としており、D−グルコースが多量に混在する異性化糖においては固体状態にならないのが常識とされる。しかも、ぶどう糖果糖液糖としては、液体状態であることを大きな特徴として広く甘味料として用いられてきた。砂糖の甘味度(甘みの強さ)を100とすると、ぶどう糖の甘味度は65〜80、果糖120〜170であり、甘味度の強さは果糖>砂糖>ぶどう糖の順である。そのため、果糖分42%を含むぶどう糖果糖液糖の甘味度は70〜90、果糖分55%の果糖ぶどう糖液糖は100〜120であった。
通常、異性化糖は果糖分42%のぶどう糖果糖液糖として得られたぶどう糖の含有量が多いため甘味度が低くその利用分野は限定されていた。果糖分を増加させた果糖ぶどう糖液糖とするにはクロマトグラフィーなどの複雑な処理によらねばならず、価格の上昇などにより新しい利用分野には広がることは困難であった。
【0012】
このような状況の中で、本発明は果糖分の多い果糖ぶどう糖液糖を簡便な方法により製造する技術を開発し異性化糖の利用分野を拡大することを目的とするものである。本発明は、異性化糖の一部を結晶化することにより、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合体結晶糖質とD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の混合物よりなる糖ペーストが製造技術を見出したことに基づくものである。
本発明は、こうした異性化糖の問題を解決するものであり、異性化糖を結晶状態とする技術を確立し、異性化糖に含まれる主な糖質のD−グルコース、D−フラクトースを含有する複合体結晶糖質と液糖からなる糖ペーストおよびその製造方法を提供し、従来の糖液の有する問題を解消しその用途を拡大することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は以下の要件より構成されるものである。
(1)D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合体結晶糖質とD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の均一混合物よりなる糖ペースト。
(2)上記の均一混合物が結晶糖質のまわりを液糖で覆った形態である上記(1)に記載の糖ペースト。
(3)結晶糖質を核とする液糖からなる上記(1)に記載の糖ペースト。
(4)上記の複合体結晶糖質がD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖中に生成せしめた結晶糖質である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の糖ペースト。
(5)上記の結晶糖質がD−グルコースとD−フラクトースの複合結晶体である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の糖ペース
(6)上記の複合体結晶糖質がD−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約3:2ないし4:1である複合結晶体である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の糖ペースト。
(7)上記の液糖が異性化糖である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の糖ペースト。
(8)異性化糖がD−グルコースとD−フラクトースとの組成比において結晶糖質よりもD−フラクトース分の多い異性化糖である上記(7)に記載の糖ペースト。
(9)異性化糖が果糖ぶどう糖液糖である上記(8)に記載の糖ペースト。
(10)異性化糖液糖が高果糖異性化糖である上記(8)に記載の糖ペースト。
(11)果糖ぶどう糖液糖がD−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約2:3乃至1:4である果糖ぶどう糖液糖である上記(9)または(10)に記載の糖ペースト。
【0014】
(12)請求項1ないし11のいずれかに記載の糖ペーストを製造する方法であって、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖を冷却して液糖中に結晶体を生成せしめ結晶体と液糖の混合物とし該混合物を撹拌してペーストとすることを特徴とする方法。
(13)固液分離することができる結晶体を生成せしめる上記(12)に記載の方法。
(14)D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖を冷却して液糖中に結晶体を生成せしめるに際し、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の結晶化により得た結晶体を、結晶化していない液糖に添加することによりD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合結晶体を液糖中に生成せしめることにより行われる、上記(12)または(13)に記載の方法。
(15)D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖が異性化糖である上記(12)ないし(14)のいずれかに記載の方法。
(16)異性化糖が、澱粉を糖化して得た糖化液をグルコースイソメラーゼにより異性化したものである上記(15)に記載の方法。
(17)D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖が、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖および高果糖液糖から選ばれる液糖である上記(15)または(16)に記載の方法。
(18)均一混合物を構成する液糖のD−フラクトース濃度が原料液糖の値より増加している液糖である上記(12)ないし(17)のいずれかに記載の方法。
(19)ぶどう糖果糖液糖から、D−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約3:2ないし4:1である複合結晶体、およびD−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約2:3乃至1:4である果糖ぶどう糖液糖の均一混合物を回収する上記(18)に記載の製造方法。
【0015】
(20)上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の糖ペーストを甘味料基材とする甘味料。
(21)上記(20)に記載される甘味料を使用してなる飲食物。
(22)上記(20)に記載される甘味料を使用してなる医薬品もしくは医薬部外品、化粧品。
(23)上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の糖ペーストを含有する組成物。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏するものである。
(1)HFCS(High Fructose Corn Syrup)としてデンプンからアミラーゼおよびD−キシロースイソメラーゼ(グルコースイソメラーゼ)によって作られ、安価な甘味料として用いられてきた異性糖を、HFCC(High Fructose Corn Crystal)とも言える全く新しい甘味料へと変身させることができる。
(2)ぶどう糖含量が多いぶどう糖果糖液糖を、フラクトース含量が多い果糖ぶどう糖液糖とフラクトース含量が少ない複合体結晶糖質との混合糖ペーストを製造することができる。
(3)甘味料として使用すると、まず果糖含有量の多い液糖の甘さを感じさせることができる。
(4)ぶどう糖と果糖の含有量が同じであるにも関わらず、甘味度を上げた糖液としての性質を有すると糖液を提供することができる。
(5)ぶどう糖果糖液糖の果糖の比率をあげるためにはクロマト処理などの工程を省くことができることでコスト削減した果糖ぶどう糖液糖を実質的に製造することができる。
(6)これまでも広く用いられてきた異性化糖の利用範囲をさらに飛躍的に拡大することを意味し、新しい甘味料としての産業的意義は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来の異性化糖の製造の代表的例を示す。
【図2】本発明による異性化糖ペースト液の製造の代表的例を示す。
【図3】複合体結晶糖質の顕微鏡写真であり結晶は針状であることを示す。
【図4】複合体結晶糖質の外観を示す写真であり結晶は白い粉状であることを示す。
【図5】原料の糖組成をHPLCで測定した結果、D−グルコース:D−フラクトースが43:51であったことを示す。
【図6】複合体結晶糖質の糖組成をHPLCで測定した結果、D−グルコース:D−フラクトースが24:74であったことを示す。
【図7】蜜の糖組成をHPLCで測定した結果、糖組成はD−グルコース:D−フラクトースが60:32であったことを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合体結晶糖質とD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の均一混合物よりなる糖ペーストに関するものであり、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖よりD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合体結晶糖質を液糖中に生成せしめることにより製造されるものである。本発明は、従来の異性化糖と、ぶどう糖と果糖の含有量が同じであるにも関わらず、甘味度を上げた糖液としての性質を有する新しい糖ペーストを提供するものである。
【0019】
本発明の糖ペーストは、複合体結晶糖質のまわりを液糖で覆った形態であり、 結晶糖質を核とする液糖からなる。該複合体結晶糖質はD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖中に生成せしめた結晶糖質であり、D−グルコースとD−フラクトースの複合構造からなるD−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約3:2ないし4:1の範囲にある。
本発明の糖ペーストの液糖部分は異性化糖からなり、異性化糖がD−グルコースとD−フラクトースとの組成比において結晶糖質よりもD−フラクトース分の多い液糖すなわち果糖ぶどう糖液糖であるが、D−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約2:3乃至1:4である高果糖異性化糖であってもよい。
【0020】
また、本発明は、上記の糖ペーストを製造する方法であって、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖を冷却して液糖中に結晶体を生成せしめ結晶体と液糖の混合物とし該混合物を撹拌してペースト状となす方法であり、固液分離することができる結晶体を生成せしめている。沙良にくわしくはD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖を冷却して液糖中に結晶体を生成せしめるに際し、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の結晶化により得た結晶体を、結晶化していない液糖に添加することによりD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合結晶体を液糖中に生成せしめることにより行われる。糖ペーストの原料としては、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する異性化糖が用いられ、これは澱粉を糖化して得た糖化液をグルコースイソメラーゼにより異性化したものである。
【0021】
D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する原料の液糖は、ぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖および高果糖液糖から選ばれることが好ましい。 ぶどう糖果糖液糖から、D−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約3:2ないし4:1である複合結晶体、およびD−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約2:3ないし1:4である果糖ぶどう糖液糖の均一混合物が製造される。
こうして製造された糖ペーストは、甘味料、その甘味料を使用してなる飲食物、医薬品もしくは医薬部外品、化粧品などとして応用される。
【0022】
以下に、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する原料液糖の例として異性化液糖に基づいて説明する。
[D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖(異性化液糖)]
本発明において、「D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖」としては、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液状の糖であって、その含有率などには特に制限はなく使用されるが、本発明の原料としては入手可能性などの観点からみて、市販されているぶどう糖果糖液糖、果糖ぶどう糖液糖、あるいは、D−グルコースとD−フラクトースを混合した糖を用いるのが好ましい。
【0023】
本発明で異性化液糖とは、でん粉をアミラーゼなどの酵素または酸により加水分解して得られた主としてぶどう糖からなる糖液を、グルコースイソメラーゼまたはアルカリにより異性化したぶどう糖又は果糖を主成分とする液状の糖であって、果糖含有率(糖のうちの果糖の割合)が50%未満のもの「ぶどう糖果糖液糖」、50%以上90%未満のもの「果糖ぶどう糖液糖」、90%以上のもの「高果糖液糖」、および、 ぶどう糖果糖液糖にぶどう糖果糖液糖の量を超えない量の砂糖を加えた「砂糖混合果糖ぶどう糖液糖」を含むものであり、JAS規格にしたがって分類する。
【0024】
異性化液糖は次のような特性を有する液状の糖である。
砂糖より甘みが口中に残りにくく、低温下で甘味度を増すので、清涼飲料や冷菓などに多く使われ、異性化糖は価格も安い(果糖分 55% の果糖ぶどう糖液糖は砂糖の7割程度)ので、他に缶詰、パン、みりん風調味料などにも使われている。低温での利用に向いている半面で、熱に弱く、加熱すると着色してしまう。粘性が少ないため、取り扱いやすく、大量に運送したり、保存したりすることが容易である。液状のため、固形化や粉末化するのが難しく、一般消費者向けにはほとんど販売されていない。
【0025】
[種結晶]
本発明で使用する種結晶は、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の結晶化により得た結晶であって、例えば、種結晶は、異性化糖をBrix60〜80の濃度のシラップ状態で、5℃に長期間保っていた多数の試料の中で白濁しているってものを発見し、それをBrix70の条件で継続して結晶を保存したものを分離して得たものである。なお、種結晶を添加しない場合においても、時間を長くすることで同一の結晶を得ることは可能である。
【0026】
[複合体結晶糖質の製造]
原料となるD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖としては、例えば、「ぶどう糖果糖液糖」、「果糖ぶどう糖液糖」、「高果糖液糖」および「砂糖混合果糖ぶどう糖液糖」から選ばれる市販の液糖を使用することが好ましい。原料液糖100重量部に対し種結晶を約1〜10重量部を添加混合して均一に種結晶が分散した液糖を調製する。調製後の液糖を、液糖が凍らない温度から約20℃の温度下で1日から一週間程度保存することにより結晶が生成する。この結晶が生成した液糖を固液分離することにより結晶を回収し、乾燥して複合体結晶糖質を得る。これを種結晶として使用することができる。
こうして製造された複合体結晶糖質は、例えば、D−グルコースおよびD−フラクトースからなる白色針状結晶であり、原料液糖の組成とは異なるD−グルコース:D−フラクトース比をしている。結晶を分離して得た液糖は、原料液糖とその外観において特に相違するものではないが、複合体結晶糖質として除去された分だけ組成は変化している。本発明では結晶化した複合体結晶糖質を含む糖ペーストを製造するものであるから結晶と液等を分離する必要はない。
液糖から生成させる複合体結晶糖質の量やその組成を制御することにより、結晶分離後の液糖組成を変化させることが可能となる。
【0027】
[本発明と従来の異性化糖液生産工程との対比]
従来の異性化糖の製造の代表的例を図1に示す。
原料でんぷんをアミラーゼにより分解しD−グルコースとする工程、D−グルコースをイソメラーゼによりD−フラクトースとする工程からなり、生成した平衡混合物である液状の異性化糖を得る。この異性化糖は、「ぶどう糖果糖液糖」に分類され、ぶどう糖:果糖の比(G:F)が約55:45であり、通常はそのまま市販製品となる。さらに、甘味度が高い果糖の度を上げるためには、クロマト処理を行って、または果糖をぶどう糖果糖液糖に添加して果糖ぶどう糖液糖を生産している。果糖の濃度を上げることはコスト高の要因となっている。
【0028】
本発明による異性化糖液の製造の代表的例を図2に示す。
「ぶどう糖果糖液糖」であって、ぶどう糖:果糖の比(G:F)は約55:45である異性化液糖を製造する工程までは従来法と同じであるが、種結晶を添加混合して結晶を成長させて結晶と液糖の混合物を生成させる固定が付加される。結晶と液糖はほぼ50%ずつ生産され、収率は高くロスとなる糖は少ない。生成した結晶はぶどう糖果糖に属する糖濃度を有し、ぶどう糖:果糖の比(G:F)は約75:25である。この結晶は果糖含有量の少ないマイルドな甘味を持った新たな食感を有した異性化糖結晶として用途開発が期待される。
液糖は果糖ぶどう糖液糖に属する糖濃度を有し、ぶどう糖:果糖の比(G:F)は約30:60であり果糖の含有割合が増加している。すなわち、本発明によりクロマト処理工程がなくても液糖の結晶化により果糖濃度を増加させることができる。原料として市販のぶどう糖果糖液糖を使用すると、結晶化工程を経るだけで高果糖濃度の異性化液糖を製造することが可能となる。
【0029】
ぶどう糖果糖糖液を結晶化して得られる、糖結晶と液糖からなる本発明の糖ペーストは、ぶどう糖と果糖の含有量が原料糖液と同じであるにも関わらず、甘味度を上げた糖液としての性質を有するものである。本発明の糖ペーストは、チョコレート、チューインガム、即席ジュース、即席スープ、顆粒、錠剤などの製造が容易にまた有利に実施できる。さらに、糖質の持つ性質、例えば、甘味性、ボディー付与性、照り付与性、保湿性、他糖の晶出防止、適度な粘性などの性質を兼備しているので、広く、飲食物、化粧品、医薬品など各種組成物に有利に利用できる。
【0030】
本発明の糖ペーストを甘味料として利用する場合は、例えば、粉飴、グルコース、マルトース、異性化糖、スクロース、トレハロース、蜂蜜、メープルシュガー、ソルビトール、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、ジヒドロカルコン、ステビオシド、α−グリコシルステビオシド、ラカンカ甘味物、グリチルリチン、L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル、サッカリン、グリシン、アラニンなどのような他の甘味料の一種又は二種以上の適量と混合して使用してもよく、またデキストリン、澱粉、乳糖などのような増量剤と混合して使用することもできる。
【0031】
本発明の糖ペーストは、そのままで、または必要に応じて増量剤、賦形剤、結合剤などと混合して顆粒、球状、錠剤、棒状、板状、立方体などに成形して使用することも随意であり、その甘味は、酸味、塩から味、渋味、旨味、苦味など、各種の物質の他の呈味とよく調和し、普通一般の飲食物の甘味付、呈味改良に、また品質改良などに有利に利用できる。例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、中華の素、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼き肉のタレ、カレールウ、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー、コーヒーシュガーなど各種調味料への甘味料として、また、呈味改良剤、品質改良剤などとして有利に利用できる。
【0032】
食品としての利用は、例えば、せんべい、あられ、おこし、餅類、まんじゅう、ういろう、餡類、羊羹、水羊羹、錦玉、ゼリー、カステラ、飴玉などの各種和菓子、パン、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、バタークリーム、カスタードクリーム、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンデーなどの各種洋菓子、アイスクリーム、シャーベットなどの氷菓子、果実のシロップ漬、氷蜜などのシロップ類、フラワーペースト、ピーナッツペースト、フルーツペーストなどのペースト類、ジャム、マーマレード、シロップ漬、糖菓などの果実、野菜の加工食品類、パン類、麺類、米飯類、人造肉などの穀類加工食品類、福神漬、べったら漬、千枚漬、らっきょう漬などの漬物類、たくあん漬の素、白菜漬の素などの漬物の素類、ハム、ソーセージなどの畜産製品類、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ、天ぷらなどの魚肉製品、ウニ、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ、ふぐのみりん干しなどの各種珍味類、のり、山菜、するめ、小魚、貝などで製造される佃煮類、煮豆、ポテトサラダ、コンブ巻などの惣菜食品、乳製品、魚肉、畜肉、果実、野菜の瓶詰め、缶詰類、合成酒、果実酒、洋酒、リキュールなどの酒類、コーヒー、ココア、ジュース、炭酸飲料、乳酸飲料、乳酸菌飲料などの清涼飲料水、プリンミックス、ホットケーキミックスなどのプレミックス粉類、即席ジュース、即席コーヒー、即席汁粉、即席スープなど即席飲食品などの各種飲食物への甘味料として、また、呈味改良剤、品質改良剤などとして有利に利用できる。
【0033】
家禽、その他蜜蜂、蚕、魚などの飼育動物のための飼料、餌料などの嗜好性を向上させる目的で使用することもできる。また、作物、野菜、花卉、観葉植物、庭園の草木、芝、果樹などの植物活性化剤として、水耕栽培などに利用する植物活性化剤として、さらに、生長点培養、微生物・細胞培養の培地栄養物や浸透圧調整剤などとして有利に利用できる。その他、タバコ、練り歯磨き、口紅、リップクリーム、内服液、トローチ、肝油ドロップ、口中清涼剤、口中香錠、うがい薬など各種固形状、ペースト状、液状の嗜好物、化粧品、医薬品などへの呈味改良剤、矯味剤として、さらに品質改良剤などとして有利に利用できる。
【0034】
以上述べたような飲食品、嗜好物、飼料、餌料、化粧品、医薬品などの各種組成物に本発明の複合結晶体を含有せしめる方法は、その製品が完成するまでの工程で本発明の糖ペーストを含有せしめればよく、例えば、混和、混捏、溶解、融解、浸漬、浸透、散布、塗布、被覆、噴霧、注入、晶析、固化などの公知の方法が適宜選ばれる。
【0035】
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0036】
異性化糖である「ぶどう糖果糖液糖」を原料として、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合結晶体、およびD−フラクトース含有量を高めた液糖からなる糖ペーストを製造した。
原料異性化糖として、日本食品化工株式会社製、日食フジフラクトF-100ぶどう糖果糖液糖(JAS品)を用いた。この液糖は、およそ42%のD−フラクトースと55%のD−グルコースを含有し、糖濃度はBrix70.1であった。
【0037】
種結晶には、異性化糖をBrix60〜80の濃度のシラップ状態で冷蔵庫に長期間保っていた多数の試料の中で白濁しているってものを発見し、それをBrix70の条件で継続して結晶を保存したものを分離して使用した。
【0038】
原料の異性化糖130mL(全糖量は91.1g)を500mL容のプラスティックビーカーに入れ、上記の種結晶を少量添加し4℃で4日間放置したところ、1日目には結晶の増大が認められ、3日後にはほぼ全体が白くなった。4日間放置し白濁した異性化糖を得た。これが本発明の糖ペーストである。したがって、結晶の分離は必要がないため収率は100%であった。
【0039】
次に、結晶および糖液の組成および生成量を検討するために両者を分離した。
小型遠心機(KOKUSAN H−112)によって、結晶と蜜とに分離した。得られた結晶は57.0gであり、蜜は72mL(Brix60.2)であった。結晶は水分を含んでいた。そこで、得られた結晶57.0gをステンレスバットに広げ、エクアールシー株式会社製マックドライDXU−1001(MCU−1001)中に入れ2日間乾燥し、乾燥粉末44.1gを得た。
用いた原料中の糖質は91.1gであり、乾燥結晶粉末として41.1gが得られた。従って原料からの収率は45.1%であった。分離された蜜には糖質43.3gが含まれていた。したがって、これらから異性化糖中の糖質91.1gは、結晶粉末として44.1g、蜜として43.3gが得られたことになる。この結晶化およびその分離過程で失われる糖質は3.7gであり、全体の約4%であった。
【0040】
上記過程で得た結晶は図3の顕微鏡写真に示すごとく約30μの針状をしていた。乾燥後の結晶は白色であり図4のような外観を示す。
次に、原料の異性化糖、分離した結晶および密をHPLC分析によりそれぞれのD−グルコース、D−フラクトースの含有量を計測したところ、生成した結晶はD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合体結晶糖質であることが判明した。なお、HPLCによる糖の分析には、HITACHI GL-C611 のカラムを用い、カラム温度60℃移動相は10-4 NaOH,流速 1ml/min とし検出は RI 検出器を用いた。
(1)原料糖液の糖組成は、D−グルコース:D−フラクトースが43:51であることが図5に示すHPLCの結果判明した。
(2)結晶の糖組成は、D−グルコース:D−フラクトースの比が原料とは異なり75:25であることがHPLCの結果判明した(図6)。この結果は得られた結晶は原料の糖組成とは相違し、原料の全てを抱き込んだ全体の固化体ではないことを示している。
(3)結晶から分離した蜜の糖組成は、D−グルコース:D−フラクトースの比が32:60であり、原料の糖組成と比較してD−フラクトースの濃度が上昇していた。すなわち、現在市販されている果糖ぶどう糖液糖の規格の組成となっていた(図7)。
このように、本実施例により、原料液糖(ぶどうう糖果糖糖液)から(1)D−グルコース、D−フラクトースを含む複合結晶体および(2)原料液糖よりもD−フラクトースの含有量が増加した果糖ぶどう糖液糖の混合等ペーストが製造できることが明らかとなった。
【実施例2】
【0041】
本実施例では、実施例1で判明したD−グルコースとD−フラクトースの約3:1の複合結晶体が、結晶化の過程において、一定の糖組成の結晶として連続的に析出していることを確認した。
実施例1と同一条件、すなわち原液としてぶどう糖果糖液糖(含有糖量として90.4g、濃度Brix 70.1)を用い、ぶどう糖果糖結晶の種を入れて4℃に放置した。1日後、全ての結晶が析出していない状態で遠心分離によって結晶を得た後、これをドライマック中で乾燥して結晶を34g得た。
蜜としてBrix.70.0濃度のものを53mL得た。蜜中には糖として、49gを含んでいることとなる。この蜜を4℃で続いて保存したところ、遠心分離後には透明であったが2日目には結晶がさらに析出を続けた。
得られた結晶を乾燥してHPLC分析を行ったところ、糖の組成は前の実験と同様のD−グルコース:Dフラクトースが約75:25であった。
以上の実験結果から、D−グルコースとDフラクトースの混合溶液から新しい結晶が析出する過程の途中で採取した結晶の組成は同一であり、結晶化工程で常に一定の糖組成の結晶を生産し続けていることが判明した。
【実施例3】
【0042】
[アイスクリームの製造]
油脂含量約46%の生クリーム18重量部、脱脂粉乳7重量部、全乳51重量部、砂糖8重量部、実施例1の方法で得た糖ペースト6重量部、ラクトスクロース含有粉末(登録商標『乳化オリゴ』)4重量部、黒練り胡麻3重量部、プルラン1重量部、及びアラビアガム2重量部の混合物を、70℃で30分間保って殺菌した後、ホモゲナイザーで乳化分散させ、次いで、3乃至4℃にまで急冷して一夜熟成した後、フリーザーで凍結させてアイスクリームを得た。糖ペースト中の複合体結晶糖質を固形状で残すことにより従来品とは異なる甘みと食感を示すアイスクリームとなった。また、本品は、適度な胡麻風味を呈する、口当たり良好で、オーバーランも適当な良質のアイスクリームであった。また、本品は、ビフィズス増殖活性を有する健康食品としても有利に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
従来、D−グルコースとD−フラクトースとを主成分とする混合液糖、例えば、異性化液糖は結晶化することがないことを利用し、ぶどう糖果糖液糖および果糖の比率を上げた果糖ぶどう糖液糖などとして飲料用の甘味料として広く利用されている。このように、これまで異性化糖は液状のものとして利用してきたことから、誰もが異性化糖は固形状態(結晶)にすることはできないと考えていた。異性化糖が固体状態(結晶)を含むものとして得られると、これまでの用途範囲を非常に広くできると期待されてはいた。しかしながら、これまで結晶化を実現することはできなかった。
本発明者は、異性化糖液糖を固体結晶を含む状態へと変換することに成功したものであり、本発明は、これまでも広く用いられてきた異性化糖の利用範囲を飛躍的に拡大する可能性を示し、新しい甘味料の提供としての産業的意義は極めて高い。すなわち、異性化糖を固体状態で含む糖ペーストとして提供できることは、HFCS(High Fructose Corn Syrup)として、安価な甘味料として用いられてきたものを、HFCC(High Fructose Corn Crystal)とも言える全く新しい甘味料へと変身させることになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合体結晶糖質とD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の均一混合物よりなる糖ペースト。
【請求項2】
上記の均一混合物が結晶糖質のまわりを液糖で覆った形態である請求項1に記載の糖ペースト。
【請求項3】
結晶糖質を核とする液糖からなる請求項1に記載の糖ペースト。
【請求項4】
上記の複合体結晶糖質がD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖中に生成せしめた結晶糖質である請求項1ないし3のいずれかに記載の糖ペースト。
【請求項5】
上記の結晶糖質がD−グルコースとD−フラクトースの複合結晶体である請求項1ないし4のいずれかに記載の糖ペース
【請求項6】
上記の複合体結晶糖質がD−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約
3:2ないし4:1である複合結晶体である請求項1ないし5のいずれかに記載の糖ペースト。
【請求項7】
上記の液糖が異性化糖である請求項1ないし6のいずれかに記載の糖ペースト。
【請求項8】
異性化糖がD−グルコースとD−フラクトースとの組成比において結晶糖質よりもD−フラクトース分の多い異性化糖である請求項7に記載の糖ペースト。
【請求項9】
異性化糖が果糖ぶどう糖液糖である請求項8に記載の糖ペースト。
【請求項10】
異性化糖液糖が高果糖異性化糖である請求項8に記載の糖ペースト。
【請求項11】
果糖ぶどう糖液糖がD−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約2:3乃至1:4である果糖ぶどう糖液糖である請求項9または10に記載の糖ペースト。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の糖ペーストを製造する方法であって、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖を冷却して液糖中に結晶体を生成せしめ結晶体と液糖の混合物とし該混合物を撹拌してペーストとすることを特徴とする方法。
【請求項13】
固液分離することができる結晶体を生成せしめる請求項12に記載の方法。
【請求項14】
D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖を冷却して液糖中に結晶体を生成せしめるに際し、D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖の結晶化により得た結晶体を、結晶化していない液糖に添加することによりD−グルコースおよびD−フラクトースを含有する複合結晶体を液糖中に生成せしめることにより行われる、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖が異性化糖である請求項12ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
異性化糖が、澱粉を糖化して得た糖化液をグルコースイソメラーゼにより異性化したものである請求項15に記載の方法。
【請求項17】
D−グルコースおよびD−フラクトースを含有する液糖が、ぶどう糖果糖液
糖、果糖ぶどう糖液糖および高果糖液糖から選ばれる液糖である請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
均一混合物を構成する液糖のD−フラクトース濃度が原料液糖の値より増加している液糖である請求項12ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
ぶどう糖果糖液糖から、D−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約
3:2ないし4:1である複合結晶体、およびD−グルコースとD−フラクトースとの組成比が約2:3乃至1:4である果糖ぶどう糖液糖の均一混合物を回収する請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
請求項1ないし7のいずれかに記載の糖ペーストを甘味料基材とする甘味料。
【請求項21】
請求項20に記載される甘味料を使用してなる飲食物。
【請求項22】
請求項20に記載される甘味料を使用してなる医薬品もしくは医薬部外品、化粧品。
【請求項23】
請求項1ないし7のいずれかに記載の糖ペーストを含有する組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate