説明

複数の送信先によって受信される干渉を制限する方法及びデバイス

【課題】中継器において、複数の送信先によって受信される干渉を制限する。
【解決手段】複素変調シンボルを受信するステップS400と、複素変調シンボルを復号するステップS401と、複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブするステップS402と、送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成するステップS403と、生成された複素変調シンボルを、複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングするステップS404と、プリコーディングされた複素変調シンボルを転送するステップS405とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的には、複数の送信先によって受信される干渉を制限する方法及びデバイスに関する。なお、干渉は複数の複素変調シンボルフローによって生成される。
【背景技術】
【0002】
いくつかの送信元がデータを単一の送信先、例えばセルラーシステムのアップリンクに送信することを望んでいるとき、或いは複数の送信元−送信先の対が同じ物理リソースにおいて送信しているときに、干渉が発生する。
【0003】
干渉は、1つ又は複数の送信先によって受信される信号の品質を劣化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、複数の送信先によって受信される干渉を制限することを目的とする。なお、干渉は複数の複素変調シンボルフローによって生成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、本発明は、複数の送信先によって受信される干渉を制限する方法に関する。干渉は無線通信ネットワークの同じリソースにおいて複数の送信元によって転送される複数の複素変調シンボルフローによって生成され、各送信元は複素変調シンボルフローを1つの送信先に向けて転送する。
当該方法は、中継器によって実行されるステップであって、各複素変調シンボルベクトルフローについて:
− 複素変調シンボルを受信するステップと、
− 複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号し、当該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブするステップと、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成するステップと、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる上記生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングするステップであって、当該プリコーディング行列は、複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングするステップと、
− プリコーディングされた複素変調シンボルを、情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に転送するステップと
を含むことを特徴とする。
【0006】
また、本発明は、複数の送信先によって受信される干渉を制限するデバイスにも関する。干渉は無線通信ネットワークの同じリソースにおいて複数の送信元によって転送される複数の複素変調シンボルフローによって生成され、各送信元は複素変調シンボルフローを1つの送信先に向けて転送する。
当該干渉を制限するデバイスは中継器に含まれ、各複素変調シンボルベクトルフローについて:
− 複素変調シンボルを受信する手段と、
− 複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号し、当該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブする手段と、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成する手段と、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる上記生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングするステップであって、当該プリコーディング行列は、複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングする手段と、
− プリコーディングされた複素変調シンボルを、情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に転送する手段と
を含むことを特徴とする。
【0007】
したがって、送信元と送信先との間のデータリンクの品質は、中継器の使用によって促進される。
【0008】
特定の特徴によれば、プリコーディング行列は、送信元と送信先との間のチャネル係数の行列及び中継器と送信先との間の行列に従って決定される。
【0009】
したがって、中継器によって送信される信号は、送信先から見た現在のチャネルに適合され、干渉制限がより効率的となる。
【0010】
特定の特徴によれば、中継器は、情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる上記生成された複素変調シンボルをプリコーディングする前に;
− 情報ワードが成功裏にリトリーブされる前に送信元によって送信された少なくとも1つの複素変調シンボルが、中継器によって転送されていないか否かを確認し、
情報ワードが成功裏にリトリーブされる前に送信元によって送信された少なくとも1つの複素変調シンボルが、中継器によって転送されていない場合に:
− 情報ワードが成功裏にリトリーブされる前に送信元によって送信された複素変調シンボルを生成し、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成し、
− 生成された複素変調シンボルを結合し、
− 結合された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングし、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信された複素変調シンボルと同時に、上記結合されてプリコーディングされた複素変調シンボルを転送する。
【0011】
したがって、プリコーダーを通じて送信元と同じシンボルを送信することによって、中継器は他の複素変調シンボルフローに対する干渉を制限する。
【0012】
過去のシンボルを同時に転送することによって、送信元によって先に送信されたシンボルに対しても、適切な結合技法を送信先で用いることにより干渉制限を適用することができる。
【0013】
特定の特徴によれば、中継器は、上記結合されてプリコーディングされた複素変調シンボルを転送するのに用いられる変調を更新する。
【0014】
したがって、送信先における一致した受信機技法を複雑度の低いものとすることができる。
【0015】
特定の特徴によれば、生成された複素変調シンボルは、結合するステップ中に係数によって重み付けされ、当該係数は上記生成されて結合された複素変調シンボルが直交振幅変調に属するように選ばれる。
【0016】
したがって、復号器の複雑度は限られたままである。
【0017】
特定の特徴によれば、中継器は半二重中継器であり、複素変調シンボルを生成して送信する前に、少なくとも2つの異なる複素変調シンボルフローの複素変調シンボルからの少なくとも2つの情報ワードが成功裏にリトリーブされたか否かを確認し、複素変調シンボルの生成及び転送は、少なくとも2つの異なる複素変調シンボルフローの複素変調シンボルからの少なくとも2つの情報ワードが成功裏にリトリーブされた場合にのみ実行される。
【0018】
したがって、半二重中継器は、同時のリソースにおいて転送されるいくつかの複素変調シンボルフローによって生成された干渉を低減することに役立つことができる。
【0019】
また、本発明は、複数の送信先によって受信される干渉を制限する方法にも関する。渉は無線通信ネットワークの同じリソースにおいて複数の送信元によって転送される複数の複素変調シンボルフローによって生成され、各送信元は複素変調シンボルフローを1つの送信先に向けて転送する。
当該方法は、各複素変調シンボルベクトルフローについて実行されるステップであって:
− 複素変調シンボルを受信するステップと、
− 複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号し、当該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブするステップと、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成するステップと、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる上記生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングするステップであって、当該プリコーディング行列は、複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングするステップと、
− プリコーディングされた複素変調シンボルを、情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に転送するステップと、
− 送信元及び中継器からの複素変調シンボルを送信先によって受信するステップと
を含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、複数の送信先によって受信される干渉を制限するシステムにも関する。干渉は無線通信ネットワークの同じリソースにおいて複数の送信元によって転送される複数の複素変調シンボルフローによって生成され、各送信元は複素変調シンボルフローを1つの送信先に向けて転送する。
当該システムは:
− 複素変調シンボルを受信する手段と、
− 複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号し、当該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブする手段と、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成する手段と、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる上記生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングする手段であって、当該プリコーディング行列は、複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングする手段と、
− プリコーディングされた複素変調シンボルを、情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に中継器によって転送する手段と、
− 送信元及び中継器からの複素変調シンボルを送信先によって受信する手段と
を含むことを特徴とする。
【0021】
したがって、送信元と送信先との間のデータリンクの品質は、中継器の使用によって促進される。
【0022】
さらに別の態様によれば、本発明は、プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータープログラムにも関する。コンピュータープログラムは、プログラマブルデバイスで実行されると、本発明による方法のステップを実施する命令又はコード部を含む。
【0023】
コンピュータープログラムに関連する特徴及び利点は、本発明による方法及びデバイスに関連して上述したものと同じであるので、ここでは繰り返さない。
【0024】
本発明の特徴は、一例の実施形態の以下の説明を読むことによってより明らかになる。この説明は、添付図面に関して作成されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明が実施される無線通信ネットワークのアーキテクチャを表す図である。
【図2】本発明が実施される中継器のアーキテクチャを表す図である。
【図3】本発明によるプリコーディング行列を決定するために中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図4】本発明の第1の実現態様による中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図5】本発明による動的な復号転送プロトコルで転送される複素変調シンボルの一例の図である。
【図6a】本発明による種々のフェーズにおける干渉中和の進展を表す図である。
【図6b】本発明による種々のフェーズにおける干渉中和の進展を表す図である。
【図6c】本発明による種々のフェーズにおける干渉中和の進展を表す図である。
【図6d】本発明による種々のフェーズにおける干渉中和の進展を表す図である。
【図7】本発明の第2の実現態様による中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する図である。
【図8】フェーズPH1及びPH2中に送信元及び中継器によって転送される複素変調シンボルベクトルフローを表す図である。
【図9】フェーズPH2中の送信先における等価チャネルを表す図である。
【図10】フェーズPH2中の送信先における等価チャネル及びフェーズPH3中に送信元及び中継器によって転送される複素変調シンボルベクトルフローを表す図である。
【図11】フェーズPH3中の送信先における等価チャネルを表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明が実施される無線通信ネットワークのアーキテクチャを表す。
【0027】
無線通信ネットワークでは、複数の送信元Src1〜Src3が複数の送信先Dest1〜Dest3に向けて、情報ワードを信号の形態で送信する。
【0028】
無線通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク又は無線セルラー通信ネットワークとすることができる。
【0029】
送信元Srcは、移動端末のような少なくとも1つの送信先又はホーム基地局に向けて信号を送信する基地局とすることができる。
【0030】
送信元Srcは、基地局のような複数の送信先に向けて信号を送信する移動端末又はホーム基地局とすることができる。
【0031】
基地局は、アクセスノード、又はノードB、又はエンハンストノードBとも呼ばれる。
【0032】
基地局又はホーム基地局は、少なくとも1つの移動端末をハンドリングすることができる。
【0033】
基地局は、当該基地局を通じて移動端末がリモートデバイスとの通信を確立することを可能にするために必要な情報を有するとき、その移動端末をハンドリングする。
【0034】
基地局は、ダウンリンクチャネルを通じて移動端末に向けて信号を送信し、アップリンクチャネルを通じて移動端末によって送信される信号を受信する。
【0035】
送信元Src1〜Src3は、種々の複素変調シンボルフローを転送する。
【0036】
ここで、送信元Src1〜Src3は、図1では分離されたデバイスとして示されていることに留意されたい。本発明は、送信元Src1〜Src3が、同一のデバイス、例えば3つの別個の複素変調シンボルフローを転送するためにビームフォーミングを実行する1つのデバイスに含まれるときにも適用可能である。
【0037】
送信先Dest1〜Dest3は、図1では分離されたデバイスとして示されている。本発明は、送信先Dest1〜Dest3が、同一のデバイス、例えば複数のアンテナを有して3つの別個の複素変調シンボルベクトルフローを独立に復号するデバイスに含まれるときにも適用可能である。これは、例えば、いくつかの移動端末が同じリソースで基地局と通信する無線セルラー通信ネットワークのアップリンクチャネルにおいて当てはまる。そのような方式は、アップリンクマルチユーザMIMO(多入力多出力)として知られている。
【0038】
送信元Src1は、1つの情報ワード又は複数の情報ワードを、複素変調シンボルベクトルフローを通じて送信先Dest1に向けて転送する。
【0039】
送信元Src2は、1つの情報ワード又は複数の情報ワードを、複素変調シンボルベクトルフローを通じて送信先Dest2に向けて転送する。
【0040】
送信元Src3は、1つの情報ワード又は複数の情報ワードを、複素変調シンボルベクトルフローを通じて送信先Dest3に向けて転送する。
【0041】
複素変調シンボルベクトルフローは無線通信ネットワークにおける同一のリソースにおいて送信されるため、送信元Src1によって送信先Dest1に送信される複素変調シンボルベクトルフローは、送信元Src2によって送信先Dest2に送信される複素変調シンボルベクトルフロー及び送信元Src3によって送信先Dest3に送信される複素変調シンボルベクトルフローに対して干渉する。送信元Src2によって送信先Dest2に送信される複素変調シンボルベクトルフローは、送信元Src1によって送信先Dest1に送信される複素変調シンボルベクトルフロー及び送信元Src3によって送信先Dest3に送信される複素変調シンボルベクトルフローに対して干渉する。送信元Src3によって送信先Dest3に送信される複素変調シンボルベクトルフローは、送信元Src2によって送信先Dest2に送信される複素変調シンボルベクトルフロー及び送信元Src1によって送信先Dest1に送信される複素変調シンボルベクトルフローに対して干渉する。
【0042】
送信元Srciは、符号化器によって符号化された情報ワードのKiビットの情報ビットを送信する。ここで、iは送信元インデックスを示す。符号化器の出力はインターリーブされ、符号化ビットベクトルが作成される。
【0043】
符号化ビットベクトルは、複素変調シンボルを得るために離散変調入力に供給される。離散変調入力は、4位相偏移変調又は16直交振幅変調若しくは64直交振幅変調とすることができる。
【0044】
複素変調シンボルは、情報ワードから導出される。
【0045】
各送信元Srciは、他の送信元と同じ変調方式を用いることもできるし、他の送信元の少なくとも1つによって用いられる変調方式とは異なる変調方式を用いることもできる。
【0046】
複素変調シンボルは、複素変調シンボルベクトルにグループ化される。
【0047】
各情報ワードは、CRCによって生成される冗長検査ビットを含む。
【0048】
各複素変調シンボルベクトルは、物理的な送信アンテナにマッピングされる前に、複素変調シンボルの変換を適用するプリコーディング方式の連結からなる仮想アンテナによるチャネルを通じて、いくつかの期間にわたり送信される。
【0049】
符号化及びインターリーブは、より一般的には、情報ワードから任意のサイズの符号化ビットベクトル、すなわち換言すれば任意の可能な符号化レートを生成することを可能にする、3GPP−LTE(第3世代パートナーシッププロジェクト長期発展型)標準規格で用いられるようなレートマッチングアルゴリズムによって行われる。符号化ビットの生成は、複素変調シンボルベクトルの送信に従って、いくつかのステップで行うこともできる。
【0050】
無線セルラー通信ネットワークでは、先の複素変調シンボルベクトルの送信の成功を肯定応答するために又はしないために、ハイブリッドARQ(HARQ)フィードバック方式が送信先Destから送信元Srcへ提供される。
【0051】
ハイブリッドARQでは、送信先Destが複素変調シンボルの導出された情報ワードのリトリーブに成功することができないとき、すなわち送信された情報ワードに組み込まれた巡回冗長検査が機能していないとき、追加の冗長性情報(redundancy)の再送信が実行される。
【0052】
十分な冗長性情報が受信されると直ちに、送信先Destは、情報ワードを正しく復号することができ、情報ワードに組み込まれたCRCビットにより復号が正しく行われたことを検出し、肯定応答メッセージを送信元に向けて送信し、情報ワード及び追加の冗長性情報の送信が停止される。
【0053】
送信先Destは、1つの情報ワードの送信開始時から受信された複素変調シンボルベクトルを連結したもの又は受信された符号化ビットのソフト推定値を連結したものを記憶し、連結されたシンボルに対して統合復号を適用する。
【0054】
肯定応答は、複素変調シンボルベクトルの受信及び復号後において、それらの複素変調シンボルベクトルのCRCチェックが正しい場合に行われる。
【0055】
通常、新しい各複素変調シンボルベクトルは、レートマッチングアルゴリズム及びエラー訂正符号の出力から得られる追加の冗長性情報を含む。
【0056】
中継器RLは、全二重デバイス又は半二重デバイスとすることができる。中継器RLは、基地局、ホーム基地局、又は移動端末のようなデバイスに含まれることもある。
【0057】
本発明によれば、中継器は、各複素変調シンボルフローについて;
− 複素変調シンボルを受信し、
− 複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号して当該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブし、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成し、
− 情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる上記で生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングし、当該プリコーディング行列は、複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定され、
− プリコーディングされた複素変調シンボルを、情報ワードから導出された複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に転送する。
【0058】
複素変調シンボルフローが転送される送信先は、送信元及び中継器から複素変調シンボルを受信する。
【0059】
図2は、本発明が実施される中継器のアーキテクチャを表す図である。
【0060】
中継器RLは、例えば、バス201によって互いに接続されたコンポーネントと、図3及び図4又は図7に開示するようなプログラムによって制御されるプロセッサ200とに基づくアーキテクチャを有する。
【0061】
バス201は、プロセッサ200を、読み出し専用メモリROM202、ランダムアクセスメモリRAM203、及び無線インターフェース205にリンクする。
【0062】
メモリ203は、変数と、図3及び図4又は図7に開示するようなプログラムの命令とを収容するように意図されたレジスタを含む。
【0063】
プロセッサ200は、無線インターフェース205の動作を制御する。
【0064】
読み出し専用メモリ202は、図3及び図4又は図7に開示するようなプログラムの命令を含む。これらの命令は、中継器RLに電源が投入されるとランダムアクセスメモリ203へ転送される。
【0065】
無線インターフェース205は、中継器RLが基地局若しくはホーム基地局及び少なくとも1つの移動端末に向けて信号若しくはメッセージを転送し、且つ/又は、それら基地局若しくはホーム基地局及び少なくとも1つの移動端末から信号若しくはメッセージを受信することを可能にする。
【0066】
無線インターフェース205は、アンテナアレイRLAntに接続されている。
【0067】
無線インターフェース205は、少なくとも1つの基地局又はホーム基地局によって転送された信号を受信するダウンリンク受信モジュール210を備えることができ、少なくとも1つの移動端末又はホーム基地局へ信号を転送するダウンリンク送信モジュール211を備えることができ、少なくとも1つの移動端末又はホーム基地局によって送信された信号を受信するアップリンク受信モジュール212を備えることができ、少なくとも1つの基地局又はホーム基地局へ信号を転送するアップリンク送信モジュール213を備えることができる。
【0068】
中継器RLは、動的復号転送(DDF:Dynamic Decode and Forward)プロトコルに従って動作する。
【0069】
DDFプロトコルは、中継器RLにおけるスマート処理(smart processing)を含む。中継器RLは、送信元Srcから送信先Destへ送信された情報ワードを受信して復号を試み、複素変調シンボルが導出された情報ワードのリトリーブに成功すると直ちに、転送フェーズに移る。
【0070】
図3は、本発明によるプリコーディング行列を求めるために中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0071】
より正確には、本アルゴリズムは、中継器RLのプロセッサ200によって実行される。
【0072】
本アルゴリズムは、定期的に実行されるか、又は送信元と送信先との間のチャネル状態が変動するたびに実行される。
【0073】
ステップS300において、プロセッサ200は、送信元−送信先チャネル行列HSDを形成するために、送信元Src1〜Src3と送信先Dest1〜Dest3との間のチャネル係数を取得する。これは、実際には、或る送信先Dest又は各送信先Destと複数の送信元Srcとの間のフィードバックリンクを用いて行うことができる。
【0074】
同じステップにおいて、プロセッサ200は、中継器−送信先チャネル行列HRDを形成するために、中継器RLと送信先Dest1〜Dest3との間のチャネル係数を取得する。
【0075】
次のステップS301において、プロセッサ200は、プリコーディング行列ARを計算する。プリコーディング行列ARは、送信元Src1〜Src3によって送信される種々の複素変調シンボルベクトルフロー間の干渉の影響をキャンセル又は制限するように決定される。
【0076】
例えば、N個の送信元SrcがN個の複素変調シンボルベクトルフローを送信しており、少なくともN個の受信アンテナがそれらN個の複素変調シンボルベクトルフローを受信している。これらのN個の受信アンテナは、1つの送信先Destのアンテナであるか又は単一のアンテナを保持するN個の送信先の各アンテナである。中継器RLは、例えば、アンテナアレイRLAntを形成する少なくともN個のアンテナを保持する全二重中継器である。
【0077】
送信元Srcと送信先Destの受信アンテナとの間のチャネル係数の行列をHSDと表し、中継器RLと送信先Destの受信アンテナとの間のチャネル係数の行列をHRDと表すことにする。チャネルは準静的であると仮定する。
【0078】
プリコーディング行列ARは、送信元と送信先Destの受信アンテナとの間のチャネル係数の行列HSD、及び、中継器RLと送信先Destの受信アンテナとの間のチャネル係数の行列HRDに従って求められる。
【0079】
干渉中和(interference neutralization)の概念を示すために、中継器RLが各複素変調シンボルフローの複素変調シンボルが導出された各情報ワードを成功裏にリトリーブし、各情報ワードから導出される新しい複素変調シンボルベクトルを生成することができる送信のフェーズを考えることにする。
【0080】
このフェーズの第tのタイムスロットにおいて送信元Srciによって送信される複素変調シンボルはXi,N+1,tと表され、このフェーズにおいて送信元Srciについて中継器RSによって送信される複素変調シンボルはZi,N+1,tと表される。
【0081】
したがって、全ての受信アンテナを考慮すると、このフェーズ中の受信信号は以下のようになる。
【0082】
【数1】

【0083】
ここで、各シンボルZi,N+1,tは、プリコーディング行列ARのベクトルによってプリコーディングされることに留意されたい。
【0084】
例えば、中継器RLは、送信元Srciによって送信されたシンボルと同じ複素変調シンボルを生成することもできる。すなわち、Zi,N+1,t=Xi,N+1,tである。その場合、
【0085】
【数2】

【0086】
が得られる。ここで、ηN+1,tは、複素白色ガウス雑音のベクトルである。
【0087】
送信先Destiは、等価チャネルHSD+HRDRを観測する。
【0088】
干渉を中和するには、プリコーディング行列ARは、
【0089】
【数3】

【0090】
となるような対角行列Dが存在することを満たさなければならない。
【0091】
対角行列Dの対角係数は、改善の結果得られる信号対干渉雑音比SINRを最大にすることによって、送信先Destiで受信される有用な信号を改善するために、中継器RLが利用可能な自由度である。
【0092】
チャネル係数は準静的であるとみなされるので、プリコーディング行列ARはN個の複素変調シンボルベクトルフローの送信全体について同じままであるとみなされる。
【0093】
チャネル係数が変化している場合、プリコーディング行列ARはそれに従って変更される。
【0094】
中継器RLが複素変調シンボルベクトルフローのサブセットしか正しく復号しない場合であっても、中継器RLは、送信元と同じシンボルを生成して受信アンテナで受ける干渉の一部を除去する干渉中和を用いることができる。
【0095】
したがって、フェーズPHkの後、中継器RLが送信元Srciによって送信された最初のk個の複素変調シンボルベクトルフローの複素変調シンボルが導出されたk個の情報ワードを成功裏にリトリーブしていると仮定すると、その結果として、フェーズPHk+1の第tのタイムスロットにおける受信信号は次のようになる。ここで、kはフェーズPHのインデックスを示し、iは1〜kである。
【0096】
【数4】

【0097】
ここで、k+1はフェーズPHk+1のインデックスである。
【0098】
図4は、本発明の第1の実現態様による、中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示する。
【0099】
本アルゴリズムは、中継器RLによって、各複素変調シンボルベクトルフローについて並列に実行される。
【0100】
より正確には、本アルゴリズムは、中継器RLのプロセッサ200によって実行される。
【0101】
ステップS400において、プロセッサ200は、無線インターフェース205を通じて複素変調シンボルベクトルの受信を検出する。複素変調シンボルベクトルは、本アルゴリズムが実行される複素変調シンボルベクトルフローに属している。
【0102】
複素変調シンボルベクトルは、ダウンリンク受信機210又はアップリンク受信機212によって受信され、1つの情報ワードの送信開始時からこれまでに受信された複素変調シンボルベクトルに連結される。
【0103】
次のステップS401において、プロセッサ200は、無線インターフェース205に対して、少なくとも1つの受信された複素変調シンボルベクトルを復号するように指示する。
【0104】
この少なくとも1つの受信された複素変調シンボルベクトルは、最も新しく受信された複素変調シンボルベクトルを含み、中継器RLによって先に受信された少なくとも1つの複素変調シンボルベクトルを含むこともできる。
【0105】
この少なくとも1つの複素変調シンボルベクトルは、復調され、デインターリーブされ、情報ビット及び冗長性情報のソフト推定値に復号される。
【0106】
次のステップS402において、プロセッサ200は、この少なくとも1つの受信されて復号された複素変調シンボルベクトルの復号後に求められた巡回冗長検査CRCが正しいか否かをチェックする。
【0107】
CRCが正しい場合、この少なくとも1つの複素変調シンボルが導出された情報ワードのリトリーブに成功したのであり、プロセッサ200はステップS403に移動し、そうでない場合、プロセッサ200はステップS400に戻る。
【0108】
ここで、一変形では、CRCが正しい場合、プロセッサ200はステップS403に移動し、最も新しく受信された複素変調シンボルベクトルについて、肯定応答メッセージが送信先Destから送信元Srcへ転送されているか否かをさらにチェックすることに留意されたい。
【0109】
肯定応答メッセージが転送されている場合、プロセッサ200はステップS406に移動し、そうでない場合、プロセッサ200はステップS400に戻る。
【0110】
CRCが正しければ、プロセッサ200は、送信元Srciによって送信されたKiビットの情報ビットを知り、レートマッチングアルゴリズム及び情報ワードの知識から、送信元Srciと同じ方法で複素変調シンボルベクトルを生成することができる。
【0111】
図5は、本発明による動的な復号転送プロトコルで転送される複素変調シンボルの一例である。
【0112】
図5の例では、Nは3であり、各送信元Srcはそれぞれ1つの複素変調シンボルベクトルフローを送信している。
【0113】
第1のフェーズPH1において、中継器RLは、複素変調シンボルベクトルフローFLS1の複素変調シンボルベクトルX1,1=[X1,1,1,...,X1,1,t,...]を受信する。また、複素変調シンボルベクトルフローFLS2の複素変調シンボルベクトルX2,1と、複素変調シンボルベクトルフローFLS1の複素変調シンボルベクトルX3,1とを受信する。
【0114】
フェーズPH1が終了すると、プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルX1,1を復号し、複素変調シンボルベクトルフローFLS1の複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブする。
【0115】
フェーズPH1が終了すると、プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルX2,1及びX3,1を復号し、複素変調シンボルフローFLS2及びFLS3の複素変調シンボルが導出された情報ワードのリトリーブには成功しない。
【0116】
複素変調シンボルベクトルフローFLS1については、プロセッサ200は、ステップS402からステップS403に移動する。
【0117】
複素変調シンボルベクトルフローFLS2及びFLS3については、プロセッサ200はステップS402からステップS400に戻る。
【0118】
プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルX1,1が導出されたK1ビットの情報ビットを知っているので、対応する冗長性情報を求めることができ、インターリーブされた符号化ビットをレートマッチングアルゴリズムによって作成することができる。
【0119】
次に、符号化ビットベクトルは離散変調入力に与えられ、離散変調入力は複素変調シンボルを作成する。
【0120】
プロセッサ200は、フェーズPH2中に送信元Src1によって送信されることになる複素変調シンボルベクトルを生成することができる。
【0121】
情報ワードのリトリーブに成功しなかった複素変調シンボルベクトルフローFLS2及びFLS3に対応する複素変調シンボルベクトルは、ヌル値に置き換えられる。すなわち、中継器RLは、これらの複素変調シンボルベクトルフローに対応する信号を送信しない。
【0122】
ステップS403において、プロセッサ200は、次のフェーズPH2中に送信元Src1によって送信される複素変調シンボルベクトルX1,2を生成する。
【0123】
次のステップS404において、プロセッサ200は、上述した式の第2のベクトルにおいて、ヌル値を、成功裏にリトリーブした情報ワードから導出された複素変調シンボルベクトルX1,2の復号値に置き換える。
【0124】
フェーズPH2の第tのタイムスロット中に送信先で受信される信号は、次のようになる。
【0125】
【数5】

【0126】
上述した式の第2のベクトル、すなわち
【0127】
【数6】

【0128】
において、ヌル値は、リトリーブに成功しておらず中継器RLによってまだ生成されていない情報ワードから導出された複素変調シンボルに対応する。
【0129】
次のステップS405において、プロセッサ200は、プリコーディング行列ARによってプリコーディングされた複素変調シンボルベクトルX1,2及びヌルシンボルを、無線インターフェース205を通じて転送するように指示する。
【0130】
フェーズPH2が開始されると、複素変調シンボルベクトルX1,2が送信される。
【0131】
より正確には、フェーズPH2の各タイムスロットにおいて、プリコーディング行列ARによってプリコーディングされた複素変調シンボルX1,2,tは、送信元Src1によって送信される複素変調シンボルX1,2,tと同時にステップS405において転送される。
【0132】
送信元Src1によって送信される複素変調シンボルベクトルX1,2は、送信元Src2によって送信される複素変調シンボルベクトルX2,2と同時に送信される。
【0133】
送信元Src1によって送信される複素変調シンボルベクトルX1,2は、フェーズPH2中に、送信元Src3によって送信される複素変調シンボルベクトルX3,2と同時に送信される。
【0134】
次のステップS406において、プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルの送信が終了したか否か、又は肯定応答が送信先Destから送信元Srcに送信されたか否かを確認する。
【0135】
複素変調シンボルの送信は、送信先Destが1つの複素変調シンボルベクトルに肯定応答するか、又は肯定応答が所与の期間内に受信されないか、又はブロードキャストの場合には全ての複素変調シンボルベクトルが送信されると終了する。
【0136】
複素変調シンボルベクトルの送信が終了した場合、プロセッサ200は、ステップS400に戻る。そうでない場合、プロセッサ200は、すでに開示したステップS403に移動する。
【0137】
複素変調シンボルベクトルの送信が終了すると、プロセッサ200は情報ワードに関連付けられていたRAMメモリ203のバッファをリセットする。
【0138】
フェーズPH2が終了すると、プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルX2,2が導出された情報ワードを成功裏にリトリーブし、複素変調シンボルベクトルX3,2が導出された情報ワードのリトリーブには成功しない。
【0139】
複素変調シンボルベクトルフローFLS2については、プロセッサ200はステップS402からステップS403に移動する。
【0140】
複素変調シンボルベクトルフローFLS3については、プロセッサ200はステップS402からステップS400に移動する。
【0141】
プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルX2,2が導出されたK2ビットの情報ビットを知っているので、対応する冗長性情報を求めることができ、インターリーブされた符号化ビットをレートマッチングアルゴリズムによって作成することができる。
【0142】
次に、符号化ビットベクトルは離散変調入力に与えられ、離散変調入力は複素変調シンボルを作成する。
【0143】
プロセッサ200は、フェーズPH3中に送信元Src1及びSrc2によって送信されることになる複素変調シンボルベクトルを生成することができる。
【0144】
プロセッサ200は、次のフェーズPH3中に送信元Src1及びSrc2によって送信されることになる複素変調シンボルベクトルX1,3及びX2,3を生成する。
【0145】
フェーズPH3の第tのタイムスロット中に送信先で受信される信号は、次のようになる。
【0146】
【数7】

【0147】
プリコーディング行列ARによってプリコーディングされた複素変調シンボルベクトルX1,3及びX2,3は、フェーズPH3中に、送信元Src1によって送信される複素変調シンボルベクトルX1,3、送信元Src2によって送信される複素変調シンボルベクトルX2,3、及び送信元Src3によって送信される複素変調シンボルベクトルX3,3と同時に転送される。
【0148】
フェーズPH3が終了すると、プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルX3,3が導出された情報ワードを成功裏にリトリーブする。
【0149】
複素変調シンボルベクトルフローFS3について、プロセッサ200はステップS402からステップS403に移動する。
【0150】
プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルX3,3が導出されたK3ビットの情報ビットを知っているので、対応する冗長性情報を求めることができ、インターリーブされた符号化ビットをレートマッチングアルゴリズムによって作成することができる。
【0151】
次に、符号化ビットベクトルは離散変調入力に与えられ、離散変調入力は複素変調シンボルを作成する。
【0152】
プロセッサ200は、フェーズPH4中に送信元Src1、Src2、及びSrc3によって送信されることになる複素変調シンボルベクトルを生成することができる。
【0153】
プロセッサ200は、次のフェーズPH4中に送信元Src1、Src2、及びSrc3によって送信されることになる複素変調シンボルベクトルX1,4、X2,4、及びX3,4を生成する。
【0154】
フェーズPH4において送信先で受信される信号は、次のようになる。
【0155】
【数8】

【0156】
プリコーディング行列ARによってプリコーディングされた複素変調シンボルベクトルX1,4、X2,4、及びX3,4は、フェーズPH4中に、送信元Src1によって送信される複素変調シンボルベクトルX1,4、送信元Src2によって送信される複素変調シンボルベクトルX2,4、及び送信元Src3によって送信される複素変調シンボルベクトルX3,4と同時に転送される。
【0157】
図6a〜図6dは、本発明による種々のフェーズにおける干渉中和の進展を表す図である。
【0158】
図6aは、フェーズPH1中に送信先Destによって受信される干渉を表している。
【0159】
送信元Src1は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1を送信先Dest1に向けて送信する。複素変調シンボルベクトルフローFLS1は、送信先Dest2において干渉I12P1を生成し、送信先Dest3において干渉I13P1を生成する。
【0160】
送信元Src2は、複素変調シンボルベクトルフローFLS2を送信先Dest2に向けて送信する。複素変調シンボルベクトルフローFLS2は、送信先Dest1において干渉I21P1を生成し、送信先Dest3において干渉I23P1を生成する。
【0161】
送信元Src3は、複素変調シンボルベクトルフローFLS3を送信先Dest3に向けて送信する。複素変調シンボルベクトルフローFLS3は、送信先Dest1において干渉I31P1を生成し、送信先Dest2において干渉I32P1を生成する。
【0162】
図6bは、フェーズPH2中に送信先Destによって受信される干渉を表している。
【0163】
送信元Src1は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1を送信先Dest1に向けて送信する。中継器RLは、送信元Src1と同じ複素変調シンボルベクトルを送信先Dest1に向けて転送する。中継器RLによって転送される複素変調シンボルベクトルは、送信元Src1〜Src3によって送信される種々の複素変調シンボルベクトルフロー間の干渉の効果をキャンセル又は制限するように決定されたプリコーディング行列ARによって処理される。
【0164】
送信先Dest2及びDest3は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1によってもはや干渉を受けない。送信元Src2及びSrc3に関連する信号は中継器RLによって送信されないので、これらの送信元による他の送信元の信号に対する干渉は、減少も中和も受けることができない。
【0165】
送信元Src2は、複素変調シンボルベクトルフローFLS2を送信先Dest2に向けて送信する。複素変調シンボルベクトルフローFLS2は、送信先Dest1において干渉I21P2を生成し、送信先Dest3において干渉I23P2を生成する。
【0166】
送信元Src3は、複素変調シンボルベクトルフローFLS3を送信先Dest3に向けて送信する。複素変調シンボルベクトルフローFLS3は、送信先Dest1において干渉I31P2を生成し、送信先Dest2において干渉I32P2を生成する。
【0167】
図6cは、フェーズPH3中に送信先Destによって受信される干渉を表している。
【0168】
送信元Src1は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1を送信先Dest1に向けて送信する。中継器RLは、送信元Src1と同じ複素変調シンボルベクトルを送信先に向けて転送する。中継器RLによって転送される複素変調シンボルベクトルは、干渉の効果をキャンセル又は制限するように決定されたプリコーディング行列ARによってプリコーディングされている。
【0169】
送信元Src2は、複素変調シンボルベクトルフローFLS2を送信先Dest2に向けて送信する。中継器RLは、送信元Src2と同じ複素変調シンボルベクトルを送信先に向けて転送する。中継器RLによって転送される複素変調シンボルベクトルは、干渉の効果をキャンセル又は制限するように決定されたプリコーディング行列ARによってプリコーディングされる。
【0170】
送信先Dest1は、複素変調シンボルベクトルフローFLS2による干渉をもはや受けない。
【0171】
送信先Dest2は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1による干渉をもはや受けない。
【0172】
送信先Dest3は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1及びFLS2による干渉をもはや受けない。
【0173】
送信元Src3は、複素変調シンボルベクトルフローFLS3を送信先Dest3に向けて送信する。複素変調シンボルベクトルフローFLS3は、送信先Dest1において干渉I31P3を生成し、送信先Dest2において干渉I32P3を生成する。
【0174】
図6dは、フェーズPH4中に送信先Destによって受信される干渉を表している。
【0175】
送信元Src1は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1を送信先Dest1に向けて送信する。中継器RLは、送信元Src1と同じ複素変調シンボルベクトルを送信先に向けて転送する。中継器RLによって転送される複素変調シンボルベクトルは、干渉の効果をキャンセル又は制限するように決定されたプリコーディング行列ARによってプリコーディングされる。
【0176】
送信元Src2は、複素変調シンボルベクトルフローFLS2を送信先Dest2に向けて送信する。中継器RLは、Src2と同じ複素変調シンボルベクトルを送信先に向けて転送する。中継器RLによって転送される複素変調シンボルベクトルは、干渉の効果をキャンセル又は制限するように決定されたプリコーディング行列ARによってプリコーディングされる。
【0177】
送信元Src3は、複素変調シンボルベクトルフローFLS3を送信先Dest3に向けて送信する。中継器RLは、送信元Src3と同じ複素変調シンボルベクトルを送信先に向けて転送する。中継器RLによって転送される複素変調シンボルベクトルは、干渉の効果をキャンセル又は制限するように決定されたプリコーディング行列ARによってプリコーディングされる。
【0178】
送信先Dest1は、複素変調シンボルベクトルフローFLS2及びFLS3による干渉をもはや受けない。
【0179】
送信先Dest2は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1及びFLS3による干渉をもはや受けない。
【0180】
送信先Dest3は、複素変調シンボルベクトルフローFLS1及びFLS2による干渉をもはや受けない。
【0181】
本発明の第2の実現態様によれば、中継器RLは、情報ワードを成功裏に受信すると、転送しなければならないシンボルにパッチを実行する。
【0182】
パッチ技法は、2つのステップを結合したものである。
【0183】
第1のステップは、中継器RLにおいて、先のフェーズで既に送信されたシンボルと、送信元が現在のフェーズで送信する予定のシンボルとを結合したものを転送することによって実行される。
【0184】
第2のステップは、送信先Destにおいて、高次変調の等価な送信を確立するために、これらの種々のタイムスロット中に受信された信号又はソフトビットを結合することによって実行される。
【0185】
第1の簡単化された手法により、全ての送信元Srcが同じ変調方式を用いるものと考えることにする。mk、tは、第kのフェーズPHkの第tのタイムスロット中に、QAMシンボルによって搬送されるビット数を定義するものとする。Xi,k,tは、第kのフェーズPHkの第tのタイムスロット中に、第iの送信元Srciによって送信されるシンボルとする。
【0186】
j,k,tは、第kのフェーズPHkの第tのタイムスロット中に、第jの送信先Destjによって受信される信号とする。
【0187】
以下で開示するアルゴリズムの原理を簡単にするために、先ず、全てのフェーズ継続時間が等しいと考えることにする。フェーズ長が等しくない一般化は後に行うことにする。
【0188】
送信元Srcと送信先Destjとの間のチャネルはhSDjと表される。中継器RLのアンテナと送信先Destjとの間のチャネルはhRDjと表される。送信先Destjは、第k+1のフェーズPHk+1の第tのタイムスロット中に
【0189】
【数9】

【0190】
を受信する。
【0191】
先立つk個のフェーズPH1〜PHkの送信後、以下の等価チャネルモデルを観測する。ただし、
【数10】

は、第iの送信元Srciによって送信されるように見える等価複素変調シンボルベクトルであり、最初のk−1個の複素変調シンボルベクトルは中継器RLによっても送信される。
【0192】
等価チャネルモデルは、パッチ技法を適用した後に送信先Destで観測されるチャネルである。
【0193】
送信先Destjは、第tのタイムスロット中に、以下の等価受信シンボル
【0194】
【数11】

【0195】
を受信する。
【0196】
ここで、η’j,k,tは、等価チャネルで観測される雑音である。
【0197】
すなわち、等価チャネルモデルは次のように記述される。
【0198】
【数12】

【0199】
中継器RLに干渉中和をもたせることによって、送信元Src1〜Srck−1が他の送信元に対して干渉しないことが分かる。
【0200】
次に、送信先Destjは、受信信号と等価受信信号を結合する。
【0201】
【数13】

【0202】
ここで、η”j,k+1,tは、等価チャネルで観測される雑音である。
【0203】
中継器RLによって送信される複素変調シンボルベクトルZは
【0204】
【数14】

【0205】
となるように選ばれる。
【0206】
パッチ後、等価複素変調シンボルは
【0207】
【数15】

【0208】
に更新され、等価受信シンボルは以下のようになる。
【0209】
【数16】

【0210】
したがって、第k+1のフェーズの終了時における第k+1の等価チャネルモデルは、第kのフェーズの終了時における等価チャネルモデルの定義を満たす。そして、帰納法によって、如何なるフェーズにおいても、そのような等価チャネルに常に戻ることを証明することができる。
【0211】
したがって、パッチ技法とプリコーディング行列ARによる干渉中和技法とを結合することによって、干渉が中継器RLの送信によって本来中和されていない先のフェーズについても、任意の複素変調シンボルベクトルフローにおける他の複素変調シンボルベクトルフローに対する干渉が低減される。
【0212】
係数ak+1,t及びbk+1,t
【0213】
【数17】

【0214】
がQAM(直交振幅変調)に属するように選ぶことができ、これには、複素変調シンボルベクトル
【数18】

もまたQAM変調に常に属することが伴う。
【0215】
したがって、送信先における復号ステップが簡単になる。
【0216】
図7は、本発明の第2の実現態様による中継器によって実行されるアルゴリズムの一例を開示している。
【0217】
一般的な観点によれば、L1個のタイムスロットの第1のフェーズPH1中、中継器RLはいずれのシンボルも転送せず、送信先Destは全ての送信元からの干渉を観測する。第1のフェーズPH1が終了すると、中継器RLは、送信元Src1によって転送された複素変調シンボルベクトルフローが導出された情報ワードの復号に成功する。本アルゴリズムの実行中に用いられるパラメータは、全てのiについて次のように初期化される。
【0218】
【数19】

【0219】
ここで、
【数20】

は、第kの等価チャネル内の第iの送信元Srciの干渉チャネルの長さである。すなわち、これは、中継器RLによってまだ中継されておらず干渉中和方式が適用されていない第iの送信元の複素変調シンボルの数である。それらの複素変調シンボルは、他の送信元に対してまだ干渉している送信元Srciの複素変調シンボルである。
【0220】
【数21】

【0221】
ここで、
【数22】

は、複素変調シンボル
【数23】

によって搬送されるビット数であり、mk,tは、変調シンボルXi,k,tによって搬送されるビット数である。
【0222】
【数24】

【0223】
及び
【0224】
【数25】

【0225】
k+1個のタイムスロットの第k+1のフェーズ中、中継器RLは、図3に開示したように、プリコーディング行列ARの入力に対して、ベクトル[Z1,k+1,t,...,Zk,k+1,t,0,...,0]Tを与える。ここで、中継器RLは、全ての0<i<k+1について以下のステップを実行する。
【0226】
まだ結合されていない先のフェーズPHkの最初の
【数26】

個の複素変調シンボルが、結合された複素変調シンボルを形成するために、フェーズPHk+1中に送信元Srciによって送信される最初の複素変調シンボルと結合される。すなわち、
【0227】
【数27】

【0228】
ここで、ak+1,t及びbk+1,tは、∀i,Zi,k+1,t
【0229】
【数28】

【0230】
のQAM(直交振幅変調)に属するように選ばれる。
【0231】
2つの異なるケースが起こり得る。
【0232】
第1のケースは、
【数29】

の場合である。このとき、第k+1の等価チャネルは、
【数30】

個のタイムスロットと、
【数31】

個のタイムスロットとからなる。前者において、送信先DestのフェーズPHk+1における第kの等価チャネルの最初の
【数32】

個のタイムスロットで受信される複素変調シンボルはパッチされており、後者において、複素変調シンボルはパッチなしの干渉中和を用いて全て中継される。したがって、以下のようになる。
【0233】
【数33】

【0234】
第2のケースは、
【数34】

の場合である。このとき、第k+1の等価チャネルは、
【数35】

個のタイムスロットと、Lk+1個のタイムスロットとからなる。前者において、まだ中継されていない複素変調シンボルが、次のフェーズにおいて最も高い優先度で中継するために第k+1の等価チャネルの先頭に置かれ、後者において、フェーズPHk+1における第kの等価チャネルの最初のLk+1個のタイムスロットで受信される複素変調シンボルはパッチされている。したがって、以下のようになる。
【0235】
【数36】

【0236】
【数37】

【0237】
は、第iの送信元の新しい干渉フェーズ長(まだ中継されていないシンボルの数)を規定し、
【0238】
【数38】

【0239】
である。
【0240】
各反復において、中継器RLは、[Z1,k+1,t,...,Zk,k+1,t,0,...,0]Tを計算し、
【数39】

の値を更新する。送信先は、
【数40】

を計算して記憶し、等価チャネルに対して復号処理が行われ、すなわち等価受信シンボル
【数41】

から処理される。
【0241】
図7のアルゴリズムは、中継器RLによって、各複素変調シンボルベクトルフローについて並列に実行される。
【0242】
より正確には、本アルゴリズムは、各中継器RLのプロセッサ200によって実行される。
【0243】
ステップS700において、プロセッサ200は、無線インターフェース205を通じて複素変調シンボルベクトルの受信を検出する。複素変調シンボルは、本アルゴリズムが実行される複素変調シンボルベクトルフローに属している。
【0244】
複素変調信号は、ダウンリンク受信機210又はアップリンク受信機212によって受信され、1つの情報ワードの送信開始時から現在までに受信された複素変調シンボルに連結される。
【0245】
次のステップS701において、プロセッサ200は、無線インターフェース205に対して、少なくとも1つの受信された複素変調シンボルベクトルを復号するように指示する。
【0246】
この少なくとも1つの受信された複素変調シンボルベクトルは、最も新しく受信された複素変調シンボルベクトルを含み、中継器RLによって以前に受信された少なくとも1つの複素変調シンボルベクトルを含むことができる。
【0247】
この少なくとも1つの複素変調ベクトルは、復調され、デインターリーブされ、情報ビット及び冗長性情報のソフト推定値に復号される。
【0248】
次のステップS702において、プロセッサ200は、少なくとも1つの受信された複素変調シンボルベクトルの複素変調シンボルから得られた少なくとも1つの情報ワードの巡回冗長検査が正しいか否かをチェックする。
【0249】
CRCが正しい場合、プロセッサ200はステップS703に移動し、そうでない場合、プロセッサ200はステップS700に戻る。
【0250】
ここで、一変形では、CRCが正しい場合、プロセッサ200は、最も新しく受信された複素変調シンボルのベクトルについて、肯定応答メッセージが送信先Destによって送信元Srcへ転送されているか否かをさらにチェックすることに留意されたい。
【0251】
肯定応答メッセージが転送されている場合、プロセッサ200はステップS715に移動し、そうでない場合、プロセッサ200はステップS700に戻る。
【0252】
CRCが正しい場合、プロセッサ200は、送信元Srcによって送信されたKビットの情報ビットを知り、レートマッチングアルゴリズムによって、送信元Srciと同じ方法で複素変調シンボルを生成することができる。
【0253】
プロセッサ200は、フェーズPH1中に送信元Src1によって先に送信された複素変調シンボルを生成することができ、フェーズPH2中に送信元Src1によって送信されることになる複素変調シンボルを生成することができる。
【0254】
CRCが正しい場合、中継器RLは、フェーズPH1から次のフェーズ、すなわちフェーズPH2に移動する。
【0255】
図8は、フェーズPH1及びPH2中に送信元及び中継器によって転送される複素変調シンボルベクトルフローを表している。
【0256】
図8の例では、送信元の数Nは3であり、N個の送信元はN個の複素変調シンボルベクトルフローを送信している。
【0257】
第1のフェーズPH1において、中継器RLは、複素変調シンボルベクトルフローFLS1の複素変調シンボルベクトル811を受信する。また、中継器RLは、複素変調シンボルベクトルフローFLS2の複素変調シンボルベクトル812を受信する。また、中継器RLは、複素変調シンボルベクトルフローFLS3の複素変調シンボルベクトル813を受信する。
【0258】
例えば、複素変調シンボルベクトル811、812、及び813は、4位相偏移(QPSK)変調方式を用いて変調されている。
【0259】
フェーズPH1が終了すると、プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトル811のうちの1つが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブし、複素変調シンボルベクトル812及び813が導出された情報ワードのリトリーブには成功しない。
【0260】
複素変調シンボルベクトルフローFLS1については、プロセッサ200はステップS702からステップS703に移動する。
【0261】
複素変調シンボルベクトルフローFLS2及びFLS3については、プロセッサ200はステップS702からステップS700に戻る。
【0262】
ステップS703において、プロセッサ200は、以下のパラメータを初期化する。
【0263】
【数42】

【0264】
次のステップS704において、プロセッサ200は、送信元Srciによって送信された複素変調シンボルフローの複素変調シンボルが導出された上記情報ワードから導出される少なくとも1つの複素等価変調シンボルがまだ中継されていないか否か、すなわち、他の送信元の信号に対するその干渉が中和されていないか否かを確認する。
【0265】
複素等価変調シンボルが現在のフェーズで送信元Srciによって送信される複素変調シンボルベクトルの複素変調シンボルと以前に結合されていない場合、又は複素等価変調シンボルが結合なしで中継器RLによって直接転送されていない場合には、複素等価変調シンボルは、まだ中継されていないと言われる。
【0266】
送信元Srciに関連する少なくとも1つの複素等価変調シンボルがまだ中継されていない場合、プロセッサ200はステップS705に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS710に移動する。
【0267】
ステップS705において、プロセッサ200は、送信元Srcに関連する複素等価変調シンボル
【数43】

を取得する。
【0268】
次のステップS706において、プロセッサ200は、フェーズPH2中に送信元Srcによって送信されることになる複素変調シンボルXi,k+1,tを取得する。
【0269】
次のステップS707において、プロセッサ200は、ステップS705及びS706において取得された複素変調シンボルを以下の式を用いて結合し、結合された変調シンボルにする。
【0270】
【数44】

【0271】
次のステップS708において、プロセッサ200は、
【0272】
【数45】

【0273】
すなわち、16QAMによって、結合された複素変調シンボルベクトルを転送するように指示する。
【0274】
次のステップS709において、プロセッサ200は、CRCイベントが発生したか否かを確認する。CRCイベントは、別の複素変調シンボルベクトルフローが導出された情報ワードのCRCが成功裏にリトリーブされたとき、例えば、送信元Src2によって送信された複素変調シンボルフローが導出された情報ワードのCRCが正しいときに発生する。
【0275】
CRCイベントが発生した場合、プロセッサ200は、フェーズPH2を去り、ステップS713に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS704に戻り、すなわち、フェーズPH2に留まる。
【0276】
CRCイベントが発生せず、送信元Srcによって先に送信された少なくとも1つの複素変調シンボルが中継器RLによって転送も結合もされていない限り、プロセッサ200は、送信元Srcによって先に送信された他の複素変調シンボルベクトルを取得し、フェーズPH2中に送信元Srcによって送信されることになる他の複素変調シンボルXi,k+1,tを取得し、それらの複素変調シンボルを結合し、結合された複素変調シンボルベクトルの
【0277】
【数46】

【0278】
による転送を指示する。
【0279】
図8の第2のフェーズPH2において、中継器RLは、複素変調シンボルベクトルフローFLS1の複素変調シンボルベクトル821を受信する。また、中継器RLは、複素変調シンボルベクトルフローFLS2の複素変調シンボルベクトル822を受信する。また、中継器RLは、複素変調シンボルベクトルフローFLS3の複素変調シンボルベクトル823を受信する。
【0280】
例えば、複素変調シンボルベクトル821、822、及び823は、4位相偏移(QPSK)変調方式を用いて変調されている。
【0281】
結合された複素変調シンボルベクトル850は、L2個のタイムスロットのフェーズPH2中に中継器RLによって転送される。結合された複素変調シンボルベクトル850は、811の最初のL2個のシンボルと821の最初のL2個のシンボルとを結合したものである。
【0282】
フェーズPH2が終了すると、プロセッサ200は、複素変調シンボルを復号し、送信元Src2によって送信された複素変調シンボルフローの複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブする。
【0283】
ステップS713において、プロセッサ200は、送信元Srciに関連する少なくとも1つの複素等価変調シンボルがまだ中継されていないか否かを確認する。
【0284】
先のフェーズで送信元Srciに関連する少なくとも1つの複素変調シンボルがまだ中継されていない場合、プロセッサ200はステップS713に移動する。そうでない場合、プロセッサ200はステップS714に移動する。
【0285】
図8に示すように、第2のフェーズPH2の継続時間は、第1のフェーズPH1の継続時間よりも短い。これは、先のフェーズで送信元Src1によって送信された少なくとも1つの複素変調シンボルが、現在のフェーズPH2で送信元Src1によって送信された複素変調シンボルと結合されていないことを意味する。
【0286】
ステップS714において、プロセッサ200は、未中継のシンボルを新しい等価チャネルモデルの先頭に置くように、先のフェーズで送信元Srciによって送信されてまだ中継されていない少なくとも1つの複素変調シンボルベクトルを並べ替える。したがって、それらのシンボルが送信元によって最初に送られたときは、それらのシンボルの干渉を制限することは不可能であったが、次のフェーズでこれらのシンボルに対して優先的にパッチを適用することが容易にでき、干渉中和をこれらのシンボルに対して容易に適用することができる。その後、プロセッサ200はステップS715に移動する。
【0287】
図9は、フェーズPH2中の送信先における等価チャネルを表している。
【0288】
新しい等価チャネルEQV2におけるSrc1の最初のL1−L2個のシンボルは、他の送信元Src2及びSrc3に対してまだ干渉している。
【0289】
送信先Destにおいて、受信パッチ技法は、第1のフェーズの最初のL2個のタイムスロット中に受信された複素変調シンボルベクトルと、第2のフェーズの最初のL2個のタイムスロット中に受信された複素変調シンボルベクトルとを合計することによって実行される。これによって、あたかも16QAM複素変調シンボルベクトルが送信元Src1によって当初から送信されたように当該16QAM複素変調シンボルベクトルを再構築することが可能になる。
【0290】
2個の16QAM複素変調シンボルベクトル94は、送信元Src1及び中継器RLによって同じリソースにおいて送信され、またプリコーダーARが干渉中和を可能にするので、送信元Src1から他の送信元への干渉は送信先において制限される。
【0291】
さらに、送信先Destにおけるパッチの後、送信元Src2及びSrc3によって送信されたフェーズPH1及びPH2の複素変調シンボルベクトル95及び96は、他の送信元信号に対してまだ干渉している16QAMシンボルを形成する。
【0292】
90で示す複素変調シンボルベクトルは、新しい等価チャネルモデルPH2の先頭に置かれる未中継のシンボルである。新しい等価チャネルの複素変調シンボルベクトル90は、送信元Src2及びSrc3によって送信された複素変調シンボルフローに対してまだ干渉している。
【0293】
91で示す複素変調シンボルベクトルは、新しい等価チャネルモデルPH2の先頭で送信元Src2によって送信され、92で示す複素変調シンボルベクトルは、新しい等価チャネルモデルPH2の先頭で送信元Src3によって送信される。
【0294】
複素変調シンボルベクトル90、91、及び92は、送信元Src2及びSrc3によって送信された複素変調シンボルフローに対してまだ干渉しているQPSKシンボルを形成する。
【0295】
ステップS715において、プロセッサ200は、複素変調シンボルベクトルの送信が終了したか否か、又は肯定応答が送信先Destから送信元Srcに送信されたか否かを確認する。
【0296】
複素変調シンボルの送信は、送信先Destが少なくとも1つの複素変調シンボルベクトルが導出された1つの情報ワードに肯定応答したとき、若しくは肯定応答が所与の期間内に受信されないとき、又はブロードキャストの場合には全ての複素変調シンボルベクトルが転送されたときに終了する。
【0297】
複素変調シンボルベクトルの送信が終了した場合、プロセッサ200はステップS700に戻る。そうでない場合、プロセッサ200はステップS716に移動する。
【0298】
ステップS716において、プロセッサ200は、図8の例に従って、以下のパラメータを更新する。
【0299】
【数47】

【0300】
その後、プロセッサ200は、すでに説明したステップS704に移動し、フェーズPH3が開始される。
【0301】
図10は、フェーズPH2中の送信先における等価チャネル及びフェーズPH3中に送信元及び中継器によって送信される複素変調シンボルベクトルフローを表している。
【0302】
複素変調シンボルベクトル101、102、1010、1011、103、106、及び1020は、QPSK変調を用いて送信元Src1、Src2、及びSrc3によって送信される。
【0303】
サイズL1の等価チャネルEQV2において、先のフェーズで送信元Src1及びSrc2によって送信された複素変調シンボルベクトル90及び91はまだ中継されていない。
【0304】
中継器RLは、送信元Src1によって送信された複素変調シンボルベクトル90をリトリーブし、当該複素変調シンボルベクトル90を、フェーズPH3中に送信元Src1によって送信されることになる複素変調シンボルベクトル101と結合し、結合されたベクトル104を16QAM変調によって転送する。
【0305】
中継器RLは、送信元Src2によって送信された複素変調シンボルベクトル91をリトリーブし、当該複素変調シンボルベクトル91を、フェーズPH3中に送信元Src2によって送信されることになる複素変調シンボルベクトル102と結合し、結合された複素変調シンボルベクトル105を16QAM変調によって転送する。
【0306】
等価チャネルEQV2において、先のフェーズPH1で送信元Src1によって送信された16QAM複素変調シンボルベクトル94は既に中継されており、送信元によって送信された他の複素変調シンボルフローに対する当該ベクトル94からの干渉は制限される。
【0307】
中継器RLは、プリコーディング行列ARによってプリコーディングされた複素変調シンボルベクトル1012を転送するように指示する。複素変調シンボルベクトル1012は、送信元Src1によって送信された複素変調シンボルベクトル1010と同一である。複素変調シンボルベクトル1012は、中継器RLによってQPSK変調を用いて転送される。双方の複素変調シンボルベクトル1010及び1012は同時に送信され、送信元によって送信された他の複素変調シンボルベクトルフローに対するそれらのベクトルからの干渉が制限される。
【0308】
フェーズPH3中、先のフェーズPH1で送信元Src2によって送信された複素変調シンボルベクトル95は、中継器RLによって中継されていない。
【0309】
中継器RLは、等価チャネルEQV2で送信元Src2によって送信された複素変調シンボルベクトル95をリトリーブし、それらのベクトルを、フェーズPH3中にそれらと同時に送信元Src2によって送信されることになる複素変調シンボルベクトル1011と結合し、結合された複素変調シンボルベクトル1013を64QAM変調によって転送する。
【0310】
全ての複素変調シンボルベクトル95、102、及び1011が中継されても、フェーズPH3は完了しない。
【0311】
プロセッサ200は、ステップS704からステップS710に移動する。
【0312】
ステップS710において、プロセッサ200は、フェーズPH3の最後のL3−L1個のタイムスロット中に送信元Src1によって送信されることになる複素変調シンボルベクトルを生成する。
【0313】
次のステップS712において、プロセッサ200は、無線インターフェース205を通じてプリコーディング行列ARによってプリコーディングされた複素変調シンボルベクトル108を転送するように指示する。
【0314】
複素変調シンボルベクトル108は、複素変調シンボルベクトル103と同一であり、複素変調シンボルベクトルベクトル103及び108は同時に送信される。
【0315】
同時に、プロセッサ200は、プリコーディング行列ARによってプリコーディングされた複素変調シンボルベクトル109を、無線インターフェース205を通じて転送するように指示する。
【0316】
複素変調シンボルベクトル109は、複素変調シンボルベクトル106と同一であり、複素変調シンボルベクトル106及び109は同時に送信される。
【0317】
中継器RLは、QPSK変調を用いて複素変調シンボルベクトル108及び109を転送する。
【0318】
図11は、フェーズPH3中の送信先における等価チャネルを表している。
【0319】
新しい等価チャネルEQV3におけるSrc3のL3個の複素変調シンボルベクトルは、送信元Src1及びSrc2によって送信された複素変調シンボルフローに対してまだ干渉している。
【0320】
送信先Destjにおいて、受信パッチ技法は、EQV2等価チャネルの最初のL1−L2個のタイムスロット中に受信された複素変調シンボルベクトルと、PH3の最初のL1−L2個のタイムスロット中に受信された複素変調シンボルベクトルとを合計することによって実行される。これによって、あたかも64QAM複素変調シンボルベクトルが送信元によって当初から送信されたように当該64QAM複素変調シンボルベクトルを再構築することが可能になる。
【0321】
送信元Src1及びSrc2によって送信された複素変調シンボルフローのL1−L2個の64QAM複素変調シンボルでは、送信元Src3によって送信された複素変調シンボルフローに対する干渉が制限される。その理由は、それらの複素変調シンボルが、送信元Src1及びSrc2並びに中継器RLによって同じリソースで送信されるからであり、また、プリコーディング行列ARが干渉中和を可能にするからである。
【0322】
先のフェーズの送信の結果として、L2個の16QAM複素変調シンボルベクトル94は、他の送信元によって送信された複素変調シンボルフローに対する干渉が制限される。Src1によって送信されたL2個のQPSK複素変調シンボル1010は、中継器RLから1012としても送信されるので、他の送信元によって送信された複素変調シンボルフローに対する干渉が制限される。その結果、等価チャネルEQV3において、これらのL2個の受信シンボル1110を結合したものは、他の送信元によって送信された複素変調シンボルフローに対する干渉が制限される。
【0323】
送信先Dest2におけるパッチの後、次のL2個のタイムスロット中に中継器RLによって転送される64QAM複素変調シンボル1111は再構成され、干渉中和プロセスを通じて中継器及び送信元Src2から同時に送信されるように見える。したがって、次のL2個のタイムスロット中、複素変調シンボル111は、送信元Src1によって送信された複素変調シンボル及び送信元Src3によって送信された複素変調シンボルフローFLS3に対して干渉しない。
【0324】
最後に、最後のL3−L1個のタイムスロット中、複素変調シンボルベクトル1103及び1106は、図4を参照して開示したように中継器RLによって転送される。
【0325】
複素変調シンボルフロー1121、1120、及び1122は、複素変調シンボルフロー1101、1110、及び1103に対してまだ干渉している。
【0326】
複素変調シンボルフロー1121、1120、及び1122は、複素変調シンボルフロー1102、1111、及び1106に対してまだ干渉している。
【0327】
送信元Src3によって送信された複素変調シンボルフローによってSrc1及びSrc2に対して生成される干渉は、次のフェーズを用いて少なくともL3個の新しいタイムスロットを完全にパッチし、128QAMを形成することによって完全に除去することができる。
【0328】
ここで、複雑性及び性能の理由から、中継器RLは、パッチを64QAMに制限することを決定することもでき、最初の中継された送信元についてのみパッチを適用するように選ぶこともできることに留意しなければならない。
【0329】
ここで、本発明の第1の実現態様及び第2の実現態様の一変形実現形態では、中継器RLは半二重中継器とすることもできることに留意されたい。
【0330】
その場合、中継器RLは、1つの情報ワードを成功裏にリトリーブすると複素変調シンボルの転送を開始するのではなく、少なくとも2つの異なる複素変調シンボルフローが導出される少なくとも2つの情報ワードを成功裏にリトリーブした際に複素変調シンボルの転送を開始する。
【0331】
当然のことながら、本発明の範囲から逸脱することなく、上記の本発明の実施形態に対して数多くの変更を行なうことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信先によって受信される干渉を制限する方法であって、干渉は無線通信ネットワークの同じリソースにおいて複数の送信元によって転送される複数の複素変調シンボルフローによって生成され、各送信元は複素変調シンボルフローを1つの送信先に向けて転送し、
該方法は、中継器によって実行されるステップであって、各複素変調シンボルフローについて:
− 複素変調シンボルを受信するステップと、
− 前記複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号し、該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブするステップと、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成するステップと、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる前記生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングするステップであって、該プリコーディング行列は、前記複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングするステップと、
− 前記プリコーディングされた複素変調シンボルを、前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に転送するステップと
を含むことを特徴とする、複数の送信先によって受信される干渉を制限する方法。
【請求項2】
前記プリコーディング行列は、前記送信元と前記送信先Destとの間のチャネル係数の行列及び前記中継器と前記送信先との間の行列に従って決定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる前記生成された複素変調シンボルをプリコーディングする前に:
− 前記情報ワードが成功裏にリトリーブされる前に前記送信元によって送信された少なくとも1つの複素変調シンボルが、前記中継器によって転送されていないか否かを確認するステップと、
前記情報ワードが成功裏にリトリーブされる前に前記送信元によって送信された少なくとも1つの複素変調シンボルが、前記中継器によって転送されていない場合に:
− 前記情報ワードが成功裏にリトリーブされる前に前記送信元によって送信された複素変調シンボルを生成するステップと、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成するステップと、
− 前記生成された複素変調シンボルを結合するステップと、
− 前記結合された複素変調シンボルを前記プリコーディング行列によってプリコーディングするステップと、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に、前記結合されてプリコーディングされた複素変調シンボルを転送するステップと
をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合されてプリコーディングされた複素変調シンボルを転送するのに用いられる変調を更新するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記生成された複素変調シンボルは、前記結合するステップ中に係数によって重み付けされ、該係数は前記生成されて結合された複素変調シンボルが直交振幅変調に属するように選ばれることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記中継器は半二重中継器であり、前記複素変調シンボルを生成して送信する前に、少なくとも2つの異なる複素変調シンボルフローの複素変調シンボルからの少なくとも2つの情報ワードが成功裏にリトリーブされたか否かを確認し、
前記複素変調シンボルの生成及び転送は、少なくとも2つの異なる複素変調シンボルフローの複素変調シンボルからの少なくとも2つの情報ワードが成功裏にリトリーブされた場合にのみ実行されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
複数の送信先によって受信される干渉を制限するデバイスであって、干渉は無線通信ネットワークの同じリソースにおいて複数の送信元によって転送される複数の複素変調シンボルフローによって生成され、各送信元は複素変調シンボルフローを1つの送信先に向けて転送し、
該干渉を制限するデバイスは中継器に含まれ、各複素変調シンボルベクトルフローについて:
− 複素変調シンボルを受信する手段と、
− 前記複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号し、該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブする手段と、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成する手段と、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる前記生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングする手段であって、該プリコーディング行列は、前記複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングする手段と、
− 前記プリコーディングされた複素変調シンボルを、前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に転送する手段と
を備えることを特徴とする、複数の送信先によって受信される干渉を制限するデバイス。
【請求項8】
複数の送信先によって受信される干渉を制限する方法であって、干渉は無線通信ネットワークの同じリソースにおいて複数の送信元によって転送される複数の複素変調シンボルフローによって生成され、各送信元は複素変調シンボルフローを1つの送信先に向けて転送し、
該方法は、各複素変調シンボルベクトルフローについて実行されるステップであって:
− 複素変調シンボルを受信するステップと、
− 前記複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号し、該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブするステップと、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成するステップと、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる前記生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングするステップであって、該プリコーディング行列は、前記複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングするステップと、
− 前記プリコーディングされた複素変調シンボルを、前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に中継器によって転送するステップと、
− 前記送信元及び前記中継器からの前記複素変調シンボルを前記送信先によって受信するステップと
を含むことを特徴とする、複数の送信先によって受信される干渉を制限する方法。
【請求項9】
複数の送信先によって受信される干渉を制限するシステムであって、干渉は無線通信ネットワークの同じリソースにおいて複数の送信元によって転送される複数の複素変調シンボルフローによって生成され、各送信元は複素変調シンボルフローを1つの送信先に向けて転送し、
該システムは:
− 複素変調シンボルを受信する手段と、
− 前記複素変調シンボルフローの複素変調シンボルを復号し、該複素変調シンボルが導出された情報ワードを成功裏にリトリーブする手段と、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる複素変調シンボルを生成する手段と、
− 前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信されることになる前記生成された複素変調シンボルをプリコーディング行列によってプリコーディングする手段であって、該プリコーディング行列は、前記複素変調シンボルフローによる他の複素変調シンボルフローに対する干渉を低減するように規定される、プリコーディングする手段と、
− 前記プリコーディングされた複素変調シンボルを、前記情報ワードから導出された前記複素変調シンボルフローを送信した送信元によって送信される複素変調シンボルと同時に中継器によって転送する手段と、
− 前記送信元及び前記中継器から転送された前記複素変調シンボルを前記送信先によって受信する手段と
を備えることを特徴とする、複数の送信先によって受信される干渉を制限するシステム。
【請求項10】
プログラマブルデバイス内に直接ロード可能とすることができるコンピュータープログラムであって、該コンピュータープログラムが前記プログラマブルデバイスで実行されると、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法のステップを実施する命令又はコード部を含む、コンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−85282(P2012−85282A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−207238(P2011−207238)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(503163527)ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ (175)
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands