説明

複数の部分を有するトレッドを備えた重車両

本発明は、車両、例えば輸送車両又は「土木工学」型車両であって、少なくとも2つのアクスルを有し、アクスルのうちの少なくとも一方は、対(ツイン)をなすと共にタイヤが取り付けられた少なくとも2つの組立体を有する。本発明によれば、これらツイン組立体に取り付けられたタイヤのトレッドの各々は、少なくともその外面に、互いに異なる物理化学的性質を備えたポリマー配合物で作られた少なくとも2つの円周方向部分を有し、各タイヤのトレッド中におけるポリマー配合物の分布状態は、2つのツイン組立体相互間の中間に位置する点を通る長手方向平面に関して対称である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両、例えば公共輸送車両又は「土木工学機械」型車両であって、少なくとも2つのアクスルシステムを有し、アクスルシステムのうちの少なくとも一方は、タイヤが取り付けられた少なくとも2つのツイン取付け型組立体を有するような車両に関する。
【0002】
本発明は、この種の用途には限定されないが、重量が300トンを超え、直径が3.5メートルを超え、軸方向幅が37インチ(93.98cm)を超える「ダンプ」型の車両に関して具体的に説明する。
【背景技術】
【0003】
一般に重量のある積荷を運搬するようになったかかる車両は、2本の操舵(ステアード)輪を有する操舵フロントアクスルシステムと、各側に1対ずつ分布して配置された4本の被駆動輪を有する通常は剛性のリヤアクスルシステムとを有する。
【0004】
アクスルシステムは、車両の固定構造体を路面に結合する1組のコンポーネントとして定義される。
【0005】
タイヤの円周方向又は長手方向は、タイヤの周囲に対応した方向であり、タイヤが走行する方向によって定められる。
【0006】
タイヤの横方向又は軸方向は、タイヤの回転軸線に平行である。
【0007】
半径方向は、タイヤの回転軸線と交差し、これに垂直な方向である。
【0008】
タイヤの回転軸線は、通常の使用の際にタイヤが回転する中心としての軸線である。
【0009】
半径方向又は子午面平面は、タイヤの回転軸線を含む平面である。
【0010】
円周方向平面は、タイヤの回転軸線に垂直な平面である。
【0011】
円周方向中間平面又は赤道面は、タイヤの回転軸線に垂直であり、タイヤを2つの半部に分割する平面である。
【0012】
特に積荷を運搬するために鉱山又は採石場で使用されることを目的する車両の場合、接近のしやすさ及び効率に関する要件が欠けているので、これら車両の製造業者は、これら車両の耐荷力(又は積載量)を増大させている。したがって、車両は、ますます大型化しており、かくして、ますます重くなり、ますます重い積荷を輸送することができることが当然に推定される。これら車両の現在の重量は、数百トンに達する場合があり、同じことは、輸送されるべき積荷にも当てはまり、総重量は、600トンという非常に重いものになる場合がある。
【0013】
現時点においては、上述したように、この種の車両、例えば鉱山で用いられる「ダンプ」は、これら要件を満たすために1対ずつツインの状態で4本の車輪が取り付けられた被駆動リヤアクスルシステムを備えている。
【0014】
その上、これら車輪のサイズ、従って、タイヤのサイズ及び特に底部ゾーンの剛性の結果として、タイヤをリムに取り付けることができるようにするためには、車輪は、数対ずつ製作されることが必要になっている。交換又は点検整備の際に生じるこれらタイヤの脱着は、時間がかかり且つ骨の折れる取り扱い作業を必然的に伴う。かかる作業中に取り扱わなければならない締め付け部品の数は、200を超える場合があり、これら部品と関連した締め付けトルクは非常に高い。したがって、これら作業を実施するのに要する時間は、長く、従って、これら鉱山の操業において求められている生産性にとって有害である。
【0015】
今日における需要は、これら車両の耐荷力の増大にこれまで以上に向かっている傾向があり、従って、本明細書において上述した種々のパラメータは、タイヤ内の空気の量を増大させるようタイヤの広幅化を招いた。これは、今日達成されたタイヤの直径(かかる直径は、4メートルのオーダーのものである)を増大させることは、特に、かかるタイヤの輸送と関連した理由で事実上不可能だからである。具体的に説明すると、これらタイヤのサイズは、輸送目的で、特に道路の幅及び橋の空き高によって制限されている。また、リムの直径を減少させることは事実上不可能である。というのは、このリムは、特に、駆動トルク伝達システム及び制動システムを収容するために用いられているからである。
【0016】
これらの研究中、本発明者は、確かにこれら「広幅」タイヤが運搬される積荷を増量させることができるが、かかるタイヤには種々の欠点があることを立証することができた。事実、試験結果の示すところによれば、これら車両の耐摩耗性は特にリヤアクスルシステムにツインの状態で取り付けられたタイヤに関する限り、特にタイヤ相互間に生じ、特にコーナリングの際に生じるトルク現象のため、低下する。タイヤの頻繁な交換により、これら車両の効率が低下する。今日における車両は、同一アクスルシステムの車輪相互間の差動装置を備えており、かかる差動装置は、これらの現象を軽減するためにアクスルシステムの対称軸の各側に位置決めされている。
【0017】
さらに、本発明者は、或る特定の積荷に関する或る特定の走行条件下において、特に湾曲した経路上における車両の操縦又は取り扱い性は、大幅に低下していることを立証した。具体的に説明すると、フロントアクスルシステムのタイヤを操舵角にわたって方向転換したとき、特に、車両が積荷を積載しているとき及び比較的小さな曲率半径でコーナリングした際、車両は、実質的に真っ直ぐな経路に沿って進むことが時々生じる。事実、或る特定の加重及び走行条件下において、上述したようにリヤアクスルシステムに4本のタイヤが取り付けられたこのような車両は、湾曲した経路において操縦することが不可能とはいわないまでも、非常に難しく、車両は、フロントアクスルシステムのタイヤによって課される操舵角に応動しない。滑りやすい表面、例えば泥、雪又は氷上を運転する際又はそれどころか小さな曲率半径でコーナリングする際にこのことに特に気付く場合があり、車両をコーナリングさせるためには大きな操舵角を適用する必要がある。また、これら条件により、フロントアクスルシステムのタイヤの裂け及び破損が生じる場合があり、従って、この場合も又、頻繁なタイヤの交換が行われる場合がある。
【0018】
他方、国際公開第WO00/71365号パンフレットは、タイヤの取付けを単純化する技術を記載しており、これらタイヤは、リムとして働くハブに直接取り付けられる。この場合、独立リングは、リム受座として働き、特に相補プロフィールによりハブに固定されたロック用リングによって定位置に保持される。
【0019】
かくして、本発明者は、特に車両の効率を向上させると共に車両が用いられると共に運転される条件がどのようなものであれ、これら車両の操縦性を向上させる目的で、耐摩耗性という観点において大型車のタイヤの性質を今日におけるタイヤの性質と比較して向上させる課題に取り組んだ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】国際公開第WO00/71365号パンフレット
【発明の概要】
【0021】
この目的は、本発明によれば、車両、例えば公共輸送車両又は「土木工学機械」型車両であって、少なくとも2つのアクスルシステムを有し、アクスルシステムのうちの少なくとも一方は、タイヤが取り付けられた少なくとも2つのツイン取付け型組立体を有する、車両において、2つのツイン取付け型組立体に取り付けられたタイヤのトレッドの各々は、少なくともその外面に、互いに異なる物理化学的性質を備えているポリマー配合物で作られた少なくとも2つの円周方向部分を有し、タイヤの各々のトレッド中におけるポリマー配合物の分布状態は、2つのツイン取付け型組立体相互間の中間に位置する点を通る長手方向平面に関して対称であることを特徴とする車両によって達成された。
【0022】
本発明の意味における取付け型組立体は、例えば、ホイールとタイヤとから成る。この取付け型組立体は、タイヤを車両に取り付けることができる任意他のシステム、例えば、国際公開第WO00/71365号パンフレットに記載されているタイヤ取付け技術であるのが良い。
【0023】
本発明者は、リヤアクスルシステムに取り付けられる従来型タイヤのツイン化により、タイヤに応力が生じ、かかる応力は、一方において、車両が湾曲した経路を辿っているときにタイヤの軸方向において不均一であるタイヤ摩耗を強め、他方、車両の操縦をかかる経路に関して困難にする応力が生じることを立証できた。
【0024】
本発明において定義したツイン化タイヤの使用により、特にカーブでのタイヤの摩耗が減少すると共に一様になる。具体的に説明すると、本発明の車両の設計により、タイヤ相互間に生じるトルクに起因した長手方向応力を減少させることができ、かかる長手方向応力は、特に車両がカーブを辿っているときに起こる。このようにして得られる一様なトレッド摩耗は、タイヤトレッドの形態を保つことができ、かくして、運転及び耐荷(荷重支持)の面においてタイヤの機能を最適化することを意味している。この一様な摩耗は又、特に湾曲した経路において経時的に満足のゆくトルク伝達を維持することができ、かくして、上述したロックアップ状況を回避し又は少なくとも制限することができ、従って、満足のゆく車両操縦性を保つことができるということを意味している。
【0025】
その結果、本発明のツイン化タイヤにより、車両の良好な操作が得られると共に頻繁なタイヤの交換が少なくなり、従って、良好な生産性が得られる。
【0026】
したがって、本発明によれば、2つのツイン化ホイールに取り付けられるタイヤは、互いに異なっている。2対のツイン化ホイールを有する同一のアクスルシステムでは、タイヤは、1対ずつ同一であることが可能である。第1の対をなすツイン化ホイールの軸方向内側のホイールに取り付けられるタイヤは、他方の対のツイン化ホイールのうちの軸方向外側ホイールに取り付けられるタイヤと同一である。このように、所与の走行期間後において、2つの同一のタイヤを交換(ローテーション)することによりタイヤ耐久性を向上させることができる。この種の用途にとって慣例であるこの交換により、タイヤの受ける応力を変えることができ、かくして、このタイヤは、ツイン化ホイール組立体上の軸方向内側位置から軸方向外側位置への交換が行われる。
【0027】
特に石ころだらけの路面上におけるダンプ型車両の運転に対応した本発明の第1の有利な実施形態によれば、ポリマー配合物で作られた2つのツイン取付け型組立体に取り付けられたタイヤのトレッドの軸方向外側円周方向部分は、トレッド表面の残部よりも高い剛性を有する。換言すると、トレッドの軸方向外側円周方向部分のポリマー配合物は、過度の摩耗を呈さないで滑りを許容することができる剛性を有する。
【0028】
これ又有利には、本発明のこの第1の実施形態によれば、ポリマー配合物で作られた2つのツイン取付け型組立体に取り付けられたタイヤのトレッドの軸方向外側円周方向部分の弾性率とタイヤのトレッドの軸方向内側円周方向部分の弾性率の比は、70%を超え又はこれに等しい。
【0029】
ゴム配合物の「弾性」という用語は、室温における10%変形率における割線モジュラスを意味している。
【0030】
ゴム配合物に関する限り、弾性率測定は、1988年9月のAFNOR−NFT−46002に準拠した張力下で行われ、呼称割線モジュラス(又は見掛けの応力)は、10%伸び率における単位がMPaの第2の伸び(即ち、順応サイクル後)で測定される(1979年12月のAFNOR−NFT−40101に準拠した通常の温度及び湿度条件)。
【0031】
軸方向内側位置及び軸方向外側位置は、ツイン化された組をなすタイヤに関して考慮されている。
【0032】
特に非常に僅かな旋回半径となりやすいコンクリート又はターマック型の表面上におけるフォークリフトトラック型の車両の走行に対応した本発明の第2の有利な実施形態によれば、ポリマー配合物で作られた2つのツイン取付け型組立体に取り付けられたタイヤのトレッドの軸方向外側円周方向部分は、トレッド表面の残部よりも低い剛性を有する。換言すると、トレッドの軸方向外側円周方向部分のポリマー配合物は、過度の摩耗を呈さないで変形を許容することができる剛性を有する。したがって、かかるタイヤは、有利には、トレッドのポリマー配合物の性状に合ったトレッドパターンを有し、これらトレッドパターンは、例えば、特に過度の摩耗なく変形を一段と増大させるために、トレッドの軸方向外側円周方向部分にサイピングされている。
【0033】
これ又有利には、本発明のこの第2の実施形態によれば、ポリマー配合物で作られた2つのツイン取付け型組立体に取り付けられたタイヤのトレッドの軸方向外側円周方向部分の弾性率とタイヤのトレッドの軸方向内側円周方向部分の弾性率の比は、30%を超え又はこれに等しい。
【0034】
本発明の実施形態の一変形形態では、2つのツイン取付け型組立体に取り付けられたタイヤの各々のトレッドは、少なくともこれらの外面に、軸方向に物理化学的性質の変化の勾配を有する。本発明の実施形態のこの変形形態によれば、トレッドの各々の物理化学的性質は、軸方向に連続して変化している。
【0035】
本発明の第1の実施形態によれば、2つのツイン取付け型組立体に取り付けられたタイヤの各々のトレッドの任意の円周方向平面において、物理化学的性質は、長手方向及び半径方向において同一である。本発明のこの第1の実施形態によれば、トレッドは、少なくとも2つの円周方向部分で構成され、各円周方向部分は、その厚さ全体にわたり、即ち半径方向に一様である。したがって、タイヤのトレッドは、その表面のところに、トレッドの摩耗とは無関係に、一定のままであるその物理化学的性質の分布状態を維持する。
【0036】
本発明の第2の実施形態によれば、2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤの各々のトレッドの任意の円周方向平面において、物理化学的性質は、長手方向において同一であり、半径方向において少なくとも1つの変化を呈している。本発明のこの第2の実施形態によれば、円周方向部分の各々は、少なくとも2つの半径方向に重ね合わされたポリマー配合物を有する。かかる実施形態により、場合によっては、半径方向外側の第1の層がいったん摩滅しても、例えばタイヤの各々の2つのショルダ部を構成する2つの円周方向部分の各々の切り替え特性を備えた半径方向に重ね合わされた層を選択することにより2つのツイン化ホイールに取り付けられている2つのタイヤの位置を交換することができる。
【0037】
車両の或る特定の形態によれば、車両のリヤアクスルシステムは、1対ずつ取り付けられた少なくとも4つのツイン取付け型組立体を有し、取付け型組立体に取り付けられているタイヤの各々は、本発明のタイヤである。
【0038】
別の車両の形態では、車両のフロントアクスルシステムは、1対ずつ取り付けられた少なくとも4つのツイン取付け型組立体を有する。
【0039】
他の形式の車両は、各々がツイン取付け型組立体を備えた数個のアクスルシステムを更に有するのが良く、取付け型組立体に取り付けられているタイヤの各々は、本発明のタイヤである。
【0040】
本発明は又、各々がツイン取付け型組立体を備える数個のアクスルシステムを有する車両に関し、取付け型組立体に取り付けられているタイヤを有するちょうど1つ又は数個のアクスルシステムは、本発明によるものである。
【0041】
本発明は又、有利には、上述した車両とフロントアクスルシステムのホイールレス式マウントの組み合わせのための手段を提供し、タイヤは、この目的のため、タイヤのビードのための受座を形成する取付け用の第1のリングを介すると共に第1のリング及びかくしてタイヤの正確な位置決めを保証するロック用の第2のリングを介してハブに取り付けられる。この取付け形態は、既に、上述の国際公開第WO00/71365号パンフレットに記載されている。この実施形態によれば、本発明では、ロック用リングを受け入れるための凹部をハブに設けることが必要であり、各タイヤは、これらリングのうちの2つの取付けを必要とする。このようにタイヤを車両に取り付けることにより、車両の生産性を一段と向上させることができ、タイヤは、交換が簡単且つ迅速になる。
【0042】
本発明の他の細部及び有利な特徴は、図1及び図2を参照して与えられる本発明の実施形態の幾つかの例についての説明から以下において明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の車両のアクスルシステムの略図である。
【図2】本発明の第2の実施形態の車両のアクスルシステムの略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図を理解しやすくするために、図は、縮尺通りには描かれていない。図2は、取付け型組立体の子午面平面を表わす軸線XX′に関して対称性を持続する取付け型組立体の半分のみを示している。
【0045】
図1は、それぞれタイヤ21,22及びタイヤ31,32を備えたツイン取付け型組立体の2つの対2,3を有する車両のアクスルシステム1を概略的に示している。アクスルシステム1の中間には、通常、アクスルシステム1の各側を横切る駆動力を分布する差動装置が設けられている。
【0046】
例えばこのようなアクスルシステム1は、例えば、全搭載重量が630トンオーダーのキャタピラ797ダンプ型の車両から取られている。
【0047】
この車両に取り付けられるタイヤは、アスペクト比H/Sが0.80に等しい大型タイヤであり、Hは、リム上のタイヤの高さ、Sは、タイヤがその常用リムに取り付けられてその推奨圧力までインフレートされたときのタイヤの最大軸方向幅である。これらは、サイズ59/80R63のタイヤである。
【0048】
本発明によれば、タイヤ21,22,31,32の各々は、互いに異なる物理化学的性質を備えたポリマー配合物で作られている2つの円周方向部分から成るトレッドを有している。配合物の性状は、トレッドにアルファベット文字“A”及び“B”で示されている。配合物“A”は、弾性率が7.7N/mm2のポリマー配合物であり、配合物“B”は、弾性率が4.3N/mm2のポリマー配合物である。配合物Aは又、0.3未満の摩擦係数を有し、配合物Bは、0.6を超える摩擦係数を有する。
【0049】
走行の際、これらポリマー配合物の分布状態及び選択により、特に、コーナリングの際、タイヤ相互間に生じる応力を減少させることができる。具体的に説明すると、より剛性であり、軸方向内側タイヤ22の軸方向内側ショルダ部のところ及び軸方向外側タイヤ23の軸方向外側ショルダ部のところに位置する配合物“A”により、大きな滑りの結果としてのこれらショルダ部の各々のそれぞれの駆動及び制動効果を減少させることができる。従来型タイヤの場合とは異なり、これらショルダ部の摩耗は、タイヤトレッドの他の部分と比較してコーナリングの際に促進されないことが推定される。
【0050】
図1の略図は又、タイヤ21,31を互いに交換できることを示している。同じことは、タイヤ22,32について当てはまる。タイヤのこの交換により、タイヤを車両上の異なる場所に位置決めすることによって、これらコンポーネントのさらなる疲労を許容することができ、これらコンポーネントは、異なる場所の各々で異なる応力を受ける。
【0051】
同一の道筋に沿って走行した2つの同一の車両について試験を実施した。車両は、1対ずつツイン化されたリヤアクスルシステムに取り付けられた4本のタイヤを有していた。第1の車両は、本発明のタイヤを備え、第2の車両は、従来型タイヤを備えていた。トレッドのみが、種々のタイヤで異なっていた。実施した走行結果の実証するところによれば、本発明の車両は、実質的に円筒形の形を維持することができる一様なタイヤ摩耗を示し、これに対し、第2の車両のタイヤの摩耗は、不均一であり、摩耗は、ツイン化組立体を考慮した場合、タイヤの軸方向外側縁部のところで顕著であった。
【0052】
また、タイヤの摩耗が目に見えたとき、本発明の車両の操縦は、特に比較的小さい曲率半径の湾曲した経路を辿るその性能に関して良好であった。
【0053】
図2は、タイヤ221,222及びタイヤ231,232並びにホイール223,224及びホイール233,234をそれぞれ有するツイン取付け型組立体の2つの対22,23を有する車両のアクスルシステム21を概略的に示している。
【0054】
図1の場合と同様、トレッドの表面のところに存在するポリマー配合物は、軸方向に様々である。かくして、タイヤ221,222,231,232の各々は、その表面のところに、互いに異なる物理化学的性質を備えたポリマー配合物で作られた2つの円周方向部分を含むトレッドを有している。図1の場合と同様、配合物の性状は、トレッド上にアルファベット文字“A”及び“B”で示されている。トレッドの表面のところに存在するポリマー配合物は、これらの初期状態では、図1のポリマー配合物と同一である。しかしながら、所与の量のトレッド摩耗後、図2は、配合物“A”の摩滅が配合物“B”を露出させ、配合物“B”の摩滅は、配合物“A”を露出させる。したがって、これらタイヤのトレッドの表面のところの性質は、これらの初期状態と比較して逆になる。本発明の構成に戻るため、例えば、タイヤ221,222と例えばタイヤ231,232を交換することが必要である。図1を参照して上述したように、この作業は、これにより事実本発明のタイヤを車両アクスルシステムの場所の全てに用いることができ、従って、タイヤの受ける、より具体的にはそのコンポーネントの受ける応力及び従って疲労を最適に均等にすることができるので有益である。
【0055】
本発明は、これら実施形態の説明に限定されるものと受け取られてはならない。例えば、本発明の車両に取り付けられたタイヤのトレッドは、互いに異なる物理化学的性質を備えたポリマー配合物で作られる3つ以上の円周方向部分から成っていても良い。トレッドは、物理化学的性質が表面で次第に変化するポリマー配合物から成っていても良い。
【0056】
本発明を本質的にダンプ型の土木工学機械車両に関して説明したが、タイヤが不均一な摩耗を招く幅のものであるツイン取付け型組立体を有するアクスルシステムを備えた車両又はそれどころか、ツイン取付け型組立体を有するアクスルシステムを有し、この使用により、小さな曲げ半径でコーナリングすることが必要な車両に利用できることは理解されなければならない。
【0057】
本発明は又、ツイン取付け型組立体を備えた1つ又は2つ以上のアクスルシステムを有する車両に利用され、本発明のタイヤのトレッドの特性は、これらタイヤが駆動されるにせよ、操舵されるにせよ、荷重を支持するにせよ、或いはこれら特性のうちの2つ又は3つ以上を組み合わせるにせよ、いずれにせよ、1つ又は数個のアクスルシステムのタイヤに利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両、例えば公共輸送車両又は「土木工学機械」型車両であって、少なくとも2つのアクスルシステムを有し、前記アクスルシステムのうちの少なくとも一方は、タイヤが取り付けられた少なくとも2つのツイン取付け型組立体を有する、車両において、前記2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤのトレッドの各々は、少なくともその外面に、互いに異なる物理化学的性質を備えているポリマー配合物で作られた少なくとも2つの円周方向部分を有し、前記タイヤの各々の前記トレッド中における前記ポリマー配合物の分布状態は、前記2つのツイン取付け型組立体相互間の中間に位置する点を通る長手方向平面に関して対称である、車両。
【請求項2】
ポリマー配合物で作られた2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤの前記トレッドの軸方向外側円周方向部分は、前記トレッド表面の残部よりも高い剛性を有する、請求項1記載の車両。
【請求項3】
ポリマー配合物で作られた2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤの前記トレッドの軸方向外側円周方向部分の弾性率と前記タイヤの前記トレッドの軸方向内側円周方向部分の弾性率の比は、70%を超え又はこれに等しい、請求項1又は請求項2記載の車両。
【請求項4】
ポリマー配合物で作られた2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤの前記トレッドの軸方向外側円周方向部分は、前記トレッド表面の残部よりも低い剛性を有する、請求項1記載の車両。
【請求項5】
ポリマー配合物で作られた2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤの前記トレッドの軸方向外側円周方向部分の弾性率と前記タイヤの前記トレッドの軸方向内側円周方向部分の弾性率の比は、30%を超え又はこれに等しい、請求項1又は請求項4記載の車両。
【請求項6】
2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤの各々の前記トレッドは、少なくともこれらの外面に、軸方向に前記物理化学的性質の変化の勾配を有する、請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両。
【請求項7】
2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤの各々の前記トレッドの任意の円周方向平面において、前記物理化学的性質は、長手方向及び半径方向において同一である、請求項1乃至6の何れか1項に記載の車両。
【請求項8】
2つのツイン取付け型組立体に取り付けられた前記タイヤの各々の前記トレッドの任意の円周方向平面において、前記物理化学的性質は、長手方向において同一であり、半径方向において少なくとも1つの変化を呈している、請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両。
【請求項9】
前記車両のリヤアクスルシステムは、1対ずつ取り付けられた少なくとも4つのツイン取付け型組立体を有する、請求項1乃至8の何れか1項に記載の車両。
【請求項10】
前記車両のフロントアクスルシステムは、1対ずつ取り付けられた少なくとも4つのツイン取付け型組立体を有する、請求項1乃至9の何れか1項に記載の車両。
【請求項11】
前記タイヤは、前記タイヤのビードのための受座を形成する取付け用の第1のリングを介すると共に前記第1のリングの正確な位置決めを保証するロック用の第2のリングを介してハブに取り付けられ、前記第2のリングは、特に、前記ハブ内に形成されたハウジングと相補するプロフィールの結果として前記ハブに固定されている、請求項1乃至10の何れか1項に記載の車両。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−500400(P2011−500400A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528388(P2010−528388)
【出願日】平成20年10月8日(2008.10.8)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063478
【国際公開番号】WO2009/047271
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)