説明

複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティに投入する工程を制御する方法および装置

本発明は複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティに投入する工程を制御する方法に関する。特に、本発明による方法は、鋼ストリップ(1)を溶融状態の複数の金属で浸漬コーティングするために、複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティ(2,3)に投入する工程を制御するように構成されており、第1金属が当該第1金属の含有量の高い少なくとも1つの第1インゴット(10)の形態で投入され、第2金属が前記第1金属と当該第2金属との合金からできた少なくとも1つの第2インゴット(11)の形態で投入される。本発明による方法は、前記第2インゴットの第2金属含有量は前記インゴットからの所期の総メルトフローを保証する主要含有量範囲から選択され、前記主要含有量範囲は、前記インゴットの融点間の差が最小化されるように、順次増大する値の限定範囲から選択されることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1および9に記載されているように、複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティに投入する工程を制御する方法および装置に関する。
【0002】
本発明は主に連続ラインでの圧延鋼ストリップの金属浸漬コーティングに、とりわけコーティングの化学的分析の制御に関する。
【0003】
連続ラインでの圧延鋼ストリップの金属浸漬コーティングは公知の技術であり、基本的に2つの実施形態からなる。そのうちの一方では、焼きなまし炉を出たストリップが溶融コーティング金属の中へ斜めに降りていき、前記溶融金属中に沈められたロールによって垂直上方に方向転換される。他方の実施形態では、ストリップは炉を出ると垂直上方に方向転換され、磁気的に浮かせた溶融金属を含む垂直チャネルを通って移動させられる。
【0004】
両方の場合とも、操作の目的は鋼ストリップ表面に連続した付着性の金属コーティングを固着させることである。
【0005】
溶融金属から出たとき、ストリップの両面には溶融皮膜があるが、この溶融皮膜は所望の厚さになるまで電磁デバイスまたはガスジェット装置によってワイプされる。続いて、ワイプされた溶融皮膜は固化するまで冷却される。ストリップの両面に固着して失われたコーティング金属の消費分は溶融金属浴にインゴットを付加することで補填される。周知のように、これらインゴットはベルトコンベア設備によって溶融浴にもってこられ、浴レベルの測定に基づいた指令に従って手作業または自動で溶融金属浴に投入される。より正確にインゴットを浴に投入するために、特にインゴットが突然落下するのを防ぐために、例えばWO2007137665に記載されている装置のような、様々な精巧さの装置が提案されてきている。
【0006】
例えば亜鉛めっきで使用されるような金属コーティングは一般に亜鉛やアルミニウムのような少なくとも2つの異なる金属の合金を使用する。ストリップに固着させる合金の等級に応じて、適切な組成のインゴットをコーティング浴に供給しなければならない。これは特定の等級のインゴットを供給することによって為しうるが、一般的には、標準的な組成のインゴット(例えば、あるものは合金化材料を含み、またあるものは比較的高い割合の合金化材料を含む)を、ストリップ上に平均して所望の等級が保証されるような順序で交互に投入する。刊行物KR20020053126には、消費分を日々計算するこのようなインゴット供給システムが記載されている。
【0007】
しかし、適用されるコーティングの種類によっては、コーティング中の合金化材料の所期の量が実際に消費される量とは異なることがありうる。このことは亜鉛とアルミニウムとの合金による亜鉛めっきの場合に特に当てはまる。
【0008】
実際、溶融混合物との接触により、鋼ストリップ中の鉄は融解する。鋼ストリップ中の鉄は、一方ではストリップ表面に約0.1μmのFe2Al5Znxの化合物層を形成することに寄与し、その一方でFe2Al5Znxが連続的に形成されなければ、溶融混合物の浴の中へと拡散する。Fe2Al5Znx層が保護亜鉛層のベースとして機能するのに対して、融解した鉄はドロスとして知られるFeとAlとZnとのデポジットの溶融混合物の形成の一因となる。その一方で、ステンレス鋼ボトムロールとその支持アームのような浴の中に沈められた鋼部材も浴中で鉄の融解を被り、ドロス形成の一因となる。これら化合物のアルミニウムの割合は固着した合金層のアルミニウムの割合よりも大きいので、アルミニウムの総消費量は合金層をストリップの両面に付着させた場合に厳密に必要となる量よりも僅かに大きい。したがって、必要なアルミニウム含量はコーティングとストリップ表面に形成されたFe2Al5Znx層とドロスとにおけるアルミニウム消費量の合計から決定されなければならない。
【0009】
しかし、コーティング中の所望の含有量が同じでも、浸漬時間(つまり、他の条件が等しいならば、ライン速度)、浴温度、形成されるドロスの量などのさまざまな要因が、アルミニウム消費量の多かれ少なかれ有意な違いをもたらす。
【0010】
したがって、コーティング層中の合金化金属の理論上の消費量のみに基づいたインゴット供給システムは不適切である。その一方で、化合物層とドロスとにおける付加的な消費量の推定は、静的な動作条件下の設備の静的な動作データとFe2Al5Znx形成の理論上の反応速度とに基づいているので、不正確なままである。ほとんどの場合、インゴットの供給は溶融浴から採ったサンプルの定期的な化学的分析に裏打ちされたオペレータの経験に基づいている。刊行物US5,256,272に記載されているような電気化学センサに基づいたある種の連続測定技術も、これら測定機器の脆弱さと信頼性の低さにもかかわらず使用されている。
【0011】
しかし、こうした状況を改善するために、いくつかの改良も提案されている。例えば刊行物KR20040057746では、アルミニウムを20%含有するインゴットと純亜鉛インゴットを交互に投入する速度を制御するために、浴のアルミニウム含有量を「一定の間隔」で直接測定することが提案されている。しかし、この代替案は不完全である。というのも、長期にわたる管理が難しいということを別にしても、アルミニウム含有量の測定は、20%のアルミニウムを含む含まないにかかわらず、インゴットの投入と融解に必要な反応時間のせいで、測定結果に依存して不連続となるので、上記方法が理論上の計算以上に正確になることはないからである。
【0012】
第1コーティング金属としての亜鉛の含有量と特に合金化された第2金属としてのアルミニウムの含有量とのより良い連続的調量のための代替案は、WO2008/105079の複数の装置によって説明される。第1装置は、亜鉛とアルミニウムがそれぞれ溶融された形で収められた、つまり、亜鉛の融点とアルミニウムの融点、すなわち420℃と〜660℃を超えた温度の亜鉛とアルミニウムが収められた2つの別々のタンクを有している。これら2つの溶融金属は(およそ460℃の温度の)コーティング容器の中に投入される。コーティング容器では、溶融金属とコーティング浴との間の大きな温度差および温度勾配のため、不可避的に大量のドロスが形成される。第2装置は、固体金属ストリップの形態の亜鉛とアルミニウムを巻き出して、所要の含有量と浴レベルとに従って制御された速度および含有量でコーティング浴に投入するためのものである。ここでも温度勾配は避けられない。なぜならば、少なくとも純アルミニウムは、融解した状態でコーティング浴中に混ぜるには、コーティング浴に入れる前に少なくとも〜660℃の温度まで加熱されなければならないからである。最後に、第3装置が溶融亜鉛と溶融アルミニウムをそれぞれ別個に収めた2つの別々のタンクを1つの中間タンクに注ぐ。中間タンクでは、過度の温度勾配のせいで大量のドロスが形成される。この装置はコーティング浴を中間浴内のドロスから隔離できるという利点を有しているが、中間浴は大量のドロスが形成されるために頻繁に空にする必要がある。一般にこれらの装置では、非常に急な温度勾配のせいで厄介なドロスが同様に大量に形成されるため、ストリップのコーティングに使用できる金属がかなり失われることは避けられない。この欠点はコーティングに使用できる金属が過度に消費されるという不必要な付加的コストを負わせるだけでなく、形成されたドロスの大規模な再処理を要するため環境面でも大きな制約を課す。
【0013】
したがって、本発明は急な温度勾配を伴う方法および装置を避け、熔解される金属インゴットまたは金属合金インゴットを使用することを基礎とする。
【0014】
それゆえ本発明の課題は、インゴットの形態の複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティに投入する工程を制御する方法および装置において、投入された金属とキャビティの内容物との温度勾配が最小となるようにすることである。
【0015】
このような方法および装置は請求項1および9に記載されている。
【0016】
本発明の利点は従属請求項に示されている。
【0017】
鋼ストリップを溶融金属で浸漬コーティングするために複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティに投入する工程を制御する方法であって、
−第1金属が当該第1金属の含有量の高い少なくとも1つの第1インゴットの形態で投入され、
−第2金属が前記第1金属と当該第2金属との合金からできた少なくとも1つの第2インゴットの形態で投入される
制御方法に基づき、本発明による方法では、
−第2インゴットの第2金属含有量が、複数のインゴットの所期の総メルトフローを保証する主要含有量範囲から選択され、
−前記主要含有量範囲は複数のインゴットの融点間の差が最小化されるように順次増大する値の限定範囲から選択される。
【0018】
キャビティとはここでは、通常のコーティングポットもしくは磁気的に浮かせたコーティングポット、またはコーティングポットに付属する前記インゴットを融解させるための容器である。本発明による制御方法が実行される鋼ストリップの亜鉛めっきラインの場合、第1金属は亜鉛でできており、第2金属は主にアルミニウムでできている。しかし、本発明はこれら2つの金属と、選択されたコーティングの種類に応じたこれら個々の金属の合金とに限定されない。より重要なことは、一つには、例えば2つの金属のうちの一方が高い融点を必要とするような合金インゴットが使用されるおかげで、インゴットの全体的な融点がもう一方の合金化金属の存在のおかげで低くとどまるということである。
【0019】
さらに、主要含有量範囲が上記のように選択されれば、たとえ1つまたは複数のインゴットがキャビティに浸漬されたり、またはキャビティから取り出されたりしても、この含有量範囲内で均一かつ連続的なインゴット融点範囲を得ることができる。したがって、有利にはインゴットをキャビティに投入したときの急な温度勾配を避けることができる。
【0020】
もちろん、第2インゴットと同様に、第2インゴットと同じ合金種であるが、第2金属または別の金属の主要含有量が考慮している主要含有量範囲内で第2インゴットの主要含有量とは異なっている少なくとも1つの第3インゴットをキャビティに投入してもよい。同様に、必要ならば、含有量のもっと大きな変化が得られるように、異なる複数の主要含有量範囲を用いてもよい。複数の範囲の含有量の間に大きな差が必要ならば、これらの範囲の間の含有量を持つ少なくとも1つのインゴットを使用することによって、これらの範囲を階段状にすることが可能である。この場合もまた含有量の差が減少するので、必要な融点の突然の変化は有利なことに吸収される。
【0021】
インゴットのうちで少なくとも第1金属と第2金属からできた合金の形態の1つのインゴットの必要な融点とキャビティ内の浴に課せられた温度との差を考慮して、第2金属含有量の範囲は理想的には本発明による範囲の中で、前記インゴットの相図の少なくとも1つの共融点の周りに位置する(前記相図は前記インゴットの合金化金属の割合に依存して各インゴットの合金の融点を表している)。実際、特に共融点の近傍では、合金は初めは合金を構成する各金属の融点よりも低い必要な最低融点を示すので、浴の温度にずっと近い。したがって、温度差を最小化することが可能であるのと同時に、共融点を囲む限定範囲内で主要含有量範囲を変更することができる。この目的で、これらの順次増大する含有量範囲に対応するインゴットが浴に投入されたり、浴から取り出されたりする。もちろん、本発明の目的ではこのインゴットの理想的な選択は不変であるが、本発明では付加的に、第2金属含有量の限定範囲から(したがって共融点からも)遠く離れた主要含有量範囲内にあるインゴットを一時的に投入してもよい。
【0022】
鋼ストリップの浸漬亜鉛めっきを例にとると、第1金属は亜鉛Znでできており、第2金属はアルミニウムAlでできており、主要含有量範囲はZn-Al合金の最低融点(例えば4.5%のAlの場合には390℃以上の融点)に対応するZn-Al合金の相図の共融点の周りのアルミニウム含有量範囲から選択される。
【0023】
例えばこの種のZn-Al合金に対する主要な亜鉛めっきに使用される様々な含有物でできた多様なインゴットが知られており、これらは本発明による主要含有量範囲に従って等級付けすることができる。
【0024】
例えば、従来の亜鉛めっきの場合、"GI"と呼ばれる範囲は[0;1%](より好ましくは[0;10%])の範囲内のアルミニウム含有量を規定している。これはASTM規格B852−07に対応しており、インゴットのアルミニウム含有量を0.25、0.35、0.45、0.55、0.65、0.75または1%と指定することにより、主要含有量範囲を選択することができる。アルミニウムに関する要件が付加的かつ一回限りならば、ASTM B860−07のような別の規格に準拠した4、5または10%の高いアルミニウム含有量の付加的なインゴットを用いて先行する範囲を拡大したり、または逆に純亜鉛インゴットを使用することが可能である。
【0025】
所定の規格に従った他の種類の亜鉛めっきは付加されるアルミニウムの含有量をより低く規定しているが("GA"と呼ばれる範囲は[0;1%]の範囲のアルミニウム含有量を指定している)、本発明では、ASTM B852−07のような他の規格に合う限定範囲内の主要含有量範囲を提供することができる。この場合、本発明によれば、少なくとも1つのインゴットはASTM規格で知られているインゴットのように純亜鉛を含んでいてよい。
【0026】
いくつかの合金、例えばGALFAN(R)ブランドの名で市販されている合金も、[4.2−6.2%](時には[0;10%])とアルミニウム含有量範囲が高い。この高いアルミニウム含有量範囲は、Zn-Al相図の共融点に近い限定された領域に留まりつつ、場合によっては、本発明において通常の含有量よりも高い主要含有量範囲を定めるのに使用できる。
【0027】
この例を要約すると、第1金属が亜鉛でできており、第2金属がアルミニウムでできている場合、主要含有量範囲は主に[0,10%]のアルミニウム含有量範囲から選択されるが、より低い程度で、より高い含有量範囲からも選択される。
【0028】
したがって有利には、主要含有量範囲はインゴット合金の相図の融点の限定的な変化と関連した含有量値の少なくとも1つの範囲から選択される、理想的には、前記範囲の値を本発明の目的に適したインゴット合金の共融点の近傍でずらしながら選択することによって選択される。
【0029】
本発明による方法では、
−第1インゴットと少なくとも1つの第2インゴット(合金)との実行中の投入が、キャビティ内の最終的に溶融状態の金属および/またはコーティングされたストリップ上の固体金属の各含有量の測定値に応じて制御される。
−第2インゴットのうちのどれを投入すべきか選択するために、一方では第2インゴットの少なくとも1つの第2金属の含有量が、キャビティ内の溶融金属の一定のレベルを維持するために複数のインゴットからの所期の総メルトフローを保証する主要含有量範囲から選択される。
−他方では、キャビティ内のインゴットの実際の総メルトフローが測定され、各インゴットの実際の部分メルトフローを求めるために、キャビティ内の各金属の測定された含有量と関連付けられる。
−実際の総メルトフローと所期の総メルトフローとの間に差があれば、少なくとも1つのインゴットをキャビティに浸す深さを変えることによって、この差を埋め合わせるように各インゴットの少なくとも1つの実際の部分メルトフローが再調節される。
【0030】
このようにしてインゴットの融解を非常に細かく制御することができるので、溶融物の突然の流出を伴った、および/または部分的な含有量が過度にかけ離れたインゴットの逐次的投入は不要である。
【0031】
インゴットの複合融解の実際の総メルトフローと各金属の測定された含有量との関連付けは、溶融コーティング中の第2金属の所期の含有量(Al%x)と複数の第2インゴットの各々の第2金属含有量(Al%1,…,Al%n)とキャビティ内の溶融金属レベルを一定に保つのに必要な新しい溶融金属の総メルトフロー(Qx)を含む均衡式(A)が維持されるように、同時に投入された各インゴットの融解の部分メルトフローを求めることによって行われる。
Al%x*Qx=[(Al%1*Q1)+...+(Al%n*Qn)] (A)
ここで、前記各含有量は主要含有量範囲内であり、前記所期の総メルトフロー(Qx)も複数(n)の第2インゴットの各々の同時的な部分メルトフロー(Q1,…,Qn)の和によって埋め合わされる。
【0032】
第2金属と同様に、上記した第2インゴット種または第3インゴット種の合金化合物の形態で少なくとも1つの第3金属をキャビティに投入してもよい。したがって、上式はこの第3金属の部分メルトフロー/含有量を考慮してこの第3金属に適用することができる。同じことは、上記したアルミニウムのような、第2金属種の他の任意の付加金属にも当てはまる。同様に、第1金属と同じように、少なくとも1つの付加金属をこの付加金属の含有量の高いインゴットの形態でキャビティに投入してもよい。
【0033】
したがって、本発明は上記の方法を実行する装置を提案する。以下に、この装置を実施例と図面に基づいてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティに投入する工程を制御する本発明の装置を示す。
【0035】
図1には、複数の金属(Zn,Al,…)をこれら金属を融解するためのキャビティ(2,3)の中にインゴット(10,11)の形態で投入する工程を制御する方法を実行する装置が示されている。ここで、キャビティは(例えばキャビティ内ストリップ方向転換ボトムロール(6)と、キャビティ上方の垂直方向転換支持ロール(7)とを含む)通常のコーティングポット(2)もしくは磁気的に浮かせたポット、または導管(8)を介してコーティングタンク(2)に接続された、前記インゴット融解用の補助ポット(3)である。図1に示されている装置は、
−キャビティ内のインゴットの融解によって生じた溶融金属のレベル(20)を測定するための測定装置(21)と、
−インゴットの融解から生じた金属の含有量を測定するための少なくとも1つの測定装置(22,23)と、
−前記測定装置(21,22,23)からレベルと含有量の測定値を受け取り、各金属に応じて実際の全体メルトフローと部分メルトフローを提供し、前記実際値を所定の均衡式に従って補正された値へと調整するコンピュータ(4)と、
−補正されたメルトフロー値を受け取り、補正命令を出すコントローラ(5)と、
−少なくとも1つのインゴットの各々を融解が行われるキャビティに投入する際の投入深さを変更する装置(9)と
を有している。なお、前記変更装置はコントローラからの補正命令によって制御され、インゴットの投入または取り出しは、本発明による方法に関連して説明したように、インゴットの金属が選択された主要含有量範囲内にあるという条件で行われる。
【0036】
したがってインゴットは、インゴット融点の差を避けるために、変更装置(9)によって主要含有量範囲との相関関係において配置および移動させられる。
【0037】
したがって、インゴットの融点間の差が最小化されるように、順次増大する値の限定範囲から選択された範囲によって課される条件に従って1つまたは複数のインゴットを投入する適切なシーケンスを決定するコントローラ(5)において、均衡式(A)を考慮するようにしてよい。
【0038】
含有量測定装置(22、23)はLIBS(= Laser Induced Breakdown Spectroscopy)レーザスペクトロメータまたは関連する金属の1つを測定する少なくとも1つの電気化学センサを含むものであってよい。これら測定装置の少なくとも1つは、溶融混合物の含有量特性または所望のコーティング特性に応じて、溶融金属のレベルに(ケース22)および/またはコーティングされたストリップのレベル(ケース23)に配置することが可能である。
【0039】
レベル(20)を測定する装置(21)は、場合により、溶融金属表面上のフロート、例えば、溶融金属を補助融解ポット(3)からコーティングポット(2)に移すための導管の高さにある浮き、前記溶融金属表面のレベルを測定するレーダーまたは光学的手段である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼ストリップ(1)を溶融状態の複数の金属で浸漬コーティングするために、複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティ(2,3)に投入する工程を制御する方法であって、
−第1金属が当該第1金属の含有量の高い少なくとも1つの第1インゴット(10)の形態で投入され、
−第2金属が前記第1金属と当該第2金属との合金からできた少なくとも1つの第2インゴット(11)の形態で投入される、
制御方法において
−前記第2インゴットの第2金属含有量は前記インゴットからの所期の総メルトフローを保証する主要含有量範囲から選択され、
−前記主要含有量範囲は、前記インゴットの融点間の差が最小化されるように、順次増大する値の限定範囲から選択される、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記第2インゴットと同様に、前記第2インゴットの合金種であって、前記第2インゴットとは第2金属の主要含有量の異なる少なくとも1つの第3インゴットが前記キャビティに投入される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
−前記第1インゴットと、前記第2インゴットの少なくとも1つのインゴットとの実行中の投入が、前記キャビティ内の最終的に溶融状態の金属および/またはコーティングされたストリップ上の固体金属の各含有量の測定値に依存して制御され、
−前記第2インゴットのうちのどれを投入すべきか選択するために、一方では前記第2インゴットの少なくとも1つの第2金属含有量が、前記キャビティ内の溶融金属の一定のレベルを維持するために前記インゴットからの所期の総メルトフローを保証する前記主要含有量範囲から選択され、
−他方では、前記キャビティ内の前記インゴットからの実際の総メルトフローが測定され、各インゴットの実際の部分メルトフローを求めるために、前記キャビティ内の各金属の測定された含有量と関連付けられ、
−実際の総メルトフローと所期の総メルトフローとの間に差があれば、前記インゴットの少なくとも1つを前記キャビティに浸す深さを変えることにより、前記差が埋め合わされるように各インゴットの少なくとも1つの実際の部分メルトフローが再調節される、
請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
溶融コーティング中の第2金属の所期の含有量(Al%x)と複数(n)の第2インゴットのそれぞれの第2金属含有量(Al%1,…,Al%n)と前記キャビティ内の溶融金属レベルを一定に保つのに必要な新しい溶融金属の総メルトフロー(Qx)とを含む等式
Al%x*Qx=[(Al%1*Q1)+...+(Al%n*Qn)]
が保存されるように、同時に投入された各インゴットの融解の部分メルトフローが求められ、
前記所期の総メルトフロー(Qx)も前記複数(n)の第2インゴットの同時的な部分メルトフロー(Q1,…,Qn)の和によって補償される、
請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記第2金属と同様に、少なくとも1つの第3金属がインゴット合金化合物の形態で前記キャビティに投入される、
請求項1から4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記第1金属と同様に、少なくとも1つの付加的な金属が当該金属の含有量が高いインゴット合金化合物の形態で前記キャビティに投入される、
請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記主要含有量範囲は、インゴット合金の相図の融点の限定的な変化に関連した含有量値の少なくとも1つの範囲から、理想的には前記インゴット合金の少なくとも1つの共融点の近傍において前記範囲の値をずらしながら選択することによって、選択される、
請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記第1金属は亜鉛でできており、前記第2金属はアルミニウムでできており、前記含有量主要範囲は主に[0%;1%]内のアルミニウム含有量範囲から選択され、まれに、より高い含有量範囲から選択される、
請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
鋼ストリップ(1)を請求項1から8のいずれか1項記載の溶融金属の形態の複数の金属で浸漬コーティングするために、前記複数の金属を当該金属を融解するためのキャビティ(2,3)にインゴット(10,11)の形態で投入する工程を制御する方法を実行するための装置であって、
−前記キャビティ内での前記インゴットの融解から生じた溶融金属のレベル(20)を測定するための測定装置(21)と、
−前記インゴットの融解から生じた金属の含有量を測定するための少なくとも1つの測定装置(22,23)と、
−前記測定装置(21,22,23)から前記レベルと前記含有量の測定値を受け取り、各金属に応じて実際の全体メルトフローと部分メルトフローを提供し、前記実際値を所定の均衡式に従って補正された値へと調整するコンピュータ(4)と、
−前記補正されたメルトフロー値を受け取り、補正命令を出すコントローラ(5)と、
−前記インゴットの少なくとも1つを融解の行われる前記キャビティに投入する際の投入深さを変更する装置(9)とを有しており、
前記変更装置は前記コントローラからの補正命令により制御され、前記インゴットの投入または取り出しは、前記インゴットの金属が選択された主要含有量範囲内にあるという条件で行われる、
ことを特徴とする装置。
【請求項10】
前記含有量測定装置はLIBSレーザスペクトロメータまたは少なくとも1つの電気化学センサを含んでいる、
請求項9記載の装置。
【請求項11】
前記レベル測定装置(MN)は溶融金属表面上のフロート、前記溶融金属表面のレベルを測定するレーダーまたは光学手段である、
請求項9または10記載の装置。

【図1】
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【公表番号】特表2012−508823(P2012−508823A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543786(P2011−543786)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001607
【国際公開番号】WO2010/055211
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(503087245)シーメンス ヴェ メタルス テクノロジーズ エスアーエス (19)
【氏名又は名称原語表記】Siemens VAI Metals Technologies SAS
【住所又は居所原語表記】51 rue Sibert, F−42400 Saint−Chamond, France
【Fターム(参考)】