説明

複数ガスモニター同時校正装置および携帯用ガスモニターの更新処理方法

【課題】 複数台の携帯用ガスモニターの全部について同時校正が可能であり、また、一連の更新処理を短時間で行うことができ、しかも高い利便性を有する新規な構成の複数ガスモニター同時校正装置およびガスモニターの更新処理方法の提供。
【解決手段】 同時校正装置は、校正用ガスが順次に供給されるよう接続された複数の校正モジュールと、各部の動作制御および情報処理を行う制御機構を備えた装置本体とよりなり、各校正モジュールには、供給側ガス流路に流路開閉弁が設けられていると共に排出側ガス流路に逆止弁が設けられており、逆止弁は、その自重によりガス流路を閉止すると共にガスの圧力によりガス流路を開放する弁体を有するものである。各校正モジュールは、ガスモニターの情報を当該モジュールに設けられた記録手段に一旦記録した後、装置本体に転送する情報通信機能を有すると共に、充電用出力端子が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数の携帯用ガスモニターについての校正処理を同時に行うための複数ガスモニター同時校正装置および携帯用ガスモニターの更新処理方法に関し、詳しくは、情報通信機能および充電機能を備え、携帯用ガスモニターに記録された監視動作に係る監視データの情報伝達処理、ガス検知部の校正処理および携帯用ガスモニターの電池の充電処理などの、次に携帯用ガスモニターを使用するための更新処理を行うための複数ガスモニター同時校正装置および携帯用ガスモニターの更新処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば地下の工事現場や坑道、その他の人が立ち入る場所や作業領域などにおいて、その環境の空気中に一酸化炭素ガスや硫化水素ガスなどの危険性ガスが含有されるおそれがある場合や、空気中の酸素ガス濃度が低下しているおそれがある場合など、環境雰囲気の空気が危険な状態となっている可能性あるいは危険な状態となる可能性がある場合が少なくない。
そして、環境雰囲気の空気において、含有される危険性ガスの濃度が高いことにより、または酸素ガス濃度が低いことにより、人に対して危険な状態となったときには、そのことを直ちに知ることが必要である。
【0003】
現在、環境雰囲気の空気において、例えば酸素ガス、高濃度可燃性ガス、低濃度可燃性ガス、硫化水素ガス、一酸化炭素ガスなどの濃度を監視するための携帯用ガスモニター (以下、単に「ガスモニター」という。)が利用されている。
このようなガスモニターのある種のものは、互いに異なる種類のガス成分を検知する複数のガスセンサー、および検知対象ガスの濃度変化などの監視動作に係る監視データを記録するための記録手段を備えてなり、駆動源として二次電池(蓄電池)が用いられており、作業現場において、人に携帯されて使用される(例えば特許文献1参照)。取得された監視データは、例えばガス漏洩の発生状況の分析や危険性ガスによる事故を未然に防ぐために利用されている。
【0004】
この種のガスモニターは、監視動作終了後例えば1日の作業終了後に、記録手段に記録された監視データの情報伝達処理、電池の充電処理および必要に応じて行われるガスセンサーの校正処理を含む、次にガスモニターを使用するためのいわば更新処理が行われる。 ガスモニターの更新処理を行うに際して用いられる機器としては、例えば特許文献1には、通信機能、充電機能および校正機能を備えてなるものが開示されている。
【特許文献1】特開2002−116169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、作業現場において、監視動作が必要となる測定ポイントが多数個所になる場合や特定の測定ポイントを集中的に監視することが必要となる場合も少なくなく、実際には、複数台のガスモニターが利用されている。
【0006】
ガスモニターは、通常、ガスセンサーの校正を所定期間毎に行うことが必要とされており、ガスセンサーの校正は、標準濃度のガス(校正用ガス)をガス検知部に供給することにより実施されている。
而して、多数のガスモニターについて校正を行う場合には、例えばあるガスモニターに所定の校正用ガスを供給して当該ガスセンサーの感度の校正を行い、このガスモニターについての校正処理が終了した後、次のガスモニターについての校正処理を行っており、ガスモニターのすべてについての校正処理が終了するまでに相当に長い時間を要する、という問題がある。
【0007】
また、多数のガスモニターによる監視が行われる場合には、その全部のガスモニターについて更新処理が行われる必要があるが、ガスモニターが多数の場合には、例えば上記特許文献1に開示されているような機器によって1台ずつ更新処理が行われるのであれば、すべてのガスモニターについて所要の更新処理が終了するまで相当に長い時間を要する、という問題がある。
特に、ガスモニターに記録された監視データの情報伝達処理は、ガスモニターそれ自体が誘爆要因とならない防爆構造とされているなどの構造上の理由から、例えば赤外線通信方式により行われており、この赤外線通信方式は、電気通信方式に比して、データの転送速度が遅いので、記録された監視データがデータ量が少ないものである場合には、複数のガスモニターの全部について1台ずつ情報伝達処理が行われた場合であっても、情報伝達処理が終了するまでに長時間を要することはないが、監視データが例えば警報が発せられた前後の所定時間の間の濃度値変化を記録したもの(トレンドデータ)などのデータ量が多いものである場合には、情報伝達処理が終了するまでに相当に長い時間を要すると共に、作業者にかかる手間が多くなり不便である。
【0008】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その第1の目的は、複数台のガスモニターの全部について所要の校正処理を同時に行うことができ、しかも高い利便性を有する新規な構成の複数ガスモニター同時校正装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、情報通信機能および充電機能を備えてなり、複数台のガスモニターの全部について校正処理を含む一連の更新処理を短時間で行うことができ、しかも高い利便性を有する複数ガスモニター同時校正装置を提供することにある。
さらに、本発明の第3の目的は、複数台のガスモニターの全部について校正処理を含む一連の更新処理を短時間で行うことができ、しかも高い利便性が得られる携帯用ガスモニターの更新処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の複数ガスモニター同時校正装置は、各々、携帯用ガスモニターが接続される複数の校正モジュールと、電源がON状態とれた携帯用ガスモニターが接続された校正モジュールを認識する機能を有する制御機構を備えた装置本体とを備えてなり、校正用ガスが各校正モジュールに順次に供給されるよう主ガス供給流路が形成されていると共に校正用ガスの供給順に対して先行する校正モジュールから排出されたガスが当該校正モジュールに連続する後続の校正モジュールに導入されるようガス排出流路が形成されており、
各校正モジュールにおいては、主ガス供給流路からガスモニターに至る分岐ガス供給流路に流路開閉弁が設けられていると共にガスモニターからガス排出流路に至るガス流路に逆止弁が設けられており、
逆止弁は、その自重によりガス流路を閉止すると共にガスモニターから排出されたガスの圧力によりガス流路を開放する弁体を有するものであることを特徴とする。
【0010】
本発明の複数ガスモニター同時校正装置においては、校正モジュールとしては、少なくともガス吸引手段が設けられた、拡散式ガスモニター接続用のものと、吸引式ガスモニター接続用のものとが用いられており、
吸引式ガスモニターにおけるガス吸引手段および拡散式ガスモニター接続用の校正モジュールにおけるガス吸引手段によって、校正用ガスが各校正モジュールに順次に供給される構成とされていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の複数ガスモニター同時校正装置においては、各校正モジュールには、記録手段が設けられており、ガスモニターに記録された情報を当該記録手段に記録した後、装置本体に転送する情報通信機能を有するものであることが好ましい。この場合には、校正モジュールにおける記憶手段としてはフラッシュメモリを用いることができる。
【0012】
さらに、本発明の複数ガスモニター同時校正装置においては、各校正モジュールには、携帯用ガスモニターの電池を充電するための充電用出力端子が設けられた構成とされていることが好ましい。
また、本発明の複数ガスモニター同時校正装置においては、各校正モジュールには、携帯用ガスモニターの状態を区別して表示する表示機構が設けられた構成とされていることが好ましい。
さらに、本発明の複数ガスモニター同時校正装置は、校正モジュールの数が5台以上である場合に、極めて有用なものとなる。
【0013】
本発明の携帯用ガスモニターの更新処理方法は、上記に記載の複数ガスモニター同時校正装置を用い、各々、監視動作に用いられた複数の携帯用ガスモニターの全部について、ガスモニターに記録された情報の情報伝達処理、ガス検知部の校正処理および電池の充電処理を含む更新処理を行う方法であって、
前記情報伝達処理においては、電源がON状態とされた携帯用ガスモニターが接続された校正モジュールの全部について同時に、携帯用ガスモニターに記録された監視データを含むガスモニター情報が赤外線通信方式によって校正モジュールに伝達されて校正モジュールの記録手段に一旦記録され、その後、当該ガスモニター情報が電気通信方式によって各校正モジュールから順次に転送されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の携帯用ガスモニターの更新処理方法においては、前記校正処理は、電源がON状態とされた携帯用ガスモニターが接続された校正モジュールの各々における流路開閉弁が開放され、校正用ガスが各校正モジュールに順次に供給されることにより行われる。
さらに、本発明の携帯用ガスモニターの更新処理方法においては、携帯用ガスモニターについての一連の更新処理の終了後においては、携帯用ガスモニターの状態が、情報伝達処理、校正処理および充電処理のそれぞれの処理結果に応じて区別されて表示される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の複数ガス同時校正装置によれば、各校正モジュールに設けられた流路開閉弁の開閉状態が制御されて、校正用ガスが、電源がON状態とされたガスモニターが接続された校正モジュールのみに供給されると共に、排出側のガス流路に設けられた特定の逆止弁が小さい圧力で作動されるので、装置全体のガス流路を流過するガスの圧力損失を小さくすることができる結果、ガス供給能力が低いガス吸引手段によって円滑なガス供給およびガス排出を行うことができる。従って、ガスモニターにおけるガス吸引手段および校正モジュールにおけるガス吸引手段を用いたものでありながら、複数の校正モジュールをいわば直列に接続することができる結果、校正用ガスを連続して複数の校正モジュールの各々に供給することができるので、複数のガスモニターの全部について同時に校正処理を行うことができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
しかも、電源がON状態とされたガスモニターが接続された校正モジュールが自動的に認識されて、当該校正モジュールに係るガスモニターについて所要の更新処理が行われるので、作業者は、ガスモニターの電源をON状態にして校正モジュールに接続するという簡単な操作のみを行えばよいので、複数ガスモニター同時校正装置を極めて高い利便性を有するものとして構成することができる。
また、ポンプなどのガス吸引手段を別個に設けることなしに、ガスモニターにおけるガス吸引手段および校正モジュールにおけるガス吸引手段によって、円滑なガス供給およびガス排出を行うことができるので、配管等の構成を簡素化することができると共に装置全体が大型化することを防止することができる。
【0016】
また、本発明の複数ガス同時校正装置によれば、データの転送速度が遅い赤外線通信方式によるガスモニターと校正モジュールとのデータ通信処理が校正モジュールの全部について同時に行われ、データの転送速度が早い電気通信方式による校正モジュールからの装置本体へのデータの転送処理が順次に行われるので、ガスモニターに記録された情報を赤外線通信方式によって順次に転送する場合に比して大幅に処理時間を短縮化することができる。校正モジュールに設けられた記憶手段としてフラッシュメモリが用いられることにより、フラッシュメモリそれ自体の特性により、一旦監視データが記録された領域には監視データが上書きされることがないので、必要とされる監視データを確実に記録することができ、しかも、以前に取得された監視データの読み出しを更新処理とは別個に必要に応じて適宜に行うことができる。
【0017】
さらに、本発明の複数ガス同時校正装置によれば、ガスモニターについての充電処理を複数の校正モジュールの全部について同時に行うことができるので、ガスモニターの全部についての一連の更新処理を効率よく、短時間で行うことができる。また、本発明は、5台以上のガスモニターの全部について更新処理を行う場合に極めて有用である。
【0018】
また、本発明の複数ガス同時校正装置によれば、表示機構によりガスモニターの状態を容易に把握することができるので、正常な状態にあるガスモニターを常に使用することができる。
【0019】
上記の複数ガス同時校正装置において実行される本発明の携帯用ガスモニターの更新処理方法によれば、複数のガスモニターの全部について一連の更新処理を短時間で行うことができ、しかも、電源がON状態とされたガスモニターが接続された校正モジュールが自動的に認識されて、当該校正モジュールに係るガスモニターについて所要の更新処理が行われるので、作業者はガスモニターの電源をON状態にするという操作のみを行えばよいので、極めて高い利便性が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の複数ガスモニター同時校正装置は、被検ガスがガス吸引手段によってガス検知部に導入される吸引式の携帯用ガスモニター、および、ガス吸引手段を有さず、被検ガスが自然拡散によってガス検知部に導入される拡散式の携帯用ガスモニターのいずれのものについても、複数台のガスモニターの全部について校正処理を同時に行うことができ、しかも、携帯用ガスモニターが通信用端子および充電用端子を備えたものである場合には、ガス検知部の校正処理を含む一連の更新処理を行うことができるものである。以下、本発明について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の複数ガスモニター同時校正装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
この複数ガスモニター同時校正装置10は、校正用ガスが順次に供給されるよう互いに接続された複数の校正モジュール20と、電源がON状態とされたガスモニター50が接続された校正モジュール20を認識する機能を有する制御機構19を備えた装置本体11とにより構成されている。
【0022】
装置本体11は、互いに種類が異なる複数のガスから選択された標準濃度のガスを校正用ガスとして供給するガス選択供給機構12を備えている。
ガス選択供給機構12は、互いに独立した複数のガス導入用ポート13の各々から並列した状態で延びる複数の特定ガス導入流路14と、これらの特定ガス導入流路14が接続された混合ガス流路15とを備えてなり、特定ガス導入流路14の各々には、例えば電磁弁16が設けられている。図1において、17は、装置外部の空気が導入される空気導入流路である。
ガス導入用ポート13の各々には、互いに異なる特定ガス供給源18が接続されている。
特定ガスとしては、校正モジュール20に接続されるガスモニター50に係る検知対象ガスに応じたものが用いられ、具体的には、例えば酸素ガス、高濃度可燃性ガス、低濃度可燃性ガス、硫化水素ガス、一酸化炭素ガスなどを例示することができる。
【0023】
各々の電磁弁16は、その開閉状態が制御機構19によって互いに独立して制御される構成とされており、これにより、必要なガスが選択されて一種のガスが単独であるいは複数種のガスが混合されてガス排出ポート13Aから各校正モジュール20に供給される。 ガス選択供給機構12より供給される校正用ガスの流量は、例えば接続された校正モジュール20の数によっても異なるが、例えば0.35〜0.5リットル/minとされる。
【0024】
装置本体11における制御機構19は、ガスモニター50が装着されることにより当該ガスモニター50と相互に接続された校正モジュール20を識別する機能、具体的には、ガスモニター50が接続された校正モジュール20のアドレスによって、接続されたものが拡散式ガスモニター50Aおよび吸引式ガスモニター50Bのいずれであるかを識別する機能を有する。
【0025】
校正モジュール20の数は、例えば5台以上とされ、装置全体のガス供給能力等を考慮すると、実用上は、例えば10台程度であることが好ましい。
この実施例においては、例えば10台の校正モジュール20が接続されており、例えばそれぞれ同数の拡散式ガスモニター接続用のもの20Aおよび吸引式ガスモニター接続用のもの20Bが、校正用ガスの供給順に交互に接続されている。なお、図1においては、校正モジュールの接続状態を省略した状態で示してある。また、以後、特に言及しない場合は、「拡散式ガスモニター接続用校正モジュール20A」および「吸引式ガスモニター接続用校正モジュール20B」を区別せずに、単に、「校正モジュール20」として説明する。ガスモニター50についても同様とする。
【0026】
各校正モジュール20は、導入された校正用ガスをガスモニター50に供給するための校正用ガス供給部21を具えている。
校正用ガス供給部21は、2つのガス入口22A,22Bおよび2つのガス出口23A,23Bを有し、校正モジュール20内において第1のガス入口22Aが第1のガス出口23Aに接続されて短絡流路41が形成されていると共に、短絡流路41からガスモニター50に至る分岐ガス供給流路42には、流路開閉弁である例えば電磁弁25が設けられている。
また、校正用ガス供給部21においては、第2のガス入口22Bが第2のガス出口23Bに接続されて形成された内部ガス排出流路46に、ガスモニター50から延びるよう形成された、ガスモニター50から内部排出流路46に至る個別ガス排出流路47が接続されていると共に、この個別ガス排出流路47には、逆止弁26が設けられている。
ここに、拡散式ガスモニター用校正モジュール20Aには、分岐ガス供給流路42における電磁弁25より下流側の位置に、ガス吸引手段30および圧力センサー31が設けられていると共に圧力センサー31より下流側の位置に絞り部32が形成されている。ガス吸引手段30は、ガス吐出量が例えば0.4〜0.45リットル/minであるガス吸引能力を有するものが用いられている。
【0027】
個別ガス排出流路47に設けられる逆止弁26は、例えばクロロプレンゴムよりなるフィルム状の弁体を有するダイヤフラム弁よりなり、弁座は水平面に形成されている。
この弁体は自重により個別ガス排出流路47を閉止し、ガスモニター50から排出されるガスの圧力で個別ガス排出流路47を開放する構成とされており、作動圧力は、例えば0.02kPa以下である。
このような構成の逆止弁26が用いられることにより、弁体それ自体が軽量であるために、装置全体のガス流路を流過するガスの圧力損失を小さくすることができるので、別個にガス吸引手段等を設けることなしに、吸引式ガスモニター50Bにおけるガス吸引手段55および拡散式ガスモニター用校正モジュール20Aにおけるガス吸引手段30によってガスを円滑に流すことができ、校正モジュール20を多数接続することができる。
【0028】
校正モジュール20の外部において、第1のガス入口22Aがガス選択供給機構12または校正用ガスの供給順に対して先行の校正モジュールの第1のガス出口23Aに接続されており、これにより、校正モジュール20の各々に対して校正用ガスを順次に供給する主ガス供給流路40が形成されていると共に、第2のガス入口23Aが先行の校正モジュールにおける第2のガス出口23Bに接続され、これにより、先行の校正モジュールから排出されたガスが後続の校正モジュールを順次に流過するようガス排出流路45が形成されている。これにより、上述したように、複数個の校正モジュール20が、校正用ガスおよびガスモニター50から排出されたガスが各校正モジュール20を順次に流過するよう、互いに接続された状態とされている。
【0029】
以上において、校正用ガスの供給順に対して最先の校正モジュールにおける第2のガス入口22Bおよび最後の校正モジュールにおける第1のガス出口23Aは、閉止されている。
【0030】
ガスモニター50は、互いに異なる種類のガス成分を検知する複数のガスセンサー51Aを具えたガス検知部51および各検知対象ガスの濃度変化などの監視動作に係る監視データなどを記録するための記録手段(図示せず)を備え、駆動源として二次電池が用いられてなるものであって、作業現場において人に携帯されて使用されるものである。
吸引式ガスモニター50Bには、ガス導入口52からガス検知部51に至るガス導入流路53に、ガス吸引手段55および圧力センサー56がガス流過方向に対してこの順で設けられていると共に圧力センサー56より下流側の位置に絞り部57が形成されており、ガス吐出量が例えば0.4〜0.45リットル/minとされている。
【0031】
上記の複数ガスモニター同時校正装置10においては、次のようにしてガスモニター50の校正が行われる。すなわち、先ず、5台の拡散式用ガスモニター50Aおよび5台の吸引式用ガスモニター50Bの合計10台のガスモニター50が、電源がON状態とされた状態で、それぞれ、拡散式ガスモニター接続用校正モジュール20Aおよび吸引式ガスモニター接続用校正モジュール20Bに装着されることにより、装置本体11における制御機構19によって、ガスモニター50が接続された校正モジュール20が認識され、拡散式ガスモニター接続用校正モジュール20Aにおけるガス吸引手段30が作動されると共にすべての校正モジュール20における電磁弁25が開放される。
一方、装置本体11における制御機構19によって、ガスモニター50の校正に必要なガスが選択されて当該ガスに係る特定ガス導入路14の電磁弁16が開放され、これにより、一種のガスが単独であるいは複数種のガスが混合された状態で、吸引式ガスモニター50Bそれ自体のガス吸引手段55または拡散式ガスモニター接続用校正モジュール20Aのガス吸引手段30によって吸引される。
【0032】
校正用ガスは、主ガス供給流路40を通ってガスモニター50が接続された各校正モジュール20における校正用ガス供給部21を順次に流過され、各校正モジュール20においては、第1のガス入口22Aから導入された校正用ガスの一部が電磁弁25によってガス流量が規制された状態において分岐ガス供給流路42を通って、ガスモニター50のガス検知部51に導入される。なお、ガスモニター50が接続されていない校正モジュール20が存在する場合には、当該校正モジュールの校正用ガス供給部21に導入された校正用ガスの全部が短絡流路41を通って後続の校正モジュールに導入される。
そして、ガス検知部21を流過してガスモニター50から排出されたガスは、逆止弁26の作用によって先行の校正モジュールから排出されたガスの当該ガスモニター50への流入が禁止された状態で、内部排出流路46に排出される。その後、ガス排出流路45を通って後続の校正モジュールに導入されて、最終的に、最後の校正モジュールから装置外部に排出される。
以上のようにして、複数個のガスモニター50の全部についての所要の校正処理、具体的には、ガスモニター50における個々のガスセンサー51Aの感度バラツキの調整、経時的なガスセンサー51Aの感度特性の変動の調整等が、同時に行われる。
【0033】
上述したように、ガスモニター50は、監視動作の終了後に、監視動作によって取得された監視データを含むガスモニター情報の情報伝達処理、電池の充電処理および必要に応じて行われる上記のガス検知部の校正処理を含む更新処理が行われる。
【0034】
而して、上記の複数ガスモニター同時校正装置10における各校正モジュール20は、情報通信機能および充電機能を備えており、複数台のガスモニター50の更新処理を行うことができるよう構成されている。
具体的には、図2に示されているように、この複数ガスモニター同時校正装置10においては、各校正モジュール20が例えばRS−485規格に基づく電気通信用コネクター60によって装置本体11との相互接続が達成されていると共に、例えばIrDA規格に基づく赤外線通信用コネクター61によりガスモニター50と校正モジュール20との相互接続が達成されており、これにより、情報伝達機構が構成されている。
そして、各校正モジュール20には、例えばフラッシュメモリよりなる記録手段62が設けられており、ガスモニター50から赤外線通信方式によって転送される監視データを含むガスモニター情報が記録手段62に一時的に記録される。
【0035】
ガスモニター50に記録されたガスモニター情報には、例えば監視動作中に取得される監視データの他に、例えば校正前濃度指示値、校正後濃度指示値、校正日時および校正期限などの校正履歴データなどが含まれる。
監視データとしては、例えば一定周期毎に、一定時間の濃度測定値の平均値を記録したものに加え、警報や故障等のイベントを随時記録したもの(インターバルトレンドデータ)、警報が発せられた前後例えば30分間(合計1時間)の濃度値変化における5秒間毎のピーク値を記録したもの(アラームトレンドデータ)、警報が発せられた場合における警報の種類と時間を記録したもの(アラームイベントデータ)、故障が生じた場合における故障の種類と時間を記録したもの(トラブルイベントデータ)などが挙げられる。
【0036】
また、各校正モジュール20には、充電用出力端子(図示せず)が設けられており、ガスモニター50が所定の位置に適正な姿勢で装着されることによりガスモニター50における充電用入力端子が校正モジュール20における充電用出力端子に接続される。
【0037】
以上において、この複数ガスモニター同時校正装置10には、装置本体11および各々の校正モジュール20の一方または両方に、校正モジュール20に接続されたガスモニター50の状態を例えば発光によって表示するガスモニター状態表示用発光部66を備えた表示機構65が設けられている。
図3に示されているように、ガスモニター状態表示用発光部66は、各々例えば発光ダイオードよりなる2つの光源67,68を具えてなり、「CAL」と表示された一方の光源67が校正処理および情報伝達処理の結果を、点灯状態および発色状態により区別して表示するものとされ、「CHARGE」と表示された他方の光源68が充電処理の状況を、点灯状態および発色状態により区別して表示するものとされている。
【0038】
上記の複数ガスモニター同時校正装置10においては、次のようにして、監視動作終了後のガスモニター50についての更新処理がなされる。
すなわち、図4に示されているように、先ず、作業者は、装置本体11の電源を入れると共に、拡散式ガスモニター50Aおよび吸引式ガスモニター50Bの各々を、それぞれ、電源がON状態とされた状態で、拡散式ガスモニター接続用校正モジュール20Aおよび吸引式ガスモニター接続用校正モジュール20Bに接続する。
【0039】
そして、装置本体11における制御機構19によって、校正モジュール20に接続されたガスモニター50の電源がON状態となっているか否かの判別処理が行われ、ガスモニター50の電源がOFF状態とされていることが確認された場合(図4において「NO」と表示)には、当該ガスモニター50について充電処理のみが行われる。
一方、ガスモニター50の電源がON状態とされていることが確認された場合(図4において「YES」と表示)には、当該ガスモニター50が校正モジュール20によって認識され、ガスモニター50が接続されたすべての校正モジュール20において、ガスモニター50に記録された、監視データを含むガスモニター情報が赤外線通信方式によって校正モジュール20の記録手段62に転送(ダウンロード)されて当該ガスモニター情報が記録手段62に記録される。このようなガスモニター50と校正モジュールとの間の情報伝達処理は、すべての校正モジュール20において互いに独立して行われ、従って、ガスモニター50の全部について同時にデータ通信処理が行われる。
その後、校正モジュール20の記録手段62に記録されたガスモニター情報は、電気通信方式によって各校正モジュール20から装置本体11に順次に転送される。
【0040】
次いで、制御機構19によって校正モジュール20に接続されたガスモニター50についてのバンプ試験および校正処理を行う必要があるか否かの判別処理が行われる。ここに、「バンプ試験」とは、例えばガスモニター50における各々のガスセンサー51Aによるガスの選択性およびガスセンサー51Aによる検知対象ガスの濃度指示値が適正なものであるか否かを確認するものである。
制御機構19によるバンプ試験および校正処理の実施の必要性の判断は、転送されたガスモニター情報に含まれるガスモニター50についての校正履歴データに基づいてなされる。具体的には、ガスモニター50が使用開始時または前回のバンプ試験実施時から一定期間が経過したものであることが確認された場合(図4において「YES」と表示)には、当該ガスモニター50について、ガス選択供給機構12から必要なガスが供給されることによりバンプ試験が行われる。バンプ試験が行われた結果、当該ガスモニター50のガスの選択性能が低下していること、あるいは濃度指示値が適正なものでないことが確認された場合(図4において「NG」と表示)には、当該ガスモニター50について上述したような校正処理が行われる。
バンプ試験の結果の判断基準は、例えば各々のガスセンサー51Aに係る検知対象ガス成分の、実際の濃度に対する検知された濃度の指示値の差が±10〜30%以下の範囲内である場合を、ガスモニター50の性能が改善されたもの(図4において「OK」と表示)とする。
【0041】
一方、ガスモニター50がバンプ試験の実施が不要であるものであることが確認された場合(図4において「NO」と表示)、および、バンプ試験が行われた結果、ガスモニター50の性能が改善されたことが確認された場合(図4において「OK」と表示)には、制御機構19によって、当該ガスモニター50について校正処理を行う必要があるか否かの判別処理が転送されたガスモニター情報に含まれる当該ガスモニターについての校正履歴データに基づいて行われる。
そして、ガスモニター50が使用開始時または前回の校正処理実施時から一定期間が経過したものであることが確認された場合(図4において「YES」と表示)には、当該ガスモニター50について上述したような校正処理が行われる。
【0042】
ガスモニター50が校正処理の実施が不要であるものであることが確認された場合、および、所要の校正処理が終了した場合には、校正モジュール20が無操作状態になって所定時間が経過した後、ガスモニター50の電源が制御機構19によって自動的にOFF状態とされる。
そして、ガスモニター50の電源がOFF状態とされた後、ガスモニター50についての充電処理が行われる。ここに、ガスモニター50の充電処理に要する時間は、最長でも例えば2時間程度である。
以上において、ガスモニター50についてのバンプ試験の期限および校正処理の期限は、必要に応じて適宜に設定されており、バンプ試験の期限が例えば30日間、校正処理の期限が90日間とされる。
【0043】
以上のようなガスモニター50についての一連の更新処理が終了すると、装置本体11および各校正モジュール20におけるガスモニター表示用発光部66の一方または両方によってガスモニター50の状態が2つの光源67,68の点灯状態および発色状態により区別されて表示される。
具体的な表示例を示すと、例えば、一連の更新処理が終了した時点において、バンプ試験および校正処理の一方または両方が実施されてバンプ試験および校正処理の結果が共に良好である場合には、一方の光源67が緑色点灯状態とされており、充電処理が完了している場合には他方の光源68が緑色点灯状態とされる。また、ガスモニター50が電源がOFF状態のままで校正モジュール20に装着されていた場合には、一方の光源67が消灯状態とされると共に他方の光源68が緑色点灯状態とされる。さらに、バンプ試験の結果が不良または所要の校正処理が実行されなかった場合には、一方の光源67が赤色点灯状態とされ、バンプ試験および校正処理の両方が不要と判断されて実行されなかった場合には、一方の光源67が黄色点灯状態とされ、情報伝達処理が完了していることが示される。
【0044】
而して、上記構成の複数ガスモニター同時校正装置によれば、各校正モジュール20に設けられた電磁弁25の開閉状態が制御されて、校正用ガスが、電源がON状態とされたガスモニター50が接続された校正モジュール20のみに供給されると共に、個別ガス排出流路47に設けられた特定の逆止弁26が小さい圧力で作動されるので、装置全体におけるガス流路を流過するガスの圧力損失を小さくすることができる結果、ガス供給能力が低いガス吸引手段によって円滑なガス供給およびガス排出を行うことができる。従って、吸引式ガスモニター50Bにおけるガス吸引手段55および拡散式ガスモニター校正モジュール20Aにおけるガス吸引手段30を用いたものでありながら、複数の校正モジュール20をいわば直列に接続することができる結果、校正用ガスを連続して各校正モジュール20に供給することができるので、複数のガスモニター50の全部について同時に校正処理を行うことができ、処理時間の短縮化を図ることができる。
しかも、電源がON状態とされたガスモニター50が接続された校正モジュール20が自動的に認識されて、当該校正モジュール20に係るガスモニター50について所要の更新処理が行われるので、作業者は、ガスモニター50の電源をON状態にして校正モジュール20に接続するという簡単な操作のみを行えばよいので、複数ガスモニター同時校正装置10を極めて高い利便性を有するものとして構成することができる。
また、ポンプなどのガス吸引手段を別個に設けることなしに、吸引式ガスモニター50Bにおけるガス吸引手段55および拡散式ガスモニター校正モジュール20Aにおけるガス吸引手段30によって、円滑なガス供給およびガス排出を行うことができるので、配管等の構成を簡素化することができると共に装置全体が大型化することを防止することができる。
【0045】
また、データの転送速度が遅い赤外線通信方式によるガスモニター50と校正モジュール20とのデータ通信処理が校正モジュール20の全部について同時に行われ、データの転送速度が早い電気通信方式による校正モジュール20から装置本体11へのガスモニター情報の転送処理が順次に行われるので、ガスモニター50から監視データを含むガスモニター情報を赤外線通信方式によって順次に転送する場合に比して大幅に処理時間の短縮化を図ることができる。
校正モジュール20に設けられた記憶手段62としてフラッシュメモリが用いられることにより、フラッシュメモリそれ自体の特性により、監視データが記録された領域には新たな監視データが上書きされることがないので、必要とされる監視データを確実に記録することができ、しかも、以前に取得された監視データの読み出しを更新処理とは別個に必要に応じて適宜に行うことができる。
【0046】
さらに、各校正モジュール20に充電用出力端子が設けられていることにより、ガスモニター50についての充電処理を複数の校正モジュール20の全部について同時に行うことができるので、ガスモニター50の全部についての一連の更新処理を効率よく、短時間で行うことができる。
以上のように、上記構成の複数ガスモニター同時校正装置10によれば、複数のガスモニター50の全部について所要の更新処理を短時間で行うことができるので、例えば5台以上のガスモニター50の全部について更新処理を行う場合に極めて有用である。
【0047】
また、装置本体11および各校正モジュール20におけるガスモニター表示用発光部66の一方または両方によってガスモニター50の状態が2つの光源67,68の点灯状態および発色状態により区別されて表示されることにより、作業者はガスモニター50の状態を容易に把握することができるので、正常な状態にあるガスモニターを常に使用することができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。
例えば、接続される校正モジュールの数、すなわち、一度に更新処理が行われるべきガスモニターの数は、適宜に設定することができ、また、すべての校正モジュールが拡散式ガスモニター接続用のものおよび吸引式ガスモニター接続用のもののいずれか一種のみにより構成されていてもよい。
【0049】
また、すべての校正モジュールにガスモニターが接続される必要はなく、ガスモニターが接続されていない校正モジュールが存在する状態でガスモニターが接続された場合であっても、ガスモニターが接続された校正モジュールが自動的に認識されて、当該校正モジュールに係るガスモニターについて所要の更新処理が行われるので、実質的に問題はない。また、作業者は、ガスモニターが接続されていない校正モジュールを自由に選択してガスモニターを接続することができるので、高い利便性が得られる。
【0050】
監視動作に使用されたガスモニターの充電処理を予め行った後、所要の更新処理を行うようにしてもよい。この場合には、電源をOFF状態にしたガスモニターを校正モジュールに接続して充電処理を行い、その後、ガスモニターの電源をON状態とすればよい。
【0051】
ガスモニターの校正処理は、校正モジュールに接続されたガスモニターの全部について行われる必要はなく、装置本体において指定されたものについてのみ行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の複数ガスモニター同時校正装置の一例における構成の概略を示す説明図である。
【図2】図1に示す複数ガスモニター同時校正装置における情報伝達機構の一構成例の概略を示すブロック図である。
【図3】ガスモニター状態表示用発光部の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の複数ガスモニター同時校正装置において実行されるガスモニターの更新処理のフローチャート図である。
【符号の説明】
【0053】
10 複数ガスモニター同時校正装置
11 装置本体
12 ガス選択供給機構
13 ガス導入用ポート
13A ガス排出ポート
14 特定ガス導入流路
15 混合ガス流路
16 電磁弁
17 空気導入流路
18 特定ガス供給源
19 制御機構
20 校正モジュール
20A 拡散式ガスモニター接続用校正モジュール
20B 吸引式ガスモニター接続用校正モジュール
21 校正用ガス供給部
22A 第1のガス入口
22B 第2のガス入口
23A 第1のガス出口
23B 第2のガス出口
25 電磁弁
26 逆止弁
30 ガス吸引手段
31 圧力センサー
32 絞り部
40 主ガス供給流路
41 短絡流路
42 分岐ガス供給流路
45 ガス排出流路
46 内部ガス排出流路
47 個別ガス排出流路
50 ガスモニター
50A 拡散式ガスモニター
50B 吸引式ガスモニター
51 ガス検知部
51A ガスセンサー
52 ガス導入口
53 ガス導入流路
55 ガス吸引手段
56 圧力センサー
57 絞り部
60 電気通信用コネクター
61 赤外線通信用コネクター
62 記録手段
65 表示機構
66 ガスモニター状態表示用発光部
67 一方の光源
68 他方の光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々、携帯用ガスモニターが接続される複数の校正モジュールと、電源がON状態とれた携帯用ガスモニターが接続された校正モジュールを認識する機能を有する制御機構を備えた装置本体とを備えてなり、校正用ガスが各校正モジュールに順次に供給されるよう主ガス供給流路が形成されていると共に校正用ガスの供給順に対して先行する校正モジュールから排出されたガスが当該校正モジュールに連続する後続の校正モジュールに導入されるようガス排出流路が形成されており、
各校正モジュールにおいては、主ガス供給流路からガスモニターに至る分岐ガス供給流路に流路開閉弁が設けられていると共にガスモニターからガス排出流路に至るガス流路に逆止弁が設けられており、
逆止弁は、その自重によりガス流路を閉止すると共にガスモニターから排出されたガスの圧力によりガス流路を開放する弁体を有するものであることを特徴とする複数ガスモニター同時校正装置。
【請求項2】
校正モジュールとしては、少なくともガス吸引手段が設けられた、拡散式ガスモニター接続用のものと、吸引式ガスモニター接続用のものとが用いられており、
吸引式ガスモニターにおけるガス吸引手段および拡散式ガスモニター接続用の校正モジュールにおけるガス吸引手段によって、校正用ガスが各校正モジュールに順次に供給されることを特徴とする請求項1に記載の複数ガスモニター同時校正装置。
【請求項3】
各校正モジュールには、記録手段が設けられており、ガスモニターに記録された情報を当該記録手段に記録した後、装置本体に転送する情報通信機能を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の複数ガスモニター同時校正装置。
【請求項4】
校正モジュールにおける記憶手段がフラッシュメモリよりなることを特徴とする請求項3に記載の複数ガスモニター同時校正装置。
【請求項5】
各校正モジュールには、携帯用ガスモニターの電池を充電するための充電用出力端子が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一に記載の複数ガスモニター同時校正装置。
【請求項6】
各校正モジュールには、携帯用ガスモニターの状態を区別して表示する表示機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の複数ガスモニター同時校正装置。
【請求項7】
校正モジュールの数が5台以上であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一に記載の複数ガスモニター同時校正装置。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7のいずれか一に記載の複数ガスモニター同時校正装置を用い、
各々、監視動作に用いられた複数の携帯用ガスモニターの全部について、ガスモニターに記録された情報の情報伝達処理、ガス検知部の校正処理および電池の充電処理を含む更新処理を行う方法であって、
前記情報伝達処理においては、電源がON状態とされた携帯用ガスモニターが接続された校正モジュールの全部について同時に、携帯用ガスモニターに記録された監視データを含むガスモニター情報が赤外線通信方式によって校正モジュールに伝達されて校正モジュールの記録手段に一旦記録され、その後、当該ガスモニター情報が電気通信方式によって各校正モジュールから順次に転送されることを特徴とする携帯用ガスモニターの更新処理方法。
【請求項9】
前記校正処理においては、電源がON状態とされた携帯用ガスモニターが接続された校正モジュールの各々における流路開閉弁が開放され、校正用ガスが各校正モジュールに順次に供給されることを特徴とする請求項8に記載の携帯用ガスモニターの更新処理方法。
【請求項10】
携帯用ガスモニターについての一連の更新処理の終了後においては、携帯用ガスモニターの状態が、情報伝達処理、校正処理および充電処理のそれぞれの処理結果に応じて区別されて表示されることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の携帯用ガスモニターの更新処理方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−3115(P2006−3115A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177169(P2004−177169)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000250421)理研計器株式会社 (216)
【Fターム(参考)】