説明

複数サーバにおける属性情報開示制御システム

【課題】情報活用サーバが複数の情報保有サーバから属性情報を取得する場合の効率化及び一元化を課題とする。
【解決手段】情報保有管理サーバ104が、利用者端末100に属性項目の開示同意を要求する属性項目同意要求手段121を備え、前記属性項目同意要求手段121は前記属性項目のうち重複する属性項目に関して前記利用者端末100に開示同意を要求することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数サーバにおける属性情報開示制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、インターネットやブロードバンドサービスの普及に伴って、クレジットカード等の各種金融サービスや、EC(Electronic Commerce)をサービス提供サイトからオンラインで他のサービス提供サイトに提供するなど、オンライン上で利用者の意志(開示制御)のもと住所、電話番号、生年月日等の属性情報を提供する技術が存在する。利用者の意志に基づき属性情報を提供する従来の属性情報開示制御システムでは、情報保有サーバが情報活用サーバに対し、利用者が設定した開示制御の内容に従って、利用者の属性情報を提供することが可能であった(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-199573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術は、単独の情報保有サーバから情報活用サーバへの属性情報の開示制御を対象としていたため、情報活用サーバが複数の情報保有サーバから取得した属性情報を用いてサービスを実行する場合、情報活用サーバは各情報保有サーバへ個別にアクセスしなければならず処理負荷が上がってしまうという課題があった。また、複数の情報保有サーバが格納している属性情報の項目(以下、「属性項目」という。)に重複がある場合、属性情報の開示制御を利用者端末が都度設定しなければならず利用者端末での開示制御の設定回数が多くなり開示制御が一元化できないという課題があった。さらに、複数の情報保有サーバに格納されている属性情報が一致していない場合、情報活用サーバに開示する属性情報に不整合が生じる問題があった。
【0005】
従って、上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、属性情報を有する情報保有サーバが複数存在する場合であっても、情報活用サーバの処理負荷を低減すること、及び複数の情報保有サーバが格納している属性項目に重複がある場合でも利用者端末での開示制御の設定回数を低減し、開示制御の一元化を図ることができる属性情報開示制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明に係る属性情報開示制御システムは、情報活用サーバから提供されるサービスを利用する利用者端末の利用者の属性情報を格納する複数の情報保有サーバと、前記複数の情報保有サーバが格納する前記利用者の前記属性情報の属性項目を格納し、前記属性項目に基づき前記複数の情報保有サーバから前記属性情報を取得し、前記利用者の要求に応じて前記情報活用サーバに前記属性情報を送信する情報保有管理サーバと、を備える属性情報開示制御システムであって、前記情報保有管理サーバは、前記利用者端末に前記属性項目の開示同意を要求する属性項目同意要求手段を備え、前記属性項目同意要求手段は前記属性項目のうち重複する属性項目に関して前記利用者端末に開示同意を要求することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明による属性情報開示制御システムは、属性情報を有する情報保有サーバが複数存在する場合であっても情報活用サーバの処理負荷を低減することができ、また複数の情報保有サーバが格納する属性項目に重複がある場合でも利用者端末での開示制御の設定回数を低減し、開示制御の一元化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係る属性情報開示制御システムの構成を表すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る第一の情報保有サーバの属性情報データベースを表す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る第二の情報保有サーバの属性情報データベースを表す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る情報保有サーバ管理データベースを表す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るサービス管理データベースを表す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る属性情報開示制御システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る属性項目同意要求画面の例を表す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る属性情報選択画面の例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施形態に係る構成を示すブロック図である。本発明の一実施形態に係る属性情報開示制御システムは、PCや携帯電話などの利用者端末100と、ネットワークを介したサービスを提供する情報活用サーバ101と、利用者の属性情報を格納し保有する第一の情報保有サーバ102及び第二の情報保有サーバ103と、第一の情報保有サーバ102及び第二の情報保有サーバ103を管理する情報保有管理サーバ104とを備えている。利用者端末100、情報活用サーバ101、第一の情報保有サーバ102、第二の情報保有サーバ103、及び情報保有管理サーバ104は夫々インターネット等のネットワーク105を介して相互に接続される。ここで情報保有サーバは2つ図示しているが、これに限られず3つ以上の情報保有サーバを備えていてもよい。
【0011】
利用者端末100は、入出力手段106と、通信手段107と、入出力手段106及び通信手段107を制御する制御手段108とを備えて構成される。入出力手段106は、各種情報の入出力を行い、入力についてはキーボードやマウス、マイクなどを備えて構成され、後述する情報保有管理サーバ104への属性項目同意要求画面及び属性情報選択画面において利用者からの入力を受け付ける。出力については、モニタ(若しくはディスプレイ、タッチパネル)やスピーカを備えて構成され、後述する属性項目同意要求画面、属性情報選択画面を表示する。通信手段107は、情報活用サーバ101および情報保有管理サーバ104との間でやり取りする各種情報に関する通信を制御する。制御手段108は入出力手段106の入出力情報の処理、及び通信手段107の通信処理を制御する。
【0012】
情報活用サーバ101は、利用者端末100に各種サービスを提供するサーバであり、サーバ上での各種情報の入出力をする入出力手段109と、入出力情報及び通信処理を制御する制御手段110と、通信手段111とを備えて構成される。当該各種サービスは利用者の属性情報を必要とするものである。また提供されるサービスには、本属性情報開示制御システム上で一意に特定される識別子であるサービスIDが割り当てられている。情報活用サーバ101の通信手段111は、利用者端末100及び情報保有管理サーバ104との間でやり取りされる各種情報に関する通信を制御する。情報活用サーバ101は、情報保有管理サーバ104から所望の属性情報を受信すると、サービス要求元である利用者端末100に対してサービスを提供する。
【0013】
第一の情報保有サーバ102は、利用者の属性情報が格納されている属性情報データベース(DB)112と、情報保有管理サーバ104からの要求に基づき属性情報データベース112から属性情報を取得する属性情報取得手段113と、情報保有管理サーバ104と通信を行う通信手段114とを備えている。第一の情報保有サーバ102は、本属性情報開示制御システムにおいて情報保有サーバを一意に表す情報保有サーバIDにより特定され、“情報保有サーバ1”が割り当てられている。
【0014】
第二の情報保有サーバ103は、利用者の属性情報が格納されている属性情報データベース(DB)115と、情報保有管理サーバ104からの要求に基づき属性情報データベース115から属性情報を取得する属性情報取得手段116と、情報保有管理サーバ104と通信を行う通信手段117とを備えている。第二の情報保有サーバ103は、本属性情報開示制御システムにおいて情報保有サーバを一意に表す情報保有サーバIDで特定され、“情報保有サーバ2”が割り当てられている。
【0015】
情報保有管理サーバ104は、第一の情報保有サーバ102及び第二の情報保有サーバ103が各種サービスを提供しているか否かを格納するサービス管理データベース(DB)118と、各情報保有サーバが格納している属性情報の属性項目を管理する情報保有サーバ管理データベース(DB)119と、サービス管理データベース118及び情報保有サーバ管理データベース119から必要なデータを取得するリソース管理手段120と、リソース管理手段120が取得した属性項目について開示の同意を利用者端末100に問合せ要求する画面を生成する属性項目同意要求手段121と、各情報保有サーバから取得した属性情報に差分があるかを判定し、差分があった場合、どの属性情報を開示するかを利用者に選択させる画面を生成する属性情報差分判定手段122と、利用者の選択に基づき開示する属性情報を判定する提供属性情報判定手段123と、情報保有サーバ102、情報保有サーバ103、情報活用サーバ101、及び利用者端末100と通信を行う通信手段124とを備えている。
【0016】
図2は、第一の情報保有サーバ102の属性情報データベース112に格納されたデータベース200を示している。当該データベース200には、本属性情報開示制御システムにおいて利用者を一意に示す識別子である利用者IDと、属性項目である“氏名”、“住所”、“電話番号”等に係る属性情報がそれぞれ利用者IDと関連付けられて格納される。属性情報取得手段113は属性情報データベース112を参照することで、利用者IDと属性項目を主キーとして、各利用者の属性情報を取得することができる。なお、「主キー」とは、データベースの中から、ある一組のデータセットを一意に識別するためのデータを意味する。データベース200には、属性項目“氏名”、“住所”、及び“電話番号”としてそれぞれ、“電電 太郎”、“東京都○○区○丁目○−○”、及び“03−1111−1111”がそれぞれ利用者ID“A001”に関連付けて格納されている。当該データベース200はシステム動作時にあらかじめ必要なデータが、利用者により利用者端末100を用いて入力される。なお、上述の属性項目は一例であり、他に例えば、性別、郵便番号、電子メールアドレス等が含まれてもよい。
【0017】
図3は、第二の情報保有サーバ103の属性情報データベース115に格納されたデータベース300を示し、当該データベース300には属性項目“氏名”、“住所”、及び”生年月日”等が利用者ID“A001”に関連付けられて格納され、それぞれ“電電 太郎”、“東京都△△区△丁目△−△”、及び“2000/01/01”等が格納されている。属性情報取得手段116は属性情報データベース115を参照することで、利用者IDと属性項目を主キーとして、各利用者の属性情報を取得することができる。当該データベース300はシステム動作時にあらかじめ必要なデータが、利用者により利用者端末100を用いて入力される。なお、上述の属性項目は一例であり、他に例えば、性別、郵便番号、電子メールアドレス等が含まれてもよい。
【0018】
図4は、情報保有サーバ管理データベース119に格納されたデータベース400を示している。当該データベース400には、各情報保有サーバが格納している属性項目が格納されている。当該データベース400には、各情報保有サーバの情報保有サーバIDと、属性項目である“氏名”、“住所”、“電話番号”、及び“生年月日”等に関する有無のデータが関連付けられて格納される。リソース管理手段120は、情報保有サーバ管理データベース119を参照することで、情報保有サーバIDを主キーとして、各情報保有サーバが有する属性項目を取得することができる。図4に示すデータベース400では、属性項目に係る属性情報を格納している場合には“有”として表記し、有さない場合には“無”として表記している。例えば、“情報保有サーバ1”については、属性項目“氏名”、“住所”、“電話番号”、“生年月日”についてそれぞれ“有”、“有”、“有”及び“無”と表記されているため、“情報保有サーバ1”には、“氏名”、“住所”及び“電話番号”に係る属性情報が格納されており、一方で“生年月日”に係る属性情報は格納されていないことを表す。当該データベース400はシステム動作時にあらかじめ必要なデータが格納される。
【0019】
図5は、サービス管理データベース118に格納されたデータベース500の一例を示している。当該データベース500には、サービスを提供している情報保有サーバの情報が格納される。具体的には属性情報を活用したサービスを提供するために必要な属性情報の全部または一部を格納している各情報保有サーバのデータが格納されている。当該データベース500には、サービスIDと、各情報保有サーバが当該サービスIDに係るサービスを提供しているか否かのデータが関連付けられて格納されているため、リソース管理手段120は、サービスIDを主キーとして、どの情報保有サーバが必要な属性情報を有しているかのデータを取得することができる。図5に示すデータベース500では、サービスに必要な属性情報を全部または一部を有する場合には“有”、全く有さない場合には“無”として表記されている。例えば、サービスID“S001”に関しては、“情報保有サーバ1”と“情報保有サーバ2”には“有”と記載されているため、これらサーバには当該サービスに必要な属性情報が全部または一部が格納されていることを表している。当該データベース500はシステム動作時にあらかじめ必要なデータが格納される。
【0020】
なお、上述の情報活用サーバ101、第一の情報保有サーバ102、第二の情報保有サーバ103及び情報保有管理サーバ104は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどの情報処理装置に、上記した各処理手段を搭載することによって実現することができる。
【0021】
次に、本発明に係る属性情報開示制御システムについて、図6によりその動作を説明する。はじめにステップS601において、利用者端末100は、利用者の入力に基づき、属性情報を利用するサービスの提供を、通信手段107を介して情報活用サーバ101に対して要求する。サービスの要求する際に利用者端末100は、利用者IDを情報活用サーバ101に送信する。以下、利用者端末100が送信した利用者IDは“A001”であるものとして説明をする。情報活用サーバ101は当該要求を受信すると(ステップS602)、要求されたサービスに割り当てられたサービスIDと、当該利用者IDとを情報保有管理サーバ104に送信し属性情報の取得要求を送信する(ステップS603)。ここで利用者端末100が要求したサービスに係るサービスIDは“S001”であるものとして、以下説明をする。
【0022】
情報保有管理サーバ104が属性情報取得要求を受信すると(ステップS604)、リソース管理手段120は、サービス管理データベース118を参照し、サービスIDを主キーとして当該サービスを提供している情報保有サーバの情報保有サーバIDを取得する(ステップS605)。サービス管理データベース118のデータベース500によると、サービスIDが“S001”に係るサービスを提供しているのは、“情報保有サーバ1”と“情報保有サーバ2”であることから、リソース管理手段120は“情報保有サーバ1”と“情報保有サーバ2”の2つの情報保有サーバIDを取得する。
【0023】
続いてステップS606において、リソース管理手段120は、情報保有サーバ管理データベース119を参照し、情報保有サーバIDを主キーとして、各情報保有サーバが有する属性項目を取得する。図4のデータベース400を参照し、リソース管理手段120は、情報保有サーバID“情報保有サーバ1”の保有する属性項目として“氏名”、“住所”及び“電話番号”を取得し、“情報保有サーバ2”の保有する属性項目として“氏名”、“住所”及び“生年月日”を取得する。
【0024】
次に、ステップS607において、属性項目同意要求手段121は、取得した属性項目について利用者に開示の可否の同意を確認する画面(以下、「属性項目同意要求画面」という)を生成する。図7は属性項目同意要求画面の具体例である。属性項目同意要求画面700では、ステップS606にて取得した全ての属性項目が利用者入力領域701にリストアップされ、各属性項目について利用者が開示の可否の選択をできるように構成されている。すなわち、ステップS606にて取得した“氏名”、“住所”、“電話番号”、“生年月日”がリストアップされる。なお、“情報保有サーバ1”及び“情報保有サーバ2”のいずれからも“氏名”及び“住所”を取得しているが、属性項目同意要求画面700ではこれら重複するものについて集約し、まとめて開示確認をする。すなわち、利用者は属性項目同意要求画面において、複数の情報保有サーバに重複する属性項目“氏名”、“住所”に関して、属性項目同意要求画面により一度に開示制御の設定をすることができる。
【0025】
続いてステップS608において、属性項目同意要求手段121は、通信手段124を介して、利用者IDで特定される利用者端末100に対し、属性項目同意要求画面700を送信し、利用者端末100が受信する(ステップS609)。利用者端末100は属性項目同意要求画面700において利用者の入力に基づき、情報保有管理サーバ104に開示の許否結果を送信する。図7の属性項目同意要求画面700では、利用者が、利用者入力領域701に表示された全ての属性項目について、利用者が「許可する」をクリックし、各属性項目のチェックボックス703が選択状態となっていることを表している。利用者端末100は、利用者が送信ボタン702をクリックした場合、情報保有管理サーバ104に開示許可結果を送信する(ステップS610)。
【0026】
なお属性項目同意要求画面700においては、利用者がどの情報活用サーバ101に属性情報を開示するのか認知できるように、サービス提供サイト名を“●●●●●●サービス”と表示し、また当該サイトのサービスの提供を受けるためには、属性項目のうち、必須と示された属性項目開示が必要であることを表示している。
【0027】
続いて、ステップS611において、開示の許否結果を情報保有管理サーバ104が受信すると、続くステップS612において、情報保有管理サーバ104は、当該選択結果で開示可能とされた属性項目についてのみ、各情報保有サーバに属性情報の送信要求をする。当該送信要求は、先に取得した情報保有サーバIDである“情報保有サーバ1”及び“情報保有サーバ2”に係る各情報保有サーバ(102、103)に対して行う。情報保有管理サーバ104は、送信要求の際に、主キーである利用者ID“A001”と開示が許可された属性項目である“氏名”、“住所”、“電話番号”及び“生年月日”を送信する。
【0028】
第一の情報保有サーバ102が属性情報の送信要求を受信すると(ステップS613)、続くステップS614において属性情報取得手段113は、属性情報データベース112を参照し、利用者IDと、属性項目を主キーとして利用者の属性情報を取得する。図2のデータベース200に基づくと、利用者ID“A001”の、属性項目“氏名”、“住所”、及び“電話番号”に係る属性情報としてそれぞれ、“電電 太郎”、“東京都○○区○丁目○−○”、“03−1111−1111”が格納されており、属性情報取得手段113はこれらの属性情報を取得する。
【0029】
同様にステップS615において第二の情報保有サーバ103が属性情報の送信要求を受けると、続くステップS616において属性情報取得手段116は、属性情報データベース115を参照し、利用者IDと、属性項目を主キーとして属性情報を取得する。図3のデータベース300に基づくと、利用者ID“A001”の、属性項目“氏名”、“住所”、及び“生年月日”に係る属性情報としてそれぞれ、“電電 太郎”、“東京都△△区△丁目△−△”、“2000/01/01”が格納されており、属性情報取得手段116はこれらの属性情報を取得する。
【0030】
続いてステップS617、ステップS618において、各情報保有サーバ(102、103)は、取得した属性情報を情報保有管理サーバ104に対してそれぞれ送信する。
【0031】
ステップS619において情報保有管理サーバ104が各情報保有サーバ(102、103)から属性情報を受信すると、ステップS620において属性情報差分判定手段122が、各情報保有サーバ(102、103)から受信した各属性情報の差分を判定する。すなわち、受信した属性情報のうち属性項目が同一のもの同士を比較し差分があるかを判定する。少なくとも一つの属性項目について属性情報同士が一致せず差分があった場合はステップS621に進む。本事例では、属性項目“氏名”については各情報保有サーバ(102、103)から受信した属性情報が“電電 太郎”で同一である。一方で属性項目“住所”については、第一の情報保有サーバ102から受信した属性情報が“東京都○○区○丁目○−○”であるのに対し、第二の情報保有サーバ103から受信した属性情報が、“東京都△△区△丁目△−△”であり同一でない。そのため、ステップS621に進む。なお本ステップにおいてすべての属性情報同士が同一であれば、ステップS625に進む。
【0032】
属性情報に差分があった場合は、ステップS621において、情報保有管理サーバ104は差分があった属性項目の各属性情報の選択を促す確認画面(以下、「属性情報選択画面」という。)を生成し、通信手段124を介して利用者端末100に属性情報選択画面を送信する。
【0033】
ステップS622において利用者端末100が受信した属性情報選択画面の一例を図8に示す。属性情報選択画面800では、差分があった属性項目と、各属性情報と、利用者が選択するためのチェックボックスが利用者選択領域801に表示される。また選択結果を送信する送信ボタン802が表示される。さらに属性情報を要求している要求元のサービス提供サイト名も表示される。図8の属性情報選択画面800は“東京都○○区○丁目○−○”のチェックボックスが選択状態になっていることを表している。
【0034】
続いてステップS623において、利用者端末100は、利用者が属性情報選択画面に基づき選択した選択結果を、情報保有管理サーバ104に送信する。
【0035】
情報保有管理サーバ104が選択結果を受信すると(ステップS624)、続くステップS625において、提供属性情報判定手段123が受信した選択結果に基づいて開示する属性情報を判定し、情報保有管理サーバ104は通信手段124を介して情報活用サーバ101に当該属性情報を送信する。なおステップS620において差分が無いと判定された場合には、情報保有管理サーバ104が取得した全ての属性情報を情報活用サーバ101に送信する。したがって本事例では、情報保有管理サーバ104は、“氏名”、“住所”、“電話番号”、“生年月日”として、それぞれ“電電 太郎”、“東京都○○区○丁目○−○”、“03−1111−1111”、“2000/01/01”を送信する。情報活用サーバ101がこれらの属性情報を受信すると(ステップS626)、情報活用サーバ101は、利用者端末100に対して所定のサービスを提供し(ステップS627)、処理が終了する。
【0036】
このように、本発明によれば複数の情報保有サーバが存在しても、情報保有管理サーバ104が一括して処理を行うため、情報活用サーバ101は属性情報を取得するために各情報保有サーバにアクセスする必要なく各情報保有サーバからの属性情報を受信できるため、情報活用サーバ101の負荷が低減される。
【0037】
また、複数の情報保有サーバが格納している属性項目間に重複がある場合でも、属性項目同意要求画面により情報保有管理サーバ104が利用者端末100に対して重複する属性項目について開示の同意確認要求を行うため、複数の情報保有サーバが格納している属性項目に重複がある場合でも利用者端末での開示制御の設定回数は1回で済み、利用者による開示制御の一元化を図ることができる。
【0038】
さらに複数の情報保有サーバが格納している属性情報間で重複した属性項目の内容に差分がある場合においても、属性情報判定手段122が差分を判定し、情報保有管理サーバ104が利用者端末100にいずれの属性情報を開示するか選択させるため、情報保有サーバ間の属性情報の不整合を解消して整合性を図ることができる。
【0039】
なお、利用者端末100がステップS610において属性項目“生年月日”の開示を拒否する結果を送信した場合には、ステップS612〜ステップS619において各情報保有サーバから属性情報が取得されず、ステップS625において、生年月日にかかる属性情報は送信されないことになる。この場合、情報活用サーバ101において当該属性情報が、サービス提供のための必須の属性情報であれば(例えば年齢制限があるサービス等の場合)、利用者端末100に対してサービスは提供されず、処理が終了する。必須の属性情報でなければサービスは提供される。
【0040】
なお、ステップS622において、複数の属性情報の中から選択する属性情報は一つに限らず複数選択できるようにしてもよい。この場合、ステップS625において、情報保有管理サーバ104は選択された複数の属性情報を送信する。例えば属性項目“住所”について、自宅の住所と、職場の住所の2つが選択されている場合に、情報活用サーバ101に2つの住所を送信することができる。
【0041】
なお、ステップS621において送信される属性情報選択画面800において、情報保有サーバ104は、より確からしい推奨される属性情報を利用者が認知できるように属性情報選択画面800を生成してもよい。例えば、属性項目“住所”に係る属性情報を3つの情報保有サーバから取得した場合において、2つの情報保有サーバから“東京都○○区○丁目○−○”を取得し、1つの情報保有サーバから“東京都△△区△丁目△−△”を取得したときは、属性情報選択画面800中に、それぞれの住所の表示に併記して、当該情報保有サーバの個数“2”と“1”を表示してもよい。または、“東京都○○区○丁目○−○”の横に“推奨”と表示し、より多くの情報保有サーバに格納されているため、推奨される選択肢であることを報知してもよい。あるいは、“東京都○○区○丁目○−○”のチェックボックスを予め選択状態にしてもよい。この構成により、利用者は、所望の属性情報を複数の属性情報の中から選択する際の指針を得ることができる。
【0042】
また、ステップS621において送信される属性情報選択画面800において、より確からしい推奨される属性情報を利用者が認知できるように、情報保有サーバ104は、当該属性情報が各情報保有サーバの属性情報データベース(112、115)に格納された日時の情報を並べて表示してもよい。例えば“東京都○○区○丁目○−○”は2011年3月1日に属性情報データベース112に格納され、“東京都△△区△丁目△−△”は2009年7月1日に属性情報データベース115に格納されている場合、これらの日付を各住所の表記と併記してもよい。この構成により、属性情報が各属性情報データベースに格納された日時を利用者が認知することができるため、利用者は、より新しい属性情報を選択する等、複数の属性情報の中から選択する際の指針を得ることができる。
【0043】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
100 利用者端末
101 情報活用サーバ
102 第一の情報保有サーバ
103 第二の情報保有サーバ
104 情報保有管理サーバ
105 ネットワーク
106 入出力手段
107 通信手段
108 制御手段
109 入出力手段
110 制御手段
111 通信手段
112 属性情報データベース
113 属性情報取得手段
114 通信手段
115 属性情報データベース
116 属性情報取得手段
117 通信手段
118 サービス管理データベース
119 情報保有サーバ管理データベース
120 リソース管理手段
121 属性項目同意要求手段
122 属性情報差分判定手段
123 提供属性情報判定手段
124 通信手段
200、300、400、500 データベース
700 属性項目同意要求画面
701 利用者入力領域
702 送信ボタン
703 チェックボックス
800 属性情報選択画面
801 利用者選択領域
802 送信ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報活用サーバから提供されるサービスを利用する利用者端末の利用者の属性情報を格納する複数の情報保有サーバと、
前記複数の情報保有サーバが格納する前記利用者の前記属性情報の属性項目を格納し、前記属性項目に基づき前記複数の情報保有サーバから前記属性情報を取得し、前記利用者の要求に応じて前記情報活用サーバに前記属性情報を送信する情報保有管理サーバと、
を備える属性情報開示制御システムであって、
前記情報保有管理サーバは、
前記利用者端末に前記属性項目の開示同意を要求する属性項目同意要求手段を備え、
前記属性項目同意要求手段は前記属性項目のうち重複する属性項目に関して前記利用者端末に開示同意を要求することを特徴とする属性情報開示制御システム。
【請求項2】
前記情報保有管理サーバはさらに、前記複数の情報保有サーバから前記属性項目に係る複数の属性情報を取得した場合、前記複数の属性情報を比較し差分があるかを判定する属性情報差分判定手段と、
前記複数の属性情報に差分がある場合に、前記利用者端末に前記複数の属性情報のいずれを前記情報活用サーバに開示するかを前記利用者端末に要求する提供属性情報要求手段と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の属性情報開示制御システム。
【請求項3】
前記情報保有管理サーバはさらに前記複数の属性情報のうち、選択が推奨される属性情報を判定することを特徴とする請求項2に記載の属性情報開示制御システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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