説明

複数スパッタ源を有する反応性スパッタリング

反応性スパッタリングによって基板(14)を被覆するための装置(1)は、軸(8)と、前記軸(8)に対して対称的に配置される少なくとも2つのターゲット(11、12)と、ターゲット(11、12)に接続される電源とを備え、ターゲットはカソードおよびアノードとして代替的に動作可能である。方法は、軸(8)を備える装置(1)において、反応性スパッタリングによって基板(14)を被覆することにより、被覆された基板(14)を製造するための方法である。本方法は、a)被覆する基板(14)を設け;b)前記軸(8)に対して対称的な配置で少なくとも2つのターゲット(11、12)を設け;c)被覆の際に前記ターゲット(11、12)を代替的にカソードおよびアノードとして動作させることを含む。好ましくは、ターゲット(11、12)はスパッタリングの際回転させられる、および/またはターゲットは同心円的に配置され、最も内側の円形ターゲットは少なくとも1つのリング状外側ターゲットによって囲まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板の反応性スパッタ被覆の分野、特に反応性マグネトロンスパッタ被覆に関する。本発明はクレームに記載のオープンクローズに従う方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は導波路、特に光導波路の製造を含む、または用途を見出すことができる。
【0003】
この例をもとに、反応性スパッタ被覆の問題は、これらの問題の既知の解決策と共に説明される。
【0004】
導波路は狭い空間で光を伝送するために用いられる。導波路光ファイバーと同じように働く。光は、低い屈折率の媒体によって取囲まれる、より高い屈折率の媒体で伝送される。全反射は、光が高い屈折率の媒体から出るのを防止する。同じ原理は、より低い屈折率の層の間に挟まれる、高い屈折率の薄膜にも当てはまる。光学薄膜は、光電子工学の用途に特に適し、半導体チップの製造に統合することができる。導波路薄膜の特定の要件は、最少の吸収および光の分散である。典型的な薄膜導波路は、SiO2またはAl23のクラッド層間に挟まれるTa25膜からなる。アルミナ膜も、導波路に対して優れた機械的保護を提供する。
【0005】
他の誘電体のように、アルミナは酸素の存在下で金属アルミニウムターゲットをスパッタリングすることによって生成できる。最も簡単な方法では、パルスDC(直流)電源が選択された電力レベルで設定される。酸素フローに依存して、もたらされる反応性処理は、「金属」または「酸化物」モードのどちらかに傾く。この態様は、周知の反応性スパッタヒステリシス曲線によって説明でき、一定のスパッタ電力での酸素フローに対するターゲット電圧が記録される。図1はこのような反応性スパッタヒステリシス曲線を示す。
【0006】
アルミニウムのような金属コーティングで基板(たとえば、ガラス基板)を被覆する場合、ターゲットを有する電極を含むスパッタリング装置がしばしば用いられる。金属ターゲットは、電荷を帯びた粒子(Ar処理ガスからのArイオン)が衝突することによりスパッタリングされる。この処理において、酸素または窒素のガスとの反応の後、スパッタリングされた粒子は基板上に蒸着する。ターゲットが磁場によって貫かれる電極と、ターゲットと磁石との特定の配置は、マグネトロンと呼ばれる。ターゲットからスパッタリングされた材料の粒子が、前記基板に蒸着される前にガスと反応すると、この処理は反応性スパッタリングと呼ばれる。たとえば、SiO2が基板上に蒸着されるのなら、Si原子がSiターゲットからスパッタリングされ、処理チャンバ内に導入される酸素と反応する。一定の電気的パワーで導入された酸素は、処理チャンバのカソードにおける放電電圧に影響する。放電電圧が一定の電力でO2フローに対して描かれるのなら、ヒステリシス曲線となる(図1参照)。
【0007】
酸素フローが増加すると(図1の矢印A)、ターゲットまたは放電電圧は最初は僅かに減少し、後で急激に低い値に減少し、処理チャンバ内において急激なスパッタ速度の低下および酸素分圧の増加となる。なぜなら、低いスパッタ速度では、生成された膜を酸化させるのに必要な酸素は少なくなるからである(図1の矢印B)。この値から、放電電圧はその後酸素フローが増加しても僅かしか減少しない。
【0008】
ここで酸素フローが減少すると(図1の矢印C)、ターゲット電圧はゆっくりしか増加しない。しかし、放電電圧は、特定のより低い酸素フローで急激に増加する(図1の矢印D)。電圧が(急激に)減少および(急激に)増加するときのこれらの酸素フローは同じではないので、ヒステリシスがもたらされる。
【0009】
この態様により、安定した動作点を設定することは難しい。なぜなら、酸素フローおよび/または与えられる電源が僅かに変化しても、放電電圧が「急上昇」してしまうことがあるからである。
【0010】
ヒステリシスが起こるのは、酸素フローが増加すると、ターゲットはより低いスパッタ速度を有する酸化物によって部分的に覆われるからである。酸素フローが低ければ(図1の矢印A)、酸素の大部分は基板上にアルミナ膜を形成するのに殆ど用いられて、遮蔽するからである。特定のしきい値を超えると、スパッタ速度は低下し、処理チャンバ内においてより多くの酸素を残し、ターゲット上により多くの酸化物をもたらし、ターゲットは非常に低いスパッタ速度で酸化物に完全に覆われることになる(図1の矢印B)。これは酸化物モードと呼ばれる。
【0011】
酸素フローを減少しても、酸化物がターゲットから取除かれるまで(図1の矢印C)高い酸素分圧を残す(すなわち、存在させる)。このとき、スパッタ速度は上昇し、残りの酸素を消費し、ターゲットは再び金属モードとなる(図1の矢印D)。
【0012】
これまで殆どの用途は、アルミナの純粋な誘電特性、たとえば低い光学吸収および高い誘電強度を必要とする。これは、ターゲットの表面がまだ金属製であって生成膜の酸化は基板上ではある程度しか起こらない金属領域において達成することができない。他方で、酸化物モード領域において作用点を選択することは、吸収がない膜をもたらす。しかし、ターゲット表面がこのモードにおいて完全に酸化するので、もたらされる生成レートは非常に低く、成膜の組成を調整することはできない。
【0013】
組成の制御および高い生成レートを可能にする完全な誘電体膜を生成するためには、金属モードと酸化物モードとの間の遷移領域での動作が必要であり、これは能動フィードバック機構を必要とする。アルミニウム酸化物用の遷移モードスパッタリングについて、スパッタリング電圧制御を選択することは可能であり、発明者達は対応する実験を行なった。光学的発光および分圧制御のような他の証明された方法と比べて、定電圧源として電源を用いること(適切な電源を用いる)は、単に装置の動作モードの変更を意味する。
【0014】
電圧を安定化させることにより、急激な変化間の領域(遷移領域)は、処理を金属モードまたは酸化物モードのどちらかにすることなく、再現可能な態様で達することができる。
【0015】
以下の発明の概要の箇所では、反応性スパッタ被覆の問題が、従来技術の関連する文献と共に説明される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の1つの目的は、上記の不利点を有さない装置および方法を提供することである。反応性スパッタリングにより基板を被覆するための装置が提供され、反応性スパッタ被覆によるスパッタ被覆された基板の製造方法を向上させることができる。さらに、それぞれの方法が提供される。
【0017】
本発明の別の目的は、反応性スパッタ被覆において、均一な生成を達成する方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の目的は、反応性スパッタ被覆によって製造されたコーティングの均一な厚さ分布を達成する方法を提供することである。
【0019】
本発明の別の目的は、規定された態様でコーティングの組成を調整するのを可能にする、反応性スパッタ被覆の方法を提供することである。
【0020】
本発明の別の目的は、安定した生成条件、特に一定の生成レートを得ることを割りに容易に可能にする、反応性スパッタ被覆の方法を提供することである。
【0021】
本発明の別の目的は、コーティングの特に再現可能な特性を達成することを割りに容易に可能にする、反応性スパッタ被覆の方法を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、コーティングの特に均一な特性を達成することを割りに容易に可能にする、反応性スパッタ被覆の方法を提供することである。
【0023】
さらなる目的は、以下の説明および実施例から得られる。
これらの目的の少なくとも1つは、特許請求の範囲の請求項に従う装置および方法によって、少なくとも部分的に達成される。
【課題を解決するための手段】
【0024】
反応性スパッタリングによって基板を被覆するための装置は、軸と、前記軸に対して対称的に配置される少なくとも2つのターゲットと、前記ターゲットに接続される電源とを備え、前記ターゲットはカソードおよびアノードとして代替的に動作可能である。
【0025】
これにより、「消滅するアノード」問題が処理され、同時にコーティングの優れた均一性が得られる。
【0026】
一実施例において、前記装置は真空蒸着システムである。
上記の実施例に任意に言及する1つの実施例において、前記ターゲットは前記電源を用いてカソードおよびアノードとして代替的に動作可能である。
【0027】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記電源は、前記ターゲットが代替的にカソードおよびアノードとして動作可能な態様で、前記ターゲットに接続される。
【0028】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記電源は、前記ターゲットがカソードおよびアノードとして代替的に動作するよう構築および構成される。
【0029】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記ターゲットは代替的にカソードおよびアノードとして動作する。
【0030】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記電源はDC電源である。
【0031】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、装置は前記基板を前記軸の周りに回転させるための手段、特に被覆の際に前記基板を前記軸の周りに回転させるための手段を備える。これにより、得られるコーティングの均質性および厚さの均一性を向上させる。
【0032】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、装置は、前記基板を運ぶための基板キャリアと、前記基板キャリアを前記軸の周りに回転させるための手段とを備える。これにより、基板を回転可能にすることができる。
【0033】
この実施例は特に重要である。なぜなら、スパッタリングの際に基板を回転可能にすることは、特に達成できる均一性について、非常に優れたコーティングの作成を可能にするからである。
【0034】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記軸に対称な前記配置は、それぞれのターゲットの中心が、前記軸の周りの円上に配置されるよう、前記ターゲットを配置することを含む。そこでは、さらに以下に記載される実施例では、前記円はゼロの半径を有し得る。
【0035】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記軸に対して対称である前記配置は、前記ターゲットが前記軸に対して対称的に配置され、それぞれのターゲットの中心が前記軸の周りの円上に配置されることを意味する。
【0036】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記軸に対して対称である前記配置は、前記ターゲットが前記軸周りの規定された半径上に配置されることを含む、または特に意味する。
【0037】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記装置は基板を被覆するための装置、特に誘電体コーティングによって、単一の基板を被覆するための装置、特にパルスDCスパッタリングで金属酸化物をスパッタリングする反応性マグネトロン用の装置である。
【0038】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記ターゲットは金属ターゲットである。
【0039】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記装置は単一の基板スパッタリングシステムである。
【0040】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、装置は高電圧スイッチングエレメントを備え、前記電源は前記高電圧スイッチングエレメントを介して前記ターゲットに接続され、それにより前記ターゲットは代替的にカソードおよびアノードとして動作する。これは適切なターゲット電圧でターゲットを提供する的確、簡単、およびコスト効率のよい方法である。
【0041】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記電源は前記ターゲットに接続される1つの電源、特に1つのDC電源である。これは特に、上記の高電圧スイッチングエレメントと組合せた場合に、適切なターゲット電圧でターゲットを提供する的確、簡単、およびコスト効率のよい方法である。
【0042】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記ターゲットは、それぞれのターゲットのスパッタリングされていない前面によって規定される面が、前記軸に対して垂直な面に対して角度付けられるよう、特に2度および20度の間の角度によって角度付けられるよう、配置される。
【0043】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記ターゲットは円形ターゲットである。
【0044】
上記の最後の2つの実施例を除く、上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記ターゲットは同心円的に配置され、最も内側の円形ターゲットは少なくとも1つのリング状外側ターゲットによって囲まれ、特に前記外側ターゲットは同様のスパッタリング領域を有する。これにより、静止している(非回転)基板でも、優れた均一性が得られる。前記外側のターゲットの各々が、前記最も内側のターゲットとほぼ同じスパッタリング領域を有する場合、電極領域は交互のカソード−アノード動作の際実質的に同じであり、これはシステムの電気安定性に貢献する。
【0045】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、前記少なくとも1つの外側ターゲットは、錐体の表面の回転−対称部分を規定し、前記少なくとも1つの外側ターゲットのスパッタリングされていない前面に垂直な面は、前記軸に対して角度をなす。これによりターゲットの利用が向上する。
【0046】
軸を有する装置において、反応性スパッタリングによって基板を被覆することにより、被覆された基板を製造する方法は、以下のステップを備える:
a) 被覆する基板を設け;
b) 前記軸に対して対称的な配置で少なくとも2つのターゲットを設け;
c) 被覆の際に前記ターゲットを代替的にカソードおよびアノードとして動作させる。
【0047】
これにより、「消滅するアノード」問題を解決することができ、同時に、コーティングの優れた均一性が得られる。
【0048】
本方法の一実施例において、前記軸に対称な前記配置は、それぞれのターゲットの中心が、前記軸の周りの規定された半径上にあるよう、前記ターゲットを配置することを含む。
【0049】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、方法は:
d) 前記被覆の際前記基板を前記軸の周りに回転させるステップを備え、
特に、ステップd)はステップc)の間行なわれる。これは得られる被覆均一性を大きく向上させる。したがって、この実施例は特に重要である。なぜなら、スパッタリングの際に基板を回転可能にすることは、特に達成できる均一性について、非常に優れたコーティングの作成を可能にするからである。
【0050】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる一実施例において、本方法は前記基板、特に1つの基板を誘電体コーティングで被覆するステップを含み、特に前記基板、特に単一の基板を、パルスDCスパッタリングにより、金属酸化物の反応性マグネトロンスパッタリングにより、被覆する。
【0051】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、ステップc)は、前記ターゲットおよび電源に接続される高電圧スイッチングエレメントを用いて、前記ターゲットを被覆の際代替的にカソードおよびアノードとして動作させることを含み、特に前記電源は1つの電源、より特定的には1つのDC電源である。
【0052】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、前記方法は定電圧モードで前記電源を動作させることを含む。これにより、より安定した処理条件を得ることができる。
【0053】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、前記コーティングは定電圧スパッタリングによって達成される。これにより、安定した動作が容易に得られる。スパッタリングの際、特定のターゲットに印加される電圧が変わらなければ、優れた処理安定性が得られる。各ターゲットにおいて、スパッタリングはターゲットがカソードとして動作する場合のみ行なわれ、ターゲットがアノードとして動作する場合にはスパッタリングは行なわれない。
【0054】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、ステップc)は、ターゲット電圧を前記ターゲットに印加することを含み、本方法は基板の内側および外側領域の製造被覆の厚さを微調整するために、前記ターゲット電圧のパルス幅を調整するステップを含む。パルス幅は、ターゲットがカソードとして動作される際の時間(すなわち、そのターゲットのスパッタリングを行なうことができる時間)と、ターゲットがアノードとして動作される時間(すなわち、そのターゲットによってスパッタリングが行なわれない時間)との比を定める。一般に、ターゲットがアノードとして動作される時間の間、1つ以上の他のターゲットがカソードとして動作させられる。パルス幅を調整することは、(製造コーティングの)最適な均一性を得る相対的に簡単な方法となり得る。
【0055】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、前記ターゲットは、40kHzの周波数で代替的にカソードおよびアノードとして動作させられる。前記40kHzのような十分に高いスイッチング周波数は、ターゲットでのアーク放電を回避する。
【0056】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、前記ターゲットは、それぞれのターゲットのスパッタリングされていない前面によって規定される面が、前記軸に対して垂直な面に対して角度付けられるよう、特に2度および20度の間の角度で角度付けられるよう、配置される。
【0057】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、前記ターゲットは、円形ターゲットである。
【0058】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、前記ターゲットはほぼ同じ大きさおよび形状であり、それぞれの中心が円上にほぼ均一に配置され、各前記ターゲットは前記軸に対して実質的に等しく配置される。
【0059】
上記の最後の3つの実施例を除き、上記の実施例と組合せることができる方法の一実施例において、前記ターゲットは同心円的に配置され、最も内側の円形ターゲットは少なくとも1つのリング状の外側ターゲットに囲まれ、特に前記少なくとも1つの外側ターゲットは同様のスパッタリング領域を有する。
【0060】
上記の1つ以上の実施例と組合せることができる本方法の一実施例において、前記方法によって製造されるコーティングは、
−低吸収膜と;
−光誘電体フィルタと;
−導波路と;
−光学薄膜と;
−Al23膜と;
−Ta25膜、特にSiO2またはAl23のクラッド層間に挟まれるTa25膜と;
−混合酸化物の膜、特に異なる組成の金属ターゲットからの膜とからなるグループの少なくとも1つを含む。
【0061】
本発明は本発明に従う対応する装置の特徴を有する方法を含み、またその逆も含む。
本方法の利点は、対応する装置の利点に基本的に対応し、その逆もある。
【0062】
以下で記載される、特定の観点から、本発明は単一の基板スパッタリングシステムにおいて安定した膜組成および優れた均一性を有して、高いスパッタ速度を達成するために、パルスDCスパッタリングで、金属酸化物の反応性マグネトロンスパッタリングに関する。目的は、一般に光誘電体フィルタ、特に導波路のような用途のために、低い吸収膜、たとえばAl23膜を作成することである。デュアルマグネトロンのような広域被覆技術から既知の技術を用いて、回転基板に対するマルチソース生成と組合せて、非常に優れた均一性および化学量論をもたらす。これは、主に単一の基板スパッタリングに用いられ単一のカソードスパッタリングにおける消滅するアノードの問題を回避し、再現可能および安定したプロセスをもたらす。
【0063】
前記特定の観点から、発明は以下の背景に基づいている:
金属ターゲットからの反応性DCスパッタリングにおいて、反応ガスがスパッタ(処理)ガス(アルゴンまたは他の希ガス)に加えられる。(酸素または窒素のような)反応性ガスを添加することにより、スパッタチャンバの内部表面すべてを誘電体膜で覆って絶縁膜を形成する傾向にある。これは、カウンタ電極の有効領域を減少させる。この現象は、「消滅アノード」と呼ばれ、定電圧モードにおける安定した動作の電圧範囲にずれをもたらし、それゆえスパッタ速度およびフィルム特性にずれをもたらす。同時に、ターゲット領域上に誘電体材のある程度の生成が起こる(「ターゲット被毒」)。これらの層は全体の電気回路において容量性被膜として働く。これは反応性ガスフローの広い範囲において、アーク放電および不安定な動作をもたらす。酸化されたターゲットでのアーク放電は、米国特許第5,948,224号および米国特許第5,427,669号に記載されているように、ターゲットでDC電圧をパルス化することによって克服することができる。しかし、これらの方法は、消滅アノードの問題を解決しない。
【0064】
この問題を解決するために、米国特許第5,169,509号で記載されているように、デュアルマグネトロンが提案されており、2つのターゲットがAC電圧で動作され、それにより、ターゲットがカソードおよびアノードとして代替的に動作する。アノード上の酸化物の堆積は、ターゲットがカソードとしてスパッタリングされるときに除去される。同じことが、米国特許第5,917,286号で記載されているように、2つ以上のスパッタリング源およびスイッチング電源によって達成できる。したがって、米国特許第5,169,509号および米国特許第5,917,286号は本願においてその全体が引用により援用され、ターゲットを代替的カソードおよびアノードとして動作させることについて、さらに詳細を提供する。
【0065】
反応性スパッタリングにおけるこれらの問題は、半導体産業でも見られる。半導体産業では、単一のウェハは絶縁性の高い誘電体によって均一に被覆されるべきであり、可視光線波長からUV波長までの低い吸収率を有する膜が必要である光学コーティングに被覆される。
【0066】
平坦マグネトロンおよび反応性パルス化DCスパッタリングを含む既存の単一カソードスパッタリングの解決法は、「消滅するアノード」の問題、ターゲットが薄い酸化物層で被覆されることによる低いスパッタ速度、ならびに高いスパッタ速度を有する金属モードと低いスパッタ速度を有する酸化物モードとの間で大きいヒステリシスを有するプロセスにおいて際立つ不安定性が見られる。
【0067】
複雑な処理制御がなければ、スパッタ速度および膜組成や屈折率および吸収係数といった関連する膜特性の優れた処理安定性を得るのは難しい。
【0068】
定電圧でスパッタリングを行なうことが提案されており(R. Mac Mahon ほか、 J. Vac. Sci . Technol. 20 (1982), p 376)、付加的ガスフロー制御である程度は緩和されるが、アノードでの変わる条件の問題はなくならない。したがって、先行技術は実際のスパッタリングの前に電圧または電力を調整することを提案し、それにより処理を再現可能な自動的態様で行なうのを難しくする。
【0069】
静止したカソード−基板配置があれば、基板上に対して均一な厚さに対して有効なエロージョンプロファイルは、酸化されたターゲット層とスパッタリングされた金属ターゲット領域との間のボーダでのアーク放電をもたらし得る、酸化物層の部分的生成を最小限にするエロージョンプロファイルと矛盾する。
【0070】
前記特定の観点による、本発明の第1の局面において、これらの問題の解決は、以下の要素の少なくとも2つの組合せに基づいている。
【0071】
・消滅するアノードの問題は、交互にカソードおよびアノードとして動作される、少なくとも2つのスパッタ源(ターゲット)で解決する。高電圧スイッチングエレメントを介して単一の電源が両方のスパッタ源に接続され、それにより代替的にカソードおよびアノードとして動作する。ターゲット電圧のアーク放電は、十分に高いスイッチング周波数によって回避できる。
【0072】
・優れた均一性は、処理するべき基板を回転させ、回転軸に対してカソードを対称的に配置することによって得られる。優れた均一性は、ターゲット中心と回転軸との間の距離、ターゲット中心と基板表面との間の距離、ならびにターゲット表面と基板表面または回転軸との間の角度を適切に選択することによって得られる。
【0073】
・基板に対するカソードの角度の付いた配置は、被覆されるべき基板へのスパッタリング材の転送の効率を高めるというさらなる利点を有する。
【0074】
・ターゲットに完全に浸食するよう設計されている回転マグネットシステムで、クリーンなターゲット面が円形ターゲット上に得られ、それにより、酸化物は堆積しない。これは、均一性がスパッタ源配置のジオメトリにより、エロージョンプロファイルとは独立して、制御できるから可能である。
【0075】
・ターゲットを高い出力密度(基板の大きさよりもかなり大きい単一のターゲットと比べて、より小さい総ターゲット領域による)で動作させることにより、ターゲットの酸化は、基板を完全に酸化させるのに、または反応性スパッタリング層を生成するのに十分な反応性ガス分圧によって、さらに減少する。
【0076】
・酸化物の反応性スパッタリングに固有なヒステリシスは、ポンプの大きい断面および定電圧スパッタリングを用いることにより、回避される。
【0077】
・本システムは、より高いスパッタ速度については、円形配置において3つ以上のカソードを用いることによって、さらに最適化することができる。最大のスパッタ速度は、熱伝導性およびカソード領域当りの比出力によって定められる、ターゲットの温度によって通常制限される。この場合、スイッチングは、一方のスパッタ源がカソードとして動作し、他方がアノードとして動作するよう、変更されなければならない。これは、異なるカソード間の酸化状態およびスパッタ速度での不均衡を防ぐ。
【0078】
・反応性ガス用に、基板側に対称のガス入口を設けることにより、高いスパッタ速度で低い吸収の化学量論の膜の達成を助ける。さらに、すべてのターゲットに対して同様のスパッタリング条件を確立する助けとなる。
【0079】
・生成の始めから安定した条件を得るために、常時真空が維持されていなければならず、これは好ましくはロードロックおよび/またはトランスポートチャンバによって基板を導入することによって得られる。代替的に、または加えて、シャッタをターゲットと基板との間に挿入し、シャッタの後ろでスパッタリングを行なうことにより安定した動作が得られる。スパッタパワーおよびターゲットの酸化が安定すると、シャッタを開けて、膜を基板上に生成することができる。有効な真空は、スパッタチャンバまたはトランスポートチャンバ内においてマイスナートラップを用いることによって得ることができる。
【0080】
前記特定の観点による本発明の第2の局面において、上記の配置(第1の局面)の代わりに、以下の配置が提案される:
・ターゲットを円上に配置して基板を回転させる代わりに、ターゲットは同心円的に配置され、最も内側の円形ターゲットは、同様のスパッタリング領域を有する少なくとも1つのリング状の外側ターゲットによって囲まれる。
【0081】
・単一の電源は、高電圧スイッチングエレメントによってスイッチングされる。ターゲット電圧のアーク放電は、十分に高いスイッチング周波数によって回避できる。
【0082】
・優れた処理安定性は、すべてのターゲットに等しい出力密度でほぼ優れた均一性を与えるためのジオメトリ(ターゲット基板距離、ターゲット半径)を選択することによって得られる。最適な均一性を得るため、異なるターゲットのパルス幅は、基板の内側および外側領域における膜の厚さを微細に調整するよう、調整できる。
【0083】
・この配置の利点は、基板の回転が不要なことである。但し、回転は、非対称なガス入口またはポンプジオメトリによる均一でない反応ガス供給によって引き起こされる厚さ変動を減らすのに役立ち得る。
【0084】
・酸化物が堆積しないよう、ターゲットを完全に浸食させるよう設計された回転マグネットシステムによって、クリーンなターゲット面が円形ターゲット上に得られる。これは、均一性がスパッタ源配置のジオメトリおよびパルス幅によって、エロージョンプロファイルと独立して制御できるので可能である。
【0085】
・本配置に対して、第1の配置の他の局面も有効である。たとえば、相対的に小さいターゲットを用いることによる高出力密度、定電圧スパッタリングの使用、対称なガス入口、およびより優れた均一性制御のために3つ以上のカソードの使用を含む。
【0086】
・同心円ターゲットは、基板に対して平行な面に配置され得る。材料をよりよく使用するために、外側のターゲットは錐体状であってもよく(錐体表面の回転対称部を規定)、ターゲットの垂線は、基板の中心に向いている。
【0087】
・回転マグネットシステムは、米国特許第4,622,121号に記載されているように、機械的セットアップを簡単にするために、1つの回転プラットホーム上に取り付けることができる。
【0088】
したがって、米国特許第4,622,121号は、回転マグネットシステムについてのより詳細を提供するため、本特許出願において、その全体が引用により援用される。
【0089】
複数のカソードを用いることは、異なる組成の金属ターゲットから混合酸化物の反応性スパッタリングの可能性をもたらす。しかし、この場合、簡単な定電圧スパッタリングは働かない(または十分に働かない)かも知れず、分圧規制や、電力またはパルス幅を調整することにより、各材料に対するパルス当りのエネルギを規制することによるなど、他の何らかの処理制御と(好ましくは)組合せなければならないかも知れない。さらなる実施例および利点は、従属項および図面から得られる。
【0090】
図面の簡単な説明
本発明は以下において実施例および図面により、より詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】反応性スパッタリングヒステリシス曲線(放電電圧対定電力でのO2フロー)を示す図である。
【図2】真空蒸着システムの断面図である。
【図3】ターゲット電圧発生に関連する局面が強調される、装置のブロック図であるう。
【図4】定電圧での、DC電源との前実験結果を示す図である。
【図5】定電圧スパッタリングの結果を示す図である。
【図6】実験見本の膜特性(波長の関数として、屈折率n)を示す図である。
【図7】実験見本の膜特性(kは波長の関数)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0092】
示される実施例は一例であり、本発明を限定するものではない。
発明の詳細な説明
図2は真空蒸着システム1の断面図である。真空蒸着システム1(「マルチソース」)は、ポンプ(図示されていない)用のポート3および4を有するロード/アンロードエンクロージャ2ならびにロード/アンロード手段(省略)、たとえばウェハハンドラまたは基板ロボットを含む。基板キャリア5は、丸い、長方形、または正方形のウェハ(シリコン、ガラスなど)の基板14を受入れるよう整形されている。基板キャリア5は、矢印6によって示されるように、持上げ機構の手段によって可動し、図2に示されているように、基板を下側の位置で受取るまたは送出し、かつ上昇した位置で基板14をクランピングするように設計されており、それにより基板を処理チャンバ7に露出させる。基板キャリア5はバネまたはウエイトリングのような機械的クランピング手段を示す、または静電チャックとして設計されてもよい。基板キャリア5は、特定の実施例において、基板を回転させる手段を提供し得る。これは、基板キャリアに動作可能に働くモータによって達成され、基板キャリアは中央軸8の周りを回転する。有利に、このモータおよび持上げ機構は、ユニットとして作成される。
【0093】
処理チャンバ7は本質的に底面部−基板キャリア5、側壁エレメント9、および上部またはカバー10からなる。上部10において、3つ以上のスパッタカソード11、12…(図2では断面において2つ示される)が配置されている。上部10の内側面13は、回転対称軸8を有する平坦な錐体の形を示し、すべてのターゲットに対して等しく、それぞれのターゲットセンタに対応する。カソード11、12…は対称軸8を中心とする規定された半径上に配置される。ガス入口および電気配線は、図2では示されていない。
【0094】
例示的な基板サイズは、8インチ(約20cm)ウェハであるが、基板キャリア5(および全体のシステム)は、30cmのウェハまたはガラス基板を収容するよう考えられている。システムは、10cm基板(4″)のようなより小さい基板に対応するよう設計できる。当業者なら、ここに示される原理に従い、システムの大きさを適合することができる。
【0095】
200mm基板サイズについて、ターゲット−基板距離は100および170mm間を好ましくは選択する。カソード11、12で用いられるターゲットの直径は有利に150mmであるが、70および160mmの間であり得る。(カソード11および12での)ターゲットの中心と対称軸8(ターゲット偏心)との間の最も短い距離は、典型的には基板の半径よりもやや大きく、ターゲット基板距離および傾斜角度と共に変えて、最適の均一性または最適な蒸着効率を与えることができる。最適なジオメトリはコンピュータシミュレーションによって計算され、測定された均一性と一致する。対称軸8に垂直な面とスパッタリングされていないターゲット前面によって規定される面との間のターゲット角度は15度に選択されるが、2および20度の間で調整できる。
【0096】
ターゲット直径が150mm、ターゲット偏心が140mm、ターゲット基板距離が130mm、およびターゲット角度が15°を有する3つのカソードの実施例において、±1%の均一性が得られた。
【0097】
図3はターゲット電圧の生成に関連する局面が強調された、より特定的には高電圧スイッチングエレメントを有するスパッタ電源を示す、装置のブロック図である。スイッチング方式を有する通常のDC電源15は、図3に示されるように、使用することができる。スパッタリングは40kHzでスイッチングされる2つのAlターゲットで行なわれた。2つのAlターゲットがスイッチングされて、1.3nm/秒/kWのスパッタ速度が達成された。
【0098】
図3は、DC電源15を示し、4つのスイッチにより、2つのターゲット11、12がカソードもしくはアノードに、またはすべてがカソードもしくはアノードに、スイッチングできる。
【0099】
この方式は、3つ以上のターゲットにも容易に拡張することができる。特に、4つのターゲットを順に切換えることができ、残りの1つ以上のターゲットはアノードとして切換えられる。4つのターゲットを低いデューティサイクルで高いピークパワーで動作させることは、有効なターゲットエロージョンへの利点である。広いアノード領域も利点となる。処理の安定性を得るために、電源は定電圧モードで動く。
【0100】
図4は定電力で、DC電源を用いた前実験の結果を示す図であり、より特定的には、電圧および圧力対反応性ガスフローのグラフである。これらの実験は、DVDスプリンタ(商業的に入手可能なシステム)にマルチソースクワトロで行なわれた。Alのスパッタ速度は1.5nm/秒・kW(DC)であった。酸化物モードでのDCスパッタリングは、0.08の定電圧で行なわれた。
【0101】
図5は、定電圧スパッタリングの結果を示す図である。定電圧スパッタリングは、2kWの合計電力より小さく制限されている。420Vおよび12sccmO2フローにおいて、高いレートの酸化物モードがあった。安定した動作が得られた。0.6nm/秒のスパッタ速度は、0.8から0.9kWの電力を必要とした。電圧電力関係は、制定時間(約10分の時定数)を必要とした。
【0102】
図6は実験サンプルの膜特性(波長の関数として屈折率n)、より特定的には図2から図5に関連して説明された態様で用意されたサンプルの膜特性を示す。図7は、同じ実験サンプルの膜特性(kは波長の関数)を示す。特定のスパッタは、予測された値の範囲、特に酸化物に対して0.8nm/秒/kWの範囲にある。1kWまでの安定した動作が得られた。120mm直径に対して少なくとも±3.2%の均一性が得られた。屈折率nはn=1.63−1.65となり、kは633nmでk<1e−3となり、後者は処理で最適化できる。(たとえば、ポンプ時間などを調整することによる)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性スパッタリングにより基板(14)を被覆するための装置(1)であって、軸(8)と、前記軸(8)に対して対称的に配置される少なくとも2つのターゲット(11、12)と、前記基板(14)を運ぶための基板キャリア(5)と、前記基板キャリア(5)を前記軸(8)の周りを回転させるための手段と、前記ターゲット(11、12)に接続される電源(15)とを備え、前記ターゲットは代替的にカソードおよびアノードとして動作可能である、装置。
【請求項2】
前記軸(8)に対する対称的な前記配置は、それぞれのターゲット中心が前記軸(8)の周りの円上に配置されるよう、前記ターゲット(11、12)が配置されることを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置(1)は基板(14)、特に単一の基板(14)を、誘電体コーティングで被覆するための装置(1)であり、特に、パルスDCスパッタリングで金属酸化物に対する反応性マグネトロンスパッタリング用の装置(1)である、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
高電圧スイッチングエレメントを備え、前記電源(15)は前記高電圧スイッチングエレメントを介して前記ターゲット(11、12)に接続され、前記ターゲット(11、12)が代替的にカソードおよびアノードとして動作することを可能にする、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記電源(15)は、前記ターゲット(11、12)に接続される単一の電源(15)、特に単一のDC電源(15)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ターゲット(11、12)は、それぞれのターゲット(11;12)のスパッタリングされていない前面によって規定される面が、前記軸(8)に対して垂直な面に角度が付けられているよう、特に2度および20度の間の角度によって角度が付けられているよう、配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ターゲットは円形ターゲットである、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ターゲット(11、12)は同心円的に配置され、最も内側の円形ターゲットは、少なくとも1つのリング状の外側ターゲットによって囲まれ、特に前記外側ターゲットは同様のスパッタリング領域を有する、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つの外側ターゲットは、錐体の表面の回転対称部を規定し、前記少なくとも1つの外側ターゲットのスパッタリングされていない前面に垂直な面は、前記軸(8)に対して角度が付けられている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
軸(8)を備える装置(1)での反応性スパッタリングにより基板(14)を被覆することにより、被覆された基板(14)を製造するための方法であって、前記方法は
a) 被覆するべき基板(14)を設けるステップと、
b) 前記軸(8)に対する対称的な配置において、少なくとも2つのターゲット(11、12)を設けるステップと、
c) 被覆の際、前記ターゲット(11、12)をカソードおよびアノードとして代替的に動作させるステップと、
d) 前記被覆の際、前記軸(8)の周りに前記基板(14)を回転させるステップとを備える、方法。
【請求項11】
前記軸に対する対称な前記配置は、それぞれのターゲットの中心が前記軸(8)の周りの規定された半径上にあるよう、前記ターゲット(11、12)が配置されることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基板(14)、特に単一の基板(14)を、誘電体コーティングで被覆し、特に、前記基板(14)、特に単一の基板(14)を、パルスDCスパッタリングで金属酸化物の反応性マグネトロンスパッタリングにより、被覆するステップを備える、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
ステップc)は、前記ターゲット(11、12)および電源(15)に接続される高電圧スイッチングエレメントを用いて、前記ターゲット(11、12)をコーティングの際カソードおよびアノードとして代替的に動作させることを含み、特に前記電源(15)は単一電源(15)、より特定的には単一のDC電源(15)である、請求項10から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記コーティングは定電圧スパッタリングによって達成される、請求項10から13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記ステップc)は前記ターゲット(11、12)にターゲット電圧を印加することを含み、前記方法は基板の内側および外側領域において製造されたコーティングの厚さを微調整するために、前記ターゲット電圧のパルス幅を調整するステップを備える、請求項10から14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記ターゲット(11、12)は、40kHzの周波数で、カソードおよびアノードとして代替的に動作される、請求項10から15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ターゲット(11、12)は円形ターゲットである、請求項10から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記ターゲット(11、12)は、それぞれのターゲット(11;12)のスパッタリングされていない前面によって規定される面が、前記軸(8)に対して垂直である面に対して角度付けられるよう、特に2度および20度の間の角度で角度付けられるよう、配置される、請求項10から17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記ターゲット(11、12)は同心円的に配置され、最も内側の円形ターゲットは少なくとも1つのリング状外側ターゲットによって囲まれ、特に前記少なくとも1つの外側ターゲットは同様のスパッタリング領域を有する、請求項10から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記方法によって製造されたコーティングは、
−低吸収膜と;
−光誘電体フィルタと;
−導波路と;
−光学薄膜と;
−Al23膜と;
−Ta25膜、特にSiO2またはAl23のクラッド層間に挟まれるTa25膜と;
−混合酸化物の膜、特に異なる組成の金属ターゲットからの膜とからなるグループの少なくとも1つを含む、請求項10から19のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−525492(P2012−525492A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507694(P2012−507694)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/055453
【国際公開番号】WO2010/125002
【国際公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(596013501)オー・ツェー・エリコン・バルザース・アクチェンゲゼルシャフト (55)
【氏名又は名称原語表記】OC Oerlikon Balzers AG
【Fターム(参考)】