説明

複数企業間におけるポイント交換システム

【課題】 業種や業態の異なる複数の企業間においても利用できるポイント交換システムを提供する。
【解決手段】 端末装置1a,1b,1c,…,1nは、複数の異なる企業A,B,C,…,Nに配置され、企業ID、顧客ID及び購買金額に関する情報を出力する。管理センター6は、購買金額に応じて決められたポイントを顧客ごとに管理する顧客別管理ファイル8と、ポイントの発行量及び利用量を企業ごとに集計する集計ファイル10と、前記集計に基づいて各企業ごとの収支を算出する収支算出ファイル11とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポイントシステムに関し、特に異なる企業間においても利用できる複数企業間におけるポイント交換システムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、購買金額に応じてポイントを付与し、貯まったポイントを使って商品を購入することができるポイントシステムが普及している。これによって新規顧客を獲得し易くするとともに、旧来の顧客の定着化を図ることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のポイントシステムは、ポイントが同一の企業又は企業グループ内でのみ使用できるものであり、利用範囲が制限されていた。そこで、本発明の目的は、同一の企業又は企業グループ内に限らず、異なる複数の企業間においても使用できるポイント交換システムを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明においては、複数の異なる企業に配置され、前記企業、顧客及び購買金額に関する情報を出力する端末手段と、前記購買金額に応じて決められたポイントを顧客ごとに管理する顧客別管理手段と、前記ポイントの発行量及び利用量を企業ごとに集計する集計手段と、前記集計に基づいて各企業ごとの収支を算出する収支算出手段とによってポイントシステムを構築した。
【0005】
【発明の実施の形態】図1は本発明のポイント交換システムの一例を示すブロック図であり、本システムは、複数の異なる企業であるA社,B社,C社,…,N社に配置される端末装置1a,1b,1c,…,1nと個人宅のパソコン1xを備えている。端末装置1a,1b,1c,…,1nはネットワーク5を介して管理センター6に接続され、パソコン1xはインターネット50を介して管理センター6に接続される。
【0006】複数の異なる企業は、業種や業態の異なる企業であって、例えば、A社が雑貨店、B社がレストラン、C社がアパレル系、等々である。端末装置1a,1b,1c,…,1nは、市販のカード読取端末機を使用することができ、例えば、表示部、キー入力部、印字部、データ通信部、磁気カードリーダー部、ICカードリーダー部等を備えている。本システムで使用するポイントカードは、例えばクレジットカード及びデビットカードとしても使用できるものである。すなわち、図2に示すように、ポイントカード2の上端部及び下端部には、クレジットカード情報及びデビットカード情報(クレジット・デビットの番号、ID、口座番号等)が記録された磁気ストライプ3,4がそれぞれ貼付されている。各磁気ストライプ3,4の後半部分3a,4aにポイントカード情報が記録されている。ポイントカード情報としては、例えば顧客ID等の顧客情報が記録される。ポイントカード2は、磁気カードに限らず、ICカードを使用してもよい。
【0007】ポイントカード2の、図2の上下いずれかの端部を、端末装置1a,1b,1c,…,1nの磁気カードリーダー部のスロットに通して、クレジットカード情報及びデビットカード情報のいずれかを入力する。それと同時に、磁気ストライプ後半部分3a,4aに記録された顧客情報(顧客ID等)が入力される。これらのデータは、スリットを一回通すだけの単一の動作により入力される。また、端末装置1a,1b,1c,…,1nのキー入力部を操作することにより、購入した商品の金額を入力する。端末装置1a,1b,1c,…,1nからは、クレジット又はデビットカード情報、顧客ID、購買金額、企業IDが、ネットワーク5を介して管理センター6へ送られる。
【0008】管理センター6は、制御装置7と、顧客別管理ファイル8と、企業別管理ファイル9と、集計ファイル10と、収支算出ファイル11とを備えている。制御装置7は、CPU、記憶手段、入出力装置、通信制御装置等を含み、本システムの動作を制御する。顧客別管理ファイル8には、例えば、図3に示すように、顧客ID13、顧客の氏名14、現在のポイント残15、ポイントカード2の有効期限16等が記録されている。企業別管理ファイル9は、図4に示すように、各企業ごとに、顧客ID13、顧客の氏名14、購買日17、購買金額18、ポイント19が記録されている。
【0009】図5に示すように、集計ファイル10は、各企業において発行されたポイントを企業ごとに集計する発行ポイント集計ファイル10aと、各企業において顧客が利用したポイントを企業ごとに集計する利用ポイント集計ファイル10bとを備えている。発行ポイント集計ファイル10aは、社名20と、各企業が発行した発行ポイント21と、ポイントを発行した日付22とを記録する。利用ポイント集計ファイル10bは、社名20と、顧客が各企業において利用した利用ポイント23と、ポイントを利用した日付22とを記録する。収支算出ファイル11は、社名20と、回収又は支払のいずれかを示す収支結果24と、その金額25とを記録する。
【0010】管理センター6は、通信回線26,27を介して提携銀行28及びクレジット・ファイナンス情報システム(CAFIS)と結ばれている。CAFIS29は、銀行30、クレジット会社31,32等と通信回線で結ばれている。
【0011】上記システムの概要は以下のとおりである。各企業が発行したポイントは、顧客が他企業において購買するときの原資となるので、企業は発行したポイントに相当する金額を管理センター6にプールし、顧客がポイントを利用したときに管理センター6から支払いを受けるようにする。そして、ポイントの発行量及び利用量を企業ごとに集計し、この集計に基づいて各企業ごとの収支を算出する。管理センター6は、収支に応じて、各企業に対する回収又は支払を行う。
【0012】以下、本システムの動作を(1)ポイント発行時、(2)ポイント利用時、(3)各企業の収支計算時に分けて説明する。例として、以下の場合を想定する。すなわち、顧客がA社において1000円の購買をし、A社は100ポイント発行し(ポイント換算率10%)、B社においては1000円の購買をしてB社は50ポイント発行する(ポイント換算率5%)。その後、前記発行されたポイントの合計150ポイントを利用してC社で150円の購買をする(換算率1ポイント=1円)。
【0013】(1)ポイント発行時図6のフローチャートを用いて説明すると、まず端末装置1aから、企業ID、購買金額、顧客ID等が管理センター6へ送信される(ステップ601)。このときクレジットカードやデビットカードによって決済する場合は、クレジット又はデビット情報が金融機関28,30,31,32へ送られ信用チェックが行われた上で売買決済される。一方、管理センター6においては、上記購買金額が企業ごとに決められた換算率でポイントに換算され、顧客別管理ファイル8へ記録される(ステップ602)。ポイント換算は制御装置7により行われ、その換算率は、制御装置7の企業情報管理ファイル(図示せず)に記録され、企業ごとに設定、変更可能である。もちろん、端末装置1a,1b,1c,…,1nにおいてポイント換算及びポイント換算率の設定、変更を行うようにしてもよい。上記例ではA社、B社からそれぞれ100ポイント、50ポイントが発行され、合計150ポイントが顧客別管理ファイル8へ記録される(図3参照)。同時に、図4に示すように、各ポイントは企業別管理ファイル9へも記録される(ステップ603)。次いで、各ポイントは、図5に示すように、発行ポイント集計ファイル10aに記録される(ステップ604)。
【0014】(2)ポイント利用時図7のフローチャートを用いて説明すると、端末装置1aから、企業ID、購買金額、顧客ID等が管理センター6へ送信される(ステップ701)。一方、管理センター6においては、顧客別管理ファイル8から現ポイント残15が参照されて、ポイントと金額の換算率(上記例では1ポイント=1円)で購買金額と比較され(ステップ702)、現ポイント残15が購買金額以上であれば、現ポイント残15から購買金額が減算されて記録される(ステップ703)。現ポイント残15が購買金額に足りなければ、現ポイント残15が「0」にクリアされて記録され(ステップ703)、不足分を決済する(ステップ705)。次に、購買金額は企業別管理ファイル9へ記録され(ステップ706)、利用されたポイントは、図5に示すように、利用ポイント集計ファイル10bに記録される(ステップ707)。
【0015】(3)収支計算時図8のフローチャートを用いて説明すると、一定期間ごと(例えば毎月)発行ポイント集計ファイル10aに記録された発行ポイントを各社ごとに集計し(ステップ801)、また、利用ポイント集計ファイル10bに記録された利用ポイントを各社ごとに集計する(ステップ802)。上記集計に基づいて各社ごとに収支を算出し、収支算出ファイル11に記録し(ステップ804)、最後に管理センター6は、各社に対して回収又は支払を行う(ステップ804)。上記例の場合、管理センター6はA社、B社からそれぞれ100円、50円を回収し、C社に対して150円支払う。なお、管理センター6は、各企業から手数料を徴収する。例えば、利用ポイント集計ファイル10bに計上された利用ポイントに対する一定割合を手数料とする。つまり、利用ポイント23から手数料を差引いて集計して、収支結果24及び金額25を算出する。しかし、手数料の徴収方法はそれに限定されない。例えば、利用量に関係なく毎月一定額の金額を手数料として徴収してもよい。
【0016】以上のようなシステムにすれば、異なる企業間においてもポイント交換システムを円滑に運用することが可能となる。これにより、各企業は既存の顧客の囲い込みができるばかりでなく、他業種・他業態の顧客を獲得することにより売上を拡大することができる。また、企業別管理ファイル9を設けたことにより、各企業は顧客購買データを分析することにより、効果的な営業展開を行うことが可能となる。特に、従来は現金決済の顧客に対してはデータを得ることはできなかったが、本システムを用いれば現金決済の顧客のデータを得ることも可能となる。企業別管理ファイル9は、各加盟企業がインターネット等を通じて閲覧できるようにすれば利便性が一層向上する。また、利用ポイント集計ファイル10bを用いて手数料の計算をすることにより、管理センター6の手数料を円滑に抵抗なく徴収することが可能となる。さらに、上記ポイント交換システムの端末装置1a,1b,1c,…,1nは、単一の動作によりポイントカード情報と前記クレジットカード情報又はデビットカード情報とを出力することができ、クレジット又はデビットシステムに、ポイント交換システムを円滑に導入することができる。
【0017】一般に、企業によってポイントの収支結果が異なり、例えばポイントの発行量が利用量に比べて著しく多い場合があり、その場合は、企業ごとにポイント発行量に調整を加えてもよい。例えば、図9に示すように、発行ポイント21に調整率33を掛けて調整済発行ポイント34を求め、この調整済発行ポイント34を用いて各企業の収支を算出する。これにより、各企業の収支にばらつきがある場合に企業間の公平を実現することができ、業種や業態の異なる企業であってもより多くの企業をポイント交換システムに参加させることが可能となる。
【0018】ところで、発行されたポイントを顧客が利用せずに滞貨になっていることがあるが、このような未利用ポイントを回収することができる。図10はその例を示す概略図であり、インターネット上に、本ポイント交換システムの会員専用のホームページを開設し、その中に、買取りサイト35を設ける。買取サイト35におけるポイント買取手順は、例えば次のとおりである。
(1)会員ID、パスワードを入力することにより、パーソナルページへ移行する。
(2)パーソナルページにおいて、ポイント残が表示される。管理センター6の制御装置7もインターネットに接続され、前期パーソナルページのデータは管理センター6の顧客毎ファイル8のデータとリンクされているので、上記のとおりポイント残が表示される。
(3)顧客36は、買取を希望する場合は、パソコン1xから会員ID、パスワード、買取指示及び銀行口座等の送金先を入力する。これらの情報はインターネット50を介して管理センター6へ送られる。
管理センター6は買取指示を受けて対象ポイントを金額に換算し、手数料37(例えば10%)を引いた残りを計算し、顧客36の送金先へ送金する。手数料37は、管理センター6が一部(3%)受け取り、残り(7%)をポイント発行企業38間において発行ポイント比率に応じた配分を行う。配分されたポイントは現金で精算してもよいし、利用ポイント集計ファイル10b(図5)の利用ポイント23に加算してもよい。以上のようなポイント還流ルートを形成することにより、顧客に対するサービスの向上と、加盟企業に対する負担の低減を図ることができる。なお、買取りサイト35に加えて、ショッピングサイト39を設け、顧客36は残存ポイントを使用して、本ポイント交換システム加盟企業38,40の商品を購入できるようにしてもよい。
【0019】さらに、買取サイト35には、加盟企業の広告を掲載できるようにする。つまり、買取サイト35は、会員にとってはポータルサイトであると同時に、加盟企業にとってはキャンペーンサイトとして機能する。会員にとっては、貯まったポイントを簡単に知ることができ、この貯まったポイントに関しては、広告企業を利用してポイントを消化するか、又はポイントの買取を指示することができるので、いずれにしてもポイントの流通が活発化され、その結果、加盟企業の売上を向上させることができる。なお、ポイントの買取指示は、インターネットの買取サイト35に限らず、端末装置1a,1b,1c,…,1nを用いて行うようにしてもよい。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、業種や業態の異なる複数の企業間においてもポイント交換システムを導入できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポイント交換システムの一例を示すブロック図。
【図2】ポイントカードの概略図。
【図3】顧客別管理ファイルの構成図。
【図4】企業別管理ファイルの構成図。
【図5】発行ポイント集計ファイル、利用ポイント集計ファイル及び収支算出ファイルの構成図。
【図6】ポイント発行を説明するフローチャート。
【図7】ポイント利用を説明するフローチャート。
【図8】収支算出を説明するフローチャート。
【図9】発行ポイント集計ファイルの他の例の構成図。
【図10】未利用ポイントの回収方法の一例を示す図。
【符号の説明】
1a,1b,1c,…,1n 端末装置
2 ポイントカード
3,4 磁気ストライプ
6 管理センター
8 顧客別管理ファイル
9 企業別管理ファイル
10a 発行ポイント集計ファイル
10b 利用ポイント集計ファイル
11 収支算出ファイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数の異なる企業に配置され、前記企業、顧客及び購買金額に関する情報を出力する端末手段と、前記購買金額に応じて決められたポイントを顧客ごとに管理する顧客別管理手段と、前記ポイントの発行量及び利用量を企業ごとに集計する集計手段と、前記集計に基づいて各企業ごとの前記発行量及び利用量の収支を算出する収支算出手段とを備えたことを特徴とする複数企業間におけるポイント交換システム。
【請求項2】 端末からの情報を受けて購買金額に応じて決められたポイントを顧客ごとに管理する顧客別管理手段と、前記ポイントの発行量及び利用量を企業ごとに集計する集計手段と、前記集計に基づいて各企業ごとの収支を算出する収支算出手段とを備えたことを特徴とする複数企業間におけるポイント交換システム。
【請求項3】 前記顧客及び購買金額情報を、企業ごとに管理する企業別管理手段を設けた請求項1又は2に記載のポイント交換システム。
【請求項4】 前記集計手段は、前記ポイントの利用量に応じた手数料を計算する請求項1又は2に記載のポイント交換システム。
【請求項5】 前記集計手段は、ポイントの発行量に対して企業ごとに調整を行う請求項1又は2に記載のポイント交換システム。
【請求項6】 前記顧客別管理手段に記録された未利用ポイントに対する買取指示を出力する手段を設けた請求項1又は2に記載のポイント交換システム。
【請求項7】 端末装置によって、クレジットカード又はデビットカードを用いた決済ができるとともに、ポイントカード情報を送信できるポイントシステムであって、前記端末装置は、単一の動作によりポイントカード情報と前記クレジットカード情報又はデビットカード情報とを出力することを特徴とするポイント交換システム。
【請求項8】 端末装置からの情報を受けて購買金額に応じて決められたポイントを顧客ごとに管理し、前記ポイントの発行量及び利用量を企業ごとに集計し、前記集計に基づいて各企業ごとの収支を算出する複数企業間におけるポイントシステムに用いられる端末装置であって、複数の異なる企業に配置され、企業、顧客及び購買金額に関する情報を出力することを特徴とする端末装置。
【請求項9】 クレジットカード情報又はデビットカード情報とポイントカード情報とを共に記録できるようにしたことを特徴とするカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2002−42251(P2002−42251A)
【公開日】平成14年2月8日(2002.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−221667(P2000−221667)
【出願日】平成12年7月24日(2000.7.24)
【出願人】(500207844)株式会社イー・ファイナンス ドット コム (1)
【Fターム(参考)】