説明

複数作品の中から選択した模範歌唱作品を伴奏音楽に合わせて再生可能なカラオケ装置、カラオケ選曲装置

【課題】選曲する利用者に混乱を与えることがなく、運用システムの有り様を理解し、好みに応じて模範歌唱の使用/不使用をスムーズに選択する。
【解決手段】記憶手段と、ユーザインタフェースと、通信手段と、制御手段を備える。記憶手段は、楽曲解説記述を記憶、楽曲解説記述は、模範歌唱が付属している楽曲かそうでないかの区別の記述を含むとともに、複数作品の模範歌唱が付属した楽曲であれば各作品の由来の記述を含む。制御手段は、選んだ楽曲番号に対応する楽曲解説記述を抽出し、模範歌唱作品が1つ付属した楽曲であれば第1処理を、模範歌唱作品が複数付属した楽曲であれば第2処理を、模範歌唱作品が付属していない楽曲であれば第3処理を行う。第1処理は、模範歌唱を再生するか否かをユーザインタフェースにより問い合わせる。第2処理は、複数作品の由来記述をユーザインタフェースに表示させて作品の選択または再生しない選択を受け付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カラオケにおいて、利用者が歌って楽しむことに加えて、上手な模範歌唱作品を聞くことの楽しみを充実させるシステム技術に関し、とくに、複数作品の中から選択した模範歌唱作品を伴奏音楽に合わせて再生可能なカラオケ装置やカラオケ選曲装置に関する。
【背景技術】
【0002】
うろ覚えの曲をカラオケで歌うときに、周知のボーカルアシスト機能を利用すると便利である。プロ歌手あるいはプロ級の歌手が歌った模範歌唱が伴奏音楽とともに再生されるので、その模範歌唱を頼りに歌うことでうまく歌えるし、その曲を正確に覚えるのに役に立つ。
【0003】
出願人は、カラオケにおける模範歌唱をボーカルアシスト(歌唱の手助け)という意味合いから脱皮させ、カラオケ利用者が歌う行為と関連して上手な人の歌を鑑賞するという意味合いに進化させようと考え、ソフトウエアおよびハードウエアの両面から種々の開発を行っている。特開2005−241743号公報「歌唱録音作品寄託システムを備えたカラオケ装置」、特開2005−241847号公報「カラオケ歌唱録音作品の編集保管装置」、特開2005−241848号「通信カラオケシステムにおける投稿作品編集式の模範ボーカル提供装置」に関連技術が詳しく解説されている。
【発明の開示】
【0004】
===発明の目的===
よく知られているように、最近のカラオケデータベースには5万〜10万曲もの膨大な数の楽曲が登録されている。その中で模範歌唱が付属している楽曲は現状ではあまり多くはない。出願人は、カラオケデータベースに登録されている既存楽曲に、新規に制作した模範歌唱作品をつぎつぎと追加登録していき、カラオケ愛好者に随時に利用してもらうことを企図している。この仕組みを利用者に分かりやすく提供し、好みに応じて混乱なく簡便に利用してもらえるユーザインタフェース技術はどうあるべきかを研究し、この発明を創作した。
【0005】
===カラオケ装置の発明===
この発明に係るカラオケ装置は、便宜的に分説すると、つぎの事項(1)〜(11)により特定されるものである。
(1)記憶手段と、ユーザインタフェースと、再生手段と、制御手段を備えたカラオケ装置であること
(2)記憶手段は、楽曲番号に対応付けられた楽曲情報を記憶すること
(3)楽曲情報は、すべての楽曲について伴奏音楽データと楽曲解説記述を含み、一部の楽曲については伴奏音楽と同期する模範歌唱データを1作品以上含むこと
(4)楽曲解説記述は、模範歌唱データが付属した楽曲であればその旨の記述を含むとともに、複数作品の模範歌唱データが付属した楽曲であれば各作品の由来の記述を含むこと
(5)ユーザインタフェースは、制御手段の制御に基づき利用者に情報を表示するとともに利用者入力を受付可能であること
(6)再生手段は、伴奏音楽データのみの再生、および、伴奏音楽データと模範歌唱データの同期再生が可能であること
(7)制御手段は、利用者が選んだ楽曲番号に対応する楽曲解説記述を抽出し、1作品の模範歌唱データが付属した楽曲であれば第1処理を、複数作品の模範歌唱データが付属した楽曲であれば第2処理を、模範歌唱データが付属していない楽曲であれば第3処理を行うこと
(8)第1処理は、模範歌唱を再生するか否かをユーザインタフェースにより問い合わせさせ、再生しない応答の場合は第3処理を、再生する応答の場合は第3と第4処理を行うこと
(9)第2処理は、複数作品の由来記述をユーザインタフェースに表示させて再生する模範歌唱の作品の選択または再生しない選択を受け付け、再生しない応答の場合は第3処理を、再生作品を選択する応答の場合はその作品を指定して第3と第4処理を行うこと
(10)第3処理は、楽曲番号に該当する伴奏音楽データのみを再生させること
(11)第4処理は、第3処理の再生処理と同期し、特定された模範歌唱データを再生させること
【0006】
===カラオケ選曲装置の発明===
この発明に係る選曲装置は、便宜的に分説すると、つぎの事項(21)〜(30)により特定されるものである。
(21)記憶手段と、ユーザインタフェースと、通信手段と、制御手段を備え、カラオケ本体装置に演奏予約電文を送信するカラオケ選曲装置であること
(22)記憶手段は、楽曲番号に対応付けられた楽曲解説記述を記憶すること
(23)楽曲解説記述は、模範歌唱が付属している楽曲かそうでないかの区別の記述を含むとともに、複数作品の模範歌唱が付属した楽曲であれば各作品の由来の記述を含むこと
(24)ユーザインタフェースは、制御手段の制御に基づき利用者に情報を表示するとともに利用者入力を受付可能であること
(25)通信手段は、カラオケ本体装置と通信可能とすること
(25)制御手段は、利用者が選んだ楽曲番号に対応する楽曲解説記述を抽出し、模範歌唱作品が1つ付属した楽曲であれば第1処理を、模範歌唱作品が複数付属した楽曲であれば第2処理を、模範歌唱作品が付属していない楽曲であれば第3処理を行うこと
(26)第1処理は、模範歌唱を再生するか否かをユーザインタフェースにより問い合わせさせ、再生しない応答の場合は第3処理を、再生する応答の場合は第4処理を行うこと
(27)第2処理は、複数作品の由来記述をユーザインタフェースに表示させて作品の選択または再生しない選択を受け付け、再生しない応答の場合は第3処理を、作品を選択する応答の場合はその作品を指定して第5処理を行うこと
(28)第3処理は、楽曲番号を含む演奏予約電文を送信させること
(29)第4処理は、楽曲番号と模範歌唱再生指示を含む演奏予約電文を送信させること
(30)第5処理は、楽曲番号と模範歌唱作品の識別情報を含む演奏予約電文を送信させること
【0007】
===発明の効果===
利用者が選択した曲に模範歌唱が付属していなければ、もちろん模範歌唱に関する問い合わせは行われない。選択した曲に模範歌唱作品が1つだけ付属しているのであれば、模範歌唱を再生するか否かを利用者に問い合わせする処理が行われる。選択した曲に複数の模範歌唱作品が付属している場合、利用者に各作品の由来を提示して選択材料としてもらい、模範歌唱を再生しないのか、する場合はどの作品を再生するのかを選択してもらう。従って、カラオケデータベースに登録されている既存楽曲に新規に制作した模範歌唱作品をつぎつぎと追加登録していき、随時に利用に供するという運用状況にあっても、選曲する利用者にまったく混乱を与えることがなく、運用システムの有り様を理解してもらえ、利用者の好みに応じて模範歌唱の使用/不使用をスムーズに選択してもらえる。
【実施例】
【0008】
===全体の概要===
図1にこの発明の一実施例によるカラオケ装置の概略構成を示している。このカラオケ装置は、カラオケ本体装置1と、カラオケ選曲装置2を含んだものである。カラオケ本体装置1は、CPU・RAM・ROMを含んだ中央制御装置3と、ハードディスク装置4と、操作パネル装置5と、CRTやPDPやLCDなどのディスプレイとビデオプロセサを含んだ表示装置6と、ミキシングアンプ・マイクロホン・スピーカーを含んだ音響装置7と、MIDIシンセサイザーやMP3デコーダーを含んだ音楽生成装置8と、通信インタフェース9を備えている。
【0009】
カラオケ選曲装置2は、タブレットコンピュータ応用装置であり、CPU・RAM・ROMを含んだ中央制御装置10と、ハードディスク装置11と、タッチパネルディスプレイ装置12と、通信インタフェース13を備えている。
【0010】
カラオケ本体装置1とカラオケ選曲装置2とは、通信インタフェース9および13によりLANに接続されて相互に通信可能である。また図示していないが、カラオケ本体装置1とカラオケ選曲装置2は、LAN上のゲートウエイサーバーを介してインターネットに接続可能であり、インターネット上のカラオケ管理サーバーにより統括されている。
【0011】
===カラオケ本体装置1===
ハードディスク装置4には、カラオケ楽曲データベースと、楽曲索引データベースと、カラオケ映像データベースが格納されている。カラオケ楽曲データベースは、楽曲番号に対応付けされた楽曲情報が集約されている。楽曲情報は、すべての楽曲について伴奏音楽データを含み、一部の楽曲については伴奏音楽と同期する模範歌唱データを1作品以上含んでいる。伴奏音楽は、MIDIデータのみで記述された楽曲と、MP3形式などのデジタルの録音データによる楽曲と、両方のデータタイプが混在している楽曲がある。もちろん模範歌唱データは録音データであり、MP3形式のデータである。なお、楽曲索引データベースについては、カラオケ選曲装置2の欄で説明する。
【0012】
音楽生成装置8は、中央制御装置3の制御下において、MIDIシンセサイザーやMP3デコーダーによって伴奏音楽データや模範歌唱データを音楽進行時系列に従って同期再生する。再生された音楽が音響装置7により音響出力される。
【0013】
中央制御装置3は、操作パネル装置5やカラオケ選曲装置2からの演奏予約情報を待ち行列で管理し、リクエスト曲を順番に演奏させる。周知のように、カラオケの楽曲情報には歌詞字幕情報と映像指定情報が含まれており、楽曲の演奏処理の際には中央制御装置3の制御に従い、音楽の進行に同期して色変わりする歌詞字幕が表示装置6に表示されるとともに、カラオケ映像データベースから抽出された映像データが歌詞字幕の背景に表示される。
【0014】
===カラオケ選曲装置2===
ハードディスク装置11には、カラオケ本体装置1と同様な楽曲索引データベースが格納されている。楽曲索引データベースは、楽曲番号に対応付けされた楽曲解説記述を集約したものである。楽曲解説記述は、曲名・アーチスト名・作曲者・作詞者などの楽曲属性情報を基本情報として含むほか、模範歌唱データが付属した楽曲であればその旨の記述を含むとともに、複数作品の模範歌唱データが付属した楽曲であれば各作品の由来の記述を含む。作品の由来の記述とは、歌唱者の名前・所属・録音日付など、模範歌唱作品に関する各種の属性情報が含まれる。
【0015】
中央制御装置10は、ハードディスク装置11に格納されているプログラムに従って動作し、タッチパネルディスプレイ装置12により対話形式のユーザインタフェース処理を実行して利用者と各種の情報交換を行うことで、電子目次本などと呼ばれる楽曲検索機能を利用者に提供する。曲名検索・歌手名検索・新曲検索・デュエット曲検索・あの頃検索など、利用者は、周知のさまざまな検索モードにより選曲を行い、カラオケ本体装置1に演奏予約することができる。
【0016】
===模範歌唱に関わるユーザインタフェース===
カラオケ選曲装置2により利用者が楽曲検索を行って1曲を選択すると、中央制御装置10は、図2のフローチャートに示す演奏予約ルーチンを実行し、最初のステップ100にて、その楽曲の解説記述に基づいてタッチパネルディスプレイ装置12に楽曲の詳細な解説画面を表示する。この楽曲解説画面には、当該楽曲を演奏予約する際にタッチ入力する送信ボタンが含まれている。つづくステップ101では、この楽曲に模範歌唱作品が付属しているか否かを調べ、付属している場合はステップ102にて、楽曲解説画面にボーカルボタンを表示するとともに「模範ボーカルの再生を希望する場合はこのボタンにタッチ入力してください」との趣旨のメッセージを表示する。
【0017】
模範歌唱作品があったとして説明を続ける。ステップ103でボーカルボタンがオンになったか否かを判断する。オンになった場合、ステップ104にて選択された楽曲に複数の模範歌唱作品が付属しているのか否かを判断し、複数作品あるのであればステップ105にて、その複数の模範歌唱作品の由来記述に基づいて各作品の解説を表示する。そして利用者が1つの作品を選択して送信ボタンをオンにすると、楽曲番号と模範歌唱作品の識別情報を含んだ演奏予約電文を作成してカラオケ本体装置1に送信する(ステップ106→107→108)。
【0018】
利用者が選択した楽曲に模範歌唱作品が付属していなかった場合、送信ボタンが押されるのに応答し、楽曲番号を含み、模範歌唱に関する情報を含まない演奏予約電文を作成してカラオケ本体装置1に送信する(ステップ101→130→131)。
【0019】
利用者が選択した楽曲に模範歌唱作品が1つしか付属していなくて、かつ、利用者がボーカルボタンをオンにしてから送信ボタンをオンにすると、楽曲番号と模範歌唱作品の再生コマンドを含んだ演奏予約電文を作成してカラオケ本体装置1に送信する(ステップ103→104→120→121)。
【0020】
利用者が選択した楽曲に模範歌唱作品が付属しているけれど、利用者はボーカルボタンをオンにすることなく送信ボタンをオンにすると、楽曲番号を含み、模範歌唱に関する情報を含まない演奏予約電文を作成してカラオケ本体装置1に送信する(ステップ103→110→131)。なお、この場合に「模範歌唱を再生しない」というコマンドを電文に含ませるようにしても良い。
【0021】
===演奏予約電文の受信側===
上述した演奏予約電文を受信したカラオケ本体装置1は、楽曲番号を待ち行列に登録するとともに、模範歌唱の再生に関わる情報を楽曲番号に対応付けしておく。上記の説明から明らかなように、模範歌唱作品が付属していても再生しないのか、1つだけ付属している模範歌唱作品を再生するのか、複数作品付属している中からどの模範歌唱作品を再生するのかの区別が、中央制御装置3自身でつけられるようにして待ち行列に登録する。
【0022】
中央制御装置3は、待ち行列の登録内容に従って順番に演奏処理を行う。つまり、音楽生成装置8により、楽曲番号に対応する伴奏音楽データのみを再生させる処理と、楽曲番号に対応する伴奏音楽データの再生とともに特定された模範歌唱データを同期再生させる処理のいずれかを行うことになる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施例によるカラオケ装置の概略構成ブロック図である。
【図2】同上実施例におけるカラオケ選曲装置の選曲予約ルーチンの処理手順を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段と、ユーザインタフェースと、再生手段と、制御手段を備えたカラオケ装置であって、
記憶手段は、楽曲番号に対応付けられた楽曲情報を記憶し、
楽曲情報は、すべての楽曲について伴奏音楽データと楽曲解説記述を含み、一部の楽曲については伴奏音楽と同期する模範歌唱データを1作品以上含み、
楽曲解説記述は、模範歌唱データが付属した楽曲であればその旨の記述を含むとともに、複数作品の模範歌唱データが付属した楽曲であれば各作品の由来の記述を含み、
ユーザインタフェースは、制御手段の制御に基づき利用者に情報を表示するとともに利用者入力を受付可能であり、
再生手段は、伴奏音楽データのみの再生、および、伴奏音楽データと模範歌唱データの同期再生が可能であり、
制御手段は、利用者が選んだ楽曲番号に対応する楽曲解説記述を抽出し、1作品の模範歌唱データが付属した楽曲であれば第1処理を、複数作品の模範歌唱データが付属した楽曲であれば第2処理を、模範歌唱データが付属していない楽曲であれば第3処理を行い、
第1処理は、模範歌唱を再生するか否かをユーザインタフェースにより問い合わせさせ、再生しない応答の場合は第3処理を、再生する応答の場合は第3と第4処理を行い、
第2処理は、複数作品の由来記述をユーザインタフェースに表示させて再生する模範歌唱の作品の選択または再生しない選択を受け付け、再生しない応答の場合は第3処理を、再生作品を選択する応答の場合はその作品を指定して第3と第4処理を行い、
第3処理は、楽曲番号に該当する伴奏音楽データのみを再生させ、
第4処理は、第3処理の再生処理と同期し、特定された模範歌唱データを再生させる
カラオケ装置。
【請求項2】
記憶手段と、ユーザインタフェースと、通信手段と、制御手段を備え、カラオケ本体装置に演奏予約電文を送信するカラオケ選曲装置であって、
記憶手段は、楽曲番号に対応付けられた楽曲解説記述を記憶し、
楽曲解説記述は、模範歌唱が付属している楽曲かそうでないかの区別の記述を含むとともに、複数作品の模範歌唱が付属した楽曲であれば各作品の由来の記述を含み、
ユーザインタフェースは、制御手段の制御に基づき利用者に情報を表示するとともに利用者入力を受付可能であり、
通信手段は、カラオケ本体装置と通信可能とし、
制御手段は、利用者が選んだ楽曲番号に対応する楽曲解説記述を抽出し、模範歌唱作品が1つ付属した楽曲であれば第1処理を、模範歌唱作品が複数付属した楽曲であれば第2処理を、模範歌唱作品が付属していない楽曲であれば第3処理を行い、
第1処理は、模範歌唱を再生するか否かをユーザインタフェースにより問い合わせさせ、再生しない応答の場合は第3処理を、再生する応答の場合は第4処理を行い、
第2処理は、複数作品の由来記述をユーザインタフェースに表示させて再生する作品の選択または再生しない選択を受け付け、再生しない応答の場合は第3処理を、作品を選択する応答の場合はその作品を指定して第5処理を行い、
第3処理は、楽曲番号を含む演奏予約電文を送信させ、
第4処理は、楽曲番号と模範歌唱再生指示を含む演奏予約電文を送信させ、
第5処理は、楽曲番号と模範歌唱作品の識別情報を含む演奏予約電文を送信させる
カラオケ選曲装置。

【図1】
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【図2】
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