複数出口バルブを有する透析カセット
【課題】使い捨てポンピングカセットを提供すること。
【解決手段】使い捨てポンピングカセットは、一実施形態では、ポンプチャンバと、ポンプチャンバと連通する弁チャンバであって、入口ならびに第1および第2の出口を含む、弁チャンバと、を含む。使い捨てポンピングカセットは、別の実施形態では、入口ならびに第1および第2の出口を含む、第1の弁チャンバと、入口および出口を含む、第2の弁チャンバであって、第1の弁チャンバの第1および第2の出口の一方を通って、第2の弁チャンバの出口を通り透析液を流動させるように動作可能である、第2の弁チャンバとを含む。使い捨てポンピングカセットは、さらなる実施形態では、流体入口ならびに第1および第2の流体出口を含む、弁チャンバと、第1および第2の出口の一方のみを開閉するように動作可能である可撓性シートとを含む。
【解決手段】使い捨てポンピングカセットは、一実施形態では、ポンプチャンバと、ポンプチャンバと連通する弁チャンバであって、入口ならびに第1および第2の出口を含む、弁チャンバと、を含む。使い捨てポンピングカセットは、別の実施形態では、入口ならびに第1および第2の出口を含む、第1の弁チャンバと、入口および出口を含む、第2の弁チャンバであって、第1の弁チャンバの第1および第2の出口の一方を通って、第2の弁チャンバの出口を通り透析液を流動させるように動作可能である、第2の弁チャンバとを含む。使い捨てポンピングカセットは、さらなる実施形態では、流体入口ならびに第1および第2の流体出口を含む、弁チャンバと、第1および第2の出口の一方のみを開閉するように動作可能である可撓性シートとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
後述の実施例は、概して、医療流体送達に関する。より具体的には、実施例は、自動腹膜透析(「APD」)のための弁装置および方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
種々の原因によって、ヒトの腎臓系は、機能不全となり得る。腎不全は、いくつかの生理的異常をもたらす。水分、ミネラル、および日々の代謝負荷の排出のバランスは、もはや不可能となり、窒素代謝の毒性最終生成物(尿素、クレアチニン、尿酸、およびその他)が、血液および組織中に蓄積され得る。
【0003】
腎臓系および低下した腎機能は、透析によって治療されている。透析は、そうでなければ、正常に機能する腎臓によって除去されたであろう、老廃物、毒素、および過剰な水分を身体から除去する。腎機能の代用のための透析治療によって生命が救われるため、治療は、多くの人々にとって重大である。
【0004】
腎臓系療法の種類の1つは、腹膜透析であって、透析液とも呼ばれる透析溶液を使用して、透析液は、カテーテルを介して、患者の腹腔内に注入される。透析液は、腹腔の腹膜に接触する。老廃物、毒素、および過剰な水分は、拡散および浸透によって、患者の血流から、腹膜を通って、透析液中へと通過する。すなわち、浸透勾配が膜全体にわたって生じる。廃透析液は、患者から排出され、老廃物、毒素、および過剰な水分を患者から除去する。本サイクルは、繰り返される。
【0005】
種々の種類の腹膜透析療法が存在し、持続的携帯型腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流透析、および持続的流量腹膜透析(「CFPD」)が含まれる。CAPDは、手動透析治療である。故に、患者は、埋め込まれたカテーテルを排出管に手動で接続し、廃透析液流体を腹膜腔から排出させる。次いで、患者は、カテーテルを未使用透析液のバッグに接続し、カテーテルを通して、患者内に未使用透析液を注入する。患者は、カテーテルを未使用透析液バッグから解除し、透析液を腹膜腔内に滞留させ、老廃物、毒素、および過剰水分の輸送が生じる。滞留期間後、患者は、例えば、1日4回、手動透析手技を繰り返し、各治療は、約1時間継続する。手動腹膜透析は、患者のかなりの時間および努力を必要としており、改良の余地が十分ある。
【0006】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析治療が、排出、充填、および滞留サイクルを含むという点において、CAPDと類似する。しかしながら、APD機械装置または「循環装置」は、典型的には、患者が睡眠中に、自動的にサイクルを行なう。APD機械装置は、治療サイクルを手動で行なう必要性、および日中供給装置を運搬する必要性から、患者を解放する。APD機械装置は、埋め込まれたカテーテル、源、または未使用透析液のバッグと、流体排出管とに流体的に接続する。APD機械装置は、透析液源から、カテーテルを通して、患者の腹腔内へと未使用透析液を送出し、透析液を腔内に滞留させ、老廃物、毒素、および過剰な水分の輸送を生じさせる。源は、複数の滅菌透析液溶液バッグであり得る。
【0007】
APD機械装置は、腹腔から、カテーテルを通して、排出管へと廃透析液を送出する。手動プロセスと同様に、いくつかの排出、充填、および滞留サイクルは、透析中に生じる。「最後の充填」は、CAPDおよびAPDの終了時に生じ、次の治療まで、患者の腹腔内に残存する。
【0008】
CAPDおよびAPDは両方とも、廃透析流体排出管へと送出する、バッチ型システムである。潮流システムは、改良型バッチシステムである。潮流によって、長時間にわたって、患者から流体すべてを除去する代わりに、僅かな時間の増分後、流体の一部が除去および交換される。
【0009】
持続的流量またはCFPDシステムは、廃棄せずに、廃透析液を洗浄または再生成する。システムは、ループを通して、患者内外に流体を送出する。透析液は、一方のカテーテル管腔を通して、腹腔内へ流入し、別のカテーテル管腔から流出する。患者から流出する流体は、透析液から老廃物を除去する再構成デバイスを通して、例えば、ウレアーゼを採用し、尿素をアンモニアに酵素的に変換する尿素除去カラムを介して、通過する。次いで、アンモニアは、腹腔内への透析液の再導入に先立って、吸収によって、透析液から除去される。付加的センサが採用され、アンモニアの除去を監視する。CFPDシステムは、典型的には、バッチシステムよりも複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
腹膜透析システムは、ますます複雑になりつつあり、故に、システムの流体流動を操作するために、より多くの弁を必要とする。したがって、改良型弁、システム、おおびそれらを操作するための方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、流体弁および流体弁を使用する使い捨てカセットに関する。薬物または血液が患者内に導入または再導入される医療流体送達業界では、薬物または血液を運搬する流体ラインは、滅菌される必要がある。多くの場合、送達システムは、複雑ではなく、例えば、薬物または血液を運搬する滅菌されたチューブを締め付けることおよび締め付けを解除することによって、手動で制御可能である。自動透析システム等の他のシステムでは、流体送達は、だいぶ複雑である。ここでは、特に、オペレータが患者またはその家族である、および/または治療が、患者が睡眠あるいは安静を試みている間に行なわれる、在宅治療においては、流体ラインを自動的に締め付けることが望ましい。
【0012】
比較的複雑な流体送達治療計画に対応するために、透析システム等の医療流体送達システムは、流体を送出し、カセット内に形成される弁チャンバを開閉するように(自動的に)作動可能である可撓性部分を有する、使い捨てカセットを採用している。
【0013】
カセットは、製造上の観点から、かつ対応する作動器具(例えば、透析機械または器具)も同様に小型であるように、小型であることが望ましい。例えば、透析器具は、出張または休暇時に器具を運搬可能なように、ジェット旅客機の頭上のコンパートメント内に収まるように小型であることが望ましい。また、可撓性カセットシートのカセットの硬い部分への溶接は、カセットサイズの増加に伴って、益々困難かつ高価となる。同時に、透析治療等の医療流体治療は、さらに複雑かつ特殊となり、カセット内で必要とされる流路および弁の数が増える傾向にある。
【0014】
本明細書で論じられる弁チャンバ配列および結果として得られるカセットは、所与の一式の弁チャンバに対するカセットの機能性を増大させることによって、カセットサイズ/機能性の問題を解決する。カセットは、1つ以上のポンプチャンバおよび複数の弁チャンバを有する。弁チャンバのうちの1つは、入口および複数の出口を含む。第1の出口は、カセットの硬い部分に取り付けられた可撓性シートを介して、選択的に開閉可能である。硬い部分は、弁チャンバ壁と、第1の出口の選択的開閉のための座部を形成する、その中の突出ポートとを画定する。
【0015】
可撓性シートは、一実施形態では、例えば、カセットの硬い構造の縁への超音波溶接または熱封止を介して、物理的に封止される。動作時、シートは、基部壁から延出し、封止されたポンプおよび弁チャンバを形成する、ポンプチャンバ壁および弁チャンバ壁に押圧される。代替実施形態では、シートは、加えて、例えば、封止されたポンプおよび弁チャンバを形成するための超音波溶接または熱封止を介して、ポンプチャンバ壁および弁チャンバ壁に物理的に封止される。基部壁の反対側では、上述のように、シートは、機械的または物理的に、基部壁から延出する壁を形成する流路に封止され得る。
【0016】
弁チャンバは、出口座部、一実施形態では、基部壁から延出する円筒形ポートである、出口座部を含む。一実装では、ポートは、それ自体、少なくとも実質的に円筒形であり得る、弁チャンバの中心に位置する。また、弁チャンバは、突出と弁チャンバ壁との間にある、出口ポートの片側上の基部壁内に存在する、入口開口を含む。本明細書に記載のように、弁チャンバのいくつかは、ポートと弁チャンバ壁との間にある、入口開口からはポートの反対側に存在する、基部壁内の開口である、第2の出口を含む。
【0017】
入口および第2の出口は、一実施形態では、カセットの基部壁内に形成される開口であって、したがって、カセットシートの屈曲に伴って開閉しない。概して、基部壁は、カセットの流路側とカセットのポンプチャンバおよび弁チャンバ側とを分離する。例えば、弁チャンバ入口へと通じる入口流路と、第1および第2の弁チャンバ出口から通じる第1および第2の出口流路は、弁チャンバと反対側の基部上に位置し、ポンプチャンバと協働可能である。
【0018】
二重出口弁チャンバの第2の出口は、二重出口弁チャンバから下流に位置する弁チャンバ、すなわち、その入口流路が、二重出口弁チャンバの第2の(通過)出口からの出口流路である、弁チャンバによって、制御される。後述のように、二重出口弁チャンバは、選択的に、2つの流路のうちの一方または両方に、流動を向けることが可能であるか、あるいはいずれにも向けないことが可能である。
【0019】
両出口からの流動を遮断するためには、可撓性シートは、二重出口弁チャンバの第1の出口の出口座部および二重出口弁チャンバの第2の出口から下流の弁チャンバの出口座部を覆う領域において押動され、弁座部を閉鎖する。可撓性シートは、後述のように、空気圧的および/または機械的に動作する。
【0020】
二重出口弁チャンバの第2の出口からの流動を遮断するが、二重出口弁チャンバの第1の出口からの流体の流動を可能にするためには、可撓性シートは、下流弁チャンバの出口座部に押圧されるが、二重チャンバ弁の出口座部から引き離される。二重出口弁チャンバの第1の出口からの流動を遮断するが、二重出口弁チャンバの第2の出口からの流体の流動を可能にするために、可撓性シートは、下流弁チャンバの出口座部から引き離されるが、例えば、空気圧的および/または機械的に、二重チャンバ弁の出口座部に押圧される。両出口からの流動を可能にするために、可撓性シートは、両弁座部から引き離される。
【0021】
上述の弁チャンバセットまたは配列は、一実施形態では、第2の弁チャンバセット、中間弁チャンバ、および3つの流体入口を有するポンプチャンバと組み合わせて実装される。全体的構成によって、第1および第2の透析液成分(例えば、グルコースおよび重炭酸塩)等の第1および第2の医療流体は、ポンプ入口の任意の1つ、2つ、または3つを通して、選択的かつ比例的に送出される。
【0022】
本構成によって、例えば、第1の流体は、ポンプ入口のうちの1つを通して送出される一方、第2の流体は、第2および第3のポンプ入口を通して送出される。代替として、本構成によって、第1の流体は、ポンプ入口のうちの2つを通して送出される一方、第2の流体は、第3のポンプ入口を通して送出される。さらに代替として、本構成によって、第1の流体は、全3つのポンプ入口を通して送出される。さらなる代替として、本構成によって、第2の流体は、全3つのポンプ入口を通して選択的に送出される。
【0023】
付加的特徴および利点が本明細書に記載され、以下の詳細な説明および図面から明白となるであろう。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ポンプチャンバと、
該ポンプチャンバから第1の弁チャンバの出口へと通じる、第1の流路と、
該第1の弁チャンバの入口から第2の弁チャンバの第1の出口へと通じる、第2の流路であって、該第2の弁チャンバは、入口および第2の出口をさらに含む、第2の流路と、
該第1の弁チャンバの該出口および該第2の弁チャンバの該第2の出口を選択的に開閉するように位置付けられる、可撓性シートと
を備える、使い捨てポンピングカセット。
(項目2)
基部壁を含み、上記第1の弁チャンバの上記入口、上記第2の弁チャンバの上記入口、および該第2の弁チャンバの上記第1の出口のうちの少なくとも1つは、該基部壁内に開口を含む、項目1に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目3)
上記第1の弁チャンバの上記第1の出口および上記第2の弁チャンバの上記第2の出口のうちの少なくとも1つは、上記基部壁から隆起するポートを含む、項目2に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目4)
上記ポートは、上記基部壁の第1の側に隆起し、上記第1および第2の流路のうちの少なくとも1つは、該基部壁の第2の側に存在する、項目3に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目5)
上記第1および第2の弁チャンバのうちの少なくとも1つは、上記基部壁から延在する弁チャンバ壁を含む、項目2に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目6)
上記可撓性膜は、上記弁チャンバ壁および上記基部壁に接続される外壁のうちの少なくとも1つに封着される、項目5に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目7)
上記第1および第2の流路のうちの少なくとも1つは、上記基部壁から延在する経路形成壁を含む、項目2に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目8)
上記可撓性シートは、第1の可撓性シートであって、上記少なくとも1つの経路形成壁または上記基部壁に接続される外壁に封着される、第2の可撓性シートを含む、項目7に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目9)
上記第2のポンプチャンバの上記第2の出口から延在する第3の流体流路を含み、該流路は、(i)第3の弁に通じる、および(ii)上記第1および第2の流体流路のうちの少なくとも1つに対して少なくとも約45度の角度で位置付けられる、から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を含む、項目1に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目10)
上記第3の弁チャンバは、(i)第1および第2の出口を含む、および(ii)上記ポンプチャンバと流体連通する、から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を含む、項目9に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目11)
上記第2の流体ポンプチャンバの上記入口から延在する第3の流体流路を含む、項目1に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目12)
ポンプチャンバと、
該ポンプチャンバと連通する弁チャンバであって、入口ならびに第1および第2の出口を含む、弁チャンバと
を備える、使い捨てポンピングカセット。
(項目13)
上記第1および第2の出口のうちの一方を開閉可能なように位置付けられる可撓性シート膜を含む、項目12に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目14)
基部壁と、該基部壁から延在し、上記ポンプチャンバを形成する封入チャンバ壁とを含み、上記出口のうちの一方は、該封入チャンバ壁内に上記基部壁から延在するポートを含む、項目12に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目15)
上記流体入口ならびに上記第1および第2の出口のうちの他方は、上記封入チャンバ壁内に配置される開口を含み、該開口は、上記基部壁によって画定される、項目14に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目16)
上記ポートは、上記封入チャンバ壁の略中心において上記基部壁から延在する、項目14に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目17)
上記弁チャンバは、第1の弁チャンバであって、該第1の弁チャンバと上記ポンプチャンバとの間に一列に配置される第2の弁チャンバを含む、項目14に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目18)
上記第1および第2の弁チャンバは、(i)上記ポンプチャンバへの第1の流体路を通して、または(ii)該ポンプチャンバへの第2の流体路を通して、上記第1の弁チャンバに流入する流体を選択的に流動させるように構成される、項目17に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目19)
透析器具と動作可能であって、該器具およびカセットは、上記入口ならびに第1および第2の出口の任意のものが、弁入口または弁出口として、交換可能に動作するように構成される、項目12に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目20)
入口ならびに第1および第2の出口を含む、第1の弁チャンバと、
入口および出口を含む、第2の弁チャンバであって、該第1の弁チャンバの該第1および第2の出口のうちの1つを通し、該第2の弁チャンバの該出口を通し透析液を流動させるように動作可能である、第2の弁チャンバと
を備える、使い捨てポンピングカセット。
(項目21)
上記第2の弁チャンバの上記出口は、該第2の弁チャンバを避けて、上記第1の弁チャンバの上記第1および第2の出口のうちの1つからの上記透析液の流動を迂回させるように閉鎖可能である、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目22)
上記第2の弁チャンバの上記出口は、上記第1の弁チャンバの上記第1および第2の出口のうちの1つを通して、該第2の弁チャンバの該出口へ透析液を流動させるように開放可能である、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目23)
上記第1の弁チャンバの上記第1および第2の出口のうちの一方は、開閉可能であるが、該第1および第2の出口のうちの他方は開閉不能である、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目24)
上記第1の弁チャンバの上記第1および第2の出口ならびに上記第2の弁チャンバの上記出口のうちの1つを開閉するように構成される、可撓性シートを含む、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目25)
上記第1および第2の弁チャンバのうちの少なくとも1つと動作可能に連通するポンプチャンバを含む、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目26)
透析器具と動作可能であって、該器具およびカセットは、上記第1および第2の弁チャンバのいずれもの上記入口および出口の任意のものが、弁入口または弁出口として、交換可能に動作するように構成される、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目27)
流体入口ならびに第1および第2の流体出口を含む、弁チャンバと、
該第1および第2の出口のうちの1つのみを開閉するように動作可能である、可撓性シートと
を備える、使い捨てポンピングカセット。
(項目28)
上記弁チャンバは、第1の弁チャンバであって、該第1の弁チャンバと動作可能に連通する第2の弁チャンバおよびポンプチャンバのうちの少なくとも1つを含む、項目27に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目29)
上記弁チャンバの上記流体入口は、上記可撓性シートを介して、開閉されない、項目27に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目30)
透析器具と動作可能であって、該器具およびカセットは、上記流体入口ならびに第1および第2の流体出口の任意のものが、流体入口または流体出口として、交換可能に動作するように構成される、項目27に記載の使い捨てポンピングカセット。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本開示のカセットおよび弁構成と動作可能である、透析システム等の医療流体システムの斜視図である。
【図2】図2は、カセット装填特徴をより詳細に示す、図1のシステムの斜視図である。
【図3】図3は、本開示の二重出口弁チャンバの一実施形態を示すために、可撓性シートが除去された状態の使い捨てカセットの切断部分の斜視図である。
【図4】図4は、カセットシートが除去された状態の図3の切断部分の上部平面図であって、2つの二重出口弁チャンバを示し、それぞれ、下流弁、2つの二重出口弁チャンバ間の中間弁、および弁チャンバのそれぞれと連通するポンプチャンバと協働する。
【図5】図5は、カセットシートが定位置にある状態の図3の切断部分の斜視図であって、流体が二重出口弁チャンバの第2の出口から流動する、第1の弁の状態を示す。
【図6】図6は、カセットシートが定位置にある状態の図3の切断部分の斜視図であって、流体が二重出口弁チャンバの第1の出口から流動する、第2の弁の状態を示す。
【図7A】図7Aは、図3から6の弁配列を採用する、使い捨てカセットのポンプチャンバおよび弁チャンバ作動側の側部立面図である。
【図7B】図7Bは、本開示の通過弁を使用する、ポンプ−患者経路の一実施形態を示す。
【図7C】図7Cは、本開示の通過弁を使用する、ポンプ−患者経路の別の実施形態を示す。
【図7D】図7Dは、本開示の通過弁を使用する、患者−排出管経路の一実施形態を示す。
【図8】図8は、図7Aの使い捨てカセットの流路側である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図面、特に、図1から2を参照して、腎不全療法システム10が提供される。システム10は、概して、腹膜透析(「PD」)、血液透析(「HD」)、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)および持続的腎代替療法(「CRRT」)等の任意の種類の腎不全療法システムに適用可能である。また、後述の弁構成は、薬剤送達、概して、血液処理のため等、腎臓分野の外でも使用可能である。しかしながら、例証を容易にするために、システム10は、概して、透析システムとして、および特に好適な用途の1つでは、PDシステムとして、説明される。
【0026】
例証される実施形態におけるシステム10は、透析器具12を含む。透析器具12は、いずれの種類の腎不全療法システムの使用にも構成される。透析器具12は、中央処理装置(「CPU」)およびCPUと協働可能な複数のコントローラ(例えば、安全性、弁、ヒータ、ポンプ、ビデオ、オーディオコントローラ)を含む。CPUは、例えば、ビデオモニタ20と、タッチスクリーンまたは電気機械的入力デバイス(例えば、薄膜スイッチ)等の1つ以上の種類の入力デバイス22とを含む、ビデオコントローラを介して、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)と協働する。
【0027】
図1に見られるように、透析器具12は、使い捨て装置30を受容して、それと協働する。使い捨て装置30は、剥離または脆性シール34を介して、2つの流体を分離する二重チャンバ供給バッグとして示される、1つ以上の供給バッグ32aから32c(本明細書では、集合的に、供給バッグ32、または個別に、概して、供給バッグ32と称される)を含む。また、使い捨てセット30は、排出バッグ(図示せず)、保温バッグ36、バッグ管38aから38d(集合的に、管類または管38、あるいは個別に、概して、管38と称される)、および使い捨てポンピング/弁カセット50(図2)を含む。
【0028】
腎不全療法システム10の種類および構造に応じて、使い捨て装置30の要素のうちの1つ以上は、必要とされない場合がある。例えば、システム10は、排出バッグの代わりに、トイレまたはシンク等の家庭の排出管に廃流体を送出可能である。また、システム10は、ライン内ヒータを含むことが可能であって、その場合、保温バッグ36は必要ない。
【0029】
3つの供給バッグ32が示されるが、システム10は、任意の好適な数の供給バッグを採用可能である。供給バッグ32は、脆性シール34によって分離され、採用される療法の種類に応じて、異なる溶液を保持する、複数のチャンバ42aおよび42bを有するように示される。例えば、チャンバ42aおよび42bは、PD用の緩衝剤およびグルコース、またはHD用の酢酸塩および重炭酸塩溶液を保持可能である。供給バッグ32は、代替として、単一チャンババッグであって、予混合PDまたはHD透析液等の単一の予混合溶液を保持する。
【0030】
図1および2に見られるように、使い捨てカセット50は、それぞれ、管38a、38b、および38cを介して、供給バッグ32、排出バッグ、ならびに保温バッグ36に接続する。管38dは、カセット50から患者接続部44へと延設する。カセット50は、一実施形態では、硬い外壁52、基部壁54(後述のように、そこから内側ポンプチャンバ、弁チャンバ、および内側流体路が延在する)、硬い流体ポート56(管類38に封止して接続可能な)、および外側硬い壁52と、可能性として、加えて、内側硬い壁とに封止される一対の可撓性膜またはシート58を有する、硬い構造を含む。
【0031】
器具12は、空気圧的、機械的、または両方において、カセット50のポンプおよび弁チャンバを作動可能である。例証される実施形態は、空気圧的作動を利用する。カセット50を作動させる、またはそれと協働可能な、本開示の最終的譲受人から市販のHomeChoice(登録商標)APDシステムは、米国特許第4,826,482号(「第’482号特許」)(その全内容は、参照することによって、本明細書に組み込まれる)に記載の空気圧式システムを使用する。例証される実施形態では、器具12は、カセット50のポンプおよび弁チャンバのそれぞれにおいて、シート58と異なる封止領域を生成する、膜14を含む。膜14は、それらの領域内でシート58と連動し、弁チャンバを開閉する、またはポンプチャンバを通して流体を送出する。インターフェース板が、膜14の裏側に位置し、後述のカセット50のポンプチャンバ(実際に、ポンプチャンバ部分)と組み合わせて、一対の固定容積ポンプチャンバのそれぞれの一部を形成する。
【0032】
例証される実施形態における器具12は、カセット50に対して閉鎖する、扉16を含む。扉16は、機械的(例えば、扉の閉鎖を介して)および/または空気圧的(例えば、プレス板の後側の扉内に位置する膨張可能空気袋を介して)に動作可能な、プレス板18を含む。板18をカセット50に押圧することによって、順に、カセット50のシート58と協働して、流体を送出し、弁を開閉する、ポンピング膜14にカセット50を押圧する。
【0033】
カセットインターフェース板(図示せず)は、膜14の後側に位置する。カセットインターフェース板は、異なる弁およびポンプ領域において、陽圧または陰圧を共活性膜14およびカセットシート58に印加するように構成される。例えば、陽圧が、ポンプチャンバを画定する、カセット50の内壁内に位置するシートの領域において、膜14/シート58に印加され、流体をポンプチャンバから押出す。陰圧が、膜14/シート58に対し同領域において印加され、ポンプチャンバ内へ流体を引き込む。陽圧が、弁チャンバを画定するカセット50の内壁内のシートの領域において、膜14/シート58に印加され、弁チャンバの出口ポートを閉鎖する。陰圧が、カセット50の同領域において、膜14/シート58に対し印加され、弁チャンバの出口を開放する。
【0034】
本開示の譲受人に譲受された米国特許第6,814,547(「第’547号特許」)(参照することによって、本明細書に組み込まれる)は、図17Aおよび17Bに関連して、空気圧および機械式作動の組み合わせを使用する、ポンピング機構を開示する。第’547号特許(参照することによって、本明細書に組み込まれる)の図15、16A、および16Bは、機械的に作動される弁の使用を教示する。また、システムは、本開示の通過弁と協働するように構成可能である。
【0035】
次に、図3から6を参照すると、カセット50の一画である弁チャンバ配列60は、本開示の通過弁の一実施形態およびその用途の1つを示す。図3および4は、シート58が除去された状態の弁チャンバ配列60を示す。図5および6は、弁およびポンプチャンバ作動のための上側シート58が定位置にある状態の弁チャンバ配列60を示す。
【0036】
透析液(例えば、予混合される、あるいはカセット50または使い捨て部内の他の場所内で混合するための濃縮物)等の医療流体は、溶液入口流体路62aを介して、カセットに流入する。流体は、カセット50の弁/ポンプチャンバ側から、仕切りまたは基部壁54内に画定される開口64を通して、カセット50の逆の流路側に位置する、第2の流体路66内へと流動する。故に、流体は、例証される実施例では、ヒータへと向かう経路である、カセット50の弁/ポンプチャンバ側に位置する、経路98aの下方を流動する。
【0037】
次いで、流体は、第2の流体路66を通って、本開示の二重出口弁チャンバ70へと流動する。二重出口弁チャンバ70は、入口72、第1の出口74、および第2の出口78を含む。第1の出口74は、例えば、カセットの硬い側壁52に超音波的に接合または熱封止される可撓性シート58を介して、空気圧的および/または機械的に、選択的に開閉可能である。第1の出口74は、基部壁54から延出する、突出またはポート76を含む。可撓性シート58は、図5に見られるように、陽(空気圧および/または機械的)圧が、弁チャンバ70において、シート58に印加されると、ポート76の遠位端を封止する。可撓性シート58は、図6に見られるように、陰(空気圧および/または機械的)圧が、弁チャンバ70において、シート58に印加されると、ポート76の遠位端から引き離される。
【0038】
例証される実施形態における弁入口72および第2の出口78は、カセット50の基部壁54内に形成される開口(例えば、円形)である。壁80、例えば、円形壁は、入口72、第1の出口74、および第2の出口78を囲み、二重出口弁チャンバ70を形成する。壁80は、例証されるように、基部壁54から延在する。壁80は、シート58および膜14(上述)に押圧され、弁チャンバ70内に封止領域を形成する。代替として、壁80は、超音波溶接または熱封止を介して、シート58に封止される。シート58および膜14は、上述のように、協働し、二重出口弁チャンバ70の第1の出口74を空気圧的に開閉する。
【0039】
第2の出口78は、弁チャンバ70から、弁チャンバ70から基部壁54の反対側に位置する、下流流路82へと流体を流動させる。流路82は、下流弁チャンバ90の入口72へと通じる。下流弁チャンバ90は、上述のように、突出ポート76を介して形成される、単一入口72および単一出口74を含む。例証される実施形態における下流弁チャンバ90は、第2の出口78を含まない。壁80、例えば、円形壁は、基部壁54から延在し、入口72および出口74を封入する。壁80は、二重出口弁チャンバ70の壁80と同一サイズおよび形状であり得る。ポート出口74は、例証されるように、弁チャンバ70および90の壁80の中心に位置し得る。
【0040】
下流チャンバ90は、図5および6によって例証されるように、二重出口弁チャンバ70の第2の出口78を制御する。図5では、可撓性シート58は、弁チャンバ70の第1の出口74に押圧される一方、可撓性シートは、下流弁チャンバ90の出口74から引き離される。これによって、流体は、例えば、二重出口弁チャンバ70の第2の出口78から、下流経路82、下流弁チャンバ90の入口72、弁チャンバ90の出口74から、第1のポンプ経路84、第1のポンプ開口部86aを通って、ポンプチャンバ100内へと流動可能となる。
【0041】
例証される実施形態では、ポンプチャンバ100は、3つの流体開口部86a、86b、および86cを含む。開口部86bは、開口部86aに対して説明した同弁配列を介して、流れが与えられる。開口部86bおよび鏡映の弁配列は、図4に見られるように、第2の溶液入口流体路62bと一列にある。第3のポンプ開口部86cは、経路92を介して、2つの二重出口/下流弁配列間に位置し、それぞれ、ポンプチャンバ開口部86aおよび86bに流れを与える、中間弁チャンバ95と連通する。中間弁チャンバ95は、一実施形態では、上述の弁チャンバ90と同構成を有する、単一出口弁チャンバである。
【0042】
図6では、可撓性シート58は、弁チャンバ70の第1の出口74から引き離される一方、可撓性シートは、下流弁チャンバ90の出口74に押圧される。これは、ポンプ経路84および第1のポンプチャンバ開口部86aへの流体の流動を防止するが、例えば、二重出口弁チャンバ70の第1の出口74から、多岐経路94を通して、中間弁95の入口72へと流体を流動させる。流体は、図3および7Aに見られるように、弁95を経て、経路92および第3のポンプ開口部86cを通して、ポンプチャンバ100へと流動し得る。また、図7Aおよび8に見られるように、多岐経路94は、弁配列60を第2のポンプ100と協働する第2の弁配列60と連通させる。
【0043】
二重出口弁チャンバ70の両出口74および78からの流動を遮断するためには、可撓性シート58は、両弁チャンバ70および90のポート76に押圧される。両出口74および78からの流動を可能にするためには、可撓性シート58は、両弁チャンバ70および90のポート76から引き離される。
【0044】
弁構成60によって、第1および第2の透析液成分(例えば、グルコースおよび重炭酸塩)等の第1および第2の医療流体は、ポンプ開口部86aから86cのうちの任意の1つ、2つ、または3つを通して、選択的かつ比例的に送出される。構成60によって、例えば、第1の流体は、溶液入口経路62aから、ポンプチャンバ開口部86aを通して送出される一方、第2の流体は、溶液入口経路62bから、第2および第3のポンプチャンバ開口部86bならびに86cを通して送出される。本構成によって、代替として、第1の流体は、第1および第3のポンプチャンバ開口部86aならびに86cを通して送出される一方、第2の流体は、第2のポンプチャンバ開口部86bを通して送出される。本構成によって、さらに代替として、第1の流体は、全3つのポンプチャンバ開口部86aから86cを通して送出される。本構成によって、さらなる代替として、第2の流体は、全3つのポンプチャンバ開口部86aから86cを通して送出される。
【0045】
加えて、図7Aおよび8を参照すると、2つの弁配列60および2つのポンプチャンバ100を採用するカセット50の一実施形態が示される。溶液入口経路62aおよび62bの他に、カセット50は、それぞれ、ヒータに向かう経路98aと、ヒータからの経路98bである、患者間経路96aならび96bを含む。ヒータに向かう経路98aは、空気分離チャンバ102へと通じる。また、カセット50は、排出経路104を含む。
【0046】
また、ポンプチャンバ開口部86aから86cは、送出行程時、ポンプ出口として使用可能である。ここでは、各開口部を使用して、患者に向かう経路96aと連通する、多岐ライン94へと流体を送達可能である。しかしながら、アームの取り扱いの観点から、ポンプチャンバ100の底部から送出することが好ましい。また、本目的のために、患者に向かう経路96aは、図8に示される下方のポンプチャンバ開口部86eと流体連通する。患者からの経路96bは、図8に示される下方の外側ポンプチャンバ開口部86dと連通する。図8の下方の内側ポンプチャンバ開口部86fは、ヒータに向かうライン98aと流体連通する。
【0047】
図7Bは、右側ポンプチャンバ100のために予混合透析液を使用する、ポンプ−患者流路の一実施形態を示す。ここでは、流体は、患者に送出される前に加熱される。例証される経路は、注入および送出両行程のためのものである。Xでマークされた右側ポンプチャンバ100に付随する弁チャンバは、注入および送出両行程の間、閉鎖される。Xでマークされていない付随弁チャンバは、注入および送出行程の間のある時点において閉鎖され得る。
【0048】
注入行程の間、予混合透析液は、入口流体路62bを通して、カセット50に流入する。入口流体路62bと一列の下流弁チャンバ90は閉鎖され、また、入口流体路62bと一列の二重出口弁チャンバ70の第2の出口78を閉鎖する。入口流体路62bと一列の二重出口弁チャンバ70の第1の出口74は、開放される。上方の中間弁チャンバ95は、閉鎖される。入口流体路62aと一列の下流弁チャンバ90は閉鎖され、また、入口流体路62aと一列の二重出口弁チャンバ70の第2の出口78を閉鎖する。入口流体路62aと一列の二重出口弁チャンバ70の第1の出口74は、開放される。ヒータに向かう弁チャンバ106は開放され、したがって、流体は、空気トラップ102に流入可能である。下方の弁チャンバ90aおよび95aは閉鎖され、したがって、流体は、ポンプチャンバ開口86dおよび86eを通して流入しない。下方の弁チャンバ90bは開放され、したがって、ヒータから戻る加熱された流体は、ポンプチャンバ開口86fを通して、右側ポンプチャンバ100に流入可能である。
【0049】
送出行程の間、下方の中間単一出口弁チャンバ95aは開放される一方、下方の単一出口弁チャンバ90aおよび90bは閉鎖され、右側ポンプチャンバ100から、ポンプチャンバ開口86eを通して、流体を流出させる。上方の弁チャンバ90および95はすべて閉鎖され、したがって、流体は、ポンプチャンバ開口86aから86cを通して流出不可能である。患者に向かう弁チャンバ108は開放され、加熱された予混合透析液は、患者へ送出される。
【0050】
また、図3から6を参照すると、図7Bに示される流路に従って、透析液は、入口62bから、経路54、第1の出口74、下側経路94、空気トラップ102、ヒータに向かう経路98a、ヒータ(図示せず)、ヒータからの経路98b、弁90bを通って、注入行程時、ポンプチャンバ開口部86fを通してポンプチャンバ内へ、右側ポンプチャンバ100を通って、送出行程時、ポンプチャンバ開口部86eを通してポンプチャンバ100から、下方の中間弁95、患者に向かう経路96aおよび患者に向かう弁108を通って、患者へと送出される。図7Bでは、左側ポンプチャンバ100は、予混合透析液を送出する一方、右側ポンプチャンバは、流体を注入可能であって、逆もまた同様である。
【0051】
図7Cは、予混合透析液を使用する代わりに、濃縮溶液が少なくとも1つの他の濃縮溶液と混合される場合の右側ポンプチャンバ100のポンプ−ミキサ流路の一実施形態を示す。ここでは、流体は、ミキサに送出される前に加熱されない。代わりに、透析液は、混合後に加熱される。混合されるまで透析液を加熱しないことによって、2つ以上の濃縮物の混合精度を補助し、不均等な加熱を防止する。例証される経路は、注入および送出両行程のためのものである。Xでマークされた右側ポンプチャンバ100に付随する弁チャンバは、注入および送出両行程の間、閉鎖される。Xでマークされていない付随弁チャンバは、注入および送出行程の間のある時点で閉鎖され得る。
【0052】
注入行程の間、未混合透析濃縮物は、入口流体路62bを通して、カセット50に流入する。ここでは、入口流体路62bと一列の二重出口弁チャンバ70の第1の出口74は閉鎖される一方、入口流体路62bと一列の下流弁チャンバ90は開放される。入口流体路62aと一列の上方の中間弁チャンバ95および下流弁チャンバ90は、閉鎖される。下方の弁チャンバ90a、90b、および95はすべて閉鎖され、したがって、流体は、ポンプチャンバ開口86dから86fを通して流入しない。
【0053】
送出行程の間、上方の弁チャンバ90および95は閉鎖され、また、上方の二重出口弁チャンバ70の第2の出口78を閉鎖し、したがって、流体は、ポンプチャンバ開口86aから86cを通して流出しない。入口流体路62aと一列の上方の二重出口弁チャンバ70の第1の出口74は、開放される。下方の単一出口弁チャンバ90aおよび90bは閉鎖される一方、下方の中間弁チャンバ95aは開放される。ヒータに向かう弁チャンバ106は、閉鎖される。患者に向かう弁チャンバ108は、閉鎖される。迂回弁チャンバ110は、開放される。
【0054】
また、図3から6を参照すると、図7Cに示される流路に従って、透析液は、入口62bから、経路54を通って、閉鎖された第1の出口74の周囲から、入口62bと一列の二重出口弁チャンバ70の第2の出口78、経路82を通って、下流弁チャンバ90内へ、弁チャンバ90の出口74から、注入行程時、経路84およびポンプチャンバ開口86bを通って、右側ポンプチャンバ100内へ、ポンプチャンバから、ポンプチャンバ開口86e、下方の中間弁95a、患者に向かう経路96a、迂回弁チャンバ110を通って、入口62aと一列の二重出口弁チャンバ70内へ、第1の出口74を通って、入口72を介して、弁チャンバ70、入口62aから、ミキサまたは混合バッグへと送出される。
【0055】
ここでは、「入口62a」と一列の二重出口弁チャンバ70は、例えば図3から6と関連して、上述の方法の逆に動作することを理解されたい。ここでは、上述の「出口74」は、弁チャンバの入口として使用され、上述の「入口72」は、弁チャンバの出口として使用される。第2の出口78は、再び、下流弁90を介して制御される。しかしながら、また、第2の「出口78」は、二重出口弁チャンバ70の入口としても使用可能であって、流体は、「入口72」および第1の出口74の一方または両方を通して流出可能である。また、同一または異なる流体が、弁チャンバ70の任意の2つの開口72、74、および78に流入し、開口72、74、および78の残りから流出可能であることが想定される。弁チャンバ70の任意の開口72、74、および78は、入口または出口として使用可能である。
【0056】
ライン上での混合は、異なる方法で行なうことが可能である。例えば、両ポンプチャンバ100を使用して、混合バッグまたは容器に異なる濃縮物を送出可能であって、溶液は、ミキサから、ヒータを通して、患者へと流動する。左側および右側ポンプチャンバ100は、交互または同時に注入および送出可能である。ミキサは、カセット50の一部または管類の一画として形成されるバッグであり得る。
【0057】
代替として、一方のポンプチャンバ、例えば、右側ポンプチャンバ100は、順に、両濃縮物をミキサに送出し、他方のポンプチャンバ100は、混合された流体をミキサから引き出し、混合された流体を、ヒータを通して、患者へと送出する。
【0058】
図7Dは、右側ポンプチャンバ100のポンプ−排出流路の一実施形態を示す。例証される経路は、注入および送出排出両行程のためのものである。Xでマークされた右側ポンプチャンバ100に付随する弁チャンバは、注入および送出両行程の間、閉鎖される。Xでマークされていない付随弁チャンバは、注入および送出排出行程の間のある時点で閉鎖され得る。
【0059】
注入排出行程の間、患者からの廃液または廃透析液は、患者からのポートを通して、カセット50に流入し、患者からのライン96bを通して流動する。下方の弁チャンバ90bおよび95aは、閉鎖される。下方の弁チャンバ90aは開放され、開口86fを通して、廃液透析液を右側ポンプチャンバ100に流入させる。全3つの上方の弁90、90、および95は閉鎖され、開口86aから86cのいずれかを通して、流体が右側ポンプチャンバ100内に送出されるのを防止する。
【0060】
送出排出行程の間、下方の弁チャンバ90a、90b、および95aは閉鎖され、したがって、廃液流体は、ポンプチャンバ開口86dから86fを通して流出不可能である。ポンプ100は、中間弁チャンバ95(ポート74内へ、そして弁チャンバ95の入口72から)を通して、カセット50の逆側に位置する多岐経路94内に廃液を送出する。上方の下流弁チャンバ90は閉鎖され、中間弁95は開放される。二重出口弁チャンバ70の両第1の出口74は閉鎖され、経路94を通して、ヒータに向かう弁チャンバ106内へ、「出口74」を通して流動させ、ヒータに向かう弁チャンバ106から、「入口72」、排出ポート104を通して、排出バッグまたは家庭の排出管へと廃液を流動させる。ポンプチャンバ100は、排出サイクルの間交代可能であって、患者からの比較的持続的流動および患者への圧力を維持する。
【0061】
弁配列60は、二重出口弁チャンバ70の下流の単一出口弁チャンバ90を含むが、代替配列は、上流二重出口弁チャンバ70から下流に配置される第2の二重出口弁チャンバ70を含むことが可能である。ここでは、単一出口弁チャンバ90は、第2の下流二重出口弁チャンバから下流に位置することが可能である。さらなる代替配列は、中間単一出口弁チャンバ95を二重出口弁チャンバ70と交換し、中間チャンバ95の代わりの二重出口弁チャンバ70から下流の単一出口弁チャンバ90または95を配置することを含む。二重出口弁チャンバ70および単一出口弁チャンバ90または95の任意の組み合わせを使用して、直列および/または並列流路の任意の所望の組み合わせを提供するように企図される。一実施形態では、各流路は、単一出口弁チャンバ90または95で終端する。
【0062】
本明細書に記載される現在好ましい実施形態に対する種々の変更および修正は、当業者には明白となるであろうことを理解されたい。そのような変更および修正は、本主題の精神および範囲から逸脱することなく、かつその意図される利点を低減することなく、成され得る。したがって、変更および修正は、添付の請求項によって包含されることが意図される。
【技術分野】
【0001】
後述の実施例は、概して、医療流体送達に関する。より具体的には、実施例は、自動腹膜透析(「APD」)のための弁装置および方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
種々の原因によって、ヒトの腎臓系は、機能不全となり得る。腎不全は、いくつかの生理的異常をもたらす。水分、ミネラル、および日々の代謝負荷の排出のバランスは、もはや不可能となり、窒素代謝の毒性最終生成物(尿素、クレアチニン、尿酸、およびその他)が、血液および組織中に蓄積され得る。
【0003】
腎臓系および低下した腎機能は、透析によって治療されている。透析は、そうでなければ、正常に機能する腎臓によって除去されたであろう、老廃物、毒素、および過剰な水分を身体から除去する。腎機能の代用のための透析治療によって生命が救われるため、治療は、多くの人々にとって重大である。
【0004】
腎臓系療法の種類の1つは、腹膜透析であって、透析液とも呼ばれる透析溶液を使用して、透析液は、カテーテルを介して、患者の腹腔内に注入される。透析液は、腹腔の腹膜に接触する。老廃物、毒素、および過剰な水分は、拡散および浸透によって、患者の血流から、腹膜を通って、透析液中へと通過する。すなわち、浸透勾配が膜全体にわたって生じる。廃透析液は、患者から排出され、老廃物、毒素、および過剰な水分を患者から除去する。本サイクルは、繰り返される。
【0005】
種々の種類の腹膜透析療法が存在し、持続的携帯型腹膜透析(「CAPD」)、自動腹膜透析(「APD」)、潮流透析、および持続的流量腹膜透析(「CFPD」)が含まれる。CAPDは、手動透析治療である。故に、患者は、埋め込まれたカテーテルを排出管に手動で接続し、廃透析液流体を腹膜腔から排出させる。次いで、患者は、カテーテルを未使用透析液のバッグに接続し、カテーテルを通して、患者内に未使用透析液を注入する。患者は、カテーテルを未使用透析液バッグから解除し、透析液を腹膜腔内に滞留させ、老廃物、毒素、および過剰水分の輸送が生じる。滞留期間後、患者は、例えば、1日4回、手動透析手技を繰り返し、各治療は、約1時間継続する。手動腹膜透析は、患者のかなりの時間および努力を必要としており、改良の余地が十分ある。
【0006】
自動腹膜透析(「APD」)は、透析治療が、排出、充填、および滞留サイクルを含むという点において、CAPDと類似する。しかしながら、APD機械装置または「循環装置」は、典型的には、患者が睡眠中に、自動的にサイクルを行なう。APD機械装置は、治療サイクルを手動で行なう必要性、および日中供給装置を運搬する必要性から、患者を解放する。APD機械装置は、埋め込まれたカテーテル、源、または未使用透析液のバッグと、流体排出管とに流体的に接続する。APD機械装置は、透析液源から、カテーテルを通して、患者の腹腔内へと未使用透析液を送出し、透析液を腔内に滞留させ、老廃物、毒素、および過剰な水分の輸送を生じさせる。源は、複数の滅菌透析液溶液バッグであり得る。
【0007】
APD機械装置は、腹腔から、カテーテルを通して、排出管へと廃透析液を送出する。手動プロセスと同様に、いくつかの排出、充填、および滞留サイクルは、透析中に生じる。「最後の充填」は、CAPDおよびAPDの終了時に生じ、次の治療まで、患者の腹腔内に残存する。
【0008】
CAPDおよびAPDは両方とも、廃透析流体排出管へと送出する、バッチ型システムである。潮流システムは、改良型バッチシステムである。潮流によって、長時間にわたって、患者から流体すべてを除去する代わりに、僅かな時間の増分後、流体の一部が除去および交換される。
【0009】
持続的流量またはCFPDシステムは、廃棄せずに、廃透析液を洗浄または再生成する。システムは、ループを通して、患者内外に流体を送出する。透析液は、一方のカテーテル管腔を通して、腹腔内へ流入し、別のカテーテル管腔から流出する。患者から流出する流体は、透析液から老廃物を除去する再構成デバイスを通して、例えば、ウレアーゼを採用し、尿素をアンモニアに酵素的に変換する尿素除去カラムを介して、通過する。次いで、アンモニアは、腹腔内への透析液の再導入に先立って、吸収によって、透析液から除去される。付加的センサが採用され、アンモニアの除去を監視する。CFPDシステムは、典型的には、バッチシステムよりも複雑である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
腹膜透析システムは、ますます複雑になりつつあり、故に、システムの流体流動を操作するために、より多くの弁を必要とする。したがって、改良型弁、システム、おおびそれらを操作するための方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、流体弁および流体弁を使用する使い捨てカセットに関する。薬物または血液が患者内に導入または再導入される医療流体送達業界では、薬物または血液を運搬する流体ラインは、滅菌される必要がある。多くの場合、送達システムは、複雑ではなく、例えば、薬物または血液を運搬する滅菌されたチューブを締め付けることおよび締め付けを解除することによって、手動で制御可能である。自動透析システム等の他のシステムでは、流体送達は、だいぶ複雑である。ここでは、特に、オペレータが患者またはその家族である、および/または治療が、患者が睡眠あるいは安静を試みている間に行なわれる、在宅治療においては、流体ラインを自動的に締め付けることが望ましい。
【0012】
比較的複雑な流体送達治療計画に対応するために、透析システム等の医療流体送達システムは、流体を送出し、カセット内に形成される弁チャンバを開閉するように(自動的に)作動可能である可撓性部分を有する、使い捨てカセットを採用している。
【0013】
カセットは、製造上の観点から、かつ対応する作動器具(例えば、透析機械または器具)も同様に小型であるように、小型であることが望ましい。例えば、透析器具は、出張または休暇時に器具を運搬可能なように、ジェット旅客機の頭上のコンパートメント内に収まるように小型であることが望ましい。また、可撓性カセットシートのカセットの硬い部分への溶接は、カセットサイズの増加に伴って、益々困難かつ高価となる。同時に、透析治療等の医療流体治療は、さらに複雑かつ特殊となり、カセット内で必要とされる流路および弁の数が増える傾向にある。
【0014】
本明細書で論じられる弁チャンバ配列および結果として得られるカセットは、所与の一式の弁チャンバに対するカセットの機能性を増大させることによって、カセットサイズ/機能性の問題を解決する。カセットは、1つ以上のポンプチャンバおよび複数の弁チャンバを有する。弁チャンバのうちの1つは、入口および複数の出口を含む。第1の出口は、カセットの硬い部分に取り付けられた可撓性シートを介して、選択的に開閉可能である。硬い部分は、弁チャンバ壁と、第1の出口の選択的開閉のための座部を形成する、その中の突出ポートとを画定する。
【0015】
可撓性シートは、一実施形態では、例えば、カセットの硬い構造の縁への超音波溶接または熱封止を介して、物理的に封止される。動作時、シートは、基部壁から延出し、封止されたポンプおよび弁チャンバを形成する、ポンプチャンバ壁および弁チャンバ壁に押圧される。代替実施形態では、シートは、加えて、例えば、封止されたポンプおよび弁チャンバを形成するための超音波溶接または熱封止を介して、ポンプチャンバ壁および弁チャンバ壁に物理的に封止される。基部壁の反対側では、上述のように、シートは、機械的または物理的に、基部壁から延出する壁を形成する流路に封止され得る。
【0016】
弁チャンバは、出口座部、一実施形態では、基部壁から延出する円筒形ポートである、出口座部を含む。一実装では、ポートは、それ自体、少なくとも実質的に円筒形であり得る、弁チャンバの中心に位置する。また、弁チャンバは、突出と弁チャンバ壁との間にある、出口ポートの片側上の基部壁内に存在する、入口開口を含む。本明細書に記載のように、弁チャンバのいくつかは、ポートと弁チャンバ壁との間にある、入口開口からはポートの反対側に存在する、基部壁内の開口である、第2の出口を含む。
【0017】
入口および第2の出口は、一実施形態では、カセットの基部壁内に形成される開口であって、したがって、カセットシートの屈曲に伴って開閉しない。概して、基部壁は、カセットの流路側とカセットのポンプチャンバおよび弁チャンバ側とを分離する。例えば、弁チャンバ入口へと通じる入口流路と、第1および第2の弁チャンバ出口から通じる第1および第2の出口流路は、弁チャンバと反対側の基部上に位置し、ポンプチャンバと協働可能である。
【0018】
二重出口弁チャンバの第2の出口は、二重出口弁チャンバから下流に位置する弁チャンバ、すなわち、その入口流路が、二重出口弁チャンバの第2の(通過)出口からの出口流路である、弁チャンバによって、制御される。後述のように、二重出口弁チャンバは、選択的に、2つの流路のうちの一方または両方に、流動を向けることが可能であるか、あるいはいずれにも向けないことが可能である。
【0019】
両出口からの流動を遮断するためには、可撓性シートは、二重出口弁チャンバの第1の出口の出口座部および二重出口弁チャンバの第2の出口から下流の弁チャンバの出口座部を覆う領域において押動され、弁座部を閉鎖する。可撓性シートは、後述のように、空気圧的および/または機械的に動作する。
【0020】
二重出口弁チャンバの第2の出口からの流動を遮断するが、二重出口弁チャンバの第1の出口からの流体の流動を可能にするためには、可撓性シートは、下流弁チャンバの出口座部に押圧されるが、二重チャンバ弁の出口座部から引き離される。二重出口弁チャンバの第1の出口からの流動を遮断するが、二重出口弁チャンバの第2の出口からの流体の流動を可能にするために、可撓性シートは、下流弁チャンバの出口座部から引き離されるが、例えば、空気圧的および/または機械的に、二重チャンバ弁の出口座部に押圧される。両出口からの流動を可能にするために、可撓性シートは、両弁座部から引き離される。
【0021】
上述の弁チャンバセットまたは配列は、一実施形態では、第2の弁チャンバセット、中間弁チャンバ、および3つの流体入口を有するポンプチャンバと組み合わせて実装される。全体的構成によって、第1および第2の透析液成分(例えば、グルコースおよび重炭酸塩)等の第1および第2の医療流体は、ポンプ入口の任意の1つ、2つ、または3つを通して、選択的かつ比例的に送出される。
【0022】
本構成によって、例えば、第1の流体は、ポンプ入口のうちの1つを通して送出される一方、第2の流体は、第2および第3のポンプ入口を通して送出される。代替として、本構成によって、第1の流体は、ポンプ入口のうちの2つを通して送出される一方、第2の流体は、第3のポンプ入口を通して送出される。さらに代替として、本構成によって、第1の流体は、全3つのポンプ入口を通して送出される。さらなる代替として、本構成によって、第2の流体は、全3つのポンプ入口を通して選択的に送出される。
【0023】
付加的特徴および利点が本明細書に記載され、以下の詳細な説明および図面から明白となるであろう。
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ポンプチャンバと、
該ポンプチャンバから第1の弁チャンバの出口へと通じる、第1の流路と、
該第1の弁チャンバの入口から第2の弁チャンバの第1の出口へと通じる、第2の流路であって、該第2の弁チャンバは、入口および第2の出口をさらに含む、第2の流路と、
該第1の弁チャンバの該出口および該第2の弁チャンバの該第2の出口を選択的に開閉するように位置付けられる、可撓性シートと
を備える、使い捨てポンピングカセット。
(項目2)
基部壁を含み、上記第1の弁チャンバの上記入口、上記第2の弁チャンバの上記入口、および該第2の弁チャンバの上記第1の出口のうちの少なくとも1つは、該基部壁内に開口を含む、項目1に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目3)
上記第1の弁チャンバの上記第1の出口および上記第2の弁チャンバの上記第2の出口のうちの少なくとも1つは、上記基部壁から隆起するポートを含む、項目2に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目4)
上記ポートは、上記基部壁の第1の側に隆起し、上記第1および第2の流路のうちの少なくとも1つは、該基部壁の第2の側に存在する、項目3に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目5)
上記第1および第2の弁チャンバのうちの少なくとも1つは、上記基部壁から延在する弁チャンバ壁を含む、項目2に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目6)
上記可撓性膜は、上記弁チャンバ壁および上記基部壁に接続される外壁のうちの少なくとも1つに封着される、項目5に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目7)
上記第1および第2の流路のうちの少なくとも1つは、上記基部壁から延在する経路形成壁を含む、項目2に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目8)
上記可撓性シートは、第1の可撓性シートであって、上記少なくとも1つの経路形成壁または上記基部壁に接続される外壁に封着される、第2の可撓性シートを含む、項目7に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目9)
上記第2のポンプチャンバの上記第2の出口から延在する第3の流体流路を含み、該流路は、(i)第3の弁に通じる、および(ii)上記第1および第2の流体流路のうちの少なくとも1つに対して少なくとも約45度の角度で位置付けられる、から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を含む、項目1に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目10)
上記第3の弁チャンバは、(i)第1および第2の出口を含む、および(ii)上記ポンプチャンバと流体連通する、から成る群から選択される少なくとも1つの特徴を含む、項目9に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目11)
上記第2の流体ポンプチャンバの上記入口から延在する第3の流体流路を含む、項目1に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目12)
ポンプチャンバと、
該ポンプチャンバと連通する弁チャンバであって、入口ならびに第1および第2の出口を含む、弁チャンバと
を備える、使い捨てポンピングカセット。
(項目13)
上記第1および第2の出口のうちの一方を開閉可能なように位置付けられる可撓性シート膜を含む、項目12に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目14)
基部壁と、該基部壁から延在し、上記ポンプチャンバを形成する封入チャンバ壁とを含み、上記出口のうちの一方は、該封入チャンバ壁内に上記基部壁から延在するポートを含む、項目12に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目15)
上記流体入口ならびに上記第1および第2の出口のうちの他方は、上記封入チャンバ壁内に配置される開口を含み、該開口は、上記基部壁によって画定される、項目14に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目16)
上記ポートは、上記封入チャンバ壁の略中心において上記基部壁から延在する、項目14に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目17)
上記弁チャンバは、第1の弁チャンバであって、該第1の弁チャンバと上記ポンプチャンバとの間に一列に配置される第2の弁チャンバを含む、項目14に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目18)
上記第1および第2の弁チャンバは、(i)上記ポンプチャンバへの第1の流体路を通して、または(ii)該ポンプチャンバへの第2の流体路を通して、上記第1の弁チャンバに流入する流体を選択的に流動させるように構成される、項目17に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目19)
透析器具と動作可能であって、該器具およびカセットは、上記入口ならびに第1および第2の出口の任意のものが、弁入口または弁出口として、交換可能に動作するように構成される、項目12に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目20)
入口ならびに第1および第2の出口を含む、第1の弁チャンバと、
入口および出口を含む、第2の弁チャンバであって、該第1の弁チャンバの該第1および第2の出口のうちの1つを通し、該第2の弁チャンバの該出口を通し透析液を流動させるように動作可能である、第2の弁チャンバと
を備える、使い捨てポンピングカセット。
(項目21)
上記第2の弁チャンバの上記出口は、該第2の弁チャンバを避けて、上記第1の弁チャンバの上記第1および第2の出口のうちの1つからの上記透析液の流動を迂回させるように閉鎖可能である、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目22)
上記第2の弁チャンバの上記出口は、上記第1の弁チャンバの上記第1および第2の出口のうちの1つを通して、該第2の弁チャンバの該出口へ透析液を流動させるように開放可能である、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目23)
上記第1の弁チャンバの上記第1および第2の出口のうちの一方は、開閉可能であるが、該第1および第2の出口のうちの他方は開閉不能である、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目24)
上記第1の弁チャンバの上記第1および第2の出口ならびに上記第2の弁チャンバの上記出口のうちの1つを開閉するように構成される、可撓性シートを含む、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目25)
上記第1および第2の弁チャンバのうちの少なくとも1つと動作可能に連通するポンプチャンバを含む、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目26)
透析器具と動作可能であって、該器具およびカセットは、上記第1および第2の弁チャンバのいずれもの上記入口および出口の任意のものが、弁入口または弁出口として、交換可能に動作するように構成される、項目20に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目27)
流体入口ならびに第1および第2の流体出口を含む、弁チャンバと、
該第1および第2の出口のうちの1つのみを開閉するように動作可能である、可撓性シートと
を備える、使い捨てポンピングカセット。
(項目28)
上記弁チャンバは、第1の弁チャンバであって、該第1の弁チャンバと動作可能に連通する第2の弁チャンバおよびポンプチャンバのうちの少なくとも1つを含む、項目27に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目29)
上記弁チャンバの上記流体入口は、上記可撓性シートを介して、開閉されない、項目27に記載の使い捨てポンピングカセット。
(項目30)
透析器具と動作可能であって、該器具およびカセットは、上記流体入口ならびに第1および第2の流体出口の任意のものが、流体入口または流体出口として、交換可能に動作するように構成される、項目27に記載の使い捨てポンピングカセット。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、本開示のカセットおよび弁構成と動作可能である、透析システム等の医療流体システムの斜視図である。
【図2】図2は、カセット装填特徴をより詳細に示す、図1のシステムの斜視図である。
【図3】図3は、本開示の二重出口弁チャンバの一実施形態を示すために、可撓性シートが除去された状態の使い捨てカセットの切断部分の斜視図である。
【図4】図4は、カセットシートが除去された状態の図3の切断部分の上部平面図であって、2つの二重出口弁チャンバを示し、それぞれ、下流弁、2つの二重出口弁チャンバ間の中間弁、および弁チャンバのそれぞれと連通するポンプチャンバと協働する。
【図5】図5は、カセットシートが定位置にある状態の図3の切断部分の斜視図であって、流体が二重出口弁チャンバの第2の出口から流動する、第1の弁の状態を示す。
【図6】図6は、カセットシートが定位置にある状態の図3の切断部分の斜視図であって、流体が二重出口弁チャンバの第1の出口から流動する、第2の弁の状態を示す。
【図7A】図7Aは、図3から6の弁配列を採用する、使い捨てカセットのポンプチャンバおよび弁チャンバ作動側の側部立面図である。
【図7B】図7Bは、本開示の通過弁を使用する、ポンプ−患者経路の一実施形態を示す。
【図7C】図7Cは、本開示の通過弁を使用する、ポンプ−患者経路の別の実施形態を示す。
【図7D】図7Dは、本開示の通過弁を使用する、患者−排出管経路の一実施形態を示す。
【図8】図8は、図7Aの使い捨てカセットの流路側である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図面、特に、図1から2を参照して、腎不全療法システム10が提供される。システム10は、概して、腹膜透析(「PD」)、血液透析(「HD」)、血液濾過(「HF」)、血液透析濾過(「HDF」)および持続的腎代替療法(「CRRT」)等の任意の種類の腎不全療法システムに適用可能である。また、後述の弁構成は、薬剤送達、概して、血液処理のため等、腎臓分野の外でも使用可能である。しかしながら、例証を容易にするために、システム10は、概して、透析システムとして、および特に好適な用途の1つでは、PDシステムとして、説明される。
【0026】
例証される実施形態におけるシステム10は、透析器具12を含む。透析器具12は、いずれの種類の腎不全療法システムの使用にも構成される。透析器具12は、中央処理装置(「CPU」)およびCPUと協働可能な複数のコントローラ(例えば、安全性、弁、ヒータ、ポンプ、ビデオ、オーディオコントローラ)を含む。CPUは、例えば、ビデオモニタ20と、タッチスクリーンまたは電気機械的入力デバイス(例えば、薄膜スイッチ)等の1つ以上の種類の入力デバイス22とを含む、ビデオコントローラを介して、グラフィカルユーザインターフェース(「GUI」)と協働する。
【0027】
図1に見られるように、透析器具12は、使い捨て装置30を受容して、それと協働する。使い捨て装置30は、剥離または脆性シール34を介して、2つの流体を分離する二重チャンバ供給バッグとして示される、1つ以上の供給バッグ32aから32c(本明細書では、集合的に、供給バッグ32、または個別に、概して、供給バッグ32と称される)を含む。また、使い捨てセット30は、排出バッグ(図示せず)、保温バッグ36、バッグ管38aから38d(集合的に、管類または管38、あるいは個別に、概して、管38と称される)、および使い捨てポンピング/弁カセット50(図2)を含む。
【0028】
腎不全療法システム10の種類および構造に応じて、使い捨て装置30の要素のうちの1つ以上は、必要とされない場合がある。例えば、システム10は、排出バッグの代わりに、トイレまたはシンク等の家庭の排出管に廃流体を送出可能である。また、システム10は、ライン内ヒータを含むことが可能であって、その場合、保温バッグ36は必要ない。
【0029】
3つの供給バッグ32が示されるが、システム10は、任意の好適な数の供給バッグを採用可能である。供給バッグ32は、脆性シール34によって分離され、採用される療法の種類に応じて、異なる溶液を保持する、複数のチャンバ42aおよび42bを有するように示される。例えば、チャンバ42aおよび42bは、PD用の緩衝剤およびグルコース、またはHD用の酢酸塩および重炭酸塩溶液を保持可能である。供給バッグ32は、代替として、単一チャンババッグであって、予混合PDまたはHD透析液等の単一の予混合溶液を保持する。
【0030】
図1および2に見られるように、使い捨てカセット50は、それぞれ、管38a、38b、および38cを介して、供給バッグ32、排出バッグ、ならびに保温バッグ36に接続する。管38dは、カセット50から患者接続部44へと延設する。カセット50は、一実施形態では、硬い外壁52、基部壁54(後述のように、そこから内側ポンプチャンバ、弁チャンバ、および内側流体路が延在する)、硬い流体ポート56(管類38に封止して接続可能な)、および外側硬い壁52と、可能性として、加えて、内側硬い壁とに封止される一対の可撓性膜またはシート58を有する、硬い構造を含む。
【0031】
器具12は、空気圧的、機械的、または両方において、カセット50のポンプおよび弁チャンバを作動可能である。例証される実施形態は、空気圧的作動を利用する。カセット50を作動させる、またはそれと協働可能な、本開示の最終的譲受人から市販のHomeChoice(登録商標)APDシステムは、米国特許第4,826,482号(「第’482号特許」)(その全内容は、参照することによって、本明細書に組み込まれる)に記載の空気圧式システムを使用する。例証される実施形態では、器具12は、カセット50のポンプおよび弁チャンバのそれぞれにおいて、シート58と異なる封止領域を生成する、膜14を含む。膜14は、それらの領域内でシート58と連動し、弁チャンバを開閉する、またはポンプチャンバを通して流体を送出する。インターフェース板が、膜14の裏側に位置し、後述のカセット50のポンプチャンバ(実際に、ポンプチャンバ部分)と組み合わせて、一対の固定容積ポンプチャンバのそれぞれの一部を形成する。
【0032】
例証される実施形態における器具12は、カセット50に対して閉鎖する、扉16を含む。扉16は、機械的(例えば、扉の閉鎖を介して)および/または空気圧的(例えば、プレス板の後側の扉内に位置する膨張可能空気袋を介して)に動作可能な、プレス板18を含む。板18をカセット50に押圧することによって、順に、カセット50のシート58と協働して、流体を送出し、弁を開閉する、ポンピング膜14にカセット50を押圧する。
【0033】
カセットインターフェース板(図示せず)は、膜14の後側に位置する。カセットインターフェース板は、異なる弁およびポンプ領域において、陽圧または陰圧を共活性膜14およびカセットシート58に印加するように構成される。例えば、陽圧が、ポンプチャンバを画定する、カセット50の内壁内に位置するシートの領域において、膜14/シート58に印加され、流体をポンプチャンバから押出す。陰圧が、膜14/シート58に対し同領域において印加され、ポンプチャンバ内へ流体を引き込む。陽圧が、弁チャンバを画定するカセット50の内壁内のシートの領域において、膜14/シート58に印加され、弁チャンバの出口ポートを閉鎖する。陰圧が、カセット50の同領域において、膜14/シート58に対し印加され、弁チャンバの出口を開放する。
【0034】
本開示の譲受人に譲受された米国特許第6,814,547(「第’547号特許」)(参照することによって、本明細書に組み込まれる)は、図17Aおよび17Bに関連して、空気圧および機械式作動の組み合わせを使用する、ポンピング機構を開示する。第’547号特許(参照することによって、本明細書に組み込まれる)の図15、16A、および16Bは、機械的に作動される弁の使用を教示する。また、システムは、本開示の通過弁と協働するように構成可能である。
【0035】
次に、図3から6を参照すると、カセット50の一画である弁チャンバ配列60は、本開示の通過弁の一実施形態およびその用途の1つを示す。図3および4は、シート58が除去された状態の弁チャンバ配列60を示す。図5および6は、弁およびポンプチャンバ作動のための上側シート58が定位置にある状態の弁チャンバ配列60を示す。
【0036】
透析液(例えば、予混合される、あるいはカセット50または使い捨て部内の他の場所内で混合するための濃縮物)等の医療流体は、溶液入口流体路62aを介して、カセットに流入する。流体は、カセット50の弁/ポンプチャンバ側から、仕切りまたは基部壁54内に画定される開口64を通して、カセット50の逆の流路側に位置する、第2の流体路66内へと流動する。故に、流体は、例証される実施例では、ヒータへと向かう経路である、カセット50の弁/ポンプチャンバ側に位置する、経路98aの下方を流動する。
【0037】
次いで、流体は、第2の流体路66を通って、本開示の二重出口弁チャンバ70へと流動する。二重出口弁チャンバ70は、入口72、第1の出口74、および第2の出口78を含む。第1の出口74は、例えば、カセットの硬い側壁52に超音波的に接合または熱封止される可撓性シート58を介して、空気圧的および/または機械的に、選択的に開閉可能である。第1の出口74は、基部壁54から延出する、突出またはポート76を含む。可撓性シート58は、図5に見られるように、陽(空気圧および/または機械的)圧が、弁チャンバ70において、シート58に印加されると、ポート76の遠位端を封止する。可撓性シート58は、図6に見られるように、陰(空気圧および/または機械的)圧が、弁チャンバ70において、シート58に印加されると、ポート76の遠位端から引き離される。
【0038】
例証される実施形態における弁入口72および第2の出口78は、カセット50の基部壁54内に形成される開口(例えば、円形)である。壁80、例えば、円形壁は、入口72、第1の出口74、および第2の出口78を囲み、二重出口弁チャンバ70を形成する。壁80は、例証されるように、基部壁54から延在する。壁80は、シート58および膜14(上述)に押圧され、弁チャンバ70内に封止領域を形成する。代替として、壁80は、超音波溶接または熱封止を介して、シート58に封止される。シート58および膜14は、上述のように、協働し、二重出口弁チャンバ70の第1の出口74を空気圧的に開閉する。
【0039】
第2の出口78は、弁チャンバ70から、弁チャンバ70から基部壁54の反対側に位置する、下流流路82へと流体を流動させる。流路82は、下流弁チャンバ90の入口72へと通じる。下流弁チャンバ90は、上述のように、突出ポート76を介して形成される、単一入口72および単一出口74を含む。例証される実施形態における下流弁チャンバ90は、第2の出口78を含まない。壁80、例えば、円形壁は、基部壁54から延在し、入口72および出口74を封入する。壁80は、二重出口弁チャンバ70の壁80と同一サイズおよび形状であり得る。ポート出口74は、例証されるように、弁チャンバ70および90の壁80の中心に位置し得る。
【0040】
下流チャンバ90は、図5および6によって例証されるように、二重出口弁チャンバ70の第2の出口78を制御する。図5では、可撓性シート58は、弁チャンバ70の第1の出口74に押圧される一方、可撓性シートは、下流弁チャンバ90の出口74から引き離される。これによって、流体は、例えば、二重出口弁チャンバ70の第2の出口78から、下流経路82、下流弁チャンバ90の入口72、弁チャンバ90の出口74から、第1のポンプ経路84、第1のポンプ開口部86aを通って、ポンプチャンバ100内へと流動可能となる。
【0041】
例証される実施形態では、ポンプチャンバ100は、3つの流体開口部86a、86b、および86cを含む。開口部86bは、開口部86aに対して説明した同弁配列を介して、流れが与えられる。開口部86bおよび鏡映の弁配列は、図4に見られるように、第2の溶液入口流体路62bと一列にある。第3のポンプ開口部86cは、経路92を介して、2つの二重出口/下流弁配列間に位置し、それぞれ、ポンプチャンバ開口部86aおよび86bに流れを与える、中間弁チャンバ95と連通する。中間弁チャンバ95は、一実施形態では、上述の弁チャンバ90と同構成を有する、単一出口弁チャンバである。
【0042】
図6では、可撓性シート58は、弁チャンバ70の第1の出口74から引き離される一方、可撓性シートは、下流弁チャンバ90の出口74に押圧される。これは、ポンプ経路84および第1のポンプチャンバ開口部86aへの流体の流動を防止するが、例えば、二重出口弁チャンバ70の第1の出口74から、多岐経路94を通して、中間弁95の入口72へと流体を流動させる。流体は、図3および7Aに見られるように、弁95を経て、経路92および第3のポンプ開口部86cを通して、ポンプチャンバ100へと流動し得る。また、図7Aおよび8に見られるように、多岐経路94は、弁配列60を第2のポンプ100と協働する第2の弁配列60と連通させる。
【0043】
二重出口弁チャンバ70の両出口74および78からの流動を遮断するためには、可撓性シート58は、両弁チャンバ70および90のポート76に押圧される。両出口74および78からの流動を可能にするためには、可撓性シート58は、両弁チャンバ70および90のポート76から引き離される。
【0044】
弁構成60によって、第1および第2の透析液成分(例えば、グルコースおよび重炭酸塩)等の第1および第2の医療流体は、ポンプ開口部86aから86cのうちの任意の1つ、2つ、または3つを通して、選択的かつ比例的に送出される。構成60によって、例えば、第1の流体は、溶液入口経路62aから、ポンプチャンバ開口部86aを通して送出される一方、第2の流体は、溶液入口経路62bから、第2および第3のポンプチャンバ開口部86bならびに86cを通して送出される。本構成によって、代替として、第1の流体は、第1および第3のポンプチャンバ開口部86aならびに86cを通して送出される一方、第2の流体は、第2のポンプチャンバ開口部86bを通して送出される。本構成によって、さらに代替として、第1の流体は、全3つのポンプチャンバ開口部86aから86cを通して送出される。本構成によって、さらなる代替として、第2の流体は、全3つのポンプチャンバ開口部86aから86cを通して送出される。
【0045】
加えて、図7Aおよび8を参照すると、2つの弁配列60および2つのポンプチャンバ100を採用するカセット50の一実施形態が示される。溶液入口経路62aおよび62bの他に、カセット50は、それぞれ、ヒータに向かう経路98aと、ヒータからの経路98bである、患者間経路96aならび96bを含む。ヒータに向かう経路98aは、空気分離チャンバ102へと通じる。また、カセット50は、排出経路104を含む。
【0046】
また、ポンプチャンバ開口部86aから86cは、送出行程時、ポンプ出口として使用可能である。ここでは、各開口部を使用して、患者に向かう経路96aと連通する、多岐ライン94へと流体を送達可能である。しかしながら、アームの取り扱いの観点から、ポンプチャンバ100の底部から送出することが好ましい。また、本目的のために、患者に向かう経路96aは、図8に示される下方のポンプチャンバ開口部86eと流体連通する。患者からの経路96bは、図8に示される下方の外側ポンプチャンバ開口部86dと連通する。図8の下方の内側ポンプチャンバ開口部86fは、ヒータに向かうライン98aと流体連通する。
【0047】
図7Bは、右側ポンプチャンバ100のために予混合透析液を使用する、ポンプ−患者流路の一実施形態を示す。ここでは、流体は、患者に送出される前に加熱される。例証される経路は、注入および送出両行程のためのものである。Xでマークされた右側ポンプチャンバ100に付随する弁チャンバは、注入および送出両行程の間、閉鎖される。Xでマークされていない付随弁チャンバは、注入および送出行程の間のある時点において閉鎖され得る。
【0048】
注入行程の間、予混合透析液は、入口流体路62bを通して、カセット50に流入する。入口流体路62bと一列の下流弁チャンバ90は閉鎖され、また、入口流体路62bと一列の二重出口弁チャンバ70の第2の出口78を閉鎖する。入口流体路62bと一列の二重出口弁チャンバ70の第1の出口74は、開放される。上方の中間弁チャンバ95は、閉鎖される。入口流体路62aと一列の下流弁チャンバ90は閉鎖され、また、入口流体路62aと一列の二重出口弁チャンバ70の第2の出口78を閉鎖する。入口流体路62aと一列の二重出口弁チャンバ70の第1の出口74は、開放される。ヒータに向かう弁チャンバ106は開放され、したがって、流体は、空気トラップ102に流入可能である。下方の弁チャンバ90aおよび95aは閉鎖され、したがって、流体は、ポンプチャンバ開口86dおよび86eを通して流入しない。下方の弁チャンバ90bは開放され、したがって、ヒータから戻る加熱された流体は、ポンプチャンバ開口86fを通して、右側ポンプチャンバ100に流入可能である。
【0049】
送出行程の間、下方の中間単一出口弁チャンバ95aは開放される一方、下方の単一出口弁チャンバ90aおよび90bは閉鎖され、右側ポンプチャンバ100から、ポンプチャンバ開口86eを通して、流体を流出させる。上方の弁チャンバ90および95はすべて閉鎖され、したがって、流体は、ポンプチャンバ開口86aから86cを通して流出不可能である。患者に向かう弁チャンバ108は開放され、加熱された予混合透析液は、患者へ送出される。
【0050】
また、図3から6を参照すると、図7Bに示される流路に従って、透析液は、入口62bから、経路54、第1の出口74、下側経路94、空気トラップ102、ヒータに向かう経路98a、ヒータ(図示せず)、ヒータからの経路98b、弁90bを通って、注入行程時、ポンプチャンバ開口部86fを通してポンプチャンバ内へ、右側ポンプチャンバ100を通って、送出行程時、ポンプチャンバ開口部86eを通してポンプチャンバ100から、下方の中間弁95、患者に向かう経路96aおよび患者に向かう弁108を通って、患者へと送出される。図7Bでは、左側ポンプチャンバ100は、予混合透析液を送出する一方、右側ポンプチャンバは、流体を注入可能であって、逆もまた同様である。
【0051】
図7Cは、予混合透析液を使用する代わりに、濃縮溶液が少なくとも1つの他の濃縮溶液と混合される場合の右側ポンプチャンバ100のポンプ−ミキサ流路の一実施形態を示す。ここでは、流体は、ミキサに送出される前に加熱されない。代わりに、透析液は、混合後に加熱される。混合されるまで透析液を加熱しないことによって、2つ以上の濃縮物の混合精度を補助し、不均等な加熱を防止する。例証される経路は、注入および送出両行程のためのものである。Xでマークされた右側ポンプチャンバ100に付随する弁チャンバは、注入および送出両行程の間、閉鎖される。Xでマークされていない付随弁チャンバは、注入および送出行程の間のある時点で閉鎖され得る。
【0052】
注入行程の間、未混合透析濃縮物は、入口流体路62bを通して、カセット50に流入する。ここでは、入口流体路62bと一列の二重出口弁チャンバ70の第1の出口74は閉鎖される一方、入口流体路62bと一列の下流弁チャンバ90は開放される。入口流体路62aと一列の上方の中間弁チャンバ95および下流弁チャンバ90は、閉鎖される。下方の弁チャンバ90a、90b、および95はすべて閉鎖され、したがって、流体は、ポンプチャンバ開口86dから86fを通して流入しない。
【0053】
送出行程の間、上方の弁チャンバ90および95は閉鎖され、また、上方の二重出口弁チャンバ70の第2の出口78を閉鎖し、したがって、流体は、ポンプチャンバ開口86aから86cを通して流出しない。入口流体路62aと一列の上方の二重出口弁チャンバ70の第1の出口74は、開放される。下方の単一出口弁チャンバ90aおよび90bは閉鎖される一方、下方の中間弁チャンバ95aは開放される。ヒータに向かう弁チャンバ106は、閉鎖される。患者に向かう弁チャンバ108は、閉鎖される。迂回弁チャンバ110は、開放される。
【0054】
また、図3から6を参照すると、図7Cに示される流路に従って、透析液は、入口62bから、経路54を通って、閉鎖された第1の出口74の周囲から、入口62bと一列の二重出口弁チャンバ70の第2の出口78、経路82を通って、下流弁チャンバ90内へ、弁チャンバ90の出口74から、注入行程時、経路84およびポンプチャンバ開口86bを通って、右側ポンプチャンバ100内へ、ポンプチャンバから、ポンプチャンバ開口86e、下方の中間弁95a、患者に向かう経路96a、迂回弁チャンバ110を通って、入口62aと一列の二重出口弁チャンバ70内へ、第1の出口74を通って、入口72を介して、弁チャンバ70、入口62aから、ミキサまたは混合バッグへと送出される。
【0055】
ここでは、「入口62a」と一列の二重出口弁チャンバ70は、例えば図3から6と関連して、上述の方法の逆に動作することを理解されたい。ここでは、上述の「出口74」は、弁チャンバの入口として使用され、上述の「入口72」は、弁チャンバの出口として使用される。第2の出口78は、再び、下流弁90を介して制御される。しかしながら、また、第2の「出口78」は、二重出口弁チャンバ70の入口としても使用可能であって、流体は、「入口72」および第1の出口74の一方または両方を通して流出可能である。また、同一または異なる流体が、弁チャンバ70の任意の2つの開口72、74、および78に流入し、開口72、74、および78の残りから流出可能であることが想定される。弁チャンバ70の任意の開口72、74、および78は、入口または出口として使用可能である。
【0056】
ライン上での混合は、異なる方法で行なうことが可能である。例えば、両ポンプチャンバ100を使用して、混合バッグまたは容器に異なる濃縮物を送出可能であって、溶液は、ミキサから、ヒータを通して、患者へと流動する。左側および右側ポンプチャンバ100は、交互または同時に注入および送出可能である。ミキサは、カセット50の一部または管類の一画として形成されるバッグであり得る。
【0057】
代替として、一方のポンプチャンバ、例えば、右側ポンプチャンバ100は、順に、両濃縮物をミキサに送出し、他方のポンプチャンバ100は、混合された流体をミキサから引き出し、混合された流体を、ヒータを通して、患者へと送出する。
【0058】
図7Dは、右側ポンプチャンバ100のポンプ−排出流路の一実施形態を示す。例証される経路は、注入および送出排出両行程のためのものである。Xでマークされた右側ポンプチャンバ100に付随する弁チャンバは、注入および送出両行程の間、閉鎖される。Xでマークされていない付随弁チャンバは、注入および送出排出行程の間のある時点で閉鎖され得る。
【0059】
注入排出行程の間、患者からの廃液または廃透析液は、患者からのポートを通して、カセット50に流入し、患者からのライン96bを通して流動する。下方の弁チャンバ90bおよび95aは、閉鎖される。下方の弁チャンバ90aは開放され、開口86fを通して、廃液透析液を右側ポンプチャンバ100に流入させる。全3つの上方の弁90、90、および95は閉鎖され、開口86aから86cのいずれかを通して、流体が右側ポンプチャンバ100内に送出されるのを防止する。
【0060】
送出排出行程の間、下方の弁チャンバ90a、90b、および95aは閉鎖され、したがって、廃液流体は、ポンプチャンバ開口86dから86fを通して流出不可能である。ポンプ100は、中間弁チャンバ95(ポート74内へ、そして弁チャンバ95の入口72から)を通して、カセット50の逆側に位置する多岐経路94内に廃液を送出する。上方の下流弁チャンバ90は閉鎖され、中間弁95は開放される。二重出口弁チャンバ70の両第1の出口74は閉鎖され、経路94を通して、ヒータに向かう弁チャンバ106内へ、「出口74」を通して流動させ、ヒータに向かう弁チャンバ106から、「入口72」、排出ポート104を通して、排出バッグまたは家庭の排出管へと廃液を流動させる。ポンプチャンバ100は、排出サイクルの間交代可能であって、患者からの比較的持続的流動および患者への圧力を維持する。
【0061】
弁配列60は、二重出口弁チャンバ70の下流の単一出口弁チャンバ90を含むが、代替配列は、上流二重出口弁チャンバ70から下流に配置される第2の二重出口弁チャンバ70を含むことが可能である。ここでは、単一出口弁チャンバ90は、第2の下流二重出口弁チャンバから下流に位置することが可能である。さらなる代替配列は、中間単一出口弁チャンバ95を二重出口弁チャンバ70と交換し、中間チャンバ95の代わりの二重出口弁チャンバ70から下流の単一出口弁チャンバ90または95を配置することを含む。二重出口弁チャンバ70および単一出口弁チャンバ90または95の任意の組み合わせを使用して、直列および/または並列流路の任意の所望の組み合わせを提供するように企図される。一実施形態では、各流路は、単一出口弁チャンバ90または95で終端する。
【0062】
本明細書に記載される現在好ましい実施形態に対する種々の変更および修正は、当業者には明白となるであろうことを理解されたい。そのような変更および修正は、本主題の精神および範囲から逸脱することなく、かつその意図される利点を低減することなく、成され得る。したがって、変更および修正は、添付の請求項によって包含されることが意図される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の使い捨てカセット。
【請求項1】
明細書中に記載の使い捨てカセット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【公開番号】特開2011−189195(P2011−189195A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−147626(P2011−147626)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【分割の表示】特願2010−515247(P2010−515247)の分割
【原出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147626(P2011−147626)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【分割の表示】特願2010−515247(P2010−515247)の分割
【原出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(591013229)バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド (448)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER INTERNATIONAL INCORP0RATED
【出願人】(501453189)バクスター・ヘルスケヤー・ソシエテ・アノニム (289)
【氏名又は名称原語表記】BAXTER HEALTHCARE S.A.
【Fターム(参考)】
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