説明

複数患者のアラーム情報表示方法および装置

【課題】 複数患者の最新のアラーム情報の確認並びに重要なアラームの発生の確認を、見落とすことなく迅速かつ確実に行うことができるようにした、複数患者のアラーム情報表示方法および装置を提供する。
【解決手段】 複数の患者の生体情報を収集し、収集された生体情報からその異常状態を検知して得られるアラーム情報を、順次リアルタイムで記憶保持し、この記憶保持されたアラーム情報を、患者名に関わりなくリアルタイムで時系列的に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等で複数の患者の状態を監視する場合において、アラーム情報を時系列の履歴データとして表示するようにした、複数患者のアラーム情報を表示する方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生体情報モニタ等の患者監視装置により得られる複数の患者のアラーム情報は、担当医師等が、セントラルモニタに現在表示されているデータを参照することにより、あるいは患者個人毎のアラーム履歴データをそれぞれ参照することにより、判断している。
【0003】
そこで、例えば、アラーム情報を報知すると共に、発生した計測値アラーム、不整脈アラーム等を時間と共に記憶して、必要に応じて画面にリスト表示することにより、医師等の負担を軽減し得る患者監視装置が提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、この特許文献1に記載の患者監視装置は、(1) 患者の生体信号を患者個々に検出する生体情報入力部と、(2) 前記生体情報入力部からの前記生体信号が予め設定した監視項目の生体異常を示すときにアラームとして検出するアラーム検出手段と、(3) 前記アラーム検出時に該アラームを報知する報知手段と、(4) 前記アラーム検出の度に該アラームの発生日時およびアラーム名を対応付けてアラーム情報として記憶する記憶手段と、(5) 任意のタイミングで前記記憶手段から前記アラーム情報を読み出して画面にリスト表示する表示手段とを有する構成からなる。
【0004】
このように構成された、前記特許文献1に記載される患者監視装置には、個々の患者について、アラーム検出の度にアラームの発生日時およびアラーム名を対応付けてアラーム情報として記憶し、任意のタイミングで記憶手段から読み出したアラーム情報を画面にリスト表示することで、患者監視装置から離れても、アラームとして検出および報知される全てのアラーム情報を後刻知ることができるため、医師等の負担を軽減できることが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特許第2716020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかるに、複数の患者に対して担当医師等がアラーム情報のチェックを行う場合、個々の患者についてのアラーム情報を画面表示するように構成した前記特許文献1に記載される患者監視装置においては、重要なアラームが発生した患者を見逃さないようにするために、全ての患者のアラーム情報を患者毎に表示して確認する必要がある。しかし、患者毎に画面を開いて見るまで、アラームが発生していたかどうかも含めて、どのようなアラームかは不明であり、確認に非常に手間が掛かる。また、刻々とアラームは更新されていくため、確認済みの患者も再度確認する必要があるなど、あまり現実的なアラームの確認方法ではない。従って、このようなアラームの確認方法では、重要なアラームが発生したことを見落とし易い難点がある。
【0007】
本発明の目的は、複数患者の最新のアラーム情報の確認並びに重要なアラームの発生の確認を、見落とすことなく迅速かつ確実に行うことができるようにした、複数患者のアラーム情報表示方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するため、本発明の請求項1に記載の複数患者のアラーム情報表示方法は、患者名を含むアラーム情報を表示する方法であって、
複数の患者の生体情報を収集し、収集された生体情報からその異常状態を検知して得られるアラーム情報を、順次リアルタイムで記憶保持し、
この記憶保持されたアラーム情報を、患者名に関わりなくリアルタイムで時系列的に表示することを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項2に記載の複数患者のアラーム情報表示方法は、さらに、前記アラーム情報に対応する生体情報を順次リアルタイムで記憶保持し、前記アラーム情報の表示において、前記表示されるアラーム情報に加えて、それに対応する前記記憶保持されている生体情報も表示することを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項3に記載の複数患者のアラーム情報表示方法は、前記アラーム情報の表示において、患者名を選択し、この選択された患者名のアラーム情報のみを表示することを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項4に記載の複数患者のアラーム情報表示方法は、前記記憶保持されているアラーム情報が、そのプライオリティ(重要度)の情報を含み、前記アラーム情報の表示において、前記プライオリティを選択し、この選択されたプライオリティのアラーム情報のみを表示することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載の複数患者のアラーム情報表示装置は、患者名を含むアラーム情報を表示する装置であって、
複数の患者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、
前記検出された生体情報からその異常状態を検知してアラーム情報を発生させるアラーム情報発生手段と、
前記アラーム情報を順次リアルタイムで記憶保持する情報保存手段と、
前記記憶保持されたアラーム情報を患者名に関わりなくリアルタイムで時系列履歴データとして表示する情報表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項6に記載の複数患者のアラーム情報表示装置は、前記情報保存手段が、さらに、前記記憶保持されるアラーム情報に対応する生体情報を順次リアルタイムで記憶保持するように構成され、
前記情報表示手段は、前記表示されるアラーム情報と共にそれに対応する前記記憶保持されている生体情報を同時に表示するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項7に記載の複数患者のアラーム情報表示装置は、患者名を選択することができる患者名選択手段をさらに有し、前記情報表示手段は、前記患者名選択手段で選択された患者名のアラーム情報のみを表示するように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項8に記載の複数患者のアラーム情報表示装置は、前記情報保存手段に記憶保持されているアラーム情報が、そのプライオリティ(重要度)の情報を含み、オペレータが前記アラーム情報のプライオリティを選択することができるプライオリティ選択手段をさらに備え、前記情報表示手段は、前記プライオリティ選択手段で選択されたプライオリティのアラーム情報のみを表示するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1および5に記載の複数患者のアラーム情報表示方法および装置によれば、複数の患者のアラーム情報を患者名に関わりなくリアルタイムで時系列的に表示することができ、これにより複数患者の最新のアラーム情報の確認並びに重要なアラームの発生の確認を、見落とすことなく、迅速かつ確実に行うことができる。
【0017】
本発明の請求項2および請求項6に記載の複数患者のアラーム情報表示方法および装置によれば、前記複数の患者のアラーム情報をリアルタイムで時系列的に表示するに際して、前記アラーム情報に対応する生体情報も表示するので、複数患者の最新のより詳細なアラーム情報の確認並びに重要なアラームの発生の確認を、見落とすことなく、迅速かつ確実に行うことができる。
【0018】
本発明の請求項3、4および請求項7、8に記載の複数患者のアラーム情報表示方法および装置によれば、前記複数患者のアラーム情報をリアルタイムで時系列的に表示する際に、患者名またはアラームのプライオリティ(重要度)で絞って表示することができるので、複数患者の最新のアラーム情報の確認並びに重要なアラームの発生の確認を、見落とすことなく、より迅速かつより確実に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に、本発明に係る複数患者のアラーム情報表示方法および装置(以下、「本発明方法」、「本発明装置」と記す)の実施例につき、添付図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明方法を実施する装置の一実施例を示す概略ブロック系統図を示すものである。図1において、参照符号10A、10B、10Cは、それぞれ複数の患者毎の等のベッドサイドにおいて、心電図や脈波等の生体信号を測定する電極ないしはプローブ等のセンサ等からなる生体信号検出器(生体情報検出手段)により検出測定される生体情報およびこれらの生体情報の異常状態を検知して得られるアラーム情報を表示するための、個々のモニタないしはセントラルモニタからなる生体情報モニタ(アラーム情報発生手段)を示す。
【0021】
参照符号12Aおよび12Bは、人工呼吸器および輸液ポンプ等の生命維持装置を示す。これらの生命維持装置12A、12Bにおいても、それぞれ患者に対する各装置の作動情報を監視して、予め設定した異常状態を検出した際に、適宜アラーム情報を発生するように構成される。
参照符号14は情報端末装置を示し、例えば複数の無線送信機13a、13b、13cによって送信される、それぞれ所要の生体信号検出器(生体情報検出手段)により検出測定される患者の生体信号や生命維持装置の作動状態を示す作動信号を受信して、複数の患者の生体情報や生命維持装置の作動情報を集中監視するための集中型受信機(アラーム情報発生手段)により構成される。従って、この情報端末装置14においても、複数の患者の生体情報や生命維持装置の作動情報を監視して、予め設定した異常状態を検出した際に、適宜アラーム情報を発生するように構成されている。
【0022】
前記生体情報モニタ10A、10B、10C、生命維持装置12A、12Bおよび情報端末装置14は、例えばサーバーを介して構築されるコンピュータネットワークにより、従来より公知の生体情報モニタシステムとして構築されている。
【0023】
本発明の実施例においては、病棟やICU(集中治療室)、手術室等に設置してある、前記生体情報モニタ10A、10B、10C、生命維持装置12A、12Bおよび情報端末装置14からの前記アラーム情報と、このアラーム情報に対応する前記生体情報および前記作動情報とを、順次リアルタイムで自動更新しながら患者毎に記憶保持するように構成されたアラーム情報履歴保存手段20(情報保存手段)と、前記記憶保持された、アラーム情報、生体情報および作動情報に基づいて、リアルタイムで更新された複数患者のアラーム情報を時系列履歴データとして表示し、さらに必要に応じて前記アラーム情報に対応した生体情報および作動情報を、前記アラーム情報と同時に表示することができるように設定されたアラーム情報履歴表示手段30(情報表示手段)とを、前記生体情報モニタシステムに設けてある。
【0024】
前記アラーム情報履歴保存手段20は、前記生体情報モニタシステムに直接接続されるLANボード22と、CPU24と、ハードディスク等からなる記憶保持媒体26とから構成され、複数患者のアラーム情報およびそれに対応する生体情報や作動情報は、前記記憶保持媒体26に記憶保持される。
前記アラーム情報履歴表示手段30は、前記生体情報モニタシステムに直接接続されるLANボード32と、CPU34と、ディスプレイ装置36とから構成され、図示しないキーボードやマウス等を備えた操作部でオペレータが指示することにより、前記ディスプレイ装置36に、前記複数患者のアラーム情報時系列履歴データなどが表示される。
【0025】
次に、前記構成からなる生体情報モニタシステムにおける、本発明装置の操作方法およびより詳細な構成について説明する。
【0026】
本発明装置は、クリティカルな情報を表示する装置であるため、予め登録されたユーザーのみが、データを参照できるようになっている。図2は、本発明装置の操作を可能とするため、前記アラーム情報履歴表示手段30において、オペレータすなわちユーザー(医師、看護師等)を予め登録する際のユーザー登録画面の表示例41を示すものである。この表示例41には、「User ID」、「Password 」、「ユーザー名」の入力項目が設けられており、オペレータはそれぞれの項目を、図示しない操作部から入力することにより、ユーザー登録することができる。
【0027】
次に、前述のようにしてユーザー登録したオペレータが、本発明装置を使用して、複数患者のアラーム情報を時系列履歴データとして表示する方法について説明する。
オペレータが操作を開始すると、ディスプレイ装置36にユーザーを認証するためのログイン画面が表示される。図3は、ログイン画面の表示例51を示すものである。前述したユーザー登録画面の表示例41の、「User ID」および「Password 」に対応する、「ユーザーID」および「パスワード」の入力項目が設けられている。オペレータが、これらを入力することによりユーザー認証が行われ、正しく認証されると、オペレータは本発明装置にログインすることができる。
【0028】
ユーザーは、それぞれ担当している患者が異なることがあり、その場合は、ユーザー毎にアラーム情報を表示する患者を選択する必要がある。この設定は、ユーザー認証後に行うことができ、図4にその設定画面が示されている。図4は、患者を選択指定するための患者選択画面の表示例42であり、チェックボックスで患者名を選択することにより、そのオペレータ(ユーザー)がアラーム情報を表示できる患者を選択することができるようになっている。全ての患者を選択することによって、患者全員のアラーム情報を表示することもできる。
【0029】
前記患者選択画面の表示例42により患者を選択すると、選択された患者のアラーム情報時系列履歴データが表示される。図5は、画面表示される複数患者のアラーム情報時系列履歴データの典型的な表示例61Aを示すものであり、最上段に最新のアラーム情報が表示されている。この表示例61Aでは、「アラーム発生年月日」、「アラーム発生時刻」、「患者の所在地(ベッド番号、病棟等)」、「患者氏名」、「アラームの内容」等のアラーム情報が、時系列的に一覧表示される。この一覧には、前記患者選択画面の表示例42でオペレータが選択した患者のアラーム情報のみが表示されている。
【0030】
図6は、ディスプレイ装置36に表示される複数患者のアラーム情報時系列履歴データの別の表示例61Bを示すものである。この表示例61Bには、図5に示した表示例61Aに表示されている複数患者のアラーム情報時系列履歴データに加えて、表示されているアラーム情報に対応するバイタルサインや波形情報等の生体情報が一覧表示されている。
図6においては、下半分にアラーム情報が、最上段を最新として時系列で表示され、上半分に前記アラーム情報に対応する生体情報が、左端を最新として時系列で表示されるように設定されている。
この表示例61Bによれば、オペレータが、表示されている生体情報を参照して、アラーム情報が正しいものであるか否かの確認や、アラーム情報の重要度の程度をより詳細に確認することができる。
【0031】
前記複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61A、61Bは、新しく表示すべきアラームが発生した時には、自動的に順次更新されて画面表示されるようになっている。
前記表示例61A、61Bの表示の切り替えは、例えば、表示例61A、61Bのそれぞれに他方の画面に切り替えるための切り替えボタンを設けておき、マウスでそれをクリックすることにより、他方の画面に切り替わるように設定することができる。
なお、前記表示例61A、61Bに表示されている情報は、いずれも生体情報に基づく情報であるが、生命維持装置12A、12B等の作動情報に基づいてアラーム情報が発生した場合、それも時系列履歴データとして表示されることは勿論である。
【0032】
本実施例ではまた、特定のアラームに着目して、アラーム情報と、より詳しい生体情報とを表示させることができる。前述した図5および図6に示す複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61A、61Bにおいて、詳細表示したいアラームをマウス等で選択指定すると、アラーム情報と詳細な生体情報とが画面表示される。図7は、図5に示される表示例61Aにおいて、最新(最上段)のアラーム情報を選択指定した場合の表示例62であり、前記選択指定したアラーム情報と、それに対応したバイタルサインや波形情報等からなる詳細な生体情報が示されている。
この表示例62は、オペレータが、前記表示例61A、61Bで複数患者のアラーム情報の概要を確認し、注目した特定のアラーム情報を詳細に確認する時などに役に立つ。
【0033】
本実施例ではさらに、オペレータの選択により、オペレータが必要とするアラーム情報時系列履歴データのみを表示できるように設定することができる。
図5および図6に示す複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61A、61Bにおいて、オペレータの選択により、必要とする種類のアラーム情報のみを表示できるようにすることができる。図8は、オペレータが、確認したいアラーム情報の種類を選択するためのアラーム情報種類選択画面の表示例52を示すものである。この表示例52には、例えば「HR」(心拍)、「SpO2 」(動脈血酸素飽和度)、「Resp 」(呼吸)、「NIBP」(非観血血圧)等のアラームや、「VPC RUN」(心室性期外収縮)、「VT」(心室頻拍)、「Short run」(連発性心室性期外収縮)、「AV Block」(房室ブロック)等の異常状態の項目、およびアラーム情報の全ての種類を選択するための「すべて」の項目が、それぞれチェック欄と共に設定されている。オペレータは、確認したいアラーム情報の種類を選択することにより、選択された種類のアラーム情報についての複数患者のアラーム情報時系列履歴データを、図5および図6に示した表示例61A、61Bと同様な形態で表示させることができる。
【0034】
また、図5および図6に示す複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61A、61Bにおいて、オペレータの選択により、必要とするプライオリティ(重要度)のアラーム情報のみを表示できるようにすることができる。前記プライオリティは、前記生体情報モニタ10A、10B、10C等が患者の生体情報から異常状態を検出した際に、あるいは前記生命維持装置12A、12B等が、それらの作動情報から異常状態を検出した際に、その異常状態の種類の重篤度、緊急度に基づいてアラーム情報に付加されるようになっている。図9は、オペレータが、アラーム情報に付加されているプライオリティを選択するためのアラーム情報プライオリティ選択画面の表示例53を示すものである。この表示例53には、「最重要」、「高」、「中」、「低」等のプライオリティが、それぞれチェック欄と共に設定されている。オペレータは、アラーム情報の所望のプライオリティを選択することにより、選択されたプライオリティのアラーム情報に関する複数患者のアラーム情報時系列履歴データのみを、図5および図6に示す表示例61A、61Bと同様な形態で表示させることができる。
【0035】
さらに、図5および図6に示す複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61A、61Bにおいて、オペレータの選択により、アラームが発生した時間範囲を選択して、その範囲内のアラーム情報のみを表示できるようにすることができる。図10は、最新のアラーム情報の発生時刻から過去に遡る時間を、予め設定した複数の時間幅から選択するための表示時間設定画面の表示例54を示すものである。この表示例54には、アラーム情報を表示する時間幅として、「すべて」、最新から「8時間」、最新から「1時間」、最新から「30分」が設定されている。
【0036】
オペレータが表示したいアラーム情報の時間幅を選択すると、最新のアラーム情報から選択された時間だけ遡った時間分のアラーム情報が表示される。図11は、前述した図10に示す表示時間設定画面の表示例54において選択された時間内に発生した複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例66を示すものである。この表示例66では、図10で1時間が選択されているため、図5に示す複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61Aに対して、9時54分以降のアラーム情報が表示されている。
なお、前記時間範囲は、オペレータが操作する時点から遡る時間範囲としてもよい。
【0037】
前述のアラーム情報の種類、プライオリティ、およびアラームが発生した時間範囲を選択した場合、図4に示されている患者選択画面の表示例42で選択された患者のアラーム情報の中から選択して表示される。
このように、必要とするアラーム情報のみを表示させることにより、オペレータはより迅速にアラーム情報を確認することができる。
【0038】
次に、オペレータにアラーム情報をより確実に把握させるために、ディスプレイ装置36に画面表示されるアラーム情報をカラー色別表示した表示例について説明する。
図12は、前述した図5および図6に示す複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61A、61Bに対し、アラーム情報のアラームの内容について、プライオリティ(重要度)別にカラー色別表示した表示例63を示すものである。プライオリティは、図9の説明において述べたように、アラームの異常状態の種類に基づいてアラーム情報に付加されるようになっている。この表示例63では、プライオリティが「最重要」および「高」の場合は、アラームの内容を赤色で表示し、「中」の場合は青色で表示し、そして「低」の場合は黒色で表示するように予め設定されており、プライオリティの高いアラーム情報が一目で識別できるように表示される。
【0039】
また、図13は、前述した図5および図6に示す複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61A、61Bに対し、患者の所在地別にカラー色別表示した表示例64を示すものである。この表示例64では、ICUの患者を赤色で表示し、E05病棟の患者は青色、E03病棟の患者は緑色で表示するように予め設定されている。
【0040】
その他、疾病のグループ別にカラー色別表示をするように、予め設定してもよい。
また、前述した図12および図13の複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例63、64のカラー色別表示は、前述のカラーに限定されず、適宜のカラーを設定することができる。
【0041】
次に、確認済みと未確認のアラーム情報が明確に区別できるようにした表示例について説明する。
前述の説明では、オペレータが自分の担当する患者を、図4に示される患者選択画面の表示例42で選択したが、一人の患者を担当するのは1ユーザーに限らず、同じ患者を複数のユーザーで担当する場合がある。この場合、ある患者のアラーム情報が誰にも確認されていないにも拘らず、オペレータの誰もが他のユーザーが確認したものと勘違いし、アラーム情報の確認漏れが生じる、という事態を極力防がなければならない。
【0042】
図14は、前述した図5および図6に示す複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例61A、61Bに対し、オペレータのアラーム情報に対する確認を確実に行うため、確認したことを記録する確認情報を付加した複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例65を示すものである。図14に示す表示例65は、オペレータが確認したアラーム情報について反転表示するように設定したものである。
【0043】
本発明装置は、複数のオペレータがそれぞれ別のアラーム情報履歴表示手段30を使用して離れた場所でアクセスすることができるが、前述のように、確認したアラーム情報が一目で分かるようにすることで、アラーム情報が未確認となってしまう状態を有効に回避することができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施例について説明したが、本発明は前記実施例に限定されることなく、例えばアラーム情報履歴保存手段およびアラーム情報履歴表示手段として、前述したLANボードとCPUの組み合わせのみならず、公知の種々のシステム構成を採用することができるばかりでなく、その他本発明の精神を逸脱しない範囲内において、多くの設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明方法を実施する装置の一実施例を示す概略ブロック系統図である。
【図2】本発明方法および装置におけるユーザー登録画面の表示例を示す説明図である。
【図3】本発明方法および装置におけるログイン画面の表示例を示す説明図である。
【図4】本発明方法および装置における患者選択画面の表示例を示す説明図である。
【図5】本発明方法および装置における複数患者のアラーム情報の時系列履歴データの第1の表示例を示す説明図である。
【図6】本発明方法および装置における複数患者のアラーム情報の時系列履歴データの第2の表示例を示す説明図である。
【図7】本発明方法および装置における指定されたアラーム情報に対応した詳細な生体情報の表示例を示す説明図である。
【図8】本発明方法および装置における複数患者のアラーム情報の種類選択画面の表示例を示す説明図である。
【図9】本発明方法および装置における複数患者のアラーム情報に付加されているプライオリティ選択画面の表示例を示す説明図である。
【図10】本発明方法および装置におけるアラーム情報の履歴を表示する時間の設定を行う表示時間設定画面の表示例を示す説明図である。
【図11】本発明方法および装置における表示時間の設定された複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例を示す説明図である。
【図12】本発明方法および装置におけるアラーム情報に付加されているプライオリティ別にカラー色別表示する複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例を示す説明図である。
【図13】本発明方法および装置における患者所在地別にカラー色別表示した複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例を示す説明図である。
【図14】本発明方法および装置における確認情報を付加した複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0046】
10A、10B、10C 生体情報モニタ
12A 人工呼吸器(生命維持装置)
12B 輸液ポンプ(生命維持装置)
13a、13b、13c 無線送信機
14 情報端末装置(集中型受信機)
20 アラーム情報履歴保存手段
22 LANボード
24 CPU
26 記録保持媒体(ハードディスク)
30 アラーム情報履歴表示手段
32 LANボード
34 CPU
36 ディスプレイ装置
41 ユーザー登録画面の表示例
42 患者選択画面の表示例
51 ログイン画面の表示例
52 アラーム情報種類選択画面の表示例
53 プライオリティ選択画面の表示例
54 アラーム情報表示時間設定画面の表示例
61A 複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例
61B 生体情報と同時表示される複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例
62 指定されたアラーム情報とそれに対応した詳細な生体情報とを同時に表示した時の表示例
63 プライオリティ別にカラー色別表示した複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例
64 患者所在地別にカラー色別表示した複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例
65 確認情報を付加した複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例
66 設定した表示時間内に発生した複数患者のアラーム情報時系列履歴データの表示例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者名を含むアラーム情報を表示する方法であって、
複数の患者の生体情報を収集し、収集された生体情報からその異常状態を検知して得られるアラーム情報を、順次リアルタイムで記憶保持し、
この記憶保持されたアラーム情報を、患者名に関わりなくリアルタイムで時系列的に表示することを特徴とする複数患者のアラーム情報表示方法。
【請求項2】
さらに、前記アラーム情報に対応する生体情報を順次リアルタイムで記憶保持し、前記アラーム情報の表示において、前記表示されるアラーム情報に加えて、それに対応する前記記憶保持されている生体情報も表示することを特徴とする請求項1記載の複数患者のアラーム情報表示方法。
【請求項3】
前記アラーム情報の表示において、患者名を選択し、この選択された患者名のアラーム情報のみを表示することを特徴とする請求項1または2記載の複数患者のアラーム情報表示方法。
【請求項4】
前記記憶保持されているアラーム情報は、そのプライオリティ(重要度)の情報を含み、
前記アラーム情報の表示において、前記プライオリティを選択し、この選択されたプライオリティのアラーム情報のみを表示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の複数患者のアラーム情報表示方法。
【請求項5】
患者名を含むアラーム情報を表示する装置であって、
複数の患者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、
前記検出された生体情報からその異常状態を検知してアラーム情報を発生させるアラーム情報発生手段と、
前記アラーム情報を順次リアルタイムで記憶保持する情報保存手段と、
前記記憶保持されたアラーム情報を患者名に関わりなくリアルタイムで時系列履歴データとして表示する情報表示手段とを備えたことを特徴とする複数患者のアラーム情報表示装置。
【請求項6】
前記情報保存手段は、さらに、前記記憶保持されるアラーム情報に対応する生体情報を順次リアルタイムで記憶保持するように構成され、
前記情報表示手段は、前記表示されるアラーム情報に加えて、それに対応する前記記憶保持されている生体情報も表示するように構成されことを特徴とする請求項5記載の複数患者のアラーム情報表示装置。
【請求項7】
患者名を選択する患者名選択手段をさらに有し、前記情報表示手段は、前記患者名選択手段で選択された患者名のアラーム情報のみを表示するように構成されることを特徴とする請求項5または6記載の複数患者のアラーム情報表示装置。
【請求項8】
前記情報保存手段に記憶保持されているアラーム情報は、そのプライオリティ(重要度)の情報を含み、
前記アラーム情報のプライオリティを選択するプライオリティ選択手段をさらに備え、
前記情報表示手段は、前記プライオリティ選択手段で選択されたプライオリティのアラーム情報のみを表示するように構成されることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の複数患者のアラーム情報表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−180979(P2006−180979A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375520(P2004−375520)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(000230962)日本光電工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】