説明

複数電極間に高周波電力を均一に分配するプラズマ処理システム及び方法

【課題】プラズマ処理システム及び方法が、より高い動作周波数で向上した入力インピーダンスを有するRF電力を複数の電極に、より均一に分配するように提供される。
【解決手段】プラズマ処理システムは、電力バス及び接地バスと、正相一次電極バス及び負相一次電極バスと、正相二次電極バス及び負相二次電極バスとを含む。電力バス及び接地バスは、負相二次電極バスに、正相二次電極バスに供給されるRF信号と180度位相がずれたRF信号が提供されるように、絶縁トランスにより二次電極バスに結合される。二次電極バスは、コンデンサーにより各正相一次電極バス及び負相一次電極バスに結合される。一次電極バスのそれぞれは、真空チャンバー内の電極に結合される。一次電極バスをRF接地に結合する負荷コイルが、コンデンサーと協働して、電力バスでの入力インピーダンスを調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包括的にはプラズマ処理に関し、詳細には、高周波(RF)電力を複数電極に分配するように構成されたプラズマ処理システム及びプラズマ処理システム内の複数電極にRF電力を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理は、様々な用途で使用される基板上に薄膜を堆積し、基板の表面特性を改変するためにしばしば使用され、それら用途には、限定はしないが、集積回路、電子パッケージ、プリント配線基板、及び医療装置が含まれる。特に、光学コーティング、生物医学的コーティング(bio-medical coating)、絶縁層、ポリマー等の様々な種類の薄膜材料を基板上に堆積するために、プラズマ処理システムを使用することができる。プラズマ処理は、電子回路パッケージングへの半導体及び回路基板表面の準備に使用することもできる。例えば、プラズマ処理を使用して、樹脂及び/又はフォトレジストをエッチングし、ドリルスミアを除去し、表面活性及び/又は表面清浄性を高め、剥離及び接着不良を解消し、ワイヤボンドの強度を高め、プリント配線基板に取り付けられたチップの下面の空洞を無くすことを保証し、表面から酸化物を除去し、ダイの取り付けを強め、チップ封入の接着を向上させることができる。
【0003】
従来のプラズマ処理システムでは、複数の基板が、真空チャンバー内部の1つ又は複数電極対間に配置される。次に、真空チャンバーは排気され、或る分圧の処理ガスで満たされる。チャンバーの雰囲気が、所望の処理ガス組成及び圧力を有すると、1つ又は複数電極対を励起することにより、エネルギーがチャンバー内に導入され、それにより、電磁場が電極間に発生する。各電極対は、少なくとも部分的にプロセスガスを電離させ、それにより、プラズマを発生させる電磁場を発生させるのに十分なエネルギーを有する信号を用いて励起する。エッチングプロセスが実行される場合、処理ガス及びエネルギーレベルは、プラズマの力学的特性及び化学的特性が、物理的スパッタリング、化学支援スパッタリング、及びプラズマにより促進される化学反応による各基板からの原子の最外表面層の除去をもたらすように調整される。物理的反応又は化学的反応を使用して表面を調質し、接着性等の特性を向上させ、外面層を選択的に除去し、又は基板の表面から望ましくない汚染物質を取り除くことができる。
【0004】
プラズマ支援成膜方法は通常、化学蒸着(CVD)又は重合のいずれかにより作用する。CVDプロセスが実行される場合、処理ガスは、堆積中の材料の少なくとも1つの前駆体を含む。前駆体分子は、プラズマ形成プロセスで分解され、結果として生じる前駆体イオンが凝結し、基板表面で反応して、所望の材料の薄い層を形成する。いくつかのCVD用途では、基板を加熱して、薄膜材料の堆積を促進することもできる。重合プロセスが実行される場合、プロセスガスは1つ又は複数のモノマー分子を含む。モノマー分子は、プラズマを形成するプロセスで分解され、基板上で凝結する際に、結合−又は重合−する電離分子を形成する。それにより、モノマー分子のプラズマ開始反応は、基板表面上にポリマー鎖及び/又は三次元網目構造の薄い層を形成することができる。CVDプロセス及び重合プロセスはともに、広範囲の製品に薄い絶縁保護コーティング(conformal coating)を生成するために使用することができる。
【0005】
複数電極対を含むプラズマ処理システムでは、複数のパネルの両側をバッチプロセスで同時に処理することができ、生産スループットを向上させる。このために、基板ホルダーが、各パネルを垂直の向きで、ラックに配置された平坦な垂直電極対の間に配置し、それにより、平坦な各垂直電極とパネルの隣接表面との間の環境が、部分的に電離した処理ガス−又はプラズマ−が存在する局所プロセスチャンバーを提供する。プラズマを発生させるために、適した雰囲気がプラズマ処理システムのプロセスチャンバー内に存在する状態で、電極対は電源により活性化される。プラズマ処理システムは、様々な周波数の信号を生成する電源を利用し、一般的に使用される2つの周波数は40kHz及び13.56MHzである。プラズマの発生に使用される周波数は、プラズマの化学的性質及びプラズマが処理中の基板といかに相互作用するかの両方に影響を及ぼす場合がある。したがって、基板に堆積される膜の堆積速度並びに品質及び種類は、プラズマの励起に使用される信号の周波数及び強度に伴って変化し得る。重合膜堆積の場合、より高い高周波信号を用いて発生するプラズマほど、通常、向上した化学的性質を有するプラズマになることがわかっており、堆積速度の高速化及び良好な品質の膜につながる。
【0006】
複数電極プラズマ処理システムで処理されたパネルは、かなり大型にすることができる。例えば、パネルは、幅約26インチ、長さ約32インチを特徴とする矩形外周を有する場合がある。電極は少なくとも、処理されるパネルと同じ面積を有さなければならず、電極ラックは、水平に離間された1ダース以上の電極を含む場合がある。したがって、電極ラックの全体寸法は、各寸法でほぼ2〜3フィート程度となる場合があり、したがって、等しく大きな電極励起信号分配システムを必要とする。電極及び電極ラックの寸法が増大するにつれて、各処理基板の全体表面積にわたる場の強度及び基板間の場の強度を均一に維持することは、ますます難しくなる。プラズマの均一性を維持する問題は、電極励起周波数が高いほど悪化する場合があり、その理由は、電極の寸法及び励起信号分配システムの寸法が、励起信号波長のより大きな部分になるためである。40kHzで十分な場の均一性を達成する従来のRFバス接続(bussing)システムは、13.56MHz等のより高いプラズマ励起周波数で動作する複数電極プラズマシステムでは不十分な均一性を提供する。加えて、従来のRFバス接続システムの入力インピーダンスは、これらの高周波数では整合が難しく、定在波比が高くなり、RF電力が無駄になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、13.56MHz等のより高い動作周波数で向上した入力インピーダンスを有するRF電力をプラズマ処理システム内の複数電極に、より均一に分配するプラズマ処理システム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの実施の形態では、プラズマ処理システムが、電力及び接地バスと、正相及び負相二次電極バスと、正相及び負相一次電極バスと、複数の絶縁トランスと、正相二次電極バスを正相一次電極バスに結合するコンデンサーと、負相二次電極バスを負相一次電極バスに結合する追加のコンデンサーとを含む。絶縁トランスのそれぞれは、電力バスに結合された第1の端部と、接地バスに結合された第2の端部とを有する一次巻線を含む。絶縁トランスのそれぞれは、正相二次電極バスに結合された第1の端部と、負相二次電極バスに結合された第2の端部とを有する二次巻線も含む。本プラズマ処理システムは、真空チャンバー内に複数電極を更に含む。電極のそれぞれは、正相一次電極バス又は負相一次電極バスに結合される。
【0009】
更に別の実施の形態では、プラズマ処理システム内の電極に高周波(RF)電力を供給する方法が提供される。本方法は、RF電力で電力バスを励起することと、RF電力の第1の部分を電力バスから複数の絶縁トランスを通して第1の正相バスに送ることと、及びRF電力の第2の部分を電力バスから複数の絶縁トランスを通して第1の負相バスに送ることとを含む。RF電力の第1の部分は、第1の正相バスから第1の複数のコンデンサーを通して第2の正相バスに、そして第2の正相バスから第1の複数電極に送られる。RF電力の第2の部分は、第1の負相バスから第2の複数のコンデンサーを通して第2の負相バスに、そして第2の負相バスから第2の複数電極に送られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】複数電極プラズマ処理システムの正面斜視図である。
【図2】外部エンクロージャが取り外されて、真空チャンバーの上部に取り付けられたRFバス接続システムを示す、本発明の実施形態による複数電極プラズマ処理システムの背面斜視図である。
【図3】製品ホルダーにより保持された製品が、説明を明確にするために省かれた、複数電極処理システムの電極及び製品ホルダーの端面図である。
【図3A】製品が隣接する電極対間に見え、隣接する電極対の間に製品ホルダーにより保持される、図3の一部分の拡大図である。
【図4】複数電極プラズマ処理システム内部のプロセスチャンバー内の処理位置に製品を保持するために使用される製品ホルダーのラックの斜視図である。
【図5】本発明の実施形態によるプラズマ処理のRFバス接続システムの概略図である。
【図6A】本発明の実施形態による、図1のRFバス接続システム内部での、RFバスバー、結合コンデンサー、絶縁トランス、及び関連する構造的構成要素の相対位置を示す図5のRFバス接続システムの断面図である。
【図6B】図6Aの線6B−6Bに概して沿った断面図である。
【図6C】図6Aの線6C−6Cに概して沿った断面図である。
【図6D】図6AのRFバス接続システムの上面図である。
【図7】電極冷却通路及びチャンバー電極バスを示す電極の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明が機能する構成
添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部を構成し、本発明の実施形態を示し、上記で与えられた本発明の概説及び下記に与えられる詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たす。
【0012】
本発明の実施形態は、複数電極プラズマ処理システムの高周波(RF)バス接続システムに関する。RFバス接続システムは、一連のバスバー、トランス、及びインピーダンス整合素子を通じてRF電源を複数電極に結合する。RF電力バスバー及び接地バスバーは、RF電源に電気的に結合されて、バス接続システムに単一の給電点を提供する。そして、電力バスバー及び接地バスバーは、複数の絶縁トランスにより2つの二次電極バスバーに電気的に結合され、絶縁トランスは、正相二次電極バスバー及び負相二次電極バスバーに180度位相がずれたRF信号を分配する。絶縁トランスは、各二次電極バスバーがそれらの長さに沿って複数の位置で結合されるように、空間的に分散される。各二次電極バスバーは、複数のコンデンサーによって、一次電極バスバー及び二次電極バスバーに沿って空間的に分散される接続点で、関連する一次電極バスバーに結合される。そして、2つの一次電極バスバーは、隣接する電極に、180度位相がずれたRF信号が供給されるように、交互構成で複数電極に結合される。各一次電極バスバーは、インダクターにより接地にも結合され、インダクターはコンデンサーとインピーダンス整合網を形成する。同相RF信号により駆動される電極は、プラズマチャンバー内部の2つのバスバーのうちの一方を通じて更に電気的に結合することができる。絶縁トランス、コンデンサー、及びインダクターの分散構成は、改良されたインピーダンス整合及び電極間のRF電力のより均等な分配を提供する。この均等な電力分配は、プラズマの均一性を向上させ、プラズマ処理システムが、従来のRF給電バス接続で可能なRF給電周波数よりも高いRF給電周波数を用いて動作できるようにする。
【0013】
同様の参照番号が同様の特徴を指す図1〜図4を参照すると、プラズマ処理システム10は、キャビネット又はエンクロージャ12と、真空チャンバー14と、真空チャンバー14の側壁13により囲まれた排気可能空間16とを含む。排気可能空間16は、真空チャンバー14内のアクセス開口部18を通じてアクセスされる。チャンバードア15を開いて、それを通って排気可能空間16にアクセスするアクセス開口部18を露出することができ、チャンバードア15を閉じて、排気可能空間16を取り巻く周囲環境から分離する流体密封止を供給することができる。チャンバードア15は、真空チャンバー14の1つの側縁に沿って位置決めされたヒンジによりアクセス開口部18に隣接して取り付けられ、ラッチ20を有し、ラッチ20は、チャンバードア15が閉位置であるとき、真空チャンバー14の別の部分に係合する。ラッチ20は、チャンバードア15を真空チャンバー14の残りの部分と封止係合した状態で固定するために使用される。封止部材22は、チャンバードア15の周囲を囲み、封止係合を仲介する。真空チャンバー14は、アルミニウム合金又はステンレス鋼等の高真空用途に適した導電性材料で形成され、電気接地に接続される。1つのそのようなプラズマ処理システムは、「Multiple-Electrode Plasma Processing Systems with Confined Process Chambers and Interior-Bussed Electrical Connections with the Electrodes」という名称の米国特許公開第2009/0288773号に記載されており、この開示は参照により本明細書に援用される。プラズマ処理システム10は、真空チャンバー14内部に配置される公称的に同一な複数電極24と、代表的な形態が高周波(RF)発生器26であるプラズマ励起源とを含む。RF発生器26は出力28を含み、出力28は、インピーダンス整合網27(図5)を通じてRFバス接続システムエンクロージャ71内の1つ又は複数の導電性部材に結合される。導電性部材を、詳細に後述するように、電極24をRF発生器26に結合するRFバス接続システム70(図5、図6A〜図6D)の一部とすることができる。真空チャンバー14は、給電されず、接地した電極としての役割を果たすことができる。RF発生器26は通常、約13.56MHzの周波数で信号を出力するが、kHz〜MHz範囲内の他の動作周波数を使用することもできる。RF発生器26により供給される電力は、13.56MHzで約4000ワット〜約8000ワットの範囲とすることができる。しかし、システム10が種々のバイアス電力を送ることができるように変更可能であり、又は代替として、直流電流(DC)電源を利用可能にすることができることを当業者は理解するであろう。プラズマ処理システム10は電極冷却システムを有することもでき、電極冷却システムは、RFバス接続システムエンクロージャ71を通じて電極24に流通可能に結合された冷却剤分配マニホールド142及び冷却剤収集マニホールド144を含む。
【0014】
電極24は、真空チャンバー14の側壁13のうちの1つから吊り下げられ、電極24の並列配置された対25の間の間隔は均一である。局所プロセスセル又はチャンバー34(図3)が、並列配置された電極24の各隣接対25の間の空間により画定される。外縁を構成する最も外側の電極24以外の各電極24は、最近隣電極24と2つの隣接対25に参加する。外縁を構成する最も外側の電極24のそれぞれは、1つの隣接対25のみに参加する。電極24は、横方向に適した距離で離間することができ、電極24が励起した場合にプラズマを形成できるようするとともに、パネル40の1つを受け入れる。
【0015】
図3及び図4を参照すると、プラズマ処理システム10とともに用いられるラック35は、複数の製品ホルダー38と、製品ホルダー38と真空チャンバー14の下部側壁13との間に配置された底部板39とを含む。ラック35の各製品ホルダー38は、水平上部バー52と、代表的な形態が後部ロッド54である垂直部材と、代表的な形態が一対の正面ロッド56、58である垂直部材とにより組み立てられる。後部ロッド54は、ラック35が排気可能空間16内に位置決めされる場合、真空チャンバー14の後部側壁13の近傍に配置され、上部バー52の一方の端部を底部板39に接続する。正面ロッド56、58は、ラック35が排気可能空間16内に位置決めされ、チャンバードア15が閉じられた場合、真空チャンバー14のチャンバードア15の近傍に配置され、上部バー52の反対側の端部を底部板39に接続する。各製品ホルダー38の上部交差部材60及び下部交差部材62は、ロッド54、56、58に機械的に接続し、協働して、ここではパネル40という代表的な形態で示される製品の1つを支持する。交差部材60、62のうちの少なくとも一方は、ロッド54、56、58に沿って垂直に移動可能であり、ロッド54、56、58と、交差部材60とにより組み立てられる開口部の面積を調整することができる。それにより、交差部材60、62は、異なるサイズのパネル40に対応するように構成することができる。
【0016】
複数の製品ホルダー38は公称的に同一のものであり、真空チャンバー14内部にパネル40を支持するように構成される。パネル40のそれぞれは、第1の表面42と、第1の表面の反対側の第2の表面44とを含み、ラック35内の製品ホルダー38のうちの1つの中に挿入可能である。ラック35に複数の(a lot of)又は一動作分の(a batch of)パネル40が入れられた後、チャンバードア15が開かれ、ラック35が真空チャンバー14内部のトラック46に配置される。移された後、ラック35は、真空チャンバー14内部に位置決めされ、チャンバードア15が閉じられて、真空ポンプシステム(図示せず)による排気の準備ができた封止環境を提供することができる。ラック35内のパネル40がプラズマ処理システム10内で処理されている間、ラック35と同様の別のラック(図示せず)に別の動作分のパネル40を装填することができ、ラック35が処理後に取り出されると、即座に真空チャンバー14内に装填して、より多くのパネル40を処理することができる。
【0017】
装填後、パネル40のうちの1つを各局所プロセスチャンバー34内に配置することができ、プラズマ処理システム10が動作しているとき、各パネル40の両面42、44がプラズマ処理される。パネル40は、真空チャンバー14内部のラック35の製品ホルダー38により支持される間、電極24を含む各平面にほぼ平行な各平面に向けられる。パネル40の第1の表面42は、各隣接対25の並列配置された電極24のうちの一方の表面48に面する。パネル40の第2の表面44は、各隣接対25の並列配置された電極24のうちの他方の表面50に面する。電極24のそれぞれは、パネル40の外周縁部が電極24の隣接対25の外周内部に配置されるように、十分な長さ及び幅を有する。パネル40は通常、電極24及び真空チャンバー14に対して電気的に浮いた状態にされる。
【0018】
同様の参照番号が同様の特徴を指す、本発明の一実施形態による図5、図6A〜図6D、及び図7を参照すると、プラズマ処理システム10のRFバス接続システム70は、インピーダンス整合網27を通じて電極24をRF発生器26に結合する。RFバス接続システム内の共通バスから駆動される交互電極24は、正相チャンバー電極バス32又は負相チャンバー電極バス33のいずれかにより排気可能空間内で更に電気的に結合することができる。電力は、RF発生器26の出力28をインピーダンス整合網27の入力29に電気的に結合する伝送線又はケーブル31により、RF発生器26からインピーダンス整合網27に送られることができる。ケーブル31は、適したコネクタを使用して各端部に接続して、プラズマ処理システム10の設置及び解体を容易にすることができ、ケーブル31は、業界標準RG−393又は何らかの他の適した同軸ケーブルから形成することができる。
【0019】
インピーダンス整合網27は、金属エンクロージャ69内に含まれるコントローラー64と、位相/大きさ検出器65と、直列コンデンサー66と、シャントコンデンサー67と、直列インダクター68とを含むことができる。通常、直列インダクター68は固定インダクタンスを特徴とし、コンデンサー66、67は、コントローラー64により調整可能な容量値を提供する可変コンデンサーである。コントローラー64は、位相/大きさ検出器65を通る順方向及び/又は逆方向のRF電力の位相及び大きさに関する情報を含むフィードバックを位相/大きさ検出器65から受信する。位相/大きさ検出器65からのフィードバックに応答して、コントローラー64は、可変コンデンサー66、67の容量を調整して、位相/大きさ検出器65を通る逆方向RF電力を低減し、それにより、RF発生器26に返る電力を低減する。コントローラー64は、可変コンデンサーに結合された、可逆DCモータードライブ等のアクチュエーターの動作により、コンデンサー66、67の容量を調整することができ、可変コンデンサーは回転可能な平行板コンデンサーとすることができる。それにより、インピーダンス整合網27は、RF発生器26の出力28とRFバス接続システム70により提示される負荷との間に改良されたインピーダンス整合を提供する。RFバス接続システム70の入力をRF発生器26の出力28に整合させることは、RF発生器26に反射して戻される電力量を低減することにより、RFバス接続システム70に送られる電力を増大することができる。RF発生器26への反射で無駄になる電力を低減することにより、インピーダンス整合網27は、プラズマ処理システム10の動作中、RF発生器26への負荷を低減することができる。
【0020】
RFバス接続システム70は、エンクロージャ71内部に配置され、電力バス72と、接地バス74と、正相一次電極バス78と、負相一次電極バス80と、正相二次電極バス82と、負相二次電極バス84とを含む。複数の絶縁トランス76a〜76nは、電力バス72及び接地バス74を二次電極バス82、84に電気的に結合する。複数の結合コンデンサー86a〜86mは、正相一次電極バス78を正相二次電極バス82に電気的に結合する。複数の結合コンデンサー87a〜87mは、負相一次電極バス80を負相二次電極バス84に結合する。正相一次電極バス78及び負相一次電極80は、負荷コイル90、92によりそれぞれ接地に電気的に結合された周端部79、83を有することができる。電力バス72、接地バス74、及び電極バス78、80、82、84は、アルミニウム、銅、真鍮、又は他の合金等の任意の適した金属から形成された導電性バーで構成することができ、一般にRFバス接続システム70のエンクロージャ71の幅にわたって延在する。RFバス接続システム70の特定の一つの実施形態では、導電性バーはアルミニウムから形成することができ、厚さ約0.5インチ(約13mm)、幅約1インチ(約25mm)、及び長さ約30.9インチ(約784mm)を有することができるが、本発明の実施形態はそのように限定されない。
【0021】
RF電力は、一般に電力バス72の中央供給点73よりも下の位置で、RFバス接続システムエンクロージャ71の前部側壁102を貫通するRF入力フィードスルー36を通ってRFバス接続システム70に入る。RF入力フィードスルー36の外端部は、インピーダンス整合網27の出力30の中央導体に電気的に結合するように構成することができ、RF入力フィードスルー36の内端部は、導電性部材75に電気的に結合することができる。導電性部材75は、アルミニウム、銅、真鍮、又は他の合金等の適した金属から形成することができ、RF入力フィードスルー36の内端部と、電力バス72の中央供給点73との間の垂直距離を横切る。それにより、導電性部材75は、RF入力フィードスルー36の内端部を電力バス72の中央供給点73に電気的に結合することができる。電力バス72の中央供給点73は、電力バス72の左右の周端部の間のおおよそ中間点で電力バス72の底面に配置することができる。それにより、RF入力フィードスルー36は、RFバス接続システムエンクロージャ71の前部側壁102を通る電気的に絶縁された導電経路を提供し、この電気的に絶縁された導電経路は、インピーダンス整合網27の出力30と電力バス72の中央供給点73とを電気的に結合する。
【0022】
インピーダンス整合網27とRFバス接続システム70との間のRF接地接続は、インピーダンス整合網27のエンクロージャ69をRFバス接続システム70のエンクロージャ71に電気的に結合することにより提供することができる。これは、例えば、インピーダンス整合網27のエンクロージャをRFバス接続システム70のエンクロージャ71にボルトで留めるか、又は他の様式で機械的に結合することにより達成することができる。接地接続は、インピーダンス整合網27のエンクロージャ69に電気的に結合された1つの端部と、RFバス接続システム70のエンクロージャ71に電気的に結合された別の端部とを有する1つ又は複数の編組ケーブル及び/又は他の導電性ワイヤ若しくはケーブルを含むこともできる。
【0023】
電力バス72は、RFバス接続システムエンクロージャ71の前部側壁102に横方向に隣接して配置することができ、絶縁支持体94、96(図6B)を通じてRFバス接続システムエンクロージャ71に固定される。絶縁支持体94、96は一般に、電力バス72の対向する周端部の近傍に配置され、電力バス72をRFバス接続システムエンクロージャ71から電気的に絶縁する。絶縁支持体94、96は、セラミック、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、又は任意の他の適した絶縁材料から形成することができ、ブラケット98、100によりRFバス接続システムエンクロージャ71の左右の側壁110、112に固定することができる。接地バス74も、電力バス72と同様にして、RFバス接続システムエンクロージャ71の後部側壁104に横方向に隣接して配置することができる。接地バス74は、導電性金属ブラケット106、108(図6C)によりRFバス接続システムエンクロージャ71に機械的に固定することができ、導電性金属ブラケット106、108は、接地バス74の対向する周端部を支持し、周端部をRFバス接続システムエンクロージャ71の左右の側壁110、112に電気的に結合する。
【0024】
電力バス72及び接地バス74は、複数の絶縁トランス76a〜76nにより二次電極バス82、84に結合される。二次電極バス82、84は、一般に電力バス72及び接地バス74に平行であり、バス接続システムエンクロージャ71の上面に概して平行であるとともに、電力バス72及び接地バス74よりも概して下にある水平面にある。絶縁トランス76a〜76nのそれぞれは、一次巻線と、二次巻線と、フェライト等の高い透磁性及び低い導電性を有する磁気材料から形成されたトロイダ磁心とを含む。本発明の特定の一つの実施形態では、一次巻線及び二次巻線のそれぞれを、各端部がラグで終端される絶縁された2つの導体、又は2本巻きのワイヤを使用して形成することができる。一次巻線及び二次巻線は、磁心により電磁的に結合され、それにより、一次巻線に結合された信号は、二次巻線にも同様の信号を誘導する。一次巻線及び二次巻線の端部は、U字形又はアイレットラグ、又はバス72、74、82、84への接続に役立つ何らかの他の適した端子で終端することができる。一次巻線での入力信号の大きさに対する二次巻線での出力信号の大きさは、一次巻線の巻き数と二次巻線の巻き数との比の関数とすることができる。本発明の一つの実施形態では、絶縁トランス76a〜76nは、一次巻線と二次巻線との比1:1を有する。一次巻線と二次巻線との間には直流経路がないため、絶縁トランス76a〜76nは、電力及び接地バー72、74と二次電極バス82、84との間に直流絶縁を提供する。
【0025】
一次巻線の一方の端部を電力バス72に電気的に結合し、一次巻線の他方の端部を接地バス74に電気的に結合することにより、RF信号が、絶縁トランス76a〜76nのそれぞれに提供される。それにより、電力バス72上のRF信号は、絶縁トランス76a〜76nの二次巻線内にRF信号を誘導する。絶縁トランス76a〜76nの各二次巻線の一方の端部は、正相二次電極バス82に電気的に結合され、絶縁トランス76a〜76nの各二次巻線の他方の端部は、負相二次電極バス84に結合される。バスへのトランス巻線接続の実施を容易にするために、バス72、74、82、84は、該バス72、74、82、84に沿って間隔を置いて離間された複数のねじ穴を含み、絶縁トランス接続点を提供することができる。トランス接続点は、絶縁トランス76a〜76nの巻線を電力、接地、及び二次バス72、74、82、84に電気的に結合する使い勝手のよい方法を提供することができる。例えば、トランス巻線の端部に電気的に結合されたラグを、ねじにより選択された絶縁トランス接続点に固定することができる。絶縁トランス接続点の数は、絶縁トランス巻線端部の数を超えることができ、各絶縁トランス巻線に複数の接続位置選択肢を提供する。各バス72、74、82、84に沿って規則的な間隔で接続された複数の絶縁トランス76a〜76nを使用することにより、より均等な電力分配を二次電極バス82、84に提供することができる。複数の絶縁トランス76a〜76nの使用は、RFバス接続システム70の総電力操作能力を増大させることもできる。本発明の特定の一実施形態では、RFバス接続システム70は、並行動作する10個の絶縁トランスを含むことができるが、本発明の実施形態はいかなる特定の数の絶縁トランスにも限定されない。
【0026】
絶縁トランス76a〜76nは通常、等間隔の接続点でバス72、74、82、84に接続される。それにより、正二次電極バス82及び負二次電極バス84に、おおよそ同じ大きさを有し、相対位相差が180度のRF信号を提供することができる。上述したように、個々の絶縁トランス接続点をその他の絶縁トランス接続点に相対して移すことができるように、追加の絶縁トランス接続点をバス72、74、82、84上に設けることもできる。それにより、追加の接続点は、個々の絶縁トランス巻線を該当バスの長さに沿って種々の位置に電気的に接続できるようにすることにより、二次電極バス82、84に沿ってRF電力分配を調整する方法を提供することができる。それにより、RFバス接続システム70は、電極24の間のRF電力の相対分配を調整して、プラズマ処理システム10間の小さな変動を補償する調整機構を提供することができる。例として、プラズマ処理システム10が、複数電極24のうちの代表的な1つの電極の近傍で明らかに異なる厚さを有する膜を堆積している場合、問題のある電極に給電する二次電極バスの部分の近傍のトランス巻線の接続点を再位置決めして、電極24間のRF電力バランスを向上させることができる。
【0027】
正相一次電極バス78は、正相電極バス78、82の周端部近傍に配置された絶縁支持体114、115(図6B)により、正相二次電極バス82に機械的に結合される。同様に、負相一次電極バス80も、負相電極バス80、84の周端部近傍に配置された絶縁支持体116、117により、負相二次電極バス84に機械的に結合される。それにより、一次電極バス78、80は一般に、各二次電極バス82、84の下に配置される。正相二次電極バス82は、結合コンデンサー86a〜86mにより正相一次電極バス78に電気的に結合することができる。同様に、負相二次電極バス84は、結合コンデンサー87a〜87mにより負相一次電極バス80に電気的に結合することができる。本発明の一つの実施形態では、結合コンデンサー86a〜86m、87a〜87mは、コンデンサーの頂部及び底部から突出する垂直ポストにより形成される接点端子を有する高電圧1000pF円柱形セラミックドアノブ形コンデンサーである。本発明の特定の一実施形態では、6つの結合コンデンサーが、各一次電極バスを各二次電極バスに結合し、合計で12個の結合コンデンサーがあるが、他の数の結合コンデンサーを使用することもでき、本発明の実施形態はそのように限定されない。結合コンデンサー86a〜86m、87a〜87mの端子間の接続は、各一次電極バス及び二次電極バスに沿って規則的な間隔で離間することができる。結合コンデンサー86a〜86m、87a〜87mの設置及び交換を容易にするために、ばね付勢クリップ119(図6A)を、一次電極バス及び二次電極バスの外向き側に垂直に位置合わせされた構成で取り付けることができる。ばね付勢クリップ119は、結合コンデンサーの頂部及び底部から突出する端子ポストを受け入れ、それにより、結合コンデンサーを一次電極バス78、80及び二次電極バス82、84に電気的に結合するように構成することができる。
【0028】
正相一次電極バス78は、導電性金属ブラケット118を通じて1つ置きの電極24に電気的に結合することができる。同様にして、負相一次電極バス80は、導電性金属ブラケット120を通じて残りの電極24に電気的に結合することができる。それにより、各電極24は、直接隣接した電極24と180度位相がずれた信号を使用して励起することができる。電極24とブラケット118、120との間に電気的結合を提供するために、電気フィードスルー122は、溶接等の適した取り付け方法を使用して各電極24に結合される。電気フィードスルー122は、電気フィードスルー122を通して冷却剤を電極24に提供することができるように、中空とすることができる。
【0029】
電気フィードスルー122は、真空チャンバー14の上側を貫通し、底部ナット124により絶縁構造又はグロメット126に固定されるねじ付き上端部を有することができ、絶縁構造又はグロメット126は、真空チャンバー14から電気フィードスルー122を電気的に絶縁する。グロメットは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等の適した絶縁材料から形成することができ、上部Oリング130及び底部Oリング131を受け入れるように構成された輪状溝を有するフランジを含む。グロメット126は、ねじ又は他の適した締結具を使用して真空チャンバー14に締結されることができ、ねじ又は他の適した締結具は、底部Oリング131を圧縮して、グロメット126と真空チャンバー14の上面との間に気密封止を提供する。底部ナット124をワッシャー125に対して締めることができ、ワッシャー125は上部Oリング130を圧縮し、電気フィードスルー122をグロメット126の面取りされた内部ボアに対してしっかりと着座させて、電気フィードスルー122とグロメット126との間に気密封止を提供することができる。電気フィードスルー122は、真空チャンバー14内に電極24を吊り下げ、RFバス接続システムエンクロージャ71内で一次電極バス78、80及び二次電極バス82、84を支持する機械的支持を提供することもできる。
【0030】
ブラケット118、120は、各電極バスから垂直に下方に延び、ほぼ直角の湾曲部を含み、1つの電極24からの電気フィードスルー122を受け入れるように構成された底部水平部を各ブラケットに提供することができる。一次電極バスの横方向オフセットに対応するために、ブラケット118、120の水平部は、水平突出によりブラケット118、120の垂直部からオフセットすることができる。図6A〜図6Dに示される代表的な実施形態では、2つの電気フィードスルー122が各電極24に取り付けられる。電気フィードスルー122のねじ付き端部は、ブラケット118、120の底部水平部の穴を通り、上部ナット128により固定することができる。上部ナット128を締めて、底部ナット124に対して十分な締め付け力を提供して、ブラケット118、120をしっかりと保持し、それにより、一次電極バス78、80及び二次電極バス82、84に機械的支持及び電気的結合を提供することができる。それにより、交互電極24は、正相一次電極バス78によりともに電気的に結合され、残りの交互電極24から180度位相がずれたRF信号を提供され、残りの電極24は、負相一次電極バス80によりともに電気的に結合される。それにより、電極24の各隣接対25の間に位置決めされたパネル40の両側に提供されるプラズマを、同様のエネルギーレベルを有する電磁場で励起することができる。
【0031】
正相一次電極バス78は、正相一次電極バス負荷コイル90により接地に電気的に結合することができ、負相一次電極バス80は、負相一次電極バス負荷コイル92により接地に電気的に結合することができる。各負荷コイル90、92は、幅約0.25インチ(約6.4mm)及び厚さ約0.125インチ(約3.2mm)を有する1本の平坦な磁気ワイヤから形成することができ、このワイヤは、約3.5巻の巻き回数及び内径約3インチ(約76mm)を有するコイルに形成されている。負荷コイル90、92のそれぞれは、磁気ワイヤの幅寸法が、負荷コイル90、92のそれぞれ1つの中心軸に直交するように巻くことができる。それにより、負荷コイル90、92を形成する平坦磁石ワイヤの両端部は、第1及び第2のインダクター端子を形成することができる。
【0032】
バス負荷コイル90の第1の端子は、正相一次電極バス78の1つの周端部79に電気的に結合することができ、負荷コイル90の第2の端子は、RFバス接続システムエンクロージャ71(図6B)に電気的に結合することができる。それにより、正相一次電極バス78は、負荷コイル90を通して接地に電気的に結合することができる。同様に、負荷コイル92の第1の端子は、負相一次電極バス80の1つの周端部83に電気的に結合することができ、負荷コイル92の第2の端子は、RFバス接続システムエンクロージャ71(図6C)に電気的に結合することができる。それにより、負相一次電極バス80は、負荷コイル92を通じて接地に電気的に結合することができる。負荷コイル90、92が電気的に結合される一次電極バス78、80の周端部79、83は、空間考慮事項(space consideration)のために、及び負荷コイル90、92の間の電磁結合を低減するため、RFバス接続システムエンクロージャ71の対向する側にあることができる。しかし、本発明は負荷コイル90、92のいずれの位置にも数にも限定されない。例えば、本発明の代替の実施形態では、一次電極バス78、80のそれぞれは、負荷コイルにより、該当する電極バス78、80の両周端部79、81、83、85で接地に電気的に結合することができる。負荷コイル90、92の第2の端子は、接地されたエンクロージャ71に関してDC電圧バイアスを有するRF接地に結合して、隣接する電極24の間にDCバイアスを提供することもできる。
【0033】
DC接地を一次電極バス78、80に提供することに加えて、負荷コイル90、92のシャントリアクタンスは、結合コンデンサー86a〜86m、87a〜87mの直列リアクタンスと相互作用して、RFバス接続システム70により提示されるRF入力インピーダンスを変更することができる。この変更されたRFインピーダンスは、二次電極バス82、84、結合コンデンサー86a〜86m、87a〜87m、及び/又は負荷コイル90、92のないRFバス接続システムの入力インピーダンスよりも、RF発生器26の出力インピーダンスにより密接に整合することができる。RF発生器26とRFバス接続システム70との間のRFインピーダンス整合を向上させることにより、インピーダンス整合網27は、インピーダンス整合網27の調整範囲を超えずに、RF発生器26に反射して戻される電力を低減することができる。結合コンデンサー86a〜86m、結合コンデンサー87a〜87m、及び負荷コイル90、92により提供されるRFインピーダンスの変更は、電極バスにより電力及び接地バスに向かって反射して戻される電力を低減することもできる。この反射される電力の低減は、RFバス接続システム70内の内部定在波比(SWR)を低減し、これにより、RF電力散逸及び絶縁トランス76a〜76n内のアークの潜在性を低減することができる。それにより、結合コンデンサー86a〜86m、87a〜87m、及び負荷コイル90、92により提供される向上した内部整合は、プラズマ処理システム10をより高いRF電力レベル及びより低い損失で動作できるようにすることができる。
【0034】
電極24間のRF電力分配を更に制御するために、正相チャンバー電極バス32を、正相一次電極バス78から給電される電極24に電気的に結合することができる。同様に、負相チャンバー電極バス33を、負相一次電極バス80から給電される電極24に電気的に結合することができる。それにより、チャンバー電極バス32、33は、真空チャンバー14内の交互電極24に電気的に結合することができる。チャンバー電極バス32、33の接続点を電極24上に提供するために、ポスト133を、1つ又は複数のねじを使用する等して電極24の上周縁に取り付けることができる。ポスト133を電極24の側周縁からオフセットさせて、垂直取り付け面を提供することができる。それにより、ポスト133は、電極24に接続点を提供することができ、接続点の位置は、電極24の周縁に対して可変である。正相電極バス78により給電される電極24に取り付けられるポスト133は一般に、電極24の第1の表面48及び第2の表面50に直交する第1の線に沿って位置合わせされることができる。負相電極バス80により給電される電極24に取り付けられるポスト133は一般に、第1の線から横方向にオフセットされ、第1の線と平行する第2の線に沿って位置合わせされることができる。それにより、正相電極24に取り付けられるポスト133を正相チャンバー電極バス32と位置合わせすることができ、負相電極24に取り付けられるポストを負相チャンバー電極バス33と位置合わせすることができる。ポスト133は、細長いストラップ134によりチャンバー電極バス32、33に電気的に結合されることができる。このために、ストラップ134は、第1及び第2の周端部に、ねじ又は他の適した締結具を受け入れるように構成された穴を有することができる。細長いストラップ134の第1の周端部は、対応するポスト133の垂直面に取り付けられることができ、細長いストラップ134の第2の周端部は、対応するチャンバー電極バス32、33に取り付けられることができる。
【0035】
プラズマ処理システム10に対する温度調整を可能にするために、電極24のそれぞれは、プラズマ発生時に加熱される中実金属板の温度を調整するために使用されるチャネル網136(図7)を含むことができる。電極24からの熱を吸収するために、精製水又は別の適した熱交換液又は冷却剤を、チャネル網136を通じて注入することができ、チャネル網136は中実金属板にガンドリル加工することができる。冷却剤は、チャネル136と流体結合され、冷却剤流入管としての役割を果たす電気フィードスルー122のうちの1つを通って、チャネル136のうちの1つに入る。冷却剤は、チャネル136のうちの別の1つに流体結合され、冷却剤流出管としての役割を果たす電気フィードスルー122のうちの別の1つを通って別の1つのチャネル136から出る。それにより、電気フィードスルー122は、封止された方法で、大気圧環境からの冷却剤が排気可能空間16内外に運ばれる経路を提供することができる。この目的を促進するために、電気フィードスルー122のねじ付き端部は、冷却剤分配管(図示せず)により、RFバス接続システムエンクロージャ71の後部側壁104を貫通する複数の冷却剤フィードスルー146の1つに流体結合することができる。それにより、冷却剤は、矢印138(図6A)で表されるように、冷却剤フィードスルー146と電極24との間を流れることができる。そして、冷却剤フィードスルー146は、フィードスルーが冷却剤流入管として機能しているか、それとも冷却剤流出管として機能しているかに応じて、真空チャンバー14の外部の冷却剤分配マニホールド142又は冷却剤収集マニホールド144のいずれか1つに流体結合される。冷却剤マニホールド142、144は、冷却剤フィードスルー146と適した長さの管により結合されたタップを有し、冷却剤回路を完成する。それにより、封止流体経路が、冷却剤分配マニホールド142と、電極24に対して冷却剤流入管としての役割を果たす電極フィードスルー122との間に提供される。同様に、封止流体経路が、冷却剤収集マニホールド144と、電極24に対して冷却剤流出管としての役割を果たす電気フィードスルー122との間に提供される。冷却剤は、冷却剤収集マニホールド内の冷却剤圧に関して冷却剤分配マニホールド142内に正圧(positive pressure)を提供することにより、電極24を通して循環することができる。
【0036】
電極24の温度は、各チャネル136を通る冷却剤の循環により調整することができる。そのために、冷却剤を、熱交換器(図示せず)から冷却剤分配マニホールド142の入口孔に供給し、流入冷却剤フィードスルー146のそれぞれに分配することができる。冷却剤は、電極24のチャネル136を通って循環すると、冷却剤収集マニホールド144の出口孔を通して熱交換機に戻るか、又は適宜廃棄することができる。熱交換器は、所望の効果に応じて冷却剤の流量及び温度を調整して、電極24を加熱又は冷却することができる。動作中、熱が電極24とパネル40との間で伝達されるため、電極24の温度調整を使用して、プラズマ処理中、パネル40の温度を有利に調整することもできる。
【0037】
図1〜図7を参照すると、使用に際して、真空チャンバー14の外側の位置で、ラック35の製品ホルダー38にパネル40が入れられ、真空チャンバー14が大気圧と通気され、チャンバードア15が開かれて、アクセス開口部18が露出し、ラック35がアクセス開口部18を通して真空チャンバー14内に移される。アクセス開口部18は、チャンバードア15を閉じ、ラッチ20に係合することにより封止される。パネル40のそれぞれは、製品ホルダー38のうちの1つにより隣接対25のうちの一対の電極24の間に支持される。
【0038】
真空チャンバー14内部の排気可能空間16内に存在する大気ガスは、真空ポンプシステム(図示せず)を使用して排気される。真空チャンバー14が真空ポンプシステムにより排気されている間、プロセスガスの流入をプロセスガス供給源から排気可能空間16に供給することができる。プロセスガスの流量は、質量流量コントローラーによって計量して、ガス圧及び混合等の排気可能空間16内の状況を制御することができる。プロセスガスは、電極24の各隣接対25に供給する、適したガス送出システムにより、各局所プロセスチャンバー34に提供されることができる。
【0039】
所望の処理圧力に達し、真空チャンバー14の内側が安定化すると、RF発生器26が活性化されて、電極24に電力を供給する。電力は、RFバス接続システム70により電気フィードスルー122を通して各電極24の上周縁に送られる。それにより、隣接対25を形成する電極24は、RF場がプロセスセル34内に大方含まれるように、おおよそ180度位相がずれたRF信号により駆動される。電極24の各隣接対25の間に存在するプロセスガスは、印加されたRFエネルギーによって部分的に電離され、プロセスセル34のそれぞれの中で局所的に、プラズマを発生させることができる。それぞれのプロセスセル34の内側にあるプラズマは、イオン、電子、遊離ラジカル、及び中性化学種を含む、部分的に電離したプロセスガスを表す。各上部バー52と、それぞれの組のロッド54、56、58と、底部板39と、電極24の各隣接対25とは、1つのプロセスセル34を取り囲み、協働して、それぞれの局所プロセスチャンバー34から部分的に電離したプロセスガスが漏れる比率(rate)を減少させることにより、プラズマの部分的に電離したプロセスガスを、それぞれのプロセスセル34の内部に閉じ込めることができる。
【0040】
パネル40は、充分な時間、プロセスセル34の中でプラズマに曝され、各パネル40の露出した両面42、44が処理される。プラズマを構成する電離ガス混合物は、導電性を有するとともに、高い反応性を示し、パネル40と相互作用するプラズマの能力を促進して、所定のプラズマ処理を実行する。プラズマ発生活性種は、イオン衝撃による物理的処理とともに、ラジカル/副産物の化学反応による化学的処理を実行する。特定のプロセスガス又はプロセスガスの組み合わせを条件として、パネル表面42、44に異なる反応を生じさせることができる。プロセス手法は、プラズマ処理の性質に応じて変更することができる。重合プロセスを利用すべき場合、プロセスガスは1つ又は複数のモノマー分子を含むことができる。モノマー分子は、チャンバープラズマを形成するプロセス中に分解して、基板上で凝結する際に結合−又は重合−する電離分子を形成する。それにより、モノマー分子のプラズマ開始反応は、ポリマー鎖及び/又は三次元網目構造の薄い層を基板表面に形成することができる。プリント配線基板の用途においては、パネル40の表面42、44における化学的反応が用いられて、ドリルスミア及び/又はレジスト屑を除去し、堆積及び説明された接着(legend adhesion)のための湿潤性を増大させることができる。処理が完了した後、チャンバードア15が開かれて、アクセス開口部18を露出させ、処理済みのパネル40を保持しているラック35が真空チャンバー14から取り出され、処理済みのパネル40がラック35から除荷され、別の処理段階に行く。
【0041】
「垂直」、「水平」等の用語への本明細書での参照は、例示的であって、限定的ではなく、参照の枠組みを確立するためのものである。本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、様々なその他の参照の枠組みを使用できることが理解される。電極24は垂直の向きとして参照されるが、当業者が認識するように、電極24は非垂直の向きを有することが可能である。
【0042】
本発明を様々な実施形態の説明により示し、これらの実施形態をかなり詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲をそのような詳細に制限し、又はいかなる方法でも限定することは、出願人の意図ではない。追加の利点及び変更が当業者に容易に明らかになろう。したがって、本発明は、その広義の態様において、示され説明された特定の詳細、代表的な装置及び方法、並びに説明のための例に限定されない。したがって、本出願人の一般的な本発明の概念の趣旨又は範囲から逸脱せずに、そのような詳細から逸脱することが可能である。本発明自体の範囲は、添付の特許請求の範囲のみによって定められるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理システムであって、
真空チャンバーと、
電力バスと、
接地バスと、
正相二次電極バスと、
負相二次電極バスと、
正相一次電極バスと、
負相一次電極バスと、
複数の絶縁トランスであって、該絶縁トランスのそれぞれは、一次巻線及び二次巻線を含み、該一次巻線は前記電力バスに結合された第1の端部及び前記接地バスに結合された第2の端部を有し、前記二次巻線は、前記正相二次電極バスに結合された第1の端部及び前記負相二次電極バスに結合された第2の端部を有する、複数の絶縁トランスと、
前記正相二次電極バスを前記正相一次電極バスに結合する第1の複数のコンデンサーと、
前記負相二次電極バスを前記負相一次電極バスに結合する第2の複数のコンデンサーと、
前記真空チャンバー内の複数電極であって、該電極のそれぞれは、前記正相一次電極バス又は前記負相一次電極バスと結合される、複数電極と、
を備える、プラズマ処理システム。
【請求項2】
前記正相一次電極バスを接地に結合する第1の負荷コイルと、
前記負相一次電極バスを接地に結合する第2の負荷コイルと、
を更に備える、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項3】
前記正相一次電極バス及び前記負相一次電極バスは、平行な構成を有し、前記正相一次電極バスは、前記第1の負荷コイルに結合された周端部を有し、前記負相一次電極バスは、前記第2の負荷コイルに結合された周端部を有する、請求項2に記載のプラズマ処理システム。
【請求項4】
前記電力バス、前記接地バス、前記正相二次電極バス、前記負相二次電極バス、前記正相一次電極バス、前記負相一次電極バス、前記複数の絶縁トランス、前記第1の複数のコンデンサー、前記第2の複数のコンデンサー、前記第1の負荷コイル、及び前記第2の負荷コイルを収容する接地されたエンクロージャを更に備え、
前記第1の負荷コイル及び前記第2の負荷コイルは、前記エンクロージャにより接地に電気的に結合される、請求項2に記載のプラズマ処理システム。
【請求項5】
RFインピーダンスを有する中央供給点近傍で前記電力バスに結合されたRF入力フィードスルーを更に備え、
前記コンデンサーの容量と前記負荷インダクターのインダクタンスは、前記中央供給点と前記RF入力フィードスルーとの間のインピーダンス不整合を低減するように選択される、請求項2に記載のプラズマ処理システム。
【請求項6】
前記一次巻線の前記第1の端部は、前記電力バスに規則的な離間間隔で結合され、前記一次巻線の前記第2の端部は、前記接地バスに規則的な離間間隔で結合され、前記二次巻線の前記第1の端部は、前記正相二次電極バスに規則的な離間間隔で結合され、前記二次巻線の前記第2の端部は、前記負相二次電極バスに規則的な離間間隔で結合される、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項7】
前記電極のそれぞれを前記正相一次電極バス又は前記負相一次電極バスに結合するように構成された複数のフィードスルーを更に備える、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項8】
前記フィードスルーを前記正相一次電極バス又は前記負相一次電極バスのうちのいずれか一方に交互に電気的に結合するように構成された複数のブラケットを更に備える、請求項7に記載のプラズマ処理システム。
【請求項9】
前記フィードスルーは、封止冷却剤経路を前記電極に提供するように更に構成される、請求項7に記載のプラズマ処理システム。
【請求項10】
前記電極は、前記真空チャンバー内に複数の局所プロセスチャンバーを画定する並列配置された構成を有し、前記電極のそれぞれは外周部を有し、前記フィードスルーのそれぞれは、前記電極のうちの1つの前記外周部から外に向かって突出する、請求項7に記載のプラズマ処理システム。
【請求項11】
前記真空チャンバー内の正相チャンバー電極バスであって、前記正相一次電極バスに結合された前記電極に結合される、正相チャンバー電極バスと、
前記真空チャンバー内の負相チャンバー電極バスであって、前記負相一次電極バスに結合された前記電極に結合される、負相チャンバー電極バスと、
を更に備える、請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項12】
高周波(RF)電力をプラズマ処理システム内の複数電極に提供する方法であって、
前記RF電力で電力バスを励起することと、
前記RF電力の第1の部分を前記電力バスから複数の絶縁トランスを通して第1の正相バスに送ることと、
前記RF電力の第2の部分を前記電力バスから前記複数の絶縁トランスを通して第1の負相バスに送ることと、
前記RF電力の前記第1の部分を前記第1の正相バスから第1の複数のコンデンサーを通して第2の正相バスに送ることと、
前記RF電力の前記第2の部分を前記第1の負相バスから第2の複数のコンデンサーを通して第2の負相バスに送ることと、
前記RF電力の前記第1の部分を前記第2の正相バスから第1の複数電極に送ることと、
前記RF電力の前記第2の部分を前記第2の負相バスから第2の複数電極に送ることと、
を含む、高周波(RF)電力をプラズマ処理システム内の複数電極に提供する方法。
【請求項13】
前記RF電力の前記第1の部分が、前記RF電力の前記第2の部分とほぼ逆の位相を有するように、前記RF電力の前記第1の部分は前記第1の正相バスに送られ、前記RF電力の前記第2の部分は前記第1の負相バスに送られる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の正相バス又は前記第2の負相バスのうちのいずれか一方から交互パターンで、RF電力が並列配置された電極に供給されるように、前記RF電力の前記第1の部分は、前記第2の正相バスから前記第1の複数電極に送られ、前記RF電力の前記第2の部分は、前記第2の負相バスから前記第2の複数電極に送られる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
第3の正相バスを通して前記RF電力の前記第1の部分を前記第1の複数電極間に再分配することと、
第3の負相バスを通して前記RF電力の前記第2の部分を前記第2の複数電極間に再分配することと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記RF電力の前記第1の部分を前記第1の正相バスから前記第1の複数のコンデンサーを通して前記第2の正相バスに送ることは、
前記第2の正相バスを接地に接続する第1の負荷コイルに前記RF電力の前記第1の部分を提供することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記RF電力は、前記プラズマ処理システムの接地されたエンクロージャを含むRF経路を通して前記第1の負荷コイルに提供される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記RF電力の前記第2の部分を前記第1の負相バスから前記第2の複数のコンデンサーを通して前記第2の負相バスに送ることは、
前記第2の負相バスを接地に接続する第2の負荷コイルに前記RF電力の前記第2の部分を提供することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記RF電力で前記電力バスを励起することは、
前記RF電力を前記電力バスの中央供給点近傍で前記電力バスに送ることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記RF電力の前記第1の部分を前記電力バスから前記複数の絶縁トランスを通して前記第1の正相バスに送ることは、
前記電力バスからの前記RF電力を使用して、前記絶縁トランスのそれぞれの一次巻線を励起することと、
前記絶縁トランスのそれぞれの二次巻線の第1の端部を通して前記RF電力の前記第1の部分を前記第1の正相バスに送ることと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
前記RF電力の前記第2の部分を前記電力バスから前記複数の絶縁トランスを通して前記第1の負相バスに送ることは、
前記絶縁トランスのそれぞれの前記二次巻線の第2の端部を通して前記RF電力の前記第2の部分を前記第1の負相バスに送ることを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記RF電力の前記第1の部分を前記第2の正相バスから前記第1の複数電極に送ることは、
前記第2の正相バスに接続された第1の複数のフィードスルーのうちの少なくとも1つを通して、前記第1の複数電極のそれぞれにRF電力を送ることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項23】
前記RF電力の前記第2の部分を前記第2の負相バスから前記第2の複数電極に送ることは、
前記第2の負相バスに接続された第2の複数のフィードスルーのうちの少なくとも1つを通して、前記第2の複数電極のそれぞれにRF電力を送ることを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の複数のフィードスルーを通して前記電極に提供される熱交換液を使用して、前記電極の温度を制御することを更に含む、請求項22に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−238593(P2012−238593A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−105137(P2012−105137)
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】