説明

複数UNIXマシンの集中運用および監視コンソールディスプレイ

【目的】本発明は、複数UNIXマシンのコンソールを一台にまとめた時に発生する運用と監視の負荷増大を防ぐことを目的とする。
【構成】本発明の構成は、保守用LAN5に接続されたUNIXマシン1,2,3とセンター・コンソール4からなり、センター・コンソールには、宛先管理テーブル、シナリオ、オペレーション・ライブラリを保持する。
【効果】本発明によれば、複数UNIXマシンに分散された処理を行うのにオペレーターがマシンを意識せず、さらに省力化された方式でオペレーションおよび監視が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数UNIX(注)マシンをLANに接続した時、各マシンのコンソールがなくても、全てのメッセージを一括表示し、また、コマンドを一括配布する機能と、オペレーション負荷を軽減するためのシナリオや監視情報の自動取得機能を備えた、集中運用、監視用センターコンソールに関する物である。
【0002】(注)UNIXはUNIXシスラムラボラトリーズ社が開発し、ライセンスしているプログラムである。
【0003】
【従来の技術】従来の集中運用・監視コンソールは、メッセージを一画面に表示したり、一画面から各マシンに対して、その都度、宛先(マシンID)を指定して、コマンド入力するものであった。
【0004】この方式によれば、各マシンのコンソールを物理的に一つにまとめただけであり、運用効率は向上しない。また、オペレーターは、常時宛先(マシンID)を把握しておく必要があり、構成を変更した際には、オペレーション・ミスが発生しやすい。更に、メッセージ量も構成に比例して多くなるため、見難くなる。
【0005】なお、この種の方式として関連するものには、特開平4−17034号等が挙げられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術のコンソールは、運用対象とするUNIXマシンを増設する場合、オペレーターは、新設分の宛先(マシンID)を把握する必要がある。また、メッセージの出力量も、UNIXマシンの構成に比例して増大するため、運用・監視の負荷が多大にかかり、オペレーション・ミスを起こしやすい、という課題であった。
【0007】本発明は、これらの課題を解決できるように、集中運用・監視を行うサーバーであるセンター・コンソールに、運用目的別に、コマンドの宛先テーブルと、シナリオ、オペレーション・メニューを作成するだけで、オペレーション負荷を軽減できるコンソールの提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するためには、次の様にすれば良い。
【0009】保守用のLANに接続したUNIXマシンに対して、センター・コンソールは伝文(コマンド)を流す。この際、同じ伝文を、複数台のUNIXマシンに対して流す場合には、センター・コンソールに宛先テーブルを持たせ、ワン・オペレーションで、このテーブルに従って伝文を流す。このテーブルは、目的別に持ち、コマンドと対応付けておく。また、UNIXマシンから、センター・コンソールに伝文(メッセージ)を流す際には、センター・コンソールに一括で表示するが、定型的な運用については、センター・コンソールにシナリオを作成しておき、受信した伝文をチェックして、伝文がシナリオと同じ場合には、コマンドをキックして、宛先テーブルに従って、伝文を返す。更に、メッセージを、その重要度レベルをチェックして、出力するかどうか、色をつけるかどうか、を振り分ける。センター・コンソールの画面は、マルチ・ウィンドウで、定型的なオペレーションのメニューを持ち、UNIXマシン個別に対するオペレーションについては、メニューを選択して実行する。また、一定間隔で、稼動情報取得コマンドを、各UNIXマシンに発行し、リターンを表示する。
【0010】
【作用】本発明によれば、センター・コンソールの宛先テーブルで、コマンドと宛先が対応付けられているので、同一処理を複数マシンで繰り返すことがなくなり、オペレーシヨン工数を削減することができる。また、構成変更をした時でも、システム管理者が、テーブルの更新を行っていれば、オペレーターは、構成を意識しなくても、オペレーションする事ができる。また、シナリオを持つことによりマシンまたがりの運用を効率的に行うことができる。
【0011】これによって、システムを構成するUNIXマシンの数に比例して増大すべくオペレーションと監視の負荷が大幅に削減されるので、上記従来技術の課題を解決できる。
【0012】
【実施例】以下に本発明による一実施例につき、図面を参照しながら、詳細に説明する。図1は本実施例の全体構成図である。保守用LAN5には、UNIXマシン1,2,3と、センター・コンソール4が接続されている。今、週初運用をセンター・コンソール4からUNIXマシン1,2,3に対して行うとする。この時、電源ON、OS起動、DBファイルの初期化、テーブルロードのコマンドと、宛先のUNIXマシン1,2,3のアドレスを対応づけて、宛先テーブルを作成して(図2)週初運用というコマンド(301)をセンター・コンソールのオペレーション画面より入力すると、そのコマンドに対応する宛先テーブル(303)を参照して、一連のコマンドが、UNIXマシン1,2,3に対して自動発行される。(305,306,307)また、オンライン開始運用コマンド(302)は、UNIXマシン1,2,3に対してのみ行うとすると、別の宛先テーブル(304)を作成し、同様に、一連のコマンドを宛先UNIXマシンに対し自動発行される。(305,306)この様に運用別に宛先テーブルを持つことにより、オペレーターは、稼動マシンを把握しなくても、運用が行える様になる。
【0013】次に各マシンからセンター・コンソールメッセージを伝送する動作を、図4で説明する。UNIXマシンの出力メッセージは、標準出力に出力されるが、全て、センター・コンソールのメッセージ・ウィンドウに出力される様、出力先をリダイレクトしておく。(401,402,403)さらに、オペレーション負荷の軽減のための方法を、図5のフローチャートに従い詳細に説明する。まず、センター・コンソールがメッセージを受信した時、ログファイルへ書き込む。(501)次に、UNIXマシンの台数に比例して、メッセージ量が増加するのを防ぐため、伝文チェックを行い(502)、重要エラー・メッセージを振り分け(503)、更に、レベルチェックを行い(504)、色分けて出力する。(505)また、受信した全てのメッセージをチェックがシナリオと合致するかチェックし(506)、コマンド発行か否かを振り分ける(507)。コマンド発行の場合には、宛先テーブルを照会して(508)、コマンドを自動発行する(509)。
【0014】非定型オペレーションについては、図6に示す様に、あらかじめオペレーション・ライブラリーを作成しておき、(601)別ウィンドウに表示して(602)UNIXマシンのカット&ペースト機能により、オペレーション・ウィンドウ(603)へ複写して、修正を入れて実行する。
【0015】システム監視機能としては、宛先テーブル(図2)に、稼動情報取得コマンドを定義しておき、一定時間間隔でこのコマンドをキックして、各UNIXマシンから返ってきた結果を、メッセージ出力ウィンドウに一括でホップアップ表示させる。
【0016】
【発明の効果】本発明は、以上説明した様に、複数UNIXマシンにおいて、コンソールディスプレイを一台にまとめて、サーバとしての機能を持たせたセンター・コンソールであり、運用対象とするマシンの台数に伴ってオペレーションが繁雑にならない様な機能を持たせているため、以下に記載するような効果を発揮する。
【0017】ダウンサイジング・オープン化の環境の中では、一つの運用を行うために、複数の分散機に分けて、その機能を実現しているケースが多く見られる。この様な運用方式においては、マシンまたがりの処理が発生し、相互のマシンへのコマンド発行や、メッセージの統合的な解析が求められる。このため、センター・コンソールにより、オペレーターが実行マシンを意識せず、かつ、省力化した方式でオペレーションすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の全体構成図である。
【図2】宛先管理テーブルの構成図である。
【図3】UNIXマシンとセンター・コンソールの伝文の送受信の流れを示す図である。
【図4】同じく送受信の流れを示す図である。
【図5】メッセージ振り分け方式のフローチャートである。
【図6】オペレーション・ライブラリーの取得方式を示す図である。
【符号の説明】
1〜3…UNIXマシン、
4…センター・コンソール、
5…保守用LAN、
301〜302…入力コマンド、
303〜304…宛先管理テーブル、
305〜307…伝文(コマンド)の流れ、
401〜403…伝文(メッセージ)の流れ、
501〜509…センター・コンソールの処理、
601…オペレーション・ライブラリ、
602…オペレーション・ライブラリ・ウィンドウ、
603…オペレーション・ウィンドウ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】複数UNIXマシンのコンソールディプレイを、一台にまとめたセンターコンソールディスプレイは、個々の運用を行えるだけでなく、あらかじめ、運用に合わせて作成した宛先テーブルに従って、コマンドを一括配布する機能と、各UNIXマシンから出力されるメッセージを一括表示し、更に、統合的な運用を行うシナリオを作成しておき、シナリオ通りにメッセージが出力された時、自動的にコマンドを発行する機能、また、障害レベルによって、メッセージの色分けを行い、オペレーターの介入が必要な場合には、定型運用について、メニュー選択によりオペレーション効率を向上させる機能、および、指定した時間間隔で稼動情報を表示する機能、更に、コンソールへの入出力情報をロギングする機能をそなえたことを特徴とする複数UNIXマシンの集中運用および監視コンソールディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開平6−214763
【公開日】平成6年(1994)8月5日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−3899
【出願日】平成5年(1993)1月13日
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)