説明

複流ケージ型コンパクタ/ドライヤ装置及び廃棄物を圧縮及び乾燥する方法

本発明は、円筒形(1)と、少なくとも1対の加圧プレート(6)とを含むケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置であって、前記円筒体(1)が、蒸気は外部に出すが物質は外部に出さない長手方向スロットを形成するように円筒の母線に沿って互いに離間して設けられ、固定ヒンジ手段によって結合され、中心間を所与の距離だけあけて位置決めされた、熱伝達流体が流れる複数の加熱用長手方向チューブ(2)で構成され、前記加圧プレート(6)が互いに対向して配置され、前記円筒体の可動部分として動作し、押圧ピストンとして働き、前記廃棄物の加熱ステップで生じた水蒸気が前記加熱用チューブの間の長手方向スロットを通って排出されるケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置であり、ケージ型乾燥/圧縮装置内にその全長に沿って設けられた熱源をさらに含み、前記熱源が、熱伝達流体がその中を流れる少なくとも1つのチューブと、装置の2つの端部のうちの一方に近い位置で処理対象物質を導入する手段(3)と、もう一方の端部に対応する位置で処理対象物質を収集する手段とで構成されることを特徴とする、ケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複流ケージ型コンパクタ/ドライヤ装置、及び廃棄物を圧縮及び乾燥する方法に関する。
【0002】
本発明は、産業廃棄物、ごみ、又はそれに類する物質を処理する装置の分野に含まれる。
【背景技術】
【0003】
都市の固形廃棄物の処理は、現代の生活においては日々切実さを増している問題である。現在採用されている解決策では、廃棄物を廃棄場に集めるか、或いは焼却している。
【0004】
これらの解決策はいずれも環境面の欠点を有する。実際に、ほとんどの廃棄場はすぐに飽和レベルに達してしまうが、廃棄物の噴気による大気汚染を心配する周辺地域の住民に反対されずに新しい用地を見つけることは、ますます困難になりつつある。
【0005】
一方、焼却炉は、熱回収に対応している最も技術的に進んだものでも、20%に近い効率でしか発電することができず、廃棄物を1トン焼却するたびに大量の二酸化炭素を空気中に排出するのに加えて、主としてごみの湿気が高く完全燃焼が妨げられることにより、煙霧中に有毒な生成物が生成されるという危険性もある。
【0006】
最近では、ごみの体積を減少させると同時に腐敗性部分を不活性化することを目的として、近代的な設備が広く利用されている。この技術の目標は、廃棄場から送り出すことができる、すなわちその安定性及び乾燥状態が極めて高いことに鑑みて、環境回復用の材料として、つまり熱的回収で使用するのに極めて好適な燃料として使用することができる、固形で乾燥した、滅菌され無毒化された生成物を得ることである。
【0007】
既知の設備ではその一部しか解決されない現在直面しているこの種の技術的な問題は、主として作業能力の最適化に関連するものであり、その結果として、各種装置の運用コストの上昇につながっている。
【0008】
例えば、イタリア産業発明特許第1,262,260号には、2ステージ・システムが記載されている。このシステムは、処理対象物質に室温で加圧し、これを脱水した後に液浸する第1の圧縮ステージと、この前処理済みのごみをオーブンに入れる第2の乾燥ステージとを有する。このオーブンの側壁には、箱型の要素が設けられ、この要素に沿って熱伝達流体が流れてこの物質に対して熱を放出する。この第2のステージの間に、ごみの中に残っている水分が蒸発して除去され、それにより生じた蒸気は、オーブンの側面に設けられた開口を通って外部に出る。
【0009】
この種のシステムには、様々な欠点がある。実際に、熱伝達流体の所定の均一な水力学的流れを得ることができないので、熱交換を最適に行うことができない。さらに、蒸気を出すために必要な開口が加熱室側面にあることにより、わずかな圧力応力があると、オーブン本体の抵抗特性も十分ではなくなる。
【0010】
さらに、側面に開口があることにより、廃棄物と加熱領域の間の接触面が減少し、これにより乾燥ステージの効率が低下する。
【0011】
これより進んだ解決策が、EP特許第0663227B1号に記載されている。これは、廃棄物を収容する円筒体と、この廃棄物を圧縮する剛性加圧プレートとを含み、この加圧プレートが互いに対向して、円筒体の可動部分として動作する、ケージ型の廃棄物乾燥/圧縮装置に関するものである。
【0012】
前述の解決策に関連する、同じ出願人により出願されたEP特許第1066490B1号には、最良の結果を得ることを可能にする革新的な特徴が記載されている。この特許には、互いに離間したその母線に沿う複数の長手方向チューブからなる円筒体を有するケージ型の乾燥/圧縮装置であって、これらのチューブに熱伝達流体が流れ、これらのチューブがこの装置の支承面として、また熱伝達流体と円筒体内の処理対象廃棄物の間の熱交換面として働く、ケージ型の乾燥/圧縮装置が記載されている。廃棄物の圧縮作用は、円筒体の可動部分として働く、互いに対向する2枚の圧力プレートによって行われる。
【0013】
加熱チューブは、加圧中に廃棄物によって加えられる径方向スラスト及び温度勾配によって応力がかかる円筒体を構成するチューブの安定性を確保するために、中心間を所与の距離にして設けられた保持リムによって互いに固定してある。
【0014】
乾燥/圧縮装置は、さらに、廃棄物の加熱中に生じる水蒸気のための出口手段を含み、この手段は、加熱チューブと加熱チューブの間の長手方向スロットで構成される。
【0015】
その他の既知の解決策と同様に、このシステムも、廃棄物を室温で加圧して廃棄物に含まれる水分からなる表面の液体部分を分離する前処理部を必要とする。乾燥/圧縮装置に到達するのは既に脱水済みの物質であり、この物質から、さらに加圧/乾燥処理を行って、残りの水分を抽出すると同時に、この塊の体積を減少させる。
【0016】
したがって、このシステムは、バッチ・モードで動作する。実際には、廃棄物は前処理部に送られて、ここで最初の脱水が行われ、そこから取り出されて乾燥/圧縮装置に送られ、そこで不活性化を行った後に取り出され、貯蔵される。
【0017】
EP特許第1066490B1により提案される解決策は、加熱用の熱伝達流体に関する所定の水力学的問題を回避し、水蒸気を外部に出す問題を簡潔に解決するものである。
【0018】
さらに、このケージ型乾燥/圧縮装置のまったく独創的な構造は剛性であり、動作中に生じる熱的応力及び機械的応力に完全に耐える。
【0019】
同時に、EP特許第1066490B1に記載の乾燥/圧縮装置は、その効率を低下させる特徴もいくつか有している。
【0020】
第1に、シリンダ内に収容された廃棄物内で確立される熱的モードは対数関数的であり、温度は処理対象物質の中心に向かって緩やかに上昇するので、短時間のうちに設計温度に到達させ、その温度の一様な分布を得ることができない。
【0021】
さらに、円筒体の母線に沿ってチューブを位置決めするので、実際に有効な交換表面、すなわち処理対象物質と実際に接触している交換表面は、円筒体の内部に向いた表面のみ、すなわちチューブの表面全体のわずかな割合のみになることが避けられない。
【0022】
これら2つの制限により、正反対の問題に対処しなければならない。実際には、一方では、交換表面の有効部分を増大させるために、乾燥/圧縮装置を構成する円筒体の直径を大きくする必要がある。もう一方では、熱曲線が対数関数的になるので、より直径の小さなシステムを構築しなければならず、これにより、標準的な容積を変えずに維持するために、より長いシステム、又は並列に動作する複数の乾燥/圧縮装置からなるシステムを実現する必要が生じる。
【0023】
最後に、システムの装入、圧縮及び排出の周期シーケンスの同期を取ることが困難であり、動作の流れが時間間隔の長い複数のステップに分割され、それにより生産性が低下することが避けられないという制限もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
廃棄の際に、より大量のごみを処理することができ、したがって乾燥プロセスが短縮され、連続動作が可能である、より小型の乾燥/圧縮装置があれば、極めて有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0025】
これに関連して、熱伝達流体が流れるチューブの交換表面として働く平均有効部分を増大させ、それと同時にシステムの連続動作が可能になるように構造を修正したケージ状乾燥/圧縮装置によって上記目的を達成する基礎となる、本発明による解決策も含まれる。
【0026】
上記目的を達成するために、本発明では、熱伝達流体がその中を流れるチューブで構成された適当なサイズを有するさらに別の熱源を、ケージ型乾燥/圧縮装置内にその全長に沿って導入することを提案する。追加のチューブは、ごみの塊の中に位置し、その結果としてケージの外周を構成するチューブより熱交換に利用できる表面がはるかに大きいというだけでなく、ごみ乾燥/圧縮装置をその全長にわたって、ケージより小さな等しい直径をそれぞれ有する複数の部分に分割することによって、ごみの塊への熱伝達の効率を高めるように配置することができる。したがって、処理する塊の温度は、より短い時間で所要値に達する。
【0027】
本発明で実施するようにチューブを位置決めすることにより、機械的応力及び熱的応力に対する装置の耐性をより好適にすることが可能になり、その結果として、既知のシステムでは乾燥/圧縮装置の上方に配置した室温の圧縮装置で実行していた加圧作業を、ケージ型乾燥/圧縮装置に行わせることが可能になる。
【0028】
前処理部がなくなることによって、ホッパにより乾燥/圧縮装置に直接処理対象のごみを供給することが可能になる。その結果として、システムを連続的に動作させることができる。
【0029】
連続動作には、下記を含むさらなる利点がある。
総処理時間のさらなる短縮。
特定生産性の向上。
システムを構成するモジュールの減少。
押圧ロッドの最適化。
コスト削減。
【0030】
本発明による乾燥/圧縮装置は、家庭生活及び産業活動のいずれから生じるものであっても、40%超の湿度を有するあらゆる種類の固形ごみを、有効作業シフトあたり600から1000トンの量となる有効サイクル内に導入される量で、乾燥させ加圧するために利用することができ、その結果として処理ごみ1キログラムあたりの総管理コストを削減するので便利である。
【0031】
したがって、本発明の具体的な目的は、円筒形と、少なくとも1対の加圧プレートとを含むケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置であって、前記円筒体が、蒸気は外部に出すが物質は外部に出さない長手方向スロットを形成するように円筒の母線に沿って互いに離間して設けられ、固定ヒンジ手段によって結合され、中心間を所与の距離だけあけて位置決めされた、熱伝達流体が流れる複数の加熱用長手方向チューブで構成され、前記加圧プレートが互いに対向して配置され、前記円筒体の可動部分として動作し、押圧ピストンとして働き、前記廃棄物の加熱ステップで生じた水蒸気が前記加熱用チューブの間の長手方向スロットを通って排出されるケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置であり、ケージ型乾燥/圧縮装置内にその全長に沿って設けられた熱源をさらに含み、前記熱源が、熱伝達流体がその中を流れる少なくとも1つのチューブと、装置の2つの端部のうちの一方に近い位置で処理対象物質を導入する手段と、もう一方の端部に対応する位置で処理対象物質を収集する手段とで構成される、ケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置である。
【0032】
特に、本発明によれば、前記さらなる熱源は、前記円筒体の内部を互いに接続された複数の部分、好ましくは均等な4つの部分に分割するように配置され、位置合わせされ、互いに離間した、熱伝達流体が流れる複数のチューブを含み、各部分に対して、各部分の形状に基づいて成形された1対の対向する加圧プレートが設けられる。
【0033】
本発明によれば、前記加圧プレートは、そのケージの外側表面に向くプロフィルと、場合によってはそのさらに別の熱源に向くプロフィルとがストラドル・プロフィルであり、隣接するストラドルの間に画定される尖端が、隣接する2つのチューブの間の隙間に入り込むように成形される。
【0034】
特に、本発明によれば、前記さらに別の熱源は、中心間を所定の間隔にして設けられた複数の固定プレートで構成された収容構造内に固定される。
【0035】
常に本発明によれば、乾燥/圧縮装置は、チューブ内で流体を均一に分布させることができるように、可撓性ジョイントで結合された、前記熱伝達流体がチューブに出入りするための入口マニホルド及び出口マニホルドを備え、前記マニホルドは、各チューブ内の流れの方向が隣接するチューブ間で反対になるように設けられる。
【0036】
さらに本発明によれば、処理対象物質を導入する手段は装入ホッパを含み、ごみは、円筒体の入口端部においてこの装入ホッパから装入室内に落とされる。
【0037】
さらに、本発明によれば、乾燥/圧縮装置は、蒸気を前記長手方向スロットから出すためのマニホルド機能を有し、閉サイクル・モータ・コンデンサ・ユニットによって減圧モードになって前記装置が作動環境及び外部環境に影響を及ぼさないようにする、前記円筒体を密接して収容する断熱材料ケースをさらに含む。
【0038】
常に本発明によれば、前記固定リムは、不安定な不静定構造を生じる一連の休止/滑動手段に取り付けられ、高い温度勾配、並びに対向する加圧プレートによって加えられる圧縮力による径方向スラストによって生じる応力の影響を最小限に抑える。
【0039】
本発明の第2の具体的な目的は、上述の乾燥/圧縮装置によって廃棄物を圧縮及び乾燥する方法であって、所定の運転が、周期的に繰り返される、
装置の両側の加圧プレートをそれぞれの下死点まで引き込むステップと、
それ以前のサイクル中に導入された一定量のごみを既に収容している動作温度にある乾燥/圧縮装置内に、所定の装入量の処理対象物質を導入するステップと、
物質入口側の加圧プレートを動作させて、今回の装填で導入された物質を乾燥/圧縮装置の円筒体内に既に存在する物質に押し付けて、この物質を押し込み、この物質の入口側の端部とは反対側の端部の一部を外部に出すステップと、
材料の入口側の加圧プレートをその下死点まで引き込むステップと、
前記装置から出た量の物質をとるステップと、
装置両側の加圧プレートを動作させて、装置内部の物質を押圧するステップと、
第1のステップのサイクルを繰り返すステップとを含む方法である。
【0040】
本発明によれば、装置が空の状態から始まって、
熱伝達流体をチューブ内に流して動作温度に到達させるステップと、
装置両側の加圧プレートをその下死点まで引き込むステップと、
1バッチ分の処理対象廃棄物を、動作温度の乾燥/圧縮装置内に導入するステップと、
装置両側の加圧プレートを動作させて、装置内に収容されている物質を押圧して移動させるステップとによって所定の運転動作状態に達し、
前記ステップは、所定の充填程度に達するまで周期的に繰り返される。
【0041】
以下、添付の図面を参照しながら、限定ではなく例示を目的として、好ましい実施例に関連して本発明について説明する。
【実施例】
【0042】
図面を参照すると、本発明による乾燥/圧縮装置の本体が円筒体1を含み、この円筒体1が、熱伝達流体が流れるチューブ2のアセンブリで構成され、これらのチューブ2が、円筒の母線に沿って位置決めされていることが分かる。したがって、チューブ2の内側には円筒形の空間が形成され、この空間は、十字状に配列された、熱伝達流体が流れるさらに別のチューブによって4つの部分に均等に分割される。圧縮及び乾燥を施される廃棄物は、上方からこの装置内に投入され、ホッパ3によって円筒体の一方の端部に近い装入室12内に入れられる。チューブ間での熱交換により、装置はオーブンとして機能して、廃棄された廃棄物を加熱する。
【0043】
さらに、これらのチューブが梁として機能するという好適な特徴を有することを考えると、これらのチューブは、この横向きの円筒体が処理対象物質を支承する構造として、また装置の動作中に生じる圧力及び熱的応力に耐えることができる構造として機能するように、その寸法が決定され、固定される。
【0044】
円筒体を構成するチューブ2、及び円筒体を4つの部分に分割するチューブ2には、170℃から190℃の熱伝達流体が流れる。前者のチューブ2は、保持リング4によって互いに結合されて、横向きの円筒体を構成し、後者のチューブ2は、十字型の保持プレート5によって結合されて、円筒体を4つの部分に分割している。保持リング4及び保持プレート5は、加圧された物質からの径方向スラスト及び温度勾配によって生じる径方向スラストを受けるチューブの安定性を確保するために、その中心間を所与の距離にして実装される。これらの保持構造は、同じチューブのプロフィルに基づいて設計される座部を有する。
【0045】
円筒体1内に収容された廃棄物を圧縮するために加えられる長手軸方向スラストは、特に側壁に対応して、隣接する2つのチューブの間の隙間に入り込む尖端を備えた、円筒体の各部の内部空間内への導入に適した形に成形された4対の加圧プレート6によって、物質塊の両側から加圧するように加えられる。
【0046】
チューブ2は、円筒体1内の各部分内でピストンとして働く加圧プレート6の動きを妨げないように、可撓性チューブを介してケージ型乾燥/圧縮装置の円筒体の外側部分と結合された非断熱性流体の入口マニホルド7及び出口マニホルド8と連絡している。詳細には、入口マニホルド及び出口マニホルドは、各チューブの入口側が隣のチューブの出口側に対応するように交互にしておく。
【0047】
ケージ円筒体は、発生する高い温度勾配による応力、並びに加圧プレート6が与える圧縮力による長手方向スラストの影響を最小限に抑える、不静定な不安定構造となるように適当に実装された、滑動可能パッド9からなる接地固定具の上に載っている。
【0048】
本発明の基本的な要素は、前述のように熱源及び収容構造として働くチューブ2の特定の幾何学的配置である。これらのチューブ2は、2つの異なる機能に合わせて配置される。大部分のチューブ2は、蒸気を外部に出すために必要な一連の長手方向スロットが隣接するチューブの間に生じるように、ほぼ円筒体の母線に沿って互いに適宜離間して配置され、残りのチューブ2は、互いに直行する2つの方向に沿って配置され、上記円筒体を互いに分離された4つの部分に均等に分割する十字型になっている。
【0049】
外側に向かって細くなる上記尖端部分により、圧力に押されて前進する物質に対する抵抗が次第に大きくなり、圧縮力が設計値で一定になったときにその前進が止まるようにして、処理対象物質が「外部に出ない」ことを保障しているので、円筒体1の側面に沿って存在する長手方向スロットは、蒸気脱出口としてだけでなく、チューブ2と処理対象物質の間の熱交換を助ける要素としても非常に効率的である。
【0050】
円筒体内で十字型に位置決めされたチューブは、廃棄物の塊の中に位置しており、各チューブが装置の異なる2つの部分に向いているので、円筒体を構成するチューブよりはるかに広い領域で処理対象物質と接触することになる。したがって、これらのチューブでは、熱伝達流体から処理対象物質に熱を伝達する熱交換表面が増大する。
【0051】
さらに、各部分に分割することにより、主円筒体の直径より小さい等しい直径を有する複数のケージが生じる。各部分の断面積が小さくなることにより、ごみ塊に対する熱伝達効率をより高くすることができる。したがって、処理する塊の温度は、より短時間で設計値に到達する。
【0052】
円筒体1のアセンブリは断熱ケース10内に収容され、この断熱ケース10は、閉サイクルで動作するモータ・コンデンサ・ユニットによってダクト11を介して減圧状態になったときに、上記脱出口から蒸気を出すためのマニホルドとして機能し、システムが外部環境又は作動環境に影響を及ぼさないようにする。
【0053】
本発明による乾燥/圧縮装置の構造によれば、これらのチューブが、たとえ薄くても極めて耐性の強い梁として働くので、この装置は、より良好な機械的応力及び熱的応力に対する耐性を得ることができる。
【0054】
第1の結果として、この乾燥/圧縮装置は、機械抵抗が低い又は中程度の材料で構成することができ、機械抵抗の高い材料の場合と異なり、最終的に構造を適当に大き目にしておくことにより制御可能な一般腐食に関する問題を確実に解決できるようにすることができる。
【0055】
この態様により、バッソ低接合鋼を使用することが可能になるので、チューブに耐腐食性を与えるのに適した表面処理を行うことが可能になる。
【0056】
さらに、既知のシステムではオーブンの上方にある室温の圧縮部分内で行う加圧作業を、ケージ型乾燥/圧縮装置で行うことも可能である。
【0057】
前処理部分がなくなることにより、廃棄物装入手段及び適当な構成により、処理済物質の回収を調節して、システムを連続的に動作させることが可能になる。
【0058】
動作開始時に、装置に装入を行うと、オーブンが加熱され、熱伝達流体が設計温度でチューブ内に流れ、これにより3ステップ・サイクル運転が実行される。第1のステップでは、処理対象物質の挿入を妨げないように加圧プレート6を当該上死点まで引き上げる。第2のステップでは、この装置の容量に収まる量の廃棄物をホッパ3から装入室12内に下方に落として導入する。次いで、ホッパのスロートが閉じ、加圧プレート6が円筒体1内で物質を両側から押圧し、入口側の反対側に向かって乾燥/圧縮装置内を押していく。
【0059】
この動作は、設計データに匹敵する充填状態に達するまで繰り返される。このデータは、物質の内側及び外側の摩擦係数(したがってその物質の性質及び大きさ)を考慮に入れたエンジニアによる計算、並びにこの物質を不活性化するのに必要な装置内の滞留時間(これは処理対象物質の湿度及び所要の残留湿度によって決まる)に基づいて設定される。
【0060】
この充填段階の間、熱伝達流体は、常に所定の運転温度値に維持される。したがって、熱的運転の様々な変動が回避され、その結果として、エネルギーが節約され、腐食プロセスが緩和される。
【0061】
この最初のステップの後に、この物質の圧縮/乾燥作業は既にある程度進んでいるが、この装置の所定の運転動作を開始する。
【0062】
本発明による乾燥/圧縮装置では、その全長にわたって、各部分がその上方の部分及び下方の部分と同じ温度を有する環境が得られることを考慮しなければならない。これはつまり、装置の一定の位置にある処理対象物質に対しても、装入スロートから出口スロートに向かって装置に対して相対的に移動している物質に対しても、熱が同じように伝達されることを意味している。
【0063】
物質を新たに装置内に装入するたびに、物質は、導入ステップ、設計パラメータによって決まる総サイクル数だけ繰り返される処理ステップ、及び処理済み物質取出しステップからなる、以下の処理を受けることになる。
【0064】
導入ステップの間に、処理対象物質は、ホッパ3から装入室12内に落とされ、加圧プレート6は、その下死点に対応する位置にある。次いで、本明細書で参照装入物と呼ぶ装入物を、装置の円筒体1内で、入口側の加圧プレート6によって押圧し、それ以前に導入されていた、出口側の加圧プレートによって押圧される物質の一部と接触させる。
【0065】
次いで、出口側のプレートを引き込み、全ての物質を出口に向かって前進させ、物質の一部が出口スロート付近に到達したら、これを取り出す。
【0066】
その後、入口側のプレートも引き込み、新たな装入物を装入室内に落とし、円筒体内で押圧し、その前のサイクルで導入された参照装入物と接触させ、これと一緒にそれ以前に導入された全ての物質にも接触させて圧縮することにより、最初はこれを押圧し、次いでこれを出口に向かって移動させる。
【0067】
チューブの熱交換面を流れる熱伝達流体の作用による熱伝達による乾燥を続ける特定サイクル数の後で、参照装入物は出口付近に到達し、取り出される。
【0068】
このようにして、装置内のごみのサイクル数を変化させる、すなわち1度に導入される量の装入物の長さを変化させるので、所要の乾燥レベル及び圧縮レベルに達するまで連続的に物質に処理を施すことができる。
【0069】
好ましい実施例に関連して、限定ではなく例示を目的として本発明について説明したが、当業者なら、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲を逸脱することなく、様々な修正及び/又は変更を導入することができることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明による装置を側面から見た概略的な縦断面図である。
【図2】図1の装置を正面から見た概略的な断面図である。
【図3】図1の装置の円筒体ケージの細部を示す斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体と、少なくとも1対の加圧プレートとを含むケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置であって、前記円筒体が、蒸気は外部に出すが物質は外部に出さない長手方向スロットを形成するように円筒の母線に沿って互いに離間して設けられ、固定ヒンジ手段によって結合され、中心間を所与の距離だけあけて位置決めされた、熱伝達流体が流れる複数の加熱用長手方向チューブで構成され、前記加圧プレートが互いに対向して配置され、前記円筒体の可動部分として動作し、押圧ピストンとして働き、前記廃棄物の加熱ステップで生じた水蒸気が前記加熱用チューブの間の長手方向スロットを通って排出されるケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置であり、ケージ型乾燥/圧縮装置内にその全長に沿って設けられた熱源をさらに含み、前記熱源が、熱伝達流体がその中を流れる少なくとも1つのチューブと、装置の2つの端部のうちの一方に近い位置で処理対象物質を導入する手段と、もう一方の端部に対応する位置で処理対象物質を収集する手段とで構成されることを特徴とする、ケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置。
【請求項2】
前記さらなる熱源が、前記円筒体の内部を互いに接続された複数の部分に分割するように配置され、位置合わせされ、互いに離間した、熱伝達流体が流れる複数のチューブを含み、各部分に対して、各部分の形状に基づいて成形された1対の対向する加圧プレートが設けられることを特徴とする、請求項1に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項3】
さらなる熱源が、前記円筒体の内部を互いに接続された4つの均等な部分に分割するように、また処理対象物質を通すことができるように配置され、位置合わせされ、互いに離間した、熱伝達流体が流れる複数のチューブを含み、各部分が、各部分の形状に基づいて成形された1対の対向する加圧プレートを備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項4】
前記加圧プレートが、そのケージの外側表面に向くプロフィルがストラドル・プロフィルであり、隣接するストラドルの間に画定される尖端が、隣接する2つのチューブの間の隙間に入り込むように成形されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項5】
前記加圧プレートが、そのケージの外側表面に向いたプロフィルがストラドル・プロフィルであり、隣接するストラドルの間に画定される尖端が、隣接する2つのチューブの間の隙間に入り込むように成形されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項6】
前記さらに別の熱源が、中心間を所定の間隔にして設けられた複数の固定プレートで構成された収容構造内に固定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項7】
チューブ内で流体を均一に分布させることができるように、可撓性ジョイントで結合された、前記熱伝達流体がチューブに出入りするための入口マニホルド及び出口マニホルドを備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項8】
前記熱伝達流体のための前記入口マニホルド及び前記出口マニホルドが、各チューブ内の流れの方向が隣接するチューブ間で反対になるように設けられることを特徴とする、請求項7に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項9】
処理対象物質を導入する手段が装入ホッパを含み、円筒体の入口端部においてこの装入ホッパからごみが装入室内に落とされることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項10】
蒸気を前記長手方向スロットから出すためのマニホルド機能を有し、閉サイクル・モータ・コンデンサ・ユニットによって減圧モードになって前記装置が作動環境及び外部環境に影響を及ぼさないようにする、前記円筒体を密接して収容する断熱材料ケースをさらに含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項11】
前記固定リムが、不安定な不静定構造を生じる一連の休止/滑動手段に取り付けられ、高い温度勾配、並びに対向する加圧プレートによって加えられる圧縮力による径方向スラストによって生じる応力の影響を最小限に抑えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置によって廃棄物を圧縮及び乾燥する方法であって、所定の運転が、周期的に繰り返される、
装置の両側の加圧プレートをそれぞれの下死点まで引き込むステップと、
それ以前のサイクル中に導入された一定量のごみを既に収容している動作温度にある乾燥/圧縮装置内に、所定の装入量の処理対象物質を導入するステップと、
物質入口側の加圧プレートを動作させて、今回の装填で導入された物質を乾燥/圧縮装置の円筒体内に既に存在する物質に押し付けて、この物質を押し込み、この物質の入口側の端部とは反対側の端部の一部を外部に出すステップと、
材料の入口側の加圧プレートをその下死点まで引き込むステップと、
前記装置から出た量の物質をとるステップと、
装置両側の加圧プレートを動作させて、装置内部の物質を押圧するステップと、
第1のステップのサイクルを繰り返すステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
装置が空の状態から始まって、
熱伝達流体をチューブ内に流して動作温度に到達させるステップと、
装置両側の加圧プレートをその下死点まで引き込むステップと、
1バッチ分の処理対象廃棄物を、動作温度の乾燥/圧縮装置内に導入するステップと、
装置両側の加圧プレートを動作させて、装置内に収容されている物質を押圧して移動させるステップとによって所定の運転動作状態に達し、
前記ステップは、所定の充填程度に達するまで周期的に繰り返されることを特徴とする、請求項11に記載の廃棄物を乾燥及び圧縮する方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒体(1)と、少なくとも1対の加圧プレート(6)とを含むケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置であって、前記円筒体(1)が、蒸気は外部に出すが物質は外部に出さない長手方向スロットを形成するように円筒の母線に沿って互いに離間して設けられ、リテーナ・フープ(4)によって結合され、中心間を所与の距離だけあけて位置決めされた、熱伝達流体が流れる複数の加熱用長手方向チューブ(2)で構成され、前記加圧プレート(6)が互いに対向して配置され、前記円筒体(1)の可動部分として動作し、押圧ピストンとして働き、前記廃棄物の加熱ステップで生じた水蒸気が前記加熱用チューブ(2)の間の長手方向スロットを通って排出されるケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置であり、ケージ型乾燥/圧縮装置内にその全長に沿って設けられた熱源をさらに含み、前記熱源が、熱伝達流体がその中を流れる少なくとも1つのチューブ(2)と、装置の2つの端部のうちの一方に近い位置で処理対象物質を導入する手段と、もう一方の端部に対応する位置で処理対象物質を収集する手段とで構成されることを特徴とする、ケージ型廃棄物乾燥/圧縮装置。
【請求項2】
前記さらなる熱源が、前記円筒体の内部を互いに接続された複数の部分に分割するように配置され、位置合わせされ、互いに離間した、熱伝達流体が流れる複数のチューブ(2)を含み、各部分に対して、各部分の形状に基づいて成形された1対の対向する加圧プレート(6)が設けられることを特徴とする、請求項1に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項3】
さらなる熱源が、前記円筒体(1)の内部を互いに接続された4つの均等な部分に分割するように、また処理対象物質を通すことができるように配置され、位置合わせされ、互いに離間した、熱伝達流体が流れる複数のチューブ(2)を含み、各部分が、各部分の形状に基づいて成形された1対の対向する加圧プレート(6)を備えることを特徴とする、請求項1又は2に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項4】
前記加圧プレート(6)が、そのケージの外側表面に向くプロフィルがストラドル・プロフィルであり、隣接するストラドルの間に画定される尖端が、隣接する2つのチューブ(2)の間の隙間に入り込むように成形されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項5】
前記加圧プレート(6)が、そのケージの外側表面に向いたプロフィルがストラドル・プロフィルであり、隣接するストラドルの間に画定される尖端が、隣接する2つのチューブの間の隙間に入り込むように成形されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項6】
前記さらに別の熱源が、中心間を所定の間隔にして設けられた複数の固定プレート(6)で構成された収容構造内に固定されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項7】
チューブ(2)内で流体を均一に分布させることができるように、可撓性ジョイントで結合された、前記熱伝達流体がチューブ(2)に出入りするための入口マニホルド(7)及び出口マニホルド(8)を備えることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項8】
前記熱伝達流体のための前記入口マニホルド(7)及び前記出口マニホルド(8)が、各チューブ(2)内の流れの方向が隣接するチューブ(2)間で反対になるように設けられることを特徴とする、請求項7に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項9】
処理対象物質を導入する手段が装入ホッパ(3)を含み、円筒体(1)の入口端部においてこの装入ホッパからごみが装入室内に落とされることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項10】
蒸気を前記長手方向スロットから出すためのマニホルド機能を有し、閉サイクル・モータ・コンデンサ・ユニットによって減圧モードになって前記装置が作動環境及び外部環境に影響を及ぼさないようにする、前記円筒体(1)を密接して収容する断熱材料ケース(10)をさらに含むことを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項11】
前記リテーナ・フープ(4)が、不安定な不静定構造を生じる一連の休止/滑動手段に取り付けられ、高い温度勾配、並びに対向する加圧プレート(6)によって加えられる圧縮力による径方向スラストによって生じる応力の影響を最小限に抑えることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の乾燥/圧縮装置によって廃棄物を圧縮及び乾燥する方法であって、所定の運転が、周期的に繰り返される、
装置の両側の加圧プレート(6)をそれぞれの下死点まで引き込むステップと、
それ以前のサイクル中に導入された一定量のごみを既に収容している動作温度にある乾燥/圧縮装置内に、所定の装入量の処理対象物質を導入するステップと、
物質入口側の加圧プレート(6)を動作させて、今回の装填で導入された物質を乾燥/圧縮装置の円筒体(1)内に既に存在する物質に押し付けて、この物質を押し込み、この物質の入口側の端部とは反対側の端部の一部を外部に出すステップと、
材料の入口側の加圧プレート(6)をその下死点まで引き込むステップと、
前記装置から出た量の物質をとるステップと、
装置両側の加圧プレート(6)を動作させて、装置内部の物質を押圧するステップと、
第1のステップのサイクルを繰り返すステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項13】
装置が空の状態から始まって、
熱伝達流体をチューブ(2)内に流して動作温度に到達させるステップと、
装置両側の加圧プレート(6)をその下死点まで引き込むステップと、
1バッチ分の処理対象廃棄物を、動作温度の乾燥/圧縮装置内に導入するステップと、
装置両側の加圧プレート(6)を動作させて、装置内に収容されている物質を押圧して移動させるステップとによって所定の運転動作状態に達し、
前記ステップは、所定の充填程度に達するまで周期的に繰り返されることを特徴とする、請求項11に記載の廃棄物を乾燥及び圧縮する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−501431(P2006−501431A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541160(P2004−541160)
【出願日】平成15年9月29日(2003.9.29)
【国際出願番号】PCT/IT2003/000581
【国際公開番号】WO2004/030901
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(500443501)
【Fターム(参考)】