説明

複素環化合物

本発明は明細書に示す化学式で示される複素環化合物に関する。本発明はまた、複素環化合物の1つを用いた、炎症性疾患または免疫性疾患、発育異常疾患または変性疾患、組織損傷の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2008年4月21日出願の米国仮特許出願第61/046,496号の優先権を主張するものであり、当該出願の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
ケモカイン類は、免疫または炎症反応時に白血球の接着および経内皮移動を制御するサイトカイン類のファミリーである(Mackay C.R.,Nat. Immunol.,2001,2:95; Olson et al.,Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol.,2002,283:R7)。ケモカイン類はT細胞およびB細胞のトラフィッキングやホーミングをも制御し、リンパ球新生系および造血系の発達に寄与する(Ajuebor et al.,Biochem. Pharmacol.,2002,63:1191)。およそ50のケモカイン類がヒトにおいて確認されている。これらは、N末端における保存システイン残基の位置に基づき、4つのサブファミリー(すなわち、CXCケモカイン類、CX3Cケモカイン類、CCケモカイン類、およびCケモカイン類)に分類することができる(Onuffer et al.,Trends Pharmacol. Sci.,2002,23:459)。ケモカイン類の生物学的機能は細胞表面でのGタンパク質共役型受容体(GPCRs)の結合および活性化によって媒介される。
【0003】
ストローマ由来因子1(SDF−1)はCXCケモカイン類の一員である。これはもともと骨髄ストローマ細胞株からクローン化され、前駆B細胞の成長因子として作用することがわかっている(Nishikawa et al.,Eur. J. Immunol.,1988,18〜1767)。SDF−1は造血幹細胞および内皮前駆細胞のホーミングおよび動員において重要な役割を果たす(Bleul et al.,J. Exp. Med.,1996,184:1101;およびGazzit et al.,Stem Cells,2004,22:65−73)。SDF−1の生理的機能はCXCR4受容体によって媒介される。SDF−1やCXCR4受容体を欠失しているマウスは骨髄造血、B細胞のリンパ球新生、および小脳発達に致死的な異常が認められる(Nagasawa et al.,Nature,1996,382:635;Ma et al.,Proc. Natl. Acad. Sci.,1998,95:9448;Zou et al.,Nature,1998,393:595;Lu et al.,Proc. Natl. Acad. Sci.,2002,99:7090)。CXCR4受容体は、多様な組織、特に免疫系および中枢神経系、において広範に発現し、Tリンパ球でのHIV−1/2の主要なコレセプターと言われてきた。CXCR4拮抗作用に対する関心は当初、AIDS治療への潜在的な応用に集中していたが(Bleul et al.,Nature,1996,382:829)、現在ではCXCR4受容体およびSDF−1がリウマチ性関節炎、ぜんそく、および腫瘍転移といった他の病態にも関与していることが明らかになりつつある(Buckley et al.,J. Immunol.,2000,165:3423)。最近では、CXCR4拮抗剤および抗癌剤が深刻な前骨髄球性白血病のような癌の抑制に相乗的に作用することが報告されている(Liesveld et al.,Leukemia Research 2007,31:1553)。さらに、CXCR4/SDF−1経路はいくつかの組織傷害モデルの再生に決定的に関与していることが示されている。具体的には、SDF−1レベルが障害部位で上昇し、CXCR4陽性細胞が組織再生過程に積極的に関与することが分かっている。
【発明の開示】
【0004】
概要
本発明は特定の化合物が(1)SDF−1とケモカイン受容体(例えば、CXCR3受容体またはCXCR4受容体)との結合の阻害に有効であり、(2)顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)と組み合わせて使用した場合に幹細胞および内皮前駆細胞の動員において相乗効果を発揮するという発見に基づく。
【0005】
一形態において、本発明は下記化学式で示される化合物に関する。
【0006】
【化1】

【0007】
上記化学式において、QおよびUはそれぞれCHまたはNであり(ただし、QおよびUの少なくとも一方はNである);X、Y、およびZはそれぞれ独立してC1−5アルキレンまたは欠失であり;mは0、1、2、3、4、または5であり;nは0、1、または2であり;pは1または2であり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、またはNRであり;Rは、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、またはN(R)で置換されてもよい、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC−C10アルキルであり;Rは独立して、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、もしくはNRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−5アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−8アルキレンであり;RはP(=O)(OR)(OR)、P(=O)(NHR)(OR)、P(=O)(NR)(NR)、S(=O)OR、またはS(=O)であり;この際、R、R、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、もしくはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成する。
【0008】
前述した化合物は下記特徴の1以上を有しうる:UはNである;Xは−CH−、−CHCH−もしくは−CHCHCH−であってpは1である、またはXは
【0009】
【化2】

【0010】
であってpは2である;Yは−CHまたは欠失である;Zは−CH−である;mは0、1、または2である;nは1または2である;RはNHである;RはN(R)で置換されたC−Cアルキル(例えば、−CHCH−N(R)または−CHCHCH−N(R))である(この際、RはHであり、RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、または、RおよびRは連結して共にC4−6アルキレンを形成する);RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、もしくはC(O)NRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−2アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−5アルキレンである;RはP(=O)(OH)、P(=O)(OH)(OCHCH)、P(=O)(OCHCH
【0011】
【化3】

【0012】
S(=O)OH、S(=O)CH、またはS(=O)Phである。
【0013】
他の形態において、本発明は上記化学式で示される化合物に関し、上記化学式において、QおよびUはNまたはCHであり(ただし、QおよびUの少なくとも一方はNである);X、Y、およびZはそれぞれ独立してC1−5アルキレンまたは欠失であり;mは1、2、3、4、または5であり;nは0、1、または2であり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、またはNRであり;Rは、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、またはN(R)で置換されてもよい、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC−C10アルキルであり;RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、もしくはNRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−5アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−8アルキレンであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR、COOR、C(O)R、C(O)NR、P(=O)(OR)(OR)、P(=O)(NHR)(OR)、P(=O)(NR)(NR)、S(=O)OR、またはS(=O)であり;この際、R、R、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、もしくはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成する。
【0014】
前述した化合物は下記特徴の1以上を有しうる:UはNである;Xは−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、または欠失である;Yは−CHまたは欠失である;Zは−CH−である;mは1または2である;nは1または2である;RはNHである;RはN(R)で置換されたC−Cアルキル(例えば、−CHCH−N(R)または−CHCHCH−N(R))である(この際、RはHであってRはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、または、RおよびRは連結して共にC4−6アルキレンを形成する);RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、もしくはC(O)NRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−2アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−5アルキレンである;RはP(=O)(OH)、P(=O)(OH)(OCHCH)、P(=O)(OCHCH
【0015】
【化4】

【0016】
S(=O)OH、S(=O)CH、またはS(=O)Phである。
【0017】
さらに他の形態において、本発明は下記化学式で示される化合物に関する。
【0018】
【化5】

【0019】
上記化学式において、UはCHまたはNであり;LはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;YおよびZはそれぞれ独立してC1−5アルキレンまたは欠失であり;mは0、1、2、3、4、または5であり;nは0、1、または2であり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、またはNRであり;Rは、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、またはN(R)で置換されてもよい、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC−C10アルキルであり;RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、もしくはNRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−5アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−8アルキレンであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR、COOR、C(O)R、またはC(O)NRであり;この際、R、R、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、もしくはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成する。
【0020】
前述した化合物は下記特徴の1以上を有しうる:UはNである;Yは−CHまたは欠失である;Zは−CH−である;mは1または2である;nは1または2である;Lはシクロヘキシルである;RはNHである;RはN(R)で置換されたC−Cアルキル(例えば、−CHCH−N(R)または−CHCHCH−N(R))である(この際、RはHであって、RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、または、RおよびRは連結して共にC4−6アルキレンを形成する);RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、もしくはC(O)NRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−2アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−5アルキレンである;RはHまたはOR、CO、NR、P(=O)(OR)(OR)、P(=O)(NHR)(OR)、P(=O)(NR)(NR)、S(=O)OR、もしくはS(=O)で置換されてもよいC−Cアルキルである(この際、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC1−5アルキレンを形成する)。
【0021】
さらに他の形態において、本発明は下記化学式で示される化合物に関する。
【0022】
【化6】

【0023】
上記化学式において、QおよびUはそれぞれNまたはCHであり(ただし、QおよびUの少なくとも一方はNである);YおよびZはそれぞれ独立してC1−5アルキレンまたは欠失であり;mは0、1、2、3、4、または5であり;nは0、1、または2であり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、またはNRであり;Rは、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、またはN(R)で置換されてもよい、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC−C10アルキルであり;RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、もしくはNRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−5アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−8アルキレンであり;この際、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、もしくはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成する。
【0024】
前述した化合物は下記特徴の1以上を有しうる:UはNである;Yは−CHまたは欠失である;Zは−CH−である;mは0、1、または2である;nは1または2である;RはNHである;RはN(R)で置換されたC−Cアルキル(例えば、−CHCH−N(R)または−CHCHCH−N(R))である(この際、RはHであって、RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、または、RおよびRは連結して共にC4−6アルキレンを形成する);RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、もしくはC(O)NRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−2アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−5アルキレンである;RはHまたはOR、CO、NR、P(=O)(OR)(OR)、P(=O)(NHR)(OR)、P(=O)(NR)(NR)、S(=O)OR、もしくはS(=O)で置換されてもよいC−Cアルキルである(この際、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC1−5アルキレンを形成する)。
【0025】
さらに他の形態において、本発明は下記化学式で示される化合物に関する。
【0026】
【化7】

【0027】
上記化学式において、QおよびUはそれぞれCHまたはNであり(ただし、QおよびUの少なくとも一方はNである);W、X、Y、およびZはそれぞれ独立してC1−5アルキレンまたは欠失であり;mは0、1、2、3、4、または5であり;nは0、1、または2であり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、またはNRであり;Rはピペリジン−1−イル、(ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル)アミノ、(シクロヘキシルメチル)アミノ、(2,3−ジヒドロ−1H−インデン−2−イル)アミノ、フェニルアミノ、またはベンジルアミノであり;RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、もしくはNRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−5アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−8アルキレンであり;RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR、COOR、C(O)R、またはC(O)NRであり;この際、R、R、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、もしくはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成する。
【0028】
前述した化合物は下記特徴の1以上を有しうる:UはNである;Xは−CH−、−CHCH−、または−CHCHCH−である;Yは−CHまたは欠失である;Zは−CH−である;Wは−CHCH−である;mは1または2である;nは1または2である;RはNHである;RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、もしくはC(O)NRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−2アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−5アルキレンである。
【0029】
「アルキル」との語は、−CH、−CH−CH=CH、または分枝状−Cなどの、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素部位を意味する。「アルキレン」との語は、下記に示すような二価または多価の、飽和または不飽和の、直鎖状または分枝状の炭化水素部位を意味する。
【0030】
【化8】

【0031】
「シクロアルキル」との語は、シクロヘキシル、シクロヘキサン−3−イル、またはアダマンチルなどの、飽和または不飽和の、単環式、二環式、三環式、または四環式の、非芳香族炭化水素部位を意味する。「ヘテロシクロアルキル」との語は、4−テトラヒドロピラニルまたは4−ピラニルなどの、少なくとも1つの環へテロ原子(例えば、N、O、またはS)を有する、飽和または不飽和の、単環式、二環式、三環式、または四環式の、非芳香族炭化水素部位を意味する。「アリール」との語は、1以上の芳香族環を有する炭化水素部位を意味する。アリール部位の例としては、フェニル(Ph)、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、ピレニル、アントリルおよびフェナントリルが挙げられる。「ヘテロアリール」との語は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を含む1以上の芳香族環を有する部位を意味する。ヘテロアリール部位の例としては、フリル、フリレン、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリルおよびインドリルが挙げられる。
【0032】
特記しない限り、本明細書に記載のアルキル、アルキレン、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは、置換および非置換の双方の部位を含む。シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールに使用可能な置換基としては、以下に制限されないが、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルケニル、C−C20ヘテロシクロアルキル、C−C20へテロシクロアルケニル、C−C10アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノ、C−C10アルキルアミノ、C−C20ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、チオ、C−C10アルキルチオ、アリールチオ、C−C10アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アシルアミノ、アミノアシル、アミノチオアシル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、シアノ、ニトロ、アシル、チオアシル、アシルオキシ、カルボキシル、およびカルボン酸エステルが挙げられる。一方、アルキルおよびアルキレンに使用可能な置換基としては、C−C10アルキル、C−C10アルケニルおよびC−C10アルキニルを除いた上記の全ての置換基が挙げられる。シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールは互いに縮合していてもよい。
【0033】
上述した化合物は、化合物自体、ならびに、適用可能であればこれらの塩、プロドラッグおよび溶媒和物を含む。例えば、アニオンと、上記化学式の1つで示される化合物上の正荷電基(例えば、アミノ基)との間で塩が形成されうる。適当なアニオンとしては、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酢酸塩、リンゴ酸塩、トシラート、酒石酸塩、フマル酸塩、グルタミン酸塩、グルクロン酸塩、乳酸塩、グルタル酸塩、およびマレイン酸塩が挙げられる。同様に、カチオンと、上記化学式の1つで示される化合物上の負荷電基(例えば、カルボキシル基)との間でも塩が形成されうる。適当なカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、およびテトラメチルアンモニウムイオン等のアンモニウムカチオンが挙げられる。本化合物には、第4級窒素原子を含むこれらの塩もまた含まれる。プロドラッグの例としては、エステルや他の製薬上許容されうる誘導体が挙げられ、これらは対象への投与によって活性な化合物を提供することができる。溶媒和物とは、活性化合物と製薬上許容されうる溶媒との間で形成される複合体を意味する。製薬上許容されうる溶媒としては、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸およびエタノールアミンが挙げられる。
【0034】
さらに他の形態において、本発明は、炎症性疾患もしくは免疫性疾患、発育異常疾患もしくは変性疾患、組織損傷、または癌などの、CXCR4に関連する病状の治療方法に関する。本方法は、CXCR4に関連する病状を治療する必要のある患者に、1以上の上記に示す化学式(I)の化合物の有効量を投与することを含む。
【0035】
炎症性疾患は、局所または全身の、急性または慢性の炎症を特徴とする。その例としては、網膜症(例えば、糖尿病性網膜症および増殖性網膜症)、炎症性皮膚疾患(例えば、皮膚炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、蕁麻疹、壊死性血管炎、皮膚血管炎、過敏性血管炎、好酸球性筋炎、多発性筋炎、皮膚筋炎および好酸球性筋膜炎)、炎症性腸疾患(例えば、クローン病および潰瘍性大腸炎)、過敏性肺疾患(例えば、過敏性肺炎、好酸球性肺炎、遅延型過敏症、間質性肺炎(ILD)、特発性肺線維症、および関節リウマチに関連するILD)、黄斑浮腫、喘息、ならびにアレルギー性鼻炎が挙げられる。
【0036】
免疫性疾患は、免疫系の過剰反応または過少反応を特徴とする。その例としては、自己免疫疾患(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、重症筋無力症、I型糖尿病、糸球体腎炎、自己免疫性甲状腺炎、強直性脊椎炎、全身性硬化症および多発性硬化症)、急性および慢性の炎症性疾患(例えば、全身性のアナフィラキシーまたは過敏性反応、薬物アレルギー、虫刺されアレルギー、移植片拒絶(同種移植片拒絶や移植片対宿主疾患など))、シェーグレン症候群、およびヒト免疫不全ウイルス感染が挙げられる。
【0037】
発育異常疾患は、機能喪失または機能獲得をもたらす、成長または分化に関連する障害である。変性疾患は一般的に、組織が機能の低下した形態へと変化することを意味する。発育異常疾患または変性疾患の例としては、加齢性黄斑変性症、角膜血管新生、虹彩新生血管、脊髄性筋萎縮症、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、パーキンソン病、およびアルツハイマー病が挙げられる。組織損傷は、酸化的ストレス(例えば、脳卒中または心筋梗塞における虚血再灌流)、補体活性化、移植片拒絶、化学物質(例えば、アルコール誘導性肝損傷または癌治療中の粘膜組織損傷)、ウイルス感染(例えば、C型肝炎感染に関連する糸球体障害)、ならびに機械的な力(例えば、スポーツ損傷)により引き起こされうる。組織損傷の例としては、脳損傷、神経損傷、心臓損傷、肝障害、骨格筋損傷、腎障害、膵損傷、肺損傷、皮膚損傷、肢虚血、無症候性虚血、心虚血、胃腸管損傷が挙げられる。
【0038】
癌は細胞群が自律増殖能を有する疾患のクラス、すなわち、急速に増殖する細胞増殖や場合によっては腫瘍転移に特徴づけられる異常状態である。癌の例としては、以下に制限されないが、白血病、肉腫、骨肉腫、リンパ腫、黒色腫、卵巣癌、皮膚癌、精巣癌、胃癌、膵臓癌、腎癌、乳癌、前立腺結腸直腸癌、頭頸部癌、脳腫瘍、食道癌、膀胱癌、副腎皮質癌、肺癌、気管支癌、子宮体癌、鼻咽頭癌、子宮頸または肝癌、結腸癌、腎癌、甲状腺癌、造血器腫瘍、および原発部位不明の癌などの癌腫および非上皮性悪性腫瘍が挙げられる。
【0039】
上述した治療を必要とする患者には、上記複素環化合物のうちの1つの有効量と他の治療薬の1以上の有効量とを同時に投与してもよい。治療薬としては、G−CSF、ステロイド性または非ステロイド性抗炎症薬、化学療法薬、抗血管新生薬、COX2阻害剤、ロイコトリエン受容体阻害剤、プロスタグランジン調節剤、TNF調節剤および免疫抑制剤(例えば、シクロスポリンA)が挙げられる。例えば、本発明の化合物と化学療法薬とを組み合わせて使用して癌(血液癌あるいは固形癌)を治療すればよい。理論により拘束されないが、血液癌(例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病)の治療時に複素間化合物が「化学増感剤」として作用して骨髄や化学療法薬から癌細胞を結集させ、その後これらの癌細胞を破壊することにより、高い治療効果が得られる。また、理論により拘束されないが、固形癌の治療時に複素間化合物が抗血管新生薬として作用し、化学療法薬と併用された場合に治療効果を増強させる。他の例としては、本発明の化合物と他の抗血管新生薬とを使用して、網膜症、加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、角膜血管新生、または虹彩新生血管を治療すればよい。G−CSFはより多くの白血球を生成するための骨髄を刺激する造血成長因子である。化学療法薬は癌細胞の増殖抑制剤または細胞毒薬剤である。抗血管新生薬は血管新生過程の阻害によってその治療効果を与える薬である。抗血管新生薬の例としては、以下に制限されないが、アバスチン(Avastin)、ルセンティス(Lucentis)、スニチニブ(Sunitinib)、ソラフェニブ(Sorafenib)が挙げられる。「同時に投与」との語は、2以上の活性剤を同時にまたは治療期間の異なる時点で投与することを意味する。同時投与の例としては、2以上の活性剤の固体または液体混合物の患者への適用が挙げられる。
【0040】
さらに他の形態において、本発明は骨髄由来細胞の血液への移行を増強する方法に関する。本方法は骨髄由来細胞の血液への移行を増強する必要のある患者に1以上の上記に示す化学式(I)の化合物の有効量を投与することを含む。「骨髄由来細胞」との語は、骨髄を由来とする細胞を意味する。骨髄由来細胞の例としては、以下に制限されないが、CD34+細胞およびCD133+細胞が挙げられる。好ましくは、骨髄由来細胞は幹細胞または内皮前駆細胞である。本方法では、有効量のG−CSF成長因子も使用されうる。
【0041】
上記病状の治療に使用される上記の1以上の化合物および製薬上許容されうる担体を含有する組成物、および上記治療用の薬剤の製造のための当該組成物の使用もまた、本発明の技術的範囲に包含されうる。
【0042】
本発明の1以上の実施形態の詳細を本明細書の以下に記載する。本発明の他の特徴、目的および利点は、本明細書および特許請求の範囲から明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
詳細な説明
本発明の化合物の例(化合物1〜150)を以下に記載する。
【0044】
【化9−1】

【0045】
【化9−2】

【0046】
【化9−3】

【0047】
【化9−4】

【0048】
【化9−5】

【0049】
【化9−6】

【0050】
【化9−7】

【0051】
【化9−8】

【0052】
【化9−9】

【0053】
上記化合物は本技術分野において周知の手法により調製されうる。
【0054】
スキームIはある一例の化合物を合成するための典型的な合成経路を示す。2つのハロ基を含む(RおよびRがハロである)化合物(1)がアミノ化合物(2)と反応して化学式(3)の化合物を得、これが窒素環原子を含むピペラジン化合物(4)と反応して化学式(5)の化合物を得る。最終的に、必要に応じて、得られた化合物を脱保護することにより、本発明の化合物の1つである化学式(6)の化合物が得られる。
【0055】
【化10】

【0056】
スキームIを多様な方法で変更して、本発明の他の化合物を調製することができる。例えば、化合物(2)と異なるアミノ化合物を使用してもよいし、ピペラジン化合物(4)をイミダゾリジンまたはジアゼパン化合物と置き換えてもよい。他の例として、化合物(6)を以下のスキームIIに示すようにさらに変更して、ホスホネート化合物(7)またはホスホン酸(8)を得てもよい。
【0057】
【化11】

【0058】
このようにして合成された化合物はカラムクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィー、または再結晶などの手法により精製されうる。
【0059】
以下の実施例1〜150において、本発明の化合物1〜150の調製について詳細に説明する。
【0060】
上記方法で使用される中間体は市販のものであってもよいし、あるいは本技術分野で公知の方法により調製することができる。最終的に本化合物の合成を可能とすべく、本発明は、適当な保護基を付加または除去するために、本明細書に明記した工程の前または後に、さらに工程を含んでもよい。また、所望の化合物を得るために、各種の合成工程を別の順序(順番)で行ってもよい。適用可能な化合物の合成に有用な合成化学的変換や保護基の方法論(保護および脱保護)は本技術分野において公知であり、例えば、R. Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.greene and P.G.M. Wuts,Protectivegroups in Organic Synthesis,2nd Ed.,John Wiley and Sons(1991);L. Fieser and M. Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);およびL. Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)ならびにこれらの続版に記載のものが挙げられる。
【0061】
本明細書に記載された化合物は非芳香族二重結合および1以上の非対称中心を含んでもよい。したがって、これらは、ラセミ体およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、ならびにシスまたはトランスの異性体として存在しうる。かような異性体の全てが意図される。
【0062】
上記化合物の少なくとも1つの有効量および製薬上許容されうる担体を含む薬剤組成物もまた、本発明の技術的範囲に包含される。さらに本発明は、上記の「概要」の欄に記載の疾患を有する患者に、当該疾患を治療する目的で、1以上の本発明の化合物の有効量を投与する方法を含む。また本発明は、患者に、骨髄由来細胞の血液への移行を増強する目的で、1以上の本化合物の有効量を投与する方法をも含む。
【0063】
「治療する」または「治療」との語は、上述した病状、当該病状の兆候、または当該病状の素因のある患者に、治療効果を得る(例えば、上述した病状、当該病状の兆候、または当該病状の素因を治癒、緩和、改変、作用、改善、または予防する)目的で、1以上の化合物を投与することを意味する。「有効量」とは、治療効果を得るのに必要な活性化合物の量を意味する。当業者には認識されているように、治療される疾患の種類、投与経路、賦形剤の使用、および他の治療法の併用の可能性に応じて、有効な投与量は変動するであろう。
【0064】
本発明の方法を実施するにあたり、1以上の化合物を含む組成物は、非経口的、経口的、経鼻的、経直腸的、局所的、または口腔的に投与されうる。本明細書で使用されている、「非経口」との語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内または頭蓋内への注射、および適当な任意の注入技術を意味する。組成物は、溶液、懸濁液、乳化液、錠剤、ピル、カプセル、粉末、ミクロ粒子、またはナノ粒子の形態をとりうる。これを配合して活性成分の制御放出または持続放出を達成することもできる。
【0065】
注射可能な滅菌組成物は、1,3−ブタンジオール中の溶液のように、非毒性で非経口的に許容されうる希釈剤または溶媒中の溶液または懸濁液でありうる。使用可能な許容されうる媒体および溶媒としては、マンニトール、水、リンゲル溶液および等張塩化ナトリウム溶液がある。また、固定油(例えば、合成モノまたはジグリセリド)が溶媒または懸濁化媒体として従来用いられている。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、オリーブ油またはヒマシ油(特にポリオキシエチル化体)のような製薬上許容されうる天然油のように、注射可能物質の調製に有用である。これらのオイル溶液または懸濁液は長鎖状のアルコール希釈液もしくは分散剤、カルボキシメチルセルロースまたは同様の分散剤を含みうる。トウィーン(Tween)もしくはスパン(Span)のような通常使用される他の界面活性剤または他の製薬上許容されうる固体、液体もしくは他の投与体の製造において通常使用される他の同様の乳化剤もしくはバイオアベイラビリティ向上剤もまた調剤目的のために使用されうる。
【0066】
経口投与用の組成物は、カプセル、錠剤、乳化液および水性懸濁液、分散液、ならびに溶液などの、経口で許容されうる任意の剤形でありうる。錠剤の場合、通常使用される担体としては乳糖およびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、一般的に添加される。カプセル形態での経口投与のために有用な希釈剤としては乳糖および乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液または乳化液を経口的に投与する場合には、乳化剤または懸濁化剤と組み合わせた油相中に活性成分を懸濁または溶解させればよい。所望により、特定の甘味剤、矯味剤または着色剤を添加してもよい。
【0067】
経鼻エアロゾルまたは吸入組成物は、医薬の製剤の分野において周知の技術に従って調製されうる。例えば、かような組成物は、ベンジルアルコールもしくは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを改善するための吸収促進剤、フルオロカーボン類、および/または本技術分野において公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、食塩水中の溶液として調製されうる。
【0068】
点眼組成物または軟膏組成物を周知技術に従って調製し、使用することもできる。
【0069】
1または2以上の活性化合物を含む組成物を経直腸投与用の坐薬の形態で投与することもできる。薬剤組成物中の担体は、組成物中の活性成分と適合し(好ましくは、当該活性成分を安定化でき)、治療される患者に対して有害でないという意味で「許容されうる」ものでなければならない。1または2以上の可溶化剤が、活性化合物を送達するための医薬賦形剤として用いられうる。他の担体の例としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウムおよびディーアンドシーイエロー(D&C Yellow)♯10が挙げられる。
【0070】
上記化合物は、上述した疾患の治療における有効性についてインビトロでのアッセイ(後述する実施例269および270を参照)によって予めスクリーニングされた後に、動物実験および臨床試験によって確認されうる。他の方法は本技術分野における当業者には明らかであろう。
【0071】
本発明の化合物はCXCR4の拮抗剤として作用して、受容体に結合するためにCXCR4のリガンドであるSDF−1と競い合い、その結果、幹細胞および前駆細胞の動員/ホーミングにおいて重要なCXCR4/SDF−1シグナル伝達を妨害することがわかっている。理論により拘束されないが、本発明の化合物は組織損傷の治療および修復において下記のメカニズムを通して作用しうる。
【0072】
CXCR4/SDF−1シグナル伝達の妨害により、本発明の化合物は幹細胞および前駆細胞を骨髄、すなわち幹細胞/前駆細胞の保有宿主、から末梢血液へと動員するのを促進する。より具体的には、SDF−1は骨髄で高度に発現するので、CXCR4を発現する幹細胞および前駆細胞はCXCR4−SDF−1相互作用を介して骨髄に捕捉される。この相互作用を妨害することにより、本発明の化合物は幹細胞および前駆細胞を骨髄から末梢血液へと開放する。幹細胞および前駆細胞は、血液中を循環する間に、損傷が発生した組織および臓器へとホーミングし、欠損したために損傷を引き起こしていた細胞の種類へと分化することにより、損傷を修復する。
【0073】
網膜症の状態において、SDF−1は硝子体液中に高度に発現する。SDF−1は、幹細胞および前駆細胞で発現したCXCR4に結合してこれらの細胞の網膜への移動を円滑にすることにより、網膜症の発生および進行において重要な役割を果たす血管新生を引き起こす。本発明の化合物は、CXCR4/SDF−1シグナル伝達を妨害することによっても、幹細胞および前駆細胞が網膜へホーミングするのを防止し、その結果、効果的に網膜症を治療する。本化合物を網膜症の患者の目に局所的に適用してもよい。全身適用と違って、局所適用は幹細胞/前駆細胞を骨髄の外に動員しないため、これらの細胞の網膜へのホーミングを促進しない。
【0074】
以下の具体的な実施例は単に例示のためのものであって開示の残部をいかようにも制限するものではないと解釈されるべきである。さらに詳述するまでもなく、当業者であれば、本明細書の記載に基づき、本発明を最も広い範囲で利用可能であると考えられる。本明細書で引用されるすべての文献は参照によりその全体が組み込まれる。
【実施例】
【0075】
[実施例1:化合物1の調製]
【0076】
【化12】

【0077】
水(10.0L)および(Boc)O(3.33kg、15.3mol)をトランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸(化合物1−I、2.0kg、12.7mol)および重炭素ナトリウム(2.67kg、31.8mol)の溶液に添加した。反応混合物を室温で18時間撹拌した水層を濃塩酸(2.95L、pH=2)で酸性化した後に濾過した。得られた固体を回収し、3回水(15L)で洗浄してホットボックス(60℃)中で乾燥させ、トランス−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−シクロヘキサンカルボン酸(化合物1−II、3.17kg、97%)を白色固体として得た。
=0.58(EtOAc). LC−MS m/e 280(M+Na). H NMR(300MHz,CDCl) δ 4.58(brs,1H),2.98(t,J=6.3Hz,2H),2.25(td,J=12,3.3Hz,1H),2.04(d,J=11.1Hz,2H),1.83(d,J=11.1Hz,2H),1.44(s,9H),1.35〜1.50(m,3H),0.89〜1.03(m,2H). 13C NMR(75MHz,CDCl) δ 181.31,156.08,79.12,46.41,42.99,37.57,29.47,28.29,27.96. 融点:134.8〜135.0℃.
化合物1−II(1.0kg、3.89mol)のTHF(5L)懸濁液を−10℃で冷却し、トリエチルアミン(1.076L、7.78mol)およびクロロギ酸エチル(0.441L、4.47mol)を−10℃未満で添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。続いて反応混合物を再び−10℃で冷却し、NHOH(3.6L、23.34mol)を−10℃未満で添加した。反応混合物を室温18時間撹拌し、濾過した。固体を回収し、水(10L)で3回洗浄してホットボックス(60℃)中で乾燥させ、トランス−4−(tert−ブトキシカルボニルアミノメチル)−シクロヘキサンカルボン酸アミド(化合物1−III、0.8kg、80%)を白色固体として得た。
=0.23(EtOAc). LC−MS m/e 279,M+NaH NMR(300MHz,CDOD) δ 6.63(brs,1H),2.89(t,J=6.3Hz,2H),2.16(td,J=12.2,3.3Hz,1H),1.80〜1.89(m,4H),1.43(s,9H),1.37〜1.51(m,3H),0.90〜1.05(m,2H). 13C NMR(75MHz,CDOD) δ 182.26,158.85,79.97,47.65,46.02,39.28,31.11,30.41,28.93. 融点:221.6〜222.0℃.
化合物1−III(1.2kg、4.68mol)のCHCl(8L)懸濁液を−10℃で冷却し、トリエチルアミン(1.3L、9.36mol)およびトリフルオロ酢酸無水物(0.717L、5.16mol)を−10℃未満で添加した。反応混合物を3時間撹拌した。水(2.0L)を添加後、有機層を分離して、水(3.0L)で2回洗浄した。続いて有機層をシリカゲルに通し、濃縮した。得られた油を塩化メチレンによって結晶化させた。結晶をヘキサンで洗浄し、トランス−(4−シアノシクロヘキシルメチル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(化合物1−IV、0.95kg、85%)を白色固体として得た。
=0.78(EtOAc). LC−MS m/e 261,M+NaH NMR(300MHz,CDCl) δ 4.58(brs,1H),2.96(t,J=6.3Hz,2H),2.36(td,J=12,3.3Hz,1H),2.12(dd,J=13.3,3.3Hz,2H),1.83(dd,J=13.8,2.7Hz,2H),1.42(s,9H),1.47〜1.63(m,3H),0.88〜1.02(m,2H). 13C NMR(75MHz,CDCl) δ 155.96,122.41,79.09,45.89,36.92,29.06,28.80,28.25,28.00. 融点:100.4〜100.6℃.
化合物1−IV(1.0kg、4.196mol)を1,4−ジオキサン(8.0L)および水(2.0L)の混合物中に溶解させた。反応混合物に水酸化リチウム一水和物(0.314kg、4.191)、ラネーニッケル(0.4kg、2.334mol)および10%パラジウム担持炭素(0.46kg、0.216mol)を50%水懸濁液として添加した。反応混合物を水素雰囲気下50oCで20時間撹拌した。触媒を濾過して除去した後に、溶媒を真空中で除去し、水(1.0L)およびCHCl(0.3L)の混合物を添加した。相分離後、油層を水(1.0L)で洗浄して濃縮し、トランス−(4−アミノメチルシクロヘキシルメチル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(化合物1−V、0.97kg、95%)を淡黄色の粘性油として得た。
=0.20(MeOH/EtOAc=9/1). LC−MS m/e 243,M+HH NMR(300MHz,CDCl) δ 4.67(brs,1H),2.93(t,J=6.3Hz,2H),2.48(d,J=6.3Hz,2H),1.73〜1.78(m,4H),1.40(s,9H),1.35(brs,3H),1.19〜1.21(m,1H),0.77〜0.97(m,4H). 13C NMR(75MHz,CDCl) δ 155.85,78.33,48.27,46.38,40.80,38.19,29.87,29.76,28.07.
化合物1−V(806g)およびEtN(1010g、3等量)の1−ペンタノール(2.7L)溶液を90℃で15時間化合物1−VI(540g、1等量)を用いて処理した。TLCは反応の完了を示した。
【0078】
酢酸(1.5L)を反応混合物に25℃で添加した。溶液を1時間撹拌した。EtNHCl塩を濾過した。続いて濾液を50℃で1.5L(初期容積の1/6)まで真空濃縮した。その後、ジエチルエーテル(2.5L)を濃縮溶液に添加し、25℃で濾過した後に所望の生成物1−VII(841g、収率68%)を得た。
【0079】
中間体1−VII(841g)の溶液を、MeOH(8.1L)中の4N HCl/ジオキサン(2.7L)で処理し、25℃で15時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。混合物を50℃で1.5L(初期溶液の1/7)まで真空濃縮した。その後、ジエチルエーテル(5L)を溶液にゆっくりと添加し、1−VIIIのHCl塩(774g)を形成させ、濾過して、真空乾燥させた(<10torr)。中和のために、KCO(2.5kg、8等量)を25℃で1−VIIIのHCl塩のMeOH(17L)溶液に添加した。混合物を同温度で3時間(pH>12)撹拌して濾過した(1−VIIIの濾液中の推定量は504gである)。
【0080】
アルデヒド1−IX(581g、1−VIIのモル基準で1.0等量)を0〜10℃で1−VIIIの濾液に添加した。反応物を0〜10℃で3時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。続いて、NaBH(81g、1−VIIのモル基準で1.0等量)を10℃未満で添加し溶液を10〜15℃で1時間撹拌した。溶液を濃縮して残渣を得た後、これをCHCl(15L)で処理した。混合物をHO(1.2L)で希釈した飽和NHCl水溶液(300mL)を用いて洗浄した。CHCl層を濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(短カラム、他成分除去用移動相としてEtOAc;1−X収集用移動相としてMeOH/28%NHOH=97/3)で精製して、粗製1−X(841g)を得た。
【0081】
その後、EtN(167g、1等量)およびBocO(360g、1等量)を25℃で1−X(841g)のCHCl(8.4L)溶液に添加した。混合物を25℃で15時間撹拌した。反応の完了後(TLCによって証明)、溶液を濃縮し、得られた残渣にEtOAc(5L)を添加した。溶液を低圧下50℃で3L(初期容積の1/2)まで濃縮した。続いて、n−ヘキサン(3L)を濃縮溶液に添加した。シーディングによって50℃で固体生成物が形成し、濾過して蒸発させた後に所望の粗生成物1−XI(600g、収率60%)を得た。
【0082】
1−ペンタノール化合物(360mL)中の化合物1−XI(120.0g)およびピペラジン(1−XII、50.0g、3等量)にEtN(60.0g、3.0等量)を25℃で添加した。混合物を120℃で8時間撹拌した。酢酸エチル(480mL)を反応混合物に25℃で添加した。溶液を1時間撹拌した、EtNHCl塩を濾過し、溶液を濃縮してシリカゲル(EtOAc/MeOH=2:8)で精製することで、1−XIII(96g)を74%の収率で得た。
【0083】
中間体1−XIII(100mg)の溶液をCHCl(1mL)中の4N HCl/ジオキサン(2mL)で処理し、25℃で15時間撹拌した。混合物を濃縮して化合物1の塩酸塩(51mg)を得た(CI−MS(M+1):459.4)。
【0084】
[実施例2:化合物2の調製]
【0085】
【化13】

【0086】
中間体1−XIIIを実施例1に記載される通りに調製した。
【0087】
1−XIII(120g)のMeOH(2.4L)溶液にジエチルビニルホスホネート(2−I、45g、1.5等量)を25℃で添加した。混合物を65℃で24時間撹拌した。TLCおよびHPLCは反応の完了を示した。溶液を濃縮してシリカゲル(MeOH/CHCl=8/92)で精製することで、HPLCによる生成物の純度分析後に87gの2−II(収率53%、純度>98%、個々の単一不純物<1%)を得た。
【0088】
20%TFA/CHCl(36mL)の溶液を中間体2−II(1.8g)のCHCl(5mL)溶液に添加した。反応混合物を室温で15時間撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮して、化合物2のトリフルオロ酢酸塩(1.3g)を得た(CI−MS(M+1):623.1)。
【0089】
[実施例3:化合物3の調製]
【0090】
【化14】

【0091】
中間体2−IIを実施例2に記載される通りに調製した。
【0092】
2−II(300g)のCHCl(1800mL)溶液にTMSBr(450g、8等量)を10〜15℃で1時間かけて添加した。混合物を25℃で15時間撹拌した。溶液を真空下40℃で濃縮してTMSBrおよび溶媒を除去した。CHClを混合物に添加し、残渣を溶解させた。TMSBrおよび溶媒を再び真空下で除去し、3時間真空下(<1torr)で乾燥させた後に360gの粗固体を得た。その後、粗固体を7.5L IPA/MeOH(9/1)で洗浄し、濾過して真空下(<1torr)25℃で3時間乾燥させた後に化合物3(280g)を得た。EtOHによる結晶化によって化合物3の臭化水素塩(190g)を得た(CI−MS(M+1):567.0)。
【0093】
化合物3の臭化水素塩(5.27g)を20mLの水に溶解させ、濃縮水性アンモニア(pH=9−10)で処理し、混合物を真空蒸発させた。水(30mL)中の残渣をDowex 50WX8(H形態、100〜200メッシュ)のカラム(100mL、4.5x8cm)上に塗布し、溶出させた(溶出速度6mL/分)。溶出はまず水(2000mL)を用いて実施し、次いで0.2M水性アンモニアを用いて実施した。紫外線吸収アンモニア溶出液を蒸発乾固させ、化合物3のアンモニア塩(2.41g)を得た(CI−MS(M+1):567.3)。
【0094】
化合物3のアンモニア塩(1.5g)を水(8mL)に溶解させ、濃縮水性アンモニア(pH=11)でアルカリ性とした。そして、混合溶液をDowex 1X2(酢酸塩形態、100〜200メッシュ)のカラム(75mL、3x14cm)上に塗布し、溶出させた(溶出速度3mL/分)。溶出はまず水(900mL)を用いて実施し、次いで0.1M酢酸を用いて実施した。紫外線吸収酢酸溶出液を蒸発させ、残渣を水(5x50mL)で共蒸留させて、化合物3(1.44g)を得た(CI−MS(M+1):567.4)。
【0095】
[実施例4:化合物4の調製]
【0096】
【化15】

【0097】
化合物1の調製の際に中間体1−XIIIを得た。
【0098】
ジエチルビニルホスホネート(4−I、4g)のCHCl(120mL)溶液にオキサリルクロリド(15.5g、5等量)を添加し、混合物を30℃で36時間撹拌した。混合物をロータリー・エバボレーター上で真空濃縮し、対応するホスホクロリダートを定量的に得て、これをシクロヘキシルアミン(4−II、5.3g、2.2等量)、CHCl(40mL)、およびEtN(6.2g、2.5等量)の混合物に添加した。混合物を35℃で36時間撹拌した後に水で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させて、4−III(4.7g、収率85%)を褐色油として得た。
【0099】
化合物4−III(505mg)を中間体1−XIII(500mg)のMeOH(4mL)溶液に添加した。溶液を45℃で24時間撹拌した。溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH=4:1)で精製して、中間体4−IV(420mg)を63%の収率で得た。
【0100】
HClのエーテル(5mL)溶液を中間体4−IV(420mg)のCHCl(1.0mL)溶液に添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮した。得られた残渣をエーテルで洗浄し化合物4の塩酸塩(214mg)を得た(CI−MS(M+1):595.1)。
【0101】
[実施例5:化合物5の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物5を調製した(CI−MS(M+1):473.1)。
【0102】
[実施例6:化合物6の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物を調製した(CI−MS(M+1):473.4)。
【0103】
[実施例7:化合物7の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物7を調製した(CI−MS(M+1):473.4)。
【0104】
[実施例8:化合物8の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(−)−2−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物8を調製した(CI−MS(M+1):558.4)。
【0105】
[実施例9:化合物9の調製]
ピペラジンの代わりに2,6−ジメチルピペラジンを使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物9を調製した(CI−MS(M+1):487.4)。
【0106】
[実施例10:化合物10の調製]
ピペラジンの代わりに2−フェニルピペラジンを使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物10を調製した(CI−MS(M+1):535.4)。
【0107】
[実施例11:化合物11の調製]
ピペラジンの代わりに(1S,4S)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンジヒドロブロミドを使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物11を調製した(CI−MS(M+1):471.4)。
【0108】
[実施例12:化合物12の調製]
ピペラジンの代わりに6,9−ジアザ−スピロ[4.5]デカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物12を調製した(CI−MS(M+1):513.4)。
【0109】
[実施例13:化合物13の調製]
ピペラジンの代わりに1,4−ジアザ−スピロ[5.5]ウンデカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例1に記載された方法と同様の方法で、化合物13を調製した(CI−MS(M+1):527.5)。
【0110】
[実施例14:化合物14の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりに45℃でDMF中EtN存在下において2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウムを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物14を調製した。塩酸塩によりアミノ保護基を除去し、化合物14の塩酸塩を得た(CI−MS(M+1):567.3)。
【0111】
[実施例15:化合物15の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりに40℃でMeOH中メチルビニルスルホンを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物15を調製した。塩酸塩によりアミノ保護基を除去し、化合物15の塩酸塩を得た(CI−MS(M+1):565.4)。
【0112】
[実施例16:化合物16の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにフェニルビニルスルホンを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物16を調製した(CI−MS(M+1):627.4)。
【0113】
[実施例17:化合物17の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにCHCN中KCOの存在下でジエチル−1−ブロモプロピルホスホネートを使用したこと以外は実施例2に記載された方法と同様の方法で、化合物17を調製した(CI−MS(M+1):637.5)。
【0114】
[実施例18:化合物18の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにCHCN中KCOの存在下でジエチル−1−ブロモプロピルホスホネートを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物18を調製した(CI−MS(M+1):581.4)。
【0115】
[実施例19:化合物19の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにCHCN中KCOの存在下でジイソプロピル−1−ブロモメチルホスホネートを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物19を調製した(CI−MS(M+1):553.3)。
【0116】
[実施例20:化合物20の調製]
【0117】
【化16】

【0118】
中間体1−XIIIを実施例1に記載される通りに調製した。
【0119】
1−XIII(5g)のCHCN(150mL)溶液にブロモ酢酸エチル(20−I、1.25g)およびKCO(3.1g)を添加した。混合物を室温で2時間撹拌した。溶液を濾過し、濃縮し、シリカゲル(溶離剤としてEtOAcおよびMeOHを使用)で精製することにより20−II(5g)を88%の収率で得た。
【0120】
20−II(4g)のCHCl(60mL)溶液に20%TFA/CHCl(40mL)を添加し、室温で一晩撹拌した。溶液を濃縮し、アセトン(75mL)中の残渣にHCl(1,4−ジオキサン中4N、21.5mL)を室温で0.5時間かけて添加した。溶媒を除去し、残渣をエーテルで処理して塩酸塩20(3g)を得た(CI−MS(M+1):545.5)。
【0121】
[実施例21:化合物21の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例2に記載された方法と同様の方法で、化合物21を調製した(CI−MS(M+1):637.4)。
【0122】
[実施例22:化合物22の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物22を調製した(CI−MS(M+1):581.2)。
【0123】
[実施例23:化合物23の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例4に記載された方法と同様の方法で、化合物23を調製した(CI−MS(M+1):609.4)。
【0124】
[実施例24:化合物24の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例17に記載された方法と同様の方法で、化合物24を調製した(CI−MS(M+1):651.4)。
【0125】
[実施例25:化合物25の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例14に記載された方法と同様の方法で、化合物25を調製した(CI−MS(M+1):581.4)。
【0126】
[実施例26:化合物26の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例15に記載された方法と同様の方法で、化合物26を調製した(CI−MS(M+1):579.3)。
【0127】
[実施例27:化合物27の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例16に記載された方法と同様の方法で、化合物27を調製した(CI−MS(M+1):641.5)。
【0128】
[実施例28:化合物28の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例2に記載された方法と同様の方法で、化合物28を調製した(CI−MS(M+1):636.8)。
【0129】
[実施例29:化合物29の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物29を調製した(CI−MS(M+1):581.1)。
【0130】
[実施例30:化合物30の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例17に記載された方法と同様の方法で、化合物30を調製した(CI−MS(M+1):651.5)。
【0131】
[実施例31:化合物31の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例18に記載された方法と同様の方法で、化合物31を調製した(CI−MS(M+1):595.4)。
【0132】
[実施例32:化合物32の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例2に記載された方法と同様の方法で、化合物32を調製した(CI−MS(M+1):637.1)。
【0133】
[実施例33:化合物33の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物33を調製した(CI−MS(M+1):581.1)。
【0134】
[実施例34:化合物34の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例17に記載された方法と同様の方法で、化合物34を調製した(CI−MS(M+1):651.5)。
【0135】
[実施例35:化合物35の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例18に記載された方法と同様の方法で、化合物35を調製した(CI−MS(M+1):595.5)。
【0136】
[実施例36:化合物36の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(−)−2−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物36を調製した(CI−MS(M+1):666.5)。
【0137】
[実施例37:化合物37の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(−)−2−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを使用したこと以外は実施例17に記載された方法と同様の方法で、化合物37を調製した(CI−MS(M+1):736.5)。
【0138】
[実施例38:化合物38の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(−)−2−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを使用したこと以外は実施例18に記載された方法と同様の方法で、化合物38を調製した(CI−MS(M+1):680.5)。
【0139】
[実施例39:化合物39の調製]
ピペラジンの代わりに2,6−ジメチルピペラジンを使用したこと以外は実施例17に記載された方法と同様の方法で、化合物39を調製した(CI−MS(M+1):665.5)。
【0140】
[実施例40:化合物40の調製]
ピペラジンの代わりに2,6−ジメチルピペラジンを使用したこと以外は実施例18に記載された方法と同様の方法で、化合物40を調製した(CI−MS(M+1):609.5)。
【0141】
[実施例41:化合物41の調製]
ピペラジンの代わりに2−フェニルピペラジンを使用したこと以外は実施例2に記載された方法と同様の方法で、化合物41を調製した(CI−MS(M+1):699.5)。
【0142】
[実施例42:化合物42の調製]
ピペラジンの代わりに2−フェニルピペラジンを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物42を調製した(CI−MS(M+1):643.4)。
【0143】
[実施例43:化合物43の調製]
ピペラジンの代わりに2−フェニルピペラジンを使用したこと以外は実施例17に記載された方法と同様の方法で、化合物43を調製した(CI−MS(M+1):713.5)。
【0144】
[実施例44:化合物44の調製]
ピペラジンの代わりに2−フェニルピペラジンを使用したこと以外は実施例18に記載された方法と同様の方法で、化合物44を調製した(CI−MS(M+1):657.4)。
【0145】
[実施例45:化合物45の調製]
ピペラジンの代わりに(1S,4S)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンジヒドロブロミドを使用したこと以外は実施例2に記載された方法と同様の方法で、化合物45を調製した(CI−MS(M+1):635.5)。
【0146】
[実施例46:化合物46の調製]
ピペラジンの代わりに(1S,4S)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンジヒドロブロミドを使用したこと以外は実施例3に記載された方法と同様の方法で、化合物46を調製した(CI−MS(M+1):579.4)。
【0147】
[実施例47:化合物47の調製]
ピペラジンの代わりに6,9−ジアザ−スピロ[4.5]デカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例17に記載された方法と同様の方法で、化合物47を調製した(CI−MS(M+1):691.5)。
【0148】
[実施例48:化合物48の調製]
ピペラジンの代わりに6,9−ジアザ−スピロ[4.5]デカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例18に記載された方法と同様の方法で、化合物48を調製した(CI−MS(M+1):635.5)。
【0149】
[実施例49:化合物49の調製]
ピペラジンの代わりに1,4−ジアザ−スピロ[5.5]ウンデカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例17に記載された方法と同様の方法で、化合物49を調製した(CI−MS(M+1):705.5)。
【0150】
[実施例50:化合物50の調製]
ピペラジンの代わりに1,4−ジアザ−スピロ[5.5]ウンデカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例18に記載された方法と同様の方法で、化合物50を調製した(CI−MS(M+1):649.5)。
【0151】
[実施例51:化合物51の調製]
【0152】
【化17】

【0153】
中間体1−IIを実施例1に記載される通りに調製した。
【0154】
中間体1−II(31.9g)のトルエン(150mL)懸濁液にホスホルアジド酸ジフェニルエステル(51−I、32.4g)およびEtN(11.9g)を25℃で1時間かけて添加した。反応混合物を80℃で3時間撹拌した後に25℃に冷却した。ベンジルアルコール(51−II、20g)を添加後、反応混合物を80℃でさらに3時間撹拌し、次いで120℃で一晩温めた。その後、これを濃縮し、EtOAcおよびHOに再び溶解させた。有機層を収集した。水槽をEtOAcで抽出した。複合有機層を2.5N HCl、飽和水性NaHCOおよびブラインで洗浄し、無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。このようにして得た残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:2)で精製し、中間体51−III(35g)を79%の収率で得た。
【0155】
4N HCl/ジオキサン(210mL)で処理した中間体51−III(35g)のMeOH(350mL)溶液を室温で一晩撹拌した。エーテル(700mL)の添加後、溶液を濾過した。固体を真空乾燥させた。この固体のCHCNとイソプロパノールとの懸濁液にKCOを室温で10分間かけて添加した。水の添加後、反応混合物を室温で2時間撹拌し、濾過し、無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてCHClおよびMeOHを使用)で精製することで中間体51−IV(19g)を76%の収率で得た。
【0156】
中間体1−IX(21g)を中間体51−IV(19g)のCHCl(570mL)溶液に添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。続いて、NaBH(OAc)(23g)を25℃で一晩かけて添加した。溶液の濃縮後、飽和水性NaHCO溶液を得られた残渣に添加した。次いで、混合物をCHClで抽出した。溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAcおよびMeOHを使用)で精製することで、中間体51−V(23.9g)を66%の収率で得た。
【0157】
中間体51−V(23.9g)およびBocO(11.4g)のCHCl(200mL)溶液をEtN(5.8mL)に25℃で一晩かけて添加した。続いて、溶液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAcおよびヘキサンを使用)で精製することで、中間体51−VI(22g)を77%の収率で得た。
【0158】
10%Pd/C(2.2g)を中間体51−VI(22g)のMeOH(44mL)懸濁液に添加した。混合物を水素雰囲気下室温で一晩撹拌し、濾過し、濃縮した。このようにして得た残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAcおよびMeOHを使用)で精製することで中間体51−VII(16.5g)を97%の収率で得た。
【0159】
1−ペンタノール(75mL)中の中間体51−VII(16.5g)およびEtN(4.4mL)を2,4−ジクロロ−6−アミノピリミジン(1−VI、21g)と120℃で一晩反応させた。続いて溶媒を除去し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAcおよびヘキサンを使用)で精製することで中間体51−VIII(16.2g)を77%の収率で得た。
【0160】
中間体51−VIII(16.2g)およびピペラジン(1−XII、11.7g)の1−ペンタノール(32mL)溶液をEtN(3.3mL)に120℃で一晩かけて添加した。溶液の濃縮後、残渣を水で処理し、CHClで抽出した。有機層を収集し、濃縮した。このようにして得た残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAc/MeOH〜28%NHOH/MeOHを使用)で精製することで中間体51−IX(13.2g)を75%の収率で得た。
【0161】
ジエチルビニルホスホネート(2−I)を実施例3に記載される通りに51−IXで処理して化合物51の臭化水素塩を得た(CI−MS(M+1):553.3)。
【0162】
[実施例52:化合物52の調製]
中間体1−XIIIの代わりに中間体51−IXを使用したこと以外は実施例4に記載された方法と同様の方法で、化合物52を調製した(CI−MS(M+1):581.2)。
【0163】
[実施例53:化合物53の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにCHCN中KCOの存在下でジエチル−1−ブロモプロピルホスホネートを使用したこと以外は実施例51に記載された方法と同様の方法で、化合物53を調製した(CI−MS(M+1):567.2)。
【0164】
[実施例54:化合物54の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例51に記載された方法と同様の方法で、化合物54を調製した(CI−MS(M+1):566.7)。
【0165】
[実施例55:化合物55の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例53に記載された方法と同様の方法で、化合物55を調製した(CI−MS(M+1):580.7)。
【0166】
[実施例56:化合物56の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりに45℃でDMF中EtN存在下において2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウムを使用したこと以外は実施例51に記載された方法と同様の方法で、化合物56を調製した(CI−MS(M+1):553.2)。
【0167】
[実施例57:化合物57の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりに40℃でMeOH中メチルビニルスルホンを使用したこと以外は実施例51に記載された方法と同様の方法で、化合物57を調製した。塩酸塩によりアミノ保護基を除去し、化合物57の塩酸塩を得た(CI−MS(M+1):551.3)。
【0168】
[実施例58:化合物58の調製]
【0169】
【化18】

【0170】
2−アミノエチルアニリン(58−1、2.92g)のMeOH(300mL)溶液を1−IX(4.56g)に添加した。混合物を60度で8時間撹拌した。続いて、NaBH(0.68g)を0℃で0.5時間かけて添加し、溶媒を除去することにより濃縮した。得られた残渣にNHCl(10%、10mL)の水溶液を添加した。混合物をCHClで抽出し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させた。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH=1/1)で精製することにより58−II(4.2g)を63%の収率で得た。
【0171】
58−II(4.2g)およびBocO(2.8g)のCHCl(250mL)溶液にEtN(1.4mL)を25℃で一晩かけて添加した。続いて溶液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/5)で精製することで58−III(4g)を75%の収率で得た。
【0172】
MeOH(20mL)中の化合物58−III(4.0g)を10%Pd/C(800mg)および5%Rh/C(400mg)の存在下において室温下50psiで18時間かけて水素化した。その後混合物を濾過し、蒸発させ、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAc/MeOH)で精製することで58−IV(2.8g)を69%の収率で得た。
【0173】
1−ペンタノール(5mL)中の化合物58−IV(900mg)およびEtN(0.4mL)を2,4−ジクロロ−6−アミノピリミジン(1−VI、365mg)と120℃で24時間反応させた。溶媒を除去し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/1)で精製することで58−V(842mg)を74%の収率で得た。
(S)−(−)−2−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミド(58−VI、274mg)を1ペンタノール(1mL)中の58−V(300mg)に添加し、混合物を120℃で18時間撹拌した。溶液を濃縮してSiOで被覆された残渣を得、シリカゲル(EtOAc/MeOH=7/3)で精製することで58−VII(242mg)を65%の収率で得た。
【0174】
58−VII(200mg)のCHCN(20mL)溶液にブロモ酢酸エチル(20−I、44mg)およびKCO(182mg)を添加した。混合物を60℃で2時間撹拌した。溶液を濾過し、濃縮し、シリカゲル(溶離剤としてEtOAcおよびMeOH)で精製することで、58−VIII(133mg)を60%の収率で得た。
【0175】
THF(10mL)中に溶解した化合物58−VIII(500mg)に0.5M LiOH(10mL)を添加した。混合物を室温で15時間撹拌した。続いて、これを2.5M HCl(PH=9)で酸性化し、濾過することで黄色固体58−IXを得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAc/MeOH〜21%NH(aq)/MeOH)で精製することで中間体58−IX(324mg)を67%の収率で得た。
【0176】
58−IX(200mg)のCHCl(2mL)溶液に20%TFA/CHCl(4mL)を添加した。溶液を室温で2時間撹拌した。溶媒を除去することで化合物58のトリフルオロ酢酸塩(260mg)を得た(CI−MS(M+1):615.8)。
【0177】
[実施例59:化合物59の調製]
ブロモ酢酸エチルの代わりに3−ブロモプロピオン酸エチルを使用したこと以外は実施例58に記載された方法と同様の方法で、化合物59を調製した(CI−MS(M+1):629.8)。
【0178】
[実施例60:化合物60の調製]
【0179】
【化19】

【0180】
中間体1−Vを実施例1に記載される通りに調製した。
【0181】
アセトン(10mL)に溶解したベンジル1−ピペラジンカルボキシラート(60−II、1.3g)および水(10mL)中のNaHCO(0.5g)をトリアジン60−I(1.1g)のアセトン(24mL)と水(36mL)との溶液に0℃で同時に添加した。溶液を25℃で2時間撹拌して固体を得た。濾過により化合物60−IIIを得、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0182】
化合物60−III(2.0g)のアセトン(20mL)溶液に水性水酸化アンモニウム溶液(10mL)を25℃で添加した。15時間後、アセトンを減圧除去し、化合物60−IVを沈殿させ、濾過し、アセトン(10mL)で洗浄し、乾燥することで、1.9gの60−IVを91%の全収率で得た。
【0183】
中間体1−V(1.45g)およびEtN(1.6mL)のイソプロピルアルコール(10mL)溶液を化合物60−IV(1.9g)と60℃で一晩かけて反応させた。反応混合物を減圧下で蒸発させた。このようにして得た残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAc)で精製することで中間体60−V(2.2g)を70%の収率で得た。
【0184】
中間体60−V(17g)の溶液をMeOH(180mL)中の4N HCl/ジオキサン(160mL)で処理し、室温で一晩撹拌した。エーテル添加後、溶液を濾過した。このようにして得た固体を真空乾燥した。上記固体のMeOH溶液にKCOを室温で添加した。得られた混合物を1時間撹拌して濾過した。中間体1−IX(7.78g)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。次いでNaBH(1.0g)を25℃で添加した。混合物を一晩撹拌した後濃縮した。飽和水性NHCl溶液を添加した。混合物をCHClで抽出した。有機層を収集し、無水MgSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてMeOH)で精製することで、中間体60−VII(16g)を74%の収率で得た。
【0185】
HClのエーテル(3mL)溶液を中間体60−VII(200mg)のCHCl(1.0mL)溶液に添加した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮した。得られた残渣をエーテルで洗浄することで化合物60の塩酸塩(128mg)を得た(CI−MS(M+1):594.2)。
【0186】
[実施例61:化合物61の調製]
【0187】
【化20】

【0188】
中間体1−Vを実施例1に記載される通りに調製した。
【0189】
化合物1−V(120g)およびEtN(150g、3等量)のCHCl(2.6L)溶液をクロロギ酸ベンジル(61−I、84g、1等量)と−10℃で15時間反応させた。TLCは反応の完了を示した。
【0190】
中間体61−II(167g)をMeOH(1.2L)中の4N HCl/ジオキサン(280mL)で処理した。混合物を室温で一晩撹拌した。エーテルの添加後、溶液を濾過した。このようにして得た固体を真空乾燥させた。上記固体のMeOH溶液にKCOを室温で添加した。1時間撹拌後、溶液を濾過し、中間体1−IX(101.2g)を添加した。混合物を25℃で2時間撹拌した。次いで、NaBH(12g)を25℃で添加し、混合物を一晩撹拌した。続いて、溶液を濃縮し、飽和水性NHCl溶液を添加した。混合物をCHClで抽出し、無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。このようにして得た残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてMeOH)で精製することで中間体61−IV(100g)を32%の収率で得た。
【0191】
EtN(29.2mL)を中間体61−IV(80g)およびBocO(5g)のCHCl(200mL)溶液に25℃で添加した。溶液を一晩撹拌した後に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAc)で精製することで中間体61−V(80g)を84%の収率で得た。
【0192】
MeOH中H(1atm)雰囲気下で61−V(38g)をPd/C(10%、3.8g)と接触水素化させることにより、中間体61−VI(29g)を得た。
【0193】
THF(200mL)に溶解した61−VI(26.1g)およびTHF(200mL)に溶解したN,N−ジイソプロピルエチルアミン(7.8g)をトリアジン60−I(10g)のTHF(200mL)溶液に0℃で同時に添加した。溶液を25℃で2時間撹拌し、固体を得た。濾過により化合物61−VIIを得、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0194】
化合物61−VII(30g)のTHF(1000mL)溶液に水性水酸化アンモニウム溶液(50mL)を25℃で添加した。15時間後、THFを減圧下で蒸発させ、化合物61−VIIIを沈殿させ、濾過し、乾燥することで、23.9gの61−VIIIを70%の全収率で得た。
【0195】
ペンタノール化合物(3mL)中の61−VIII(2.0g)およびピペラジン(1−XII、0.83g)に、EtN(0.97g)を25℃で添加した。混合物を120℃で8時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。酢酸エチル(480mL)を反応混合物に25℃で添加した。溶液を1時間撹拌した。EtNHCl塩を濾過し、溶液を濃縮してシリカゲル(EtOAc/MeOH=2:8)で精製することで、61−IX(1.0g)を46%の収率で得た。
【0196】
HClのエーテル(5mL)溶液を中間体61−IX(420mg)のCHCl(1.0mL)溶液に添加した。反応混合物を12時間室温で撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮した。得られた残渣をエーテルで洗浄することで塩酸塩(293mg)を得た(CI−MS(M+1):460.0)。
【0197】
[実施例62:化合物62の調製]
【0198】
【化21】

【0199】
中間体61−VIIIを実施例61に記載される通りに調製した。
【0200】
ジエチルビニルホスホネート(2−I、213mg)を中間体61−VIII(570mg)のMeOH(20mL)溶液に添加した。溶液を25℃で12時間撹拌した。その後混合物を濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EA/MeOH=5/1)で精製することで中間体62−I(290mg)を42%の収率で得た。
【0201】
20%TFA/CHCl(5mL)の溶液を中間体62−I(430mg)のCHCl(2mL)溶液に添加した。反応混合物を8時間室温で撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮した。得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EA/MeOH=1/1)で精製することにより化合物62のトリフルオロ酢酸塩(175mg)を得た(CI−MS(M+1):642.4)。
【0202】
[実施例63:化合物63の調製]
【0203】
【化22】

【0204】
中間体62−Iを実施例62に記載される通りに調製した。
【0205】
化合物62−I(610mg)およびトリメチルシリルブロミド(1.21g)のCHCl(30mL)溶液を25℃で72時間撹拌した。その後溶液を真空濃縮して黄色−オレンジ色泡状物を得た。EtOHによる結晶化によって化合物63(189mg)の臭化水素酸塩を得た(CI−MS(M+1):568.0)。
【0206】
[実施例64:化合物64の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物64を調製した(CI−MS(M+1):474.4)。
【0207】
[実施例65:化合物65の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物65を調製した(CI−MS(M+1):474.4)。
【0208】
[実施例66:化合物66の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物を調製した(CI−MS(M+1):474.1)。
【0209】
[実施例67:化合物67の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(−)−2−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物67を調製した(CI−MS(M+1):559.5)。
【0210】
[実施例68:化合物68の調製]
ピペラジンの代わりに2,6−ジメチルピペラジンを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物68を調製した(CI−MS(M+1):488.1)。
【0211】
[実施例69:化合物69の調製]
ピペラジンの代わりに2−フェニルピペラジンを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物69を調製した(CI−MS(M+1):536.4)。
【0212】
[実施例70:化合物70の調製]
ピペラジンの代わりに(1S,4S)−2,5−ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタンジヒドロブロミドを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物70を調製した(CI−MS(M+1):514.4)。
【0213】
[実施例71:化合物71の調製]
ピペラジンの代わりに6,9−ジアザ−スピロ[4.5]デカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物71を調製した(CI−MS(M+1):528.5)。
【0214】
[実施例72:化合物72の調製]
ピペラジンの代わりに1−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物72を調製した(CI−MS(M+1):474.4)。
【0215】
[実施例73:化合物73の調製]
ピペラジンの代わりに1−(2−モルホリノエチル)−ピペラジンを使用したこと以外は実施例61に記載された方法と同様の方法で、化合物73を調製した(CI−MS(M+1):573.5)。
【0216】
[実施例74:化合物74の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにCHCN中KCOの存在下でジエチル−1−ブロモプロピルホスホネートを使用したこと以外は実施例62に記載された方法と同様の方法で、化合物74を調製した(CI−MS(M+1):638.2)。
【0217】
[実施例75:化合物75の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにCHCN中KCOの存在下でジエチル−1−ブロモプロピルホスホネートを使用したこと以外は実施例63に記載された方法と同様の方法で、化合物75を調製した(CI−MS(M+1):582.0)。
【0218】
[実施例76:化合物76の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにCHCl中DIPEAの存在下でバレリルクロリドを使用したこと以外は実施例63に記載された方法と同様の方法で、化合物76を調製した。塩酸塩によりアミノ保護基を除去し、化合物76の塩酸塩を得た(CI−MS(M+1):544.4)。
【0219】
[実施例77:化合物77の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりにCHCN中KCOの存在下で4−ブロモ酪酸エチルを使用したこと以外は実施例63に記載された方法と同様の方法で、化合物77を調製した。LiOHによるエーテル基の加水分解によりアミノ酸化合物を得た。トリフルオロ酢酸によりアミノ保護基を除去し、化合物77のトリフルオロ酢酸塩を得た(CI−MS(M+1):546.2)。
【0220】
[実施例78:化合物78の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりに45℃でDMF中EtN存在下において2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウムを使用したこと以外は実施例63に記載された方法と同様の方法で、化合物78を調製した。塩酸塩によりアミノ保護基を除去し、化合物79の塩酸塩を得た(CI−MS(M+1):568.3)。
【0221】
[実施例79:化合物79の調製]
ジエチルビニルホスホネートの代わりに40℃でMeOH中メチルビニルスルホンを使用したこと以外は実施例78に記載された方法と同様の方法で、化合物79を調製した。塩酸塩によりアミノ保護基を除去し、化合物79の塩酸塩を得た(CI−MS(M+1):566.2)。
【0222】
[実施例80:化合物80の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例62に記載された方法と同様の方法で、化合物80を調製した(CI−MS(M+1):638.5)。
【0223】
[実施例81:化合物81の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例63に記載された方法と同様の方法で、化合物81を調製した(CI−MS(M+1):582.4)。
【0224】
[実施例82:化合物82の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例74に記載された方法と同様の方法で、化合物82を調製した(CI−MS(M+1):652.5)。
【0225】
[実施例83:化合物83の調製]
ピペラジンの代わりにホモピペラジンを使用したこと以外は実施例75に記載された方法と同様の方法で、化合物83を調製した(CI−MS(M+1):596.4)。
【0226】
[実施例84:化合物84の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例62に記載された方法と同様の方法で、化合物84を調製した(CI−MS(M+1):638.3)。
【0227】
[実施例85:化合物85の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例63に記載された方法と同様の方法で、化合物85を調製した(CI−MS(M+1):582.2)。
【0228】
[実施例86:化合物86の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例74に記載された方法と同様の方法で、化合物86を調製した(CI−MS(M+1):652.5)。
【0229】
[実施例87:化合物87の調製]
ピペラジンの代わりに(R)−(−)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例75に記載された方法と同様の方法で、化合物87を調製した(CI−MS(M+1):596.2)。
【0230】
[実施例88:化合物88の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例63に記載された方法と同様の方法で、化合物88を調製した(CI−MS(M+1):582.4)。
【0231】
[実施例89:化合物89の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例74に記載された方法と同様の方法で、化合物89を調製した(CI−MS(M+1):652.5)。
【0232】
[実施例90:化合物90の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(+)−2−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例75に記載された方法と同様の方法で、化合物90を調製した(CI−MS(M+1):596.0)。
【0233】
[実施例91:化合物91の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(−)−2−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを使用したこと以外は実施例74に記載された方法と同様の方法で、化合物91を調製した(CI−MS(M+1):737.6)。
【0234】
[実施例92:化合物92の調製]
ピペラジンの代わりに(S)−(−)−2−t−ブチル−2−ピペラジンカルボキサミドを使用したこと以外は実施例75に記載された方法と同様の方法で、化合物92を調製した(CI−MS(M+1):681.5)。
【0235】
[実施例93:化合物93の調製]
ピペラジンの代わりに2,6−ジメチルピペラジンを使用したこと以外は実施例74に記載された方法と同様の方法で、化合物93を調製した(CI−MS(M+1):666.5)。
【0236】
[実施例94:化合物94の調製]
ピペラジンの代わりに2,6−ジメチルピペラジンを使用したこと以外は実施例75に記載された方法と同様の方法で、化合物94を調製した(CI−MS(M+1):610.4)。
【0237】
[実施例95:化合物95の調製]
ピペラジンの代わりに2−フェニルピペラジンを使用したこと以外は実施例75に記載された方法と同様の方法で、化合物95を調製した(CI−MS(M+1):658.4)。
【0238】
[実施例96:化合物96の調製]
ピペラジンの代わりに6,9−ジアザ−スピロ[4.5]デカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例74に記載された方法と同様の方法で、化合物96を調製した(CI−MS(M+1):692.5)。
【0239】
[実施例97:化合物97の調製]
ピペラジンの代わりに6,9−ジアザ−スピロ[4.5]デカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例75に記載された方法と同様の方法で、化合物97を調製した(CI−MS(M+1):636.5)。
【0240】
[実施例98:化合物98の調製]
ピペラジンの代わりに1,4−ジアザ−スピロ[5.5]ウンデカン二塩酸塩を使用したこと以外は実施例75に記載された方法と同様の方法で、化合物98を調製した(CI−MS(M+1):650.5)。
【0241】
[実施例99:化合物99の調製]
【0242】
【化23】

【0243】
4−シアノベンジルアルデヒド(99−I、5g)およびN−シクロヘキシル−1,3−プロパンジアミン(99−II、6g)のCHOH(100mL)溶液を60℃で6時間加熱した。室温に冷却した後にNaBH(2.5g)をゆっくりと該溶液に添加した。混合物をさらに30分間撹拌した後に濃縮してNHCl(aq)でクエンチし、CHClで抽出した。有機層を収集し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、残渣を得た。残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/EtN=4/1)で精製し、中間体99−III(7.2g)を70%の収率で得た。
【0244】
中間体99−III(7.2g)およびBocO(17.3g)のCHCl(280mL)溶液を25℃で15時間撹拌した後に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/1)で精製することで、中間体99−IVを黄色油として得た(10.6g、収率:85%)。
【0245】
中間体99−IV(4.7g)およびNiCl(64mg)のCHOH(100mL)溶液を25℃で撹拌した。0℃に冷却後、NaBH(1.83g)をゆっくりと添加し、混合物をさらに15時間撹拌した。溶液を濃縮してNHCl(aq)でクエンチし、CHClで抽出した。複合有機層を水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、残渣を得た。残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(21%NH(aq)/MeOH=1/19)で精製することで中間体99−V(2.36g)を50%の収率で得た。
【0246】
THF(50mL)中に溶解した99−V(3.4g)およびTHF(50mL)中に溶解したN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.92g)をTHF(50mL)中のトリアジン60−I(1.3g)に0℃で同時に添加した。溶液を25℃で2時間撹拌して固体を得た。濾過により化合物99−VIを得、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0247】
化合物99−VI(4.3g)のTHF(100mL)溶液に水性水酸化アンモニウム溶液(10mL)を25℃で添加した。15時間後、THFを減圧下で蒸発させ、化合物99−VIIを沈殿させ、濾過し、乾燥して、3gの99−VIIを70%の全収率で得た。
【0248】
1−ペンタノール(3mL)中の化合物99−VII(500mg)およびピペラジン(1−XII、211mg)にEtN(248mg)を25℃で添加した。混合物を120℃で8時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。酢酸エチル(120mL)を反応混合物に25℃で添加した。溶液を1時間撹拌した。EtNHCl塩を濾過し、溶液を濃縮し、シリカゲル(EtOAc/MeOH=2:8)で精製することで、99−VIII(460mg)を85%の収率で得た。
【0249】
HClのエーテル(5mL)溶液を中間体99−VIII(200mg)のCHCl(1.0mL)溶液に添加した。反応混合物を12時間室温で撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮した。得られた残渣をエーテルで洗浄することで化合物99の塩酸塩(110mg)を得た(CI−MS(M+1):454.1)。
【0250】
[実施例100:化合物100の調製]
ピペラジンの代わりに1−メチルピペラジンを使用したこと以外は実施例99に記載された方法と同様の方法で、化合物100を調製した(CI−MS(M+1):468.0)。
【0251】
[実施例101:化合物101の調製]
【0252】
【化24】

【0253】
THF(100mL)中のシス−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(101−I、10g)にオキサリルクロリド(101−II、15.5g)を0℃で添加した後にDMF(数滴)を添加した。混合物を室温で15時間撹拌した。溶液を濃縮し、残渣をTHF(100mL)に溶解させた。混合物溶液を水酸化アンモニウム(80mL)に添加し、1時間撹拌した。溶液を濃縮し、濾過することで、粗生成物101−III(7.7g)を得た。
【0254】
THF(200mL)中の化合物101−III(7.7g)をTHF(200mL)中のLiAlH(8.6g)に0℃でゆっくりと添加した。混合物溶液を65℃で15時間撹拌した。NaSO・10HOを室温で添加し、1時間撹拌した。得られた混合物を濾過することで濾液を得、これを濃縮した。残渣をCHCl(100mL)に溶解させた。EtN(27g)および(Boc)O(10g)を室温で添加した。溶液を15時間撹拌した後に、濃縮して、残渣を得た。エーテルを得られた残渣に添加した。濾過し、真空下で乾燥させることにより、粗生成物101−IV(8.8g)を得た。
【0255】
化合物101−IV(1.1g)およびEtN(1.7g)の1−ペンタノール(10mL)溶液を2,4−ジクロロ−6−アミノピリミジン(1−VI、910mg)と90℃で15時間反応させた。TLCは反応の完了を示した。酢酸エチル(10mL)を反応混合物に25℃で添加した。溶液を1時間撹拌した。EtNHCl塩を除去した。濾液を濃縮し、シリカゲル(EtOAc/ヘキサン=1:2)で精製することで、所望の生成物101−V(1.1g、収率65%)を得た。
【0256】
中間体101−V(1.1g)の溶液をMeOH(10mL)中の4N HCl/ジオキサン(10mL)で処理し、25℃で15時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。混合物を濃縮し、濾過し、真空下(<10torr)で乾燥させた。中和中和のために、KCO(3.2g)をHCl塩のMeOH(20mL)溶液に25℃で添加した。混合物を同温度で3時間撹拌し(pH>12)、濾過した。アルデヒド1−IX(759mg)を濾液に0〜10℃で添加した。反応物を0〜10℃で3時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。その後、NaBH(112mg)を10℃未満で添加し、溶液を10〜15℃で1時間撹拌した。溶液を濃縮し、残渣を得た後に、これをCHCl(10mL)で処理した。混合物を飽和NHCl(aq)溶液で洗浄した。CHCl層を濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(MeOH/28%NHOH=97/3)で精製することで、中間体101−VI(1.0g、収率66%)を得た。
【0257】
EtN(600mg)およびBocO(428mg)を101−VI(1.0g)のCHCl(10mL)溶液に25℃で添加した。混合物を25℃で15時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。溶液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:1)で精製することで、中間体101−VII(720mg、収率60%)を得た。
【0258】
化合物101−VII(720mg)およびピペラジン(1−XII、1.22g)の1−ペンタノール(10mL)溶液にEtN(1.43g)を25℃で添加した。混合物を120℃で24時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。酢酸エチル(20mL)を25℃で添加した。溶液を1時間撹拌した。EtNHCl塩を除去し、溶液を濃縮して、シリカゲル(EtOAc/MeOH=2:8)で精製することで、101−VIII(537mg)を69%の収率で得た。
【0259】
101−VIII(537mg)のMeOH(11mL)溶液にジエチルビニルホスホネート(2−I、201mg)を25℃で添加した。混合物を65℃で24時間撹拌した。TLCおよびHPLCは反応の完了を示した。溶液を濃縮して、シリカゲル(MeOH/CHCl=1:9)で精製することで、101−IX(380mg)を57%の収率で得た。
【0260】
101−IX(210mg)のCHCl(5mL)溶液にTMSBr(312mg)を10〜15℃で1時間かけて添加した。混合物を25℃で15時間撹拌した。溶液を濃縮し、TMSBrおよび溶媒を真空下40℃で除去した後に、CHClを添加して残渣を溶解させた。その後、TMSBrおよび溶媒を真空下でさらに除去し、CHClを4回繰り返し添加した。溶液を濃縮することで、化合物101の臭化水素酸塩(190mg)を得た(CI−MS(M+1):566.9)。
【0261】
[実施例102:化合物102の調製]
【0262】
【化25】

【0263】
中間体61−IIを実施例61に記載される通りに調製した。
【0264】
CHCl(10mL)中の中間体61−II(1.0g)およびDL−10−カンファースルホン酸(150mg)にアクロレイン(102−I、446mg)を0℃で添加した。反応物を25℃で15時間撹拌した。溶液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:1)で精製することで、中間体102−II(180mg)を16%の収率で得た。
【0265】
中間体102−II(1.13g)およびピペリジン(102−III、222mg)をMeOH(10mL)に溶解させた。混合物を0℃で3時間撹拌した。NaBH(119mg)を0℃で添加し、溶液を1時間撹拌した。溶液を濃縮し、CHClを添加した。混合物を飽和NHCl(aq)溶液で洗浄した。CHCl層を濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:1)で精製することで、中間体102−IV(737mg)を56%の収率で得た。
【0266】
MeOH(10mL)中の102−IV(737mg)およびPd/C(10%,20mg)をH(1atm)雰囲気下で18時間撹拌した。セライトカラムを通して濾過し、MeOHを除去することで、中間体102−V(580mg)を得た。
【0267】
化合物102−V(580mg)およびEtN(480mg)の1−ペンタノール(10mL)溶液を2,4−ジクロロ−6−アミノピリミジン(1−VI、258mg)と120℃で15時間反応させた。溶液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:2)で精製することで、中間体102−VI(420mg)を54%の収率で得た。
【0268】
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(102−VII、1mL)中の化合物102−VI(50mg)を120℃で15時間撹拌した。混合物にCHCl(10mL)を25℃で添加した。溶液を水で洗浄した。ClCHを除去した後、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(ClCH/MeOH=9:1)で精製することで、中間体102−VIII(15mg)を25%の収率で得た。
【0269】
HClの1,4−ジオキサン(4N、2mL)溶液を中間体102−VIII(15mg)のCHCl(5.0mL)溶液に添加した。反応混合物を4時間室温で撹拌した後、溶媒を除去することにより濃縮した。得られる残渣をエーテルで洗浄して、化合物102の塩酸塩(11mg)を得た(CI−MS(M+1):489.3)。
【0270】
[実施例103:化合物103の調製]
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの代わりに1−(2−モルホリノエチル)−ピペラジンを使用したこと以外は実施例102に記載された方法と同様の方法で、化合物103を調製した(CI−MS(M+1):558.5)。
【0271】
[実施例104:化合物104の調製]
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの代わりに1−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例102に記載された方法と同様の方法で、化合物104を調製した(CI−MS(M+1):533.4)。
【0272】
[実施例105:化合物105の調製]
【0273】
【化26】

【0274】
中間体102−IIを実施例102に記載される通りに調製した。
【0275】
MeOH(10mL)中の102−II(1000mg)およびエキソ−2−アミノノルボルナン(105−I、257mg)を0℃で3時間撹拌した。その後、NaBH(87.5mg)を0℃で1時間かけて添加した。溶液を濃縮し、NHCl(aq)でクエンチして、CHClで抽出した。有機層を収集し、無水MgSOで乾燥させ、濃縮して、残渣を得、これをシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(MeOH/28%NHOH=97/3)で精製することで、中間体105−II(1000mg、収率82%)を得た。
【0276】
中間体105−II(1000mg)、EtN(210mg)およびBocO(455mg)のCHCl(10mL)溶液を25℃で15時間撹拌した。溶液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAcA/ヘキサン=1/1) で精製することで、中間体105−III(907mg、収率76%)を得た。
【0277】
中間体105−III(907mg)およびPd/C(20mg)のMeOH(10mL)溶液をH(バルーン)下25℃で18時間撹拌した。セライトカラムを通した濾過により濾液を得、MeOHを除去し、中間体105−IV(740mg)を得た。
【0278】
EtN(454mg)を中間体105−IV(740mg)および2,4−ジクロロ−6−アミノピリミジン(1−VI、246mg)の1−ペンタノール(10mL)溶液に添加した。反応混合物を120℃で15時間撹拌し、真空濃縮した。得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/2)で精製することで、中間体105−V(420mg、収率45%)を得た。
【0279】
中間体105−V(50mg)のN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン(1mL)溶液を120℃で15時間撹拌した。反応物を25℃に冷却し、ClCH(10mL)で希釈した。反応溶液を水で洗浄し、無水MgSOで乾燥させて濃縮した。残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(ClCH/MeOH=9/1)で精製することで、中間体105−VI(10mg、収率17%)を得た。
【0280】
4N HClの1,4−ジオキサン(2mL)溶液を中間体105−VI(10mg)のCHCl(5mL)溶液に添加した。反応混合物を4時間室温で撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮した。得られた残渣をエーテルで洗浄し、化合物105の塩酸塩(8mg)を得た(CI−MS(M+1):515.4)。
【0281】
[実施例106:化合物106の調製]
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの代わりに1−(2−モルホリノエチル)−ピペラジンを使用したこと以外は実施例105に記載された方法と同様の方法で、化合物106を調製した(CI−MS(M+1):584.5)。
【0282】
[実施例107:化合物107の調製]
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの代わりに1−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例105に記載された方法と同様の方法で、化合物107を調製した(CI−MS(M+1):559.5)。
【0283】
[実施例108:化合物108の調製]
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの代わりにピペラジンを使用したこと以外は実施例105に記載された方法と同様の方法で、化合物108を調製した(CI−MS(M+1):471.4)。
【0284】
[実施例109:化合物109の調製]
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの代わりに1−(2−エトキシエチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例105に記載された方法と同様の方法で、化合物109を調製した(CI−MS(M+1):543.1)。
【0285】
[実施例110:化合物110の調製]
【0286】
【化27】

【0287】
中間体1−XIIIを実施例1に記載される通りに調製した。
【0288】
ビニルホスホン酸(110−I、550mg)の乾燥CHCl(17mL)溶液にオキサリルクロリド(3.9g)およびDMF(0.4mL)を0℃でゆっくりと添加した。混合物を3時間還流させ、濃縮して、対応するホスホクロリダート(phosphochloridate)を定量的に得た。ホスホクロリダートを2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(110−II、530mg)、乾燥CHCl(17mL)およびEtN(3.1g)の混合物に−70℃で添加した。混合物を室温までゆっくりと温め、15時間撹拌した。その後、水で洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、蒸発させた。残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH=9:1)で精製することで、110−III(65mg、収率7%)を褐色油として得た。
【0289】
化合物110−III(65mg)を中間体1−XIII(202mg)のMeOH(4mL)溶液に添加した。溶液を65℃で24時間撹拌した。溶液を濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(CHCl/MeOH=9:1)で精製することで、中間体110−IV(147mg)を48%の収率で得た。
【0290】
20%TFA/CHCl(3mL)の溶液を中間体110−IV(147mg)のCHCl(2.0mL)溶液に添加した。反応混合物を12時間室温で撹拌し、濃縮して、化合物110のトリフルオロ酢酸塩(267mg)を得た(CI−MS(M+1):635.4)。
【0291】
[実施例111:化合物111の調製]
2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールの代わりに2−アミノベンジルアルコールを使用したこと以外は実施例110に記載された方法と同様の方法で、化合物111を調製した(CI−MS(M+1):654.4)。
【0292】
[実施例112:化合物112の調製]
【0293】
【化28】

【0294】
中間体1−Vを実施例1に記載される通りに調製した。
【0295】
化合物60−II(27g)およびEtN(37g、3等量)の1−ペンタノール(80mL)溶液を2,4−ジクロロ−6−アミノピリミジン(1−VI、20g、1等量)と90℃で15時間反応させた。TLCは反応の完了を示した。酢酸エチル(55mL)を25℃で添加した。溶液を1時間撹拌した。EtNHCl塩の除去後、濾液を23mL(初期容積の1/6)まで50℃で濃縮した。その後、ジエチルエーテル(70mL)を濃縮溶液に添加し、25℃で濾過した後に、所望の中間体112−I(25g、収率60%)を得た。
【0296】
中間体1−V(500mg、1.2等量)およびN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA、446mg、2等量)およびKI(29mg、0.1等量)の1−ペンタノール(1.8mL)溶液を化合物112−I(600mg)と140℃で24時間反応させた。反応混合物を減圧下で濃縮した。このようにして得た残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(MeOH/CHCl=5/95)で精製することで中間体112−II(645mg)を67%の収率で得た。中間体112−II(645mg)をMeOH(6.5mL)中の4N HCl/ジオキサン(1.7mL)で処理した。混合物を一晩室温で撹拌した。エーテルの添加後、溶液を濾過した。このようにして得た112−IIIのHCl塩を真空乾燥した。112−IIIのHCl塩のMeOH(15mL)溶液にKCO(1.3g)を室温で添加し、3時間撹拌した(pH>12)。混合物を濾過した。アルデヒド1−IX(300mg、112−II1モル当たり1.0等量)を112−IIIの濾液に0〜10℃で添加した。反応物を0〜10℃で3時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。その後、NaBH(70mg、112−II1モル当たり1.5等量)を10℃未満で添加した。溶液を10〜15℃で1時間撹拌し、濃縮して、残渣を得た後、これをCHCl(30mL)で処理した。混合物を飽和NHCl(aq)溶液(15mL)で洗浄した。CHCl層を無水MgSO上で乾燥させ、濃縮した。残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(短カラム、他成分除去用移動相としてEtOAc;112−IV収集用移動相としてMeOH/28%NHOH=97/3)で精製して、中間体112−IV(214mg)を30%の収率で得た。
【0297】
HClのエーテル(4mL)溶液を中間体112−IV(200mg)のCHCl(1.0mL)溶液に添加した。反応混合物を12時間室温で撹拌し、濃縮した。得られた残渣をエーテルで洗浄して、化合物112の塩酸塩(120mg)を得た(CI−MS(M+1):593.3)。
【0298】
[実施例113:化合物113の調製]
【0299】
【化29】

【0300】
中間体112−IVを実施例112に記載される通りに調製した。
【0301】
EtN(65μL)を中間体112−IV(214mg)およびBocO(81mg)のCHCl(10mL)溶液に25℃で添加した。溶液を一晩撹拌した後、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAc)で精製して中間体113−I(196mg)を80%の収率で得た。
【0302】
MeOH中の113−I(150mg)およびPd/C(10%、20mg)をH(バルーン)下25℃で18時間撹拌した。混合物をセライトカラムに通した。MeOHを除去することにより中間体113−II(112mg)を90%の収率で得た。
【0303】
HClのエーテル(2mL)溶液を中間体113−II(100mg)のCHCl(1.0mL)溶液に添加した。反応物を12時間室温で撹拌し、濃縮した。得られた残渣をエーテルで洗浄し、化合物113の塩酸塩(93mg)を得た(CI−MS(M+1):459.4)。
【0304】
[実施例114:化合物114の調製]
【0305】
【化30】

【0306】
中間体1−VIIを実施例1に記載される通りに調製した。
【0307】
化合物シクロヘキシルメタンアミン(114−I、3.0g)およびBocO(7.7g)のCHCl(30mL)溶液をEtN(5.0mL)に25℃で15時間かけて添加した。その後、溶液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(溶離剤としてEtOAcおよびヘキサンを使用)で精製することで、中間体114−II(6.5g)を49%の収率で得た。
【0308】
CHCl(30mL)中の中間体114−I(3.0g)およびDL−10−カンファースルホン酸(450mg)にアクロレイン(102−I、2.72g)を0℃で添加した。反応物を25℃で15時間撹拌した。溶液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=4:1)で精製することで、中間体114−III(2.4g)を63%の収率で得た。
【0309】
中間体1−VII(1.0g)の溶液をMeOH(20mL)中の4N HCl/ジオキサン(5mL)で処理し、25℃で15時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。混合物を濃縮し、1−VIIIのHCl塩を形成させ、濾過して、真空乾燥した(<10torr)。中和のために、KCO(1.5g)を1−VIIIのHCl塩のMeOH(20mL)溶液に25℃で添加した。混合物を同温度で3時間撹拌し(pH>12)、濾過した。
【0310】
アルデヒド114−III(728mg)を濾液に0〜10℃で添加した。混合物を0〜10℃で3時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。その後、NaBH(103mg)を10℃未満で添加し、溶液を10〜15℃で1時間撹拌した。溶液を濃縮して残渣を得た後、これをCHCl(10mL)で処理した。混合物を飽和水性NHCl溶液で洗浄した。CHCl層を濃縮し、残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(短カラム、他成分除去用移動相としてEtOAc;114−IV収集用移動相としてMeOH/28%NHOH=97/3)で精製することで粗製114−IV(870mg)を得た。
【0311】
EtN(820mg)およびBocO(470mg)を114−IV(870mg)のCHCl(10mL)溶液に25℃で添加した。混合物を25℃で15時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。溶液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1:1)で精製することで、中間体114−V(940g)を91%の収率で得た。
【0312】
1−ペンタノール(2mL)中の化合物114−V(200mg)およびピペラジン(1−XII、116mg)にEtN(194mg)を25℃で添加した。混合物を120℃で8時間撹拌した。TLCは反応の完了を示した。溶液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH=3:7)で精製することで、中間体114−VI(120mg)を56%の収率で得た。
【0313】
中間体114−VI(120mg)の溶液をCHCl(10mL)中の4N HCl/ジオキサン(5mL)で処理し、25℃で15時間撹拌した。混合物を濃縮し、化合物114の塩酸塩(60mg)を得た(CI−MS(M+1):473.4)。
【0314】
[実施例115:化合物115の調製]
ピペラジンの代わりにN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例114に記載された方法と同様の方法で、化合物115を調製した(CI−MS(M+1):517.4)。
【0315】
[実施例116:化合物116の調製]
ピペラジンの代わりに1−(2−エトキシエチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例114に記載された方法と同様の方法で、化合物116を調製した(CI−MS(M+1):545.4)。
【0316】
[実施例117:化合物117の調製]
ピペラジンの代わりに1−(2−モルホリノエチル)−ピペラジンを使用したこと以外は実施例114に記載された方法と同様の方法で、化合物117を調製した(CI−MS(M+1):586.5)。
【0317】
[実施例118:化合物118の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりに2−アミノインダンを使用したこと以外は実施例114に記載された方法と同様の方法で、化合物118を調製した(CI−MS(M+1):493.4)。
【0318】
[実施例119:化合物119の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりに2−アミノインダンを使用したこと以外は実施例114に記載された方法と同様の方法で、化合物119を調製した(CI−MS(M+1):537.4)。
【0319】
[実施例120:化合物120の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりに2−アミノインダンを使用したこと以外は実施例116に記載された方法と同様の方法で、化合物120を調製した(CI−MS(M+1):565.4)。
【0320】
[実施例121:化合物121の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりに2−アミノインダンを使用したこと以外は実施例117に記載された方法と同様の方法で、化合物121を調製した(CI−MS(M+1):606.4)。
【0321】
[実施例122:化合物122の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにアニリンを使用したこと以外は実施例115に記載された方法と同様の方法で、化合物122を調製した(CI−MS(M+1):497.0)。
【0322】
[実施例123:化合物123の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにベンジルアミンを使用したこと以外は実施例114に記載された方法と同様の方法で、化合物123を調製した(CI−MS(M+1):467.1)。
【0323】
[実施例124:化合物124の調製]
ピペラジンの代わりにN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例123に記載された方法と同様の方法で、化合物124を調製した(CI−MS(M+1):511.1)。
【0324】
[実施例125:化合物125の調製]
ピペラジンの代わりに1−(2−エトキシエチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例123に記載された方法と同様の方法で、化合物125を調製した(CI−MS(M+1):539.0)。
【0325】
[実施例126:化合物126の調製]
ピペラジンの代わりに1−(2−モルホリノエチル)−ピペラジンを使用したこと以外は実施例123記載された方法と同様の方法で、化合物126を調製した( CI−MS(M+1):580.1)。
【0326】
[実施例127:化合物127の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにシクロペンチルアミンを使用したこと以外は実施例114に記載された方法と同様の方法で、化合物127を調製した(CI−MS(M+1):445.1)。
【0327】
[実施例128:化合物128の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにシクロペンチルアミンを使用したこと以外は実施例115に記載された方法と同様の方法で、化合物128を調製した(CI−MS(M+1):489.1)。
【0328】
[実施例129:化合物129の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにシクロペンチルアミンを使用したこと以外は実施例116に記載された方法と同様の方法で、化合物129を調製した(CI−MS(M+1):517.1)。
【0329】
[実施例130:化合物130の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにシクロペンチルアミンを使用したこと以外は実施例117に記載された方法と同様の方法で、化合物130を調製した(CI−MS(M+1):558.5)。
【0330】
[実施例131:化合物131の調製]
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの代わりに1−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例128に記載された方法と同様の方法で、化合物131を調製した(CI−MS(M+1):533.4)。
【0331】
[実施例132:化合物132の調製]
ピペリジンの代わりにピロリジンを使用したこと以外は実施例102に記載された方法と同様の方法で、化合物132を調製した(CI−MS(M+1):475.4)。
【0332】
[実施例133:化合物133の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにイソプロピルアミンを使用したこと以外は実施例114に記載された方法と同様の方法で、化合物133を調製した(CI−MS(M+1):419.1)。
【0333】
[実施例134:化合物134の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにイソプロピルアミンを使用したこと以外は実施例115に記載された方法と同様の方法で、化合物134を調製した(CI−MS(M+1):463.1)。
【0334】
[実施例135:化合物135の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにイソプロピルアミンを使用したこと以外は実施例116に記載された方法と同様の方法で、化合物135を調製した(CI−MS(M+1):491.1)。
【0335】
[実施例136:化合物136の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにイソプロピルアミンを使用したこと以外は実施例117に記載された方法と同様の方法で、化合物136を調製した(CI−MS(M+1):532.1)。
【0336】
[実施例137:化合物137の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにチオフェン−2−メチルアミンを使用したこと以外は実施例115に記載された方法と同様の方法で、化合物137を調製した(CI−MS(M+1):517.4)。
【0337】
[実施例138:化合物138の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにチオフェン−2−メチルアミンを使用したこと以外は実施例116に記載された方法と同様の方法で、化合物138を調製した(CI−MS(M+1):545.4)。
【0338】
[実施例139:化合物139の調製]
シクロヘキシルメタンアミンの代わりにチオフェン−2−メチルアミンを使用したこと以外は実施例117に記載された方法と同様の方法で、化合物139を調製した(CI−MS(M+1):586.4)。
【0339】
[実施例140:化合物140の調製]
N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンの代わりに1−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例137に記載された方法と同様の方法で、化合物140を調製した(CI−MS(M+1):561.4)。
【0340】
[実施例141:化合物141の調製]
【0341】
【化31】

【0342】
中間体105−Vを実施例105に記載される通りに調製した。
【0343】
1−ペンタノール(30mL)中の化合物105−V(1.7g)およびピペラジン(1−XII、1.4g、6等量)にEtN(1.66g、6.0等量)を25℃で添加した。混合物を120℃で15時間撹拌した。溶液を濃縮し、シリカゲル(EtOAc/MeOH=8:2)で精製して、141−I(1.5g)を82%の収率で得た。
【0344】
141−I(1.5g)のMeOH(30mL)溶液にジエチルビニルホスホネート(2−I、0.556g、1.5等量)を25℃で添加した。混合物を65℃で24時間撹拌した。TLCおよびHPLCは反応の完了を示した。溶液を濃縮し、シリカゲル(MeOH/CHCl=8/92)で精製して1.1gの141−IIを59%の収率で得た。
【0345】
TFA(0.2mL)を中間体141−II(100mg)のCHCl(0.8mL)溶液に添加した。反応混合物を15時間室温で撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮して、化合物141のトリフルオロ酢酸塩(40mg)を得た(CI−MS(M+1):635.4)。
【0346】
[実施例142:化合物142の調製]
【0347】
【化32】

【0348】
中間体141−IIを実施例141に記載される通りに調製した。
【0349】
142−II(1.0g)のCHCl(5mL)溶液にTMSBr(1.46g、8等量)を10〜15℃で1時間かけて添加した。混合物を25℃で15時間撹拌した。溶液を濃縮してTMSBrおよび溶媒を真空下40℃で除去した。CHClを混合物に添加し、残渣を溶解させた。TMSBrおよび溶媒を再び真空下で除去して粗固体を得、これをIPA/MeOH(9/1)で洗浄し、濾過し、25℃で3時間真空乾燥(<1torr)した後に化合物142を得た。EtOH中での結晶化によって化合物142の臭化水素塩(530mg)を得た(CI−MS(M+1):579.4)。
【0350】
[実施例143:化合物143の調製]
エキソ−2−アミノノルボルナンの代わりにシクロヘキシルメタンアミンを使用したこと以外は実施例141に記載された方法と同様の方法で、化合物143を調製した(CI−MS(M+1):637.5)。
【0351】
[実施例144:化合物144の調製]
エキソ−2−アミノノルボルナンの代わりにシクロヘキシルメタンアミンを使用したこと以外は実施例142に記載された方法と同様の方法で、化合物144を調製した(CI−MS(M+1):581.4)。
【0352】
[実施例145:化合物145−Iの調製]
【0353】
【化33】

【0354】
化合物1−I(2.11g、1.1等量)およびKCO(8.5g、5等量)をCHCN/HO(1:2、30mL)中に溶解させ、ヨウ化テトラ−ブチルアンモニウムを触媒として添加した。混合物を2,4−ジクロロ−6−アミノピリミジン(1−VI、2g、1等量)と90℃で15時間反応させた。反応の完了がTLCにより証明された。混合物を減圧下で蒸発させて有機溶媒を除去し、水層濃塩酸(pH=4〜5)で酸性化した後に濾過した。得られた固体を収集し、水(15mL)で3回洗浄し、真空乾燥して、化合物145−I(2.8g)を白色固体として80%の収率で得た(CI−MS(M+1):285.1)。
【0355】
[実施例146:化合物145−Vの調製]
【0356】
【化34】

【0357】
化合物1−カルバモイル−シクロプロパンカルボン酸(145−II、5g、1等量)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラ−メチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU、22.85g、1.6等量)、および1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt、8.12g、1.6等量)を氷水浴中のCHCl(150mL)に懸濁させた。N−メチルモルホリン(NMM、16.5mL、4等量)およびシクロヘキシルアミン(145−III、5.2mL、1.2等量)を撹拌しながら0〜10℃で溶液に添加した。添加完了後、反応混合物を室温でさらに15時間撹拌した。反応の完了がTLCにより証明された。
【0358】
混合物を飽和水性NHCl(100mL)溶液に注ぎ込んだ。分離後、有機層をブラインおよび飽和水性NaHCO(それぞれ100mL)で連続的に洗浄し、無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=4:1)で精製することで、化合物145−IV(6.3g)をオレンジ色油として80%の収率で得た。
【0359】
温度を0℃〜10℃に保持しつつ、窒素下で、LiAlH(4.8g、4等量)を少量ずつ145−IV(6.3g)の無水THF(150mL)溶液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌した後、さらに4時間還流させながら加熱した。混合物を冷却し、飽和水性NHCl(15mL)を用いて0℃でクエンチした。これを室温まで温めて、1時間撹拌させた。混合物をセライトのパッドに通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、生成物145−V(4.4g)を黄色油として、80%の収率で得た(CI−MS(M+1):183.1)。
【0360】
[実施例147:化合物145の調製]
【0361】
【化35】

【0362】
化合物145−I(3.95g、1等量)、HATU(8.44g、1.6等量)、およびHOBt(3.0g、1.6等量)を氷水浴中のCHCl(55mL)に懸濁させた。NMM(6.1mL、4等量)およびN−(1−(アミノメチル)シクロプロピル)シクロヘキサンアミン(145−V、3.1g、1.2等量)を0〜10℃で撹拌しながら添加した。添加完了後、反応混合物を室温でさらに15時間撹拌した。反応の完了がTLCにより証明された。
【0363】
混合物を飽和水性NHCl(50mL)に注ぎ込んだ。分離後、有機層をブラインおよび飽和水性NaHCO(それぞれ50mL)で連続的に洗浄し、無水MgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/MeOH=7:3)で精製することで、化合物145−VI(1.5g)を黄色油として30%の収率で得た。
【0364】
温度を0℃〜10℃に保持しつつ、窒素下で、LiAlH(267mg、2等量)を少量ずつ145−VI(1.5g)の無水THF(20mL)溶液に添加した。混合物を室温で1時間撹拌した後、さらに4時間還流させながら加熱した。これを冷却し、飽和水性NHCl(15mL)を用いて0℃でクエンチした。これを室温まで温めて、1時間撹拌させた。混合物をセライトのパッドに通して濾過し、濾液を減圧下で濃縮した後、EtN(1.0g、3等量)および(Boc)O(1.8g、2.5等量)を濾液に25℃で添加した。25℃で15時間撹拌した後、溶液を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=4:1)で精製することで、化合物145−VII(940mg)を黄色油として69%の収率で得た。
【0365】
1−ペンタノール(3mL)中の化合物145−VII(940mg)およびピペラジン(1−XII、382mg、3等量)にEtN(450mg、3等量)を25℃で添加した。混合物を120℃で8時間撹拌し、その時点で反応が完了したことがTLCにより証明された。酢酸エチル(5mL)を反応混合物に25℃で添加した。溶液を1時間撹拌し、EtNHCl塩を除去した後、濃縮し、シリカゲル(EtOAc/MeOH=7:3)で精製することで、145−VIII(570mg)を56%の収率で得た。
【0366】
中間体145−VIII(100mg)の溶液をCHCl(1mL)中の4N HCl/ジオキサン(2mL)で処理し、25℃で15時間撹拌した。反応の完了がTLCにより証明された。混合物を濃縮して、化合物145の塩酸塩(55mg)を得た(CI−MS(M+1):485.0)。
【0367】
[実施例148:化合物146の調製]
【0368】
【化36】

【0369】
中間体145−VIIIを化合物145の調製の際に得た。
【0370】
145−VIII(520mg)のMeOH(8mL)溶液にジエチルビニルホスホネート(2−I、187mg、1.5等量)を25℃で添加した。混合物を65℃で24時間撹拌した。反応の完了がTLCにより証明された。溶液を濃縮し、シリカゲル(MeOH/CHCl=8/92)で精製することで、化合物146−I(317mg)を淡黄色泡状物として50%の収率で得た。
【0371】
20%TFA/CHCl(2mL)の溶液を中間体146−I(100mg)のCHCl(1mL)溶液に添加した。反応混合物を15時間室温で撹拌し、溶媒を除去することにより濃縮して、化合物146のトリフルオロ酢酸塩(80mg)を得た(CI−MS(M+1):649.3)。
【0372】
[実施例149:化合物147の調製]
【0373】
【化37】

【0374】
中間体146−Iを化合物146の調製の際に得た。
【0375】
146−I(200mg)のCHCl(1mL)溶液にTMSBr(0.3mL、8等量)を10〜15℃で1時間かけて添加した。混合物を25℃で15時間撹拌した後、濃縮してTMSBrおよび溶媒を真空下40℃で除去した。CHClを添加して残渣を溶解させた。混合物を再び真空状態にして化合物147の臭化水素塩(150mg)を得た(CI−MS(M+1):593.3)。
【0376】
[実施例150:化合物148の調製]
化合物60−IIの代わりに1−(2−モルホリノエチル)−ピペラジンを使用したこと以外は実施例112に記載された方法と同様の方法で、化合物148を調製した(CI−MS(M+1):572.5)。
【0377】
[実施例151:化合物149の調製]
化合物60−IIの代わりにN−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例112に記載された方法と同様の方法で、化合物149を調製した(CI−MS(M+1):503.4)。
【0378】
[実施例152:化合物150の調製]
化合物60−IIの代わりに1−(2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル)ピペラジンを使用したこと以外は実施例112に記載された方法と同様の方法で、化合物150を調製した(CI−MS(M+1):547.4)。
【0379】
[実施例153:GTP結合アッセイ]
化合物1〜150について、DELFIA GTP結合キット(Wallac Oy、トゥルク、フィンランド)を用いてCXCR4受容体への結合効果を検査した。DELFIA GTP結合アッセイはGタンパク質サブユニット上でのGDP−GTP交換とそれに続くアゴニストによるGタンパク質共役受容体の活性化に基づく時間分解蛍光アッセイである。Eu−GTP、すなわちGTPの非加水分解性類似体を使用して、Gタンパク質のアゴニストに依存した活性化を観察する。SDF−1によるCXCR4受容体の刺激によって、Gタンパク質のαサブユニット上のGDPがGTPにより置換される点に留意すべきである。生成するGTP−Gα複合体は、Gタンパク質の活性体に相当する。Peltonen et al.,Eur.J.Pharmacol.(1998)355:275を参照されたい。
【0380】
CXCR4発現HEK293細胞由来の原形質膜をアッセイバッファ(50mM NaCl、100mg/mLサポニン、3mM MgCl、3mM GDP、5%BSA、50mM HEPES、pH7.4)中に懸濁させた。アクロプレート(Pall Life Sciences、アナーバー、ミシガン州)の各ウェルにアリコート(4μgタンパク質)を添加した。試験化合物(0.1%DMSO中10mM)およびSDF−1(アッセイバッファ中4nM)の添加後、アッセイプレートを暗所にて室温でゆっくり振盪させながら10分間インキュベートした。Wallac Oy Eu−GTPから得られたEu−GTPを各ウェルに添加した。プレートを再び60分間インキュベートした後に、アッセイキット中の洗浄溶液を用いて2回洗浄してアッセイを終了させた。ビクター2マルチラベルリーダーからの蛍光シグナルに基づいてEu−GTPの結合を測定した。
【0381】
予期せぬことに、28個の試験化合物はIC50(SDF−1刺激によるGTP−Gα結合を50%阻害するために必要な濃度)が20nMであり,83個の試験化合物はIC50がnMの範囲であり,37個の試験化合物はIC50が100〜1000nMであった。
【0382】
[実施例154:放射性リガンド結合アッセイ]
114個の試験化合物のいずれかとヒトSDF−1との間の結合競合をガラスファイバー濾過プレート(Millipore、ビレリア、マサチューセッツ州)を用いて以下のように測定した。ガラスファイバー濾過プレートを90μlの0.2%ポリエチレンイミンで30分かけてプレコートし、100μlの蒸留水で4回すすいで、非特異的結合を減少させた。70μlのアッセイバッファ(50mM HEPES、pH7.4、0.5%ウシ血清アルブミン、90mM NaCl,5mM MgCl、1mM CaCl)中のヒトCXCR4導入HEK293細胞の膜(5〜10μg タンパク質/ウェル)を20μlの試験化合物および10μlの[125I]−SDF−1(最終濃度150pM)と共にU底アッセイプレート(Corning、コーニング、ニューヨーク州)中でインキュベートした。室温で120分経過させた後に、反応混合物をガラスファイバープレートのウェル(80μl/ウェル)に移すことによりインキュベーションを終了させ、真空濾過(MultiScreen Vacuum Manifold、Millipore)により濾過した。プレートを80μl/ウェルの洗浄バッファ(20mM HEPES、pH7.4、90mM NaCl)で4回洗浄した後に一晩空気乾燥させた。35μlのSupermixカクテルをプレートの各ウェルに添加した後、プレート上に貯留した放射能をTrilux MicroBeta(PerkinElmer、ボストン、マサチューセッツ州)を用いて計測した。
【0383】
50個の試験化合物はIC50([125I]−SDF−1の受容体への結合を50%阻害するために必要な濃度)が20nM未満であり、43個の試験化合物はIC50が20〜100nMであり、21個の試験化合物はIC50が100〜1000nMであった。
【0384】
[実施例155:幹細胞動員]
5個の化合物の幹細胞動員効果を以下のように試験した。
【0385】
各化合物を生理食塩水に溶解させた。溶液をそれぞれBALB/cマウスに4ml/kgの量で静脈内投与した。静脈注射の1、2、3、6、18、24時間後に心穿刺によって血液を採取した。生理食塩水を与えたマウスを対照として使用した。同じグループの血液サンプル(各グループにつきN=3)を統合し、白血球の総数をトリパンブルー排除(trypan blue exclusion)を用いて計測した。造血幹細胞(CD34)および内皮前駆細胞(CD133)を抗体表面染色およびフローサイトメトリー(Beckman Coulter、マイアミ、フロリダ州)を用いて計量した。一方向ANOVAを用いて統計学的有意性を判定した。P値が0.05未満である場合に有意な相違であるとみなした。
【0386】
結果から、試験化合物はいずれも、投与量に依存して、CD34造血幹細胞およびCD133内皮前駆細胞の周囲血液への動員を促進することが示された。単回注射後13時間以内に、該化合物は循環するCD34細胞を6.2〜14.5倍に、循環するCD133細胞を5.2−10.7倍に増加させた。
【0387】
[実施例156:幹細胞および内皮前駆細胞の動員における相乗効果]
G−CSF単独またはG−CSFと試験化合物との組み合わせの、幹細胞および内皮前駆細胞の動員効果についても、実施例129に記載された方法と同様の方法で試験した。結果から、組み合わせることにより、CD34およびCD133動員の促進効果が相乗的に発揮されることが示された。循環するCD34が約18.5倍に増加し、循環するCD133が約64.2倍に増加した。
【0388】
[実施例157:酸素誘導網膜症(糖尿病性網膜症モデル)]
新生児ラットを出生後から24時間のサイクルで14日間50%酸素を含有する空気下と10%酸素を含有する空気下とに交互に置き、着実な網膜血管新生を引き起こした。これらのラットを糖尿病性網膜症モデルとして使用した。
【0389】
試験化合物を水に溶解させた。濃度0.1〜10μMの溶液をラットに硝子体内注射(2μl/眼)により投与した。試験化合物を全く注射していないかあるいは賦形剤を注射した、酸素誘導網膜症ラットを対照として使用した。その後、全てのラットを通常の空気下に6日間置いた後に致死させた。新生血管形成をADPアーゼ組織化学とコンピュータ支援画像分析技術とを用いて評価した。
【0390】
結果から、試験化合物が網膜新生血管形成を効果的に阻害することが示された。
【0391】
[実施例158:脈絡膜新生血管形成(加齢性黄斑変性症モデル)]
脈絡膜新生血管形成(CNV)を4週〜6週のオスのC57BL/6Jマウスのブルッフ膜のレーザー誘導破裂により発生させた。コンタクトレンズのような手持ち式カバースライドと、細隙灯に取り付けられたアルゴンレーザー光凝固装置(532nm)を使用して、網膜中央周辺の視神経乳頭を中心として4つの損傷を形成した(スポットサイズ50μm、持続時間0.07秒、260mW)。試験化合物を水に溶解させた。レーザー処置の直後に濃度1〜100μMの溶液をCNVマウスに硝子体内注射(1または2μl/眼)により投与した。試験化合物の治療を行っていないCNVマウスを対照として使用した。レーザー処置から14日後、全てのマウスを致死させ、ブルッフ膜の破裂部でのCNV成長を蛍光に染色された脈絡膜−強膜−RPE平坦封入(flat−mount)を用い、コンピュータ支援画像分析を介して評価した。
【0392】
結果から、試験化合物は、対照に比べて、新生血管形成領域を34%〜59%減少させたことがわかる。
【0393】
[実施例159:肢虚血]
肢虚血モデルを用いて3つの化合物の虚血治療効果を試験した。以下のようにして各BALB/cマウスの左後肢に虚血を誘導した。大腿動脈を結紮し、結紮から0.20〜0.30cmの近位部と遠位部との2箇所で横に切断した。可視的で結紮より遠位部にある他の大血管も横に切断した。
【0394】
各化合物を生理食塩水に溶解させ、0.5mg/kgから最大許容量の範囲の投与量で手術後4日目と8日目に肢虚血マウスに静脈内投与した。反対側の右後肢および生理食塩水を与えたマウスを対照として使用した。2つの半定量的虚血指標を用いて週に3回ずつ動物を観察した。手術後1日目、7日目、14日目、21日目、28日目に、血液の流束(血液/(面積×時間))を検出するレーザドップラー画像化装置(PeriScan PIM II)を用いて血流回復の程度を測定した。また、デジタル式握力測定装置(0167−005L、Columbus Instruments)を用いて筋力を測定した。手術後18日目に致死させ、その直後に収集した脚筋における新たな血管形成を評価した。毛細血管密度分析のために、CD31免疫組織化学染色を行った。10個の領域で陽性に染色された新生内皮細胞の数を顕微鏡下で数え、データを高倍率視野あたりの陽性細胞(陽性細胞/高倍率視野)として示した。一方向ANOVAを用いて統計学的有意性を判定した。P値が0.05未満である場合に有意な相違であるとみなした。
【0395】
試験化合物はいずれも、後肢の機能、外観、および筋力の改善、血流回復、ならびに新生血管形成の増加に効果を発揮した。
【0396】
[他の実施形態]
本明細書に開示された全ての特徴は任意の組み合わせで組み合わせられうる。本明細書に開示されたそれぞれの特徴は、同一の、等価な、または類似の目的に資する他の特徴により置換されうる。したがって、特記しない限り、開示された各特徴は、等価な、または類似の一般的な一連の特徴の例示にすぎない。
【0397】
上述の記載から、当業者は本発明の本質的な特徴を容易に把握することができ、その思想および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の用途や条件に適合させる目的で種々の変更および修飾を加えることが可能である。したがって、他の実施形態もまた後述する特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式で示される化合物:
【化1】

上記化学式において、
QおよびUはそれぞれCHまたはNであり(ただし、QおよびUの少なくとも一方はNである);
X、Y、およびZはそれぞれ独立してC1−5アルキレンまたは欠失であり;
mは0、1、2、3、4、または5であり;
nは0、1、または2であり;
pは1または2であり;
はH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、またはNRであり;
は、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、またはN(R)で置換されてもよい、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC−C10アルキルであり;
は独立して、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、もしくはNRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−5アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−8アルキレンであり;
はP(=O)(OR)(OR)、P(=O)(NHR)(OR)、P(=O)(NR)(NR)、S(=O)OR、またはS(=O)であり;
この際、R、R、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、もしくはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成する。
【請求項2】
QはCHまたはNであり、UはNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xは−CH−、−CHCH−、または−CHCHCH−であり、pは1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Yは−CHまたは欠失であり、Zは−CH−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
はN(R)で置換されたC−Cアルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
は−CHCHCH−N(R)(この際、RはHであって、RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、または、RおよびRは連結して共にC4−6アルキレンを形成する)である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
mは0、1、または2であり;nは1または2であり;RはNHであり;RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、もしくはC(O)NRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−2アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−5アルキレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
はP(=O)(OH)、P(=O)(OH)(OCHCH)、P(=O)(OCHCH
【化2】

S(=O)OH、S(=O)CH、またはS(=O)Phである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
mは0、1、または2であり;nは1であり;pは1であり;Xは−CHCH−または−CHCHCH−であり;Yは−CHまたは欠失であり;Zは−CH−であり;RはNHであり;RはN(R)で置換されたC1−5アルキルであり;RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、もしくはC(O)NRであり;または結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−2アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−5アルキレンである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
化合物2〜4、14〜19、21〜57、62、63、74、75、78〜98、101、110、111、141〜144、146、および147よりなる群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
下記化学式で示される化合物:
【化3】

上記化学式において、
UはCHまたはNであり;
LはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールであり;
YおよびZはそれぞれ独立してC1−5アルキレンまたは欠失であり;
mは0、1、2、3、4、または5であり;
nは0、1、または2であり;
はH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、またはNRであり;
は、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、またはN(R)で置換されてもよい、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはC−C10アルキルであり;
はC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、COOR、OC(O)R、C(O)R、C(O)NR、もしくはNRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−5アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−8アルキレンであり;
はH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、OR、COOR、C(O)R、またはC(O)NRであり;
この際、R、R、R、R、R、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、RおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成し、もしくはRおよびRは連結して共にC2−8アルキレンを形成する。
【請求項12】
UはNである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
Yは−CHまたは欠失であり、Zは−CH−である、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
はN(R)で置換されたC−Cアルキルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
は−CHCHCH−N(R)であり、この際、RはHであり、RはC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり、または、RおよびRは連結して共にC4−6アルキレンを形成する、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
mは1または2であり;nは1または2であり;Lはシクロヘキシルであり;RはNHであり;RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、CN、OR、もしくはC(O)NRであり;またはRは結合する環の2つの炭素原子に結合したC1−2アルキレンもしくは結合する環の1つの炭素原子に結合したC2−5アルキルであり;RはHまたはOR、CO、NR、P(=O)(OR)(OR)、P(=O)(NHR)(OR)、P(=O)(NR)(NR)、S(=O)OR、もしくはS(=O)で置換されてもよいC−Cアルキルである(この際、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、もしくは−C(O)Rである(ただし、RはH、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールである);またはRおよびRは連結して共にC1−5アルキレンを形成する)、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
化合物60〜100、112、113、および148〜150よりなる群より選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項18】
CXCR4に関連する病状を治療する必要のある患者に、請求項1に記載の化合物の有効量を投与することを含み、
病状が炎症性疾患もしくは免疫性疾患、発育異常疾患もしくは変性疾患、または組織損傷である、CXCR4に関連する病状の治療方法。
【請求項19】
前記病状は、糖尿病性網膜症、増殖性網膜症、加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、角膜血管新生、または虹彩新生血管である、請求項18に記載の治療方法。
【請求項20】
組成物を点眼、軟膏、注射可能液体、ミクロ粒子、または持続放出形態として配合する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記病状は、脳損傷、神経損傷、心臓損傷、肝障害、骨格筋損傷、腎障害、膵損傷、肺損傷、皮膚損傷、肢虚血、無症候性虚血、心虚血、または胃腸管損傷である、請求項18に記載の治療方法。
【請求項22】
前記病状はI型糖尿病である、請求項18に記載の治療方法。
【請求項23】
有効量のG−CSF成長因子を患者に投与することをさらに含む、請求項18に記載の治療方法。
【請求項24】
癌を治療する必要のある患者に、請求項1に記載の化合物の有効量と、化学療法薬の有効量とを投与することを含む、癌の治療方法。
【請求項25】
CXCR4に関連する病状を治療する必要のある患者に、請求項11に記載の化合物の有効量を投与することを含み、
前記病状が炎症性疾患もしくは免疫性疾患、発育異常疾患もしくは変性疾患、または組織損傷である、CXCR4に関連する病状の治療方法。
【請求項26】
前記病状は、糖尿病性網膜症、増殖性網膜症、加齢性黄斑変性症、黄斑浮腫、角膜血管新生、または虹彩新生血管である、請求項25に記載の治療方法。
【請求項27】
前記病状は、脳損傷、神経損傷、心臓損傷、肝障害、骨格筋損傷、腎障害、膵損傷、肺損傷、皮膚損傷、肢虚血、無症候性虚血、心虚血、または胃腸管損傷である、請求項25に記載の治療方法。
【請求項28】
前記病状はI型糖尿病である、請求項25に記載の治療方法。
【請求項29】
有効量のG−CSF成長因子を患者に投与することをさらに含む、請求項25に記載の治療方法。
【請求項30】
癌を治療する必要のある患者に、請求項11に記載の化合物の有効量と、化学療法薬の有効量とを投与することを含む、癌の治療方法。

【公表番号】特表2011−519360(P2011−519360A)
【公表日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−504995(P2011−504995)
【出願日】平成20年11月3日(2008.11.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/082202
【国際公開番号】WO2009/131598
【国際公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(505367785)タイゲン バイオテクノロジー カンパニー,リミテッド (10)
【Fターム(参考)】