説明

複素環式アミド誘導体のナノ粒子状組成物

【課題】水中での改良された溶解性を有するナノ粒子状複素環式アミド誘導体及び好ましくはザフィルルカスト・ナノ粒子を含む組成物の提供。
【解決手段】ナノ粒子は約2,000nm未満の有効平均粒度を有して、喘息の治療に有用である。喘息の治療のために作用中に薬物をパルス式又は二峰式にデリバリーする、有効成分を含む多粒子状調節放出組成物。制御放出組成物は、即時放出構成要素と調節放出構成要素を含む。即時放出構成要素は複素環式アミド誘導体、好ましくはザフィルルカスト粒子の第1集団を含み、調節放出構成要素は複素環式アミド誘導体、好ましくはザフィルルカスト・ナノ粒子の第2集団を含み、制御放出構成要素では、即時放出構成要素と調節放出構成要素との組み合わせが作用中に有効成分をパルス式又は二峰式にデリバリーする。複素環式アミド誘導体は、侵食、拡散又は浸透制御放出系中の多粒子状粒子から放出されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、約2ミクロン未満の有効平均粒度を有する、例えばザフィルルカストのような、複素環式アミド誘導体のナノ粒子状組成物と、同組成物の製造方法及び使用方法に関する。本発明の組成物は、喘息患者の治療に特に有用である。
【0002】
発明の背景
A.複素環式アミド誘導体に関する背景
複素環式アミド誘導体は、例えばWO03/004464に記載されている。複素環式アミド誘導
体ザフィルルカストは、化学名4−(5−シクロペンチルオキシ−カルボニルアミノ−1−メチル−インドル−3−イルメチル)−3−メトキシ−N−o−トリルスルホニルベンズアミドを有する、合成の選択的ペプチドロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)である。ザフィルルカストの分子量は575.7である。実験式は、C3133Sであり、ザフィルルカストの化学構造は以下に示す:
【0003】
【化1】

【0004】
ザフィルルカスト、微細な白色〜淡黄色非晶質粉末は、実際に水に不溶性である。これはメタノール中に弱溶解性であり、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド及びアセトン中に易溶性である。
【0005】
ザフィルルカストは、登録商標ACCOLATE(登録商標)で、AtraZeneca Pharmaceuticals,LP (Wilmington, Delaware)によって販売されており、経口投与用に10mg錠剤及び20mg錠剤で供給されている。フィルム被覆ACCOLATE(登録商標)錠剤は、クロスカルメロース・ナトリウム、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、微結晶セルロース、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び二酸化チタンを含有する。
【0006】
ザフィルルカストは、アナフィラキシーの緩慢反応性物質(SRSA)の成分である、ロイコトリエンD及びE(LTD及びLTE)の選択的かつ競合的な受容体拮抗薬である。システイニルロイコトリエンの製造と受容体占有率は、喘息の兆候及び症状に寄与する、気道浮腫、平滑筋収縮、及び炎症過程に関連した細胞活性変化を含めた、喘息の病理生理学に関係づけられている。喘息を有する患者は、ある一つの研究では、喘息でない対象よりも、吸入されたLTDの気管支収縮活性に対して25〜100倍大きく感受性であると判明している。
【0007】
In vitro研究では、ザフィルルカストが、実験動物及びヒトからの誘導気管支平滑筋に
おける3種類のロイコトリエン(LTC、LTD及びLTE)の収縮活性に拮抗することが実証された。ザフィルルカストは、皮膚血管透過性の皮内LTD誘導上昇を妨害し、動物肺中への好酸球の吸入LTD誘導流入を阻害した。感作された羊における吸入試行研究は、ザフィルルカストが抗原に対する反応を鎮圧することを示した;これは、早期及び後期反応と非特異的な高感応性の両方を包含した。
【0008】
ヒトでは、数種類の吸入試行によって、気管支収縮のザフィルルカストによる阻害が惹起される。ザフィルルカストの単回経口投与による前治療は、喘息患者における二酸化硫黄及び冷気によって惹起される気管支収縮を抑制した。ザフィルルカストの単回投与による前治療は、喘息患者における例えば草、ネコふけ(cat dander)、ブタクサ及び混合抗原のような、種々な抗原の吸入によって惹起される早期及び後期反応を軽減した。ザフィルルカストはさらに、吸入されたヒスタミンに対する気管支高感応性の上昇を抑制し、これは吸入アレルゲン試行に従った。
【0009】
ザフィルルカストは、経口投与後に迅速に吸収される。一般に、経口投与後3時間で、ピーク血漿濃度に達する。ザフィルルカストの絶対バイオアベイラビリティは知られていない。一つは高脂肪食を用い、他方は高たんぱく食を用いた、二つの別々の研究では、食物と一緒のザフィルルカストの投与は、平均バイオアベイラビリティを約40%低下させた。Physicians Desk Reference, 58th Edition(2004), p.651.これは、ザフィルルカス
トが有意な満腹/絶食吸収変動(fed/fasted absorption variability)を有することを意
味する。
【0010】
Bernstein et al.への米国特許No.4,859,692は、複素環式アミド誘導体とそれの製薬的使用に関する。Edwards et al.への米国特許No.5,294,636は、インドール誘導体の結晶形とそれの製薬方法に関する。Holohan et al.への米国特許No.5,319,097は、薬剤的作用剤に関する。さらにHolohan et al.への米国特許No.5,482,963は、ロイコトリエン拮抗薬として有用な薬剤的作用剤に関する。Bernstein et al.への米国特許No.5,583,152は、血管痙攣性心臓血管系疾患の治療法、複素環式アミド誘導体に関する。Timko et al.への米国特許No.5,612,367は、薬剤的作用剤のバイオアベイラビリティの強化方法に関する。最後に、やはりHolohan et al.への米国特許No.6,143,775は、複素環式アミドを含有する薬剤組成物の製造方法に関する。
【0011】
該薬物の高度なバイオアベイラビリティと迅速な代謝のために、改良されたバイオアベイラビリティを有する、例えばザフィルルカストのような、複素環式アミド誘導体を提供することが有利であると考えられる。このような製剤を、制御放出プロファイル又は遅延放出プロファイルを生じる投与形で提供することも望ましい。より詳しくは、該薬物がその薬理学的活性を長期間にわたって、特に24時間にわたって提供することができるように、該薬物を二段階で又はパルス式に放出するように製剤化することができるならば、喘息に罹患した患者にとって極めて大きい利益になると考えられる。このようにして、喘息に罹患した患者は、1日につき2回以上の投与を受ける必要なく(without the need to take more than one dosage per day)、長時間にわたって、該薬物の治療効果から利益を
受けることができる。
B.ナノ粒子状活性剤組成物に関する背景
米国特許No.5,145,684(“‘684特許”)に最初に記載されたナノ粒子状活性剤組成物
は、その表面上に吸着された又は該表面と結合した非架橋表面安定化剤を有する弱溶解性治療若しくは診断剤から成る粒子である。‘684特許は、例えばザフィルルカストのよう
な複素環式アミド誘導体のナノ粒子状組成物を記載していない。
【0012】
ナノ粒子状活性剤組成物の製造方法は、例えば、両方とも、“薬剤物質のグラインディング方法”に関する米国特許No.5,518,187とNo.5,862,999;“薬剤物質の連続グラインデ
ィング方法”に関する米国特許No.5,718,388;及び“ナノ粒子を含有する治療組成物の製造方法”に関する米国特許No.5,510,118に記載されている。
【0013】
ナノ粒子状活性剤組成物はさらに、例えば、“殺菌中の粒子凝集を防止するためのイオン性曇り点調節剤の使用”に関する米国特許No.5,298,262;“凍結乾燥中の粒度成長の低減方法”に関する米国特許No.5,302,401;“医療イメージングに有用なX線造影剤”に関する米国特許No.5,318,767;“高分子量非イオン界面活性剤を用いるナノ粒子状X線血液プール造影剤のための新規な製剤”に関する米国特許No.5,326,552;“ヨウ素化芳香族プロパンジオエートを用いるX線イメージング方法”に関する米国特許No.5,328,404;“ナノ粒子凝集を減するための荷電リン脂質の使用”に関する米国特許No.5,336,507;“粒子凝集を防止し、安定性を高めるためのOlin 10-Gを含む製剤”に関する米国特許No.5,340,564;“殺菌中のナノ粒子凝集を最小にするための非イオン性曇り点調節剤の使用”に関するNo.5,346,702;“極小の磁性デキストラン粒子の製造と磁気的性質”に関するNo.5,349,957;“殺菌中の粒子凝集を防止するための精製表面修飾剤の使用”に関するNo.5,352,459;両方とも“表面修飾された抗がん剤ナノ粒子”に関するNo.5,399,363とNo.5,494,683;“磁気共鳴強化剤としての水不溶性非磁性マンガン粒子”に関するNo.5,401,492;“ナノ粒子状安定剤としてのチロキサポールの使用”に関するNo.5,429,824;“高分子量非イオン界面活性剤を用いるナノ粒子状X線血液プール造影剤の製造方法”に関するNo.5,447,710;“医療イメージングに有用なX線造影剤”に関するNo.5,451,393;“製薬的に受容されるクレイと組み合わせた経口胃腸診断用X線造影剤”に関するNo.5,466,440;“凝集を低減するための荷電リン脂質を含有するナノ粒子組成物の製造方法”に関するNo.5,470,583;“血液プールとリンパ系イメージングのためのX線造影剤としてのナノ粒子状診断用混合無水カルバミン酸”に関するNo.5,472,683;“血液プールとリンパ系イメージングのためのX線造影剤としてのナノ粒子状診断用ダイマー”に関するNo.5,500,204;“ナノ粒子状NSAID製剤”に関するNo.5,518,738;“X線造影剤としての使用にためのナノ粒子状Iododipamide誘導体”に関するNo.5,521,218;“血液プールとリンパ系イメージングのためのナノ粒子状診断用ジアトリゾキシエステルX線造影剤”に関するNo.5,525,328;“ナノ粒子を含有するX線造影剤の製造方法”に関するNo.5,543,133;“表面修飾NSAIDナノ粒子”に関するNo.5,552,160;“消化の良い油又は脂肪酸中のナノ粒子状分散系としての化合物の製剤”に関するNo.5,560,931;“ナノ粒子の表面調節剤としてのポリアルキレン・ブロックコポリマー”に関するNo.5,565,188;“ナノ粒子組成物の安定剤コーティングとして適当な非イオン性ブロックコポリマー界面活性剤”に関するNo.5,569,448;“消化の良い油又は脂肪酸中のナノ粒子状分散系としての化合物の製剤”に関するNo.5,571,536;“血液プールとリンパ系イメージングのためのX線造影剤としてのナノ粒子状診断用混合無水カルボン酸”に関するNo.5,573,749;“診断用イメージングX線造影剤”に関するNo.5,573,750;“保護オーバーコートを有する最分散可能なナノ粒子状フィルム・マトリックス”に関するNo.5,573,783;“高分子量線状ポリ(エチレンオキシド)ポリマーによって安定化したナノ粒子を用いる、GI管内の部位特異性接着”に関するNo.5,580,579;“製薬的に受容されるクレイと組み合わせた経口胃腸治療剤の製剤”に関するNo.5,585,108;“ナノ粒子状組成物の安定剤コーティングとしてのブチレンオキシド−エチレンオキシド・ブロックコポリマー”に関するNo.5,587,143;“分散系安定剤としてのヒドロキシプロピルセルロースと一緒にした粉砕ナプロキセン”に関するNo.5,591,456;“非イオン及びアニオン安定剤によって安定化した、新規なバリウム塩製剤”に関するNo.5,593,657;“ナノ結晶のための、糖に基づく界面活性剤”に関するNo.5,622,938;“経口胃腸診断用X線造影剤及び経口胃腸治療剤の改良製剤”に関するNo.5,628,981;“血液プールとリンパ系イメージングのためのX線造影剤としてのナノ粒子状診断用混合無水カルボン酸”に関するNo.5,643,552;“薬剤物質の連続グラインディング方法”に関するNo.5,718,388;“イブプロフェンのR(−)エナンチオマーを含有するナノ粒子”に関するNo.5,718,919;“ベクロメタゾン・ナノ粒子分散系を含有するエアロゾル”に関するNo.5,747,001;“静脈内投与されたナノ粒子状製剤に誘導される不利な生理的反応の低減”に関するNo.5,834,025;“セルロース表面安定化剤を用いるヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼ阻害剤のナノ結晶製剤”に関するNo.6,045,829;“セルロース表面安定化剤を用いるヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼ阻害剤のナノ結晶質製剤の製造方法”に関するNo.6,068,858;“ナノ粒子状ナプロキセンの注射可能な製剤”に関するNo.6,153,225;“ナノ粒子状ナプロキセンの、新規な固体投与形”に関するNo.6,165,506;“ヒト免疫不全ウイルス(HIV)プロテアーゼ阻害剤のナノ結晶製剤のナノ結晶製剤を用いた、哺乳動物の治療方法”に関するNo.6,221,400;“ナノ粒子分散系を含有する噴霧状エアロゾル”に関するNo.6,264,922;“ナノ粒子組成物中の結晶成長及び粒子凝集の防止方法”に関するNo.6,267,989;“ナノ粒子状組成物の表面安定化剤としてのPEG誘導体化脂質の使用”に関するNo.6,270,806;“迅速崩壊性固体経口投与形”に関するNo.6,316,029;“ポリマー表面安定化剤とスルホコハク酸ジオクチル・ナトリウムとの相乗的組み合わせを含む固体投与形ナノ粒子状組成物”に関するNo.6,375,986;“カチオン表面安定化剤を有する生体接着性ナノ粒子状組成物”に関するNo.6,428,814;“小規模ミル”に関するNo.6,431,478;“上部及び/又は下部胃腸管への薬物デリバリーのターゲッティング方法”に関するNo.6,432,381;“ポリマー表面安定化剤とスルホコハク酸ジオクチル・ナトリウムとの相乗的組み合わせを含むナノ粒子状分散系”に関するNo.6,592,903;“衛生的な湿式ミリング装置”に関するNo.6,582,285;“非晶質シクロスポリンを含むナノ粒子状組成物”に関するNo.6,656,504;“物質を粉砕するためのシステムと方法”に関するNo.6,742,734;“小規模ミルとその方法”に関するNo.6,745,962;“ナノ粒子状薬物の液滴エアロゾル”に関するNo.6,811,767;“即時放出特徴と制御放出特徴との組み合わせを有する組成物”に関するNo.6,908,626;“表面安定化剤としてビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマーを含むナノ粒子状組成物”に関するNo.6,969,529;“物質を粉砕するためのシステム及び方法”に関するNo.6,976,647;及び“小規模ミルの使用方法”に関するNo.6,991,191(これらの全ては具体的に本明細書に援用される)にも記載されている。さらに、“制御放出ナノ粒子状組成物”に関する米国特許出願No.20020012675 A1(2002年1月31日公開)は、ナノ粒子状組成物を述べており、具体的に本明細書に援用される。これらの特許のいずれも、複素環式アミド誘導体のナノ粒子状組成物を記載していない。
【0014】
非晶質小粒子組成物は、例えば、“粒子状組成物と、抗微生物剤としてのその使用”に関する米国特許No.4,783,484;“水不溶性有機化合物からの均一サイズ粒子の製造方法”に関するNo.4,826,689;“不溶性化合物からの均一サイズ粒子の製造方法”に関する米国特許No.4,997,454;“その中に気泡を取り込むための均一サイズの極小非凝集多孔質粒子と方法”に関するNo.5,741,522;及び“超音波後方散乱を強化するための極小多孔質粒子”に関するNo.5,776,496に記載されている。これらの特許のいずれも、複素環式アミド誘導体のナノ粒子状組成物を記載していない。
【0015】
例えばザフィルルカストのような複素環式アミド誘導体は、実際に水に不溶性であるので、有意なバイオアベイラビリティは疑わしい可能性がある。先行技術の慣習的な複素環式アミド誘導体製剤に付随する、この問題及びその他の問題を克服する、例えばザフィルルカスト製剤のような、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体製剤の必要性が、当該技術分野には存在する。本発明は、この必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【0016】
約2ミクロン未満の有効平均粒度を有する、例えばザフィルルカスト組成物のような、ナノ粒子状複素環式アミド組成物を提供することが、本発明の目的である。好ましくは、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体粒子は、該薬物粒子の表面上に吸着された又は該表面と結合した、少なくとも1種類の表面安定化剤を有する。
【0017】
本発明の好ましい投与形は固体投与形であるが、任意の製薬的に受容される投与形を用
いることが可能である。
本発明の他の態様は、例えばザフィルルカストのような、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体と、少なくとも1種類の表面安定化剤と、製薬的に受容されるキャリヤー、並びに任意の望ましい賦形剤を含む薬剤組成物に関する。
【0018】
本発明の他の態様は、慣習的なザフィルルカスト製剤に比べて、改良された薬物動態プロファイルを有する、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばナノ粒子状ザフィルルカスト)組成物に関する。
【0019】
本発明の他の実施態様は、喘息の治療に有用な、1種類以上の付加的な化合物を含む、例えばザフィルルカスト組成物のような、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物に関する。
【0020】
本発明の他の目的では、連続的に投与された、二つ以上のIR投与形の投与によって生じる血漿プロファイルと実質的に同様な血漿プロファイルを作用中に生じる、例えばナノ粒子状ザフィルルカストのようなナノ粒子状複素環式アミド誘導体を含む制御放出組成物を提供する。したがって、本発明の一つの目的は、二つ以上のIR投与形の投与によって生じる薬理学的及び治療的効果を実質的に模倣する制御放出組成物を提供することである。
【0021】
作用中に、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体、好ましくはザフィルルカスト・ナノ粒子をパルス式にデリバリーする制御放出組成物を提供することが、本発明の他の目的である。
【0022】
本発明の他の目的は、該組成物の、例えばナノ粒子状ザフィルルカストのような、複素環式アミド誘導体ナノ粒子に対する患者耐性の発生を実質的に低減するか又は排除する制御放出組成物を提供することである。
【0023】
本発明の他の目的は、投与すると、有効成分の第1部分、即ち、例えばナノ粒子状ザフィルルカストのような、複素環式アミド誘導体ナノ粒子が即時に放出され、有効成分の第2部分が最初の遅延時間後に迅速に、二峰式に放出される制御放出組成物を提供することである。
【0024】
本発明の他の目的は、侵食性製剤、拡散制御製剤又は浸透制御製剤の形態で投与量を処方することである。
本発明の他の目的は、例えばザフィルルカスト・ナノ粒子のようなナノ粒子状複素環式アミド誘導体を二峰式又は多峰式に放出することができる、この場合には、有効成分の第1部分が即時に若しくは遅延時間後に放出されて、薬物放出のパルスを生じ、例えばザフィルルカスト・ナノ粒子のようなナノ粒子状複素環式アミド誘導体の一つ以上の付加的部分が、それぞれ、各々の遅延時間後に放出されて、24時間までの期間中に薬物放出の追加パルスを生じることができる制御放出組成物を提供することである。
【0025】
本発明の他の目的は、連続的に投与された、二つの即時放出投与形の投与によって生じる血漿プロファイルと実質的に同様な血漿プロファイルを作用中に生じる、ザフィルルカストの1日1回投与形を提供すること、及びこのような投与形の投与に基づく、喘息の治療方法を包含する。
【0026】
上記目的は、例えばザフィルルカスト・ナノ粒子のようなナノ粒子状複素環式アミドの第1集団を含む第1構成要素と、例えばザフィルルカスト・ナノ粒子のようなナノ粒子状複素環式アミド第2集団を含む第2構成要素若しくは製剤とを有する制御放出組成物によって実現される。第2構成要素の該成分含有粒子はさらに、放出被膜又は放出マトリックス物質又は両方を含む調節放出成分を含む。経口デリバリー後に、該組成物は、作用中に、複素環式アミド誘導体ナノ粒子、好ましくはナノ粒子状ザフィルルカストをパルス式にデリバリーする。
【0027】
本発明は、固体経口投与製剤からの、例えばザフィルルカスト・ナノ粒子のような、ナノ粒子状複素環式アミドの制御放出デリバリーを利用して、以前より少ない頻度の投与、好ましくは1日1回投与を可能にして、患者の便利さ及びコンプライアンスを高める。制御放出の機構は、好ましくは、非限定的に侵食性製剤、拡散制御製剤及び浸透制御製剤を利用する。総投与量の一部は、直ちに放出されて、効果の迅速開始を可能にすることができる。本発明は、患者コンプライアンスの改良、したがって、非限定的に喘息の治療を含めた、ザフィルルカストを必要とする、あらゆる治療の治療成果の改良に有用であると考えられる。このアプローチは、喘息の治療における付加的療法として1日2回投与される、慣習的なザフィルルカスト錠剤及び溶液に取って代わるものと考えられる。
【0028】
本発明はまた、例えばザフィルルカスト・ナノ粒子のようなナノ粒子状複素環式アミドを制御放出するための制御調節放出組成物にも関する。特に、本発明は、作用中に例えばナノ粒子状ザフィルルカストのような、複素環式アミド誘導体ナノ粒子を、好ましくは24時間までの期間中にパルス式にデリバリーする制御放出組成物に関する。本発明はさらに、制御放出組成物を含有する固体経口投与形に関する。
【0029】
好ましい制御放出製剤は、侵食性製剤、拡散制御製剤及び浸透制御製剤である。本発明によると、総投与量の一部は、直ちに放出されて、効果の迅速な発生を可能にし、該総投与量の残部は長時間にわたって放出される。本発明は、コンプライアンスの改良に、したがって、非限定的に喘息の治療を含めた、例えばザフィルルカストのような複素環式アミド誘導体を必要とする、あらゆる治療の治療成果の改良に有用である。
【0030】
本発明はさらに、例えばザフィルルカスト組成物のような、本発明のナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物の製造方法を開示する。このような方法は、例えばザフィルルカスト粒子のような複素環式アミド誘導体粒子を、少なくとも1種類の表面安定化剤と、安定化されたナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物、例えばナノ粒子状ザフィルルカスト組成物を生成するために充分な時間及び条件下で接触させることを含む。
【0031】
本発明はまた、本明細書に開示した、新規なナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)組成物を用いる、非限定的に喘息の治療を含めた治療方法にも関する。このような方法は、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体、例えばザフィルルカストの治療有効量を対象に投与することを含む。本発明のナノ粒子状組成物を用いる、他の治療方法は、当業者に知られている。
【0032】
今までの一般的記載と下記の詳細な説明との両方は、例示的かつ説明的であり、特許請求する本発明をさらに説明しようと意図するものである。本発明の下記の詳細な説明から、他の目的、利益及び新しい特徴は当業者に容易に明らかになるであろう。
【発明の詳細な記述】
【0033】
A.概要
本発明は、例えばザフィルルカストのような、複素環式アミド誘導体を含むナノ粒子状組成物に関する。該組成物は、約2ミクロン未満の有効平均粒度を有するナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)粒子と、該薬物の表面に吸着された又は該表面と結合した、少なくとも1種類の表面安定化剤を含む。‘684特許に教示されているように、表面安定化剤と活性剤とのあらゆる組み合わせが安定なナノ粒子状組成物を生じるとは限らない。意外にも、安定なナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)製剤を製造することができることが、発見された。
【0034】
本発明のナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)製剤の利点は、非限定的に、(1)比較的小さい錠剤若しくは他の固体投与形サイズ;(2)同じ複素環式アミド誘導体の慣習的な投与形に比べて、同じ薬理学的効果を得るために必要な、複素環式アミド誘導体の投与量が少ない;(3)同じ複素環式アミド誘導体の慣習的な投与形に比べて、上昇したバイオアベイラビリティ;(4)改良された薬物動態プロファイル;(5)ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物の改良された生物学的同等性(bioequivalency);(6)同じ活性化合物の慣習的形態に比べて、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物の増大した溶解速度;(7)生体接着性の複素環式アミド誘導体組成物;及び(8)ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)組成物が、喘息の治療に有用な、他の活性剤と併用可能であることを包含する。
【0035】
本発明はさらに、集約的にキャリヤーと呼ばれる、1種類以上の非毒性の生理学的に受容されるキャリヤー、アジュバント又はビヒクルと一緒にしたナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)組成物を包含する。該組成物は、非経口的注射(例えば、静脈内、筋肉内若しくは皮下)、固体、液体若しくはエアロゾル形での経口投与、膣、鼻腔、直腸、眼、局部(粉末、軟膏若しくは滴剤)、頬側、槽内、腹腔内又は局所投与等のために処方することができる。本発明の好ましい投与形は固体投与形であるが、製薬的に受容される、任意の投与形を用いることができる。典型的な固体投与形は、非限定的に、錠剤、カプセル剤、サッシェ(sachet)、トローチ剤、粉末、ピル又は顆粒を包含し、該固体投与形は、例えば、迅速溶融投与形、制御放出投与形、凍結乾燥投与形、遅延放出投与形、延長放出投与形、パルス式放出投与形、即時放出と制御放出の混合投与形、又はこれらの組み合わせであることができる。固体投与錠剤製剤が好ましい。
【0036】
以下で及び本出願を通して記載するように、本明細書では幾つかの定義を用いて、本発明を説明する。
本明細書で用いる限り、“約”とは当業者によって理解されるとおりであるが、それが用いられる状況に応じて、ある程度変化するであろう。この用語が用いられる状況を与えられた当業者に該用語の使用が明らかでない場合には、“約”は、特定の用語のプラス又はマイナス10%までを意味することになる。
【0037】
安定な複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子に関連して、本明細書で用いる限り、“安定な”とは、該粒子が、粒子間引力のために、目に付くほどにフロキュレートしない若しくは凝集しない、又は他のやり方で自然に粒度を高めないことを意味する。
【0038】
“慣習的な(conventional)”又は“非ナノ粒子状”活性剤若しくは複素環式アミド誘導体、例えばザフィルルカストは、可溶化されるか又は約2000nmを超える有効平均粒度を有する、例えば複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)のような活性剤を当然意味する。本明細書で定義するようなナノ粒子状活性剤は、約2000nm未満の有効平均粒度を有する。
【0039】
本明細書で用いる“弱水溶性薬物”なるフレーズは、約30mg/ml未満、約20mg/ml未満、約10mg/ml未満又は約1mg/ml未満の水中溶解度を有する薬物を意味する。
【0040】
本明細書で用いる限り、“治療有効量”なるフレーズは、該治療を必要とする有意な数の対象に薬物を投与する目的の、特定の薬理学的反応を生じる薬物投与量を意味する。特定の場合に特定の対象に投与される薬物の治療有効量は、このような投与量が当業者によって治療有効量であるように思われるとしても、本明細書に記載する状態/疾患の治療に必ずしも有効であるとは限らない。
【0041】
本明細書で用いる“粒子状”なる用語は、それらのサイズ、形状又は形態に関係なく、分離した粒子、ペレット、ビーズ又は顆粒の存在によって特徴付けられる物質の状態を意味する。本明細書で用いる“多粒子状”なる用語は、それらのサイズ、形状又は形態に関係なく、分離した又は凝集した、複数の粒子、ペレット、ビーズ、顆粒又はこれらの混合物を意味する。
【0042】
本発明による組成物又は被膜若しくはコーティング物質に関連して本明細書で用いられる又は他の状況で用いられる“調節放出”なる用語は、即時放出ではない放出を意味し、制御放出、持続放出及び遅延放出を包含すると解釈される。
【0043】
本明細書で用いる“時間遅延(time delay)”なる用語は、該組成物の投与と、特定の構成要素からの該複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)の放出との間の時間の持続期間を意味する。
【0044】
本明細書で用いる“遅延時間(lag time)”なる用語は、一つの構成要素からの有効成分のデリバリーと、別の構成要素からの複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)の次のデリバリーとの間の時間を意味する。
B.制御放出組成物
本明細書に開示する制御放出組成物と同様な制御放出組成物は、Devane et al.への米国特許No.6,228,398とNo.6,730,325(これらの両方とも、本明細書に援用される)に開示され、特許請求されている。
【0045】
本発明による多粒子状調節放出組成物の好ましい実施態様では、第1構成要素は即時放出成分を包含する。第2構成要素では、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)の第2集団に塗布された調節放出被膜、又は該第2集団中の調節放出マトリックス物質の存在が、ザフィルルカスト粒子の第1集団からのザフィルルカストの放出と、有効成分を含む粒子の第2集団からの有効成分の放出との間に遅延時間を生じる。該遅延時間の持続期間は、調節放出被膜の組成と量を変えることによって、及び/又は該組成物若しくは製剤に用いられる調節放出マトリックス物質の組成と量を変えることによって変化する可能性がある。該遅延時間を変化させるために用いられる好ましい製剤タイプは、侵食性製剤、拡散制御製剤及び浸透制御製剤である。このようにして、遅延時間の持続期間を、所望の血漿プロファイルを模倣するように設計することができる。
【0046】
1.侵食性製剤
第2製剤(the subsequent formulation)は、有効成分と、水中で溶解して、時間が経つうちにそれらの構造的一体性を失う調節放出被膜及び調節放出マトリックス物質の少なくとも一方から成る調節放出成分とを含む侵食性製剤の形態であることができる。これが起こりうる、一つの形式は、有効成分と調節放出被膜及び/又は調節放出マトリックス物質とが、ヒトが摂取した後に制御された時間にわたって溶解することである。
【0047】
2.拡散制御製剤
第2製剤は、例えば、Roser et al.への米国特許No.6,586,006(これは本明細書に援用される)に参照されるような、粒子の第2集団が徐々に分散して、液体媒質中に散乱する又は分散するのを可能にする拡散制御製剤の形態であることができる。
【0048】
3.浸透制御製剤
第2製剤の制御放出は、浸透作用(osmosis)によって制御することができる。“浸透性薬物デリバリー系”に関するRudnic et al.への米国特許No.6,110,498は、可溶化された形態で限定された水溶性を有する治療剤を分配する系を開示する。該デリバリー系は、膨潤性ポリマーを含まず、非膨潤性可溶化剤とウィッキング剤(wicking agents)を含むコアを含む。可溶化された治療剤は、該錠剤の半透性被膜の通路を通ってデリバリーされる。
【0049】
やはりRudnic et al.への米国特許No.6,814,979は、(a)薬剤デリバリー中のそれの一体性を維持し、それを貫通する少なくとも一つの通路を有する半透壁と;(b)その組成が(i)薬剤活性剤、(ii)該薬剤活性剤の溶解性を強化する、少なくとも1種類の非膨潤性可溶化剤、(iii)少なくとも1種類の非膨潤性浸透剤及び(iv)流入する水性流体との該薬剤の表面積接触を強化する、該組成全体に分散された非膨潤性ウィッキング剤、を含む該壁内の単一の均質な組成物とを含む浸透薬剤デリバリー系を記載している。Rudnic et al.への上記特許の両方とも本明細書に援用される。
C.本発明の複素環式アミド誘導体組成物の好ましい特徴
1.増強したバイオアベイラビリティ
本発明の複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)製剤は、増強したバイオアベイラビリティを示し、先行技術の慣習的な複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)製剤に比べて、必要投与量は少ない。
【0050】
2.本発明のナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物の溶解プロファイル
本発明のナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えば、ザフィルルカスト)組成物は、意外にも、劇的な溶解プロファイルを有する。溶解が迅速であればあるほど、一般に作用開始は迅速になり、バイオアベイラビリティは大きくなるので、投与された活性剤が迅速に溶解することが好ましい。例えばザフィルルカストのような複素環式アミド誘導体の溶解プロファイルとバイオアベイラビリティを改良するために、ザフィルルカストの溶解が100%に密接なレベルに達することができるように、ザフィルルカストの溶解を高めることが有用である。
【0051】
例えばザフィルルカストのような化合物は実際に水に不溶性であるので、例えばザフィルルカスト錠剤のような、複素環式アミド誘導体の慣習的な錠剤は、限定されたバイオアベイラビリティを有する。本発明は、実際に不要な活性化合物の溶解速度を改良する、例えばナノ粒子状ザフィルルカスト組成物のような、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物を含む。溶解速度の改良は、例えばザフィルルカストのような、複素環式アミド誘導体のバイオアベイラビリティを強化して、複素環式アミド誘導体の慣習的な非ナノ粒子状投与形によって必要とされる大きい投与量と同じin vivo血液レベルを生じるために、より小さい投与量を可能にする。さらに、強化された溶解速度は、大きな投与量が吸収されるのを可能にする、このことは、例えばザフィルルカストのような複素環式アミド誘導体の効力を高め、それ故、非限定的に喘息の治療を含めた、例えばザフィルルカストのような複素環式アミド誘導体を必要とするあらゆる治療の治療成果を高める。
【0052】
本発明の、例えばナノ粒子状ザフィルルカストのような、複素環式アミド誘導体組成物は好ましくは、約5分間内に該組成物の少なくとも約20%が溶解する溶解プロファイルを有する。本発明の他の実施態様では、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物の少なくとも約30%又は少なくとも約40%が約5分間内に溶解する。本発明のさらに他の実施態様では、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物の少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、又は少なくとも約80%が、約10分間内に溶解する。最後に、本発明の他の実施態様では、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物の少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、又は少なくとも約100%は、約20分間内に溶解する。
【0053】
溶解は、識別力のある媒質中で測定することが好ましい。このような溶解媒質は、胃液中で非常に異なる溶解プロファイルを有する2種類の化合物に対して、2つの非常に異なる溶解曲線を生じるであろう;即ち、該溶解媒質は、組成物のin vivo溶解を予測する。
典型的な溶解媒質は、界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウムを0.025Mで含む水性媒質である。溶解した量の測定は分光光度計によって行なうことができる。回転ブレード法(European Pharmacopoeia)を用いて、溶解を測定することができる。
【0054】
3.他の活性剤と併用されるナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物
本発明の他の実施態様は、喘息の治療に用いるための1種類以上の化合物を含む複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物に関する。
【0055】
4.本発明の複素環式アミド誘導体組成物の薬物動態プロファイルは、該組成物を摂取する対象が満腹状態であるか又は絶食状態であるかによって影響されない。
本明細書の他の実施態様では、複素環式アミド誘導体、例えばザフィルルカストの薬物動態プロファイルが組成物を摂取する対象が満腹状態であるか又は絶食状態であるかによって実質的に影響されない、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物を記載する。このことは、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物を満腹状態で投与した場合と絶食状態で投与した場合を比べて、薬物の吸収量又は薬物の吸収速度に識別可能な差異が殆ど又は全く存在しないことを意味する。
【0056】
食物の効果を実質的に排除する投与形の利益は、対象が投与量を食物と共に摂取しているか又は食物なしに摂取しているかを確認する必要がないので、対象の便利さを向上させ、それによって対象のコンプライアンスを高めることを包含する。このことは、例えばザフィルルカストのような複素環式アミド誘導体に対する対象のコンプライアンスが不良であると、薬物が処方されている医学的状態−即ち、喘息の増強、即ち悪化が見られる可能性があるので、重要である。
【0057】
本発明はまた、哺乳動物対象に投与した場合に、望ましい薬物動態プロファイルを有する複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物を提供する複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物の該望ましい薬物動態プロファイルは、非限定的に、(1)同じ投与量で投与された非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))のCmaxよりも大きい、投与後の哺乳動物対象の血漿中で分析した場合の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)のCmax;及び/又は(2)同じ投与量で投与された非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))のAUCよりも大きい、投与後の哺乳動物対象の血漿中で分析した場合の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)のAUC;及び/又は(3)同じ投与量で投与された非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))のTmaxよりも小さい、投与後の哺乳動物対象の血漿中で分析した場合の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)のTmaxを包含する。本明細書で用いる、望ましい薬物動態プロファイルは、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の初回投与後に測定される薬物動態プロファイルである。
【0058】
1実施態様では、好ましい複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、同じ投与量で投与された非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))によって示されるTmaxの約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、又は約5%以下のTmaxを示す。
【0059】
他の実施態様では、本発明の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、同じ投与量で投与された非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))によって示されるCmaxよりも、少なくとも約50%大きい、少なくとも約100%大きい、少なくとも約200%大きい、少なくとも約300%大きい、少なくとも約400%大きい、少なくとも約500%大きい、少なくとも約600%大きい、少なくとも約700%大きい、少なくとも約800%大きい、少なくとも約900%大きい、少なくとも約1000%大きい、少なくとも約1100%大きい、少なくとも約1200%大きい、少なくとも約1300%大きい、少なくとも約1400%大きい、少なくとも約1500%大きい、少なくとも約1600%大きい、少なくとも約1700%大きい、少なくとも約1800%大きい、少なくとも約1900%大きいCmaxを示す。
【0060】
さらに他の実施態様では、本発明の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、同じ投与量で投与された非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))との比較薬物動態試験において、非ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)製剤(例えば、ACCOLATE(登録商標))によって示されるAUCよりも、少なくとも約25%大きい、少なくとも約50%大きい、少なくとも約75%大きい、少なくとも約100%大きい、少なくとも約125%大きい、少なくとも約150%大きい、少なくとも約175%大きい、少なくとも約200%大きい、少なくとも約225%大きい、少なくとも約250%大きい、少なくとも約275%大きい、少なくとも約300%大きい、少なくとも約350%大きい、少なくとも約400%大きい、少なくとも約450%大きい、少なくとも約500%大きい、少なくとも約550%大きい、少なくとも約600%大きい、少なくとも約750%大きい、少なくとも約700%大きい、少なくとも約750%大きい、少なくとも約800%大きい、少なくとも約850%大きい、少なくとも約900%大きい、少なくとも約950%大きい、少なくとも約1000%大きい、少なくとも約1050%大きい、少なくとも約1100%大きい、少なくとも約1150%大きい、又は少なくとも約1200%大きいAUCを示す。
【0061】
5.絶食状態に対比して満腹状態で投与された場合の、本発明の複素環式アミド誘導体組成物の生物学的同等性
本発明はさらに、絶食状態の対象への組成物の投与が満腹状態の対象への該組成物の投与と生物学的同等性である、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体、例えばザフィルルカストを含む組成物を包含する。
【0062】
絶食状態に対比して満腹状態で投与された場合のナノ粒子状複素環式アミド誘導体、例えばザフィルルカストを含む組成物の吸収の差異は、好ましくは、約100%未満、約95%未満、約90%未満、約85%未満、約80%未満、約75%未満、約70%未満、約65%未満、約60%未満、約55%未満、約50%未満、約45%未満、約35%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、又は約3%未満である。
【0063】
本発明の1実施態様では、本発明は、特に、米国食品医薬品局(USFDA)及び対応する欧州規制当局(EMEA)によって提供されるCmaxとAUCのガイドラインによって定義されるように、絶食状態の対象への組成物の投与が満腹状態の対象への該組成物の投与と生物学的同等性であるナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を包含する。USFDAガイドラインでは、AUCとCmaxの90%信頼区間(CI)が0.80〜1.25である場合には、二つの生成物又は方法は生物学的同等性である(Tmax測定値は規制のために生物学的同等性に関連しない)。欧州EMEAガイドラインによると、二つの化合物又は投与条件の間の生物学的同等性を示すためには、AUCの90%CIは0.80〜1.25でなければならず、Cmaxの90%CIは0.70〜1.43でなければならない。
【0064】
6.本発明の複素環式アミド誘導体組成物の再分散プロファイル
本発明の1実施態様では、本発明の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物を、再分散した複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子の有効平均粒度が約2ミクロン未満になるように再分散する固体投与形に製剤化する。このことは、投与時にナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物がナノ粒子状の粒度に再分散しなかったならば、該投与形は、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)をナノ粒子状粒度に製剤化することによって得られる利益を失う可能性があるので、重要である。
【0065】
実際に、本発明のナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の小さい粒度から恩恵を受ける;複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)が投与時に小さい粒度に再分散しない場合には、ナノ粒子系の極度に高い表面自由エネルギーと、自由エネルギーを総合的に減少させようとする熱力学的駆動力のために、“クランプ”即ち凝集した複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子が形成される。このような凝集した粒子の形成によって、該投与形のバイオアベイラビリティは低下する可能性がある。
【0066】
さらに、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を含む組成物を含めた、本発明のナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、再分散した複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子の有効平均粒度が2ミクロン未満であるような生体関連水性媒質中での再構成/再分散によって実証されるように、例えばヒト又は動物のような、哺乳動物への投与時にナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子の劇的な再分散を示す。このような生体関連水性媒質は、該媒質の生体関連性(biorelevance)の根拠をなす、望ましいイオン強度及びpHを示す、任意の水性媒質であることができる。望ましいイオン強度及びpHとは、人体において見出される生理的条件を代表するものである。このような生体関連水性媒質は、例えば、望ましいpH及びイオン強度を示す、任意の塩、酸又は塩基、又はこれらの組み合わせの水性電解質溶液又は水溶液であることができる。
【0067】
生体関連pHは、当技術分野で周知である。例えば、胃においては、pHは、2よりやや低い値(但し、典型的には1より大きい)から4又は5までの範囲である。小腸においては、pHは4〜6の範囲であることができ、結腸では、pHは6〜8の範囲であることができる。生体関連イオン強度も当該技術分野で周知である。絶食状態の胃液は約0.1Mのイオン強度を有するが、絶食状態の腸液は約0.14のイオン強度を有する。例えば、Lindahl et al.、“男性及び女性における胃及び近位空腸からの流体の特徴づけ”、Pharm.Res., 14(4)497-502(1997)を参照のこと。
【0068】
試験溶液のpH及びイオン強度は、特定の化学物質含有量よりも重要であると考えられる。したがって、適当なpH及びイオン強度値は、強酸、強塩基、塩、単独若しくは複数の共役酸−塩基対(即ち、弱酸と対応するその酸の塩)、モノプロトン電解質及びポリプロトン電解質等の多くの組み合わせによって得ることができる。
【0069】
代表的な電解質溶液は、非限定的に、約0.001〜約0.1Nの濃度範囲であるHCl溶液、約0.001〜約0.1Mの濃度範囲であるNaCl溶液、及びこれらの混合物であることができる。例えば、電解質溶液は、非限定的に、約0.1N以下のHCl、約0.01N以下のHCl、約0.001N以下のHCl、約0.1M以下のNaCl、約0.01M以下のNaCl、約0.001M以下のNaCl、及びこれらの混合物であることができる。これらの電解質溶液のうち、0.01N HCl及び/又は0.1M NaClが、近位胃腸管のpH及びイオン強度状態のために、絶食したヒトの生理的条件の最も代表的なものである。
【0070】
0.001N HCl、0.01N HCl及び0.1N HClの電解質濃度は、それぞれ、pH3、pH2及びpH1に相当する。したがって、0.01N HCl溶液は、胃に見出される、典型的な酸性状態をシミュレートする。0.1M NaCl溶液は、胃液を含めて、身体を通して見出されるイオン強度状態の妥当な近似を与えるが、ヒトGI管内の満腹状態(fed conditions)をシミュレートするには、0.1Mより高い濃度を用いることができる。
【0071】
望ましいpH及びイオン強度を示す、塩、塩基又はこれらの組み合わせの典型的な溶液は、非限定的に、リン酸/リン酸塩+塩化物のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩、酢酸/酢酸塩+塩化物のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩、炭酸/炭酸塩+塩化物のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩、並びにクエン酸/クエン酸塩+塩化物のナトリウム、カリウム及びカルシウム塩を包含する。
【0072】
本発明の他の実施態様では、本発明の再分散した複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子(水性の生体関連媒質又は任意の他の適当な媒質中に再分散した)は、光散乱法、顕微鏡法又は他の適当な方法によって測定して、約2000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約650nm未満、約600nm未満、約550nm未満、約500nm未満、約450nm未満、約400nm未満、約350nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、約50nm未満の有効平均粒度を有する。有効平均粒度を測定するために適当な、このような方法は、当業者に知られている。
【0073】
再分散性は、当該技術分野で知られた、任意の適当な手段を用いて検査することができる。例えば、“ポリマー表面安定化剤とスルホコハク酸ジオクチルナトリウムとの相乗的組み合わせを含む固体投与形ナノ粒子状組成物”に関する米国特許No.6,375,986の実施例セクションを参照のこと。
C.組成物
本発明は、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体、例えばナノ粒子状ザフィルルカストと、少なくとも1種類の表面安定化剤を含む組成物を提供する。該表面安定化剤は、好ましくは、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子の表面に吸着されるか、又は該表面と結合する。本発明に特に有用な表面安定化剤は、物理的に、ナノ粒子状薬物粒子の表面に接着するか又は該表面と結合するが、該薬物粒子又はそれら自体と化学的に反応しないことが好ましい。個別に吸着された表面安定化剤分子は、分子間架橋を本質的に含まない。
【0074】
本発明はまた、1種類以上の、非毒性の生理的に受容されるキャリヤー、アジュバント又はビヒクル(これらは集約的にキャリヤーと呼ばれる)と一緒にした複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物を包含する。該組成物は、非経口的注射(例えば、静脈内、筋肉内若しくは皮下)、固体、液体若しくはエアロゾル形での経口投与、膣、鼻腔、直腸、眼、局部(粉末、軟膏若しくは滴剤)、頬側、槽内、腹腔内又は局所投与等
のために製剤化することができる。
【0075】
1.複素環式アミド誘導体
複素環式アミド誘導体は、例えば、WO 03/004464(本明細書に具体的に援用される)に記載されている。
【0076】
複素環式アミド誘導体ザフィルルカストは、化学名4−(5−シクロペンチルオキシ−カルボニルアミノ−1−メチル−インドル−3−イルメチル)−3−メトキシ−N−o−トリルスルホニルベンズアミドを有する、合成の選択的ペプチドロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)である。ザフィルルカストの分子量は575.7である。実験式は、C3133Sであり、ザフィルルカストの化学構造は以下に示す:
【0077】
【化2】

【0078】
ザフィルルカスト、微細な白色〜淡黄色非晶質粉末は、実際に水に不溶性である。これはメタノール中に弱溶解性であり、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド及びアセトン中に自由に溶解性である。
【0079】
2.表面安定化剤
本発明は、安定なナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物を製造することができるという意外な発見に関する。
【0080】
2種類以上の表面安定化剤の組み合わせ(combinations of more than one surface stabilizer)を、本発明に用いることができる。本発明に使用可能である、有用な表面安定化剤は、非限定的に、既知の有機及び無機の製薬的賦形剤を包含する。このような賦形剤は、種々なポリマー、低分子量オリゴマー、天然生成物、及び界面活性剤を包含する。有用な表面安定化剤は、非イオン、アニオン、カチオン、イオン及び両性イオン界面活性剤を包含する。
【0081】
表面安定化剤の代表的な例は、非限定的に、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(現在は、ヒプロメロースとして知られる)、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホスクシネート、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、デキストラン、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ベンズアルコニウムクロリド、ステアリン酸カルシウム、グリセロール・モノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシレン・アルキルエーテル(例えば、セトマクロゴール1000のようなマクロゴールエーテル)、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、商業的に入手可能なTweens(登録商標)製品、例えばTween(登録商標)20とTween(登録商標)80(ICI Speciality Chemicals));ポリエチレングリコール(例えば、Carbowax(登録商標)3550及び934 (Union Carbide))、ポリオキシ−エチレン・ステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタレート、非結晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレンオキシドとホルムアルデヒドによる4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー(チロキサポール、スーパーイオン及びトリトンとしも知られる)、ポロキサマー(例えば、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのブロックコポリマーであるPluronic(登録商標)F68とF108);ポロキサミン(例えば、Tetronic(登録商標)908、これはPoloxamineTM908としても知られ、エチレンジアミンへのプロピレンオキシドとエチレンオキシドの逐次添加から得られる四官能性ブロックコポリマーである(BASF Wyandotte Corporation, Parsippany, N.J.));Tetronic(登録商標)1508(T-1508)(BASF Wyandotte Corporation)、Triton(登録商標)X-200、これはアルキルアリールポリエーテルスルホネートである(Rohm and Haas);CrodestasTM F-110、これはスクロースステアレートとスクロースジステアレートとの混合物である(Croda Inc.);p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、これはOlin(登録商標)-1OG又はSurfactantTM10-Gとしても知られる(Olin Chemicals, Stamford, CT);CrodestasTMSL-40(Croda,Inc.);及びSA9OHCO、これはC1837CH(CON(CH)−CH(CHOH)(CHOH)である(Eastman Kodak Co.);デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチルβ−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチルβ−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、リソザイム、ビニルピロリドンと酢酸ビニルとのランダムコポリマー等を包含する。
【0082】
有用なカチオン表面安定化剤の例は、非限定的に、ポリマー、バイオポリマー、多糖類、セルロース(cellulosics)、アルギネート、リン脂質、並びに非ポリマー化合物、例えば、両性イオン安定化剤、ポリ−n−メチルピリジニウム、アンスリルピリジニウムクロリド(anthryul pyridinium chloride)、カチオン・リン脂質、キトサン、ポリリシン、ポリビニルイミダゾール、ポリブレン、ポリメチルメタクリレート・トリメチルアンモニウムブロミド(PMMTMABr)、ヘキシルデシルトリメチルアンモニウムブロミド(HDMAB)、及びポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジメチルスルフェートを包含する。
【0083】
他の有用なカチオン安定化剤は、非限定的に、カチオン脂質、スルホニウム、ホスホニウム、並びに第4級アンモニウム化合物、例えば、ステアリルトリメチルアンモニウムクロリド、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツ・トリメチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、ココナッツ・メチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、ココナッツ・ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド若しくはブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロリド若しくはブロミド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル及び(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、及び/又はエトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド及びドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12,C15,C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲニド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(ALIQUAT(登録商標)336)、POLYQUATTM10、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル(例えば、脂肪酸のコリンエステル)、ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド化合物(例えば、ステアリルトリモニウムクロリド及びジステアリルジモニウムクロリド)、セチルピリジニウムブロミド若しくはクロリド、第4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、MIRAPOL(登録商標)及びALKAQUATTM(Alkaril Chemical Company)、アルキルピリジニウム塩;アミン、例えばアルキルアミン、ジアルキルアミン、アルカノールアミン、ポリエチレンポリアミン、N,N−ジアルキルアミノアルキルアクリレート及びビニルピリジン、アミン塩、例えばラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、アルキルピリジニウム塩及びアルキルイミダゾリウム塩、及びアミンオキシド;イミドアゾリニウム塩;プロトン化第4級アクリルアミド、メチル化第4級ポリマー、例えばポリ[ジアリルジメチルアンモニウムクロリド]及びポリ[N−メチルビニルピリジニウムクロリド];及びカチオングアー(cationic guar)を包含する。
【0084】
このような典型的なカチオン表面安定化剤及びその他の有用なカチオン表面安定化剤は、J.Cross and E.Singer, Cationic Surfactants: Analytical and Biological Evaluation(Marcel Dekker, 1994); P.and D. Rubingh(Editor), Cationic Surfactants: Physical Chemistry(Marcel Dekker, 1991); 及びJ. Richmond, Cationic Surfactants: Organic Chemistry(Marcel Dekker, 1990)に記載されている。
【0085】
非ポリマー表面安定化剤は、任意の非ポリマー化合物、例えば、ベンズアルコニウムクロリド、カルボニウム化合物、ホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、ハロニウム化合物、カチオン有機金属化合物、第4級リン化合物、ピリジニウム化合物、アニリニウム化合物、アンモニウム化合物、ヒドロキシルアンモニウム化合物、第1級アンモニウム化合物、第2級アンモニウム化合物、第3級アンモニウム化合物、及び式:NR(+)で示される第4級アンモニウム化合物である。式:NR(+)で示される化合物に関して:
(i)R〜RのいずれもCHではない;
(ii)R〜Rの一つがCHである;
(iii)R〜Rの三つがCHである;
(iv)R〜RのすべてがCHである;
(v)R〜Rの二つがCHであり、R〜Rの一つがCCHであり、R〜Rの一つが炭素原子7個以下のアルキル鎖である;
(vi)R〜Rの二つがCHであり、R〜Rの一つがCCHであり、
〜Rの一つが炭素原子19個以上のアルキル鎖である;
(vii)R〜Rの二つがCHであり、R〜Rの一つがC(CH)n(式中、n>1)である;
(viii)R〜Rの二つがCHであり、R〜Rの一つがCCHであり、R〜Rの一つが少なくとも1個のヘテロ原子を含む;
(ix)R〜Rの二つがCHであり、R〜Rの一つがCCHであり、R〜Rの一つが少なくとも1個のヘテロ原子を含む;
(x)R〜Rの二つがCHであり、R〜Rの一つがCCHであり、R〜Rの一つが少なくとも1個の環状フラグメントを含む;
(xi)R〜Rの二つがCHであり、R〜Rの一つがフェニル環である;又は(xii)R〜Rの二つがCHであり、R〜Rの二つが純粋に脂肪族フラグメントである。
【0086】
このような化合物は、非限定的に、ベヘンアルコニウムクロリド、ベンズエトニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ラウラルコニウムクロリド、セトアルコニウムクロリド、セトリモニウムブロミド、セトリモニウムクロリド、セチルアミンヒドロフルオリド、クロルアリルメテンアミンクロリド(Quaternium-15)、ジステアリルジモニウムクロリド(Quaternium-5)、ドデシルジメチルエチルベンジル
アンモニウムクロリド(Quaternium-14)、Quaternium-22、Quaternium-26、Quaternium-18ヘクトライト、ジメチルアミノエチルクロリド塩酸塩、システイン塩酸塩、ジエタノールアンモニウムPOE(10)オレチルエーテルホスフェート(diethanolammonium POE(10)oletyl ether phosphate)、ジエタノールアンモニウムPOE(3)オレイルエーテルホスフェート、獣脂アルコニウムクロリド、ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイト、ステアラルコニウムクロリド、ドミフェンブロミド、デナトニウムベンゾエート、ミリスタアルコニウムクロリド、ラウルトリモニウムクロリド、エチレンジアミンジヒドロクロリド、グアニジン塩酸塩、ピリドキシンHCl、イオフェタミン塩酸塩、メグルミン塩酸塩、メチルベンゼトニウムクロリド、ミルトリモニウムブロミド、オレイルトリモニウムクロリド、ポリクオターニウム−1、プロカイン塩酸塩、ココベタイン、ステアラルコニウム・ベントナイト、ステアラルコニウム・ヘクトナイト、ステアリルトリヒドロキシエチル・プロピレンジアミンジヒドロフルオリド、獣脂トリモニウムクロリド、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミドを包含する。
【0087】
該表面安定化剤は、商業的に入手可能である、及び/又は当該技術分野で知られた手法で製造することができる。これらの表面安定化剤の大部分は、既知の製薬的賦形剤であり、American Pharmaceutical AssociationとThe Pharmaceutical Society of Great Britainによって共同で刊行されたHandbook of Pharmaceutical Excipients(The Pharmaceutical Press, 2000)に詳細に記載されており、該文献は本明細書に具体的に援用される。
【0088】
3.その他の製薬的賦形剤
本発明による薬剤組成物はさらに、結合剤、充填剤、滑沢剤、懸濁化剤、甘味剤、フレーバー剤、保存剤、バッファー、湿潤剤、崩壊剤、発泡剤及びその他の賦形剤の一つ以上を含むことができる。このような賦形剤は当該技術分野で知られている。
【0089】
充填剤の例は、ラクトース一水和物、ラクトース無水物、及び種々な澱粉であり;結合剤の例は、種々なセルロースと架橋ポリビニルピロリドン、微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101とAvicel(登録商標)PH102微結晶セルロース、及びケイ化微結晶セルロース(ProSolv SMCC(登録商標))である。
【0090】
圧縮成形すべき粉末の流動性に作用する作用剤を含めた、適当な滑沢剤は、コロイド状二酸化ケイ素、例えばAerosil(登録商標)200、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びシリカゲルである。
【0091】
甘味剤の例は、任意の天然若しくは人工甘味剤、例えばスクロース、キシリトール、サッカリンナトリウム、シクラメート、アスパルテーム及びアクスルファーム(acsulfame)
である。フレーバー剤の例は、Magnasweet(登録商標)(MAFCOの商標)、バブルガムフレーバー及びフルーツフレーバー等である。
【0092】
保存剤の例は、ソルビン酸カリウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸とその塩、パラヒドロキシ安息香酸の他のエステル、例えばブチルパラベン、アルコール類、例えばエチルアルコール若しくはベンジルアルコール、フェノール化合物、例えばフェノール、又は第4級化合物、例えばベンザルコニウムクロリドである。
【0093】
適当な希釈剤は、製薬的に受容される不活性充填剤、例えば微結晶セルロース、ラクトース、二塩基性リン酸カルシウム、サッカライド、及び/又は上記のいずれかの混合物を包含する。希釈剤の例は、微結晶セルロース、例えばAvicel(登録商標)PH101とAvicel(登録商標)PH102;ラクトース、例えばラクトース一水和物、ラクトース無水物、及びPharmatose(登録商標)DCL21;二塩基性リン酸カルシウム、例えばEmcompress(登録商標);マンニトール;澱粉;ソルビトール;スクロース;及びグルコースを包含する。
【0094】
適当な崩壊剤は、軽度に架橋したポリビニルピロリドン、コーンスターチ、ジャガイモ澱粉、トウモロコシ澱粉、及び加工澱粉、クロスカメロース・ナトリウム、クロスポビドン、澱粉グリコール酸ナトリウム、及びこれらの混合物を包含する。
【0095】
発泡剤の例は、例えば有機酸と炭酸塩又は炭酸水素塩のような発泡性カップルである。適当な有機酸は、例えば、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、コハク酸及びアルギニン酸、並びに無水物及び酸塩を包含する。適当な炭酸塩と炭酸水素塩は、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸マグネシウム、グリシン炭酸ナトリウム、L−リシン炭酸塩、及びアルギニン炭酸塩を包含する。或いは、発泡性カップルの炭酸水素ナトリウム成分のみが存在することもありうる。
【0096】
4.ナノ粒子状複素環式アミド誘導体の粒度
本発明の組成物は、例えばザフィルルカスト粒子のような、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体粒子を含む、該粒子は、光散乱法、顕微鏡法又は他の適当な方法によって測定して、約2,000nm(即ち、2ミクロン)未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1,000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約150nm未満、約100nm未満、約75nm未満、又は約50nm未満の有効平均粒度を有する。有効平均粒度を測定するために適当な、このような方法は、当業者に知られている。
【0097】
“約2,000nm未満の有効平均粒度”とは、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子の少なくとも50%が、上記手法によって測定したときに、有効平均値(重量で)未満、即ち、約2,000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満等の粒度を有することを意味する。好ましくは、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子の少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%又は少なくとも約95%が、有効平均値未満、即ち、約2,000nm未満、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満等の粒度を有する。
【0098】
本発明では、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物のD50の値は、該複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子の50%(重量で)がその値未満に低下する粒度である。同様に、D90とD85は、該複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子のそれぞれ90%と95%(重量で)がそれらの値未満に低下する粒度である。
【0099】
5.複素環式アミド誘導体及び表面安定化剤の濃度
複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)と1種類以上の表面安定化剤との相対的量は、広く変化することができる。個々の成分の最適量は、例えば、選択された特定の複素環式アミド誘導体、親水性親油性バランス(HLB)、融点、及び安定化剤の水溶液の表面張力等に依存する可能性がある。
【0100】
複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の濃度は、該複素環式アミド誘導体と、少なくとも1種類の表面安定化剤との、他の賦形剤を含めない総複合重量に基づいて、約99.5重量%から約0.001重量%まで、約95重量%から約0.1重量%まで、又は約90重量%から約0.5重量%まで変化することができる。
【0101】
少なくとも1種類の表面安定化剤の濃度は、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)と、少なくとも1種類の表面安定化剤との、他の賦形剤を含めない総複合乾燥重量に基づいて、約0.5重量%から約99.999重量%まで、約5.0重量%から約99.9重量%まで、又は約10重量%から約99.5重量%まで変化することができる。
【0102】
6.典型的なナノ粒子状複素環式アミド誘導体錠剤製剤
可能な典型的複素環式アミド誘導体の幾つかを下記に挙げる。これらの例は、特許請求の範囲を如何なる点でも限定しようとする意図はなく、むしろ、本発明の方法に用いることができる複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の典型的な錠剤製剤を提供する。
D.ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物の製造方法
ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、例えば、粉砕、均質化、沈殿方法又は超臨界流体粒子発生方法を用いて製造することができる。ナノ粒子状活性剤組成物の典型的な製造方法は、‘684特許に記載されている。ナノ粒子状活性剤組成物の製造方法は、“薬剤物質の磨砕方法”に関する米国特許No.5,518,187、“薬剤物質の連続磨砕方法”に関する米国特許No.5,718,388、“薬剤物質の磨砕方法”に関する米国特許No.5,862,999、“結晶成長調節剤によるナノ粒子状薬剤の共ミクロ沈殿”に関する米国特許No.5,665,331、“結晶成長調節剤によるナノ粒子状薬剤の共ミクロ沈殿”に関する米国特許No.5,662,883、“ナノ粒子状薬剤のミクロ沈殿”に関する米国特許No.5,560,932、“ナノ粒子を含有するX線造影剤の製造方法”に関する米国特許No.5,543,133、“安定な薬物ナノ粒子の製造方法”に関する米国特許No.5,534,270、“ナノ粒子を含有する治療剤の製造方法”に関する米国特許No.5,510,118、及び“凝集を減ずるために荷電リン脂質を含有するナノ粒子組成物の製造方法”に関する米国特許No.5,470,583(これらの全ては本明細書に具体的に援用される)にも記載されている。
【0103】
得られるナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物又は分散系は、固体又は液体投与製剤、例えば液体分散系、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、制御放出製剤、迅速溶融製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、パルス放出製剤、即時放出と制御放出の混合製剤等に用いることができる。
【0104】
1.ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物を得るための粉砕
ナノ粒子状分散系を得るために複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を粉砕することは、ザフィルルカストが弱溶解性である液体分散媒質中にザフィルルカスト粒子を分散させ、続いて、磨砕媒体の存在下で機械的手段を用いて、ザフィルルカストの粒度を望ましい有効平均粒度までに減ずることを含む。該分散媒質は、例えば、水、サフラワーオイル、エタノール、t−ブタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール(PEG)、ヘキサン、又はグリコールであることができる。好ましい分散媒質は水である。複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子は、少なくとも1種類の表面安定化剤の存在下でサイズを減ずることができる。或いは、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)粒子を、摩滅(attrition)の前後に、1種類以上の表面安定化剤と接触させることができる。サイズ減少プロセス中に、例えば希釈剤のような、他の化合物をザフィルルカスト/表面安定化剤組成物に加えることができる。連続的に又はバッチ式に分散系を製造することができる。
【0105】
2.ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物を得るための沈殿
望ましいナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物の他の形成方法は、ミクロ沈殿による方法である。これは、1種類以上の表面安定化剤と1種類以上のコロイド安定性強化表面活性剤の存在下で、如何なる微量の有害な溶媒も可溶化重金属不純物も含まない、弱溶解性活性剤の安定な分散系を製造する方法である。このような方法は、例えば、(1)適当な溶媒中にザフィルルカストを溶解する工程;(2)少なくとも1種類の表面安定化剤を含む溶液に工程(1)からの製剤を加える工程;及び(3)適当な非溶媒を用いて、工程(2)からの製剤を沈殿させる工程を含む。該方法に続いて、存在する場合の形成された塩の、透析若しくは透析濾過による除去と、慣習的な手段による該分散系の濃縮を行なうことができる。
【0106】
3.ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物を得るための均質化
ナノ粒子状活性剤組成物を製造するための典型的な均質化方法は、“ナノ粒子を含有する治療組成物の製造方法”に関する米国特許No.5,510,118に記載されている。このような方法は、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の粒子を液体分散媒質中に分散させる工程と、その後に、該分散系に均質化を行なって、望ましい有効平均粒度に該ザフィルルカストの粒度を減ずる工程を含む。該ザフィルルカスト粒子は、少なくとも1種類の表面安定化剤の存在下でサイズを減ずることができる。或いは、ザフィルルカスト粒子を摩滅の前又は後のいずれかで1種類以上の表面安定化剤と接触させることができる。例えば希釈剤のような、他の化合物を、サイズ減少プロセスの前、中又は後に、ザフィルルカスト/表面安定化剤組成物に加えることができる。分散系は、連続的に又はバッチ式で製造することができる。
【0107】
4.ナノ粒子状複素環式アミド誘導体組成物を得るために用いる超臨界流体方法
Pace et al.への公開国際特許出願No.WO 97/144407(April24, 1997発行)は、100nm〜300nmの平均サイズを有する、水不溶性の、生物学的に活性な化合物の粒子であって、該化合物を溶液中に溶解し、次に該溶液を圧縮ガス、液体又は超臨界流体中に適当な表面調節剤の存在下で噴霧することによって製造される粒子を開示している。
E.本発明の複素環式アミド誘導体組成物の使用方法
本発明は、対象における複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の血漿レベルを迅速に高める方法を提供する。このような方法は、ナノ粒子状複素環式アミド(例えばザフィルルカスト)を含む組成物の有効量を対象に投与することを含む。標準の薬物動態学的実施によると、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、該組成物の初回投与後の約6時間未満内、約5時間未満内、約4時間未満内、約3時間未満内、約2時間未満内、約1時間未満内、又は約30分間未満内に最大血液血漿濃度プロファイルを生じることが好ましい。
【0108】
本発明の組成物は、非限定的に喘息を含めた、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を必要とする全ての治療に有用である。
本発明の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、非限定的に、経口、直腸、眼、非経口(例えば、静脈内、筋肉内若しくは皮下)、槽内、肺、膣内、腹腔内、局部(例えば、粉末、軟膏若しくは滴剤)を含めた、任意の慣習的手段によって、又は頬側スプレー若しくは鼻腔スプレーとして、対象に投与することができる。本明細書で用いる限り、“対象”なる用語は、動物、好ましくは、ヒト又は非ヒトを含めた哺乳動物を意味するために用いる。“患者”と“対象”なる用語は、相互交換可能に用いることができる。
【0109】
本発明の1実施態様では、本発明による組成物を含む固体経口投与形を提供する。本発明はさらに、喘息に罹患した患者を、ザフィルルカストを用いて治療する方法であって、本発明による組成物又は固体経口投与形の治療有効量を投与して、ザフィルルカストのパルス式若しくは二峰式投与を生じることを含む方法を提供する。本発明の可能な利点は、パルス式血漿プロファイルに由来する利益をまだ維持しながら、慣習的な複数回IR投与計画によって必要な投与頻度を減ずることを包含する。この投与頻度減少は、減少した頻度で投与することができる製剤を有するという患者コンプライアンスに関して、有利である。本発明を利用することによって可能になる投与頻度の減少は、薬物の投与時に健康ケアワーカーが費やす時間量を減少することによって健康ケア費用の低下に寄与すると考えられる。
【0110】
非経口的注射に適した組成物は、生理的に受容される無菌の、水性若しくは非水性溶液、分散液、懸濁液又はエマルジョンと、無菌の注射可能な溶液若しくは分散液に再構成するための無菌粉末を含みうる。適当な、水性及び非水性のキャリヤー、希釈剤、溶媒又はビヒクルの例は、水、エタノール、ポリオール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロール等)、これらの適当な混合物、植物油(例えばオリーブオイル)及び注射可能な有機エステル(例えばオレイン酸エチル)を包含する。例えば、レシチンのようなコーティングの使用によって、分散系の場合には必要な粒度の維持によって、及び界面活性剤の使用によって、適当な流動性を維持することができる。
【0111】
ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)組成物は、さらに、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤、及び分散剤のようなアジュバントも含むことができる。微生物の成長の防止は、種々な抗菌及び抗真菌剤、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸等によって保証することができる。例えば、糖、塩化ナトリウム等のような等張剤を含めることも、望ましいと考えられる。例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような、吸収を遅延させる作用剤の使用によって、注射可能な薬剤形の吸収の遅延をもたらすことができる。
【0112】
経口投与のための固体投与形は、非限定的に、カプセル剤、錠剤、ピル、粉末及び顆粒を包含する。このような固体投与形では、活性剤を、下記:(a)1種類以上の不活性賦形剤(若しくはキャリヤー)、例えばクエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウム;(b)充填剤若しくは増量剤、例えば澱粉、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸;(c)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース及びアラビアゴム(acacia);(d)フメクタント、例えばグリセロール;(e)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカ澱粉、アルギニン酸、ある一定の複合シリケート及び炭酸ナトリウム;(f)溶解遅延剤(solution retarder)、例えばパラフィン;(g)吸収促進剤、例えば第4級アンモニウム化合物;(h)湿潤剤、例えばセチルアルコール及びグリセロール・モノステアレート;(i)吸着剤、例えばカオリン及びベントナイト;並びに(j)滑沢剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム又はこれらの混合物;のうちの少なくとも一つと混合する。カプセル剤、錠剤及びピルに関しては、これらの投与形は緩衝剤をも含むことができる。
【0113】
経口投与のための液体投与形は、製薬的に受容されるエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を包含する。複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の他に、該液体投与形は、当該技術分野で一般に用いられる不活性希釈剤、例えば水若しくは他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤を含むことができる。典型的な乳化剤は、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、例えば綿実油、落花生油、コーン胚芽油、オリーブオイル、ひまし油及びごま油のような油類、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物等である。
【0114】
このような不活性希釈剤の他に、該組成物は、例えば湿潤剤、乳化剤と懸濁化剤、甘味剤、フレーバー剤及び芳香剤を包含することもできる。
複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)に関して本明細書で用いる“治療有効量”とは、喘息と関連障害の治療を必要とする有意な数の対象において、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を投与する目的の特定の薬理学的反応を生じる投与量を意味することになる。特定の場合に特定の対象に投与される“治療有効量”は、このような投与量が当業者によって“治療有効量”であると思われるとしても、本明細書に述べる疾患の治療に必ずしも有効であるとは限らないことが強調される。複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の投与量が、特定の場合によって、経口投与量として又は血中で測定される薬物レベルに関して測定されることを、さらに理解すべきである。
【0115】
複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の有効量を実験によって決定することができること、及び該有効量を純粋な形で、又は製薬的に受容される塩、エステル若しくはプロドラッグの形で、このような形が存在する場合に用いることができることを、当業者は理解するであろう。本発明のナノ粒子状組成物中の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の実際の投与量レベルを変えて、特定の組成物及び投与方法に対する望ましい治療反応を得るために有効である複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)量を得ることができる。それ故、投与量レベルの選択は、望ましい治療効果、投与経路、投与する複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の効力、望ましい治療期間及びその他の要因に依存する。
【0116】
投与単位組成物(dosage unit composition)は、1日投与量を構成するために用いることができるような、該1日投与量の約数の量を含有することができる。しかし、如何なる特定患者のための特定の投与量レベルも、多様な要因:達成すべき細胞反応又は生理的反応の種類と程度;用いる特定の作用剤又は組成物の活性;患者の体重、全身の健康状態、性別及び食事;該作用剤の投与時間、投与経路及び排泄速度;治療期間;該特定作用剤と組み合わせて又は同時に用いる薬物;並びに医療分野で周知の同様な要因に依存するであろうことは、理解されるであろう。
【0117】
1.血漿プロファイル
本発明の1実施態様では、薬物化合物の投与に関連した血漿プロファイルは、低濃度トラフが散在する、ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の高濃度パルスが観察される“パルス式プロファイル”として表現することができる。2個のピークを含有するパルス式プロファイルは、“二峰式”と表現することができる。同様に、投与時にこのようなプロファイルを生じる組成物又は投与形は、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の“パルス化放出”を示すということができる。
【0118】
即時放出(IR)投与形を周期的な間隔で投与する、慣習的な高頻度投与計画は、典型的に、パルス式血漿プロファイルを生じる。この場合に、各IR投与量の投与後に、血漿薬物濃度のピークが観察され、断続的な投与時点の間にトラフ(低薬物濃度の領域)が発生する。このような投与計画(及びそれらの結果としてのパルス式血漿プロファイル)は、それらに関連した特定の薬理学的及び治療的効果を有する。例えば、ピーク間での複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)血漿濃度の低下(fall off)によって与えられるウォッシュアウト期間は、多様な種類の薬物に対する患者耐性を弱める又は防止することにおける寄与要因であると考えられている。
【0119】
投与直後の本発明の制御放出組成物によって生じる血漿プロファイルは、連続的に与えられた2回以上のIR投与形の投与によって生じる血漿プロファイルと実質的に同じであるので、本発明の制御放出組成物は、患者耐性が問題になりうる複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を投与するために特に有用である。それ故、この制御放出組成物は、該組成物中の有効成分に対する患者耐性の発生を減ずる又は最小にするために有利である。本発明では、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)と制御放出組成物は、作用中に、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を二峰式又はパルス式にデリバリーする。
【0120】
このような組成物は、作用中に、例えば典型的なザフィルルカスト治療計画におけるように、2回分のIR投与量の連続投与によって得られる血漿プロファイルを実質的に模倣する血漿プロファイルを生ずる。
【0121】
複素環式アミド誘導体とザフィルルカストは、本明細書では、集約的に“有効成分”と呼ばれる。組み合わせ組成物の各構成要素中の有効成分は、同じものでも異なるものでもよい。例えば、第1構成要素がザフィルルカストを含み、第2構成要素が喘息の治療に効果的な第2成分と組み合わせてザフィルルカストを含む組成物は、併用治療のために望ましいと考えられる。実際に、2種類以上の複素環式アミド誘導体を、このような有効成分が相互に相容性である場合には、同じ構成要素中に組み入れることができる。
【0122】
2.添加剤
本発明の1実施態様では、組成物の一つの構成要素中に存在する複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)に、該薬物化合物のバイオアベイラビリティ又は治療効果を改良するために、例えば、該組成物の他の構成要素におけるエンハンサー(enhancer)化合物又はセンシタイザー(sensitizer)化合物を組み合わせることができる。
【0123】
本明細書で用いる限り、“エンハンサー”なる用語は、例えばヒトのような動物における胃腸管を横切る正味の輸送を促進することによって、有効成分の吸収又はバイオアベイラビリティを強化することができる化合物を意味する。エンハンサーは、非限定的に、中鎖脂肪酸;それらの塩、エステル、エーテル及び誘導体、グリセリド及びトリグリセリドを包含する;例えば、エチレンオキシドと脂肪酸、脂肪アルコール、アルキルフェノール又はソルビタン若しくはグリセロール脂肪酸エステルとを反応させることによって製造することができるもののような、非イオン界面活性剤;チトクロムP450阻害剤、P−糖たんぱく質阻害剤等;これらの作用剤の二つ以上の混合物を包含する。
【0124】
3.複素環式アミド誘導体と添加剤の割合
本発明の他の実施態様では、各構成要素中に含まれる複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の割合は、望ましい投与計画に依存して、同じでも異なってもよい。複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)は、第1構成要素と第2構成要素中に、治療反応を誘出するために充分な、任意の量で存在する。複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)は、適当である場合に、一つの実質的に光学的に純粋なエナンチオマーの形態で又はエナンチオマーの混合物、ラセミ体若しくはその他として存在することができる。複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)は、好ましくは、組成物中に約0.1〜約500mgの量で又は約1〜約100mgの量で存在する。複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)は、好ましくは、第1構成要素中に約0.5〜約60mgの量で存在する;又はザフィルルカストは、第1構成要素中に約2.5〜約30mgの量で存在する。複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)は、第2構成要素中に第1構成要素に関して記載した範囲と同様な範囲内の量で存在する。
【0125】
4.時間放出プロファイル
本発明のさらに他の実施態様では、該構成要素の各々からのナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)放出の時間放出特徴は、存在しうる賦形剤若しくは被膜のいずれかの変更を含めて、各構成要素の組成を変更することによって変えることができる。特に、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出は、粒子上の調節放出被膜の量(このような被膜が存在する場合)を含めた、調節放出成分を変えることによって、制御することができる。上述したように、時間放出プロファイルは、後続構成要素若しくは製剤(the subsequent components or formulations)を侵食性製剤、拡散制御製剤、又は浸透制御製剤の形態で作製することによって制御することができる。二つ以上の(more than one)調節放出構成要素が存在する場合に、後続構成要素の各々の調節放出被膜は同じものでも、異なるものでもよい。同様に、調節放出マトリックス物質の包含によって調節放出が容易になる場合には、用いる調節放出マトリックス物質の選択と量によって、有効成分の放出を制御することができる。調節放出被膜は、各構成要素中に、各特定構成要素に望ましい遅延時間を生じるために充分である、任意の量で存在することができる。調節放出被膜は、各構成要素中に、構成要素の間に望ましい時間遅延(time lag)を生じるために充分である、任意の量で存在することができる。
【0126】
ナノ粒子状複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出の遅れ時間若しくは遅延時間は、存在しうる任意の賦形剤及び被膜の調節を含めた、構成要素の各々の組成の調節によって変えることができる。例えば、第1構成要素は、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)が投与時に実質的に即座に放出される即時放出構成要素であることができる。或いは、第1構成要素は、例えば、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)が時間遅延後に実質的に直ちに放出される、時間遅延する即時放出構成要素であることができる。第2構成要素は、例えば、直前に述べたような、時間遅延する即時放出構成要素或いは、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)が制御形式で24時間までにわたって放出される、時間遅延する持続放出若しくは延長放出構成要素であることができる。
【0127】
5.血漿濃度曲線
本発明の1実施態様では、血漿濃度曲線の精確な性質は、直前に述べた上記要因の全ての組み合わせによって影響されるであろう。特に、各要素中の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)のデリバリー(したがって、作用開始も)間の遅延時間は、構成要素の各々の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)と被膜(存在する場合)を変えることによって制御することができる。このように、各構成要素(複素環式アミド誘導体、例えばザフィルルカストの量及び性質(nature)を含めて)を変えることによって、及び遅延時間を変えることによって、数多くの放出及び血漿プロファイルを得ることができる。各構成要素からの複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出間の遅延時間の持続期間と、各構成要素からの放出成分の性質(即ち、即時放出、持続放出等)とに依存して、血漿プロファイル中のパルスは、充分に分離して、明確に画定されたピークであることができる(例えば、該遅延時間が長い場合)、又は該パルスはある程度重複する可能性がある(例えば、該遅延時間が短い場合)。
【0128】
好ましい実施態様では、本発明の組成物を制御放出投与形に製剤化することができ、該CR投与形は第1即時放出構成要素と、少なくとも一つの第2若しくは調節放出構成要素を有する。該即時放出構成要素は、有効成分(即ち、複素環式アミド誘導体、例えばザフィルルカスト)含有ナノ粒子の第1集団を含み、該調節放出構成要素若しくは製剤は、有効成分含有ナノ粒子の第2及び後続集団を含む。第2及び後続調節放出構成要素若しくは製剤は、調節放出被膜を含むことができる。付加的に又は代替的に、第2及び後続調節放出構成要素は、調節放出マトリックス物質を含むことができる。例えば、単一調節放出構成要素を有する、このような調節放出組成物の投与は、作用中に、該組成物の即時放出成分が血漿プロファイルの第1ピークを生じ、調節放出成分が血漿プロファイルの第2ピークを生じる、複素環式アミド誘導体、例えばザフィルルカストの特徴的なパルス式血漿濃度を生じる。二つ以上の調節放出成分を含む、本発明の実施態様は、血漿プロファイルにさらなるピークを生じる。
【0129】
単一投与単位の投与から得られる、このような血漿プロファイルは、二つ(又はそれ以上)の投与単位の投与を必要とせずに有効成分の二つ(又はそれ以上)のパルスをデリバリーすることが望ましい場合に、有利である。さらに、喘息の場合には、このような二峰式血漿プロファイルを有することが特に有用である。例えば、典型的なザフィルルカスト治療計画は、4時間間隔で与える即時放出投与製剤の2回量を投与することから成る。この種類の投与計画は、治療的に有効であると判明しており、広く用いられている。既述したように、患者耐性の発生は、時にはザフィルルカスト治療に付随する、不利な効果である。二つのピーク血漿濃度間の血漿プロファイルのトラフは、ザフィルルカストのウォッシュアウト期間を与えることによって患者耐性を減ずることに有利であると考えられる。ザフィルルカストのゼロ次若しくは擬似ゼロ次デリバリー(pseudo zero order delivery)を生じる薬物デリバリー系は、このウォッシュアウト・プロセスを助長しない。
【0130】
6.調節放出コーティング物質
本発明のさらに他の実施態様では、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出を望ましい方法で調節する、任意のコーティング物質を用いることができる。特に、本発明の実施に用いるために適したコーティング物質は、非限定的に、ポリマー・コーティング物質、例えば酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、アンモニオメタクリレート・コポリマー、例えばEUDRAGIT(登録商標)RS及びRIで販売されているもの、ポリアクリル酸とポリアクリレート及びメタクリレート・コポリマー、例えばEUDRAGIT(登録商標)S及びLで販売されているもの、ポリビニルアセタルジエチルアミノアセテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテート・スクシネート、シェラック;ヒドロゲル及びゲル形成物質、例えばカルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、カルボキシメチル澱粉ナトリウム、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ゼラチン、澱粉、及びセルロースに基づく架橋ポリマー(この場合、架橋度は、水の吸着とポリマーマトリックスの膨張を容易にするほど低い)、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、架橋澱粉、微結晶セルロース、キチン、アミノアクリル−メタクリレート・コポリマー(EUDRAGIT(登録商標)RS-PM,Rohm & Haas )、プルラン、コラーゲン、カゼイン、寒天、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、(膨潤可能な親水性ポリマー)ポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート)(分子量約5k〜約5,000k)、ポリビニルピロリドン(分子量約10k〜約360k)、アニオン及びカチオンヒドロゲル、低い酢酸残基(acetate residual)を有するポリビニルアルコール、寒天とカルボキシメチルセルロースとの膨潤性混合物、無水マレイン酸とスチレン、エチレン、プロピレン又はイソブチレンとのコポリマー、ペクチン(分子量約30k〜約300k)、例えば寒天、アラビアゴム(acacia)、カラヤ、トラガカント、アルギン及びグアー(guar)のような多糖類、ポリアクリルアミド、POLYOX(登録商標)ポリエチレンオキシド(分子量約100k〜約5,000k)、AQUAKEEPTMアクリレートポリマー、ポリグルカンのジエステル、架橋ポリビニルアルコール及びポリN−ビニル−2−ピロリドン、澱粉グルコール酸ナトリウム(例えば、EXPLOTAB(登録商標);Edward Mandell C.Ltd.)、親水性ポリマー類、例えば多糖類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム若しくはカルシウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロースエーテル、ポリエチレンオキシド(例えば、Polyox.RTM, Union Carbide)、メチルエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、酢酸セルロース、酪酸セルロース、プロピオン酸セルロース、ゼラチン、コラーゲン、澱粉、マルトデキストリン、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、グリセロール脂肪酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、メタクリル酸のコポリマー若しくはメタクリル酸(例えば、EUDRAGIT(登録商標), Rohm and Haas)、その他のアクリル酸誘導体、ソルビタンエステル、天然ゴム、レシチン、ペクチン、アルギネート、アルギン酸アンモニウム(ammonia alginate)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム、プロピレングリコールアルギネート、寒天、並びにガム類、例えばアラビアゴム、カラヤガム、ローカストビーンガム、トラガカントガム、カラゲナンガム、グアーガム、キサンタンガム、スクレログルカンガム及びこれらの混合物とブレンドを包含する。当業者によって理解されるように、例えば可塑剤、滑沢剤、溶媒等のような賦形剤を、コーティングに加えることができる。適当な可塑剤は、例えば、アセチル化モノグリセリド;ブチルフタリルブチルグリコレート;ジブチルタルトレート;ジエチルフタレート;ジメチルフタレート;エチルフタリルエチルグリコレート;グリセリン;プロピレングリコール;トリアセチン;シトレート;トリプロピオイン;ジアセチン;ジブチルフタレート;アセチルモノグリセリド;ポリエチレングリコール;ひまし油;トリエチルシトレート;多価アルコール、グリセロール、酢酸エステル、グリセロール・トリアセテート、アセチルトリエチルシトレート、ジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジイソノニルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ジオクチルアゼレート、エポキシ化タレート、トリイソオクチルトリメリテート、ジエチルヘキシルフタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−i−オクチルフタレート、ジ−i−デシルフタレート、ジ−n−ウンデシルフタレート、ジ−n−トリデシルフタレート、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート、及びジブチルセバケートを包含する。
【0131】
7.調節放出マトリックス物質
本発明のさらに他の実施態様では、第2構成要素若しくは製剤が調節放出マトリックス物質を含む場合に、任意の適当な調節放出マトリックス物質又は、調節放出マトリックス物質の適当な組み合わせを用いることができる。このような物質は、当業者に知られている。本明細書で用いる限り“調節放出マトリックス物質”なる用語は、in vitro又はin vivoでその中に分散した複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出を調節することができる、親水性ポリマー、疎水性ポリマー及びこれらの混合物を包含する。本発明の実施に適した調節放出マトリックス物質は、非限定的に、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、例えばヒドロキシプロピル−メチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースのようなヒドロキシアルキルセルロース、ポリエチレンオキシド、例えばメチルセルロース及びエチルセルロースのようなアルキルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、酢酸トリメリット酸セルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ポリアルキルメタクリレート、ポリビニルアセテート及びこれらの混合物を包含する。
【0132】
8.投与の形式
本発明の他の実施態様では、本発明による多粒子状調節放出組成物は、パルス式の有効成分の放出を容易にする、任意の適当な投与形中に組み入れることができる。典型的に、該投与形は、喘息の治療のための複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の種々な集団のブレンドであることができる。即時放出構成要素及び調節放出構成要素を構成するザフィルルカスト含有粒子をブレンドして、該ブレンドを例えば硬質又は軟質ゼラチンカプセルのような、適当なカプセル中に充填することができる。或いは、有効成分含有粒子の異なる個々の集団を(任意に付加的な賦形剤と共に)ミニ錠剤に圧縮成形して、その後、これらを適当な割合でカプセル中に充填することができる。他の適当な投与形は、多層状錠剤の投与形である。この場合に、制御放出組成物の第1構成要素を一つの層に圧縮成形して、次に、第2構成要素を該多層状錠剤の第2層として加えることができる。本発明の組成物を構成する、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を含むナノ粒子の集団をさらに、例えば起沸性投与形又は迅速溶融投与形のような、迅速溶解性投与形に含めることができる。
【0133】
1実施態様では、本発明による組成物は、異なるin vitro溶解プロファイルを有する、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を含むナノ粒子の少なくとも二つの集団を含む。
【0134】
好ましくは、本発明の組成物と該組成物を含む固体経口投与形は、作用中に、第1構成要素中の実質的に全てのザフィルルカストが放出されてから、第2若しくは後続構成要素若しくは製剤からザフィルルカストが放出されるように、複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)を放出する。第1構成要素が例えばIR構成要素を含む場合には、該IR構成要素中の複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の実質的に全てが放出されるまで、第2若しくは後続構成要素からの複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出が遅延されることが好ましい。第2構成要素からの複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出は、侵食性、拡散制御又は浸透制御製剤の一部として調節放出被膜及び/又は調節放出マトリックス物質を用いることによって、上記で説明したように遅延させることができる。
【0135】
さらに好ましくは、患者の全身からの複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の初回投与量のウォッシュアウトを容易にする投与計画を提供することによって患者耐性を最小にすることが望ましい場合には、第1構成要素に含まれる複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の実質的に全てが放出されるまで、第2構成要素若しくは製剤からの複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出を遅延させ、さらに、第1構成要素から放出された複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の少なくとも一部が患者の全身から消失するまで、遅延させる。好ましい実施態様では、作用中の第2構成要素若しくは製剤からの複素環式アミド誘導体(例えばザフィルルカスト)の放出は、該組成物の投与後少なくとも2時間の期間にわたって、完全にではないとしても実質的に遅延され、好ましくは投与後残りの24時間にわたって放出される。
【0136】
本発明を説明するために、下記実施例を記載する。しかし、本発明の要旨及び範囲がこれらの実施例に記載される特定の条件又は詳細に限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定されるべきであることを理解すべきである。本明細書に確認される、米国特許を含めた、全ての参考文献は、本明細書に明白に援用される。
【実施例】
【0137】
実施例1
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0138】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、2.0%(w/w)Pharmacoat(登録商標)603(ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))と一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA; 例えば、米国特許No.6,431,478を参照のこと)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0139】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。磨砕済みザフィルルカストの平均粒度は189nmであり、179nmのD50、253nmのD90及び289nmのD95であった(これらの測定は、サンプルの音波処理なしに行なった)。蒸留水中での第2回測定では、60秒間の音波処理後に、ザフィルルカストの平均粒度は188nmであり、178nmのD50、253nmのD90及び288nmのD95であった。
【0140】
磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、14日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表1に示す。
【0141】
【表1】

【0142】
これらの結果は、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって安定であることを実証する。
実施例2
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0143】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、2.0%(w/w)Plasdone(登録商標)S-630(コポビドンK25−34)と一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0144】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカストの粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、14日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表2に示す。
【0145】
【表2】

【0146】
これらの結果は、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって安定であることを実証する。
実施例3
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0147】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.25%(w/w)Pharmacoat(登録商標)603(HPMC)及び0.05%(w/w)ドキュセート・ナトリウム(DOSS)と一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0148】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、14日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表3に示す。
【0149】
【表3】

【0150】
5℃でインキュベートしたサンプルは、安定性に関して凝集によって増大した粒度を示した、これを、音波処理オプションを用いずに、Horiba LA-910で分析した。ある一定のタイプの凝集を確認するために用いることができる音波処理後に、粒度は減少した。
【0151】
これらの結果は、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって安定であることを実証する。
実施例4
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0152】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.25%(w/w)Plasdone(登録商標)K-17(ポビドンK−17)及び0.05%(w/w)ベンザルコニウムクロリドと一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0153】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、14日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表4に示す。
【0154】
【表4】

【0155】
5℃及び25℃でインキュベートしたサンプルは、安定性に関して凝集によって増大した粒度を示した、これを、音波処理オプションを用いずに、Horiba LA-910で分析した。
ある一定のタイプの凝集を確認するために用いることができる音波処理後に、粒度は減少して、その初期粒度に戻った。
【0156】
これらの結果は、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって安定であることを実証する。
実施例5
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0157】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.5%(w/w)Tween(登録商標)80(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)と一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0158】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、14日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表5に示す。
【0159】
【表5】

【0160】
これらの結果は、D50が2ミクロン未満であるので、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって妥当に安定であることを実証する。しかし、特に高温において中程度の粒度成長が観察されたことを考えると、この製剤は本発明に適しているが、必ずしも好ましい製剤ではない。
実施例6
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0161】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.25%(w/w)Plasdone(登録商標)C-15(ポビドンK15.5−17.5)及び0.05%(w/w)デオキシコール酸ナトリウムと一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0162】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、14日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表6に示す。
【0163】
【表6】

【0164】
これらの結果は、D50が2ミクロン未満であるので、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって妥当に安定であることを実証する。
実施例7
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0165】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.5%(w/w)Pluronic(登録商標)F108(ポロキサマー308)と一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0166】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、12日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表7に示す。
【0167】
【表7】

【0168】
これらの結果は、D50が2ミクロン未満であるので、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって妥当に安定であることを実証する。
実施例8
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0169】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.25%(w/w)Lutrol(登録商標)F68(ポロキサマー188)及び0.05%(w/w)ドキュセート・ナトリウムと一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0170】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、12日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表8に示す。
【0171】
【表8】

【0172】
これらの結果は、D50が2ミクロン未満であるので、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって妥当に安定であることを実証する。
実施例9
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0173】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.25%(w/w)Plasdone(登録商標)K29/23(ポビドンK29・32)及び0.05%(w/w)ラウリル硫酸ナトリウムと一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0174】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、12日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表9に示す。
【0175】
【表9】

【0176】
これらの結果は、ザフィルルカスト、Plasdone(登録商標)K29/23(ポビドンK29/32)及びラウリル硫酸ナトリウムの前記濃度での、この特定の製剤が、約2ミクロン未満という必要なザフィルルカストD50粒度を満たす組成物を生じないことを実証する。実施例10
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0177】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、2.0%(w/w)Plasdone K29/23と一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標
)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0178】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、12日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表10に示す。
【0179】
【表10】

【0180】
これらの結果は、D50が2ミクロン未満であるので、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって妥当に安定であることを実証する。
実施例11
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0181】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.25%(w/w)ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−SL)及び0.05%(w/w)ドキュセート・ナトリウムと一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0182】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を、種々な温度条件下で、12日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表11に示す。
【0183】
【表11】

【0184】
5℃でインキュベートしたサンプルは、安定性に関して凝集によって増大した粒度を示した、これを、音波処理オプションを用いずに、Horiba LA-910で分析した。ある一定のタイプの凝集を確認するために用いることができる音波処理後に、粒度は減少して、その初期粒度に戻った。
【0185】
これらの結果は、D50が2ミクロン未満であるので、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造と、該ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物が室温及び高温において長時間にわたって妥当に安定であることを実証する。
実施例12
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0186】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、1.5%(w/w)Tyloxapolと一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0187】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。
【0188】
【表12】

【0189】
これらの結果は、D50が2ミクロン未満であるので、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の上首尾な製造を実証する。
実施例13
この実施例の目的は、複素環式アミド誘導体ザフィルルカストのナノ粒子状製剤を製造することであった。
【0190】
5%(w/w)ザフィルルカスト(Camida(Tower House, New Quay, Clonmel, County Tipperary, IreLand)によって供給され、Morepen Laboratories Limited(Morepen Village, Nalagarh Road, Near Baddi, Distt, Solan)によって製造される)の水性分散液を、2.0%(w/w)HPC−SLと一緒にした。この混合物を、NanoMill(登録商標)0.01(NanoMill Systems, King of Prussia, PA)の10mlチャンバ中で、500ミクロンPolyMill(登録商標)摩擦媒体(Dow Chemical)(89%媒体負荷)と共に磨砕した。この混合物を2500rpmの速度で60分間磨砕した。
【0191】
磨砕後に、磨砕済みザフィルルカスト粒子の粒度を、脱イオン蒸留水中で、Horiba LA910粒度アナライザーを用いて測定した。さらに、磨砕済みザフィルルカストの安定性を種々な温度条件下で12日間にわたって測定した。この安定性試験の結果を以下の表13に示す。
【0192】
【表13】

【0193】
5℃及び25℃でインキュベートしたサンプルは、安定性に関して凝集によって増大した粒度を示した、これを、音波処理オプションを用いずに、Horiba LA-910で分析した。
ある一定のタイプの凝集を確認するために用いることができる音波処理後に、粒度は減少して、その初期粒度に戻った。
【0194】
本発明の方法及び組成物において、本発明の要旨又は範囲から逸脱せずに、種々な変更及び変化がなされうることは、当業者に明らかであろう。したがって、本発明の変更及び変更が特許請求項及びそれらの同等物の範囲内に入る限り、本発明はこれらを網羅するように意図される。
[請求項25]
約2,000nm未満の有効平均粒度を有するナノ粒子状ザフィルルカスト組成物を生成するために充分な時間及び条件下で、ザフィルルカスト粒子を少なくとも1種類の表面安定化剤と接触させることを含む、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の製造方法。
[請求項26]
前記接触がグラインディングを含む、請求項25記載の方法。
[請求項27]
前記グラインディングが湿式グラインディングを含む、請求項26記載の方法。
[請求項28]
前記接触が均質化を含む、請求項25記載の方法。
[請求項29]
前記接触が超臨界流体プロセッシングを含む、請求項25記載の方法。
[請求項30]
前記接触が、
(a)ザフィルルカスト粒子を溶媒中に溶解すること;
(b)得られたザフィルルカスト溶液を、少なくとも1種類の表面安定化剤を含む溶液に加えること;及び
(c)その表面上に吸着した、少なくとも1種類の表面安定化剤を有する可溶化ザフィルルカストを、それに非溶媒を加えることによって沈殿させること
を含む、請求項25記載の方法。
[請求項31]
ザフィルルカストが、結晶質相、非晶質相、半結晶質相、半非晶質相、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項25記載の方法。
[請求項32]
ナノ粒子状ザフィルルカスト粒子の有効平均粒度が、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1,000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約75nm未満、及び約50nm未満から成る群から選択される、請求項25記載の方法。
[請求項33]
組成物が、経口投与、経肺投与、直腸投与、眼内投与、結腸投与、非経口投与、槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、局部投与、頬側投与、鼻腔内投与、及び局所投与から成る群から選択される投与のために処方される、請求項25記載の方法。
[請求項34]
組成物が1種類以上の製薬的に受容される賦形剤、キャリヤー又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項25記載の方法。
[請求項35]
ザフィルルカストと、少なくとも1種類の表面安定化剤との、他の賦形剤を含めない総複合重量に基づいて、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、及び約90重量%〜約0.5重量%から成る群から選択される量で、ザフィルルカストが存在する、請求項25記載の方法。
[請求項36]
ザフィルルカストと、少なくとも1種類の表面安定化剤との、他の賦形剤を含めない総複合乾燥重量に基づいて、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%、及び約10重量%〜約99.5重量%から成る群から選択される量で、少なくとも1種類の表面安定化剤が存在する、請求項25記載の方法。
[請求項37]
少なくとも1種類の一次表面安定化剤と少なくとも1種類の二次表面安定化剤を含む、請求項25記載の方法。
[請求項38]
表面安定化剤が、アニオン表面安定化剤、カチオン表面安定化剤、両性イオン表面安定化剤、及びイオン性表面安定化剤から成る群から選択される、請求項25記載の方法。
[請求項39]
少なくとも1種類の表面安定化剤が、セチルピリジニウムクロリド、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ベンザルコニウムクロリド、ステアリン酸カルシウム、グリセロール・モノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリオキシエチレン・ステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタレート、非結晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドとホルムアルデヒドによる4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、帯電リン脂質、ジオクチルスルホスクシネート、スルホコハク酸ナトリウム・ジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポ
リエーテルスルホネート、スクロースステアレートとスクロースジステアレートとの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチルβ−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチルβ−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;リソザイム、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、及び酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーから成る群から選択される、請求項25記載の方法。
[請求項40]
少なくとも1種類のカチオン表面安定化剤が、ポリマー、バイオポリマー、多糖、セルロース、アルギネート、非ポリマー化合物、及びリン脂質から成る群から選択される、請求項38記載の方法。
[請求項41]
表面安定化剤が、カチオン脂質、ポリメチルメタクリレート・トリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、第4級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツ・トリメチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・トリメチルアンモニウムブロミド、ココナッツ・メチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・メチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナッツ・ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル及び(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲニド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミ
ド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド化合物、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、第4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第4級アクリルアミド、メチル化第4級ポリマー、及びカチオングアーから成る群から選択される、請求項25記載の方法。
[請求項42]
ザフィルルカスト組成物が生体接着剤である、請求項38、40又は41のいずれかに記載の方法。
[請求項43]
組成物が、表面安定化剤として、ヒプロメロース、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項25記載の方法。
[請求項44]
その表面に結合した少なくとも1種類の表面安定化剤を有するザフィルルカスト粒子を含むナノ粒子状組成物の有効量を対象に投与することを含む、ナノ粒子状ザフィルルカストによる喘息の治療方法であって、該ザフィルルカスト粒子が約2,000nm未満の有効平均粒度を有する方法。
[請求項45]
ザフィルルカストが結晶質相、非晶質相、半結晶質相、半非晶質相、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項44記載の方法。
[請求項46]
ナノ粒子状ザフィルルカスト粒子の有効平均粒度が、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1,000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約75nm未満、及び約50nm未満から成る群から選択される、請求項44記載の方法。
[請求項47]
組成物が、経口投与、経肺投与、直腸投与、眼内投与、眼投与、結腸投与、非経口投与、槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、局部投与、頬側投与、鼻腔内投与、及び局所投与から成る群から選択される投与のために処方される、請求項44記載の方法。
[請求項48]
組成物が1種類以上の製薬的に受容される賦形剤、キャリヤー又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項44記載の方法。
[請求項49]
ザフィルルカストと、少なくとも1種類の表面安定化剤との、他の賦形剤を含めない総複合重量に基づいて、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、及び約90重量%〜約0.5重量%から成る群から選択される量で、ザフィルルカストが存在する、請求項44記載の方法。
[請求項50]
ザフィルルカストと、少なくとも1種類の表面安定化剤との、他の賦形剤を含めない総複合乾燥重量に基づいて、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%、及び約10重量%〜約99.5重量%から成る群から選択される量で、少なくとも1種類の表面安定化剤が存在する、請求項44記載の方法。
[請求項51]
少なくとも1種類の一次表面安定化剤と少なくとも1種類の二次表面安定化剤を含む、請求項44記載の方法。
[請求項52]
表面安定化剤が、アニオン表面安定化剤、カチオン表面安定化剤、両性イオン表面安定
化剤、及びイオン性表面安定化剤から成る群から選択される、請求項44記載の方法。
[請求項53]
少なくとも1種類の表面安定化剤が、セチルピリジニウムクロリド、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ベンザルコニウムクロリド、ステアリン酸カルシウム、グリセロール・モノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリオキシエチレン・ステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタレート、非結晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドとホルムアルデヒドによる4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、帯電リン脂質、ジオクチルスルホスクシネート、スルホコハク酸ナトリウム・ジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポリエーテルスルホネート、スクロースステアレートとスクロースジステアレートとの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチルβ−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチルβ−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;リソザイム、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、及び酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーから成る群から選択される、請求項50記載の方法。
[請求項54]
カチオン表面安定化剤が、ポリマー、バイオポリマー、多糖、セルロース、アルギネート、非ポリマー化合物、及びリン脂質から成る群から選択される、請求項52記載の方法。
[請求項55]
表面安定化剤が、ベンザルコニウムクロリド、ポリメチルメタクリレート・トリメチルアンモニウムブロミド、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、カチオン脂質、スルホニウム化合物、ホスホニウム化合物、第4級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツ・トリメチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・トリメチルアンモニウムブロミド、ココナッツ・メチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・メチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナッツ・ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N
−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル及び(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲニド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド化合物、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、第4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第4級アクリルアミド、メチル化第4級ポリマー、及びカチオングアーから成る群から選択される、請求項44記載の方法。
[請求項56]
ザフィルルカスト組成物が生体接着性である、請求項52、54又は55のいずれかに記載の方法。
[請求項57]
組成物が、表面安定化剤として、ヒプロメロース、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項44記載の方法。
[請求項58]
該方法が、哺乳動物である対象における喘息の治療のために用いられる、請求項44記載の方法。
[請求項59]
前記対象がヒトである、請求項58記載の方法。
[請求項60]
前記組成物が経口懸濁液である、請求項44記載の方法。
[請求項61]
前記組成物が、液体分散系、ゲル、エアロゾル、軟膏、クリーム、制御放出製剤、迅速溶融製剤、凍結乾燥製剤、錠剤、カプセル剤、遅延放出製剤、延長放出製剤、パルス放出製剤、及び即時放出と制御放出との混合製剤から成る群から選択される投与形である、請求項44記載の方法。
[請求項62]
該有効量が10〜20mg/日である、請求項44記載の方法。
[請求項63]
本質的に(A)複素環式アミド誘導体ナノ粒子の第1集団を含む第1構成要素;及び(B)複素環式アミド誘導体ナノ粒子の第2集団と、調節放出被膜、調節放出マトリックス物質又はこれらの混合物を含む調節放出成分とを含む、少なくとも1つの第2構成要素又は製剤、から成る制御放出組成物であって、対象への経口デリバリー後に、第1集団及び第2集団中の複素環式アミド誘導体ナノ粒子をパルス形式でデリバリーする組成物。
[請求項64]
第1集団及び第2集団中の複素環式アミド誘導体がザフィルルカストであり、前記調節放出成分が、対象に、ザフィルルカストの第2集団を投与後24時間までの期間にわたってデリバリーする、請求項63記載の組成物。
[請求項65]
調節放出被膜を含む、請求項64記載の方法。
[請求項66]
第1集団が即時放出粒子を含み、第2集団を含む製剤が侵食性製剤である、請求項63記載の組成物。
[請求項67]
第2集団を含む製剤が、拡散制御製剤である、請求項63記載の組成物。
[請求項68]
第2集団を含む製剤が、浸透制御製剤である、請求項63記載の組成物。
[請求項69]
該製剤が、調節放出マトリックス物質を含む、請求項63記載の組成物。
[請求項70]
エンハンサーをさらに含む、請求項69記載の組成物。
[請求項71]
第1集団及び第2集団の各々に含有されるザフィルルカストの量が約10mg〜約20mgである、請求項70記載の組成物。
[請求項72]
第1集団と第2集団とが、異なるin vitro溶解プロファイルを有する、請求項64記載の組成物。
[請求項73]
作用中に、第1集団からザフィルルカストの実質的に全てを放出してから、第2集団からザフィルルカスト・ナノ粒子を放出する、請求項72記載の組成物。
[請求項74]
硬質ゼラチン又は軟質ゼラチンカプセル中に含有される、第1集団及び第2集団の各々の粒子のブレンドを含む、請求項64記載の組成物。
[請求項75]
該集団の各々の粒子がミニ錠剤の形態であり、該カプセル剤が該ミニ錠剤の混合物を含有する、請求項64記載の組成物。
[請求項76]
第1集団の圧縮成形ザフィルルカスト・ナノ粒子の第1層と、第2集団のザフィルルカスト含有粒子の他の層とを含む多層状錠剤の形態である、請求項64記載の組成物。
[請求項77]
ザフィルルカスト含有ナノ粒子の第1集団と第2集団とが、迅速溶解性投与形として提供される、請求項76記載の組成物。
[請求項78]
該集団の各々の粒子が迅速溶融錠剤に圧縮成形される、請求項77記載の組成物。
[請求項79]
請求項64記載の組成物の治療有効量を投与することを含む、喘息の治療方法。
[請求項80]
第2製剤が、時間遅延後に有効成分のパルスを放出するのに効果的であるpH依存性ポリマー被膜を含む、請求項64記載の組成物。
[請求項81]
該ポリマー被膜がメタクリレートコポリマーを含む、請求項80記載の組成物。
[請求項82]
該ポリマー被膜が、時間遅延後に有効成分のパルスを実現するために充分な比率でのメタクリレートとアンモニオメタクリレート・コポリマーとの混合物を含む、請求項81記載の組成物。
[請求項83]
メタクリレートのアンモニオメタクリレート・コポリマーに対する比率が1:1である、請求項82記載の組成物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約2,000nm未満の有効平均粒度を有するナノ粒子状ザフィルルカスト組成物を生成するために充分な時間及び条件下で、ザフィルルカスト粒子を少なくとも1種類の表面安定化剤と接触させることを含む、ナノ粒子状ザフィルルカスト組成物の製造方法。
【請求項2】
前記接触がグラインディングを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記グラインディングが湿式グラインディングを含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記接触が均質化を含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記接触が超臨界流体プロセッシングを含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記接触が、
(a)ザフィルルカスト粒子を溶媒中に溶解すること;
(b)得られたザフィルルカスト溶液を、少なくとも1種類の表面安定化剤を含む溶液に加えること;及び
(c)その表面上に吸着した、少なくとも1種類の表面安定化剤を有する可溶化ザフィルルカストを、それに非溶媒を加えることによって沈殿させること
を含む、請求項1記載の方法。
【請求項7】
ザフィルルカストが、結晶質相、非晶質相、半結晶質相、半非晶質相、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項8】
ナノ粒子状ザフィルルカスト粒子の有効平均粒度が、約1900nm未満、約1800nm未満、約1700nm未満、約1600nm未満、約1500nm未満、約1400nm未満、約1300nm未満、約1200nm未満、約1100nm未満、約1,000nm未満、約900nm未満、約800nm未満、約700nm未満、約600nm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約250nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約75nm未満、及び約50nm未満から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
組成物が、経口投与、経肺投与、直腸投与、眼内投与、結腸投与、非経口投与、槽内投与、膣内投与、腹腔内投与、局部投与、頬側投与、鼻腔内投与、及び局所投与から成る群から選択される投与のために処方される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
組成物が1種類以上の製薬的に受容される賦形剤、キャリヤー又はこれらの組み合わせをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項11】
ザフィルルカストと、少なくとも1種類の表面安定化剤との、他の賦形剤を含めない総複合重量に基づいて、約99.5重量%〜約0.001重量%、約95重量%〜約0.1重量%、及び約90重量%〜約0.5重量%から成る群から選択される量で、ザフィルルカストが存在する、請求項1記載の方法。
【請求項12】
ザフィルルカストと、少なくとも1種類の表面安定化剤との、他の賦形剤を含めない総複合乾燥重量に基づいて、約0.5重量%〜約99.999重量%、約5.0重量%〜約99.9重量%、及び約10重量%〜約99.5重量%から成る群から選択される量で、少なくとも1種類の表面安定化剤が存在する、請求項1記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1種類の一次表面安定化剤と少なくとも1種類の二次表面安定化剤を含む、請求項1記載の方法。
【請求項14】
表面安定化剤が、アニオン表面安定化剤、カチオン表面安定化剤、両性イオン表面安定化剤、及びイオン性表面安定化剤から成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項15】
少なくとも1種類の表面安定化剤が、セチルピリジニウムクロリド、ゼラチン、カゼイン、ホスファチド、デキストラン、グリセロール、アラビアゴム、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ベンザルコニウムクロリド、ステアリン酸カルシウム、グリセロール・モノステアレート、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ワックス、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル、ポリオキシエチレンひまし油誘導体、ポリオキシエチレン・ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ポリオキシエチレン・ステアレート、コロイド状二酸化ケイ素、ホスフェート、ドデシル硫酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒプロメロースフタレート、非結晶質セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、トリエタノールアミン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、エチレンオキシドとホルムアルデヒドによる4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノールポリマー、ポロキサマー;ポロキサミン、帯電リン脂質、ジオクチルスルホスクシネート、スルホコハク酸ナトリウム・ジアルキルエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルアリールポ
リエーテルスルホネート、スクロースステアレートとスクロースジステアレートとの混合物、p−イソノニルフェノキシポリ−(グリシドール)、デカノイル−N−メチルグルカミド;n−デシルβ−D−グルコピラノシド;n−デシルβ−D−マルトピラノシド;n−ドデシルβ−D−グルコピラノシド;n−ドデシルβ−D−マルトシド;ヘプタノイル−N−メチルグルカミド;n−ヘプチルβ−D−グルコピラノシド;n−ヘプチルβ−D−チオグルコシド;n−ヘキシルβ−D−グルコピラノシド;ノナノイル−N−メチルグルカミド;n−ノイルβ−D−グルコピラノシド;オクタノイル−N−メチルグルカミド;n−オクチルβ−D−グルコピラノシド;オクチルβ−D−チオグルコピラノシド;リソザイム、PEG−リン脂質、PEG−コレステロール、PEG−コレステロール誘導体、PEG−ビタミンA、PEG−ビタミンE、及び酢酸ビニルとビニルピロリドンとのランダムコポリマーから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項16】
少なくとも1種類のカチオン表面安定化剤が、ポリマー、バイオポリマー、多糖、セルロース、アルギネート、非ポリマー化合物、及びリン脂質から成る群から選択される、請求項14記載の方法。
【請求項17】
表面安定化剤が、カチオン脂質、ポリメチルメタクリレート・トリメチルアンモニウムブロミド、スルホニウム化合物、ポリビニルピロリドン−2−ジメチルアミノエチルメタクリレート・ジメチルスルフェート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ホスホニウム化合物、第4級アンモニウム化合物、ベンジル−ジ(2−クロロエチル)エチルアンモニウムブロミド、ココナッツ・トリメチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・トリメチルアンモニウムブロミド、ココナッツ・メチルジヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・メチルジヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、デシルトリエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、デシルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、C12−C15ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリドブロミド、ココナッツ・ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド、ココナッツ・ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロミド、ミリスチルトリメチルアンモニウムメチルスルフェート、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムブロミド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムクロリド、ラウリルジメチル(エテノキシ)アンモニウムブロミド、N−アルキル(C12−C18)ジメチルベンジルアンモニウムクロリド、N−アルキル(C14−C18)ジメチル−ベンジルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、ジメチルジデシルアンモニウムクロリド、N−アルキル及び(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、トリメチルアンモニウムハライド、アルキル−トリメチルアンモニウム塩、ジアルキル−ジメチルアンモニウム塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、エトキシル化アルキルアミドアルキルジアルキルアンモニウム塩、エトキシル化トリアルキルアンモニウム塩、ジアルキルベンゼンジアルキルアンモニウムクロリド、N−ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、N−テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド一水和物、N−アルキル(C12−C14)ジメチル1−ナフチルメチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジアルキルベンゼンアルキルアンモニウムクロリド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムブロミド、C12トリメチルアンモニウムブロミド、C15トリメチルアンモニウムブロミド、C17トリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、ポリ−ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジメチルアンモニウムハロゲニド、トリセチルメチルアンモニウムクロリド、デシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリエチルアンモニウムブロミド、テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミ
ド、ベンジルトリメチルアンモニウムブロミド、コリンエステル、ベンザルコニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド化合物、セチルピリジニウムブロミド、セチルピリジニウムクロリド、第4級化ポリオキシエチルアルキルアミンのハライド塩、アルキルピリジニウム塩;アミン、アミン塩、アミンオキシド、イミドアゾリニウム塩、プロトン化第4級アクリルアミド、メチル化第4級ポリマー、及びカチオングアーから成る群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
ザフィルルカスト組成物が生体接着剤である、請求項14、16又は17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
組成物が、表面安定化剤として、ヒプロメロース、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、及びラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項1記載の方法。

【公開番号】特開2009−149679(P2009−149679A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45169(P2009−45169)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【分割の表示】特願2007−558231(P2007−558231)の分割
【原出願日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【出願人】(507250508)エラン・ファルマ・インターナショナル・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】