説明

複素環式化合物の生物学的利用能を備えた製剤

本発明は、N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−4−ジフルオロメトキシ−8−メタンスルホンアミド−ジベンゾ[b,d]フラン−1−カルボキサミド(オグレミラスト)などの複素環式化合物及びその製薬学的に許容される塩の生物学的利用能を備えた製剤、その製造方法、並びにそれを用いた治療方法に関する。本発明は、オグレミラストなどの複素環式化合物の実質的に純粋な非晶形にも関する。本発明は、非晶質のオグレミラストを含有する生物学的利用能を備えた経口医薬剤形に特に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、参照によって本明細書にその全体を取り込む、2007年2月9日に出願の米国出願第60/889,009号及び2007年3月22日に出願の米国出願第60/896,353号の優先権の利益を享受する。
【0002】
本発明は、N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−4−ジフルオロメトキシ−8−メタンスルホンアミド−ジベンゾ[b,d]フラン−1−カルボキサミド(オグレミラスト)及びその製薬学的に許容される塩などの複素環式化合物の生物学的利用能を備えた医薬製剤、それらの製造方法、並びにそれを用いた治療方法に関する。本発明は、オグレミラストなどの複素環式化合物の実質的に純粋な非晶形にも関する。本発明は特に、非晶質のオグレミラストを含有する生物学的利用能を備えた経口医薬剤形に関する。
【背景技術】
【0003】
ホルモンは、細胞活性に各種の作用をする化合物である。多くの点において、ホルモンは、特定の細胞反応及び活性を開始するメッセンジャーとして働く。しかしながら、ホルモンによってもたらされる多くの効果が、ホルモンのみの単独の効果によって生じるわけではない。むしろ、ホルモンはまず受容体に結合し、それによって細胞活性に作用する第二の化合物の放出を開始させる。この状況で、ホルモンはファーストメッセンジャーとして知られており、第二の化合物はセカンドメッセンジャーと称される。サイクリックアデノシンモノホスフェート(アデノシン3’,5’−サイクリックモノフォスフェート、「cAMP」または「サイクリックAMP」)は、エピネフリン、グルカゴン、カルシトニンコルチコトロピン、リポトロピン、黄体形成ホルモン、ノルエピネフリン、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、及びバソプレッシンを含むホルモンのためのセカンドメッセンジャーとして知られている。かくして、cAMPは、ホルモンに対する細胞反応を媒介している。サイクリックAMPは、各種の神経伝達に対する細胞反応も媒介する。
【0004】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、3’,5’サイクリックヌクレオチドから5’ヌクレオシドモノホスフェートへと代謝させて、cAMPセカンドメッセンジャー活性を停止する酵素のファミリーである。高いアフィニティーを有するcAMP特異的なタイプIV PDEである、特定のホスホジエステラーゼ、ホスホジエステラーゼ−4(「PDE」、「PDE−IV]としても知られている)が、新規抗喘息化合物及び抗炎症化合物の開発のための潜在的な標的として関心が集まっている。PDE4酵素ファミリーは、PDE4A、PDE4B、PDE4C、及びPDE4Dと称されるPDE4の4つのアイソフォームを生産する4つの遺伝子からなる[例えば、Wang et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,234,320−324(1997)]。加えて、各PDE4アイソフォームの各種のスプライシングバリアントが同定されている。
【0005】
4つの既知のPDE4遺伝子産物のおのおのが、アレルギー及び/又は炎症反応において各種の役割を担っていると解されている。かくして、PDE4、特に有害な反応を生じる特定のPDE4アイソフォームの阻害は、アレルギー及び炎症の症状に有益に作用し得ると解されている。
【0006】
米国特許出願第2005/0027129号は、例えば炎症性及びアレルギー性疾患の治療のためのPDE IVインヒビターとして有用な複素環式化合物を開示している。これらの化合物は、以下の一般式のものである。
【0007】
【化1】

【0008】
式中、R−R、P、X、Y、m、n、及びArは本明細書に規定するものである。1つのその様な化合物は、N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−4−ジフルオロメトキシ−8−メタンスルホンアミド−ジベンゾ[b,d]フラン−1−カルボキサミドであり、国際的な一般名称は、オグレミラストである。オグレミラストの薬理学的及び安全性プロフィールは、例えば、Eur.Respir.J.(2004)24(Suppl.48):Abst 1391に記載されている。US 2005/0027129及び国際公開 WO2006/040652号の双方が、オグレミラスト及びその製薬学的に許容される塩、例えば、ナトリウム塩(例えば、米国公開第2005/0027129号の実施例30及び31を参照)を製造するための方法、一般的にはオグレミラストの製剤及びその対応するナトリウム塩を開示する。これらの製剤では、有効成分は実質的に結晶形で存在する。しかしながら、これらの従来の製剤は、前記有効成分の結晶の可溶性が低いため、低い生物学的利用能に悩まされている。例えば、オグレミラストの結晶は、約0.2μg/mLの溶解度を有する。例えばオグレミラストを含有する製剤の生物学的利用能を増大させるために、その有効成分の塩の形態が典型的には使用されている。オグレミラストのナトリウム塩の結晶の溶解度は幾分高く、約140μg/mLであるが、オグレミラストナトリウムの結晶を実質的に含有する製剤の生物学的利用能は未だ限定的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許出願第2005/0027129号
【特許文献2】国際公開 WO2006/040652号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Wang et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.,234,320−324(1997)
【非特許文献2】Eur.Respir.J.(2004)24(Suppl.48):Abst 1391
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、オグレミラストなどの複素環式化合物及びその製薬学的に許容される塩を含有する製剤であって、改善された生物学的利用能を示す製剤、例えば、経口剤形を提供する必要が当該技術分野において未だに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、N−(3,5−ジクロロピリド−4−イル)−4−ジフルオロメトキシ−8−メタンスルホンアミド−ジベンゾ[b,d]フラン−1−カルボキサミド(オグレミラスト)などの複素環式化合物及びその製薬学的に許容される塩の生物学的利用能を備えた医薬製剤、その製造方法、並びにそれを用いた治療方法に関する。本発明は、オグレミラストなどの複素環式化合物の実質的に純粋な非晶形にも関する。本発明は特に、非晶質のオグレミラストを含有する生物学的利用能を備えた経口医薬剤形に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1a及び図1bは、オグレミラストナトリウム塩の結晶並びにオグレミラストの非晶形及び結晶についての粉末X線回折スペクトルを示す。
【図2】図2は、12mgの用量でヒトに投与した際の、実施例1の製剤I−IVについての平均in vivo血漿濃度を示す。
【図3】図3は、(i)本発明の錠剤、(ii)本発明の溶液剤、(iii)従来の溶液剤、及び(iv)従来の乾燥粉末懸濁剤についてのイヌにおける平均血漿濃度を示す。
【図4】図4は、実施例6の製剤G及びHについての薬物動態プロフィールを示す。
【図5】図5は、実施例7の製剤J及びKについての薬物動態プロフィールを示す。
【図6】図6は、オグレミラスト顆粒剤を調製する造粒方法を示す。
【図7】図7は、オグレミラスト錠剤を調製するための混合及び圧縮方法を示す。
【図8】図8は、0.1mg、0.6mg、1.25mg、及び2.5mg/日の用量でオグレミラスト錠剤をin vivo投与した後の、用量の値に対する平均定常状態濃度曲線下面積(AUC0−24)の線形回帰を示す。
【図9】図9は、0.1mg、0.6mg、1.25mg、及び2.5mg/日の用量でオグレミラスト錠剤をin vivo投与した後の、用量の値に対する平均定常状態ピーク血漿濃度(AUC0−24)の線形回帰を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、経口投与に適切な複素環式化合物の製剤であって、前記複素環式化合物が生物学的利用能を備えている製剤に関する。本発明の製剤は、従来の製剤と比較して、有効成分の生物学的利用能の増大及び溶解プロフィールの改善を提供する。
【0015】
本出願人は、オグレミラスト化合物の塩などの各種の複素環式化合物の塩の結晶(例えば、オグレミラストナトリウムの結晶)が、水性の媒体に接触すると即時に低い溶解度で、そのため低い生物学的利用能である複素環式化合物の非塩の形態の結晶(例えば、オグレミラストの結晶)に変わることを発見した。理論に結びつけることを望まないが、本出願人は、複素環式化合物の塩の形態の結晶から非塩の形態の結晶への変換が、二段階(塩の結晶格子が壊れて高い生物学的利用能の非晶質の中間体を生じさせ、その後に結晶化して低い生物学的利用能の非塩の形態の結晶を生じさせる)で生じると解している。水性媒体の存在下では、双方の段階が早く、急速な変換を生じさせる。
【0016】
オグレミラストの結晶及び非晶形並びにオグレミラストナトリウム塩の結晶の形態は、粉末X線回折(XRD)によって容易に区別することができる。図1a及び1bを参照のこと。
【0017】
出願人は、驚くべきことに、非晶質のオグレミラストから結晶のオグレミラストへの変換をある賦形剤の添加によって遅延させ、それによって非晶質のオグレミラストを含有する高い生物学的利用能を示す製剤を調製できることを見出した。本発明の製剤では、オグレミラストは非晶形(そのため、高い生物学的利用能)で安定しており、低い生物学的利用能の結晶のオグレミラストに変換しない。
【0018】
したがって、本出願人は、オグレミラストなどの複素環式化合物及びその製薬学的に許容される塩を含有する製剤であって、結晶の複素環式化合物の量が最小化された製剤を開発した。本発明の製剤では、有効成分が、胃腸(GI)管で可溶性の形態の状態であり、それによって有効成分のより高い生物学的利用能をもたらす。患者への投与量をより低レベルにすることが可能であるため、より高い生物学的利用能を有する製剤が望ましい。さらに、その様な複素環式化合物を有効成分として含有する生物学的利用能を備えた製剤は、オグレミラストをより高い生物学的利用能の形態へと変換させることによって調製されてよい。
【0019】
さらに、本出願人は、オグレミラストなどの複素環式化合物を含有する生物学的利用能を備えた液体製剤(例えば、溶液剤)を開発した。これらの液体製剤では、有効成分の結晶形態の沈殿が最小化されているため、前記液体製剤の生物学的利用能が高められる。
【0020】
1つの態様では、本発明は、式(I)の実質的に純粋な非晶質の化合物に関する。
【0021】
【化2】

【0022】
式中、
、R、及びRは、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ホルミル、アセチル、ハロゲン、保護基、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)qR、S(O)NR、−NRR、−OR、及び−SRからなる群から各々独立に選択されるか、又は
2つのR置換基が、互いにオルト位にあって、一緒に、O、NR、及びSから選択される同一又は異なるものであってよい2までの複素原子を任意に含んでよい、飽和若しくは不飽和の3から7員環を形成してよく;
は、−NRであって、式中、R及びRは、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ハロゲン、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)qR、−S(O)NR、−C(=NR)R、−C(=NR)NR、−C(=S)NR、−C(=S)R、−N=C(R)−、−NRR、−OR、−SR、及び保護基からなる群から各々独立に選択されるか、又は
及びRは、一緒に、O、NR、及びSから選択される同一又は異なるものであってよい2までの複素原子を任意に含んでよい、飽和若しくは不飽和の3から7員環を形成してよく;
Arは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換の複素環、及び置換若しくは非置換のヘテロアリール環からなる群から選択され;
Xは、O、S(O)、及びNRからなる群から選択され;
Yは、−C(O)NR、−NRS(O)、−S(O)NR、及びNRC(O)からなる群から選択され;
各Zは独立にC又はNであり;
は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、ヒドロキシル、−OR、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換の複素環からなる群から選択され;
pはO及びSから選択され;
mは0から3であり;nは1から4であり、qは0、1、又は2であり;並びに
は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ホルミル、アセチル、ハロゲン、保護基、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、−S(O)NR、−N、−OR、及び−SRからなる群から選択される。
【0023】
1つの実施態様では、RはNHである。
【0024】
更なる実施態様では、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97.5%以上、約98%以上、約99%以上、又は約99.5%以上の式(I)の化合物が非晶形で存在する。例えば、約20%以上、40%以上、約60%以上、約80%以上、又は約90%以上の式(I)の化合物が非晶形である。
【0025】
例示的な実施態様では、式Iの化合物がオグレミラストである。
【0026】
他の実施態様では、本発明は、例えば、活性薬剤の沈殿を遅延させることによって、約0.05mgから約50mgの複素環式化合物の生物学的利用能を備えた形態を含む製剤を提供する。
【0027】
他の態様では、本発明は、例えば、約0.05mgから約50mgの複素環式化合物の非晶形を含む製剤を提供する。
【0028】
1つの実施態様では、本発明は、約10%以上の式(I)の非晶質の化合物を含有する製剤に関する。
【0029】
【化3】

【0030】
式中、
、R、及びRは、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、ホルミル、アセチル、ハロゲン、保護基、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)qR、S(O)NR、−NRR、−OR、及び−SRからなる群から各々独立に選択されるか、又は
2つのR置換基が、互いにオルト位にあって、一緒に、O、NR、及びSから選択される同一又は異なるものであってよい2までの複素原子を任意に含んでよい、飽和若しくは不飽和の3から7員環を形成してよく;
は、−NRであって、式中、R及びRは、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ハロゲン、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、S(O)NR、−C(=NR)R、−C(=NR)NR、−C(=S)NR、−C(=S)R、−N=C(R)−、−NRR、−OR、−SR、及び保護基からなる群から各々独立に選択されるか、又は
及びRは、一緒に、O、NR、及びSから選択される同一又は異なるものであってよい2までの複素原子を任意に含んでよい、飽和若しくは不飽和の3から7員環を形成してよく;
Arは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換の複素環、及び置換若しくは非置換のヘテロアリール環からなる群から選択され;
Xは、O、S(O)、及びNRからなる群から選択され;
Yは、−C(O)NR、−NRS(O)、−S(O)NR、及びNRC(O)からなる群から選択され;
各Zは独立にC又はNであり;
は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、ヒドロキシル、−OR、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換の複素環からなる群から選択され;
pはO及びSから選択され;
mは0から3であり;nは1から4であり、qは0、1、又は2であり;並びに
は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ホルミル、アセチル、ハロゲン、保護基、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、−S(O)NR、−N、−OR、及び−SRからなる群から選択される。
【0031】
1つの実施態様では、RはNHではない。
【0032】
更なる実施態様では、本発明は、式Iの化合物を含む製剤であって、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97.5%以上、約98%以上、約99%以上、又は約99.5%以上の式(I)の化合物が非晶形で存在する、製剤を提供する。例えば、約20%以上、約40%以上、約60%以上、約80%以上、又は約90%以上の式(I)の化合物が非晶形で存在する。
【0033】
更なる実施態様では、本発明は、活性薬剤の沈殿を遅延させることによって、複素環式化合物の高度に生物学的利用能を備えた形態を含む製剤を提供する。
【0034】
理論に結びつけることを望まないが、本出願人は、本発明の製剤中の式Iの化合物は、1つ又は複数の賦形剤(例えば、PVP及びHPMC)の存在によって、(i)式Iの環構造と1つ又は複数の賦形剤の環との間の分散型相互作用並びに/或いは(ii)式Iの環構造上の置換基と1つ又は複数の賦形剤との間の水素結合による相互作用により非晶形で安定化されている可能性があると解している。その様な分散型及び水素結合による相互作用によって、本出願人は、式Iの平面的な環構造と賦形剤分子との積層が生じ、分子運動を阻害し、かくして、有効成分の非塩の形態の結晶化を遅延させる。加えて、1つ又は複数の賦形剤(例えば、PVP及びHPMC)の存在は活性薬剤の沈殿を遅延させ、それによって生物学的利用能を増大させる。例示的な実施態様では、前記製剤はオグレミラストを含む。更なる実施態様では、前記製剤はオグレミラストナトリウムも含む。
【0035】
更なる態様では、本発明は、約0.05mgから約2.5mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含む製剤であって、前記製剤の単回用量投与によって、約2.1ng/mL超の平均Cmax、(ii)約26.3ng hr/mLの平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールが提供される、製剤に関する。例えば、前記製剤は、(i)約2.3ng/mL超の平均Cmax、(ii)約28.9ng.hr/mLの平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを与える。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約2.5ng/mL超の平均Cmax、(ii)約36ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを与える。
【0036】
1つの実施態様では、前記製剤は、約0.1mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、前記製剤の単回用量の投与によって、(i)約4.2ng/mL超の平均Cmax、(ii)約53ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。例えば、前記製剤は、(i)約4.6ng/mL超の平均Cmax、(ii)約58ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約5ng/mL超の平均Cmax、(ii)約63ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0037】
1つの実施態様では、前記製剤は、約0.2mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、前記製剤の単回用量の投与によって、(i)約9.6ng/mL超の平均Cmax、(ii)約110ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールが提供される。例えば、前記製剤は、(i)約10.5ng/mL超の平均Cmax、(ii)約121ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約11.5ng/mL超の平均Cmax、(ii)約132ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0038】
1つの実施態様では、前記製剤は、約0.4mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、前記製剤の単回用量の投与によって、(i)約19.1ng/mL超の平均Cmax、(ii)約220ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールが提供される。例えば、前記製剤は、(i)約21ng/mL超の平均Cmax、(ii)約242ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約23ng/mL超の平均Cmax、(ii)約264ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0039】
他の実施態様では、前記製剤は、約0.6mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、前記製剤の単回用量の投与によって、(i)約26ng/mL超の平均Cmax、(ii)約294ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールが提供される。例えば、前記製剤は、(i)約28.5ng/mL超の平均Cmax、(ii)約323ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約31ng/mL超の平均Cmax、(ii)約353ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0040】
他の実施態様では、前記製剤は、約0.8mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、前記製剤の単回用量の投与によって、(i)約38ng/mL超の平均Cmax、(ii)約440ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールが提供される。例えば、前記製剤は、(i)約42ng/mL超の平均Cmax、(ii)約484ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約46ng/mL超の平均Cmax、(ii)約528ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0041】
さらなる実施態様では、前記製剤は、約1.25mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、前記製剤の単回用量の投与によって、(i)約54ng/mL超の平均Cmax、(ii)約631ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールが提供される。例えば、前記製剤は、(i)約59ng/mL超の平均Cmax、(ii)約694ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約65ng/mL超の平均Cmax、(ii)約757ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0042】
さらなる実施態様では、前記製剤は、約2.5mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、前記製剤の単回用量の投与によって、(i)約129ng/mL超の平均Cmax、(ii)約1471ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールが提供される。例えば、前記製剤は、(i)約142ng/mL超の平均Cmax、(ii)約1618ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約154ng/mL超の平均Cmax、(ii)約1765ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0043】
さらなる実施態様では、前記製剤は、約12mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、前記製剤の単回用量の投与によって、(i)約264ng/mL超の平均Cmax、(ii)約4108ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.5時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールが提供される。例えば、前記製剤は、(i)約291ng/mL超の平均Cmax、(ii)約4513ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約0.8時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。さらなる例としては、前記製剤は、(i)約318ng/mL超の平均Cmax、(ii)約4920ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び(iii)約1時間以上の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0044】
さらなる実施態様では、前記製剤は、約10%以上、約20%以上、約30%以上、約35%以上、約40%以上、約45%以上、約50%以上、約55%以上、約60%以上、約65%以上、約70%以上、約75%以上、約80%以上、約85%以上、約90%以上、約95%以上、約97.5%以上、約98%以上、約99%以上、又は約99.5%以上の非晶質のオグレミラストを含む。例えば、前記製剤は、約20%以上、約40%以上、約60%以上、約75%、約80%以上、又は約90%以上の式(I)の非晶質のオグレミラストを含む。
【0045】
他の実施態様では、本発明は、活性薬剤の沈殿の遅延による複素環式化合物の生物学的利用能を備えた形態を含む製剤を提供する。
【0046】
他の実施態様では、本発明は、(i)約2.1ng/mL超の平均Cmax、(ii)約15,000ng.hr/mL未満の平均AUC0−∞、及び(iii)約0.25時間超の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する、約20%以上の非晶質のオグレミラストを含む、例えば経口剤形の、製剤を提供する。
【0047】
他の実施態様では、本発明は、(i)約2.1ng/mL超の平均Cmax、(ii)約15,000ng.hr/mL未満の平均AUC0−∞、及び(iii)約0.25時間超の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する、高度に可溶性の形態のオグレミラストを含む、例えば経口剤形の、製剤を提供する。
【0048】
さらなる実施態様では、本発明は、(i)約38ng/mL超の平均Cmax、(ii)約440ng.hr/mL超の平均AUC0−12、及び(iii)約0.25時間超の平均Tmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する、約0.8mgのオグレミラストを含み、約20%以上のオグレミラストが非晶形である、例えば経口剤形の、製剤を提供する。
【0049】
さらなる実施態様では、前記製剤は、約2ng/mL超の平均Cmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する。
【0050】
さらなる実施態様では、本発明の製剤は、約60分以内に約50%以上の有効成分の溶解速度を示す。他の実施態様では、前記製剤は、約60分以内に約70%以上の有効成分の溶解速度を示す。他のさらなる実施態様では、前記製剤は、約60分以内に約80%以下の有効成分の溶解速度を示す。
【0051】
さらなる態様では、本発明は、(i)約20%以上の式(I)の可溶化化合物(例えば、オグレミラスト)及び(ii)1つ又は複数の賦形剤を含む製剤、例えば経口投与形態、例えば溶液剤又は懸濁剤であって、1つ又は複数の賦形剤が水性媒体に曝露されるとオグレミラストの結晶の形成を遅延させるために十分な量で存在する、製剤に関する。
【0052】
水性媒体に曝露されて、式(I)の化合物の結晶の形成を遅延させるために使用されてよい適切な賦形剤は、ポビドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、セルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、アルファ化デンプン、ポビドン−ビニルアセテート(PVP−VA)コポリマー、シクロデキストリン(例えば、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン)、ジサッカリド(例えば、スクロース、トレハロース)、ポリサッカリド(例えば、デキストリン)、並びにそれらの組み合わせを含むが、それらに限らない。1つの実施態様では、前記賦形剤はポビドン(PVP)である。他の実施態様では、前記賦形剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)である。
【0053】
ある実施態様では、有効成分:水性媒体に曝露されてオグレミラストの結晶の形成を遅延させるために使用する1つ又は複数の賦形剤の比は、約1:0.05w/wから約1:50w/wである。
【0054】
1つの実施態様では、前記製剤中の有効成分は、約10μm未満のX90によって特徴付けられる粒径分布を有する。
【0055】
本出願人は、オグレミラストなどの複素環式化合物及びその塩を含有する従来の液剤は、一般的に液剤で期待されるよりも低い生物学的利用能を示すことも発見した。有効成分であるオグレミラスト(式I)の結晶形態の沈殿のため、このことは予測されていなかった。しかしながら、上述の1つ又は複数の賦形剤の使用は、有効成分の可溶化形態の安定化も可能にし、それによって、生物学的利用能を備えた液剤の調製を可能にする。
【0056】
したがって、さらなる態様では、本発明は、1つ又は複数の賦形剤によって安定化された式Iの化合物(例えば、オグレミラスト)の可溶化形態を含む、液体製剤、例えば溶液剤及び懸濁剤を提供する。
【0057】
1つの実施態様では、前記製剤は、約7超のpHを有する溶液である。
【0058】
さらなる実施態様では、本発明の製剤は、約0.05mg、約0.1mg、約0.2mg、約0.3mg、約0.4mg、約0.5mg、約0.6mg、約0.75mg、約0.8mg、約0.9mg、約1mg、約1.25mg、約1.5mg、約2mg、約2.5mg、約3mg、約3.5mg、約4mg、約4.5mg、約5mg、約5.5mg、約6mg、約6.5mg、約7mg、約7.5mg、約8mg、約8.5mg、約9mg、約9.5mg、約10mg、約10.5mg、約11mg、約11.5mg、約12mg、約12.5mg、約13mg、約13.5mg、約14mg、約14.5mg、約15mg、約15.5mg、約16mg、約16.5mg、約17mg、約17.5mg、約18mg、約18.5mg、約19mg、約19.5mg、約20mg、約20.5mg、約21mg、約21.5mg、約22mg、約22.5mg、約23mg、約23.5mg、約24mg、約24.5mg、約25mg、約25.5mg、約26mg、約26.5mg、約27mg、約27.5mg、約28mg、約28.5mg、約29.5mg、又は約30mgの有効成分を含む。さらなる他の実施態様では、前記製剤は、これらの用量の任意の2つ(例えば、約0.05から約50mg、約0.1から3.0mg、約0.1から約2mg、約0.2から約1.25mg)の間の範囲にある量の有効成分を含む。さらなる実施態様では、前記製剤は、約0.1mgと約2mg間の有効成分を含む。例えば、前記製剤は、約0.1mg、約0.2mg、約0.4mg、約0.6mg、約0.8mg、約0.9mg、約1.25mg、又は約2.5mgの有効成分(例えば、約0.1mg、約0.2mg、約0.4mg、約0.6mg、約0.8mg、約0.9mg、約1.25mg、又は約2.5mgの有効成分)を含む。
【0059】
製薬学的に許容される塩
上述のように、本発明の1つの態様は、非晶質の有効成分を含む生物学的利用能を備えた製剤であって、生物学的利用能を改善するために有効成分の塩の形態を調製することを要しない、製剤を提供する。しかしながら、本発明の製剤は、有効成分の塩の形態を含有してよい。適切な製薬学的に許容される塩は、主要な化合物と反応させて、塩基として無機若しくは有機酸と作用させて塩を形成することによって得られるもの、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、臭化水素酸塩、安息香酸、酒石酸塩、フマル酸塩、サリチル酸塩、マンデル酸塩、及びカルボン酸塩を含む。製薬学的に許容される塩は、主要な化合物が酸として作用して、適当な塩基と反応して、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、及びコリン塩を形成するものでも含む。当業者は、特許請求の範囲に記載の化合物の酸付加塩が、前記化合物と無機若しくは有機酸との多数の既知の方法のいずれかによる反応によって調製されてよいことを更に認識するであろう。代替的には、アルカリ金属及びアルカリ土類金属塩が、本発明の化合物を適当な塩基と各種の既知の方法によって反応させることによって調製してよい。
【0060】
以下:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ジグルコン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ドデシルスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、へキサン酸塩、フマル酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、オキサレート、パルミチン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、メシル酸塩、及びウンデカン酸塩は、無機又は有機酸との反応によって得られてよい酸塩のさらなる例である。
【0061】
1つの実施態様では、製薬学的に許容される塩は、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、又はカルシウム塩である。例えば、前記製薬学的に許容される塩はナトリウム塩である。
【0062】
組成物
ある実施態様では、本発明の製剤は、例えば、丸剤、錠剤、カプセル剤、粉末剤、カプレット剤、トローチ剤、乾燥粉末懸濁剤、ウエハー剤、ロゼンジ剤、口腔内崩壊フィルム剤、口腔内崩壊錠剤、及び放出調節剤形などとして投与するために適合するものであってよい。
【0063】
ある実施態様では、本発明の製剤は、例えば、水性又は非水性溶液剤、エマルション剤、懸濁剤、シロップ剤、及びエリクシル剤として投与するために適合するものであってよい。その様な剤形は、水などの当該技術分野で既知の適切な不活性希釈剤、並びに保存剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、及び本発明の化合物の乳化及び/又は懸濁のための薬剤などの当該技術分野で既知の適切な賦形剤も含有してよい。
【0064】
本発明の製剤は、懸濁剤、可溶化剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、保存剤、着色剤、香味剤、潤滑剤、溶剤、流動促進剤などを含むが、それらに限らない、追加の製薬学的に許容される当該技術分野で既知の担体、希釈剤、賦形剤も含んでよい。例えば、Handbook of Pharmaceutical Excipients,American Pharmacutical Association(current edition);Pharmacutical Dosage Forms:Tablets(Lieberman,Lachman and Schwartz,editors) current edition,published by Marcel Dekker,Inc.、並びにRemington’s Pharmaceutical Sciences(Arthur Osol,editor),」1553−1593(current edition)を参照。
【0065】
方法
本発明は、本発明の製剤の製造方法にも関する。
【0066】
1つの実施態様では、本発明は、(a)製薬学的に許容される塩の形態のオグレミラストの結晶を1つ又は複数の賦形剤と水の存在下で混合する工程を含む方法であって、前記1つ又は複数の賦形剤が、形成した中間体である非晶質のオグレミラストを安定化し、それによってオグレミラストの結晶の形成を遅延させるために十分な量で存在する、方法に関する。
【0067】
造粒
さらなる実施態様では、製剤は、(b)1つ又は複数の基質とともに工程(a)で形成した混合物を粒状にする工程、(c)得られた産物を乾燥させる工程、及び(d)1つ又は複数の製薬学的に許容される賦形剤と工程(c)の産物とを混合する工程をさらに含む方法において調製されてよい。さらなる実施態様では、前記方法は、(e)工程(d)の混合物を錠剤に圧縮する工程をさらに含む。
【0068】
さらなる実施態様では、工程(b)は、約25℃と約60℃の間、例えば、約27℃と約50℃との間の製品温度で実施されてよい。他の実施態様では、工程(b)の1つ又は複数の基質は、セルロース(例えば、ケイ化ミクロクリスタリンセルロース)、デンプン(例えば、ナトリウムデンプングリコレート)、並びにそれらの混合物から選択される。工程(b)は流動床で実施されてよい。
【0069】
さらなる実施態様では、工程(c)は、約30℃から約50℃の生産物温度、例えば、約40℃から約45℃の製品温度で実施する。
【0070】
さらなる実施態様では、工程(d)の1つ又は複数の製薬学的な賦形剤は、崩壊剤(例えば、ナトリウムデンプングリコレートなどのデンプン)、希釈剤(例えば、ケイ化ミクロクリスタリンセルロースなどのセルロース)、流動促進剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素コロイド、タルク)、並びに潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム)などから選択される。
【0071】
治療方法
オグレミラストなどの式1の化合物及びオグレミラストナトリウム塩などのその製薬学的に許容される塩は、ホスホジエステラーゼ4インヒビターである。そのため、本発明の製剤は、サイクリックAMPの低減及び/又はホスホジエステラーゼ4レベルの上昇によって特徴付けられる各種の疾患状態、例えばアレルギー性及び炎症性の病気及び疾患の治療に有用である。
【0072】
かくして、本発明のさらなる態様によれば、本発明の製剤の有効量を必要とする患者に投与する工程を含む、アレルギー性及び炎症性の疾患状態を治療するための方法が提供される。
【0073】
その様な疾患状態は、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、好酸球性肉芽種、乾癬、炎症性関節炎、関節リウマチ、敗血症性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋及び脳の再灌流障害、慢性糸球体症、腎炎、内毒素性ショック、成人呼吸窮迫症候群、嚢胞性線維症、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、角化症、リウマチ様脊椎炎、変形関節症、ピレシス(pyresis)、糖尿病、塵肺、慢性閉塞性気道疾患、毒性及びアレルギー性接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純苔癬、日焼け、肛門性器部のかゆみ、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円盤状紅斑性狼瘡、全身性エリテマトーデス、小胞及び広域膿皮症、内在性及び外来性座瘡、酒さ、ベーチェット病、アナフィラキシー性紫斑腎炎、炎症性腸疾患、白血病、多発性硬化症、胃腸疾患、及び自己免疫疾患などを含むが、それらに限らない。
【0074】
好ましい炎症性疾患は、喘息、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、好酸球性肉芽種、腎炎、関節リウマチ、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、多発性硬化症、クローン病、乾癬、蕁麻疹、成人春季カタル、呼吸窮迫症候群、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、通風性関節症、ユテルティス、アレルギー性結膜炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、及び慢性炎症を含む。アレルギー性炎症疾患がさらに好ましい。
【0075】
好ましい炎症性疾患は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び喘息を含むが、それらに限らない。
【0076】
肺、関節、眼、腸、皮膚、及び心臓の炎症性疾患又は免疫疾患から選択される、炎症疾患及び免疫疾患も好ましい。
【0077】
気管支喘息、腎炎、及びアレルギー性鼻炎からなる群から選択される炎症性疾患も好ましい。
【0078】
本発明の他の主題は、治療上有効量の本発明の経口剤形を器官又は組織に送達させる工程を含む、罹患した器官又は組織において炎症を低減させるための方法である。
【0079】
本発明の他の主題は、治療上有効量の本発明の経口剤形を対象に投与する工程を含む、治療の必要がある対象における中枢神経系の疾患を治療する方法である。
【0080】
好ましい中枢神経系の疾患は、鬱病、健忘症、認知症、アルツハイマー病、心不全、ショック、及び脳血管疾患を含むが、それらに限らない。
【0081】
本発明の他の主題は、治療上有効量の本発明の経口剤形を対象に投与する工程を含む、治療の必要がある対象におけるインスリン耐性糖尿病を治療する方法である。
【0082】
急性炎症の4つの古典的な症状は、患部の赤み、温度上昇、腫れ、及び痛み、並びに罹患臓器の機能損失である。
【0083】
特定の疾患と関連する炎症の症状及び兆候は、
関節リウマチ−−痛み、腫れ、罹患関節の温熱及び圧痛;一般的及び朝のこわばり;
インスリン依存性糖尿病−−膵島炎;当該疾患は、網膜症、神経障害、腎症、冠動脈疾患、末梢血管障害、及び脳血管疾患とともに各種の合併症を引き起こし得る;
自己免疫甲状腺炎−−衰弱、便秘、息切れ、顔面、手、及び足の腫脹、末梢浮腫、徐脈;
多発性硬化症−−痙性、視界不良、眩暈、脚弱、知覚異常;
ぶどう膜網膜炎−−暗視の低下、周辺視野の喪失;
紅斑性狼瘡−−関節痛、発疹、光感受性、発熱、筋肉痛、手足の腫脹、尿検査異常(血尿、尿柱症、タンパク尿)、糸球体腎炎、認知機能障害、血管内血栓、心膜炎;
強皮症−−レイノー病;手、腕、足、及び顔面の腫脹;皮膚肥厚;指及び膝の痛み、腫脹、及びこわばり、胃腸機能不全、拘束性肺疾患;心膜炎:腎不全;
リウマチ様脊椎炎、変形性関節炎、敗血症性関節炎、及び多発性関節炎などの炎症性要素を有する他の関節炎状態−−発熱、痛み、腫脹、圧痛;
髄膜炎、アルツハイマー病、AIDS、認知症、脳炎などの他の炎症性脳疾患−−光恐怖症、認知機能障害、記憶喪失;
網膜炎などの他の炎症性の眼の炎症−−視力の低下;
湿疹、他の皮膚炎(例えば、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎)、乾癬、UV照射(太陽光線及び同様のUV源)によって生じた火傷などの炎症性皮膚疾患−−紅斑、痛み、落屑、腫脹、圧痛;
クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患−−痛み、下痢、便秘、直腸出血、発熱、関節炎;
喘息−−息切れ、喘鳴;
アレルギー性鼻炎などの他のアレルギー性疾患−−くしゃみ、かゆみ、鼻水の垂れている鼻;
脳卒中後の脳損傷などの急性の外傷に伴う疾患−−感覚消失、運動機能喪失、認知欠損;
心筋虚血による心臓組織障害−−痛み、息切れ;
成人呼吸器窮迫症候群において生じるような肺損傷−−息切れ、過呼吸、酸素供給の低下、肺浸潤物;
敗血症、敗血症ショック、毒素性ショック症候群などの感染に伴う炎症−−発熱、呼吸不全、頻拍、低血圧、白血球増加症;
腎炎(例えば、糸球体腎炎)などの特定の器官又は組織と関連する他の炎症状態−−乏尿、尿検査異常;
炎症を起こした虫垂−−発熱、痛み、圧痛、白血球増加症;
痛風−−痛み、圧痛、関連する関節の腫脹及び紅斑、血清及び/又は尿中尿酸の上昇
胆嚢炎−−腹痛及び圧痛、発熱、吐き気、白血球増加症;
慢性閉塞性肺疾患−−息切れ、喘鳴;
鬱血性心不全−−息切れ、ラ音、末梢浮腫;
二型糖尿病−−心臓血管、眼球、腎臓、及び末梢血管の疾患を含む末梢器官合併症
肺線維症−−過呼吸、息切れ、酸素供給の低下;
アテローム性動脈硬化症及び再狭窄などの血管疾患−−痛み、感覚障害、脈拍の減少;
移植拒絶を生じる機能損失同種免疫−−痛み、圧痛、発熱
を含む。
【0084】
亜臨床症状は、臨床症状の発現に先立って現れる可能性がある炎症の診断マーカーを含むが、それらに限らない。亜臨床症状の一種が、炎症性リンパ球の器官又は組織における侵襲又は蓄積或いは器官又は組織に対して特異的な抗原又は病原体を認識する活性化炎症性リンパ球の局所又は末梢における存在などの免疫学的症状である。リンパ球の活性化は、当該技術分野で既知の技術によって測定し得る。
【0085】
定義
他に規定しない限り、本明細書で使用する全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の通常の知識を有する者によって一般的に理解され得るものと同じ意味を一般的には有する。
【0086】
本明細書で使用する用語「非晶質」は、有効成分に対して使用する際は、その有効成分が完全には結晶でないことを意味し、例えば、不完全に結晶であり、部分的に結晶であり、半結晶であり、全く結晶ではなく、部分的に非晶質であり、又は部分的に無秩序な形態で存在する。
【0087】
本明細書で使用する用語「約」及び「およそ」は、当業者によって測定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し、どのようにその値が測定又は決定されたか、すなわち、測定システムの限界にも依存するであろう。例えば、「約」は、当該技術分野における慣例によって、1又はそれ以上の標準偏差内を意味する。代替的には、「約」は、所定の値の20%までの範囲、好ましくは10%までの範囲を意味してよい。代替的には、特に生物学的なシステム又は方法に関しては、前記用語は、ある値に対して一桁分の範囲内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味する。
【0088】
用語「生物学的利用能」は、有効成分又は活性部分が医薬品から吸収されて、全身で利用可能になる速度又は程度を示す。
【0089】
用語「有効量」は、疾患を治療するために患者(例えば、動物)に投与する際に、疾患の治療に作用するために十分な有効成分を含有する製剤の量、又は本発明の目的を達成するようにホスホジエステラーゼ(PDE4)を阻害又はサイクリックAMPレベルを増大させるために十分な量を意味する。「有効量」は、化合物、疾患及びその感受性、並びに治療する患者の年齢、体重、体調、及び反応性などに依存して変化するであろう。
【0090】
本明細書で使用する用語「遅延させる」は、形成を遅くするか、阻害するか、低減させるか、妨げるか、邪魔をするか、又は遅滞させることを意味する。
【0091】
本明細書で使用する用語「実質的に純粋」は、有効成分の非晶質の形態に適用する際は、有効成分の約10%超が非晶質であり、例えば、約20%超、約40%超、約60%超、約65%超、約70%超、約75%超、約80%超、約85%超、約90%超、約95%超、約97.5%超、約98%超、約99%超、又は約99.5%超の有効成分が非晶質であることを意味する。
【0092】
本明細書に記載の薬物動態パラメータは、血漿vs.投与間隔の間の濃度−時間曲線下面積、τ(AUC0−τ)、血漿vs.0から最後に測定可能な血漿濃度に相当する時間までの濃度−時間曲線下面積(AUC0−t)、最大血漿濃度(Cmax)、平均定常状態血漿濃度(Cav)、最大血漿濃度の時間(Tmax)、及び最終排泄相の半減期(T1/2)を含む。最大濃度の時間Tmaxは、Cmaxに対応する時間として測定される。
【0093】
最後に測定可能濃度(AUC0−t)に対応する時間までの血漿濃度時間曲線下面積は、以下のような線形台形則を用いて数値積分法によって計算する。
【0094】
【数1】

【0095】
式中、Cは、対応する試料回収時間tにおける血漿オグレミラスト濃度であり、nは最後に定量可能であった濃度まで(当該濃度含む)の時点の数である。AUC0−τは、t=τ(24時間)で式1を用いて計算される。
【0096】
最終排泄相の半減期(T1/2)は、下式を用いて計算される。
【0097】
【数2】

【0098】
式中、λは、WinNolin version 4.1において非コンパートメント分析を用いて個々のオグレミラスト濃度−時間のデータの半対数プロットの末端の直線相に対する回帰分析を実施することによって決定される消失速度定数である。
【0099】
0から無限大までの血漿濃度−時間曲線下面積は、下式によって計算される。
【0100】
【数3】

【0101】
式中Clastは、最後に測定可能な濃度である。
【0102】
avは、下式を用いて決定される。
【0103】
【数4】

【0104】
用語「治療する」、「治療」、及び「治療している」は、以下:
(a)対象における疾患、例えば、喘息及びCOPDなどのアレルギー性又は炎症性疾患の少なくとも1つの症状の軽減又は緩和;
(b)所定の刺激に対するもの(例えば、圧力、組織損傷、低温など)を含むが、それらに限らない対象の疾患の兆候の強度及び/又は持続期間の軽減又は緩和;
(c)疾患の発症又は悪化の停止、それらの開始(疾患の臨床的兆候の前の期間)の遅延、及び/又はそれらのリスクの低減
の1つ又は複数を示す。
【0105】
治療剤の投与が病気又は疾患に対して効果的な治療計画である対象又は患者は、好ましくはヒトであるが、臨床弛緩又はスクリーニング又は活性試験における実験動物を含む任意の動物であってよい。かくして、当業者によって容易に解されるように、本発明の方法、化合物、及び組成物は、ヒト、ネコ又はイヌなどのペット、ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジ、及びブタなどであるがそれらに限らない家畜、野生動物(野生であるか又は動物園にいる)、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコなどの実験動物、ニワトリ、シチメンチョウ、スズメなどの鳥類(すなわち、獣医学的用途)を含む任意の動物、特に哺乳類に対する用途に特に適している。
【実施例】
【0106】
以下の非限定的な実施例によって、本発明をさらに説明する。これらの実施例の開示において、例は単なる本発明の例示であると明確に解されるべきであり、いずれの態様にも本発明の範囲を限定するものと解されるべきではなく、多数の変形例及び均等物が本発明に包含されることは、本明細書に接した当業者には明らかであろう。
【0107】
以下の実施例において、全ての温度は、摂氏温度で校正されていない状態で記載されており、他に示さない限り、全ての部及び割合は重量によるものである。
【0108】
上記又は下記において引用している全ての出願、特許、及び文献の開示全体を、参照によって本明細書に取り込む。
【0109】
(実施例1)
本実施例は、(i)双方を湿式造粒によって調製した本発明の2つの錠剤(製剤I及びII)並びに(ii)直接圧縮によって従来の錠剤(製剤III)及び従来の乾燥粉末懸濁剤(製剤IV)の、対象毎に12mgの有効成分の用量で17人のヒトに投与した結果を比較する。
【0110】
【表1】

【0111】
方法I − 製剤Iの調製
工程1a − ケイ化ミクロクリスタリンセルロース(*)及び約半分のナトリウムデンプングリコレートを事前に混合して、流動床で事前に加熱した。オグレミラストナトリウム塩及びポビドンを水中に分散させた。
工程2 − 工程1aの事前に加熱した混合物を、60℃未満の温度で分散させて粒状にした。共に処理した顆粒を、次いで、流動床において約80℃未満で約6%未満の一定乾燥減量(LOD)で乾燥させた。
【0112】
方法II − 製剤IIの調製
工程1b − ケイ化ミクロクリスタリンセルロース(*)及び約半分のナトリウムデンプングリコレート及びオグレミラストナトリウム塩を事前に混合して、流動床で事前に加熱した。ポビドンの溶液(溶液1b)を水で調製した。
工程2 − 工程1bの事前に加熱した混合物を、60℃未満の温度で溶液1bを用いて粒状にした。共に処理した顆粒を、次いで、流動床において約80℃未満で約6%未満の一定乾燥減量(LOD)で乾燥させた。
【0113】
各方法において、工程2の乾燥させた顆粒を、残部のナトリウムデンプングリコレート、ケイ化ミクロクリスタリンセルロース、二酸化ケイ素コロイド、及びタルクとVブレンダーで混合した。前記混合物をステアリン酸マグネシウムとVブレンダーで混合し、次いで、錠剤に圧縮することによって最終的な混合物を調製した。
【0114】
【表2】

【0115】
オグレミラストナトリウム塩及びミクロクリスタリンセルロースを、Vブレンダーで、事前にふるいにかけた二塩基リン酸カルシウム、アルファ化デンプン、重炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、ポビドン、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、及び二酸化ケイ素コロイドと混合した。その混合物を、事前にふるいにかけたステアリン酸マグネシウムと混合して、最終的な混合物を製造し、次いで錠剤に圧縮した。
【0116】
【表3】

【0117】
オグレミラストナトリウム塩及びラウリル硫酸ナトリウムを粉末状にした。ポビドンをその活性粉末に添加して混合した。当該混合物を、次いで、キサンタンガム、サッカリンナトリウム、安息香酸ナトリウム、及びイチゴ香味剤と共に粉末状にした。粉末状にした混合物を、次いで、ブレンダーに移して、マンニトールを前記混合物に混合した。その混合物を取り出して、二酸化ケイ素コロイドと共にふるいにかけた。次いで全ての成分を共に混合した。
【0118】
製剤IからIVにおける有効成分の溶解速度を表4に示す。製剤IからIIIにおける有効成分の溶解速度は、5、15、30、45、及び60分のサンプリング間隔で、0.1N HCl、1%から2%のドデシル硫酸ナトリウムを用いて50RPMでUSP Apparatus II(ヘラ)を使用して測定した(製剤IからIII)。従来の粉末粉末懸濁剤(製剤IV)の溶解速度は、5、15、30、45、及び60分のサンプリング間隔で、0.1N HCl、1%から2%のドデシル硫酸ナトリウムを用いて50RPMでUSP Apparatus II(ヘラ)を使用して、乾燥粉末懸濁剤の12mgのAPI当量(水性スラリー)を用いて測定した。
【0119】
【表4】

【0120】
表4から認められるように、本発明の錠剤である製剤I及びIIは、錠剤である従来の製剤IIIと比較すると、有意に優れた溶解速度を示す。
【0121】
対象毎に12mgの有効成分の用量で17人のヒトに製剤IからIVを投与した後の平均のin vivo薬物動態パラメータを、表5及び図2に示す。
【0122】
【表5】

【0123】
表5及び図2から認められるように、本発明の錠剤は(製剤I及びII)は、従来の錠剤(製剤III)及び従来の乾燥粉末懸濁剤(製剤IV)で観察されるよりも有意に高い、同等の全身曝露を生じた。
【0124】
(実施例2)
本実施例は、オグレミラストナトリウムの結晶を含有する従来の製剤が低い生物学的利用能を示すことを示す。
【0125】
オグレミラストナトリウム塩の結晶を含有する従来の乾燥粉末剤を、表6に記載の成分を混合して調製した。
【0126】
【表6】

【0127】
オグレミラストナトリウム塩は、約10μm超のX90によって特徴付けられる粒径分布を有していた。
【0128】
上記乾燥粉末剤の液体懸濁物(3mg/g)を水で調製し、1、3、6、12、若しくは18mgの有効成分の単回投与又は一日に3、9、15、若しくは24mgの有効成分の数日に亘る投与でヒトに投与した。平均薬物動態データを表7及び8に示す。
【0129】
【表7】

【0130】
【表8】

【0131】
表7及び8から認められるように、オグレミラストナトリウムの結晶を含有する従来の乾燥粉末懸濁剤は低い生物学的利用能を示す。
【0132】
(実施例3)
本実施例は、(i)水、エタノール、及びポリエチレングリコール400中の従来のオグレミラストナトリウム塩溶液剤(製剤A)、(ii)オグレミラストナトリウム塩を含有する従来のカプセル剤(製剤B及びC)、並びに(iii)オグレミラストの結晶を含有する従来のカプセル剤(製剤D)を3匹のビーグル犬に経口投与した結果を示す。
【0133】
製剤A − オグレミラストナトリウムからの従来の溶液剤の調製
10mLのエチルアルコールを100mgのオグレミラストナトリウム塩に添加して、得られた混合物を透明な溶液が得られるまで攪拌した。22.5mLのポリエチレングリコール400を添加して、5分間に亘って混合した。67.5mLの精製水を添加して、5分間に亘って混合した。得られた溶液(1mg/mL)を0.22ミクロンのフィルターによって濾過して、1mg/kgで投与した。
【0134】
製剤B及びC − オグレミラストナトリウムの結晶を含有する従来のカプセル剤の調製
サイズ0のカプセルシェルを秤量し、次いで、オグレミラストナトリウム塩の粉末で満たして、カプセル中に2mg/kg(動物の重量)の有効成分当量を得た。カプセルを閉じて総重量を測定した。送達されたオグレミラストナトリウム塩の正味の重量を次いで算出した。オグレミラストナトリウムの結晶を含有する製剤B及びCは2つの異なる生産工程で得た。
【0135】
製剤D − オグレミラストの結晶を含有する従来のカプセル剤の調製
オグレミラストの結晶の調製:オグレミラストナトリウム塩を0.1N HClに分散させて、1時間に亘って超音波処理によって混合した。得られた固体物を濾過によって回収した。次いで、前記固体物を、約80℃未満の温度で数時間に亘ってメタノール中で還流した。得られた固体物を濾過によって回収して乾燥させた。XRD及びFTIRで、オグレミラストの結晶であることを確認した。ナトリウムが存在しないことは、元素分析によって確認した。
【0136】
カプセル剤の調製:サイズ0のカプセルシェルを秤量し、次いで、オグレミラストで満たして、カプセル中に2mg/kg(動物の重量)の有効成分当量を得た。カプセルを閉じて総重量を測定した。送達されたオグレミラストの正味の量を、次いで、算出した。
【0137】
各製剤AからDについての平均Cmaxプロフィールを下表9に示す。平均血漿薬物動態パラメータを表10に記載する。
【0138】
【表9】

【0139】
【表10】

【0140】
ここで認められるように、オグレミラストナトリウムの結晶から調製した従来の溶液剤(製剤A)及びオグレミラストナトリウムの結晶を含有する従来のカプセル剤(製剤B及びC)は、低い生物学的利用能を示す。オグレミラストの結晶を含有する従来のカプセル剤は、本質的に生物学的利用能を示さない。
【0141】
(実施例4)
本実施例は、(i)12mgの本発明の製剤Iの錠剤(実施例1)、(ii)オグレミラストナトリウム塩(100mg)、PEG400(20mg)、エタノール(25g)、ポビドン(Kollidon30)(200mg)、水酸化ナトリウム(0.1N溶液 1.5ml)、及び水(100mlまでの残部)から調製した本発明の溶液剤、(iii)水、エタノール、及びPEG400中のオグレミラストナトリウム塩の従来の溶液(1mg/kg)、並びに(iv)従来の乾燥粉末懸濁剤(実施例1の製剤IV)(12mgの用量に標準化)のオスのビーグル犬に対する経口投与の結果を示す。
【0142】
図3から認められるように、従来の溶液剤(iii)及び従来の乾燥粉末懸濁剤(iv)は、本発明の錠剤(i)及び本発明の溶液剤(ii)よりも非常に低い平均血漿濃度を有する。
【0143】
実施例5
本実施例は、有効成分の粒径の効果を示し、12mgの用量でヒトに対するオグレミラストナトリウムの2種の従来の乾燥粉末懸濁剤、すなわち、10ミクロン超のX90を有する薬剤粒径を有するもの及び10ミクロン未満のX90を有する薬剤粒径を有するものの経口投与の結果を示す。
【0144】
前記2種の従来の乾燥粉末懸濁剤は、表11に示す成分を混合することによって調製した。各粉末剤を水と混合して、投与のための液体懸濁剤を調製した。
【0145】
【表11】

【0146】
製剤E及びFで使用する有効成分の代表的な粒径特性を表12に示す。
【0147】
【表12】

【0148】
製剤E及びFの有効成分の溶解特性を表13に示す。
【0149】
【表13】

【0150】
12mgの用量でヒトに投与した際の、製剤E及びFの平均薬物動態パラメータを表14に示す。
【0151】
【表14】

【0152】
ここで認められるように、10ミクロン未満のX90を有する粒径のオグレミラストナトリウムの使用は、製剤E(10ミクロン超のX90を有するオグレミラストナトリウム粒径を有する)の溶解速度の約2倍を有し、かつ、製剤Eと比較すると約4倍の生物学的利用能の増大を示す製剤(製剤F)をもたらす。
【0153】
(実施例6)
本実施例では、オグレミラストナトリウムの結晶から調製した2つの異なる溶液剤:(i)従来の溶液剤(製剤G)及び(ii)ポリビニルピロリドンも含有する本発明の溶液剤(製剤H)のビーグル犬に対する経口投与の結果を示した。
【0154】
製剤G
100mgのオグレミラストナトリウム、10mLのエチルアルコール、22.5mLのポリエチレングリコール400、及び67.5mLの精製水を混合して溶液を調製した。
【0155】
製剤H
100mgのオグレミラストナトリウム、25gのエチルアルコール、25gのポリエチレングリコール400、200mgのポリビニルピロリドン、1.5mLの水酸化ナトリウム(0.1N溶液)、及び精製水(100mLまでの残部)を混合して溶液を調製した。
【0156】
1mg/mlの濃度の溶液として3匹のオスのビーグル権に12mgの用量で経口投与した際の、製剤G及びHの平均血漿プロフィールを図4に示す。そこから認められるように、本発明の溶液製剤Hは、従来の溶液製剤Gよりも非常に高い平均血漿濃度を有する。
【0157】
(実施例7)
本発明は、(i)オグレミラストナトリウム塩を用いて調製した作用剤の非晶形を含有する本発明の12mg錠剤(製剤J)及び(ii)オグレミラストを用いて調製した作用剤の非晶形を含有する本発明の12mg錠剤(製剤K)のイヌに対する経口投与の結果を示す。
【0158】
製剤Jの調製
オグレミラストナトリウム塩及びポリビニルピロリドン(1:2の比率)を、エタノール及び水酸化アンモニウムの混合物中で溶解した。次いで、その溶液を真空条件下で乾燥させ、かくして得られた固体物を表15に記載の錠剤に製剤化した。
【0159】
【表15】

【0160】
製剤Kの調製
オグレミラスト(23.25%w/w)、ポリビニルピロリドン(69.77%)、及び塩化ナトリウム(6.98%w/w)を、エタノールと水酸化アンモニウムの混合物に溶解した。次いで、その溶液を真空条件下で乾燥させて、かくして得られた固体物を表16に記載の錠剤に製剤化した。
【0161】
【表16】

【0162】
図5は、12mgの用量におけるイヌに対する経口投与後の製剤J及びKの結晶濃度を示す。ここで認められるように、製剤J及びK(双方がオグレミラストナトリウム塩及びオグレミラスト各々を用いて調製した有効成分の非晶形を含有する)が高い生物学的利用能を示す。
【0163】
(実施例7)
オグレミラスト顆粒を、図6に示す造粒方法(流動床:GPCG3.1、トップスプレー、大気圧:1.5から1.8bar、吸気流:15から150CFM、振動機構:非同期)に従って調製した。前記顆粒の組成を表17に示す。
【0164】
【表17】

【0165】
(実施例8)
オグレミラスト錠剤を、図7に示す方法にしたがって調製した。前記錠剤の組成を表18に示す。110mgの錠剤の圧縮パラメータは、以下:10の錠剤の平均wt.:1.07から1.14g、個々の硬度:2から6kpである。
【0166】
【表18】

【0167】
(実施例9)
健康な対象におけるオグレミラストの安全性、忍容性、薬物動態を評価するための、単一施設、二重盲式、無作為、プラセボ対照平行群の7日反復投与試験
本試験の主な目的は、オグレミラストの錠剤の複数投与(0.1、0.6、1.25、及び2.5mg)の安全性、忍容性、及び薬物動態を示すことであった。前記錠剤の組成は表18に記載している。
【0168】
方法論
本試験は、18から45歳の年齢の30人の健康な男性及び女性の対照が参加した、単一施設、無作為、二重盲式、プラセボ対照平行群の7日複数投与試験であった。前記対象は、以下の5つの治療:
治療A:7日間に亘る一日一回の0.1mgオグレミラストの反復経口投与(1×0.1mg錠剤);
治療B:7日間に亘る一日一回の0.6mgオグレミラストの反復経口投与(1×0.6mg錠剤);
治療C:7日間に亘る一日一回の1.25mgオグレミラストの反復経口投与(1×1.25mg錠剤);
治療D:7日間に亘る一日一回の2.5mgオグレミラストの反復経口投与(1×2.5mg錠剤);
治療E:7日間に亘る一日一回のマッチングプラセボの反復経口投与(1錠剤)
の1つを無作為に受けた(6人/治療群)。
【0169】
対象は、0800時間で240mLの水と共に1から7日目に本試験薬を服用した。対象は、各投与の前に10時間の絶食期間を経た。各投与後に、対象は、絶食を続け、まっすぐに着席した状態で4時間起きていた。
【0170】
血液サンプルを以下のPK分析:
第一日:0.0(投与前)、投与後0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、16、及び24時間;
第五及び六日:0.0(投与前)時間;
第七日:0.0(投与前)、投与後0.25、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、8、10、12、16、24、26、48、及び72時間
のために回収した。
【0171】
前記錠剤の経口投与後の平均in vivo薬物動態パラメータを表19に示す。
【0172】
【表19】

【0173】
算出されたTmaxの平均値は1.75時間であり、算出されたT1/2の平均値は19.4時間であった。
【0174】
図8は、表19に記載の平均AUC0−24及び用量の値の線形回帰を示す。図9は、表19に記載の平均Cmax及び用量の値の線形回帰を示す。
【0175】
表20は、表19に示される線形回帰に基づく、算出された平均の定常状態PKパラメータを示す。
【0176】
【表20】

【0177】
平均Tmax値は約1.6時間と算出され、平均T1/2値は約19.4時間と算出された。
【0178】
(実施例10)
50mcgから3000mcgの範囲のオグレミラスト錠剤を表21に示す。これらの製剤は、実施例8に記載の手法を用いて調製してよい。
【0179】
【表21】

【0180】
(実施例11)
異なる顆粒を用いて調製されるオグレミラスト錠剤を表22に示す。これらの製剤は、実施例8に記載の手法を用いて調製されてよい。
【0181】
【表22】

【0182】
本発明は、本発明の例示的な実施態様を参照することによって描写及び記載しており、その様な参照は、本発明を限定することを意図するものではなく、その様な限定を示さない。本発明は、形態及び機能の想到し得る修飾例、変形例、及び均等例であってよく、それらは本明細書の開示に接した当業者によってもたらされるであろう。本発明の描写及び記載した実施態様は、例示するものであり、本発明の範囲を包括するものはない。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲に記載の精神及び範囲によってのみ限定され、全ての態様における均等物に対する完全な認識を与える。
【0183】
本明細書に引用した全ての参考文献は、そうではないことを記載している場合を除き、参照によってそれらの全体を本明細書に取り込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約2ng/mL超の平均Cmax
(ii)約26ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約0.25時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、約0.05から約2.5mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含む製剤。
【請求項2】
約0.05mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
約0.1mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約6ng/mL超の平均Cmax
(ii)約100ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
約0.2mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約12ng/mL超の平均Cmax
(ii)約150ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
約0.4mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約25ng/mL超の平均Cmax
(ii)約240ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項6】
約0.6mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約40ng/mL超の平均Cmax
(ii)約550ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項7】
約0.8mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約50ng/mL超の平均Cmax
(ii)約650ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項8】
約1.25mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約95ng/mL超の平均Cmax
(ii)約1200ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項9】
約2.5mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約150ng/mL超の平均Cmax
(ii)約2400ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項10】
約0.5mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約4ng/mL超の平均Cmax
(ii)約30ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項11】
約0.1mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約7ng/mL超の平均Cmax
(ii)約120ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項12】
約0.2mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約14ng/mL超の平均Cmax
(ii)約140ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項13】
約0.4mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約28ng/mL超の平均Cmax
(ii)約260ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項14】
約0.6mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約45ng/mL超の平均Cmax
(ii)約600ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項15】
約0.8mgのオグレミラスト又はその製薬学的に許容される塩を含み、かつ、
(i)約50ng/mL超の平均Cmax
(ii)約600ng.hr/mL超の平均AUC0−24、及び
(iii)約1時間以上の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項1に記載の製剤。
【請求項16】
約20%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
約40%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項18】
約60%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
約80%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項20】
約90%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項21】
請求項1から20のいずれか一項に記載の製剤を、炎症性又はアレルギー性疾患の治療を必要とする患者に投与する工程を含む、炎症性又はアレルギー性疾患を治療するための方法。
【請求項22】
前記疾患が、喘息、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、好酸球性肉芽種、腎炎、関節リウマチ、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、多発性硬化症、クローン病、乾癬、蕁麻疹、成人春季カタル、呼吸窮迫症候群、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、通風性関節症、ユテルティス、アレルギー性結膜炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、又は慢性炎症である、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記疾患が喘息である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記疾患がCOPDである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記疾患が関節リウマチである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
式(I):
【化1】

[式中、
、R、及びRは、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ホルミル、アセチル、ハロゲン、保護基、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、S(O)NR、−NRR、−OR、及び−SRからなる群から各々独立に選択されるか、又は
2つのR置換基が、互いにオルト位にあって、一緒に、O、NR、及びSから選択される同一又は異なるものであってよい2までの複素原子を任意に含んでよい、飽和若しくは不飽和の3から7員環を形成してよく;
は、−NRであって、式中、R及びRは、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ハロゲン、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、−S(O)NR、−C(=NR)R、−C(=NR)NR、−C(=S)NR、−C(=S)R、−N=C(R)−、−NR、−OR、−SR、及び保護基からなる群から各々独立に選択されるか、又は
及びRは、一緒に、O、NR、及びSから選択される同一又は異なるものであってよい2までの複素原子を任意に含んでよい、飽和若しくは不飽和の3から7員環を形成してよく;
Arは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換の複素環、及び置換若しくは非置換のヘテロアリール環からなる群から選択され;
Xは、O、S(O)、及びNRからなる群から選択され;
Yは、−C(O)NR、−NRS(O)、−S(O)NR、及び−NRC(O)からなる群から選択され;
各Zは独立にC又はNであり;
は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、ヒドロキシル、−OR、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換の複素環からなる群から選択され;
pはO及びSから選択され;
mは0から3であり;nは1から4であり、qは0、1、又は2であり;並びに
は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ホルミル、アセチル、ハロゲン、保護基、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、−S(O)NR、−N、−OR、及び−SRからなる群から選択される]
の化合物の実質的に純粋な非晶形。
【請求項27】
約40%以上が非晶質である、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
約60%以上が非晶質である、請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
約75%以上が非晶質である、請求項26に記載の化合物。
【請求項30】
約80%以上が非晶質である、請求項26に記載の化合物。
【請求項31】
約90%以上が非晶質である、請求項26に記載の化合物。
【請求項32】
オグレミラストを含む、請求項26から31のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
式(I):
【化2】

[式中、
、R、及びRは、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ホルミル、アセチル、ハロゲン、保護基、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、S(O)NR、−NRR、−OR、及び−SRからなる群から各々独立に選択されるか、又は
2つのR置換基が、互いにオルト位にあって、一緒に、O、NR、及びSから選択される同一又は異なるものであってよい2までの複素原子を任意に含んでよい、飽和若しくは不飽和の3から7員環を形成してよく;
は、−NRであって、式中、R及びRは、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ハロゲン、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、−S(O)NR、−C(=NR)R、−C(=NR)NR、−C(=S)NR、−C(=S)R、−N=C(R)−、−NR、−OR、−SR、及び保護基からなる群から各々独立に選択されるか、又は
及びRは、一緒に、O、NR、及びSから選択される同一又は異なるものであってよい2までの複素原子を任意に含んでよい、飽和若しくは不飽和の3から7員環を形成してよく;
Arは、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換の複素環、及び置換若しくは非置換のヘテロアリール環からなる群から選択され;
Xは、O、S(O)、及びNRからなる群から選択され;
Yは、−C(O)NR、−NRS(O)、−S(O)NR、及び−NRC(O)からなる群から選択され;
各Zは独立にC又はNであり;
は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、ヒドロキシル、−OR、置換若しくは非置換のアリール、及び置換若しくは非置換の複素環からなる群から選択され;
pはO及びSから選択され;
mは0から3であり;nは1から4であり、qは0、1、又は2であり;並びに
は、水素、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のシクロアルキル、置換若しくは非置換のシクロアルキルアリール、置換若しくは非置換のシクロアルケニル、置換若しくは非置換のアリール、置換若しくは非置換のアリールアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリール、置換若しくは非置換の複素環、置換若しくは非置換のヘテロシクリルアルキル、置換若しくは非置換のヘテロアリールアルキル、ニトロ、−OH、シアノ、ホルミル、アセチル、ハロゲン、保護基、−C(O)R、−C(O)OR、−C(O)NR、−S(O)、−S(O)NR、−N、−OR、及び−SRからなる群から選択される]
の約20%以上の非晶質の化合物を含む製剤。
【請求項34】
約40%以上の式(I)の化合物が非晶質である、請求項33に記載の製剤。
【請求項35】
約60%以上の式(I)の化合物が非晶質である、請求項33に記載の製剤。
【請求項36】
約75%以上の式(I)の化合物が非晶質である、請求項33に記載の製剤。
【請求項37】
約80%以上の式(I)の化合物が非晶質である、請求項33に記載の製剤。
【請求項38】
約90%以上の式(I)の化合物が非晶質である、請求項33に記載の製剤。
【請求項39】
オグレミラストを含む、請求項33に記載の製剤。
【請求項40】
オグレミラストナトリウムを更に含む、請求項39に記載の製剤。
【請求項41】
(i)約2ng/mL超の平均Cmax
(ii)約15,000ng.h/mL未満の平均AUC0−∞、及び
(iii)約0.25時間超の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、約20%以上の非晶質のオグレミラストを含む製剤。
【請求項42】
約40%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項41に記載の製剤。
【請求項43】
約60%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項41に記載の製剤。
【請求項44】
約80%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項41に記載の製剤。
【請求項45】
約90%以上のオグレミラストが非晶質である、請求項41に記載の製剤。
【請求項46】
約0.05から約2.5mgのオグレミラストを含む、請求項41に記載の製剤。
【請求項47】
約0.1から約2.5mgのオグレミラストを含む、請求項41に記載の製剤。
【請求項48】
約0.2から約1mgのオグレミラストを含む、請求項41に記載の製剤。
【請求項49】
約20%以上のオグレミラストが非晶質であり、かつ、
(i)約ng/mL超の平均Cmax
(ii)約ng.hr/mL超の平均AUC0−∞、及び
(iii)約1時間超の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、0.8mgのオグレミラストを含む製剤。
【請求項50】
約ng/mL超の平均Cmaxを含むin vivo血漿プロフィールを提供する、請求項49に記載の製剤。
【請求項51】
約60分以下で約85%以上の有効成分の溶解速度を有する、請求項49に記載の製剤。
【請求項52】
約60分以下で約80%以上の有効成分の溶解速度を有する、請求項49に記載の製剤。
【請求項53】
1つ又は複数の賦形剤が、オグレミラストの結晶の形成を遅延させるために十分な量で存在する、(i)オグレミラストの可溶化形態と(ii)1つ又は複数の賦形剤とを含む製剤。
【請求項54】
溶液又は懸濁物の形態にある、請求項53に記載の製剤。
【請求項55】
前記溶液のpHが約7を超える、請求項54に記載の製剤。
【請求項56】
前記1つ又は複数の賦形剤が、ポビドン、ポリエチレングリコール、セルロース、デンプン、ポビドン−ビニルアセテートコポリマー、シクロデキストリン、ジサッカリド、ポリサッカリド、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項53に記載の製剤。
【請求項57】
前記1つ又は複数の賦形剤が、ポビドン、ポリエチレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファ化デンプン、ポビドン−ビニルアセテートコポリマー、ヒドロキシプロピルベータシクロデキストリン、スクロース、トレハロース、デキストラン、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項56に記載の製剤。
【請求項58】
前記賦形剤がポビドンである、請求項57に記載の製剤。
【請求項59】
経口投与に適合する、請求項33から58のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項60】
丸剤、錠剤、カプセル剤、糖衣錠剤、粉末剤、カプレット剤、トローチ剤、エリクシル剤、経口懸濁剤、溶液剤、乾燥粉末懸濁剤、シロップ剤、ウエハー剤、ロゼンジ剤、口腔内崩壊フィルム剤、又は口腔内崩壊錠剤の形態にある、請求項59に記載の製剤。
【請求項61】
錠剤、カプセル剤、溶液剤、又は経口懸濁剤の形態にある、請求項60に記載の製剤。
【請求項62】
請求項33から58のいずれか一項に記載の製剤を、炎症性又はアレルギー性疾患を治療する必要がある患者に投与する工程を含む、炎症性又はアレルギー性疾患を治療するための方法。
【請求項63】
前記炎症性又はアレルギー性疾患が、喘息、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患、アレルギー性鼻炎、好酸球性肉芽種、腎炎、関節リウマチ、嚢胞性線維症、慢性気管支炎、多発性硬化症、クローン病、乾癬、蕁麻疹、成人春季カタル、呼吸窮迫症候群、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、通風性関節症、ユテルティス、アレルギー性結膜炎、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、湿疹、アトピー性皮膚炎、又は慢性炎症から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記疾患が喘息である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記炎症性又はアレルギー性疾患がCOPDである、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
前記炎症性疾患が関節リウマチである、請求項63に記載の方法。
【請求項67】
(i)約2ng/mL超の平均Cmax
(ii)約15,000ng.h/ml未満の平均AUC0−∞、及び
(iii)約0.25時間超の平均Tmax
を含むin vivo血漿プロフィールを提供する、約20%の可溶化オグレミラストを含む製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2010−518114(P2010−518114A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549246(P2009−549246)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/053368
【国際公開番号】WO2008/100800
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(509224147)フォレスト・ラボラトリーズ・ホールディングス・リミテッド (5)
【Fターム(参考)】