説明

複素環式抗ウイルス化合物

式(I)(式中、R、RおよびRは、本明細書中に定義の通りである)を有する化合物は、改善されたバイオアベイラビリティーを有するC型肝炎ウイルスNS5bポリメラーゼ阻害剤である。更に開示するのは、HCV感染を処置するおよびHCV複製を阻害する組成物および方法である。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、RNA依存性RNAウイルスポリメラーゼの阻害剤である、式Iを有する非ヌクレオシド化合物およびそれらの特定の誘導体を提供する。本請求の範囲に包含される同位体含有化合物は、改善された薬物動態学的特性を示す。これら化合物は、RNA依存性RNAウイルス感染の処置に有用である。それらは、特に、C型肝炎ウイルス(hepatitis C virus、HCV)NS5Bポリメラーゼの阻害剤として、HCV複製の阻害剤として、そしてC型肝炎感染の処置用に有用である。
【0002】
C型肝炎ウイルスは、世界中至る所で慢性肝臓疾患の主要原因である。(Boyer, N. et al., J. Hepatol. 2000 32:98-112)。HCVに感染した患者は、肝臓の硬変およびそれに続く肝細胞癌を発生するリスクがあり、したがって、HCVは、肝臓移植のための主要な指標である。
【0003】
HCVは、フラビウイルス属、ペスチウイルス属、およびC型肝炎ウイルスを包含するハパセイウイルス(hapaceiviruses)属を包含するフラビウイルス科(Flaviviridae)というウイルス科のメンバーとして分類された(Rice, C. M., Flaviviridae: The viruses and their replication. In: Fields Virology, Editors: B. N. Fields, D. M. Knipe and P. M. Howley, Lippincott-Raven Publishers, Philadelphia, Pa., Chapter 30, 931-959, 1996)。HCVは、およそ9.4kbのポジティブセンス一本鎖RNAゲノムを含有するエンベロープ付きウイルスである。そのウイルスゲノムは、高度に保存された5’未翻訳領域(UTR)、およそ3011アミノ酸のポリタンパク質前駆体をエンコードしている長いオープンリーディングフレーム、および短い3’UTRから成る。
【0004】
HCVの遺伝分析は、DNA配列の30%を超えて異なる6種類の主要遺伝子型を識別した。30を超えるサブタイプが区別された。米国では、感染した個体のおよそ70%が、1a型および1b型感染を有する。1b型は、アジアにおいて最も優勢なサブタイプである。(X. Forns and J. Bukh, Clinics in Liver Disease 1999 3:693-716; J. Bukh et al., Semin. Liv. Dis. 1995 15:41-63)。残念ながら、1型感染性は、2型かまたは3型かどちらの遺伝子型よりも療法に耐性である(N. N. Zein, Clin. Microbiol. Rev., 2000 13:223-235)。
【0005】
ウイルス構造タンパク質には、ヌクレオキャプシドコアタンパク質(C)および二つのエンベロープ糖タンパクE1およびE2が含まれる。HCVは、更に、二つのプロテアーゼ、すなわち、NS2−NS3領域によってエンコードされる亜鉛依存性メタロプロテイナーゼおよびNS3領域中にエンコードされるセリンプロテアーゼをエンコードしている。これらプロテアーゼは、前駆体ポリタンパク質の成熟ペプチドへの特異的領域切断に必要とされる。非構造タンパク質5のカルボキシル半分であるNS5Bは、RNA依存性RNAポリメラーゼを含有する。残りの非構造タンパク質NS4AおよびNS4Bの機能およびNS5A(非構造タンパク質5のアミノ末端半分)の機能は、依然として未知である。HCV RNAゲノムによってエンコードされる非構造タンパク質の大部分は、RNA複製に関与していると考えられる。
【0006】
最近、一定数の承認された療法が、HCV感染の処置に利用可能である。HCV感染を処置するおよびHCV NS5Bポリメラーゼ活性を阻害するための新しいおよび既存の治療的アプローチは、概説されてきた。R. G. Gish, Sem. Liver. Dis., 1999 19:5; Di Besceglie, A. M. and Bacon, B. R., Scientific American, October: 1999 80-85; G. Lake-Bakaar, Current and Future Therapy for Chronic Hepatitis C Virus Liver Disease, Curr. Drug Targ. Infect Dis. 2003 3(3):247-253; P. Hoffmann et al., Recent patent on experimental therapy for hepatitis C virus infection (1999-2002), Exp. Opin. Ther. Patents 2003 13(11):1707-1723; M. P. Walker et al., Promising Candidates for the treatment of chronic hepatitis C, Exp. Opin. Investing. Drugs 2003 12(8):1269-1280; S.-L. Tan et al., Hepatitis C Therapeutics: Current Status and Emerging Strategies, Nature Rev. Drug Discov. 2002 1:867-881; J. Z. Wu and Z. Hong, Targeting NS5B RNA-Dependent RNA Polymerase for Anti-HCV Chemotherapy, Curr. Drug Targ. - Infect. Dis. 2003 3(3):207-219。
【0007】
リバビリン(1−((2R,3R,4S,5R)−3,4−ジヒドロキシ−5−ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン−2−イル)−1H−[1,2,4]トリアゾール−3−カルボン酸アミド;Virazole(登録商標))は、合成の非インターフェロン誘発性広域スペクトル抗ウイルスヌクレオシド類似体である。リバビリンは、Flaviviridaeを含めたいくつかのDNAウイルスおよびRNAウイルスに対してin vitro活性を有する(Gary L. Davis. Gastroenterology 2000 118:S104-S114)。単独療法の場合、リバビリンは、40%の患者において血清アミノトランスフェラーゼレベルを正常レベルへ減少させるが、HCV−RNAの血清レベルを低下させることはない。リバビリンは、更に、有意の毒性を示し、貧血を引き起こすことが知られている。ビラミジン(Viramidine)は、肝細胞中においてアデノシンデアミナーゼによってリバビリンに変換されるリバビリンプロドラッグである(J. Z. Wu, Antivir. Chem. Chemother. 2006 17(1):33-9)。
【0008】
インターフェロン(IFN)は、慢性肝炎の処置に、ほとんど10年間利用可能であった。IFNは、ウイルス感染に応答して免疫細胞によって生産される糖タンパク質である。二つの異なったタイプのインターフェロンが認められている。1型には、いくつかのインターフェロンαおよび一つのインターフェロンβが含まれ、2型には、インターフェロンγが含まれる。1型インターフェロンは、主に、感染した細胞によって生産され、そして隣接する細胞をde novo感染から保護する。IFNは、HCVを含めた多くのウイルスのウイルス複製を阻害し、しかもC型肝炎感染の単独処置として用いられる場合、IFNは、血清HCV−RNAを検出不能レベルへ抑制する。更に、IFNは、血清アミノトランスフェラーゼレベルを正常にする。残念ながら、IFNの作用は一時的である。療法の停止は、70%の再発率を生じ、そして10〜15%だけが、持続性ウイルス学的応答を正常血清アラニントランスフェラーゼレベルで示す。(Davis, Luke-Bakaar,上記)。
【0009】
早期IFN療法の一つの限界は、血液からのタンパク質の急速クリアランスであった。ポリエチレングリコール(PEG)でのIFNの化学誘導体化は、実質的に改善された薬物動態学的性質を有するタンパク質を生じた。PEGASYS(登録商標)は、インターフェロンα−2aおよび40kD分枝モノメトキシPEGのコンジュゲートであり、そしてPEG−INTRON(登録商標)は、インターフェロンα−2bおよび12kDモノメトキシPEGのコンジュゲートである。(B. A. Luxon et al., Clin. Therap. 2002 24(9):13631383; A. Kozlowski and J. M. Harris, J. Control. Release 2001 72:217-224)。
【0010】
リバビリンおよびインターフェロン−αでのHCVの組み合わせ療法は、現在、HCVのための最適療法である。リバビリンおよびPEG−IFN(以下)を組み合わせることは、1型HCVの患者の54〜56%に持続性ウイルス応答(SVR)を引き起こす。そのSVRは、2型および3型HCVについて80%に近づく。(Walker,上記)。残念ながら、組み合わせ療法は、臨床的挑戦を与える副作用も生じる。うつ病、インフルエンザ様症状および皮膚反応は、皮下IFN−αに関連し、そして溶血性貧血は、リバビリンでの持続性処置に関連している。
【0011】
抗HCV治療薬としての薬物開発に可能性がある多数の分子標的が、現在、識別されており、NS2−NS3オートプロテアーゼ、NS3プロテアーゼ、NS3ヘリカーゼおよびNS5Bポリメラーゼが含まれるが、これに制限されるわけではない。RNA依存性RNAポリメラーゼは、一本鎖ポジティブセンスRNAゲノムの複製に絶対不可欠である。この酵素は、医薬品化学者の間に有意の関心を引き出した。
【0012】
ヌクレオシド阻害剤は、鎖終結因子としてかまたは、ポリメラーゼへのヌクレオチド結合を妨げる競合阻害剤として作用することがありうる。鎖終結因子として機能するためには、ヌクレオシド類似体は、in vivoで細胞によって取り込まれる必要があるし、ポリメラーゼヌクレオチド結合部位において基質として競合するその三リン酸形へin vivoで変換される必要がある。三リン酸へのこの変換は、一般的には、いずれのヌクレオシドにも追加の構造限定を与える細胞キナーゼによって媒介される。更に、リン酸化のためのこの必要条件は、細胞に基づく検定へのHCV複製の阻害剤としてのヌクレオシドの直接的評価を制限する(J. A. Martin et al., 米国特許第6,846,810号; C. Pierra et al., J. Med. Chem. 2006 49(22):6614-6620; J. W. Tomassini et al., Antimicrob. Agents and Chemother. 2005 49(5):2050; J. L. Clark et al., J. Med. Chem. 2005 48(17):2005)。
【0013】
本発明の化合物およびそれらの異性体形およびそれらの薬学的に許容しうる塩は、更に、ウイルス感染、具体的には、C型肝炎感染および生体宿主における疾患を処置する場合に、互いの組み合わせで用いた時に、および他の生物活性剤であって、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉性RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、イムノモジュレーター、肝臓保護剤(hepatoprotectants)、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬および抗感染化合物から成る群が含まれるがこれに制限されるわけではないものとの組み合わせで用いた時に有用である。このような組み合わせ療法は、更に、本発明の化合物を、他の薬剤または増強剤であって、リバビリンおよび関連化合物、アマンタジンおよび関連化合物、いろいろなインターフェロンであって、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ等、更には、ペグ化インターフェロンなどの別の形のインターフェロンなどのものなどと同時にかまたは逐次的に与えることを含んでよい。更に、リバビリンおよびインターフェロンの組み合わせは、本発明の少なくとも一つの化合物との追加の組み合わせ療法として投与することができる。
【0014】
現在開発中の他のインターフェロンには、アルブインターフェロン(albinterferon)−α−2b(Albuferon)、DUROSを含むIFN−ω、LOCTERONTMおよびインターフェロン−α−2bXLが含まれる。これらおよび他のインターフェロンは、市場に届いているので、本発明の化合物との組み合わせ療法でのそれらの使用が期待される。
【0015】
HCVポリメラーゼ阻害剤は、薬物発見のための別の標的であり、開発中の化合物には、R−1626、R−7128、IDX184/IDX102、PF−868554(Pfizer)、VCH−759(ViroChem)、GS−9190(Gilead)、A−837093およびA−848837(Abbot)、MK−3281(Merck)、GSK949614およびGSK625433(Glaxo)、ANA598(Anadys)、VBY708(ViroBay)が含まれる。
【0016】
HCV NS3プロテアーゼの阻害剤は、更に、HCVの処置に潜在的に有用であると識別された。臨床試験中のプロテアーゼ阻害剤には、VX−950(Telaprevir, Vertex)、SCH503034(Broceprevir, Schering)、TMC435350(Tibotec/Medivir)およびITMN−191(Intermune)が含まれる。開発の初期段階にある他のプロテアーゼ阻害剤には、MK7009(Merck)、BMS−790052(Bristol Myers Squibb)、VBY−376(Virobay)、IDXSCA/IDXSCB(Idenix)、BI12202(Boehringer)、VX−500(Vertex)、PHX1766 Phenomix)が含まれる。
【0017】
研究中の抗HCV療法のための他の標的には、NS5bへのRNA結合を阻害するシクロフィリン阻害剤;ニタゾキサニド(nitazoxanide);Celgosivir(Migenix);α−グルコシダーゼ−1の阻害剤;カスパーゼ阻害剤;Toll 様受容体アゴニスト;および Zadaxin(SciClone)などの免疫刺激剤が含まれる。
【0018】
現在のところ、C型肝炎(Hepatitis C)ウイルス(HCV)感染を処置するための予防的処置も、一般的に有効な療法も存在しない。HCVに対してのみ存在する現在承認されている療法は、限られた有効性を有し、重篤な副作用に関連している。したがって、あまり毒性でない新しいより有効な療法の設計および開発が不可欠である。
【0019】
本発明は、式I
【0020】
【化1】

【0021】
{式中、Rは、CH=CHAr、C≡CAr、[C(RArまたはナフチルであり、ここにおいて、このナフチルは、[C(R0−3NRで置換されていてよく;
Arは、フェニル、ピリジニルまたはピリダジニルであり、ここにおいて、このArは、
(a)[C(R0−3NR
(b)C1−10ヒドロキシアルキルであって、1個または2個の炭素原子が、酸素で置き換えられていることもありうるもの、但し、その置換は、過酸化物を形成しないという条件付きであるもの、
(c)C1−3アルコキシ−C1−6アルキル、
(d)カルボキシル、
(e)X[C(R1−6CO(式中、Xは、O、NRまたは結合であり、そしてRは、水素またはC1−6アルキルである)、
(f)C1−6アルコキシカルボニル、
(g)ハロゲン、
(h)[C(R0−3CN、
(i)C1−6アルキル、および
(j)C1−6ハロアルキル
から成る群より選択される1〜3個の置換基で独立して置換されていてよく;
は、水素、C1−6アルコキシ、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は、A−1、A−2、A−3およびA−4
【0022】
【化2】

【0023】
から成る群より選択されるヘテロアリール基であって、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシで置換されていてよいヘテロアリールであり;
は、各々の存在において独立して、水素またはC1−3アルキルであり;
は、
(a)ハロゲン、
(b)C1−6アルキルであって、1個または2個の炭素原子が、酸素で置き換えられていることもありうるもの、但し、その置換は、過酸化物を形成しないという条件付きであるもの、
(c)C1−3ハロアルキル、
(d)C1−3アルコキシ、
(e)C2−6ヒドロキシアルキルであって、1個または2個の炭素原子が、酸素で置き換えられていることもありうるもの、但し、その置換は、過酸化物またはヘミアセタールを形成しないという条件付きであるもの;
(f)NR[C(R]−C2−6ヒドロキシアルキル;
(g)シアノ−C1−3アルキル、
(h)X[C(R1−6COH、
(i)[C(R1−6NR、および
(j)X−[C(R2−6NR(式中、Xは、OまたはNRである)
から成る群より選択され;
は、水素またはCHORであり、ここにおいて、Rは、バリン、プロリンまたはP(=O)(OH)であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
mは、0または1であり;
およびRは、(i)各々の存在において独立して、
(a)水素、
(b)C1−6アルキル、
(c)SO(式中、Rは、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキルまたは[C(R0−6NRである)、
(d)C1−3ハロアルキル、
(e)C1−6アシル、
(f)カルバモイル、
(g)C1−3アルキルカルバモイル、または
(h)C1−3ジアルキルカルバモイルであり、または
(ii)RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてよい環状アミンであり;
およびRは、独立して、水素またはC1−6アルキルであり、またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてよい環状アミンである}
を有する化合物に関する。
【0024】
本発明は、更に、式Iを有する化合物の薬学的に許容しうる塩に関する。
本発明は、更に、C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus)(HCV)ウイルス感染である疾患を処置する方法であって、それを必要としている患者に、治療的有効量の式Iによる化合物を投与することによる方法を提供する。その化合物は、単独で投与することができるしまたは他の抗ウイルス化合物またはイムノモジュレーターと共投与することができる。
【0025】
本発明は、更に、細胞中のHCVの複製を阻害する方法であって、HCVを阻害する有効量の式Iによる化合物を投与することによる方法を提供する。
本発明は、Hepatitis C Virus(HCV)感染による疾患の処置のための式Iの化合物の使用を提供する。それは、更に、Hepatitis C Virus 感染による疾患を処置する薬剤の製造のための式Iの化合物の使用を提供する。
【0026】
本発明は、更に、細胞中のHCVの複製を阻害するための式Iによる化合物の使用、並びに、細胞中のHCVの複製を阻害する薬剤の製造のための式Iによる化合物の使用を提供する。
【0027】
本発明は、更に、医薬組成物であって、式Iによる化合物および少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
本明細書中で用いられる「ある(aまたはan)」物質という句は、一つまたはそれを超えるその物質を意味し、例えば、ある化合物は、一つまたはそれを超える化合物または少なくとも一つの化合物を意味する。「ある」、「一つまたはそれを超える」および「少なくとも一つの」という用語は、それ自体で、本明細書中において同じ意味に用いることができる。
【0028】
「本明細書中の上に定義の」という句は、各々の基について、発明の要旨および最も広い請求の範囲に与えられるような最も広い定義を意味する。下に与えられる全ての他の態様において、各々の態様に存在しうる置換基および明確に定義されていない置換基は、発明の要旨に与えられる最も広い定義を有する。
【0029】
本明細書中で用いられるように、連結句中であれ、請求の範囲の主文中であれ、「含む」および「含むこと」という用語は、はっきりした制限のない意味を有すると解釈されるべきである。すなわち、それら用語は、「少なくとも有すること」または「少なくとも包含すること」という句と同義に解釈されるべきである。方法の文脈中で用いられる場合、「含むこと」という用語は、その方法が、挙げられている工程を少なくとも包含するが、追加の工程を包含してよいということを意味する。化合物または組成物の文脈中で用いられる場合、「含むこと」という用語は、その化合物または組成物が、挙げられている特徴または成分を少なくとも包含するが、追加の特徴または成分を包含してもよいということを意味する。
【0030】
「独立して」という用語は、本明細書中において、可変部分が、同じ化合物内のその同じまたは異なった定義を有する可変部分の存在または不存在にかかわりなく、いずれか一つの場合に適用されるということを示すのに用いられる。したがって、R”が二回現れ且つ「独立して、炭素または窒素」として定義される化合物において、双方のR”は、炭素でありうる、双方のR”は、窒素でありうる、または一方のR”は、炭素でありうるし、そして他方は窒素でありうる。
【0031】
いずれかの可変部分(例えば、R、R4a、Ar、XまたはHet)が、本発明に用いられるまたは請求の範囲に記載される化合物を示している且つ記載しているいずれかの残基または式中に2回以上存在する場合、各々の存在でのその定義は、他のすべての存在でのその定義とは無関係である。更に、置換基および/または可変部分の組み合わせは、このような化合物が安定な化合物を生じる場合にのみ許される。
【0032】
結合の最後にある「*」または各々の結合中に描かれる「
【0033】
【化3】

【0034】
」という記号は、官能基または他の化学残基の、それが一部分である分子の残り部分への結合点を意味する。したがって、例えば、MeC(=O)OR、ここにおいて、
【0035】
【化4】

【0036】
である。
環系中に描かれた結合は(異なった交点での連結状態とは反対に)、その結合が、いずれかの適する環原子に結合していてよいということを示している。
【0037】
本明細書中で用いられる「任意の」または「場合により」という用語は、続いて記載されるイベントまたは状況が、存在してよいが、存在する必要はないということ、およびその説明が、そのイベントまたは状況が存在する場合およびそれが存在しない場合を包含するということを意味する。例えば、「置換されていてよい」は、置換されていてよい残基が、水素または置換基を包含してよいということを意味する。
【0038】
「約(about)」という用語は、本明細書中において、およそ(approximately)、ほぼ(in the region of)、大まかに(roughly)または近く(around)を意味するのに用いられる。「約」という用語を、数値範囲と一緒にして用いる場合、それは、示されている数値より上および下に境界を拡張することでその範囲を修飾する。概して、「約」という用語は、本明細書中において、ある数値を、指定値より上および下に20%の分散で修飾するのに用いられる。
【0039】
本明細書中で用いられるように、変数の数値範囲の詳説は、その範囲内のいずれかの値に等しい変数で本発明を実施することができるということを意味するものである。したがって、本質的に不連続である変数について、その変数は、その範囲の終点を含めた数値範囲のいずれかの整数値に等しいことがありうる。同様に、本質的に連続している変数について、その変数は、その範囲の終点を含めた数値範囲のいずれかの実数値に等しいことがありうる。例として、0〜2の値を有すると記載されている変数は、本質的に不連続である変数について、0、1または2でありうるし、そして本質的に連続している変数について、0.0、0.1、0.01、0.001またはいずれか他の実数値でありうる。
【0040】
式Iの化合物は、互変異性を示す。互変異性体化合物は、二つまたはそれを超える相互変換可能な種として存在しうる。プロトン放出性互変異性体は、二つの原子間での共有結合した水素原子の転位によって生じる。互変異性体は、概して、平衡状態で存在するので、個々の互変異性体を単離する試みは、通常は、混合物を生じ、その化学的および物理的性質は、化合物の混合物と一致する。平衡点は、その分子内の化学的特徴に依存する。例えば、アセトアルデヒドなどの多くの脂肪族アルデヒドおよびケトンの場合、ケト形が優先的に存在するが;フェノールの場合、エノール形が優先的に存在する。一般的なプロトン放出性互変異性体には、ケト/エノール(−C(=O)−CH− ←→ −C(−OH)=CH−)、アミド/イミド酸(−C(=O)−NH− ←→ −C(−OH)=N−)およびアミジン(−C(=NR)−NH− ←→ −C(−NHR)=N−)互変異性体が含まれる。後者の二つは、特に、ヘテロアリールおよび複素環式環において一般的であり、本発明は、全ての互変異性体形の化合物を包含する。
【0041】
式Iの化合物は、塩基性中心を含有してよく、適する酸付加塩は、無毒性塩を形成する酸から形成される。無機酸の塩の例には、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩が含まれる。有機酸の塩の例には、酢酸塩、フマル酸塩、パモ酸塩、アスパラギン酸塩、ベシレイト、炭酸塩、重炭酸塩、カムシレート、DおよびL−乳酸塩、DおよびL−酒石酸塩、エシレイト、メシレート、マロン酸塩、オロチン酸塩、グルセプテート、メチル硫酸塩、ステアリン酸塩、グルクロン酸塩、2−ナプシレート、トシレート、ヒベンゼート(hibenzate)、ニコチン酸塩、イセチオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、コハク酸塩、サッカラート、安息香酸塩、エシレイトおよびパモ酸塩が含まれる。適する塩の概説については、Berge et al, J. Pharm. Sci., 1977 66:1-19 および G. S. Paulekuhn et al. J. Med. Chem. 2007 50:6665 を参照されたい。
【0042】
本明細書中で用いられる専門用語および科学用語は、特に断らない限り、本発明が関する当業者によって一般的に理解される意味を有する。本明細書中において、当業者に知られているいろいろな方法および材料を論及する。薬理学の一般的な原理を記載している標準的な参考書には、Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 10th Ed., McGraw Hill Companies Inc., New York (2001) が含まれる。これら化合物を製造する場合に用いられる出発物質および試薬は、概して、Aldrich Chemical Co. などの商業供給者から入手可能であるかまたは、当業者に知られている方法により、参考文献に記載の手順にしたがって製造される。以下の説明および実施例において論及される材料、試薬等は、特に断らない限り、商業源から入手可能である。一般的な合成手順は、Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis; Wiley & Sons: New York, Volumes 1-21; R. C. LaRock, Comprehensive Organic Transformations, 2nd edition Wiley-VCH, New York 1999; Comprehensive Organic Synthesis, B. Trost and I. Fleming (Eds.) vol. 1-9 Pergamon, Oxford, 1991; Comprehensive Heterocyclic Chemistry, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1984, vol. 1-9; Comprehensive Heterocyclic Chemistry II, A. R. Katritzky and C. W. Rees (Eds) Pergamon, Oxford 1996, vol. 1-11; および Organic Reactions, Wiley & Sons: New York, 1991, Volumes 1-40 などの専門書に記載されており、当業者に公知であろう。
【0043】
「アイソトポログ(isotopologue)」という用語は、その同位体組成だけが異なる種を区別するのに用いられてきた(IUPAC Compendium of Chemical Terminology 2nd Edition 1997)。アイソトポログは、一つまたはそれを超える位置での同位体濃縮レベルおよび/または一つまたは複数の同位体濃縮位置が異なることがありうる。
【0044】
自然同位体存在比からの変動は、合成化合物において、合成に用いられる化学前駆体源に依存して起こりうるし、合成中に同位体交換を形成することがありうる。したがって、重水素化部位として示された部位に存在する各々の重水素の同位体濃縮係数は、他の部位での重水素化とは無関係であり、それら示された部位以外での重水素含有量の若干の変動が起こるかもしれないが、これら変動は、請求の範囲に記載の化合物の範囲内であるアイソトポログの形成を引き起こすことがありうる。重水素または「D」として示されていない部位での重水素濃縮係数は、49.5%未満、典型的には、有意に49.5%未満であろう。
【0045】
重水素の自然存在比は、0.015%であるので、天然に認められる重水素レベルからのこれら変動は、それら化合物について認められる生物学的性質への実質的影響を有することはないであろう。
【0046】
特に断らない限り、ある位置が、明らかにまたは暗黙に、「H」または「水素」として示されている場合、同位体比は、ある程度偶然の変動が合成過程から生じることがありうるという条件で、その自然存在比同位体組成で水素を有すると考えられる。
【0047】
本明細書中で用いられる「同位体濃縮係数」という用語は、本発明の化合物中の特定の位置のDの同位体存在比と、その同位体の天然に存在する存在比との間の比率を意味する。本発明の一つの態様において、tert−ブチル残基の同位体濃縮係数が、少なくとも3300(49.5%)である式Iによる化合物を提供する。いずれの不明確さも免れるために、tert−ブチルの同位体濃縮係数は、3個のメチル基の集合体を意味し、それらメチル基は、独立して評価されることはない。
【0048】
他の態様において、式Iによる化合物であって、化合物上の可能性のある重水素化部位として示された部位に存在する各々の重水素について、少なくとも4000(60%重水素包含)、少なくとも4500(67.5%重水素包含)、少なくとも5000(75%重水素)、少なくとも5500(82.5%重水素包含)、少なくとも6000(90%重水素包含)、少なくとも6333.3(95%重水素包含)、少なくとも6466.7(97%重水素包含)、少なくとも6600(99%重水素包含)または少なくとも6633.3(99.5%重水素包含)の同位体濃縮係数を有する化合物を提供する。
【0049】
HCVポリメラーゼを阻害する式Iによる化合物は、本明細書中にそのまま援用される、2009年7月22日出願の米国出願第12/460,658号に開示された。疎水性 tert−ブチル置換基は、ポリメラーゼへの化合物の結合に寄与するが、それは、酸化的代謝の主要部位であることも分かった。代謝酸化は、薬物濃度対時間のプロット下の総面積(AUC)によって測定される体循環中の活性成分の濃度および最大濃度(Cmax)を減少させる。tert−ブチル置換基中の水素に代わる重水素の置換は、現在、CmaxおよびAUCを有意に増加させることが示された。
【0050】
本発明の一つの態様において、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に記載の通りである式Iによる化合物を提供する。
【0051】
本発明の第二の態様において、Rが、CH=CHArであり、そしてRが、A−1である式Iによる化合物を提供する。
本発明の第三の態様において、Rが、CH=CHArであり、Arが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして場合により、空位の一つに更に置換されているものであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素または水素であり、そしてRが、A−1である式Iによる化合物を提供する。
【0052】
本発明の第四の態様において、Rが、CH=CHArであり、Arが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして場合により、空位の一つに更に置換されているものであり、Rが、水素であり、Rが、SOであり、ここにおいて、Rは、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素であり、Rが、A−1であり、そしてRが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはハロゲンであり、そしてmが1である式Iによる化合物を提供する。
【0053】
本発明の第五の態様において、Rが、CH=CHArであり、Arが、5位にNRで置換された2−ピリジニルであるかまたは、6位にNRで置換された3−ピリジニルであり、Rが、水素であり、Rが、SOであり、Rが、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、そしてRが、A−1である式Iによる化合物を提供する。
【0054】
本発明の第六の態様において、Rが、ナフタレンであり、そしてRが、A−1である式Iによる化合物を提供する。
本発明の第七の態様において、Rが、6位にNRで置換された2−ナフタレンであり、ここにおいて、Rは、水素であり、Rは、SOであり、Rが、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素であり、そしてRが、A−1である式Iによる化合物を提供する。
【0055】
本発明の第八の態様において、Rが、CH=CHArであり、そしてRが、A−2である式Iによる化合物を提供する。
本発明の第九の態様において、Rが、CH=CHArであり、Arが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして場合により、空位の一つに更に置換されているものであり、Rが、水素であり、Rが、SOであり、ここにおいて、Rは、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、そしてRが、C1−6アルコキシまたは水素であり、そしてRが、A−2である式Iによる化合物を提供する。
【0056】
本発明の別の態様において、Rが、6位にNRで置換された2−ナフタレンであり、ここにおいて、Rは、水素であり、Rは、SOであり、Rが、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素であり、そしてRが、A−2である式Iによる化合物を提供する。
【0057】
本発明の第十の態様において、Rが、CH=CHArであり、Rが、A−3であり、そしてRが、水素である式Iによる化合物を提供する。
本発明の第十一の態様において、Rが、CH=CHArであり、Arが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして場合により、空位の一つに更に置換されているものであり、Rが、水素であり、Rが、SOであり、ここにおいて、Rは、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素であり、そしてRが、A−3である式Iによる化合物を提供する。
【0058】
本発明の別の態様において、Rが、6位にNRで置換された2−ナフタレンであり、ここにおいて、Rは、水素であり、Rは、SOであり、Rが、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素であり、Rが、A−3であり、そしてRが、水素である式Iによる化合物を提供する。
【0059】
本発明の第十二の態様において、Rが、CH=CHArであり、そしてRが、A−4である式Iによる化合物を提供する。
本発明の第十三の態様において、Rが、CH=CHArであり、Arが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして場合により、空位の一つに更に置換されているものであり、Rが、水素であり、Rが、SOであり、ここにおいて、Rは、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素であり、そしてRが、A−4である式Iによる化合物を提供する。
【0060】
本発明の別の態様において、Rが、6位にNRで置換された2−ナフタレンであり、ここにおいて、Rは、水素であり、Rは、SOであり、Rが、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素であり、Rが、A−4である式Iによる化合物を提供する。
【0061】
本発明の第十四の態様において、表Iの化合物I−1〜I−4より選択される式Iによる化合物を提供する。
本発明の第十五の態様において、表IIの化合物II−1〜II−8より選択される式Iによる化合物を提供する。
【0062】
本発明の第十六の態様において、HCV感染の処置を必要としている患者のHCV感染を処置する方法であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量を投与することを含む方法を提供する。
【0063】
本発明の第十七の態様において、HCV感染の処置を必要としている患者のHCV感染を処置する方法であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量と、少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬を共投与することを含む方法を提供する。
【0064】
本発明の第十八の態様において、HCVによる疾患の処置を必要としている患者のHCVによる疾患を処置する方法であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量と、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子またはコロニー刺激因子より選択される少なくとも一つの免疫系モジュレーターを共投与することを含む方法を提供する。
【0065】
本発明の第十九の態様において、HCV感染の処置を必要としている患者のHCV感染を処置する方法であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量と、インターフェロンまたは化学誘導体インターフェロンを共投与することを含む方法を提供する。
【0066】
本発明の第二十の態様において、HCV感染の処置を必要としている患者のHCV感染を処置する方法であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量と、HCVプロテアーゼ阻害剤、別のHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤およびHCV融合阻害剤から成る群より選択される別の抗ウイルス化合物を共投与することを含む方法を提供する。
【0067】
本発明の第二十一の態様において、細胞中のウイルス複製を阻害する方法であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の治療的有効量を、少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と混合した状態で送達することによる方法を提供する。
【0068】
本発明の第二十二の態様において、組成物であって、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物を、少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と一緒に含む組成物を提供する。
【0069】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染の処置のためのまたはこのHCV感染を処置する薬剤の製造のための、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物の使用を提供する。
【0070】
本発明のもう一つの態様において、HCV感染を処置するためのまたはこのHCV感染を処置する薬剤の製造のための、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物と、少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬の使用を提供する。
【0071】
本発明のもう一つの態様において、HCVによる疾患を処置するための、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、X、X、Arおよびmが、本明細書中の上に定義の通りである式Iによる化合物と、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子またはコロニー刺激因子より選択される少なくとも一つの免疫系モジュレーターとの、これら化合物の共投与による使用を提供する。
【0072】
本明細書中で用いられる「アルキル」という用語は、単独でも他の基との組み合わせでも更に制限されることなく、1〜10個の炭素原子を含有する未分枝のまたは分枝状鎖の飽和一価炭化水素残基を示す。「低級アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する直鎖または分枝状鎖炭化水素残基を示す。本明細書中で用いられる「C1−6アルキル」は、1〜6個の炭素から構成されるアルキルを意味する。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、iert−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、ヘキシルおよびオクチルが含まれる低級アルキル基が含まれるが、これに制限されるわけではない。炭素水素結合はいずれも、本発明の範囲から逸脱して、炭素重水素結合で置き換えることができる。
【0073】
本明細書中に記載の定義は、「ヘテロアルキルアリール」、「ハロアルキルヘテロアリール」、「アリールアルキルヘテロシクリル」、「アルキルカルボニル」、「アルコキシアルキル」等などの化学的に関係のある組み合わせを形成するように加えられてよい。「アルキル」という用語を、「フェニルアルキル」または「ヒドロキシアルキル」の場合のように、別の用語の後に接尾辞として用いる場合、これは、他の具体的に挙げられた基より選択される1〜2個の置換基で置換されている上に定義のアルキル基を意味するものである。したがって、例えば、「フェニルアルキル」は、1〜2個のフェニル置換基を有するアルキル基を意味し、したがって、それには、ベンジル、フェニルエチルおよびビフェニルが含まれる。「アルキルアミノアルキル」は、1〜2個のアルキルアミノ置換基を有するアルキル基である。「ヒドロキシアルキル」には、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、1−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピル、2−ヒドロキシブチル、2,3−ジヒドロキシブチル、2−(ヒドロキシメチル)、3−ヒドロキシプロピル等が含まれる。したがって、本明細書中で用いられるように、「ヒドロキシアルキル」という用語は、下に定義のヘテロアルキル基サブセットを定義するのに用いられる。(ar)アルキルという用語は、未置換のアルキル基かまたはアラルキル基を意味する。(ヘテロ)アリールまたは(ヘテロ)アリールという用語は、アリール基かまたはヘテロアリール基を意味する。
【0074】
本明細書中で用いられる「アルキレン」という用語は、特に断らない限り、1〜10個の炭素原子を有する二価飽和直鎖炭化水素基(例えば、(CH)、または2〜10個の炭素原子を有する分枝状飽和二価炭化水素基(例えば、−CHMe−または−CHCH(i−Pr)CH−)を示す。C0−4アルキレンは、1〜4個の炭素原子を含む直鎖または分枝状飽和二価炭化水素基を意味し、またはCの場合、そのアルキレン基は省かれている。メチレンの場合を除いて、アルキレン基の空き原子価は、同じ原子に付いていない。アルキレン基の例には、メチレン、エチレン、プロピレン、2−メチルプロピレン、1,1−ジメチルエチレン、ブチレン、2−エチルブチレンが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0075】
本明細書中で用いられる「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を含有する飽和炭素環式環、すなわち、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルを示す。本明細書中で用いられる「C3−7シクロアルキル」は、炭素環式環中に3〜7個の炭素から構成されるシクロアルキルを意味する。
【0076】
本明細書中で用いられる「シクロアルキルアルキル」という用語は、シクロアルキルアルキル残基の結合点はアルキレン基上であろうと理解して、基R’R”−[式中、R’は、本明細書中に定義のシクロアルキル基であり、そしてR”は、本明細書中に定義のアルキレン基である]を意味する。シクロアルキルアルキル基の例には、シクロプロピルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロペンチルエチルが含まれるが、これに制限されるわけではない。C3−7シクロアルキル−C1−3アルキルは、基R’R”[式中、R’は、C3−7シクロアルキルであり、そしてR”は、本明細書中に定義のC1−3アルキレンである]を意味する。
【0077】
本明細書中で用いられる「アルコキシ」という用語は、−O−アルキル基を意味し、ここにおいて、アルキルは、上に定義の通りであり、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、それらの異性体を含めたものである。本明細書中で用いられる「低級アルコキシ」は、前に定義の「低級アルキル」基を含むアルコキシ基を示す。本明細書中で用いられる「C1−10アルコキシ」は、アルキルがC1−10である−O−アルキルを意味する。
【0078】
本明細書中で用いられる「ハロアルキル」という用語は、上に定義の未分枝のまたは分枝状鎖アルキル基であって、1個、2個、3個またはそれを超える水素原子が、ハロゲンで置換されているものを示す。例は、1−フルオロメチル、1−クロロメチル、1−ブロモメチル、1−ヨードメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、1−フルオロエチル、1−クロロエチル、1,2−フルオロエチル、2−クロロエチル、2−ブロモエチル、2,2−ジクロロエチル、3−ブロモプロピルまたは2,2,2−トリフルオロエチルである。本明細書中で用いられる「フルオロアルキル」という用語は、フッ素がハロゲンであるハロアルキル残基を意味する。
【0079】
本明細書中で用いられる「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
本明細書中で用いられる「ヒドロキシアルキル」および「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書中に定義のアルキル基であって、それぞれ、異なった炭素原子上の1〜3個の水素原子が、ヒドロキシル基またはアルコキシ基で置き換えられているものを示す。C1−3アルコキシ−C1−6アルキル残基は、1〜3個の水素原子が、C1−3アルコキシで置き換えられていて且つそのアルコキシの結合点が、酸素原子であるC1−6アルキル置換基を意味する。
【0080】
本明細書中で用いられる「アルコキシカルボニル」および「アリールオキシカルボニル」という用語は、式−C(=O)ORを有する基を示し、ここにおいて、Rは、それぞれ、アルキルまたはアリールであり、そしてアルキルおよびアリールは、本明細書中に定義の通りである。
【0081】
本明細書中で用いられる「カルバモイル」という用語は、−CONH基を意味する。「N−アルキルカルバモイル」および「N,N−ジアルキルカルバモイル」という接頭辞は、それぞれ、CONHR’基またはCONR’R”基を意味し、ここにおいて、R’基およびR”基は、独立して、本明細書中に定義のアルキルである。「N−アリールカルバモイル」という接頭辞は、CONHR’基を示し、ここにおいて、R’は、本明細書中に定義のアリール基である。
【0082】
本明細書中で用いられる「アルキルスルホニルアミド」および「アリールスルホニルアミド」という用語は、式−NR’S(=O)Rを有する基を示し、ここにおいて、Rは、それぞれ、アルキルまたはアリールであり、R’は、水素またはC1−3アルキルであり、そしてアルキルおよびアリールは、本明細書中に定義の通りである。
【0083】
本明細書中で用いられる「アシル」(または「アルカノイル」)という用語は、式−C(=O)R(式中、Rは、水素または本明細書中に定義の低級アルキルである)を有する基を示す。本明細書中で用いられる「アルキルカルボニル」という用語は、式C(=O)R(式中、Rは、本明細書中に定義のアルキルである)を有する基を示す。C1−6アシルまたは「アルカノイル」という用語は、1〜6個の炭素原子を含有する−C(=O)R基を意味する。Cアシル基は、R=Hであるホルミル基であり、そしてC6アシル基は、アルキル鎖が未分枝である場合のヘキサノイルを意味する。本明細書中で用いられる「アリールカルボニル」または「アロイル」という用語は、式C(=O)R(式中、Rは、アリール基である)を有する基を意味する;本明細書中で用いられる「ベンゾイル」という用語は、Rがフェニルである「アリールカルボニル」基または「アロイル」基である。
【0084】
本明細書中で用いられる「環状アミン」という用語は、上に定義の3〜6個の炭素原子を含有する飽和炭素環であって、それら炭素原子の少なくとも一つが、N、OおよびSから成る群より選択されるヘテロ原子で置き換えられているもの、例えば、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ジオキソチオモルホリン、ピロリジン、ピラゾリン、イミダゾリジン、アゼチジンであって、それら環状の炭素原子が、ハロゲン、ヒドロキシ、フェニル、低級アルキル、低級アルコキシから成る群より選択される1個またはそれを超える置換基で置換されていてよい、または炭素上の2水素原子が、双方ともオキソ(=O)で置き換えられているものを意味する。環状アミンがピペラジンである場合、一方の窒素原子は、C1−6アルキル、C1−6アシル、C1−6アルキルスルホニルで置換されていてもよい。
【0085】
本発明の化合物およびそれらの異性体形およびそれらの薬学的に許容しうるは、更に、ウイルス感染、具体的には、C型肝炎感染および生体宿主における疾患を処置する場合に、互いの組み合わせで用いた時に、および他の生物活性剤であって、インターフェロン、ペグ化インターフェロン、リバビリン、プロテアーゼ阻害剤、ポリメラーゼ阻害剤、低分子干渉性RNA化合物、アンチセンス化合物、ヌクレオチド類似体、ヌクレオシド類似体、免疫グロブリン、イムノモジュレーター、肝臓保護剤、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬および抗感染化合物から成る群が含まれるがこれに制限されるわけではないものとの組み合わせで用いた時に有用である。このような組み合わせ療法は、更に、本発明の化合物を、他の薬剤または増強剤であって、リバビリンおよび関連化合物、アマンタジンおよび関連化合物、いろいろなインターフェロンであって、例えば、インターフェロンα、インターフェロンβ、インターフェロンγ等、更には、ペグ化インターフェロンなどの別の形のインターフェロンなどのものなどと同時にかまたは逐次的に与えることを含んでよい。更に、リバビリンおよびインターフェロンの組み合わせは、本発明の少なくとも一つの化合物との追加の組み合わせ療法として投与することができる。
【0086】
一つの態様において、式Iによる本発明の化合物は、他の活性な治療的成分または治療薬との組み合わせで用いられて、HCVウイルス感染を有する患者を処置する。本発明により、本発明の化合物との組み合わせで用いられる活性な治療的成分は、本発明の化合物との組み合わせで用いられた時に治療的作用を有するいずれかの物質でありうる。例えば、本発明の化合物との組み合わせで用いられる活性剤は、インターフェロン、リバビリン類似体、HCV NS3プロテアーゼ阻害剤、HCVポリメラーゼのヌクレオシド阻害剤、HCVポリメラーゼの非ヌクレオシド阻害剤、およびHCVを処置する他の薬物、またはそれらの混合物でありうる。
【0087】
ヌクレオシドNS5bポリメラーゼ阻害剤の例には、NM−283、バロピシタビン(valopicitabine)、R1626、PSI−6130(R1656)、IDX184およびIDX102(Idenix)BILB1941が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0088】
非ヌクレオシドNS5bポリメラーゼ阻害剤の例には、HCV−796(ViroPharma and Wyeth)、MK−0608、MK−3281(Merck)、NM−107、R7128(R4048)、VCH−759、GSK625433およびGSK625433(Glaxo)、PF−868554(Pfizer)、GS−9190(Gilead)、A−837093およびA848837(Abbot Laboratories)、ANA598(Anadys Pharmaceuticals);GL100597(GNLB/NVS)、VBY708(ViroBay)、ベンゾイミダゾール誘導体(H. Hashimoto et al. WO01/47833号、H. Hashimoto et al. WO03/000254号、P. L. Beaulieu et al. WO03/020240A2号;P. L. Beaulieu et al. US6,448,281B1号;P. L. Beaulieu et al. WO03/007945A1号)、ベンゾ−1,2,4−チアジアジン誘導体(D. Dhanak et al. WO01/85172A1号、5/10/2001年出願;D. Chai et al., WO2002098424号、6/7/2002年出願;D. Dhanak et al. WO03/037262A2号、10/28/2002年出願;K. J. Duffy et al. WO03/099801A1号、5/23/2003年出願;M. G. Darcy et al. WO2003059356号、10/28/2002年出願;D.Chai et al. WO2004052312号、6/24/2004年出願;D.Chai et al. WO2004052313号、12/13/2003年出願;D. M. Fitch et al., WO2004058150号、12/11/2003年出願;D. K. Hutchinson et al. WO2005019191号、8/19/2004年出願;J. K. Pratt et al. WO2004/041818A1号、10/31/2003年出願)、1,1−ジオキソ−4H−ベンゾ[1,4]チアジン−3−イル誘導体(J. F. Blake et al. 米国特許公開US20060252785号)および1,1−ジオキソベンゾ[d]イソチアゾール−3−イル化合物(J. F. Blake et al. 米国特許公開第2006040927号)が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0089】
HCV NS3プロテアーゼ阻害剤の例には、SCH−503034(Schering,SCH−7)、VX−950(テラプレビル(telaprevir),Vertex)、BILN−2065(Boehringer-Ingelheim)、BMS−605339(Bristol Myers Squibb)およびITMN−191(Intermune)が含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0090】
インターフェロンの例には、ペグ化rIFN−α2b、ペグ化rIFN−α2a、rIFN−α2b、rIFN−α2a、共通IFNα(インフェルゲン(infergen))、フェロン(feron)、レアフェロン(reaferon)、インターマクス(intermax)α、r−IFN−β、インフェルゲンおよびアクチムン(actimmune)、DUROSを含むIFN−ω、アルブフェロン(albuferon)、ロクテロン(locteron)、Albuferon、Rebif、経口インターフェロンα、IFNα−2bXL、AVI−005、PEG−Infergen およびペグ化IFN−βが含まれるが、これに制限されるわけではない。
【0091】
リバビリン類似体およびリバビリンプロドラッグであるビラミジン(viramidine)(タリバビリン(taribavirin))は、HCVを制御するインターフェロンと一緒に投与されてきた。
【0092】
一般的に用いられる略語には、アセチル(Ac)、水性(aq.)、気圧(Atm)、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル(BINAP)、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ピロ炭酸ジ−tert−ブチルまたはboc無水物(BOCO)、ベンジル(Bn)、ブチル(Bu)、Chemical Abstracts Registration Number(CASRN)、ベンジルオキシカルボニル(CBZまたはZ)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1,2−ジクロロエタン(DCE)、ジクロロメタン(DCM)、アゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBALまたはDIBAL−H)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、4−N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチル(Et)、エタノール(EtOH)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)エタン(dppe)、1,1’−ビス−(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppf)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDCI)、酢酸エチル(EtOAc)、2−エトキシ−2H−キノリン−1−カルボン酸エチルエステル(EEDQ)、ジエチルエーテル(EtO)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート酢酸(HATU)、酢酸(HOAc)、1−N−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、イソプロパノール(IPA)、メタノール(MeOH)、融点(mp)、MeSO−(メシルまたはMs)、メチル(Me)、アセトニトリル(MeCN)、m−クロロ過安息香酸(MCPBA)、質量スペクトル(ms)、メチル tert−ブチルエーテル(MTBE)、N−メチルモルホリン(NMM)、N−メチルピロリドン(NMP)、フェニル(Ph)、プロピル(Pr)、イソプロピル(i−Pr)、ポンド/平方インチ(psi)、ピリジン(pyr)、室温(rtまたはRT)、satd.(飽和)、tert−ブチルジメチルシリルまたはt−BuMeSi(TBDMS)、トリエチルアミン(TEAまたはEtN)、トリフラートまたはCFSO−(Tf)、トリフルオロ酢酸(TFA)、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、トリメチルシリルまたはMeSi(TMS)、p−トルエンスルホン酸一水和物(TsOHまたはpTsOH)、4−Me−CSO−またはトシル(Ts)、N−ウレタン−N−カルボキシ無水物(UNCA)が含まれる。ノルマル(n−)、イソ(i−)、第二級(sec−)、第三級(tert−)およびneo−という接頭辞を含めた慣用的な命名法は、アルキル残基と一緒に用いられた場合、それらの慣例の意味を有する。(J. Rigaudy and D. P. Klesney, Nomenclature in Organic Chemistry, IUPAC 1979 Pergamon Press, Oxford.)。
【0093】
化合物および製造
本発明によって包含される且つ本発明の範囲内の代表的な化合物の例を、以下の表に与える。以下のこれら実施例および製造例は、当業者が、本発明をより明確に理解し且つ実施することを可能にするために与えられる。それらは、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではなく、単に、本発明を詳しく説明し且つ代表するものとして解釈されるべきである。
【0094】
概して、本出願に用いられる命名法は、IUPAC系統命名法の作成用のBeilstein Instituteコンピューター化システムであるAUTONOMTMv.4.0に基づいている。描かれている構造と、その構造に与えられている名称との間に不一致が存在する場合、描かれている構造を、より重要と考えるべきである。更に、構造または構造の一部分の立体化学が、例えば、肉太線または破線で示されていない場合、その構造または構造の一部は、その立体異性体をすべて包含すると解釈されるべきである。
【0095】
【表1】

【0096】
4−ブロモ−2−[1,1−ジ(メチル−d)エチル−2,2,2−d]−フェノールは、不安定なOHプロトンを重水素で交換後、2−(メチル−d)−2−プロパン−1,1,1,3,3,3−d−オール−d(CASRN53001−22−2)でのA−1の Friedel-Crafts アルキル化(工程1)によって(CDC残基を導入することにより製造した。得られたフェノールを、パラホルムアルデヒドでカルボニル化し(工程2)、そしてヨードメタンでO−メチル化して(工程3)、A−3を与える。当業者は、A−2aの臭素化が、4,6−ジブロモ−2−[1,1−ジ(メチル−d)エチル−2,2,2−d]−フェノールを与え、それが、更に、O−メチル化後、臭素化した炭素において逐次的なパラジウムで触媒されるカップリングを受けやすい有用な合成中間体として役立って、本発明の範囲内の化合物を与えることもできるということを理解するであろう。(例えば、本明細書中にそのまま援用される、2009年7月22出願の米国出願第12/460,658号を参照されたい)。
【0097】
【化5】

【0098】
3−[3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−((E)−スチリル)−フェニル]−1H−ピリジン−2−オン誘導体(例えば、D−8)は、A−3から、ベンジルトリフェニル−λ−ホスファン、またはジエチルベンジルホスホネートまたはその置換類似体の共役塩基でのWittigホモロゲーションを利用して製造する(工程4)。
【0099】
Wittig反応は、アルデヒドまたはケトンと、トリフェニルホスホニウムイリドとの反応であって、アルケンおよびトリフェニルホスフィンオキシドを与える。(A. Maercker, Org. React. 1965, 14, 270-490; A. W. Carruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, Cambridge University Press, Cambridge, UK, 1971, pp 81-90)。Wittig反応は、アルデヒドまたはケトンを、単一置換ホスフィンイリドへ縮合するのに最も一般的に用いられる。Wittig試薬は、通常は、ホスホニウム塩から製造するが、それは、順次、アルキルハライドでのPhPのアルキル化によって製造する。Wittig試薬(イリド)を形成するには、ホスホニウム塩を、EtOまたはTHFなどの溶媒中に懸濁させ、そしてフェニルリチウムまたはn−ブチルリチウムなどの強塩基を加える。単純なイリドでは、その生成物は、通常は、主にZ異性体であるが、より少ない量のE異性体も、しばしば形成される。これは、ケトンを用いる場合、特に当てはまる。反応を、DMF中においてLiIまたはNaIの存在下で行う場合、その生成物は、ほとんど独占的にZ異性体である。E異性体が所望の生成物である場合、Schlosser修飾を用いてよい。或いは、Horner-Wadsworth-Emmons 反応(B. E. Maryanoff and A. B. Reitz, Chem Rev. 1989 89:863-927)は、優先的にE−アルケンを生じる。Horner-Wadsworth-Emmons反応(HWE反応)は、安定化したホスホネートカルボアニオンとアルデヒド(またはケトン)との縮合である。必要なジアルキルホスホネートは、ベンジルハライドおよび亜リン酸トリアルキルを反応させることによって製造する。Wittig反応に用いられるホスホニウムイリドとは対照的に、ホスホネートで安定化したカルボアニオンは、より求核性で且つより塩基性である。
【0100】
が、置換されていてよいアミノフェニルエチル残基である本発明によって包含される化合物は、ニトロベンジルホスホネートから製造することができる。したがって、A−3および(4−ニトロベンジル)−ホスホン酸ジエチルの縮合および引き続きのニトロ置換基の還元(工程5)は、アミンA−4bを与える。適する還元剤には、反応不活性溶媒、例えば、MeOH、EtOH、ジグリム、ベンゼン、トルエン、キシレン、o−ジクロロベンゼン、DCM、DCE、THF、ジオキサンまたはその混合物中の、例えば、LiAlH、LiBH、Fe、SnまたはZnが含まれる。所望ならば、還元剤がFe、SnまたはZnである場合、その反応は、水の存在下の酸性条件下で行う。触媒水素化は、スチレンおよびニトロ置換基の同時還元を可能にする。或いは、置換されていてよいベンジルトリフェニル−λ−ホスファンは、A−3と縮合し、そして同様に、置換されていてよいフェニルエチル残基へ変換することができる。得られたアミンのスルホニル化またはアシル化は、所望ならば、そのアミンを、典型的には、第三級アミン塩基の存在下において活性カルボン酸またはスルホニルハライドで処理して、反応中に遊離したHClを除去することによって行う。
【0101】
1H−ピリジン−2−オン残基は、2−アルコキシピリジン−3−イルボロン酸、2−ベンジルオキシピリジン−3−イルボロン酸またはボロン酸エステルおよび臭化アリールA−4cのパラジウムで触媒されるSuzukiカップリングによって導入した(工程7)。引き続きのエーテル結合の開裂(工程8)は、所望のピリドンを与える。ピリジン環上の追加の置換を伴わない2−アルコキシピリジン−3−イルボロン酸も、利用可能である。当業者は、好都合な場合に用いることができるカップリングプロトコールが存在することを理解するであろう。例えば、カップリングは、B−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−3−ピリジニル)ボロン酸(CASRN951655−49−5)で行うことができる。更に、カップリングは、ボロン酸またはその均等物をA−4c中に導入し、そしてハロ置換ヘテロアリール化合物とのカップリングを行うことによって達成することもできる。最適経路は、しばしば、必要な出発物質の利用可能性によって決定する。
【0102】
そのSuzuki反応は、ボロン酸と、アリールまたはビニルハライドまたはトリフラートとのパラジウムで触媒されるカップリングである。典型的な触媒には、Pd(PPh、PdCl(dppf)、Pd(OAc)およびPdCl(PPhが含まれる。PdCl(dppf)について、第一級アルキルボラン化合物は、β脱離を伴うことなく、アリールまたはビニルハライドまたはトリフラートへカップリングすることができる。その反応は、トルエン、THF、ジオキサン、DCE、DMF、DMSOおよびMeCNを含めたいろいろな有機溶媒、水性溶媒中においておよび二相条件下で行うことができる。反応は、典型的に、約RT〜約150℃で行う。添加剤(例えば、CsF、KF、TlOH、NaOEtおよびKOH)は、しばしば、カップリングを促進する。Suzuki 反応には、特定のパラジウム触媒、リガンド、添加剤、溶媒、温度などの極めて多数の成分が存在するが、極めて多数のプロトコールが識別された。極めて活性な触媒が記載された(例えば、J. P. Wolfe et al., J. Am. Chem. Soc. 1999 121(41):9550-9561 および A. F. Littke et al., J. Am. Chem. Soc. 2000 122(17):4020-4028 を参照されたい)。当業者は、過度の実験を伴うことなく、納得のいくプロトコールを識別可能であろう。
【0103】
が、((E)−スチリル)−フェニル残基である化合物も、置換トルエン誘導体とA−3との縮合によって製造することができる。これは、トルエンが、電気陰性基で置換されている場合に最も実用的であり、電気陰性基は、メチル基上のプロトンの酸性度を増加させ、そしてカルボニルに付加し且つ最初に形成されたカルビノールを引き続き脱水する陰イオンの形成を可能にする。(例えば、参考例1を参照されたい)。参考例1における縮合は、2−メチル−5−ニトロ安息香酸メチルで行われる。ニトロ残基をメタンスルホンアミドへと変換後(上記)、そのメチルエステルは、例えば、該当する酸への加水分解、ベンジルアルコールへの還元(参考例2)によって更に修飾することができ、それは、場合により、引き続きO−アルキル化することができる(参考例3)。アルデヒドへの直接酸化またはベンジルアルコールのアルデヒドへの再酸化は、合成中間体を与え、それは、例えば、アミンを導入する還元的アルキル化、カルボアニオンとアルデヒドとのClaisenまたはAldol縮合、またはWittig反応によって、置換基を同族体化するまたは官能基を更に包含するのに用いることができる。
【0104】
或いは、フェニルエチル側鎖は、A−3を5−ブロモ−1−tert−ブチル−3−エチニル−2−メトキシベンゼンへ変換することによって作ることができる(工程2、参考例4)。そのアセチレンは、A−3を、(1−ジアゾ−2−オキソプロピル)−ホスホン酸ジエチルエステルと縮合することによって製造する。(R. Muller et al. Syn Lett 1996 6:521)。アセチレンのヒドロスタニル化はトリアルキルビニルスタナン誘導体を与え、それは、5−アミノ−2−ヨードピリジンまたは他の適当に置換されたハロ−またはトリフルオロスルホニルオキシ−アリールまたはヘテロアリール誘導体などのアリールまたはヘテロアリールハライドとのパラジウムで触媒されるカップリングを行うことができる(すなわち、Sonogashiraカップリング)。極めて多数の置換アリールまたはヘテロアリールヨージドを、好都合に用いることができる(参考例4)。アセチレンの還元は、慣用的な技法によって行われ、そしてピリジニルエーテルの脱アルキルは、所望のピリドンを与える。
【0105】
Sonogashira カップリング(K. Sonogashira et al., Tetrahedron Lett. 1975 4467-4470; K. Sonogashira, Comprehensive Organic Synthesis; B. M. Trost and I. Fleming Eds.; Pergamon Press, Oxford, 1991; Vol. 3, Chapter 2.4, p 521)は、典型的に、Pd(PPhまたはPd(II)Cl(PPhなどのパラジウム触媒および第一銅塩、例えば、CuI、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、TEA等などのジアルキル−またはトリアルキルアミンの存在下においてRT〜100℃の温度で行われる。その反応は、溶媒としてアミン塩基を用いて、または炭化水素、エーテル、アルコール、水性DMA等を含めた他の有機溶媒で行うことができる。代替手順の存在は、いろいろな置換アリールおよびヘテロアリール置換基の導入を可能にする合成計画に融通性を与える。
【0106】
別の代替アプローチは、A−2aを臭素化して、2,4−ジブロモ−6−tert−ブチルフェノールを与え(F-N. Li et al., Bioorg. Med. Chem. 2009 17:3557)、そして引き続き、そのフェノールをO−アルキル化して、1,5−ジブロモ−3−tert−ブチル−2−メトキシベンゼンを与えることであり、それに、逐次的なパラジウムで触媒されるカップリングを行って、本発明の範囲内の化合物を与えることができる。
【0107】
がA−1である式Iによる化合物のプロドラッグは、Rが水素である該当するピリドンを、パラホルムアルデヒドで処理し、そして得られたヒドロキシメチル付加物をアシル化することによって製造することができる。ホスフェートプロドラッグは、ヒドロキシメチル付加物をクロロメチル付加物へ変換し、そしてその塩素を、O−アルキル化用ホスフェート(O-alkylating a phospate)で置き換えることによって製造することができる。プロドラッグの形成用の代表的な手順は、本明細書中にそのまま援用される米国特許公開第2009/0170856号に見出されうる。
【0108】
抗ウイルス活性
HCV活性の阻害剤としての本発明の化合物の活性は、in vivoおよびin vitro検定を含めた、当業者に知られているいずれか適する方法によって測定することができる。例えば、式Iの化合物のHCV NS5B阻害活性は、Behrens et al., EMBO J. 1996 15:12-22、Lohmann et al., Virology 1998 249:108-118 および Ranjith-Kumar et al., J. Virology 2001 75:8615-8623 に記載の標準的な検定手順を用いて決定することができる。特に断らない限り、本発明の化合物は、このような標準検定において、in vitro HCV NS5B阻害活性を示した。本発明の化合物について用いられるHCVポリメラーゼ検定条件は、実施例8に記載されている。HCVのための細胞に基づくレプリコン系が開発されたが、そこにおいて、非構造タンパク質は、Huh7細胞中でサブゲノムウイルスRNAを安定して複製する(V. Lohmann et al., Science 1999 285:110 およびK. J. Blight et al., Science 2000 290:1972)。本発明の化合物について用いられる細胞に基づくレプリコン検定条件は、実施例4に記載されている。ウイルス非構造タンパク質および宿主タンパク質から成る精製済み機能性HCVレプリカーゼの不存在下において、Flaviviridae RNA合成についての本発明者の理解は、活性な組換えRNA依存性RNAポリメラーゼを用いた研究およびこれら研究のHCVレプリコン系における検証に由来する。in vitro生化学検定の化合物での組換え精製HCVポリメラーゼの阻害は、そのレプリコン系を用いて検証することができるが、そこでのポリメラーゼは、適当な化学量論の他のウイルスポリペプチドおよび細胞ポリペプチドと会合したレプリカーゼ複合体中に存在する。HCV複製の細胞に基づく阻害の証明は、in vitro生化学検定でのHCV NS5B阻害活性の証明よりも、in vivo機能を予測するものでありうる。
【0109】
投薬量および投与
本発明の化合物は、広範囲の経口投与剤形および担体中で製剤化することができる。経口投与は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、ゼラチン硬および軟カプセル剤、液剤、乳剤、シロップ剤または懸濁剤の形でありうる。本発明の化合物は、他の投与経路の中でも、持続(静脈内滴注)局所非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経皮(浸透増強剤を包含してよい)、口腔、鼻、吸入および坐剤投与を含めた他の投与経路によって投与する場合に効力がある。好ましい投与方式は、概して、好都合な1日投与計画を用いた経口であり、それは、苦痛の程度および活性成分への患者の応答によって調整することができる。
【0110】
本発明の一つまたは複数の化合物、並びにそれらの薬学的に使用可能な塩は、一つまたはそれを超える慣用的な賦形剤、担体または希釈剤と一緒に、医薬組成物の形および単位剤形にすることができる。医薬組成物の形および単位剤形は、追加の活性化合物または因子を含んでまたは含むことなく、慣用的な成分を慣用的な比率で含んで成ることができ、そして単位剤形は、用いられる予定の1日投薬範囲に相応したいずれか適する有効量の活性成分を含有してよい。医薬組成物は、経口使用のための錠剤または充填剤入りカプセル剤などの固形剤、半固形剤、散剤、徐放性製剤、または液剤、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤などの液状剤、または充填剤入りカプセル剤として;または直腸または膣内投与用の坐剤の形で;または非経口使用のための滅菌注射可能液剤の形で用いることができる。典型的な製剤は、約5%〜約95%(w/w)の一つまたは複数の活性化合物を含有するであろう。「製剤」または「剤形」という用語は、活性化合物の固形および液状双方の製剤を包含するものであり、当業者は、活性成分が、標的臓器または組織に依存しておよび所望の用量および薬物動態学的パラメーターに依存して、異なった製剤中に存在しうるということを理解するであろう。
【0111】
本明細書中で用いられる「賦形剤」という用語は、医薬組成物を製造する場合に有用である、概して、安全で、無毒性で、そして生物学的にもそれ以外にも望ましくないことがない化合物を意味し、そして獣医学的使用並びにヒトへの医薬使用に許容しうる賦形剤を包含する。本発明の化合物は、単独で投与することができるが、概して、予定の投与経路および標準的な医薬慣例に関して選択される一つまたはそれを超える適する医薬賦形剤、希釈剤または担体との混合物で投与されるであろう。
【0112】
「薬学的に許容しうる」は、それが、医薬組成物を製造する場合に有用である、すなわち、概して、安全で、無毒性で、そして生物学的にもそれ以外にも望ましくないことがないということを意味し、そしてそれが、ヒトへの医薬使用に許容しうるということを包含する。
【0113】
「薬学的に許容しうる塩」の形の活性成分は、非塩の形では不存在であった活性成分に望ましい薬物動態学的性質を最初に与えることもでき、しかも体内でのその治療的活性に関して、活性成分の薬力学にプラスに影響することさえもできる。化合物の「薬学的に許容しうる塩」という句は、薬学的に許容しうる且つ親化合物の所望の薬理活性を有する塩を意味する。このような塩には、(1)酸付加塩であって、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等などの無機酸で形成されるもの;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−クロロベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−トルエンスルホン酸、カンフルスルホン酸、4−メチルビシクロ[2.2.2]−オクタ−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸等などの有機酸で形成されるもの;または(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンまたはアルミニウムイオンで置き換えられている;かまたはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン等などの有機塩基で配位している場合に形成される塩が含まれる。
【0114】
固形製剤には、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散性顆粒剤が含まれる。固形担体は、希釈剤、着香剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤またはカプセル封入材料として作用することもできる一つまたはそれを超える物質であってよい。散剤の場合、担体は、概して、微粉活性成分との混合物である微粉固体である。錠剤の場合、活性成分は、概して、必要な結合容量を有する担体と一緒に適する比率で混合し、そして望まれる形状およびサイズに圧縮する。適する担体には、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ロウ、カカオ脂等が含まれるが、これに制限されるわけではない。固形製剤は、活性成分に加えて、着色剤、着香剤、安定化剤、緩衝剤、人工および天然甘味剤、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含有してよい。
【0115】
液状製剤も、経口投与に適し、それには、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤、水性液剤、水性懸濁剤を含めた液状製剤が含まれる。これらには、使用直前に液状形製剤へ変換することを予定している固形製剤が含まれる。乳剤は、液剤中で、例えば、プロピレングリコール水溶液中で製造してよいし、またはレシチン、ソルビタンモノオレアートまたはアラビアゴムなどの乳化剤を含有してよい。水性液剤は、活性成分を水中に溶解させ、そして適する着色剤、着香剤、安定化剤および増粘剤を加えることによって製造することができる。水性懸濁剤は、微粉活性成分を、天然または合成ガム、樹脂、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよび他の周知の懸濁化剤などの粘稠材料と一緒に水中に分散させることによって製造することができる。
【0116】
本発明の化合物は、(例えば、注射、例えば、ボーラス注射または持続注入による)非経口投与用に製剤化することができ、そして添加保存剤を含むアンプル、プレフィルドシリンジ(pre-filled syringes)、小容量注入または多数回用量容器中に単位用量の形で与えることができる。それら組成物は、油状または水性ビヒクル中の懸濁剤、液剤または乳剤、例えば、水性ポリエチレングリコール中の液剤のような形をとることができる。油状または非水性の担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例には、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えば、オリーブ油)および注射可能有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)が含まれ、そしてそれらは、保存剤、湿潤剤、乳化剤または懸濁化剤、安定化剤および/または分散助剤などの配合剤を含有してよい。或いは、活性成分は、使用前に適するビヒクル、例えば、滅菌発熱物質不含水で構成するための、滅菌固体の無菌単離によってまたは溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末の形であってよい。
【0117】
本発明の化合物は、表皮への局所投与用に、軟膏剤、クリーム剤またはローション剤として、または経皮パッチとして製剤化することができる。軟膏剤およびクリーム剤は、例えば、水性または油状基剤で、適する増粘剤および/またはゲル化剤の添加を伴って製剤化することができる。ローション剤は、水性または油状基剤で製剤化することができ、しかも概して、一つまたはそれを超える乳化剤、安定化剤、分散助剤、懸濁化剤、増粘剤または着色剤も含有するであろう。口内の局所投与に適する製剤には、着香済み基剤、通常は、スクロースおよびアラビアゴムまたはトラガカント中に活性剤を含むロゼンジ;ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアラビアゴムなどの不活性基剤中に活性成分を含むパステル剤;および適する液状担体中に活性成分を含む含嗽剤が含まれる。
【0118】
本発明の化合物は、坐剤としての投与用に製剤化することができる。脂肪酸グリセリドの混合物またはカカオ脂などの低融点ロウを、最初に溶融させ、そして活性成分を、例えば、撹拌することによって均一に分散させる。次に、溶融均一混合物を、好都合なサイズの型に注入し、冷却させ且つ凝固させる。
【0119】
本発明の化合物は、膣内投与用に製剤化することができる。活性成分に加えて、当該技術分野において適当であることが知られているような担体を含有するペッサリー、タンポン、クリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤または噴霧剤。本発明の化合物は、鼻内投与用に製剤化することができる。液剤または懸濁剤は、慣用的な手段によって、例えば、滴瓶、ピペットまたはスプレーで、鼻腔に直接的に適用する。それら製剤は、単回または多数回用量の形で与えることができる。この滴瓶またはピペットの場合、これは、患者が、適当な所定容量の溶液または懸濁液を投与して達成することができる。スプレーの場合、これは、例えば、計量霧化スプレーポンプによって達成することができる。
【0120】
本発明の化合物は、特に、気道への、鼻腔内投与を含めたエアゾル投与用に製剤化することができる。化合物は、概して、例えば、5(5)ミクロンまたはそれ未満のオーダーの小さい粒子サイズを有するであろう。このような粒子サイズは、当該技術分野において知られている手段によって、例えば、超微粉砕によって得ることができる。活性成分は、クロロフルオロカーボン(CFC)、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタンまたはジクロロテトラフルオロエタン、または二酸化炭素または他の適するガスなどの適する噴射剤を含む加圧パック中で与えられる。エアゾルは、好都合には、レシチンなどの界面活性剤を含有してもよい。薬物の用量は、計量バルブによって調節することができる。或いは、活性成分は、乾燥粉末の形、例えば、ラクトース、デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドン(PVP)などのデンプン誘導体などの適する粉末基剤中の化合物の粉末配合物の形で与えることができる。粉末担体は、鼻腔内でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、単位用量の形で、例えば、吸入器によってそれから粉末を投与することができる、例えば、ゼラチンまたはブリスターパックのカプセルまたはカートリッジで与えることができる。
【0121】
所望の場合、製剤は、活性成分の徐放または制御放出投与に適応した腸溶コーティングで製造することができる。例えば、本発明の化合物は、経皮または皮下用薬物送達装置中で製剤化することができる。これら送達システムは、化合物の徐放が必要である場合および処置計画についての患者コンプライアンスが極めて重要である場合に好都合である。経皮送達システム中の化合物は、しばしば、皮膚接着固形支持体に付着している。目的の化合物は、更に、浸透促進剤、例えば、Azone(1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン)と組み合わせることができる。徐放性送達システムは、外科手術または注射によって皮下層中に皮下挿入される。皮下植込剤は、化合物を、脂質可溶性メンブラン、例えば、シリコーンゴムまたは生物分解性ポリマー、例えば、ポリ乳酸中に封入している。
【0122】
医薬担体、希釈剤および賦形剤と一緒の適する製剤は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 1995, edited by E. W. Martin, Mack Publishing Company, 19th edition, Easton, Pennsylvaniaに記載されている。当製剤科学者は、本明細書の内容の範囲内で製剤を修飾して、本発明の組成物を不安定にすることなくまたはそれらの治療的活性に影響することなく、特定の投与経路のための極めて多数の製剤を提供することができる。
【0123】
例えば、本発明の化合物を水または他のビヒクル中に一層可溶性にする修飾は、当該技術分野において十分に常套技術の範囲内であるより少ない修飾(塩製剤化、エステル化等)によって容易に達成することができる。本化合物の薬物動態を患者への最大限有益な作用にするために、特定の化合物の投与経路および投薬計画を修飾することも、十分に当該常套技術の範囲内である。
【0124】
本明細書中で用いられる「治療的有効量」という用語は、個体の疾患の症状を減少させるのに必要な量を意味する。その用量は、各々の具体的な場合の個々の必要条件へ調整されるであろう。その投薬量は、処置される疾患の重症度、患者の年齢および全身健康状態、その患者が処置されている他の薬剤、投与経路および形態、および関与している医療の実務者の選択および経験などの極めて多数の因子に依存して、広い限界内で変動することがありうる。経口投与には、1日につき約0.01〜約1000mg/kg体重の1日投薬量が、単独療法および/または組み合わせ療法において適当であるべきである。好ましい1日投薬量は、1日につき約0.1〜約500mg/kg体重、より好ましくは、0.1〜約100mg/kg体重、そして最も好ましくは、1.0〜約10mg/kg体重である。したがって、70kgのヒトへの投与には、投薬量範囲は、1日につき約7mg〜0.7gであると考えられる。その1日投薬量は、単回投薬量としてまたは分割投薬量で、典型的に、1日につき1〜5回の投薬量で投与することができる。概して、処置は、化合物の最適用量未満であるより少ない投薬量で開始する。その後、投薬量を、個々の患者に最適な作用に達するまで、少ない増加量で増加させる。本明細書中に記載の疾患を処置している当業者は、過度の実験を伴うことなく且つ個人情報、経験および本出願の開示を信頼して、一定の疾患および患者のための本発明の化合物の治療的有効量を確かめることができるであろう。
【0125】
本発明の態様において、活性化合物または塩は、リバビリン、ヌクレオシドHCVポリメラーゼ阻害剤、別のHCV非ヌクレオシドポリメラーゼ阻害剤またはHCVプロテアーゼ阻害剤などの別の抗ウイルス薬との組み合わせで投与することができる。活性化合物またはその誘導体または塩を、別の抗ウイルス薬との組み合わせで投与する場合、その活性は、親化合物を超えて増加することがありうる。その処置が、組み合わせ療法である場合、このような投与は、ヌクレオシド誘導体の投与に関して、同時または逐次的であってよ。したがって、本明細書中で用いられる「同時投与」には、同じ時点または異なった時点でのそれら物質の投与が含まれる。二つまたはそれを超える物質の同時点での投与は、二つまたはそれを超える活性成分を含有する単一製剤によって、または単一活性剤を含む二つまたはそれを超える剤形の実質的に同時の投与によって達成することができる。
【0126】
本明細書中の処置の意味は、予防に、更には、既存の状態の処置に拡大するということは理解されるであろう。更に、本明細書中で用いられるHCV感染の「処置」という用語も、HCV感染に関連したまたはそれによって媒介される疾患または状態、またはその臨床症状の処置または予防を包含する。
【0127】
本明細書中で用いられる「治療的有効量」という用語は、個体の疾患の症状を減少させるのに必要な量を意味する。その用量は、各々の具体的な場合の個々の必要条件へ調整されるであろう。その投薬量は、処置される疾患の重症度、患者の年齢および全身健康状態、その患者が処置されている他の薬剤、投与経路および形態、および関与している医療の実務者の選択および経験などの極めて多数の因子に依存して、広い限界内で変動することがありうる。経口投与には、1日につき約0.01〜約1000mg/kg体重の1日投薬量が、単独療法および/または組み合わせ療法において適当であるべきである。好ましい1日投薬量は、1日につき約0.1〜約500mg/kg体重、より好ましくは、0.1〜約100mg/kg体重、そして最も好ましくは、1.0〜約10mg/kg体重である。したがって、70kgのヒトへの投与には、投薬量範囲は、1日につき約7mg〜0.7gであると考えられる。その1日投薬量は、単回投薬量としてまたは分割投薬量で、典型的に、1日につき1〜5回の投薬量で投与することができる。概して、処置は、化合物の最適用量未満であるより少ない投薬量で開始する。その後、投薬量を、個々の患者に最適な作用に達するまで、少ない増加量で増加させる。本明細書中に記載の疾患を処置している当業者は、過度の実験を伴うことなく且つ個人情報、経験および本出願の開示を信頼して、一定の疾患および患者のための本発明の化合物の治療的有効量を確かめることができるであろう。
【0128】
本発明の化合物および場合により、一つまたはそれを超える追加の抗ウイルス薬の治療的有効量は、ウイルス負荷量を減少させるまたは治療への持続ウイルス応答を達成するのに有効な量である。ウイルス負荷量に加えて、持続応答に有用な指標には、肝線維症、血清トランスアミナーゼレベルの上昇および肝臓の壊死性炎症活性が含まれるが、これに制限されるわけではない。マーカーの一つの一般的な例は、具体例であり且つ制限するものではないが、血清アラニントランスアミナーゼ(ALT)であり、それは、標準的な臨床検定によって測定する。本発明のいくつかの態様において、有効な処置計画は、ALTレベルを約45IU/mL血清未満へ減少させるものである。
【0129】
例えば、本発明の化合物を水または他のビヒクル中に一層可溶性にする修飾は、当該技術分野において十分に常套技術の範囲内であるより少ない修飾(塩製剤化、エステル化等)によって容易に達成することができる。本化合物の薬物動態を患者への最大限有益な作用にするために、特定の化合物の投与経路および投薬計画を修飾することも、十分に当該常套技術の範囲内である。
【0130】
以下の実施例は、本発明の範囲内の化合物の製造および生物学的評価を詳しく説明する。以下のこれら実施例および製造例は、当業者が、本発明をより明確に理解し且つ実施することを可能にするために与えられる。それらは、本発明の範囲を制限すると解釈されるべきではなく、単に、本発明を詳しく説明し且つ代表するものとして解釈されるべきである。
【0131】
実施例1
N−(4−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d)エチル−2,2,2−d]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド(I−1)(スキームA)
工程1− CDOD(25mL)およびA−1(8.5g,49.2mmol)の溶液を、RTで30分間撹拌して、フェノール性プロトンを交換後、CDODを真空中で除去する。得られた固体を、CDCl(10mL)および(CDCOD(4mL)中に溶解させ、60℃に加温する。濃DSO(10mL)を、2mLずつ5回で50分間にわたって加える。反応混合物を、60℃で一晩維持後、氷(50mL)上に注ぎ、そしてEtOAc(2x75mL)で抽出する。合わせた有機抽出物を、2N水性KOH(3x300mL)で抽出し、1N水性HCl(75mL)およびブライン(25mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮する。残留物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(40分間にわたって0〜10%EtOAc)で溶離して精製して、5.83gのA−2aを褐色油状物として得る。ES MS(M+H)238.1。
【0132】
工程2− 無水THF(40mL)中のA−2a(5.8g,24.4mmol)、無水MgCl(4.6g,48.8mmol)およびパラホルムアルデヒド(1.6g,53.7mmol)のRTで激しく撹拌された懸濁液に、TEA(6.8mL,48.8mmol)を滴下した。その反応を、還流しながら一晩加熱した。反応を、RTに冷却し、揮発成分を真空中で除去する。残留物を、EtOAc(50mL)中に溶解させ、1N水性HCl(2x50mL)およびブライン(25mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮して、6.52gのA−2bを淡褐色油状物として得て、それを、更に精製することなく用いた。ES MS(M+H)266.1。
【0133】
工程3− ヨードメタン(3.8g,26.8mmol)を、DMF(40mL)中のA−2b(6.5g,24.4mmol)およびCsCO(11.9g,36.6mmol)のRTで激しく撹拌された懸濁液に滴下した。その反応を、60℃で一晩維持した。反応をRTに冷却し、そしてHO(150mL)とEtOAc:PhMe(1:1,100mL)とに分配した。相を乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮して、6.5gのA−3を淡橙色油状物として得て、それを、更に精製することなく用いた。ES MS(M+H)280.1。
【0134】
工程4− THF(80mL)中のNaH(1.10g,27.6mmol,油中60%鉱油分散物)および15−クラウン−5(0.51g,2.3mmol)の暗赤色懸濁液を、RTで5分間激しく撹拌した。その反応を0℃に冷却する、そして(4−アミノベンジル)−ホスホン酸ジエチルエステルを加えた。反応を、0℃で15分間維持する。THF(20mL)中のA−3(6.45g,22.9mmol)の溶液を滴下し、その反応を、0℃で10分間維持した。その混合物を、RTに加温し、16時間撹拌した。THFを真空中で除去した。残留物を、EtOAc(75mL)中に溶解させ、水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、真空中で濃縮して、黄色泡状物を得た。粗生成物を、SiOゲルクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(30分間にわたって0〜25%EtOAc)で溶離して更に精製して、6.1gのA−4aを淡黄色非晶質固体として得た。ES MS(M+H)399.1。
【0135】
工程5− A−4a(5.8g,14.6mmol)、Fe粉末(6g)、NHCl(6g)、EtOH(60mL)および水(30mL)の激しく撹拌された懸濁液を、70℃で16時間維持した。反応混合物を、CELITE(登録商標)を介して濾過し(過剰のEtOHで洗浄)、そしてEtOHを真空中で除去した。得られた水性懸濁液を、EtOAc(3x75mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空中で濃縮して、5.23gのA−4bを淡褐色固体として得て、それを、更に精製することなく用いた。ES MS(M+H)370.2。
【0136】
工程6− メタンスルホニルクロリド(1.68g,14.6mmol)を、ピリジン(20mL)およびDCM(20mL)中のA−4b(4.9g,13.3mmol)の溶液に滴下し、その溶液を、RTで18時間維持した。溶媒を真空中で除去した。得られた淡褐色残留物を、EtOAc(75mL)中に溶解させ、そして逐次的に、1N水性HCl(75mL)およびブライン(25mL)で洗浄した。EtOAc抽出物を、乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(30分間にわたって0〜40%EtOAc)で溶離して精製して、4.3gのA−4cを白色泡状物として得た。ES MS(M+H)462.2。
【0137】
工程7− A−4c(192mg,0.43mmol)、2−メトキシピリジン−3−ボロン酸(21,66mg,0.43mmol)、Pd(PPh(50mg,0.043mmol)、NaCO(136mg,1.29mmol)、DCM(1mL)およびMeOH(3mL)の混合物を、テフロンキャップを装着した5mLマイクロ波容器中で一緒にした。その混合物を、マイクロ波シンセサイザー中において125℃で1.0時間照射した。混合物を、CELITEを介して濾過し、そのパッドを、過剰のMeOHで洗浄した。濾液を濃縮し、SiO上に吸収させ、そしてSiOゲルクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(30分間にわたって0〜40%EtOAc)で溶離して精製して、0.165gのA−5を白色非晶質固体として得た。ES MS(M+H)490.3。
【0138】
工程8− A−5(125mg)、48%水性HBr(150μL)およびHOAc(2.6mL)の溶液を、Teflon キャップを装着した密封管中において60℃で16時間維持した。その反応を、RTに冷却し、冷水(20mL)を加えた。微細沈澱が直ちに形成した。その沈澱を、フィルター濾過し、過剰の水で洗浄し、真空オーブン中で一晩乾燥させて、0.091gのI−1をオフホワイト粉末(91mg)として得た。ES MS(M+H)476.3。
【0139】
実施例2
N−(4−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d)エチル−2,2,2−d]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−6−メチル−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド(I−2)
I−2は、工程7において2−メトキシピリジン−3−ボロン酸を(6−メチル−2−メトキシピリジン−3−イル)ボロン酸(CASRN1000802−75−4)で置き換えたことを除いて、実施例1にしたがって製造した。ES MS(M+H)490.3。
【0140】
実施例3
N−(4−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d)エチル−2,2,2−d]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−5−クロロ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド(I−3)
I−3は、工程7において2−メトキシピリジン−3−ボロン酸を(5−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イル)ボロン酸(CASRN943153−22−8)で置き換えたことを除いて、実施例1にしたがって製造した。ES MS(M+H)510.2。
【0141】
実施例4
N−(4−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d)エチル−2,2,2−d]−5−(2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−2−メトキシフェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド(I−4)
I−4は、工程7において2−メトキシピリジン−3−ボロン酸を(2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)ボロン酸(CASRN70523−22−7)で置き換え、そして工程8を省略したことを除いて、実施例1にしたがって製造した。ES MS(M+H)493.2。
【0142】
N−(4−{(E)−2−[3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−(1−メチル−2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミドは、(2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)ボロン酸を(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−メチル−2,4−ジオキソ−5−ピリミジニル)−ボロン酸で置き換えることを除いて、同様に製造することができる。
【0143】
表IIの化合物は、本発明の範囲内の他の化合物を代表するものである。非重水素化誘導体は、2009年7月22日出願の米国出願第12/460,658号および2009年2月27日出願の米国出願第61/156,442号および2008年12月22日出願の同61/139,982号に開示されており、表IIに報告されたHCVポリメラーゼテータは、非重水素化類似体で測定した。当業者は、tert−ブチル基の同位体組成が、HCVポリメラーゼ阻害に有意に影響するとは考えられないということを理解するであろう。(例えば、I−1〜I−3の重水素化化合物および(非重水素化)類似体のIC50は、それぞれ、0.2nM(3.9nM)、<0.13nM(<0.7nM)および0.5nM(1.0nM)である。)
【0144】
【表2−1】

【0145】
【表2−2】

【0146】
次の手順は、5−ブロモ−3−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒド(A−3を参照されたい)を中間体として用いた、表IIによる化合物の非重水素化類似体の合成を詳しく説明する。当業者は、類似の手順を用いて、表IIの重水素化化合物を製造することができるということを直ちに理解するであろう。
【0147】
参考例1
2−{(E)−2−[3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−5−メタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステル(26a)
【0148】
【化6】

【0149】
工程1− 20(4.17g,15.39mmol)、22(2.00g,10.26mmol)、DBU(3.1mL,20.73mmol)およびDMSO(10mL)の溶液を、RTで一晩撹拌後、50℃に1時間加熱した。その溶液に、1NのNaOHを加え、得られた固体を濾過した。濾液を、6NのHClで酸性にし、EtOAcで抽出し、合わせた抽出物を、乾燥させ(NaSO)、濾過し、蒸発させて、2.51gの24aを得た。
【0150】
工程2− 24a(2.00g,4.608mmol)、ヨードメタン(1.05mL,16.87mmol)、KCO(1.92g,13.89mmol)およびDMF(10mL)の溶液を、RTで一晩撹拌した。得られた溶液を濾過し、濾液をEtOAcで希釈し、そして1NのHCl、HOおよびブラインで洗浄した。有機相を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮して、1.94g(94%)の24bを得た。
【0151】
工程3− DMF(10mL)およびEtOAc(10mL)中の24b(1.42g,3.18mmol)の溶液に、SnCl(2.87g,12.72mmol)を加え、得られた溶液を、RTで一晩撹拌した。反応混合物を、0℃に冷却し、水性NaHCO(4mL)を徐々に添加してクエンチした。得られた懸濁液を、CELITEのパッドを介して濾過し、濾液をEtOAcで希釈し、ブラインで3回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(10〜20%EtOAc)で溶離して精製して、843mg(64%)の24cを黄色泡状物として得た。
【0152】
工程4− メタンスルホンアミドを、実施例6の工程3の手順にしたがって、メシルクロリドでの24cの処理によって製造した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(10〜30%EtOAc)で溶離して精製して、697mg(704%)の24dを得た。
【0153】
工程5− 24dおよびB−(1,2−ジヒドロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)ボロン酸(25,CASRN951655−49−5)のパラジウムで触媒されるカップリングを、実施例1の工程7の手順にしたがって行って、標題化合物を得た。生成物を、EtOAc/ヘキサン(2:1)で展開するSiO分取TLCプレート上で精製して、19.4mgの26aを得た。
【0154】
26bは、水性MeOH/THF中の水酸化リチウムでの、26aの塩基で触媒される加水分解により、RTで製造することができる。
参考例2
N−(4−{(E)−2−[3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−3−ヒドロキシメチルフェニル)−メタンスルホンアミド(28)
【0155】
【化7】

【0156】
工程1− THF(10mL)中の24d(184mg,0.371mmol)の0℃溶液に、LiAlH(0.750mL,0.750mmol,THF中1.0M溶液)を加えた。その反応を、RTに1.5時間にわたって徐々に加温後、0℃に冷却し、1NのNaOH(2mL)でクエンチした。その懸濁液を、EtOAcで抽出し、合わせた抽出物を、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(30%〜50%EtOAc)で溶離して精製して、73mg(42%)のN−{4−[(E)−2−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)−ビニル]−3−ヒドロキシメチルフェニル}−メタンスルホンアミド(30)を得た。
【0157】
30および25のクロスカップリングを、実施例1の工程7の手順にしたがって行った。粗生成物を、2:1のEtOAc/ヘキサンで展開するSiO分取TLCプレート上で精製し、そして更に、HPLCによって精製して、15mg(20%)の28を白色固体として得た。
【0158】
参考例3
N−(4−{(E)−2−[3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−(6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−3−メトキシメチルフェニル)−メタンスルホンアミド(38)
【0159】
【化8】

【0160】
工程1− 0℃に冷却したTHF(10mL)中の24b(500mg,1.12mmol)の溶液に、LiAlH(1.7mL,1.7mmol,THF中1.0M溶液)を加えた。その反応を、RTに45分間にわたって徐々に加温後、0℃に再冷却し、NaHSO溶液でクエンチした。その懸濁液を濃縮し、EtOAcで希釈し、そして1NのHClおよびブラインで洗浄した。有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(5%〜10%EtOAc)で溶離して精製して、129mg(28%)の{2−[(E)−2−(5−ブロモ−3−tert−ブチル−2−メトキシフェニル)−ビニル]−5−ニトロフェニル}−メタノール(34a)を黄色油状物として得た。
【0161】
工程2− DMF(5mL)中の34a(116mg,0.276mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(0.022,0.550mmol,60%鉱油分散物)を加えた。20分後、ヨウ化メチル(0.040mL,0.643mmol)を加え、得られた懸濁液を一晩撹拌した。反応混合物を、EtOAcで希釈し、ブラインで3回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(5%〜15%EtOAc)で溶離して精製して、81mg(68%)の5−ブロモ−1−tert−ブチル−2−メトキシ−3−[(E)−2−(2−メトキシメチル−4−ニトロフェニル)−ビニル]−ベンゼン(34b)を橙色油状物として得た。
【0162】
ニトロ基の還元(工程3)を、DMFおよびEtOAc中においてSnCl・2HOで行う。36bを与える36aのスルホニル化は、実施例1の工程6に記載の手順にしたがって行った。その臭化物および25のクロスカップリングは、実施例1の工程7の手順にしたがって行う。
【0163】
参考例4
N−(6−{(E)−2−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−2−メトキシフェニル]−ビニル}−ピリジン−3−イル)−メタンスルホンアミド(46)
【0164】
【化9】

【0165】
工程1− −78℃に冷却したMeOH(20mL)中の20(2.667mmol)の溶液に、ナトリウムメトキシド溶液(MeOH中0.5M,5.500mmol)を加えた後、MeOH(10mL)中の1−ジアゾ−2−オキソプロピルホスホン酸ジメチル(4.000mmol)の溶液を滴下する。得られた反応混合物を、RTに徐々に加温し、一晩撹拌後、飽和水性NaHCOでクエンチする。有機揮発物を、減圧下で除去する。粗製残留物を、EtOAcと飽和水性NaHCOとに分配する。有機層を、水、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)濾過し、濃縮する。粗製残留物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配で溶離して精製して、40aを得る。
【0166】
工程2− Ar雰囲気下においてRTで維持したTHF(4mL)およびベンゼン(4mL)中に溶解した40a(0.390g,1.32mmol)の溶液に、AIBN(0.53mmol)を加えた後、BuSnH(0.528mmol)を滴下する。反応混合物を、90℃に2時間加熱し、RTに冷却し、真空中で濃縮する。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサンで溶離して精製して、40bを得る。
【0167】
工程3− DMF(2.0mL)中のPd(dba)(0.027mmol)、トリス−(2−フリル)ホスフィン(0.107mmol)の溶液を、RTで10分間撹拌する。この溶液に、40b(1.33mmol)、5−アミノ−2−ヨードピリジン(1.6mmol,CASRN29958−12−1)およびDMF(6mL)の溶液をカニューレによって加える。得られた溶液に、室温で、LiCl(2.67mmol)を加え、得られた溶液を110℃で18時間加熱する。その反応を、RTに冷却し、HO(80mL)中に注ぎ、その溶液をEtOAcで3回抽出する。合わせた抽出物を、逐次的に、HOおよびブラインで洗浄し、乾燥させ、濾過し、蒸発させる。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配で溶離して精製して、42aを得る。
【0168】
メシルクロリドでのアミノ基のスルホンアミド42bへの変換(工程4)は、実施例1の工程6に記載の手順にしたがって行った。42bおよび5−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イルボロン酸のクロスカップリングは、実施例1の工程7の手順にしたがって行う。ピリジニルメチルエーテルの開裂は、実施例1の工程8に記載の手順にしたがってHBr/HOAcで行って、46を得た。
【0169】
N−(5−{(E)−2−[3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−ピリジン−2−イル)−メタンスルホンアミドは、工程3において5−アミノ−2−ヨードピリジンを2−アミノ−5−ヨードピリジン(CASRN20511−12−0)で置き換えたこと、そして工程5において5−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イルボロン酸を21で置き換えることを除いて、同様に製造した。
【0170】
N−(4−{(E)−2−[3−tert−ブチル−5−(5−フルオロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−2−メトキシフェニル]−ビニル}−3−フルオロフェニル)−メタンスルホンアミドは、工程3において5−アミノ−2−ヨードピリジンをN−(4−ブロモ−3−フルオロフェニル)−メタンスルホンアミド(CASRN879486−59−6)で置き換えたこと、そして工程5において5−クロロ−2−メトキシピリジン−3−イルボロン酸を5−フルオロ−2−メトキシピリジン−3−イルボロン酸1で置き換えることを除いて、同様に製造した。MS(WSI)(M+H)=489。
【0171】
参考例5
N−(4−{(E)−2−[3−tert−ブチル−2−メトキシ−5−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−[1,2,4]トリアジン−5−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド(62)
【0172】
【化10】

【0173】
工程1− 0℃に冷却し且つ窒素下で維持したAlCl(4.19g,31mmol)およびDCM(25mL)の懸濁液に、クロロギ酸エチル(4.24g,31mmol)を10分間にわたって滴下し、得られた溶液を、更に15分間撹拌した。得られた溶液に、52a(4.0g,16.5mmol,上記実施例1に記載のように、A−2aのNBS臭素化後、O−メチル化によって製造することができるもの)をシリンジによって15分間にわたって滴下した。得られた溶液をRTに温め、撹拌を1.5時間続けた。その溶液を、氷(150g)および濃HCl(50mL)の混合物中に注ぎ、得られた混合物をDCM(3x50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、希NaOHで、次にブラインで2回洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、10%EtOAc/ヘキサンで溶離して精製して、4.22g(74%)の52bを得た。
【0174】
工程2− 52b(4.2g,12.2mmol)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.36g,19.6mmol)、NaOAc(1.1g,14.5mmol)およびEtOH(65mL)の溶液を、加熱して3時間還流し、冷却し、濃縮し、そしてEtOAcとHOとに分配した。EtOAc抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮して、4.5g(99%)の52cを白色固体として得た。
【0175】
工程3− 氷水浴中で冷却した52c(4.4g,12.3mmol)およびMeOH(25mL)/HO(15mL)/HCOH(15mL)の溶液に、Znダスト(1.61g,24.6mmol)を1時間にわたって少量ずつ加えた。(S. Kukolja, et al., J. Med. Chem. 1985 28:1886)。その溶液を、0℃で7時間撹拌し、氷浴から除去し、更に2時間撹拌した。その混合物のTLC分析は、部分変換しか起こらなかったことを示したので、別のZnアリコート(0.8g,1,eq.)を加え、反応をRTで40時間撹拌した。その混合物を、CELITEを介して濾過し、そのパッドをMeOHで洗浄した。濾液を濃縮し、希HClを加え、その溶液をEtOAcで抽出した。EtOAc層を、1NのNaOHで洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(75〜100%EtOAc)で溶離して精製して、2.9g(67%)の54を白色固体として得た。
【0176】
工程4− 54(2.7g,8.0mmol)およびDMF(50mL)の溶液に、ジメトキシメチルジメチルアミン(1.42g,12mmol)を加え、得られた溶液をRTで一晩撹拌した。反応混合物を、真空中で濃縮し、そして最後に、高真空を2時間施して、56を得て、それを、更に精製することなく用いた。
【0177】
工程5− 56(3.2g,8.0mmol)およびEtOH(25mL)の溶液に、ヒドラジン(0.5mL,15.9mmol)を加え、得られた溶液を、加熱して2時間還流した。その溶液をRTに冷却し、真空中で濃縮し、そしてSiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(50〜100%EtOAc)で溶離して精製して、1.7g(63%)の58を白色固体として得た。
【0178】
工程6− CHCl(7.5mL)およびMeOH(7.5mL)中の58(1.0g,2.9mmol)の溶液に、NaOAc(0.29g,3.5mmol)を加え、得られた溶液を、氷/MeOH浴中で冷却した。この溶液に、臭素(0.34g,2.2mol)を1〜2分間にわたって滴下した。約1分後、出発物質は消費されたと考えられたので(TLC)、その反応を、水性NaCOでクエンチし、CHClで抽出した。合わせた抽出物を、乾燥させ(NaSO)、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(50〜100%EtOAc)で溶離して精製して、0.58g(77%)の60を黄色固体として得た。
【0179】
工程7− 60および61(CASRN1132942−08−50)のパラジウムで触媒されるカップリングは、実施例1の工程7に記載の手順にしたがって行う。粗生成物を、SiOクロマトグラフィーにより、EtOAc/ヘキサン勾配(0〜100%EtOAc)で溶離して精製して、62を得た。
【0180】
実施例5
HCV NS5B RNAポリメラーゼ活性
HCVポリメラーゼ(NS5B570n−Con1)の酵素活性を、酸性不溶性RNA産物中への放射性標識ヌクレオチド一リン酸の取込みとして測定した。取込まれていない放射性標識基質を、濾過によって除去し、そしてシンチラント(scintillant)を、放射性標識RNA産物が入っている洗浄・乾燥したフィルタープレートに加えた。反応の最後にNS5B570n−Con1によって生成されたRNA産物の量は、シンチラントによる発光量に正比例した。
【0181】
HCV Con1株である遺伝子型1b由来のN末端6−ヒスチジン標識付きHCVポリメラーゼ(NS5B570n−Con1)は、完全長HCVポリメラーゼに相対してC末端に21アミノ酸欠失を含有するが、それを、大腸菌(E. coli)菌株BL21(DE)pLysSから精製した。HCV NS5B Con1(GenBank 受託番号AJ242654)のコーディング配列を含有するコンストラクトを、T7プロモーター発現カセットの下流のプラスミドコンストラクトpET17b中に挿入し、E.coli 中に形質転換した。単一コロニーを、スターター培養物として一晩増殖させた後、用いて、100μg/mLのアンピシリンを補足した10LのLB培地に37℃で接種した。タンパク質発現は、600nMの培養物での光学濃度が、0.6〜0.8の時点で、0.25mMイソプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)の添加によって誘発し、そして細胞を、30℃で16〜18時間後に採取した。NS5B570n−Con1は、Ni−NTA、SP−Sepharose HPおよび Superdex 75樹脂上の一連のカラムクロマトグラフィーを含めた三段プロトコルを用いて精製して、均一にした。
【0182】
各々50μLの酵素反応は、Internal Ribosome Entry Siteの相補的配列(cIRES)に由来する20nMのRNA鋳型、20nMのNS5B570n−Con1酵素、0.5μCiのトリチウム化UTP(Perkin Elmer カタログ番号TRK−412;比活性:30〜60Ci/mmol;7.5x10−5M〜20.6x10−6Mの原溶液濃度)、各1μMのATP、CTPおよびGTP、40mMのTris−HCl pH8.0、40mMのNaCl、4mMのDTT(ジチオトレイトール)、4mMのMgClおよび5μlのDMSO中で連続希釈した化合物を含有した。反応混合物を、96ウェルフィルタープレート(cat#MADVN0B,Millipore Co.)中で集めて、そして30℃で2時間インキュベートした。反応を、10%最終(v/v)トリクロロ酢酸の添加によって止め、4℃で40分間インキュベートした。反応を濾過し、8反応容量の10%(v/v)トリクロロ酢酸、4反応容量の70%(v/v)エタノールで洗浄し、自然乾燥させ、そして25μlのシンチラント(Microscint 20,Perkin-Elmer)を、各々の反応ウェルに加えた。
【0183】
シンチラントからの発光量は、Topcount(登録商標)プレートリーダー[Perkin-Elmer、エネルギー範囲(Energy Range):低、効率モード(Efficiency Mode):普通、カウント時間(Count Time):1分、バックグラウンド差引(Background Subtract):なし、クロストーク減少(Cross talk reduction):オフ]で、カウント/分(CPM)へ変換した。
【0184】
データは、Excel(登録商標)(Microsoft(登録商標))および ActivityBase(登録商標)(idbs(登録商標))で分析した。酵素の不存在下における反応を用いて、バックグラウンドシグナルを決定し、それを、酵素反応から差し引いた。正対照反応は、化合物の不存在下で行い、それにより、バックグラウンド補正済み活性を、100%ポリメラーゼ活性として設定した。データはすべて、正対照の百分率として表した。酵素で触媒されるRNA合成速度を50%減少させた化合物濃度(IC50)は、方程式(i)
【0185】
【数1】

【0186】
を、「Y」が、(%での)相対酵素活性に相当し、「%Min」が、飽和化合物濃度で残留する相対活性であり、「%Max」が、相対最大酵素活性であり、「X」が、化合物濃度に相当し、そして「S」が、Hill係数(または勾配)であるデータに適合することによって計算した。
【0187】
実施例6
HCVレプリコン検定
この検定は、HCV RNA複製を阻害する式Iの化合物の能力、したがって、HCV感染の処置のためのそれらの潜在的有用性を測定する。その検定は、細胞内HCVレプリコンRNAレベルの簡単な読取りとしてレポーターを利用する。Renillaルシフェラーゼ(Renilla luciferase)遺伝子を、内部リボソームエントリー部位(IRES)配列直後の、遺伝子型1bレプリコンコンストラクトNK5.1の最初のオープンリーティングフレーム中に導入し(N. Krieger et al., J. Virol. 2001 75(10):4614)、そして口蹄疫ウイルスからの自己切断ペプチド2Aによってネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPTII)遺伝子と融合させた(M.D. Ryan & J. Drew, EMBO 1994 13(4):928-933)。in vitro転写後、そのRNAを、ヒト肝細胞癌Huh7細胞中にエレクトロポレーションし、そしてG418耐性コロニーを単離し且つ増殖させた。安定して選択される細胞系2209−23は、複製性HCVサブゲノムRNAを含有し、そのレプリコンによって発現されるRenilla luciferaseの活性は、細胞中のそのRNAレベルを反映する。検定は、化合物の抗ウイルス活性および細胞障害性を平行して測定するために、二重反復プレートで、すなわち、不透明白色のものと、透明なもので行って、認められる活性が、減少した細胞増殖のためでも細胞死のためでもないことを確かめた。
【0188】
Renilla luciferaseレポーターを発現するHCVレプリコン細胞(2209−23)を、5%ウシ胎仔血清(FBS,Invitrogen カタログ番号10082−147)を含む Dulbecco’s MEM(Invitrogen カタログ番号10569−010)中で培養し、96ウェルプレート上に5000個細胞/ウェルでプレーティングし、そして一晩インキュベートした。24時間後、増殖培地中の異なった希釈度の化合物を、それら細胞に加えた後、それらを、更に、37℃で3日間インキュベートした。そのインキュベーション時間の最後に、白色プレート中の細胞を採取し、そしてルシフェラーゼ活性を、R.luciferase Assay システム(Promega カタログ番号E2820)を用いることによって測定した。次の段落中に記載の試薬はすべて、製造者のキット中に包含されており、それら試薬の製造については、製造者の取扱説明書にしたがった。それら細胞を、100μl/ウェルのリン酸緩衝化生理食塩水(pH7.0)(PBS)で1回洗浄し、そして20μlの1xR.luciferase Assay溶解緩衝液で溶解後、室温で20分間インキュベーションした。次に、プレートを、Centro LB960マイクロプレートルミノメーター(Berthold Technologies)中に挿入し、100μlのR.luciferase Assay緩衝液を、各々のウェルに注入し、そしてシグナルを、2秒遅れ2秒測定プログラムを用いて測定した。レプリコンレベルを、未処理細胞対照値に関して50%減少させるのに必要な薬物の濃度であるIC50は、上記のように、ルシフェラーゼ活性の減少百分率対薬物濃度のプロットから計算することができる。
【0189】
Roche Diagnostic製のWST−1試薬(カタログ番号1644807)を、細胞障害性検定に用いた。10μLのWST−1試薬を、ブランクとして培地単独が入っているウェルを含めた透明プレートの各ウェルに加えた。次に、細胞を、37℃で2時間インキュベートし、そしてOD値を、MRX Revelation微量滴定プレートリーダー(Lab System)を用いて450nmで測定した(650nmで基準フィルター)。再度、細胞増殖を、未処理細胞対照値に関して50%減少させるのに必要な薬物の濃度であるCC50は、上記のように、WST−1値の減少百分率対薬物濃度のプロットから計算することができる。
【0190】
【表3】

【0191】
実施例7
ラットにおける薬物動態パラメーターの決定
200〜250g体重の無傷の雄IGS Wistar Han Rats Crl:WI(GLx/BRL/Han)IGS BR(Hanover-Wistar)ラットを用いた。3匹ずつのラット群を、実験化合物の各々の用量レベルに用いた。被験動物は、実験の間中、食物および水を普通に摂取可能にした。試験物質は、Captex355EP、Capmul MCM、EtOHおよびプロピレングリコール(30:20:20:30)を含有する水性懸濁液として、10mg/kgのI−6に相当する用量で処方し、強制飼養で経口投与した。血液試料(0.3mL)を、被処置ラットから、0.25時間、0.5時間、1時間、3時間、5時間および8時間に頸静脈カニューレから、そして24時間に心臓穿刺によって採取した。シュウ酸カリウム/NaFを、試料採取手順の間氷上で貯蔵した試料に加えた。それら試料は、できるだけ早く、冷却遠心分離機中において−4℃で回転させ、そして血漿試料を、分析するまで、−80℃フリーザー中で貯蔵した。血漿アリコート(0.05mL)を、0.1mLのアセトニトリルと混合した。内部標準(水中0.05mL)および0.02mLのブランク溶媒を加えた。校正標準セットは、0.1mLのアセトニトリルを含む未処置ラットからの血漿の0.05mLアリコート、メタノール:水(1:1)中の標準溶液の0.02mLアリコートおよび水中の内部標準の0.05mLアリコートを混合することによって調製した。各々の血漿試料および校正標準を、十分に旋回させた後、3000rpmで5分間遠心分離して、タンパク質を沈澱させた。遠心分離による上澄み(各100μL)を、LC/MS/MS分析のために、200μLの水性移動相(aqueous mobie phase)が入っている96ウェルプレート中に移した。
【0192】
【表4】

【0193】
実施例8
いくつかの経路による投与用の本化合物の医薬組成物を、この実施例に記載のように製造した。
【0194】
【表5】

【0195】
それら成分を混合し、計量分配して、約100mgを各々含有するカプセル剤とする。一つのカプセルが、全1日投薬量に近いと考えられる。
【0196】
【表6】

【0197】
それら成分を一緒にし、メタノールなどの溶媒を用いて造粒する。次に、その製剤を乾燥させ、適当なタブレット成形機で成形して、(約20mgの活性化合物を含有する)錠剤とする。
【0198】
【表7】

【0199】
それら成分を混合して、経口投与用の懸濁液を形成する。
【0200】
【表8】

【0201】
活性成分を、注射用水の一部分に溶解させる。次に、その溶液を等張にする十分量の塩化ナトリウムを、撹拌しながら加える。溶液を、残りの注射用水で重量調整し、0.2ミクロンメンブランフィルターを介して濾過し、無菌条件下で包装する。
【0202】
前述の説明または請求の範囲に開示され、それらの具体的な形で、または開示の機能を実行する手段または開示の結果を達成する方法またはプロセスによって表される特徴は、適宜、単独にまたはこのような特徴のいずれかの組み合わせで、本発明をその異なった形で実現するのに利用することができる。
【0203】
前述の発明は、明確さおよび理解のために、図解および実施例によってある程度詳細に記載した。請求の範囲の範囲内で変更および修飾を行うことができるということは、当業者に明らかであろう。したがって、上の説明は、詳しく説明するためのものであり、制限するものではないということは理解されるはずである。本発明の範囲は、したがって、上の説明に関して決定されるべきではなく、それよりも、請求の範囲に関して、このような請求の範囲が与えられる均等物の全範囲と一緒に決定されるべきである。
【0204】
本明細書中に挙げられている特許、公開出願および科学文献は、当業者の知識を確定し、これによって、各々具体的に且つ個々に援用される場合と同程度にそのまま援用される。本明細書中に引用されるいずれかの参考文献と、本明細書中の具体的な内容との間の不一致はいずれも、後者を支持して解決されるであろう。同様に、語句の技術的に理解される定義と、本明細書中に具体的に示されている語句の定義との間の不一致はいずれも、後者を支持して解決されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

{式中、Rは、CH=CHAr、C≡CAr、[C(RArまたはナフチルであり、ここにおいて、該ナフチルは、[C(R0−3NRで置換されていてよく;
Arは、フェニルまたはピリジニルまたはピリダジニルであり、ここにおいて、該フェニルおよびピリジニルは、Arであって、
(a)[C(R0−3NR
(b)C1−10ヒドロキシアルキルであって、1個または2個の炭素原子が、酸素で置き換えられていることもありうるもの、但し、その置換は、過酸化物を形成しないという条件付きであるもの、
(c)C1−3アルコキシ−C1−6アルキル、
(d)カルボキシル、
(e)X[C(R1−6CO(式中、Xは、O、NRまたは結合であり、そしてRは、水素またはC1−6アルキルである)、
(f)C1−6アルコキシカルボニル、
(g)ハロゲン、
(h)[C(R0−3CN、
(i)C1−6アルキル、および
(j)C1−6ハロアルキル
から成る群より選択される1〜3個の置換基で独立して置換されていてよいものであり;
は、水素、C1−6アルコキシ、ハロゲンまたはC1−6アルキルであり;
は、A−1、A−2、A−3およびA−4
【化2】

から成る群より選択されるヘテロアリール基であって、ハロゲン、C1−6アルキル、C1−3ハロアルキル、C1−6アルコキシで置換されていてよい該ヘテロアリールであり;
は、各々の存在において独立して、水素またはC1−3アルキルであり;
は、
(a)ハロゲン、
(b)C1−6アルキルであって、1個または2個の炭素原子が、酸素で置き換えられていることもありうるもの、但し、その置換は、過酸化物を形成しないという条件付きであるもの、
(c)C1−3ハロアルキル、
(d)C1−3アルコキシ、
(e)C2−6ヒドロキシアルキルであって、1個または2個の炭素原子が、酸素で置き換えられていることもありうるもの、但し、その置換は、過酸化物またはヘミアセタールを形成しないという条件付きであるもの;
(f)NR[C(R]−C2−6ヒドロキシアルキル;
(g)シアノ−C1−3アルキル、
(h)X[C(R1−6COH、
(i)[C(R1−6NR、および
(j)X−[C(R2−6NR(式中、Xは、OまたはNRである)
から成る群より選択され;
は、水素またはCHORであり、ここにおいて、Rは、バリン、プロリンまたはP(=O)(OH)であり;
は、水素またはC1−6アルキルであり;
Yは、水素またはヒドロキシルであり;
mは、0または1であり;
およびRは、(i)各々の存在において独立して、
(a)水素、
(b)C1−6アルキル、
(c)SO(式中、Rは、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C3−7シクロアルキル、C3−7シクロアルキル−C1−3アルキル、C1−6アルコキシ−C1−6アルキルまたはSO2/Br[C(R0−6NRである)、
(d)C1−3ハロアルキル、
(e)C1−6アシル、
(f)カルバモイル、
(g)C1−3アルキルカルバモイル、
(h)C1−3ジアルキルカルバモイル、
(d)C1−6アシル、
(e)カルバモイル、
(f)C1−3アルキルカルバモイル、または
(g)C1−3ジアルキルカルバモイルであり、または
(ii)RおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてよい環状アミンであり;
およびRは、独立して、水素またはC1−6アルキルであり、またはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてよい環状アミンである}
による化合物、またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項2】
が、CH=CHArであり、そしてRが、A−1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、C1−6アルコキシまたは水素であり、そしてArが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして、空位の一つに更に置換されていてよいものである、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
が、水素であり、Rが、SOであり、ここにおいて、Rは、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、そしてRが、C1−6アルキル、C1−6アルコキシまたはハロゲンであり、そしてmが1である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
Arが、5位にNRで置換された2−ピリジニルであるかまたは、6位にNRで置換された3−ピリジニルであり、そしてピリジンが、空位の一つに更に置換されていてよく、Rが、水素であり、そしてRが、SOであり、そしてRが、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
が、ナフタレンであり、そしてRが、A−1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が、6位にNRで置換された2−ナフタレンであり、ここにおいて、Rは、水素であり、Rは、SOであり、Rが、C1−6アルコキシまたは水素であり、そしてRが、A−1である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
が、CH=CHArであり、そしてRが、A−42である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
Yが、OHであり、Arが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして、空位の一つに更に置換されていてよいものであり、Rが、水素であり、Rが、SOであり、ここにおいて、Rは、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、そしてRが、C1−6アルコキシまたは水素である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
が、CH=CHArであり、そしてRが、A−23であり、そしてRが、水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
Arが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして、空位の一つに更に置換されていてよいものであり、Rが、水素であり、Rが、SOであり、ここにおいて、Rは、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、そしてRが、C1−6アルコキシまたは水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
が、CH=CHArであり、そしてRが、A−34である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Arが、フェニルであって、4位にNRで置換され、そして、空位の一つに更に置換されていてよいものであり、Rが、水素であり、Rが、SOであり、ここにおいて、Rは、C1−6アルキル、C3−7シクロアルキルまたはC3−7シクロアルキル−C1−3アルキルであり、そしてRが、C1−6アルコキシまたは水素である、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
N−(4−{(E)−2−[3−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;
N−(4−{(E)−2−[3−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;
N−(4−{(E)−2−[3−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−5−(5−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−2−メトキシフェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;および
N−(4−{(E)−2−[3−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−5−(2,4−ジオキソ−1,2,3,4−テトラヒドロピリミジン−5−イル)−2−メトキシフェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド
から成る群より選択される請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項15】
2−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−5−メタンスルホニルアミノ安息香酸メチルエステル
2−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−5−メタンスルホニルアミノ安息香酸
N−(4−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−3−ヒドロキシメチルフェニル)−メタンスルホンアミド
N−(4−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−3−メトキシメチルフェニル)−メタンスルホンアミド
N−(6−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−5−(5−クロロ−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−2−メトキシフェニル]−ビニル}−ピリジン−3−イル)−メタンスルホンアミド
N−(5−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−ビニル}−ピリジン−2−イル)−メタンスルホンアミド
5−メタンスルホニルアミノピリジン−2−カルボン酸[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−イル)−フェニル]−アミド
N−(4−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(3−オキソ−2,3−ジヒドロピリダジン−4−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド;および
N−(4−{(E)−2−[3−[1,1−ジ(メチル−d3)エチル−2,2,2−d3]−2−メトキシ−5−(3−オキソ−3,4−ジヒドロピラジン−2−イル)−フェニル]−ビニル}−フェニル)−メタンスルホンアミド
から成る群より選択される請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容しうる塩。
【請求項16】
C型肝炎ウイルス(Hepatitis C Virus)(HCV)感染を処置する方法であって、それを必要としている患者に、治療的有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項17】
少なくとも一つの免疫系モジュレーターおよび/またはHCVの複製を阻害する少なくとも一つの抗ウイルス薬を投与することを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
免疫系モジュレーターが、インターフェロン、インターロイキン、腫瘍壊死因子またはコロニー刺激因子である、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
免疫系モジュレーターが、インターフェロンまたは化学誘導体インターフェロンである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
抗ウイルス化合物が、HCVプロテアーゼ阻害剤、別のHCVポリメラーゼ阻害剤、HCVヘリカーゼ阻害剤、HCVプライマーゼ阻害剤およびHCV融合阻害剤から成る群より選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の化合物を送達して、細胞中のHCVの複製を阻害する方法。
【請求項22】
組成物であって、請求項1に記載の化合物を、少なくとも一つの薬学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤と混合した状態で含む組成物。
【請求項23】
Hepatitis C Virus(HCV)感染による疾患の処置のための、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項24】
Hepatitis C Virus 感染による疾患を処置する薬剤の製造のための、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項25】
細胞中のHCVの複製を阻害するための、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項26】
細胞中のHCVの複製を阻害する薬剤の製造ための、請求項1に記載の式Iの化合物の使用。

【公表番号】特表2013−511489(P2013−511489A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539323(P2012−539323)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067718
【国際公開番号】WO2011/061243
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】