複葉型帆および帆走船
【課題】アスペクト比を大きくしなくても、また設置面積に比して、高揚力を発生することができる複葉型帆を提供する。
【解決手段】この複葉型帆は、複数の帆１を図示しない船上に並列に設置したものである。本例では帆１は２枚であるが、帆１の枚数は特に限定されない。但し、帆１の枚数は、帆柱２を中心とする旋回半径と最前・後尾間の帆１の総合距離とに基づく長円形状の設置面積により制限される。また、この複葉の帆１のアスペクト比は、単葉帆のアスペクト比よりも小さくなっている。また、帆１は硬質帆、軟質帆のいずれでもよい。
【解決手段】この複葉型帆は、複数の帆１を図示しない船上に並列に設置したものである。本例では帆１は２枚であるが、帆１の枚数は特に限定されない。但し、帆１の枚数は、帆柱２を中心とする旋回半径と最前・後尾間の帆１の総合距離とに基づく長円形状の設置面積により制限される。また、この複葉の帆１のアスペクト比は、単葉帆のアスペクト比よりも小さくなっている。また、帆１は硬質帆、軟質帆のいずれでもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、高揚力を発生させる複葉型帆およびその複葉型帆を装備した帆走船に関する。
【背景技術】
【０００２】
地球温暖化防止のためのＣＯ2削減や省エネルギー効果を実現するために帆走船または汽帆船が注目されている。帆走船は推進動力として風力を利用したものであり、ＣＯ2削減および省エネルギー効果を実現することができる。また、汽帆船は、一般に、無風時や悪天候時等の航行のためにエンジン等の補助機関を搭載したものである。以下においては、帆走船または汽帆船を総称して「帆走船」という。
このような帆走船において、筒状の硬質帆を入れ子状に構成して帆を上下方向に伸縮可能にしたものが提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００９−２１４６３３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
船に帆を装備した場合、大面積の帆を装備すれば、帆の揚力が増大するが、船上で帆を装備可能な場所は限定されているので、帆の面積を大きくすることには限界がある。また、帆は相対風を受けて揚力を発生させる三次元翼に相当するものであり、帆の高さ（翼のスパン長さに相当）と帆の幅（翼のコード長）の比、つまりアスペクト比を大とすれば、発生揚力が大となるが、帆および帆柱の高さには制限が生じるため、アスペクト比を大とすることには困難な問題がある。
【０００５】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、アスペクト比を大きくしなくても、また設置面積に比して、高揚力を発生することができる複葉型帆およびこの複葉型帆を装備した帆走船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明に係る複葉型帆は、帆走船に装備される帆であって、複数の帆を並列に設置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、アスペクト比を大きくしなくても、帆の総面積を増大させることができるので、設置面積（甲板上で帆装置が専有する面積をいう）に比べて高揚力を発生させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】本発明の実施の形態における複葉型帆の概要図である。
【図２】複葉型帆の帆形状の一例を示す図である。
【図３】複葉型帆の帆形状の他の例を示す図である。
【図４】単葉帆と複葉型帆の揚力係数の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【００１０】
図１は、本発明の実施の形態における複葉型帆の概要図である。
図１に示すように、この複葉型帆は、複数の帆１を図示しない船上に並列に設置したものである。本例では帆１は２枚であるが、帆１の枚数は特に限定されない。但し、帆１の枚数は、帆柱２を中心とする旋回半径と最前・後尾間の帆１の総合距離とに基づく長円形状の設置面積により制限される。また、この複葉の帆１のアスペクト比は、単葉帆のアスペクト比よりも小さくなっている。また、帆１は硬質帆、軟質帆のいずれでもよい。
【００１１】
また、帆１の断面形状は、特に限定されない。例えば、図２に示すような円弧状、あるいは図３に示すような折り曲げ平板状に形成される。このように同じ形状をした帆１を複数並列に設置することにより、設置面積に比較して、帆１の総面積を増大させる。そして、複数の帆１の隣接間距離を適切に調整すれば、帆１の旋回を考慮した設置面積はほとんど増大することはない。
また、例えば２枚の複葉型帆を並列に連結すれば帆柱２が１本ですむ構成とすることもできる。
【００１２】
図４は、単葉帆と複葉型帆の揚力係数の比較図である。図４に示すように、複葉型帆と同一の投影面積の円弧断面単葉帆（１枚帆）と比較した場合、１．８倍以上の揚力が発生する。また、図３のような折り曲げ平板状の帆１の複葉型とした場合であっても同様に高揚力を発生させることができる。したがって、アスペクト比を大きくしなくても、設置面積に比べて高揚力を発生させることができる。
【符号の説明】
【００１３】
１ 帆
２ 帆柱
【技術分野】
【０００１】
本発明は、高揚力を発生させる複葉型帆およびその複葉型帆を装備した帆走船に関する。
【背景技術】
【０００２】
地球温暖化防止のためのＣＯ2削減や省エネルギー効果を実現するために帆走船または汽帆船が注目されている。帆走船は推進動力として風力を利用したものであり、ＣＯ2削減および省エネルギー効果を実現することができる。また、汽帆船は、一般に、無風時や悪天候時等の航行のためにエンジン等の補助機関を搭載したものである。以下においては、帆走船または汽帆船を総称して「帆走船」という。
このような帆走船において、筒状の硬質帆を入れ子状に構成して帆を上下方向に伸縮可能にしたものが提案されている（例えば、特許文献１参照）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００９−２１４６３３号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
船に帆を装備した場合、大面積の帆を装備すれば、帆の揚力が増大するが、船上で帆を装備可能な場所は限定されているので、帆の面積を大きくすることには限界がある。また、帆は相対風を受けて揚力を発生させる三次元翼に相当するものであり、帆の高さ（翼のスパン長さに相当）と帆の幅（翼のコード長）の比、つまりアスペクト比を大とすれば、発生揚力が大となるが、帆および帆柱の高さには制限が生じるため、アスペクト比を大とすることには困難な問題がある。
【０００５】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、アスペクト比を大きくしなくても、また設置面積に比して、高揚力を発生することができる複葉型帆およびこの複葉型帆を装備した帆走船を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明に係る複葉型帆は、帆走船に装備される帆であって、複数の帆を並列に設置したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【０００７】
本発明によれば、アスペクト比を大きくしなくても、帆の総面積を増大させることができるので、設置面積（甲板上で帆装置が専有する面積をいう）に比べて高揚力を発生させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【０００８】
【図１】本発明の実施の形態における複葉型帆の概要図である。
【図２】複葉型帆の帆形状の一例を示す図である。
【図３】複葉型帆の帆形状の他の例を示す図である。
【図４】単葉帆と複葉型帆の揚力係数の比較図である。
【発明を実施するための形態】
【０００９】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【００１０】
図１は、本発明の実施の形態における複葉型帆の概要図である。
図１に示すように、この複葉型帆は、複数の帆１を図示しない船上に並列に設置したものである。本例では帆１は２枚であるが、帆１の枚数は特に限定されない。但し、帆１の枚数は、帆柱２を中心とする旋回半径と最前・後尾間の帆１の総合距離とに基づく長円形状の設置面積により制限される。また、この複葉の帆１のアスペクト比は、単葉帆のアスペクト比よりも小さくなっている。また、帆１は硬質帆、軟質帆のいずれでもよい。
【００１１】
また、帆１の断面形状は、特に限定されない。例えば、図２に示すような円弧状、あるいは図３に示すような折り曲げ平板状に形成される。このように同じ形状をした帆１を複数並列に設置することにより、設置面積に比較して、帆１の総面積を増大させる。そして、複数の帆１の隣接間距離を適切に調整すれば、帆１の旋回を考慮した設置面積はほとんど増大することはない。
また、例えば２枚の複葉型帆を並列に連結すれば帆柱２が１本ですむ構成とすることもできる。
【００１２】
図４は、単葉帆と複葉型帆の揚力係数の比較図である。図４に示すように、複葉型帆と同一の投影面積の円弧断面単葉帆（１枚帆）と比較した場合、１．８倍以上の揚力が発生する。また、図３のような折り曲げ平板状の帆１の複葉型とした場合であっても同様に高揚力を発生させることができる。したがって、アスペクト比を大きくしなくても、設置面積に比べて高揚力を発生させることができる。
【符号の説明】
【００１３】
１ 帆
２ 帆柱
【特許請求の範囲】
【請求項１】
帆走船に装備される帆であって、複数の帆を並列に設置したことを特徴とする複葉型帆。
【請求項２】
前記帆の断面形状が、円弧状または折り曲げ平板状となっていることを特徴とする請求項１に記載の複葉型帆。
【請求項３】
請求項１または２に記載の複葉型帆を装備したことを特徴とする帆走船。
【請求項１】
帆走船に装備される帆であって、複数の帆を並列に設置したことを特徴とする複葉型帆。
【請求項２】
前記帆の断面形状が、円弧状または折り曲げ平板状となっていることを特徴とする請求項１に記載の複葉型帆。
【請求項３】
請求項１または２に記載の複葉型帆を装備したことを特徴とする帆走船。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図２】
【図３】
【図４】
【公開番号】特開２０１２−２５４７５５（Ｐ２０１２−２５４７５５Ａ）
【公開日】平成２４年１２月２７日（２０１２．１２．２７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−１２９９７９（Ｐ２０１１−１２９９７９）
【出願日】平成２３年６月１０日（２０１１．６．１０）
【出願人】（５０２１１６９２２）ユニバーサル造船株式会社 (172)
【公開日】平成２４年１２月２７日（２０１２．１２．２７）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年６月１０日（２０１１．６．１０）
【出願人】（５０２１１６９２２）ユニバーサル造船株式会社 (172)
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