説明

複製用型の製造方法、ナノホール構造体の製造方法、及び磁気記録媒体の製造方法

【課題】複製用型を製造する際に、基板上の凹凸パターンが粒子懸濁液によって、変形したり、剥離したりしない複製用型の製造方法を提供する。
【解決手段】基板上に、粒子が懸濁した粒子懸濁液に対して溶解しない材料を用いて凸部を有する第1の凹凸パターンを形成する、凹凸パターン形成工程と、前記第1の凹凸パターンが形成された基板を前記粒子懸濁液に浸漬し、前記第1の凹凸パターンの表面に前記粒子を配列させる粒子配列パターン形成工程と、前記粒子配列パターンを転写して、該粒子配列パターンの反転パターンを有するモールドを形成する第1の転写工程と、前記モールドに形成されたパターンを更に転写して、第2の凹凸パターンを有する複製用型を形成する第2の転写工程とを含むことを特徴とする、複製用型の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気記録媒体等に好適なナノホール構造体の製造に好適に使用することができる複製用型(スタンパ)の製造方法、複製用型を使用したナノホール構造体の製造方法、及び磁気記録媒体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体や磁気記録媒体等の電子デバイスを中心として、ナノオーダーの微細構造作製に関する研究開発が盛んである。特に、情報化社会の高度化に伴い、磁気記録媒体の高密度・大容量化が求められている中で、高密度磁気記録媒体の研究開発は熱を帯びている。
【0003】
従来、磁気記録媒体では連続磁性膜の面内記録方式が採用され、連続磁性膜を形成する磁性粒子の粒径を小さくするなどの種々の技術で高密度化がなされてきた。しかし、昨今、面内記録方式の磁気記録媒体においては更なる高密度化の限界を迎えている。最近では、前記面内記録方式に代わる新しい記録方式の研究が盛んである。中でも、磁気記録媒体における磁性膜を連続膜とせずにドット等のパターン状とし、更にそのパターンをナノメートルオーダーの単磁区構造としたパターンドメディアを用いる記録方式の研究が特に盛んである。
【0004】
パターンドメディアの作製プロセスにおいて、ナノメートルサイズのパターンをインチサイズの媒体全面に高精度かつ低コストで形成することを目的として、種々の手法が研究されている。例えば、特許文献1には、陽極酸化アルミナナノホールを用いる場合、陽極酸化の前に陽極酸化の起点となる窪みをアルミニウムにつけることで、ナノホールの秩序配列が可能となることが開示されている。
【0005】
アルミニウムに窪みをつける手法としては、微細構造を表面に有する複製用型をアルミニウムに直接押し付ける手法や、アルミニウムに樹脂を塗布し、その樹脂に対して複製用型を押し付け、続いてエッチング等により微細構造パターンをアルミニウムに転写する手法などが挙げられる。
【0006】
ここで、微細構造を表面に有する複製用型を生産性良く作製する手法として、基板上にナノメートルサイズの粒子を配列させる手法が研究されている。例えば、特許文献2には、基板上に凹凸ラインを形成し、その凹凸ライン上に粒子を単層配列させた後、その粒子の配列パターンを複製用型形成材料に転写して、複製用型を作製可能であることが開示されている。
【0007】
複製用型を作製する際に、凹凸ラインを形成する手法としては、例えば、生産性に優れる点から、基板上に樹脂層を形成した後モールドを用いたインプリント法により樹脂層をパターニングし、エッチング処理等を行う方法が挙げられる。また、凹凸ラインを形成する別の手法としては、フォトレジスト層を形成した後、通常のフォトリソグラフィー工程により該フォトレジスト層をパターニングし、エッチング処理等を行う方法が挙げられる。
【0008】
凹凸ラインの凹部及び凸部に粒子を配列するプロセスとしては、引上げ法や遠心分離法などが挙げられる。引上げ法は、粒子懸濁液に基板を浸漬後、低速にて基板を引き上げることで、基板−粒子懸濁液界面において粒子を配列させる。遠心分離法は、粒子懸濁液に基板を浸漬し、遠心分離による遠心力にて粒子を基板に付着させる。
【0009】
樹脂を用いて凹凸ラインが形成された基板を用いる場合、樹脂は粒子懸濁液に浸漬させると、溶解したり、剥離したり、割れが生じたりする場合がある。その樹脂の溶解、剥離、及び割れは、基板上に塗布された樹脂の面積の増大に伴い顕著となる。中でも引上げ法を用いる場合、遠心分離法を用いる場合に比べて上記基板を粒子懸濁液に長時間浸漬させる必要がある。このため、引上げ法をインチサイズが必要な磁気記録媒体等の形成に使用する複製用型の製造方法に適用すると、凹凸形状が場所によって異なるという問題が生じる。
【0010】
上記基板の凹凸形状が変化すると、粒子を所望の位置に配列させることができないため、最終的に設計どおりの形状の複製用型を得られない。また、このようにして作製された複製用型を用いて製造した磁気記録媒体は、磁気記録装置において記録、再生エラーを発生させやすい。
【特許文献1】特開平10−121292号公報
【特許文献2】特開2006−346820号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記問題点に鑑み、本発明は、複製用型を製造する際に、基板上の凹凸パターンが粒子懸濁液によって、変形したり、剥離したりしない複製用型の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の複製用型の製造方法は、他の基板上に凹凸パターンを複製する複製用型を作成する複製用型の製造方法において、基板上に、粒子が懸濁した粒子懸濁液に対して溶解しない材料を用いて凸部を有する第1の凹凸パターンを形成する、凹凸パターン形成工程と、前記凹凸パターンが形成された基板を前記粒子懸濁液に浸漬し、前記第1の凹凸パターンの表面に前記粒子を配列させる粒子配列パターン形成工程と、前記粒子配列パターンを転写して、該粒子配列パターンの反転パターンを有するモールドを形成する第1の転写工程と、前記モールドに形成されたパターンを更に転写して、第2の凹凸パターンを有する複製用型を形成する第2の転写工程とを含むことを特徴とする。
【0013】
本発明の複製用型の製造方法は、更に前記凸部がSi、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属単体、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物の中から選択される少なくとも1種類のパターン形成材料を含むことが好ましい。
【0014】
本発明の複製用型の製造方法は、更に前記凸部の半値幅が、80nm以下であることが好ましい。
【0015】
本発明の複製用型の製造方法は、更に前記凹凸パターン形成工程において、前記基板がSi又はシリコン酸化物基板であり、且つ前記パターン形成材料がSi又はシリコン酸化物から選択されることが好ましい。
【0016】
本発明の複製用型の製造方法は、更に前記第1の凹凸パターン形成工程において、基板に積層された樹脂層上に、樹脂パターン形成用複製用型に形成されているパターンを転写し、前記基板上に樹脂パターンを形成する工程と、前記樹脂パターンが形成された基板上に前記パターン形成材料を積層する工程と、前記樹脂パターンを除去することにより、前記パターン形成材料からなる凸部を有する第1の凹凸パターンを形成する工程を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の複製用型の製造方法は、更に前記粒子配列パターンに離型剤を塗布する工程を含むことが好ましい。
【0018】
本発明のナノホール構造体の製造方法は、ナノホールを有するナノホール構造体の製造方法において、上記複製用型の製造方法により製造された複製用型を用いて、ナノホール形成の基準となるナノホール形成用基点を基板上に形成する工程と、該基板の前記ナノホール形成用基点が形成された箇所に対するナノホール形成処理を行う工程とを有すること特徴とする。
【0019】
本発明の磁気記録媒体の製造方法は、基板上にナノホールが複数形成され、該ナノホールの内部に磁性材料を有する磁気記録媒体を製造する方法において、上記複製用型の製造方法により製造された複製用型を用いて、該基板上にナノホール形成用基点を形成する工程と、該ナノホール形成用基点を基準として、前記基板に対しナノホールを複数形成する工程と、該ナノホールの内部に磁性材料を充填する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明の複製用型の製造方法によれば、凹凸を有する基板を粒子懸濁液に浸漬する工程において、凹凸パターンの形状を保持することができる。このため、該基板の凹凸部への粒子の配列、及び得られる複製用型の形状に乱れが生じない。
【0021】
本発明のナノホール構造体の製造方法によれば、上記複製用型の製造方法により得られる複製用型を使用することにより、意図したパターンのナノホールを有する多孔質層を形成することができる。
【0022】
本発明の磁気記録媒体の製造方法によれば、上記複製用型の製造方法により得られる複製用型を用いることにより、意図した磁性膜のパターンを有するパターンドメディアを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の一実施形態による複製用型の製造方法は、他の基板上に凹凸パターンを複製する複製用型の製造方法に関する。本発明の一実施形態によるナノホール構造体の製造方法は、上記複製用型の製造方法により得られる複製用型を使用して、ナノホールの配列の複数が交互に隣接し、その隣接する配列が互いに異なるナノホールが形成されたナノホール構造体を製造する方法に関する。本発明の一実施形態による磁気記録媒体の製造方法は、上記複製用型の製造方法により得られる複製用型を使用することにより基板上にナノホールが複数形成され、そのナノホールの内部に磁性材料を有する磁気記録媒体を製造する方法に関する。以下、それぞれの製造方法の実施の形態について順に述べる。
1.複製用型の製造方法
本発明の一実施形態による複製用型の製造方法は、凹凸パターン形成工程と、凹凸パターン形成工程で形成された凹凸パターンの表面に粒子を配列する粒子配列パターン形成工程と、粒子配列パターン形成工程で形成された粒子配列パターンを転写し、複製用型を形成する工程を含む。
【0024】
まず、本実施形態の複製用型の製造方法により得られる複製用型について説明する。
【0025】
複製用型は、後述するナノホール構造体を製造するために用いる、表面に凹凸パターンが形成された複製用型であり、ナノホール構造体を構成する材料に複製用型表面の凹凸パターンが複製される。複製用型の材料、形状、構造、大きさ等について特に制限はない。複製用型の材料、形状、あるいは大きさ等は、目的に応じて適宜選択することができる。
【0026】
複製用型の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、円板状(ディスク状)、などが好適に挙げられる。ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、複製用型の形状は円板状(ディスク状)であるのが好ましい。
【0027】
尚、複製用型の形状が板状、円板状等である場合には、複製用型を用いて後述するナノホール構造体を構成する金属基板上に作製されるナノホール(細孔)は、金属基板の露出面(板面)に対し、略直交する方向に形成される。
【0028】
複製用型の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、複製用型を用いて形成されるナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、既存のハードディスク等の大きさに対応した大きさが好ましく、ナノホール構造体をDNAチップ等に適用する場合には、既存のDNAチップ等の大きさに対応した大きさが好ましく、ナノホール構造体を電解放出装置用のカーボンナノチューブ等の触媒基板に適用する場合には、電解放出装置に対応した大きさが好ましい。
【0029】
複製用型の表面に形成される凹凸パターン形状は、本実施形態における粒子配列パターン形成工程において基板上に形成される粒子の配列パターンが複写されたものである。
【0030】
粒子配列パターンは、凹凸パターンが形成された基板上に粒子を配列することにより形成される。本実施形態において、粒子配列パターンは特に限定されるものではなく、例えば、一方向に複数の粒子配列パターンを平行に配列していてもよいし、同心円状あるいは螺旋状に配列していてもよい。また、粒子配列パターンは規則的配列を有していても、不規則な配列を有していても良い。
【0031】
粒子配列パターンが、例えば、基板上に粒子が規則的に配列した規則配列と、規則配列に隣接する他の配列(例として基板上の粒子が規則的に配列していない不規則配列)を有する場合、本実施形態により得られる複製用型を用いることにより、規則配列と、規則配列に隣接する他の配列を有するナノホール構造体を得る。
【0032】
本実施形態において、規則的に配列とは、最低一つの軸方向へ周期的に粒子が配列した状態をいう。この軸には直線軸のほか、曲線軸も含まれるものとする。
図1は、粒子配列パターンが形成された基板の表面における粒子の配列状況の例を示す概略説明図である。図1の概略説明図は、凹凸パターンの表面に向かって観察した平面図(上図)と、その平面図のX−Y断面における断面図(下図)からなる。
【0033】
図1A及び図1Bは凹部72に規則的配列を有し、凸部73に不規則な配列を有する粒子配列パターンの例である。凹部72において、粒子は周期的に配列している。図1Bの凹部の粒子は最密充填構造を有している。
【0034】
図1Cは粒子配列パターンの別の例である。図1Cの凹部72の粒子配列パターンは、粒子が周期的に配列している部分P、Pと、粒子の周期的配列が乱れている部分Qを有する、いわゆるドメイン構造をとっている。このような配列パターンは本実施形態においては規則的に配列しているとは呼ばない。
【0035】
こうして得られたナノホール構造体は、規則配列をデータ領域とし、規則配列に隣接する他の配列をガードバンド領域として、ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に応用することができる。この磁気記録媒体は、データ領域に適当する規則配列とガードバンド領域に適当する配列とが互いに異なるため、配列の相違を利用してトラッキングを容易に行うことができる。
【0036】
以下、本実施形態による複製用型の製造方法の各工程について順に説明する。
(凹凸パターン形成工程)
凹凸パターン形成工程は、基板上に、後述の粒子懸濁液に対して溶解しない材料を用いて凸部を有する凹凸パターンを形成する工程である。このような材料を用いて形成された凹凸パターンは、後述する粒子配列パターン形成工程において、粒子懸濁液に浸漬する際粒子懸濁液に溶解しないために、その形状が保持される。
【0037】
基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜材料を選択することができる。基板材料としては、例えば、Si(シリコン)、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属単体、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物等が挙げられる。また、上記材料を表面に有する各種ポリマー、Si、金属、金属酸化物、ガラス、セラミックスなども好適に使用することができる。
【0038】
基板の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、通常、板状であるが、シート状、フィルム状などであってもよい。
【0039】
凹凸パターンを構成する粒子懸濁液に対して溶解しない材料は、特に限定されるものではない。この材料は、例えば、Si、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属単体、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物の中から選択される少なくとも1種類のパターン形成材料を含むことが好ましい。
【0040】
パターン形成材料により基板上に形成された凹凸パターンは、主に共有結合や金属結合により形状を保持している。このため、後述の粒子配列パターン形成工程において、粒子懸濁液はこれらの結合を切断して構造を崩壊させることができない。よって、粒子配列パターン形成工程前後で、凹凸パターンの形状は変化がない。
【0041】
一方、凸部が樹脂で形成されている場合、凸部は樹脂を構成する高分子同士の分子間力による結合で形状を保持している。分子間力による結合は共有結合や金属結合よりも弱い結合である。このため、後述の粒子懸濁液に含まれる水等の分散媒や、界面活性剤等の添加剤は、その高分子の炭素鎖間及び分子間に入りこむことができる。よって樹脂で形成されたパターンを後述の粒子懸濁液に長時間浸漬すると、該パターンが溶解したり、剥離したり、割れが生じたりする恐れがある。特に、凸部の半値幅が80nm以下の場合、パターンの溶解、剥離、割れが生じやすい。
【0042】
凹凸パターンにおける凸部の幅さとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本実施形態の複製用型は、特に凹凸パターン形成工程において、凸部の半値幅が80nm以下の場合であっても該凸部の溶解、剥離、割れが生じにくい点において優れている。
【0043】
尚、凸部の半値幅の下限は、CMPやエッチングなどのプロセス精度の点から、現状10nm程度である。
【0044】
凹凸パターンの断面形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、四角形状、V形状、半円形状などが挙げられる。これらの中でも、粒子を凹凸パターン上に容易に配列させることができる点で、四角形状が好ましい。
【0045】
基板及びパターン形成材料は、基板がSi又はシリコン酸化物基板であり、且つパターン形成材料がSiあるいはシリコン酸化物から選択される組み合わせであることが好ましい。この組み合わせでは、基板及び凹凸パターン部にはいずれもSi元素が含まれる。このように基板及び凹凸パターンに同系元素を含む場合、基板−凹凸パターン間の密着性が向上する。すると、後述の粒子配列パターン形成工程において、凹凸パターンが基板から剥離しにくくなる。
【0046】
尚、基板及びパターン形成材料は、更に凹凸パターン上の粒子の配列の設計によって選択することができる。
【0047】
後述の粒子懸濁液に含まれる粒子は、通常自己集合能力を有している。ここで、自己集合能力とは基板が粒子懸濁液に浸漬され、その後、基板上に付着した該粒子懸濁液の分散液が揮発する過程において、粒子が規則的に配列する性質を意味する。
【0048】
一般に、凹凸パターンを有する基板を液体に浸漬する際、凹形状の部分に液体架橋(いわゆるメニスカス)が形成されやすい。この液体架橋は、凹部に対して強く吸着する性質を有する。このため粒子は凹部に規則的に配列されやすい。しかし、凹凸形状の制御のみでは、凹部の一部に粒子が規則的に配列されない場合(ドメイン構造をとる場合)があった。
【0049】
凹部に粒子を規則的に配列したい場合には、基板の材料として特にガラス等のシリコン酸化物あるいは金属酸化物を用いることが好ましい。理由は以下のとおりである。上記材料は、通常、水に対する接触角が30°以下であり、水に対する濡れ性が比較的高い。粒子懸濁液は通常分散媒として多量の水を含むため、上記材料は粒子懸濁液に対する濡れ性も高い。このため、凹部において、粒子懸濁液に含まれる粒子の自己集合能力は阻害されにくく、粒子は規則的に配列される。
【0050】
更に、凸部に粒子が不規則に散在した粒子配列パターンを形成する場合には、パターン形成材料はSiあるいは金属単体から選択されることが好ましい。これらの材料は、水に対する接触角が通常60°以上であり、基板がシリコン酸化物あるいは金属酸化物により構成される場合、基板の材料よりも水を含む粒子懸濁液に対する濡れ性が低い。よって、粒子は凸部に付着しにくく、凸部上には規則的配列が形成されにくい。金属単体としては、例えば、Ta、Al、W等が好ましく用いられる。
【0051】
凹部に粒子を規則的に配列し、凸部に粒子を不規則に配列した粒子配列パターンから製造される複製用型は、規則的な配列と不規則な配列を交互に有する表面形状を有する。この複製用型を用いて得られる磁気記録媒体は、規則的配列に対応するナノホールをデータ領域として使用することができ、不規則配列に対応するナノホールをガードバンド領域として使用することができる。この磁気記録媒体は、データ領域に適当する規則配列とガードバンド領域に適当する配列とが互いに異なるため、配列の相違を利用してトラッキングを容易に行うことができる。
【0052】
基板上にパターン形成材料を含む凸部を有する凹凸パターンを形成する方法に特に制限はないが、例えば以下のような方法が挙げられる。
【0053】
図2〜4は、本実施形態の凹凸パターン形成工程の一例を示す模式的断面図である。表面に酸化膜を持つSiウェハ等の基板11上に、溶媒により希釈した樹脂をスピンコート法により塗布した後に、溶媒の揮発を目的として基板11をベークし、基板表面に樹脂層12を形成する(図2A)。樹脂の種類は特に限定されないが、例えば、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)等の熱可塑性ポリマーや、各種樹脂レジストを用いることができる。
【0054】
次いで、所定の周期および深さを有する凹凸を表面に有するモールド13を、塗布された樹脂のガラス転移点以上に加熱した基板11上に押し付ける(図2B)。モールド13の表面に形成された凹凸は、複製用型に形成すべき凹凸パターンに対応したパターンからなる。次いで、モールド13を樹脂層12から離すことにより、樹脂層12の表面にモールドの凹凸が反転した凹凸パターン14が転写される(図2C)。
【0055】
モールド13を得る方法は特に限定されない。モールド13は、例えば、以下の方法により形成することができる。まず、シリコンウェハ上にレジストを塗布し、塗布したレジストに電子線(EB)を照射し、現像して、シリコンウェハ上にレジストパターンを形成する。そして、形成したレジストパターンをマスクとしてシリコンウェハをエッチングすることにより、モールド13を形成する。
【0056】
尚、図2A〜Cの工程はインプリント処理と呼ばれる。次いで、樹脂層12に凹凸パターンを転写した基板11に、エッチング処理を行うことで、凹凸パターン14の凹部の樹脂を除去し、基板11表面の酸化膜を露出する。基板11上には樹脂の凸部15が残る(図2D)。
【0057】
次に、図2Dに示す樹脂の凸部15を有する基板11に、パターン形成材料からなる凸部を形成する。その方法としては、例えば、リフトオフを用いる方法、及び化学的機械的研磨(CMP)を用いる方法がある。これらの方法によれば、例えばインプリント処理や、エッチング処理を用いて形成される凹凸パターンに比べて、凸部の高さを精密に制御することができる。このため、基板全体にわたって凸部の高さのばらつきが小さいパターンを形成することが可能となる。
【0058】
以下、リフトオフを用いて、凸部を形成する方法について図3を用いて説明する。
【0059】
まず、図2Dの樹脂凹凸パターン面14(図3においては21)に対して、パターン形成材料層24、25を堆積する(図3A)。パターン形成材料24、25の堆積方法は特に限定されないが、材料に応じて、蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等、各種堆積方法の中から選択することができる。中でも、密着力の観点から、原子が高エネルギーとなって基板に堆積するスパッタリング法が好ましい。パターン形成材料層24、25の厚さは、後工程においてリフトオフを行うため、基板23上の樹脂凸部21の高さに対して2分の1以下が好ましく、3分の1以下が特に好ましい。
【0060】
次にリフトオフにより、図3Aの基板23の樹脂パターンの凸部21と共に凸部21上のパターン形成材料層24を除去する(図3B)。リフトオフに用いるリムーバーとしては、樹脂を溶解可能な溶媒であれば特に限定されないが、例えば、アセトンやキシレン等の有機溶剤を用いることができる。基板23表面の酸化膜上に直接堆積されたパターン形成材料層25は有機溶剤に溶解しないため、その形状を保持して基板表面に残り、パターン形成材料からなる凸部26を形成する。
【0061】
以下、化学的機械的研磨を用いて、凸部を形成する方法について図4を用いて説明する。
【0062】
まず、図2Dの樹脂凹凸パターン12(図4において31)面に対して、パターン形成材料層33を堆積する(図4A)。パターン形成材料層33の形成方法は特に限定されず、図3Aの積層体を得る工程と同様に材料に応じて選択することができる。この際、パターン形成材料33の厚さは、樹脂凸部31の高さを超えることを要する。
【0063】
次に、化学的機械的研磨により、凹凸パターン31面に堆積させたパターン形成材料層33の表面を研磨して、樹脂凸部31の上端を露出させる(図4B)。続いて、樹脂凸部31を基板32から除去することで、パターン形成材料からなる凸部34を表面に有する基板32を得ることができる(図4C)。樹脂凸部31を除去する方法は特に限定されないが、例えば、アセトンやキシレン等の有機溶剤により溶解除去する方法や、酸素プラズマアッシング等によりドライエッチングする方法が挙げられる。
【0064】
尚、上述の凹凸パターン形成工程において形成される凸部を有する凹凸パターンは、本発明の複製用型の製造方法における第1の凹凸パターンの一具体例である。
(粒子配列パターン形成工程)
粒子配列パターン形成工程は、上記の凹凸パターン形成工程により凹凸パターンが形成された基板を粒子懸濁液に浸漬し、凹凸パターンの表面に粒子を配列する工程である。本実施形態では、凹凸パターン形成工程において粒子懸濁液に対して溶解しない材料を用いて凸部を基板上に形成しているため、本工程において基板上の凸部の形状は保持される。よって、凹部と凸部にそれぞれ意図した(設計どおりの)粒子配列パターンが形成される。
【0065】
粒子懸濁液は、粒子を分散液中に分散したものである。
【0066】
粒子の材料は特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機ポリマー、金属、金属酸化物、あるいは金属水酸化物から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。具体的には、ポリスチレン、シリカ、ITO、あるいは金から選択される少なくとも1種を含むのが好ましい。特に、基板がシリコン酸化物基板又は金属酸化物基板である場合には、凹凸パターンの凹部に規則的に配列することが容易な点から粒子としてシリカを用いることが好ましい。なお、各種有機ポリマー粒子、金属酸化物粒子、金属水酸化物粒子などの表面にITOや金を被覆して使用してもよい。
【0067】
粒子の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本実施形態の複製用型の製造方法により得られる複製用型を後述するナノホール構造体の製造に使用する場合、粒子の形状は、後述するナノホール形成用起点を形成しうる点、及び最密化した状態の単粒子層を形成し易い点で、球状が好ましい。
【0068】
粒子の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。本実施形態の複製用型の製造方法により得られる複製用型を後述するナノホール構造体の製造に使用する場合、粒子の大きさは、ナノホール形成用起点を形成しうる点で、平均粒子径が所望のナノホールのピッチと略同一であるのが好ましく、例えば、5〜100nmが好ましく、5〜25nmがより好ましい。なお、粒子の平均粒子径が、5nm未満であると、後の工程で実施される陽極酸化によって所望のピッチのナノホールを得ることが困難になることがあり、平均粒子径が100nmを超えると、磁気ディスクとして利用する上で容量不足となることがある。
【0069】
粒子の粒度分布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、粒子の変動係数が小さいほど好ましい。例えば、粒子の変動係数は10%以下が好ましく、5%以下がより好ましく、0%が特に好ましい。
【0070】
尚、変動係数は、平均値に対する測定値のばらつきの程度を示し、下記式(1)に基づいて算出することができる。
【0071】
Cv(%)=σ/<X>×100・・・(1)
但し、Cvは変動係数、σは標準偏差、<X>は平均値を表す。
【0072】
粒子の変動係数が10%を超えると、粒子の面内での結晶性が低下する可能性が出てくる。ナノホール構造体がハードディスク等の磁気記録媒体に適当する場合、ナノホールの内部に形成された磁性層からの磁気信号パルスの周期性が低下し、S/N比の悪化につながることがある。
【0073】
分散液は、少なくとも分散媒を含み、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を含む。
【0074】
分散媒の種別は、特に限定されないが、例えば水やエタノールが好ましく用いられる。
【0075】
界面活性剤は、アニオン系、カチオン系、非イオン系、あるいは両性イオン系の各種界面活性剤を適宜選択して使用することができる。
【0076】
アニオン系界面活性剤としては、例えば、長鎖アルキルに、硫酸エステル基、リン酸エステル基、カルボン酸基、スルホン酸基等の官能基を有する化合物が使用される。具体的には、硫酸ドデシルナトリウム等が使用される。
【0077】
カチオン系界面活性剤としては、例えば、長鎖アルキルに、アミン基、第4級アンモニウム基等の官能基を有する化合物が使用される。具体的には、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド等が使用される。
【0078】
非イオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルエステル類、アルキルエーテル類等の化合物が使用される。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等が使用される。
【0079】
分散液は、添加剤として界面活性剤のほか、例えば、ポリスチレン等のポリマー、アジ化ナトリウム等の塩を含んでいても良い。
【0080】
凹凸パターンが形成された基板を粒子懸濁液に浸漬する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、引き上げ法、遠心法などが挙げられる。これらの中でも、粒子の配列性に優れる点から引き上げ法が好ましい。
【0081】
引き上げ法は、粒子を溶媒に分散させて得られた粒子懸濁液中に、基板を浸漬した後、機械的に引き上げることにより、基板上に粒子の膜を形成する方法である。
【0082】
図5は引き上げ法により粒子配列パターンを形成する工程を示した断面図である。図5における基板41は、図3における基板23、図4における基板32である。図5におけるパターン形成材料からなる凸部42は図3における凸部26、図4における凸部34である。まず、パターン形成材料からなる凸部42を表面に有する基板41を粒子懸濁液44の液面45に対して垂直に浸す(図5A)。次いで、基板41を粒子懸濁液の液面45に対して垂直になるように機械的に引上げる。引き上げの際、液面において基板上に粒子が配列される(図5B)。
【0083】
基板の引き上げ速度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、基板引き上げ速度は相対的に低速度であることが好ましい。例えば、平均粒子径60nmの粒子の濃度が1質量%の粒子懸濁液を用いた場合、0.03〜0.1mm/min程度であるのが好ましい。この場合、粒子を基板上に単層配列させることができる。このように引き上げ速度が低速度である場合、凸部42は粒子懸濁液中に長時間浸漬されるが、凸部42は粒子懸濁液への長時間の浸漬によっても形状が変化しない。
【0084】
粒子懸濁液から基板を引き上げる際に、樹脂凸部を有する基板では、その樹脂の割れ、剥離、溶解等の欠陥を生じるが、金属凸部を有する基板では、応力による凸部の割れが生じにくく、また粒子懸濁液に対して金属凸部の溶解も無い。したがって、粒子懸濁液からの基板引上げプロセスを、基板表面の凹凸パターンに欠陥を生じさせることなく、安定して行うことができる。
【0085】
一方、遠心法は、粒子懸濁液中に基板を入れ、遠心分離を行うことにより、基板上に粒子を圧着させて粒子の膜を形成する方法であり、具体的には、例えば、遠心管内に粒子懸濁液を入れ、遠心管の底部に基板を配置させ、遠心機を作動させて回転させることにより、基板表面に粒子の単粒子層を形成させることができる。
【0086】
遠心法を遠心機を用いて行う場合、遠心機の回転数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、15,000rpm(13,000G)以上が好ましい。
【0087】
なお、遠心機の回転数が、15,000rpm未満であると、粒子の単粒子層の配列状態が最密化されにくくなることがある。
【0088】
遠心機の回転時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、5〜120分が好ましく、5〜60分がより好ましい。
【0089】
なお、遠心機の回転時間が5分未満であると、単粒子層の配列状態が最密化されにくいことがあり、回転時間が120分を超えると、その時点で分散液中に存在する粒子の大半が沈降してしまうことがあり、スループット上、余計な時間を費やすこととなる。
【0090】
基板上に形成されるべき粒子の配列パターンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。図5(C)は本工程により得られる粒子配列パターンの一例を示す断面模式図である。図5(C)の粒子配列パターンは基板41に形成されたパターン形成材料からなる凸部42の凹部の表面に粒子43が配列され、凹凸パターン42の凸部の表面には粒子が配列されていない。
【0091】
以上の工程により、基板に形成された凹凸パターン上に粒子がパターン状に単層配列される。
(パターン転写工程)
パターン転写工程は、粒子配列パターン形成工程により得られた粒子の配列パターンを複製用型形成材料に転写する工程である。本工程は、粒子配列パターンを転写して、粒子配列パターンの反転パターンを有するモールドを形成する第1の転写工程と、モールドのパターンを更に転写して、凹凸パターンを有する複製用型を形成する第2の転写工程を含む。
【0092】
複製用型を形成する際には、上記第1の転写工程と、第2の転写工程は通常1回ずつ行われる。但し、第1の転写工程で得られたモールドを用いて、複数の複製用型形成材料に対してモールドのパターンを連続的に転写して複製用型を形成してもよく、更に同様の工程を繰り返して複製用型を形成してもよい。この場合、第1の転写工程の回数は、第2の転写工程の回数と比して少なくなる。
【0093】
上記の粒子配列パターン形成工程によって、基板上の凹部と凸部にそれぞれ意図した粒子配列パターンが形成されている。この粒子配列パターンの粒子の形状が複製用型形成材料に複写されることにより、意図した(設計どおりの)凹凸パターンを有する複製用型を形成することができる。
【0094】
第2の転写工程で使用する複製用型形成材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光硬化ポリマー、Ni、SiC、Si、SiOなどが挙げられる。複製用型形成材料は上記の中の1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、連続使用耐久性が高いこと、及び一枚の複製用型原盤から容易に複数枚の複製が作製可能な点で、Niが好ましい。
【0095】
光硬化ポリマーとしては、光が照射されて硬化するものである限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アクリル系光硬化樹脂、エポキシ系光硬化樹脂等が挙げられる。これらの中でも、転写性能、流動性等に優れる点で、アクリル系光硬化樹脂が好ましい。
【0096】
複製用型形成材料の選択は、後述するナノホール構造体の製造方法における、金属基板へのナノホール形成用起点の形成方法に応じて行うことができる。
【0097】
また、第1の転写工程で使用するモールドの材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、光硬化ポリマー、Ni、SiC、Si、SiOなどが挙げられる。
【0098】
粒子配列パターンの転写方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、複製用型形成材料がNiである場合のパターン転写工程について、図6を参照しながら説明する。
【0099】
基板51上に粒子配列パターン53及び凸部52を有する積層体(図3B又は図4C)に対して、Ni等の金属膜を蒸着により成膜し、その金属膜上へさらに蒸着やめっきにより金属層54を堆積する(図6A)。続いて、この金属層54を基板51から剥離することで、基板51の表面に配列した粒子と凸部の構造が表面に転写された、粒子跡が凹部を形成した凹型モールド57が製造される(図6B)。尚、凹型モールド57の基板51からの剥離を容易に行うため、Ni等の金属を基板51に蒸着する前に、基板51の表面にフッ素系有機鎖を持つ離型剤等を塗布もしくは蒸着してもよい。
【0100】
次いで、凹型モールド54の表面に残存する粒子を、キシレン等の溶剤処理およびアッシング処理により除去する。キシレン等の溶剤処理においては、超音波処理も併用してプロセス時間を短くしても良い。続いて、凹型モールド54に対する過マンガン酸カリウム等への浸漬もしくは酸素プラズマアッシングにより、凹型モールド54表面の酸化を行う。
【0101】
その後、凹型モールド54の粒子の配列パターンが転写された表面にめっき電極として10〜50nm程度の金属58を蒸着する(図6C)。この金属電極は、モールドプレス時の接触面を兼ねるため、低抵抗かつ高硬度であることが必要であり、例えば、Ni、Ti、Cr等の高硬度金属が用いられる。これらの中でも、高硬度を有する点で、Crが好ましい。
【0102】
その後、金属電極上にNiをめっき法により堆積し、Ni層55(図6C)を形成する。Ni層55の厚みは、通常200〜10,000μm程度である。その後、凹型モールド54からNi層55を剥離することで、粒子の表面形状が複写された複製用型56を作製できる(図6D)。
【0103】
以上の工程により、粒子配列パターン形成工程により得られた粒子配列パターンが複製用型形成材料に転写される。
【0104】
複製用型の凸部の高さとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、複製用型を用いて形成するナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合、10nm以上が好ましく、20〜100nmがより好ましい。凸部の高さが10nm未満であると、後述の金属膜の表面への凹凸パターンの転写時に形成される、後述のナノホール形成用起点の深さが浅くなる。後述する陽極酸化によりナノホールを形成する場合、浅いナノホール形成用起点には陽極酸化が起こるのに必要な電流が集中せず、ナノホールが所望の位置に形成されない場合がある。この場合、得られるナノホール配列に乱れが生じる。また、複製用型に形成される凸部の高さと凸部の間隔との比(アスペクト比)が大きすぎると、ナノホール構造体への凹凸パターン転写時に複製用型凸部の変形、折損等が起き易くなる。アスペクト比は1.2以下であることが好ましい。尚、複製用型を用いてナノホール構造体を形成する方法、及び複製用型を用いて磁気記録媒体を形成する方法については、後に詳述する。
【0105】
尚、上述の第2の転写工程における凹凸パターンは、本発明の複製用型の製造方法における第2の凹凸パターンの一具体例である。
2.ナノホール構造体の製造方法
本実施形態のナノホール構造体の製造方法は、ナノホールを有するナノホール構造体の製造方法に関するものであり、前述した複製用型の製造方法により製造された複製用型を用いて、ナノホール形成の基準となるナノホール形成用基点を形成する工程と、ナノホール形成用基点が形成された箇所に対するナノホール形成処理を行う工程とを有すること特徴とする。
【0106】
本実施形態のナノホール構造体の製造方法によれば、上記複製用型の製造方法により得られる複製用型を使用することにより、意図したパターンのナノホールを有するナノホール構造体を形成することができる。
【0107】
まず、本実施形態により得られるナノホール構造体について説明する。
【0108】
本実施形態のナノホール構造体は、その材料、形状、構造、大きさ等について特に制限はない。ナノホール構造体の材料、形状、構造あるいは大きさ等は、目的に応じて適宜選択することができる。
【0109】
ナノホール構造体を構成する金属基板の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、金属単体、金属単体の酸化物や窒化物等、合金などのいずれであってもよい。その中でも、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミニウム、ガラス、シリコンなどが特に好ましい。
【0110】
金属基板の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、円板状(ディスク状)、などが好適に挙げられる。これらの中でも、ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、円板状(ディスク状)であるのが好ましい。
【0111】
なお、金属基板の形状が板状、円板状等である場合には、ナノホール(細孔)は、金属基板の露出面(板面)に対し、略直交する方向に形成される。
【0112】
ナノホールとしては、ナノホール構造体を貫通した孔として形成されていてもよいし、ナノホール構造体を貫通せず窪みとして形成されていてもよい。例えば、ナノホール構造体を磁気記録媒体として使用する場合には、ナノホールがナノホール構造体を貫通する貫通孔として形成されているのが好ましい。
【0113】
金属基板の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、単層構造の基板であってもよいし、積層構造の基板であってもよい。
【0114】
金属器版の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ナノホール構造体をハードディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には、既存のハードディスク等の大きさに対応した大きさが好ましく、ナノホール構造体をDNAチップ等に適用する場合には、既存のDNAチップ等の大きさに対応した大きさが好ましく、ナノホール構造体を電解放出装置用のカーボンナノチューブ等の触媒基板に適用する場合には、電解放出装置に対応した大きさが好ましい。
【0115】
ナノホールの配列としては、特に制限はなく、所望の最終製造物に応じて選択される。例えば、一方向に平行に複数のナノホールが配列していてもよいし、同心円状あるいは螺旋状に配列していてもよい。ナノホールの配列は、ナノホール構造体をDNAチップ等に適用する場合には前者の配列が好ましく、ナノホール構造体をハードディスク、ビデオディスク等の磁気記録媒体に適用する場合には後者の配列が好ましい。特に、ハードディスク用途の磁気記録媒体の場合にはアクセスの容易性の観点から同心円状の配列が好ましく、ビデオディスク用途の磁気記録媒体の場合には連続再生の容易性の観点から螺旋状の配列が好ましい。
【0116】
また、ナノホールの配列は、規則的配列を有していても、不規則な配列を有していても良い。
【0117】
以下、本実施形態のナノホール構造体の製造方法の各工程について説明する。
【0118】
まず、ナノホール形成用起点形成工程について説明する。
【0119】
ナノホール形成用起点は、後述のナノホール形成工程において形成されるナノホールの位置の基準となる小孔である。ナノホール形成工程において、陽極酸化によりナノホールを形成する場合、ナノホール形成用起点には陽極酸化が起こるのに必要な電流が集中することにより、ナノホール形成用起点を中心とする、より深い穴を形成することができる。この深い穴がナノホールである。
【0120】
ナノホール形成用起点の形成方法としては、例えば、前記複製用型の製造方法により得られた複製用型を用いて、ダイレクトプリント、熱インプリント、光インプリント等により行う方法が挙げられる。以下、これらの方法の例について、図7を参照しながら説明する。
【0121】
以下、金属基板上にナノホール形成用基点を形成する工程について説明する。
【0122】
ダイレクトプリントによるナノホール形成用起点の形成方法は、図7Aに示すように、金属基板(例えば、アルミニウム)300に対し、複製用型310を、1〜5Ton/cm程度の高圧で直接プレスすることにより、図7Bに示すように、表面に凹部を形成した金属基板301を得る方法である。この場合、複製用型形成材料としては、高硬度のものが好ましく、例えば、金属、SiC等を使用するのが好ましい。これらの中でも、複製用型の複製が容易な点で、金属が特に好ましい。
【0123】
熱インプリントによるナノホール形成用起点の形成方法は、図7Cに示すように、金属基板300上に、レジスト、PMMA等の熱可塑性ポリマー層320を設け、熱可塑性ポリマー層320に対し複製用型310を、前記ポリマーの軟化点(100〜200℃程度)以上、かつ中圧(50kg〜1Ton/cm)でプレスすることにより、図7Dに示すように、表面に凹部が形成された熱可塑性ポリマー層321を得る方法である。この場合、複製用型形成材料としては、高硬度乃至中硬度で熱耐性を有するものが好ましく、例えば、金属、Si、SiC、SiO等を使用するのが好ましい。これらの中でも、複製用型の複製が容易な点で、金属が特に好ましい。
【0124】
光インプリントによるナノホール形成用起点の形成方法は、図7Eに示すように、金属基板300上に、フォトポリマー層330を設ける。次いで、図7Fに示すように、フォトポリマー層330に対し、複製用型310減圧下で押し付けた後、複製用型310を介して紫外線を照射し、パターニングされたフォトポリマー層331を得る。次いで、図7Gに示すように、複製用型310を剥離することにより凹部が形成されたフォトポリマー層332を得る方法である。この場合、複製用型形成材料としては、紫外線を透過可能であることが必要であるため、透明であるものが好ましく、例えば、SiO、ポリマー等を使用するのが好ましい。これらの中でも、複製用型の複製が容易な点で、ポリマーが特に好ましい。
【0125】
なお、熱インプリント及び光インプリントによる方法においては、上記工程により得られた、図7Hに示すように、表面に凹部が形成された熱可塑性ポリマー層321又は表面に凹部が形成されたフォトポリマー層332(以下本段落においてポリマー層333と総称する)が設けられた、金属基板300に以下の処理を行う。図7Iに示すように、Oプラズマアッシング等により、ポリマー層333の凹部と金属基板300との間に残ったポリマーを除去した後、塩素系ドライ処理又は塩酸系ウェット処理を用いた金属基板のエッチングを行うことにより、図7Jに示すように凹部が形成された金属基板301とポリマー層333の積層体を得る。最後に、図7Kに示すようにポリマー層を溶媒により剥離し、凹部が形成された金属基板301を得る。
【0126】
続いて、金属基板にナノホールを形成する工程について説明する。
【0127】
ナノホール形成処理の手法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。ナノホール形成処理としては、例えば、陽極酸化処理、エッチング処理などが挙げられる。中でも、陽極酸化処理が、金属基板上に形成されたナノホール形成起点に選択的にナノホールを形成できる点から好ましい。
【0128】
図8は、陽極酸化処理により金属基板上にナノホールを形成する工程を示す模式的断面図である。
【0129】
陽極酸化処理を行う場合には、図8Aに示すように、任意の基板81上に電極層82を形成し、電極層82上に金属層83を形成したものを金属基板300とする。金属層83の表面にはナノホール形成用起点84が形成されている。この金属基板300を、電解液中で電気分解エッチングさせることにより、図8Bに示すように、ナノホール形成用起点を中心とするナノホール85を形成することができる。陽極は基板上に形成された電極層82である。電極層82の材料は、後述の磁気記録媒体の製造方法における電極層と同様のものを用いることができる。陰極にはカーボン等の任意の電極を用いることができる。尚、基板と電極層の間には任意の層が形成されていてもよい。
【0130】
陽極酸化処理時の電圧は特に限定されるものではない。陽極酸化処理における電圧は、通常3〜40V程度である。
【0131】
また、陽極酸化処理における電解液の種類、濃度、温度、時間等としては、特に制限はなく、形成するナノホールの数、大きさ、アスペクト比等に応じて適宜選択することができる。例えば、電解液の種類としては、希釈リン酸溶液、希釈蓚酸溶液、希釈硫酸溶液などが好適に挙げられる。いずれの場合も、ナノホールのアスペクト比の調整は、陽極酸化処理後に金属基板をリン酸溶液に浸漬させてナノホール(アルミナポア)の直径を増加させることにより行う。
【0132】
以上の工程により、金属基板上に、ナノホールが複数形成された多孔質層(ナノホール構造体)が形成される。
【0133】
上記工程により得られるナノホール構造体は、磁気記録媒体をはじめ、DNAチップ、触媒基板等の各種分野に好適な、コンピュータの外部記憶装置、民生用ビデオ記録装置等として広く使用されているハードディスク装置等に好適に使用することができる。
3.磁気記録媒体の製造方法
図9は、本実施形態の磁気記録媒体の製造方法により得られる磁気記録媒体の模式的断面図である。基板上91上に、軟磁性下地層92、電極層93、金属層94が順に積層されている。金属層94の表面には、ナノホール95が形成されている。ナノホール95の内部には、記録用の磁性材料が充填されている。図10は、図9の磁気記録媒体のナノホールを拡大した模式的断面図である。ナノホール95の内部には、軟磁性層96、非磁性層97及び強磁性層98がナノホール95の底から順に積層されている。金属層94の表面と、充填された強磁性層98の表面は平滑化されている。また、金属層94と強磁性層98の表面には保護層99が積層されている。
【0134】
本実施形態の磁気記録媒体の製造方法は、基板上にナノホールが複数形成され、該ナノホールの内部に磁性材料を有する磁気記録媒体を製造する方法において、上記複製用型の製造方法により製造された複製用型を用いて、基板上にナノホール形成用基点を形成する工程と、ナノホール形成用基点を基準として、基板に対しナノホールを複数形成する工程と、ナノホールの内部に磁性材料を充填する工程とを含むことを特徴とする。
【0135】
本実施形態の磁気記録媒体の製造方法にて上記複製用型の製造方法により得られる複製用型を用いることにより、意図した磁性膜のパターンを有するパターンドメディアを形成することができる。
【0136】
また、本実施形態の磁気記録媒体の製造方法は、好ましくは研磨工程を含む。本実施形態の磁気記録媒体製造方法は、更に必要に応じて適宜選択した、磁気記録媒体の基板に対する軟磁性下地層形成工程、電極層形成工程、軟磁性層形成工程、非磁性層形成工程、保護層形成工程などのその他の工程を含む。
【0137】
以下、本実施形態の磁気記録媒体の各工程について順に説明する。
(ナノホール形成用基点を形成する工程)
上記複製用型の製造方法により製造された複製用型を用いて、基板上にナノホール形成用基点を形成する工程について説明する。
【0138】
ナノホール形成用基点を形成する工程は、基板上に(軟磁性下地層形成工程により軟磁性下地層を形成した場合には軟磁性下地層上に、電極層形成工程により電極層を形成した場合には電極層上に、)ナノホールを構成する金属層を形成した後、複製用型を用いて金属層上にナノホール形成用基点を形成する工程である。なお、金属層が形成された基板を「金属基板」とみなしてもよい。
【0139】
図11は本実施形態の磁気記録媒体の製造工程を示す模式的断面図である。
【0140】
はじめに、図11Aに示すように、軟磁性下地層形成工程として、基板91上に軟磁性下地層92を形成する。軟磁性下地層形成工程は、必要に応じて選択され、基板上に軟磁性下地層を形成する工程である。
【0141】
磁気記録媒体の基板としては、その形状、構造、大きさ、材質等について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、基板形状としては、磁気記録媒体がハードディスク等の磁気ディスクである場合には、円板状である。また、基板構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。また、基板の材質としては、磁気記録媒体の基板材料として公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ガラス、シリコン、石英、シリコン表面に熱酸化膜を形成してなるSiO/Si等が挙げられる。これらの基板材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0142】
基板への軟磁性下地層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタリング法、蒸着法等の真空成膜法、電着法などで形成してもよいし、あるいは無電解メッキで形成してもよい。
【0143】
軟磁性下地層形成工程により、基板上に所望の厚みの軟磁性下地層が形成される。
【0144】
次いで、図11Bに示すように、電極層形成工程として、軟磁性下地層92の上に電極層93を形成する。
【0145】
電極層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタリング法、蒸着法などにより好適に行うことができる。電極層の形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0146】
電極層形成工程により基板上に形成された電極層は、軟磁性層、非磁性層あるいは強磁性層の少なくともいずれかを電着により基板上に形成する際の電極として使用される。
【0147】
次いで、図11Cに示すように、金属層形成工程として、電極層93上に金属層94を形成する。金属層を構成する金属材料としては、特に限定されないが、例えば、アルミナ(酸化アルミニウム)、アルミニウムなどが好適に挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが特に好ましい。
【0148】
基板上への金属層の形成は、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、スパッタリング法、蒸着法などにより好適に行うことができる。金属層の形成条件としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。なお、スパッタ法の場合、金属層を構成する金属材料により形成されたターゲットを用いてスパッタリングを行うが、この場合に用いるターゲットは高純度であるのが好ましく、金属材料がアルミニウムである場合には純度が99.990%以上であるのが好ましい。
【0149】
次いで、図11Dに示すように、金属層94の表面にナノホール形成用起点101を形成する。
【0150】
ナノホール形成用基点の形成は、上記ナノホール構造体の製造方法において説明した方法を採用することができる。
(ナノホール形成工程)
次に、ナノホール形成用基点を基準として、基板に対しナノホールを複数形成する工程について説明する。
【0151】
ナノホール形成工程は、ナノホール形成用基点を形成する工程の後、ナノホール形成用基点が形成された金属層に対しナノホール形成処理を行うことにより、基板面に対し略直交する方向にナノホールを複数形成してナノホール構造体(多孔質層)を形成する工程である。より具体的には、図11Dにおけるナノホール形成用起点101を中心として、金属層94を貫通する穴を形成し、図11Eに示すように金属層94の下の基板91、軟磁性下地層92又は電極層93を露出させてナノホール95を得る工程である。
【0152】
ナノホール形成処理としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、陽極酸化処理、エッチング処理などが好適に挙げられる。これらの中でも、金属層のナノホール形成用基点が形成された位置に、基板面に略直交する方向に多数のナノホールを規則的に配列形成することができる点から陽極酸化処理が好ましい。
【0153】
陽極酸化処理の場合、硫酸、リン酸あるいはシュウ酸の水溶液中で、金属層に接する電極を陽極として、金属層を電気分解エッチングさせることにより行うことができる。電極としては、金属層を形成するのに先立って形成した軟磁性下地層、電極層などが挙げられる。
【0154】
陽極酸化処理における電圧としては、特に制限はなく、通常、3〜40Vである。
【0155】
陽極酸化処理における電解液の種類、濃度、温度、時間等としては、特に制限はなく、形成するナノホールの数、大きさ、アスペクト比等に応じて適宜選択することができる。例えば、電解液の種類としては、希釈リン酸溶液、希釈蓚酸溶液、希釈硫酸溶液などが好適に挙げられる。いずれの場合も、ナノホールのアスペクト比の調整は、陽極酸化処理後にリン酸溶液に浸漬させてナノホール(アルミナポア)の直径を増加させることにより行う。
【0156】
陽極酸化処理によりナノホールの形成を行った場合、金属層にナノホールを多数形成することができるが、ナノホールの下部にバリア層が形成されてしまうことがある。ナノホール下部に形成されたバリア層は、リン酸等の公知のエッチング液を用いて公知のエッチング処理を行うことにより、容易に除去することができる。
【0157】
以上により、金属層に、軟磁性下地層又は基板を露出させる前記ナノホールを前記基板面に略直交する方向に多数形成することができる。
(磁性材料充填工程)
次に、ナノホールの内部に磁性材料を充填する工程について説明する。
【0158】
磁性材料充填工程は、ナノホール形成工程において形成されたナノホールの内部に磁性材料を充填する工程であり、強磁性材料をナノホールに充填する強磁性層形成工程、軟磁性材料をナノホールに充填する軟磁性層形成工程などを含む。磁性材料を充填する工程について、順に説明する。
【0159】
まず、図11Fに示すように、軟磁性層形成工程として、ナノホール95の内部に軟磁性層96を形成する。軟磁性層の形成は、軟磁性材料を電着法等によりナノホールの内部に堆積乃至充填させることにより行う。
【0160】
電着法の条件等には、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軟磁性下地層又は電極層を電極として、軟磁性材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加することにより、電極上に軟磁性層を析出乃至堆積させる方法などが好適に挙げられる。
【0161】
軟磁性層形成工程により、ナノホールの内部の且つ基板表面上、軟磁性下地層上又は電極層上に軟磁性層が形成される。
【0162】
次いで、図11Gに示すように、非磁性層形成工程として、軟磁性層96上に非磁性層97を形成する。非磁性層の形成は、非磁性材料を電着等によりナノホールの内部に形成した軟磁性層上に堆積乃至充填させることにより行う。電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、軟磁性下地層又は電極層を電極として、非磁性材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加することにより、ナノホール内に析出乃至堆積させる方法などが好適に挙げられる。非磁性層形成工程により、多孔質層におけるナノホールの内部の軟磁性層上等に非磁性層が形成される。
【0163】
次いで、図11Hに示すように、強磁性層形成工程として、非磁性層97上に強磁性層98を形成する。尚、軟磁性層96上に非磁性層97が形成されていない場合には軟磁性層96上に強磁性層98が形成される。
【0164】
強磁性層の形成は、強磁性材料を電着等によりナノホールの内部に形成した軟磁性層上に堆積乃至充填させることにより行う。電着の方法、条件等としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、軟磁性下地層又は電極層(シード層)を電極として、強磁性材料を含む溶液を1種又は2種以上用い、電圧を印加することにより、ナノホール内に強磁性層を析出乃至堆積させる方法などが好適に挙げられる。強磁性層形成工程により、ナノホールの内部の軟磁性層上又は非磁性層上に強磁性層が形成される。
【0165】
本実施形態の磁気記録媒体の製造方法は、強磁性層98の形成後、金属層94と金属層98の表面を研磨する研磨工程を有していてもよい。研磨工程は、ナノホール構造体(多孔質層)の表面を研磨し、平坦化する工程である。研磨工程により、ナノホール構造体の表面を一定の厚みで除去すると、より高密度記録・高速度記録を確保することができ、磁気記録媒体の表面が平滑化されると、垂直磁気記録ヘッド等の磁気ヘッドの安定浮上が可能となり、低浮上化による高密度記録と信頼性確保の双方を達成することができる点で有利である。
【0166】
研磨工程は、磁性層形成工程(強磁性層形成工程、軟磁性層形成工程を含む)の後に行われるのが好ましい。磁性層形成工程の前に研磨処理を行うと、ナノホール構造体の破壊、あるいはナノホール内部へのスラリー、削り滓等の充填が発生し、メッキ不良が生ずることがある。
【0167】
研磨工程における研磨の方法としては、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができるが、例えば、CMP、イオンミリングなどが好適に挙げられる。
【0168】
次いで、図11Iに示すように、保護層形成工程として、金属層94と強磁性層98の表面には保護層99を形成する。
【0169】
保護層は、強磁性層を保護する機能を有する層であり、強磁性層の表面乃至上方に設けられる。保護層は、1層のみ設けられていてもよいし、2層以上設けられていてもよく、また、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。保護層の材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、などが挙げられる。
【0170】
前記保護層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。前記保護層の形成は、特に制限はなく、目的に応じて公知の方法に従って行うことができるが、例えば、プラズマCVD法、塗布法、などにより行うことができる。
【0171】
尚、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(実験例1)
表面に酸化膜を持つSiウェハ(直径2.5インチ)に、溶媒により希釈したPMMA樹脂をスピンコート法により塗布した。次に樹脂を希釈していた溶媒の揮発を目的として、その基板を80℃で30分間ベークした。次に、周期が150nm(凸部の半値幅が50nm、凸部間の間隔が100nm)、深さ100nmの凹凸形状を有するモールドを、樹脂のガラス転移点以上に加熱した基板上に押し付けることで、樹脂にモールドの凹凸が反転したパターンが転写された。次に、樹脂に凹凸パターンを転写した基板に、酸素プラズマアッシングによるエッチング処理を行って、凹凸パターンの凹部の樹脂を除去し、基板表面の酸化膜を露出した。
【0172】
次に、樹脂凸部を有する基板のその凹凸パターン面に対して、蒸着法によりSiを堆積した。堆積させたSiの厚さは20nmだった。続いて、Siを堆積させた基板をアセトンに浸漬した。基板上で凸部を形成していた樹脂はアセトンにより溶解、除去され、同時にその樹脂凸部に堆積していたSiも剥離・除去された。
【0173】
次に、上記のSiからなる凸部を有する基板を、粒径100nmのポリスチレンを含むナノ粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、商品名「NIST Traceable Precision Particle Size Standards,64010−15」)に浸漬した後、引上げ速度0.04mm/minで引き上げた。引上げに要した時間は20時間だった。粒子は底部が酸化膜表面からなる凹部に配列した。
【0174】
次に、粒子が配列され、凸部を有する基板に対して、Niを蒸着により成膜し、その金属膜上へさらにめっき法によりNi層を堆積した。続いて、そのNi層と、粒子が配列され、凸部を有する基板とを剥離することで、基板の表面に配列した粒子と凸部の構造が転写された凹型モールドを形成した。
【0175】
凹型モールドの表面に残存する粒子を、キシレンによる洗浄処理により除去した。続いて、凹型モールドを、過マンガン酸カリウム等への浸漬もしくは酸素プラズマアッシングにより、そのモールド表面の酸化を行った。
【0176】
その後、Ni膜を凹型モールドに蒸着し、その金属膜状へさらにめっき法によりNi層を堆積後させた。最後に該Ni層を凹型モールドから剥離し、実験例1の複製用型を形成した。尚、ナノ粒子懸濁液に浸漬する前において、Si基板上に形成された凸部の半値幅は80nm、高さは20nmだった。
(実験例2)
周期が150nm(凸部の半値幅が50nm、凸部間の間隔が100nm)、深さ100nmの凹凸形状を有するモールドの代わりに、周期が200nm(凸部の半値幅が100nm、凸部間の間隔が100nm)、深さ100nmの凹凸形状を有するモールドを使用し、粒径100nmのポリスチレンを含むナノ粒子懸濁液の代わりに、粒径100nmのポリスチレンを含むナノ粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、商品名「NIST Traceable Precision Particle Size Standards,64010−15」)を用いたこと以外は、実験例1と同様にして実験例2の複製用型を形成した。尚、ナノ粒子懸濁液に浸漬する前において、Si基板上に形成された凸部の半値幅は100nm、高さは20nmだった。
(比較例1)
表面に酸化膜を持つSiウェハ(直径2.5インチ)に、溶媒により希釈したPMMA樹脂をスピンコート法により塗布した。次に樹脂を希釈していた溶媒の揮発を目的として、その基板を80℃で30分間ベークした。次に、周期が150nm(凸部の半値幅が100nm、凸部間の間隔が50nm)、深さ100nmの凹凸形状を有するモールドを、樹脂のガラス転移点以上に加熱した基板上に押し付けることで、樹脂にモールドの凹凸が反転したパターンが転写された。次に、樹脂に凹凸パターンを転写した基板に、酸素プラズマアッシングによるエッチング処理を行って、凹凸パターンの凹部の樹脂を除去し、樹脂凸部を形成した。
【0177】
次に、上記の樹脂凸部を有する基板を、粒径100nmのポリスチレンを含むナノ粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、商品名「NIST Traceable Precision Particle Size Standards,64010−15」)に浸漬した後、引上げ速度0.04mm/minで引き上げた。引上げに要した時間は20時間だった。粒子は底部が酸化膜表面からなる凹部に配列した。
【0178】
次に、粒子が配列され、凸部を有する基板に対して、蒸着によりNi膜を成膜し、その金属膜上へさらにめっき法によりNi層を堆積した。続いて、そのNi層と、粒子が配列され、凸部を有する基板とを剥離することで、該基板の表面に配列した粒子と凸部の構造が転写された凹型モールドを形成した。
【0179】
凹型モールドの表面に残存する粒子を、キシレンによる洗浄処理により除去した。続いて、凹型モールドを、過マンガン酸カリウム等への浸漬もしくは酸素プラズマアッシングにより、そのモールド表面の酸化を行った。
【0180】
その後、Ni膜を凹型モールドに蒸着し、その金属膜状へさらにめっき法によりNi層を堆積後させた。最後に該Ni層を凹型モールドから剥離し、比較例1の複製用型を形成した。尚、ナノ粒子懸濁液に浸漬する前において、Si基板上に形成された樹脂凸部の半値幅は80nm、高さは20nmだった。
(比較例2)
周期が150nm(凸部の半値幅が100nm、凸部間の間隔が50nm)、深さ100nmの凹凸形状を有するモールドの代わりに、周期が200nm(凸部の半値幅が100nm、凸部間の間隔が100nm)、深さ100nmの凹凸形状を有するモールドを使用し、粒径100nmのポリスチレンを含むナノ粒子懸濁液の代わりに、粒径100nmのポリスチレンを含むナノ粒子懸濁液(ポリサイエンス社製、商品名「NIST Traceable Precision Particle Size Standards,64010−15」)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして比較例2の複製用型を形成した。尚、ナノ粒子懸濁液に浸漬する前において、Si基板上に形成された樹脂凸部の半値幅は100nm、高さは70nmだった。
(評価)
上記実験例及び比較例において、凸部を有する基板を粒径100nmのポリスチレンを成分とするナノ粒子懸濁液に浸漬し、引上げる前後において、該凸部の形状をAFM(原子間力顕微鏡)(Digital Instruments社製、商品名「NanoScope」)を用いて観察した。4個所の観察結果から、凸部の半値幅の平均値及び凸部の高さの平均値を算出した。
(評価結果)
実験例1及び実験例2のSiにより形成された凸部の形状は、ナノ粒子懸濁液に浸漬する前後で、変化が認められなかった。一方、比較例1の樹脂凸部の半値幅はナノ粒子懸濁液に浸漬する前後で60%減少した。また、樹脂凸部の高さは、ナノ粒子懸濁液に浸漬する前後で50%減少した。更に比較例2の樹脂凸部の半値幅は、ナノ粒子懸濁液に浸漬する前後で変化が認められなかった。また、樹脂凸部の高さは、ナノ粒子懸濁液に浸漬する前後で20%減少した。
【0181】
ここで再び、本発明の詳細な特徴を改めて説明する。
(付記1)
他の基板上に凹凸パターンを複製する複製用型を作成する複製用型の製造方法において、基板上に、粒子が懸濁した粒子懸濁液に対して溶解しない材料を用いて凸部を有する第1の凹凸パターンを形成する、凹凸パターン形成工程と、前記第1の凹凸パターンが形成された基板を前記粒子懸濁液に浸漬し、前記第1の凹凸パターンの表面に前記粒子を配列させる粒子配列パターン形成工程と、前記粒子配列パターンを転写して、該粒子配列パターンの反転パターンを有するモールドを形成する第1の転写工程と、前記モールドに形成されたパターンを更に転写して、第2の凹凸パターンを有する複製用型を形成する第2の転写工程
とを含むことを特徴とする、複製用型の製造方法。
(付記2)
前記凸部がSi、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属単体、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物の中から選択される少なくとも1種類のパターン形成材料を含むことを特徴とする、付記1に記載の複製用型の製造方法。
(付記3)
前記凸部の半値幅が、80nm以下であることを特徴とする、付記1又は2に記載の複製用型の製造方法。
(付記4)
前記凹凸パターン形成工程において、前記基板がSi又はシリコン酸化物基板であり、且つ前記パターン形成材料がSi又はシリコン酸化物から選択されることを特徴とする、付記1乃至3のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
(付記5)
前記凹凸パターン形成工程において、前記基板がシリコン酸化物基板であり、且つ前記パターン形成材料としてSiが選択されることを特徴とする、付記1乃至4のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
(付記6)
前記粒子配列パターン形成工程において、前記粒子がシリカからなることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
(付記7)
前記凹凸パターン形成工程において、基板に積層された樹脂層上に、樹脂パターン形成用複製用型に形成されているパターンを転写し、前記基板上に樹脂パターンを形成する工程と、前記樹脂パターンが形成された基板上に前記パターン形成材料を積層する工程と、前記樹脂パターンを除去することにより、前記パターン形成材料からなる凸部を有する第1の凹凸パターンを形成する工程を含むことを特徴とする、付記1乃至6のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
(付記8)
前記樹脂パターンを形成する工程において、基板に積層された樹脂層上に、樹脂パターン形成用複製用型に形成されているパターンを転写し、更にエッチングによる加工を行うことを特徴とする、付記7に記載の複製用型の製造方法。
(付記9)
前記樹脂パターンを形成する工程において、樹脂層を部分的に基板から除去して基板表面を露出させることを特徴とする、付記7に記載の複製用型の製造方法。
(付記10)
前記凹凸パターン形成工程において、リフトオフにより、前記樹脂パターンの凸部と共に該凸部上の前記パターン形成材料を除去することを特徴とする、付記7乃至9のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
(付記11)
前記凹凸パターン形成工程において、前記パターン形成材料を化学的機械的研磨し、樹脂パターンの凸部を露出させ、更に該樹脂パターンの凸部を除去することを特徴とする、付記7乃至9のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
(付記12)
前記粒子配列パターンに離型剤を塗布する工程を含むことを特徴とする、付記1乃至9のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
(付記13)
前記粒子配列パターン形成工程において、前記粒子懸濁液に前記第1の凹凸パターンが形成された基板を浸漬し、引き上げることにより、前記凹凸パターンの表面に粒子を配列させることを特徴とする、付記1乃至12のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
(付記14)
他の基材に凹凸パターンを形成する複製型を製造する方法において、第一の基板上に、第一の部材を積層する工程と、前記第一の部材に第一の凹凸パターンを形成する工程と、前記第一の部材に形成された凹部に第二の部材が充填されるよう、前記第一の基板上に前記第二の部材を積層する工程と、前記第一の基板から前記第一の部材を除去する工程と、前記第一の基板を、粒子懸濁液に浸漬し、前記第二の部材に形成された凹部に前記粒子を配列させる工程と、第一の基板に形成された粒子配列パターンを第二の基板に転写し、前記第二の基板に第二の凹凸パターンを形成する工程とを備え、前記第二の部材は、前記懸濁液に対して非溶解性を有することを特徴とする、複製型の製造方法。
(付記15)
前記複製型の製造方法において、前記第二の基板に形成された第二の凹凸パターンを第三の基板に更に転写し、前記第三の基板に第三の凹凸パターンを形成する工程を更に備えたことを特徴とする、付記14に記載の複製用型製造方法。
(付記16)
凹凸パターンの複製に用いる複製用型を製造する方法において、基板上に樹脂層を形成し、前記樹脂層に、前記基板の一部を露出させた凹凸パターンを形成し、前記凹凸パターンが形成された基板に第一の金属層を形成し、前記樹脂層を除去し、前記基板を粒子懸濁液に浸漬して、前記第一の金像層により形成された凹部に前記粒子を配列させ、前記粒子が配列した基板上に第二の金属層を形成し、前記基板から前記第二の金属層を剥離し、前記第二の金属層の上に第三の金属層を形成し、前記第二の金属層から前記第三の金属層を剥離することを特徴とする、複製用型の製造方法。
(付記17)
ナノホールを有するナノホール構造体の製造方法において、付記1〜16に記載の複製用型の製造方法により製造された複製用型を用いて、ナノホール形成の基準となるナノホール形成用基点を基板上に形成する工程と、該基板の前記ナノホール形成用基点が形成された箇所に対するナノホール形成処理を行う工程とを有すること特徴とする、ナノホール構造体の製造方法。
(付記18)
磁気記録媒体の製造方法において、第一の基板上に形成された樹脂層に、前記第一の基板が部分的に露出した第一の凹凸パターンを形成し、前記第一の凹凸パターンが形成された第一の基板上に第一の金属層を形成し、前記樹脂層を除去して前記基板に第一の金属層による第二の凹凸パターンを形成し、前記第一の基板を粒子懸濁液に浸漬して、前記第二の凹凸パターンの凹部に前記粒子を配列させ、前記粒子が配列した第一の基板上に第二の金属層を形成し、前記第一の基板から前記第二の金属層を剥離し、前記第二の金属層上に第三の金属層を形成し、前記第二の金属層から前記第三の金属層を剥離し、前記第三の金属層に形成された第三の凹凸パターンを用いて、第二の基板上に凹部を形成し、前記第二の基板に形成された凹部を基点として、前記第二の基板に微小孔を形成し、前記微小孔に磁性体を充填することを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0182】
【図1】粒子配列パターンが形成された基板の表面における粒子の配列状況の例を示す概略説明図である。
【図2】凹凸パターン形成工程の一例を示す模式的断面図である。
【図3】凹凸パターン形成工程の一例を示す模式的断面図である。
【図4】凹凸パターン形成工程の一例を示す模式的断面図である。
【図5】粒子配列パターン形成工程により得られる粒子配列パターンの一例を示す断面模式図である。
【図6】パターン転写工程の一例を示す模式的断面図である。
【図7】ナノホール形成用起点の形成方法を示す模式的断面図である。
【図8】陽極酸化処理により金属基板上にナノホールを形成する工程を示す模式的断面図である。
【図9】実施形態の磁気記録媒体の製造方法により得られる磁気記録媒体の模式的断面図である。
【図10】図9の磁気記録媒体を拡大した模式的断面図である。
【図11】本実施形態の磁気記録媒体の製造工程を示す模式的断面図である。
【符号の説明】
【0183】
11 基板
12 樹脂層
13 モールド
21 樹脂凸部
23 基板
24、25 パターン形成材料層
31 樹脂凸部
32 基板
33 パターン形成材料層
34 パターン形成材料からなる凸部
41 基板
42 パターン形成材料からなる凸部
43 粒子
44 粒子懸濁液
45 液面
51 基板
52 パターン形成材料からなる凸部
53 粒子
54 凹型モールド
55 Ni層
56 複製用型(Ni層)
71 粒子
72 凹部
73 凸部
81 基板
82 電極層
83 金属層
84 ナノホール形成用起点
85 ナノホール
91 基板
92 軟磁性下地層
93 電極層
94 金属層
95 ナノホール
96 軟磁性層
97 非磁性層
98 強磁性層
99 保護層
101 ナノホール形成用起点
300、301 金属基板
310 複製用型
320、321 熱可塑性ポリマー層
330、331、332 フォトポリマー層
333 ポリマー層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の基板上に凹凸パターンを複製する複製用型を作成する複製用型の製造方法において、
基板上に、粒子が懸濁した粒子懸濁液に対して溶解しない材料を用いて凸部を有する第1の凹凸パターンを形成する、凹凸パターン形成工程と、
前記第1の凹凸パターンが形成された基板を前記粒子懸濁液に浸漬し、前記第1の凹凸パターンの表面に前記粒子を配列させる粒子配列パターン形成工程と、
前記粒子配列パターンを転写して、該粒子配列パターンの反転パターンを有するモールドを形成する第1の転写工程と、
前記モールドに形成されたパターンを更に転写して、第2の凹凸パターンを有する複製用型を形成する第2の転写工程
とを含むことを特徴とする、複製用型の製造方法。
【請求項2】
前記凸部がSi、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属単体、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物の中から選択される少なくとも1種類のパターン形成材料を含むことを特徴とする、請求項1に記載の複製用型の製造方法。
【請求項3】
前記凸部の半値幅が、80nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の複製用型の製造方法。
【請求項4】
前記凹凸パターン形成工程において、前記基板がSi又はシリコン酸化物基板であり、且つ前記パターン形成材料がSi又はシリコン酸化物から選択されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
【請求項5】
前記凹凸パターン形成工程において、
基板に積層された樹脂層上に、樹脂パターン形成用複製用型に形成されているパターンを転写し、前記基板上に樹脂パターンを形成する工程と、
前記樹脂パターンが形成された基板上に前記パターン形成材料を積層する工程と、
前記樹脂パターンを除去することにより、前記パターン形成材料からなる凸部を有する第1の凹凸パターンを形成する工程
を含むことを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
【請求項6】
前記粒子配列パターンに離型剤を塗布する工程を含むことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の複製用型の製造方法。
【請求項7】
ナノホールを有するナノホール構造体の製造方法において、
請求項1〜6に記載の複製用型の製造方法により製造された複製用型を用いて、ナノホール形成の基準となるナノホール形成用基点を基板上に形成する工程と、
該基板の前記ナノホール形成用基点が形成された箇所に対するナノホール形成処理を行う工程
とを有すること特徴とする、ナノホール構造体の製造方法。
【請求項8】
基板上にナノホールが複数形成され、該ナノホールの内部に磁性材料を有する磁気記録媒体を製造する方法において、
請求項1〜6に記載の複製用型の製造方法により製造された複製用型を用いて、該基板上にナノホール形成用基点を形成する工程と、
該ナノホール形成用基点を基準として、前記基板に対しナノホールを複数形成する工程と、
該ナノホールの内部に磁性材料を充填する工程
とを含むことを特徴とする、磁気記録媒体の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2008−293609(P2008−293609A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−139383(P2007−139383)
【出願日】平成19年5月25日(2007.5.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】