説明

複雑な混合物から修飾ペプチドを免疫親和性を用いて単離する方法

【課題】ペプチドの複雑な混合物から、修飾されたペプチドを単離する方法を提供すること。
【解決手段】(a)生物から蛋白質性調製物を得、ここで調製物は二つ又はそれ以上の異なる蛋白質に由来する修飾されたペプチドを含み、(b)調製物を少なくとも一つの固定化された修飾特異的抗体と接触させ、及び(c)工程(b)に於いて固定化された修飾特異的抗体により特異的に結合された少なくとも一つの修飾されたペプチドを単離する、工程を含むものである。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペプチドの複雑な混合物から修飾ペプチド(modified peptide)を単離する方法であって、当該方法が、
(a)生物から蛋白質性調製物を得、当該蛋白質性調製物が二つ又はそれ以上の異なる蛋白質由来の修飾ペプチドを含み、
(b)当該蛋白質性調製物を、固定化された修飾特異的抗体の少なくとも一つと接触させ、及び
(c)工程(b)に於いて固定化された修飾特異的抗体により特異的に結合された、少なくとも一つの修飾ペプチドを単離する、
工程を含むものである方法。
【請求項2】
方法が、(d)工程(c)で単離された修飾ペプチドを、マススペクトロメトリー(MS)、タンデムマススペクトロメトリー(MS−MS)、及び/又はMS分析により特徴付ける工程を更に含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
マススペクトロメトリーがMALDI−TOF MSを含むものであり、タンデムマススペクトロメトリーがLC−MS/MSを含むものであり、そしてMS分析がLC−MSを含むものである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
方法が、(e)工程(d)の特徴付けの間に得られた修飾ペプチドのスペクトルを、検索プログラムを使用して公知のペプチド配列のスペクトルと実質的に適合させ、それによって修飾ペプチドの親蛋白質を同定する工程を更に含むものである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
蛋白質性調製物が、消化された粗細胞抽出物、消化された組織サンプル、消化された血清サンプル、消化された尿サンプル、消化された髄液サンプル、及び消化された脊髄液サンプルからなる群より選択される消化された生物サンプルを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
消化された調製物が、少なくとも一つの蛋白質分解酵素又は化学的な開裂を使用することで得られるものである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
蛋白質分解酵素が固定化されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
蛋白質分解酵素が可溶性であり、消化された調製物が接触工程(b)に先だって蛋白質分解阻害剤で処理されたものである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)が、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)によって蛋白質性調製物を前精製することを更に含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
工程(b)の固定化された抗体が、クロマトグラフィ−樹脂に共有結合したものである、又は蛋白質−A若しくは蛋白質−G−アガロースに非共有結合したものである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
樹脂がカラム又はマイクロピペットチップ内に含まれるものである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
工程(b)の固定化された抗体が、カラム内のクロマトグラフィ−樹脂に固定化されたものであり、当該カラムが工程(d)の特徴付けのためのマススペクトロメーターに連結されているものである、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
修飾が、リン酸化を含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
修飾ペプチドが、ホスホペプチドを含むものである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
修飾特異的抗体が、少なくとも一つのリン酸化されたアミノ酸を含むモチーフを認識するものである、モチーフ特異的及びコンテキスト非依存性(context−independent)の抗体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
モチーフが単一のリン酸化されたアミノ酸からなるものである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
モチーフがキナーゼ共通基質モチーフ又は蛋白質−蛋白質結合モチーフの全部若しくは一部を含むものである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
キナーゼ共通基質モチーフが、MAPK共通基質モチーフ、CDK共通基質モチーフ、PKA共通基質モチーフ、AKT共通基質モチーフ、PKC共通基質モチーフ、ホスホスレオニン−X−アルギニン及びATM共通基質モチーフからなる群より選択されるものであり、蛋白質−蛋白質結合が14−3−3結合モチーフ又はPDK1ドッキングモチーフである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
修飾特異的抗体が、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
工程(c)で単離された修飾ペプチドが、公知の疾患マーカーに対応するものである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
工程(d)で特徴付けられた修飾ペプチドが、親蛋白質の未知の修飾部位を含むものである、請求項4に記載の方法。
【請求項22】
方法が、(e)工程(d)で特徴付けられた修飾ペプチドの修飾状態を、参照サンプルに於ける対応するペプチドの修飾状態と比較し、蛋白質性調製物に於ける蛋白質の活性化を参照サンプルに於けるの蛋白質の活性化と比較する工程を更に含むものである、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項23】
蛋白質性調製物が疾患生物に対応し、参照サンプルが正常生物に対応するものであり、蛋白質活性化の比較が疾患に由来する活性化変化の情報を提供するものである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
蛋白質性調製物が組織生検細胞又は臨床液サンプルから得られるものであり、参照サンプルが疾患生物に対応するものであり、蛋白質活性化の比較が疾患の診断のための有用な情報を提供するものである、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
蛋白質調製物が少なくとも一つの試験化合物で処理された生物又は調製物に対応し、参照サンプルが処理されていない生物又は調製物に対応し、蛋白質活性化の比較が、試験化合物による処理によって起こる活性化変化についての情報を提供するものである、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
蛋白質活性化の比較が、疾患に於いて修飾されていることが前もって報告されていない親蛋白質に対応するものとして、工程(d)で特徴付けられた修飾ペプチドを同定するものである、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
疾患が癌である、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
試験化合物が癌治療薬を含むものである、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
試験化合物がキナーゼ阻害剤を含むものである、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
ペプチドの複雑な混合物からホスホペプチドを単離する方法であって、当該方法が、
(a)生物から蛋白質性調製物を得、当該蛋白質性調製物が二つ又はそれ以上の異なる蛋白質由来の修飾ペプチドが含み、
(b)分画化された蛋白質性調製物を産生するために、逆相クロマトグラフィーで当該蛋白質性調製物中のホスホペプチドを分画化し、
(c)分画化された蛋白質性調製物を、少なくとも一つのリン酸化されたアミノ酸を含むモチーフに結合する、モチーフ特異的でコンテキスト非依存性(context−independent)の固定化された抗体の少なくとも一つと接触させ、
(d)工程(c)の固定化された抗体が特異的に結合している、少なくとも一つのホスホペプチドを単離し、及び
(e)マススペクトロメトリー(MS)、タンデムマススペクトロメトリー(MS−MS)、及び/又はMS分析により、工程(d)で単離された修飾ペプチドを特徴付ける、
工程を含むものである方法。
【請求項31】
方法が、(f)工程(e)の特徴付けで得られた修飾ペプチドのマススペクトルを、検索プログラムを用いて公知のペプチド配列のマススペクトルと実質的に合致させ、それにより修飾ペプチドの親蛋白質を同定する工程を更に含むものである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
マススペクトロメトリーがMALDI−TOF MSを含むものであり、タンデムマススペクトロメトリーがLC−MS/MSを含むものであり、MS分析がLC−MSを含むものである、請求項32に記載の方法。
【請求項33】
工程(a)が、ペプチドの複雑な混合物を産生するために蛋白質性調製物を消化する工程を更に含むものである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
工程(c)のモチーフ特異的でコンテキスト非依存性(context−independent)の抗体が、一般的なホスホチロシン特異的抗体、一般的なホスホスレオニン特異的抗体、又は一般的なホスホセリン特異的抗体を含むものである、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
工程(c)のモチーフ特異的でコンテキスト非依存性(context−independent)の抗体が、リン酸化されたキナーゼ共通基質モチーフ又は蛋白質−蛋白質結合モチーフに特異的である、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
キナーゼ共通基質モチーフが、MAPK共通基質モチーフ、CDK共通基質モチーフ、PKA共通基質モチーフ、AKT共通基質モチーフ、PKC共通基質モチーフ、ホスホスレオニン−X−アルギニン及びATM/ATR共通基質モチーフ、p85P13K結合モチーフ、ホスホスレオニンプロリンモチーフ、Arg−X−Tyr/Phe−X−ホスホセリンモチーフ、ホスホセリン/ホスホスレオニン−Pheモチーフ、PLK共通基質モチーフ、並びにDNA損傷誘導基質モチーフからなる群より選択されるものであって、蛋白質−蛋白質結合が、14−3−3結合モチーフ又はPDK1ドッキングモチーフである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
工程(b)の逆相クロマトグラフィーがC18カラムを含むものである、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
方法が、工程(e)の単離されたホスホペプチドを定量する工程(f)を更に含むものである、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
工程(f)が、細胞培養物中のアミノ酸による安定な放射性同位体標識(SILAC)を用いて、及び/又は、絶対的なペプチドの定量(AQUA)技術を用いて、単離されたホスホペプチドを定量することを含むものである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
硬質の、無孔又はマクロ細孔樹脂に固定化された、少なくとも一つの修飾特異的抗体を含有する支持体を含む、複雑な混合物から修飾ペプチドを単離するための免疫親和性単離装置。
【請求項41】
支持体が、内径が約50から300マイクロメートルの細いキャピラリーカラム及びミクロピペットチップからなる群より選択されるものである、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
修飾特異的抗体が、モチーフ特異的でコンテキスト非依存性(context−independent)の抗体を含むものである、請求項41に記載の装置。
【請求項43】
カラムが、マススペクトロメーターの電気スプレー源に連結されているものである、請求項41に記載の装置。
【請求項44】
335位のセリンがリン酸化されているときのみ、ユビキチン融合崩壊蛋白質1(UFD1)に結合するが、この残基がリン酸化されていないときにはUFD1に実質的に結合しない抗体。
【請求項45】
588位のセリンがリン酸化されているときのみ、蛋白質チロシンホスファターゼ1c(PTN6)に結合するが、この残基がリン酸化されていないときにはPTN6に実質的に結合しない抗体。
【請求項46】
表5のカラム5に示されるリン酸化可能な残基がリン酸化されているときのみ、表5のカラム5に挙げられる蛋白質リン酸化部位に結合するが、それらの残基がリン酸化されていないときには、リン酸化部位に実質的に結合しない、抗体。
【請求項47】
表6のカラム5に示されるリン酸化可能な残基がリン酸化されているときのみ、表6のカラム5に挙げられる蛋白質リン酸化部位に結合するが、それらの残基がリン酸化されていないときには、リン酸化部位に実質的に結合しない、抗体。
【請求項48】
表7のカラム4に示されるリン酸化可能な残基がリン酸化されているときのみ、表7のカラム4に挙げられる蛋白質リン酸化部位に結合するが、それらの残基がリン酸化されていないときには、リン酸化部位に実質的に結合しない、抗体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19−A】
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【図19−B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2007−308506(P2007−308506A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169161(P2007−169161)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【分割の表示】特願2004−259574(P2004−259574)の分割
【原出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(501087490)セル・シグナリング・テクノロジー・インコーポレイテツド (11)
【Fターム(参考)】